説明

記録装置

【課題】手差し供給経路とロール紙経路との双方を備える記録装置において、装置構成の複雑化と大型化を抑制することにあり、また更には、ロール紙を装置内部に供給する際の作業性に配慮された記録装置を提供する。
【解決手段】インクジェットプリンター1は、装置下部に設けられた用紙カセット7からの用紙供給経路と、手差しトレイ11からの用紙供給経路と、ロール紙ロールRからの用紙供給経路と、を備えている。ロール紙ホルダ40は手差しトレイ11に着脱可能に装着され、ロールRが手差し供給経路の上流に設けられた状態となり、ロール紙供給経路が手差し供給経路を利用する構成となる。これにより、手差し供給経路とロール紙供給経路とを備えたインクジェットプリンター1において、装置構成の複雑化と大型化を抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファクシミリやプリンターに代表される記録装置に関し、特に媒体を手差しで供給する手差し供給経路を備えた記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ファクシミリやプリンターに代表される記録装置においては、媒体としての用紙を複数枚セット可能であるとともに、セットされた複数枚の媒体を1枚ずつ給送する給送装置が設けられるが、この給送装置に加えて、或いは給送装置に代えて、手差しによって用紙を給送する為の手差しトレイ(手差し供給経路)が設けられる場合がある。
【0003】
また、記録装置においては単票紙に加えて、所謂ロール紙を利用可能に構成されたものがある。ロール紙を利用可能な記録装置は、例えばロール紙が巻かれて成るロールを保持するロールホルダを備えており、このロールホルダにロールをセットし、ロールからロール紙を繰り出して、下流側の搬送ローラー対に食い付かせ、搬送ローラー対の回転によりロール紙が供給される構成となっている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−157166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、手差し供給経路とロール紙供給経路との双方を備える場合、特許文献1に示される様に双方の供給経路が独立して設けられていたことから、装置構成の複雑化と大型化を招いていた。加えて、ロール紙はカール癖が付いていることから、ロールからロール紙を繰り出して装置内部に供給する際にカール癖が邪魔となり、供給作業が行い難い場合がある。
【0006】
そこで本発明はこの様な状況に鑑みなされたものであり、その目的は、手差し供給経路とロール紙供給経路との双方を備える記録装置において、装置構成の複雑化と大型化を抑制することにあり、また更には、ロール紙を装置内部に供給する際の作業性に配慮された記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する為の、本発明の第1の態様に係る記録装置は、媒体に記録を行う記録手段と、前記記録手段の上流側における媒体の通過経路であり、媒体を手差しで供給する際に媒体が通過する手差し供給経路と、前記記録手段の上流側における媒体の通過経路であり、媒体がロール状に巻かれたロールから繰り出される媒体が通過するロール媒体経路と、を備え、前記ロールが前記手差し供給経路の上流に設けられ、前記ロール媒体経路が前記手差し供給経路を利用する構成であることを特徴とする。
【0008】
本態様によれば、媒体がロール状に巻かれたロールが手差し供給経路の上流に設けられ、ロール媒体経路が手差し供給経路を利用する構成であることから、手差し供給経路とロール媒体経路とを備えた記録装置において装置構成の複雑化と大型化を抑制することができる。
【0009】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記手差し供給経路に差し入れられる媒体を支持する手差しトレイを備え、前記ロールを支持するロールホルダが、前記手差しトレイに対して着脱可能に設けられることを特徴とする。
【0010】
本態様によれば、ロールを支持するロールホルダが、手差し供給経路に差し入れられる媒体を支持する手差しトレイに対して着脱可能に設けられるので、手差し供給経路に対するロールの位置が正確に定まり易く、ロール媒体を適切に手差し供給経路に供給することができる。
【0011】
本発明の第3の態様は、第2の態様において、前記手差しトレイにおいて媒体の厚み方向に隙間を形成するとともに、前記隙間が変化する方向に姿勢変化或いは変位可能に設けられた規制部材と、前記ロールホルダが前記手差しトレイに装着された際に前記隙間が拡がる方向に前記規制部材を姿勢変化させ或いは変位させる隙間調整手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】
本態様によれば、前記手差しトレイにおいて媒体の厚み方向に隙間を形成する規制部材を備えているので、前記手差し供給経路に供給されるべきでない媒体、例えば極端に厚みのある媒体や、複数枚の媒体など、が供給されることを防止することができる。
【0013】
一方、ロールから媒体が繰り出される(巻き解かれる)と、その媒体には巻癖が付いており、従ってその様な巻癖の付いた媒体を上記隙間に通すには作業性が悪い。しかしながら、前記ロールホルダが前記手差しトレイに装着された際に、前記隙間調整手段によって前記隙間が拡がる方向に前記規制部材が姿勢変化或いは変位するので、巻癖の付いた媒体であっても、容易に前記隙間に通すことができる。以上により、ロール媒体経路が手差し供給経路を利用する構成において、手差し供給経路への不適切な媒体の供給防止と、ロールから巻き解かれて巻癖の付いた媒体の容易な供給作業と、のこれら(相反する事項)を両立させることが可能となる。
【0014】
本発明の第4の態様は、第3の態様において、前記隙間調整手段が、前記規制部材に設けられた第1係合部と、前記ロールホルダに設けられた第2係合部と、を備え、前記ロールホルダが前記手差しトレイに装着された際に前記第2係合部が前記第1係合部と係合することにより、前記規制部材が姿勢変化し或いは変位する構成であることを特徴とする。
【0015】
本態様によれば、前記隙間調整手段が、前記規制部材に設けられた第1係合部と、前記ロールホルダに設けられた第2係合部と、のこれらの係合により前記規制部材を姿勢変化させ或いは変位させる構成であるので、前記隙間調整手段を、構造簡単にして低コストに構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係るインクジェットプリンターの用紙搬送経路を示す側断面概略図。
【図2】手差しトレイ取付部位の斜視図(手差しトレイオープン)。
【図3】手差しトレイ取付部位の斜視図(手差しトレイクローズ)。
【図4】手差しトレイの斜視図。
【図5】規制部材の斜視図。
【図6】規制部材の斜視図。
【図7】(A)、(B)は規制部材の断面図であり、(A)は図5のA−A断面相当図、(B)は図5のB−B断面相当図。
【図8】(A)、(B)は規制部材の断面図であり、(A)は図5のA−A断面相当図、(B)は図5のB−B断面相当図。
【図9】(A)、(B)は規制部材の断面図であり、(A)は図5のA−A断面相当図、(B)は図5のB−B断面相当図。
【図10】(A)、(B)は規制部材の断面図であり、(A)は図5のA−A断面相当図、(B)は図5のB−B断面相当図。
【図11】手差しトレイ取付部位の斜視図(ロール紙ホルダ装着途中状態)。
【図12】手差しトレイ取付部位の斜視図(ロール紙ホルダ装着状態)。
【図13】手差し供給経路の側断面概略図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明するが、本発明は、以下説明する実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることを前提として、以下本発明の一実施形態を説明するものとする。
【0018】
図1は、本発明に係る記録装置の一例としてのインクジェットプリンター1の用紙搬送経路を示す側断面概略図、図2は手差しトレイ11取付部位の斜視図(手差しトレイ11オープン状態)、図3は手差しトレイ11取付部位の斜視図(手差しトレイ11クローズ状態)、図4は手差しトレイ11の斜視図、図5及び図6は規制部材15の斜視図、図7〜図10において(A)は規制部材15の断面図であり図5のA−A断面相当図、図7〜図10において(B)は規制部材15の断面図であり図5のB−B断面相当図である。
【0019】
また、図11は手差しトレイ11取付部位の斜視図(ロール紙ホルダ40の装着途中状態)、図12は手差しトレイ11取付部位の斜視図(ロール紙ホルダ40の装着状態)、図13は手差し供給経路の側断面概略図である。
【0020】
図1において、インクジェットプリンター1は、媒体の一例としての記録用紙にインクジェット記録を行う記録部が構成された装置本体2の上部にスキャナ部4を備えており、即ちインクジェット記録機能に加えてスキャナ機能を備える複合機として構成されている。尚、スキャナ部4の上部にはスキャナ部4に原稿を自動搬送する自動搬送装置が設けられているが、図1ではこの図示は省略している。
【0021】
符号7は記録用紙を収容する、着脱可能な用紙カセットであり、符号9は記録が行われて排出された用紙を受ける排紙受けトレイである。そして装置後部(図1において右側)の天面には、用紙を手差しで供給する際に用紙を支持する手差しトレイ11が設けられている。この手差しトレイ11は開閉(回動)可能に設けられており、閉じることで図3に示す様に用紙を差し入れる手差し口10が閉じられ、塵埃等が装置内部に侵入しない様になっている。そして手差しトレイ11を開くことで、図2に示す様に記録用紙を差し入れる手差し口10が開放され(形成され)、また用紙支持面11aによって用紙を支持できる様になっている。
【0022】
以下、更に用紙搬送経路について説明する。尚、図1は用紙搬送経路の構成を示しているが、全ての構成を示すものではなく、説明に不要な構成要素は適宜図示を省略している。インクジェットプリンター1は、3つの用紙供給手段(用紙供給経路)を備えており、1つは装置下部に設けられた用紙カセット7からの用紙供給経路であり、もう1つは、上述した手差しトレイ11からの用紙供給経路であり、残る一つが後述するロール紙ホルダ40からの用紙(ロール紙)供給経路である。図1において符号S1は、手差し供給経路を示しており、図13において符号S2は、「ロール媒体経路」としてのロール紙供給経路を示している。
【0023】
用紙カセット7からの用紙給送経路において、用紙カセット7と対向する位置に設けられた符号21で示すローラーは図示しないモーターにより回転駆動される給送ローラーであり、この給送ローラー21は揺動軸22aを中心に揺動可能な揺動部材22に設けられ、揺動部材22の揺動を介して用紙カセット7に対し進退可能となっている。そして給送ローラー21が用紙カセット7に収容された用紙の最上位のものと接して回転することで、当該最上位の用紙を下流側に送り出す。
【0024】
用紙カセット7において給送側に位置する内壁は分離斜面23となっており、送り出される用紙先端が分離斜面23に摺接しながら下流側に進むことで、当該送り出される用紙と、これに連れられて重送されようとする次位以降の用紙との分離が行われる。
【0025】
用紙カセット7から送り出された用紙は、図示しないモーターにより回転駆動される大径の反転ローラー25によって湾曲反転させられた後、図示しないモーターにより回転駆動される駆動ローラー29と、従動回転する従動ローラー30と、のこれらローラーで構成される搬送ローラー対28に到達する。尚、符号26、27は反転ローラー25による用紙搬送を補助する、従動回転可能な補助ローラーである。
【0026】
搬送ローラー対28を構成する駆動ローラー29及び従動ローラー30は、下流側へと用紙を精密送りするローラー対であり、このローラー対の下流側にはインクジェット式の記録ヘッド35と、用紙を支持する支持部材32とが対向配置されている。
【0027】
記録ヘッド35は、主走査方向(図3の紙面表裏方向)に往復動可能なキャリッジ34の底部に設けられ、キャリッジ34が主走査方向に移動する過程において記録ヘッド35からインクが吐出されることにより、記録用紙への記録が行われる。
【0028】
次に、記録ヘッド35の下流側において、符号37は図示しないモーターにより回転駆動され、回転することにより用紙を排出する排出駆動ローラーであり、符号38は排出駆動ローラー37との間で用紙をニップする、従動回転可能な排出従動ローラーである。これらローラー対により、記録の行われた用紙は、排紙受けトレイ9に向けて排出される。
【0029】
続いて、手差しトレイ11からの用紙供給経路について説明する。手差しトレイ11が開いた状態において、手差し口10は、装置の筐体を構成するハウジング3の上部開口縁部3aと手差しトレイ11(用紙支持面11a)との間で形成され、即ち装置上部において上方に開口する様に形成されている。尚、本実施形態ではこの様に手差し口10はハウジング3の開口縁部3bと手差しトレイ11(用紙支持面11a)との間で形成されているが、例えばハウジング3の上面に単純な開口形状を形成し、これを手差し口としても良い。この場合、手差しトレイ11は設けなくても良いし、手差しトレイ11を設ける場合には手差し口10の外側に設けても良い。
【0030】
続いて、手差しトレイ11について更に詳説する。手差しトレイ11は、図2、図4に示す様に用紙幅方向に長い形状を成しており、インクジェットプリンター1の基体を構成するフレーム5に回動可能に支持されている。尚、図5において符号11bは、手差しトレイ11の長手方向一方側に設けられた回動軸を示しており、手差しトレイ11はこの回動軸11bを中心に回動する。
【0031】
手差しトレイ11には、長手方向(用紙幅方向)に変位可能なエッジガイド12、13が設けられている。エッジガイド12、13は手差し供給される用紙の両側端をガイドし、用紙の用紙幅方向位置を規制する。本実施形態では、用紙はセンター基準で供給される構成であり、従ってエッジガイド12、13は、手差しトレイ11の長手方向中心位置を対称にして左右に変位する。
【0032】
以降、エッジガイド12、13の双方の形状や、その周囲の構成部材は、左右対称であることを除いて同じであることから、一方側のエッジガイドであるエッジガイド13、及びその周囲の構成部材について説明することとする。
【0033】
エッジガイド13は、図6に示す様にエッジガイド面13bと案内斜面13aとを有している(図4において符号12a、12bは、それぞれエッジガイド12の案内斜面、エッジガイド面を示す)。エッジガイド面13bは、手差しトレイ11の用紙支持面11aに対してほぼ垂直(90°)を成す面であり、案内斜面13aは、エッジガイド面13bよりも更に大きい開き角を成している(用紙支持面11aに対し90°より大きい開き角)。これにより、用紙エッジが案内斜面13aからエッジガイド面13bへと案内される。
【0034】
エッジガイド13には、規制部材15が、用紙供給経路を側視して揺動可能となる様に設けられている。尚、規制部材15と同様な規制部材14が、エッジガイド12の側にも設けられている。
【0035】
規制部材15は、図5に示す様に揺動軸15aを有しており、この揺動軸15aが、エッジガイド13の軸受部13eに軸支されている。規制部材15は、ガイド部15bを有しており、このガイド部15bが、エッジガイド13のベース面13dとの間で用紙厚み方向に隙間(図7(B)において符号dで示す)を形成する。従ってガイド部15bは、エッジガイド面13bよりも手差しトレイ11の中央寄りに迫り出ており、換言すれば庇状を成す様に形成されている。
【0036】
手差し供給される用紙の両側端は、ガイド部15bとエッジガイド13のベース面13dとの間の隙間dを通り、下流側へ供給されるので、これにより手差し供給に不適切な用紙、例えば極端に厚みのある用紙や、複数枚からなる用紙(用紙束)が、手差し供給されることが防止される。
【0037】
この規制部材15は、揺動軸15aに設けられたコイルばね18によって、上記隙間dが狭まる方向に付勢された状態に設けられている。従って、何らの外力が作用しない状態では、上記隙間dは図7(B)のd1に維持される。尚、図5において符号13cはエッジガイド13に設けられた突起であり、符号15cは規制部材15に設けられた突起であって、それぞれコイルばね18による付勢力を受ける部分である。また、コイルばね18の装着部位はカバー17(図4)によって覆われている(図5、図6ではカバー17の図示は省略している)。エッジガイド12の側においても同様に、符号16は規制部材14を付勢するコイルばね(不図示)を覆うカバーである。
【0038】
そして規制部材15は、ロール紙ホルダ40が装着されると、当該ロール紙ホルダ40から外力を受け、これにより上記隙間dが拡がり、隙間d=d2(d1<d2)になる様に構成されている(図10(B))。以下、この構成について更に詳述する。
【0039】
手差しトレイ11の後方には、両端部近傍に取付穴11cが形成されている(図2、図3)。この取付穴11cに、ロール紙ホルダ40に形成された「第2係合部」としてのロッド状の取付部40aが差し込まれることで、ロール紙ホルダ40が手差しトレイ11に装着される。
【0040】
ロール紙ホルダ40は用紙(ロール紙)がロール状に巻かれたロールRを回転可能に支持するホルダであり、上記の様にロール紙ホルダ40が手差しトレイ11に対して着脱可能に設けられることで、手差し供給経路に対するロールRの位置が正確に定まり易く、ロール紙を適切に手差し供給経路に供給することが可能となっている。
【0041】
ここで、取付穴11cの内部には、図7(A)に示す様に規制部材15に形成された、「第1係合部」としての突起15dが位置している。そしてロール紙ホルダ40の装着に伴い取付部40aが図8(A)、(B)に示す様に取付穴11cに挿入されると、図9(A)、(B)に示す様に取付部40aの先端が突起15dを押し、規制部材15を揺動させる。
【0042】
そして、取付部40aの下側には凹部40dが形成されており、取付穴11cの下側縁部を形成する凸部11dが入り込める様になっているので、取付部40aをやや下側に移動させることで、凸部11dが凹部40dに入り込み、ロール紙ホルダ40が完全装着状態となる。このとき、規制部材15に形成された突起15dは、取付部40aの先端下側を構成する斜面40bから垂直面40cとの係合状態に移り、その状態の姿勢で保持される。
【0043】
この状態では、規制部材15が揺動したことにより、規制部材15におけるガイド部15bと、エッジガイド13のベース面13dとの間の隙間dが拡がり、隙間d=d2(d1<d2)になる。尚、図11はロール紙ホルダ40の装着途中状態を示し、図12、図13はロール紙ホルダ40の完全装着状態を示している。また図12において符号Prは、ロールRから繰り出された(巻き解かれた)ロール紙を示している。
【0044】
以上の構成により、以下の様な作用効果が得られる。即ち、ロールRからロール紙が繰り出される(巻き解かれる)と、そのロール紙には巻癖が付いており、従ってその様な巻癖の付いたロール紙を上記隙間dに通すには作業性が悪い。しかしながら、ロール紙ホルダ40が手差しトレイ11に装着された際に、上記隙間dが拡がる方向に規制部材15が姿勢変化するので、巻癖の付いたロール紙であっても、容易に上記隙間dに通すことができる。
【0045】
つまり、ロール紙供給経路が手差し供給経路を利用する構成において、手差し供給経路への不適切な用紙の供給防止と、ロールRから巻き解かれて巻癖の付いたロール紙の容易な供給作業と、のこれら(相反する事項)を両立させることが可能となる。
【0046】
尚、「第1係合部」としての突起15dと、「第2係合部」としての取付部40aは、ロール紙ホルダ40が手差しトレイ11に装着された際に上記隙間dが拡がる方向に規制部材15を姿勢変化させる隙間調整手段を構成する。
【0047】
そして、以上説明した様に、ロール紙がロール状に巻かれたロールR(ロール紙ホルダ40)が手差し供給経路の上流に設けられ、ロール紙供給経路が手差し供給経路を利用する構成であることから、手差し供給経路とロール紙供給経路とを備えたインクジェットプリンター1において、装置構成の複雑化と大型化を抑制することができる。
【0048】
以上説明した実施形態は一例であり、本発明が上記実施形態に限られないことは言うまでもない。例えば、規制部材15は揺動することにより上記隙間dを変化させるが、上記隙間dの変化方向に変位可能に設けられていても良い。また、ロール紙ホルダ40は手差しトレイ11に設けられているが、これに限らず、装置本体を構成する筐体などに設けられていても良い。また、規制部材15を揺動させる手段として、モーターなどの動力源を用いても良い。例えば、ロール紙ホルダ40が装着されたことを検出する検出手段(センサー)を設け、その検出結果に基づき、規制部材15を揺動させる構成である。
【0049】
また本実施形態では本発明を記録装置の一例としてのインクジェットプリンターに適用したが、その他液体噴射装置一般に適用することも可能である。
ここで、液体噴射装置とは、インクジェット式記録ヘッドが用いられ、該記録ヘッドからインクを吐出して被記録媒体に記録を行うプリンター、複写機およびファクシミリ等の記録装置に限らず、インクに代えてその用途に対応する液体を前記インクジェット式記録ヘッドに相当する液体噴射ヘッドから被記録媒体に相当する被噴射媒体に噴射して、前記液体を前記被噴射媒体に付着させる装置を含むものである。
【0050】
液体噴射ヘッドとして、前記記録ヘッドの他に、液晶ディスプレー等のカラーフィルター製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレーや面発光ディスプレー(FED)等の電極形成に用いられる電極材(導電ペースト)噴射ヘッド、バイオチップ製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド、精密ピペットとしての試料噴射ヘッド等が挙げられる。
【符号の説明】
【0051】
1 インクジェットプリンター、2 装置本体、3 ハウジング、4 スキャナ部、5 フレーム部材、7 用紙カセット、9 排紙受けトレイ、10 手差し口、11 手差しトレイ、11a 支持面、11b 回動軸、11c 取付穴、11d 凸部、12 エッジガイド、13 エッジガイド、13a 案内斜面、13b エッジガイド面、13c 突起、13d ベース面、14 規制部材、15 規制部材、15a 揺動軸、15b ガイド部、15c 突起、15d 突起(第1係合部)、16 カバー、17 カバー、18 コイルばね、20 ガイド部材、21 給送ローラー、22 揺動部材、23 分離斜面、25 中間ローラー、26 補助ローラー、27 補助ローラー、28 搬送ローラー対、29 駆動ローラー、30 従動ローラー、31 ローラー支持部材、32 案内部材、34 キャリッジ、35 インクジェット記録ヘッド、37 排出駆動ローラー、38 排出従動ローラー、40 ロール紙ホルダ、40a 取付部(第2係合部)、40b 斜面、
40c 垂直面、40d 凹部、P 用紙、R ロール紙ロール、S1 手差し供給経路、
S2 ロール紙供給経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体に記録を行う記録手段と、
前記記録手段の上流側における媒体の通過経路であり、媒体を手差しで供給する際に媒体が通過する手差し供給経路と、
前記記録手段の上流側における媒体の通過経路であり、媒体がロール状に巻かれたロールから繰り出される媒体が通過するロール媒体経路と、を備え、
前記ロールが前記手差し供給経路の上流に設けられ、前記ロール媒体経路が前記手差し供給経路を利用する構成である、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項2】
請求項1に記載の記録装置において、前記手差し供給経路に差し入れられる媒体を支持する手差しトレイを備え、
前記ロールを支持するロールホルダが、前記手差しトレイに対して着脱可能に設けられる、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項3】
請求項2に記載の記録装置において、前記手差しトレイにおいて媒体の厚み方向に隙間を形成するとともに、前記隙間が変化する方向に姿勢変化或いは変位可能に設けられた規制部材と、
前記ロールホルダが前記手差しトレイに装着された際に前記隙間が拡がる方向に前記規制部材を姿勢変化させ或いは変位させる隙間調整手段と、
を備えた記録装置。
【請求項4】
請求項3に記載の記録装置において、前記隙間調整手段が、前記規制部材に設けられた第1係合部と、
前記ロールホルダに設けられた第2係合部と、を備え、
前記ロールホルダが前記手差しトレイに装着された際に前記第2係合部が前記第1係合部と係合することにより、前記規制部材が姿勢変化し或いは変位する構成である、
ことを特徴とする記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−112473(P2013−112473A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259915(P2011−259915)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】