記録装置
【課題】記録媒体の搬送精度を良好に維持することにより記録品質の低下を抑制することができる記録装置を提供する。
【解決手段】モーターフレーム25の支持面25Aに対してテンションホルダー26の被支持面26Aを対向させた状態で、支持面25Aに向けてテンションホルダー26を押圧する方向への螺入動作を伴って回転することにより、テンションホルダー26を支持面25Aに対して締め付け固定する固定ねじ27を備え、モーターフレーム25の支持面25Aとテンションホルダー26の被支持面26Aとの間には、固定ねじ27の螺入動作に伴いテンションホルダー26に対して支持面25Aに沿う方向への変位を規制するように係止可能な凸条34及び環状突起部44を介在させた。
【解決手段】モーターフレーム25の支持面25Aに対してテンションホルダー26の被支持面26Aを対向させた状態で、支持面25Aに向けてテンションホルダー26を押圧する方向への螺入動作を伴って回転することにより、テンションホルダー26を支持面25Aに対して締め付け固定する固定ねじ27を備え、モーターフレーム25の支持面25Aとテンションホルダー26の被支持面26Aとの間には、固定ねじ27の螺入動作に伴いテンションホルダー26に対して支持面25Aに沿う方向への変位を規制するように係止可能な凸条34及び環状突起部44を介在させた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無端状のベルトが張力を付与された状態で掛装された複数の回転体の回転に伴い搬送される記録媒体に記録を施す記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、記録装置の一種として、用紙等の記録媒体に対して液体噴射ヘッドから噴射されたインク(液体)を付着させることにより記録を施すインクジェット式のプリンターが知られている。こうしたプリンターには、通常、用紙を搬送経路に沿って搬送する際に回転する複数の回転体が設けられている。例えば、特許文献1に記載のプリンターには、そのような回転体として、駆動モーターの出力軸に取り付けられた駆動プーリーと、駆動プーリーから離れて配置された搬送ローラーの回転軸の端部に一体回転可能に設けられた従動プーリーと、両プーリーの間に掛装された無端状のベルトに対して張力を付与するテンションプーリーが設けられている。そして、駆動モーターの駆動に伴う駆動プーリーの回転駆動力がベルトを通じて従動プーリーに伝達され、従動プーリーの回転に伴って搬送ローラーが回転することにより、液体噴射ヘッドからのインク噴射に基づき記録を施される用紙が搬送経路に沿って搬送されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−23948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のプリンターでは、テンションプーリーを回動自在に保持するテンションホルダーが固定配置のモーターブラケットに対して互いの対向する平面部位同士を重ね合わせつつ位置調整された状態で固定ねじによって圧接するように締め付け固定される。そのため、テンションホルダーをモーターブラケットに対して固定ねじによって締め付け固定する際には、テンションホルダーが固定ねじに連れまわるように回動することがあり、テンションホルダーに保持されたテンションプーリーが変位することにより、テンションプーリーがベルトに付与する張力が変化してしまう虞があった。その結果、搬送ローラーの回転にも変化が生じ、用紙の搬送精度に影響が及んで記録品質の低下を招く虞があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、記録媒体の搬送精度を良好に維持することにより記録品質の低下を抑制することができる記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の記録装置は、記録媒体に対して記録を施す記録手段と、前記記録媒体が搬送される際にそれぞれ回転する複数の回転体と、前記複数の回転体間に掛け渡される無端状のベルトと、前記ベルトに対して張力を付与するように当接可能な張力付与部材を保持するホルダー部材と、前記ホルダー部材を支持可能な支持面が前記張力付与部材による前記ベルトに対する張力付与方向に沿った平面状をなすように形成された固定配置のフレーム部材と、前記フレーム部材の前記支持面に対して前記ホルダー部材における平面状をなすように形成された被支持面を対向させた状態で、前記支持面に向けて前記ホルダー部材を押圧する方向への螺入動作を伴って回転することにより、前記ホルダー部材を前記支持面に対して締め付け固定するねじ部材とを備え、前記フレーム部材の前記支持面と前記ホルダー部材の前記被支持面との間には、前記ねじ部材の前記螺入動作に伴い前記ホルダー部材に対して前記支持面に沿う方向への変位を規制するように係止可能な係止手段を介在させた。
【0007】
上記構成によれば、張力付与部材がベルトに張力を付与して当接する位置状態とされたホルダー部材の被支持面をフレーム部材の支持面に対向させた状態において、その支持面に対してホルダー部材を締め付け固定するために、ねじ部材を螺入動作するように回転させると、ホルダー部材に対して係止手段が係止する。そのため、ねじ部材の螺入動作に伴う回転によって、ホルダー部材が連れ回るように支持面に沿う方向へ変位することが規制される。その結果、ホルダー部材に保持された張力付与部材がベルトに付与する張力も変化しないので、記録媒体の搬送精度に影響を与える複数の回転体の回転精度を良好に維持することができる。したがって、記録媒体の搬送精度を良好に維持することにより記録品質の低下を抑制することができる。
【0008】
また、本発明の記録装置において、前記係止手段は、前記フレーム部材の前記支持面及び前記ホルダー部材の前記被支持面の一方に設けられた係止部と他方に設けられた被係止部とを含んで構成され、
前記係止部は、前記ねじ部材の前記螺入動作に伴い前記支持面と前記被支持面とが接近する方向に相対移動した場合に前記被係止部に対して係止する。
【0009】
上記構成によれば、フレーム部材及びホルダー部材とは別に係止機能を有する例えば粗面構成のリング板状部材などの新たな部材を追加する必要がない。したがって、部品点数の増加を抑制しつつ、ホルダー部材をフレーム部材に対してねじ部材の螺入動作によって変位させることなく締め付け固定することができる。
【0010】
また、本発明の記録装置において、前記係止部及び前記被係止部は、剛性が互いに異なるように構成されている。
上記構成によれば、係止部及び被係止部のうち、剛性が相対的に大きい側は、剛性が相対的に小さい側に対して食い込むように係止する。そのため、ホルダー部材をフレーム部材に対してねじ部材の螺入動作によって支持面に沿う方向への変位を強固に規制しつつ締め付け固定することができる。
【0011】
また、本発明の記録装置において、前記係止部及び前記被係止部のうち剛性が相対的に小さい側の弱剛性部は、それが設けられた面から隆起するように突出形成されている。
上記構成によれば、係止部及び被係止部のうち剛性が相対的に大きい側の強剛性部は、剛性が相対的に小さい側の弱剛性部に対して食い込むように係止するものの、その弱剛性部が隆起形成された面自体に対してまでは食い込むことはない。そのため、ホルダー部材及びフレーム部材については、係止部及び被係止部のうち剛性が相対的に小さい側の弱剛性部が突出形成された本体部分の剛性を低下させることなく、ホルダー部材をフレーム部材に対して締め付け固定することができる。
【0012】
また、本発明の記録装置において、前記係止部及び前記被係止部のうち剛性が相対的に大きい側の強剛性部は、それが設けられた面から突出するように形成されると共に、その突出量は前記弱剛性部が前記面から隆起する方向に向けて突出する突出量よりも小さい。
【0013】
上記構成によれば、強剛性部が弱剛性部の設けられた面自体にまでくい込むことを確実に回避でき、弱剛性部が設けられた本体部分の剛性を低下させることなく、ホルダー部材をフレーム部材に対して締め付け固定することができる。
【0014】
また、本発明の記録装置において、前記係止手段は、前記ホルダー部材に対して前記支持面に沿う方向における複数の位置で係止可能である。
上記構成によれば、係止手段は、張力付与部材によるベルトに対する張力付与方向でもある支持面に沿う方向の複数の位置において、ホルダー部材に係止可能であるため、ホルダー部材がフレーム部材の支持面に対して相対変位することをより確実に規制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係るプリンターの斜視図。
【図2】駆動力伝達機構の側面図。
【図3】モーターフレームの斜視図。
【図4】モーターフレームの正面図。
【図5】図4の5−5線矢視断面図。
【図6】テンションホルダーの斜視図。
【図7】テンションホルダーの背面図。
【図8】図7の8−8線矢視断面図。
【図9】テンションホルダーをモーターフレームに対して取り付けた状態を示す側面図。
【図10】図9に示す状態からテンションスプリングを取り付けた状態を示す側面図。
【図11】テンションホルダーの環状突起部とモーターフレームの凸条とが当接している状態を示す断面図。
【図12】図10に示す状態から固定ねじを螺合させた状態を示す側面図。
【図13】テンションホルダーの環状突起部にモーターフレームの凸条が食い込んでいる状態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を記録装置の一種であるインクジェット式のプリンターに具体化した一実施形態を図1〜図13に従って説明する。
図1に示すように、プリンター10の本体背面部には、記録媒体の一種である用紙Pを斜状に載置するための給紙トレイ11が設けられている。そして、給紙トレイ11に載置された用紙Pは、用紙Pの幅方向Aに沿って延びる搬送ローラー12によって用紙Pの幅方向Aと直交する搬送方向Bに搬送される。また、用紙Pの搬送経路上には、用紙Pの幅方向Aに往復移動するキャリッジ13が設けられると共に、キャリッジ13の下面には液体噴射ヘッド14が固定されている。そして、キャリッジ13が往復移動する際に、液体噴射ヘッド14から用紙Pに対してインク(液体)が噴射されて付着することにより、用紙Pに対して記録が施される。この点で、液体噴射ヘッド14は、用紙Pにインクを付着させて記録を施す記録手段として機能する。
【0017】
次に、搬送ローラー12に対して駆動力を伝達するための駆動力伝達機構20の構成について説明する。
図2に示すように、駆動力伝達機構20は、外周面に歯部が形成された駆動プーリー(回転体)22と、駆動プーリー22よりも大径の同じく外周面に歯部が形成された従動プーリー(回転体)23と、両プーリー22,23間に掛け渡される無端状の内周面に歯部が形成されたベルト24を備えている。駆動プーリー22は、搬送ローラー12から用紙Pの搬送方向Bへ離れた位置に固定配置された駆動モーター(図示略)の回転軸21の端部に対して一体回転可能に取り付けられている。一方、従動プーリー23は、搬送ローラー12の回転軸12aの端部に対して一体回転可能に取り付けられている。そして、ベルト24の内周面の歯部が両プーリー22,23の外周面の歯部に対して噛み合うことにより、両プーリー22,23がベルト24を介して動力伝達可能に連結されている。
【0018】
また、駆動力伝達機構20は、駆動モーターが取り付けられる板状のモーターフレーム(フレーム部材)25と、そのモーターフレーム25における駆動モーターの回転軸21と直交する垂直平面の支持面25Aに対して固定されるテンションホルダー(ホルダー部材)26を備えている。テンションホルダー26は、その外面の一部をモーターフレーム25の支持面25Aに対向させた状態で、その支持面25Aに向けてテンションホルダー26を押圧する方向への螺入動作を伴って回転する固定ねじ(ねじ部材)27によって固定されている。
【0019】
また、図2に示すように、テンションホルダー26をモーターフレーム25に固定する際に斜面状となるようにテンションホルダー26に形成された板状部40(図6参照)と、その際に板状部40と対向するようにモーターフレーム25の上部に曲げ形成された斜状の係止片部28との間には、テンションスプリング29が介設されている。また、テンションホルダー26の板状部40には、テンションスプリング29から作用する付勢力の作用方向の前側に一対の軸受け部31aが設けられており、この軸受け部31aにはベルト24に対して張力を付与するように当接するテンションプーリー(張力付与部材)31が回動自在に保持されている。すなわち、テンションプーリー31は、一端を係止片部28に係止させると共に他端を板状部40に係止させた蓄圧状態にあるテンションスプリング29からテンションホルダー26に作用する付勢力に従って、駆動プーリー22と従動プーリー23との間に掛装されたベルト24が張った状態となるように、ベルト24の内側に向かう方向にベルト24を付勢している。
【0020】
次に、モーターフレーム25の構成について詳細に説明する。
図3及び図4に示すように、モーターフレーム25は、金属製板材から構成されており、プリンター10内のブラケット(図示略)に固定された底壁部25aの一側縁からは上記の支持面25Aを一面側とする側壁部25bが鉛直上方に向けて立設されている。側壁部25bの略中央部には、駆動モーターの回転軸21を挿通させるための円形状の貫通孔32が形成されると共に、その貫通孔32の斜め上方(図4では左斜め上方)となる位置には上記の係止片部28が側壁部25bから支持面25A側へ垂直に曲げ形成されている。
【0021】
また、図4及び図5に示すように、モーターフレーム25の側壁部25bにおける貫通孔32の左斜め上方であって係止片部28の左斜め下方となる位置には、固定ねじ27が螺合される円形状のねじ孔33が形成されている。また、モーターフレーム25の側壁部25bにおいて係止片部28が曲げ形成された側の面である支持面25Aにおけるねじ孔33の周囲には、断面略三角形状をなす複数(本実施形態では10列)の凸条34が互いに斜め方向へ延びるように形成されている。これらの凸条34は、係止片部28においてテンションスプリング29を係止する斜面状の係止面に沿って延びるように形成されている。すなわち、これらの凸条34は、テンションスプリング29によるテンションホルダー26の付勢方向(換言すると、張力付与部材としてのテンションプーリー31がベルト24に対して付与する張力付与方向)と直交する方向に延びるように形成されている。
【0022】
また、モーターフレーム25の側壁部25bにおける貫通孔32とねじ孔33との間には、側面視略L字状をなす屈曲片部35が形成されている。この屈曲片部35は、モーターフレーム25の側壁部25bから支持面25A側へ垂直に切り起こされることにより形成されており、その先端側が直角に屈曲している。
【0023】
次に、テンションホルダー26の構成について詳細に説明する。なお、以下の説明においては、図2に示すように、テンションスプリング29によるテンションホルダー26の付勢方向をY軸方向とすると共に、モーターフレーム25に対する固定ねじ27の螺入方向をZ軸方向とし、Y軸方向及びZ軸方向の双方と直交する方向をX軸方向とする。
【0024】
図6に示すように、テンションホルダー26は、金属製板材からなるモーターフレーム25よりも剛性の低い樹脂材料によって構成されており、テンションホルダー26における+Y方向側の端部に位置する上記の板状部40には、平板状をなす一対の軸受け部31aがZ軸方向に間隔を隔てて設けられている。これら一対の軸受け部31aの先端面には凹溝41がそれぞれ形成されている。そして、これらの凹溝41の内側には、テンションプーリー31の回動軸が回動自在に保持されている(図2参照)。また、テンションホルダー26には、板状部40において軸受け部31aが設けられた面の反対側の面にY軸方向と直交する断面形状が略T字状をなす嵌合凸部42が突出形成されている。そして、この嵌合凸部42に対してテンションスプリング29の端部が嵌合される。
【0025】
また、テンションホルダー26には、Y軸方向において軸受け部31aとは反対側の部分に、Z軸方向に貫通する長孔43が形成されている。この長孔43は、X軸方向を短手方向とすると共にY軸方向を長手方向とする略楕円形状をなしており、固定ねじ27を挿通可能な大きさとなっている。そして、モーターフレーム25のねじ孔33とテンションホルダー26の長孔43とが位置合わせされた状態で、テンションホルダー26側から挿入された固定ねじ27がテンションホルダー26の長孔43を挿通してモーターフレーム25のねじ孔33に対して螺入動作することにより、テンションホルダー26がモーターフレーム25に対して締め付け固定されるようになっている。
【0026】
なお、図7及び図8に示すように、テンションホルダー26には、固定ねじ27による締め付け固定の際にモーターフレーム25の側壁部25bの支持面25Aに対向する外面となる+Z方向側の平面状をなす被支持面26Aに、長孔43の孔縁に沿う略楕円環状をなすと共に断面形状が略三角形状をなす環状突起部44が隆起するように突出形成されている。そして、長孔43の孔縁からの環状突起部44の隆起方向の突出量は、モーターフレーム25の側壁部25bの支持面25Aからの凸条34の突出量よりも大きく設定されている。
【0027】
また、テンションホルダー26におけるX軸方向の略中央位置であって且つY軸方向において板状部40よりも長孔43側となる位置には凹部45が形成されると共に、この凹部45の底面46には平面視略L字状をなす挿通孔47が貫通形成されている。この挿通孔47は、モーターフレーム25のねじ孔33とテンションホルダー26の長孔43とを位置合わせした場合に、テンションホルダー26においてモーターフレーム25の屈曲片部35に対応する位置に屈曲片部35の幅寸法よりも幅広となるように形成されている。
【0028】
次に、上記のように構成されたプリンター10の作用について、特に、テンションホルダー26をモーターフレーム25に対して固定ねじ27によって締め付け固定する際の作用に着目して以下説明する。
【0029】
さて、図9に示すように、テンションホルダー26をモーターフレーム25に対して組み付ける際には、まず、テンションホルダー26の凹部45の底面46に形成された挿通孔47に対してモーターフレーム25の屈曲片部35を挿通させる。そして、直角に屈曲した屈曲片部35の先端をテンションホルダー26の凹部45の底面46に対して掛け止めさせる。この場合、モーターフレーム25の屈曲片部35は、テンションホルダー26の凹部45内において挿通孔47の幅寸法と対応した距離分だけY軸方向に相対変位することが許容されている。すなわち、テンションホルダー26は、モーターフレーム25に対してY軸方向への若干の相対変位が許容されている。そのため、テンションホルダー26は、ベルト24からテンションプーリー31に対して作用する反力に基づいて、ベルト24から遠ざかるように+Y方向に変位する。そして、モーターフレーム25の屈曲片部35は、テンションホルダー26における凹部45の内側面(挿通孔47の孔縁)に対して当接する。
【0030】
続いて、図10に示すように、テンションホルダー26の板状部40に設けられた嵌合凸部42とモーターフレーム25の係止片部28との間にテンションスプリング29を挟み込む。すると、テンションホルダー26には、ベルト24からテンションプーリー31に作用する反力に抗するように、テンションスプリング29からの付勢力が作用する。そして、テンションホルダー26は、ベルト24から作用する反力とテンションスプリング29から作用する付勢力とが均衡する位置まで、図9に示す位置から−Y方向に変位する。
【0031】
この場合、図11に示すように、モーターフレーム25に形成された凸条34の先端とテンションホルダー26に形成された環状突起部44の先端とは、モーターフレーム25の支持面25Aとテンションホルダー26の被支持面26Aとの間に隙間を形成させた状態で当接している。すなわち、剛性を対比した場合に、剛性が相対的に大きい側で強剛性部となる凸条34が、剛性が相対的に小さい側で弱剛性部となる環状突起部44に対して、Z軸方向において食い込むことはなく、環状突起部44と凸条34とがZ軸方向と交差する方向(換言すると、張力付与方向でもある支持面25Aに沿う方向)へのテンションホルダー26の変位を規制するように係止することはない。
【0032】
そして次に、図12に示すように、モーターフレーム25のねじ孔33とテンションホルダー26の長孔43とを位置合わせした状態で、固定ねじ27がテンションホルダー26側から長孔43を通じてモーターフレーム25のねじ孔33に対して螺入される。
【0033】
この場合、図13に示すように、固定ねじ27は、テンションホルダー26をモーターフレーム25に対して、テンションホルダー26の被支持面26Aがモーターフレーム25の支持面25Aに接近するように、螺入動作を伴って回転することにより締め付け固定する。すると、テンションホルダー26の被支持面26Aに形成された環状突起部44に対してモーターフレーム25の支持面25Aに形成された凸条34が食い込むようになる。その結果、凸条34及び環状突起部44が固定ねじ27の螺入方向であるZ軸方向において食い込んだ状態となり、環状突起部44と凸条34とがZ軸方向と交差する方向へのテンションホルダー26の変位を規制するように係止する。
【0034】
上記実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)テンションスプリング29がベルト24に張力を付与して当接する位置状態とされたテンションホルダー26の被支持面26Aをモーターフレーム25の支持面25Aに対向させた状態において、その支持面25Aに対してテンションホルダー26を締め付け固定するために、固定ねじ27を螺入動作するように回転させると、テンションホルダー26の環状突起部44に対してモーターフレーム25の凸条34が係止する。そのため、固定ねじ27の螺入動作に伴う回転によって、テンションホルダー26が連れ回るように支持面25Aに沿う方向へ変位することが規制される。また、固定ねじ27の螺合状態が経年劣化や外力による振動などで緩んだ場合でも、テンションホルダー26とモーターフレーム25との位置関係がずれることはない。その結果、テンションホルダー26に保持されたテンションスプリング29がベルト24に付与する張力も変化しないので、用紙Pの搬送精度に影響を与える複数のプーリー22,23の回転精度を良好に維持することができる。したがって、用紙Pの搬送精度を良好に維持することにより記録品質の低下を抑制することができる。
【0035】
(2)モーターフレーム25及びテンションホルダー26とは別に係止機能を有する例えば粗面構成のリング板状部材などの新たな部材を追加する必要がない。したがって、部品点数の増加を抑制しつつ、テンションホルダー26をモーターフレーム25に対して固定ねじ27の螺入動作によって変位させることなく締め付け固定することができる。
【0036】
(3)凸条34及び環状突起部44のうち、剛性が相対的に大きい側は、剛性が相対的に小さい側に対して食い込むように係止する。そのため、テンションホルダー26をモーターフレーム25に対して固定ねじ27の螺入動作によって支持面25Aに沿う方向への変位を強固に規制しつつ締め付け固定することができる。
【0037】
(4)凸条34及び環状突起部44のうち剛性が相対的に大きい側の凸条34は、剛性が相対的に小さい側の環状突起部44に対して食い込むように係止するものの、その環状突起部44が隆起形成された被支持面26Aに対してまでは食い込むことはない。そのため、テンションホルダー26及びモーターフレーム25については、凸条34及び環状突起部44のうち剛性が相対的に小さい側の環状突起部44が設けられた本体部分の剛性を低下させることなく、テンションホルダー26をモーターフレーム25に対して締め付け固定することができる。
【0038】
(5)凸条34が環状突起部44の設けられた被支持面26Aにまでくい込むことを確実に回避でき、環状突起部44が突出形成された本体部分の剛性を低下させることなく、テンションホルダー26をモーターフレーム25に対して締め付け固定することができる。
【0039】
(6)凸条34は、テンションスプリング29によるベルト24に対する張力付与方向でもある支持面25Aに沿う方向の複数の位置において、テンションホルダー26の環状突起部44に係止可能であるため、テンションホルダー26がモーターフレーム25の支持面25Aに対して相対変位することをより確実に規制することができる。
【0040】
なお、上記実施形態は以下のような別の実施形態に変更してもよい。
・上記実施形態において、モーターフレーム25の凸条34は、テンションスプリング29によるテンションホルダー26の付勢方向に沿うように延びる構成としてもよいし、テンションスプリング29によるテンションホルダー26の付勢方向に対して斜めに交差する方向に延びる構成としてもよい。
【0041】
・上記実施形態において、モーターフレーム25の凸条34は、必ずしも複数の位置に設ける必要はなく、モーターフレーム25の凸条34を一つだけ設け、この凸条34がテンションホルダー26の環状突起部44に対してモーターフレーム25の支持面25Aに沿う方向における単一の位置のみで係止する構成としてもよい。
【0042】
・上記実施形態において、モーターフレーム25の凸条34の突出量は、テンションホルダー26の環状突起部44の突出量と同じ構成としてもよいし、テンションホルダー26の環状突起部44の突出量よりも大きい構成としてもよい。ただし、上記実施形態のように、モーターフレーム25の凸条34の剛性がテンションホルダー26の環状突起部44の剛性よりも大きい場合には、モーターフレーム25の凸条34の突出量がテンションホルダー26の環状突起部44の突出量よりも小さい構成が望ましい。
【0043】
・上記実施形態において、テンションホルダー26の被支持面26Aに環状突起部44を隆起形成することなく、その被支持面26Aに対してモーターフレーム25の凸条34が直接に食い込み係止する構成としてもよい。
【0044】
・上記実施形態において、モーターフレーム25の凸条34は、テンションホルダー26の環状突起部44よりも剛性が低くなるように構成してもよい。
・上記実施形態において、モーターフレーム25の支持面25A、及び、テンションホルダー26の被支持面26Aに粗面状の面部位をそれぞれ形成し、固定ねじ27の螺入動作に伴って双方の面部位を重ね合うように密着させて互いに摩擦係合させることにより、モーターフレーム25の支持面25Aに沿う方向へのモーターフレーム25に対するテンションホルダー26の相対変位を規制するようにしてもよい。
【0045】
・上記実施形態において、ベルト24に対して張力を付与する張力付与部材は、ベルト24の周回移動に伴って従動回転するテンションプーリー31に限定されず、ベルト24の周回移動に伴ってベルト24に対して摺動する円弧面を有した部材などで構成としてもよい。
【0046】
・上記実施形態において、モーターフレーム25の支持面25Aとテンションホルダー26の被支持面26Aとの間に、両部材に対して摩擦力を作用させるスペーサーを係止手段として介設してもよい。
【0047】
・上記実施形態では、記録装置をインクジェット式のプリンター10に具体化したが、インク以外の他の液体を噴射したり吐出したりする液体噴射装置に具体化してもよい。微小量の液滴を吐出させる液体噴射ヘッド等を備える各種の液体噴射装置に流用可能である。なお、液滴とは、上記液体噴射装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう液体とは、液体噴射装置が噴射させることができるような材料であればよい。例えば、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状態、また物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなどを含む。また、液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体噴射装置の具体例としては、例えば液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルターの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を噴射する液体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する液体噴射装置、捺染装置やマイクロディスペンサー等であってもよい。さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体噴射装置を採用してもよい。そして、これらのうちいずれか一種の液体噴射装置に本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0048】
10…記録装置としてのプリンター、22…回転体としての駆動プーリー、23…回転体としての従動プーリー、24…ベルト、25…フレーム部材としてのモーターフレーム、25A…支持面、27…ねじ部材としての固定ねじ、26…ホルダー部材としてのテンションホルダー、26A…被支持面、31…張力付与部材としてのテンションプーリー、34…係止手段を構成する係止部及び強剛性部としての凸条、44…係止手段を構成する被係止部及び弱剛性部としての環状突起部、P…記録媒体としての用紙。
【技術分野】
【0001】
本発明は、無端状のベルトが張力を付与された状態で掛装された複数の回転体の回転に伴い搬送される記録媒体に記録を施す記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、記録装置の一種として、用紙等の記録媒体に対して液体噴射ヘッドから噴射されたインク(液体)を付着させることにより記録を施すインクジェット式のプリンターが知られている。こうしたプリンターには、通常、用紙を搬送経路に沿って搬送する際に回転する複数の回転体が設けられている。例えば、特許文献1に記載のプリンターには、そのような回転体として、駆動モーターの出力軸に取り付けられた駆動プーリーと、駆動プーリーから離れて配置された搬送ローラーの回転軸の端部に一体回転可能に設けられた従動プーリーと、両プーリーの間に掛装された無端状のベルトに対して張力を付与するテンションプーリーが設けられている。そして、駆動モーターの駆動に伴う駆動プーリーの回転駆動力がベルトを通じて従動プーリーに伝達され、従動プーリーの回転に伴って搬送ローラーが回転することにより、液体噴射ヘッドからのインク噴射に基づき記録を施される用紙が搬送経路に沿って搬送されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−23948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のプリンターでは、テンションプーリーを回動自在に保持するテンションホルダーが固定配置のモーターブラケットに対して互いの対向する平面部位同士を重ね合わせつつ位置調整された状態で固定ねじによって圧接するように締め付け固定される。そのため、テンションホルダーをモーターブラケットに対して固定ねじによって締め付け固定する際には、テンションホルダーが固定ねじに連れまわるように回動することがあり、テンションホルダーに保持されたテンションプーリーが変位することにより、テンションプーリーがベルトに付与する張力が変化してしまう虞があった。その結果、搬送ローラーの回転にも変化が生じ、用紙の搬送精度に影響が及んで記録品質の低下を招く虞があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、記録媒体の搬送精度を良好に維持することにより記録品質の低下を抑制することができる記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の記録装置は、記録媒体に対して記録を施す記録手段と、前記記録媒体が搬送される際にそれぞれ回転する複数の回転体と、前記複数の回転体間に掛け渡される無端状のベルトと、前記ベルトに対して張力を付与するように当接可能な張力付与部材を保持するホルダー部材と、前記ホルダー部材を支持可能な支持面が前記張力付与部材による前記ベルトに対する張力付与方向に沿った平面状をなすように形成された固定配置のフレーム部材と、前記フレーム部材の前記支持面に対して前記ホルダー部材における平面状をなすように形成された被支持面を対向させた状態で、前記支持面に向けて前記ホルダー部材を押圧する方向への螺入動作を伴って回転することにより、前記ホルダー部材を前記支持面に対して締め付け固定するねじ部材とを備え、前記フレーム部材の前記支持面と前記ホルダー部材の前記被支持面との間には、前記ねじ部材の前記螺入動作に伴い前記ホルダー部材に対して前記支持面に沿う方向への変位を規制するように係止可能な係止手段を介在させた。
【0007】
上記構成によれば、張力付与部材がベルトに張力を付与して当接する位置状態とされたホルダー部材の被支持面をフレーム部材の支持面に対向させた状態において、その支持面に対してホルダー部材を締め付け固定するために、ねじ部材を螺入動作するように回転させると、ホルダー部材に対して係止手段が係止する。そのため、ねじ部材の螺入動作に伴う回転によって、ホルダー部材が連れ回るように支持面に沿う方向へ変位することが規制される。その結果、ホルダー部材に保持された張力付与部材がベルトに付与する張力も変化しないので、記録媒体の搬送精度に影響を与える複数の回転体の回転精度を良好に維持することができる。したがって、記録媒体の搬送精度を良好に維持することにより記録品質の低下を抑制することができる。
【0008】
また、本発明の記録装置において、前記係止手段は、前記フレーム部材の前記支持面及び前記ホルダー部材の前記被支持面の一方に設けられた係止部と他方に設けられた被係止部とを含んで構成され、
前記係止部は、前記ねじ部材の前記螺入動作に伴い前記支持面と前記被支持面とが接近する方向に相対移動した場合に前記被係止部に対して係止する。
【0009】
上記構成によれば、フレーム部材及びホルダー部材とは別に係止機能を有する例えば粗面構成のリング板状部材などの新たな部材を追加する必要がない。したがって、部品点数の増加を抑制しつつ、ホルダー部材をフレーム部材に対してねじ部材の螺入動作によって変位させることなく締め付け固定することができる。
【0010】
また、本発明の記録装置において、前記係止部及び前記被係止部は、剛性が互いに異なるように構成されている。
上記構成によれば、係止部及び被係止部のうち、剛性が相対的に大きい側は、剛性が相対的に小さい側に対して食い込むように係止する。そのため、ホルダー部材をフレーム部材に対してねじ部材の螺入動作によって支持面に沿う方向への変位を強固に規制しつつ締め付け固定することができる。
【0011】
また、本発明の記録装置において、前記係止部及び前記被係止部のうち剛性が相対的に小さい側の弱剛性部は、それが設けられた面から隆起するように突出形成されている。
上記構成によれば、係止部及び被係止部のうち剛性が相対的に大きい側の強剛性部は、剛性が相対的に小さい側の弱剛性部に対して食い込むように係止するものの、その弱剛性部が隆起形成された面自体に対してまでは食い込むことはない。そのため、ホルダー部材及びフレーム部材については、係止部及び被係止部のうち剛性が相対的に小さい側の弱剛性部が突出形成された本体部分の剛性を低下させることなく、ホルダー部材をフレーム部材に対して締め付け固定することができる。
【0012】
また、本発明の記録装置において、前記係止部及び前記被係止部のうち剛性が相対的に大きい側の強剛性部は、それが設けられた面から突出するように形成されると共に、その突出量は前記弱剛性部が前記面から隆起する方向に向けて突出する突出量よりも小さい。
【0013】
上記構成によれば、強剛性部が弱剛性部の設けられた面自体にまでくい込むことを確実に回避でき、弱剛性部が設けられた本体部分の剛性を低下させることなく、ホルダー部材をフレーム部材に対して締め付け固定することができる。
【0014】
また、本発明の記録装置において、前記係止手段は、前記ホルダー部材に対して前記支持面に沿う方向における複数の位置で係止可能である。
上記構成によれば、係止手段は、張力付与部材によるベルトに対する張力付与方向でもある支持面に沿う方向の複数の位置において、ホルダー部材に係止可能であるため、ホルダー部材がフレーム部材の支持面に対して相対変位することをより確実に規制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係るプリンターの斜視図。
【図2】駆動力伝達機構の側面図。
【図3】モーターフレームの斜視図。
【図4】モーターフレームの正面図。
【図5】図4の5−5線矢視断面図。
【図6】テンションホルダーの斜視図。
【図7】テンションホルダーの背面図。
【図8】図7の8−8線矢視断面図。
【図9】テンションホルダーをモーターフレームに対して取り付けた状態を示す側面図。
【図10】図9に示す状態からテンションスプリングを取り付けた状態を示す側面図。
【図11】テンションホルダーの環状突起部とモーターフレームの凸条とが当接している状態を示す断面図。
【図12】図10に示す状態から固定ねじを螺合させた状態を示す側面図。
【図13】テンションホルダーの環状突起部にモーターフレームの凸条が食い込んでいる状態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を記録装置の一種であるインクジェット式のプリンターに具体化した一実施形態を図1〜図13に従って説明する。
図1に示すように、プリンター10の本体背面部には、記録媒体の一種である用紙Pを斜状に載置するための給紙トレイ11が設けられている。そして、給紙トレイ11に載置された用紙Pは、用紙Pの幅方向Aに沿って延びる搬送ローラー12によって用紙Pの幅方向Aと直交する搬送方向Bに搬送される。また、用紙Pの搬送経路上には、用紙Pの幅方向Aに往復移動するキャリッジ13が設けられると共に、キャリッジ13の下面には液体噴射ヘッド14が固定されている。そして、キャリッジ13が往復移動する際に、液体噴射ヘッド14から用紙Pに対してインク(液体)が噴射されて付着することにより、用紙Pに対して記録が施される。この点で、液体噴射ヘッド14は、用紙Pにインクを付着させて記録を施す記録手段として機能する。
【0017】
次に、搬送ローラー12に対して駆動力を伝達するための駆動力伝達機構20の構成について説明する。
図2に示すように、駆動力伝達機構20は、外周面に歯部が形成された駆動プーリー(回転体)22と、駆動プーリー22よりも大径の同じく外周面に歯部が形成された従動プーリー(回転体)23と、両プーリー22,23間に掛け渡される無端状の内周面に歯部が形成されたベルト24を備えている。駆動プーリー22は、搬送ローラー12から用紙Pの搬送方向Bへ離れた位置に固定配置された駆動モーター(図示略)の回転軸21の端部に対して一体回転可能に取り付けられている。一方、従動プーリー23は、搬送ローラー12の回転軸12aの端部に対して一体回転可能に取り付けられている。そして、ベルト24の内周面の歯部が両プーリー22,23の外周面の歯部に対して噛み合うことにより、両プーリー22,23がベルト24を介して動力伝達可能に連結されている。
【0018】
また、駆動力伝達機構20は、駆動モーターが取り付けられる板状のモーターフレーム(フレーム部材)25と、そのモーターフレーム25における駆動モーターの回転軸21と直交する垂直平面の支持面25Aに対して固定されるテンションホルダー(ホルダー部材)26を備えている。テンションホルダー26は、その外面の一部をモーターフレーム25の支持面25Aに対向させた状態で、その支持面25Aに向けてテンションホルダー26を押圧する方向への螺入動作を伴って回転する固定ねじ(ねじ部材)27によって固定されている。
【0019】
また、図2に示すように、テンションホルダー26をモーターフレーム25に固定する際に斜面状となるようにテンションホルダー26に形成された板状部40(図6参照)と、その際に板状部40と対向するようにモーターフレーム25の上部に曲げ形成された斜状の係止片部28との間には、テンションスプリング29が介設されている。また、テンションホルダー26の板状部40には、テンションスプリング29から作用する付勢力の作用方向の前側に一対の軸受け部31aが設けられており、この軸受け部31aにはベルト24に対して張力を付与するように当接するテンションプーリー(張力付与部材)31が回動自在に保持されている。すなわち、テンションプーリー31は、一端を係止片部28に係止させると共に他端を板状部40に係止させた蓄圧状態にあるテンションスプリング29からテンションホルダー26に作用する付勢力に従って、駆動プーリー22と従動プーリー23との間に掛装されたベルト24が張った状態となるように、ベルト24の内側に向かう方向にベルト24を付勢している。
【0020】
次に、モーターフレーム25の構成について詳細に説明する。
図3及び図4に示すように、モーターフレーム25は、金属製板材から構成されており、プリンター10内のブラケット(図示略)に固定された底壁部25aの一側縁からは上記の支持面25Aを一面側とする側壁部25bが鉛直上方に向けて立設されている。側壁部25bの略中央部には、駆動モーターの回転軸21を挿通させるための円形状の貫通孔32が形成されると共に、その貫通孔32の斜め上方(図4では左斜め上方)となる位置には上記の係止片部28が側壁部25bから支持面25A側へ垂直に曲げ形成されている。
【0021】
また、図4及び図5に示すように、モーターフレーム25の側壁部25bにおける貫通孔32の左斜め上方であって係止片部28の左斜め下方となる位置には、固定ねじ27が螺合される円形状のねじ孔33が形成されている。また、モーターフレーム25の側壁部25bにおいて係止片部28が曲げ形成された側の面である支持面25Aにおけるねじ孔33の周囲には、断面略三角形状をなす複数(本実施形態では10列)の凸条34が互いに斜め方向へ延びるように形成されている。これらの凸条34は、係止片部28においてテンションスプリング29を係止する斜面状の係止面に沿って延びるように形成されている。すなわち、これらの凸条34は、テンションスプリング29によるテンションホルダー26の付勢方向(換言すると、張力付与部材としてのテンションプーリー31がベルト24に対して付与する張力付与方向)と直交する方向に延びるように形成されている。
【0022】
また、モーターフレーム25の側壁部25bにおける貫通孔32とねじ孔33との間には、側面視略L字状をなす屈曲片部35が形成されている。この屈曲片部35は、モーターフレーム25の側壁部25bから支持面25A側へ垂直に切り起こされることにより形成されており、その先端側が直角に屈曲している。
【0023】
次に、テンションホルダー26の構成について詳細に説明する。なお、以下の説明においては、図2に示すように、テンションスプリング29によるテンションホルダー26の付勢方向をY軸方向とすると共に、モーターフレーム25に対する固定ねじ27の螺入方向をZ軸方向とし、Y軸方向及びZ軸方向の双方と直交する方向をX軸方向とする。
【0024】
図6に示すように、テンションホルダー26は、金属製板材からなるモーターフレーム25よりも剛性の低い樹脂材料によって構成されており、テンションホルダー26における+Y方向側の端部に位置する上記の板状部40には、平板状をなす一対の軸受け部31aがZ軸方向に間隔を隔てて設けられている。これら一対の軸受け部31aの先端面には凹溝41がそれぞれ形成されている。そして、これらの凹溝41の内側には、テンションプーリー31の回動軸が回動自在に保持されている(図2参照)。また、テンションホルダー26には、板状部40において軸受け部31aが設けられた面の反対側の面にY軸方向と直交する断面形状が略T字状をなす嵌合凸部42が突出形成されている。そして、この嵌合凸部42に対してテンションスプリング29の端部が嵌合される。
【0025】
また、テンションホルダー26には、Y軸方向において軸受け部31aとは反対側の部分に、Z軸方向に貫通する長孔43が形成されている。この長孔43は、X軸方向を短手方向とすると共にY軸方向を長手方向とする略楕円形状をなしており、固定ねじ27を挿通可能な大きさとなっている。そして、モーターフレーム25のねじ孔33とテンションホルダー26の長孔43とが位置合わせされた状態で、テンションホルダー26側から挿入された固定ねじ27がテンションホルダー26の長孔43を挿通してモーターフレーム25のねじ孔33に対して螺入動作することにより、テンションホルダー26がモーターフレーム25に対して締め付け固定されるようになっている。
【0026】
なお、図7及び図8に示すように、テンションホルダー26には、固定ねじ27による締め付け固定の際にモーターフレーム25の側壁部25bの支持面25Aに対向する外面となる+Z方向側の平面状をなす被支持面26Aに、長孔43の孔縁に沿う略楕円環状をなすと共に断面形状が略三角形状をなす環状突起部44が隆起するように突出形成されている。そして、長孔43の孔縁からの環状突起部44の隆起方向の突出量は、モーターフレーム25の側壁部25bの支持面25Aからの凸条34の突出量よりも大きく設定されている。
【0027】
また、テンションホルダー26におけるX軸方向の略中央位置であって且つY軸方向において板状部40よりも長孔43側となる位置には凹部45が形成されると共に、この凹部45の底面46には平面視略L字状をなす挿通孔47が貫通形成されている。この挿通孔47は、モーターフレーム25のねじ孔33とテンションホルダー26の長孔43とを位置合わせした場合に、テンションホルダー26においてモーターフレーム25の屈曲片部35に対応する位置に屈曲片部35の幅寸法よりも幅広となるように形成されている。
【0028】
次に、上記のように構成されたプリンター10の作用について、特に、テンションホルダー26をモーターフレーム25に対して固定ねじ27によって締め付け固定する際の作用に着目して以下説明する。
【0029】
さて、図9に示すように、テンションホルダー26をモーターフレーム25に対して組み付ける際には、まず、テンションホルダー26の凹部45の底面46に形成された挿通孔47に対してモーターフレーム25の屈曲片部35を挿通させる。そして、直角に屈曲した屈曲片部35の先端をテンションホルダー26の凹部45の底面46に対して掛け止めさせる。この場合、モーターフレーム25の屈曲片部35は、テンションホルダー26の凹部45内において挿通孔47の幅寸法と対応した距離分だけY軸方向に相対変位することが許容されている。すなわち、テンションホルダー26は、モーターフレーム25に対してY軸方向への若干の相対変位が許容されている。そのため、テンションホルダー26は、ベルト24からテンションプーリー31に対して作用する反力に基づいて、ベルト24から遠ざかるように+Y方向に変位する。そして、モーターフレーム25の屈曲片部35は、テンションホルダー26における凹部45の内側面(挿通孔47の孔縁)に対して当接する。
【0030】
続いて、図10に示すように、テンションホルダー26の板状部40に設けられた嵌合凸部42とモーターフレーム25の係止片部28との間にテンションスプリング29を挟み込む。すると、テンションホルダー26には、ベルト24からテンションプーリー31に作用する反力に抗するように、テンションスプリング29からの付勢力が作用する。そして、テンションホルダー26は、ベルト24から作用する反力とテンションスプリング29から作用する付勢力とが均衡する位置まで、図9に示す位置から−Y方向に変位する。
【0031】
この場合、図11に示すように、モーターフレーム25に形成された凸条34の先端とテンションホルダー26に形成された環状突起部44の先端とは、モーターフレーム25の支持面25Aとテンションホルダー26の被支持面26Aとの間に隙間を形成させた状態で当接している。すなわち、剛性を対比した場合に、剛性が相対的に大きい側で強剛性部となる凸条34が、剛性が相対的に小さい側で弱剛性部となる環状突起部44に対して、Z軸方向において食い込むことはなく、環状突起部44と凸条34とがZ軸方向と交差する方向(換言すると、張力付与方向でもある支持面25Aに沿う方向)へのテンションホルダー26の変位を規制するように係止することはない。
【0032】
そして次に、図12に示すように、モーターフレーム25のねじ孔33とテンションホルダー26の長孔43とを位置合わせした状態で、固定ねじ27がテンションホルダー26側から長孔43を通じてモーターフレーム25のねじ孔33に対して螺入される。
【0033】
この場合、図13に示すように、固定ねじ27は、テンションホルダー26をモーターフレーム25に対して、テンションホルダー26の被支持面26Aがモーターフレーム25の支持面25Aに接近するように、螺入動作を伴って回転することにより締め付け固定する。すると、テンションホルダー26の被支持面26Aに形成された環状突起部44に対してモーターフレーム25の支持面25Aに形成された凸条34が食い込むようになる。その結果、凸条34及び環状突起部44が固定ねじ27の螺入方向であるZ軸方向において食い込んだ状態となり、環状突起部44と凸条34とがZ軸方向と交差する方向へのテンションホルダー26の変位を規制するように係止する。
【0034】
上記実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)テンションスプリング29がベルト24に張力を付与して当接する位置状態とされたテンションホルダー26の被支持面26Aをモーターフレーム25の支持面25Aに対向させた状態において、その支持面25Aに対してテンションホルダー26を締め付け固定するために、固定ねじ27を螺入動作するように回転させると、テンションホルダー26の環状突起部44に対してモーターフレーム25の凸条34が係止する。そのため、固定ねじ27の螺入動作に伴う回転によって、テンションホルダー26が連れ回るように支持面25Aに沿う方向へ変位することが規制される。また、固定ねじ27の螺合状態が経年劣化や外力による振動などで緩んだ場合でも、テンションホルダー26とモーターフレーム25との位置関係がずれることはない。その結果、テンションホルダー26に保持されたテンションスプリング29がベルト24に付与する張力も変化しないので、用紙Pの搬送精度に影響を与える複数のプーリー22,23の回転精度を良好に維持することができる。したがって、用紙Pの搬送精度を良好に維持することにより記録品質の低下を抑制することができる。
【0035】
(2)モーターフレーム25及びテンションホルダー26とは別に係止機能を有する例えば粗面構成のリング板状部材などの新たな部材を追加する必要がない。したがって、部品点数の増加を抑制しつつ、テンションホルダー26をモーターフレーム25に対して固定ねじ27の螺入動作によって変位させることなく締め付け固定することができる。
【0036】
(3)凸条34及び環状突起部44のうち、剛性が相対的に大きい側は、剛性が相対的に小さい側に対して食い込むように係止する。そのため、テンションホルダー26をモーターフレーム25に対して固定ねじ27の螺入動作によって支持面25Aに沿う方向への変位を強固に規制しつつ締め付け固定することができる。
【0037】
(4)凸条34及び環状突起部44のうち剛性が相対的に大きい側の凸条34は、剛性が相対的に小さい側の環状突起部44に対して食い込むように係止するものの、その環状突起部44が隆起形成された被支持面26Aに対してまでは食い込むことはない。そのため、テンションホルダー26及びモーターフレーム25については、凸条34及び環状突起部44のうち剛性が相対的に小さい側の環状突起部44が設けられた本体部分の剛性を低下させることなく、テンションホルダー26をモーターフレーム25に対して締め付け固定することができる。
【0038】
(5)凸条34が環状突起部44の設けられた被支持面26Aにまでくい込むことを確実に回避でき、環状突起部44が突出形成された本体部分の剛性を低下させることなく、テンションホルダー26をモーターフレーム25に対して締め付け固定することができる。
【0039】
(6)凸条34は、テンションスプリング29によるベルト24に対する張力付与方向でもある支持面25Aに沿う方向の複数の位置において、テンションホルダー26の環状突起部44に係止可能であるため、テンションホルダー26がモーターフレーム25の支持面25Aに対して相対変位することをより確実に規制することができる。
【0040】
なお、上記実施形態は以下のような別の実施形態に変更してもよい。
・上記実施形態において、モーターフレーム25の凸条34は、テンションスプリング29によるテンションホルダー26の付勢方向に沿うように延びる構成としてもよいし、テンションスプリング29によるテンションホルダー26の付勢方向に対して斜めに交差する方向に延びる構成としてもよい。
【0041】
・上記実施形態において、モーターフレーム25の凸条34は、必ずしも複数の位置に設ける必要はなく、モーターフレーム25の凸条34を一つだけ設け、この凸条34がテンションホルダー26の環状突起部44に対してモーターフレーム25の支持面25Aに沿う方向における単一の位置のみで係止する構成としてもよい。
【0042】
・上記実施形態において、モーターフレーム25の凸条34の突出量は、テンションホルダー26の環状突起部44の突出量と同じ構成としてもよいし、テンションホルダー26の環状突起部44の突出量よりも大きい構成としてもよい。ただし、上記実施形態のように、モーターフレーム25の凸条34の剛性がテンションホルダー26の環状突起部44の剛性よりも大きい場合には、モーターフレーム25の凸条34の突出量がテンションホルダー26の環状突起部44の突出量よりも小さい構成が望ましい。
【0043】
・上記実施形態において、テンションホルダー26の被支持面26Aに環状突起部44を隆起形成することなく、その被支持面26Aに対してモーターフレーム25の凸条34が直接に食い込み係止する構成としてもよい。
【0044】
・上記実施形態において、モーターフレーム25の凸条34は、テンションホルダー26の環状突起部44よりも剛性が低くなるように構成してもよい。
・上記実施形態において、モーターフレーム25の支持面25A、及び、テンションホルダー26の被支持面26Aに粗面状の面部位をそれぞれ形成し、固定ねじ27の螺入動作に伴って双方の面部位を重ね合うように密着させて互いに摩擦係合させることにより、モーターフレーム25の支持面25Aに沿う方向へのモーターフレーム25に対するテンションホルダー26の相対変位を規制するようにしてもよい。
【0045】
・上記実施形態において、ベルト24に対して張力を付与する張力付与部材は、ベルト24の周回移動に伴って従動回転するテンションプーリー31に限定されず、ベルト24の周回移動に伴ってベルト24に対して摺動する円弧面を有した部材などで構成としてもよい。
【0046】
・上記実施形態において、モーターフレーム25の支持面25Aとテンションホルダー26の被支持面26Aとの間に、両部材に対して摩擦力を作用させるスペーサーを係止手段として介設してもよい。
【0047】
・上記実施形態では、記録装置をインクジェット式のプリンター10に具体化したが、インク以外の他の液体を噴射したり吐出したりする液体噴射装置に具体化してもよい。微小量の液滴を吐出させる液体噴射ヘッド等を備える各種の液体噴射装置に流用可能である。なお、液滴とは、上記液体噴射装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう液体とは、液体噴射装置が噴射させることができるような材料であればよい。例えば、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状態、また物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなどを含む。また、液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体噴射装置の具体例としては、例えば液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルターの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を噴射する液体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する液体噴射装置、捺染装置やマイクロディスペンサー等であってもよい。さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体噴射装置を採用してもよい。そして、これらのうちいずれか一種の液体噴射装置に本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0048】
10…記録装置としてのプリンター、22…回転体としての駆動プーリー、23…回転体としての従動プーリー、24…ベルト、25…フレーム部材としてのモーターフレーム、25A…支持面、27…ねじ部材としての固定ねじ、26…ホルダー部材としてのテンションホルダー、26A…被支持面、31…張力付与部材としてのテンションプーリー、34…係止手段を構成する係止部及び強剛性部としての凸条、44…係止手段を構成する被係止部及び弱剛性部としての環状突起部、P…記録媒体としての用紙。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に対して記録を施す記録手段と、
前記記録媒体が搬送される際にそれぞれ回転する複数の回転体と、
前記複数の回転体間に掛け渡される無端状のベルトと、
前記ベルトに対して張力を付与するように当接可能な張力付与部材を保持するホルダー部材と、
前記ホルダー部材を支持可能な支持面が前記張力付与部材による前記ベルトに対する張力付与方向に沿った平面状をなすように形成された固定配置のフレーム部材と、
前記フレーム部材の前記支持面に対して前記ホルダー部材における平面状をなすように形成された被支持面を対向させた状態で、前記支持面に向けて前記ホルダー部材を押圧する方向への螺入動作を伴って回転することにより、前記ホルダー部材を前記支持面に対して締め付け固定するねじ部材と
を備え、
前記フレーム部材の前記支持面と前記ホルダー部材の前記被支持面との間には、前記ねじ部材の前記螺入動作に伴い前記ホルダー部材に対して前記支持面に沿う方向への変位を規制するように係止可能な係止手段を介在させたことを特徴とする記録装置。
【請求項2】
請求項1に記載の記録装置において、
前記係止手段は、前記フレーム部材の前記支持面及び前記ホルダー部材の前記被支持面の一方に設けられた係止部と他方に設けられた被係止部とを含んで構成され、
前記係止部は、前記ねじ部材の前記螺入動作に伴い前記支持面と前記被支持面とが接近する方向に相対移動した場合に前記被係止部に対して係止することを特徴とする記録装置。
【請求項3】
請求項2に記載の記録装置において、
前記係止部及び前記被係止部は、剛性が互いに異なるように構成されていることを特徴とする記録装置。
【請求項4】
請求項3に記載の記録装置において、
前記係止部及び前記被係止部のうち剛性が相対的に小さい側の弱剛性部は、それが設けられた面から隆起するように突出形成されていることを特徴とする記録装置。
【請求項5】
請求項4に記載の記録装置において、
前記係止部及び前記被係止部のうち剛性が相対的に大きい側の強剛性部は、それが設けられた面から突出するように形成されると共に、その突出量は前記弱剛性部が前記面から隆起する方向に向けて突出する突出量よりも小さいことを特徴とする記録装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のうち何れか一項に記載の記録装置において、
前記係止手段は、前記ホルダー部材に対して前記支持面に沿う方向における複数の位置で係止可能であることを特徴とする記録装置。
【請求項1】
記録媒体に対して記録を施す記録手段と、
前記記録媒体が搬送される際にそれぞれ回転する複数の回転体と、
前記複数の回転体間に掛け渡される無端状のベルトと、
前記ベルトに対して張力を付与するように当接可能な張力付与部材を保持するホルダー部材と、
前記ホルダー部材を支持可能な支持面が前記張力付与部材による前記ベルトに対する張力付与方向に沿った平面状をなすように形成された固定配置のフレーム部材と、
前記フレーム部材の前記支持面に対して前記ホルダー部材における平面状をなすように形成された被支持面を対向させた状態で、前記支持面に向けて前記ホルダー部材を押圧する方向への螺入動作を伴って回転することにより、前記ホルダー部材を前記支持面に対して締め付け固定するねじ部材と
を備え、
前記フレーム部材の前記支持面と前記ホルダー部材の前記被支持面との間には、前記ねじ部材の前記螺入動作に伴い前記ホルダー部材に対して前記支持面に沿う方向への変位を規制するように係止可能な係止手段を介在させたことを特徴とする記録装置。
【請求項2】
請求項1に記載の記録装置において、
前記係止手段は、前記フレーム部材の前記支持面及び前記ホルダー部材の前記被支持面の一方に設けられた係止部と他方に設けられた被係止部とを含んで構成され、
前記係止部は、前記ねじ部材の前記螺入動作に伴い前記支持面と前記被支持面とが接近する方向に相対移動した場合に前記被係止部に対して係止することを特徴とする記録装置。
【請求項3】
請求項2に記載の記録装置において、
前記係止部及び前記被係止部は、剛性が互いに異なるように構成されていることを特徴とする記録装置。
【請求項4】
請求項3に記載の記録装置において、
前記係止部及び前記被係止部のうち剛性が相対的に小さい側の弱剛性部は、それが設けられた面から隆起するように突出形成されていることを特徴とする記録装置。
【請求項5】
請求項4に記載の記録装置において、
前記係止部及び前記被係止部のうち剛性が相対的に大きい側の強剛性部は、それが設けられた面から突出するように形成されると共に、その突出量は前記弱剛性部が前記面から隆起する方向に向けて突出する突出量よりも小さいことを特徴とする記録装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のうち何れか一項に記載の記録装置において、
前記係止手段は、前記ホルダー部材に対して前記支持面に沿う方向における複数の位置で係止可能であることを特徴とする記録装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−52550(P2013−52550A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−191139(P2011−191139)
【出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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