記録装置

【課題】複数の印刷流体カートリッジが装着可能な記録装置において、印刷流体カートリッジの誤装着を防止する手段を提供する。
【解決手段】カートリッジ装着部110は、インクカートリッジ30B,30CLが挿入されるケース101と、回動軸13周りに回動されることにより、開口112を閉じる閉姿勢及び開口112を開く開姿勢に姿勢変化する平板形状の蓋12と、を具備する。蓋12は、回動軸13に沿った幅方向の一端側が、その一端側の端面が閉姿勢においてケース101の終面102側を向くように湾曲された湾曲部14を有する。インクカートリッジ30Bは、後壁42の高さ方向52に沿った角部が、閉姿勢における蓋12の湾曲部14と当接しないように面取りされている。インクカートリッジ30CLは、後壁142の高さ方向52に沿った角部162が、開姿勢から閉姿勢へ姿勢変化する蓋12の湾曲部14と当接して閉姿勢への姿勢変化を制止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カートリッジ装着部に複数の印刷流体カートリッジが装着される記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、インクジェット方式の画像記録装置が知られている。この画像記録装置においては、記録ヘッドのノズルからインク滴が記録用紙へ向けて噴出される。このインク滴が記録用紙に着弾して所望の画像が記録される。この画像記録装置には、記録ヘッドに供給するインクを貯蔵するためのインクカートリッジが装着・脱着可能に設けられる。
【0003】
カラー記録が可能な画像記録装置では、複数色のインクカートリッジが装着される。各インクカートリッジは、一色のインクを貯留している。したがって、画像記録装置には、複数のインクカートリッジがそれぞれ装着される。複数のインクカートリッジは、インクが混じることによる混色や凝集を防止するために、カートリッジ装着部において装着されるべき位置が指定されている。
【0004】
インクカートリッジ内のインクが消費されると、ユーザは、そのインクカートリッジを取り外して、新たなインクカートリッジを装着する。このようなインクカートリッジの交換は、例えば、複数のインクカートリッジを同時に行うことも想定される。インクカートリッジの交換においては、カートリッジ装着部のカバーが開かれて、インクが消費されたインクカートリッジがカートリッジ装着部から取り外され、新たなインクカートリッジがカートリッジ装着部へ装着される。そして、交換すべき複数のインクカートリッジが全て交換されると、カートリッジ装着部のカバーが閉じられる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−196651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
インクカートリッジの筐体は、製造コストの低減などを理由として、貯留されるインクの色や種類が異なっても、同じ形状のものが使用されており、色や表示が異なるラベルが貼り付けられることにより、インクの色や種類を判別可能に構成されることが多い。したがって、ユーザがラベルを見誤ったりすると、カートリッジ装着部において本来とは異なる位置にインクカートリッジが装着されることが想定される。
【0007】
また、例えば、貯留可能なインク量に応じてインクカートリッジの筐体の幅が異なっていても、幅の広いインクカートリッジが装着されるべき位置に、幅の狭いインクカートリッジが誤って装着されることが想定される。このようにインクカートリッジがカートリッジ装着部において誤った位置に装着されると、インクの混色や凝集が生じ得る。インクの混色や凝集が生じると、その状態を解消するためにクリーニング動作が必要となり、クリーニングに消費されるインク量が増えることとなる。
【0008】
本発明は、前述された事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数の印刷流体カートリッジが装着可能な記録装置において、印刷流体カートリッジの誤装着を防止する手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、複数の印刷流体カートリッジが開口を介してそれぞれ装着可能なカートリッジ装着部を備えた記録装置に関する。上記カートリッジ装着部は、上記開口を通じて上記印刷流体カートリッジがそれぞれ挿入されるケースと、回動軸周りに回動されることにより、上記開口を閉じる閉姿勢及び上記開口を開く開姿勢に姿勢変化する平板形状の蓋と、を具備する。上記蓋は、上記回動軸に沿った幅方向の一端側が、その一端側の端面が閉姿勢において上記ケースの終面側を向くように湾曲された湾曲部を有する。上記ケースのうち上記蓋の一端側に挿入されるべき第1印刷流体カートリッジは、上記ケースへの挿入向きにおける後壁の高さ方向に沿った角部が、閉姿勢における上記蓋の湾曲部と当接しないように面取りされている。上記ケースのうち上記蓋の一端側以外に挿入されるべき第2印刷流体カートリッジは、上記ケースへの挿入向きにおける後壁の高さ方向に沿った角部が、開姿勢から閉姿勢へ姿勢変化する上記蓋の湾曲部と当接して閉姿勢への姿勢変化を制止する。
【0010】
第1印刷流体カートリッジは、後壁の角部が面取りされているので、外形から種別が容易に判断可能である。第2印刷流体カートリッジは、後壁の角部が閉姿勢の蓋の湾曲部と当接するので、第2印刷流体カートリッジが、第1印刷流体カートリッジが装着されるべき蓋の一端側に装着されると、蓋を閉姿勢とすることができない。蓋が閉まらないことにより、ユーザは、第2印刷流体カートリッジの誤装着を認識する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、第1印刷流体カートリッジ及び第2印刷流体カートリッジのカートリッジ装着部へ誤装着を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の一実施形態としてのカートリッジ装着部110を備えたプリンタ10の内部構造を模式的に示す模式断面図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態のインクカートリッジ30Bの外観構成を示す斜視図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態のインクカートリッジ30Bの外観構成を示す上面図である。
【図4】図4は、本発明の一実施形態のインクカートリッジ30CLの外観構成を示す斜視図である。
【図5】図5は、本発明の一実施形態のインクカートリッジ30CLの外観構成を示す上面図である。
【図6】図6は、本発明の一実施形態としてのカートリッジ装着部110の構成を示す外観斜視図である。
【図7】図7は、本発明の一実施形態としてのカートリッジ装着部110の構成を示す正面図である。
【図8】図8は、インクカートリッジ30Bがカートリッジ装着部110の適正な位置に装着された状態を示す断面図である。
【図9】図9は、インクカートリッジ30CLがインクカートリッジ30Bが装着されるべき位置に装着された状態を示す断面図である。
【図10】図10は、本発明の変形例としてのインクカートリッジ30CLがカートリッジ装着部110に装着された状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明が具体化された一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
【0014】
[プリンタ10の概要]
図1に示されるように、プリンタ10は、記録用紙に対して記録ヘッド21からインク滴を吐出することにより画像を記録するものである。プリンタ10は、インク供給装置100を備えている。インク供給装置100には、カートリッジ装着部110が設けられている。カートリッジ装着部110には、複数のインクカートリッジ30B,30CLが装着され得る。カートリッジ装着部110には、その一面が外部に開放された開口112が設けられている。複数のインクカートリッジ30B,30CLは、開口112を介してカートリッジ装着部110にそれぞれ挿入され、或いはカートリッジ装着部110からそれぞれ抜き出される。
【0015】
インクカートリッジ30B,30CLには、プリンタ10で使用可能なインクが貯留されている。インクカートリッジ30Bには、顔料系の黒色のインクが貯留されている。3つのインクカートリッジ30CLには、染料系のシアン、マゼンタ、イエローの各色のインクがそれぞれ貯留されている。インクカートリッジ30B,30CLがカートリッジ装着部110に装着された状態において、インクカートリッジ30B,30CLと記録ヘッド21とがインクチューブ20で接続される。記録ヘッド21にはサブタンク28が設けられている。サブタンク28は、インクチューブ20を通じて供給されるインクを一時的に貯留する。記録ヘッド21は、インクジェット記録方式によって、サブタンク28から供給されたインクをノズル29から選択的に吐出する。
【0016】
給紙トレイ15から給紙ローラ23によって搬送路24へ送給された記録用紙は、搬送ローラ対25によってプラテン26上へ搬送される。記録ヘッド21は、プラテン26上を通過する記録用紙に対して各色のインクを選択的に吐出する。これにより、画像が記録用紙に記録される。プラテン26を通過した記録用紙は、排出ローラ対22によって、搬送路24の最下流側に設けられた排紙トレイ16に排出される。
【0017】
なお、本実施形態に係るプリンタ10の概略構成は一例に過ぎず、例えば、記録用紙の給紙方式や搬送方式、搬送路の形状などは、公知のインクジェットプリンタにおける他の構成が採用されてもよいことは言うまでもない。
【0018】
[インク供給装置100]
図1に示されるように、インク供給装置100は、インクカートリッジ30を装着可能なカートリッジ装着部110を備えている。なお、図1においては、カートリッジ装着部110にインクカートリッジ30Bが装着された状態が示されている。インクカートリッジ30Bが第1印刷流体カートリッジに相当する。インクカートリッジ30CLが第2印刷流体カートリッジに相当する。
【0019】
[インクカートリッジ30B]
図1に示されるように、インクカートリッジ30Bは、例えば、少なくともインクが貯留されるインク室36を有する。インクカートリッジ30Bの内部に形成されている空間に、黒色のインクが貯留される。インク室36は、例えば、インクカートリッジ30Bの外観を形成している筐体31により形成される空間であってもよいし、筐体31内部に配置された、筐体31とは別の部材によって形成される空間であってもよい。
【0020】
インクカートリッジ30Bは、図2に示された起立状態、つまり、同図の下側の面を下面(下壁41)とし、同図の上側の面を上面(上壁39)として、前壁40の下側にインク供給部43が配置され、カートリッジ装着部110に対して矢印50で示される方向(以下「挿入及び取出方向50」と称する(図6参照)。)に沿って挿入又は取り出される。すなわち、インクカートリッジ30Bは、起立状態で、挿入及び取出方向50に沿ってカートリッジ装着部110に挿入され、また、起立状態で、挿入及び取出方向50に沿ってカートリッジ装着部110から抜き出される。この起立状態が、インクカートリッジ30Bがカートリッジ装着部110に装着された姿勢である装着姿勢に相当する。図6に示されるように、インクカートリッジ30Bがカートリッジ装着部110に挿入される向きが挿入向き56であり、抜き出される向きが取出向き55である。挿入向き56及び取出向き55が挿入及び取出方向50と平行である。本実施形態においては、挿入向き56及び取出向き55は、水平方向に沿った向きである。
【0021】
図2,3に示されるように、インクカートリッジ30Bは、例えば、略直方体形状の筐体31を有する。筐体31は、例えば、幅方向51に短く、高さ方向52と前後方向53が幅方向51よりも長い扁平形状である。幅方向51及び前後方向53は、インクカートリッジ30Bが装着姿勢にあるときに水平方向に沿う。高さ方向52は、インクカートリッジ30Bが装着姿勢にあるときに鉛直方向に沿う。インクカートリッジ30Bがカートリッジ装着部110に対して挿入又は取り出されるとき、前後方向53は、挿入及び取出方向50と平行であり、幅方向51及び高さ方向52は、挿入及び取出方向50と直交する。
【0022】
筐体31は、挿入向き56の前側の前壁40及び挿入向き56の後ろ側の後壁42を有している。インクカートリッジ30Bがカートリッジ装着部110へ挿入されるときに挿入向き56の前方側となる筐体31の壁が、前壁40であり、後方側となる筐体31の壁が、後壁42である。前壁40と後壁42とは、前後方向53(挿入及び取出方向50)において所定の距離を離れて配置されている。筐体31は、さらに、前壁40及び後壁42を接続する、挿入及び取出方向50に延びる一対の側壁37,38を有している。側壁37,38は、幅方向51において所定の距離を離れて位置していてもよい。筐体31は、さらに、側壁37,38と前壁40及び後壁42とを接続し、かつ前壁40の上端から後壁42の上端に向けて延びる上壁39、及び前壁40の下端から後壁42の下端に向けて延びる下壁41を有していてもよい。上壁39及び下壁41は、高さ方向52において所定の距離を離れて位置していてもよい。
【0023】
図2に示されるように、インク供給部43は、例えば、筐体31の前壁40における高さ方向52の下側に設けられている。また、インク供給部43の中心57は、前壁40における幅方向51の中心58に対して、例えば、右側(図2における紙面手前側)へオフセット(偏倚)されて配置されている。このようなインク供給部43の配置のオフセットは、インク容量を増加させるため、インクカートリッジ30Bの幅方向の形状を変化させても、インク供給部43の配置を後述されるインク供給管122(図7参照)に対して共通化させるために有益である。例えば、インクカートリッジ30Bの前壁40より、幅方向51の寸法が短い前壁140を有するインクカートリッジ30CLは、筐体131の内部空間の容積も小さくなるので、インク容量が少ない。このような小容量のインクカートリッジ30CLにおいては、インク供給部143の中心と前壁140の幅方向の中心とが一致することが好ましい。
【0024】
インク供給部43は、例えば、円筒形状の外形をなし、前壁40から前後方向53(挿入及び取出方向50)に沿って、インク室36から離れる向き、つまり挿入向き56へ突出している。インク供給口71は、例えば、インク供給部43の先端付近において、開口するように形成されている。各図には現れていないが、インク供給部43の内部には、インク流路が形成されている。このインク流路は、インク供給口71から前後方向53に延びてインク室36へ通じている。
【0025】
なお、各図には現れていないが、インク供給口71は、例えば、バルブによって開閉可能に構成されている。バルブは、インク供給部43のインク流路内において、前後方向53に沿って移動可能に設けられている。バルブは、コイルバネによりインク供給口71に向かって付勢されている。したがって、バルブに外力が加わらない状態においては、バルブがインク供給口71を液密に閉塞する閉位置に位置する。なお、インク供給部43の先端のインク供給口71を囲う部分が、例えば、ゴム等の弾性部材により形成されている。付勢されたバルブが弾性部材に接触すると、弾性部材が弾性変形し、インク供給口71が液密に閉塞される。この状態において、バルブの一部は、インク供給口71からインク供給部43の外部、すなわち、インクカートリッジ30Bの外部へ露出されている。バルブ,コイルバネも必須のものではなく、バルブに代えてフィルムやゴム栓が設けられてもよい。
【0026】
インクカートリッジ30Bがカートリッジ装着部110に装着されると、カートリッジ装着部110に設けられたインク供給管122(図7参照)が、インク供給口71に挿入されることにより、コイルバネが弾性変形し、バルブがコイルバネの付勢に抗してインク供給口71から離れた開位置に移動する。
【0027】
筐体31の前壁40の上側には、大気導入部72が設けられている。大気導入部72は、インク室36からカートリッジ装着部110に設けられたインク供給管122内へインクが流出されるのに伴い、インク室36内へ大気を導入するためのものである。大気導入部72は、前述されたインク供給部43と同様に、バルブなどにより開閉されるものであってもよいし、ラビリンス構造などにより常に筐体31の外部へ開口されているものであってもよい。なお、大気導入部72は必須のものではなく、例えば、インク室36が袋で形成され、インクの減少に応じてインク室36内の圧力が低下するものであってもよい。
【0028】
筐体31の前壁40の高さ方向52の中央には、インク室36におけるインクの残量を検知するための検知部73が設けられている。検知部73は、インクカートリッジ30Bの前壁40のインク供給部43の上側からインク室36から離れる向きに突出する凸部である。検知部73は、透光性を有する。したがって、検知部73を介してインク室36内を外部から見てインクの残量を視認することや、光センサの発光素子から検知部73へ向けて光を照射し、検知部73を透過した光を受光素子で受光し、その受光量が閾値以上であるか否かによってインクの残量を判断することが可能となる。なお、検知部73内に、インク室36の液面に応じて動くフロートと連動する遮光板が設けられていてもよい。また、この遮光板に代えて、インク室36内の液面が検知部73に接しているか否かによって、発光素子から出射された光の全部又は一部を反射、回折、または減衰させるようにして、受光素子に至る光量を低下させるものが設けられていてもよい。
【0029】
図2,3に示されるように、筐体31の前壁40の下端には、例えば、挿入向き56へ突出する突起32が設けられている。突起32は、前壁40に設けられたインク供給部43の突出端よりも前側まで突出している。
【0030】
図2に示されるように、筐体31の上壁39には、例えば、上側へ突出するガイド部47が設けられている。ガイド部47は、例えば、上壁39の幅方向51の寸法より細い凸条であり、前壁40から後壁42の間に渡って前後方向53に沿って延び、凸条の側面と上壁との間には凹部が形成されている。ガイド部47の幅方向51の中心は、上壁39における幅方向51の中心に対して、例えば右側(図2の紙面手前側)へオフセットされて配置されている。ガイド部47の幅方向51の中心と上壁39の幅方向51の中心とを一致させないのは、前述されたインク供給部43のオフセット配置と同様に、インクカートリッジ30Bのインク容量を変化させても、ガイド部47の配置を後述されるガイドレール114(図7参照)に対して共通化させるために有益である。
【0031】
図2に示されるように、筐体31の下壁41には、下側へ突出するガイド部48が設けられている。ガイド部48は、例えば、下壁41の幅方向51の寸法より細い凸条であり、前壁40から後壁42の間に渡って前後方向53に沿って延に、凸条の側面と上壁との間には凹部が形成されている。ガイド部48の幅方向51の中心は、下壁41における幅方向51の中心に対して、例えば右側(図2の紙面手前側)へオフセットされて配置されている。ガイド部48の幅方向51の中心と下壁41の幅方向51の中心とを一致させないのは、前述されたインク供給部43のオフセット配置と同様に、インクカートリッジ30Bのインク容量を変化させても、ガイド部48の配置を後述されるガイドレール115(図7参照)に対して共通化させるために有益である。
【0032】
本実施形態では、ガイド部47,48の幅方向51の中心と上壁39又は下壁41の幅方向51の中心との距離は、インク供給部43の中心57と前壁40の幅方向51の中心58との距離と同程度である。つまり、インク供給部43、ガイド部47,48は、幅方向51において、例えば、同じ位置に配置されている。インクカートリッジ30Bを前壁40側から前後方向53に沿って視ると、インク供給部43とガイド部47,48とは、幅方向51において重なるように配置されている。
【0033】
図2,3に示されるように、ガイド部47における前後方向53の中央付近には、係止部45が形成されている。係止部45は、インクカートリッジ30Bの幅方向51及び/又は高さ方向52に拡がる係止面46を有する凹部である。インクカートリッジ30Bがカートリッジ装着部110に装着された状態で、後述される係合部材106が係止面46に係合する。
【0034】
図2,3に示されるように、回動部材80は、例えば、筐体31の後壁42側の上壁39側に設けられている。回動部材80は、例えば、L字形状の平板であり、その長手方向が前後方向53に沿うように配置されている。回動部材80は、先端部81と後端部82との間の屈曲された位置に、幅方向51へ延びる軸83を有する。回動部材80は、軸83周りに回動可能である。
【0035】
回動部材80において、前壁40側となる先端部81は、例えば、係止面46の近傍に配置されている。回動部材80の後端部82は、例えば、後壁42から若干突出されている。回動部材80の先端部81に外力が付与されていない状態では、回動部材80は、自重又はコイルバネに付勢されて、先端部81が係止部45の最も上側に位置している。このとき、先端部81は、係止部45より上側に突出している。この状態において、後端部82は、筐体31の上壁39に最も近づく。回動部材80の先端部81が係止部45の底側へ下向きへ押し下げられることにより、回動部材80は、例えば、自重に抗して図2における反時計回りへ回動する。また、回動部材80の後端部82が下向きへ押し下げられることにより、回動部材80は、図2における時計回りへ回動する。
【0036】
図3に示されるように、後壁42は、幅方向51において、インク供給部43と前後方向53に対向するように配置された第1面61と、インク供給部43と幅方向51にオフセットした第2面62と、を有する。第1面61は、前後方向53と直交する平面であり、インク供給部43の幅方向51の寸法より幅広でもよい。第1面61は、上壁39及び下壁41と連続する平面である。
【0037】
第2面62は、例えば、第1面61より前後方向53の前壁40側に向かって傾斜して配置されており、かつ前後方向53と直交しない曲面である。第2面62は、上壁39及び下壁41と連続しており、かつ第1面61及び側壁37と連続している。筐体31は、第2面62が形成されていることにより、後壁42の高さ方向52に沿った角部が面取りされた形状となっている。第2面62である曲面の形状は、後述される蓋12の湾曲部14の内面形状に沿っている。
【0038】
[インクカートリッジ30CL]
インクカートリッジ30CLは、インクカートリッジ30Bと同様に、例えば、少なくともインクが貯留されるインク室を有する。インクカートリッジ30CLの内部に形成されている空間に、シアン・マゼンタ・イエローのいずれか一色のインクが貯留される。3つのインクカートリッジCLは、内部空間に貯留されるインクの色が異なるほかは同様の構造なので、以下、1つのインクカートリッジCLを例に詳細な構造が説明される。
【0039】
インクカートリッジ30CLは、図4に示された起立状態、つまり、同図の下側の面を下面(下壁141)とし、同図の上側の面を上面(上壁139)として、前壁140の下側にインク供給部143が配置され、カートリッジ装着部110に対して矢印50で示される方向(以下「挿入及び取出方向50」と称する(図6参照)。)に沿って挿入又は取り出される。すなわち、インクカートリッジ30CLは、起立状態で、挿入及び取出方向50に沿ってカートリッジ装着部110に挿入され、また、起立状態で、挿入及び取出方向50に沿ってカートリッジ装着部110から抜き出される。この起立状態が、インクカートリッジ30CLがカートリッジ装着部110に装着された姿勢である装着姿勢に相当する。図6に示されるように、インクカートリッジ30CLがカートリッジ装着部110に挿入される向きが挿入向き56であり、抜き出される向きが取出向き55である。
【0040】
インクカートリッジ30CLは、例えば、略直方体形状の筐体131を有する。筐体131は、例えば、幅方向51に短く、高さ方向52と前後方向53が幅方向51よりも長い扁平形状である。インクカートリッジ30CLの筐体131は、インクカートリッジ30Bの筐体31よりも、幅方向51に短いが、高さ方向52及び前後方向53の寸法は同等である。つまり、筐体131は、筐体31よりも幅狭である。
【0041】
筐体131は、挿入向き56の前側の前壁140及び挿入向き56の後ろ側の後壁142を有している。インクカートリッジ30CLがカートリッジ装着部110へ挿入されるときに挿入向き56の前方側となる筐体31の壁が、前壁140であり、後方側となる筐体131の壁が、後壁142である。前壁140と後壁142とは、前後方向53(挿入及び取出方向50)において所定の距離を離れて配置されている。筐体131は、さらに、前壁140及び後壁142を接続する、挿入及び取出方向50に延びる一対の側壁137,138を有している。側壁137,138は、幅方向51において所定の距離を離れて位置していてもよい。筐体131は、さらに、側壁137,138と前壁140及び後壁142とを接続し、かつ前壁140の上端から後壁142の上端に向けて延びる上壁139、及び前壁140の下端から後壁142の下端に向けて延びる下壁141を有していてもよい。上壁139及び下壁141は、高さ方向52において所定の距離を離れて位置していてもよい。
【0042】
図4に示されるように、インク供給部143は、例えば、筐体131の前壁140における高さ方向52の下側に設けられている。また、インク供給部143の中心157は、前壁140における幅方向151の中心158と一致して配置されている。
【0043】
インク供給部143は、例えば、円筒形状の外形をなし、前壁140から前後方向153(挿入及び取出方向50)に沿って、インク室から離れる向き、つまり挿入向き56へ突出している。インク供給口171は、例えば、インク供給部143の先端付近において、開口するように形成されている。各図には現れていないが、インク供給部143の内部には、インク流路が形成されている。このインク流路は、インク供給口171から前後方向53に延びてインク室へ通じている。
【0044】
なお、各図には現れていないが、インク供給口171は、インクカートリッジ30Bと同様に、例えば、バルブなどによって開閉可能に構成されているか、フィルムやゴム栓などによりインク流路を開放可能に構成されている。インクカートリッジ30CLがカートリッジ装着部110に装着されると、カートリッジ装着部110に設けられたインク供給管122(図7参照)が、インク供給口171に挿入されることにより、バルブが開かれてインク供給口171が開放される。
【0045】
筐体131の前壁140の上側には、大気導入部172が設けられている。大気導入部172は、インク室からカートリッジ装着部110に設けられたインク供給管122内へインクが流出されるのに伴い、インク室内へ大気を導入するためのものである。大気導入部172は、前述されたインク供給部143と同様に、バルブなどにより開閉されるものであってもよいし、ラビリンス構造などにより常に筐体131の外部へ開口されているものであってもよい。なお、大気導入部172は必須のものではなく、例えば、インク室が袋で形成され、インクの減少に応じてインク室内の圧力が低下するものであってもよい。
【0046】
筐体131の前壁140の高さ方向152の中央には、インク室におけるインクの残量を検知するための検知部173が設けられている。検知部173は、インクカートリッジ30CLの前壁140のインク供給部143の上側からインク室から離れる向きに突出する凸部である。検知部173は、透光性を有する。したがって、検知部173を介してインク室内を外部から見てインクの残量を視認することや、光センサの発光素子から検知部173へ向けて光を照射し、検知部173を透過した光を受光素子で受光し、その受光量が閾値以上であるか否かによってインクの残量を判断することが可能となる。なお、検知部173内に、インク室の液面に応じて動くフロートと連動する遮光板が設けられていてもよい。また、この遮光板に代えて、インク室内の液面が検知部173に接しているか否かによって、発光素子から出射された光の全部又は一部を反射、回折、または減衰させるようにして、受光素子に至る光量を低下させるものが設けられていてもよい。
【0047】
図4,5に示されるように、筐体131の前壁140の下端には、例えば、挿入向き56へ突出する突起132が設けられている。突起132は、前壁140に設けられたインク供給部143の突出端よりも前側まで突出している。
【0048】
図4に示されるように、筐体131の上壁139には、例えば、上側へ突出するガイド部147が設けられている。ガイド部147は、例えば、上壁139の幅方向51の寸法より細い凸条であり、前壁140から後壁142の間に渡って前後方向53に沿って延び、凸条の側面と上壁との間には凹部が形成されている。ガイド部147の幅方向51の中心は、上壁139における幅方向51の中心と一致して配置されている。
【0049】
図4に示されるように、筐体131の下壁141には、下側へ突出するガイド部148が設けられている。ガイド部148は、例えば、下壁141の幅方向51の寸法より細い凸条であり、前壁140から後壁142の間に渡って前後方向53に沿って延に、凸条の側面と上壁との間には凹部が形成されている。ガイド部148の幅方向51の中心は、下壁141における幅方向51の中心に一致して配置されている。
【0050】
図4,5に示されるように、ガイド部147における前後方向53の中央付近には、係止部145が形成されている。係止部145は、インクカートリッジ30CLの幅方向51及び/又は高さ方向52に拡がる係止面146を有する凹部である。インクカートリッジ30CLがカートリッジ装着部110に装着された状態で、後述される係合部材106が係止面146に係合する。
【0051】
図4,5に示されるように、回動部材180は、例えば、筐体131の後壁142側の上壁139側に設けられている。回動部材180は、例えば、L字形状の平板であり、その長手方向が前後方向53に沿うように配置されている。回動部材180は、先端部181と後端部182との間の屈曲された位置に、幅方向51へ延びる軸183を有する。回動部材180は、軸183周りに回動可能である。
【0052】
回動部材180において、前壁140側となる先端部181は、例えば、係止面146の近傍に配置されている。回動部材180の後端部182は、例えば、後壁142から若干突出されている。回動部材180の先端部181に外力が付与されていない状態では、回動部材180は、自重又はコイルバネに付勢されて、先端部181が係止部145の最も上側に位置している。このとき、先端部181は、係止部145より上側に突出している。この状態において、後端部182は、筐体131の上壁139に最も近づく。回動部材180の先端部181が係止部145の底側へ下向きへ押し下げられることにより、回動部材180は、例えば、自重に抗して図4における反時計回りへ回動する。また、回動部材180の後端部182が下向きへ押し下げられることにより、回動部材180は、図4における時計回りへ回動する。
【0053】
図5に示されるように、後壁142は、前壁140と対向し、側壁37,38、上壁39及び下壁41と連続する平面である。後壁142の高さ方向52に沿った角部162は、面取りされずに角張った形状となっている。角部162の形状は、後述される蓋12の湾曲部14の内面のRより小さなRであって、湾曲部14の内面に当接可能である。
【0054】
なお、本実施形態において、後壁42の高さ方向52に沿った角部が面取りされている、及び後壁142の高さ方向52に沿った角部162が面取りされていないという意味は、単に、角部がR加工されているか否かという意味ではなく、蓋12の湾曲部14の内面形状との関係において、閉姿勢の蓋12の湾曲部14の内面に当接しないように面取りされているか否かという意味である。したがって、蓋12の湾曲部14の内面形状が異なれば、湾曲部14の内面に当接したりしなかったりするので、蓋12の湾曲部14の内面形状との相対的な関係により、面取りされているか否かが判断される。
【0055】
[カートリッジ装着部110]
図6,7に示されるように、カートリッジ装着部110は、プリンタ10の正面の右端に配置されている。カートリッジ装着部110の筐体としてのケース101は、プリンタ10の正面側に開口112を有する箱形状である。ケース101は、プリンタ10の筐体11の内部空間に配置されている。ケース101の開口112側において、筐体11も開口しており、この開口が蓋12によって開閉可能である。インクカートリッジ30B,30CLは、蓋12が開姿勢にされた状態(図6参照)において、開口112を通じてケース101へ挿入又は取り出される。ケース101には、例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色に対応する4つのインクカートリッジ30B,30CLが収容可能である。
【0056】
図6,7に示されるように、蓋12は、筐体11の底付近に回動軸13を有する。回動軸13が筐体11に回動自在に支持されることにより、蓋12が、筐体11に対して回動自在に連結されている。図6に示されるように、蓋12が筐体11の開口を開放する姿勢が開姿勢と称される。図8に示されるように、蓋12が筐体11の開口を閉塞する姿勢が閉姿勢と称される。蓋12は、回動軸13周りに回動されることによって、開姿勢と閉姿勢とに姿勢変化される。
【0057】
蓋12は、細長な薄板であり、筐体11の角部が曲面にされているのに対応して、回動軸13が延びる方向の一方側の端に湾曲部14を有する。湾曲部14は、蓋12が閉姿勢にされた状態(図8参照)において、筐体11の角部の曲面の一部をなす。湾曲部12は、閉姿勢において、筐体11の正面及び側面を構成しており、湾曲部14の端面17がケース101の終面102側(筐体11の背面側)を向く。
【0058】
蓋12の端面17であって、回動軸13とは反対側となる先端側には、係止爪18が設けられている。係止爪18は、端面17から回動軸13が延びる方向に沿って蓋12の内側へ延出されており、その先端側が鈎形状に曲折されている。係止爪18は、筐体11の開口の縁に形成された係合部19に対して、湾曲部14の湾曲外側から進入して係合する。係止爪18が係合部19に係合することによって、蓋12が閉姿勢に保持される。
【0059】
図7に示されるように、ケース101は、挿入及び取出方向50において開口112とは対向位置にあって、ケース101の内部空間に面している終面102を有する。接続部103は、例えば、ケース101の終面102の下部に設けられている。接続部103は、終面102において、ケース101に装着されたインクカートリッジ30Bのインク供給部43に対応する位置に配置されている。なお、図7においては、インクカートリッジ30Bに対応するケース101の右端の終面102が現れており、他の位置においてはインクカートリッジ30CLが装着された状態が示されている。
【0060】
接続部103は、インク供給管122と、保持部121とを有する。同図には示されていないが、インク供給管122は、ケース101の背面側においてインクチューブ20に接続されている。各インク供給管122と接続された各インクチューブ20は、プリンタ10の記録ヘッド21へインクを流通可能に接続されている。
【0061】
保持部121は、例えば、ケース101の終面102に形成され、終面102の一部を円筒状に窪ませて形成されている。インク供給管122は、保持部121の中心に取出向き55に突出するように配置されている。インクカートリッジ30Bがカートリッジ装着部110に装着されると、円筒状のインク供給部43が円筒状の保持部121に挿入される。このとき、インク供給部43の外周面が保持部121を画定している面に接触、例えば、密着する。インク供給部43が保持部121へ挿入されると、インク供給管122がインク供給部43のインク供給口71に挿入され、インク供給管122がバルブを移動させる。これにより、閉位置のバルブが、コイルバネの付勢に抗して開位置へ移動されて、インク室36に貯留されているインクが外部へ流出可能となる。インク室36から流出されたインクは、水頭差等により、インク供給管122内へ流入し、インクチューブ20を通じて記録ヘッド21へ流れる。
【0062】
ロッド104は、例えば、ケース101の終面102の上部に設けられている。ロッド104は、終面102において、ケース101に装着されたインクカートリッジ30Bの大気導入部72に対応する位置に配置されている。インクカートリッジ30Bがカートリッジ装着部110に装着されると、ロッド104が大気導入部72に当接してバルブを移動させる。これにより、閉位置のバルブが、コイルバネの付勢に抗して開位置へ移動されて、インク室36の空気層が大気開放される。
【0063】
光センサ105は、例えば、ケース101の終面102の中央部に設けられている。光センサ105は、終面102において、ケース101に装着されたインクカートリッジ30Bの検知部73に対応する位置に配置されている。インクカートリッジ30Bがカートリッジ装着部110に装着されると、光センサ105の発光部と受光部との間に検知部73が位置する。光センサ105の発光部から照射された赤外光が検知部73を通過して受光部に受光される。検知部73が赤外光を遮断、減衰、反射等することにより、受光部が受光する光の強度が異なるので、その強度に基づいてインク室36のインク残量が判定される。
【0064】
ケース101の内部空間を区画する天面及び底面には、ガイドレール114,115がそれぞれ形成されている。ガイドレール114,115は、天面又は底面からそれぞれが上下方向に凹む溝である。この溝の幅は、インクカートリッジ30のガイド部47,48の幅より若干幅広である。ガイドレール114,115は、各々が、開口112から終面102に渡って直線状に延出されている。インクカートリッジ30がケース101の内部空間に挿抜されるときに、ガイドレール114,115にガイド部47,48が差し込まれ、インクカートリッジ30がケース101の開口112と終面102との間を直線状に案内される。
【0065】
図1に示されるように、係合部材106がケース101に設けられている。係合部材106は、カートリッジ装着部110に装着されたインクカートリッジ30を装着状態に保持するためのものである。係合部材106は、例えば、ケース101の開口112側の天面に設けられている。
【0066】
係合部材106は、例えば、支軸107を中心に揺動可能に形成されている。支軸107は、例えば、係合部材106の開口112側の天面端部に設けられている。この支軸107は、例えば、ケース101に取り付けられている。これにより、係合部材106は、ケース101の開口112付近の天面において、支軸107を中心に回動可能に支持される。係合部材106は、インクカートリッジ30の係止部45と係合可能である。係合部材106が係止部45と係合することにより、インクカートリッジ30がケース101に対して、スライド部材108の付勢力に抗して、装着位置に保持される。係合部材106が係止部45と係合可能な位置となる回動位置がロック位置と称され、係合部材106が係止部45と係合しない回動位置がアンロック位置と称される。
【0067】
係合部材106は、例えば、自重又はコイルバネによって、支軸107を中心として重力方向下向きへ回動する。回動部材80の先端部81が上側に移動すると、係合部材106が支軸107を中心に上側へ回動し、ロック位置からアンロック位置へ移動する。また、各図には示されていないが、例えば、係合部材106の可動範囲は、アンロック位置より下方へ移動しないように回動が規制されていてもよい。
【0068】
図1に示されるように、例えば、カートリッジ装着部110の終面102の下端側には、挿入向き56に拡大された空間が形成されている。この拡大された空間は、ガイドレール115の延長線上にある。この拡大された空間には、スライド部材108が挿入及び取出方向50へスライド(水平移動)可能に設けられている。スライド部材108は、例えば、概ね直方体の外形をなしており、ガイドレール115の延長線上に位置する。スライド部材108は、インクカートリッジ30の突起32の進入経路にオーバーラップしており、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110へ装着される過程において、突起32に当接し得る。
【0069】
スライド部材108が収容されている空間の終面とスライド部材108との間には、コイルバネ109が圧縮状態で設けられている。スライド部材108は、コイルバネ109によって取出向き55へ付勢されている。従って、スライド部材108は、外力が付与されない位置において、例えば、空間における前面と接することにより、移動が規制されている。インクカートリッジ30の突起32がスライド部材108に接した状態から、さらにインクカートリッジ30が挿入されるとき、スライド部材108の移動に伴って、コイルバネ109が収縮される。
【0070】
[インクカートリッジ30の装着動作]
以下、インクカートリッジ30B,30CLがカートリッジ装着部110にそれぞれ装着される動作を説明する。
【0071】
インクカートリッジ30Bは、インクカートリッジ30CLより幅広であり、カートリッジ装着部110において、右端側に装着されるものである。インクカートリッジ30Bを装着するにあたり、まず、プリンタ10の筐体11の蓋12が閉姿勢から開姿勢に姿勢変化される。これにより、プリンタ10の正面側にカートリッジ装着部110のケース101の開口112が露出される。
【0072】
インクカートリッジ30Bは、開口112を通って、インクカートリッジ30Bの前壁40側から挿入される。インクカートリッジ30Bが開口112に挿入されると、インクカートリッジ30Bのガイド部47,48が、ケース101のガイドレール114,115へそれぞれ進入する。ガイド部47,48がガイドレール114,115に差し込まれ、インクカートリッジ30Bが開口112から終面102へ真っ直ぐに案内される。
【0073】
インクカートリッジ30Bの前壁40が係合部材106付近までケース101へ挿入されると、筐体31が係合部材106に接する。更にインクカートリッジ30がカートリッジ装着部110へ挿入されると、係合部材106がガイド部47の上面へ乗り上げり、係合部材106が図1における反時計回りに回動して、ロック位置からアンロック位置へ移動する。
【0074】
インクカートリッジ30Bがカートリッジ装着部110に装着する途中過程において、インク供給部43は保持部121に接し、インク供給管122が、インク供給部43のインク供給口71に挿入される。また、大気導入部72は、ロッド104と当接して開放される。また、検知部73は、光センサ105の検知位置に到達する。
【0075】
また、インクカートリッジ30Bがカートリッジ装着部110に装着する途中過程において、突起32がスライド部材108に当接し、さらにインクカートリッジ30Bが挿入向き56へ移動されると、スライド部材108が、コイルバネ109の付勢に抗して終面側へ移動される。
【0076】
図1に示されるように、インクカートリッジ30Bが装着位置に到達すると、筐体31の係止部45における係止面46が、係合部材106の係合部材106を挿入向き56へ通り過ぎる。これにより、係合部材106の係合部材106がガイド部47の上面に支持されなくなるので、係合部材106が図1における時計回りへ回動して係合部145に位置し、係合部材106が係止面46に接する。係合部材106が係止部45に係合することにより、コイルバネ109の付勢に抗して、インクカートリッジ30Bが装着位置に保持される。このようにして、カートリッジ装着部110へのインクカートリッジ30Bの装着が完了する。
【0077】
インクカートリッジ30Bの装着が完了すると、プリンタ10の筐体11の蓋12が開姿勢から閉姿勢へ姿勢変化される。前述されたように、インクカートリッジ30Bの後壁42における第2面62は、蓋12の湾曲部14の内面形状に沿って湾曲した曲面である。したがって、図8に示されるように、蓋12が閉姿勢にされても、後壁42が蓋12の内面に当接しない。蓋12が閉姿勢にされ、蓋12の係止爪18が筐体11の係合部19に係合することにより、蓋12が閉姿勢に保持される。
【0078】
なお、インクカートリッジ30のインク室36内のインクが消費されると、使用済みのインクカートリッジ30がカートリッジ装着部110から取り外され、新しいインクカートリッジ30が装着される。
【0079】
インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110から取り外されるときには、前述と同様に、筐体11の蓋12が閉姿勢から開姿勢へ姿勢変化される。そして、回動部材80の後端部82が、ユーザによって下向きへ押し下げられる。回動部材80の後端部82は、後壁42より手前側に位置しているので、ユーザは、インクカートリッジ30の後壁42側から回動部材80を操作することができる。これにより、回動部材80の先端部81が上向きへ移動して、係止部45の底面から離間する。この先端部81の移動に伴って、係合部材106が、回動部材80の先端部81により上側へ押し上げられる。したがって、係合部材106の係合部材106が係止面46より上側となるまで、つまり係合部材106が係止面46から離間するまで係合部材106が回動される。すなわち、係合部材106がロック位置からアンロック位置まで回動されて、係合部材106によるインクカートリッジ30の保持が解除される。
【0080】
係合部材106の係合部材106が係止面46から離間されることにより、筐体31に付与されている外力、すなわちコイルバネ109による付勢力によって、筐体31を取出向き55へ移動させる力が作用する。一方、ユーザが回動部材80を下向きへ押し下げているので、コイルバネ109による付勢力は、回動部材80を介して、ユーザの手によって受け止められる。そして、ユーザが手を取出向き55へ引いていくことにより、コイルバネ73,126の付勢力によって、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110の開口112へ向かって移動する。
【0081】
次ぎに、インクカートリッジ30CLが誤ってインクカートリッジ30Bが装着されるべき位置、つまりカートリッジ装着部110のケース101の右端に装着された場合の動作を説明する。
【0082】
インクカートリッジ30CLは、インクカートリッジ30Bより幅狭なので、幅広のインクカートリッジ30Bが装着可能なカートリッジ装着部110の右端側に挿入することが可能である。したがって、ユーザが、誤ってカートリッジ装着部110の右端にインクカートリッジ30CLを挿入することがあり得る。
【0083】
前述と同様にして、プリンタ10の筐体11の蓋12が閉姿勢から開姿勢に姿勢変化された後、インクカートリッジ30CLは、開口112を通じて前壁140側からケース101へ挿入される。インクカートリッジ30CLは、前述と同様にして、ケース101に挿入され、インク供給部143が保持部121に接し、インク供給管122が、インク供給部143のインク供給口171に挿入され、大気導入部172は、ロッド104と当接して開放される。また、検知部173は、光センサ105の検知位置に到達する。
【0084】
また、インクカートリッジ30CLがカートリッジ装着部110に装着する途中過程において、突起132がスライド部材108に当接し、さらにインクカートリッジ30CLが挿入向き56へ移動されると、スライド部材108が、コイルバネ109の付勢に抗して終面側へ移動される。そして、係合部材106が係止部145に係合することにより、コイルバネ109の付勢に抗して、インクカートリッジ30CLが装着位置に保持される。
【0085】
続いて、プリンタ10の筐体11の蓋12が開姿勢から閉姿勢へ姿勢変化される過程において、図9に示されるように、後壁142の角部162が蓋12の湾曲部14の内面に当接する。同図においては、蓋12及び角部162を上方から視た状態を示しており、蓋12の湾曲部14の内面は、角部162の下側と当接する。この当接位置が、同図において参照符号59を付した矢印で示されている。この当接により、蓋12の上側にある係止爪18(図6参照)は、係合部19(図6参照)まで到達することができず、蓋12が開姿勢から閉姿勢に姿勢変化することが制止される。つまり、蓋12を閉姿勢にすることができないので、ユーザはインクカートリッジ30CLを誤った位置に装着したことを認識する。また、前述されたように、蓋12の湾曲部14の内面が角部162と当接した状態において、ユーザが、蓋12の回動先端側を無理に押し込んで閉姿勢にしようとすると、湾曲部14と角部162との当接によって、矢印54で示される方向へ、蓋12の湾曲部14が変形する。係止部18は係合部19に対して外側から係合するものなので、この湾曲部14の変形によって、係止部18が係合部19と係合した状態に維持されることがない。したがって、ユーザが蓋12を押し込むことを止めると、蓋12は、湾曲部14の変形が弾性復帰して、閉姿勢とはならない。
【0086】
[本実施形態の作用効果]
本実施形態によれば、インクカートリッジ30Bは、後壁42の角部が面取りされているので、外形から種別が容易に判断可能である。また、インクカートリッジ30CLは、後壁142の角部162が閉姿勢に姿勢変化する蓋12の湾曲部14と当接するので、インクカートリッジ30CLが、インクカートリッジ30Bが装着されるべき右端側に装着されると、蓋12を閉姿勢とすることができない。蓋12が閉まらないことにより、ユーザは、インクカートリッジ30CLの誤装着を認識する。
【0087】
また、蓋12は、湾曲部14の端部に設けられた係止爪18が、筐体11の係合部19に湾曲外側から係合することにより、閉姿勢に保持されるものである。前述されたように、蓋12がインクカートリッジ30CLの角部162に当接した状態から、ユーザが蓋12を無理に押し込んだとしても、湾曲部14の湾曲半径が大きくなる向き(矢印54)へ蓋12が変形する。これにより、係止爪18が係合部19と係合することができない。よって、ユーザが蓋12を無理に押し込むことを止めると、蓋12は閉姿勢に保持されることなく、変形された状態から弾性的に元の形状に戻る。蓋12を閉姿勢に維持できないことによって、ユーザは、インクカートリッジ30CLの誤装着を認識することができる。
【0088】
また、インクカートリッジ30Bは、顔料系のインクを貯留するものであり、インクカートリッジ30CLは、染料系のインクを貯留するものなので、インクカートリッジ30CLがインクカートリッジ30Bが装着されるべき位置に装着されて、インクチューブ20内などにおいて、種類の異なるインクが混合されて固化されることが防止される。
【0089】
また、インクカートリッジ30Bは、黒色のインクを貯留するものであり、インクカートリッジ30CLは、シアン・マゼンタ・イエローの何れかの色のインクを貯留するものなので、インクカートリッジ30CLがインクカートリッジ30Bが装着されるべき位置に装着されて、インクチューブ20内などにおいてインクの混色が生じることが防止される。
【0090】
[変形例]
図10に示されるように、インクカートリッジ30CLの後壁142の下部が前壁140側に凹んだ形状とされることにより、蓋12において、インクカートリッジ30CLの角部162が当接する当接位置117から回動軸13までの第1距離D1は、当接位置117から回動先端118までの第2距離D2より長くなる(第1距離D1>第2距離D2)。これにより、ユーザが蓋12の回動先端118側を無理に押し込んで閉姿勢にしようとしたときに、回動軸13に加わる力を小さくすることができ、回動軸13が筐体11から外れることが防止できる。
【0091】
なお、前述された実施形態においては、インクカートリッジ30Bの筐体31の第2面62が曲面であったが、第2面62は、平面や、前壁40側へ凹んで第1面61と前後方向53に段差を形成する面として構成されてもよい。
【0092】
また、前述された実施形態においては、インク供給部43が筐体31の前壁40において、幅方向51の中央からオフセットされて配置されていたが、インクカートリッジ30Bにおいて、このようなオフセットがなされずに、インク供給部42が前壁40の幅方向51の中央に配置されていてもよい。
【0093】
また、前述された実施形態においては、インクジェット方式のプリンタ10に対応して、印刷流体としてインクがインクカートリッジ30に収納される態様が示されているが、印刷流体としてはインクに限られず、例えば、電子写真式の画像形成装置に対応する印刷流体としてのトナーを収納したカートリッジなどにも本発明を適用することは可能である。
【符号の説明】
【0094】
10・・・プリンタ(記録装置)
11・・・筐体
12・・・蓋
13・・・回動軸
14・・・湾曲部
18・・・係止爪
19・・・係合部
30B・・・インクカートリッジ(第1印刷流体カートリッジ)
30CL・・・インクカートリッジ(第2印刷流体カートリッジ)
42,142・・・後壁
101・・・ケース
110・・・カートリッジ装着部
112・・・開口
162・・・角部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の印刷流体カートリッジが開口を介してそれぞれ装着可能なカートリッジ装着部を備えた記録装置であって、
上記カートリッジ装着部は、上記開口を通じて上記印刷流体カートリッジがそれぞれ挿入されるケースと、回動軸周りに回動されることにより、上記開口を閉じる閉姿勢及び上記開口を開く開姿勢に姿勢変化する平板形状の蓋と、を具備しており、
上記蓋は、上記回動軸に沿った幅方向の一端側が、その一端側の端面が閉姿勢において上記ケースの終面側を向くように湾曲された湾曲部を有しており、
上記ケースのうち上記蓋の一端側に挿入されるべき第1印刷流体カートリッジは、上記ケースへの挿入向きにおける後壁の高さ方向に沿った角部が、閉姿勢における上記蓋の湾曲部と当接しないように面取りされており、
上記ケースのうち上記蓋の一端側以外に挿入されるべき第2印刷流体カートリッジは、上記ケースへの挿入向きにおける後壁の高さ方向に沿った角部が、開姿勢から閉姿勢へ姿勢変化する上記蓋の湾曲部と当接して閉姿勢への姿勢変化を制止するものである記録装置。
【請求項2】
上記蓋において、上記第2印刷流体カートリッジの角部と当接する箇所から上記回動軸までの第1距離は、当該箇所から回動先端までの第2距離より長い請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
上記蓋は、上記湾曲部の端部に設けられた係止爪が、上記記録装置の筐体の係合部に湾曲外側から係合することにより、閉姿勢に保持されるものである請求項1又は2に記載の記録装置。
【請求項4】
上記第1印刷流体カートリッジにおける上記角部は、上記蓋の湾曲部に沿う曲面である請求項1から3のいずれかに記載の記録装置。
【請求項5】
上記第1印刷流体カートリッジは、顔料系のインクを貯留するものであり、
上記第2印刷流体カートリッジは、染料系のインクを貯留するものである請求項1から4のいずれかに記載の記録装置。
【請求項6】
上記第1印刷流体カートリッジは、黒色の印刷流体を貯留するものであり、
上記第2印刷流体カートリッジは、黒色以外の印刷流体を貯留するものである請求項1から4のいずれかに記載の記録装置。
【請求項7】
上記第1印刷流体カートリッジは、上記第2印刷流体カートリッジよりも貯留可能な印刷流体の容量が大きいものである請求項1から4のいずれかに記載の記録装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−56508(P2013−56508A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−197189(P2011−197189)
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】