説明

記録装置

【課題】ロール状に巻かれた記録媒体を巻き戻す際に、記録媒体を損傷することなく斜行補正することが可能な記録装置を提供すること。
【解決手段】ロール状の記録媒体に巻き取りを行う際に、2組の搬送ローラ対を介して巻取りを行い、ロール状の記録媒体に近い側の搬送ローラ対の搬送速度をロール状の記録媒体に遠い側の搬送ローラ対の搬送速度よりも遅く設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は記録媒体を搬送する搬送ローラのローラ速度制御機構を備えた記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ロール状に巻かれた長尺板材を送り出して、ループを形成して巻き取るループ制御装置が開示される。この装置は、板材のスリッタラインのループ制御に係り、ループ形状を検出することで巻取りロールの速度を自動補正し、板材へ引張力あるいは圧縮力による障害を及ぼさなくするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平1−127116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
記録装置において、ロール状に巻かれた記録媒体は、記録終了後にはカッタで切断されて排出され、記録媒体の記録されなかった領域は、送り戻してロールに巻き戻すのが通常である。また、ロール状に巻かれた記録媒体を送り出す際には、記録部の上流側にループ制御部が設けられており、このループ制御部と記録部との間に設けられた斜行矯正機構によって記録媒体搬送における斜行を矯正している。斜行矯正機構を通過する前で、記録媒体の搬送に斜行が生じている場合に、その記録媒体でループを形成すると、そのループ部はねじれを生じている。このように斜行が生じた状態のまま上記の送り戻しを行なうと、ループ部のねじれによりループ部と巻取り部との間で斜行を大きくしてしまう。
【0005】
また、斜行を補正するために記録媒体の搬送部に記録媒体の端部をガイドするガイド部を設けて斜行補正することが行われている。しかし、そのガイド部への記録媒体の当接によって記録媒体が損傷してしまうことがあった。
【0006】
よって本発明は、上記課題の認識に基づいてなされたものであり、ロール状に巻かれた記録媒体を巻き戻す際に、記録媒体を損傷することなく斜行補正することが可能な記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのため本発明の記録装置は、第1のローラ対および第2のローラ対によって、ロール状に巻かれた記録媒体をロールから引き出して搬送する搬送部と、前記搬送部によって搬送された記録媒体に記録する記録部と、前記記録媒体を記録時の搬送方向とは逆方向に搬送して前記ロールに巻取る際には、前記第2のローラ対の後に前記第1のローラ対を経て搬送された前記記録媒体を巻き取る制御を行う巻き取り制御部と、前記第1のローラ対と前記第2のローラ対との間に前記記録媒体の斜行を補正するガイド部材と、を備えた記録装置において、前記巻き取り制御の際には、前記第1のローラ対による前記記録媒体の搬送速度を、前記第2のローラ対による前記記録媒体の搬送速度よりも遅くすることで、前記第1のローラ対と前記第2のローラ対との間に前記記録媒体のループを形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば記録装置は、巻き取り制御の際には、第1のローラ対による記録媒体の搬送速度を、第2のローラ対による記録媒体の搬送速度よりも遅くすることで、第1のローラ対と第2のローラ対との間に記録媒体のループを形成する。これによって、ロール状に巻かれた記録媒体を巻き戻す際に、記録媒体を損傷することなく斜行補正することが可能な記録装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態を適用可能な記録装置の断面の概略図である。
【図2】制御部の概念を示すブロック図である。
【図3】片面記録モードでの動作を説明するための図である。
【図4】カッタ部で記録媒体を切断した直後の状態を示した図である。
【図5】両面記録モードでの動作を説明するための図である。
【図6】(a)、(b)は、斜行矯正部の詳細を説明するための図である。
【図7】(a)、(b)は、記録媒体供給部の詳細を説明するための図である。
【図8】(a)、(b)は、搬送ローラ対近傍の詳細を説明した図である。
【図9】記録媒体供給部が複数存在する場合を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明のインクジェット方式を用いた記録装置の実施形態について説明する。本実施形態の記録装置は、長尺で連続した記録媒体(搬送方向において繰り返しの記録単位(1ページあるいは単位画像という)の長さよりも長い連続した記録媒体)を使用し、片面記録および両面記録の両方に対応した高速ラインプリンタである。このような記録装置は、例えば、記録ラボ等における大量の枚数の記録を行うのに適している。なお本明細書では、1つの記録単位(1ページ)の領域内に複数の小さな画像や文字や空白が混在していたとしても、当該領域内に含まれるものをまとめて1つの単位画像という。つまり単位画像とは、連続した記録媒体に複数のページを順次記録する場合の1つの記録単位(1ページ)を意味する。記録する画像サイズに応じて単位画像の長さは異なる。例えば、L版サイズの写真では記録媒体搬送方向の長さは135mm、A4サイズでは記録媒体搬送方向の長さは297mmとなる。
【0011】
本発明はプリンタ、プリンタ複合機、複写機、ファクシミリ装置、各種デバイスの製造装置などの記録装置に広く適用可能である。記録処理はインクジェット方式、電子写真方式、熱転写方式、ドットインパクト方式、液体現像方式など方式は問わない。また、本発明は記録処理に限らずロール記録媒体に種々の処理(記録、加工、塗布、照射、読取、検査など)を行なう記録媒体処理装置にも適用可能である。
【0012】
図1は、本実施形態を適用可能な記録装置の内部構成が分かるように示した断面の概略図である。本実施形態の記録装置は、ロール状に巻かれた記録媒体を用いて、記録媒体の第1面と第1面の背面側の第2面とに両面記録することが可能となっている。記録装置内部には、大きくは、記録媒体供給部1、デカール部2、斜行矯正部3、記録部4、検査部5、カッタ部6、情報記録部7、乾燥部8、反転部9、排出搬送部10、ソータ部11、排出部12、加湿部20、制御部13の各ユニットを備えている。記録媒体は、図中の実線で示した記録媒体搬送経路に沿って、ローラ対やベルトからなる搬送機構で搬送され、各ユニットで処理がなされる。なお、記録媒体搬送経路の任意の位置において、記録媒体供給部1に近い側を「上流」、その逆側を「下流」という。
【0013】
記録媒体供給部1は、ロール状に巻かれた連続する記録媒体を保持して供給するためのユニットである。記録媒体供給部1は、2つのロールR1、R2を収納することが可能であり、択一的に記録媒体を引き出して供給する構成となっている。なお、収納可能なロールは2つであることに限定はされず、1つ、あるいは3つ以上を収納するものであってもよい。
【0014】
デカール部2は、記録媒体供給部1から供給された記録媒体のカール(反り)を軽減させるユニットである。デカール部2では、1つの駆動ローラに対して2つのピンチローラを用いて、記録媒体のカールの逆向きの反りを与える方向(所定の方向)に記録媒体を湾曲させて通過させる。このようにデカール力を作用させカールを軽減させる。デカール部2はデカール力を調整することが可能となっている。
【0015】
斜行矯正部3は、デカール部2を通過した記録媒体の斜行(本来の進行方向に対する傾き)を矯正するユニットである。この斜行矯正部3では、基準となる側の記録媒体端部をガイド部材に押し付けることにより、記録媒体の斜行を矯正する。
【0016】
記録部4は、搬送される記録媒体に対して上方から記録ヘッド14により記録媒体上に記録処理を行なって画像を形成するユニットである。つまり、記録部4は記録媒体に所定の記録処理を行なう処理部である。記録部4は、記録媒体を搬送する複数の搬送ローラも備えている。記録ヘッド14は、使用が想定される記録媒体の最大幅をカバーする範囲でインクジェット方式のノズル列が形成されたライン型記録ヘッドを有する。記録ヘッド14は、複数の記録ヘッドが搬送方向に沿って平行に並べられている。本実施形態では記録装置はC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、LC(ライトシアン)、LM(ライトマゼンタ)、G(グレー)、K(ブラック)の7色に対応した7つの記録ヘッドを有する。なお、色数および記録ヘッドの数は7つには限定はされない。インクジェット方式は、発熱素子を用いた方式、ピエゾ素子を用いた方式、静電素子を用いた方式、MEMS素子を用いた方式等を採用することができる。各色のインクは、インクタンクからそれぞれインクチューブを介して記録ヘッド14に供給される。後述するように、記録部4において、記録ヘッド14は記録媒体から退避する方向に移動可能となっている。これにより、記録媒体に対する記録ヘッド14の間隔が調整される。
【0017】
検査部5は、記録部4で記録媒体に記録された検査パターンや画像をスキャナによって光学的に読み取って、記録ヘッドのノズルの状態、記録媒体搬送状態、画像位置等を検査して画像が正しく記録されたかを判定するためのユニットである。スキャナはCCDイメージセンサやCMOSイメージセンサを有する。
【0018】
カッタ部6は、記録後の記録媒体を所定長さに切断する機械的なカッタを備えたユニットである。カッタ部6は、記録媒体を次工程に送り出すための複数の搬送ローラも備えている。
【0019】
情報記録部7は、切断された記録媒体の非記録領域に記録のシリアル番号や日付などの記録情報(固有の情報)を記録するユニットである。記録はインクジェット方式、熱転写方式などで文字やコードを記録することで行なわれる。また、情報記録部7の上流側且つカッタ部6の下流側には、切断された記録媒体の先端エッジを検知するセンサ23が設けられている。つまりセンサ23は、カッタ部6と情報記録部7の記録位置との間で記録媒体の端部を検知する。このセンサ23の検知タイミングに基づいて、情報記録部7で情報記録するタイミングが制御される。
【0020】
乾燥部8は、記録部4で記録された記録媒体を加熱して、付与されたインクを短時間に乾燥させるためのユニットである。乾燥部8の内部では、通過する記録媒体に対して少なくとも下面側(記録媒体の記録面側)から熱風を付与してインク付与面を乾燥させる。なお、乾燥方式は熱風を付与する方式に限らず、電磁波(紫外線や赤外線など)を記録媒体表面に照射する方式であってもよい。
【0021】
以上の記録媒体供給部1から乾燥部8までの記録媒体搬送経路を第1経路と称する。第1経路は、記録部4から乾燥部8までの間にUターンする形状を有し、カッタ部6はUターンの形状の途中に位置している。
【0022】
反転部9は、両面記録を行う際に表面記録が終了した連続記録媒体を一時的に巻き取って表裏反転させるためのユニットである。反転部9は、乾燥部8を通過した記録媒体を再び記録部4に供給するための、乾燥部8からデカール部2を経て記録部4に到る経路(ループパス)(第2経路と称する)の途中に設けられている。反転部9は、記録媒体を巻き取るための回転する巻取回転体(ドラム)を備えており、表面の記録が済んで切断されていない連続記録媒体は巻取回転体に一時的に巻き取られる。巻き取りが終わったら、巻取回転体が逆回転して巻き取り済み記録媒体はデカール部2に供給され、記録部4に送られる。この記録部4に送られた記録媒体は、表裏反転しているので記録部4で裏面に記録を行うことができる。両面記録のより具体的な動作については後述する。
【0023】
排出搬送部10は、カッタ部6で切断され乾燥部8で乾燥させられた記録媒体を搬送して、ソータ部11まで記録媒体を受け渡すためのユニットである。排出搬送部10は、反転部9が設けられた第2経路とは異なる経路(第3経路と称する)に設けられている。第1経路を搬送されてきた記録媒体を第2経路と第3経路とのいずれか一方に選択的に導くために、経路の分岐位置には可動フラッパを有する経路切替機構が設けられている。
【0024】
ソータ部11と排出部12は、記録媒体供給部1の側部で且つ第3経路の末端に設けられている。ソータ部11は必要に応じて記録済み記録媒体をグループ毎に仕分けるためのユニットである。仕分けられた記録媒体は、複数のトレイからなる排出部12に排出される。このように、第3経路は記録媒体供給部1の下方を通過して、記録媒体供給部1を挟んで記録部4や乾燥部8とは逆側に記録媒体を排出するレイアウトとなっている。
【0025】
以上のように、記録媒体供給部1から乾燥部8までが第1経路に順に設けられている。乾燥部8の先は第2経路と第3経路に分岐され、第2経路は途中に反転部9が設けられ反転部9の先は第1経路に合流する。第3経路の末端には排出部12が設けられている。
【0026】
加湿部20は加湿気体(空気)を生成して、記録部4の記録ヘッド14と記録媒体の間に供給するためのユニットである。これにより、記録ヘッド14のノズルのインク乾燥が抑制される。加湿部20の加湿方式は、気化式、水噴霧式、蒸気式などの方式が採用される。気化式には、本実施形態の回転式の他に、透湿膜式、滴下浸透式、毛細管式などがある。水噴霧式には、超音波式、遠心式、高圧スプレー式、2流体噴霧式などがある。蒸気式には、蒸気配管式、電熱式、電極式などがある。加湿部20と記録部4とは、第1ダクト21で接続され、更に加湿部20と乾燥部8は第2ダクト22で接続されている。乾燥部8では記録媒体を乾燥させる際に多湿且つ高温の気体が生成される。この気体は第2ダクト22を通して加湿部20に導入されて、加湿部20での加湿気体生成の補助エネルギとして利用される。そして、加湿部20で生成された加湿気体は第1ダクト21を通して記録部に導入される。
【0027】
制御部13は、記録装置全体の各部の制御を司るユニットである。制御部13は、CPU、記憶装置、各種制御部を備えたコントローラ、外部インターフェース、およびユーザが入出力を行う操作部15を有する。記録装置の動作は、コントローラまたはコントローラに外部インターフェースを介して接続されるホストコンピュータ等のホスト装置16からの指令に基づいて制御される。
【0028】
図2は、制御部13の概念を示すブロック図である。制御部13に含まれるコントローラ(破線で囲んだ範囲)は、CPU201、ROM202、RAM203、HDD204、画像処理部207、エンジン制御部208、個別ユニット制御部209から構成される。CPU201(中央演算処理部)は、記録装置の各ユニットの動作を統合的に制御する。ROM202はCPU201が実行するためのプログラムや記録装置の各種動作に必要な固定データを格納する。RAM203は、CPU201のワークエリアとして用いられたり、種々の受信データの一時格納領域として用いられたり、各種設定データを記憶させたりする。HDD204(ハードディスク)は、CPU201が実行するためのプログラム、記録データ、記録装置の各種動作に必要な設定情報を記憶読出することが可能である。操作部15は、ユーザとの入出力インターフェースであり、ハードキーやタッチパネルの入力部、および情報を提示するディスプレイや音声発生器などの出力部を含む。
【0029】
高速なデータ処理が要求されるユニットについては専用の処理部が設けられている。画像処理部207は、記録装置で扱う記録データの画像処理を行う。つまり画像処理部207は、入力された画像データの色空間(たとえばYCbCr)を、標準的なRGB色空間(たとえばsRGB)に変換したり、画像データに対し解像度変換、画像解析、画像補正等、様々な画像処理が必要に応じて施される。これらの画像処理によって得られた記録データは、RAM203またはHDD204に格納される。エンジン制御部208は、CPU201等から受信した制御コマンドに基づいて記録データに応じて記録部4の記録ヘッド14の駆動制御を行なう。エンジン制御部208は更に記録装置内の各部の搬送機構の制御も行なう。個別ユニット制御部209は、記録媒体供給部1、デカール部2、斜行矯正部3、検査部5、カッタ部6、情報記録部7、乾燥部8、反転部9、排出搬送部10、ソータ部11、排出部12、加湿部20の各ユニットを個別に制御するためのサブコントローラである。CPU201による指令に基づいて個別ユニット制御部209によりそれぞれのユニットの動作が制御される。外部インターフェース205は、コントローラをホスト装置16に接続するためのインターフェース(I/F)であり、ローカルI/FまたはネットワークI/Fである。以上の構成要素はシステムバス210によって接続されている。
【0030】
ホスト装置16は、記録装置に記録を行わせるための画像データの供給源となる装置である。ホスト装置16は、汎用または専用のコンピュータであってもよいし、画像リーダ部を有する画像キャプチャ、デジタルカメラ、フォトストレージ等の専用の画像機器であってもよい。ホスト装置16がコンピュータの場合は、コンピュータに含まれる記憶装置にOS、画像データを生成するアプリケーションソフトウェア、記録装置用の記録装置ドライバがインストールされる。なお、以上の処理の全てをソフトウェアで実現することは必須ではなく、一部または全部をハードウェアによって実現するようにしてもよい。
【0031】
次に、記録時の基本動作について説明する。記録は、片面記録モードと両面記録モードとでは動作が異なるので、それぞれについて説明する。
【0032】
図3は、片面記録モードでの動作を説明するための図である。また図4は、カッタ部6で記録媒体を切断した直後の状態を示した図である。記録媒体供給部1から供給された記録媒体が、記録部4で記録されて排出部12に排出されるまでの搬送経路を太線で示している。記録媒体供給部1から記録媒体が供給され、デカール部2、斜行矯正部3でそれぞれ処理された記録媒体は、記録部4において表面(第1面)の記録がなされる。長尺の連続記録媒体に対して、搬送方向における所定の単位長さの画像(単位画像)を順次記録して複数の画像を並べて形成していく。記録された記録媒体は検査部5を経て、カッタ部6において単位画像ごとに切断される。切断されたカット記録媒体は、必要に応じて情報記録部7で記録媒体の裏面に記録情報が記録される。そしてカット記録媒体は1枚ずつ乾燥部8に搬送され乾燥が行なわれる。その後、排出搬送部10を経由して、ソータ部11の排出部12に順次排出され積載されていく。一方、図4のように最後の単位画像の切断で記録部4の側に残された記録媒体は、記録媒体供給部1に送り戻されて、記録媒体がロールR1またはR2に巻き取られる。後述するように、この送り戻しの際には、デカール部2でのデカール力が小さくなるよう調整され、且つ記録ヘッド14が記録媒体から退避するようになっている。
【0033】
このように、片面記録においては、記録媒体は第1経路と第3経路を通過して処理され、第2経路は通過しない。以上をまとめると、片面記録モードにおいては制御部13の制御により、以下(1)〜(6)のシーケンスが実行される。
(1)記録媒体供給部1から記録媒体を送り出して記録部4に供給する。
(2)供給された記録媒体の第1面に記録部4で単位画像の記録を繰り返す。
(3)第1面に記録した単位画像ごとにカッタ部6で記録媒体の切断を繰り返す。
(4)単位画像ごとに切断された記録媒体を1枚ずつ乾燥部8を通過させる。
(5)1枚ずつ乾燥部8を通過した記録媒体を、第3経路を通して排出部12に排出する。
(6)最後の単位画像を切断して記録部4の側に残された記録媒体を記録媒体供給部1に送り戻す。
【0034】
図5は、両面記録モードでの動作を説明するための図である。両面記録では、表面(第1面)記録シーケンスに次いで、裏面(第2面)記録シーケンスを実行する。最初の表面記録シーケンスでは、記録媒体供給部1から検査部5までの各ユニットでの動作は、上述の片面記録の動作と同じである。両面記録ではカッタ部6では切断動作は行わずに、連続記録媒体のまま乾燥部8に搬送される。乾燥部8での表面のインク乾燥の後、排出搬送部10の側の経路(第3経路)ではなく、反転部9の側の経路(第2経路)に記録媒体が導かれる。第2経路において記録媒体は、順方向(図面では反時計回り方向)に回転する反転部9の巻取回転体に巻き取られる。記録部4において、予定された表面の記録が全て終了すると、カッタ部6にて連続記録媒体の記録領域の後端が切断される。切断位置を基準に、搬送方向下流側(記録された側)の連続記録媒体は乾燥部8を経て反転部9で記録媒体後端(切断位置)まで全て巻き取られる。一方、反転部9での巻取りと同時に、切断位置よりも搬送方向上流側(記録部4の側)に残された連続記録媒体は、記録媒体先端(切断位置)がデカール部2に残らないように、記録媒体供給部1に送り戻されて、記録媒体がロールR1またはR2に巻き取られる。この送り戻し(バックフィード)によって、以下の裏面記録シーケンスで再び供給される記録媒体との衝突が避けられる。後述するように、この送り戻しの際には、デカール部2でのデカール力が小さくなるよう調整され、且つ記録ヘッド14が記録媒体から退避するようになっている。
【0035】
上述の表面記録シーケンスの後に、裏面記録シーケンスに切り替わる。反転部9の巻取回転体が巻き取り時とは逆方向(図面では時計回り方向)に回転する。巻き取られた記録媒体の端部(巻き取り時の記録媒体後端は、送り出し時には記録媒体先端になる)は、図の破線の経路に沿ってデカール部2に送り込まれる。デカール部2では巻取回転体で付与されたカールの矯正がなされる。つまり、デカール部2は第1経路において記録媒体供給部1と記録部4の間、ならびに第2経路において反転部9と記録部4の間に設けられて、いずれの経路においてもデカールの働きをする共通のユニットとなっている。記録媒体の表裏が反転した記録媒体は、斜行矯正部3を経て、記録部4に送られて、記録媒体の裏面に記録が行なわれる。記録された記録媒体は検査部5を経て、カッタ部6において予め設定されている所定の単位長さ毎に切断される。カット記録媒体は両面に記録されているので、情報記録部7での記録はなされない。カット記録媒体は1枚ずつ乾燥部8に搬送され、排出搬送部10を経由して、ソータ部11の排出部12に順次排出され積載されていく。
【0036】
このように両面記録においては、記録媒体は第1経路、第2経路、第1経路、第3経路の順に通過して処理される。以上をまとめると、両面記録モードにおいては制御部13の制御により以下(1)〜(11)のシーケンスが実行される。
(1)記録媒体供給部1から記録媒体を送り出して記録部4に供給する。
(2)供給された記録媒体の第1面に記録部4で単位画像の記録を繰り返す。
(3)第1面に記録された記録媒体を乾燥部8を通過させる。
(4)乾燥部8を通過した記録媒体を第2経路に導いて、反転部9が有する巻取回転体に巻き取っていく。
(5)第1面への繰返しの記録が済んだら最後に記録した単位画像の後ろでカッタ部6によって記録媒体を切断する。
(6)切断した記録媒体の端部が乾燥部8を通過して巻取回転体に達するまで巻取回転体に巻き取るとともに、切断して記録部4の側に残された記録媒体は記録媒体供給部1に送り戻す。
(7)巻取りが済んだら巻取回転体を逆回転させて、第2経路から再び記録部4に記録媒体を供給する。
(8)第2経路から供給される記録媒体の第2面に記録部4で単位画像の記録を繰り返す。
(9)第2面に記録した単位画像ごとにカッタ部6で記録媒体の切断を繰り返す。
(10)単位画像ごとに切断された記録媒体を1枚ずつ乾燥部8を通過させる。
(11)1枚ずつ乾燥部8を通過した記録媒体を、第3経路を通して排出部12に排出する。
【0037】
図6(a)、(b)は、斜行矯正部3の詳細を説明するための図である。図6(a)は斜行矯正部3を示す断面図であり、図6(b)は斜行矯正部3の上面図である。搬送ローラ対61と搬送ローラ対62とによりループ形成部63に記録媒体のループが形成される。ループ形成部63は、ループの最大量を検知するセンサ64と最小量を検知するセンサ65とで構成され、記録媒体の搬送中も所望のループ量が保たれるように搬送ローラ対61および62により搬送速度が制御される。ループ形成部63の下流部には、斜行補正機構部66が配置され、搬送された記録媒体の斜行を矯正する。このとき、斜行補正機構部66が斜行を矯正することによって、ループ形成部63では図6(b)で示す記録媒体(実線)67や記録媒体(点線)68のように、ねじれを生じる。
【0038】
図7(a)、(b)は、記録媒体供給部1の詳細を説明するための図である。図7(a)は、記録媒体供給部1の断面図であり、記録媒体にテンションを掛けながら巻き戻した際の状態を示す図である。図7(b)は、記録媒体供給部1の断面図で、テンションを徐々に緩めて巻き戻した際の状態を示す図である。また、図8(a)、(b)は、搬送ローラ対72近傍の詳細を説明した図である。図8(a)は断面図、図8(b)は上面図である。いったん搬送によって送り出された記録媒体を、ロール状に巻かれた記録媒体部71に巻き戻す際、記録媒体は搬送ローラ対72と搬送ローラ対73とによって搬送され、特別な搬送ローラの制御を行わなければ、搬送経路74内でテンションが掛けられた状態となる。記録終了後の巻き戻しでは、ループ形成部63と記録媒体供給部1の間で記録媒体がテンションを掛けられながら搬送すると、ループ形成部63で生じたねじれによって、ループ形成部63から記録媒体供給部1の間で斜行が大きくなる。
【0039】
搬送ローラ対72の下流側の近傍には、記録媒体の側部のエッジをガイドするガイド部材91が配置されている(図8参照)。斜行が大きくなった状態で、テンションを掛けながら記録終了後の巻き戻しを行うと、斜行している記録媒体がガイド部材91に強く当接することとなり、当接した部分の記録媒体に傷が生じてしまう。またガイド部材91当接しても、テンションが強いために記録媒体の斜行は補正されず、この補正されなかった分が記録媒体の傷となって巻き戻されてしまう。
【0040】
そこで本実施形態では、斜行量が大きくなることを防ぐために図7(b)で示した構成を採用している。つまり、搬送ローラ対72(第1の搬送ローラ)の搬送速度を、搬送ローラ対73(第2の搬送ローラ)の搬送速度より遅くし、搬送経路74内で記録媒体に掛かるテンションが緩む状態に制御する。このように制御することで、搬送ローラ対73と搬送ローラ対72との間における記録媒体の動きに自由度が増し、記録媒体がガイド部材91に当接しても、それに合わせて記録媒体が動くことができる。そのため、巻き取られる記録媒体がガイド部材91に強く当接することも無く、記録媒体に傷が生じることも無い。また同時に、巻き取り時にガイド部材91に当接した記録媒体が動いて斜行が補正されることは言うまでもない。
【0041】
このように、ロール状の記録媒体に巻き取りを行う際に、2組の搬送ローラ対を介して巻取りを行い、ロール状の記録媒体に近い側の搬送ローラ対の搬送速度をロール状の記録媒体に遠い側の搬送ローラ対の搬送速度よりも遅く設定する。そして、その2組の搬送ローラ対の間に記録媒体のガイド部を設ける。これによって、ロール状に巻かれた記録媒体を巻き戻す際に、記録媒体を損傷することなく斜行補正することが可能な記録装置を実現することができた。
【0042】
(他の実施形態)
以下、図面を参照して本発明の他の実施形態を説明する。なお、本実施形態の基本的な構成は上記実施形態と同様であるため、以下では特徴的な構成についてのみ説明する。
【0043】
前述の実施形態では記録媒体供給部1が1つの場合を説明したが、本実施形態では記録媒体供給部1が複数存在する場合を説明する。
【0044】
図9は、記録媒体供給部を複数備えた場合を説明するための図である。ロール状に巻かれた4つの記録媒体供給部81、82、83、84があり、それぞれに対して搬送ローラ対811、821、831、841が設けられている。搬送ローラ対85は、搬送経路812、822、832、842の合流部の下流側に配置されている。巻き戻しの際にループ形成部63で生じたねじれによる斜行を補正し記録媒体への損傷を軽減するため、搬送ローラ対85と搬送ローラ対811、821、831、841との間の搬送距離に応じて、搬送ローラ対811、821、831、841の速度を変える。具体的には、搬送ローラ対同士の間の搬送距離が長いほど搬送ローラ対811、821、831、841の速度が遅くなるように制御する。つまり、搬送距離が長い場合には距離に合わせてループのたるみ量も多く、距離が短い場合には距離に合わせてループのたるみ量が少なくなるようにして、距離に応じたループのたるみ量を形成する。これによって各記録媒体供給部の巻き戻し時に最適なループを形成する。このような構成によってロール状に巻かれた記録媒体を巻き戻す際に、記録媒体を損傷することなく斜行補正することが可能な記録装置を実現することができた。
【符号の説明】
【0045】
1 記録媒体供給部
3 斜行矯正部
6 カッタ部
13 制御部
63 ループ形成部
72 搬送ローラ対
73 搬送ローラ対
91 ガイド部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のローラ対および第2のローラ対によって、ロール状に巻かれた記録媒体をロールから引き出して搬送する搬送部と、
前記搬送部によって搬送された記録媒体に記録する記録部と、
前記記録媒体を記録時の搬送方向とは逆方向に搬送して前記ロールに巻取る際には、前記第2のローラ対の後に前記第1のローラ対を経て搬送された前記記録媒体を巻き取る制御を行う巻き取り制御部と、
前記第1のローラ対と前記第2のローラ対との間に前記記録媒体の斜行を補正するガイド部材と、
を備えた記録装置において、
前記巻き取り制御の際には、前記第1のローラ対による前記記録媒体の搬送速度を、前記第2のローラ対による前記記録媒体の搬送速度よりも遅くすることで、前記第1のローラ対と前記第2のローラ対との間に前記記録媒体のループを形成することを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記第1のローラ対を複数備え、それぞれの前記第1のローラ対による前記記録媒体の搬送速度は、前記第2のローラ対から当該第1のローラ対までの前記記録媒体の搬送経路が長いほど遅い速度であることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−86442(P2013−86442A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−231280(P2011−231280)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】