説明

設備の有効メンテナンスモニタ装置

【課題】設備の有効メンテナンスモニタ装置を提供する。
【解決手段】確率的危険評価法に基づいて、プラント全体の各システムについて、機能の安全重要度等級づけで監査する。設備のメンテナンス記録により、モジュールが分類して、また、即時にシステム機能の信頼度や有用性を監査でき、機能基準に到達や以上のものについて、モジュールから管理人員に通知して格別監査流れを実行できる。従って、高い安全重要度のシステム機能の状態を把握でき、メンテナンス作業の有効を確保でき、設備の信頼度が向上され、負荷低下やシャットダウンの確率が低減され、そして、エンジングループの安全が向上され、また、有用性や信頼度のバランスを調整や制御をして、オンラインメンテナンス管制の基礎が拡大され、そして、オーバーホール工期を短縮でき、発電効率が向上され、安全を保証する前提下、設備のメンテナンスコストを低減でき、そして、設備のメンテナンスが所定の有効性になるように確保でき、稼動安全が向上される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設備の有効メンテナンスモニタ装置に関し、特に、確率的危険評価(Probabilistic Risk Assessment、PRA)法に基づいて、プラント全体の各システムに対して、機能の安全重要度により等級づけして監査するものに関する。
【背景技術】
【0002】
科技の進歩と発展とともに、電力の応用も、既に生活の隅々に普及され、例えば、生活においての全ての行動等には電力が応用され、いずれかの原因により電力の供給ができなくなると、生活には極大の不便を来たし、そのため、如何に良い且つ安定な給電品質を維持することは、電力会社の一つである原子力発電所の役割である。
【0003】
米国原子力規制委員会は、原子力発電所のシャットダウンや負荷低下が設備のメンテナンスに関係することを発見し、そのため、1991年に、10CFR 50.65原子力発電所有効メンテナンスのモニタ方針を公告して、原子力発電所対して、設備の有効メンテナンスをモニタするメカニズムを要求し、そのため、米国の原子力発電所は各プラントの必要に応じて、単一ユニットバージョンメンテナンス規制データベース管理システムを作成する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の主な目的は、高い安全重要度システム機能状態を把握して、メンテナンス作業の有効を確保し、設備の信頼度を向上して、負荷低下やシャットダウンの確率及びエンジングループの安全を向上する。
【0005】
本発明の他の目的は、有用性(Availability)や信頼度(Reliability)のバランスを調整や制御をして、オンラインメンテナンス管制の基礎が拡大され、そして、オーバーホール工期を短縮でき、発電効率が向上される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の目的を達成するため、少なくとも、システム初期スクリーンフィルターと定義を実行する範囲選別基本データモジュールと、プラント全体の安全重要度を算出して、等級づけ監査を行う安全重要度解析モジュールと、信頼度限界値を算出して、それにより、機能基準を制定し、等級づけ監査の根拠とする機能基準制定モジュールと、各システムの機能利用不可の状態や時間数を記録する有用性データモジュールと、設備故障について、各システムの機能故障を判定する信頼度データモジュールと、即時に各システムの有用性データモジュールと信頼度データモジュールの状態をモニタし、機能基準限界値に到達したかを判断する即時モニタモジュールと、即時モニタモジュールにより供給された情報に基づいて、各システム機能の機能趨勢を把握し、また、即時に、予期の有効メンテナンスに到達していない作業について、修正措置を講ずる機能評価モジュールと、機能評価モジュールにより供給された情報に基づいて、格別監査を行い、機能趨勢を持続にモニタする格別監査モジュールとから構成される、設備の有効メンテナンスモニタ装置である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1〜図10は、それぞれ、本発明に係わる設備の有効メンテナンスモニタ装置の構成概念図と本発明の信頼度データモジュールの構成概念図、本発明の範囲選別データ入力インターフェース概念図、本発明の有用性データモジュール表示インターフェース概念図、本発明のシステム機能流れ概念図、本発明の非機能故障判定表示インターフェース概念図、本発明の機能故障判定表示インターフェース概念図、本発明の即時モニタモジュール表示インターフェース概念図、本発明の機能評価モジュール表示インターフェース概念図及び本発明の格別監査モジュール表示インターフェース概念図である。図のように、本発明は設備の有効メンテナンスモニタ装置であり、少なくとも、範囲選別基本データモジュール11と安全重要度解析モジュール12、機能基準制定モジュール13、有用性データモジュール14、信頼度データモジュール15、即時モニタモジュール16、機能評価モジュール17及び格別監査モジュール18から構成され、安全を保証する前提下、設備のメンテナンスコストを低減でき、そして、設備のメンテナンスが所定の有効性になるように確保でき、稼動安全が向上される。
【0008】
該範囲選別基本データモジュール11は、プラントの最後の十年ライセンス更新のシステムリストを基準として、各システムについて初期スクリーンフィルターを行い、これにより実際稼動に必要としないシステムを除外し、残りのシステムについて、一つずつ各システムが実行する機能を定義し、また、米国原子力規制委員会が公告した10CFR 50.65原子力発電所有効メンテナンス度のモニタ方針に従って、管制範囲にあるかを判定し、その中、該実際稼動に必要としないシステムは、図面や仮想及び商業運転前のテストや洗浄等のシステムが含まれる。
【0009】
該安全重要度解析モジュール12は、確率的危険評価(Probabilistic
Risk Assessment、PRA)法に基づいて、プラント全体の確率的危険評価モードの模擬を検査し、そして、その安全重要度を算出し、該安全重要度の解析結果から、安全顕著であるものが高い安全重要度と見なし、カスケードモニタを行い、逆に、低い安全重要度と見なし、また、低い安全重要度がスタンバイであるものについて、システム級モニタを行い、正常稼動であるものについて、プラント級モニタを行い、これにより、等級づけ監査を実行し、また、該カスケードモニタは、信頼度と有用性の機能基準を制定することが必要であり、該システム級モニタは、信頼度の機能基準を制定することが必要であり、該プラント級モニタは、個別のシステム機能の信頼度や有用性の機能基準を制定する必要がない。
【0010】
該機能基準制定モジュール13は、信頼度限界値を算出し、それにより、機能基準を制定し等級づけ監査の元とする。また、該機能基準制定モジュール13は次のステップが含まれる。
【0011】
(A)ステップにおいて、まず、各プラントは、テスト手引き書を主として、手引き書に従って周期を実行し、各システム機能の評価期間の各種類の設備の総需要回数と総稼動時間数を統計し、また、各設備は、空気圧弁(AOV)や電動弁(MOV)、パンプ(Pump)、タービン(Turbine)、チラー(Chiller)及びファン(Fan)等であり、該評価期間は一般18ヶ月である。
【0012】
(B)ステップにおいて、各種類設備の故障確率値を代入し、二項分布(Binomial Distribution)やポアソン分布(Poisson
Distribution)或いは二項分布tポアソン分布の組合により、システム機能の故障回数分布を求める。
【0013】
該システム機能の故障回数分布が95%を超える時、該システム機能が、正常の稼動状態から外れていることを示し、プラント全体のメンテナンス作業は予期の目的を達成できない。そのため、該機能基準制定モジュール13の信頼度機能基準は、該システム機能故障回数分布の95%に設定される。
【0014】
該有用性データモジュール14は、各システム機能利用不可の状態と時間数を記録し、また、該即時モニタモジュール16により、各等級につい、有用性モニタを行い、また、一部の不有用性データが、該信頼度データモジュール15によって自動的に生成される。
【0015】
該信頼度データモジュール15は、機能主要因部品ユニット151や非機能故障判定ユニット152及び機能故障判定ユニット153が備えられる。該機能主要因部品ユニット151は、各システムの機能流れ図上の全ての設備を作成し、これにより、故障設備がいずれかのシステムの機能を初期判定する作業が行われ、また、該非機能故障判定ユニット152と機能故障判定ユニット153は、該故障設備のタイプが有効メンテナンス度モニタの範囲にあるかを判断することに補助する。これにより、該信頼度データモジュール15で、設備故障について各システムの機能故障を判定でき、また、該即時モニタモジュール16により、信頼度モニタを行う。
【0016】
該即時モニタモジュール16は、即時に該有用性データモジュール14と信頼度データモジュール15の状態をモニタし、持続的に機能情報を収集し、また、自動的に、評価期間の各システム機能の総利用不可の時間数と総故障回数を累計することにより、追跡対照して、該機能基準制定モジュール13の有用性や信頼度限界値に達到したかを判断でき、その後、機能評価モジュール17の作業を行うかを決められる。
【0017】
該機能評価モジュール17は、該即時モニタモジュール16により供給された情報に基づいて、カスケードやシステム級及びプラント級システム機能の機能趨勢を把握し、また、即時に、予期の有効のメンテナンスを達成できない作業について、修正措置を講ずる。また、格別監査作業が必要である場合、該機能評価モジュール17により、自動的にデータを生成して、該格別監査モジュール18の処理を実行する。
【0018】
該格別監査モジュール18は、該機能評価モジュール17により供給された情報に従って格別監査を行い、また、その監査期間の修正措置行動や追跡状況、機能目標モニタ計画及び目標モニタ結果を記録する。機能目標に達成すると、システムが自動的に該格別監査モジュール18から離れて、該機能評価モジュール17に戻り、持続的に機能趨勢をモニタし、確実に設備の有効メンテナンスを把握できる。
【0019】
本発明によれば、構築初期において、該範囲選別基本データモジュール11と安全重要度解析モジュール12により、該確率的危険評価法で原子力発電所の安全に関連する主要因システムや重要設備を選別し、またそれを、管制範囲に基本データとしてリストして、これにより、人力や物力資源は、主要因システムや重要設備に集中され、これにより、該主要因システムや重要設備の故障によるシャットダウンや負荷低下の確率を低下できる。その後、該機能基準制定モジュール13は、管制範囲内の各システム機能のモニタレベルについて、適当な機能基準を制定し、その有用性や信頼度のモニタを評価でき、そして、設備のメンテナンスアイテムや周期の基礎を調整し、これにより、設備が過度にメンテナンスされることにより、設備の有用性が低下されることを回避でき、有用性(Availability)と信頼度(Reliability)は最適化できる。
【0020】
そして、該信頼度データモジュール15の機能主要因部品ユニット151は、各流れ図上の設備番号を作成し、機能故障を初期判定する作業を行い、また、該即時モニタモジュール16は、常時に機能故障回数や利用不可の時間数を統計し、一旦機能基準限界値を超える場合、該機能評価モジュール17により、機能評価作業を行い、該格別監査モジュール18により、格別監査作業を行うかを決める。これにより、高い安全重要度システム機能状態を把握でき、メンテナンス作業の有効を確保でき、そして、設備の信頼度が向上され、負荷低下やシャットダウンの確率が低減され、エンジングループの安全が向上され、また、有用性と信頼度のバランスを調整や制御を行い、オンラインメンテナンス管制の基礎が拡大され、そのため、オーバーホール工期を短縮でき、発電効率が向上される。
【0021】
以上のように、本発明は設備の有効メンテナンスモニタ装置であり、有効的に従来の諸欠点を改善でき、また、設備のメンテナンス記録により、モジュールが分類して、また、即時にシステム機能の信頼度や有用性を監査でき、機能基準に到達や以上のものについて、モジュールから管理人員に通知して格別監査流れを実行し、そのため、安全を保証する前提下、設備のメンテナンスコストを低減でき、そして、設備のメンテナンスが所定の有効性に到達することを確保でき、稼動安全が向上されるため、本発明はより進歩的かつより実用的で、法に従って特許請求を出願する。
【0022】
以上は、ただ、本発明のより良い実施例であり、本発明はそれによって制限されることが無く、本発明に係わる特許請求の範囲や明細書の内容に基づいて行った等価の変更や修正は、全てが本発明の特許請求の範囲内に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係わる設備の有効メンテナンスモニタ装置の構成概念図
【図2】本発明の信頼度データモジュール構成概念図
【図3】本発明の範囲選別データ入力インターフェース概念図
【図4】本発明の有用性データモジュール表示インターフェース概念図
【図5】本発明のシステム機能流れ概念図
【図6】本発明の非機能故障判定表示インターフェース概念図
【図7】本発明の機能故障判定表示インターフェース概念図
【図8】本発明の即時モニタモジュール表示インターフェース概念図
【図9】本発明の機能評価モジュール表示インターフェース概念図
【図10】本発明の格別監査モジュール表示インターフェース概念図
【符号の説明】
【0024】
11 範囲選別基本データモジュール
12 安全重要度解析モジュール
13 機能基準制定モジュール
14 有用性データモジュール
15 信頼度データモジュール
151 機能主要因部品ユニット
152 非機能故障判定ユニット
153 機能故障判定ユニット
16 即時モニタモジュール
17 機能評価モジュール
18 格別監査モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
システム初期スクリーンフィルターと定義を実行する範囲選別基本データモジュールと、プラント全体の安全重要度を算出し、等級づけ監査を行う安全重要度解析モジュールと、信頼度限界値を算出して、それにより機能基準を制定し、等級づけ監査の根拠とする機能基準制定モジュールと、各システムの機能利用不可の状態や時間数を記録する有用性データモジュールと、設備故障について、各システムの機能故障を判定する信頼度データモジュールと、即時に、該有用性データモジュールと信頼度データモジュールの状態をモニタし、該機能基準制定モジュールの有用性(Availability)や信頼度(Reliability)の限界値に到達したかを判断する即時モニタモジュールと、該即時モニタモジュールにより供給された情報に基づいて、システム機能の機能趨勢を把握し、また、即時に、予期の有効メンテナンスに到達していない作業について、修正措置を講ずる機能評価モジュールと、該機能評価モジュールにより供給された情報に基づいて、格別監査を行い、機能目標が達成されると、システムが、自動的に、該格別監査モジュールから離れて、該機能評価モジュールに戻って、機能趨勢のモニタを持続する格別監査モジュールとが備えられることを特徴とする、設備の有効メンテナンスモニタ装置。
【請求項2】
該範囲選別基本データモジュールは、最後の十年ライセンス更新のシステムリストを基準とすることを特徴とする、請求項1に記載の設備の有効メンテナンスモニタ装置。
【請求項3】
該範囲選別基本データモジュールは、米国原子力規制委員会が公告した10CFR 50.65原子力発電所有効メンテナンス度のモニタ方針に従って、管制範囲にあるかを判定することを特徴とする、請求項1に記載の設備の有効メンテナンスモニタ装置。
【請求項4】
該安全重要度解析モジュールは、確率的危険評価(Probabilistic
Risk Assessment、 PRA)法に基づいて、プラント全体の確率的危険評価モード模擬を検査することを特徴とする、請求項1に記載の設備の有効メンテナンスモニタ装置。
【請求項5】
該安全重要度解析モジュールは、カスケードモニタである高い安全重要度と、スタンバイ者がシステム級モニタである低い安全重要度と、正常稼動者がプラント級モニタである、とに分けられることを特徴とする、請求項1に記載の設備の有効メンテナンスモニタ装置。
【請求項6】
該カスケードモニタは、信頼度と有用性を制定する機能基準であることを特徴とする、請求項5に記載の設備の有効メンテナンスモニタ装置。
【請求項7】
該システム級モニタは、信頼度を制定する機能基準であることを特徴とする、請求項5に記載の設備の有効メンテナンスモニタ装置。
【請求項8】
該プラント級モニタは、個別システム機能を制定しない機能基準であることを特徴とする、請求項5に記載の設備の有効メンテナンスモニタ装置。
【請求項9】
該機能基準制定モジュールは、まず、各プラントがテスト手引き書を主として、手引き書に従って周期を実行し、各システム機能の評価期間の各種類の設備の総需要回数と総稼動時間数を統計する(A)ステップと、各種類設備の故障確率値を代入し、二項分布(Binomial
Distribution)やポアソン分布(Poisson Distribution)或いは二項分布とポアソン分布の組合により、システム機能の故障回数分布を求める(B)ステップとが含有されることを特徴とする、請求項1に記載の設備の有効メンテナンスモニタ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−98093(P2009−98093A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−272310(P2007−272310)
【出願日】平成19年10月19日(2007.10.19)
【出願人】(595165656)行政院原子能委員会核能研究所 (51)
【Fターム(参考)】