説明

設備利用管理システム

【課題】 居住者や来訪者等が、集合住宅等の建物の共用部分入口の錠の管理側に鍵の提供を依頼することなく、汎用のICカード(交通機関の乗車用等)を利用して、その共用部分入口の鍵を容易かつ迅速に取得可能な設備利用管理システムを提供する。
【解決手段】 集合住宅の居住者等は、ICカード20を認証管理装置40にかざす等すると、認証管理装置40は、ICカード20から製造番号情報を受信し、その受信した製造番号情報を、登録済みの専用部分鍵10の鍵識別情報に対応づけてICカード認証データベースに集合住宅の共用部分の鍵として登録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設備利用管理システムに関し、特に、集合住宅や商業施設等複数の者が利用する建物においてその共用部分における各設備の利用について管理を行う設備利用管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、マンション等の集合住宅は、その権利区分において、主に、居住者が専有できる各住戸等の専有部分と、この専有部分までに至る通路やエントランス等の共有部分とに分けられる。
その共有部分の入口は、通常防犯のため施錠されており、居住者と無関係な者が、勝手に共用部分へ入場できないようにしている。
また、共用部分には、エレベータ、宅配ロッカー及び立体駐車場等も設けられ、これら各設備についても、部外者が無断で利用できないようにカードキーや暗証番号等で利用が制限されている場合が多い。
【0003】
共用部分の入口の扉を例に挙げると、その扉の鍵穴に鍵を挿入して解錠することにより共有部分へ入場することができる。また、その共有部分の入口付近に設置されたインターホンを利用して訪問先の住戸の居住者に呼び掛けて解錠してもらうことにより、共有部分へ入場できるようになっている場合もある。
【0004】
また、近年、その共有部分の鍵としてICカード等を用いるものも提案されている。
特許文献1が開示するところの電気錠システムでは、ICカード等を宅配業者等に予め渡しておき、宅配業者は、そのICカード等を共用部分の入口に設置された所定の機器に読み取らせて、集合住宅等への入場及び退場を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4166193号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に開示される電気錠システムには、以下のような問題がある。それは、宅配業者等の共用部分への入場を希望する者全員に対し、その共用部分の入口の鍵となる専用のICカードを人数分用意しなければならないという問題である。
つまり、当該電気錠システムの管理側にとっては、その鍵となるICカードの取得が要求されるごとに、そのカードの発行や設定を行わなければならず、その作業や手続きが非常に煩雑となってしまう。
一方、居住者又は宅配業者等の来訪者にとっては、鍵となるICカードが必要なときには、当該システムの管理側にICカードの提供を依頼しなければならず、受け取るまでに多大な時間を要し、結局予定の時期に入場できないおそれがある。また、鍵となる専用のICカードを新たに作成すると、管理しなければならないICカードがまた1枚増え、その管理が煩雑になってしまう。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、居住者や来訪者等が集合住宅等の共用部分における各設備を利用する際に、集合住宅等の管理側に対してその各設備の利用に必要な鍵の提供を依頼することなく、汎用のICカード(交通機関の乗車用等)を利用して、当該各設備を容易に利用可能な設備利用管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するため、本発明は、建物の共用部分における各設備の利用を管理する設備利用管理システムであって、所定の用途に用いられる汎用のICカードと、汎用のICカードに記録されたカード固有の製造番号情報を読み取る読取装置と、読み取られた製造番号情報を読取装置から受信すると、受信した製造番号情報に基づいて認証を行い、認証が成功した場合には、各設備の利用を許可する旨の情報を送信し、各設備の利用を許可する認証管理装置と、を有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、建物の専有部分及び共有部分の各設備の利用の際に必要な鍵として使用され、鍵として固有に識別するための鍵識別情報を記録するとともに、鍵識別情報の発信機能を備えた専有部分鍵をさらに有し、認証管理装置は、鍵識別情報を専有部分鍵から、製造番号情報を汎用のICカードからそれぞれ受信すると、ICカードを建物の共有部分の各設備の利用の際に必要な鍵として使用可能にするために、受信した製造番号情報を受信した鍵識別情報と対応付けて自装置に登録することを特徴とする。
【0010】
また、本発明によれば、共用部分の設備は、通常施錠されている共用部分扉であって、認証管理装置は、読み取られた製造番号情報を読取装置から受信すると、受信した製造番号情報に基づいて認証を行い、認証が成功した場合には、共用部分扉を解錠する旨の情報を共用部分扉の動作制御部へ送信し、共用部分扉を解錠させることを特徴とする。
【0011】
また、本発明によれば、共用部分の設備は、通常呼出しボタンの操作がロックされているエレベータであって、認証管理装置は、読み取られた製造番号情報を読取装置から受信すると、受信した製造番号情報に基づいて認証を行い、認証が成功した場合には、呼出しボタンのロックを解錠する旨の情報をエレベータの動作制御部へ送信し、エレベータを解錠させることを特徴とする。
【0012】
また、本発明によれば、共用部分の設備は、通常ロッカーボックスの扉が施錠されている宅配ロッカーであって、認証管理装置は、読み取られた製造番号情報を読取装置から受信すると、受信した製造番号情報に基づいて認証を行い、認証が成功した場合には、宅配ロッカーのロッカー扉を解錠する旨の情報を宅配ロッカーの動作制御部へ送信し、宅配ロッカーを解錠させることを特徴とする。
【0013】
また、本発明によれば、宅配ロッカーの動作制御部は、自身のロッカーボックス内に配送物が収納されたことを認識すると、配送物が収納されたロッカーボックスを特定するロッカー識別情報を生成して認証管理装置へ送信し、認証管理装置は、ロッカー識別情報を受信すると、製造番号情報に対応付けて自装置に格納し、読み取られた製造番号情報を読取装置から受信すると、受信した製造番号情報に基づいて、宅配ロッカーに配送物が収納されているか否かを判断し、配送物が収納されていると判断した場合には、配送物が収納されているロッカーボックスを特定するロッカー識別情報を宅配ロッカーの動作制御部へ送信し、ロッカー識別情報により特定される宅配ロッカーのロッカーボックスの扉を解錠させることを特徴とする。
【0014】
また、本発明によれば、共用部分の設備は、複数の車両搬送用のパレットを備えた立体駐車場を構成する立体駐車装置であって、認証管理装置は、読み取られた製造番号情報を読取装置から受信すると、受信した製造番号情報に基づいて認証を行い、認証が成功した場合には、パレットを立体駐車場の入出庫口まで移動させることを指示する旨の情報と、移動させるパレットを特定するための駐車情報とを立体駐車装置の動作制御部へ送信し、該当するパレットを立体駐車場の入出庫口まで移動させることを特徴とする。
【0015】
また、本発明によれば、認証管理装置は、汎用のICカード上に視認可能に示された文字列情報が入力されると、入力された文字列情報を製造番号情報及び鍵識別情報と対応づけて自装置に登録し、1つの鍵識別情報に対して、1以上の製造番号情報及び文字列情報を対応付けて登録した後に、既に登録済みの文字列情報が入力されると、既に登録済みの文字列情報のうち入力された文字列情報を除く文字列情報を抽出し、抽出した文字列情報が視認可能に示された汎用のICカードが紛失した旨の情報を出力することを特徴とする。
【0016】
また、本発明によれば、汎用のICカードは、交通機関の乗車用に用いられる汎用のICカードであることを特徴とする。
【0017】
また、本発明によれば、汎用のICカードは、非接触型のICカードであることを特徴とする。
【0018】
なお、以上の構成要素の任意の組合せや、本発明の構成要素や表現を方法、装置、システム、コンピュータプログラム、コンピュータプログラムを格納した記録媒体などの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0019】
本発明における設備利用管理システムは、所定の用途に用いられる汎用のICカードを、建物の共用部分における各設備を利用するための鍵として登録するので、その建物の利用者(集合住宅の居住者等)は、その建物の管理会社等に鍵の提供を依頼することなく、自ら迅速かつ容易に共用部分における各設備の利用に必要な鍵を取得することが可能となる。また、建物の管理会社側も、当該鍵の発行という煩雑な作業を解消することができる。また、本発明によれば、共用部分における各設備の鍵として、普段いつも携帯する汎用のICカードを用いるので、建物の利用者は、意識することなく鍵を携帯でき、わざわざ専用の鍵を持ち歩く煩わしさを解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態における設備利用管理システムの構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態における専有部分鍵の構成を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態におけるICカードの構成を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態におけるICカードの外観の一例を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態における読取装置の構成を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態における認証管理装置の構成を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態における専有部分鍵認証データベースのデータ構成の一例を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態におけるICカード認証データベースのデータ構成の一例を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態における履歴管理データベースのデータ構成の一例を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態におけるロッカーデータベースのデータ構成の一例を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態における駐車データベースのデータ構成の一例を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態における履歴管理データベースのデータ構成の一例を示す図である。
【図13】本発明の実施の形態における管理サーバの構成を示す図である。
【図14】本発明の実施の形態におけるICカードの登録処理の流れを示すシーケンスチャート
【図15】本発明の実施の形態におけるICカードの認証処理の流れを示すシーケンスチャートである。
【図16】本発明の実施の形態における集合住宅のエレベータを利用する際のICカード20を用いた認証処理の流れを示すシーケンスチャートである。
【図17】本発明の実施の形態における集合住宅の宅配ロッカーを利用する際のICカード20を用いた認証処理の流れを示すシーケンスチャートである。
【図18】本発明の実施の形態における集合住宅の宅配ロッカーを利用する際のICカード20を用いた認証処理の流れを示すシーケンスチャートである。
【図19】本発明の実施の形態における集合住宅の立体駐車装置を利用する際のICカード20を用いた認証処理の流れを示すシーケンスチャートである。
【図20】本発明の実施の形態におけるICカードの鍵としての使用を停止する際の処理の流れを示すシーケンスチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<概要>
本発明の実施の形態における設備利用管理システムは、集合住宅の居住者等が普段使用している交通機関乗車用の汎用のICカードを、集合住宅等の共用部分における各設備の利用の際の鍵として登録することにより、その鍵の作成に係る集合住宅の管理側等の手間を軽減させるとともに、その集合住宅の居住者等にとってはその作成に費やされる時間を大幅に短縮し、その鍵を容易に取得することが可能となっている。
以下、設備利用管理システムが、一例としてマンション等の集合住宅の共用部分における各設備の利用を管理するものとし、その共用部分の鍵として、Felica(登録商標)等の技術を用いた近接・非接触型のICカード(例えば、Suica(登録商標)等)を登録する場合について説明する。
【0022】
<構成>
(設備利用管理システムの全体構成)
図1は、本発明の実施の形態における設備利用管理システムの構成を示す図である。
図に示すように、本実施の形態における設備利用管理システムは、集合住宅の各住戸等、専有部分の鍵である専有部分鍵10と、近接型の非接触通信が可能なICカード20と、上記ICカード20との間で近接型の非接触通信を行って当該ICカード20に記録されている情報を読み取る読取装置30と、その読取装置30により読み取られた情報に基づいて認証を行い、当該認証結果に基づいて集合住宅における各設備の利用の可否を決定し、その認証結果の履歴を管理する認証管理装置40と、集合住宅の共用部分の扉であって通常は施錠・閉扉されており、上記認証管理装置40による認証の結果に基づいて解錠・開扉を行う共用部分扉51と、集合住宅に設置されており、上記認証管理装置40による認証の結果に基づいて呼出しボタン操作が可能となるエレベータ52と、集合住宅の共用部分等に設置され、居住者個人宛の配送物を一時収容し預かるロッカー装置であり、上記認証管理装置40による認証の結果に基づいて当該ロッカー扉の解錠・開扉を行う宅配ロッカー53と、集合住宅又はその近傍に設置され、当該集合住宅の居住者が使用する車両を駐車する立体駐車場を構成し、上記認証管理装置40による認証の結果に基づいて当該駐車の利用を可能にする立体駐車装置54と、複数の集合住宅や商業施設等の施設における共用部分の施錠・解錠を総合的に管理する施設管理事業者により管理され、上記認証管理装置40との間で同期をとって、後述する認証管理装置40で管理される複数のデータベースの更新を定期的に行う管理サーバ60と、その管理サーバ60と上記認証管理装置40とを接続するインターネットやLAN等のネットワーク70とを有して構成される。
【0023】
(専有部分鍵10の構成)
前述のように、専有部分鍵10は、集合住宅の共用部分における各住戸等の専有部分の鍵として使用される。これに加えて、専有部分鍵10は、認証管理装置40との間で近距離型の非接触通信を行う機能を有している。
【0024】
図2は、その専有部分鍵10の構成を示す図である。
図に示すように、専有部分鍵10は、使用時に手で保持する部分(キーヘッド)である保持部11と、鍵穴に挿入する挿入部12とを有して構成される。
さらに、保持部11は、専有部分鍵10が備える非接触通信機能を制御する制御部13と、認証管理装置40との間で非接触で情報の送受信を行う非接触通信部14と、その非接触通信部14により送信される後述の所定の情報を記録する情報記録部15とを内蔵し構成される。
【0025】
上記情報記録部15には、その専有部分鍵10固有の識別情報である鍵識別情報が記録されている。例えば、この鍵識別番号は、専有部分である集合住宅の各住戸の部屋番号等であってもよい。
【0026】
集合住宅の居住者等は、前述の通り、専有部分鍵10の挿入部12を自身の住戸の鍵穴に挿入して通常の鍵として使用することができるほか、当該集合住宅の共用部分における各設備(共用部分扉51、エレベータ52、宅配ロッカー53、立体駐車装置54)利用の際の鍵としても使用することができる。
集合住宅の居住者等は、上記各設備51〜54と一体的に又はその近傍に設置されている読取装置30に対して専有部分鍵10をかざす等して、読取装置30と非接触通信を行うことにより、当該各設備を利用可能になる。
例えば、居住者は、集合住宅の共用部分扉51を解錠・開扉し、集合住宅の共用部分へ入場することができる。また、エレベータ52の呼出しボタンの操作が可能になる。また、宅配ロッカー53のロッカー扉が開扉可能になり配送物の収納又は取り出しが可能となる。また、立体駐車場において立体駐車装置54による車両の駐車又は呼出しが可能となる。
【0027】
また、専有部分鍵10は、上記のように各住戸の鍵及び各設備51〜54の鍵として使用される他、交通機関乗車の際に用いられる汎用・非接触型のICカード20を集合住宅における共用部分の各設備51〜54の鍵として登録するときにも使用される。
【0028】
(ICカード20の構成)
ICカード20は、居住者が所有する汎用型の非接触型のICカードである。本実施の形態では、一例として、交通機関乗車用の汎用のICカード等とする。
【0029】
ICカード20は、読取装置30及び認証管理装置40との間で非接触通信を行う機能を有している。
居住者がこのICカード20を認証管理装置40にかざす等して一定距離内まで近づけると、ICカード20・認証管理装置40間で非接触通信が行われ、ICカード20を集合住宅の各設備51〜54を利用する際の鍵として認証管理装置40に登録することができる。
【0030】
集合住宅の各設備51〜54の鍵としての登録後、居住者は、このICカード20を用いて読取装置30と非接触通信を行うことにより、当該各設備51〜54を利用可能になる。
例えば、居住者は、集合住宅の共用部分扉51を解錠・開扉し、集合住宅の共用部分へ入場することができる。また、エレベータ52の呼出しボタンの操作が可能になる。また、宅配ロッカー53のロッカー扉が開扉可能になり配送物の収納又は取り出しが可能となる。また、立体駐車場において立体駐車装置54による車両の駐車又は呼出しが可能となる。
【0031】
なお、ICカード20の非触型データキャリアは、一例として、ISO/IEC14443規格の、20mm以内を通信距離とする近接型、あるいは、ISO/IEC15693規格の、約1mまでを通信距離とする近傍型であり、リーダとして機能する上記読取装置30及び認証管理装置40との通信周波数を13.56MHzとするものである。
【0032】
図3は、そのICカード20の構成を示す図である。
図に示すように、ICカード20は、非接触通信を含むICカード20全体の動作を制御する制御部21と、読取装置30及び認証管理装置40との間で非接触通信を行う非接触通信部22と、その非接触通信部22により送信される後述の所定の情報を記録する情報記録部23とを有して構成される。
【0033】
情報記録部23には、そのICカード20固有の製造番号を示す製造番号情報と、当該ICカード20を鉄道等の交通機関利用時に用いる交通機関情報とが記録されている。
この交通機関情報は、例えば、このICカード20を所有する居住者の個人情報、ICカード20の種類、ICカード20を用いた際の交通機関の利用履歴、ICカード20をプリペイドカードとして使用するときの残高情報等が含まれる。
【0034】
図4は、本実施の形態におけるICカード20の外観の一例を示す図である。
図に示すように、一般に、交通機関用のICカードの裏面等には、数桁の文字及び数字からなる文字列情報24が印刷されている。このうち一部の文字列(一部文字列情報25)は、認証管理装置40に登録され、後述する紛失カードの特定等に使用される。図の例では、この一部文字列情報25を下4桁の数字としている。
【0035】
(読取装置30の構成)
集合住宅の各設備51〜54と一体的に又はその近傍には、読取装置30が設置される。この読取装置30はICカード20と非接触通信を行って、ICカード20に記録された製造番号情報を読み取る。
例えば、読取装置30は、共用部分扉51の入り口側各箇所、各階のエレベータ52乗り場、宅配ロッカー53の近傍又は一体として、及び立体駐車装置54が設置される立体駐車場の車両入出庫口等に設置される。
【0036】
図5は、本実施の形態における読取装置30の構成を示す図である。
図に示すように、読取装置30は、読取装置30全体の動作を制御するCPU等の制御部31と、ICカード20との間で非接触通信を行ってICカード20内の製造番号情報を読み取る非接触通信部32と、そのICカード20から読み取った製造番号情報を一時的に記録する情報記録部33と、情報記録部33で一時的に記録された製造番号情報を専有線等を介して認証管理装置40へ送信する送受信部34とを有して構成される。
【0037】
(認証管理装置40の構成)
認証管理装置40は、集合住宅の各設備51〜54を利用する際の認証を管理する情報処理装置である。前述のICカード20の製造番号情報を読取装置30から受信すると、認証を行い、その認証が成功した場合には集合住宅の各設備51〜54の利用を可能にする。
認証管理装置40は、例えば、各集合住宅のエントランス等に設置される。
【0038】
図6は、本実施の形態における認証管理装置40の構成を示す図である。
図に示すように、認証管理装置40は、認証管理装置40全体を制御するCPU等の制御部41と、専有部分鍵10及びICカード20と非接触通信を行う非接触通信部42と、上記専有部分鍵10及びICカード20に係る情報を記録する情報記録部43と、読取装置30及び各設備51〜54(の動作制御部)と専有線等を介して情報の送受信を行うとともに、インターネット等のネットワーク70を介して管理サーバ60と情報の送受信を行う送受信部44と、ディスプレイ等の表示機能を備えた表示部45と、タッチパネルやボタン等の情報入力デバイスを備えた操作部46とを有して構成される。
【0039】
認証管理装置40の情報記録部43は、各設備51〜54利用に係る認証を行うためのデータベースを複数格納している。
このデータベースには、専有部分鍵10の認証を行うための専有部分鍵認証データベースと、ICカード20の認証を行うためのICカード認証データベースと、集合住宅の居住者が居住する階を示す行先階情報を管理する行先階データベースと、居住者又は配送業者が利用する宅配ロッカー53及びそのロッカーボックスを特定するためのロッカー識別情報を管理するロッカーデータベースと、立体駐車装置54において居住者が駐車可能なパレットを特定する駐車情報を管理する駐車データベースと、各設備51〜54における利用履歴を管理するための履歴管理データベースとが含まれる。
【0040】
図7は、上記の専有部分鍵認証データベースのデータ構成の一例を示す図である。図に示すように、専有部分鍵認証データベースは、専有部分鍵10を特定し識別するための鍵識別情報と、任意のパスワードとが対応付けられて構成されている。
この専有部分鍵認証データベースは、ICカード20を各設備51〜54利用の際の鍵として登録する際に用いられる。認証管理装置40は、専有部分鍵10から鍵識別情報を受信するとともに、パスワードが入力されると、これら受信又は入力された鍵識別情報及びパスワードと、前述の専有部分鍵認証データベース内の鍵識別情報及びパスワードとを比較照合して認証を行う。一致した場合には認証成功と判断し、その後のICカード20を集合住宅の各設備51〜54利用の際の鍵として登録する処理を続行する。
【0041】
図8は、上記のICカード認証データベースのデータ構成の一例を示す図である。
図に示すように、ICカード認証データベースは、専有部分鍵10を特定し識別するための鍵識別情報と、上記の任意のパスワードと、ICカード20を特定し識別するための製造番号情報と、上記のICカード20内の交通機関情報と、前述のICカード20に印刷されている一部文字列情報25とが対応付けられて構成されている。
上記の専有部分鍵認証データベースを用いた認証が成功した後、そのICカード認証データベースが生成される。このICカード認証データベースは情報記録部43に格納される。
ICカード20は、集合住宅の各設備51〜54利用の際の鍵として当該ICカード認証データベースに登録される。
認証管理装置40は、読取装置30からICカード20の製造番号情報を受信すると、このICカード認証データベースを参照して認証を行う。当該認証が成功したと判断した場合には、例えば共用部分扉51を解錠し開扉する等、各設備51〜54の利用を可能にする。
【0042】
図9は、上記行先階データベースのデータ構成の一例を示す図である。
図に示すように、行先階データベースは、上記鍵識別情報と、集合住宅の居住者が居住する階を示す行先階情報とが対応付けられて構成されている。
居住者等がエレベータ52を利用する際に上記認証が成功すると、上記行先階データベースから行先階情報が抽出され、当該居住者等がエレベータ52の行先階ボタンを自ら押下することなく、上記抽出された行先階情報により特定される階の行先階ボタンが自動的に押下される。
例えば、この行先階情報には、専有部分鍵10又はICカード20を所有する居住者の居住階が行先階として示される。
【0043】
図10は、上記ロッカーデータベースのデータ構成の一例を示す図である。
図に示すように、ロッカーデータベースは、上記鍵識別情報と、居住者又は配送業者が利用する宅配ロッカー53及びそのロッカーボックスを特定するためのロッカー識別情報とが対応付けられて構成されている。
居住者又は配送業者が宅配ロッカー53に収納された配送物を取り出す際に上記認証が成功すると、上記ロッカーデータベースからロッカー識別情報が抽出され、その抽出されたロッカー識別情報により特定される配送物が収納されている宅配ロッカー53のロッカー扉が解錠される。
【0044】
図11は、上記駐車データベースのデータ構成の一例を示す図である。
図に示すように、駐車データベースは、上記鍵識別情報と、立体駐車装置54において居住者が駐車可能なパレットを特定する駐車情報とが対応付けられて構成されている。
居住者等が立体駐車装置54に駐車中の車両を呼び出す際に上記認証が成功すると、上記駐車データベースから駐車情報が抽出され、その抽出された駐車情報により特定される車両が載っているパレットを立体駐車装置54が構成する立体駐車場の入出庫口まで移動させる。居住者等はそのパレットで入出庫口まで運ばれてきた車両に乗車することができるようになる。
【0045】
図12は、上記の履歴管理データベースのデータ構成の一例を示す図である。
上記のように、集合住宅の各設備51〜54を利用することを目的として、専有部分鍵10又はICカード20を用いて認証を行う。履歴管理データベースは、このときの認証結果を各設備51〜54利用の履歴情報(以下、認証履歴情報という)として蓄積及び管理するデータベースである。
図に示すように、上記蓄積される認証履歴情報には、例えば、居住者等を特定する識別情報(鍵識別情報、製造番号情報)、認証時刻、認証の対象となった設備(共用部分扉51、エレベータ52、宅配ロッカー53又は立体駐車装置54のいずれであるか)、認証結果(成功又は失敗)等が含まれる。
【0046】
(共用部分扉51の構成)
共用部分扉51は、集合住宅の共用部分への入場を制限する扉である。
共用部分扉51は、その扉の施錠・解錠や開閉等を制御する動作制御部(図示しない)を有する。この動作制御部はCPU及び記憶装置等から構成される。この動作制御部は、認証管理装置40と専有線等を介して接続されており、当該専有線等を介して認証管理装置40から解錠情報を受信すると、共用部分への入場を規制するためにそれまで施錠されていた扉を解錠及び開扉し、その共用部分への入場を許可する。
例えば、この共用部分扉51は、集合住宅のエントランスやエレベータホールの入口等に設けられる。
【0047】
(エレベータ52の構成)
エレベータ52は、エレベータかごが昇降して各階間の移動を行う一般的なエレベータと同様に構成される。エレベータ52は、エレベータかごの昇降動作や各階のエレベータ乗り場の扉の開閉動作等を制御する動作制御部(図示しない)を有する。この動作制御部はCPU及び記憶装置等から構成される。
【0048】
各階のエレベータ乗り場には、エレベータかごを呼び出す呼出しボタンが設けられている。エレベータの動作制御部は、当該呼出しボタンの押下を認識すると、当該呼出しボタンが押下された階へエレベータかごを昇降させ、その昇降先の階のエレベータ扉を開扉する。
また、エレベータかご内部には、エレベータの行先階を指定する行先階ボタンが設けられている。エレベータの動作制御部は、当該行先階ボタンの押下を認識すると、エレベータ扉を閉扉するとともに、当該行先階ボタンにより指定された行先階へエレベータかごを昇降させ、その昇降先の階のエレベータ扉を開扉する。
【0049】
前述の呼出しボタンは、通常、操作がロックされており、エレベータ52の利用が制限されている。すなわち、操作がロックされている状態ではエレベータ52を呼び出して利用することはできない。
エレベータ52の動作制御部は認証管理装置40と専有線等を介して接続されており、当該専有線等を介して認証管理装置40からロック解除情報を受信すると、上記呼出しボタンの操作のロックを解除し、エレベータかごをエレベータ乗り場まで昇降させることができるようになる。
【0050】
また、エレベータ52の動作制御部は、上記ロック解除情報とともに、エレベータ利用者の行先階を示す行先階情報を認証管理装置40から受信すると、エレベータ52の利用者が自ら上記行先階ボタンを押下することなく、自動押下する。
つまり、エレベータ52の利用者は、自ら行先階ボタンを押下することなく、自身の利用階(居住階)へ昇降することが可能となる。
【0051】
(宅配ロッカー53の構成)
宅配ロッカー53は、例えば、集合住宅の共用部分等(エントランス等)に設置され、複数のロッカーボックスを備えたロッカー装置であり、居住者宛てに配送された配送物を一時預かり、ロッカーボックス内収納する。収納時にはロッカー扉が閉扉され施錠される。
宅配ロッカー53は、そのロッカー扉の施錠・解錠や開閉等を制御する動作制御部(図示しない)を有する。この動作制御部はCPU及び記憶装置等から構成される。
宅配ロッカー53の動作制御部は認証管理装置40と専有線等を介して接続されており、当該専有線等を介して認証管理装置40から解錠を指示する旨の情報を受信すると、上記ロッカー扉を解錠し、ロッカーボックス内への収納又はロッカーボックス内からの取り出しが可能になる。
【0052】
(立体駐車装置54の構成)
立体駐車装置54は、集合住宅又は当該集合住宅近傍に設置され、一般的な立体駐車場を構成する。つまり、立体駐車装置54は、自動車を載置して搬送するパレットと、当該パレットを載置して昇降させる昇降装置と、複数階層設けられたパレットを保管する格納棚とを有して構成されるものである。これらパレットには集合住宅の居住者が所有する車両が駐車される。
立体駐車装置54は、駐車車両の入出庫等を制御する動作制御部(図示しない)を有する。この動作制御部はCPU及び記憶装置等から構成される。
立体駐車装置54の動作制御部は認証管理装置40と専有線等を介して接続されており、当該専有線等を介して認証管理装置40から車両の入出庫を指示する旨の情報を受信すると、該当する車両のパレットを昇降移動リフト等により入出庫口まで移動させ、入出庫を可能にする。
【0053】
(管理サーバ60の構成)
管理サーバ60は、ネットワーク70を介して接続される1以上の認証管理装置40においてそれぞれ管理されるデータベース(専有部分鍵認証データベース、ICカード認証データベース、行先階データベース、ロッカーデータベース、駐車データベース及び履歴管理データベース)全体を総合的に管理する情報処理装置であって、例えば、ワークステーション等のハイエンドPCである。
この管理サーバ60は、ネットワーク70を介して接続される1以上の認証管理装置40の情報記録部43において管理される全てのデータベースを管理している。すなわち、上記専有部分鍵認証データベース、ICカード認証データベース、行先階データベース、ロッカーデータベース、駐車データベース及び履歴管理データベースを管理している。管理サーバ60は、それら認証管理装置40と定期的に同期をとって、自機が管理する各データベースを更新する。
このように、管理サーバ60は、複数の認証管理装置40が管理する各データベースを統合して管理するので、複数の集合住宅等の施設を管理する施設管理事業者は、その管理が容易となる。また、このように、管理サーバ60は、各データベースのバックアップをとるので、各データベースを安全に保存することができる。
【0054】
図13は、本実施の形態における管理サーバ60構成を示す図である。
図に示すように、管理サーバ60は、管理サーバ60全体を制御するCPU等の制御部61と、上記認証管理装置40で管理する全てのデータベースが記録される情報記録部62と、ネットワーク70を介して接続される認証管理装置40との間で情報の送受信を行う送受信部63とを有して構成される。
【0055】
<動作>
(ICカード20の登録処理)
次に、設備利用管理システムによる各処理について説明する。
図14は、本発明の実施の形態におけるICカード20の登録処理の流れを示すシーケンスチャートである。
以下、本図に沿って、集合住宅の各設備51〜54利用の際の鍵として、ICカード20を認証管理装置40に登録する際の処理について説明する。
【0056】
まず、集合住宅の居住者等は、専有部分鍵10及びICカード20を携帯して、集合住宅における認証管理装置40の設置場所を訪れる。
この段階において、専有部分鍵10については、認証管理装置40の専有部分鍵認証データベースにその鍵識別情報及びパスワードが登録済みであるとする。つまり、居住者等はこの専有部分鍵10を用いて集合住宅の共有部分における各設備51〜54を利用することができる。
一方、この段階において、ICカード20については、まだICカード認証データベースに各情報が登録されておらず、汎用的な非接触型のICカードの機能しか有していない。つまり、まだこの未登録の段階では、居住者等はこのICカード20を用いて各設備51〜54を利用することができない。
【0057】
居住者等は、専有部分鍵10を認証管理装置40にかざす等して、ICカード20と認証管理装置40とが互いに通信可能な距離まで接近すると、専有部分鍵10は、認証管理装置40から送信される電磁波を受信する(ステップS101)。
すると、専有部分鍵10は、情報記録部15に記録されている鍵識別情報を認証管理装置40へ送信する(ステップS102)。
続けて、居住者等は、操作部46を操作して、パスワードを認証管理装置40に入力する(ステップS103)。
【0058】
認証管理装置40は、専有部分鍵10から受信した上記鍵識別情報及び入力されたパスワードの組み合わせと、専有部分鍵認証データベースで管理されている鍵識別情報及びパスワードの組み合わせとを比較照合し、不一致であれば認証失敗と判断し(ステップS104/No)、ICカード20の登録処理を終了する。
一方、両組み合わせが一致した場合には、認証管理装置40は、認証成功と判断し(ステップS104/Yes)、その受信した鍵識別情報及び入力されたパスワードの組をICカード認証データベースに登録する(ステップS105)。
【0059】
次に、居住者等は、ICカード20を認証管理装置40にかざす等して、ICカード20と認証管理装置40とが互いに通信可能な距離まで接近すると、ICカード20は、認証管理装置40から送信される電磁波を受信する(ステップS106)。
すると、ICカード20は、情報記録部23に記録されている製造番号情報を認証管理装置40へ送信する(ステップS107)。
【0060】
認証管理装置40は、ICカード20から製造番号情報を受信すると、その受信した製造番号情報を、上記登録済みの鍵識別情報に対応づけてICカード認証データベースに登録する(ステップS108)。
【0061】
次に、居住者等は、操作部46を操作して、ICカード20上に表示されている一部の文字列25を認証管理装置40に入力する(ステップS109)。
【0062】
また、居住者等は、操作部46を操作して、登録するICカード20の種類を示す情報も入力する(ステップS110)。
このICカード20の種類とは、元々の当該カード20の用途を示す。例えば、当該カード20が元々交通機関乗車用のICカードであった場合には交通機関の名称、ショッピング用のプリペイドICカードであった場合には店舗の名称、クレジットカードであった場合にはクレジット会社名等をいう。
【0063】
認証管理装置40は、前述の入力された一部の文字列25と、ICカード20の種類を示す情報とを、上記登録済みの鍵識別情報に対応づけてICカード認証データベースに登録する(ステップS111)。また、このとき、ICカード認証データベースには、その登録を行った時期を示す情報も対応づけて記録する。
以上で、ICカード20の登録処理が終了する。
なお、上記処理を繰り返すことで、複数のICカード20を各設備51〜54利用の際の鍵として、1つの専有部分鍵10にひも付けして登録することができる。
【0064】
(ICカード20を用いた共用部分扉51の解錠処理)
図15は、ICカード20を用いた共用部分扉51の解錠処理の流れを示すシーケンスチャートである。以下、本図を用いて、居住者等が集合住宅の共用部分等へ入場する場合に、前述の登録済みのICカード20を用いて、共用部分扉51を解錠するときの認証処理について説明する。
【0065】
まず、居住者等は、ICカード20を読取装置30にかざす等して、ICカード20と読取装置30とが互いに通信可能な距離まで接近すると、ICカード20は、読取装置30から送信される電磁波を受信する(ステップS211)。
すると、ICカード20は、情報記録部23に記録されている製造番号情報を読取装置30へ送信する(ステップS212)。
【0066】
読取装置30は、ICカード20から製造番号情報を受信すると、その受信した製造番号情報を専有線等を介して認証管理装置40へ送信する(ステップS213)。
【0067】
認証管理装置40は、読取装置30から製造番号情報を受信すると、ICカード認証データベースを参照して、その受信した製造番号情報と、ICカード認証データベースで管理されている製造番号情報とを比較照合する(ステップS214)。
比較照合の結果、不一致であれば認証失敗と判断し(ステップS214/No)、ICカード20の認証処理を終了する。この場合、共用部分扉51は施錠・閉扉したままであり、居住者等はその扉50の先の共用部分へ入場することはできない。
一方、比較照合の結果、一致した場合には、認証管理装置40は、認証成功と判断し(ステップS214/Yes)、開扉を指示する旨の情報を専有線等を介して共用部分扉51へ送信する(ステップS215)。
【0068】
また、認証管理装置40は、上記の共用部分扉51の解錠に関する認証履歴情報を履歴管理データベースに記録する(ステップS216)。
この認証履歴情報には、例えば、居住者等を特定する識別情報、認証時刻、認証の対象(共用部分扉51)、認証結果(成功又は失敗)等が含まれる。
【0069】
共用部分扉51は、その開扉指示情報を認証管理装置40から受信すると、扉の錠を解錠及び開扉し、居住者がその扉50の先に入場可能になる(ステップS217)。
【0070】
このように、居住者は、交通機関用の汎用的な非接触ICカードであっても、専有部分鍵10に対応づけて認証管理装置40に登録することで、共用部分扉51の鍵として使用することが可能となる。
【0071】
(エレベータ52利用時の認証処理)
図16は、集合住宅のエレベータ52を利用する際のICカード20を用いた認証処理の流れを示すシーケンスチャートである。以下、本図を用いて、当該認証処理について説明する。
【0072】
本実施の形態において、通常、エレベータ52の呼出しボタン(乗り場押しボタン)にはロックがかかっており、押下してもエレベータ52かごの呼出しは不可能となっている。つまり、専有部分鍵10又はICカード20を用いた認証が成功した場合のみ、居住者等はエレベータ52を利用可能になる。
【0073】
まず、居住者等は、ICカード20を読取装置30にかざす等して、ICカード20と読取装置30とが互いに通信可能な距離まで接近する。この読取装置30は、例えば、エレベータ52の呼出しボタンの近傍に設置されている。
また、
ICカード20をかざす等した後の工程(ステップS221〜S224)は、前述の共用部分扉51の解錠・開扉の場合(ステップS211〜S214)と同様であるので、その説明を省略する。
【0074】
比較照合の結果、不一致であれば認証失敗と判断し(ステップS224/No)、ICカード20の認証処理を終了する。この場合、エレベータ52の呼出しボタンはロックがかかったままであり、操作することができない。すなわち、エレベータ52を利用して他の階へ移動することができない。
【0075】
一方、比較照合の結果、一致した場合には、認証管理装置40は、認証成功と判断し(ステップS224/Yes)、エレベータ52の呼出しボタンのロックを解除する旨の情報(以下、ロック解除情報という)を専有線等を介してエレベータ52の動作制御部(図示しない)へ送信する(ステップS225)。
これに加えて、認証管理装置40は、認証成功と判断した場合には(ステップS224/Yes)、ICカード認証データベースを参照して当該認証が成功した製造番号情報が対応付けられている鍵識別情報を抽出し、行先階データベースを参照して、その抽出した鍵識別情報に対応付けられている行先階情報を抽出して上記エレベータ52の動作制御部へ送信する(ステップS225)。
例えば、ここでICカード20をかざした人物が集合住宅の居住者である場合には、その居住者の居住階が、宅配業者や訪問者である場合には、荷物の配送先や訪問先の階が、それぞれ行先階となる。
【0076】
また、認証管理装置40は、上記のエレベータ52の呼出しボタンのロック解除に関する認証履歴情報を履歴管理データベースに記録する(ステップS226)。
この認証履歴情報には、例えば、居住者等を特定する識別情報、認証時刻、認証の対象(エレベータ52)、認証結果(成功又は失敗)等が含まれる。
【0077】
エレベータ52の動作制御部は、上記のロック解除情報を認証管理装置40から受信すると、呼出しボタンのロックを解除し、居住者等がエレベータ52を利用して他の階へ移動することが可能になる(ステップS227)。
【0078】
また、エレベータ52の動作制御部は、上記の行先階情報を認証管理装置40から受信すると、当該行先階を自動押下する(ステップS228)。
これにより、居住者等は、エレベータ52かごに乗り込んでから、自身の行先階のボタンをわざわざ押下する手間を省くことができる。
【0079】
このように、居住者は、交通機関用の汎用的な非接触ICカードであっても、専有部分鍵10に対応づけて認証管理装置40に登録することで、エレベータ52の利用に係る鍵として使用することが可能となる。
【0080】
(宅配ロッカー53利用時の認証処理)
本実施の形態では、集合住宅の居住者が配送依頼する配送物を宅配ロッカー53に収納したり、自分宛てに配送された配送物を宅配ロッカー53から取り出したりする。
一方、その配送物の配送業務を行う配送業者もまた、その宅配ロッカー53内に配送物を収納したり、収納済みの配送物を取り出したりする。
以下、集合住宅の居住者や配送業者が、集合住宅内に設置される宅配ロッカー53を利用する際の設備利用管理システムによる認証処理について、配送物を収納する場合と取り出す場合とに分けて説明する。
【0081】
図17は、居住者又は配送業者が、上記宅配ロッカー53の所定のロッカーボックス内に配送物を収納する際のICカード20を用いた認証処理の流れを示すシーケンスチャートである。以下、本図を用いて、当該認証処理について説明する。
【0082】
まず、居住者や配送業者等は、ICカード20を読取装置30にかざす等して、ICカード20と読取装置30とが互いに通信可能な距離まで接近する。この読取装置30は、例えば、宅配ロッカー53の近傍に設置されている。
また、通常、その宅配ロッカー53のロッカー扉にはロックがかかっており、ロッカーボックス内への配送物の収納は不可能となっている。
上記のように、ICカード20と読取装置30とが互いに通信可能な距離まで接近すると、ICカード20は、読取装置30から送信される電磁波を受信する(ステップS231)。
すると、ICカード20は、情報記録部23に記録されている製造番号情報を読取装置30へ送信する(ステップS232)。
【0083】
続けて、居住者や配送業者等は、読取装置30又は宅配ロッカー53に設けられている、配送物の収納を希望する旨の所定のボタンを押下等すると、読取装置30は、当該収納を希望する旨の情報とともに、ICカード20から受信した製造番号情報を専有線等を介して認証管理装置40へ送信する(ステップS233)。
【0084】
認証管理装置40は、上記収納を希望する旨の情報及び製造番号情報を読取装置30から受信すると、ICカード認証データベースを参照して、その受信した製造番号情報と、ICカード認証データベースで管理されている製造番号情報とを比較照合する(ステップS234)。
【0085】
比較照合の結果、不一致であれば認証失敗と判断し(ステップS234/No)、ICカード20の認証処理を終了する。この場合、宅配ロッカー53のロッカー扉にはロックがかかったままであり、配送物の収納ができない。
【0086】
一方、比較照合の結果、一致した場合には、認証管理装置40は、認証成功と判断し(ステップS234/Yes)、宅配ロッカー53のロッカー扉のロックを解錠する旨の情報(以下、解錠指示情報という)を専有線等を介して宅配ロッカー53の動作制御部(図示しない)へ送信する(ステップS235)。
【0087】
また、認証管理装置40は、上記の宅配ロッカー53に関する認証履歴情報を履歴管理データベースに記録する(ステップS236)。
この認証履歴情報には、例えば、居住者等を特定する識別情報、認証時刻、認証の対象(宅配ロッカー53)、認証結果(成功又は失敗)等が含まれる。
【0088】
宅配ロッカー53の動作制御部は、上記の解錠指示情報を認証管理装置40から受信すると、自身の空いているロッカーボックスのロッカー扉のロックを解錠し、配送物の収納が可能になる(ステップS237)。
居住者又は配送業者が、その開扉したロッカーボックス内に配送物を収納し、閉扉すると(ステップS238/Yes)、宅配ロッカー53の動作制御部は、そのロッカーボックスを識別(特定)するための情報であるロッカー識別情報を生成し、当該生成したロッカー識別情報と、当該認証に使用したICカード20の製造番号情報を専用線等を介して認証管理装置40へ送信する(ステップS239)。
【0089】
認証管理装置40は、上記ロッカー識別情報及び製造番号情報を宅配ロッカー53の動作制御部から受信すると、ICカード認証データベースを参照して当該受信した製造番号情報に対応した鍵識別情報を抽出し、その抽出した鍵識別情報に対応付けて、上記受信したロッカー識別情報をロッカーデータベースに記録する(ステップS240)。
以上で、配送物を宅配ロッカー53内に収納するときの設備利用管理システムによる認証処理が終了する。
【0090】
次に、以上のようにして宅配ロッカー53内に収納した配送物を取り出す際の設備利用管理システムによる認証処理について説明する。
図18は、居住者又は配送業者が、上記宅配ロッカー53の所定のロッカーボックス内に収納された配送物を取り出す際のICカード20を用いた認証処理の流れを示すシーケンスチャートである。以下、本図を用いて、当該認証処理について説明する。
【0091】
まず、居住者や配送業者等は、ICカード20を読取装置30にかざす等して、ICカード20と読取装置30とが互いに通信可能な距離まで接近する。この読取装置30は、例えば、宅配ロッカー53の近傍に設置されている。
また、通常、その宅配ロッカー53のロッカー扉にはロックがかかっており、ロッカーボックスからの配送物の取り出しは不可能となっている。
上記のように、ICカード20と読取装置30とが互いに通信可能な距離まで接近すると、ICカード20は、読取装置30から送信される電磁波を受信する(ステップS251)。
すると、ICカード20は、情報記録部23に記録されている製造番号情報を読取装置30へ送信する(ステップS252)。
【0092】
続けて、居住者や配送業者等は、読取装置30又は宅配ロッカー53に設けられている、配送物の取り出しを希望する旨の所定のボタンを押下する等すると、読取装置30は、当該取り出しを希望する旨の情報とともに、ICカード20から受信した製造番号情報を専有線等を介して認証管理装置40へ送信する(ステップS253)。
【0093】
認証管理装置40は、上記取り出しを希望する旨の情報及び製造番号情報を読取装置30から受信すると、ICカード認証データベースを参照して、当該受信した製造番号情報に対応付けられた鍵識別情報を抽出し、ロッカーデータベースを参照して当該抽出した鍵識別情報にロッカー識別情報が対応付けられているか否かを判断する(ステップS254)。
すなわち、認証管理装置40は、当該取り出し認証時にICカード20を使用した居住者又は配送業者が、取り出し可能な配送物が宅配ロッカー53内に収納されているか否かを判断する。
【0094】
上記検索した鍵識別情報にロッカー識別情報が対応付けられていない場合、すなわち、該当する配送物が収納されていない場合には、認証管理装置40は認証失敗と判断し(ステップS254/No)、ICカード20の認証処理を終了する。この場合、宅配ロッカー53のロッカー扉にはロックがかかったまま開扉されない。
【0095】
一方、比較照合の結果、上記検索した鍵識別情報にロッカー識別情報が対応付けられており、かつ当該ロッカー識別情報が示す宅配ロッカー53が上記取り出しを希望する旨の情報の送信元の宅配ロッカー53である場合、すなわち、該当する配送物が収納されている場合には、認証管理装置40は認証成功と判断し(ステップS254/Yes)、ロッカーデータベースを参照して、当該鍵識別情報に対応付けられているロッカー識別情報を抽出する(ステップS255)。
ここで抽出されるロッカー識別情報は、その配送物収納の際に、鍵識別情報に対応付けられたものであり(図14のステップS240)、当該配送物がどの宅配ロッカー53のどのロッカーボックス内に収納されているかを示すものである。
【0096】
次に、認証管理装置40は、その抽出したロッカー識別情報とともに、宅配ロッカー53のロッカー扉のロックを解錠する旨の解錠指示情報を専有線等を介して宅配ロッカー53の動作制御部へ送信する(ステップS256)。
【0097】
また、認証管理装置40は、上記の宅配ロッカー53に関する認証履歴情報を履歴管理データベースに記録する(ステップS257)。
この認証履歴情報には、例えば、居住者等を特定する識別情報、認証時刻、認証の対象(宅配ロッカー53)、認証結果(成功又は失敗)等が含まれる。
【0098】
宅配ロッカー53の動作制御部は、上記のロッカー識別情報及び解錠指示情報を認証管理装置40から受信すると、当該受信したロッカー識別情報に基づいて、該当する配送物が収納されているロッカーボックスを特定し、その特定したロッカーボックスの扉のロックを解錠し、配送物の取り出しを可能にする(ステップS258)。
以上で、配送物を宅配ロッカー53から取り出すときの設備利用管理システムによる認証処理が終了する。
【0099】
このように、居住者は、交通機関用の汎用的な非接触ICカードであっても、専有部分鍵10に対応づけて認証管理装置40に登録することで、宅配ロッカー53の利用に係る鍵として使用することが可能となる。
【0100】
(ICカード20を用いた立体駐車場の利用処理)
本実施の形態では、集合住宅の居住者等が、自身が所有する車両を立体駐車装置54に入庫して駐車したり、その駐車済みの車両を立体駐車装置54から呼び出して出庫したりする。
図19は、集合住宅の立体駐車装置54を利用する際のICカード20を用いた認証処理の流れを示すシーケンスチャートである。以下、本図を用いて、当該認証処理について説明する。
【0101】
まず、居住者は、ICカード20を読取装置30にかざす等して、ICカード20と読取装置30とが互いに通信可能な距離まで接近する。この読取装置30は、例えば、立体駐車場を構成する立体駐車装置54における車両の入出庫口の近傍に設置されている。
【0102】
ICカード20と読取装置30とが互いに通信可能な距離まで接近すると、ICカード20は、読取装置30から送信される電磁波を受信する(ステップS261)。
すると、ICカード20は、情報記録部23に記録されている製造番号情報を読取装置30へ送信する(ステップS262)。
【0103】
読取装置30は、ICカード20から製造番号情報を受信すると、その受信した製造番号情報を専有線等を介して認証管理装置40へ送信する(ステップS263)。
【0104】
認証管理装置40は、読取装置30から製造番号情報を受信すると、ICカード認証データベースを参照して、その受信した製造番号情報に対応付けられた鍵識別情報を抽出する。そして、認証管理装置40は、駐車データベースを参照して、上記抽出した鍵識別情報に駐車情報が対応付けられているか否かを判断する(ステップS264)。
【0105】
上記抽出した鍵識別情報に駐車情報が対応付けられていない場合、すなわち、上記ICカード20を用いて認証を行った居住者等が立体駐車装置54において車両を駐車する旨の申し込みを事前に行っておらず、当該立体駐車装置54による立体駐車場を利用することができない場合には(ステップS264/No)、ICカード20の認証処理を終了する。
この場合、立体駐車装置54のパレットを車両入出庫口まで呼び出すことはできない。従って、居住者等は車両の入庫又は出庫を行うことができない。
【0106】
一方、上記検索した鍵識別情報に駐車情報が対応付けられている場合、すなわち、上記ICカード20を用いて認証を行った居住者等が立体駐車装置54において車両を駐車する旨の申し込みを事前に行っており、当該立体駐車装置54による立体駐車場を利用することができる場合には(ステップS264/Yes)、認証管理装置40は、認証成功と判断し、該当する車両の駐車情報とともに、当該車両のパレットを車両入出庫口まで移動させることを指示する旨の情報(以下、移動指示情報という)を専有線等を介して立体駐車装置54の動作制御部(図示しない)へ送信する(ステップS265)。
【0107】
また、認証管理装置40は、上記の立体駐車装置54による車両の入出庫口への移動に関する認証の履歴(認証履歴情報)を記録する(ステップS266)。
この認証履歴情報には、例えば、居住者等を特定する識別情報、認証時刻、認証の対象(立体駐車装置54)、認証結果(成功又は失敗)等が含まれる。
【0108】
立体駐車装置54の動作制御部は、上記の車両の駐車情報及び移動指示情報を認証管理装置40から受信すると、当該駐車情報により特定される車両のパレットを車両の入出庫口まで移動させる(ステップS267)。
居住者等は、その入出庫口まで移動してきたパレット上の車両に乗車して出庫させるか、又は空のパレット上に車両を乗せて入庫させる。
【0109】
このように、居住者は、交通機関用の汎用的な非接触ICカードであっても、専有部分鍵10に対応づけて認証管理装置40に登録することで、立体駐車装置54の利用に係る鍵として使用することが可能となる。
【0110】
(専有部分鍵10を用いた各設備51〜54利用の際の認証処理)
以上、ICカード20を用いた各設備51〜54利用の際の認証処理について説明した。専有部分鍵10を用いてもこれと同様の認証処理を行い、各設備51〜54を利用することができる。
ただし、読取装置30に読み取られ、認証管理装置40により認証処理が行われるのは、製造番号情報ではなく、鍵識別情報である。
従って、専有部分鍵10を用いて認証処理を行う場合、認証管理装置40は、読取装置30から受信した鍵識別情報と、専有部分鍵認証データベース又はICカード認証データベースに登録された鍵識別情報とを比較照合して認証を行う。
そして、認証管理装置40は、各設備52〜54についての認証を行うときには、各データベースを参照して、の鍵識別情報に行先階情報、ロッカー識別情報又は駐車情報が対応付けられているか否かを判断して、ICカード20の場合と同様に認証を行う。
専有部分鍵10における認証処理のその他の部分は、ICカード20の場合と同様であるので、その説明を省略する。
【0111】
(ICカード20紛失時の使用停止処理)
図20は、ICカード20の鍵としての使用を停止する際の処理の流れを示すシーケンスチャートである。以下、本図に沿って、各設備51〜54の鍵として登録済みのICカード20を居住者等が紛失したときの、その紛失したICカード20の使用停止処理について説明する。
【0112】
まず、居住者等は、専有部分鍵10と、紛失していない(現在保有している)他のICカード20全てを携帯して、認証管理装置40の設置場所を訪れる。
ここで、居住者等は、専用部分鍵10を認証管理装置40にかざす等して、専用部分鍵10と認証管理装置40とが互いに通信可能な距離まで接近すると、専用部分鍵10は、認証管理装置40から送信される電磁波を受信する(ステップS301)。
すると、専用部分鍵10は、情報記録部23に記録されている製造番号情報を認証管理装置40へ送信する(ステップS302)。
続けて、居住者等は、操作部46を操作して、パスワードを認証管理装置40に入力する(ステップS303)。
【0113】
認証管理装置40は、専有部分鍵10から受信した上記鍵識別情報及び入力されたパスワードの組み合わせと、ICカード認証データベースで管理されている鍵識別情報及びパスワードの組み合わせとを比較照合し(ステップS304)、不一致であれば認証失敗と判断し(ステップS304/No)、ICカード20の使用停止処理を終了する。
【0114】
一方、両組み合わせが一致した場合には、認証管理装置40は、認証成功と判断し(ステップS304/Yes)、ICカード20の使用停止処理を続行し、表示部45は、ICカード20の一部文字列情報25の入力用画面を表示する(ステップS305)。
居住者等は、操作部46を用いて、その入力用画面上に、紛失していないICカード20の一部文字列情報25全てを入力する(ステップS306)。
例えば、居住者等は、5枚のICカード20を保有しており、そのうち4枚が紛失していない場合には、その4枚分の一部文字列情報25(4つ)を入力する。
そして、居住者等は、一部文字列情報25全ての入力が完了した後、その入力が完了した旨の情報を操作部46を用いて入力する(ステップS307)。
【0115】
認証管理装置40は、上記入力により、一部文字列情報25全ての入力が完了したと判断すると、ICカード認証データベースを参照し、ステップS302で送信され入力された専用部分鍵10の鍵識別情報に対応づけられた一部文字列情報25のうち、ステップS306で未入力であった一部文字列情報25を抽出する(ステップS308)。
認証管理装置40は、その抽出した一部文字列情報25が印刷等されたICカード20が、紛失したICカード20であると認識し、当該カード20の使用停止処理を行う(ステップS309)。
認証管理装置40は、これ以降、当該カード20の製造番号情報を受信したときには、比較照合した上で認証失敗と判断し、各設備51〜54の利用を許可しない。
そして、認証管理装置40は、ICカード認証データベースを参照し、当該使用が停止されたカード20を特定可能な情報を表示部45上に表示する(ステップS309)。例えば、そのICカード20を鍵として登録した時期、ICカード20の種類(使用される交通機関名、店舗名)といった情報を表示する。
居住者等は、その画面上に表示された情報を確認することで、どのICカード20が紛失し、使用が停止されたかを簡単に把握することができる。
【0116】
このように、居住者等が複数枚のICカード20を所有し、その中の1枚を紛失し、その紛失したICカード20を特定するような情報を何も持たないときでも、現存する他のICカード20全ての一部文字列情報25を認証管理装置40に入力することで、その紛失したICカード20を容易に把握することができ、即座に使用を停止できる。従って、居住者は、第三者にICカード20を悪用されることを未然に防ぐことができるとともに、自身が所有するICカード20を容易に管理することが可能となる。
【0117】
<実施形態のまとめ>
以上説明したように、本実施の形態によれば、設備利用管理システムは、集合住宅の専有部分の鍵の識別番号に対応づけて、(専用ではなく)汎用のICカード20をその集合住宅の共用部分の鍵として登録して、その共用部分への入場を管理するので、その集合住宅の居住者等は、その集合住宅の管理会社等に鍵の提供を依頼することなく、自ら迅速かつ容易に集合住宅の各設備51〜54(共用部分)の鍵を取得することが可能となる。また、集合住宅の管理会社側も、共用部分の鍵の発行という煩雑な作業を解消することができる。
【0118】
また、本実施の形態では、上述の通り、集合住宅等の共用部分の鍵として普段携帯する交通機関の乗車用の汎用のICカード20を用いるので、居住者等は、意識することなく共用部分の鍵を携帯でき、わざわざ専用の鍵を持ち歩く煩わしさを解消することができる。
【0119】
また、本実施の形態では、居住者等が複数枚のICカード20のうち1枚を紛失し、どのICカード20を紛失したか特定できないときでも、現存する他のICカード20全ての一部文字列情報25を認証管理装置40に入力することで、その紛失したICカード20を容易に把握することができ、即座に使用を停止することができる。従って、居住者は、第三者にICカード20を悪用されることを未然に防ぐことができるとともに、自身が所有するICカード20を容易に管理することが可能となる。
【0120】
上記の読取装置30、認証管理装置40及び管理サーバ60は、主にCPUとメモリにロードされたプログラムによって実現される。ただし、それ以外の任意のハードウェアおよびソフトウェアの組合せによってこの装置またはサーバを構成することも可能であり、その設計自由度の高さは当業者には容易に理解されるところである。
また、上記の読取装置30、認証管理装置40又は管理サーバ60をソフトウェアモジュール群として構成する場合、このプログラムは、光記録媒体、磁気記録媒体、光磁気記録媒体、または半導体等の記録媒体に記録され、上記の記録媒体からロードされるようにしてもよいし、所定のネットワークを介して接続されている外部機器からロードされるようにしてもよい。
【0121】
なお、上記の実施例は本発明の好適な実施の一例であり、本発明の実施例は、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能となる。
【0122】
例えば、本実施の形態においては、ICカード20を交通機関乗車用としたが、汎用のICカードであれば用途はこれに限定されない。例えば、ショッピング用又はクレジットカード等であってもよく、これらの組み合わせであってもよい。
その通信方式は、Felica(登録商標)、MIFARE(登録商標)等様々な方式を適用できる。
また、上記実施の形態においては、ICカード20は非接触タイプのICカード(例えばISO/IEC14443)としたが、一般的なクレジッドカードや金融機関のキャッシュカードのように接触タイプ(例えばISO/IEC7816)のものであってもよい。この場合、読取装置30及び認証管理装置40も接触タイプの読取機器として構成される。
また、ICカード20の形状はいわゆるカード形状に限定されず、チップ型や携帯電話機等の携帯端末との一体型等、他の態様であってもよい。
【0123】
また、本実施の形態における設備利用管理システムは、マンション等の集合住宅の共用部分への入場を管理するものであるが、その他、宿泊施設や商業施設等、様々な施設や建物の錠の管理に適用可能である。
【符号の説明】
【0124】
10 専有部分鍵
11 保持部
12 挿入部
13,21,31,41,61 制御部
14,22,32,42 非接触通信部
15,23,33,43,62 情報記録部
20 ICカード
24 文字列情報
25 一部文字列情報
30 読取装置
34,44,63 送受信部
40 認証管理装置
45 表示部
46 操作部
51 共用部分扉
52 エレベータ
53 宅配ロッカー
54 立体駐車装置
60 管理サーバ
70 ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の共用部分における各設備の利用を管理する設備利用管理システムであって、
所定の用途に用いられる汎用のICカードと、
前記汎用のICカードに記録された該カード固有の製造番号情報を読み取る読取装置と、
前記読み取られた製造番号情報を読取装置から受信すると、該受信した製造番号情報に基づいて認証を行い、該認証が成功した場合には、前記各設備の利用を許可する旨の情報を送信し、該各設備の利用を許可する認証管理装置と、
を有することを特徴とする設備利用管理システム。
【請求項2】
前記建物の専有部分及び共有部分の各設備の利用の際に必要な鍵として使用され、該鍵として固有に識別するための鍵識別情報を記録するとともに、該鍵識別情報の発信機能を備えた専有部分鍵をさらに有し、
前記認証管理装置は、前記鍵識別情報を前記専有部分鍵から、前記製造番号情報を前記汎用のICカードからそれぞれ受信すると、前記ICカードを前記建物の共有部分の各設備の利用の際に必要な鍵として使用可能にするために、該受信した製造番号情報を該受信した鍵識別情報と対応付けて自装置に登録することを特徴とする請求項1記載の設備利用管理システム。
【請求項3】
前記共用部分の設備は、通常施錠されている共用部分扉であって、
前記認証管理装置は、前記読み取られた製造番号情報を読取装置から受信すると、該受信した製造番号情報に基づいて認証を行い、該認証が成功した場合には、前記共用部分扉を解錠する旨の情報を前記共用部分扉の動作制御部へ送信し、該共用部分扉を解錠させることを特徴とする請求項1又は2記載の設備利用管理システム。
【請求項4】
前記共用部分の設備は、通常呼出しボタンの操作がロックされているエレベータであって、
前記認証管理装置は、前記読み取られた製造番号情報を読取装置から受信すると、該受信した製造番号情報に基づいて認証を行い、該認証が成功した場合には、前記呼出しボタンのロックを解錠する旨の情報を前記エレベータの動作制御部へ送信し、該エレベータを解錠させることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の設備利用管理システム。
【請求項5】
前記共用部分の設備は、通常ロッカーボックスの扉が施錠されている宅配ロッカーであって、
前記認証管理装置は、前記読み取られた製造番号情報を読取装置から受信すると、該受信した製造番号情報に基づいて認証を行い、該認証が成功した場合には、前記宅配ロッカーのロッカー扉を解錠する旨の情報を前記宅配ロッカーの動作制御部へ送信し、該宅配ロッカーを解錠させることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の設備利用管理システム。
【請求項6】
前記宅配ロッカーの動作制御部は、自身のロッカーボックス内に配送物が収納されたことを認識すると、該配送物が収納されたロッカーボックスを特定するロッカー識別情報を生成して前記認証管理装置へ送信し、
前記認証管理装置は、前記ロッカー識別情報を受信すると、前記製造番号情報に対応付けて自装置に格納し、前記読み取られた製造番号情報を前記読取装置から受信すると、該受信した製造番号情報に基づいて、前記宅配ロッカーに配送物が収納されているか否かを判断し、該配送物が収納されていると判断した場合には、該配送物が収納されているロッカーボックスを特定するロッカー識別情報を前記宅配ロッカーの動作制御部へ送信し、該ロッカー識別情報により特定される宅配ロッカーのロッカーボックスの扉を解錠させることを特徴とする請求項5記載の設備利用管理システム。
【請求項7】
前記共用部分の設備は、複数の車両搬送用のパレットを備えた立体駐車場を構成する立体駐車装置であって、
前記認証管理装置は、前記読み取られた製造番号情報を読取装置から受信すると、該受信した製造番号情報に基づいて認証を行い、該認証が成功した場合には、パレットを前記立体駐車場の入出庫口まで移動させることを指示する旨の情報と、該移動させるパレットを特定するための駐車情報とを前記立体駐車装置の動作制御部へ送信し、該当する前記パレットを前記立体駐車場の入出庫口まで移動させることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の設備利用管理システム。
【請求項8】
前記認証管理装置は、前記汎用のICカード上に視認可能に示された文字列情報が入力されると、該入力された文字列情報を前記製造番号情報及び前記鍵識別情報と対応づけて自装置に登録し、
1つの前記鍵識別情報に対して、1以上の前記製造番号情報及び前記文字列情報を対応付けて登録した後に、前記既に登録済みの文字列情報が入力されると、前記既に登録済みの文字列情報のうち該入力された文字列情報を除く文字列情報を抽出し、該抽出した文字列情報が視認可能に示された前記汎用のICカードが紛失した旨の情報を出力することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の設備利用管理システム。
【請求項9】
前記汎用のICカードは、交通機関の乗車用に用いられる汎用のICカードであることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の設備利用管理システム。
【請求項10】
前記汎用のICカードは、非接触型のICカードであることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の設備利用管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−173972(P2012−173972A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−35080(P2011−35080)
【出願日】平成23年2月21日(2011.2.21)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 日本経済新聞(日本経済新聞社発行)平成22年9月22日刊 第14面 http://www.fts.co.jp 平成22年9月22日掲載 実業界 二月号(株式会社実業界発行)平成23年2月1日 第42,43ページ
【出願人】(390005094)株式会社フルタイムシステム (11)
【Fターム(参考)】