説明

設置式車椅子用リフター

【課題】昇降板を前方に迫り出しながら上昇させることのできる簡単な昇降機構を備えた設置式車椅子用リフターを提案すること。
【解決手段】設置式車椅子用リフター1の昇降板11は、前側旋回リンク12、後側旋回リンク13を備えた4節の平行リンク機構によって支持されており、昇降板11の側方には昇降用旋回機構14が配置されている。車椅子6を乗せた昇降板11が4節の平行リンク機構によって前方に迫り出しながら上昇する。上昇位置11Bにおいて、昇降板11の前端縁と、階段の最も高い段面4との間の隙間を少なくすることができ、昇降板11の下側に部品設置スペースを確保する必要がないので、地盤面3とほぼ同一高さ位置まで昇降板11を降下させることができる。よって、車椅子6を昇降板11に乗せる作業、そこから降ろす作業が容易になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅の玄関口などにおける段差部分に設置して用いるのに適した設置式車椅子用リフターに関する。
【背景技術】
【0002】
一般住宅の玄関口などに段差が設けられている場合には、車椅子利用者などのためのバリアフリー化のために、スロープを設けるなどの工夫がなされている。しかしながら、一般住宅において長いスロープを設けるスペースが取れない場合が多く、傾斜の急なスロープを設けざるを得ない場合が多い。この場合には、車椅子利用者あるいは介護者にとっては、車椅子を傾斜の急なスロープに沿って押し上げることは大きな負担である。そこで、段差部分に車椅子用昇降装置を設置して、車椅子を地面から玄関口と同一の高さ位置まで持ち上げて、段差部分の移動を容易に行い得るようにすることが望ましい。
【0003】
このような用途に利用可能な車椅子昇降装置は特許文献1に開示されている。ここに開示されているアームスライド式昇降装置は、パンタグラフ式などの折り畳みアームを伸ばすことにより、フロアープレートを地面から所定高さ位置に上昇させる簡単な昇降構造となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−302476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、折り畳み式のアームなどを用いた簡単な昇降機構を備えた従来の車椅子昇降装置は車椅子を乗せる昇降板が垂直に昇降するのみである。一般住宅などの玄関先においては2、3段の段差が設けられているのが一般的である。一段の段差の場合には、下側の地盤面から車椅子を垂直に持ち上げればよいが、2、3段の階段の場合には、車椅子を最も低い段面から単に垂直に持ち上げただけでは、車椅子と最も高い段面との間に、水平方向に段面分の隙間ができてしまう。したがって、隙間を埋めるように板などを架け渡して、車椅子を昇降板の側から移動させる必要がある。これでは、介護者がついていない車椅子利用者の場合には段差部分を介して移動することができず、介護者がついている場合においても介護者にとって極めて不便である。
【0006】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、昇降板を前方に迫り出しながら上昇させることのできる簡単な昇降機構を備え、一般住宅などの玄関先の段差部分に設置して用いるのに適した設置式車椅子用リフターを提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の設置式車椅子用リフターは、
車椅子を乗せる昇降板と、
前記昇降板を降下位置および前方に迫り出した上昇位置の間で昇降させるために、当該昇降板の左右の側部をそれぞれ支持している前側旋回リンクおよび後側旋回リンクを備えた4節の平行リンク機構と、
前記前側旋回リンクおよび前記後側旋回リンクを、これらの下端のリンク節点を中心として、前記昇降板が前記降下位置に位置する水平に倒れた倒れ位置から、前記昇降板が前記上昇位置に位置する垂直に起立した起立位置までの間で旋回させるために、前記昇降板の側方に配置されている昇降用旋回機構と、
前記昇降用旋回機構を駆動するための昇降用手動操作部材とを有していることを特徴としている。
【0008】
本発明の設置式車椅子用リフターでは、車椅子を乗せた昇降板が4節の平行リンク機構によって前方に迫り出しながら上昇する。したがって、上昇位置において、昇降板の前端縁と、階段の最も高い段面との間に隙間ができないようにすることができる。また、4節の平行リンク機構を駆動するための昇降用旋回機構は、昇降板の側方に配置されているので、昇降板の下側に部品設置スペースが実質的に不要となる。したがって、地盤面とほぼ同一高さ位置まで昇降板を降下させることができるので、車椅子を昇降板に乗せる作業も簡単に行うことができる。
【0009】
ここで、昇降板を昇降させている途中において車椅子の車輪などが昇降板から外れることの無いように、前記昇降板の左右の側部には左右の手すりを取り付け、前記昇降板の前後の端部には前後の車止めを取り付けることが望ましい。この場合において、昇降板から車椅子を移動する際の作業を簡単に行うことができるようにするためには、前記車止めのそれぞれを、垂直に起立した閉じ位置から外方に水平に倒れた開き位置までの間で旋回させる前後の車止め開閉機構を配置し、これら車止め開閉機構のそれぞれを駆動するための前後の開閉用手動操作部材を配置しておくことが望ましい。
【0010】
次に、前記昇降用旋回機構は、前側旋回リンクおよび後側旋回リンクを連動して旋回させるために、前記前側旋回リンクにおける長さ方向の途中位置から当該前側旋回リンクの旋回方向に直角に突出している前側突出腕と、前記後側旋回リンクにおける長さ方向の途中位置から前記前側連結腕と同一方向に突出している後側突出腕と、前記前側旋回リンクおよび前記後側旋回リンクを連動させるために、前記前側突出腕および前記後側突出腕に、それぞれ前後の端が回動可能に連結されている水平連結腕とを備えていることが望ましい。
【0011】
このように前後の旋回リンクの間に水平連結腕を架け渡しておき、前後の突出腕の長さを適切に設定しておくことにより、旋回リンクの旋回に伴う水平連結腕の上下の移動範囲を小さくすることができ、水平連結腕の設置スペースが少なくて済む。
【0012】
また、前記昇降用旋回機構を、前記前側旋回リンクおよび前記後側旋回リンクの間に位置する支点を中心として上下方向に回動可能に支持されている回動式ブラケットと、前記回動式ブラケットに搭載されている回転アクチュエータと、前記回転式ブラケットによって前記支点を通る前後方向にスライド可能に支持されていると共に、先端部が前記前側突出腕に回動可能に連結されているスライド軸と、前記回転アクチュエータの回転を前記スライド軸のスライド運動に変換するナットおよびネジからなる直動機構とを備えた構成とすることができる。
【0013】
この代わりに、前記昇降用旋回機構を、回転アクチュエータと、前記回転アクチュエータの出力回転を、前記前側旋回リンクあるいは前記後側旋回リンクの下端の前記リンク節点に伝達する歯車式伝達機構とを備えた構成とすることもできる。
【0014】
さらに、前記昇降用旋回機構を、前記前側旋回リンクおよび前記後側旋回リンクの間に位置する支点を中心として上下方向に回動可能に支持されている回動式ブラケットと、前記回動式ブラケットに搭載されている油圧シリンダとを備え、前記油圧シリンダの伸縮ロッドの先端が前記前側突出腕あるいは前記後側突出腕に回動可能に連結された構成とすることもできる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の設置式車椅子用リフターにおいては、4節の平行リンク機構を利用して、車椅子を乗せる昇降板が前方に迫り出しながら上昇させるようにしている。したがって、2、3段程度の階段に設置した場合に、昇降板が最も高い段面の側に迫り出しながら上昇するので、昇降板と段面との間にできる隙間を狭くすることができる。また、4節の平行リンク機構を駆動するための昇降用旋回機構は、昇降板の側方に配置されているので、昇降板の下側に部品設置スペースが実質的に不要となる。したがって、地盤面とほぼ同一高さ位置まで昇降板を降下させることができる。よって、車椅子を昇降板に乗せる作業、そこから降ろす作業を簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(a)、(b)および(c)は、それぞれ、本発明を適用した設置式車椅子用リフターを示す平面図、側面図および正面図であり、昇降板が降下位置にある状態を示すものである。
【図2】(a)、(b)および(c)は、それぞれ、図1の設置式車椅子用リフターを示す平面図、側面図および正面図であり、昇降板が前方に迫り出した上昇位置にある状態を示すものである。
【図3】(a)は水平連結腕の部分を示す部分平面図であり、(b)はその部分側面図である。
【図4】(a)および(b)は、それぞれ、昇降用旋回機構の駆動源部分を示す部分平面図および部分側面図である。
【図5】(a)および(b)は、それぞれ、昇降用旋回機構の別の例を示す平面図および側面図である。
【図6】(a)、(b)および(c)は、それぞれ、図5の昇降用旋回機構の主要部分を示す平面図、側面図および端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、図面を参照して、本発明を適用した設置式車椅子用リフターの実施の形態を説明する。
【0018】
図1(a)、(b)および(c)は、それぞれ、本発明を適用した設置式車椅子用リフターを示す平面図、側面図および正面図であり、昇降板が降下位置にある状態を示すものである。図2(a)、(b)および(c)は、それぞれ、設置式車椅子用リフターを示す平面図、側面図および正面図であり、昇降板が前方に迫り出した上昇位置にある状態を示すものである。
【0019】
これらの図を参照して説明すると、設置式車椅子用リフター1は、例えば、一般住宅の玄関ポーチの段差部分2に設置して用いられる。たとえば、段差部分2には、地盤面3から、3段の階段が形成されており、最も高い段面4が玄関口に繋がっている。設置式車椅子用リフター1は最も低い段面5の手前側の地盤面3に設置されている。
【0020】
設置式車椅子用リフター1は地盤面3に固定された架台10を備えており、この架台10には車椅子6を乗せるための水平な矩形輪郭の昇降板11が4節の平行リンク機構を介して支持されている。4節の平行リンク機構は、昇降板11の左右の側部をそれぞれ支持している前側旋回リンク12および後側旋回リンク13を備えている。前側旋回リンク12および後側旋回リンク13の下端はそれぞれ架台10に取り付けられたリンク節点12a、13aとなっており、それらの上端はそれぞれ昇降板11に取り付けられたリンク接点12b、13bとなっている。
【0021】
したがって、昇降板11、左右の前側旋回リンク12、左右の後側旋回リンク13および架台10によって、昇降板11を図1に示す降下位置11Aと、図2に示す前方に迫り出した上昇位置11Bの間で昇降させるための4節の平行リンク機構が構成されている。すなわち、前側旋回リンク12および後側旋回リンク13を、これらの下端のリンク節点12a、13aを中心として図1に示すように前方に水平に倒れた倒れ位置12A、13Aに旋回させると、昇降板11が降下位置11Aに位置決めされる。前側旋回リンク12、後側旋回リンク13を図2に示すように垂直に起立した起立位置12B、13Bに旋回させると、昇降板11が前方に迫り出した上昇位置11Bに位置決めされる。
【0022】
このように、設置式車椅子用リフター1では、車椅子6を乗せた昇降板11が4節の平行リンク機構によって前方に迫り出しながら上昇する。したがって、上昇位置11Bにおいて、昇降板11の前端縁11aと、階段の最も高い段面4との間に隙間ができないようにすることができる。よって、昇降板11から段面4に車椅子6を移動させる作業が簡単になる。
【0023】
次に、設置式車椅子用リフター1において、昇降板11の側方における架台10の部位に、前側旋回リンク12、後側旋回リンク13を旋回させるための昇降用旋回機構14が組み込まれている。4節の平行リンク機構を駆動するための昇降用旋回機構14が、昇降板11の側方に配置されているので、昇降板11の下側に部品設置スペースが実質的に不要となる。したがって、地盤面3とほぼ同一高さ位置まで昇降板11を降下させることができる。よって、車椅子6を地盤面3から昇降板11に乗せる作業も簡単に行うことができる。
【0024】
ここで、昇降板を昇降させている途中において車椅子の車輪などが昇降板から外れることの無いように、昇降板11の左右の側部には逆U字状に加工した左右のパイプ手すり15、16が取り付けられている。また、昇降板11の前後の端部には、矩形板状の前後の車止め17、18が取り付けられている。車止め17、18の側方位置には、昇降板11との間に架け渡した開閉用の油圧シリンダ19、20(車止め開閉機構)が配置されている。一方のパイプ手すり15の前後の部位には、油圧シリンダ19、20を駆動するための開閉用手動操作レバー21、22(開閉用手動操作部材)が取り付けられている。また、パイプ手すり15における前後方向の中程の部位には、昇降用旋回機構14を駆動して昇降板11を昇降させるための手動操作ボタン23、24(昇降用手動操作部材)が取り付けられている。なお、前側の車止め17は所定の幅のものであり、外方に倒した状態において段面4に架け渡され、これらの間に隙間がある場合においても、車椅子6を円滑に移動させることができる。
【0025】
次に、昇降用旋回機構14は、前側旋回リンク12および後側旋回リンク13を連動して旋回させるために、これらの間に架け渡した水平連結腕25を備えている。図3(a)は水平連結腕25の部分を示す部分平面図であり、図3(b)はその部分側面図である。これらの図に示すように、左右の前側旋回リンク12はそれらの下端のリンク節点の間が幅方向に延びる前連結軸28で連結されており、一体となって旋回する。同様に、左右の後側旋回リンク13も後連結軸29で連結されており、一体となって旋回する。
【0026】
前後の旋回リンク12、13を連結している水平連結腕25の前端は、前側旋回リンク12に取り付けた前側突出腕26の先端に回動自在の状態連結されており、水平連結腕25の後端は、後側旋回リンク13に取り付けた後側突出腕27の先端に回動自在の状態で連結されている。前側突出腕26は、前側旋回リンク12における長さ方向の途中位置から当該前側旋回リンク12の旋回方向に直角に突出しており、倒れ位置12Aの状態では上方に突出し、起立位置12Bの状態では前方に水平に突出している。後側突出腕27も同様に後側旋回リンク13に取り付けられている。このように前後の旋回リンク12、13の間に水平連結腕25を架け渡しておき、前後の突出腕26、27の突出長さを適切に設定しておくことにより、旋回リンク12、13の旋回に伴う水平連結腕25の上下の移動範囲を小さくすることができ、水平連結腕25の設置スペースが少なくて済む。
【0027】
次に、図4(a)、(b)はそれぞれ昇降用旋回機構14の駆動源部分を示す部分平面図および部分側面図である。昇降用旋回機構14は、水平連結腕25の外側位置において、架台10に取り付けられた回動式ブラケット31を備えている。回動式ブラケット31は、前側旋回リンク12および後側旋回リンク13の間に位置する支点32を中心として上下方向に回動可能に支持されている。回動式ブラケット31には、モータ33および減速機34からなる回転アクチュエータ35が下向きに搭載されている。また、回動式ブラケット31にはスライド軸36が前後方向にスライド可能な状態で支持されており、スライド軸36の中心軸線は支点32を通っている。したがって、スライド軸36は支点32を中心として前後に揺動可能である。
【0028】
スライド軸36の外周面にはねじが刻まれており、回動式ブラケット31の側には回転アクチュエータ35によって回転駆動されるナットが取り付けられており、ナットの回転により、スライド軸36はその軸線方向に直線往復移動可能である。スライド軸36の先端部は、前側突出腕26の先端に連結されている支軸37に回動自在の状態で連結されている。スライド軸36が図4における想像線で示す後退位置36Aに位置している状態では、前後の旋回リンク12、13が倒れ位置12A、13Aにあり、昇降板11は降下位置にある。スライド軸が図4において実線で示す前進位置36Bに移動すると、前後の旋回リンク12、13が垂直に起立した起立位置12B、13Bに旋回し、昇降板11が前方に迫り出した上昇位置11Bに位置決めされる。
【0029】
なお、昇降用旋回機構14としては、回転アクチュエータ35の代わりに油圧シリンダを用いることもできる。この場合には、油圧シリンダを回動式ブラケット31に搭載し、その伸縮ロッドの先端を、支軸37に回動自在に状態で連結すればよい。
【0030】
(昇降用旋回機構の別の例)
図5(a)および(b)は昇降用旋回機構の別の例を示す平面図および側面図であり、図6(a)、(b)および(c)は、それぞれ、図5の昇降用旋回機構の主要部分を示す平面図、側面図および端面図である。なお、昇降用旋回機構14A以外の構成は図1〜図4に示す設置式車椅子用リフター1と同様であるので、対応する部位には同一の符号を付し、それらの説明は省略する。
【0031】
この図に示す昇降用旋回機構14Aは、横置きの回転アクチュエータ41を備えている。回転アクチュエータ41によって駆動側歯車42が回転駆動される。駆動側歯車42には、90度の弧を張る円形外周面に沿って外歯が形成された扇形の平歯車43がかみ合っている。この扇形の平歯車43の中心には、後側旋回リンク13に下端に連結されている後連結軸29が固定されている。
【0032】
図5に示す状態は昇降板11が上昇位置11Bにある状態である。回転アクチュエータ41を駆動して駆動側歯車42を反時計回りに回転駆動すると、これにかみ合っている扇形形状の平歯車43が時計回りに回転し、その中心に連結されている後連結軸29も時計回りに回転する。この結果、後連結軸29に下端が固定されている後側旋回リンク13が下端を中心として後方に旋回して、起立位置13Bから後方に水平に倒れた倒れ位置13Aに旋回する。前後の旋回リンク12、13は水平連結腕25によって連結されているので、双方が同時に後方の倒れ位置に移動して、昇降板11が降下位置11Aまで降下する。逆の駆動により、昇降板11は降下位置11Aから前方に迫り出した上昇位置11Bに上昇する。
【符号の説明】
【0033】
1 設置式車椅子用リフター
2 段差部分
3 地盤面
4 段面
5 段面
6 車椅子
10 架台
11 昇降板
11A 降下位置
11B 上昇位置
12 前側旋回リンク
13 後側旋回リンク
12a、13a 下端側のリンク節点
12b、13b 上端側のリンク節点
12A、13A 倒れ位置
12B、13B 起立位置
14、14A 昇降用旋回機構
15、16 パイプ手すり
17、18 車止め
19、20 開閉用油圧シリンダ
21、22 開閉用手動操作レバー
23、24 昇降用手動操作ボタン
25 水平連結腕
26 前側突出腕
27 後側突出腕
28 前連結軸
29 後連結軸
31 回動式ブラケット
32 支点
33 モータ
34 減速機
35 回転アクチュエータ
36 スライド軸
36A 後退位置
36B 前進位置
37 支軸
41 回転アクチュエータ
42 駆動側歯車
43 扇形の平歯車

【特許請求の範囲】
【請求項1】
段差部分(2)に設置して使用される設置式車椅子用リフター(1)であって、
車椅子(6)を乗せる昇降板(11)と、
前記昇降板(11)を降下位置(11A)および前方に迫り出した上昇位置(11B)の間で昇降させるために、当該昇降板(11)の左右の側部をそれぞれ支持している前側旋回リンク(12)および後側旋回リンク(13)を備えた4節の平行リンク機構と、
前記前側旋回リンク(12)および前記後側旋回リンク(13)を、これらの下端のリンク節点(12a、13a)を中心として、前記昇降板(11)が前記降下位置(11A)に位置する水平に倒れた倒れ位置(12A、13A)から、前記昇降板(11)が前記上昇位置(11B)に位置する垂直に起立した起立位置(12B、13B)までの間で旋回させるために、前記昇降板(11)の側方に配置されている昇降用旋回機構(14、14A)と、
前記昇降用旋回機構(14、14A)を駆動するための昇降用手動操作部材(23、24)とを有していることを特徴とする設置式車椅子用リフター(1)。
【請求項2】
請求項1において、
前記昇降板(11)の左右の側部には左右の手すり(15、16)が取り付けられており、
前記昇降板(11)の前後の端部には前後の車止め(17、18)が取り付けられており、
前記車止め(17、18)のそれぞれを、垂直に起立した閉じ位置から外方に水平に倒れた開き位置までの間で旋回させる前後の車止め開閉機構(19、20)が配置されており、
前記手すり(15)には、前記車止め開閉機構(19、20)のそれぞれを駆動するための前後の開閉用手動操作部材(21、22)と、前記昇降用手動操作部材(23、24)とが配置されていることを特徴とする設置式車椅子用リフター(1)。
【請求項3】
請求項2において、
前記昇降用旋回機構(14、14A)は、
前記前側旋回リンク(12)における長さ方向の途中位置から当該前側旋回リンクの旋回方向に直角に突出している前側突出腕(26)と、
前記後側旋回リンク(13)における長さ方向の途中位置から前記前側連結腕と同一方向に突出している後側突出腕(27)と、
前記前側旋回リンク(12)および前記後側旋回リンク(13)を連動させるために、前記前側突出腕(26)および前記後側突出腕(27)に、それぞれ前後の端が回動可能に連結されている水平連結腕(25)とを備えていることを特徴とする設置式車椅子用リフター(1)。
【請求項4】
請求項3において、
前記昇降用旋回機構(14)は、
前記前側旋回リンク(12)および前記後側旋回リンク(13)の間に位置する支点(32)を中心として上下方向に回動可能に支持されている回動式ブラケット(31)と、
前記回動式ブラケット(31)に搭載されている回転アクチュエータ(35)と、
前記回転式ブラケット(31)によって前記支点を通る前後方向にスライド可能に支持されていると共に、先端部が前記前側突出腕(26)に回動可能に連結されているスライド軸(36)と、
前記回転アクチュエータ(35)の回転を前記スライド軸(36)のスライド運動に変換するナット・ネジ式の直動機構とを備えていることを特徴とする設置式車椅子用リフター(1)。
【請求項5】
請求項3において、
前記昇降用旋回機構(14A)は、
回転アクチュエータ(41)と、
前記回転アクチュエータ(41)の出力回転を、前記前側旋回リンク(12)あるいは前記後側旋回リンク(13)の下端の前記リンク節点に伝達する歯車式伝達機構(42、43)とを備えていることを特徴とする設置式車椅子用リフター(1)。
【請求項6】
請求項3において、
前記昇降用旋回機構は、
前記前側旋回リンクおよび前記後側旋回リンクの間に位置する支点(32)を中心として上下方向に回動可能に支持されている回動式ブラケット(31)と、
前記回動式ブラケットに搭載されている油圧シリンダとを備え、
前記油圧シリンダの伸縮ロッドの先端が前記前側突出腕(26)あるいは前記後側突出腕(27)に回動可能に連結されていることを特徴とする設置式車椅子用リフター(1)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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