説明

設置機構

【課題】三次元的に設置場所の傾きに対応することができる設置機構を提供する。
【解決手段】設置機構13は、接地部材2と、中央壁31及び中央壁31に垂直な側壁32を有する機器取付部材3と、底壁41及び底壁41に垂直な側壁42を有する接続部材4と備えている。中央壁31には機器の脚11の第1固定部としてのタップ穴111aに対して位置調整可能な長孔34が形成され、側壁42には側壁32のナット68に対して位置調整可能な長孔44が設けられている。設置機構13は、さらに、底壁41が接地部材2に対向するように、接地部材2に接続部材4を固定する第1ボルト61と、長孔43を通ってナット68に固定されることで、側壁42を側壁32に固定する第2ボルト62と、長孔34を通ってタップ穴111に固定されることで、中央壁31を機器の脚11に固定する第3ボルト63とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器を設置場所に設置する設置機構に関する。
【背景技術】
【0002】
機器の設置場所が水平でない場合、機器を水平に維持するために、大掛かりな工事によって水平な面を作製することがある。しかし、このような工事はコスト及び時間の面から望ましいものではなかった。
【0003】
このような問題を解決するべく、特許文献1には、設置場所と機器との間に設けられる据付け台が提案されている。据付け台は、下ハーフ、上ハーフ、ヒンジ軸、及び下ハーフと上ハーフとの角度を固定する種々の部材を備える。下ハーフと上ハーフとはヒンジ軸を中心として開閉し、下ハーフ及び上ハーフには、この開閉角度を調整する調整孔がそれぞれ設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−346233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の据付け台は、一方向に対する傾きにしか対応することができない。
本発明の課題は、従来の問題に鑑みて、設置場所の傾きに三次元的に対応することができる設置機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一見地に係る設置機構は、第1固定部を備える機器を設置場所に設置する設置機構であって、第1平面を有する接地部材と、第2平面及び第2平面に垂直な第3平面を有する機器取付部材と、第4平面及び第4平面に垂直な第5平面を有する接続部材と、を備える。第2平面には、機器に対する第2平面の位置変更を可能とする第1貫通孔が設けられる。第3平面及び第5平面のうち一方には、5平面に対する3平面の位置変更を可能とする第2貫通孔が設けられ、他方には第2固定部が設けられる。
さらに、設置機構は、第4平面を第1平面に固定する第1固定部材と、第2貫通孔を通って第2固定部に固定されることで、第3平面を第5平面に固定する第2固定部材と、第1貫通孔を通って第1固定部に固定されることで、機器を第2平面に固定する第3固定部材と、接地部材を設置場所に固定する第4固定部材と、を備える。
【0007】
この設置機構においては、第3固定部材と第1貫通孔とによって、第2平面に対して機器が固定されると共に、その位置が変更可能である。また、第2固定部材と第2貫通孔とによって、第3平面が第5平面に固定されることで、機器取付部材に接続部材が固定されると共に、その位置が変更可能である。すなわち、第2平面方向及び第3平面方向のそれぞれにおいて、機器と機器取付部材との位置関係、機器取付部材と接続部材との位置関係が変更可能である。第3平面は第2平面に垂直であるから、機器と接地部材との間の角度は、三次元的に変更可能である。
【0008】
第1平面及び第4平面のうち一方には、第4平面又は第1平面の第3固定部に対して位置調整可能な第3貫通孔が設けられ、他方には第3固定部が設けられていてもよい。第1固定部材は、第3貫通孔を通って第3固定部に固定されることで、第4平面を第1平面に固定してもよい。
この場合、そして、第3貫通孔及び第1固定部材によって、第1平面方向(第4平面方向)における接地部材と接続部材との位置関係の変更が可能である。
【0009】
第2貫通孔及び第3貫通孔は長孔であり、第2貫通孔の長手方向は第3貫通孔の長手方向に垂直でもよい。
【0010】
第2平面には、第1貫通孔として、長手方向が互いに平行な2つの長孔が設けられていてもよい。
接地部材、機器取付部材及び接続部材は、板状部材であってもよい。
【0011】
設置機構は、機器の下端に固定されて接地部材に接するアジャストボルトをさらに備えてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る設置機構は、設置場所の傾きに三次元的に対応することができ、その結果機器を水平に支持できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の一形態に係るコンベアシステムの平面図である。
【図2】(a)〜(c)は本発明の実施の一形態に係る接地部材を示し、(a)は正面図であり、(b)は側面図、(c)は平面図である。
【図3】(a)〜(c)は本発明の実施の一形態に係る機器取付部材を示し、(a)は正面図であり、(b)は側面図、(c)は平面図である。
【図4】(a)〜(c)は本発明の実施の一形態に係る機器取付部材を示し、(a)は正面図であり、(b)は側面図、(c)は平面図である。
【図5】コンベアシステムにおける設置機構の正面図である。
【図6】コンベアシステムにおける設置機構の側面図である。
【図7】コンベアシステムにおける設置機構の平面図である。
【図8】z−x平面において床面が傾いているときの設置機構の正面図である。
【図9】y−z平面において床面が傾いているときの設置機構の側面図である。
【図10】本発明の他の実施形態に係る設置機構の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
1.第1実施形態
1−1.コンベアシステム
図1を参照して、本実施形態のコンベアシステム100について説明する。
図1に示すように、コンベアシステム100は、コンベア本体1(機器)及び設置機構13を備える。
【0015】
図1に示すように、コンベア本体1は、設置機構13によって床面50(設置場所)上に設置されている。コンベア本体1は、側枠10、脚11、連結桟12を備える。側枠10は、y軸方向に長い板状の部材であって、x軸方向に向かい合うように、2つ1組で配置される。側枠10の間には、キャリアローラ(図示せず)が、回転軸がx軸方向に沿うように配置されている。
【0016】
脚11は、中空の角柱状部材である。脚11は、その長手方向が床面50に対して上下方向(z軸方向)に平行になるように、かつy軸方向において列を形成し、x軸方向において2列に並ぶように配置される。脚11の下端は、設置機構13によって床面50に固定される。また、脚11の上端は、側枠10に固定される。こうして脚11は、側枠10を床面50上で支持する。
【0017】
連結桟12は、角柱部材であり、その長手方向がx軸方向に沿うように配置される。連結桟12の両端は、x軸方向において向かい合う2つの脚11にそれぞれ固定される。固定には、ネジ止め、溶接等の種々の手段が用いられる。
【0018】
図1に示すように、各脚11に1つの設置機構13が設けられている。設置機構13は、床面50に固定されている。設置機構13の詳細については後述する。
【0019】
次に、コンベアシステム100が設けられている床面50について説明する。床面50は、図1に示すように、矩形の排水溝51が設けられている。そして、床面50には、水勾配が付されている。つまり、床面50には、排水溝51に向かって下降するように4方向の傾斜が付けられている。詳細には、床面50は、傾きがz−x平面において正である第1領域501と、傾きが同平面において負である第2領域502と、y−z平面における傾きが正である第3領域503と、傾きが同平面において負である第4領域504と、を含む。
【0020】
図1に示すように、第1領域501における脚11の固定位置の1つに“P1”の符号を付し、第3領域503における脚11の固定位置の1つに“P2”の符号を付す。
【0021】
1−2.設置機構13
図2〜図9を参照して、設置機構13について説明する。図5に示すように、設置機構13は、接地部材2、機器取付部材3、接続部材4を備える。
以下、まず、個々の接地部材2、機器取付部材3、及び接続部材4について説明し、次に全体が組み立てられた状態の構造を説明する。また、設置機構13に含まれるその他の部材については追って説明する。
【0022】
接地部材2は、設置場所、例えば床面50に直接接触するように置かれる部材である。
図2(a)〜図2(c)に示すように、接地部材2は、矩形の平板状の部材であり、例えば金属製である。接地部材2は、その外縁のうち向かい合う2辺の近傍に、それぞれ2個ずつ、計4個のボルト螺合孔21を備える。さらに、他の2辺のうちの一方の中点近傍に、1個のボルト貫通孔22を備える。また、接地部材2の一方の面を表面2a、他方の面を裏面2bと称する。
【0023】
機器取付部材3は、コンベア本体1の脚11を設置機構13の他の部材に取り付けるための部材である。
図3(a)〜図3(c)に示すように、機器取付部材3は、中央壁31、及び中央壁31に直交し、中央壁31から同じ方向に突出する2つの側壁32を備える。具体的には、機器取付部材3は、互いに平行な2つの平板状の側壁32、及び2つの側壁32の間に設けられ2つの側壁32に垂直な中央壁31を備える、断面がU字形状である板状部材である。機器取付部材3は、例えば金属板を折り曲げることで形成される。
【0024】
中央壁31において、U字形状の外側を向く面(外角側の面)が外面31aと称され、内側を向く面(内角側の面)が内面31bと称される。側壁32において、U字形状の外側を向く面(外角側の面)が外面32aと称され、内側を向く面(内角側の面)が内面32bと称される。中央壁31には、2つの長孔34が、互いに平行になるように設けられる。長孔34の長手方向は、U字形状における折り曲げ線(中央壁31と側壁32との境界線)に平行である。U字形状において向かい合う2つの側壁32には、ボルト貫通孔33が設けられる。
【0025】
接続部材4は、接地部材2と機器取付部材3とを互いに連結するための部材である。
図4(a)〜図4(c)に示すように、接続部材4は、互いに直交する底壁41及び側壁42を備える。具体的には、接続部材4は底壁41及び底壁41に垂直な側壁42を備えるL字形状の板状部材である。接続部材4は、例えば金属を折り曲げることで形成される。底壁41において、外角側の面が下側面41aと称され、内角側の面が上側面41bと称される。また、側壁42において、外角側の面が外面42aと称され、内角側の面が内面42b称される。
【0026】
底壁41には、2つの長孔43が、その長手方向において直列に並べられている。長孔43の長手方向は、L字形状における折り曲げ線(底壁41と側壁42との境界線)に平行である。側壁42には、2つの長孔44が、互いに平行になるよう配置されている。長孔44の長手方向は、接続部材4のL字形状における折り曲げ線に垂直である。
【0027】
次に、図5〜図7を参照しながら、設置機構13の全体構造を説明する。
図5〜図7に示すように、設置機構13は、上述の接地部材2、機器取付部材3、及び接続部材4に加えて、ボルト61〜64、アジャストボルト66、及びナット68が配置される。を備える。なお、図5〜図7では、コンベア本体1が、水平な仮想の床面510に固定される場合が想定される。
【0028】
最初に、第4ボルト64による接地部材2の床面への取付状態を説明する。図5〜図7に示すように、接地部材2は、裏面2bが床面510に置かれ、その状態で第4ボルト64によって床面510に固定される。具体的には、第4ボルト64は、接地部材2のボルト貫通孔22に貫通し、かつ床面510に螺合することで、接地部材2を床面510に固定する。接地部材2の裏面2bが床面510に接触するので、接地部材2と床面510との接触面積は大きい。従って、接地部材2は床面510に安定に固定される。その結果、設置機構13及び脚11が、床面510に安定に固定される。
【0029】
次に、第1ボルト61による接続部材4の接地部材2への取付状態を説明する。
2個で一対の接続部材4は、図7に示すように、接地部材2のy軸方向両端部に載置されている。その状態では、側壁42が接地部材2の表面2aに垂直に維持されている。2つの接続部材4は、接地部材2上において、互いの側壁42の外面42aが向かい合うように配置される。つまり、2つの接続部材4は、L字形状における折り曲げ線が互いに平行になり、しかもL字形状における折り曲げ線が、第1ボルト61よりも接地部材2の中心に近くなるように配置される。図5〜図7に示すように、1つの接続部材4の2つの長孔43が、接地部材2において隣り合う(同一の辺に沿って並んだ)2つのボルト螺合孔21に、それぞれ対応する。長孔43は、ボルト螺合孔21の位置がx‐y平面において(x軸方向、y軸方向、並びにx軸及びy軸に斜めの方向において)変更可能な形状及び寸法である。位置の変更可能な範囲は、長孔43の形状及び寸法によって制限される。
この状態において、図5〜7に示すように、第1ボルト61は、長孔43を貫通してさらにボルト螺合孔21に螺合することで、接続部材4を接地部材2に固定する。固定状態では、接地部材2は、接続部材4に対してz軸方向に移動不能になっており、接続部材4からのz軸方向の荷重を支持する。
【0030】
次に、第2ボルト62による機器取付部材3の接続部材4への取付を説明する。
図6及び図7に示すように、ナット68は、側壁32の内面32bにおいてボルト貫通孔33に対応する位置に配置される。図7に示すように、機器取付部材3は一対の接続部材4の間に配置されている。この状態で、機器取付部材3の側壁32は、接地部材2の表面2aに垂直に配置されており、機器取付部材3の一対の側壁32が一対の接続部材4の側壁42に接触している。より具体的には、側壁42の外面42aが側壁32の外面32aに接触している。この状態で、機器取付部材3の側壁32のボルト貫通孔33及びナット68と、接続部材4の側壁42の長孔44とが対応する。長孔44は、ボルト貫通孔33の位置が長孔44に対してz−x平面方向において(x軸方向、z軸方向、並びにx軸及びz軸に斜めの方向において)変更可能な形状及び寸法である。位置の変更可能な範囲は、長孔44の形状及び寸法によって制限される。
この状態で、図5〜図7に示すように、第2ボルト62は、長孔44とボルト貫通孔33を貫通して、さらにナット68に螺合することで、機器取付部材3を接続部材4に固定する。固定状態では、接続部材4は、機器取付部材3に対してy軸方向に移動不能になっており、機器取付部材3からのy軸方向の荷重を支持する。
【0031】
次に、第3ボルト63による脚11の機器取付部材3への取付を説明する。
図5〜図7に示すように、脚11は、下端部の機器取付部材3の壁(31、32)に側方を囲まれ、さらに接地部材2の真上に配置される。図5及び図7に示すように、脚11の側面(連結桟12が固定されている面とは逆の面)には、タッププレート110が溶接により固定されている。タッププレート110には、脚11の短手方向に並ぶように2つのタップ穴111が形成されている。タップ穴111は、機器取付部材3の側壁32の長孔34に対応している。長孔34は、タップ穴111の位置が長孔34に対してy−z平面方向において(z軸方向、y軸方向、並びにz軸及びy軸に斜めの方向において)変更可能な形状及び寸法である。位置の変更可能な範囲は、長孔34の形状及び寸法によって制限される。
この状態で、第3ボルト63は、中央壁31の長孔34を通って、タッププレート110のタップ穴111に螺合することで、脚11を機器取付部材3に固定する。固定された状態では、機器取付部材3は、脚11に対してx軸方向に移動不能になっており、脚11からのx軸方向の荷重を支持する。
【0032】
アジャストボルト66は、脚11を介してコンベア本体1の重みを支えることで、コンベア本体1を接地部材2上で支持するための部材である。アジャストボルト66は、円柱状のボルト本体661と、接地部662と、接続部663とを備える。ボルト本体661は、脚11の下端に固定され、長手方向が脚11の長手方向に沿うように、脚11の中心軸の延長線上に配置されている。接地部662はボルト本体661の下端に設けられ、接地部材2の略中央部分に当接する。接続部663は、ボルト本体661を脚11の下端面の略中央に固定する。なお、接地部662とボルト本体661との間の角度は可変である。よって、アジャストボルト66は、接地部材2に対する脚11の傾きが変化しても、脚11を支持することができる。
【0033】
1−3.傾いた設置場所における設置機構13による機器の設置
水平な設置場所である床面510においては、図5〜図7に示すように、接地部材2は水平に配置され、接続部材4は底壁41が水平に配置され長孔144が鉛直方向に延びており、機器取付部材3は長孔34が鉛直方向に延びている。
【0034】
一方、設置場所である床面50が傾いている場合には、脚11が傾かないように設置機構13による調整が行われる。
以下、設置機構13によるコンベア本体1の傾きの調整について説明する。
【0035】
(i)位置P1
図8を参照して、図1の位置P1における設置機構13の設置状態を説明する。
位置P1において、床面50は、z−x平面において正方向に傾いている。よって、図8に示すように、接地部材2が、その平面方向が床面50に沿うように傾き、接続部材4も接地部材2に沿って傾いている。
【0036】
このように接地部材2と接続部材4が傾いた状態でも、設置機構13は、脚11を鉛直方向に延びた状態に維持したままで支持できる。言い換えると、設置機構13は、機器取付部材3の鉛直方向に延びた姿勢を変化させることなく、第2ボルト62によって接続部材4を機器取付部材3に固定することが可能である。つまり、長孔44によって、図8のように、機器取付部材3の中央壁31が接続部材4の底壁41に対して傾いた状態(中央壁31が底壁41に対する垂直方向から外れた状態)であっても、第2ボルト62は長孔44及びボルト貫通孔33に貫通してナット68に螺合することができる。
床面50の角度に応じて、長孔44における第2ボルト62の位置、すなわち長孔33に対するボルト貫通孔33及びナット68の位置は変更される。
【0037】
(ii)位置P2
図9を参照して、図1の位置P2における設置機構13の設置状態を説明する。
位置P2において、床面50は、y−z平面において正方向に傾いている。よって、図9に示すように、接地部材2も床面50に沿って傾いている。また、この場合、接続部材4及び機器取付部材3も同様に傾いている。
【0038】
このように接地部材2と接続部材4と機器取付部材3が傾いた状態でも、設置機構13は、脚11を鉛直に延びた状態で支持することができる。言い換えると、設置機構13は、脚11の鉛直方向に延びた姿勢を変化させることなく、第3ボルト63によって機器取付部材3を脚11に固定することが可能である。つまり、機器取付部材3の長孔34によって、図9のように、脚11が機器取付部材3に対して傾いた状態(脚11が側壁32に対して平行から外れた状態)であっても、第3ボルト63はタッププレート110のタップ穴111に螺合することができる。
床面50の角度に応じて、長孔34における第3ボルト63の位置、すなわち長孔34に対するタップ穴111の位置は変更される。
【0039】
(iii)他の場所に対する設置
図8及び図9に示された各部の配置は組み合わされてもよい。これによって、z−x平面及びy−z平面の両方で傾きが生じている設置場所においても、設置機構13はその傾きを吸収して脚11を鉛直方向に延びる姿勢で支持することができる。
【0040】
以上に述べたように、長孔44における第2ボルト62の位置が変わることで、側壁32の外面32aの面方向における、接続部材4に対する機器取付部材2の位置が変更可能である。さらに、長穴44における第3ボルト63の位置を変えることで、簡素な構成によって、外面32aに垂直な中央壁31の内面31aの面方向において、脚11に対する機器取付部材2の位置が変更可能である。つまり、脚11と接地部材2との間の角度は、三次元的に変更可能である。
こうして、設置機構13は、設置場所の傾きを三次元的に吸収し、コンベア本体1を水平に保つことができる。
【0041】
2.第2実施形態
図10を参照して、第2実施形態の設置機構113について説明する。
【0042】
図10に示すように、設置機構113は、1つの接地部材102、2つの機器取付部材103、1つの接続部材104を備える。また、設置機構113は、第1実施形態の設置機構13と同じくアジャストボルトを備えるが、アジャストボルトについては図示及び説明を省略する。また、設置機構113は、図示しない複数のボルトを備える。
【0043】
接地部材102は、矩形の平板状の部材である。接地部材2は、その外縁の一辺の近傍に、2個のボルト螺合孔121を備える。さらに、この辺の対辺の中点近傍に、1個のボルト貫通孔122を備える。また、接地部材102の一方の面を上側面102a、他方の面を下側面102bと称する。
【0044】
機器取付部材103は、断面がL字形状である板状部材である。具体的には、機器取付部材103は、第1側壁131(第2面)と、第1側壁131に垂直な第2側壁132とを備える。第1側壁131には、長手方向がL字形状における折り曲げ線に平行である2つの長孔134が設けられる。L字形状における折り曲げ線(第1側壁131と第2側壁132との境界線)方向において、第2側壁132の一端の近傍に、1つのボルト貫通孔133が設けられる。第1側壁131において、機器取付部材103のL字形状の外角側の面は外面131aと称され、内角側の面は内面131bと称される。また、第2側壁132において、機器取付部材103のL字形状の外角側の面は外面132a、内角側の面は内面132bと称される。
【0045】
接続部材104は、断面がL字形状である板状部材である。具体的には、接続部材104は、底壁141と、底壁141に垂直な側壁142とを備える。底壁141には、折り曲げ線に平行で、互いに直列に並べられた2つの長孔143が設けられる。側壁142には、長手方向がL字形状における折り曲げ線に垂直な2つの長孔144が設けられる。底壁141において、L字形状における外角側の面は外面141aと称され、内角側の面は内面141bと称される。また側壁142において、L字形状における外角側の面は外面142a、内角側の面は内面142bと称される。
【0046】
図示しないボルトによる接地部材102の床面に対する取付を説明する。
接地部材102は、ボルト貫通孔122を通ったボルトによって、第1実施形態の接地部材2と同様に、設置場所の床面に固定される。
【0047】
次に、図示しないボルトによる接続部材104の接地部材102への取付状態を説明する。
接続部材104は、第1実施形態の第1ボルト61による接続部材4と接地部材2との接続と同様に、ボルトによって接地部材102に固定される。具体的には、接続部材104は、長孔143がボルト螺合孔121に対応するように、接地部材102の上側面102a上に配置される。この状態で、接続部材104の側壁142及び長孔144は、接地部材2に対して垂直である。図示しないボルトは、長孔143を通ってボルト螺合孔121に螺合することで、接続部材104を接地部材102に固定する。
【0048】
次に、図示しないボルトによる機器取付部材103の接続部材104に対する取付を説明する。
機器取付部材103は、第1実施形態の第3ボルト63による機器取付部材3と接続部材4との接続と同様に、図示しないボルトによって接続部材104に固定される。具体的には、一対の機器取付部材103は、第2側壁132の外面132aが接続部材104の側壁142の外面142aに接触するように配置されている。この状態で、第2側壁132のボルト貫通孔133は接続部材104の長孔144に対応している。図示しないボルトは、長孔144及びボルト貫通孔133を通って図示しない部材に螺合することで、機器取付部材103を接続部材104に固定している。
【0049】
次に、図示しないボルトによる脚11の機器取付部材103に対する取付を説明する。脚11は、第1実施形態の第2ボルト62による脚11と機器取付部材3との接続と同様に、図示しないボルトによって機器取付部材103に固定される。具体的には、機器取付部材103は、2個で一対として用いられる。一対の機器取付部材103のうち一方は、第1側壁131の内面131bが脚11の前面(図10のy軸負方向を向く面)に対向するように配置され、他方は、内面131bが脚11の後面(y軸正方向を向く面)に対向するように配置される。このとき、第2側壁132の内面132bは、脚11の側面に対向するように配置される。図示しないボルトは長孔134を通って脚11の図示しない部材に螺合することで、脚11を機器取付部材103に固定している。
【0050】
以上に述べたように、設置機構(設置機構113)は、各部材の構成は異なるものの、第1実施形態と同じように、1つの平面を有する接地部材102と、直交する2つの面をそれぞれ有する2つの部材(機器取付部材103及び接続部材104)とを有する。そして、これらの部材の相対的な位置関係は、長孔とボルトとによって、変更可能である。
【0051】
機器取付部材103の長孔134に対する脚11の固定位置が変わることで、長孔134の長手方向と脚11の長手方向との間の角度を変更することができる。こうして接地部材102に対する脚11の角度が変更されることで、設置場所がz−x平面において傾いていても、脚11が鉛直方向に保持される。
また、接続部材4の長孔144に対する機器取付部材103のボルト貫通孔133の固定位置を変えることで、長孔144の長手方向に対する機器取付部材103の長手方向(L字の折り曲げ線に平行な方向)の角度を変えることができる。すなわち、接地部材102に対する脚11の角度が変えられる。その結果、設置場所がy−z平面において傾いていても、脚11が鉛直方向に保持される。
また、接続部材104の長孔143に対する接地部材102のボルト螺合孔121の固定位置を変えることで、接地部材102に対する接続部材104の位置を変えることができる。
【0052】
3.他の実施形態
(1)第1及び第2実施形態では、接地部材、接続部材、機器取付部材がそれぞれ板状部材であったが、各部材に凹凸等の構造が設けられていてもよい。また、その他の形状の変更も可能である。
【0053】
(2)第1及び第2実施形態で説明した各部材間の配置は、変更可能である。具体的には、部材が互いに対向する面は、内面及び外面間ならびに表面及び裏面間で選択可能である。例えば、第1実施形態では、接続部材4の外面42aと機器取付部材3の外面32aとが対向するように配置されているが、この配置は、接続部材4の内面42bと機器取付部材3の内面32bとが対向するように変更されてもよい。同様の配置の変更が、他の部材の配置で行われてもよい。
【0054】
(3)なお、上記第1及び第2実施形態では、第1平面として接地部材(2、102)が;第2平面として中央壁31及び第1側壁131が;第3平面として側壁32及び第2側壁132が;第4平面として底壁41及び141が;第5平面として側壁42及び142が挙げられている。ただし、“平面”とは、部材又はその壁の表面の一部、より具体的には平らな面の一部を指すものであってもよい。
【0055】
(4)第1及び第2実施形態では、接地部材(2、102)、機器取付部材(3、103)及び接続部材(4、104)間の固定は、長孔、ボルト、タップ穴、ボルト貫通孔、ボルト螺合孔等によって実現される。ただし、第1〜第4固定部材、第1〜3貫通孔、及び第1〜第3固定部は、この構成に限定されるものではない。
例えば、第1及び第2実施形態では、互いに接する2つの部材間の固定は、長孔とボルト貫通孔又はボルト螺合孔を介して行われるが、両方の部材に長孔が設けられていてもよい。すなわち、1つのボルトが2つの長孔に通ることで、部材同士が締結されてもよい。
また、長孔の長手方向の向き、長孔の形状等は、変更可能である。例えば、長孔は直線状でなくても、円弧状、曲線状等に変更可能である。
【0056】
(5)以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、コンベア等の機器の設置に用いられる。
【符号の説明】
【0058】
100 コンベアシステム
50 床面
51 排水溝
501〜504 領域
1 コンベア本体
10 側枠
11 脚
110 タッププレート
111 タップ穴(第1固定部)
12 連結桟
13 設置機構
2 接地部材(第1平面)
2a 表面
2b 裏面(第1平面)
21 ボルト螺合孔(第3固定部)
22 ボルト貫通孔
3 機器取付部材
31 中央壁(第2平面)
31a 外面
31b 内面
32 側壁(第3平面)
32a 外面
32b 内面
33 ボルト貫通孔(第2固定部)
34 長孔(第1貫通孔)
4 接続部材
41 底壁(第4平面)
41a 下側面
41b 上側面
42 側壁(第5平面)
42a 外面
42b 内面
43 長孔(第3貫通孔)
44 長孔(第2貫通孔)
61 第1ボルト(第1固定部材)
62 第2ボルト(第2固定部材)
63 第3ボルト(第3固定部材)
64 第4ボルト(第4固定部材)
66 アジャストボルト
661 ボルト本体
662 接地部
663 接続部
68 ナット
102 接地部材(第1平面)
103 機器取付部材
104 接続部材
113 設置機構
121 ボルト螺合孔(第3固定部)
122 ボルト貫通孔
133 ボルト貫通孔
131 第1側壁(第2平面)
132 第2側壁(第3平面)
141 底壁(第4平面)
142 側壁(第5平面)
134 長孔(第1貫通孔)
143 長孔
144 長孔(第2貫通孔)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1固定部を備える機器を設置場所に設置する設置機構であって、
第1平面を有する接地部材と、
第2平面及び前記第2平面に垂直な第3平面を有する機器取付部材と、
第4平面及び前記第4平面に垂直な第5平面を有する接続部材と、
を備え、
前記第2平面には、前記機器に対する前記第2平面の位置変更を可能とする第1貫通孔が設けられ、
前記第3平面及び第5平面のうち一方には、前記5平面に対する前記3平面の位置変更を可能とする前記第2貫通孔が設けられ、他方には第2固定部が設けられ、
さらに、
前記第4平面を前記第1平面に固定する第1固定部材と、
前記第2貫通孔を通って前記第2固定部に固定されることで、前記第3平面を前記第5平面に固定する第2固定部材と、
前記第1貫通孔を通って前記第1固定部に固定されることで、前記機器を前記第2平面に固定する第3固定部材と、
前記接地部材を前記設置場所に固定する第4固定部材と、
を備える設置機構。
【請求項2】
前記第1平面及び第4平面のうち一方には、前記第4平面又は前記第1平面の第3固定部に対して位置調整可能な第3貫通孔が設けられ、他方には第3固定部が設けられ、
前記第1固定部材は、前記第3貫通孔を通って第3固定部に固定されることで、前記第4平面を前記第1平面に固定する
請求項1に記載の設置機構。
【請求項3】
前記第2貫通孔及び前記第3貫通孔は長孔であり、
前記第2貫通孔の長手方向は前記第3貫通孔の長手方向に垂直である、
請求項2に記載の設置機構。
【請求項4】
前記第2平面には、前記第1貫通孔として、長手方向が互いに平行な2つの長孔が設けられている
請求項1〜3のいずれかに記載の設置機構。
【請求項5】
前記接地部材、前記機器取付部材、及び前記接続部材は、板状部材である
請求項1〜4のいずれかに記載の設置機構。
【請求項6】
前記機器の下端に固定されて前記接地部材に接するアジャストボルトをさらに備える
請求項1〜5のいずれかに記載の設置機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−213476(P2011−213476A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−85766(P2010−85766)
【出願日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】