説明

設計支援システム

【課題】専門知識を有しないユーザであっても、スレーブ装置の接続順序や接続先のポートを意識したネットワークシステムの設計を容易に行うことができる設計支援システムを提供する。
【解決手段】スレーブ装置の固有情報が記述されたスレーブ情報データを記憶する記憶手段と、スレーブ情報データからスレーブ装置に備わるポートの情報を取得する取得手段と、ポートの情報に基づきスレーブ装置に備わるポートを表すGUI部品であるポート部品を生成し、スレーブ情報データに基づきスレーブ装置を表すGUI部品であるデバイス部品を生成し、デバイス部品とポート部品を含んで構成される設計中のネットワークシステムのトポロジを表示するトポロジ表示画面を含む設計支援用のGUIを生成する生成手段と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設計支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
FA(Factory Automation)においては、工場内に設置される生産設備のデータ収集及び制御を行う各種のスレーブ装置と、複数のスレーブ装置を集中管理するマスター装置と、を通信バスを介して接続したフィールドネットワークにより生産設備の制御が行われる。図18は、フィールドネットワークの構成例を示す図である。図18において、フィールドネットワーク100は、マスター装置200(PLC:Programmable Logic Controller)と複数のスレーブ装置300とがケーブル400や装置に備わるI/Oユニット500を介して直接的又は間接的に接続されることにより形成される。スレーブ装置300には、電源ユニット,モータユニット,カウンタユニット,画像ユニット,通信ユニット,I/Oユニット等がある。通信バスのトポロジは、フィールドネットワークの規格により、ライン、デイジーチェーン、ツリー、スターなど種々のトポロジをとり得る。マスター装置200には、ユーザがマスター装置200の動作設定、フィールドネットワーク100の動作状態の表示、ネットワークシステムの設計など行うための管理装置600が接続されることもある。管理装置600は設定ツールがインストールされたパーソナルコンピュータなどにより構成される。
【0003】
特許文献1には、外部ストレージ接続機能を有する記憶制御装置の仮想ボリュームと、外部ストレージシステムの外部ボリュームとの間のアクセスパスを表示する技術が開示されている。
【0004】
特許文献2には、マスター装置と、通信バスを介してマスター装置にデイジーチェーン接続される複数のスレーブ装置とを備え、切替手段のオープン故障に際して全てのスレーブ装置を停止するのではなく一部のスレーブ装置を使用し続けることができるバス通信システムが開示されている。
【0005】
特許文献3には、インターフェースユニットがプログラマブル表示器に装着された状態のイメージを表示し、装着イメージにおけるユニット部分を選択すると、ユニット部分に対応するインターフェースユニットの情報を表示することが開示されている。
【0006】
特許文献4には、複数のポートを有するネットワーク装置において、点灯及び消灯するインジケータランプと、ネットワーク装置の設定情報が保持されたデータベースから検索されたポートに関する内容を表示するディスプレイと、を備える技術が開示されている。
【0007】
特許文献5には、ネットワークを構成するインテリジェントスイッチのポート間接続を階層的に画像表示する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−285757号公報
【特許文献2】特開2007−235349号公報
【特許文献3】特開2008−97551号公報
【特許文献4】特開2010−220161号公報
【特許文献5】特開2001−320393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
EtherCATなどの産業用ネットワークシステムではフレームを処理するスレーブ装置の順序が重要である。しかしながら、複数の接続ポートを有する分岐スレーブ装置の適切な接続ポートにスレーブ装置を接続しなければ意図したとおりの順序でフレームが処理されなくなる。そうすると、例えば上流のスレーブ装置で書き込んだ情報を下流のスレーブ装置が利用するスレーブ間通信が意図したとおりに機能しなくなる。
【0010】
従って、産業用ネットワークシステムの設計においては、スレーブ装置の接続順序(親子関係)や、分岐スレーブ装置におけるポートの区別を意識した設計を行うことが重要であるが、従来の設計支援システムでは接続順序やポートの情報を把握しにくいことがあった。SEのような専門知識や経験を有しないユーザがネットワークシステムの設計や実機の組み立てを行う場合には、そのような設計支援システムではユーザの要求を満足するネットワークシステムを容易に設計できないという問題があった。
【0011】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、専門知識を有しないユーザであっても、スレーブ装置の接続順序や接続先のポートを意識したネットワークシステムの設計を容易に行うことができる設計支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、マスター装置を起点としてライン、ツリー、又はスタートポロジを描く通信バス上に少なくとも1つのスレーブ装置が加入するネットワークシステムであって、マスター装置及びスレーブ装置の各々に備わるポート同士を接続して形成されるネットワークシステムの設計を支援する設計支援システムであって、
設計支援用のGUIを表示するディスプレイと、
ディスプレイに表示するGUIを制御する制御装置と、
ユーザにGUIを操作するコマンドを入力させる入力装置と、
を有し、
前記制御装置は、
スレーブ装置の固有情報が記述されたスレーブ情報データを記憶する記憶手段と、
スレーブ情報データからスレーブ装置に備わるポートの情報を取得する取得手段と、
ポートの情報に基づきスレーブ装置に備わるポートを表すGUI部品であるポート部品を生成し、スレーブ情報データに基づきスレーブ装置を表すGUI部品であるデバイス部品を生成し、デバイス部品とポート部品を含んで構成される設計中のネットワークシステムのトポロジを表示するトポロジ表示画面を含む設計支援用のGUIを生成する生成手段と、
を有する
ことを特徴とする設計支援システムである。
【0013】
この設計支援システムによれば、トポロジ表示画面に設計中のネットワークシステムを構成するスレーブ装置に備わるポートを表すポート部品が表示されるので、ユーザはポートを意識してネットワークシステムの設計を行うことができる。従って、この設計支援システムによれば、ユーザは、スレーブ装置を接続するポートがデータの流通経路や処理順序などに影響を与えるようなネットワークシステムも容易に設計することが可能になる。
【0014】
本発明の設計支援システムにおいて、前記取得手段は、通信バスにおいて親となるスレーブ装置が接続されるポートであるインポートと、通信バスにおいて子となるスレーブ装置が接続されるポートであるアウトポートと、通信バスを分岐させるポートである分岐ポートと、を識別する情報を取得し、
前記生成手段は、トポロジ表示画面において、子スレーブ装置を表すデバイス部品を親
スレーブ装置を表すデバイス部品の下に配置するとともに、分岐ポートを有するスレーブ装置である分岐スレーブ装置を表すデバイス部品及び該分岐スレーブ装置のアウトポートに接続するスレーブ装置を表すデバイス部品を配置する階層と、前記分岐スレーブ装置の分岐ポートに接続するスレーブ装置を表すデバイス部品を配置する階層と、を左右方向で異ならせることも良い。
【0015】
この構成によれば、ユーザは、トポロジ表示画面において、スレーブ装置の親子関係、すなわち接続順序を容易に把握することができる。更に、通信バスとそれから分岐したバスとを容易に識別することができる。従って、ユーザは、複雑なトポロジのネットワークシステムであっても容易に設計をすることができる。
【0016】
本発明の設計支援システムにおいて、前記生成手段は、設計中のネットワークシステムに新たに加入させることができるスレーブ装置を表すデバイス部品のリストを表示するデバイスリスト表示画面を生成し、トポロジ表示画面及びデバイスリスト表示画面を含む設計支援用のGUIを生成するものであって、
ユーザにより、デバイスリスト表示画面に列挙されたデバイス部品のいずれかをドラッグし、トポロジ表示画面を構成するポート部品のいずれかへドロップする操作が行われた場合、
前記生成手段は、ドロップ先となったポート部品により表されるポートに、ドラッグされたデバイス部品により表されるスレーブ装置を接続したことを表すトポロジ表示画面を生成することも良い。
【0017】
この構成によれば、ユーザは、デバイスリスト表示画面からトポロジ表示画面へデバイス部品をドラッグアンドドロップするという簡単かつ直感的な操作によってネットワークシステムを設計することができる。特に、本発明の設計支援システムでは、トポロジ表示画面にスレーブ装置に備わるポートを表すポート部品が表示されるので、ユーザは、設計中のネットワークシステムに新たなスレーブ装置を加入させる操作を行う際に、ネットワークシステムに所望の動作をさせるためにはどのポートにスレーブ装置を加入させればよいかを意識しながら設計を行うことができる。さらに、所望のポートを表すポート部品めがけてデバイス部品をドロップするという簡単な操作を行うことにより、所望のポートにスレーブ装置を加入させたネットワークシステムを設計することができる。従って、ユーザは容易にネットワークシステムの設計を行うことができる。
【0018】
本発明の設計支援システムにおいて、前記生成手段は、設計中のネットワークシステムに新たに加入させることができるスレーブ装置を表すデバイス部品のリストを表示するデバイスリスト表示画面を生成し、トポロジ表示画面及びデバイスリスト表示画面を含む設計支援用のGUIを生成するものであって、
ユーザにより、デバイスリスト表示画面に列挙されたデバイス部品のいずれかをドラッグし、トポロジ表示画面を構成するデバイス部品のいずれかへドロップする操作が行われた場合、
前記生成手段は、ドロップ先となったデバイス部品により表されるスレーブ装置に備わる、ドラッグされたデバイス部品により表されるスレーブ装置を接続可能なポートのリストを表すポートリスト部品を生成することも良い。
【0019】
この構成によれば、ドロップ先のデバイス部品により表されるスレーブ装置に複数のポートが存在する場合、ユーザは、ドラッグしたデバイス部品を接続可能なポートを一覧することができる。ユーザは、ポートリスト部品にリストアップされているポートのうち所望のポートを選択するという簡単な操作により、複数のポートのうちどのポートにスレーブ装置を接続するか決定することができる。
【0020】
なお、本発明は、上記手段の少なくとも一部を含む設計支援システムとして特定することもできるし、コンピュータを設計支援システムとして機能させるためのプログラムや、そのプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体として特定することもできる。さらには、上記手段により実行される処理の少なくとも一部を含む設計支援方法として特定することもできる。上記処理や手段の各々は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組み合わせることが可能である。
【0021】
例えば、本発明に係るプログラムは、マスター装置を起点としてライン、ツリー、又はスタートポロジを描く通信バス上に少なくとも1つのスレーブ装置が加入するネットワークシステムであって、マスター装置及びスレーブ装置の各々に備わるポート同士を接続して形成されるネットワークシステムの設計を支援するプログラムであって、設計支援用のGUIを表示するディスプレイと、ユーザにGUIを操作するコマンドを入力させる入力装置と、を有するコンピュータを、スレーブ装置の固有情報が記述されたスレーブ情報データを記憶する記憶手段、スレーブ情報データからスレーブ装置に備わるポートの情報を取得する取得手段、及び、ポートの情報に基づきスレーブ装置に備わるポートを表すGUI部品であるポート部品を生成し、スレーブ情報データに基づきスレーブ装置を表すGUI部品であるデバイス部品を生成し、デバイス部品とポート部品を含んで構成される設計中のネットワークシステムのトポロジを表示するトポロジ表示画面を含む設計支援用のGUIを生成する生成手段、として機能させることを特徴とするプログラムである。
【0022】
また、本発明に係る設計支援方法は、マスター装置を起点としてライン、ツリー、又はスタートポロジを描く通信バス上に少なくとも1つのスレーブ装置が加入するネットワークシステムであって、マスター装置及びスレーブ装置の各々に備わるポート同士を接続して形成されるネットワークシステムの設計を支援する設計支援方法であって、設計支援用のGUIを表示するディスプレイと、ユーザにGUIを操作するコマンドを入力させる入力装置と、を有するコンピュータが、スレーブ装置の固有情報が記述されたスレーブ情報データを記憶手段に記憶するステップ、スレーブ情報データからスレーブ装置に備わるポートの情報を取得するステップ、及び、ポートの情報に基づきスレーブ装置に備わるポートを表すGUI部品であるポート部品を生成し、スレーブ情報データに基づきスレーブ装置を表すGUI部品であるデバイス部品を生成し、デバイス部品とポート部品を含んで構成される設計中のネットワークシステムのトポロジを表示するトポロジ表示画面を含む設計支援用のGUIを生成するステップ、を実行することを特徴とする設計支援方法である。
【発明の効果】
【0023】
本発明の設計支援システムによれば、専門知識を有しないユーザであっても、スレーブ装置の接続順序や接続先のポートを意識したネットワークシステムの設計を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施例に係る設計支援システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】実施例に係るPCの概略の機能構成を示すブロック図である。
【図3】実施例に係る設計支援システムが生成する設計支援用のGUIの一例を示す図である。
【図4】実施例の設計支援システムにおいて、ユーザがデバイスリスト表示画面からトポロジ表示画面へデバイス部品をドラッグした場合のGUIの表示例を示す図である。
【図5】実施例の設計支援システムにおいて、ユーザがデバイス部品をトポロジ表示画面のポート部品へドロップした場合のGUIの表示例を示す図である。
【図6】実施例の設計支援システムにおいて、ユーザがデバイス部品をトポロジ表示画面のポート部品へドロップした場合に生成される、ドロップしたデバイス部品とドロップ先のポート部品とを接続したトポロジ表示画面の表示例を示す図である。
【図7】実施例の設計支援システムにおいて、ユーザがデバイス部品をトポロジ表示画面のデバイス部品へドロップした場合のGUIの表示例を示す図である。
【図8】実施例の設計支援システムにおいて、ユーザがデバイス部品をトポロジ表示画面のデバイス部品へドロップした場合に生成される、ドロップしたデバイス部品とドロップ先のデバイス部品とを接続したトポロジ表示画面の表示例を示す図である。
【図9】実施例の設計支援システムにおいて、ユーザがデバイス部品をトポロジ表示画面の接続可能なポートを複数備えるデバイス部品へドロップした場合のGUIの表示例を示す図である。
【図10】実施例の設計支援システムにおいて、ユーザがデバイス部品をトポロジ表示画面の接続可能なポートを複数備えるデバイス部品へドロップした場合に生成される、接続可能なポートのリストを表すポートリスト部品の表示例を示す図である。
【図11】実施例の設計支援システムにおいて、ユーザがポートリスト部品に列挙された項目部品の1つを選択した場合のGUIの表示例を示す図である。
【図12】実施例の設計支援システムにおいて、ユーザがポートリスト部品に列挙された項目部品の1つを選択した場合に生成される、ドロップしたデバイス部品とポートリストから選択したポート部品とを接続したトポロジ表示画面の表示例を示す図である。
【図13】実施例の設計支援システムにおいて、ユーザがデバイス部品をトポロジ表示画面の既にデバイス部品が接続されているポート部品へドロップした場合のGUIの表示例を示す図である。
【図14】実施例の設計支援システムにおいて、ユーザがデバイス部品をトポロジ表示画面の既にデバイス部品が接続されているポート部品へドロップした場合に生成される、ドロップしたデバイス部品をドロップ先のポート部品とそのポート部品に当初接続されていたデバイス部品との間に挟むように接続したトポロジ表示画面の表示例を示す図である。
【図15】実施例の設計支援システムにおいて、ユーザがデバイス部品をトポロジ表示画面の既にデバイス部品が接続されているデバイス部品へドロップした場合のGUIの表示例を示す図である。
【図16】実施例の設計支援システムにおいて、ユーザがデバイス部品をトポロジ表示画面の既にデバイス部品が接続されているデバイス部品へドロップした場合に生成される、ドロップしたデバイス部品をドロップ先のデバイス部品とそのデバイス部品に当初接続されていたデバイス部品との間に挟むように接続したトポロジ表示画面の表示例を示す図である。
【図17】実施例の設計支援システムにおいて、ユーザがデバイスリスト表示画面からトポロジ表示画面へデバイス部品をドラッグアンドドロップする操作を行った場合に実行される処理を表すフローチャートである。
【図18】一般的なフィールドネットワークの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、本実施例に係る設計支援システムの概略構成を示すブロック図である。この設計支援システムは、マスター装置を起点としてライン、ツリー、又はスタートポロジを描く通信バス上に少なくとも1つのスレーブ装置が加入して構成されるネットワークシステムの設計を支援するためのシステムである。このネットワークシステムは、マスター装置及びスレーブ装置の各々に備わるポート同士を接続して構成される産業用のフィールドネットワークであり、例えばEtherCAT規格のネットワークシステムを例示できる。EtherCATのネットワークシステムでは、スレーブ装置に備わるポートには外部バス(RJ45)及び内部バス(E−Bus)の2つの接続インターフェースがある。なお、本実施例の設計支援システムは、EtherCATネットワークシステムの設計に限定されるものではなく、ポートの接続インターフェースには外部、内部以外の種類があっても良い。
【0026】
設計支援システム1は、設計支援用のGUI(グラフィカルユーザインターフェース)を表示するディスプレイ2と、ディスプレイ2に表示するGUIを制御するPC(パーソナルコンピュータ)3と、ユーザがGUIを操作するコマンドをPC3に入力するためのキーボードやマウスから構成される入力装置4と、を有する。設計支援システム1により、ユーザは、オフラインでネットワークシステムの設計を行うことができる。なお、設計支援システム1は、ネットワークシステムの実機、例えばマスター装置(PLC)に接続することにより、オンラインのネットワークシステムに対しユーザがコマンドを入力することが可能に構成されていても良い。
【0027】
図2は、PC3の概略の機能構成を示すブロック図である。PC3は、記憶手段31,取得手段32、入力手段33、生成手段34、画像出力手段35を有する。
【0028】
記憶手段31は、スレーブ装置の固有情報が記述されたスレーブ情報データを記憶する。スレーブ情報データは、例えば、XML形式のファイルで、スレーブ装置の型番、ベンダの識別情報、スレーブ装置に備わるポートの情報などが記述されている。
【0029】
取得手段32は、記憶手段31に記憶されているスレーブ情報データから、スレーブ装置に備わるポートの情報を取得する。ポートの情報とは、例えば、スレーブ装置に備わるポートの個数、ポートの接続インターフェースの種類(内部バス、外部バスなど)、ポートの識別情報(名称など)を含む。
【0030】
入力手段33は、入力装置4からの信号入力を受け付け、生成手段34にコマンドを入力する。
【0031】
生成手段34は、入力手段33から入力されるコマンドに応じて、設計支援用のGUIを生成する。また、生成したGUIのデータに基づきディスプレイ2に表示可能な画像データを生成し、画像出力手段35へ出力する。生成手段34が生成するGUIについては後述する。
【0032】
画像出力手段35は、生成手段34から入力された画像データをディスプレイ2へ出力する。
【0033】
PC3は不図示のCPU、メモリ、ディスク、各種入出力インターフェース、これらを接続するバスなど公知の構成を備え、例えば、記憶手段31は、CPUとバスを介して接続されるROM、RAM、或いはHDD(ハードディスクディスクドライブ)などにより実現される。取得手段32や生成手段34は、HDDなどにインストールされたネットワークシステム設計支援プログラムをCPUがディスクから読み込み、実行することによって実現される。入力手段33や画像出力手段35は、バスを介してCPUなどに接続するマウス接続端子、キーボード接続端子、ディスプレイ接続端子により実現される。
【0034】
図3は、PC3の生成手段34が生成する設計支援用のGUIの一例を示す図である。本実施例の設計支援用のGUI5は概略、デバイスリスト表示画面51とトポロジ表示画面52の2つのペインから構成される。GUI5は、マスター装置やスレーブ装置の設定を行うための画面や、プログラミングを行うための画面や、スレーブ装置の詳細仕様を表示する画面など、図3に図示していない種々の画面を含み得るが、本実施例では説明の簡略化のために割愛する。
【0035】
デバイスリスト表示画面51は、設計中のネットワークシステムに新たに加入させることができるスレーブ装置のリストを表示する画面である。デバイスリスト表示画面51に
列挙される各項目部品53は、スレーブ装置を表すGUI部品であるデバイス部品531及びテキスト532から構成される。
【0036】
デバイス部品531は、スレーブ装置の種類やメーカー名などを視認可能なイラストなどで構成されるアイコン部品533と、スレーブ装置に備わるポートを表すライン部品534,535,536から構成される。
【0037】
各ライン部品が1つのポートを表し、ライン部品の本数がスレーブ装置に備わるポートの個数を表し、ライン部品の色や線種が各ポートの接続インターフェースの種類を表す。ここでは、太線が外部バスの接続インターフェース、細線が内部バスの接続インターフェースを表すものとする。また、ライン部品の位置によってインポートとアウトポートを表す。インポートは、トポロジにおいて自装置よりマスター装置に近いスレーブ装置を接続するためのポートであり、アウトポートは、トポロジにおいて自装置よりマスター装置から遠いスレーブ装置を接続するためのポートである。ここでは、アイコン部品533の左辺から上に向かうライン部品535がインポートを表し、アイコン部品533の左辺から下に向かうライン部品536はアウトポートを表すものとする。また、通信バスを分岐させるポートである分岐ポートを有する分岐スレーブ装置を表すデバイス部品では、アイコン部品の底辺に位置するライン部品により分岐ポートを表す。デバイス部品531によって表されるスレーブ装置は、外部バスを内部バスに分岐させる分岐ポートを有する分岐スレーブ装置であり、図示するように、内部バスへの分岐ポートを表すライン部品534がアイコン部品533の底辺に位置している。テキスト532は、スレーブ装置の型番やベンダ名などを表す。
【0038】
ユーザは、デバイス部品531により、このスレーブ装置は、内部バスへの分岐ポートを1個有する外部バス接続の分岐スレーブ装置であり、型番は「GX−BS1」であることを把握することができる。
【0039】
デバイスリスト表示画面51により、ユーザは、設計中のネットワークシステムに新たに加入させることができるスレーブ装置のベンダ名、型番、ポートの個数、ポートの接続インターフェースの種類などの情報を得ることができる。特に、スレーブ装置の有するポートの接続インターフェースの種類や分岐ポートの有無を容易に把握することができるので、デバイスリスト表示画面51を含むGUIによれば、設計中のネットワークシステムに新たに加入させるスレーブ装置の選択や、接続先スレーブ装置の選択を効果的に支援することができる。
【0040】
なお、デバイスリスト表示画面51においてスレーブ装置のリストを表示する方法は上記の例に限らない。例えば、項目部品53を構成するGUI部品を増やすことによりスレーブ装置毎の情報表示をよりリッチにする表示態様や、項目部品53を構成するGUI部品を減らすことにより一覧性を高める表示態様などが考えられる。また、ベンダ名、カテゴリ(アナログI/O、デジタルI/O、エンコーダ、センサなど)、ユーザの入力するキーワードなどによって、表示する項目部品を絞り込む表示態様も考えられる。
【0041】
例えば、一覧性を高める表示態様では、項目部品53を構成するデバイス部品531をアイコン533のみとし、ライン部品534,535,536を省略しても良い。その場合、ユーザがデバイスリスト表示画面51において項目部品53を選択する操作(マウスクリックや、カーソルキーによるフォーカス枠の移動など)を行った場合に、ライン部品534,535,536を含むリッチなデバイス部品531や、選択されたスレーブ装置の詳細情報を示すテキストを別ウィンドウや別の表示領域に表示するようにしても良い。
【0042】
トポロジ表示画面52は、設計中のネットワークシステムのトポロジを表示する画面で
ある。トポロジ表示画面52では、設計中のネットワークシステムを構成するスレーブ装置を表すデバイス部品と、設計中のネットワークシステムを構成するスレーブ装置に備わるポートを表すポート部品と、が1行につき1部品となるように配置される。各行には2つのコラムがある。左側のコラム54には、各行に配置される部品がスレーブ装置を表すデバイス部品の場合に、そのスレーブ装置のノードアドレスが表示される。右側のコラム55には、デバイス部品、ポート部品、それらを接続するライン部品、スレーブ装置やポートの識別情報(名称、型番など)を表すテキストが表示される。
【0043】
トポロジ表示画面52では、或るスレーブ装置を表すデバイス部品に対し、そのスレーブ装置の親スレーブ装置(インポートに接続するスレーブ装置)を表すデバイス部品が上の行に配置され、そのスレーブ装置の子スレーブ装置(アウトポート又は分岐ポートに接続するスレーブ装置)を表すデバイス部品が下の行に配置される。最も上の行にはマスター装置を表すデバイス部品が表示される。本実施例の設計支援システムが生成するトポロジ表示画面52では、スレーブ装置の親子関係が、デバイス部品の配置される行の相違によって表されるので、ユーザは、設計中のネットワークシステムにおけるスレーブ装置の親子関係、すなわち接続順序を容易に把握することができる。
【0044】
なお、ここでは、自装置を表すデバイス部品を挟んで親スレーブ装置を表すデバイス部品と子スレーブ装置を表すデバイス部品を上下方向で反対側に配置することによってスレーブ装置の親子関係を表示する例を説明したが、自装置を表すデバイス部品に対し親スレーブ装置を表すデバイス部品と子スレーブ装置を表すデバイス部品とを互いに反対側に配置するのであれば、例えば左右方向など、自装置を表すデバイス部品に対する親子スレーブ装置を表すデバイス部品の配置方向は限定されない。
【0045】
トポロジ表示画面52では、インポートとアウトポートとの接続によりライントポロジを形成する直列的な親子関係にある複数のスレーブ装置を表すデバイス部品群は、縦方向に整列して(同一の列に)配置される。また、分岐スレーブ装置を表すデバイス部品及び該分岐スレーブ装置のアウトポートに接続するスレーブ装置を表すデバイス部品を配置する列と、前記分岐スレーブ装置の分岐ポートに接続するスレーブ装置を表すデバイス部品を配置する列と、を異ならせる。
【0046】
例えば、スレーブ装置E001は、外部バスから内部バスへの分岐ポートを1個備える分岐スレーブ装置である。
【0047】
分岐スレーブ装置E001を表すデバイス部品、分岐スレーブ装置E001のアウトポート(外部バス)に接続されるスレーブ装置E009を表すデバイス部品、及びスレーブ装置E009と直列的な親子関係にあるスレーブ装置E011,E012を表すデバイス部品は、同一の列(第1の列とする)に配置される。また、分岐スレーブ装置E001の分岐ポートに接続されるスレーブ装置E002を表すデバイス部品、及びスレーブ装置E002と直列的な親子関係にあるスレーブ装置E003,E004,E008を表すデバイス部品は、同一の列に配置されている(第2の列とする)。そして、第1の列に対し、第2の列は右側にずれて配置されている。ここでいう「列」は、本発明における「階層」に相当する。
【0048】
本実施例の設計支援システムが生成するトポロジ表示画面52では、分岐スレーブ装置で分岐したバスに加入するスレーブ装置群が列の相違によって表わされるので、ユーザは、設計中のネットワークシステムにおけるバスの分岐を容易に把握することができる。
【0049】
トポロジ表示画面52には、スレーブ装置に備わるポートを表すGUI部品であるポート部品が表示される。本実施例の設計支援システムの生成するトポロジ表示画面52では
、ポートを表すGUI部品としては、特に、複数の分岐ポートを備える分岐スレーブ装置の当該分岐ポートを表すポート部品のみが表示される。
【0050】
例えば、スレーブ装置E004は、内部バスから外部バスへの分岐ポートを2個備える分岐スレーブ装置であり、分岐ポートを表すポート部品551,552が表示されている。ポート部品551,552により、ユーザは、トポロジ表示画面52において、スレーブ装置E004に備わる2個の外部バス接続の分岐ポートを認識できる。スレーブ装置E004のアウトポート(内部バス接続)を表すポート部品は表示されないが、スレーブ装置E004を表すデバイス部品は、上述したように、接続インターフェースの種類に応じて異なる表示態様をとるライン部品を含んで構成されるので、ユーザは、内部バス接続のアウトポートを表すライン部品553によりスレーブ装置E004に備わるアウトポートを認識できる。また、スレーブ装置E009は、外部バスから外部バスへの分岐ポートを2個備える分岐スレーブ装置であり、分岐ポートを表すポート部品561,562が表示されている。また、外部接続のアウトポートはライン部品560により表されている。
【0051】
トポロジ表示画面52には、ポート部品に付随して分岐ポートの識別情報を表すGUI部品が表示される。識別情報とは、例えばポートの名称である。スレーブ装置E009の例では、ポート部品561に付随して、そのポート部品により表される分岐ポートの名称である「X1」を表すラベル部品563が表示される。また、ポート部品562に付随して、そのポート部品により表される分岐ポートの名称である「X2」を表すラベル部品564が表示される。従って、ユーザは、トポロジ表示画面52において、スレーブ装置E009に備わる2個の分岐ポートを、名前により識別することができる。
【0052】
なお、スレーブ装置E001のように、分岐ポートを複数備えない分岐スレーブ装置の場合、分岐ポートを表すための独立のGUI部品としてのポート部品は表示されない。しかしながら、上述したように、スレーブ装置に備わるポート及び接続インターフェースはデバイス部品に含まれるライン部品により表されるので、ポート部品が表示されなくても、ユーザは、インポート、アウトポート、及び分岐ポートをトポロジ表示画面52において識別することができる。
【0053】
本実施例の設計支援システムが生成するトポロジ表示画面52では、複数の分岐ポートを備える分岐スレーブ装置について、その分岐スレーブ装置を表すデバイス部品に加えて、その分岐ポートを表すデバイス部品とは独立のポート部品が表示されるので、ユーザは、スレーブ装置を接続する対象のポートを明確に識別してネットワークシステムの設計を行うことができる。
【0054】
例えば、本実施例の設計支援システムはEtherCATのネットワークシステムの設計に好適であるが、EtherCATでは、分岐スレーブ装置のどのポートにスレーブ装置を接続するかによって、マスター装置から送信されたフレームの処理順序が変わる。上流のスレーブ装置による処理結果を下流のスレーブ装置が用いる方式でのスレーブ間通信を実行するようにネットワークを設計した場合、フレームを処理するスレーブ装置の順序が特に重要になる。分岐スレーブ装置の実機の分岐ポートに、スレーブ情報データから取得可能な識別情報と同等の識別情報が記載されていれば、実際のネットワークの組み立てに際し、ユーザは、設計時に意図した通りにスレーブ装置の接続を行うことができるので、接続先ポートを間違えるミスを回避できる。
【0055】
なお、本実施例のトポロジ表示画面52では、複数の分岐ポートを備える分岐スレーブ装置についてのみ当該分岐ポートを表すポート部品を表示するとしたが、これに限らず、各スレーブ装置のインポート、アウトポート、分岐ポートの全部又は一部を表示しても良い。
【0056】
トポロジ表示画面52では、スレーブ装置に備わるポート同士の接続を表すライン部品によりデバイス部品及びポート部品を接続することにより、設計中のネットワークシステムのトポロジを表す。ライン部品の色又は線種によりポートの接続インターフェースの種類を表す。上述のように、本実施例では、太線のライン部品は外部バス接続のポート同士の接続を表し、細線のライン部品は内部バス接続のポート同士の接続を表すものとする。分岐スレーブ装置を表すデバイス部品と、その分岐スレーブ装置に備わる分岐ポートを表すポート部品と、も同様のライン部品により接続する。つまり、トポロジ表示画面52では、スレーブ装置に備わるポート同士の接続と、分岐スレーブ装置内部における分岐ポートへの接続と、が同様のライン部品によって表される。
【0057】
ライン部品によりデバイス部品及びポート部品が接続されて構成されるトポロジ表示画面52により、ユーザは、ネットワークシステムのトポロジを容易に把握することができる。特に、分岐スレーブ装置によるバスの分岐がどの分岐ポートによってもたらされているのかを明確に識別することができるので、データを処理するスレーブ装置の順序などを意識したネットワーク設計を好適に支援することができる。
【0058】
以上説明した設計支援用のGUIは、生成手段34が、取得手段32から取得するスレーブ装置の情報に基づき生成する。取得手段32は、記憶手段31に記憶されているスレーブ情報データから、スレーブ装置の固有情報(ベンダ名、型番、ポートの数、ポートの接続インターフェース、ポートの名称など)を取得し、生成手段34に送信する。スレーブ情報データには、デバイス部品531のアイコン部品533として使用できる画像データが含まれていてもよい。生成手段34は、取得手段32から受信したスレーブ装置の固有情報に基づき、スレーブ装置を表すデバイス部品、デバイス部品を構成するポートを表すためのライン部品、ネットワークシステムを構成するスレーブ装置のポート同士の接続を表すライン部品、分岐スレーブ装置に備わる分岐ポートを表すポート部品などを生成する。
【0059】
本実施例の設計支援システムが生成するGUIにおいては、ユーザは、デバイスリスト表示画面51からトポロジ表示画面52へ、又は逆方向へ、デバイス部品をドラッグアンドドロップする操作を行うことにより、設計中のネットワークシステムに対するスレーブ装置の追加又は削除を行うことができる。図4において、デバイス部品57は、ユーザによりデバイスリスト表示画面51からトポロジ表示画面52へドラッグされているデバイス部品を表している。ドラッグ中のデバイス部品57には、ユーザによるマウスの操作に応じて移動するポインタ58が付随して表示される。
【0060】
ドラッグ中のデバイス部品57には、図示するように、ポートを表すライン部品が表示される。従って、ユーザは、ドラッグしているデバイス部品57により表されるスレーブ装置(追加スレーブ装置という)に備わるポート数や接続インターフェースを容易に把握することができる。このGUIにより、ユーザは、トポロジ表示画面52における適切な場所(追加スレーブ装置を接続可能なスレーブ装置を表すデバイス部品又はポートを表すポート部品が表示されている場所)にデバイス部品をドロップすることを好適に支援される。
【0061】
ユーザが、追加デバイス部品57をドラッグしてトポロジ表示画面52に表示されているポート部品へドロップする操作を行った場合、設計支援システムは、ドロップ先となったポート部品により表されるポートと、追加スレーブ装置のインポートと、を接続したことを表すトポロジ表示画面52を生成する。例えば、図5は、ユーザが、追加デバイス部品57をポート部品562にドロップした場合のGUIの表示例を示している。この場合、設計支援システムは、図6に示すように、追加デバイス部品57とポート部品562と
をポートの接続インターフェースに応じたライン部品565で接続することにより、ポート部品562により表されるスレーブ装置E009の第2の分岐ポートX2と追加スレーブ装置のインポートとを接続したことを表すトポロジ表示画面52を生成する。
【0062】
ユーザが、追加デバイス部品57をドラッグしてトポロジ表示画面52に表示されているデバイス部品へドロップする操作を行った場合、設計支援システムは、ドロップ先となったデバイス部品により表されるスレーブ装置(接続先スレーブ装置という)に追加スレーブ装置を接続可能なポートが複数あるか否か判定し、接続可能なポートが1つであると判定された場合、接続先スレーブ装置のアウトポートと、追加スレーブ装置のインポートと、を接続したことを表すトポロジ表示画面52を生成する。例えば、図7は、ユーザが、追加デバイス部品57をデバイス部品E012にドロップした場合のGUIの表示例を示している。この例では、追加スレーブ装置は外部バス接続のインポートを備え、スレーブ装置E012は外部バス接続のアウトポートを1個備えるので、接続先スレーブ装置に備わる追加スレーブ装置を接続可能なポートは1つであると判定される。この場合、設計支援システムは、図8に示すように、デバイス部品E012と追加デバイス部品57とを接続インターフェースに応じたライン部品571で接続することにより、接続先スレーブ装置E012のアウトポートと追加スレーブ装置のインポートとを接続したことを表すトポロジ表示画面52を生成する。
【0063】
一方、接続先スレーブ装置に追加スレーブ装置を接続可能なポートが複数あると判定された場合、設計支援システムは、接続可能な複数のポートの各々の識別情報を表すGUI部品である項目部品を生成し、項目部品のリストであるポートリスト部品を生成し、ドロップ先のデバイス部品の近くにポップアップ表示する。例えば、図9は、ユーザが、追加デバイス部品57をデバイス部品E009へドロップした場合のGUIの表示例を示している。この例では、追加スレーブ装置は外部バス接続のインポートを備え、スレーブ装置E009は外部バス接続のアウトポート1個と外部バス接続の分岐ポート2個を備えるので、接続先スレーブ装置に備わる追加スレーブ装置を接続可能なポートは3つであると判定される。この場合、設計支援システムは、図10に示すように、スレーブ装置E009に備わるアウトポートの識別情報である「OUT」を表す項目部品591と、第1の分岐ポートの識別情報である「X1」を表す項目部品592と、第2の分岐ポートの識別情報である「X2」を表す項目部品593と、を生成し、項目部品のリストであるポートリスト部品59を生成し、ドロップ先のデバイス部品E009の近くにポップアップ表示する。
【0064】
ユーザにより、ポートリスト部品を構成する項目部品のいずれかを選択する操作が行われた場合、設計支援システムは、接続先スレーブ装置に備わるポートのうちユーザに選択された項目部品により表されるポートに追加スレーブ装置のインポートを接続したことを表すトポロジ表示画面52を生成する。例えば、図11は、ユーザが、ポートリスト部品59の項目部品593を選択する操作を行った場合のGUIの表示例を示している。この場合、設計支援システムは、図12に示すように、項目部品593により表される分岐ポートX2を表すポート部品562と追加デバイス部品57とを接続インターフェースに応じたライン部品572で接続することにより、接続先スレーブ装置E009の分岐ポートX2と追加スレーブ装置のインポートとを接続したことを表すトポロジ表示画面52を生成する。
【0065】
なお、ユーザが、トポロジ表示画面52において既にスレーブ装置が接続されているデバイス部品やポート部品へ、追加デバイス部品をドロップした場合、設計支援システムは、ドロップ先のデバイス部品(又はポート部品)により表される接続先スレーブ装置(接続先ポート)と、その接続先スレーブ装置(接続先ポート)に接続されていたスレーブ装置と、の間に、ドロップされたデバイス部品により表される追加スレーブ装置を挟むよう
に接続したことを表すトポロジ表示画面52を生成する。
【0066】
例えば、図13は、ユーザが、追加デバイス部品57をポート部品551にドロップした場合のGUIの表示例を示している。この例では、ポート部品551には既にデバイス部品E005が接続されているので、設計支援システムは、図14に示すように、ポート部品551の1つ下の行に追加デバイス部品57を配置して両者をライン部品573で接続するとともに、追加デバイス部品57の1つ下の行にデバイス部品E005を配置して両者をライン部品574で接続する。これにより、設計支援システムは、ポート部品551により表されるスレーブ装置E004の第1の分岐ポートX1と追加スレーブ装置のインポートとを接続し、更に、追加スレーブ装置のアウトポートとスレーブ装置E005のインポートとを接続したことを表すトポロジ表示画面52を生成する。
【0067】
また、図15は、ユーザが、追加デバイス部品57をデバイス部品E005にドロップした場合のGUIの表示例を示している。この例では、デバイス部品E005には既にデバイス部品E006が接続されているので、設計支援システムは、図16に示すように、デバイス部品E005の1つ下の行に追加デバイス部品57を配置して両者をライン部品575で接続するとともに、追加デバイス部品57の1つ下の行にデバイス部品E006を配置して両者をライン部品576で接続する。これにより、設計支援システムは、スレーブ装置E005のアウトポートと追加スレーブ装置のインポートとを接続し、更に、追加スレーブ装置のアウトポートとスレーブ装置E006のインポートとを接続したことを表すトポロジ表示画面52を生成する。
【0068】
以上説明した、ユーザが設計中のネットワークシステムにスレーブ装置を追加する操作を行う場合のGUIの制御は、生成手段34が、入力手段33から入力されるユーザ操作を示す信号及び取得手段32から取得するスレーブ装置の情報に基づき行う。取得手段32は、生成手段34からのリクエストに応じて、記憶手段31に記憶されているスレーブ情報データから、スレーブ装置のベンダ名、型番、ポートの数、ポートの接続インターフェース、ポートの名称などの情報を取得し、生成手段34に送信する。生成手段34は、取得手段32から受信したスレーブ装置の固有情報に基づき、ドラッグ中の追加デバイス部品、ポートリスト部品、ドロップ後の接続先デバイス部品と追加デバイス部品とを接続するライン部品などを生成する。
【0069】
図17は、本実施例の設計支援システムにおいて、ユーザがデバイスリスト表示画面51からトポロジ表示画面52はデバイス部品をドラッグアンドドロップする操作を行った場合に実行される処理を表すフローチャートである。
【0070】
ステップS101においてユーザにより行われた、デバイスリスト表示画面51からトポロジ表示画面52へデバイス部品をドラッグアンドドロップする操作についての情報が、入力手段33から入力されると、生成手段34は、ステップS102において、ドロップ先のGUI部品はデバイス部品か、ポート部品か、それ以外か、を判定する。ドロップ先がデバイス部品でもポート部品でもない場合、生成手段34は処理を終了する。
【0071】
ドロップ先がポート部品の場合、生成手段34は、ステップS103へ進み、ドロップ先のポート部品により表されるポート(ドロップ先ポート)が、ドラッグされたデバイス部品によって表されるスレーブ装置(追加スレーブ装置)を接続可能なポートであるか判定する。この判定は、生成手段34が、追加スレーブ装置に備わるポートの接続インターフェースの種類の情報と、ドロップ先ポートの接続インターフェースの情報と、を取得手段32から取得し、比較することによって行われる。取得手段32は、記憶手段31から追加スレーブ装置のスレーブ情報データ及びドロップ先ポートを備えるスレーブ装置のスレーブ情報データを取得し、スレーブ情報データからそれぞれのスレーブ装置に備わるポ
ートの接続インターフェースの種類の情報を取得して生成手段34に送信する。
【0072】
ドロップ先ポートが追加スレーブ装置を接続可能なポートではない場合、生成手段34は処理を終了する。これは、ドロップ先ポートが内部バス接続のポートで追加スレーブ装置が外部バス接続のスレーブ装置であった場合や、ドロップ先ポートが外部バス接続のポートで追加スレーブ装置が内部バス接続のスレーブ装置であった場合である。
【0073】
ドロップ先ポートが追加スレーブ装置を接続可能なポートである場合、生成手段34は、ステップS104へ進み、ドロップ先ポートを追加スレーブ装置の接続先ポートとして決定する。そして、生成手段34は、デバイスリスト表示画面51からドラッグされたデバイス部品とドロップ先のポート部品とをライン部品により接続したトポロジ表示画面を生成し、画像出力手段35へ出力する。
【0074】
ステップS102の判定において、ドロップ先がデバイス部品の場合、生成手段34は、ステップS105へ進み、ドロップ先のデバイス部品により表されるスレーブ装置(ドロップ先スレーブ装置)に、追加スレーブ装置を接続可能なポートが何個備わるか判定する。この判定は、生成手段34が、追加スレーブ装置に備わるポートの接続インターフェースの種類の情報と、ドロップ先スレーブ装置に備わるポートの個数及び接続インターフェースの種類の情報と、を取得手段32から取得し、比較することによって行われる。取得手段32は、記憶手段31から追加スレーブ装置のスレーブ情報データ及びドロップ先スレーブ装置のスレーブ情報データを取得し、スレーブ情報データからそれぞれのスレーブ装置に備わるポートの個数や接続インターフェースの種類の情報を取得して生成手段34に送信する。
【0075】
ドロップ先スレーブ装置に追加スレーブ装置を接続可能なポートが備わっていない場合、生成手段34は処理を終了する。これは、内部バス接続のスレーブ装置を外部バス接続のスレーブ装置にドロップした場合や、外部バス接続のスレーブ装置を内部バス接続のスレーブ装置にドロップした場合である。
【0076】
ドロップ先スレーブ装置に追加スレーブ装置を接続可能なポートが1個備わる場合、生成手段34はステップS106へ進み、当該1個の接続可能なポートを、追加スレーブ装置の接続先ポートとして決定する。そして、生成手段34は、デバイスリスト表示画面51からドラッグされたデバイス部品とドロップ先のデバイス部品とをライン部品により接続したトポロジ表示画面を生成し、画像出力手段35へ出力する。
【0077】
ドロップ先スレーブ装置に追加スレーブ装置を接続可能なポートが2個以上備わる場合、生成手段34はステップS107へ進み、当該接続可能な複数のポートのリストを表すポートリスト部品を生成する。そして、ステップS108において、ポートリスト部品の中からユーザが選択したポートを、追加スレーブ装置の接続先ポートとして決定する。そして、生成手段34は、デバイスリスト表示画面51からドラッグされたデバイス部品と接続先ポートとして決定したポートを表すポート部品とをライン部品で接続したトポロジ表示画面を生成し、画像出力手段35へ出力する。
【0078】
本実施例の設計支援システムによれば、トポロジ表示画面に複数の分岐ポートを有する分岐スレーブ装置の分岐ポートを表すGUI部品及び各分岐ポートを識別するためのGUI部品が明示され、ユーザは、ポートを表すGUI部品に対しデバイス部品をドロップすることによりネットワーク設計におけるポートとスレーブ装置との接続を行う。従って、本実施例の設計支援システムによれば、ユーザは、明確にポートを意識したネットワーク設計を行うことができる。これにより、スレーブ装置を接続するポートがフレームの巡回経路の形成に影響するEtherCATのようなネットワークシステムのシステムの設計
を、専門知識を有しないユーザでも容易に行うことが可能になる。
【符号の説明】
【0079】
1:設計支援システム
2:ディスプレイ
3:PC
4:入力装置
5:設計支援用GUI
31:記憶手段
32:取得手段
34:生成手段
51:デバイスリスト表示画面
52:トポロジ表示画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスター装置を起点としてライン、ツリー、又はスタートポロジを描く通信バス上に少なくとも1つのスレーブ装置が加入するネットワークシステムであって、マスター装置及びスレーブ装置の各々に備わるポート同士を接続して形成されるネットワークシステムの設計を支援する設計支援システムであって、
設計支援用のGUIを表示するディスプレイと、
ディスプレイに表示するGUIを制御する制御装置と、
ユーザにGUIを操作するコマンドを入力させる入力装置と、
を有し、
前記制御装置は、
スレーブ装置の固有情報が記述されたスレーブ情報データを記憶する記憶手段と、
スレーブ情報データからスレーブ装置に備わるポートの情報を取得する取得手段と、
ポートの情報に基づきスレーブ装置に備わるポートを表すGUI部品であるポート部品を生成し、スレーブ情報データに基づきスレーブ装置を表すGUI部品であるデバイス部品を生成し、デバイス部品とポート部品を含んで構成される設計中のネットワークシステムのトポロジを表示するトポロジ表示画面を含む設計支援用のGUIを生成する生成手段と、
を有する
ことを特徴とする設計支援システム。
【請求項2】
前記取得手段は、通信バスにおいて親となるスレーブ装置が接続されるポートであるインポートと、通信バスにおいて子となるスレーブ装置が接続されるポートであるアウトポートと、通信バスを分岐させるポートである分岐ポートと、を識別する情報を取得し、
前記生成手段は、トポロジ表示画面において、子スレーブ装置を表すデバイス部品を親スレーブ装置を表すデバイス部品の下に配置するとともに、分岐ポートを有するスレーブ装置である分岐スレーブ装置を表すデバイス部品及び該分岐スレーブ装置のアウトポートに接続するスレーブ装置を表すデバイス部品を配置する階層と、前記分岐スレーブ装置の分岐ポートに接続するスレーブ装置を表すデバイス部品を配置する階層と、を左右方向で異ならせることを特徴とする請求項1に記載の設計支援システム。
【請求項3】
前記生成手段は、設計中のネットワークシステムに新たに加入させることができるスレーブ装置を表すデバイス部品のリストを表示するデバイスリスト表示画面を生成し、トポロジ表示画面及びデバイスリスト表示画面を含む設計支援用のGUIを生成するものであって、
ユーザにより、デバイスリスト表示画面に列挙されたデバイス部品のいずれかをドラッグし、トポロジ表示画面を構成するポート部品のいずれかへドロップする操作が行われた場合、
前記生成手段は、ドロップ先となったポート部品により表されるポートに、ドラッグされたデバイス部品により表されるスレーブ装置を接続したことを表すトポロジ表示画面を生成することを特徴とする請求項1又は2に記載の設計支援システム。
【請求項4】
前記生成手段は、設計中のネットワークシステムに新たに加入させることができるスレーブ装置を表すデバイス部品のリストを表示するデバイスリスト表示画面を生成し、トポロジ表示画面及びデバイスリスト表示画面を含む設計支援用のGUIを生成するものであって、
ユーザにより、デバイスリスト表示画面に列挙されたデバイス部品のいずれかをドラッグし、トポロジ表示画面を構成するデバイス部品のいずれかへドロップする操作が行われた場合、
前記生成手段は、ドロップ先となったデバイス部品により表されるスレーブ装置に備わ
る、ドラッグされたデバイス部品により表されるスレーブ装置を接続可能なポートのリストを表すポートリスト部品を生成することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の設計支援システム。
【請求項5】
マスター装置を起点としてライン、ツリー、又はスタートポロジを描く通信バス上に少なくとも1つのスレーブ装置が加入するネットワークシステムであって、マスター装置及びスレーブ装置の各々に備わるポート同士を接続して形成されるネットワークシステムの設計を支援するプログラムであって、
設計支援用のGUIを表示するディスプレイと、ユーザにGUIを操作するコマンドを入力させる入力装置と、を有するコンピュータを、
スレーブ装置の固有情報が記述されたスレーブ情報データを記憶する記憶手段、
スレーブ情報データからスレーブ装置に備わるポートの情報を取得する取得手段、及び、
ポートの情報に基づきスレーブ装置に備わるポートを表すGUI部品であるポート部品を生成し、スレーブ情報データに基づきスレーブ装置を表すGUI部品であるデバイス部品を生成し、デバイス部品とポート部品を含んで構成される設計中のネットワークシステムのトポロジを表示するトポロジ表示画面を含む設計支援用のGUIを生成する生成手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項6】
請求項5に記載されたプログラムが記録されていることを特徴とするコンピュータ読取可能な記録媒体。
【請求項7】
マスター装置を起点としてライン、ツリー、又はスタートポロジを描く通信バス上に少なくとも1つのスレーブ装置が加入するネットワークシステムであって、マスター装置及びスレーブ装置の各々に備わるポート同士を接続して形成されるネットワークシステムの設計を支援する設計支援方法であって、
設計支援用のGUIを表示するディスプレイと、ユーザにGUIを操作するコマンドを入力させる入力装置と、を有するコンピュータが、
スレーブ装置の固有情報が記述されたスレーブ情報データを記憶手段に記憶するステップ、
スレーブ情報データからスレーブ装置に備わるポートの情報を取得するステップ、及び、
ポートの情報に基づきスレーブ装置に備わるポートを表すGUI部品であるポート部品を生成し、スレーブ情報データに基づきスレーブ装置を表すGUI部品であるデバイス部品を生成し、デバイス部品とポート部品を含んで構成される設計中のネットワークシステムのトポロジを表示するトポロジ表示画面を含む設計支援用のGUIを生成するステップ、
を実行することを特徴とする設計支援方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−194637(P2012−194637A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−56397(P2011−56397)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】