説明

設計支援装置及びプログラム

【課題】施工対象地域を誘致対象生物が誘致可能な環境に改善するための設計を容易かつ高精度に支援することができる設計支援装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】施工対象地域について、現実環境情報データベースに記憶されている現実環境レイヤと理想環境レイヤとを用いて第1比較処理結果用レイヤを作成し(ステップ108)、第1比較結果用レイヤに含まれず、かつ生息環境情報に含まれる景観オブジェクト情報に基づいて、不足条件情報を導出し(ステップ118)、導出した不足条件情報を表示部に表示する(ステップ120)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設計支援装置及びプログラムに係り、特に、施工対象地域に特定の生物を誘致することを支援するための設計支援装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、都心部の再開発において、都市部に残る自然環境を利用しつつ更なる緑地及び水域を創出し、アゲハ、クロアゲハ、モンシロチョウ、ヤマトシジミ、カブトムシ、クワガタ、メダカ、ドジョウなどの特定の生物(以下、「誘致対象生物」という。)を施工対象地域に誘致することが考えられている。
【0003】
誘致対象生物を施工対象地域に誘致するには、先ず、施工対象地域及びその周辺地域の何処に誘致対象生物が生息しているかを可能な限り高精度に把握する必要がある。誘致対象生物を施工対象地域に誘致する計画を支援する技術としては、特許文献1に、都市域の緑地に生息する生物種群について、現地調査で得られる生物種の分布情報、及び高解像度人工衛星データにより得られた土地被覆情報に基づいて、両者の関連性を統計的に分析し、都市緑地における生物分布パターンを予測評価する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−10932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、誘致対象とする生物の分布状況を予測することはできるものの、開発者がその分布状況を参考にしながら施工対象地域を改善するための設計を行わなければならない、という問題点があった。
【0006】
本発明は上記問題点を解決するために成されたものであり、施工対象地域を誘致対象生物が誘致可能な環境に改善するための設計を容易かつ高精度に支援することができる、設計支援装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の設計支援装置を、景観の構成要素を示す構成要素情報を用いて施工対象地域を含む所定地域の現実環境を示した現実環境情報を記憶した現実環境記憶手段と、前記現実環境記憶手段に記憶されている前記現実環境情報と前記施工対象地域の理想環境を前記構成要素情報を用いて示した理想環境情報とを用いて前記施工対象地域の環境を示す地域環境情報を作成する地域環境作成手段と、前記地域環境作成手段によって作成された地域環境情報に含まれず、かつ誘致対象とする生物を生息させる生息環境を前記構成要素情報を用いて示した生息環境情報に含まれる前記構成要素情報に基づいて、前記誘致対象とする生物を前記施工対象地域に誘致するために不足している条件を示す不足条件情報を導出する導出手段と、前記導出手段によって導出された不足条件情報により示される条件を表示する表示手段と、を含めて構成した。
【0008】
また、請求項2に記載の設計支援装置を、請求項1に記載の発明において、前記現実環境記憶手段が、前記施工対象地域が分割されて得られた分割領域毎に、対応する前記現実環境情報を記憶し、前記地域環境作成手段が、前記現実環境記憶手段に記憶されている前記現実環境情報と前記理想環境情報とを前記分割領域毎に比較して該分割領域について前記現実環境情報又は前記理想環境情報に前記構成要素情報が含まれている場合に該構成要素情報を取得し、前記現実環境情報及び前記理想環境情報の双方に前記構成要素情報が含まれている場合に前記現実環境情報及び前記理想環境情報のうちの優先度の高い方の前記構成要素情報を取得する取得手段を有し、該取得手段によって取得された構成要素情報を用いて前記地域環境情報を作成するものとした。
【0009】
また、請求項3に記載の設計支援装置を、請求項2に記載の発明において、前記現実環境情報及び前記理想環境情報の各々を、メッシュが形成されたレイヤで構成し、該メッシュによって前記分割領域を形成したものとした。
【0010】
また、請求項4に記載の設計支援装置を、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の発明において、前記生息環境情報を前記生物毎に記憶した生息環境記憶手段と、前記生物を示す生物情報を受け付ける生物情報受付手段と、を更に含み、前記導出手段が、前記地域環境作成手段によって作成された地域環境情報に含まれず、かつ前記生息環境記憶手段に記憶されている前記生息環境情報のうち、前記生物情報受付手段によって受け付けられた生物情報により示される生物に対応する生息環境情報に含まれる前記構成要素情報に基づいて、前記不足条件情報を導出するものとした。
【0011】
また、請求項5に記載の設計支援装置を、請求項4に記載の発明において、前記表示手段が、更に、前記生物情報受付手段によって受け付けられた生物情報により示される生物に対応する生息環境情報が前記生息環境記憶手段に記憶されていない場合に前記生物情報受付手段による再度の受け付けを促すことを示す情報を表示するものとした。
【0012】
また、請求項6に記載の設計支援装置を、請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の発明において、前記不足条件情報を、前記地域環境作成手段によって作成された地域環境情報に含まれず、かつ前記生息環境情報に含まれる前記構成要素情報により示される構成要素の数量を含む情報としたものとした。
【0013】
また、請求項7に記載の設計支援装置を、請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の発明において、前記理想環境情報を受け付ける理想環境受付手段を更に含み、前記地域環境作成手段が、前記理想環境受付手段によって受け付けられた理想環境情報と前記現実環境記憶手段に記憶されている前記現実環境情報とを用いて前記地域環境情報を作成するものとした。
【0014】
また、請求項8に記載の設計支援装置を、請求項1〜請求項7の何れか1項に記載の発明において、前記生息環境情報を、単位面積当たりに含まれる前記構成要素情報を用いて示した情報とし、前記単位面積に対する前記施工対象地域の面積の割合を用いて前記生息環境情報を加工する加工手段を更に含み、前記導出手段が、前記地域環境作成手段によって作成された地域環境情報に含まれず、かつ前記加工手段によって加工された前記生息環境情報に含まれる前記構成要素情報に基づいて、前記不足条件情報を導出するものとした。
【0015】
また、請求項9に記載の設計支援装置を、請求項1〜請求項8の何れか1項に記載の発明において、前記現実環境情報を、施工の制限を示す施工制限情報を含む情報とし、前記地域環境作成手段が、前記施工制限情報により示される施工の制限を回避するように前記地域環境情報を作成するものとした。
【0016】
また、請求項10に記載の設計支援装置を、請求項1〜請求項8の何れか1項に記載の発明において、前記地域環境作成手段によって作成された地域環境情報に対して、前記導出手段によって導出された不足条件情報を付与することにより前記生息環境に類似した環境を示す類似環境情報を作成する類似環境作成手段を更に含み、前記表示手段が、更に、前記類似環境作成手段によって作成された類似環境情報を表示するものとした。
【0017】
また、請求項11に記載の設計支援装置を、請求項10に記載の発明において、前記地域環境作成手段が、前記類似環境作成手段によって作成された類似環境情報を理想環境情報として用いて前記地域環境情報を作成するものとした。
【0018】
また、請求項12に記載の設計支援装置を、請求項10又は請求項11に記載の発明において、前記現実環境情報を、前記生物が集中的に生息しているコア生息地を示すコア生息地情報を有する情報とし、前記類似環境作成手段が、前記現実環境情報に含まれる前記コア生息地情報を参照して、前記施工対象地域内の前記コア生息地に近い領域から優先的に前記不足条件情報により示される条件が所定条件を満足するまで付されるように前記地域環境情報に該不足条件情報を付与することにより前記類似環境情報を作成するものとした。
【0019】
また、請求項13に記載の設計支援装置を、請求項10〜請求項12の何れか1項に記載の発明において、前記表示手段が、前記類似環境情報を画像化して表示するものとした。
【0020】
また、請求項14に記載の設計支援装置を、請求項10〜請求項13の何れか1項に記載の発明において、前記表示手段が、前記理想環境情報及び前記類似環境情報を視覚的に比較可能に画像化して表示するものとした。
【0021】
また、請求項15に記載の設計支援装置を、請求項1〜請求項14の何れか1項に記載の発明において、前記導出手段が、更に、前記生物の生息し易さを示す生息最適度合いを被説明変数とし、前記現実環境情報を説明変数とした回帰分析によって、前記生息最適度合いを最もよく回帰することができる予測式を導出し、導出した予測式に含まれる説明変数として予め定められた値を用いることにより前記生息最適度合いを導出し、前記表示手段が、更に、前記導出手段によって導出された生息最適度合いを表示するものとした。
【0022】
また、請求項16に記載の設計支援装置を、請求項1〜請求項15の何れか1項に記載の発明において、前記導出手段が、更に、前記現実環境情報を用いてハビタットポテンシャルを導出し、前記表示手段が、前記導出手段によって導出されたハビタットポテンシャルを表示するものとした。
【0023】
また、請求項17に記載の設計支援装置を、請求項1〜請求項16の何れか1項に記載の発明において、前記導出手段が、更に、前記地域環境作成手段によって作成された地域環境情報により示される施工対象地域の環境と前記生息環境情報により示される生息環境との類似の度合いを示す類似度合い情報を導出し、前記表示手段が、更に、前記導出手段によって導出された類似度合い情報により示される類似の度合いを表示するものとした。
【0024】
一方、上記目的を達成するために、請求項18に記載のプログラムを、景観の構成要素を示す構成要素情報を用いて施工対象地域を含む所定地域の現実環境を示した現実環境情報を記憶した現実環境記憶手段に記憶されている前記現実環境情報と前記施工対象地域の理想環境を前記構成要素情報を用いて示した理想環境情報とを用いて前記施工対象地域の環境を示す地域環境情報を作成する地域環境作成手段、前記地域環境作成手段によって作成された地域環境情報に含まれず、かつ誘致対象とする生物を生息させる生息環境を前記構成要素情報を用いて示した生息環境情報に含まれる前記構成要素情報に基づいて、前記誘致対象とする生物を前記施工対象地域に誘致するために不足している条件を示す不足条件情報を導出する導出手段、及び前記導出手段によって導出された不足条件情報により示される条件を表示手段に表示させる手段としてコンピュータを機能させるためのものとした。
【発明の効果】
【0025】
請求項1及び請求項18に記載の発明によれば、施工対象地域を誘致対象生物が誘致可能な環境に改善するための設計を容易かつ高精度に支援することができる、という効果が得られる。
【0026】
請求項2に記載の発明によれば、地域環境情報を容易かつ高精度に作成することができる、という効果が得られる。
【0027】
請求項3に記載の発明によれば、不足条件情報の導出の高速化に寄与することができる、という効果が得られる。
【0028】
請求項4に記載の発明によれば、利用者の利便性を向上させることができる、という効果が得られる。
【0029】
請求項5に記載の発明によれば、利用者の利便性をより一層向上させることができる、という効果が得られる。
【0030】
請求項6に記載の発明によれば、不足している景観の構成要素の数量を高精度に把握することができる、という効果が得られる。
【0031】
請求項7に記載の発明によれば、利用者の意図する理想環境を不足条件情報の導出に容易に反映させることができる、という効果が得られる。
【0032】
請求項8に記載の発明によれば、不足条件情報を容易かつ高精度に導出することができる、という効果が得られる。
【0033】
請求項9に記載の発明によれば、施工の制限を回避した地域環境情報を容易かつ高精度に作成することができる、という効果が得られる。
【0034】
請求項10に記載の発明によれば、誘致対象生物の生息環境に類似した環境を容易かつ高精度に把握することができる、という効果が得られる。
【0035】
請求項11に記載の発明によれば、高精度な不足条件情報及び類似環境情報を得ることができる、という効果が得られる。
【0036】
請求項12に記載の発明によれば、誘致対象生物を誘致する可能性が合理的に高められた環境を容易かつ高精度に把握することができる、
【0037】
請求項13に記載の発明によれば、誘致対象生物の生息環境に類似した環境を、視覚を通じて把握することができる、という効果が得られる。
【0038】
請求項14に記載の発明によれば、理想環境と誘致対象生物の生息環境に類似した環境とを視覚を通じて容易に比較することができる、という効果が得られる。
【0039】
請求項15及び請求項16に記載の発明によれば、誘致対象生物の生息し易さを容易かつ高精度に把握することができる、という効果が得られる。
【0040】
請求項17に記載の発明によれば、地域環境情報と生息環境情報との類似の度合いを容易かつ高精度に把握することができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】実施形態に係る設計支援装置の外観を示す斜視図である。
【図2】実施形態に係る設計支援装置の電気系の主要構成を示すブロック図である。
【図3】実施形態に係る設計支援装置に備えられた二次記憶部の主な記憶内容を示す模式図である。
【図4】実施形態に係る現実環境情報データベースの構成を示す模式図である。
【図5】実施形態に係る現実環境情報データベースに記憶されている現実環境情報のレイヤ構成を示す模式図である。
【図6】実施形態に係る現実環境レイヤのレイヤ構成を示す平面視模式図である。
【図7】実施形態に係る現実環境レイヤに含まれる景観オブジェクト情報の一例を示す概略図である。
【図8】実施形態に係る生物関連情報データベースの構成を示す模式図である。
【図9】実施形態に係るパラメータデータベースの構成を示す模式図である。
【図10】実施形態に係る設計支援処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】実施形態に係る条件受付画面の一例を示す概略図である。
【図12】実施形態に係る理想環境作成処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図13】実施形態に係る施工対象地域指定画面の表示状態の一例を示す概略図である。
【図14】実施形態に係る描写画面の表示状態の一例を示す概略図である。
【図15】実施形態に係る描写画面の描画領域に表示された現実環境レイヤの施工対象領域の一例を示す概略図である。
【図16】実施形態に係る第1比較処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図17】実施形態に係る描写画面の描画領域に理想環境が表示された状態の一例を示す概略図である。
【図18A】実施形態に係る第1比較処理結果用レイヤの使用例を示す概略図(その1)である。
【図18B】実施形態に係る第1比較処理結果用レイヤの使用例を示す概略図(その2)である。
【図19】実施形態に係る第2比較処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図20】実施形態に係る描写画面に不足条件情報が表示された状態の一例を示す概略図である。
【図21】実施形態に係る類似環境情報作成処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図22】図21に示すフローチャートの続きを示すフローチャートである。
【図23】図21に示すフローチャートの続きを示すフローチャートである。
【図24】実施形態に係る描写画面に類似環境レイヤの施工対象領域が表示された状態の一例を示す概略図である。
【図25】レイヤ上のコア生息地と施工対象領域との位置関係を示す模式図である。
【図26】実施形態に係る描写画面に他の不足条件情報が表示された状態の一例を示す概略図である。
【図27】図26に示す不足条件情報が付加された類似環境レイヤの施工対象領域が描写画面に表示された状態の一例を示す概略図である。
【図28】理想環境よりも現在環境の優先度が高い場合の類似環境レイヤの施工対象領域が描写画面に表示された状態の一例を示す概略図である。
【図29】理想環境よりも現在環境の優先度が高く、かつ現在環境よりも生息環境の優先度が高い場合の類似環境レイヤの施工対象領域が描写画面に表示された状態の一例を示す概略図である。
【図30】理想環境レイヤの施工対象領域と類似環境レイヤの施工対象領域とが描写画面に並べて表示された状態の一例を示す概略図である。
【図31】(5)式に示される回帰式における回帰係数値の回帰データ数による変動の一例を示すグラフである。
【図32】(4)式に示される回帰式による推定誤差の確率分布の一例を示すグラフである。
【図33】(6)式による回帰結果を示すグラフである。
【図34】他のパラメータデータベースの構成を示す模式図である。
【図35】設計支援システムの電気系の構成を示す主要構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態の一例について詳細に説明する。
【0043】
先ず、図1及び図2を参照して、本発明が適用された設計支援装置10の構成を説明する。図1に示すように、本実施形態に係る設計支援装置10は、本装置の全体的な動作を制御する制御部12と、本装置の利用者からの各種情報の受付に使用するキーボード14及びマウス16と、本装置による処理結果や各種メニュー画面、メッセージ等を表示するディスプレイ18と、を含んで構成されている。すなわち、本実施形態に係る設計支援装置10は、市販のパーソナル・コンピュータにより構成されている。
【0044】
次に、図2を参照して、本実施形態に係る設計支援装置10の電気系の主要構成を説明する。
【0045】
同図に示すように、設計支援装置10は、設計支援装置10全体の動作を司るCPU(Central Processing Unit;中央処理装置)22と、CPU22による各種プログラムの実行時のワークエリア等として用いられるRAM(Random Access Memory)24と、各種制御プログラムや各種パラメータ等が予め記憶されたROM(Read Only Memory)26と、各種情報を記憶するために用いられる二次記憶部(一例としてハードディスク装置)28と、前述のキーボード14及びマウス16を含んで構成された受付部30と、前述のディスプレイ18を含んで構成された表示部32と、通信手段(一例としてインターネット)に接続された外部装置(一例としてサーバ装置)34との間の各種情報の授受を司る外部インタフェース36と、がバス38により相互に接続されて構成されている。
【0046】
従って、CPU22は、RAM24、ROM26及び二次記憶部28に対するアクセス、受付部30を介した各種情報の取得、表示部32に対する各種情報の表示、及び外部インタフェース36を介した外部装置34との各種情報の授受を各々行うことができる。
【0047】
図3には、二次記憶部28の主な記憶内容が模式的に示されている。同図に示されるように、二次記憶部28には、各種データベースを記憶するためのデータベース領域40と、各種処理を行うためのプログラムを記憶するためのプログラム領域42と、回帰式を記憶するための回帰式領域44と、が設けられている。
【0048】
データベース領域40は、現実環境情報データベース40A、生物関連情報データベース40B及びパラメータデータベース40Cを含んで構成されている。
【0049】
図4には、現実環境情報データベース40の主な記憶内容の一例が模式的に示されている。同図に示されるように、現実環境情報データベース40Aは、日本全国おける現実の環境に係る情報(以下、「現実環境情報」という。)を含んで構成されている。現実環境情報は、景観情報、気象情報、生息生物情報及び施工制限情報を含んで構成されており、一例として図5に示すように現実環境情報は、日本全国における環境の特徴を示す情報(景観情報、気象情報、生息生物情報及び施工制限情報)を複数のレイヤで表現したものである。なお、以下では、現実環境情報の各レイヤを区別する必要がない場合には「現実環境レイヤ」と称する。
【0050】
現実環境レイヤは、一例として図6に示すように日本の領土を示す仮想シートがメッシュ(ここでは、一例として1mの矩形領域)で区分けされて構成されたものである。各メッシュには、現実環境レイヤ内での位置を特定可能な番号(以下、「メッシュ番号」という。)が一意に付与されている。従って、現実環境レイヤは、メッシュに対応付けられた情報をメッシュ番号で管理することができる。なお、本実施形態では、メッシュ番号を用いて情報を管理しているが、これに限らず、座標を用いて現実環境レイヤ内のメッシュの位置を特定しても良い。
【0051】
景観情報は、景観に係る情報である。景観情報は、衛星画像を示す衛星画像データ、航空測量の結果を示す航空測量データ、線状調査によって収集されたデータ、帯状調査によって収集されたデータ、スポット調査によって収集されたデータ、聞き取り調査によって収集されたデータ及び文献調査によって収集されたデータから抽出された情報に基づいて作成されており、自然物を示す自然物情報及び人工物を示す人工物情報を含んで構成されている。本実施形態に係る自然物情報は、地質の特徴を示す地質特徴情報、地形の特徴を示す地形特徴情報、緑地の特徴を示す緑地特徴情報、水域の特徴を示す水域特徴情報などの各種自然物の特徴を示す情報を含んで構成されている。人工物情報は、戸建て住居の特徴を示す戸建て住居特徴情報、マンションの特徴を示すマンション特徴情報、ビルの特徴を示すビル特徴情報、工場の特徴を示す工場特徴情報及び道路の特徴を示す道路特徴情報などの自然物以外のものの特徴を示す情報を含んで構成されている。
【0052】
緑地特徴情報、水域特徴情報及び人工物情報には、対応する景観の構成要素(一例として景観の特徴を表す構成要素)のサンプル画像を示すと共にその景観の構成要素に係る属性情報(大きさ、形状、色などを示す情報)が付加された景観オブジェクト情報(図7参照)が含まれている。なお、図7には、景観オブジェクト情報により示されるサンプル画像の一例が示されている。以下では、錯綜を回避するために、図面に表されたサンプル画像を「景観オブジェクト情報」と称する。
【0053】
例えば、緑地特徴情報に蜜柑樹を示す情報が含まれるのであれば、蜜柑樹を表す景観オブジェクト情報も緑地特徴情報に含まれ、水域特徴情報に池を示す情報が含まれるのであれば、池を表す景観オブジェクト情報も水域特徴情報に含まれ、水域特徴情報に川を示す情報が含まれるのであれば、川を表す景観オブジェクト情報も水域特徴情報に含まれ、住居特徴情報に戸建て住居を示す情報が含まれるのであれば、戸建て住居を表す景観オブジェクト情報も住居特徴情報に含まれる。
【0054】
気象情報は、気象を示す情報である。気象情報は、これまでのAMADASによる調査によって収集されたデータ、スポット調査によって収集されたデータ、聞き取り調査に収集されたデータ及び文献調査によって収集されたデータから抽出された情報に基づいて作成されており、単位時間毎の風向きを示す風向情報、単位時間毎の気温を示す気温情報及び単位時間毎の日照時間を示す日照時間情報を含んで構成されている。
【0055】
生息生物情報は、現実に生息している生物を示す情報であり、生物毎に設けられている。生息生物情報は、スポット調査によって収集されたデータ、聞き取り調査に収集されたデータ及び文献調査によって収集されたデータから抽出された情報に基づいて作成されている。生息生物情報のレイヤに付与されているメッシュには、そのメッシュに対応する現実の領域における生物の生息数及び平均的な大きさなどの情報が対応付けられている。また、生息生物情報のレイヤに付与されているメッシュのうち、特定の生物(本実施形態では、一例としてモンシロチョウ)の生息密度(単位面積当たりの生息数)が所定値以上の領域に含まれているメッシュには、特定の生物の生息源であることを示すコア生息地情報が対応付けられている。
【0056】
施工制限情報は、現実に課せられている施工の制限を示す情報であり、施工制限の種類毎に設けられている。施工制限情報は、行政機関から提供される資料に基づいて作成されている。施工制限情報のレイヤに付与されているメッシュには、そのメッシュに対応する現実の地域における施工の制限の有無及び施工の制限が課せられる期間などの情報が対応付けられている。
【0057】
図8には、生物関連情報データベース40Bの主な記憶内容の一例が模式的に示されている。同図に示されるように、生物関連情報データベース40Bは、誘致対象生物の候補である生物に係る情報(以下、「生物関連情報」という。)を含んで構成されている。生物関連情報は、生物を示す生物情報と、各生物が生息する環境に係る情報(以下、「生息環境情報」という。)と、が生物毎に対応付けられて構成されている。生息環境情報は、生物が好む自然物に係る情報(以下、「好自然物情報」という。)及び生物が好む気象を示す好気象情報を含んで構成されている。
なお、本実施形態では、説明の便宜上、好自然物情報は、自然物情報及び単位面積(ここでは、一例として10m)当たりに含まれる自然物の好ましい量(以下、「好適量」という。)を示す情報で表現されている。具体的には、自然物に係る景観オブジェクト情報を好適量分含んで構成されている。また、好自然物情報における景観オブジェクト情報に含まれる属性情報には、景観オブジェクト情報により示される景観の構成要素に対して親和度の高い環境条件(例えば、景観の構成要素が蜜柑樹であれば蜜柑樹に適した気象や土壌などの環境条件)を示す情報が含まれている。更に、好自然物情報が複数の異なる景観オブジェクト情報で表現される場合、それらの景観オブジェクト情報の各々には他の景観オブジェクト情報よりも優先して使用される優先度を示す優先順位が付与されている。
【0058】
図9には、パラメータデータベース40Cの主な記憶内容の一例が模式的に示されている。同図に示されるように、パラメータデータベース40Cは、日本全国の各地域を特定する町丁目(地域名)を示す町丁目情報と、各町丁目に対応するメッシュ番号と、各町丁目に対応する後述の被説明変数X〜Xが町丁目別に記憶されて構成されている。
【0059】
回帰式領域44には、誘致対象生物の来訪確率Yを算出する回帰式が記憶されている。この回帰式を導出するために、本発明の発明者らは、まず、誘致対象生物(一例としてモンシロチョウ)が好む環境に相関が高い地域特性を示すパラメータとして、施工対象地域候補からコア生息地までの距離(単位;m)、施工対象地域候補からパッチからまでの距離(単位;m)、街路樹各層適性度(単位;%)、施工対象地域候補の相対照度(単位;%)及び施工対象地域候補の高度(単位;m)を含めた数種類のパラメータが存在するものと仮定した。そして、発明者らは、回帰式を(1)式とし、1年間の誘致対象生物の目撃件数を示すデータを用いて、誘致対象生物の来訪確率を被説明変数Yとし、回帰式によって被説明変数Yを最もよく回帰することのできる説明変数Xとして施工対象地域候補からコア生息地までの距離を、説明変数Xとして施工対象地域候補からパッチからまでの距離を、説明変数Xとして街路樹各層適性度を、説明変数Xとして施工対象地域候補の相対照度を、説明変数Xとして施工対象地域候補の高度を各々見出した。
【0060】
Y=aX+bX+cX+dX+eX+f・・・・・(1)
【0061】
次に、上記回帰分析の具体的な手順について説明する。
【0062】
先ず、被説明変数Yの上位m個をとり、前述の数種類のパラメータのうちの1つ又は複数を種々組み合わせて得られたX〜Xの各値を用いて、回帰分析において広く用いられている(2)式に回帰する回帰係数a,b,c,d,eの値を算出する。
【0063】
Y=aX+bX+cX+dX+eX・・・・・(2)
【0064】
次に、抽出した各回帰データ数mについて、対応する回帰係数a,b,c,d,eと前述の数種類のパラメータのうちの1つ又は複数を種々組み合わせて得られたX〜Xを用いて、回帰誤差(「被説明変数の実データ」−「(2)式によって得られる回帰値」)を算出し、回帰誤差が正値となるデータ数が全データ数の所定割合(例えば0.2%)となるように回帰式に回帰係数fを加えた上記(1)式を、誘致対照生物の来訪確率を示す回帰式とする。なお、上記回帰係数fは、被説明変数Yの分布における最大値付近のばらつきによる悪影響を回避するためのものである。
【0065】
次に、回帰データ数m毎で、かつ前述の数種類のパラメータのうちの1つ又は複数を種々組み合わされて得られた説明変数X〜X毎の来訪確率の推定誤差(「来訪確率の実データ」−「(1)式によって得られる来訪確率(推定値)」)の確率分布を示すグラフを作成する。そして、作成した各グラフにおける確率分布の形状を比較し、推定誤差が負値となる部分の零軸との間の面積が最小となるものを最良の回帰式として選択する。
【0066】
以上によって選択された回帰式における被説明変数X〜Xが誘致対象生物の来訪確率に影響すると考えられる主要な環境要因を示すレベル値である。
【0067】
なお、次の(3)式は、以上の手順により導出された回帰式の一例であって、誘致対象生物としてモンシロチョウを適用した場合のものである。本実施形態では、この回帰式(3)が回帰式領域44に記憶されている。
【0068】
Y=−0.003X−0.066X+0.052X+0.551X−0.623X+4.916・・・・・・(3)
【0069】
次に、図10を参照して、本実施形態に係る設計支援装置10の作用を説明する。なお、図10は、受付部30によって設計支援の実行指示が受け付けられた際にCPU22により実行される設計支援処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、このプログラムは、二次記憶部28のプログラム領域42に予め記憶されている。
【0070】
同図のステップ100では、設計支援を行うために必要な種々の条件を受け付けるための条件受付画面を表示部32に表示し、次のステップ102にて所定情報の入力待ちを行う。
【0071】
図11には、本実施形態に係る条件受付画面の表示状態の一例が示されている。同図に示されるように、条件受付画面には、施工対象地域の地域名の入力を促すメッセージ(同図の例では、「手順1.施工対象地域の地域名を入力して下さい。」とのメッセージ)が表示されると共に、そのメッセージの下に施工対象地域の地域名を入力するための矩形枠が表示される。従って、この矩形枠に対して、利用者は受付部30を介して都道府県名、市町丁名及び番地を入力することができる。同図には、地域名として“××県○○市△△町3−5−27”が入力された表示例が示されている。
【0072】
また、条件受付画面には、利用者が施工対象地域に誘致したい生物名の入力を促すメッセージ(同図の例では、「手順2.誘致対象生物名を入力して下さい。」とのメッセージ)が表示されると共に、そのメッセージの下に誘致対象生物名を入力するための矩形枠が表示される。従って、この矩形枠に対して、利用者は受付部30を介して誘致対象生物名を入力することができる。同図には、誘致対象生物名として“モンシロチョウ”が入力された表示例が示されている。
【0073】
また、条件受付画面には、利用者が理想とする環境(理想環境)、施工対象地域の現実の環境(現実環境)、及び誘致対象生物が好む環境(生息環境)の優先順位の入力を促すメッセージ(同図の例では、「手順3.環境の優先順位を入力して下さい。」とのメッセージ)が表示されると共に、そのメッセージの下に優先順位を入力するための矩形枠が表示される。この矩形枠にはプルダウン・ボタンが設けられており、このプルダウン・ボタンを押すことによって、理想環境、現実環境及び生息環境の優先順位の全ての組み合わせを示したプルダウン・メニューが表示される。従って、利用者は、表示されたプルダウン・メニューから組み合わせの何れかを受付部30を介してポインティング指定することにより優先順位を矩形枠に入力することができる。同図の例では、施工対象地域に対する設計支援に適用する優先順位として、1位が理想環境であり、2位が現実環境であり、3位が生息環境であることを表す“理想環境>現実環境>生息環境”が入力された状態が示されている。
【0074】
更に、条件受付画面には、地域名の入力、誘致対象生物名の入力及び優先順位の入力が終了した後に条件受付画面から施工対象地域指定画面への移行指示の入力を促すメッセージ(同図の例では、「手順4.手順1〜3を行なった後、このボタンを押して下さい。」とのメッセージ)が表示されると共に、そのメッセージの下に“施工対象地域指定画面”との文字が示された「施工対象地域指定画面」ボタンが表示される。従って、利用者は、この「施工対象地域指定画面」ボタンを受付部30を介してポインティング指定することにより、表示部32に表示される画面を条件受付画面から施工対象地域指定画面に移行させることができる。
【0075】
なお、条件受付画面には、設計支援の実行を取り消すと共に条件受付画面を非表示する際に操作される「取消」ボタンが右下に表示されている。従って、利用者は、この「取消」ボタンを受付部30を介してポインティング指定することにより、設計支援の実行を取り消すと共に条件受付画面を非表示することができる。
【0076】
次のステップ104では、画面上で仮想的に理想環境を作成する理想環境作成処理を実行する。ここで、図12を参照しながら理想環境作成処理の一例を説明する。図12は、ステップ104でCPU22により実行される理想環境作成処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。なお、ここでは、錯綜を回避するために、理想環境作成処理が実行される毎に、画面上で新規に理想環境を構築するためのレイヤ(理想環境レイヤ)が作成され、作成された理想環境レイヤは二次記憶部28の所定領域に記憶されるものとする。また、この理想環境レイヤは、現実環境レイヤと同一の形状かつ同一の大きさで構成されており、現実環境レイヤと1対1で対応するメッシュが付与されている。
【0077】
同図のステップ200では、施工対象地域を指定するための施工対象地域指定画面を表示部32に表示し、次のステップ102にて所定情報の入力待ちを行う。
【0078】
図13には、本実施形態に係る施工対象地域指定画面の表示状態の一例が示されている。同図に示されるように、施工対象地域指定画面には、施工対象地域を選択し、選択した施工対象地域を確定することを促すメッセージ(同図の例では、「手順5.施工対象地域を選択してから確定して下さい。」とのメッセージ)が表示されると共に、そのメッセージの下に条件受付画面で入力された地域名により特定される地域を含めた予め定められた範囲の領域(一例として5km)の景観情報により示される景観(ここでは、一例として平面図)がメッシュで区分けされた状態で表示される。なお、同図の例では、最も外側の枠で囲まれた領域が上記予め定められた範囲の領域であり、太枠で囲まれた領域が条件受付画面で入力された地域名により特定される地域である。また、同図の例では、間引きされたメッシュを用いているが、メッシュを間引きせずに表示しても良い。メッシュを間引きして表示する場合、メッシュをどの程度間引きして表示するかは、利用者によって指定された施工対象地域の大きさに応じて一意に決定されるようにすることが好ましい。
【0079】
施工対象地域指定画面が表示されると、利用者は受付部30を操作することにより施工対象地域を指定する。例えば、マウス16を用いて施工対象地域指定画面上のメッシュを囲み選択することにより施工対象地域を指定する。同図の例では、破線で矩形状に囲まれた領域内のメッシュ内の領域(同図に示す斜線領域)が施工対象地域として指定されている。
【0080】
施工対象地域指定画面の最下部には、「選択範囲クリア」ボタン及び「選択範囲確定」ボタンが表示されている。上記のように施工対象地域が指定された状態で、利用者が受付部30を介して「選択範囲クリア」ボタンをポインティング指定すると、施工対象地域の指定状態が解除される。これに対し、上記のように施工対象地域が指定された状態で、利用者が受付部30を介して「選択範囲確定」ボタンをポインティング指定すると、施工対象地域の指定状態が確定されてステップ204に移行する。
【0081】
ステップ204では、施工対象地域画面を非表示して描写画面を表示部32に表示し、その後にステップ206に移行する。図14には、本実施形態に係る描写画面の表示状態の一例が示されている。同図に示されるように、描写画面には、描画領域及び景観オブジェクト指定領域を含んで構成されている。描画領域は、施工対象地域指定画面で指定された施工対象地域に対応する矩形状の領域であり、メッシュが間引きされずに表示される。同図の例では、中央に「手順6.この領域に景観オブジェクトを用いて理想の環境を描写して下さい。」とのメッセージが表示されている。このメッセージは、描画領域に対して景観オブジェクト情報の配置が開始されると非表示される。
【0082】
景観オブジェクト指定領域は、景観オブジェクト情報が一覧表示される領域である。同図では、景観オブジェクト情報として、蜜柑樹を示す蜜柑樹画像、池を示す池画像、川を示す川画像、橋梁を示す橋梁画像、戸建て住居を示す戸建て住居画像、マンションを示すマンション画像、ビルを示すビル画像及び寺社を示す寺社画像などの景観オブジェクト情報が一覧表示されている状態の一例が示されている。また、景観オブジェクト指定領域には上下方向にスライド可能なスクロールバーが設けられており、このスクロールバーを受付部30を介して操作することにより画像をスクロール表示することができる。なお、景観オブジェクト指定領域には、図示が省略されているが、蜜柑樹画像、池画像、川画像、橋梁画像、住居画像、マンション画像、ビル画像及び寺社画像の他にも多数の画像が含まれている。例えば、樹木であれば、蜜柑樹画像のように、桜の樹木、林檎の樹木、ザクロの樹木、松の樹木などの樹木別に指定可能な景観オブジェクト情報の他に、針葉樹や広葉樹などの種類別に指定可能な景観オブジェクト情報も用意されている。また、樹木、草などの植物別に指定可能な景観オブジェクト情報も用意されている。これらの景観オブジェクト情報はスクロールバーを操作して表示することによりポインティング指定が可能となる。
【0083】
また、描写画面の正面視右上には、描写領域における方位を示す方位針画像が示されている。
【0084】
更に、描写画面の景観オブジェクト指定領域とは描画領域を挟んで対極側の領域には、施工対象地域の地質を指定するための地質指定領域が設けられている。地質指定領域には、既存の地質を指定する際にチェックされるラジオボタンと、新規の地質を指定する際にチェックされるラジオボタンとが設けられている。新規の地質を指定する領域にはプルダウン・ボタンが設けられており、このプルダウン・ボタンをポインティング指定すると、プルダウン・メニューが表示され、このプルダウン・メニューから所望の地質を指定することにより新規の地質を指定することができる。なお、同図には、プルダウン・メニューに“粘土”、“砂泥”及び“火山灰”が表示されると共に、“砂”が選択されて表示された例が示されている。
【0085】
ステップ206では、描写画面上で景観オブジェクト情報を受付部30を介して指定したか否かを判定し、肯定判定となった場合にはステップ208に移行する一方、否定判定となった場合にはステップ220に移行する。ステップ208では、景観オブジェクト情報を配置する位置として描画領域内のメッシュを指定したか否かを判定し、肯定判定となった場合にはステップ210に移行する。ステップ210では、上記ステップ206の処理によって指定された景観オブジェクト情報を上記ステップ208の処理によって指定されたメッシュ内に配置して描画領域に表示した後、ステップ212に移行する。ステップ212では、メッシュに配置された景観オブジェクト情報の位置を確定する条件を満足したか否かを判定し、肯定判定となった場合にはステップ214に移行する。
【0086】
一方、ステップ208において否定判定となった場合にはステップ216に移行し、上記ステップ206の処理による景観オブジェクト情報が指定された状態を解除する条件を満足したか否かを判定し、否定判定となった場合にはステップ208に戻る一方、肯定判定となった場合にはステップ220に移行する。また、ステップ212において否定判定となった場合にはステップ218に移行し、上記ステップ208の処理によるメッシュが指定された状態を解除する条件を満足したか否かを判定し、否定判定となった場合にはステップ212に移行する一方、肯定判定となった場合にはステップ220に移行する。
【0087】
なお、本実施形態では、上記ステップ206,208,210,212,216,218の処理は、マウス16による所謂ドラッグ&ドロップ操作及びクリック操作を行うことによって実現可能とされている。つまり、上記ステップ206では、景観オブジェクト指定領域内の景観オブジェクト情報又は描画領域内に配置されている景観オブジェクト情報をマウス16によりドラッグすることによって景観オブジェクト情報を指定する。上記ステップ208では、現時点でマウス16によりドラッグしている景観オブジェクト情報を描画領域内でマウス16によりドロップすることによって(ドラッグ状態を解除することによって)ドロップ先(ドラッグ状態を解除した位置)のメッシュを指定する。上記ステップ216では、描画領域に配置されている指定状態の景観オブジェクト情報を、マウス16により1回クリックするか又はキーボード14のEnterキーを押すことによる確定操作によって確定する。上記ステップ216では、現時点でマウス16によりドラッグしている景観オブジェクト情報を描画領域外でマウス16によりドロップすることによって(ドラッグ状態を解除することによって)景観オブジェクト情報の指定状態を解除する。上記ステップ218では、描画領域に配置されている指定状態の景観オブジェクト情報を、マウス16によりドラッグして描画領域外でドロップするか又はキーボード14のDeleteキーを押すことによる削除操作によって削除し、これによってメッシュの指定状態を解除する。なお、本実施形態に係る描画領域のメッシュには、景観オブジェクト情報を吸着する吸着機能(所謂グリッド機能)が付与されており、描画領域上で景観オブジェクト情報をドロップした場合、ドロップした位置に最も近いメッシュに景観オブジェクト情報の特定点(例えば重心)が吸着されるようになっている。
【0088】
ステップ214では、理想環境レイヤのメッシュのうち、上記ステップ208の処理によって指定されたメッシュに対して、上記ステップ206の処理によって指定された景観オブジェクト情報を対応付けることによって、一例として図17に示すように理想環境を作成し、その後にステップ220に移行し、本理想環境作成処理プログラムを終了する条件を満足したか否かを判定し、否定判定となった場合にはステップ206に戻る一方、肯定判定となった場合には本理想環境作成処理プログラムを終了する。なお、本実施形態では、描写画面の正面視右下に、「終了」ボタンが設けられており、この「終了」ボタンを受付部30を介してポインティング指定すると、理想環境作成処理プログラムを終了する条件を満足する。
【0089】
このように理想環境作成処理プログラムを終了すると、図10に示すフローチャートのステップ106に移行する。ステップ106では、二次記憶部28から現実環境レイヤ(景観オブジェクト情報が含まれる現実環境レイヤ)を取得した後、ステップ108に移行し、第1比較処理を実行する。なお、本実施形態では、説明の便宜上、上記ステップ106の処理によって取得された現実環境レイヤの施工対象地域を描画領域に表示した場合、描画領域に一例として図15に示すように景観オブジェクト情報が配置されるものとする。
【0090】
ここで、図16を参照しながら第1比較処理の一例を説明する。図16は、ステップ106でCPU22により実行される第1比較処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。なお、ここでは、錯綜を回避するために、第1比較処理が実行される毎に、第1比較処理の結果を示す第1比較処理結果情報を構成する2つのレイヤ(第1比較処理結果用レイヤA,B)が生成され、生成された第1比較処理結果用レイヤA,Bは二次記憶部28の所定領域に記憶されるものとする。また、第1比較処理結果用レイヤA,Bの各々は、現実環境レイヤと同一の形状かつ同一の大きさで構成されており、現実環境レイヤと1対1で対応するメッシュが付与されている。また、以下では、第1比較処理結果用レイヤA,Bを区別する必要がない場合は末尾の符号を付さずに「第1比較処理結果用レイヤ」と称する。
【0091】
同図のステップ300では、第1比較処理結果用レイヤの施工対象地域の未だに本処理が実行されていない1つのメッシュを選択する。次のステップ302では、上記ステップ300で選択されたメッシュを対象にして、上記ステップ104の処理によって作成された理想環境レイヤと上記ステップ106の処理によって取得された現実環境レイヤとの比較を行った後、ステップ304に移行する。
【0092】
ステップ304では、上記ステップ300で選択されたメッシュに、上記ステップ302での比較の結果を対応付ける。次のステッ306では、上記ステップ202の処理によって指定された施工対象地域の全てのメッシュを対象にして上記ステップ302,304の処理を実行したか否かを判定し、否定判定となった場合にはステップ300に移行する一方、肯定判定となった場合にはステップ308に移行し、上記ステップ304の処理によって得られた第1比較処理結果用レイヤの施工対象地域の全てのメッシュの数に対する、理想環境レイヤと現実環境レイヤとの間で類似している景観オブジェクト情報が存在しているメッシュの数の割合(第1の類似率)を算出し、次のステップ310にて、第1比較処理結果用レイヤを特定するレイヤ情報と上記ステップ308の処理によって算出された第1の類似率とを対応付けて二次記憶部28に記憶した後、本第1比較処理プログラムを終了する。
【0093】
ところで、上記ステップ302の「比較」とは、理想環境レイヤの景観オブジェクト情報と現実環境レイヤの景観オブジェクト情報との差分を算出し、算出して得た差分が予め定められた誤差内に収まるか否かの判定(以下、「誤差判定」)を行うことと、理想環境レイヤと現実環境レイヤとの同一のメッシュ番号のメッシュに景観オブジェクト情報が競合するか否かの判定(以下、「競合判定」という。)を行うことと、を意味する。なお、ここでの「競合」とは、1つのメッシュに対して、理想環境レイヤに係る景観オブジェクト情報と現実環境レイヤに係る景観オブジェクト情報との何れかのレイヤの景観オブジェクト情報しか存在できないにも拘らず、両方のレイヤの景観オブジェクト情報が存在してしまっている状態のことを意味する。
【0094】
従って、上記ステップ304では、上記ステップ302の誤差判定によって理想環境レイヤの景観オブジェクト情報と現実環境レイヤの景観オブジェクト情報との差分が予め定められた誤差内に収まると判定された場合には理想環境レイヤの景観オブジェクト情報と景観情報のレイヤの景観オブジェクト情報とが類似していることを示す類似情報を第1比較処理結果用レイヤAの対応するメッシュに対応付け、上記ステップ304の誤差判定によって理想環境レイヤの景観オブジェクト情報と現実環境レイヤの景観オブジェクト情報との差分が予め定められた誤差に含まれないと判定された場合には理想環境レイヤの景観オブジェクト情報と現実環境レイヤの景観オブジェクト情報とが類似していないことを示す非類似情報を第1比較処理結果用レイヤAの対応するメッシュに対応付ける。例えば、図15に示す描画領域に表された現実環境レイヤの施工対象地域と図17に示す描画領域に表された理想環境レイヤの施工対象地域とを比較した場合、あるメッシュにおいて、現実環境レイヤの戸建て住居の景観オブジェクト情報と理想環境レイヤのマンションの景観オブジェクト情報とが競合しているため、これらは互いに予め定められた誤差内で一致しない景観オブジェクト情報として判定される。
【0095】
なお、本実施形態に係る予め定められた誤差内に収まる例としては、広葉樹を示す景観オブジェクト情報と蜜柑樹を示す景観オブジェクト情報との差、針葉樹を示す景観オブジェクト情報と松の樹木を示す景観オブジェクト情報との差が挙げられる。予め定められた誤差に含まれない例としては、植物を示す景観オブジェクト情報と蜜柑樹を示す景観オブジェクト情報との差、あるメッシュについて理想環境レイヤと現実環境レイヤとのうちの一方に景観オブジェクト情報が含まれているが他方に景観オブジェクト情報が含まれていないときに生じる差が挙げられる。
【0096】
また、上記ステップ304では、上記ステップ102の処理によって入力された優先順位で理想環境の順位が現実環境の順位よりも上位である場合であって、かつ上記ステップ302の競合判定によって理想環境レイヤと現実環境レイヤとの同一のメッシュ番号のメッシュに景観オブジェクト情報が競合すると判定された場合には、地域環境情報としての第1比較処理結果用レイヤBの対応するメッシュに理想環境レイヤの景観オブジェクト情報を対応付ける。
【0097】
また、上記ステップ304では、上記ステップ102の処理によって入力された優先順位で現実環境の順位が環境の順位よりも上位である場合であって、かつ上記ステップ302の競合判定によって理想環境レイヤと現実環境レイヤとの同一のメッシュ番号のメッシュに景観オブジェクト情報が競合すると判定された場合には、第1比較処理結果用レイヤBの対応するメッシュに現実環境レイヤの景観オブジェクト情報を対応付ける。
【0098】
また、上記ステップ304では、上記ステップ102の処理によって入力された優先順位で理想環境及び現実環境の順位の優劣に拘わらず、上記ステップ304の競合判定によって理想環境レイヤと現実環境レイヤとの同一のメッシュ番号のメッシュに景観オブジェクト情報が競合しないと判定された場合であって、そのメッシュについて理想環境レイヤと現実環境レイヤとの一方に景観オブジェクト情報が対応付けられており、他方に景観オブジェクト情報が対応付けられていない場合には、一方に対応付けられている景観オブジェクト情報を第1比較処理結果用レイヤBの対応するメッシュに対応付ける。なお、あるメッシュについて理想環境レイヤと現実環境レイヤとの双方に景観オブジェクト情報が対応付けられていない場合には、第1比較処理結果用レイヤBの対応するメッシュには景観オブジェクト情報を対応付けない。
【0099】
図18には、第1比較処理結果用レイヤA及びBの一例が模式的に示されている。同図Aには、第1比較処理結果用レイヤAのメッシュ番号“1”及び“2”の各メッシュに類似情報が対応付けられ、メッシュ番号“3”及び“4”の各メッシュに非類似情報が対応付けられた例が示されている。同図Bには、第1比較処理結果用レイヤBのメッシュ番号“2”ののメッシュに現実環境レイヤに係る景観オブジェクト情報が対応付けられ、メッシュ番号“1”、“3”及び“4”の各メッシュに理想環境レイヤに係る景観オブジェクト情報が対応付けられた例が示されている。
【0100】
上記ステップ108の処理が終了すると、ステップ110に移行し、生物関連情報データベース40Bの生物関連情報に上記ステップ102で入力された誘致対象生物を示す生物情報が含まれているか否かを判定し、否定判定となった場合にはステップ111に移行し、誘致対象生物の再指定を促すメッセージを表示部32に表示した後、本設計支援処理プログラムを終了する一方、肯定判定となった場合にはステップ112に移行し、第2比較処理を実行する。
【0101】
ここで、図19を参照しながら第2比較処理の一例を説明する。図19は、ステップ112でCPU22により実行される第2比較処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【0102】
同図のステップ400では、二次記憶部28から第1比較処理結果用レイヤBを取得した後、ステップ402に移行し、第1比較処理結果用レイヤBの施工対象地域の未だに本処理が実行されていない1つのメッシュを選択する。次のステップ404では、上記ステップ402の処理によって選択されたメッシュを対象にして、第1比較処理結果用レイヤBの景観オブジェクト情報と生物関連情報データベース40Bの生物関連情報における上記ステップ102の処理によって入力された誘致対象生物を示す生物情報に対応付けられている生息環境情報とを比較し、生息環境情報に第1比較処理結果用レイヤBの景観オブジェクト情報に予め定められた誤差内で一致している景観オブジェクト情報が含まれているか否かを判定し、肯定判定となった場合にはステップ406に移行し、上記ステップ402の処理によって選択されたメッシュに対して、景観オブジェクト情報と生息環境情報とが類似していることを示す生息環境類似情報を対応付けた後、ステップ408に移行する一方、否定判定となった場合にはステップ408に移行する。
【0103】
ステップ408では、第1比較処理結果用レイヤBの施工対象地域の全てのメッシュを対象にして上記ステップ404の処理を実行したか否かを判定し、否定判定となった場合にはステップ402に移行する一方、肯定判定となった場合にはステップ410に移行し、第1比較処理結果用レイヤBの施工対象地域において全てのメッシュの数に対する生息環境類似情報が付与されているメッシュの数の割合(第2の類似率)を算出し、次のステップ412にて、第1比較処理結果用レイヤを特定するレイヤ情報と上記ステップ410の処理によって算出された第2の類似率とを対応付けて二次記憶部28に記憶した後、本第2比較処理プログラムを終了する。
【0104】
上記ステップ112の処理が終了すると、ステップ114に移行し、条件受付画面上で利用者によって入力された情報、生息関連情報及び第1比較処理結果用レイヤBに基づいて、誘致対象生物の生息環境の価値を示すハビタットポテンシャルを算出すると共に、条件受付画面上で利用者によって入力された情報、第1比較処理結果用レイヤB及び回帰式領域44に記憶されている回帰式(ここでは、一例として(3)式)に基づいて誘致対象生物の来訪確率Yを算出し、算出して得たハビタットポテンシャル及び来訪確率Yと第1比較処理結果用レイヤを特定するレイヤ情報とを対応付けて二次記憶部28に記憶する。
【0105】
次のステップ116では、生物関連情報データベース40Bから、条件受付画面上で利用者によって入力された誘致対象生物に対応する好自然物情報に含まれる好適量分の景観オブジェクト情報を取得し、読み出した好適量分の景観オブジェクト情報を第1比較処理結果用レイヤBの施工対象地域の大きさに合わせて調整(加工)した後、ステップ118に移行し、第1比較処理結果用レイヤBの施工対象地域に対応する現実の施工対象地域に誘致対象生物を誘致するために不足している条件を示す情報(不足条件情報)を導出し、導出した不足条件情報と第1比較処理結果用レイヤを特定するレイヤ情報とを対応付けて二次記憶部28に記憶する。
【0106】
例えば、上記ステップ116では、好自然物情報である好適量分の景観オブジェクト情報を、10mの単位面積当たり蜜柑樹5本分の景観オブジェクト情報とし、これを第1比較処理結果用レイヤBの100mの施工対象地域(単位面積の10倍に相当する面積を有する地域)に適用した場合、蜜柑樹の本数が50本となるように景観オブジェクト情報を含む好自然物情報を調整する。この場合、上記ステップ118では、第1比較処理結果用レイヤBの施工対象地域に対応付けられている景観オブジェクト情報によって、その施工対象地域に10本の蜜柑樹が存在していることが判明している場合、第1比較処理結果用レイヤBの施工対象地域の不足条件情報として、(50本−10本=)40本の蜜柑樹が不足しているとの情報を導出し、調整された好自然物情報から40本分の蜜柑樹を示す景観オブジェクト情報を取得し、取得した景観オブジェクト情報と第1比較処理結果用レイヤを特定するレイヤ情報とを対応付けて二次記憶部28に記憶する。
【0107】
また、上記ステップ118では、現実環境レイヤ(施工制限情報係るレイヤ)に基づいて、不足条件情報として、更に、理想環境に含まれている川及び橋梁を現実に作ることができないとの情報を導出し、第1比較処理結果用レイヤを特定するレイヤ情報とを対応付けて二次記憶部28に記憶する。
【0108】
次のステップ120では、上記ステップ108の処理によって得られた第1の類似率、上記ステップ112の処理によって得られた第2の類似率、上記ステップ114の処理によって二次記憶部28に記憶されたハビタットポテンシャル及び来訪確率Y並びに上記ステップ118の処理によって二次記憶部28に記憶された不足条件情報を、景観オブジェクト指定領域に代えて描写画面に表示した後、ステップ122に移行する。図20には、不足条件情報、第1の類似率、第2の類似率、ハビタットポテンシャル及び来訪確率Yが表示された描写画面の一例が示されている。なお、同図には、不足条件情報として、蜜柑樹本数に係る情報(同図の例では、蜜柑樹の本数の見直しを促す“見直し必要”との情報に加え、蜜柑樹の追加推奨本数を示す情報)、施工対象地域内の強化改善領域を示す方角に係る情報(同図の例では、強化改善領域の見直しを促す“見直し必要”との情報に加え、強化改善領域の方角として推奨する方角を示す情報)、川に係る情報(同図の例では、川を作ることの見直しを促す“見直し必要”との情報)、橋梁に係る情報(同図の例では、橋梁の設置を見直すことを促す“見直し必要”との情報)が表示された例が挙げられている。また、同図の例では、描画領域に理想環境が作成された状態が維持されており、描写画面の正面視左下部には、「修正」ボタン及び「保存」ボタンが新たに設けられている。
【0109】
ステップ122では、誘致対象生物を生息させるのに好ましい生息環境に類似した環境である類似環境を示す画面を表示する条件(類似環境表示条件)を満足したか否かを判定し、肯定判定となった場合にはステップ124に移行する。ステップ124では、類似環境作成処理を実行する。類似環境作成処理とは、類似環境を示す類似環境情報としての類似環境レイヤを作成する処理のことを意味する。なお、本実施形態では、類似環境表示条件として、「修正」ボタンが受付部30を介してポインティング指定された、との条件を適用している。
【0110】
ここで、図21及び図22を参照しながら類似環境情報作成処理の一例を説明する。図21及び図22は、ステップ124でCPU22により実行される類似環境情報作成処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。なお、ここでは、類似環境レイヤとして上記第1比較処理によって作成された第1比較処理結果用レイヤBを適用した場合について説明する。
【0111】
図21のステップ500では、条件受付画面上で利用者によって指定された優先順位が“理想環境>現実環境>生息環境”であるか否かを判定し、否定判定となった場合にはステップ502に移行し、条件受付画面上で利用者によって指定された優先順位が“現実環境>理想環境>生息環境”であるか否かを判定し、否定判定となった場合にはステップ504に移行し、条件受付画面上で利用者によって指定された優先順位が“理想環境>生息環境>現実環境”であるか否かを判定し、否定判定となった場合には図22に示すステップ506に移行する。
ステップ506では、条件受付画面上で利用者によって指定された優先順位が“現実環境>生息環境>理想環境”であるか否かを判定し、否定判定となった場合にはステップ508に移行し、条件受付画面上で利用者によって指定された優先順位が“生息環境>理想環境>現実環境”であるか否かを判定し、否定判定となった場合には図23に示すステップ510に移行する。
【0112】
一方、ステップ500において肯定判定となった場合にはステップ512に移行する。また、ステップ502において肯定判定となった場合にもステップ512に移行する。ステップ512では、類似環境レイヤの施工対象地域において、景観オブジェクト情報が対応付けられていないメッシュ(以下、「空きメッシュ」という。)が存在するか否かを判定し、否定判定となった場合に本類似環境情報作成処理プログラムを終了する一方、肯定判定となった場合にはステップ514に移行する。
ステップ514では、類似環境レイヤの施工対象地域の空きメッシュに対応付けることが可能な景観オブジェクト情報(付与可能な景観オブジェクト情報)が不足条件情報に含まれているか否かを判定する。
本実施形態において、付与可能な景観オブジェクト情報とは、例えば、付与先のメッシュに対応する地域おける施工規制情報により示される施工の規制に影響を受けないとの条件、付与先のメッシュに対応する地域における気象条件情報により示される気象に適さないとの条件、及び付与先のメッシュに対応する地域における地質特徴情報により示される地質の特徴に適さないとの条件などの現実環境レイヤによって規定されている条件(規定条件)を満足する自然物を示す景観オブジェクト情報のことである。なお、上記ステップ514(及び後述のステップ522,528,536,542,550,556,562,568)では、付与可能な景観オブジェクト情報であるか否かを、判定対象とされた景観オブジェクト情報に含まれる属性情報と上記規定条件とを比較して判定する。つまり、属性情報と上記規定条件とが予め定められた誤差内で一致していれば、その属性情報を有する景観オブジェクト情報を、付加可能な景観オブジェクト情報として採用する。このように不足条件情報に含まれる景観オブジェクト情報を一度フィルタリングしてから採用することにより、類似環境レイヤの信頼度をより一層高めることができる。
【0113】
ステップ514において否定判定となった場合には本類似環境情報作成処理プログラムを終了する一方、肯定判定となった場合にはステップ516に移行し、空きメッシュに対して付与可能な景観オブジェクト情報を対応付けると共に、その景観オブジェクト情報を不足条件情報からデクリメントする。
なお、上記ステップ516では、不足条件情報に含まれる景観オブジェクト情報のうちの付与可能な景観オブジェクト情報であると判定されたものから最も優先順位の高い景観オブジェクト情報を選択し、選択した景観オブジェクト情報を空きメッシュのうちの優先度の最も高い空きメッシュに対応付ける。この「優先度の最も高い空きメッシュ」とは、例えば、施工対象地域から最も近いコア生息地までの距離が最も短い空きメッシュのことである。
【0114】
次のステップ518では、上記ステップ516の処理によって類似環境レイヤの施工対象地域に対応付けられた景観オブジェクト情報の数量が所定量Aを超えたか否かを判定し、否定判定となった場合にはステップ512に戻る一方、肯定判定となった場合には本類似環境情報作成処理プログラムを終了する。なお、上記ステップ518の処理で用いられる「所定量A」としては、後述の所定量B〜Eの何れよりも小さな数量であれば良く、例えば、類似環境レイヤの施工対象地域における現時点での空きメッシュの全数量の20%に相当する数量が挙げられる。
【0115】
一方、ステップ504において肯定判定となった場合にはステップ520に移行し、上記ステップ512と同様の処理を実行し、否定判定となった場合にはステップ526に移行する一方、肯定判定となった場合にはステップ522に移行する。
ステップ522では、上記ステップ514と同様の処理を実行し、否定判定となった場合には本類似環境情報作成処理プログラムを終了する一方、肯定判定となった場合にはステップ524に移行し、上記ステップ516と同様の処理を実行した後、ステップ520に戻る。
【0116】
ステップ526では、類似環境レイヤの施工対象地域において、現実環境に係る景観オブジェクト情報が対応付けられているメッシュ(以下、「現実環境メッシュ」という。)が存在するか否かを判定し、否定判定となった場合に本類似環境情報作成処理プログラムを終了する一方、肯定判定となった場合にはステップ528に移行する。
ステップ528では、類似環境レイヤの施工対象地域の現実環境メッシュに対して付与可能な景観オブジェクト情報が不足条件情報に含まれているか否かを判定し、否定判定となった場合には本類似環境情報作成処理プログラムを終了する一方、肯定判定となった場合にはステップ530に移行する。
【0117】
ステップ530では、現実環境メッシュに対して現時点で対応付けられている景観オブジェクト情報に代えて、不足条件情報に含まれている付与可能な景観オブジェクト情報を対応付けると共に、その景観オブジェクト情報を不足条件情報からデクリメントする。
なお、上記ステップ530では、不足条件情報に含まれる景観オブジェクト情報のうちの付与可能な景観オブジェクト情報であると判定されたものから最も優先順位の高い景観オブジェクト情報を選択し、選択した景観オブジェクト情報を現実環境メッシュのうちの優先度の最も高い現実環境メッシュに対して、現時点で対応付けられている景観オブジェクト情報に代えて対応付ける。この「優先度の最も高い現実環境メッシュ」とは、例えば、施工対象地域から最も近いコア生息地までの距離が最も短い現実環境メッシュのことである。
【0118】
次のステップ532では、上記ステップ530の処理によって類似環境レイヤの施工対象地域に対応付けられた景観オブジェクト情報の数量が所定量Bを超えたか否かを判定し、否定判定となった場合にはステップ526に戻る一方、肯定判定となった場合には本類似環境情報作成処理プログラムを終了する。なお、上記ステップ532の処理で用いられる「所定量B」としては、前述の所定量Aよりも大きくかつ後述の所定量Cよりも小さな数量であれば良く、例えば、類似環境レイヤの施工対象地域における現時点での空きメッシュの全数量の40%に相当する数量が挙げられる。
【0119】
一方、ステップ506において肯定判定となった場合にはステップ534に移行し、上記ステップ512と同様の処理を実行し、否定判定となった場合にはステップ540に移行する一方、肯定判定となった場合にはステップ536に移行する。
ステップ536では、上記ステップ514と同様の処理を実行し、否定判定となった場合には本類似環境情報作成処理プログラムを終了する一方、肯定判定となった場合にはステップ538に移行し、上記ステップ516と同様の処理を実行した後、ステップ534に戻る。
【0120】
ステップ540では、類似環境レイヤの施工対象地域において、理想環境に係る景観オブジェクト情報が対応付けられているメッシュ(以下、「理想環境メッシュ」という。)が存在するか否かを判定し、否定判定となった場合に本類似環境情報作成処理プログラムを終了する一方、肯定判定となった場合にはステップ542に移行する。
ステップ542では、類似環境レイヤの施工対象地域の理想環境メッシュに対して付与可能な景観オブジェクト情報が不足条件情報に含まれているか否かを判定し、否定判定となった場合には本類似環境情報作成処理プログラムを終了する一方、肯定判定となった場合にはステップ544に移行する。
【0121】
ステップ544では、理想環境メッシュに対して現時点で対応付けられている景観オブジェクト情報に代えて、不足条件情報に含まれている付与可能な景観オブジェクト情報を対応付けると共に、その景観オブジェクト情報を不足条件情報からデクリメントする。
なお、上記ステップ544では、不足条件情報に含まれる景観オブジェクト情報のうちの付与可能な景観オブジェクト情報であると判定されたものから最も優先順位の高い景観オブジェクト情報を選択し、選択した景観オブジェクト情報を理想環境メッシュのうちの優先度の最も高い理想環境メッシュに対して、現時点で対応付けられている景観オブジェクト情報に代えて対応付ける。この「優先度の最も高い理想環境メッシュ」とは、例えば、施工対象地域から最も近いコア生息地までの距離が最も短い理想環境メッシュのことである。
【0122】
次のステップ546では、上記ステップ544の処理によって類似環境レイヤの施工対象地域に対応付けられた景観オブジェクト情報の数量が所定量Cを超えたか否かを判定し、否定判定となった場合にはステップ540に戻る一方、肯定判定となった場合には本類似環境情報作成処理プログラムを終了する。なお、上記ステップ546の処理で用いられる「所定量C」としては、前述の所定量Bよりも大きくかつ後述の所定量Dよりも小さな数量であれば良く、例えば、類似環境レイヤの施工対象地域における現時点での空きメッシュの全数量の60%に相当する数量が挙げられる。
【0123】
一方、ステップ508において肯定判定となった場合にはステップ548に移行し、上記ステップ512と同様の処理を実行し、否定判定となった場合にはステップ554に移行する一方、肯定判定となった場合にはステップ550に移行する。
ステップ550では、上記ステップ514と同様の処理を実行し、否定判定となった場合には本類似環境情報作成処理プログラムを終了する一方、肯定判定となった場合にはステップ552に移行し、上記ステップ516と同様の処理を実行した後、ステップ548に戻る。
【0124】
ステップ554では、上記ステップ526と同様の処理を実行し、否定判定となった場合には本類似環境情報作成処理プログラムを終了する一方、肯定判定となった場合にはステップ556に移行する。
ステップ556では、上記ステップ528と同様の処理を実行し、否定判定となった場合には本類似環境情報作成処理プログラムを終了する一方、肯定判定となった場合にはステップ558に移行し、上記ステップ530と同様の処理を実行した後、ステップ560に移行する。
【0125】
ステップ560では、上記ステップ558の処理によって類似環境レイヤの施工対象地域に対応付けられた景観オブジェクト情報の数量が所定量Dを超えたか否かを判定し、否定判定となった場合にはステップ554に戻る一方、肯定判定となった場合には本類似環境情報作成処理プログラムを終了する。なお、上記ステップ560の処理で用いられる「所定量D」としては、前述の所定量Cよりも大きくかつ後述の所定量Eよりも小さな数量であれば良く、例えば、類似環境レイヤの施工対象地域における現時点での空きメッシュの全数量の70%に相当する数量が挙げられる。
【0126】
一方、ステップ510では、上記ステップ512と同様の処理を実行し、否定判定となった場合にはステップ566に移行する一方、肯定判定となった場合にはステップ562に移行する。
ステップ562では、上記ステップ514と同様の処理を実行し、否定判定となった場合には本類似環境情報作成処理プログラムを終了する一方、肯定判定となった場合にはステップ564に移行し、上記ステップ516と同様の処理を実行した後、ステップ510に戻る。
【0127】
ステップ566では、上記ステップ540と同様の処理を実行し、否定判定となった場合には本類似環境情報作成処理プログラムを終了する一方、肯定判定となった場合にはステップ568に移行する。
ステップ568では、上記ステップ542と同様の処理を実行し、否定判定となった場合には本類似環境情報作成処理プログラムを終了する一方、肯定判定となった場合にはステップ570に移行し、上記ステップ524と同様の処理を実行した後、ステップ572に移行する。
【0128】
ステップ572では、上記ステップ570の処理によって類似環境レイヤの施工対象地域に対応付けられた景観オブジェクト情報の数量が所定量Eを超えたか否かを判定し、否定判定となった場合にはステップ566に戻る一方、肯定判定となった場合には本類似環境情報作成処理プログラムを終了する。なお、上記ステップ572の処理で用いられる「所定量E」としては、前述の所定量Dよりも大きな数量であれば良く、例えば、類似環境レイヤの施工対象地域における現時点での空きメッシュの全数量の90%に相当する数量が挙げられる。
【0129】
上記ステップ124の類似環境作成処理を終了すると、ステップ126に移行し、類似環境レイヤに基づいて第1の類似率及び第2の類似率を再度算出し、条件受付画面上で利用者によって入力された情報、生息関連情報及び類似環境レイヤに基づいて、誘致対象生物の生息環境の価値を示すハビタットポテンシャルを再度算出し、条件受付画面上で利用者によって入力された情報、類似環境レイヤ及び回帰式領域44に記憶されている回帰式(ここでは、一例として(3)式)に基づいて誘致対象生物の来訪確率Yを再度算出し、再度算出して得た第1の類似率、第2の類似率、ハビタットポテンシャル及び来訪確率Yと類似環境レイヤを特定するレイヤ情報とを対応付けて二次記憶部28に記憶(上書き)する。
【0130】
次のステップ128では、現時点で表示部32に表示されている第1の類似率、第2の類似率、ハビタットポテンシャル及び来訪確率Yに代えて、上記ステップ126の処理によって再度算出された第1の類似率、第2の類似率、ハビタットポテンシャル及び来訪確率Yを表示すると共に、現時点で表示部32に表示されている不足条件情報に代えて、現時点で二次記憶部28に記憶されている不足条件情報を表示した後、ステップ130に移行する。
【0131】
ステップ130では、現時点で描画領域に表示されている理想環境(図17又は図20参照)に代えて、現時点で二次記憶部28に記憶されている類似環境レイヤの施工対象地域を類似環境(図24参照)として描画領域に表示し、その後にステップ132に移行する。なお、図24では、環境の優先順位が“現実環境>理想環境>生息環境”の場合の類似環境であり、蜜柑樹が施工対象地域の北西領域に集中している例が示されているが、これは、一例として図25に示すように施工対象地域に最も近いコア生息地が施工対象地域の中心から見て北西の方向に存在しており、このコア生息地と施工対象地域との相対的な位置関係の影響を受けて上記ステップ124によって処理が実行されたからである。
【0132】
ステップ132では、現時点で描画領域に表示されている画像を保存する条件(保存実行条件)を満足したか否かを判定し、肯定判定となった場合にはステップ134に移行し、類似環境レイヤと前述のレイヤ情報とを対応付けた状態で二次記憶部28に記憶(保存)し、その後にステップ136に移行する。従って、以後、利用者は、理想環境レイヤを作成する場合、受付部30を介してレイヤ情報を指定することによって、そのレイヤ情報に対応付けられた類似環境レイヤを二次記憶部28から取得し、取得した類似環境レイヤを理想環境レイヤとして用いることができる。このように類似環境レイヤを理想環境レイヤとして用いて再度類似環境レイヤを作り直すという一連の処理を繰り返すことによって実現可能性の高い類似環境を示す類似環境レイヤを作成することができる。なお、本実施形態では、上記の保存実行条件として、描写画面に設けられている「保存」ボタンを受付部30を介してポインティング指定する、との条件を適用している。
【0133】
一方、ステップ132において否定判定となった場合にはステップ136に移行し、ステップ136では、本設計支援処理プログラムを終了する条件(終了条件)を満足したか否かを判定し、否定判定となった場合にはステップ132に戻る一方、肯定判定となった場合には本設計支援プログラムを終了する。なお、本実施形態では、上記の終了条件として、描写画面に設けられている「終了」ボタンをポインティング指定する、との条件を適用している。
【0134】
以上詳細に説明したように、本実施形態に係る設計支援装置10では、構成要素情報としての景観オブジェクト情報を用いて施工対象地域を含む所定地域としての日本全国の現実環境を示した現実環境レイヤを現実環境情報データベース40Aに予め記憶し、施工対象地域について、現実環境情報データベース40Aに記憶されている現実環境レイヤと理想環境レイヤとを用いて第1比較処理結果用レイヤBを作成し、第1比較結果用レイヤBに含まれず、かつ生息環境情報に含まれる景観オブジェクト情報に基づいて、不足条件情報を導出し、導出した不足条件情報を表示部32に表示するので、誘致対象生物が誘致可能な環境に施工対象地域を改善するための設計を容易かつ高精度に支援することができる。
【0135】
また、本実施形態に係る設計支援装置10では、現実環境レイヤと理想環境レイヤとをメッシュ毎に比較してメッシュについて現実環境レイヤ又は理想環境レイヤに景観オブジェクト情報が含まれている場合にその景観オブジェクト情報を取得し、現実環境レイヤ及び理想環境レイヤの双方に景観オブジェクト情報が含まれている場合に現実環境レイヤ及び理想環境レイヤのうちの優先度の高いほうの景観オブジェクト情報を取得し、このようにして取得した景観オブジェクト情報を用いて第1比較処理結果用レイヤBを作成するので、第1比較処理結果用レイヤBを容易かつ高精度に作成することができる。
【0136】
また、本実施形態に係る設計支援装置10では、メッシュが形成されたレイヤを用いるので、不足条件情報の導出の高速化に寄与することができる。
【0137】
また、本実施形態に係る設計支援装置10では、生息環境情報を生物毎に生物関連情報データベース40Bに予め記憶し、第1比較処理結果用レイヤBに含まれず、かつ生物関連情報データベース40Bに記憶されている生息環境情報のうち、受付部30によって受け付けられた生物情報により示される生物に対応する生息環境情報に含まれる景観オブジェクト情報に基づいて、不足条件情報を導出するので、利用者の利便性を向上させることができる。
【0138】
また、本実施形態に係る設計支援装置10では、受付部30によって受け付けられた生物情報により示される生物が生物関連情報データベース40Bに記憶されていない場合に再度の受け付けを促すメッセージを表示部32に表示するので、利用者の利便性をより一層向上させることができる。
【0139】
また、本実施形態に係る設計支援装置10では、不足条件情報を、景観オブジェクト情報の数量を含む情報としたので、不足している景観の構成要素の数量を高精度に把握することができる。
【0140】
また、本実施形態に係る設計支援装置10では、受付部30によって受け付けられた理想環境レイヤと現実環境情報データベース40Aに記憶されている現実環境レイヤとを用いて第1比較処理結果用レイヤBを作成するので、利用者の意図する理想環境を不足条件情報の導出に容易に反映させることができる
【0141】
また、本実施形態に係る設計支援装置10では、生息環境情報を、単位面積当たりに含まれる景観オブジェクト情報を用いて示した情報とし、単位面積に対する施工対象地域の面積の割合を用いて生息環境情報を加工し、第1比較結果用レイヤBに含まれず、かつ加工して得た生息環境情報に含まれる景観オブジェクト情報に基づいて、不足条件情報を導出するので、不足条件情報を容易かつ高精度に導出することができる。
【0142】
また、本実施形態に係る設計支援装置10では、現実環境レイヤを、施工制限情報を含む情報とし、施工制限情報により示される施工の制限を回避するように第1比較処理結果用レイヤBを作成するので、施工の制限を回避した第1比較処理結果用レイヤBを容易かつ高精度に作成することができる。
【0143】
また、本実施形態に係る設計支援装置10では、第1比較処理結果用レイヤBに不足条件情報を付与することにより類似環境レイヤを作成するので、誘致対象生物の生息環境に類似した環境を容易かつ高精度に把握することができる。
【0144】
また、本実施形態に係る設計支援装置10では、現実環境レイヤを、誘致対象生物が集中的に生息しているコア生息地を示すコア生息地情報を有する情報とし、コア生息地情報を参照して、施工対象地域内のコア生息地に近い寮いい気から優先的に不足条件情報により示される条件が所定条件(上記実施形態では、「所定量」を超える、との条件)を満足するまで付されるように第1比較処理結果用レイヤBに不足条件情報を付与することにより類似環境レイヤを作成するので、高精度な不足条件情報及び類似環境レイヤを得ることができる。
【0145】
また、本実施形態に係る設計支援装置10では、類似環境レイヤにおける施工対象地域を画像化して表示するので、誘致対象生物を誘致する可能性が合理的に高められた環境を容易かつ高精度に把握することができる。
【0146】
また、本実施形態に係る設計支援装置10では、回帰分析によって予め導出された回帰式を用いることにより誘致対象生物の来訪確率Yを導出し、導出した来訪確率Yを表示部32に表示するので、誘致対象生物の生息し易さを容易かつ高精度に把握することができる。
【0147】
また、本実施形態に係る設計支援装置10では、ハビタットポテンシャルを導出し、導出したハビタットポテンシャルを表示するので、誘致対象生物の生息し易さを容易かつ高精度に把握することができる。
【0148】
更に、本実施形態に係る設計支援装置10では、第1比較処理結果用レイヤB又は類似環境レイヤにより示される施工対象領域の環境と生息環境情報により示される生息環境との類似の度合いを示す情報(ここでは、類似率)を導出し、導出した情報により示される類似の度合いを表示部32に表示するので、第1比較処理結果用レイヤBの施工対象領域と生息環境との類似の度合いを容易かつ高精度に把握することができる、という効果が得られる。
【0149】
なお、上記実施形態では、理想環境が生息環境よりも優先度が高い場合の形態例を挙げて説明したが、生息環境が理想環境よりも優先度が高い場合も考えられる。この場合、例えば、理想環境が生息環境よりも優先度が高い場合に導出された図20に示す不足条件情報には、必要な樹木数として40本を推奨する情報が含まれるのに対し、生息環境が理想環境よりも優先度が高い場合に導出された図26に示す不足条件情報には、必要な樹木数として80本を推奨する情報が含まれる。また、生息環境が理想環境よりも優先度が高い場合、一例として図27に示すように描画領域に類似環境が表示されると共に、不足条件情報、第1の類似率、第2の類似率、ハビタットポテンシャル及び来訪確率の再算出結果が表示される。
図27に示す例では、不足条件情報として、蜜柑樹の本数の見直しが必要である旨が表示されており、蜜柑樹の追加を促す推奨本数として10本が挙げられているが、この場合、蜜柑樹をあと10本植樹するための条件(蜜柑樹をあと10本植樹することができなかった理由)を更に表示するようにしてもよい。例えば、蜜柑樹をあと10本植樹するのに必要な条件としては、“空き地の増量”との条件や“マンションの削減”との条件、“池のサイズの縮小”との条件などが挙げられる。このように、誘致対象生物を呼び寄せるためには具体的にどのような条件が不足しているのかを画面上に明示することにより、より一層設計を行い易くすることができる。
利用者は
【0150】
また、上記実施形態では、理想環境が現実環境よりも優先度が高い場合の形態例を挙げて説明したが、現実環境が理想環境よりも優先度が高い場合も考えられる。この場合、例えば、図15及び図26に示すように、現実環境に係る景観オブジェクト情報により示される戸建て住居の位置と理想環境に係る景観オブジェクト情報により示されるマンションの位置とが重なり、現実環境に係る景観オブジェクト情報により示される戸建て住居の位置と想環境に係る景観オブジェクト情報により示される池の位置とが重なる場合、類似環境レイヤの施工対象地域の同一の位置には、現実環境に係る景観オブジェクトが優先して採用され、その結果、一例として図28に示すように、現実環境に係る景観オブジェクト情報が配置される。なお、図28に示す例では、優先順位が現実環境>理想環境>生息環境の場合の類似環境が示されているが、優先順位が生息環境>現実環境>理想環境の場合には一例として図29に示すように図28に示す例に比べて全体的に誘致対象生物が好む自然物(ここでは、一例として蜜柑樹)の景観オブジェクト情報が多く配置される。また、図示は省略するが、優先順位が現実環境>生息環境>理想環境の場合には、誘致対象生物が好む自然物の景観オブジェクト情報の数量を図28に示す例よりも多くかつ図29に示す例よりも少ない数量とするように、誘致対象生物が好む自然物の景観オブジェクト情報をコア生息地に近い領域から優先的に配置すれば良い。
【0151】
また、上記実施形態では、景観オブジェクト情報を第1比較処理結果用レイヤBの施工対象地域の大きさに合わせて調整する場合の形態例を挙げて説明したが、これは、利用者によって日本全国の何れの場所が施工対象地域に指定されたとしても対応可能にするためであり、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、施工対象地域の広さや場所などの諸条件が既に決まっているのであれば、その施工対象地域に特化した生息環境情報を用意すればよい。これにより、より高精度な設計支援を実現することができる。
【0152】
また、上記実施形態では、景観オブジェクト情報として景観の構成要素を図形的なオブジェクトを用いて表現したが、これに限らず、撮影によって得られた画像を用いても良い。但し、この場合、図形的なオブジェクトに比べて演算に要する負荷が大きくなるため、現実環境レイヤの数を減らすか、生息環境情報の情報量を減らすか、又は高演算負荷に耐え得るコンピュータを併用するなどの対応をとることが好ましい。
【0153】
また、上記実施形態では、描画領域に理想環境又は類似環境を表示する形態例を挙げて説明したが、これに限らず、例えば、図30に示すように、修正前の環境である理想環境と修正後の環境である類似環境とを視覚的に比較可能となるように図20に示す描画領域の画像と図24に示す描画領域の画像とを描画領域に並べて表示しても良い。
【0154】
また、上記実施形態では、(3)式を用いて来訪確率Yを算出する形態例を挙げて説明したが、回帰式は(3)式に限定されるものではない。ここで、上記実施形態で説明した回帰分析とは異なる回帰分析について説明する。
【0155】
回帰式を導出するために、本発明の発明者らは、まず、誘致対象生物(一例としてモンシロチョウ)が好む環境に相関が高い地域特性を示すパラメータとして、地域別(一例として町丁目別)の人口、誘致対象生物が好む景観オブジェクト(好景観オブジェクト)の数(一例として蜜柑樹や油菜などのモンシロチョウが好む景観構成要素の数)、誘致対象生物が好まない忌避オブジェクト数(一例として高層ビルや工場などの数)、所定数以上の誘致対象生物が生息しているコア生息地までの距離、地域別面積、空地率、好景観領域の面積及び忌避領域の面積の8種類のパラメータが存在するものと仮定した。なお、人口は、行政機関から提供される資料に掲載されているデータによって決められる。また、コア生息地までの距離は、対応する町丁目の中心位置からコア生息地の中心までの距離のことであり、メッシュの大きさ及びメッシュの個数によって決められる。また、好景観オブジェクト情報数及び忌避オブジェクト数の各々は、景観情報に含まれる景観オブジェクト情報によって決められる。また、地域別面積は、メッシュの大きさ及びメッシュの個数によって決められる。また、空地率、好景観領域の面積及び忌避領域の面積の各々は、景観情報に含まれる景観オブジェクト情報、メッシュの大きさ及びメッシュの個数によって決められる。
【0156】
次に、発明者らは、愛知県における地域別の1年間の誘致対象生物の目撃件数を示すデータ(以下、「目撃件数情報」という。)を用いて、地域別の誘致対象生物の目撃件数を地域別面積で除算することによって地域別の誘致対象生物の来訪確率Nを求め、この来訪確率Nを被説明変数とし、上記8種類のパラメータのうちの1つ又は複数を種々組み合わせて得られた2つのパラメータX,Yを説明変数とした回帰分析を行った。
【0157】
この結果、回帰式を(4)式とし、この回帰式によって来訪確率Nを最もよく回帰することのできるパラメータXとして生物コア生息地までの距離を人口で除算して得られた第1の値(以下、「都市レベル値」という。)が、パラメータYとして好景観オブジェクト数を忌避オブジェクト数で除算して得られた(以下、「誘致レベル値」という。)が、各々見出された。
【0158】
N=10a−bX−cY+d・・・・・(4)
【0159】
次に、上記回帰分析の具体的な手順について説明する。
【0160】
先ず、来訪確率Nの上位m個をとり、上記8種類のパラメータのうちの1つ又は複数を種々組み合わせて得られたパラメータX及びパラメータYの各値を用いて、回帰分析において広く用いられている(5)式に回帰する回帰係数a,b,cの値を算出する。なお、ここで、回帰データ数mを連続的に変化させ、各回帰データ数mについて回帰係数a,b,cを求める。
【0161】
N=10a−bX−cY・・・・・(5)
【0162】
図31には、回帰データ数mと回帰係数a,b,cの各値の関係を示すグラフの一例が示されている。
【0163】
次に、回帰係数a,b,cの全ての値が正値となる回帰データ数mを抽出する。なお、図31に示す例では、回帰データ数mが20から30までの間の回帰係数a,b,cが示されているが、この回帰データ数mの範囲内では、全ての回帰係数a,b,cの値が正値となるため、全ての回帰データ数mが抽出されることになる。
【0164】
次に、抽出した各回帰データ数mについて、対応する回帰係数a,b,cと上記8種類のパラメータのうちの1つ又は複数を種々組み合わせて得られたパラメータX及びパラメータYとを用いて、回帰誤差(「発生確率の実データ」−「(5)式によって得られる回帰値」)を算出し、回帰誤差が正値となるデータ数が全データ数の所定割合(ここでは、0.2%)となるように回帰式に回帰係数dを加えた上記(4)式を、発生確率を示す回帰式とする。なお、上記回帰係数dは、来訪確率Nの分布における最大値付近のばらつきによる悪影響を回避するためのものであり、上記所定割合として0.2%を適用したのは、地震による建物に対する予想最大損失率を示すPML(Probable Maximum Loss)にて適用されている値に由来するものである。
【0165】
次に、回帰データ数m毎で、かつ上記8種類のパラメータのうちの1つ又は複数を種々組み合わされて得られたパラメータX及びパラメータY毎の発生確率の推定誤差(「発生確率の実データ」−「(4)式によって得られる発生確率(推定値)」)の確率分布を示すグラフを作成する。なお、図32は、このグラフの一例を示している。
【0166】
そして、作成した各グラフにおける確率分布の形状を比較し、推定誤差が負値となる部分の零軸との間の面積(図32における斜線部分の面積)が最小となるものを最良の回帰式として選択する。
【0167】
以上によって選択された回帰式におけるパラメータXが都市レベル値であり、パラメータYが誘致レベル値である。
【0168】
なお、次の(6)式は、以上の手順により導出された回帰式の一例であって、誘致対象生物としてモンシロチョウを適用した場合のものである。本実施形態では、この回帰式(3)が回帰式領域44に記憶されている。
【0169】
N=100.421−0.0230X−0.126Y+0.476・・・・・・(6)
【0170】
図33には、(6)式による回帰結果が示されている。同図からも明らかなように、誘致対象生物の発生確率と都市レベル及び誘致レベル値とは高い相関を示すと共に、一例として(6)式に示すように誘致対象生物別の来訪確率Nを高精度に算出することができる。なお、この場合、二次記憶部28のデータベース領域40には、パラメータデータベース40Cに代えて、一例として図34に示すようなパラメータデータベース40C’が適用される。
【0171】
また、上記実施形態では、設計支援装置10によって不足条件情報及び類似環境レイヤを導出する場合の形態例を挙げて説明したが、これに限らず、例えば、図35に示すように設計支援システム600を適用してもよい。同図に示すように、設計支援システム600は、設計支援装置10と同様に構成されたパーソナル・コンピュータとしてのクライアント装置10Aとサーバ装置340とを含んで構成されている。クライアント装置10Aは、外部インタフェース36を介してサーバ340に通信可能に接続されている。サーバ装置340は、ハードディスク装置342を有するコンピュータを含んで構成されている。ハードディスク装置342は、データベース領域40を有している。従って、サーバ装置340は、クラインアント装置10Aからの要求に応じて上記実施形態で説明した設計支援処理プログラムを実行することにより不足条件情報及び類似環境レイヤを導出し、導出した不足条件情報及び類似環境レイヤをクライアント装置10Aに提供することができる。また、クライアント装置10Aとサーバ装置340とで分散処理を行っても良い。
【0172】
また、上記実施形態では、不足条件情報をディスプレイ18により可視表示する場合の形態例を挙げて説明したが、これに限らず、不足条件情報を音声再生装置による可聴表示しても良いし、不足条件情報をプリンタにより永久可視表示しても良い。また、可視表示、可聴表示及び永久可視表示を組み合わせても良い。
【0173】
また、上記実施形態では、各種の処理プログラムがROMに予め記憶されている場合の形態例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、設計支援処理プログラムをCD−ROMやDVD−ROM、USBメモリなどのコンピュータによって読み取られる記録媒体に格納した状態で提供する形態を適用してもよいし、有線又は無線による通信手段を介して配信する形態を適用しても良い。
【符号の説明】
【0174】
10 設計支援装置
22 CPU
28 二次記憶部
30 受付部
40A 現実環境情報データベース
40B 生物関連情報データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
景観の構成要素を示す構成要素情報を用いて施工対象地域を含む所定地域の現実環境を示した現実環境情報を記憶した現実環境記憶手段と、
前記現実環境記憶手段に記憶されている前記現実環境情報と前記施工対象地域の理想環境を前記構成要素情報を用いて示した理想環境情報とを用いて前記施工対象地域の環境を示す地域環境情報を作成する地域環境作成手段と、
前記地域環境作成手段によって作成された地域環境情報に含まれず、かつ誘致対象とする生物を生息させる生息環境を前記構成要素情報を用いて示した生息環境情報に含まれる前記構成要素情報に基づいて、前記誘致対象とする生物を前記施工対象地域に誘致するために不足している条件を示す不足条件情報を導出する導出手段と、
前記導出手段によって導出された不足条件情報により示される条件を表示する表示手段と、
を含む設計支援装置。
【請求項2】
前記現実環境記憶手段は、前記施工対象地域が分割されて得られた分割領域毎に、対応する前記現実環境情報を記憶し、
前記地域環境作成手段は、前記現実環境記憶手段に記憶されている前記現実環境情報と前記理想環境情報とを前記分割領域毎に比較して該分割領域について前記現実環境情報又は前記理想環境情報に前記構成要素情報が含まれている場合に該構成要素情報を取得し、前記現実環境情報及び前記理想環境情報の双方に前記構成要素情報が含まれている場合に前記現実環境情報及び前記理想環境情報のうちの優先度の高い方の前記構成要素情報を取得する取得手段を有し、該取得手段によって取得された構成要素情報を用いて前記地域環境情報を作成する請求項1に記載の設計支援装置。
【請求項3】
前記現実環境情報及び前記理想環境情報の各々を、メッシュが形成されたレイヤで構成し、該メッシュによって前記分割領域を形成した請求項2に記載の設計支援装置。
【請求項4】
前記生息環境情報を前記生物毎に記憶した生息環境記憶手段と、
前記生物を示す生物情報を受け付ける生物情報受付手段と、を更に含み、
前記導出手段は、前記地域環境作成手段によって作成された地域環境情報に含まれず、かつ前記生息環境記憶手段に記憶されている前記生息環境情報のうち、前記生物情報受付手段によって受け付けられた生物情報により示される生物に対応する生息環境情報に含まれる前記構成要素情報に基づいて、前記不足条件情報を導出する請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の設計支援装置。
【請求項5】
前記表示手段は、更に、前記生物情報受付手段によって受け付けられた生物情報により示される生物に対応する生息環境情報が前記生息環境記憶手段に記憶されていない場合に前記生物情報受付手段による再度の受け付けを促すことを示す情報を表示する請求項4に記載の設計支援装置。
【請求項6】
前記不足条件情報を、前記地域環境作成手段によって作成された地域環境情報に含まれず、かつ前記生息環境情報に含まれる前記構成要素情報により示される構成要素の数量を含む情報とした請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の設計支援装置。
【請求項7】
前記理想環境情報を受け付ける理想環境受付手段を更に含み、
前記地域環境作成手段は、前記理想環境受付手段によって受け付けられた理想環境情報と前記現実環境記憶手段に記憶されている前記現実環境情報とを用いて前記地域環境情報を作成する請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の設計支援装置。
【請求項8】
前記生息環境情報を、単位面積当たりに含まれる前記構成要素情報を用いて示した情報とし、
前記単位面積に対する前記施工対象地域の面積の割合を用いて前記生息環境情報を加工する加工手段を更に含み、
前記導出手段は、前記地域環境作成手段によって作成された地域環境情報に含まれず、かつ前記加工手段によって加工された前記生息環境情報に含まれる前記構成要素情報に基づいて、前記不足条件情報を導出する請求項1〜請求項7の何れか1項に記載の設計支援装置。
【請求項9】
前記現実環境情報を、施工の制限を示す施工制限情報を含む情報とし、
前記地域環境作成手段は、前記施工制限情報により示される施工の制限を回避するように前記地域環境情報を作成する請求項1〜請求項8の何れか1項に記載の設計支援装置。
【請求項10】
前記地域環境作成手段によって作成された地域環境情報に対して、前記導出手段によって導出された不足条件情報を付与することにより前記生息環境に類似した環境を示す類似環境情報を作成する類似環境作成手段を更に含み、
前記表示手段は、更に、前記類似環境作成手段によって作成された類似環境情報を表示する請求項1〜請求項9の何れか1項に記載の設計支援装置。
【請求項11】
前記地域環境作成手段は、前記類似環境作成手段によって作成された類似環境情報を理想環境情報として用いて前記地域環境情報を作成する請求項10に記載の設計支援装置。
【請求項12】
前記現実環境情報を、前記生物が集中的に生息しているコア生息地を示すコア生息地情報を有する情報とし、
前記類似環境作成手段は、前記現実環境情報に含まれる前記コア生息地情報を参照して、前記施工対象地域内の前記コア生息地に近い領域から優先的に前記不足条件情報により示される条件が所定条件を満足するまで付されるように前記地域環境情報に該不足条件情報を付与することにより前記類似環境情報を作成する請求項10又は請求項11に記載の設計支援装置。
【請求項13】
前記表示手段は、前記類似環境情報を画像化して表示する請求項10〜請求項12の何れか1項に記載の設計支援装置。
【請求項14】
前記表示手段は、前記理想環境情報及び前記類似環境情報を視覚的に比較可能に画像化して表示する請求項10〜請求項13の何れか1項に記載の設計支援装置。
【請求項15】
前記導出手段は、更に、前記生物の生息し易さを示す生息最適度合いを被説明変数とし、前記現実環境情報を説明変数とした回帰分析によって、前記生息最適度合いを最もよく回帰することができる予測式を導出し、導出した予測式に含まれる説明変数として予め定められた値を用いることにより前記生息最適度合いを導出し、
前記表示手段は、更に、前記導出手段によって導出された生息最適度合いを表示する請求項1〜請求項14の何れか1項に記載の設計支援装置。
【請求項16】
前記導出手段は、更に、前記現実環境情報を用いてハビタットポテンシャルを導出し、
前記表示手段は、前記導出手段によって導出されたハビタットポテンシャルを表示する請求項1〜請求項15の何れか1項に記載の設計支援装置。
【請求項17】
前記導出手段は、更に、前記地域環境作成手段によって作成された地域環境情報により示される施工対象地域の環境と前記生息環境情報により示される生息環境との類似の度合いを示す類似度合い情報を導出し、
前記表示手段は、更に、前記導出手段によって導出された類似度合い情報により示される類似の度合いを表示する請求項1〜請求項16の何れか1項に記載の設計支援装置。
【請求項18】
コンピュータを、
景観の構成要素を示す構成要素情報を用いて施工対象地域を含む所定地域の現実環境を示した現実環境情報を記憶した現実環境記憶手段に記憶されている前記現実環境情報と前記施工対象地域の理想環境を前記構成要素情報を用いて示した理想環境情報とを用いて前記施工対象地域の環境を示す地域環境情報を作成する地域環境作成手段、
前記地域環境作成手段によって作成された地域環境情報に含まれず、かつ誘致対象とする生物を生息させる生息環境を前記構成要素情報を用いて示した生息環境情報に含まれる前記構成要素情報に基づいて、前記誘致対象とする生物を前記施工対象地域に誘致するために不足している条件を示す不足条件情報を導出する導出手段、及び
前記導出手段によって導出された不足条件情報により示される条件を表示手段に表示させる手段として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図16】
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【図18A】
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【図18B】
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【図19】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図25】
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【図31】
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【図32】
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【図34】
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【図35】
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【図7】
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【図14】
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【図15】
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【図17】
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【図20】
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【図24】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図33】
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【公開番号】特開2013−97200(P2013−97200A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240575(P2011−240575)
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【出願人】(000003621)株式会社竹中工務店 (1,669)
【Fターム(参考)】