説明

設計支援装置及び設計支援方法

【課題】信頼性が高いプログラム説明書を容易に作成すること。
【解決手段】仕様選択部11が、プラント制御プログラム22の仕様を選択するための仕様メニューを表示し、仕様メニューの中から選択された仕様のデータを出力し、仕様テーブル作成部12が、仕様選択部11から出力された仕様のデータに基づいて、選択された仕様の識別情報を記述した仕様テーブル21を作成し、ローダー20に仕様テーブル21とプラント制御プログラム22とをアップロードし、プログラム説明書作成部13が、ローダー20内の仕様テーブル21をダウンロードし、ダウンロードされた仕様テーブル21内に記述されている仕様の識別情報に基づいて、仕様テーブル21に関連づけされているローダー20内のプラント制御プログラム22の仕様を説明するプログラム説明書を作成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種プラント設備の制御プログラムの設計作業を支援する設計支援装置及び設計支援方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、プラント設備の制御システムを新たに構築する場合、技術者が、制御システムの要求仕様を記載した要求仕様書を作成し、要求仕様書に基づいて標準の制御プログラムを変更することによって要求仕様に対応した制御プログラムを作成する。そして、技術者は、作成した制御プログラムを制御システムのプログラマブルコントローラ(PLC)にローディングする。これにより、制御システムは、ローディングされた制御プログラムに従って要求仕様に応じた動作を行うことになる。
【0003】
一方、制御システムの仕様を変更する場合には、技術者は、PLCにローディングされている制御プログラムを解読することによってその仕様を確認し、確認結果に基づいて制御プログラムの仕様を記載したプログラム説明書を作成する。そして、技術者は、プログラム説明書と新たな要求仕様を記載した要求仕様書とを比較し、比較結果に基づいて制御プログラムを変更する。これにより、制御システムは、変更された制御プログラムに従って新たな要求仕様に応じた動作を行うことになる。
【0004】
なお、特許文献1には、プラント設備のロジック図を作成する際、仕様の変更に伴い変化する工程、工程間の関連性、及びプラント状態を階層表現と工程の部品化とを組み合わせた表現方法によってユーザに提示する装置が開示されている。この装置によれば、ユーザはロジック図を容易に理解できるようになるので、ロジック図の作成作業に要する負担を軽減することができる。
【0005】
また、特許文献2には、修正対象のプログラムに関する図形式仕様書を図形式仕様書単位でコンパイルし、中間オブジェクトファイルを図形式仕様書単位で作成すると共に図形式仕様書間の接続情報からなるリンク情報ファイルを作成する装置が開示されている。この装置によれば、プログラムを修正する際には修正が加えられる一部の図形式仕様書のみをコンパイルすればよいので、プログラム修正時のプログラム作成効率を大幅に改善することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−76819号公報
【特許文献2】特開平6−168011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、制御システムの仕様を変更する際、PLCにローディングされている制御プログラムを解読する作業は多くの労力及び時間を要する。また、制御プログラムを誤って解読してしまうことがあるために、プログラム説明書の信頼性に問題がある。特に、プラント設備の制御システムの仕様は、頻繁に変更される訳ではなく、10年、20年等の比較的長い周期で変更されるために、現在稼働中の制御プログラムに関する情報が少なくなっていることが多い。また、プラント設備の制御システムの制御プログラムは、複数のプログラム言語によって記述されていることが多い。このため、制御プログラムを解読するためにはより多くの労力及び時間を要する。このことから、特にプラント設備の分野では、信頼性が高いプログラム説明書を容易に作成可能な設計支援装置の提供が切望されている。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、信頼性が高いプログラム説明書を容易に作成可能な設計支援装置及び設計支援方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る設計支援装置は、プラント設備の制御プログラムの設計作業を支援する設計支援装置であって、複数の仕様に対応可能な制御プログラムの仕様を選択するための仕様メニューを表示し、仕様メニューの中から選択された仕様のデータを出力する仕様選択部と、仕様選択部から出力された仕様のデータに基づいて、選択された仕様の識別情報を記述した仕様テーブルを作成し、プラント設備のコントローラに制御プログラムをローディングするローダーに仕様テーブルをアップロードする仕様テーブル作成部と、ローダー内の仕様テーブルをダウンロードし、ダウンロードされた仕様テーブル内に記述されている仕様の識別情報に基づいて、仕様テーブルに関連付けされているローダー内の制御プログラムの仕様を説明するプログラム説明書を作成するプログラム説明書作成部とを備える。
【0010】
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る設計支援方法は、プラント設備の制御プログラムの設計作業を支援する設計支援方法であって、複数の仕様に対応可能な制御プログラムの仕様を選択するための仕様メニューを表示し、仕様メニューの中から選択された仕様のデータを出力する仕様選択ステップと、仕様選択ステップによって出力された仕様のデータに基づいて、選択された仕様の識別情報を記述した仕様テーブルを作成し、プラント設備のコントローラに制御プログラムをローディングするローダーに仕様テーブルをアップロードする仕様テーブル作成ステップと、ローダー内の仕様テーブルをダウンロードし、ダウンロードされた仕様テーブル内に記述されている仕様の識別情報に基づいて、仕様テーブルに関連付けされているローダー内の制御プログラムの仕様を説明するプログラム説明書を作成するプログラム説明書作成ステップとを含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る設計支援装置及び設計支援方法によれば、仕様メニューの中から選択された仕様の識別情報を記述した仕様テーブルに基づいてプログラム説明書を作成するので、信頼性が高いプログラム説明書を容易に作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の一実施形態である設計支援システムの構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、プラント制御プログラムの一構成例を示すブロック図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態であるプログラム設計処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】図4は、仕様メニュー画面の一構成例を示す模式図である。
【図5】図5は、仕様テーブルの一構成例を示す模式図である。
【図6】図6は、本発明の一実施形態である仕様変更処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】図7は、プログラム説明書の一例を示す図である。
【図8】図8は、図1に示す設計支援システムの変形例の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態である設計支援システムの構成及びその動作について説明する。
【0014】
〔設計支援システムの構成〕
始めに、図1を参照して、本発明の一実施形態である設計支援システムの構成について説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態である設計支援システムの構成を示すブロック図である。図1に示すように、本発明の一実施形態である設計支援システム1は、プラント設備2に設けられたポンプPの動作を制御するコントローラ3内に格納されるプラント制御プログラム22の設計作業を支援するためのものである。なお、本実施形態では、ポンプPは、ポンプ井内の汚水を水処理設備に排出するものである。また、本実施形態では、コントローラ3の制御対象はポンプPであるとしたが、制御対象はポンプPに限定されることはなく、送風機等のポンプP以外の装置であってもよい。
【0016】
この設計支援システム1は、設計支援装置10とローダー20とを備える。設計支援装置10は、パーソナルコンピュータやワークステーション等の情報処理装置によって構成されている。設計支援装置10は、仕様選択部11、仕様テーブル作成部12、プログラム説明書作成部13、出力部14、及び変更有無判別部15を備える。これら各部の機能は、情報処理装置内のCPUが、ROM内に予め記憶されている設計支援プログラムをRAM内にロードし、ロードされた設計支援プログラムを実行することによって実現される。
【0017】
仕様選択部11は、図示しない表示装置に後述する仕様メニューを表示し、技術者が図示しない操作入力装置を操作することによって仕様メニューの中から選択した要求仕様のデータを仕様テーブル作成部12及びプログラム説明書作成部13に入力する。仕様テーブル作成部12は、仕様選択部11から入力された要求仕様のデータを用いて要求仕様の識別情報を記述した後述する仕様テーブル21を作成し、作成した仕様テーブル21のデータをローダー20にアップロードする。なお、仕様テーブル21のデータをローダー20にアップロードするタイミングは、技術者の操作入力を受け付けたときや設計支援装置10にローダー20が接続されたとき等、適宜設定することができる。
【0018】
プログラム説明書作成部13は、仕様選択部11から入力された要求仕様のデータ、又は、ローダー20からダウンロードされた仕様テーブル21を用いてプラント制御プログラム22の仕様を記載したプログラム説明書を作成し、作成したプログラム説明書のデータを出力部14に入力する。出力部14は、ディスプレイ装置やプリンタ装置等の表示出力装置によって構成されている。出力部14は、プログラム説明書作成部13から入力されたプログラム説明書を表示出力する。
【0019】
変更有無判別部15は、ローダー20にアップロードされているプラント制御プログラム22とオリジナルプログラムデータベース(DB)16内に書き換え不可の状態で格納されている標準のプラント制御プログラムとを比較することによって、ローダー20内のプラント制御プログラム22に変更が加えられているか否かを判別する。変更有無判別部15は、判別結果をプログラム説明書作成部13に入力する。変更有無判別部15は、本発明に係る判定手段として機能する。
【0020】
オリジナルプログラムDB16内に格納される標準のプラント制御プログラム22は図2に示すような構成を有する。すなわち、プラント制御プログラム22は、図2に示すように、運転台数決定プログラム22a、運転順序設定プログラム22b、モード変更時対応プログラム22c、運転順序変更時対応プログラム22d、故障発生時対応プログラム22e、及び故障復帰時対応プログラム22f等、コントローラ3が有する各機能に対応した制御プログラムを含む。また、各制御プログラムは、種々の要求仕様に対応できるように複数の方式の制御プログラムを含む。
【0021】
運転台数決定プログラム22aは、ポンプ井内の汚水の水位レベルに応じてポンプPの運転台数を制御するための制御プログラムであり、仕様1〜3にそれぞれ対応する方式1〜3の制御プログラムを含む。運転順序設定プログラム22bは、ポンプPの運転順序及び停止順序を制御するための制御プログラムであり、仕様1〜3にそれぞれ対応する方式1〜3の制御プログラムを含む。モード変更時対応プログラム22cは、ポンプPの運転モードが変更された際のポンプPの運転台数を制御するための制御プログラムであり、仕様1,2にそれぞれ対応する方式1,2の制御プログラムを含む。
【0022】
運転順序変更時対応プログラム22dは、ポンプPの運転順序が変更された際のポンプPの動作を制御するための制御プログラムであり、仕様1,2にそれぞれ対応する方式1,2の制御プログラムを含む。故障発生時対応プログラム22eは、故障が発生した際のポンプPの動作を制御するための制御プログラムであり、仕様1,2にそれぞれ対応する方式1,2の制御プログラムを含む。故障復帰時対応プログラム22eは、故障が解消された際のポンプPの動作を制御するための制御プログラムであり、仕様1,2にそれぞれ対応する方式1,2の制御プログラムを含む。
【0023】
ローダー20は、パーソナルコンピュータ等の可搬式の情報処理装置によって構成されている。ローダー20は、プラント設備2毎の仕様テーブル21とプラント制御プログラム22とを関連付けして記憶する機能を有する。ローダー20は、コントローラ3に電気的に接続されている際、コントローラ3に仕様テーブル21とプラント制御プログラム22とをアップロードする機能を有する。コントローラ3は、ローダー20からアップロードされた仕様テーブル21に記載されている要求仕様に対応する方式の制御プログラムをプラント制御プログラム22から読み出し、読み出された制御プログラムに従ってポンプPの動作を制御する。
【0024】
〔設計支援システムの動作〕
次に、コントローラ3に初めてプラント制御プログラム22をアップロードするプログラム設計処理と、コントローラ3に既にアップロードされているプラント制御システム22の仕様を変更する仕様変更処理とに分けて設計支援システム1の動作について説明する。
【0025】
〔プログラム設計処理〕
始めに、図3に示すフローチャートを参照して、プログラム設計処理を実行する際の設計支援システム1の動作について説明する。
【0026】
図3に示すフローチャートは、本発明の一実施形態であるプログラム設計処理の流れを示すフローチャートである。図3に示すフローチャートは、技術者が図示しない操作入力装置を操作することによってプログラム設計処理の開始要求を入力したタイミングで開始となり、プログラム設計処理はステップS1の処理に進む。
【0027】
ステップS1の処理では、仕様選択部11が、例えば図4に示すような構成の仕様メニュー30を図示しない表示装置に表示する。図4に示す仕様メニュー30は、コントローラ3の各機能の方式(仕様)を選択するためのチェックボックスCBと選択操作が完了したことを通知するための決定ボタンEBとを備える。技術者は、所望の方式に対応するチェックボックスCBを選択操作した後、決定ボタンEBを選択操作することによって、要求仕様を入力することができる。これにより、ステップS1の処理は完了し、プログラム設計処理はステップS2の処理に進む。
【0028】
ステップS2の処理では、仕様選択部11が、決定ボタンEBの選択操作がなされたか否かを判別することによって要求仕様の決定操作がなされたか否かを判別する。そして、仕様選択部11は、要求仕様の決定操作がなされたタイミングで、ステップS1の処理によって選択操作されたチェックボックスCBの位置のデータを仕様テーブル作成部12に入力し、プログラム設計処理をステップS3の処理に進める。
【0029】
ステップS3の処理では、仕様テーブル作成部12は、仕様選択部11から入力されたチェックボックスCBの位置に基づいて選択された方式(仕様)を特定し、特定された方式に基づいて例えば図5に示すような選択された方式の識別情報を示す仕様テーブル21を作成する。図5に示す仕様テーブル21は、図4に示すチェックボックスCBの選択結果に対応するものである(図4中、黒四角は選択されたチェックボックスCBを示す)。これにより、ステップS3の処理は完了し、プログラム設計処理はステップS4の処理に進む。
【0030】
ステップS4の処理では、仕様テーブル作成部12が、設計支援装置10にローダー20が接続されていることを確認した後、ステップS3の処理によって作成した仕様テーブル21をローダー20にアップロードする。これにより、ステップS4の処理は完了し、プログラム設計処理はステップS5の処理に進む。
【0031】
ステップS5の処理の処理では、ローダー20が、設計支援装置10にローダー20が接続されていることを確認した後、技術者からの操作入力に応じてステップS4の処理によってアップロードされた仕様テーブル21と標準のプラント制御プログラム22とをコントローラ3にローディングする。以後、コントローラ3は、仕様テーブル21に記載されている要求仕様に対応する制御プログラムをプラント制御プログラム22から読み出し、読み出された制御プログラムに従ってポンプPの動作を制御する。また、技術者は、ポンプPの動作状態が所望の動作状態でない場合、ポンプPが所望の動作状態になるようにローダー20内のプラント制御プログラム22を変更する。これにより、ステップS5の処理は完了し、一連のプログラム設計処理は終了する。
【0032】
〔仕様変更処理〕
次に、図6に示すフローチャートを参照して、仕様変更処理を実行する際の設計支援システム1の動作について説明する。
【0033】
図6に示すフローチャートは、本発明の一実施形態である仕様変更処理の流れを示すフローチャートである。図6に示すフローチャートは、技術者が図示しない操作入力装置を操作することによって仕様変更処理の開始要求を入力したタイミングで開始となり、仕様変更処理はステップS11の処理に進む。
【0034】
ステップS11の処理では、変更有無判別部15が、ローダー20内に格納されている仕様テーブル21とその仕様テーブル21に関連付けされているプラント制御プログラム22とをダウンロードする。これにより、ステップS11の処理は完了し、仕様変更処理はステップS12の処理に進む。
【0035】
ステップS12の処理では、変更有無判別部15が、ステップS11の処理によってダウンロードされたプラント制御プログラム22とオリジナルプログラムDB16内に格納されている標準のプラント制御プログラム22とを例えば差分処理等によって比較することによって、ダウンロードされたプラント制御プログラム22と標準のプラント制御プログラム22とが同一のものであるか否かを判別する。
【0036】
判別の結果、同一のものでない場合、変更有無判別部15は、ローダー20内のプラント制御プログラム22は変更されていると判断し、プラント制御プログラム22の変更箇所に関する情報をプログラム説明書作成部13に通知した後、仕様変更処理をステップS14の処理に進める。一方、同一のものである場合には、変更有無判別部15は、ローダー20内のプラント制御プログラム22は変更されていないと判断し、プラント制御プログラム22が変更されていない旨をプログラム説明書作成部13に通知した後、仕様変更処理をステップS13の処理に進める。
【0037】
ステップS13の処理では、プログラム説明書作成部13が、ステップS11の処理によってダウンロードされた仕様テーブル21内に記述されている方式の内容を説明する例えば図7に示すような構成のプログラム説明書31を作成し、作成したプログラム説明書31を出力部14に出力する。プログラム説明書は、各方式の説明文を予め記憶しておき、仕様テーブル21内に記述されている方式に対応する説明文を選択、結合することによって、作成することができる。これにより、ステップS13の処理は完了し、一連の仕様変更処理は終了する。
【0038】
ステップS14の処理では、プログラム説明書作成部13が、ステップS11の処理によってダウンロードされた仕様テーブル21内に記述されている方式のうち、変更されていない方式の内容を説明するプログラム説明書31を作成し、作成したプログラム説明書31を出力部14に出力する。なお、この際、プログラム説明書作成部13は、変更されている箇所に関する情報をプログラム説明書31内に含めるようにしてもよい。これにより、ステップS14の処理は完了し、一連の仕様変更処理は終了する。
【0039】
以後、技術者は、出力部14から出力されたプログラム説明書と新たな要求仕様を記載した要求仕様書とを比較し、比較結果に基づいてプラント制御プログラム22を変更する。そして、技術者は、変更したプラント制御プログラム22をコントローラ3にアップロードする。これにより、ポンプPは、変更されたプラント制御プログラム22に従って新たな要求仕様に応じた動作を行うことになる。
【0040】
以上の説明から明らかなように、本発明の一実施形態である設計支援システム1では、仕様選択部11が、プラント制御プログラム22の仕様を選択するための仕様メニュー30を表示し、仕様メニュー30の中から選択された仕様のデータを出力し、仕様テーブル作成部12が、仕様選択部11から出力された仕様のデータに基づいて、選択された仕様の識別情報を記述した仕様テーブル21を作成し、ローダー20に仕様テーブル21をアップロードする。そして、プログラム説明書作成部13が、ローダー20内の仕様テーブル21をダウンロードし、ダウンロードされた仕様テーブル21内に記述されている仕様の識別情報に基づいて、仕様テーブル21に関連付けされているローダー20内のプラント制御プログラム22の仕様を説明するプログラム説明書31を作成する。このような構成によれば、プログラム説明書作成部13が、仕様メニュー30の中から選択された仕様の識別情報を記述した仕様テーブル21に基づいてプログラム説明書31を作成するので、信頼性が高いプログラム説明書を容易に作成することができる。
【0041】
また、本発明の一実施形態である設計支援システム1では、変更有無判別部15が、ローダー20にアップロードされたプラント制御プログラム22に対する変更の有無を判定し、プログラム説明書作成部13は、プラント制御プログラム22の修正があった場合、変更箇所に対応する仕様以外の仕様を説明するプログラム説明書を作成するので、より信頼性が高いプログラム説明書を作成することができる。
【0042】
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施の形態について説明したが、本実施形態による本発明の開示の一部をなす記述及び図面により本発明は限定されることはない。例えば、本実施形態では、設計支援装置10が備える変更有無判別部15がローダー20内のプラント制御プログラム22とオリジナルプログラムDB16内の標準のプラント制御プログラムとを比較することによって、ローダー20内のプラント制御プログラム22に変更が加えられているか否かを判別したが、図8に示すようにローダー20内に修正管理部23を設けることによってローダー20内のプラント制御プログラム22に変更が加えられているか否かを判別してもよい。
【0043】
図8に示す修正管理部23は、修正ロックフラグと解除フラグとを有する。修正ロックフラグ及び解除フラグはそれぞれオン状態及びオフ状態に保持されている。修正ロックフラグ及び解除フラグは、ローダー20内のプラント制御プログラム22を修正する際に技術者によってそれぞれオフ操作及びオン操作される。修正ロックフラグは、一度オフ操作されると、再びオン状態になることはない。従って、修正管理部23は、修正ロックフラグがオン状態であるか否かを判別することによって、プラント制御プログラム22が変更されたか否かを判定することができる。
【0044】
修正管理部23は、判定結果をプログラム説明書作成部13に入力し、プログラム説明書作成部13は修正管理部23から入力された情報を用いてステップS13又はステップS14の処理を実行する。このような構成によれば、オリジナルプログラムDB16を設ける必要がなくなるので、システムの簡素化及び低コスト化を実現することができる。修正管理部23は、本発明に係る判定手段として機能する。このように、本実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれる。
【符号の説明】
【0045】
1 設計支援システム
2 プラント設備
3 コントローラ
10 設計支援装置
11 仕様選択部
12 仕様テーブル作成部
13 プログラム説明書作成部
14 出力部
15 変更有無判別部
16 オリジナルプログラムデータベース(DB)
20 ローダー
21 仕様テーブル
22 プラント制御プログラム
22a 運転台数決定プログラム
22b 運転順序設定プログラム
22c モード変更時対応プログラム
22d 運転順序変更時対応プログラム
22e 故障発生時対応プログラム
22f 故障復帰時対応プログラム
23 修正管理部
30 仕様メニュー
31 プログラム説明書
CB チェックボックス
EB 決定ボタン
P ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラント設備の制御プログラムの設計作業を支援する設計支援装置であって、
複数の仕様に対応可能な制御プログラムの仕様を選択するための仕様メニューを表示し、該仕様メニューの中から選択された仕様のデータを出力する仕様選択部と、
前記仕様選択部から出力された仕様のデータに基づいて、選択された仕様の識別情報を記述した仕様テーブルを作成し、前記プラント設備のコントローラに前記制御プログラムをローディングするローダーに該仕様テーブルをアップロードする仕様テーブル作成部と、
前記ローダー内の前記仕様テーブルをダウンロードし、ダウンロードされた仕様テーブル内に記述されている仕様の識別情報に基づいて、該仕様テーブルに関連付けされている前記ローダー内の制御プログラムの仕様を説明するプログラム説明書を作成するプログラム説明書作成部と、
を備えることを特徴とする設計支援装置。
【請求項2】
前記ローダーにアップロードされた制御プログラムに対する変更の有無を判定する判定手段を備え、前記プログラム説明書作成部は、前記判定手段が前記制御プログラムの変更があったと判定した場合、変更箇所に対応する仕様以外の仕様を説明するプログラム説明書を作成することを特徴とする請求項1に記載の設計支援装置。
【請求項3】
前記判定手段は、標準の制御プログラムと前記ローダーにアップロードされた制御プログラムとを比較することによって、制御プログラムに対する変更の有無を判定することを特徴とする請求項2に記載の設計支援装置。
【請求項4】
前記判定手段は、前記制御プログラムが変更された際に状態が切り替わるフラグの状態を判別することによって、制御プログラムに対する変更の有無を判定することを特徴とする請求項2に記載の設計支援装置。
【請求項5】
プラント設備の制御プログラムの設計作業を支援する設計支援方法であって、
複数の仕様に対応可能な制御プログラムの仕様を選択するための仕様メニューを表示し、該仕様メニューの中から選択された仕様のデータを出力する仕様選択ステップと、
前記仕様選択ステップによって出力された仕様のデータに基づいて、選択された仕様の識別情報を記述した仕様テーブルを作成し、前記プラント設備のコントローラに前記制御プログラムをローディングするローダーに該仕様テーブルをアップロードする仕様テーブル作成ステップと、
前記ローダー内の前記仕様テーブルをダウンロードし、ダウンロードされた仕様テーブル内に記述されている仕様の識別情報に基づいて、該仕様テーブルに関連付けされている前記ローダー内の前記制御プログラムの仕様を説明するプログラム説明書を作成するプログラム説明書作成ステップと、
を含むことを特徴とする設計支援方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−192213(P2011−192213A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−59902(P2010−59902)
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【出願人】(507214083)メタウォーター株式会社 (277)
【Fターム(参考)】