説明

診断システム

【課題】撮影画像と患者とを簡易かつ確実に対応付け、患者と撮影画像との取り違い等を防ぐことのできる診断システムを提供する。
【解決手段】診断システム1は、画像生成装置2、制御装置3及びレセプト用コンピュータ5を備える。画像生成装置2は、画像生成手段と、画像生成手段で生成された撮影画像データを撮影順に記憶可能な画像メモリ234と、画像メモリ234に記憶された撮影画像データを撮影順に制御装置3に対して送信可能な通信部236と、を備えるFPD23を備える。レセプト用コンピュータ5は、入力された患者情報を送信する。制御装置3は、通信部236によって送信された複数の撮影画像データと、レセプト用コンピュータ5によって送信された患者情報とを受信する通信部36と、通信部36より受信した撮影画像データと患者情報とを撮影順に基づいて対応付けるCPU31と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として小規模の医療施設で用いられる診断システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、来院した患者を、CR(Computed Radiography)装置等の画像生成装置を用いて、技師が検査対象である患者を撮影し、得られた画像が診断に提供可能となるよう階調処理等の画像処理を加え、画像処理済の画像を出力し、医師による読影に提供する診断システムが知られている。
【0003】
このような診断システムは、来院した患者を受け付け、検査オーダを発行する担当(受付)、実際に患者を撮影室で撮影しデジタル画像データを生成する担当(技師)、階調性等の得られた画像の診断提供の可否を判断し、場合によってはコントラストや濃度を修正する担当(一般の技師の中かから任命された技師等)、画像に基づき疾病の有無を判断(診断)する読影担当(医師)等、複数の担当者が役割分担を行い、診断が進められる。
【0004】
そして、従来の診断システムの適用が想定されていたような大規模な医療施設(以下、大規模施設という。)では、画像生成装置もこれを操作する技師等も複数存在し、画像生成装置を操作するコンソールや医師等が画像データを確認するビューワ等もそれぞれ役割を分担して別個に設けられている。このため、患者と画像データとの取り違え等が生じるおそれがある。そこで、これを防止するために、各装置をネットワークを介して連携させ、各装置においてIDを発行し、各装置で行われた作業工程の結果をそれぞれ関連付けるシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
このようなシステムにおいては、上記の各役割を担当する場所は、受付は1F、放射線科は地下等、広い病院内で離れた場所にあることが多く、かつ、放射線科内で、複数の患者を、複数の技師が、複数の撮影装置を使用して、同時に撮影を実行する場面が定常的であり、複数の患者が常時各工程に滞留しており、生成された画像と個々の患者との対応付けを間違うことが無いよう、各工程での作業毎にIDを付し、HIS(Hospital Information System;病院情報システム)やRIS(Radiology Information System;放射線情報科情報システム)のネットワークを介して対応付けることが行われる(例えば、特許文献2及び特許文献3参照)。
【0006】
例えば、1F受付では、患者の主訴に基づき検査内容(撮影内容)を決定し、患者名前とともに登録する。これにより患者リストが生成され、この患者リストは随時追加されて、1Fの受付用のワークステーション(以下「WS」という。)に表示される。同時に、上記患者リストは、RIS/HIS等のネットワークを介して、B1(地下一階)の放射線科にあるコンソール(ここで「コンソール」とは、放射線科内にあり、撮影条件の設定やRIS/HISの検査オーダ情報や患者を撮影した画像を表示するワークステーションをいう)に表示される。なお、コンソールの台数は、分散処理効率を上げる為、複数設けられていることが常であるが、これらもネットワークを介して相互に接続されていおり、任意のコンソールで、所定の検査IDが選択された時、複数の技師間での重複撮影を予防する為、当該患者リストに処理中である旨を告知する方法(フラッシング表示や色を変える、又は、同一検査を指定するとビープ警告する等)が用いられる。
【0007】
放射線科の技師は、自分の身近にあるコンソールを用い、表示された患者リスト上からこれから撮影する検査IDを選択し、使用するCRプレート(カセッテ)のID(カセッテID)を登録する。これにより、例えば患者リストの「カセッテID」の欄に登録したカセッテIDが表示される。技師は例えば3枚のカセッテを持って、撮影室へ移動し、患者の撮影を行う。その後、撮影済みカセッテを読取装置で読み取る。読取装置は、挿入されたカセッテに貼付されたカセッテIDを読み取り、画像データに付帯させて当該カセッテIDを送信し、最終的に検査ID(患者ID)と生成される画像データの対応が付けられる。生成された画像データは、技師が前記検査IDを選択したコンソールに送信され、コンソールに表示される。この段階で、撮影ポジショニングの確認を行い、ポジショニング不良の場合は再撮影を行い、濃度やコントラストの修正や周波数強調処理を適用するか否か等も判断する。その後、当該画像を読影待ち(診断待ち)サーバに保存する。読影医は、読影室のワークステーション(ビューワ機能用に高精細モニタを備えるものである場合が多い)、前記読影待ちサーバに保存された画像から所定の患者に係る画像を抽出表示させ、読影(診断)を行う。
【0008】
そして、このような大規模施設で利用されるシステムでは、例えば患者に対して行った撮影が単純撮影なのか造影剤撮影なのか等、保険点数計算に影響する情報についても、患者の検査IDやカセッテID等を登録して患者と撮影画像との対応付けを行うことにより、すべての情報が連携し、RIS/HISサーバ等に集約されて管理し得るようになっている。
【0009】
しかしながら、本願発明者等の調査によれば、開業医やクリニックのような比較的小規模な医療施設(以下、小規模施設という)の場合は、画像生成装置の設置台数も少なく、助手が患者のポジショニングを行い、助手からポジショニング完了の連絡を受け医師がX線曝射スイッチを制御する場合や、患者のポジショニングを含め全ての操作を医師自身が行う場合も多い。
【0010】
また、例えば大規模施設の場合には、撮影を行ってから医師の診断を受けるまでの間に患者は施設内の複数の階を行き来しなければならないことも想定されるが、小規模施設の場合には、施設も狭いため撮影を行ってから医師の診断を受けるまでの間の患者の移動距離も短い。
【0011】
このような状況のもとでは撮影画像と患者とを取り違えることは考えづらく、大規模施設と同様なシステムを用いたのでは、患者氏名の入力にはじまる検査オーダ情報の生成作業等が必要となり、かえって手続きが煩雑となり、診療効率が悪い。
【0012】
また、予め患者の患者情報や検査情報等の検査オーダ情報を生成し、当該検査オーダ情報を撮影した撮影画像と対応付けるためには、HIS/RISのような基幹システムに対応したネットワークで各装置を接続するようなシステムが必要となるが、このようなシステムを構築するためにはコストもかかり、小規模施設にとって負担となるとの問題もある。また、前述する大規模施設での構成コンセプトのまま各装置の数を少なくしても、小規模施設に最適とは言えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第5,334,851号明細書
【特許文献2】特開2002−159476号公報
【特許文献3】特開2002−311524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
そこで、本発明は以上のような課題を解決するためになされたものであり、開業医やクリニック等の小規模施設において、検査オーダ情報の入力等の作業工数を増やすことなく、撮影画像と患者とを簡易かつ確実に対応付け、患者と撮影画像との取り違い等を防ぐことのできる診断システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するため、本発明の実施形態である診断システムは、患者に対して放射線画像撮影を行い前記患者の撮影画像データを生成する画像生成装置と、制御装置と、患者の受付登録を行うレセプト用コンピュータと、を備える診断システムであって、
前記画像生成装置は、
前記患者に対して照射された放射線を検出し、当該放射線を電気信号に変換して蓄積し、蓄積された電気信号に基づいて前記撮影画像データを生成する画像生成手段と、画像生成手段により生成された複数の前記撮影画像データを撮影順に記憶可能な記憶手段と、前記記憶手段に記憶された複数の前記撮影画像データを前記撮影順に前記制御装置に対して送信可能な送信手段と、を備える可搬型のフラットパネルディテクタを少なくとも1つ備え、
前記レセプト用コンピュータは、患者情報を入力する入力部と、入力された前記患者情報を送信する通信部と、を備え、
前記制御装置は、
前記送信手段によって送信された複数の前記撮影画像データと、前記レセプト用コンピュータの通信部によって送信された前記患者情報と、を受信する受信手段と、
前記受信手段により受信した患者情報と、前記受信手段により前記撮影順に受信した複数の前記撮影画像データとを、当該撮影順に基づいて対応付ける対応付け手段と、
を備えることを特徴としている。
【0016】
さらに別の実施形態は、上記の実施形態において、前記フラットパネルディテクタは、撮影対象である患者を識別する患者識別情報を入力する識別情報入力手段をさらに備え、
前記記憶手段は、前記撮影画像データを前記患者識別情報とともに記憶し、前記送信手段は、前記撮影画像データを前記患者識別情報とともに前記制御装置に対して送信し、
前記患者識別情報は、撮影対象である患者を区切る区切り情報であることを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る診断システムの一実施形態のシステム構成を示す図である。
【図2】図1に示す診断システムを適用した場合の各装置の医療施設における配置例を示す図である。
【図3】図1に示す診断システムに適用されるFPDの概略構成を示す正面図である。
【図4】図3に示すFPDの概略構成を示す要部ブロック図である。
【図5】図1に示す診断システムに適用される制御装置の概略構成を示す要部ブロック図である。
【図6】図1に示す診断システムにおける画像確認画面の一例を示す図である。
【図7】図1に示すレセプトDBのデータ格納例を示す図である。
【図8】図3に示すFPDの一変形例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図1から図7を参照しながら本発明に係る診断システムの一実施形態について説明する。ただし、本発明は図示例のものに限定されるものではない。
【0019】
図1は、本実施形態における診断システム1のシステム構成を示すものであり、図2は、診断システム1を適用した場合の各装置の医療施設における配置例を示すものである。
【0020】
本実施形態における診断システム1は、開業医やクリニック等の小規模施設に適用されるシステムであり、図1に示すように、撮影画像の画像データ(撮影画像データ)を生成する画像生成装置2である超音波診断装置2a、内視鏡装置2b、FPD撮影装置2cと、制御装置3と、サーバ4と、レセプト用コンピュータ(以下、「レセコン」と称する。)5とから構成されており、各装置は、例えば図示しないスイッチングハブ等を介してLAN(Local Area Network)等の通信ネットワーク(以下単に「ネットワーク」という。)7に接続されている。
【0021】
病院内の通信方式としては、一般的に、DICOM(Digital Image and Communications in Medicine)規格が用いられている。なお、本実施形態に適用可能な通信方式はこれに限定されない。
【0022】
例えば、開業医やクリニック等のような小規模施設においては、各装置は図2に示すように配置される。
【0023】
すなわち、入口10を入ると患者の受付けを行う受付11と待合室12がある。受付11には窓口担当が配置され、当該担当は、来院した患者に対して、受付順に個々の患者を区別するための受付番号(本日の受付順の通し番号)が印刷された受付番号札を付与する。また、受付11には、保険点数計算、会計計算等を行うレセプト用のコンピュータであるレセコン5が設けられており、窓口担当は、患者の氏名を聞き取り、レセコン5に受付番号と患者氏名との対応付けを入力する。更に、窓口担当は、患者の診察終了後カルテ情報に基づき、レセコン5に会計及びレセプト(会計計算や保険点数請求計算)に関する情報(以下、「レセプト関連情報」と称する。)の必要事項を入力する作業も行う。
【0024】
待合室12の隣には、ドア等を隔てて医師が患者の診察、診断等を行う診察室13が設けられている。例えば診察室13内の診察用のデスク(図示せず)の上には、医師が患者の撮影画像を表示して画像診断を行うための制御装置3と、撮影画像の画像データを保存する画像DB(Data Base)41を備えたサーバ4が配置されている。診察室13内にはまた、プライバシー等の観点から隔離された空間で行う必要性の低い超音波診断装置2aが設置されている。
【0025】
また、廊下14を隔てて診察室13の向かい側にはX線撮影を行うX線撮影室15が設けられている。X線撮影室15内には、撮影装置22と読取装置23とから構成されるFPD撮影装置2cが配設されている。さらに、X線撮影室15の隣には検査室16が設けられており、検査室16内には内視鏡装置2bが配設されている。
【0026】
以下、本実施形態における診断システム1について詳述する。
【0027】
まず、各装置の構成について説明する。
【0028】
画像生成装置2は、例えば、超音波診断装置2a、内視鏡装置2b、FPD撮影装置2c等の、患者の検査対象部位を被写体として撮影を行い、撮影した画像をデジタル変換して撮影画像の画像データ(撮影画像データ)を生成するモダリティである。
【0029】
超音波診断装置2aは、超音波を出力する超音波プローブと、超音波プローブに接続され、超音波プローブで受信された音波(エコー信号)を内部組織の撮影画像の画像データに変換する電子装置とから構成されている(いずれも図示せず)。超音波診断装置2aは、超音波プローブから体内に超音波を送り、体内組織に反射した音波(エコー信号)を再び超音波プローブで受信して、このエコー信号に応じた撮影画像を電子装置によって生成するようになっている。
【0030】
超音波診断装置2aには、アナログ信号からデジタル信号への変換等を行う変換手段(コンバータ)である変換装置21が接続されており、超音波診断装置2aは、変換装置21を介してネットワーク7に接続されている。このように変換装置21を介することにより、ネットワーク7に接続された他の外部機器の規格(例えば、通信プロトコル)等に合わない形式のデータが超音波診断装置2aから出力される場合でも適宜変換してネットワーク7に接続された外部機器との間でデータの送受信を行うことができる。
【0031】
また、変換装置21には、例えば、テンキー、キーボード、タッチパネル等で構成される入力部と、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)等のモニタで構成される表示部(いずれも図示せず)とを備える入力操作部21aが設けられている。
【0032】
内視鏡装置2bは、可撓性を有する管の先端部に小型の撮影装置が設けられたものであり(いずれも図示せず)、撮影装置は例えば光学レンズ等で構成される対物光学系と、対物光学系の結像位置に配置された撮像部と、LED(Light Emitting Diode)等で構成され撮像を行うために必要な照明を行う照明部とを備えている(いずれも図示せず)。撮像部は、例えばCCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal-OxideSemiconductor)等の固体撮像素子を備え、光が入射すると光の入射光量に応じた量の電気的な信号へと光電変換する。対物光学系は、照明部により照明された領域を光学レンズで集光し、撮像部が有する固体撮像素子に結像するように構成されており、固体撮像素子に入射した光が光電変換されることにより、電気信号として撮影画像の画像データが出力されるようになっている。
【0033】
次に、FPD撮影装置2cは、放射線を照射する放射線源(図示せず)等を備える撮影装置本体22(図2参照)と、例えば図3に示すような可搬型のカセッテ型のフラットパネルディテクタ(Flat Panel Detector:以下「FPD」と称する。)23とを備えている。
【0034】
FPD23の構成について、図3及び図4を参照しつつ説明する。図4に示すように、FPD23は、CPU230、RAM231、ROM232、放射線を検出して撮影画像データを生成する画像生成手段である平面検出部233、記憶手段である画像メモリ234、入力操作部235、通信部236、電源部237、表示部238等を備えて構成されており、各部はバス239により接続されている。
【0035】
平面検出部233は、例えば、ガラス基板等を有しており、基板上の所定位置には、放射線源から照射されて少なくとも被写体を透過した放射線をその強度に応じて検出し、検出した放射線を電気信号に変換して撮影画像データを生成し蓄積する複数の画素がマトリックス状に配列されている。
【0036】
ここで、平面検出部233としては、図示は省略するが、例えば、放射線を蛍光(光)に変換する放射線光変換層と、放射線光変換層により変換された蛍光を検出して電気信号に変換する光電変換層とを備える間接型のもの、また、放射線光変換層及び光電変換層に替えて、放射線を直接電荷に変換する放射線受部を有する放射線電気信号変換層を備える直接型のもの等が挙げられる。なお、間接型のものは直接型のもので用いる高圧電源が不要であるため好ましい。
【0037】
画像メモリ234は、例えばフラッシュメモリ等の不揮発性メモリ等で構成され、平面検出部233により取得・生成された撮影画像データを撮影された順に記憶可能となっている。また、入力操作部235から患者を識別する患者識別情報(後述)が入力されたときは、画像メモリ234は、当該患者識別情報とともに撮影画像データを記憶するようになっている。
【0038】
入力操作部235は、例えば数字入力キー、及び各種機能キー等を備えて構成され、撮影対象である患者が代わるごとに患者を区切る患者識別情報を入力する識別情報入力手段として機能する。なお、入力操作部235は、図3に示すような各種キー等によって構成されるものに限定されない。例えば、後述する表示部238の表示画面上を覆うようにタッチパネルを形成し、この表示部238とタッチパネルとが一体に構成されるタッチスクリーンによって入力操作部235が構成されるようにしてもよい。
【0039】
ここで患者識別情報とは、例えば患者が来院時に受付11で発行された受付番号等の検索用IDである。例えば、受付11で付与された受付番号が「01」である患者を撮影する場合には、入力操作部235から、患者に対応する検索用IDとして「01」を入力する。開業医等においては、通常、1日あたりの来院数は10〜40人程度であり、診察券の通し番号は2桁あれば充分であるため、入力操作部235はこの2桁の数値が入力できるように構成されていればよい。なお、入力操作部235の構成はここに示したものに限定されず、例えば、カードを差し込むことでカードに書き込まれた情報を読み取るカードリーダや、バーコードを読み取るバーコードリーダのような入力部を備えるものでもよい。
【0040】
なお、患者数が少ない等の理由により、患者ごとを識別する検索用IDを用いなくても撮影画像と患者との対応付けが可能である場合には、単に撮影対象である患者が何枚目の撮影で切り替わったか(例えば何枚目の撮影までが1人目の患者であり、何枚目からが2人目の患者であるか)を識別可能な区切り情報を入力するようにしてもよい。この場合には、例えば入力操作部235に区切りボタン等を設け、新たな患者を撮影する前に当該区切りボタンを操作することにより撮影対象である患者が何枚目の撮影で切り替わったかを識別できるようにする。また、入力操作部235に検索用IDを入力可能な入力キー及び区切りボタンを両方備え、例えば通常は撮影する患者ごとに検索用IDを入力し、緊急時や患者数の少ない時には区切りボタンで患者の切り替わりを識別する識別信号を入力するというように、必要に応じて使い分けできるようにしてもよい。本実施形態においては、以下患者識別情報として患者ごとの検索用ID(受付番号)を入力する場合について説明する。
【0041】
通信部236は、無線LAN等の無線通信方式、又は図示しないケーブル等を接続して行う有線通信方式によりネットワーク7に接続された制御装置3等の外部機器との間でデータの送受信を行うものである。なお、X線撮影室15(図2参照)内に、制御装置3等の外部機器と無線又は有線によって接続されFPD23を載置可能なクレードル(図示せず)を設けて、通信部236は、FPD23を当該クレードルに載置することにより制御装置3等との間で通信を行うように構成してもよい。
【0042】
通信部236は、例えば、平面検出部233によって検出され画像メモリ234に記憶された撮影画像データを制御装置3に対して送信する送信手段として機能するようになっている。さらに、入力操作部235から患者を識別する患者識別情報が入力されたときは、通信部236は、この患者識別情報とともに撮影画像データを制御装置3に送信する。
【0043】
電源部237は、例えばFPD23を構成する各部に電源を供給する充電池を有し、当該FPD23の所定位置に設けられた充電用端子(図示略)を介して充電可能に構成されている。なお、本実施形態においては電源部237として充電池を備える場合を例として説明したが、電源部237は交換可能な一次電池によって構成されていてもよい。また、本実施形態ではFPD23の内部に電源部237を備える場合を例として説明したが、内部に電源部237を備えず、外部からケーブル等を介してFPD23を構成する各部に電源を供給する構成としてもよい。
【0044】
表示部238は、CRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)等からなる表示画面により構成され、CPU230から入力される表示信号の指示に従って、表示画面上に、患者リストや撮影画像等を表示する表示手段として機能する。
【0045】
CPU230は、ROM232に格納される所定のプログラムを読み出してRAM231の作業領域に展開し、当該プログラムに従って各種処理を実行する。
【0046】
具体的には、例えば、CPU230は、平面検出部233の各画素を構成する例えばTFT(Thin Film Transistor)等のスイッチング部を制御して、当該各画素に蓄積された電気信号の読み取りをスイッチングしていき、平面検出部233に蓄積された電気信号を読み取ることにより、平面検出部233から検出結果である撮影画像データを取得する。
【0047】
さらに、CPU230は、平面検出部233によって検出、取得された撮影画像データや入力操作部235から入力された患者識別情報等を制御装置3に対して送信するよう通信部236を制御する。また、CPU230は、表示部238に患者リストや撮影画像データ又は撮影画像データよりも情報量の少ない縮小画像データ等に基づく画像を表示するように表示部238を制御する。
【0048】
なお、図示はしないが、超音波診断装置2aにおける変換装置21の入力操作部21aもFPD撮影装置2cのFPD23と同様に撮影の際に画像データに患者識別情報としての検索用ID等を付帯させる識別情報入力手段として機能する。また内視鏡装置2bにもFPD23等と同様に内蔵又は外部接続された識別情報入力手段が設けられており、生成した撮影画像の画像データに当該患者の検索用ID等の患者識別情報を付帯させるようになっている。
【0049】
なお、識別情報入力手段から入力される検索用IDとしては、前述の入力操作部235と同様に、例えば、前記受付番号等が使用される。前述のように、開業医等においては、通常、1日あたりの来院数は10〜40人程度であり、診察券の通し番号は2桁あれば充分で、識別情報入力手段はこの2桁の数値が入力できればよく、安価なテンキーが好ましい。
【0050】
また、この識別情報入力手段に表示部が設けられている場合には、これらの表示部が患者リストを表示させる表示手段として機能してもよい。
【0051】
制御装置3は、例えば診察室13に設置され、医師が画像等を表示させて読影診断等を行うためのワークステーションであり、一般的なPC(Personal Computer)よりも高精細のモニタ(表示部)を備えるものであってもよい。制御装置3は、図5に示すように、CPU31、RAM32、記憶部33、入力部34、表示部35、通信部36等を備えて構成されており、各部はバス37により接続されている。
【0052】
CPU31は、記憶部33に記憶されているシステムプログラムや処理プログラム等の各種プログラムを読み出してRAM32に展開し、展開されたプログラムに従って後述する画像処理や画像処理の完了した撮影画像データと患者情報との対応付け処理をはじめとする各種処理を実行するようになっている。
【0053】
記憶部33は、HDD(Hard Disc)や半導体の不揮発性メモリ等により構成される。記憶部33には、前述のように各種プログラムが記憶されているほか、特開H11−85950や特開2001−76141の明細書中に開示されているような撮影部位を識別するための部位識別パラメータ(撮影画像に現われた撮影対象の輪郭、形状等と撮影部位とを対応付けるルックアップテーブル等)及び識別された撮影部位に応じた画像処理を行う画像処理パラメータ(階調処理に用いる階調曲線を定義したルックアップテーブル、周波数処理の強調度等)等が記憶されている。
【0054】
また、記憶部33には、前記各種の画像生成装置2によって生成された撮影画像の画像データが一時的に記憶されるようになっている。なお、撮影画像データに検索用IDや患者情報、撮影の種類に関する情報、撮影を行った画像生成装置2を識別する情報等が付帯しているときは、撮影画像データとこれらの情報とを対応付けて記憶する。その他、記憶部33には、患者の受付順に作成された患者リスト等、制御装置3に送られた各種情報が記憶される。
【0055】
入力部34は、例えば図示しないカーソルキー、数字入力キー、及び各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスを備えて構成されており、撮影対象である患者を特定する患者情報である患者氏名等を入力可能となっている。入力部34は、キーボードに対するキー操作やマウス操作により入力された指示信号をCPU31に出力するようになっている。
【0056】
ここで、入力部34から入力される患者情報としては、例えば患者の氏名、診察券番号等が挙げられるが、患者情報はここに例示したものに限定されない。また、検索用IDとは、前述のように撮影後に撮影画像を検索する際、検査対象を識別する識別標識となるものであり、例えば受付けを行ったときに付与される受付番号である。なお、本実施形態においては、患者情報として患者氏名を入力し、検索用IDとして受付番号を入力する例について説明する。
【0057】
表示部35は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)等のモニタを備えて構成されており、後述するように、撮影画像データに基づく撮影画像、各種の患者情報等を表示する表示手段である。表示部35は、CPU31から入力される表示信号の指示に従って、各種画面を表示する。
【0058】
本実施形態においては、例えば、医師等が画像生成装置である超音波診断装置2a、内視鏡装置2b、FPD撮影装置2cから取得した撮影画像を表示するように指示する指示信号を入力部34から入力すると、図6に示すような画像確認画面35bが表示される。
【0059】
図6に示すように、画像確認画面35bには、前記各種の画像生成装置2によって生成された撮影画像データに基づく撮影画像を表示するための画像表示欄351と、画像処理条件の調整指示を入力するための画像処理条件調整欄352とが設けられている。また、画像表示欄351には、画像表示欄351の各表示欄に対応して設けられ、各表示欄に表示された撮影画像を確定し、当該確定後の撮影画像の画像データを記憶するためのOKボタン353と、各表示欄に表示された撮影画像の画像データの破棄及び再出力を指示するためのNGボタン354と、各撮影画像について患者のどの部位を撮影したものであるかを自動部位認識した結果、判断された撮影部位を表示する撮影部位表示欄355とが配置されている。なお、確定後の撮影画像の画像データを保存した場合には、画像表示欄351の各表示欄に保存済みのマーク等が表示されるようにしてもよい。
【0060】
また、画像確認画面35bには、患者情報として患者氏名を入力、表示する患者氏名欄356が設けられている。なお、本実施形態においては、患者情報の入力、表示欄として患者氏名欄356を設けた場合を例として以下説明するが、患者情報の入力、表示欄はここに例示したものに限定されない。
【0061】
その他、画像確認画面35bには、診断を終了するための診断終了ボタン357や前の表示画面に戻るための戻るボタン358等が設けられている。なお、画像確認画面35bの構成は図6に例示したものに限定されない。例えば、これら以外の表示欄やボタンが設けられていてもよく、前記患者リストに対応した受付番号を表示する欄等が設けられていてもよい。
【0062】
通信部36は、ネットワークインターフェース等により構成され、スイッチングハブを介してネットワーク7に接続された外部機器との間でデータの送受信を行う。即ち、通信部36は、画像生成装置2によって生成された撮影画像の画像データを受信する受信手段であり、また、必要に応じてサーバ4等の外部装置に画像処理の完了した確定後の撮影画像の画像データを送信し出力する出力手段として機能するものである。
【0063】
次に、CPU31によって行われる各種処理について説明する。
【0064】
本実施形態において、CPU31は、検索用ID又は患者を区切る区切り情報等の患者識別情報に基づいて、記憶部33に記憶された撮影画像データの中から特定の患者について撮影された撮影画像の画像データだけを抽出する画像抽出手段として機能する。
【0065】
すなわち、前述のように、撮影の際に当該撮影の検査対象である患者の患者情報と対応付けられて設定された検索用IDが入力操作部21aやFPD23の入力操作部235等から入力された場合には、この検索用IDは、例えば撮影画像の画像データにヘッダ情報として付帯している。医師等の操作者がある検索用IDに対応する撮影画像を抽出するように指示する指示信号を入力部34等から入力すると、CPU31は、記憶部33に記憶された撮影画像のうち、当該検索用IDが付帯している撮影画像を検索し抽出して表示部35の画像確認画面35b等に表示する。
【0066】
また、FPD23の入力操作部235等から単に撮影対象である患者が何枚目の撮影で次の患者に切り替わったかの区切り情報が入力された場合には、CPU31は、患者リスト等と照合することにより、記憶部33に記憶された撮影画像のうち、例えば何枚目から何枚目までが1人目の患者の撮影画像であり、何枚目から何枚目までが2人目の患者の撮影画像であるかを対応付ける。そして、医師等の操作者が患者リストからある患者を選択すると、CPU31は、当該患者の撮影画像のみを抽出して表示部35の画像確認画面35b等に表示する。
【0067】
また、CPU31は、画像生成装置2によって生成され、通信部36によって受信した撮影画像の画像データについて撮影部位に応じた画像処理を行い、診断に適した診断用の撮影画像を生成する画像処理手段として機能する。
【0068】
具体的には、CPU31は、まず、記憶部33から部位識別パラメータを読み出して画像生成装置2によって生成された撮影画像に現われた撮影対象の輪郭、形状等から撮影部位を識別する部位自動識別処理を行う。撮影画像の部位が識別されると、CPU31は、撮影部位に対応する画像処理パラメータを記憶部33から読み出して、読み出したパラメータに基づいて画像処理条件を決定し、決定した画像処理条件で画像データに画像のコントラストを調整する階調処理、濃度を調整する処理、鮮鋭度を調整する周波数処理等の画像処理を施す。さらに、医師等の操作者が画像処理条件調整欄352から撮影画像の濃度やコントラスト等を調整する入力を行うと、CPU31は、これに応じて撮影画像の画像処理を行う。そして、画像処理が完了してOKボタン353が押下されると、CPU31は、画像処理後の撮影画像の画像データを診断用の撮影画像の画像データとして決定する。
【0069】
さらに、CPU31は、撮影された検査対象を特定する患者情報が入力されたときは、この患者氏名等の患者情報を検索用IDと置き換え、当該患者情報を所定の画像処理後の撮影画像データとを対応付ける対応付け処理を行い、当該撮影画像データと患者情報とを対応付けて記憶する対応付け手段として機能する。CPU31は、患者情報と対応付けられた撮影画像データを記憶部33又はサーバ4の画像DB41に書込み、記憶させる。
【0070】
また、CPU31は、レセコン5に対して後述するレセプトDB6に記憶されているレセプト関連情報の中から、所定の患者に関する情報を送るよう、指示信号を送信するようにしてもよい。そして、レセコン5から抽出されたレセプト関連情報が送られたときは、当該レセプト関連情報と同じ患者情報が対応付けられた撮影画像データとを対応付ける。このように患者情報、レセプト関連情報及び撮影画像データが相互に対応付けられたときは、CPU31は、相互に対応付けられた患者情報、レセプト関連情報及び撮影画像データを画像DB41に書込み、記憶させるようにする。
【0071】
図1に戻り、サーバ4は、CPU、RAM、HDD等により構成される記憶部、ネットワーク7に接続された各装置との通信を制御する通信部(いずれも図示せず)等を備えて構成されたコンピュータである。サーバ4は、画像DB41を備えておりCPUと記憶部に記憶されたプログラムとの協働によるソフトウエア処理により、通信部を介して制御装置3から書込み指示された撮影画像の画像データ及びその付帯情報(患者情報を含む情報)を対応付けて画像記憶手段としての画像DB41に格納するとともに、制御装置3からの要求に応じて画像DB41を検索して要求に応じた画像データ及びその付帯情報を読み出し、制御装置3に送信する。
【0072】
また、レセコン5は、来院した患者の受付登録、会計計算、保険点数計算等を行うためのコンピュータ装置である。レセコン5は、CPU、RAM、記憶部、入力部、表示部、通信部(いずれも図示せず)、及びレセプトDB6等を備えて構成されるコンピュータであり、各部はバスを介して接続されている。
【0073】
CPUは、記憶部に記憶されているシステムプログラムや処理プログラム等の各種プログラムを読み出してRAMに展開し、展開されたプログラムに従って各種処理を実行し、例えば受付登録手段、リスト生成手段、レセプト情報生成手段として機能する。
【0074】
記憶部は、HDD(Hard Disc)や半導体の不揮発性メモリ等により構成され、CPUで実行されるシステムプログラム、各種処理プログラム、各種データ等を記憶する。
【0075】
入力部は、カーソルキー、数字入力キー、及び各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスを備えて構成され、キーボードで押下操作されたキーの押下信号とマウスによる操作信号とを、入力信号としてCPUに出力する。
【0076】
表示部は、例えば、CRTやLCD等のモニタを備えて構成されており、CPUから入力される表示信号の指示に従って、各種画面を表示する。
【0077】
通信部は、ネットワークインターフェース等により構成され、スイッチングハブを介してネットワークに接続された外部機器との間でデータの送受信を行う。
【0078】
レセプトDB6は、来院した患者に関するレセプト関連情報を患者情報と対応付けて格納するデータベースである。図7に、レセプトDB6のデータ格納例を示す。レセプトDB6は、来院した各患者のレセプト関連情報を格納するデータベースであり、図7に示すように、患者の受付日付を格納する「受付日付」項目、患者に付与した受付番号を格納する「受付番号」項目、患者情報(ここでは、患者氏名とする)を格納する「患者情報」項目、受付日付において当該患者に撮影された画像の枚数を格納する「撮影数」項目、造影剤を用いた撮影枚数を格納する「造影数」項目、撮影を行った画像生成装置2の種類を格納する「モダリティ」項目、撮影部位の情報を格納する「部位」項目、「受付日付において患者に処方された薬剤の情報を格納する「投薬」項目、受付日付において医師が診断した傷病名を格納する「傷病名」項目、後述する制御装置3から入力されたコメントを格納する「コメント」項目、算出された保険点数を格納する「保険点数」項目等を有している。
【0079】
次に、本実施形態における診断システム1の動作について説明する。
【0080】
まず、受付11において来院した患者に対して受付番号が付与され、受付番号札が発行される。窓口担当が患者氏名の聞き取りを行い、レセコン5の図示しない受付入力画面を介して入力部から検索用IDである受付番号及び患者情報である患者氏名の入力を行う。受付番号及び患者氏名の入力が行われると、レセプトDB6に新規レコードが追加され、受付番号及び患者情報が書込まれる。
【0081】
受付番号が付与された患者が診察室13に移動すると、医師は、患者に対し問診を行い、実施する撮影、検査を決定する。問診により患部の撮影が必要であると決定された場合には、医師や撮影技師等、撮影を行う撮影実施者は、患者を撮影に用いる画像生成装置2のもとに連れて行き、画像生成装置2の入力操作部から当該患者に付与された受付番号(検索用ID)の入力を行う。例えば、画像生成装置2として超音波診断装置2aを用いる場合には撮影実施者は入力操作部21aから、また画像生成装置2としてFPD撮影装置2cを用いる場合にはFPD23の入力操作部235から、検索用IDとして患者の受付番号を入力し、画像生成装置2の画像生成動作が可能となるように準備を行う。
【0082】
その後、当該患者の診断対象部位を被写体として撮影を行い、画像生成装置2により撮影画像の画像データが生成される。なお、前述のように予めその日に検査予約をしていた場合には、医師による問診を受けずに受付から直接撮影室15又は検査室16に移動してもよい。例えば、FPD撮影装置2cによって撮影が行われて撮影画像データが生成されると、FPD23の画像メモリ234に撮影順に撮影画像の画像データが記憶される。また、FPD23の表示部238には撮影画像又は撮影画像データよりも情報量の少ない縮小画像が表示され、撮影者(撮影技師又は医師)は、表示部238の表示を確認することにより撮影の適否、特に患者のポジショニングの適否等を判断することができる。
【0083】
なお、ある患者を選択した後、別の患者をさらに選択してもよい。この場合には、選択された患者を順次又は各画像生成装置2を用いて同時並行的に撮影する。この場合でも、画像生成装置2での撮影時に、患者ごとに患者識別情報として検索用IDが入力されるので、画像データに付帯された検索用IDと照合することにより、撮影後に患者と画像データとの対応付けを行うことが可能である。
【0084】
また、FPD撮影装置2cのみを用いて撮影を行う場合には、入力操作部235から患者の区切りを示す患者の区切り情報のみを入力し、撮影画像の画像データを当該区切り情報とともに撮影順に画像メモリ234に記憶させておいてもよい。また、表示部238に患者リストを表示可能である場合には、当該患者リストから撮影対象である患者を選択することにより撮影対象である患者を識別する患者識別情報の入力を行い、選択された患者と当該撮影画像データとを対応付けて画像メモリ234に記憶させておいてもよい。
【0085】
撮影が終了し、入力操作部21a又はFPD23の入力操作部235等から撮影画像データを制御装置3に送信するように指示が入力されると、生成された撮影画像データが、入力された検索用ID等の患者識別情報が付帯された状態でネットワーク7を介して制御装置3に送られる。なお、緊急時等、受付を経由していない患者を撮影する場合には、予め緊急割込みを示す所定のコード、例えば、「99」のように、普段の撮影時には現われないような番号を患者識別情報として設定しておくことにより、通常のフローと同様に撮影後の画像データを他の画像データと区別して抽出することが可能となる。
【0086】
なお、FPD撮影装置2cを用いて撮影を行う場合には、FPD23をクレードルに載置すると自動的に撮影画像データの制御装置3への送信が開始されるようにしてもよい。また、FPD23の画像メモリ234に記憶された撮影画像データの制御装置3への送信は、患者の検索用IDごと、区切り情報で区切られた画像データごとに行われるようにしてもよいし、画像メモリ234に記憶されている撮影画像データをすべて送信するようにしてもよい。
【0087】
画像生成装置2から撮影画像の画像データが制御装置3に送られると、CPU31は撮影を行った部位を自動的に識別する。そして、撮影部位を識別すると、CPU31は当該撮影部位に応じた画像処理条件を決定し、撮影画像の画像データについて当該条件に応じた画像処理を行う。画像処理が行われると、撮影画像は画像データに付帯する各種の情報とともに一旦、記憶部33に記憶される。
【0088】
撮影又は検査後に医師が患者を診察する際には、医師は制御装置3の入力部34を操作することにより表示部35に図示しない画像検索画面を表示させ、患者の受付番号(検索用ID)を確認して患者の受付番号を入力部34から入力する。検索用IDである受付番号を入力すると、CPU31は当該受付番号を検索キーとして、当該患者に対応する画像を記憶部33から抽出し、抽出された撮影画像は表示部35の画像確認画面35b(図6参照)に一覧表示される。医師は患者の氏名を聴取して患者情報である患者氏名を患者情報入力欄356から入力する。患者情報入力欄356を介して入力部34から当該患者に関する患者情報の入力が行われると、表示されている撮影画像の画像データの付帯情報として当該入力された患者情報が書込まれる。
【0089】
なお、FPD撮影装置2cを用いて撮影を行った場合であって、患者を区切る区切り情報とともに撮影画像データが制御装置3に送信されたときには、CPU31はFPD23から撮影順に送信される撮影画像データを記憶部3等に記憶されている患者リストと照合することにより、撮影画像データとこれに対応する患者とを対応付け、入力部34から患者情報の入力が行われると、当該患者に対応する画像データを抽出して表示部35の画像確認画面35bに表示させる。
【0090】
医師は、画像確認画面35bで撮影画像の画像データを確認し、問題がなければOKボタン353により当該撮影画像を診断用の撮影画像として確定させる。他方、撮影画像の画像処理に問題がある場合には、医師等の操作者は、画像処理条件調整欄352で撮影画像の濃度やコントラスト等の調整を行う。なお、撮影部位に応じた画像処理が適切に行われなかった場合には、画像処理条件調整欄352で行った撮影画像の濃度やコントラスト等の調整を画像処理パラメータに反映させてパラメータの補正を行うようにしてもよい。また、各表示欄に表示された撮影画像が不鮮明である等、濃度やコントラスト等の調整のみでは調整できない場合には、撮影画像の画像データの破棄及び再出力を指示するためのNGボタン354を操作して当該撮影画像の画像データを破棄し画像生成装置2から画像データを再出力させる。
【0091】
医師は撮影画像の確定後、当日に撮影された撮影画像を見ながら診断を行い、患者に関する所見(診断された傷病命名等)、当該患者に処方する薬剤を示す投薬情報、当該患者に行った撮影や検査等に関する情報(撮影を行った装置の種類、撮影枚数、造影剤使用の有無、撮影部位、撮影方向、検査種別、検査ID等)を紙カルテに記録する。医師は紙カルテ等に診断所見を記入するとともに、入力された当該患者情報と対応付けて(当該患者情報を付帯情報として)当日撮影された撮影画像の画像データをサーバ4の画像DB41等の記憶手段に記憶する。
【0092】
医師は紙カルテへの所見記載後、当該紙カルテを受付11の窓口担当に渡し、この窓口担当は、レセコン5の表示部に検査情報入力画面を表示させ、当該検査情報入力画面を介して入力部から当該紙カルテに基づいて保険点数請求処理用のレセプト関連情報を入力する。レセコン5のCPUは、当該患者について行われた撮影の撮影枚数、単純X線撮影か造影剤撮影かというような撮影の種類、撮影を行った画像生成装置2の種類等、撮影画像の画像データに付帯されている情報に基づいて保険点数等の計算に関わる会計関連情報の算出を行う。入力されたレセプト関連情報及び算出された保険点数等は患者情報である患者氏名と対応付けられてレセプトDB6に書込まれ、記憶される。
【0093】
以上のように、本実施形態に係る診断システム1によれば、FPD撮影装置2cのような画像生成装置2を用いて患者の撮影を行った場合に、患者を特定する検索用IDや、患者を区切る区切り情報等、患者を識別するための患者識別情報の入力を行い、撮影画像の画像データを前記患者識別情報とともにFPD23の画像メモリ234に撮影順に記憶させる。このため、画像生成装置2から制御装置3に撮影画像の画像データを送信した場合に、撮影画像と撮影対象である患者との対応付けを行うことができ、予め検査オーダ情報の発行(入力操作)を行うことなく、撮影画像と患者との取り違い等の発生を防止することができるので、診療効率を向上させることが可能となる。
【0094】
また、検索用ID又は区切り情報を入力するか、表示手段に表示された患者リストから撮影対象である患者を選択することにより容易に患者識別情報の入力を行うことができるので、予め検査オーダ情報を入力する等の煩雑な作業工数を増やすことなく、撮影画像データと患者とを簡易かつ確実に対応付け、撮影画像と患者との取り違い等を防ぐことが可能となり、診療効率を向上させることができる。
【0095】
なお、本実施形態においては、図3に示すようにFPD23に入力操作部235及び表示部238が設けられる構成としたが、FPD23の構成はこれに限定されない。例えば、図8に示すように、FPD50には入力操作部51のみを設け、表示部53を備える表示装置52を別体として設けるようにしてもよい。この場合には、例えばFPD50の側面等に外部機器のケーブルを装着するコネクタ等を設け、表示装置52のケーブル54をコネクタに接続することにより、FPD50の画像メモリ234に記憶された撮影画像データを表示装置52の表示部53に表示可能としてもよい。
【0096】
また、本実施形態においては、画像生成装置2として超音波診断装置2a、内視鏡装置2b、FPD撮影装置2cを備える場合を例として説明したが、画像生成装置2は、検査対象である患者を撮影し、撮影により得られた画像データに基づいて撮影画像を生成する画像生成手段を備える装置であればよく、ここに例示したものに限定されない。他の放射線画像変換媒体を使用するもの、放射線画像変換媒体を使用せずに画像データを取得しこれに基づいた撮影画像を生成するもの、放射線ディテクタを用いて放射線画像をデジタル信号として直接取り出すもの等、撮影画像を生成する任意の装置を適用することができる。具体的には、本実施形態に示した超音波診断装置2a、内視鏡装置2b、FPD撮影装置2cの他、例えば、CT(Computed Tomografhy)、MRI(Magnetic Resonance Imaging)、CR(Computed Radiography)装置、乳房撮影装置(マンモグラフィ)等が挙げられるが、これに限定されない。
【0097】
また、本実施形態においては、確定後の撮影画像データ及びこれと対応付けられた患者情報をサーバ4に保存するものとしたが、撮影画像データ及びこれと対応付けられた患者情報を保存する保存手段はこれに限定されず、例えば、制御装置3の記憶部33を撮影画像データ及びこれと対応付けられた患者情報を保存する保存手段とする構成としてもよい。
【0098】
なお、本実施形態では、各撮影毎に検索用IDを入力することとしたが、患者を区切る区切り情報を入力する場合と同様に患者が替わる毎に検索用IDを入力し、同一患者に複数の撮影を行う場合には、2枚目以降の撮影に際して、検索用IDの入力を省略するようにしてもよい。この場合でも、FPD23の場合には、撮影によって得られた撮影画像データは撮影順にFPD23の画像メモリ234に保存される為、患者の区切り情報を入力する場合と同様の処理により、個々の画像を検索用IDと対応付け、1つの検索用IDで区切られた画像は同一の患者のものとして最終的に患者情報と対応付けられる。
【0099】
その他、本発明が本実施の形態に限定されず、適宜変更可能であることはいうまでもない。
【0100】
本発明の実施の形態よれば、患者に対して放射線画像撮影を行い前記患者の撮影画像データを生成する画像生成装置が、撮影画像データを撮影順に記憶可能な記憶手段と、記憶手段に記憶された撮影画像データを撮影順に制御装置に対して送信可能な送信手段と、を備えるフラットパネルディテクタを備えており、制御装置は、画像生成装置から送られた撮影画像データと当該撮影画像データに対応する患者に関する患者情報とを対応付けるようになっている。これにより、予め検査オーダを発行する(検査オーダ情報の入力操作)等の煩雑な作業工数を増やすことなく、撮影画像と患者とを簡易かつ確実に対応付け、撮影画像と患者との取り違い等を防ぐことが可能となり、診療効率を向上させることが可能となる効果を奏する。
【0101】
本発明の実施の形態によれば、フラットパネルディテクタの記憶手段は、撮影画像データを患者を識別する患者識別情報とともに記憶し、撮影画像データは当該患者識別情報とともに制御装置に対して送信される。このため、1つのフラットパネルディテクタによって複数の患者を撮影した場合でも、どの撮影画像データがどの患者と対応するのかを容易に識別することができる。CRカセッテの場合、撮影後に読取装置にカセッテを投入する順番を間違えると患者と画像の対応付けが狂うが、FPDではこのような状態に陥ることが無い。よって予め検査オーダ情報を入力する等の煩雑な作業工数を増やすことなく、撮影画像と患者とを簡易かつ確実に対応付け、撮影画像と患者との取り違い等を防ぐことが可能となり、診療効率を向上させることが可能となるとの効果を奏する。
【0102】
本発明の実施の形態によれば、フラットパネルディテクタにおいて検索用ID又は区切り情報のいずれかを入力することにより患者を識別できるようになっているので、予め検査オーダ情報を入力する等の煩雑な作業工数を増やすことなく、撮影画像と患者とを簡易かつ確実に対応付け、撮影画像と患者との取り違い等を防ぐことが可能となり、診療効率を向上させることが可能となるとの効果を奏する。
【0103】
本発明の実施の形態によれば、表示手段に表示された患者リストから撮影対象である患者を選択することにより容易に患者識別情報の入力を行うことができるので、煩雑な作業工数を増やすことなく、撮影画像と患者とを簡易かつ確実に対応付け、撮影画像と患者との取り違い等を防ぐことが可能となり、診療効率を向上させることが可能となるとの効果を奏する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に対して放射線画像撮影を行い前記患者の撮影画像データを生成する画像生成装置と、制御装置と、患者の受付登録を行うレセプト用コンピュータと、を備える診断システムであって、
前記画像生成装置は、
前記患者に対して照射された放射線を検出し、当該放射線を電気信号に変換して蓄積し、蓄積された電気信号に基づいて前記撮影画像データを生成する画像生成手段と、画像生成手段により生成された複数の前記撮影画像データを撮影順に記憶可能な記憶手段と、前記記憶手段に記憶された複数の前記撮影画像データを前記撮影順に前記制御装置に対して送信可能な送信手段と、を備える可搬型のフラットパネルディテクタを少なくとも1つ備え、
前記レセプト用コンピュータは、患者情報を入力する入力部と、入力された前記患者情報を送信する通信部と、を備え、
前記制御装置は、
前記送信手段によって送信された複数の前記撮影画像データと、前記レセプト用コンピュータの通信部によって送信された前記患者情報と、を受信する受信手段と、
前記受信手段により受信した患者情報と、前記受信手段により前記撮影順に受信した複数の前記撮影画像データとを、当該撮影順に基づいて対応付ける対応付け手段と、
を備えることを特徴とする診断システム。
【請求項2】
前記フラットパネルディテクタは、撮影対象である患者を識別する患者識別情報を入力する識別情報入力手段をさらに備え、
前記記憶手段は、前記撮影画像データを前記患者識別情報とともに記憶し、前記送信手段は、前記撮影画像データを前記患者識別情報とともに前記制御装置に対して送信し、
前記患者識別情報は、撮影対象である患者を区切る区切り情報であることを特徴とする請求項1に記載の診断システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−99663(P2013−99663A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−42461(P2013−42461)
【出願日】平成25年3月5日(2013.3.5)
【分割の表示】特願2008−508528(P2008−508528)の分割
【原出願日】平成19年3月26日(2007.3.26)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】