説明

診断処理装置、診断処理システム、診断処理方法、診断処理プログラム及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体、並びに、分類処理装置

【課題】簡素な構成で診断が実現可能な診断処理装置を提供する。
【解決手段】本発明の診断処理装置1は、診断対象の異常の内容的特徴を示す異常情報が予め明らかな学習用画像のデータをサンプリングし、学習用パターンを生成する学習用パターン生成部10aと、複数の学習用パターンを用いて、ニューラルネットワーク17に学習させる学習処理部12と、異常情報が不明な診断用画像のデータをサンプリングし、診断用パターンを生成する診断用パターン生成部10bと、診断用パターン生成部10bにより生成された診断用パターンを、学習処理部12による学習が行われた学習済みニューラルネットワーク17に入力して、その学習済みニューラルネットワークからの出力値に基づいて、異常情報が示す異常の内容的特徴を判定する判定処理部18と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニューラルネットワークを利用して、例えば胸部X線写真等を用いた画像診断において異常を診断することができる診断処理装置、診断処理システム、診断処理方法、診断処理プログラム及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関するものである。
【0002】
また、本発明は、広く画像処理において画像を分類することができる分類処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0003】
従来、例えば医療の分野におけるX線写真等を用いた画像診断では、その画像診断における異常の有無の判断は、実際に医者が診断対象である画像を1枚1枚、医者自身の目で確認することで行なわれていた。したがって、従来の画像診断のやり方を継続した場合、医者に掛かる負担が増大することは明らかである。
【0004】
近年、人の脳の機能を模倣したニューラルネットワークを構築し、このニューラルネットワークをこのような画像診断の分野に利用しようという研究が盛んに行われて来ている。例えば、特許文献1には、デジタル乳房X線像における微小石灰化物を検出するための新規で優れたデジタル乳房X線像における微小石灰化物検出方法及びそのシステムが記載されている。
【0005】
この特許文献1に記載された微小石灰化物検出方法等では、先ず、デジタル乳房X線像内の微小石灰化物が含まれていると疑われる異常領域(関心領域)が抽出される。その関心領域は数値化され、微小石灰化物を検出するように学習がなされたニューラルネットワークに入力される。そして、このニューラルネットワークは検出した微小石灰化物とともに関心領域を出力する。
【0006】
この微小石灰化物検出方法等では、あらかじめ関心領域を抽出することで、全ての真陽性な検出箇所を残しつつ、偽陽性な検出箇所の数を減らしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−343627号公報(平成6年12月20日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1の微小石灰化物検出方法等のような、あらかじめ異常の有無が判断できるように学習させたニューラルネットワークを利用することで、異常の有無を一旦コンピュータに判断させ、異常と判断されたものだけを医者に観察させることができる。そうすることにより、医者の負担を軽減する医療支援システムを実現することができる。
【0009】
しかしながら、このような医療支援システムにおいては、X線写真等からサンプリングしたデータの中から異常の可能性がある関心領域を抽出し、それらの領域のデータをニューラルネットワークに入力し、それら関心領域ごとに異常であるかどうかを判断する事例が通常である。
【0010】
このような関心領域の抽出は通常、システムの複雑化、肥大化を招くものであるが、関心領域の抽出を行うこと無く、画像全体からサンプリングしたデータをニューラルネットワークに入力し、その画像内における異常の有無を判断する事例は今だ実現されていない。
【0011】
上記課題に鑑み、本発明の目的は、簡素な構成で診断が実現可能な診断処理装置、診断処理システム、診断処理方法、診断処理プログラム及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体、並びに、分類処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明に係る診断処理装置は、ニューラルネットワークを用いて、診断対象の異常を診断する診断処理装置であって、前記診断対象の異常の内容的特徴を示す異常情報が予め明らかな学習用画像をデジタル化処理し、予め定められたサンプリング方法を用いて、デジタル化処理された学習用画像のデータをサンプリングして、そのサンプリングデータ列の並びを表す学習用パターンを生成する学習用パターン生成手段と、前記学習用パターン生成手段により生成された複数の学習用パターンを用いて、前記ニューラルネットワークに学習させる学習処理手段と、前記異常情報が不明な診断用画像をデジタル化処理し、前記サンプリング方法を用いて、デジタル化処理された診断用画像のデータをサンプリングして、そのサンプリングデータ列の並びを表す診断用パターンを生成する診断用パターン生成手段と、前記診断用パターン生成手段により生成された診断用パターンを、前記学習処理手段による学習が行われた学習済みニューラルネットワークに入力して、その学習済みニューラルネットワークからの出力値に基づいて、前記異常情報が示す異常の内容的特徴を判定する判定手段とを備える。
【0013】
上記の診断処理装置では、学習用パターン生成手段は、診断対象の異常の内容的特徴を示す異常情報が利用者に予め明らかとなっている診断用画像を学習用画像として用い、学習用画像をデジタル化処理する。学習用パターン生成手段は、そのデジタル化処理された学習用画像から、例えば画像中における診断対象である診断対象部位の形状的特徴から基準となる方向を設定し、その設定された方向の中から例えば縦方向といった、あらかじめ定められたサンプリング方法を用いて、そのデジタル化処理された学習用画像のデータをサンプリングする。学習用パターン生成手段は、そのサンプリングしたデータから学習用パターンを生成する。
【0014】
学習処理手段は、学習用パターン生成手段が生成する複数の学習用パターンを用いて、ニューラルネットワークに学習させる。ニューラルネットワークは、学習処理手段による複数の学習用パターンを用いた学習が行なわれることで、学習済みのニューラルネットワークとなる。
【0015】
診断用パターン生成手段は、異常情報が利用者に不明である診断用画像をデジタル化処理し、そのデジタル化処理された診断用画像から、学習用パターン生成手段が用いたサンプリング方法と同一のサンプリング方法を用いて、そのデジタル化処理された診断用画像のデータをサンプリングする。診断用パターン生成手段は、そのサンプリングしたデータから診断用パターンを生成する。
【0016】
判定手段は、診断用パターン生成手段が生成する診断用パターンが学習済みのニューラルネットワークに入力されると、その出力値に基づいて、その診断対象の異常情報が示す異常の内容的特徴を判定し、その判定結果を利用者に提供する。
【0017】
このようにして上記の診断処理装置では、診断用画像をデジタル化処理し、そのデジタル化処理された診断用画像からデータをサンプリングして生成した診断用パターンを用いて、診断対象の異常情報が示す異常の内容的特徴を判定することができる。
【0018】
このため、従来のように、診断用画像から疑われる関心領域を予め抽出するための構成が不要となり、その構成の分だけ簡素化された診断処理装置を実現することができる。
【0019】
また、従来では、診断用画像から疑われる関心領域を抽出する際、診断用画像中のすべてのデータを収集し、それら大量のデータを用いる必要があった。このため、演算処理の負荷が非常に大きかった。
【0020】
これに対し、上記の診断処理装置では、例えば診断用画像からサンプリングされた複数本のデータ列からなる複数のパターンを用い、順次ニューラルネットワークによる演算処理を行い、異常が出た段階でそれ以降の演算を省略することも可能であるため、必ずしも全てのデータを使う必要は無く、演算処理の負荷を大幅に低減することができる。
【0021】
前記サンプリング方法では、前記学習用画像及び前記診断用画像の各々に関して、前記診断対象が占める診断対象領域を定めると共に、その定められた診断対象領域の中からデータをサンプリングする際における、前記診断対象領域中でのサンプリング方向、サンプリング幅、及び、サンプリング間隔のうちの少なくとも1つを定めることが好ましい。
【0022】
この場合、診断対象領域、及び、その診断対象領域中のサンプリング方向、サンプリング幅、サンプリング間隔といったサンプリングパターンを一定に定めることで、ニューラルネットワークへの効率よい学習を行うことができる。このため、上記の診断処理装置による診断処理の効率化を図ることができる。
【0023】
なお、学習用パターンの生成と診断用パターンの生成とでは、上記のサンプリング方向とサンプリング幅は共通させるのが通常であるが、サンプリング間隔は必ずしも一致させる必要は無い。例えば、学習用パターンの生成の際は、1枚の写真からは特徴的なところを大まかにサンプリングし、診断用パターンの生成の際は、1枚の写真の中をもう少し細かく抜けの無いようにサンプリングすれば良い。
【0024】
前記学習用パターン生成手段及び診断用パターン生成手段は、各々が前記サンプリング方法を用いてサンプリングしたデータをフーリエ変換することで、周波数帯域パターンに従うパワースペクトルデータ列の並びを表す前記学習用パターン及び診断用パターンを生成することが好ましい。
【0025】
この場合、発明者の鋭意研究の結果により、ニューラルネットワークの検出精度を向上させることができることが判明した。
【0026】
前記複数の学習用パターンの各々についての前記異常情報が示す異常の内容的特徴と、前記複数の学習用パターンの各々に対応する前記判定手段の判定結果との間に生じる誤差を算出する誤差算出手段をさらに備えており、前記ニューラルネットワークは、入力層と、中間層と、出力層とがこの順で、前記入力層側から前記出力層側の方向に、各層間が結合されて構成されており、1つの入力値が前記入力層に入力されたとき所望の出力値が前記出力層から出力されるように、前記入力層と前記中間層との間の結合の重み及び前記中間層と前記出力層との間の結合の重みが学習させられるものであり、前記学習処理手段は、前記複数の学習用パターンの各々についての前記異常情報が示す異常の内容的特徴と、前記複数の学習用パターンの各々に対応する前記判定手段の判定結果とを一致させるべく、前記誤差算出手段により算出される誤差が収束する方向に向かうように、前記ニューラルネットワークにおける、前記入力層と前記中間層との間の結合の重み及び前記中間層と前記出力層との間の結合の重みを学習させることが好ましい。
【0027】
この場合、複数の学習用パターンの各々について、利用者に予め明らかとなっている異常情報が示す異常の内容的特徴と、判定手段の判定結果との間に生じる誤差が収束する方向に向かうように、ニューラルネットワークを学習させることができるので、ニューラルネットワークの学習を効率的に行うことができる。
【0028】
前記学習処理手段は、前記誤差算出手段により算出される誤差の大きさが、予め定められたしきい値よりも小さくなるまで前記ニューラルネットワークの学習を繰り返すことが好ましい。
【0029】
この場合、誤差算出手段により算出される誤差としきい値との間の大小比較によって、ニューラルネットワークを学習させることができるので、ニューラルネットワークの学習を、より効率的に行うことができる。
【0030】
前記異常情報は、前記診断対象の異常の有無を示す異常有無情報を含むことが好ましい。
【0031】
この場合、診断対象の異常の有無を診断することができる。
【0032】
前記異常情報は、前記診断対象の異常の要因である病気の病名を示す病名情報をさらに含むことが好ましい。
【0033】
この場合、診断対象の異常の要因である病気の病名を診断することができる。
【0034】
前記ニューラルネットワークの出力層は、2つ以上の前記病名情報の各々に対応する2つ以上の出力層ユニットからなることが好ましい。
【0035】
この場合、2つ以上の病名情報の各々に対応して、2つ以上のニューラルネットワークを設ける必要が無く、2つ以上の出力層ユニットからなる出力層を設ければ良い。したがって、比較的簡素な構成のニューラルネットワークを用いて、2つ以上の病名情報を判定することができる。
【0036】
前記ニューラルネットワークは、2つ以上の前記病名情報の各々に対応する2つ以上の病名別ニューラルネットワークを含むことが好ましい。
【0037】
この場合、2つ以上の病名情報を並列的に判定することも可能となり、いずれかの病名情報を選択的に判定することも可能となる。したがって、2つ以上の病名情報を、利用者の要求に応じて、判定することができる診断処理装置を実現することができる。
【0038】
本発明に係る診断処理システムは、人体の部位ごとに、診断対象の異常を診断する2つ以上の上記の診断処理装置を備える。
【0039】
上記の診断処理システムでは、例えば医療分野において利用される場合であれば、同一患者の部位ごとに診断することができるので、医者に、より有益な診断結果を提供することが可能となる。
【0040】
本発明に係る診断処理方法は、ニューラルネットワークを用いて、診断対象の異常を診断する診断処理方法であって、前記診断対象の異常の内容的特徴を示す異常情報が予め明らかな学習用画像をデジタル化処理し、予め定められたサンプリング方法を用いて、デジタル化処理された学習用画像のデータをサンプリングして、そのサンプリングデータ列の並びを表す学習用パターンを生成する学習用パターン生成工程と、前記学習用パターン生成工程にて生成された複数の学習用パターンを用いて、ニューラルネットワークに学習させる学習処理工程と、前記異常情報が不明な診断用画像をデジタル化処理し、前記サンプリング方法を用いて、デジタル化処理された診断用画像のデータをサンプリングして、そのサンプリングデータ列の並びを表す診断用パターンを生成する診断用パターン生成工程と、前記診断用パターン生成工程にて生成された診断用パターンを、前記学習処理工程にて学習が行われた学習済みニューラルネットワークに入力して、その学習済みニューラルネットワークからの出力値に基づいて、前記異常情報が示す異常の内容的特徴を判定する判定工程とを含む。
【0041】
上記の診断処理方法では、診断対象の異常の内容的特徴を示す異常情報が利用者に予め明らかとなっている診断用画像を学習用画像として用い、学習用画像をデジタル化処理する。そして、そのデジタル化処理された学習用画像から、例えば画像中における縦方向の一列といった、あらかじめ定められたサンプリング方法を用いて、そのデジタル化処理された学習用画像のデータをサンプリングする。そして、そのサンプリングしたデータから学習用パターンを生成する。
【0042】
次に、複数の学習用パターンを用いて、ニューラルネットワークに学習させる。ニューラルネットワークは、学習処理手段による複数の学習用パターンを用いた学習が行なわれることで、学習済みのニューラルネットワークとなる。
【0043】
次に、異常情報が利用者に不明である診断用画像をデジタル化処理し、そのデジタル化処理された診断用画像から、学習用パターンの生成の際に用いたサンプリング方法と同一のサンプリング方法を用いて、そのデジタル化処理された診断用画像のデータをサンプリングする。そして、そのサンプリングしたデータから診断用パターンを生成する。
【0044】
次に、診断用パターンが学習済みのニューラルネットワークに入力されると、その出力値に基づいて、その診断対象の異常情報が示す異常の内容的特徴を判定し、その判定結果を利用者に提供する。
【0045】
このようにして上記の診断処理方法では、診断用画像をデジタル化処理し、そのデジタル化処理された診断用画像からデータをサンプリングして生成した診断用パターンを用いて、診断対象の異常情報が示す異常の内容的特徴を判定することができる。
【0046】
このため、従来のように、診断用画像から疑われる関心領域を予め抽出するための構成が不要となり、その分だけ簡素化された構成を用いて、診断対象の異常情報が示す異常の内容的特徴を判定することができる。
また、従来では、診断用画像から疑われる関心領域を抽出する際、診断用画像中のすべてのデータを収集し、それら大量のデータを用いる必要があった。このため、演算処理の負荷が非常に大きかった。
【0047】
これに対し、上記の診断処理装置では、例えば診断用画像からサンプリングされた複数本のデータ列からなる複数のパターンを用い、順次ニューラルネットワークによる演算処理を行い、異常が出た段階でそれ以降の演算を省略することも可能であるため、必ずしも全てのデータを使う必要は無く、演算処理の負荷を大幅に低減することができる。
【0048】
なお、前記診断処理装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを前記各手段として動作させることにより前記診断処理装置をコンピュータにて実現させる診断処理プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【0049】
本発明に係る分類処理装置は、ニューラルネットワークを用いて、画像から得られるパターンを用いて、前記画像を複数のグループに分類する分類処理装置であって、前記画像から得られるパターンの内容的特徴を示すパターン情報が予め明らかな学習用画像をデジタル化処理し、予め定められたサンプリング方法を用いて、デジタル化処理された学習用画像のデータをサンプリングして、そのサンプリングデータ列の並びを表す学習用パターンを生成する学習用パターン生成手段と、前記学習用パターン生成手段により生成された複数の学習用パターンを用いて、前記ニューラルネットワークに学習させる学習処理手段と、前記パターン情報が不明な分類用画像をデジタル化処理し、前記サンプリング方法を用いて、デジタル化処理された分類用画像のデータをサンプリングして、そのサンプリングデータ列の並びを表す分類用パターンを生成する分類用パターン生成手段と、前記分類用パターン生成手段により生成された分類用パターンを、前記学習処理手段による学習が行われた学習済みニューラルネットワークに入力して、その学習済みニューラルネットワークからの出力値に基づいて、前記パターン情報が示すパターンの内容的特徴を判定する判定手段と、前記判定手段による判定結果から前記画像を分類する分類手段とを備える。
【0050】
上記の分類処理装置では、学習用パターン生成手段は、画像から得られるパターンの内容的特徴を示すパターン情報が利用者に予め明らかとなっている分類用画像を学習用画像として用い、学習用画像をデジタル化処理する。学習用パターン生成手段は、そのデジタル化処理された学習用画像から、例えば画像中における縦方向の一列といった、あらかじめ定められたサンプリング方法を用いて、そのデジタル化処理された学習用画像のデータをサンプリングする。学習用パターン生成手段は、そのサンプリングしたデータから学習用パターンを生成する。
【0051】
学習処理手段は、学習用パターン生成手段が生成する複数の学習用パターンを用いて、ニューラルネットワークに学習させる。ニューラルネットワークは、学習処理手段による複数の学習用パターンを用いた学習が行なわれることで、学習済みのニューラルネットワークとなる。
【0052】
分類用パターン生成手段は、パターン情報が利用者に不明である分類用画像をデジタル化処理し、そのデジタル化処理された分類用画像から、学習用パターン生成手段が用いたサンプリング方法と同一のサンプリング方法を用いて、そのデジタル化処理された分類用画像のデータをサンプリングする。分類用パターン生成手段は、そのサンプリングしたデータから分類用パターンを生成する。
【0053】
判定手段は、分類用パターン生成手段が生成する分類用パターンが学習済みのニューラルネットワークに入力されると、その出力値に基づいて、そのパターン情報が示すパターンの内容的特徴を判定し、その判定結果を分類手段に出力する。
【0054】
そして、分類手段は、その判定結果から画像を複数のグループに分類する。
【0055】
このようにして上記の分類処理装置では、分類用画像をデジタル化処理し、そのデジタル化処理された分類用画像からデータをサンプリングして生成した分類用パターンを用いて、画像のパターン情報が示すパターンの内容的特徴を判定することができる。
【0056】
また、上記の分類処理装置では、画像からサンプリングされたデータを用いてニューラルネットワークによる演算処理を行い、判定に至るだけの十分な結果が集まった段階で演算を中止し、以降の演算は省略することも可能であるため、ニューラルネットワークによる演算処理の負荷を大幅に低減することができる。
【発明の効果】
【0057】
本発明の診断処理装置は、以上のように、前記診断対象の異常の内容的特徴を示す異常情報が予め明らかな学習用画像をデジタル化処理し、予め定められたサンプリング方法を用いて、デジタル化処理された学習用画像のデータをサンプリングして、そのサンプリングデータ列の並びを表す学習用パターンを生成する学習用パターン生成手段と、前記学習用パターン生成手段により生成された複数の学習用パターンを用いて、前記ニューラルネットワークに学習させる学習処理手段と、前記異常情報が不明な診断用画像をデジタル化処理し、前記サンプリング方法を用いて、デジタル化処理された診断用画像のデータをサンプリングして、そのサンプリングデータ列の並びを表す診断用パターンを生成する診断用パターン生成手段と、前記診断用パターン生成手段により生成された診断用パターンを、前記学習処理手段による学習が行われた学習済みニューラルネットワークに入力して、その学習済みニューラルネットワークからの出力値に基づいて、前記異常情報が示す異常の内容的特徴を判定する判定手段とを備えているものである。
【0058】
それゆえ、簡素な構成で診断が実現可能であるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の一実施形態に係る診断処理装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る診断処理装置の学習動作の処理手順を示すフローチャートである。
【図3】本発明の一実施形態に係る診断処理装置のテスト動作の処理手順を示すフローチャートである。
【図4】本発明の一実施形態に係る診断処理装置の診断動作の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態に係る診断処理装置で用いられるニューラルネットワークの構成を示す概略図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る診断処理装置で用いられるサンプリング方法を説明するための説明図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る診断処理装置で用いられるサンプリング方法を説明するための説明図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る診断処理装置で用いられるサンプリング方法を説明するための説明図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る診断処理装置で用いられるサンプリング方法を説明するための説明図である。
【図10】サンプリングデータ列に含まれる各データのサンプリングの位置と各データの数値(強度)との関係を示すグラフである。
【図11】パワースペクトルデータ列に含まれる各データの周波数と各データのパワースペクトルとの関係を示すグラフである。
【図12】ニューラルネットワークの学習回数とその出力値の誤差二乗和との関係を示すグラフである。
【図13】判定処理におけるしきい値と、判定結果に関する、異常を受け入れたエラー率及び異常を拒否したエラー率との関係を示すグラフである。
【図14】本発明の他の実施形態に係る診断処理装置で用いられるニューラルネットワークの構成を示す概略図である。
【図15】本発明の他の実施形態に係る診断処理装置で用いられるニューラルネットワークの構成を示す概略図である。
【図16】本発明の他の実施形態に係る診断処理装置で用いられるニューラルネットワークの構成を示す概略図である。
【図17】本発明の他の実施形態に係る分類処理装置の概略構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
〔実施の形態1〕
本発明の実施の一形態について図1〜図13に基づいて説明すれば、以下のとおりである。ここでは、本実施形態1の診断処理装置の一例として、胸部X線写真から、診断対象である肺における肺小結節等の異常の有無を、ニューラルネットワーク17を用いて診断する診断処理装置1を例に挙げて説明する。ただし、本実施形態1の診断処理装置1は、胸部X線写真以外の人体の部位における異常の有無、その異常の要因である病気の病名等といった、その異常の内容的特徴を、ニューラルネットワークを用いて診断する診断処理装置として、広く実現される。例えば、乳房X線写真から、診断対象である乳房における石灰化物等の異常の有無を、ニューラルネットワークを用いて診断する診断処理装置を挙げることができる。
【0061】
(ニューラルネットワーク17の構成)
診断処理装置1では、ニューラルネットワーク17が、胸部X線写真から診断対象である肺における異常の有無を判定する際に使用される。このニューラルネットワーク17は、3つの層を持っている。図5に、ニューラルネットワーク17の概略構成を示す。
【0062】
このニューラルネットワーク17においては、図5に示すように、入力層と、中間層と、出力層とがこの順で、入力層側から出力層側の方向に、各層間が結合されて構成されている。1つの入力値が入力層に入力されたとき所望の出力値が出力層から出力されるように、入力層と中間層との間の結合の重み(例えば、Wij(12))及び中間層と出力層との間の結合の重み(例えば、Wij(23))が学習させられるものである。
【0063】
入力層は、512のユニットを持っており、この入力層のユニットの数は、入力層に入力されるデータ数に一致している。すなわち、例えば、胸部X線写真の診断対象として右肺部分が設定されている場合であれば、その右肺部分の画像を構成する各画素の輝度情報をサンプリングすることで生成される、後述の学習用パターンや診断用パターンに含まれる各サンプリングデータ列のデータ数と一致している。
【0064】
なお、後述するように、学習用パターン及び診断用パターンの各サンプリングデータ列は、実際には、各サンプリングデータ列を構成する各データがフーリエ変換されたものとなっている。このため、右肺部分の画像を構成する各画素の輝度情報をサンプリングする際のサンプリング数は、512の2倍の1024となる。
【0065】
また、サンプリングしようとする領域の元のデータ数が1024と一致しない場合は、その元データを間引いたり、あるいは補間したりすることで1024になるように調整を行えば良い。このような調整は、後述のフーリエ変換を用いる計算(高速フーリエ変換)を行う上で、データ数を2のべき乗に合わせることが、その計算の実行に都合が良いためである。上記では、サンプリング数を1024で検討したが、サンプリング数は、元データの数に応じて適宜設定すれば良く、必ずしも1024に限られるものではない。特に、元のデータ数が少ない場合、無理にデータ補間してデータを作り出すことは、誤差を増やすことなり好ましくない。その場合は、例えば512用、256用のネットワークを別途構築すれば良い。
【0066】
中間層は、100〜700程度のユニットを持っており、1つの層または複数の層から構成されている。各ユニットには、上位層に含まれる任意のユニットからの出力値が入力されており、公知のニューロンの機能に従って、その上位層のユニットからの出力値を処理し、その結果を下位層のユニットに出力する。
【0067】
出力層は、ユニットを1つ持っており、そのユニットが0〜1の数値範囲の出力値を出力する。入力層に入力される、診断対象である右肺部分における異常の有無について、出力層のユニットからの出力値は、この右肺部分において異常が有るか否かの確率を示している。例えば、その出力値が0に近ければ近いほど、右肺部分に異常が有ることの可能性が高いことを表し、その出力値が1に近ければ近いほど、異常が無いことの可能性が高いことを表している。
【0068】
このようにニューラルネットワーク17では、入力層のユニットは、中間層のユニットのみと結合し、中間層のユニットは、出力層のユニットのみと結合し、各々の結合には重み(Wij(12)、Wij(23))が設定されている。中間層のユニットは、入力層のユニットの全てと結合し、出力層のユニットは中間層のユニットの全てと結合している。
【0069】
ここで、ニューラルネットワーク17の学習について、その概要を説明する。
【0070】
一般に、ニューラルネットワークを作成しただけでは、入力層の各ユニットにデータを入力しても、出力層のユニットからの出力値が適切なものになることは無い。このため、上述したように、各ユニット間の重みを修正し、所望の出力値が出力層のユニットから出力されるように、ニューラルネットワークを学習させなければならない。
【0071】
本実施形態では、ニューラルネットワーク17の学習にバックプロパゲーションアルゴリズムを用いることができる。ニューラルネットワーク17の学習過程においては、各ユニット間の重みが、実際の出力値と所望の出力値との差が最小となるように、繰り返し修正される。この修正は、以下のルールに基づき実行される。
【0072】
ΔWji(n+1)=η(δpj×Opi)+αΔWji(n)
ここで、ΔWji(n+1)は(n+1)回目の修正量、nは繰返し回数、ηは学習係数(ここでは、0.05とした)、δpjは目標値と実際の出力値との差、Opiは目標値、αは慣性係数(ここでは、0.05とした)、ΔWji(n)は(n)回目の修正量である。
【0073】
(診断処理装置1)
次に、本実施形態の診断処理装置1について説明する。図1は、診断処理装置1の概略構成を示すブロック図である。診断処理装置1は、図1に示すように、学習用パターン生成部(学習用パターン生成手段)10aと、診断用パターン生成部(診断用パターン生成手段)10bと、入力部11と、学習処理部(学習処理手段)12と、テスト処理部(テスト処理手段)16と、ニューラルネットワーク17と、判定処理部(判定手段)18と、誤差算出部(誤差算出手段)19と、出力部20と、を備えている。
【0074】
なお、診断処理装置1は、自身がニューラルネットワーク17を必ずしも備えている必要は無い。例えば、診断処理装置1は、インターネット等の公知の通信回線を介して、ニューラルネットワーク17と接続し、通信回線を用いて、ニューラルネットワーク17とのデータのやり取りを行うようにしても良い。
【0075】
また、学習用パターン生成部10aと診断用パターン生成部10bとは、必ずしも別体として構成する必要は無い。例えば、学習用パターン生成部10aと診断用パターン生成部10bとを1つのパターン生成部とし、このパターン生成部が後述する学習用パターン及び診断用パターンのいずれも生成できるようにしても良い。
【0076】
入力部11には、胸部X線写真中の各画素の輝度情報が入力される。この入力部11に入力される各画素の輝度情報としては、予めデジタル化されたデジタルデータであっても良いし、アナログデータであっても良い。
【0077】
また、入力部11は、入力される各画素の輝度情報がアナログデータである場合には、公知のスキャナ等を用いて、各画素の輝度情報を読み込み、電子ファイル化(標本化、量子化)を行えば良い。
【0078】
そして、入力部11は、デジタルデータである、胸部X線写真中の各画素の輝度情報を学習用パターン生成部10aに出力する。
【0079】
また、入力部11には、後述するように、診断対象である右肺部分に異常が有るか否かを示す異常情報(異常有無情報)が予め明らかな胸部X線写真(学習用画像)中の各画素の輝度情報、または、診断対象である右肺部分に異常が有るか否かを示す異常情報が不明な胸部X線写真(診断用画像)中の各画素の輝度情報が入力される。そして、入力部11は、異常情報が予め明らかな胸部X線写真中の各画素の輝度情報が入力された場合には、その異常情報を学習処理部12に出力する。
【0080】
学習用パターン生成部10aは、デジタル化処理部13aと、サンプリング処理部14aと、フーリエ変換処理部15aと、有している。学習用パターン生成部10aには、後述の学習用パターンを生成する際に用いるサンプリング方法が予め設定されている。
【0081】
このサンプリング方法には、例えば、胸部X線写真の中における、診断対象(右肺部分)が占める診断対象領域が予め定められている。さらに、その定められている診断対象領域の中からデータをサンプリングする際におけるサンプリング条件、例えば、診断対象領域中でのサンプリングする方向(サンプリング方向)、サンプリングする幅(サンプリング幅)、サンプリングする間隔(サンプリング間隔)等が予め定められている。このサンプリング条件に従うサンプリングは、診断対象領域中の全画素の輝度情報を母集団とするサンプリングである。
【0082】
また、学習用パターン生成部10aには、診断対象である右肺部分に異常が有るか否かを示す異常情報(異常有無情報)が予め明らかな胸部X線写真(学習用画像)中の各画素の輝度情報が入力される。
【0083】
学習用パターン生成部10aのデジタル化処理部13aは、デジタルデータである胸部X線写真中の各画素の輝度情報を、入力部11から取得する。デジタル化処理部13aは、その各画素の輝度情報の中から、上述したサンプリング方法に定められている診断対象領域に含まれる画素を選択し、その選択された各画素の輝度情報を数値データとして読み出す。そして、デジタル化処理部13aは、その読み出した数値データをサンプリング処理部14aに出力する。
【0084】
学習用パターン生成部10aのサンプリング処理部14aは、診断対象領域に含まれる各画素の輝度情報を数値データとして読み出した値を用いて、診断対象領域中の全画素の輝度情報を母集団とするサンプリングを実行する。サンプリング処理部14aは、上述したサンプリング方法に定められているサンプリング条件に従って、数値データの抽出を行うことで、サンプリングデータ列を生成する。
【0085】
そして、サンプリング処理部14aは、自身が生成したサンプリングデータ列をフーリエ変換処理部15aに出力する。
【0086】
フーリエ変換処理部15aは、サンプリングデータ列をサンプリング処理部14aから取得する。フーリエ変換処理部15aは、サンプリングデータ列が入力されると、そのサンプリングデータ列に含まれる各データをフーリエ変換する。そうすることにより、フーリエ変換処理部15aに入力されたサンプリングデータ列が、周波数帯域パターンに従うパワースペクトルデータ列に変換されることになる。
【0087】
なお、パワースペクトルデータ列は、ここで計算に用いた高速フーリエ変換(離散フーリエ変換)の特徴から、後半分のデータ列が、列の中央を折り返し点として、前半分のデータ列に対して対称であるので、実質的に前半分のスペクトルだけが有効な結果となる。このため、上述したように、サンプリング処理部14aにより生成されるサンプリングデータ列のデータ数が1024であるのに対し、フーリエ変換処理部15aにより変換されるパワースペクトルデータ列のデータ数が、1024の半分の512となる理由である。
【0088】
そして、フーリエ変換処理部15aは、自身がフーリエ変換したサンプリングデータ列、すなわち、パワースペクトルデータ列をニューラルネットワーク17に出力する。そして、フーリエ変換後のサンプリングデータ列であるパワースペクトルデータ列の並びが、ニューラルネットワーク17に入力される学習用パターンとなる。
【0089】
ニューラルネットワーク17は、学習用パターン生成部10aから学習用パターンを取得する。ニューラルネットワーク17は、その学習用パターンを用いて、上述したような、自身の学習を実行する。
【0090】
具体的には、ニューラルネットワーク17は、学習用パターン生成部10aから入力されたパワースペクトルデータ列の各データを自身の入力層の各ユニットに入力する。パワースペクトルデータ列の各データと入力層の各ユニットは一対一に対応しており、そのため、上述したように、パワースペクトルデータ列のデータ数と入力層の各ユニットの数とが一致する。
【0091】
ニューラルネットワーク17は、入力層の各ユニットに対応するデータが入力されると、現時点における、入力層の各ユニットと中間層の各ユニットとの間の各重み、及び、中間層の各ユニットと出力層のユニットとの間の各重み、に従って、自身の演算処理の結果である出力値を出力層のユニットから出力する。
【0092】
そして、ニューラルネットワーク17は、自身の演算処理の結果である出力値を判定処理部18に出力する。
【0093】
判定処理部18は、ニューラルネットワーク17の出力値が入力されると、その出力値を用いて、診断対象である右肺部分における異常の有無を判定する。判定処理部18は、ニューラルネットワーク17の出力値が0に近ければ近いほど、右肺部分に異常が有ることの可能性が高いと判定し、その出力値が1に近ければ近いほど、異常が無いことの可能性が高いと判定する。本実施形態では、判定処理部18は、ニューラルネットワーク17の出力値が0に近ければ、右肺部分に異常が有ると判定し、その出力値が1に近ければ、異常が無いと判定する。
【0094】
そして、判定処理部18は、自身の判定結果を誤差算出部19及びテスト処理部16に出力する。
【0095】
誤差算出部19は、判定処理部18の判定結果が入力されると、その判定結果の対象である診断対象(右肺部分)における異常の有無を示す異常情報を学習処理部12から取得する。そして、誤差算出部19は、判定処理部18の判定結果と、学習処理部12から取得した異常情報が示す異常の有無との間に生じる誤差を算出する。
【0096】
具体的には、判定処理部18は、診断対象に異常有りと判定した場合には、ニューラルネットワーク17から入力された0に近い出力値を誤差算出部19に出力する。また、判定処理部18は、自身が異常無しと判定した場合には、ニューラルネットワーク17から入力された1に近い出力値を誤差算出部19に出力する。
【0097】
一方、学習処理部12は、異常情報が異常有りと示している場合には、0を誤差算出部19に出力する。また、学習処理部12は、異常情報が異常無しと示している場合には、1を誤差算出部19に出力する。
【0098】
そして、誤差算出部19は、判定処理部18から入力された0〜1の間の数値と、学習書処理部12から入力された0または1の数値との誤差を算出し、その算出された誤差を学習処理部12に出力する。
【0099】
学習処理部12は、誤差算出部19により算出された誤差を取得する。学習処理部12は、誤差算出部19から順次入力される誤差に関する誤差二乗和を算出し、その誤差二乗和が予め定められたしきい値より小さくなるように、すなわち、その誤差二乗和が収束するように、ニューラルネットワーク17の入力層の各ユニットと中間層の各ユニットとの間の各重み、及び、中間層の各ユニットと出力層のユニットとの間の各重み、を修正する。本実施形態では、この予め定められたしきい値を0.001とした。
【0100】
このようにして学習処理部12は、ニューラルネットワーク17を学習させることができる。
【0101】
また、学習処理部12は、誤差算出部19から順次入力される誤差に関する誤差二乗和が上記のしきい値より小さくなった時点で、その結果を出力部20に出力する。
【0102】
学習処理部12は、ニューラルネットワーク17の学習回数が予め定められた回数に達した場合、上記の誤差二乗和が上記のしきい値より小さくなる以前に、ニューラルネットワーク17の学習を終了させても良い。
【0103】
この場合であれば、ニューラルネットワーク17は、上記の誤差二乗和が予め定められたしきい値よりも小さくなるか、あるいは、予め定められた学習回数に達するまで、学習用パターン生成部10aにより生成される学習用パターンが繰り返し入力されることになる。
【0104】
テスト処理部16は、ニューラルネットワーク17の学習が終了した後に、学習用パターン生成部10aにより生成される学習用パターンをテスト用パターンとして用いて、学習済みのニューラルネットワーク17の出力値に基づく判定処理部18の判定結果の正しさを検証する。
【0105】
具体的には、テスト処理部16は、入力部11より、その学習用パターンの異常情報を取得しており、その異常情報が示す異常の有無に対し、判定処理部18の判定結果が正しいか否かを検証する。そして、テスト処理部16は、その検証結果を出力部20に出力する。
【0106】
診断用パターン生成部10bは、デジタル化処理部13bと、サンプリング処理部14bと、フーリエ変換処理部15bと、を有している。診断用パターン生成部10bは、学習用パターン生成部10aが学習用パターンを生成する際に用いるサンプリング方法と同一のサンプリング方法が予め設定されている。
【0107】
診断用パターン生成部10bには、診断対象である右肺部分に異常が有るか否かを示す異常情報(異常有無情報)が不明な胸部X線写真(診断用画像)中の各画素の輝度情報が入力される。
【0108】
診断用パターン生成部10bのデジタル化処理部13b、サンプリング処理部14b及びフーリエ変換処理部15bの各々の動作については、上述した学習用パターン生成部10aのデジタル化処理部13a、サンプリング処理部14a及びフーリエ変換処理部15aの各々の動作と同一であるので、ここでは説明を繰り返さない。
【0109】
要は、学習用パターン生成部10aと診断用パターン生成部10bとの差異は、学習用パターン生成部10aには、入力部11から、診断対象に異常が有るか否かを示す異常情報が予め明らかな学習用画像中の各画素の輝度情報が入力されるのに対し、診断用パターン生成部10bには、入力部11から、診断対象に異常が有るか否かを示す異常情報が不明な診断用画像中の各画素の輝度情報が入力される点である。
【0110】
出力部20は、学習処理部12、テスト処理部16及び判定処理部18の各々からの出力結果が入力されており、各出力結果を利用者に提示する。出力部20は、公知の表示装置、印刷装置を用いることができる。
【0111】
次に、診断処理装置1の動作について説明する。
【0112】
先ず、診断処理装置1の学習動作について説明する。図2は、診断処理装置1の学習動作の処理手順を示すフローチャートである。
【0113】
図2において、入力部11は学習用画像を取得する(ステップS101)。本ステップS101では、入力部11は、診断対象に異常が有るか否かを示す異常情報が予め明らかな学習用画像中の各画素の輝度情報を取得する。そして、入力部11は、取得された輝度情報を学習用パターン生成部10aのデジタル化処理部13aに出力する。
【0114】
次に、学習用パターン生成部10aのデジタル化処理部13aは、入力部11から入力された学習用画像中の各画素の輝度情報をデジタル化処理する(ステップS102)。本ステップS102では、デジタル化処理部13aは、上述したサンプリング方法に定められている診断対象領域に含まれる画素を選択し、その選択された各画素の輝度情報を数値データとして読み出す。そして、デジタル化処理部13aは、その読み出した数値データを学習用パターン生成部10aのサンプリング処理部14aに出力する。
【0115】
次に、サンプリング処理部14aは、デジタル化処理部13aから入力された数値データを用いてサンプリング処理を行う(ステップS103)。本ステップS103では、サンプリング処理14aは、デジタル化処理部13aから入力された、診断対象領域中の全画素の輝度情報を母集団とするサンプリングを実行する。より具体的には、サンプリング処理部14aは、上記のサンプリング方法に定められたサンプリング条件に従って数値データの抽出を行い、サンプリングデータ列を生成する。
【0116】
このサンプリング条件としては、例えば、図6に示すように、診断対象である右肺部分におけるAで示す縦方向の1本のサンプリングパターンであっても良いし、図7に示すように、診断対象であるBで示す右肺部分におけるCで示す縦方向、幅が1ピクセル、間隔が50ピクセルである3本のサンプリングパターンであっても良い。
【0117】
また、学習動作で用いられるサンプリング条件と、後述の診断動作で用いられるサンプリング条件とでは、1枚の写真からのサンプリングの本数が異なっていても良い。例えば、学習動作においては、上述したように、図6に示すように各写真から1本のサンプリングパターン、あるいは図7に示すような3本のサンプリングパターンで行い、診断動作においては、図8のFで示すように、更に多くのサンプリングパターンを使用しても良い。また、各サンプリングパターンの幅は、実測の寸法を基準に揃えても良いし、ドット数で合わせても良い。その際、図9のGで示すように、サンプリングパターンの幅が複数ドットG1、G2、G3に跨る場合には、各ドットG1、G2、G3の平均輝度を使用すれば良い。
【0118】
なお、上記の特許文献1に記載された微小石灰化物検出方法では、図7に示すように、例えば、Dで示す左肺部分におけるEで示す関心領域を見つけ、その関心領域を選択的に抽出する必要があった。このため、Dの左肺部分中における全画素の輝度情報を用いた演算処理が必要となり、演算処理に掛かる負荷は非常に大きなものであった。
【0119】
これに対し、診断処理装置1では、Bの右肺部分中における全画素の輝度情報からサンプリングされた複数本のサンプリングデータ列からなる複数のパターンを用いたニューラルネットワーク17による演算処理を順次行えばよく、異常が出た段階でそれ以降の演算を省略することも可能である。
【0120】
したがって、診断処理装置1によれば、必ずしも全てのデータを使う必要は無く、ニューラルネットワーク17による演算処理の負荷を従来よりも大幅に低減することができる。
【0121】
そして、サンプリング処理部14aは、その生成したサンプリングデータ列を学習用パターン生成部10aのフーリエ変換処理部15aに出力する。
【0122】
なお、図10に、サンプリング処理部14aにより生成されたサンプリングデータ列に含まれる各データの数値を示す。図10では、その横軸が各データのサンプリングの位置(position)、その縦軸が各データの数値(強度(intensity))である。ここで、横軸のデータ数は1024だが、グラフ上では最大値を1に規格化して表記している。
【0123】
次に、フーリエ変換処理部15aは、サンプリング処理部14aから入力されたサンプリングデータ列に含まれる各データをフーリエ変換処理する(ステップS104)。本ステップS104では、フーリエ変換処理部15aは、そのサンプリングデータ列を周波数帯域パターンに従うパワースペクトルデータ列に変換する。上述したように、このパワースペクトルデータ列の並びが学習用パターンである。
【0124】
なお、図11に、フーリエ変換処理部15aによりフーリエ変換されたパワースペクトルデータ列に含まれる各データのパワースペクトルを示す。図11では、その横軸が各データの周波数(Frequency)、その縦軸が各データのパワースペクトルである。この各データの周波数に対する各データのパワースペクトルのパターンが、学習用パターン生成部10aにより生成される学習用パターン、及び、診断用パターン生成部10bにより生成される診断用パターンである。なお、ここでは、ニューラルネットワーク17に入力する前処理として、フーリエ変換を用いて輝度データからなるパターンを変換したが、その他の変換方法として、一般的に知られたフィルター処理、例えば平滑化(平均、ガウシアン)、鮮鋭化(微分、2回微分)を用いたり、これら及び上述のフーリエ変換を併用したりしても良い。
【0125】
次に、フーリエ変換処理部15aは、その変換されたパワースペクトルデータ列をニューラルネットワーク17に出力する(ステップS105)。本ステップS105では、ニューラルネットワーク17の入力層を構成する各ユニットに、フーリエ変換処理部15aから入力されたパワースペクトルデータ列に含まれる各データがそれぞれ入力される。そして、ニューラルネットワーク17は、自身の演算処理結果である出力値を、自身の出力層を構成するユニットから出力する。ニューラルネットワーク17は、自身の出力値を判定処理部18に出力する。
【0126】
次に、判定処理部18は、ニューラルネットワーク17の出力値を用いて、診断対象の異常の有無を判定するための判定処理を行う(ステップS106)。本ステップS106では、判定処理部18は、例えば、ニューラルネットワーク17の出力値が0に近ければ、診断対象に異常が有ると判定し、その出力値が1に近ければ、診断対象に異常が無いと判定する。そして、判定処理部18は、その判定結果を誤差算出部19に出力する。
【0127】
次に、誤差算出部19は、判定処理部18から判定結果が入力されると、その判定結果と、学習処理部12から取得した異常情報が示す異常の有無との間に生じる誤差を算出する(ステップS107)。本ステップS107では、誤差算出部19は、自身が算出した誤差を学習処理部12に出力する。
【0128】
次に、学習処理部12は、誤差算出部19により算出された誤差が入力されると、その誤差が収束しているか否かを判断する(ステップS108)。本ステップS108では、学習処理部12は、誤差算出部19により算出された誤差が入力されると、その誤差と、既に入力されている誤差とを用いて、判定処理部18の判定結果と入力部11から取得した異常情報が示す異常の有無との間に生じる誤差についての誤差二乗和を算出する。
【0129】
そして、学習処理部12は、その誤差二乗和が予め定められたしきい値より小さければ、判定処理部18の判定結果についての誤差が収束したと判断する(ステップS108YES)。この場合、学習処理部12は、現時点におけるニューラルネットワーク17の上記の各重みを、学習済みのニューラルネットワーク17の上記の各重みとして決定する(ステップS110)。本ステップS110では、学習処理部12は、判定処理部18の判定結果についての誤差が収束したとの判断結果を出力部20に出力する。
【0130】
一方、学習処理部12は、その誤差二乗和が予め定められたしきい値以上であれば、判定処理部18の判定結果についての誤差は未だ収束していないと判断する(ステップS108NO)。この場合、学習処理部12は、ニューラルネットワーク17の上記の各重みを修正する(ステップS109)。本ステップS109では、学習処理部12は、判定処理部18の判定結果についての誤差が未だ収束していないとの判断結果を出力部20に出力しても良い。
【0131】
その後、再び、上記のステップS105に戻り、次の学習用パターンが学習用パターン生成部10aにより生成され、その次の学習用パターンがニューラルネットワーク17に入力されることになる(ステップS105)。
【0132】
なお、学習処理部12は、判断処理部18の判断結果についての誤差が未だ収束していないとの判断を下すべき場合であっても、上述したように、ニューラルネットワーク17に対する学習の回数が予め定められた回数に達した場合には、現時点におけるニューラルネットワーク17の上記の各重みを、学習済みのニューラルネットワーク17の上記の各重みとして決定する(ステップS110)。
【0133】
このようにして診断処理装置1の学習動作が終了する。
【0134】
なお、図12に、ニューラルネットワーク17の学習回数と学習処理部12により算出された誤差二乗和との関係を示す。図12では、その横軸が、学習処理部12が学習用パターン生成部10aにより生成された学習用パターンを用いて行ったニューラルネットワーク17の学習回数(Learning Iterations)、その縦軸が、学習処理部12が誤差算出部19により算出された誤差を用いて算出した誤差二乗和(Square Error)である。また、図中のFFT有で示す3本のグラフは、フーリエ変換処理部15aにより変換されたパワースペクトルデータ列を用いてニューラルネットワーク17を学習させた場合(ここでは、「フーリエ変換有りの場合」と呼ぶ。)に対応し、図中のFFT無で示す3本のグラフは、サンプリング処理部14aにより生成されたサンプリングデータ列をフーリエ変換することなく用いて、ニューラルネットワーク17を学習させた場合(ここでは、「フーリエ変換無しの場合」と呼ぶ。)に対応する。
【0135】
図12に示すように、フーリエ変換有りの場合、ニューラルネットワーク17の学習を3回試行したところ、いずれも1万回程度の学習回数で上述した誤差がしきい値より小さくなっている。すなわち、ニューラルネットワーク17は学習処理部12による学習に対して正常に収束することが分かる。
【0136】
一方、フーリエ変換無しの場合においても、ニューラルネットワーク17の学習を3回試行したが、いずれも学習回数を増やせば上記の誤差は減少する傾向にあるものの、フーリエ変化有りの場合と比べると、その誤差を収束させるまでに時間が長く、つまり、学習回数が多くなっていることが分かる。
【0137】
このことから、フーリエ変換処理部15aにより変換されたパワースペクトルデータ列を用いてニューラルネットワーク17を学習させたほうが、ニューラルネットワーク17の学習回数を低減できるという観点から、好ましい。
【0138】
また、図13に、判定処理部18による判定処理におけるしきい値(Threshold Value)と、判定処理部18の判定結果に関する、異常を受け入れたエラー率(異常有りを異常無しとみなしたエラー率)(False Acceptance Rate)及び異常を拒否したエラー率(異常無しを異常有りとみなしたエラー率)(False Rejection Rate)との関係を示す。
【0139】
なお、判定処理部18による判定処理におけるしきい値とは、次に述べるものである。
【0140】
上述したように、判定処理部18は、ニューラルネットワーク17の出力値が0に近ければ、診断対象に異常が有ると判定し、その出力値が1に近ければ、診断対象に異常が無いと判定している。この判定の際、実際には、0〜1の間の値を持つしきい値が設定されており、そのしきい値を基準として出力値が0に近いのか1に近いのかが判定されている。
【0141】
また、図13においては、ニューラルネットワーク17の中間層(Hidden Layer)のユニット数として100、300、700が採用されている。
【0142】
図13から分かるように、ニューラルネットワーク17の中間層のユニット数が100の場合、異常を受け入れたエラー率及び異常を拒否したエラー率の交差部において、各々のエラー率が10%以上もあり、判定処理部18は正しく判定できているとは言えない。
【0143】
これに対し、中間層のユニット数が300、700の場合、しきい値の広い範囲で、2つのエラー率がゼロとなっており、判定処理部18は正しく判定できていると言える。
【0144】
このことから、ニューラルネットワーク17の中間層のユニット数は300以上が好ましい。
【0145】
次に、診断処理装置1のテスト動作について説明する。図3は、診断処理装置1のテスト動作の処理手順を示すフローチャートである。
【0146】
図3において、入力部11は、テスト用画像として用いられる学習用画像を取得する(ステップS201)。本ステップS201では、入力部11は、診断対象に異常が有るか否かを示す異常情報が予め明らかなテスト用画像中の各画素の輝度情報を取得する。そして、入力部11は、取得された輝度情報を学習用パターン生成部10aのデジタル化処理部13aに出力する。
【0147】
次に、学習用パターン生成部10aのデジタル化処理部13aは、入力部11から入力されたテスト用画像中の各画素の輝度情報をデジタル化処理する(ステップS202)。本ステップS202では、デジタル化処理部13aは、上述したサンプリング方法に定められている診断対象領域に含まれる画素を選択し、その選択された各画素の輝度情報を数値データとして読み出す。そして、デジタル化処理部13aは、その読み出した数値データを学習用パターン生成部10aのサンプリング処理部14aに出力する。
【0148】
次に、サンプリング処理部14aは、デジタル化処理部13aから入力された数値データを用いてサンプリング処理を行う(ステップS203)。本ステップS203では、サンプリング処理14aは、デジタル化処理部13aから入力された、診断対象領域中の全画素の輝度情報を母集団とするサンプリングを実行する。より具体的には、サンプリング処理部14aは、上記のサンプリング方法に定められたサンプリング条件に従って数値データの抽出を行い、サンプリングデータ列を生成する。そして、サンプリング処理部14aは、その生成したサンプリングデータ列を学習用パターン生成部10aのフーリエ変換処理部15aに出力する。
【0149】
次に、フーリエ変換処理部15aは、サンプリング処理部14aから入力されたサンプリングデータ列に含まれる各データをフーリエ変換処理する(ステップS204)。本ステップS204では、フーリエ変換処理部15aは、そのサンプリングデータ列を周波数帯域パターンに従うパワースペクトルデータ列に変換する。このパワースペクトルデータ列の並びがテスト用パターンである。
【0150】
次に、フーリエ変換処理部15aは、その変換されたパワースペクトルデータ列をニューラルネットワーク17に出力する(ステップS205)。本ステップS205では、ニューラルネットワーク17の入力層を構成する各ユニットに、フーリエ変換処理部15aから入力されたパワースペクトルデータ列に含まれる各データがそれぞれ入力される。そして、ニューラルネットワーク17は、自身の演算処理結果である出力値を、自身の出力層を構成するユニットから出力する。ニューラルネットワーク17は、自身の出力値を判定処理部18に出力する。
【0151】
次に、判定処理部18は、ニューラルネットワーク17の出力値を用いて、診断対象の異常の有無を判定するための判定処理を行う(ステップS206)。本ステップS206では、判定処理部18は、例えば、ニューラルネットワーク17の出力値が0に近ければ、診断対象に異常が有ると判定し、その出力値が1に近ければ、診断対象に異常が無いと判定する。そして、判定処理部18は、その判定結果をテスト処理部16に出力する。
【0152】
次に、テスト処理部16は、判定処理部18の判定結果の良否を検証する(ステップS207)。本ステップS207では、テスト処理部16は、判定処理部18から判定結果が入力されると、その判定結果を、入力部11から取得した異常情報が示す異常の有無と比較し、判定処理部18の判定結果の良否を検証する。
【0153】
そして、テスト処理部16は、判定処理部の判定結果の検証結果を出力部20に出力する(ステップS208)。
【0154】
このようにして診断処理装置1のテスト動作が終了する。
【0155】
次に、診断処理装置1の診断動作について説明する。図4は、診断処理装置1の診断動作の処理手順を示すフローチャートである。
【0156】
図4において、入力部11は、診断用画像を取得する(ステップS301)。本ステップS301では、入力部11は、診断対象に異常が有るか否かを示す異常情報が不明な診断用画像中の各画素の輝度情報を取得する。そして、入力部11は、取得された輝度情報を診断用パターン生成部10bのデジタル化処理部13bに出力する。
【0157】
次に、診断用パターン生成部10bのデジタル化処理部13bは、入力部11から入力された診断用画像中の各画素の輝度情報をデジタル化処理する(ステップS302)。本ステップS302では、デジタル化処理部13bは、学習用パターン生成部10aが用いたサンプリング方法と同一のサンプリング方法に定められている診断対象領域に含まれる画素を選択し、その選択された各画素の輝度情報を数値データとして読み出す。そして、デジタル化処理部13bは、その読み出した数値データを診断用パターン生成部10bのサンプリング処理部14bに出力する。
【0158】
次に、サンプリング処理部14bは、デジタル化処理部13bから入力された数値データを用いてサンプリング処理を行う(ステップS303)。本ステップS303では、サンプリング処理14bは、デジタル化処理部13bから入力された、診断対象領域中の全画素の輝度情報を母集団とするサンプリングを実行する。より具体的には、サンプリング処理部14bは、上記のサンプリング方法に定められたサンプリング条件に従って数値データの抽出を行い、サンプリングデータ列を生成する。そして、サンプリング処理部14bは、その生成したサンプリングデータ列を診断用パターン生成部10bのフーリエ変換処理部15bに出力する。
【0159】
次に、フーリエ変換処理部15bは、サンプリング処理部14bから入力されたサンプリングデータ列に含まれる各データをフーリエ変換処理する(ステップS304)。本ステップS304では、フーリエ変換処理部15bは、そのサンプリングデータ列を周波数帯域パターンに従うパワースペクトルデータ列に変換する。このパワースペクトルデータ列の並びが診断用パターンである。
【0160】
次に、フーリエ変換処理部15bは、その変換されたパワースペクトルデータ列をニューラルネットワーク17に出力する(ステップS305)。本ステップS305では、ニューラルネットワーク17の入力層を構成する各ユニットに、フーリエ変換処理部15bから入力されたパワースペクトルデータ列に含まれる各データがそれぞれ入力される。そして、ニューラルネットワーク17は、自身の演算処理結果である出力値を、自身の出力層を構成するユニットから出力する。ニューラルネットワーク17は、自身の出力値を判定処理部18に出力する。
【0161】
次に、判定処理部18は、ニューラルネットワーク17の出力値を用いて、診断対象の異常の有無を判定するための判定処理を行う(ステップS306)。本ステップS306では、判定処理部18は、例えば、ニューラルネットワーク17の出力値が0に近ければ、診断対象に異常が有ると判定し、その出力値が1に近ければ、診断対象に異常が無いと判定する。
【0162】
そして、判定処理部18は、その判定結果を出力部20に出力する(ステップS307)。
【0163】
このようにして診断処理装置1の診断動作が終了する。
【0164】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施形態2について説明する。上記の実施形態1の診断処理装置1では、胸部X線写真中の診断対象における異常の内容的特徴として、診断対象における異常の有無を採用した実施形態であった。
【0165】
これに対し、本実施形態では、診断対象における異常の内容的特徴として、異常の有無に加えて、その異常の要因である病気の病名も採用する実施形態である。
【0166】
本実施形態に係る診断処理装置と上記の実施形態1に係る診断処理装置1とが異なる点は、上記の実施形態1では図5に示したニューラルネットワーク17を用いるのに対し、本実施形態では図14に示すニューラルネットワーク17aを用いる点である。以下、この異なる点について説明するものとし、その他の点についてはここでは説明を繰り返さない。
【0167】
図14は、本実施形態に係る診断処理装置に用いられるニューラルネットワーク17aの概略構成を示す。図14に示すように、ニューラルネットワーク17aは、図5に示したニューラルネットワーク17とは異なり、その出力層のユニットが異常の要因となる病気の病名毎に設けられている。
【0168】
本実施形態の診断処理装置では、入力部11を介して学習用パターン生成部10aには、診断対象(例えば、右肺部分)に異常が有るか否かを示す異常情報(異常有無情報)に加えて、その異常の要因となる病気の病名を示す異常情報(病名情報)が予め明らかな学習用画像(例えば、胸部X線写真)が入力される。
【0169】
また、入力部11を介して診断用パターン生成部10bには、上記の異常有無情報及び病名情報のいずれも不明な診断用画像が入力され、学習処理部12は、上記の異常有無情報及び病名情報が予め明らかな学習用画像に応じた学習用パターンを用いて、ニューラルネットワーク17aを学習させればよい。
【0170】
本実施形態に係る診断処理装置では、診断対象における異常の有無に加えて、その異常の要因となる病気の病名も併せて診断することができる。
【0171】
なお、本実施形態に係る診断処理装置では、図14に示したニューラルネットワーク17aに代えて、図15に示すニューラルネットワーク17bを用いることができる。図15のニューラルネットワーク17bでは、病気の病名毎に1つのニューラルネットワーク21a、21bが設けられている。図15の例では、例えば、ニューラルネットワーク21aが病名Aに対応しており、ニューラルネットワーク21bが病名Bに対応している。
【0172】
そして、各ニューラルネットワーク21a、21bは、図5に示したニューラルネットワーク17と同様、その出力層は1つのユニットから構成されている。
【0173】
図15に示すように、例えば、先ず、病名Aの病気に関し、ニューラルネットワーク21aを用いて異常の有無が判定される。そして、ニューラルネットワーク21aを用いた判定結果が異常有りであれば、病名Aの病気の可能性有りと診断すれば良い。
【0174】
一方、ニューラルネットワーク21aを用いた判定結果が異常無しであれば、次に、ニューラルネットワーク21bを用いて異常の有無が判定される。
【0175】
そして、ニューラルネットワーク21bを用いた判定結果が異常有りであれば、病名Bの病気の可能性有りと診断すれば良い。
【0176】
一方、ニューラルネットワーク21bを用いた判定結果が異常無しであれば、病名Aの病気、病名Bの病気のいずれも無いと診断すれば良い。
【0177】
(実施の形態3)
次に、本発明の実施形態3について説明する。本実施形態は、上記の実施形態2に係る診断処理装置に用いられたニューラルネットワークを人体の部位毎に設けた実施形態である。
【0178】
本実施形態に係る診断処理装置と上記の実施形態2に係る診断処理装置とが異なる点は、上記の実施形態2では図14、図15に示したニューラルネットワーク17a、17bを用いるのに対し、本実施形態では図16に示すニューラルネットワーク17cを用いる点である。以下、この異なる点について説明するものとし、その他の点についてはここでは説明を繰り返さない。
【0179】
本実施形態に係る診断処理装置では、図16に示すように、人体の部位毎に1つのニューラルネットワーク22a、22b、22cが設けられている。例えば、ニューラルネットワーク22aが人体の肺部分に関する異常の有無及び、その異常の要因となる病気の病名について判定するために用いられ、ニューラルネットワーク22bが人体の胃部分に関する異常の有無及び、その異常の要因となる病気の病名について判定するために用いられ、ニューラルネットワーク22cが人体の脳部分に関する異常の有無及び、その異常の要因となる病気の病名について判定するために用いられるの如くである。
【0180】
本実施形態に係る診断処理装置では、人体の部位毎に診断結果を得ることができるとともに、例えば、各部位毎の診断結果を患者毎にまとめれば良い。そうすることにより、患者毎に人体の各部位毎についての診断結果が得られるため、患者の人体全体での状態が分かることとなり、医者にとっては非常に有効な診断支援システムを構築することができる。
【0181】
(実施の形態4)
次に、本発明の実施形態4について説明する。図17は、本発明の実施形態4に係る分類処理装置100の概略構成を示すブロック図である。
【0182】
分類処理装置100は、図17に示すように、ニューラルネットワーク117を用いて、画像から得られるパターンを用いて、前記画像を複数のグループに分類する分類処理装置であって、前記画像から得られるパターンの内容的特徴を示すパターン情報が予め明らかな学習用画像をデジタル化処理し、予め定められたサンプリング方法を用いて、デジタル化処理された学習用画像のデータをサンプリングして、そのサンプリングデータ列の並びを表す学習用パターンを生成する学習用パターン生成部(学習用パターン生成手段)110aと、学習用パターン生成部により生成された複数の学習用パターンを用いて、ニューラルネットワーク117に学習させる学習処理部(学習処理手段)112と、前記パターン情報が不明な分類用画像をデジタル化処理し、前記サンプリング方法を用いて、デジタル化処理された分類用画像のデータをサンプリングして、そのサンプリングデータ列の並びを表す分類用パターンを生成する分類用パターン生成部(分類用パターン生成手段)110bと、分類用パターン生成部110bにより生成された分類用パターンを、学習処理部112による学習が行われた学習済みニューラルネットワーク117に入力して、その学習済みニューラルネットワーク117からの出力値に基づいて、前記パターン情報が示すパターンの内容的特徴を判定する判定処理部(判定手段)121と、判定処理部121による判定結果から前記画像を分類する分類部(分類手段)121とを備える。
【0183】
分類処理装置100では、学習用パターン生成部110aは、画像から得られるパターンの内容的特徴を示すパターン情報が利用者に予め明らかとなっている分類用画像を学習用画像として用い、学習用画像をデジタル化処理する。学習用パターン生成部110aは、そのデジタル化処理された学習用画像から、例えば画像中における縦方向の一列といった、あらかじめ定められたサンプリング方法を用いて、そのデジタル化処理された学習用画像のデータをサンプリングする。学習用パターン生成部110aは、そのサンプリングしたデータから学習用パターンを生成する。
【0184】
学習処理部112は、学習用パターン生成部110aが生成する複数の学習用パターンを用いて、ニューラルネットワーク117に学習させる。ニューラルネットワーク117は、学習処理部112による複数の学習用パターンを用いた学習が行なわれることで、学習済みのニューラルネットワーク117となる。
【0185】
分類用パターン生成部110bは、パターン情報が利用者に不明である分類用画像をデジタル化処理し、そのデジタル化処理された分類用画像から、学習用パターン生成部110aが用いたサンプリング方法と同一のサンプリング方法を用いて、そのデジタル化処理された分類用画像のデータをサンプリングする。分類用パターン生成部110bは、そのサンプリングしたデータから分類用パターンを生成する。
【0186】
判定処理部118は、分類用パターン生成部110bが生成する分類用パターンが学習済みのニューラルネットワークに入力されると、その出力値に基づいて、そのパターン情報が示すパターンの内容的特徴を判定し、その判定結果を分類部121に出力する。
【0187】
そして、分類部121は、その判定結果から画像を複数のグループに分類する。
【0188】
このようにして分類処理装置100では、分類用画像をデジタル化処理し、そのデジタル化処理された分類用画像からデータをサンプリングして生成した分類用パターンを用いて、画像のパターン情報が示すパターンの内容的特徴を判定することができる。
【0189】
また、分類処理装置121では、画像からサンプリングされた少量のデータを用いてニューラルネットワークによる演算処理を行うので、ニューラルネットワークによる演算処理の負荷を大幅に低減することができる。
【0190】
なお、学習用パターン生成部110aは、デジタル化処理部113aと、サンプリング処理部114aと、フーリエ変換処理部115aと、有している。デジタル化処理部113a、サンプリング処理部114a、及び、フーリエ変換処理部115aの動作については、図1のデジタル化処理部13a、サンプリング処理部14a、及び、フーリエ変換処理部15aの動作と同様である。
【0191】
分類用パターン生成部110bは、デジタル化処理部113bと、サンプリング処理部114bと、フーリエ変換処理部115bと、有している。デジタル化処理部113b、サンプリング処理部114b、及び、フーリエ変換処理部115bの動作については、図1のデジタル化処理部13b、サンプリング処理部14b、及び、フーリエ変換処理部15bの動作と同様である。
【0192】
誤差算出部119及び出力部120の動作についても、図1の誤差算出部19及び出力部20の動作と同様である。
【0193】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0194】
最後に、診断処理装置1の各ブロックは、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0195】
すなわち、診断処理装置1は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、前記プログラムを格納したROM(read only memory)、前記プログラムを展開するRAM(random access memory)、前記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)等を備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである診断処理装置1の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、前記診断処理装置1に供給し、そのコンピュータ(又はCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0196】
前記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやコンパクトディスク−ROM/MO/MD/デジタルビデオデイスク/コンパクトディスク−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系等を用いることができる。
【0197】
また、診断処理装置1を通信ネットワークと接続可能に構成し、前記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、前記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【産業上の利用可能性】
【0198】
本発明は、画像から異常を精度よく、しかも簡単に抽出できる診断処理装置、診断処理システム、診断処理方法、診断処理プログラム及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体、並びに、分類処理装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0199】
1 診断処理装置
10a、110a 学習用パターン生成部(学習用パターン生成手段)
10b 診断用パターン生成部(診断用パターン生成手段)
11、111 入力部
12、112 学習処理部(学習処理手段)
13a、13b、113a、113b デジタル化処理部
14a、14b、114a、114b サンプリング処理部
15a、15b、115a、115b フーリエ変換部
16、116 テスト処理部(テスト処理手段)
17、17a、17b、17c、21a、21b、22a、22b、22c、117 ニューラルネットワーク
18、118 判定処理部(判定手段)
19、119 誤差算出部(誤差算出手段)
20、120 出力部
121 分類部
100 分類処理装置
110b 分類パターン生成部(分類パターン生成手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニューラルネットワークを用いて、診断対象の異常を診断する診断処理装置であって、
前記診断対象の異常の内容的特徴を示す異常情報が予め明らかな学習用画像をデジタル化処理し、予め定められたサンプリング方法を用いて、デジタル化処理された学習用画像のデータをサンプリングして、そのサンプリングデータ列の並びを表す学習用パターンを生成する学習用パターン生成手段と、
前記学習用パターン生成手段により生成された複数の学習用パターンを用いて、前記ニューラルネットワークに学習させる学習処理手段と、
前記異常情報が不明な診断用画像をデジタル化処理し、前記サンプリング方法を用いて、デジタル化処理された診断用画像のデータをサンプリングして、そのサンプリングデータ列の並びを表す診断用パターンを生成する診断用パターン生成手段と、
前記診断用パターン生成手段により生成された診断用パターンを、前記学習処理手段による学習が行われた学習済みニューラルネットワークに入力して、その学習済みニューラルネットワークからの出力値に基づいて、前記異常情報が示す異常の内容的特徴を判定する判定手段と
を備えることを特徴とする診断処理装置。
【請求項2】
前記サンプリング方法では、前記学習用画像及び前記診断用画像の各々に関して、前記診断対象が占める診断対象領域を定めると共に、その定められた診断対象領域の中からデータをサンプリングする際における、前記診断対象領域中でのサンプリング方向、サンプリング幅、及び、サンプリング間隔のうちの少なくとも1つを定めることを特徴とする請求項1に記載の診断処理装置。
【請求項3】
前記学習用パターン生成手段及び診断用パターン生成手段は、各々が前記サンプリング方法を用いてサンプリングしたデータを、フーリエ変換することで、周波数帯域パターンに従うパワースペクトルデータ列の並びを表す前記学習用パターン及び診断用パターンを生成することを特徴とする請求項1または2に記載の診断処理装置。
【請求項4】
前記複数の学習用パターンの各々についての前記異常情報が示す異常の内容的特徴と、前記複数の学習用パターンの各々に対応する前記判定手段の判定結果との間に生じる誤差を算出する誤差算出手段をさらに備えており、
前記ニューラルネットワークは、入力層と、中間層と、出力層とがこの順で、前記入力層側から前記出力層側の方向に、各層間が結合されて構成されており、1つの入力値が前記入力層に入力されたとき所望の出力値が前記出力層から出力されるように、前記入力層と前記中間層との間の結合の重み及び前記中間層と前記出力層との間の結合の重みが学習させられるものであり、
前記学習処理手段は、前記複数の学習用パターンの各々についての前記異常情報が示す異常の内容的特徴と、前記複数の学習用パターンの各々に対応する前記判定手段の判定結果とを一致させるべく、前記誤差算出手段により算出される誤差が収束する方向に向かうように、前記ニューラルネットワークにおける、前記入力層と前記中間層との間の結合の重み及び前記中間層と前記出力層との間の結合の重みを学習させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の診断処理装置。
【請求項5】
前記学習処理手段は、前記誤差算出手段により算出される誤差の大きさが、予め定められたしきい値よりも小さくなるまで前記ニューラルネットワークの学習を繰り返すことを特徴とする請求項4に記載の診断処理装置。
【請求項6】
前記異常情報は、前記診断対象の異常の有無を示す異常有無情報を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の診断処理装置。
【請求項7】
前記異常情報は、前記診断対象の異常の要因である病気の病名を示す病名情報をさらに含むことを特徴とする請求項6に記載の診断処理装置。
【請求項8】
前記ニューラルネットワークの出力層は、2つ以上の前記病名情報の各々に対応する2つ以上の出力層ユニットからなることを特徴とする請求項7に記載の診断処理装置。
【請求項9】
前記ニューラルネットワークは、2つ以上の前記病名情報の各々に対応する2つ以上の病名別ニューラルネットワークを含むことを特徴とする請求項7に記載の診断処理装置。
【請求項10】
人体の部位ごとに、診断対象の異常を診断する2つ以上の請求項1〜9のいずれか1項に記載の診断処理装置を備えることを特徴とする診断処理システム。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の診断処理装置における各手段としてコンピュータを動作させるための診断処理プログラム。
【請求項12】
請求項11に記載の診断処理プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項13】
ニューラルネットワークを用いて、診断対象の異常を診断する診断処理方法であって、
前記診断対象の異常の内容的特徴を示す異常情報が予め明らかな学習用画像をデジタル化処理し、予め定められたサンプリング方法を用いて、デジタル化処理された学習用画像のデータをサンプリングして、そのサンプリングデータ列の並びを表す学習用パターンを生成する学習用パターン生成工程と、
前記学習用パターン生成工程にて生成された複数の学習用パターンを用いて、ニューラルネットワークに学習させる学習処理工程と、
前記異常情報が不明な診断用画像をデジタル化処理し、前記サンプリング方法を用いて、デジタル化処理された診断用画像のデータをサンプリングして、そのサンプリングデータ列の並びを表す診断用パターンを生成する診断用パターン生成工程と、
前記診断用パターン生成工程にて生成された診断用パターンを、前記学習処理工程にて学習が行われた学習済みニューラルネットワークに入力して、その学習済みニューラルネットワークからの出力値に基づいて、前記異常情報が示す異常の内容的特徴を判定する判定工程と
を含むことを特徴とする診断処理方法。
【請求項14】
ニューラルネットワークを用いて、画像から得られるパターンを用いて、前記画像を複数のグループに分類する分類処理装置であって、
前記画像から得られるパターンの内容的特徴を示すパターン情報が予め明らかな学習用画像をデジタル化処理し、予め定められたサンプリング方法を用いて、デジタル化処理された学習用画像のデータをサンプリングして、そのサンプリングデータ列の並びを表す学習用パターンを生成する学習用パターン生成手段と、
前記学習用パターン生成手段により生成された複数の学習用パターンを用いて、前記ニューラルネットワークに学習させる学習処理手段と、
前記パターン情報が不明な分類用画像をデジタル化処理し、前記サンプリング方法を用いて、デジタル化処理された分類用画像のデータをサンプリングして、そのサンプリングデータ列の並びを表す分類用パターンを生成する分類用パターン生成手段と、
前記分類用パターン生成手段により生成された分類用パターンを、前記学習処理手段による学習が行われた学習済みニューラルネットワークに入力して、その学習済みニューラルネットワークからの出力値に基づいて、前記パターン情報が示すパターンの内容的特徴を判定する判定手段と、
前記判定手段による判定結果から前記画像を分類する分類手段と
を備えることを特徴とする分類処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−235796(P2012−235796A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−215843(P2009−215843)
【出願日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【出願人】(504150461)国立大学法人鳥取大学 (271)
【Fターム(参考)】