説明

診断方法

本発明は全体として、免疫学に基づく診断アッセイ法の分野に関する。より具体的には、本発明は、細胞性免疫応答反応性を測定するための方法を企図する。本発明はさらに、疾患または障害を検出またはモニターするために細胞性免疫応答に基づくアッセイ法を企図する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
出願データ
本出願は、その全内容が参照により本明細書に組み入れられる、2008年7月25日に提出された米国特許仮出願第61/083,872号に関連し、その優先権を主張する。
【0002】
分野
本発明は全体として、免疫学に基づく診断アッセイ法の分野に関する。より詳しくは、本発明は、細胞性免疫応答反応性を測定するための方法を企図する。本発明は、疾患または状態を検出またはモニターするために細胞性免疫応答に基づくアッセイ法をさらに企図する。
【背景技術】
【0003】
背景
本明細書において著者が言及する刊行物の参照文献詳細は、記載の最後にアルファベット順に集められている。
【0004】
本明細書におけるいかなる先行技術に対する参照も、この先行技術が、任意の国の共通の一般的知識の一部を形成するという認識またはいかなる形の示唆としてとるものではなくかつとるべきものではない。
【0005】
免疫学に基づく診断法は、多様な疾患状態の検出における重要なツールを提供する。これは、特に、免疫システムにおける構成要素の特異性を考慮すれば事実である。この特異性にもかかわらず、免疫学に基づく診断は、低グレードの感染症に対する応答または持続的な低レベル感染症の存在下などにおける低レベル免疫活性を検出するほど必ずしも常に感度が高い訳ではない。感度が増強された診断アッセイ法を開発する必要がある。
【0006】
免疫学に基づく診断アッセイ法の1つの型は、単離された細胞培養物または全血培養物のいずれかにおいて抗原またはマイトゲンによってT細胞を刺激した後に、活性化T細胞(エフェクターT細胞とも呼ばれる)によって産生されたサイトカインなどのエフェクター分子の検出を含む。エフェクター分子は一般的に、酵素イムノアッセイ法、多項目ビーズ分析、ELISpotおよびフローサイトメトリーなどの技術を用いて検出される。そのようなアッセイ法は、疾患特異的なT細胞応答を検出するために有用である。
【0007】
前記アッセイ法の1つの型において、T細胞応答は、全血を用いて比較的短期間で、典型的に24時間未満で測定される。そのようなアッセイ法は、結核感染症の診断において有用である。しかし、これらのタイプのアッセイ法の妨げとなる障害は、エフェクターT細胞応答を抑制する調節性T細胞(T-reg細胞)の影響である。T-reg細胞の選択的枯渇を必要とする方法が開発されているが、これらは時間がかかり、定量的分析能を低減させ、かつ感度を低減させる。これらの方法はまた、免疫応答を増強するT細胞を考慮していない。
【0008】
改善された免疫細胞媒介に基づくアッセイ法が必要である。そのようなアッセイ法は、被験者における広範囲の疾患および状態を検出またはモニターするために、ならびに治療プロトコールをモニターするために有用である。
【発明の概要】
【0009】
概要
本発明は、増強されたエフェクター分子産生により細胞性免疫応答活性を検出するための方法を提供する。細胞の単離段階および枯渇段階も行われてもよいが、本発明のアッセイ法は、面倒な細胞の単離段階または枯渇段階を必要としない全血を用いて行われうる。本発明のアッセイ法は、増強された感度を示す。1つの態様において、エフェクターT細胞を、T細胞および特にT-reg細胞の活性または機能を調節する作用物質の後にまたは作用物質と同時に、査定される疾患または状態に関連する抗原に接触させる。本発明の方法は、病原体による感染症、自己免疫疾患、癌、および炎症状態などの、被験者における疾患または状態のレベルまたは病期が含まれる、疾患または状態を検出またはモニターするために特に有用である。他の状態には、ベリリウムなどの毒物への曝露が含まれる。本発明のアッセイ法はまた、治療プロトコールをモニターするためにも有用である。
【0010】
したがって、本発明の1つの局面は、被験者における細胞性免疫応答活性を測定するための方法であって、該被験者からのT細胞源を、T細胞またはそのサブセットの機能もしくは活性を調節する作用物質と、細胞性免疫応答が試験される抗原とに接触させる段階、およびT細胞からの免疫エフェクター分子の存在またはレベルの上昇を測定する段階であって、該免疫エフェクター分子の存在またはレベルが該被験者の細胞性応答性のレベルを示している段階を含む、方法を企図する。
【0011】
本発明の別の局面は、被験者における細胞性免疫応答活性を測定するための方法であって、該被験者からのT細胞源を、T細胞またはそのサブセットの機能または活性を調節する作用物質と、細胞性免疫応答が試験される抗原とに接触させる段階、ならびにT細胞からの免疫エフェクター分子の存在またはレベルの上昇を測定する段階であって、該免疫エフェクター分子の存在またはレベルが、該被験者の細胞性応答性のレベルを示し、該応答性のレベルが、病原体による感染症、自己免疫疾患、癌、炎症状態、および毒物への曝露を含む一覧から選択される疾患または状態の存在、非存在、レベル、または病期を示している段階を含む、方法を提供する。
【0012】
本発明のなお別の局面は、被験者における疾患または状態の存在、非存在、レベル、または病期を検出するためのアッセイ法を企図し、方法は、該被験者からのT細胞源を、T細胞またはそのサブセットの機能または活性を調節する作用物質と、細胞性免疫応答が試験される抗原とに接触させる段階、およびT細胞からの免疫エフェクター分子の存在またはレベルの上昇を測定する段階であって、該免疫エフェクター分子の存在またはレベルが該疾患または該状態を示している段階を含む。
【0013】
本発明のさらになお別の局面は、被験者における疾患または状態に関する治療プロトコールに対する応答をモニターするための方法であって、該被験者からのT細胞源を治療プロトコールにおいて用いられる作用物質に接触させる段階、およびT細胞からの免疫エフェクター分子の存在またはレベルの上昇を測定する段階であって、該免疫エフェクター分子の存在またはレベルが該治療プロトコールの効力を示している段階を含む、方法を提供する。
【0014】
本発明の方法はまた、「アッセイ法」と呼ばれてもよい。本明細書におけるアッセイ法は、中でも被験者の一般的な免疫応答性を査定するために、または自己免疫疾患、セリアック病、癌、もしくは病原性生物もしくは病原体による感染症などの特異的疾患状態に対する応答性を検出するために有用である。T細胞源は、簡便には全血であるが、本発明は、T細胞を含む分画された試料のみならず細胞の単離および/または枯渇を受けている試料も含まれる任意のT細胞源を用いることを企図する。任意で、デキストロースまたはグルコースなどの単純な糖が反応混合物に添加される。「全血」という言及には、希釈されていない全血のみならず、全血が総試料アッセイ容量(すなわち、反応混合物)の約10%〜約100%の容量でアッセイ法において用いられる場合も含まれる。
【0015】
特定の態様において、T細胞試料におけるT-reg細胞は、機能または活性を改変するために作用物質の標的となる。改変は、免疫抑制機能を有するT-reg細胞を阻害するためであってもよく、または免疫刺激機能を有する特定の細胞を増大させるためであってもよい。作用物質の例には、CD25リガンド、ヤーヌスキナーゼ1(JAK1)またはチロシンキナーゼ2(TYK2)などの分子をコードする特定の遺伝子またはmRNAに対するセンスまたはアンチセンスのオリゴヌクレオチド、ならびにtoll様受容体(TLR)によっておよび/または他の機序によって作用するCpG含有オリゴヌクレオチドなどの刺激物質が含まれる。ゆえに、本発明は、免疫細胞媒介アッセイ法の感度を増大または増強するために、CD25リガンド、JAK1またはTYK2分子をコードする遺伝物質(RNAまたはDNA)と相補的または相同なオリゴヌクレオチドを用いることを提供する。本明細書において企図されるオリゴヌクレオチドは、改変骨格を有してもよく、またはホスホロチオエート改変オリゴヌクレオチドなどの化学改変ヌクレオチドもしくはヌクレオシドを有してもよい。
【0016】
1つのタイプの作用物質を用いてもよく、または2つもしくは3つ全てのタイプの作用物質を共に使用してもよい。
【0017】
被験者はヒトまたは非ヒト動物であってもよい。よって、本発明は、ヒトの医学、獣医学、および家畜応用を有する。ヒトは、本発明の実践において特に有用な被験者を表す。
【0018】
よって、特定の態様において、本発明は、ヒト被験者における疾患または状態の存在、非存在、レベル、または病期を検出するための方法であって、反応混合物において全容量の少なくとも10%を構成する全血を、調節性T細胞機能を阻害する作用物質と、細胞性免疫応答が試験される抗原とに接触させる段階、およびT細胞からの免疫エフェクター分子の存在またはレベルの上昇を測定する段階であって、該免疫エフェクター分子の存在またはレベルが該疾患または該状態を示している段階を含む、方法を企図する。
【0019】
キットおよび皮膚試験も同様に本発明の一部を形成する。
【0020】
1つの態様において、試料は、抗原を含有する採血管内に採取されたかまたはそれに対して抗原がインキュベーションのために添加された全血である。一般的に、血液はヘパリンの存在下で維持される。ヘパリンは全血が添加されたまたはその後添加された管に存在してもよい。採血管を用いることは、標準的な自動検査システムに適合性であり、これらは大規模およびランダムなアクセスサンプリングにおける分析に適している。採血管はまた、取り扱い費用を最小限にして、全血および血漿への検査時の曝露を低減させ、ゆえに検査技師がヒト免疫不全ウイルス(HIV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、またはC型肝炎ウイルス(HCV)などの病原体に感染するリスクを低減させる。さらに、インキュベーションを行うために採血管を用いることにより、これまでに用いられた24ウェル培養ウェルプレートよりアッセイ法の感度がよくなる。
【0021】
本発明は、ゆえに1つの態様において、採血管の使用、任意でデキストロースなどの単純な糖の使用、ならびに抗原およびT細胞機能または活性を調節する作用物質とのインキュベーション段階を含む、増強された細胞性免疫アッセイ法を提供する。インキュベーション段階は、一般的に約5〜約50時間である。
【0022】
免疫エフェクター分子は一般的に、IFN-γ、またはインターロイキン(たとえば、IL-2、IL-4、IL-6、IL-10、IL-12、もしくはIL-13、またはトランスフォーミング増殖因子β[TGFβ]、または顆粒球もしくは顆粒球マクロファージコロニー刺激因子[それぞれ、G-CSFおよびGM-CSF])などの、しかしこれらに限定されないサイトカインである。免疫エフェクターの存在またはレベルは、分子自体のレベルでまたは分子をコードする遺伝子が発現される程度に決定されてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0023】
詳細な説明
本明細書全体にわたり、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、「含む」という言葉、または「含む(comprises)」もしくは「含む(comprising)」などの変化形は、明記された要素もしくは整数、または要素もしくは整数の群を含めるが、他のいかなる要素もしくは整数または要素もしくは整数の群も除外しないことを意味すると理解される。
【0024】
他の意味であると示されている場合を除き、特異的アッセイ構成要素、生物材料、または試薬等は様々であることができることから、本発明はこれらに限定されない。同様に、本明細書において用いられる用語は、特定の態様のみを記述する目的のためであり、制限することを意図しないと理解される。
【0025】
本明細書において用いられるように、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その」には、本文が明らかに他の意味であることを指示しない限り、複数の局面が含まれることに注意しなければならない。このように、たとえば「1つのT細胞」という言及には、1つのT細胞のみならず、2つまたはそれより多いT細胞も含まれ;「1つのエフェクター分子」という言及には、1つのエフェクター分子のみならず、2つまたはそれより多いエフェクター分子も含まれ;「本発明」という言及には、本発明の1つまたは多数の局面が含まれる等である。
【0026】
「作用物質」、「試薬」、「化合物」、および「細胞」などの用語は、本明細書において細胞性応答またはそのような応答のレベルを検出するためのアッセイ法に関係する化学的または生物学的実体を指すために用いられる。
【0027】
「作用物質」、「試薬」、「化合物」、および「細胞」に対する言及にはまた、そのような実体の2つまたはそれより多い組み合わせも含まれる。「組み合わせ」にはまた、作用物質が個別に提供され、かつ個別に用いられるもしくは分配されるかまたは分配前に共に混合される、二成分組成物などの多成分組成物が含まれる。たとえば、多成分アッセイパックは、個別に維持される2つまたはそれより多い作用物質を有してもよい。よって、本発明のこの局面には、乾燥しかつ固定されていないか、またはアッセイパックにおける区画の壁もしくは固相支持体に固定された、抗原とT細胞を調節する物質とが含まれる。
【0028】
本発明は、刺激されたT細胞からのエフェクター分子の産生の増強によってある程度予測される。これによって、より感度のよいアッセイ法が被験者の細胞性免疫応答性を査定することができる。ゆえに、本発明は、疾患または状態に関連する抗原などの関心対象抗原によって刺激されたエフェクターT細胞からのエフェクター分子の存在またはレベルを測定することによって、被験者における細胞性応答を検出、査定、またはそうでなければモニターするためのアッセイ法を提供する。T細胞またはT細胞のサブセットを、T細胞の機能または活性を調節する、および特にT調節性細胞の機能または活性を調節する作用物質に接触させる。一般的に、作用物質は、T-reg細胞のサプレッサー機能を阻害する。ゆえに、本発明は、被験者における細胞性免疫活性の応答性を決定するための手段を提供し、ならびに次に感染疾患、病的状態、免疫コンピテンスレベル、および内因性または外因性の抗原に対するT細胞応答性のマーカーを診断するための手段のみならず、ベリリウムなどの毒物への曝露を査定するための手段も提供する。
【0029】
したがって、本発明の1つの局面は、被験者における細胞性免疫応答活性を測定するための方法であって、該被験者からのT細胞源を、T細胞またはそのサブセットの機能または活性を調節する作用物質と、細胞性免疫応答が試験される抗原とに接触させる段階、およびT細胞からの免疫エフェクター分子の存在またはレベルの上昇を測定する段階であって、該免疫エフェクター分子の存在またはレベルが、該被験者の細胞性応答性のレベルを示している段階を含む、方法を企図する。
【0030】
本発明の別の局面は、被験者における細胞性免疫応答活性を測定するための方法であって、該被験者からのT細胞源を、T細胞またはそのサブセットの機能または活性を調節する作用物質と、細胞性免疫応答が試験される抗原とに接触させる段階、およびT細胞からの免疫エフェクター分子の存在またはレベルの上昇を測定する段階であって、該免疫エフェクター分子の存在またはレベルが該被験者の細胞性応答性のレベルを示し、該応答性のレベルが、病原体による感染症、自己免疫疾患、癌、炎症状態、および毒物への曝露を含む一覧から選択される疾患または状態の存在、非存在、レベル、または病期を示している段階を含む、方法を提供する。
【0031】
本発明のさらに別の局面は、被験者における疾患または状態の存在、非存在、レベル、または病期を検出するためのアッセイ法を企図し、方法は、該被験者からのT細胞源を、T細胞またはそのサブセットの機能または活性を調節する作用物質と、細胞性免疫応答が試験される抗原とに接触させる段階、およびT細胞からの免疫エフェクター分子の存在またはレベルの上昇を測定する段階であって、該免疫エフェクター分子の存在またはレベルが該疾患または該状態を示している段階を含む。
【0032】
T細胞を含む源と共に抗原またはマイトゲンをインキュベートしかつエフェクター分子の存在または上昇を検出する方法による細胞性免疫応答性の診断アッセイ法の製造における、T細胞またはT細胞のサブセットの機能または活性を調節する作用物質の使用も同様に提供される。
【0033】
この使用には、病原体による感染症、自己免疫疾患、癌、炎症状態、および/またはベリリウムなどの毒物への曝露などの疾患または状態の存在、非存在、レベル、または病期を検出またはモニターするための使用が含まれる。
【0034】
T細胞の機能または活性の調節という言及には、調節性T細胞(T-reg細胞)を調節する段階が含まれる。より詳しくは、これはT-reg細胞のサプレッサー機能を阻害する段階を包含する。さらに、「免疫エフェクター分子」を測定する段階には、1つまたは複数の異なるタイプの分子を測定する段階が含まれる。CD25リガンド;JAK1またはTYK2をコードする遺伝物質に対するセンスオリゴヌクレオチドまたはアンチセンスオリゴヌクレオチド;CpG含有オリゴヌクレオチド;TLR調節物質として作用するオリゴヌクレオチド;および他のTLR調節物質などの、T-reg細胞を調節する作用物質も同様に本明細書において包含される。
【0035】
本発明の別の局面は、被験者における細胞性免疫応答活性を測定するための方法であって、該被験者からのT細胞源を、調節性T細胞またはそのサブセットの機能または活性を調節する作用物質と、細胞性免疫応答が試験される抗原とに接触させる段階、およびT細胞からの免疫エフェクター分子の存在またはレベルの上昇を測定する段階であって、該免疫エフェクター分子の存在またはレベルが該被験者の細胞性応答性のレベルを示している段階を含む、方法を提供する。
【0036】
本発明の別の局面は、被験者における細胞性免疫応答活性を測定するための方法であって、該被験者からのT細胞源を、調節性T細胞またはそのサブセットの機能または活性を調節する作用物質と、細胞性免疫応答が試験される抗原とに接触させる段階、およびT細胞からの免疫エフェクター分子の存在またはレベルの上昇を測定する段階であって、該免疫エフェクター分子の存在またはレベルが該被験者の細胞性応答性のレベルを示し、該応答性のレベルが、病原体による感染症、自己免疫疾患、癌、炎症状態、および毒物への曝露を含む一覧から選択される疾患または状態の存在、非存在、レベル、または病期を示している段階を含む、方法を提供する。
【0037】
本発明のなお別の局面は、被験者における疾患または状態の存在、非存在、レベル、または病期を検出するためのアッセイ法を企図し、方法は、該被験者からのT細胞源を、調節性T細胞またはそのサブセットの機能または活性を調節する作用物質と、細胞性免疫応答が試験される抗原とに接触させる段階、およびT細胞からの免疫エフェクター分子の存在またはレベルの上昇を測定する段階であって、該免疫エフェクター分子の存在またはレベルが該疾患または該状態を示している段階を含む。
【0038】
特定の態様において、T-reg細胞は、活性が阻害されている免疫応答サプレッサー細胞である。
【0039】
よって、1つの態様において、本発明は、被験者における細胞性免疫応答活性を測定するための方法であって、該被験者からの調節性T細胞源を、(i)サプレッサー調節性T細胞の阻害剤;および(ii)免疫増強細胞またはそのサブセットの活性化剤から選択される作用物質に接触させる段階、T細胞を細胞性応答が試験される抗原にさらに接触させる段階、ならびにT細胞からの免疫エフェクター分子の存在またはレベルの上昇を測定する段階であって、該免疫エフェクター分子の存在またはレベルが、該被験者の細胞性応答性のレベルを示している段階を含む、方法に指向する。
【0040】
別の態様は、被験者における細胞性免疫応答活性を測定するための方法であって、該被験者からの調節性T細胞源を、(i)サプレッサー調節性T細胞の阻害剤;および(ii)免疫増強細胞またはそのサブセットの活性化剤から選択される作用物質に接触させる段階、T細胞を細胞性応答が試験される抗原にさらに接触させる段階、ならびにT細胞からの免疫エフェクター分子の存在またはレベルの上昇を測定する段階であって、該免疫エフェクター分子の存在またはレベルが、疾患または状態の存在、非存在、レベル、または病期を示している段階を含む、方法を提供する。
【0041】
関連する態様において、T細胞を含む源と共に抗原またはマイトゲンをインキュベートしかつエフェクター分子の存在または上昇を検出する方法による細胞性免疫応答性の診断アッセイ法の製造における、(i)サプレッサー調節性T細胞の阻害剤、および(ii)免疫システムを増強する細胞またはそのサブセットの活性化剤から選択される作用物質の使用が提供される。
【0042】
「被験者」という言及には、ヒト、または霊長類、家畜動物(たとえば、ヒツジ、ウシ、ブタ、ウマ、ロバ、ヤギ)、実験動物(たとえば、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、ハムスター)、コンパニオン動物(たとえば、イヌ、ネコ)、鳥類(家禽、鳥類)、は虫類、および両生類が含まれる非ヒト種が含まれる。ゆえに本発明は、ヒトの医学における応用可能性を有するのみならず、家畜、獣医学および野生生物応用も有する。しかし、最も詳しくは、被験者はヒトであり、細胞性免疫応答アッセイ法は、病原性微生物、ウイルス、および寄生虫に対する応答性、自己免疫疾患、セリアック病の発症またはモニタリングの可能性、ならびに腫瘍形成チャレンジに対する被験者の応答のモニタリングに関するスクリーニングにおいて適用を有する。
【0043】
免疫エフェクター分子は、抗原による細胞の活性化または刺激に応答して産生される広範囲の任意の分子であってもよい。IFN-γなどのインターフェロン(IFN)は特に有用な免疫エフェクター分子であるが、他には補体または補体経路の構成要素などの他の多くの中でも、インターロイキン(IL)、たとえばIL-2、IL-4、IL-6、IL-10、IL-12、またはIL-13、腫瘍壊死因子α(TNF-α)、トランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)、顆粒球(G)-CSFまたは顆粒球マクロファージ(GM)-CSFなどのコロニー刺激因子(CSF)などの広範囲のサイトカインが含まれる。
【0044】
T-reg機能の阻害剤または調節物質の例には、CD25に対するポリクローナルもしくはモノクローナル抗体、もしくはその抗原結合断片、CD25に対するヒト化もしくは脱免疫化ポリクローナルもしくはモノクローナル抗体、またはポリクローナルもしくはモノクローナル抗体の組換え型もしくは合成型などの、しかしこれらに限定されないCD25リガンドが含まれる。作用物質の他の例には、ヤーヌスチロシンキナーゼ1(JAK1)もしくはチロシンキナーゼ2(TYK2)をコードするmRNAもしくはDNA(すなわち、遺伝物質)に対するセンス核酸分子もしくはアンチセンス核酸分子、またはJAK1もしくはTYK2タンパク質の低分子阻害剤が含まれる。「低分子」という言及には、国際特許公報WO 2005/118629において記述されるような免疫グロブリン新規抗原受容体(IgNAR)が含まれる。適した作用物質のそれでもなおさらなる例には、Toll様受容体(TLR)および/または他の機序によって作用するCpG分子などの刺激物質が含まれる。よって、CpG含有オリゴヌクレオチドおよびTLR調節物質として作用するオリゴヌクレオチドも同様に本発明の一部を形成する。
【0045】
1つのタイプの作用物質を用いても、または2つもしくはそれより多いタイプの作用物質を使用してもよい。たとえば、CD25リガンドとJAK1/TYK2センスまたはアンチセンスのオリゴヌクレオチド;CD25リガンドとTLR調節物質;JAK1/TYK2センスまたはアンチセンスのオリゴヌクレオチドとTLR調節物質;またはCD25リガンド、JAK1/TYK2センスまたはアンチセンスのオリゴヌクレオチド、およびTLR調節物質についてアッセイ法を行ってもよい。または、1つのみのタイプの作用物質を使用する。別の代替法において、CpGを含むオリゴヌクレオチドとTLR調節物質とを用いる。
【0046】
オリゴヌクレオチドを、ホスホレート(phosphorate)骨格などの化学改変骨格および/または化学改変ヌクレオシドまたは化学改変ヌクレオチドを有するように改変してもよい。
【0047】
よって、本発明の別の局面は、被験者における細胞性免疫応答活性を測定するための方法であって、該被験者からのT細胞源を、T細胞またはそのサブセットの機能または活性を調節するCD25リガンドと、細胞性免疫応答が試験される抗原とに接触させる段階、およびT細胞からの免疫エフェクター分子の存在またはレベルの上昇を測定する段階であって、該免疫エフェクター分子の存在またはレベルが該被験者の細胞性応答性のレベルを示している段階を含む、方法を提供する。
【0048】
本発明の別の局面は、被験者における細胞性免疫応答活性を測定するための方法であって、該被験者からのT細胞源を、T細胞またはそのサブセットの機能または活性を調節するJAK1および/またはTYK2遺伝物質に対するセンスオリゴヌクレオチドまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドと、細胞性免疫応答が試験される抗原とに接触させる段階、およびT細胞からの免疫エフェクター分子の存在またはレベルの上昇を測定する段階であって、該免疫エフェクター分子の存在またはレベルが該被験者の細胞性応答性のレベルを示している段階を含む、方法を提供する。
【0049】
本発明のなお別の局面は、被験者における細胞性免疫応答活性を測定するための方法であって、該被験者からのT細胞源を、T細胞またはそのサブセットの機能または活性を調節するCpG分子と、細胞性免疫応答が試験される抗原とに接触させる段階、およびT細胞からの免疫エフェクター分子の存在またはレベルの上昇を測定する段階であって、該免疫エフェクター分子の存在またはレベルが、該被験者の細胞性応答性のレベルを示している段階を含む、方法を提供する。
【0050】
「CpG分子」は、CpG配列またはモチーフを含むオリゴヌクレオチドを意味する。本発明は、Toll様受容体(TLR)機能または免疫システムの他の局面の任意の調節物質にまで及ぶ。
【0051】
よって、本発明は、T細胞を含む源と共に抗原またはマイトゲンをインキュベートしかつエフェクター分子の存在または上昇を検出する方法による細胞性免疫応答性の診断アッセイ法の製造における、CD25リガンド、JAK1またはTYK2をコードする遺伝物質に対するセンス核酸分子またはアンチセンス核酸分子、ならびにTLRによっておよび/または他の機序によって作用するCpG含有オリゴヌクレオチドなどの免疫刺激物質から選択される作用物質の使用にまで及ぶ。
【0052】
これらの局面には、病原体による感染症、自己免疫疾患、癌、炎症物質、またはベリリウムなどの毒物への曝露などの、被験者における疾患または状態の存在、非存在、レベル、または病期を検出するために前述の特定の作用物質を用いることが含まれる。
【0053】
CD25リガンド、アンチセンス分子、およびCpG分子などの作用物質は、反応容器において固定されていなくても、またはビーズもしくは反応容器の側面もしくは底面などの固相支持体に固定されてもよい。作用物質はまた、使用前または使用の際に再構成される乾燥型であってもよい。同様に、抗原は、固定されていなくても、または容器そのものなどの反応容器もしくはビーズもしくは他の固相支持体に固定されてもよい。
【0054】
1つの態様において、被験者から採取された試料は一般的に、採血管の中に入れられる。採血管には、血液吸引管または他の類似の容器が含まれる。簡便には、試料が全血である場合、採血管はヘパリン処理される。または、血液を採取した後にヘパリンを採血管に添加する。全血が特に企図されかつ最も簡便な試料であるにもかかわらず、本発明は、リンパ液、脳脊髄液、組織液、ならびに鼻汁および肺胞液が含まれる呼吸液などの免疫細胞を含有する他の試料にまでのみならず、細胞の枯渇を受けている試料にまでも及ぶ。「全血」という言及には、組織培養、培地、試薬、賦形剤等などによって希釈されていない全血が含まれる。1つの態様において、「全血」という用語には、全血の少なくとも10容量%を構成するアッセイ試料(すなわち、反応混合物)が含まれる。「少なくとも10容量%」という用語には、反応混合物の全アッセイ容量の10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、および100容量%の血液容量が含まれる。培地、酵素、賦形剤、抗原等などの追加の物質を添加してもよく、それらも「全血」を含む試料に含まれる。
【0055】
採血管を用いることは、標準的な自動検査システムに適合性であり、これらは、大規模およびランダムなアクセスサンプリングでの分析に適している。採血管はまた、取り扱い費用を最小限にして、全血および血漿への検査室での曝露を低減させ、よって検査技師がHIV、B型肝炎ウイルス(HBV)、またはC型肝炎ウイルス(HCV)などの病原体に感染するリスクを低減させる。
【0056】
インキュベーション段階を採血管と組み合わせることは特に有効であり、デキストロースまたはグルコースなどの試料の糖の存在下で細胞をインキュベートする任意の特色と同様に、アッセイ法の感度を増強する。
【0057】
細胞性免疫システムの細胞は、被験者からの採血後長期間経過すると全血において免疫応答を開始する能力を失い、介入を行わなければ、応答は、採血後24時間ではしばしば大幅に低減されるかまたは存在しない。労力の低減および特殊なプラスチック製品を必要とすることによって、医師の事務所、診療所、外来施設、および獣医師の診療所または農場などのケア施設の場所で、抗原による細胞性免疫刺激を行うことができる。抗原刺激が完了した後、新鮮で活性な細胞の必要性はもはや存在しない。IFN-γおよび他のサイトカインまたは免疫エフェクター分子は血漿中で安定であり、このように、試料を保存することができ、または特別な条件もしくは迅速な時間的要件を必要とせずに、他の感染疾患もしくは他の疾患診断のために用いられる標準的な血清試料と類似の様式で輸送することができる。
【0058】
インキュベーション段階は、5〜40時間、8〜24時間、または5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、もしくは50時間が含まれる期間などの、5〜50時間であってもよい。
【0059】
細胞性免疫を測定できることは、被験者が、微生物、ウイルス、もしくは寄生虫などの病原体による感染症に応答する能力、自己免疫性糖尿病などの自己免疫応答を開始できる能力、癌もしくは他の腫瘍形成状態に対して保護する能力、炎症状態を検出する能力、またはベリリウムなどの毒物への被験者の曝露もしくは感受性を検出する能力を査定するために重要である。その結果、「被験者における細胞性免疫応答を測定する」という言及には、感染疾患および自己免疫疾患の免疫診断、免疫コンピテンスに関するマーカー、および内因性抗原および/または外因性抗原に対するT細胞応答の検出(ワクチンの効力の測定が含まれる)のみならず、炎症疾患、癌、および毒物に関するマーカーも含まれる。重要なことに、サプレッサーT-reg細胞を阻害することによって、または免疫システムを増大する細胞を刺激することによって、アッセイ法の感度は増強される。よって、たとえば今では低レベル感染症を検出することができる。
【0060】
病原体または感染体には、細菌、寄生虫、およびウイルスが含まれる。細菌の例には、中でもマイコバクテリウム(Mycobacterium)種、ブドウ球菌(Staphylococcus)種、連鎖球菌(Streptococcus)種、大腸菌(Escherichia coli)、サルモネラ(Salmonella)種、クロストリジウム(Clostridium)種、赤痢菌(Shigella)種、プロテウス(Proteus)種、バチルス(Bacillus)種、ヘモフィルス(Hemophilus)種、ボレリア(Borrelia)種などのグラム陽性およびグラム陰性微生物が含まれる。ヒト型結核菌(Mycobacterium tuberculosis)は、特に有用な標的であるのみならず、結核(TB)などの結核菌による感染症によって生じる状態でもある。ウイルスの例には、肝炎ウイルス(B型肝炎ウイルスおよびC型肝炎ウイルス)、ヘルペスウイルス、およびヒト免疫不全ウイルス(HIV)のみならず、それらに起因する疾患も含まれる。寄生虫には、プラスモディウム(Plasmodium)種、白癬、肝寄生虫等が含まれる。他の病原体には、酵母および真菌などの真核細胞が含まれる。
【0061】
本明細書において検出に関して企図される自己免疫疾患には、中でも円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質症候群、自己免疫性アジソン病、多発性硬化症、自己免疫性副腎疾患、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性卵巣炎および精巣炎、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、セリアックスプルー皮膚炎、慢性疲労症候群(CFIDS)、慢性炎症性脱髄化、慢性炎症性多発ニューロパシー、チャーグ-ストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡、クレスト症候群、寒冷凝集素病、クローン病、疱疹状皮膚炎、円板状狼瘡、本態性混合型クリオグロブリン血症、線維筋痛症、糸球体腎炎、グレーヴス病、ギラン-バレー症候群、橋本甲状腺炎、特発性肺線維症、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、IgA腎症、インスリン依存型糖尿病(I型)、扁平苔癬、狼瘡、メニエール病、混合性結合組織病、多発性硬化症、重症筋無力症、心筋炎、尋常性天疱瘡、悪性貧血、結節性多発動脈炎、多発性軟骨炎、多腺症候群、リウマチ性多発筋痛症、多発筋炎および皮膚筋炎、原発性無ガンマグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、レイノー現象、ライター症候群、リウマチ熱、関節リウマチ、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン症候群、スティッフマン症候群、全身性紅斑性狼瘡、高安動脈炎、側頭動脈炎/巨細胞動脈炎、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、脈管炎、および白斑が含まれる。
【0062】
これらの個体において潜在的なまたは実際の細胞性応答性を査定することは一般的に重要である。本発明の方法はまた、これらの状態の有無のみならず、疾患プロセスのレベルまたは病期も検出するために用いることができる。
【0063】
企図される他の疾患状態には、炎症疾患状態が含まれる。
【0064】
本発明によって企図される炎症疾患状態の例には、損傷または疾患に罹患する組織を保護することを意味する、一定の領域において発赤、腫脹、疼痛、および熱感の応答が起こる疾患および障害が含まれるがこれらに限定されるわけではない。本発明の方法を用いて処置されうる炎症疾患には、ざ瘡、アンギナ、関節炎、嚥下性肺炎、疾患、蓄膿、胃腸炎、炎症、腸管性インフルエンザ、NEC、壊死性腸炎、骨盤内炎症性疾患、咽頭炎、PID、胸膜炎、ひりひりする喉、発赤、潮紅、咽喉痛、胃インフルエンザおよび尿路感染症、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパシー、慢性炎症性脱髄性多発神経根神経障害、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパシー、慢性炎症性脱髄性多発神経根神経障害が含まれるがこれらに限定されるわけではない。
【0065】
癌治療も同様に、細胞性免疫にいくぶん依存する。本明細書において企図される癌には、細胞が特殊化した異なる細胞に分化することなく、制御されない細胞生育(たとえば、腫瘍の形成)を特徴とする疾患および障害の群が含まれる。そのような疾患および障害には、ABL1癌原遺伝子、AIDS関連癌、聴神経腫、急性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、腺嚢腫癌、副腎皮質癌、原因不明骨髄様化生、脱毛症、胞状軟部肉腫、肛門癌、血管肉腫、再生不良性貧血、星状細胞腫、毛細血管拡張性運動失調、基底細胞癌(皮膚)、膀胱癌、骨癌、腸癌、脳幹神経膠腫、脳およびCNSの腫瘍、乳癌、CNS腫瘍、カルチノイド腫瘍、頚癌、小児脳腫瘍、小児癌、小児白血病、小児軟部組織肉腫、軟骨肉腫、絨毛癌、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、結腸直腸癌、皮膚T細胞リンパ腫、隆起性皮膚線維肉腫、線維組織形成性小細胞腫瘍、腺管癌、内分泌癌、子宮内膜癌、上衣腫、食道癌、ユーイング肉腫、肝外胆管癌、眼癌、眼の黒色腫、網膜芽腫、ファロピウス管癌、ファンコーニ貧血、線維肉腫、胆嚢癌、胃部の癌、胃腸癌、消化管カルチノイド腫瘍、尿生殖器癌、生殖細胞癌、妊娠性絨毛疾患、神経膠腫、婦人科癌、血液学的悪性疾患、ヘアリーセル白血病、頭頚部癌、肝細胞癌、遺伝性乳癌、組織球症、ホジキン病、ヒト乳頭腫ウイルス、胞状奇胎、高カルシウム血症、下咽頭癌、眼球内黒色腫、膵島細胞癌、カポジ肉腫、腎臓癌、ランゲルハンス細胞組織球症、喉頭癌、平滑筋肉腫、白血病、リー-フラウメニ症候群、口唇癌、脂肪肉腫、肝臓癌、肺癌、リンパ浮腫、リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、男性乳癌、腎臓の悪性ラブドイド腫瘍、髄芽種、黒色腫、メルケル細胞癌、中皮腫、転移癌、口腔の癌、多発性内分泌腫瘍、菌状息肉腫、骨髄異形成症候群、骨髄腫、骨髄増殖性疾患、鼻腔癌、鼻咽頭癌、腎芽細胞腫、神経芽腫、神経線維腫症、ナイメーヘン染色体不安定症候群、非黒色腫皮膚癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、眼の癌、食道癌、口腔癌、中咽頭癌、骨肉腫、オストミー卵巣癌、膵臓癌、鼻傍癌、副甲状腺癌、耳下腺癌、陰茎癌、末梢神経外胚葉腫瘍、下垂体癌、真性赤血球増加症、前立腺癌、まれな癌および関連障害、腎細胞癌、網膜芽腫、横紋筋肉腫、ロトムンド-トムソン症候群、唾液腺癌、肉腫、神経鞘腫、セザリー症候群、皮膚癌、小細胞肺癌(SCLC)、小腸癌、軟部組織肉腫、脊髄腫瘍、扁平上皮癌(皮膚)、胃癌、滑膜肉腫、精巣癌、胸腺癌、甲状腺癌、移行上皮癌(膀胱)、移行上皮癌(腎臓-骨盤-/-尿管)、栄養膜癌、尿道癌、泌尿器系癌、ウロプラキン(uroplakin)、子宮肉腫、子宮癌、膣癌、外陰癌、ヴァルデンストレーム-マクログロブリン血症、およびウィルムス腫瘍が含まれる。
【0066】
特定の生物、ウイルス、自己抗原、または癌細胞に関して特異的なアッセイ法などの広範囲の抗原のいずれも用いてもよい。または、より一般的な作用物質を用いて、細胞性免疫応答の一般的能力を試験してもよく、そのような作用物質にはマイトゲンが含まれる。後者の例には、ヒト型結核菌からの精製タンパク質誘導体(PPD)および破傷風トキソイドが含まれる。しかし、一般的に任意のペプチド、ポリペプチドもしくはタンパク質、炭水化物、糖タンパク質、リン脂質、リンタンパク質、またはホスホリポタンパク質、または非タンパク質化学物質を、抗原またはマイトゲンとしてアッセイシステムにおいて用いてもよい。
【0067】
先に述べたように、免疫エフェクター分子の検出は、タンパク質または核酸レベルで行われてもよい。その結果、免疫エフェクター分子の「存在またはレベル」に対する言及には、直接的および間接的なデータが含まれる。たとえば、高レベルのサイトカインmRNAは、サイトカインレベルの増加を示す間接的データである。
【0068】
免疫エフェクターに対するリガンドは、これらの分子を検出および/または定量するために特に有用である。免疫エフェクターに対する抗体は特に有用である。本明細書において企図されるアッセイ法に関する技術は、当技術分野において公知であり、これにはたとえば、ラジオイムノアッセイ法、サンドイッチアッセイ法、ELISA、およびELISpotが含まれる。「抗体」に対する言及には、抗体の一部、哺乳動物化(たとえば、ヒト化)抗体、脱免疫化抗体、組換え型または合成抗体、ならびにハイブリッドおよび一本鎖抗体が含まれる。ヒトにおける皮膚試験の場合、エフェクター分子を検出するために、ヒト化抗体または脱免疫化抗体が本明細書において特に企図される。
【0069】
免疫エフェクター分子またはその抗原性断片による免疫によってポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体の双方を得ることができ、いずれかのタイプをイムノアッセイ法のために使用することができる。双方のタイプの血清を得る方法は当技術分野において周知である。ポリクローナル血清はあまり好ましくないが、免疫エフェクターまたはその抗原性部分の有効量を適した実験動物に注射し、動物から血清を採取し、公知の免疫吸着技術のいずれかによって特異的血清を単離することによって比較的容易に調製される。この方法によって産生された抗体は実質的にいかなるタイプのイムノアッセイ法においても使用可能であるが、それらは産物の潜在的不均一性のためにあまり好ましくない。
【0070】
イムノアッセイ法におけるモノクローナル抗体の使用は、それらを大量に産生できることおよび産物が均一であることから、特に有用である。不死化細胞株と、免疫原性調製物に対して感作したリンパ球との融合に由来するモノクローナル抗体産生のためのハイブリドーマ細胞株の調製は、当業者に周知である技術によって行われうる。
【0071】
ゆえに、本発明の別の局面は、被験者からのT細胞を含む試料において免疫エフェクター分子を検出するための方法であって、試料または試料のアリコートを、免疫エフェクター分子またはその抗原性断片に特異的な抗体に、抗体-エフェクター複合体が形成されるための十分な時間および条件で接触させる段階、ならびにその後に該複合体を検出する段階であって、調節性T細胞機能を調節する作用物質と共にT細胞と抗原をインキュベートした後に、該免疫エフェクター分子が生成される段階を含む、方法を企図する。
【0072】
「試料」には、全血またはその画分が含まれる。この方法には、平面または球面の固相支持体上のマイクロアレイおよびマクロアレイが含まれる。マイクロアレイまたはマクロアレイは有用である。
【0073】
米国特許第4,016,043号、同第4,424,279号、および同第4,018,653号に対する参照によって認められうるように、広範囲のイムノアッセイ技術が利用可能である。
【0074】
以下は、アッセイ法の1つのタイプに関する記述である。非標識抗体を固相基質上に固定して、免疫エフェクター分子に関して試験される試料(たとえば、サイトカイン)を結合分子に接触させる。適した期間、すなわち抗体-免疫エフェクター分子複合体を形成させるために十分な期間インキュベートした後、検出可能なシグナルを産生することができるレポーター分子によって標識された、エフェクター分子に特異的な第二の抗体を添加し、かつ抗体-エフェクター標識抗体の別の複合体が形成されるために十分な期間インキュベートする。いかなる非反応物質も洗い流し、レポーター分子によって産生されたシグナルを観察することによって、エフェクター分子の存在を決定する。結果は、視覚的シグナルの単純な観察により定性的であっても、または公知の量の抗原を含有する対照試料と比較することにより定量されてもよい。この一般的技術は、多数の任意の改変版と同様に、当業者に周知である。
【0075】
これらのアッセイ法において、本発明の免疫エフェクターに対して特異性を有する第一の抗体は、固相表面に共有的にまたは受動的に結合する。固相表面は典型的にはガラスまたはポリマーであり、最も一般的に用いられるポリマーはセルロース、ポリアクリルアミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、またはポリプロピレンである。固相支持体は管、ビーズ、球体、マイクロプレートの円板、またはイムノアッセイ法を行うために適した任意の他の表面の形状であってもよい。結合プロセスは当技術分野において周知であり、一般的にクロスリンク、共有結合、または物理的吸着からなり、ポリマー-抗体複合体は試験試料の調製において洗浄される。次に、試験される試料のアリコートを固相複合体に添加して、抗体に存在する任意のサブセットを結合させるために十分な期間(たとえば、2〜120分、またはより簡便に終夜)および適した条件(たとえば、約20℃〜約40℃)でインキュベートする。インキュベーション期間の後、抗体サブユニット固相を洗浄しかつ乾燥させ、エフェクター分子の一部に特異的な第二抗体と共にインキュベートする。第二抗体をレポーター分子に連結させて、これはエフェクター分子に対する第二抗体の結合を示すために用いられる。
【0076】
このアッセイ法には多くの変化形が存在する。1つの特に有用な変化形は、全てまたは多くの構成要素を実質的に同時に混合する同時アッセイ法である。さらに、サイトカインに対する抗体の結合を、第一の言及された抗体に対する標識抗体の結合によって決定してもよい。
【0077】
本明細書において用いられる「レポーター分子」とは、その化学的性質により、抗原結合抗体を検出することができる分析的に同定可能なシグナルを提供する分子を意味する。検出は定性的または定量的のいずれであってもよい。このタイプのアッセイ法において最も一般的に用いられるレポーター分子は、酵素、蛍光体、または放射性核種を含有する分子(すなわち、放射性同位元素)、および化学発光分子のいずれかである。適した蛍光体の例を表1に提供する。酵素イムノアッセイ法の場合、一般的にグルタルアルデヒドまたは過ヨウ素酸によって、酵素を第二抗体に結合させる。しかし、容易に認識されるように、広く多様な異なる結合技術が存在し、これらは当業者に容易に入手可能である。一般的に用いられる酵素には、中でも西洋ワサビペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、およびアルカリホスファターゼが含まれる。特異的酵素と共に用いられる基質は一般的に、対応する酵素による加水分解によって検出可能な色の変化を生じることに関して選ばれる。適した酵素の例には、アルカリホスファターゼおよびペルオキシダーゼが含まれる。同様に、先に注目した色素形成基質よりむしろ蛍光産物を生じる蛍光発生基質を使用することも可能である。全ての場合において、酵素標識抗体を、第一抗体-抗原複合体に添加し、結合させ、かつその後、過剰量の試薬を洗い流す。適当な基質を含有する溶液を抗体-抗原-抗体の複合体に添加する。基質は、第二抗体に連結した酵素と反応し、定性的な視覚的シグナルを生じ、これをさらに、試料に存在する抗原量の指標となるために通常、分光測光法によって定量してもよい。この場合も、本発明は、実質的に同時のアッセイ法にまで及ぶ。
【0078】
または、フルオレセインおよびローダミンなどの蛍光化合物を、その結合能を変化させることなく、抗体に化学的に結合させてもよい。特定の波長の光の照射によって活性化されると、蛍光色素標識抗体は、光のエネルギーを吸着し、分子において励起状態を誘導し、その後光学顕微鏡によって視覚的に検出可能な特徴的な色の光を放出する。蛍光標識抗体を、第一の抗体-抗原複合体に結合させる。非結合試薬を洗浄後、残っている三次複合体を適当な波長の光に曝露すると、観察された蛍光は、関心対象抗原の存在を示している。免疫蛍光技術および酵素イムノアッセイ技術はいずれも、当技術分野において非常に十分に確立されており、本発明の方法にとって特に好ましい。しかし、放射性同位元素、化学発光、または生物発光分子などの他のレポーター分子も使用してもよい。
【0079】
金コロイドが含まれる、使用してもよい広範囲の他の検出システムが存在し、そのような検出システムは全て、本発明に包含される。
【0080】
本発明はまた、免疫エフェクターをコードする遺伝子配列のRNA発現産物を検出するためにPCR分析を必要とすることなどの遺伝学的アッセイ法も企図する。
【0081】
1つの態様において、識別可能なシグナルを生じることができる同じまたは異なるレポーター分子によって1つまたは双方が一般的に標識されるプライマー対を用いて、PCRが行われる。蛍光体を用いることは、本発明の実践において特に有用である。適した蛍光体の例を表1に示される一覧から選択してもよい。他の標識には、発光およびリン光のみならず、赤外線色素も含まれる。これらの色素または蛍光体はまた、抗体に関するレポーター分子として用いられてもよい。
【0082】
(表1)適した蛍光体の一覧


1 Ex:ピークの励起波長(nm)
2 Em:ピークの放出波長(nm)
【0083】
蛍光放出を分析する任意の適した方法が本発明に包含される。この点において、本発明は、たとえばLakowicz et al, Biophys. J. 72:567, 1997によって開示される2光子および3光子時間分解型蛍光分光法、たとえばEriksson et al., Biophys. J. 2: 64, 1993によって開示される蛍光寿命イメージング、ならびにたとえばYouvan et al, Biotechnology et elia 3:1-18, 1997によって開示される蛍光共鳴エネルギー移動が含まれるがこれらに限定されるわけではない技術を企図する。
【0084】
発光およびリン光はそれぞれ、当技術分野において公知である適した発光またはリン光標識に起因してもよい。そのような標識を同定する任意の光学的手段をこの点において用いてもよい。
【0085】
赤外線放射は適した赤外線色素に起因してもよい。本発明において使用されてもよい例示的な赤外線色素には、Lewis et al, Dyes Pigm. 42(2): 197, 1999、Tawa et al, Mater. Res. Soc. Symp. Proc. 488 [Electrical, Optical and Magnetic Properties of Organic Solid-State Materials IV], 885-890、Daneshvar et al, J. Immunol. Methods 226(l-2):119-128, 1999、Rapaport et al, Appl Phys. Lett. 74(3):329-331, 1999、およびDurig et al, J. Raman Spectrosc. 24(5):281-285, 1993において開示される色素が含まれるがこれらに限定されるわけではない。赤外線色素を調べるために任意の適した赤外線分光法を使用してもよい。たとえばこの点において、たとえばRahman et al, J. Org. Chem. 63:6196, 1998によって記述されるようなフーリエ変換赤外線分光法を用いてもよい。
【0086】
適切なことに、電磁散乱は、光およびX線が含まれる入射電磁放射線の回折、反射、偏光、または屈折に起因する場合がある。そのような散乱を用いて、mRNAレベルまたはタンパク質レベルを定量することができる。
【0087】
フローサイトメトリーは、蛍光放射を分析するために特に有用である。
【0088】
当技術分野において公知であるように、フローサイトメトリーは、粒子(標識mRNA、DNA、またはタンパク質)が流体の流れの中で浮遊しながら1つまたは複数のレーザー光線の光路の中を通過する際に、粒子の物理化学特徴を迅速に分析することを含むハイスループット技術である。各粒子がレーザー光線を遮断すると、各細胞または粒子から放出された散乱光および蛍光が検出されて、たとえば本明細書において以下に記述される任意の適した追跡アルゴリズムを用いて記録される。
【0089】
近代的なフローサイトメーターは、1秒間に細胞100,000個/粒子までのこれらのタスクを行うことができる。フィルターおよび光二色性ミラーの光学アレイを用いることによって、異なる波長の蛍光を分離し、かつ同時に検出することができる。加えて、異なる励起波長を有する多数のレーザーを用いてもよい。よって、多様な蛍光体を用いて、たとえば試料内の異なる免疫エフェクターまたは多数の被験者からの免疫エフェクターを標的として調べることができる。
【0090】
本発明の方法において用いられてもよい適したフローサイトメーターには、単励起レーザー、一般的に15 mWでその488 nmスペクトルラインで操作するアルゴンイオン空冷レーザーを用いて、5〜9個の光学パラメータ(表2を参照されたい)を測定するフローサイトメーターが含まれる。より進化したフローサイトメーターは、アルゴンイオンレーザー(488 または514 nm)に加えてHeNeレーザー(633 nm)またはHeCdレーザー(325 nm)などの多数の励起レーザーを用いることができる。
【0091】
(表2)フローサイトメーターによって測定されうる例示的な光学パラメータ

* 488 nm励起レーザーを用いる
帯域フィルターの幅
# ロングパスフィルター
【0092】
たとえば、Biggs et al, Cytometry 36:36-45, 1999は、3つの励起レーザーを用いて11-パラメータのフローサイトメーターを構築して、粒子の免疫表現型を決定する(すなわち、分類する)目的のために、前方散乱測定および側方散乱測定に加えて9個の識別可能な蛍光体を用いることを証明した。現在市販されているパラメータの最大数は17である;前方散乱、側方散乱、および各々が5個の蛍光検出器を有する3つの励起レーザー。パラメータの全てが適切に用いられうるか否かは、吸光計数、量子収量、および全ての蛍光体のあいだでのスペクトルの重なり量に強く依存する(Malemed et al, "Flow cytometry and sorting", 2nd Ed., New York, Wiley-Liss, 1990)。しかし、本発明は、任意の特定のフローサイトメーターまたは任意の特定の組のパラメータに限定されない。この点において、本発明はまた、たとえば Fu et al, Nature Biotechnology 17. 1109-1111, 1999によって開示されるように従来のフローサイトメーターの代わりに微細加工フローサイトメーターを用いることも企図する。
【0093】
本発明のアッセイ法は、ハイスループットスクリーニングに関して、または1人の被験者からの多数の免疫エフェクターに関するスクリーニングに関して自動化または半自動化されてもよい。自動化はコンピューターソフトウェアによって簡便に制御される。
【0094】
本発明は、ゆえに、1つまたは複数の免疫エフェクターの存在、非存在、またはレベルを査定するために、以下を含むコンピュータープログラム産物を企図する。
(1)標識mRNAまたは抗体に関連するレポーター分子の同一性を入力値として受信するコード;
(2)レポーター分子のレベルおよび/またはそれに対してレポーター分子が付着する分子の同一性を決定するために、入力値を参照値と比較するコード;
(3)コードを保存するコンピューター読み取り可能な媒体。
【0095】
本発明のなお別の局面は、以下を含む、1つまたは複数の免疫エフェクターの存在、非存在、またはレベルを査定するためのコンピューターにまで及ぶ。
(1)標識されたmRNAまたは抗体に関連するレポーター分子を同定する入力値を含む機械読み取り可能なデータによってコードされるデータ保存材料を含む機械読み取り可能なデータ保存媒体;
(2)機械読み取り可能なデータを処理するための説明書を保存するための作業メモリー;
(3)レポーター分子またはそれに対してそれらが付着する分子の同一性またはレベルの査定を提供するために、値を比較するために機械読み取り可能なデータを処理するための、作業メモリーおよび機械読み取り可能なデータ保存媒体に連結させた中央処理装置;および
(4)比較の結果を受信するために中央処理装置に連結させた出力ハードウェア。
【0096】
本出願の1つの局面には、特定の抗原またはマイトゲンに対する応答性を測定することによって、被験者の細胞性免疫応答性を証明する実験が含まれる。1つの態様において、末梢血試料、血液または気管支肺胞洗浄液の濃縮白血球画分の試料などの1つまたは複数の試料を、特定の疾患(たとえば、自己免疫疾患、病原体に対する感染症またはベリリウムへの曝露)およびエフェクターT細胞(たとえば、CD4+ T細胞)からのエフェクター分子の決定によって測定される免疫応答性を有するまたは発症することが疑われる被験者から得てもよい。アッセイ法は、調節性T細胞機能などのT細胞機能を調節する作用物質の存在下で行われる。
【0097】
免疫結合法には、結合プロセスのあいだに形成される任意の免疫複合体の検出または定量を必要とする、試料中の反応構成要素の量を検出または定量するための方法が含まれる。本明細書において、サイトカインを含有することが疑われる試料を得て、試料を抗体に接触させ、その後特異的条件下で形成される免疫複合体の量を検出または定量する。
【0098】
免疫複合体(一次免疫複合体)を形成させるために有効な条件および十分な期間において、選ばれた生物試料を抗体に接触させる段階は全体として、組成物を試料に添加する段階、および存在する任意の抗原と抗体が免疫複合体を形成するための、すなわち該抗原に該抗体が結合するための十分に長い期間、混合物をインキュベートする段階ということである。この期間の後、組織切片、ELISAプレート、ELISpot、ドットブロット、またはウェスタンブロットなどの試料-抗体組成物は、一般的に、任意の非特異的に結合する抗体種を除去するために洗浄され、一次免疫複合体内に特異的に結合した抗体のみを検出させると考えられる。
【0099】
特定の態様において、本発明は、ヒト被験者における疾患または状態の存在、非存在、レベル、または病期を検出するための方法であって、反応混合物において全容量の少なくとも10%を構成する全血を、調節性T細胞機能を阻害する作用物質と、細胞性免疫応答が試験される抗原とに接触させる段階、ならびにT細胞からの免疫エフェクター分子の存在またはレベルの上昇を測定する段階であって、該免疫エフェクター分子の存在またはレベルが該疾患または該状態を示している段階を含む、方法を企図する。
【0100】
さらなる態様において、本発明は、先に記述した方法と共に用いるためのキットに関する。1つの態様において、免疫検出キットが企図される。別の態様において、金属によって誘発されるまたは化学的に誘発される疾患を有するまたは発症することが疑われる被験者からの試料を分析するためのキットが企図される。より詳しい態様において、疾患を有するまたは発症することが疑われる被験者からの試料を分析するためのキットが企図される。より詳しい態様において、キットは、疾患状態発症の前または後に被験者の細胞性免疫応答性を査定するためのキットである。
【0101】
キットの免疫検出試薬は、所定の抗体または抗原に会合または連結する検出可能な標識、および二次結合リガンドに会合または付着する検出可能な標識が含まれる、多様な形状の任意の1つをとってもよい。例示的な二次リガンドは、第一の抗体または抗原に対して結合親和性を有する二次抗体およびヒト抗体に対して結合親和性を有する二次抗体である。
【0102】
本発明のキットにおいて用いるためにさらに適した免疫検出試薬には、検出可能な標識に連結されており第二抗体に対して結合親和性を有する第三の抗体と共に、第一の抗体または抗原に対して結合親和性を有する二次抗体を含む二構成要素試薬が含まれる。
【0103】
キットはさらに、検出アッセイ法に関する標準曲線を作成するために用いられうるように、標識または非標識であるか否かによらず、抗原またはエフェクター分子の適切にアリコートにされた組成物を含んでもよい。
【0104】
キットは、完全に結合された型で、中間体型で、またはキットのユーザーによって結合された個別の部分として、抗体標識結合体を含有してもよい。キットの構成要素は、水性培地または凍結乾燥型で包装されてもよい。
【0105】
キットの任意の容器手段には一般的に、内部に試験物質、抗体、または抗原が入れられてもよく、かつ好ましくは適切にアリコートにされれもよい少なくとも1つのバイアル、試験管、フラスコ、ボトル、シリンジ、または他の容器手段が含まれると考えられる。第二または第三の結合リガンドまたは追加の構成要素が提供される場合、キットはまた一般的に、内部にこのリガンドまたは構成要素が入れられてもよい第二、第三、または他の追加の容器も含有すると考えられる。本発明のキットには典型的には、販売用の閉鎖環境において抗体、抗原、および任意の他の試薬容器を含有するための手段も含まれると考えられる。そのような容器には、内部に望まし-いバイアルが保持される射出成形またはブロー成形プラスチック容器が含まれてもよい。
【0106】
本発明はさらに、被験者における細胞性免疫応答またはそのレベルを検出するための改善されたアッセイ法であって、抗原を被験者からのT細胞源と共にインキュベートする段階およびエフェクター分子の存在または上昇を検出する段階を含む、アッセイ法を企図し、改善が、サプレッサーT-reg細胞を阻害するためのまたは免疫システムを増強する細胞を刺激するための作用物質と共にT細胞をさらにインキュベートする段階を含む。
【0107】
本発明はさらに、病原性感染症、自己免疫障害、もしくは癌、またはそのような状態もしくは障害を発症する傾向を有する被験者を処置するための方法であって、該被験者からのT細胞源を、T細胞またはそのサブセットの機能または活性を調節する作用物質と、細胞性免疫応答が試験される抗原とに接触させる段階、およびT細胞からの免疫エフェクター分子の存在またはレベルの上昇を測定する段階であって、該疾患または該障害の存在、非存在、レベル、または状態を示している該被験者の細胞性応答性のレベルを、該免疫エフェクター分子の存在またはレベルが示している段階、およびその後に該状態または該障害を処置する段階を含む、方法を提供する。
【0108】
本発明はさらに、以下の非制限的な実施例によって説明される。
【実施例】
【0109】
実施例1
アッセイ法の開発
ヘパリン添加血液試料を、同意を得たボランティアまたはドナーから採取した。血液試料をVacuette(登録商標)管(Greiner Bio-one, Germany)に採取した。
【0110】
血液試料のアリコートを、多くの異なる大きさの採血管においてのみならず、ウシ全血IFN-γ試験(Bovigam(登録商標)、CSL Ltd.)、またはヒトQuantiferon(登録商標)試験(Cellestis Limited, Australia)の製造元によって推奨される標準的な24ウェル組織培養プレートにおいても、ヒト型結核菌精製タンパク質誘導体(PPD, Cellestis Limited, Australia)、破傷風トキソイド(CSL Limited, Australia)、植物性血球凝集素(Cellestis Limited, Australia)、または生理食塩液対照のいずれかと共にインキュベートした。
【0111】
いくつかの実験において、インキュベーションの開始前にデキストロースを様々な濃度で血液に添加した。
【0112】
上記の沈降した血球から血漿を採収した後、抗原刺激血液試料を37℃で16〜24時間インキュベートした。各々の血清試料中に存在するIFN-γの量を、Quantiferon-TB(登録商標)ELISA(Cellestis Limited, Australia)を用いて製造元の説明書に従って定量した。試料を破傷風トキソイド抗原によって刺激して、生理食塩液対照を同様に、IFN-γに関するより感度の高いELISA(Quantiferon-CMI;Cellestis Limited, Australia)を用いて、製造元の説明書に従って試験した。
【0113】
各々のELISAプレートにおいて行ったIFN-γ標準物質のELISA光学濃度の値を用いて標準曲線を作製し、そこから試験血漿試料の各々に存在するIFN-γの量をIU/mL値に変換した。
【0114】
試料をまた、CD25リガンド、JAK1もしくはTYK2をコードする遺伝物質に対するオリゴヌクレオチド、またはCpGオリゴヌクレオチドと共にインキュベートした。オリゴヌクレオチドはホスホロチオエート化されてもよい。
【0115】
実施例2
CD25抗体の効果
抗CD25抗体によってコーティングされたビーズを全血と混合する。白血球または末梢血リンパ球は予め精製されていない。全血と混合した後、調節性T細胞を血液から分離または枯渇するためにさらに処理することなく、血液培養物をIFN-γの産生のために直接インキュベートする。磁気分離または他の任意の分離技術によって調節性T細胞の特異的枯渇を行う必要はない。ビーズは全血培養物の中に残され、調節性T細胞を白血球または血漿の残りから分離する特殊な努力は行われない。血液インキュベーションプロセスにおいて沈降する赤血球と同様に、ビーズは自然の重力によって赤血球細胞層に沈降することが可能であるが、調節性T細胞を培養細胞のインキュベーションの残りから物理的に分離するための介入は行われない。同様に可能であることは、T細胞機能の抑制にとって必要であるのは調節性T細胞に対するビーズの結合のみであることである。
【0116】
表3は、全血培養において用いられる場合の様々なタンパク質抗原に対するIFN-γ応答に及ぼす抗CD25抗体コーティングビーズの効果を示す。全血培養物にビーズを添加すると、用いられる抗原に対する特異的応答を、力価測定可能な様式で有意に生じたことは明らかである。これは、全血培養物からのビーズのいかなる公式な分離も必要としない。有意なバックグラウンド効果がなくシグナルを増強する最適なビーズ濃度は、ルーチンの経験的試験によって決定されうる。
【0117】
(表3)抗CD25磁気ビーズを添加したおよび添加しなかった全血における抗原に対するIFN-γ応答(IU/mL)

【0118】
実施例3
キナーゼ遺伝物質に対するアンチセンスの効果
細胞表面受容体のシグナルは、タンパク質キナーゼ分子が含まれる一連の改変分子および増幅分子によって細胞内のエフェクター分子に伝播される。これらのいくつかは、インターロイキン10(IL-10)が含まれる調節性T細胞に由来するシグナル伝達分子の伝達において有意である。これらのキナーゼは、正常なオリゴヌクレオチドを添加することによって、純粋な細胞培養物において機能が阻害される場合がある。オリゴヌクレオチドは全血培養物において無効であるが、ホスホロチオエート版を全血培養物において用いることができ、診断タンパク質抗原と共に用いることができる。適当な濃度で用いられる場合、これらの改変オリゴヌクレオチドは全血培養物に由来するIFN-γシグナルを実質的に増強する。インターロイキン2(IL-2)、インターフェロン誘導タンパク質10(IP10)、CCX、ならびに他のサイトカインおよびケモカインなどの分子が含まれるがこれらに限定されるわけではない、活性化T細胞によって生成される他のサイトカイン分子も同様に、増強されると考えられる。
【0119】
表4は、JAK1およびTYK2キナーゼをコードする遺伝物質に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドを添加した効果を示す。これらは、様々な濃度のホスホロチオエートオリゴヌクレオチドであり、これは天然のオリゴヌクレオチド版より有効である。この場合、添加されたオリゴヌクレオチドはまた、いかなるバックグラウンド応答も生じることなく、用いられる抗原に対する特異的応答を生じる。これらの実験も同様に全血において行われ、全血である複合体混合物におけるオリゴヌクレオチドの効力は高い。
【0120】
(表4)オリゴヌクレオチド(JAK1およびTYK2)を添加したおよび添加していない全血における抗原に対するIFN-γの応答(IU/ml)

【0121】
実施例4
オリゴヌクレオチド分子
阻害性の調節性分子の存在下でT細胞活性を刺激する代替法は、自身のみでは診断的応答を誘発することができない追加の刺激機序によって、T細胞応答を増強することである。
【0122】
表5は、ホスホロチオエート骨格を有しかつ全血に添加もされたオリゴヌクレオチドの添加の効果を示すが、この場合オリゴヌクレオチドはCpGモチーフを有する配列を含有する。これらのオリゴヌクレオチドも同様に、有意な様式でバックグラウンド応答に影響を及ぼすことなく、抗原に対する特異的応答を生じる。これらの化合物が、診断目的のために用いることができるサイトカインシグナル伝達の発生を補助できることは、新規である。全血における使用および効力は、アンチセンスオリゴヌクレオチドおよび抗CD25抗体コーティングビーズの場合と同様に、おそらく新規であり意外である。
【0123】
(表5)オリゴヌクレオチド(CpG)を添加したおよび添加しない全血における抗原に対するIFN-γ応答(IU/mL)

【0124】
表6および7は、これらの方法全てを組み合わせた使用を示す。
【0125】
(表6)アンチセンスオリゴヌクレオチドを個々にまたは組み合わせて添加したおよび添加しない全血における抗原に対するIFN-γ応答(IU/mL)

【0126】
(表7)アンチセンスオリゴヌクレオチドおよび抗CD25磁気ビーズを添加したおよび添加しない全血における抗原に対するIFN-γ応答(IU/mL)

この場合の被験者1〜5は、公知の結核感染症を有しない。
【0127】
当業者は、本明細書において記述される本発明が具体的に記述される内容以外の変更および改変を受けること、ならびに様々な配列およびタイプのオリゴヌクレオチドがtoll様受容体経路(TLR)に影響を及ぼしうること、および影響は、TLRシグナル伝達を通してのみ、アンチセンス効果を通してのみ、またはその双方を通して引き起こされる場合があることを認識し、本発明には、そのような全ての変更および改変が含まれると理解される。本発明にはまた、本明細書において個々にまたは集合的に参照されたまたは示された全ての段階、特色、組成物および化合物のすべて、ならびに段階または特色の任意の2つまたはそれより多くの任意かつ全ての組み合わせが含まれる。
【0128】
参照文献一覧


【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者における細胞性免疫応答活性を測定するための方法であって、
該被験者からのT細胞源を、T細胞またはそのサブセットの機能または活性を調節する作用物質と、細胞性免疫応答が試験される抗原とに接触させる段階、および
T細胞からの免疫エフェクター分子の存在またはレベルの上昇を測定する段階であって、該免疫エフェクター分子の存在またはレベルが該被験者の細胞性応答性のレベルを示している段階
を含む、方法。
【請求項2】
前記被験者がヒトである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
試料が、希釈されていない全血である、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
試料が、アッセイされる該試料の約10容量%〜100容量%を構成する全血である、請求項1または2記載の方法。
【請求項5】
前記全血が、アッセイされる前記試料の約50容量%〜100容量%を構成する、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記全血が、アッセイされる前記試料の約80容量%〜100容量%を構成する、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記全血が、抗原を含む管内に採取される、請求項3〜6のいずれか一項記載の方法。
【請求項8】
前記全血が、ヘパリンを含む管内に採取される、請求項3〜7のいずれか一項記載の方法。
【請求項9】
前記作用物質が、T調節性細胞の機能または活性を阻害する、請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記作用物質が、CD25リガンド;JAK1またはTYK2をコードする遺伝物質に対するセンスオリゴヌクレオチドまたはアンチセンスオリゴヌクレオチド;CpG含有オリゴヌクレオチド;TLR調節物質として作用するオリゴヌクレオチド;およびTLR調節物質の1つまたは複数から選択される、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記CD25リガンドが抗CD25抗体である、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記オリゴヌクレオチドがホスホロチオエート化されている、請求項10記載の方法。
【請求項13】
前記免疫エフェクター分子がサイトカインである、請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記サイトカインがIFN-γである、請求項13記載の方法。
【請求項15】
免疫エフェクターが、該免疫エフェクターに特異的な抗体によって検出される、請求項1記載の方法。
【請求項16】
前記免疫エフェクターが、ELISAを用いて検出される、請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記免疫エフェクターが、ELISpotを用いて検出される、請求項16記載の方法。
【請求項18】
免疫応答性が前記被験者における疾患または状態を示している、請求項1〜17のいずれか一項記載の方法。
【請求項19】
前記疾患または前記状態が、病原体による感染症、自己免疫疾患、炎症状態、および毒物への曝露を含む一覧から選択される、請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記疾患または前記状態が、マイコバクテリウム(Mycobacterium)種、ブドウ球菌(Staphylococcus)種、連鎖球菌(Streptococcus)種、ボレリア(Borrelia)種、大腸菌(Escherichia coli)、サルモネラ(Salmonella)種、クロストリジウム(Clostridium)種、赤痢菌(Shigella)種、プロテウス(Proteus)種、バチルス(Bacillus)種、ヘルペスウイルスおよびヒト免疫不全ウイルス(HIV)から選択される病原体による感染症、ならびにそれらに起因する疾患である、請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記疾患または前記状態が、ヒト型結核菌(Mycobacterium tuberculosis)による感染症または結核(TB)である、請求項19記載の方法。
【請求項22】
前記疾患または前記状態が、肝炎ウイルスによる感染症である、請求項19記載の方法。
【請求項23】
前記疾患または前記状態が、円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質症候群、自己免疫性アジソン病、多発性硬化症、自己免疫性副腎疾患、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性の卵巣炎および精巣炎、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、セリアックスプルー皮膚炎、慢性疲労症候群(CFIDS)、慢性炎症性脱髄化、慢性炎症性多発ニューロパシー、チャーグ-ストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡、クレスト症候群、寒冷凝集素病、クローン病、疱疹状皮膚炎、円板状狼瘡、本態性混合型クリオグロブリン血症、線維筋痛症、糸球体腎炎、グレーヴス病、ギラン-バレー症候群、橋本甲状腺炎、特発性肺線維症、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、IgA腎症、インスリン依存型糖尿病(I型)、扁平苔癬、狼瘡、メニエール病、混合性結合組織病、多発性硬化症、重症筋無力症、心筋炎、尋常性天疱瘡、悪性貧血、結節性多発動脈炎、多発性軟骨炎、多腺性症候群、リウマチ性多発筋痛症、多発筋炎および皮膚筋炎、原発性無ガンマグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、レイノー現象、ライター症候群、リウマチ熱、関節リウマチ、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン症候群、スティッフマン症候群、全身性紅斑性狼瘡、高安動脈炎、側頭動脈炎/巨細胞動脈炎、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、脈管炎、および白斑から選択される自己免疫疾患である、請求項19記載の方法。
【請求項24】
前記自己免疫疾患が、セリアック病である、請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記自己免疫疾患が、自己免疫性糖尿病である、請求項23記載の方法。
【請求項26】
前記疾患または前記障害が、ABL1癌原遺伝子、AIDS関連癌、聴神経腫、急性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、腺嚢腫癌、副腎皮質癌、原因不明骨髄様化生、脱毛症、胞状軟部肉腫、肛門癌、血管肉腫、再生不良性貧血、星状細胞腫、毛細血管拡張性運動失調、基底細胞癌(皮膚)、膀胱癌、骨癌、腸癌、脳幹神経膠腫、脳およびCNSの腫瘍、乳癌、CNS腫瘍、カルチノイド腫瘍、頚癌、小児脳腫瘍、小児癌、小児白血病、小児軟部組織肉腫、軟骨肉腫、絨毛癌、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、結腸直腸癌、皮膚T細胞リンパ腫、隆起性皮膚線維肉腫、線維組織形成性小細胞腫瘍、腺管癌、内分泌癌、子宮内膜癌、上衣腫、食道癌、ユーイング肉腫、肝外胆管癌、眼癌、眼の黒色腫、網膜芽腫、ファロピウス管癌、ファンコーニ貧血、線維肉腫、胆嚢癌、胃部の癌、胃腸癌、消化管カルチノイド腫瘍、尿生殖器癌、生殖細胞腫瘍、妊娠性絨毛疾患、神経膠腫、婦人科癌、血液学的悪性疾患、ヘアリーセル白血病、頭頚部癌、肝細胞癌、遺伝性乳癌、組織球症、ホジキン病、ヒト乳頭腫ウイルス、胞状奇胎、高カルシウム血症、下咽頭癌、眼球内黒色腫、膵島細胞癌、カポジ肉腫、腎臓癌、ランゲルハンス細胞組織球症、喉頭癌、平滑筋肉腫、白血病、リー-フラウメニ症候群、口唇癌、脂肪肉腫、肝臓癌、肺癌、リンパ浮腫、リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、男性乳癌、腎臓の悪性ラブドイド腫瘍、髄芽種、黒色腫、メルケル細胞癌、中皮腫、転移癌、口腔の癌、多発性内分泌腫瘍、菌状息肉腫、骨髄異形成症候群、骨髄腫、骨髄増殖性疾患、鼻腔癌、鼻咽頭癌、腎芽細胞腫、神経芽腫、神経線維腫症、ナイメーヘン染色体不安定症候群、非黒色腫皮膚癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、眼の癌、食道癌、口腔癌、中咽頭癌、骨肉腫、オストミー卵巣癌、膵臓癌、鼻傍癌、副甲状腺癌、耳下腺癌、陰茎癌、末梢神経外胚葉腫瘍、下垂体癌、真性赤血球増加症、前立腺癌、まれな癌および関連障害、腎細胞癌、網膜芽腫、横紋筋肉腫、ロトムンド-トムソン症候群、唾液腺癌、肉腫、神経鞘腫、セザリー症候群、皮膚癌、小細胞肺癌(SCLC)、小腸癌、軟部組織肉腫、脊髄腫瘍、扁平上皮癌(皮膚)、胃癌、滑膜肉腫、精巣癌、胸腺癌、甲状腺癌、移行上皮癌(膀胱)、移行上皮癌(腎臓-骨盤-/-尿管)、栄養膜癌、尿道癌、泌尿器系癌、ウロプラキン(uroplakin)、子宮肉腫、子宮癌、膣癌、外陰癌、ヴァルデンストレーム-マクログロブリン血症、およびウィルムス腫瘍から選択される癌である、請求項19記載の方法。
【請求項27】
被験者における細胞性免疫応答活性を測定するための方法であって、
該被験者からのT細胞源を、T細胞またはそのサブセットの機能または活性を調節する作用物質と、細胞性免疫応答が試験される抗原とに接触させる段階、および
T細胞からの免疫エフェクター分子の存在またはレベルの上昇を測定する段階であって、該免疫エフェクター分子の存在またはレベルが、該被験者の細胞性応答性のレベルを示しており、該応答性のレベルが、病原体による感染症、自己免疫疾患、癌、炎症状態、および毒物への曝露を含む一覧から選択される疾患または状態の存在、非存在、レベル、または病期を示している段階
を含む、方法。
【請求項28】
被験者における疾患または状態の存在、非存在、レベル、または病期を検出するためのアッセイ法であって、
該被験者からのT細胞源を、T細胞またはそのサブセットの機能または活性を調節する作用物質と、細胞性免疫応答が試験される抗原とに接触させる段階、および
T細胞からの免疫エフェクター分子の存在またはレベルの上昇を測定する段階であって、該免疫エフェクター分子の存在またはレベルが、該疾患または該状態を示している段階
を含む、アッセイ法。
【請求項29】
前記被験者がヒトである、請求項28記載の方法。
【請求項30】
試料が、希釈されていない全血である、請求項28または29記載の方法。
【請求項31】
試料が、アッセイされる該試料の約10容量%〜100容量%を構成する全血である、請求項28または29記載の方法。
【請求項32】
前記全血が、アッセイされる前記試料の約50容量%〜10容量0%を構成する、請求項31記載の方法。
【請求項33】
前記全血が、アッセイされる前記試料の約80容量%〜100容量%を含む、請求項32記載の方法。
【請求項34】
前記全血が、抗原を含む管内に採取される、請求項30〜33のいずれか一項記載の方法。
【請求項35】
前記全血が、ヘパリンを含む管内に採取される、請求項30または34のいずれか一項記載の方法。
【請求項36】
前記作用物質が、T調節性細胞の機能または活性を阻害する、請求項28記載の方法。
【請求項37】
前記作用物質が、CD25リガンド;JAK1またはTYK2をコードする遺伝物質に対するセンスオリゴヌクレオチドまたはアンチセンスオリゴヌクレオチド;CpG含有オリゴヌクレオチド;およびTLR調節物質の1つまたは複数から選択される、請求項36記載の方法。
【請求項38】
前記CD25リガンドが抗CD25抗体である、請求項37記載の方法。
【請求項39】
前記オリゴヌクレオチドがホスホロチオエート化されている、請求項37記載の方法。
【請求項40】
前記免疫エフェクター分子がサイトカインである、請求項28記載の方法。
【請求項41】
前記サイトカインがIFN-γである、請求項40記載の方法。
【請求項42】
免疫エフェクターが、該免疫エフェクターに特異的な抗体によって検出される、請求項28記載の方法。
【請求項43】
前記免疫エフェクターが、ELISAを用いて検出される、請求項42記載の方法。
【請求項44】
前記免疫エフェクターが、ELISpotを用いて検出される、請求項43記載の方法。
【請求項45】
前記疾患または前記状態が、病原体による感染症、自己免疫疾患、炎症状態、および毒物への曝露を含む一覧から選択される、請求項28〜44のいずれか一項記載の方法。
【請求項46】
前記疾患または前記状態が、マイコバクテリウム種、ブドウ球菌種、連鎖球菌種、大腸菌、サルモネラ種、クロストリジウム種、赤痢菌種、プロテウス種、バチルス種、ヘモフィルス種、肝炎ウイルス、ヘルペスウイルス、およびヒト免疫不全ウイルス(HIV)から選択される病原体による感染症、ならびにそれらに起因する疾患である、請求項45記載の方法。
【請求項47】
前記疾患または前記状態が、ヒト型結核菌による感染症または結核(TB)である、請求項46記載の方法。
【請求項48】
前記疾患または前記状態が、肝炎ウイルスによる感染症である、請求項46記載の方法。
【請求項49】
前記疾患または前記状態が、円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質症候群、自己免疫性アジソン病、多発性硬化症、自己免疫性副腎疾患、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性の卵巣炎および精巣炎、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、セリアックスプルー皮膚炎、慢性疲労症候群(CFIDS)、慢性炎症性脱髄化、慢性炎症性多発ニューロパシー、チャーグ-ストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡、クレスト症候群、寒冷凝集素病、クローン病、疱疹状皮膚炎、円板状狼瘡、本態性混合型クリオグロブリン血症、線維筋痛症、糸球体腎炎、グレーヴス病、ギラン-バレー症候群、橋本甲状腺炎、特発性肺線維症、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、IgA腎症、インスリン依存型糖尿病(I型)、扁平苔癬、狼瘡、メニエール病、混合性結合組織病、多発性硬化症、重症筋無力症、心筋炎、尋常性天疱瘡、悪性貧血、結節性多発動脈炎、多発性軟骨炎、多腺症候群、リウマチ性多発筋痛症、多発筋炎および皮膚筋炎、原発性無ガンマグロブリン血症、原発性胆汁性肝硬変、乾癬、レイノー現象、ライター症候群、リウマチ熱、関節リウマチ、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン症候群、スティッフマン症候群、全身性紅斑性狼瘡、高安動脈炎、側頭動脈炎/巨細胞動脈炎、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、脈管炎、および白斑から選択される自己免疫疾患である、請求項45記載の方法。
【請求項50】
前記自己免疫疾患がセリアック病である、請求項49記載の方法。
【請求項51】
前記自己免疫疾患が自己免疫性糖尿病である、請求項49記載の方法。
【請求項52】
前記疾患または前記状態が、ABL1癌原遺伝子、AIDS関連癌、聴神経腫、急性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、腺嚢腫癌、副腎皮質癌、原因不明骨髄様化生、脱毛症、胞状軟部肉腫、肛門癌、血管肉腫、再生不良性貧血、星状細胞腫、毛細血管拡張性運動失調、基底細胞癌(皮膚)、膀胱癌、骨癌、腸癌、脳幹神経膠腫、脳およびCNSの腫瘍、乳癌、CNS腫瘍、カルチノイド腫瘍、頚癌、小児脳腫瘍、小児癌、小児白血病、小児軟部組織肉腫、軟骨肉腫、絨毛癌、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、結腸直腸癌、皮膚T細胞リンパ腫、隆起性皮膚線維肉腫、線維組織形成性小細胞腫瘍、腺管癌、内分泌癌、子宮内膜癌、上衣腫、食道癌、ユーイング肉腫、肝外胆管癌、眼癌、眼の黒色腫、網膜芽腫、ファロピウス管癌、ファンコーニ貧血、線維肉腫、胆嚢癌、胃部の癌、胃腸癌、消化管カルチノイド腫瘍、尿生殖器癌、生殖細胞腫瘍、妊娠性絨毛疾患、神経膠腫、婦人科癌、血液学的悪性疾患、ヘアリーセル白血病、頭頚部癌、肝細胞癌、遺伝性乳癌、組織球症、ホジキン病、ヒト乳頭腫ウイルス、胞状奇胎、高カルシウム血症、下咽頭癌、眼球内黒色腫、膵島細胞癌、カポジ肉腫、腎臓癌、ランゲルハンス細胞組織球症、喉頭癌、平滑筋肉腫、白血病、リー-フラウメニ症候群、口唇癌、脂肪肉腫、肝臓癌、肺癌、リンパ浮腫、リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、男性乳癌、腎臓の悪性ラブドイド腫瘍、髄芽種、黒色腫、メルケル細胞癌、中皮腫、転移癌、口腔の癌、多発性内分泌腫瘍、菌状息肉腫、骨髄異形成症候群、骨髄腫、骨髄増殖性疾患、鼻腔癌、鼻咽頭癌、腎芽細胞腫、神経芽腫、神経線維腫症、ナイメーヘン染色体不安定症候群、非黒色腫皮膚癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、眼の癌、食道癌、口腔癌、中咽頭癌、骨肉腫、オストミー卵巣癌、膵臓癌、鼻傍癌、副甲状腺癌、耳下腺癌、陰茎癌、末梢神経外胚葉腫瘍、下垂体癌、真性赤血球増加症、前立腺癌、まれな癌および関連障害、腎細胞癌、網膜芽腫、横紋筋肉腫、ロトムンド-トムソン症候群、唾液腺癌、肉腫、神経鞘腫、セザリー症候群、皮膚癌、小細胞肺癌(SCLC)、小腸癌、軟部組織肉腫、脊髄腫瘍、扁平上皮癌(皮膚)、胃癌、滑膜肉腫、精巣癌、胸腺癌、甲状腺癌、移行上皮癌(膀胱)、移行上皮癌(腎臓-骨盤-/-尿管)、栄養膜癌、尿道癌、泌尿器系癌、ウロプラキン(uroplakin)、子宮肉腫、子宮癌、膣癌、外陰癌、ヴァルデンストレーム-マクログロブリン血症、およびウィルムス腫瘍から選択される癌である、請求項46記載の方法。
【請求項53】
前記疾患または前記状態が、ベリリウム感受性またはベリリウムへの曝露である、請求項46記載の方法。
【請求項54】
ヒト被験者における疾患または状態の存在、非存在、レベル、または病期を検出するための方法であって、
反応混合物において全容量の少なくとも10%を構成する全血を、調節性T細胞機能を阻害する作用物質と、細胞性免疫応答が試験される抗原とに接触させる段階、および
T細胞からの免疫エフェクター分子の存在またはレベルの上昇を測定する段階であって、該免疫エフェクター分子の存在またはレベルが、該疾患または該状態を示している段階
を含む、方法。
【請求項55】
病原性感染症、自己免疫障害、もしくは癌、またはそのような疾患もしくは障害を発症する傾向を有する被験者を処置する方法であって、
該被験者からのT細胞源を、T細胞またはそのサブセットの機能または活性を調節する作用物質と、細胞性免疫応答が試験される抗原とに接触させる段階、
T細胞からの免疫エフェクター分子の存在またはレベルの上昇を測定する段階であって、該疾患または該障害の存在、非存在、レベル、または状態を示している被験者の細胞性応答性のレベルを、該免疫エフェクター分子の存在またはレベルが示している段階、および
その後に該疾患または該障害を処置する段階
を含む、方法。
【請求項56】
被験者における細胞性免疫応答を測定するためのキットであって、
第一の構成要素が複数の採血管を含み、第二の構成要素が免疫エフェクター分子に関する抗体に基づく検出手段を含み、かつ第三の構成要素が、請求項1または28記載の段階を含む一組の説明書を含む、複数構成要素による形態であるキット。
【請求項57】
T細胞を含む源と共に抗原またはマイトゲンをインキュベートしかつエフェクター分子の存在または上昇を検出する方法による細胞性免疫応答性の診断アッセイ法の製造における、T細胞またはT細胞のサブセットの機能または活性を調節する作用物質の使用。
【請求項58】
T細胞を含む源と共に抗原またはマイトゲンをインキュベートしかつエフェクター分子の存在または上昇を検出する方法による細胞性免疫応答性の診断アッセイ法の製造における、(i)サプレッサー調節性T細胞の阻害剤、および(ii)免疫システムまたはそのサブセットを増強する活性化剤から選択される作用物質の使用。
【請求項59】
T細胞を含む源と共に抗原またはマイトゲンをインキュベートしかつエフェクター分子の存在または上昇を検出する方法による細胞性免疫応答性の診断アッセイ法の製造における、CD25リガンド、JAK1またはTYK2をコードする遺伝物質に対するセンスまたはアンチセンスの核酸分子、CpG含有オリゴヌクレオチド、およびTLR調節物質から選択される作用物質の使用。

【公表番号】特表2011−529171(P2011−529171A)
【公表日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−518982(P2011−518982)
【出願日】平成21年7月14日(2009.7.14)
【国際出願番号】PCT/AU2009/000899
【国際公開番号】WO2010/009494
【国際公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(505167598)セレスティス リミテッド (3)
【Fターム(参考)】