説明

診断液体の診断試薬の分取

生物学的流体サンプルは、サンプルの均一な層を試薬含有表面上に生成する方法によって吐出される。一実施形態においては、複数の開口を有するノズルが用いられて、サンプルが試薬含有表面上に同時に吐出される。代替的実施形態において、サンプルの単一の小滴は、パターンで、表面上に、好ましくは平行な線の配列で吐出される。生物学的サンプルと試薬との間の反応は、光学的方法によって得られた試薬含有表面の分光写真画像から読み取られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析物の試薬との光学的応答を生成する反応による、生物学的サンプル中の分析物の含量の計測に用いられる試薬および器具に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの器具が、例えば尿、血液、唾液、または粘液あるいは組織の抽出物といった種々の生物学的サンプル中の分析物の含量を計測するために開発されてきた。典型的には、サンプル液体は、分析物と反応する試薬を含有する表面に適用される。試薬は検出可能な応答を生成し、これが計測され、および分析物の量と関連付けられる。表面は、親水性または疎水性の性質であることが可能である(例えばポリスチレンと比してフィルタ紙)。いくつかのデバイスは、疎水性ポリスチレン柄の上に親水性フィルタ紙パッドを用いる尿検査ストリップテストなどのように組み合わせを用いる。典型的なテストにおいては、試薬を含有するストリップが、液体サンプル中に浸され、すなわち完全に浸漬され、およびサンプル中の分析物と、試薬との反応が典型的には光学的方法によって計測される。他のデバイスとしては、ポリスチレンから成型されたキャピラリーに接続された親水性基材を用いるマイクロチップが挙げられる。試薬自体は水溶性または不水溶性であることができ、およびテストストリップと同様に支持面上で乾燥される。または、これらは、液体としてマイクロチップに追加されることが可能である。追加の液体試薬が、乾燥された試薬を既に含有する表面に適用されることができる。典型的にはこの適用は、サンプルが適用された後になされる。サンプル体積は、費用および簡便性に関連する明白な理由から可能な限り少量であるべきである。明白さに劣るのは、度々、少量の液体試薬または生物学的サンプルを、試薬を含有する表面に適用したときに均一で正確な応答を得ることが困難であることである。
【0003】
ほとんどの生物学的サンプルおよび液体試薬は顕著な含水量を有することとなり、それ故、親水性基材に適合性であると共に、疎水性表面に非適合性となる。サンプルおよび試薬液体は、分取された際、親水性基材にわたって急速に広がりおよび疎水性基材によりはじかれる。表面上での分取された液体および試薬の間の接触は、キャピラリー現象によりまたは直接的に成されることができる。しかしながら、基材が比較的疎水性である場合、分取された液体は、表面との接触を最低とするよう、基材の表面上でビーズを形成する。分取された液体は、従って、試薬上に均一に広がらない。液体の分取に関連する他の困難は、乾燥した試薬が水溶性または不水溶性のいずれかの性質であり得ることである。不溶性乾燥試薬は、液体サンプルに容易に到達可能ではない場合があり、または可溶試薬は、溶解されずに液体と共に基材上を移動し得る。試薬は、理想的には、サンプルに対する試薬の計測可能な応答(例えば発色)はサンプル中の分析物の正確な読み取り値を得るために均一であるべきであるため、サンプルに均一に接触するべきである。
【0004】
表面上での分取された液体および試薬の間の良好な接触の実現に関する他の問題は、サンプルの物理的性質に関連している。これらは、表面張力、粘度、総固形分含有量、粒径および粘着などのそれらの物理特性で異なる。従って、これらを、一定した体積で、試薬被覆基材の上に均一に分取することは容易ではない。また、液体サンプルの量が低減されるに伴って、異なる特性のサンプルを試薬に一定した量で適用することはますます困難となる。対照的に、インクジェット印刷等は、このような使用のために開発された、一定した物理特性を有する液体に基づいている。
【0005】
液体の小滴の吐出は周知の操作である。例は、数フェムトリットルから数十ナノリットルを含有する、約2〜300μm直径(典型的には50μm)の複数の微小な小滴の制御された吐出から印刷をなす、圧電型またはバブル型のいずれかのインクジェットプリンタを含む。一般に圧電原理を利用して小滴を形成する、微小な小滴を吐出する他の方法が提案されてきているが、これらは、典型的なインクジェットプリンタとは異なる。例は、特許文献1;特許文献2;特許文献3;および特許文献4に見出される。シリンジタイプピペットを介したより大きい小滴の小滴の吐出は、診断システムにおいて3〜100μLで再現性があることが公知である。これは、約2〜6mmの直径の単一の小滴に相当する。このようなピペットシステムの商業用の例は、クリニテックアトラス(CLINITEK ATLAS)(登録商標)尿検査分析器である。小滴サイズは、ノズル形状、ポンプタイプおよび印加される圧力に応じて、ノズルサイズより大きいかそれ未満であることができる。
【特許文献1】米国特許第5,063,396号明細書
【特許文献2】米国特許第5,518,179号明細書
【特許文献3】米国特許第6,394,363号明細書
【特許文献4】米国特許第6,656,432号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記で検討した問題は、特に、液体サンプルが小滴として試薬含有パッド上に分取されるときに観察される。本発明者らは、頻繁になされるとおり、サンプル液体中に試薬パッドを(これを浸す)浸漬することにより試薬パッドを完全に覆うのではなく、サンプルが小滴として追加されたときには、パッドの表面と試薬との相互作用が不正確な応答を形成することを見出した。およそ3〜100μLの大きな小滴は、基材が過度に疎水性である場合には試薬中に移行せず、表面上で泡を形成する。表面が親水性である場合には、これらは、試薬を過剰な流体で覆う。数フェムトリットルから数十ナノリットルのより小さな小滴はまた、過度に疎水性である基材上に吐出されたときに、表面積を完全に覆うには体積が不足して、不均一なパターンに無作為に集合することとなるため、問題である可能性がある。微小な液滴はまた、水可溶試薬の移動のための空隙を許容する。これらの小さい小滴はまた、液体が蒸発してエアロゾルを形成する傾向にあり、これは、尿または血液試料を含んでなる場合にはバイオハザードであると見なされる。それ故、パッドをサンプル中に浸漬するのではなく、液体を小滴としてテストパッド上に吐出する場合には、向上が要求される。
【0007】
分取された液体と試薬との接触が完了した後、数々の方法の1つを用いて結果を読み取り得る。光学的方法が通例用いられ、これは、応答を生成する分光学的シグナルに基づく。結果は、有用であるために再現性でなければならない。光学的計測値は、視認される試薬エリアによって、および分取された液体および試薬を反応させる時間によって影響される。視野内での不均一なエリアの形成および必要な反応時間の長さの変化はエラーを増進させる。例えば、不均一的に基材にわたって拡散されたサンプルまたは試薬からの計測値は、読み取る時の各々で異なる結果を与える。
【0008】
正確で一定した結果を得ることは、常に、生物学的サンプルの分析方法を開発し、向上する者の目標である。本発明者らは、液体生物学的サンプルまたは液体試薬を、乾燥試薬を含有する表面上に吐出したとき、特にサンプルを小滴として吐出したときに得られる結果の向上のための新規な方法を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、生物学的流体および液体試薬(「液体」)を、生物学的流体中の分析物と反応する試薬を含有するエリア(「試薬エリア」)を有する表面上に均一に吐出する方法、およびこのような方法を実施するための装置を含む。生物学的流体中の分析物の試薬との反応から得られる光学的応答は、画像の前定義された領域において試験されることができる分光画像として視認される。
【0010】
生物学的流体または液体試薬は、試薬含有表面近傍、表面から例えば1〜5mmに配置されたノズルを用いて分取される。液体は、約0.1〜2.0mm(100〜2000μm)の平均直径およびマイクロリットルからナノリットルの平均体積を有する小滴として分取される。試薬エリア、または試薬エリアに隣接するエリアが、分取された液体で被覆され、および得られる反応は、試薬含有エリアの所定の領域内において、光学的方法により、分取された液体と試薬含有表面との反応に必要とされる時間の関数として読み取られる。全試薬含有表面は、一回で被覆され得、または代わりに、試薬と均一に反応する、配列された小滴の所定のパターンで被覆され得る。
【0011】
一実施形態においては、ノズルにおける複数の開口が複数の小滴を同時に分取して、試薬エリアの所定の領域を被覆する(図1を参照のこと)。ノズルにおける開口の各々は約0.1〜1.0mmの直径を有し、および開口の直径の約50%〜200%の小滴を生成することが可能である。ノズル開口は、試薬エリアの所定の領域エリアを被覆するよう配列されている。それ故、ノズル開口は、表面上の所定の領域を、小滴分取ノズルまたは試薬含有表面またはその両方を移動させることによりなされ得る、同時または複数のパスのいずれかでの被覆に十分である。
【0012】
第2の実施形態において、ノズルにおける1つの開口は、小滴を分取する(図2を参照のこと)。ノズルにおける開口は約0.1〜1.0mmの直径を有し、開口の直径の約50%〜200%の小滴を生成することが可能である。パターンは、小滴分取ノズルまたは試薬含有表面、または両方を移動させることにより、試薬含有表面を所定の線の配列で、例えば約1〜100パスで試薬表面にわたってトラバースさせることにより形成され得る。
【0013】
第3の実施形態において、生物学的流体または液体試薬は、小滴がキャピラリー現象により均一に試薬含有エリアに移動されるよう、単一のまたは複数のホールノズルの一方により試薬エリアに隣接する表面上に分取される(図3を参照のこと)。分取パターンは、表面を線の配列で、例えば約1〜100パスで試薬表面にわたってトラバースさせることにより形成され得る。
【0014】
他の実施形態において、液体試薬(または試薬)は、生物学的サンプルの吐出の前、後、またはそれに伴って試薬エリアに適用される。好ましくは、液体試薬は、生物学的サンプルが吐出された後に適用される。
【0015】
試薬含有エリアを好適な波長の光へ露出することにより、生物学的サンプル中の分析物と試薬との間に生じる反応についての情報が、生物学的サンプル中の分析物の量をより正確に計測するために画像の所定の領域で読み取られた分光写真画像の形態で提供される。所定の領域は、全試薬含有エリア、その部分、または単一の小滴によって被覆されたエリアであり得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
定義
本願明細書において用いられる以下の用語は、以下のとおり定義される。
【0017】
「分光画像」は、全試薬含有エリアのサブユニットの試験を可能とする、試薬含有エリアの、試薬含有エリアに吐出された生物学的サンプルに対する光学的応答の詳細な視像を指す。
【0018】
「親水性」表面は、表面とその上に置かれた水の液滴との間に90°未満の接触角を有するものである。
【0019】
「疎水性」表面は、表面とその上に置かれた水の液滴との間に90°以上の接触角を有するものである。
【0020】
「性能指数(FOM)」は、存在する分析物を含むサンプルおよび含まないサンプルから得られた結果の間の平均差を標準偏差の二乗の和の平方根で除した、性能の算出尺度であり、結果は、分析物を含まないサンプルと検出可能な最低分析物濃度を含有するサンプルとを比較する。
【0021】
本発明の方法によって達成される目的は、試薬含有表面を液体の均一な層で被覆して、結果の向上した正確性を得ることである。分取された液体の各部分は試薬含有表面に接触すると共に試薬の対応する部分に直接的な接触をなすため、液体が吐出された箇所でサンプルの各部分中の分析物の反応が生じる。後述の考察にみられるであろうとおり、典型的な試薬含有表面は、これらが反応する生物学的サンプルに対するそれらの疎水性または親水性特性のために小滴の分取には良好に適していない場合がある。
【0022】
試薬含有表面の液体サンプル中への浸漬は、完全でかつ均一な接触を試薬と達成する。本発明は、試薬含有表面を浸漬する必要なく類似する結果を達成し、数々の利点を提供する。先ず、試薬含有表面を浸漬するのではなく小滴を分取することにより、必要なサンプルはより少量であり、必要とされる乾燥および液体試薬の量が一般に低減される。第2に、手での液体試薬の追加などの手作業ステップをなくすことが可能である。また、カードまたはストリップ上に小さいテストエリアが配置された自動化分析は、実行が容易となる。カードまたはストリップまたはノズルのいずれかを移動させて、単一のサンプル液体の複数のテスト、または複数のサンプルの単一のテストを許容することが可能である。これにより、対象とする試薬エリアへの要求に応じた分取が可能となる。
【0023】
本発明について特に注目すべきは、標準ピペットシステムを超えて得ることができる向上した正確性および精度(信頼性)である。向上した正確性および精度は、試薬のサンプルに対する応答の結果を、時間および位置の関数として全試薬エリアにわたってフォーカスされた分光画像を視認することにより読み取ることが可能であることによる結果である。本発明において用いられる微小な液滴サイズ(直径0.1〜1mmの範囲で)の特定の利益は、大きな液滴サイズでは吸収されないが、これらはきわめて疎水性の表面によって容易に吸収されることである。微小な液滴サイズの追加の利点は、隣接する試薬エリア間でのキャリーオーバーなしで試薬含有カードの使用を許容するパターンを分取することができることである。
【0024】
吸収された液体への試薬の効果
一連のテストを、生物学的サンプルの試薬との反応からの計測値の正確性および精度への、分取の影響を実証するために実施した。マルチスティックス(MULTISTIX)(登録商標)製品(バイエル(Bayer))製の試薬を、検出すべき分析物を含有する、および含有しないケクスティックス(CHEKSTIX)液体(バイエル(Bayer))または他の標準化テスト溶液でテストした。試薬表面のいくつかは疎水性であったが、他のものは親水性であった。テストした試薬のいくつかは水溶性であったが、他のものは不水溶性であった(表1を参照のこと)。すべての場合において、試薬は、基材としての非多孔性ポリスチレンフィルムの上部に置いた吸収性材料(すなわち吸収剤)の多孔性パッドに含有させた。
【0025】
第1のテストにおいては、試薬の典型的な性能を、試薬含有パッドの規定のエリア(5×5mm)を、水性テストサンプル中に浸す(浸漬する)ことにより規定した。浸漬後に試薬表面によって吸収された液体の最大体積を、規定のエリアの重量変化によって判定した。第2のテストにおいて、ピペットを用いて、この同一の最大体積を、大きな小滴サイズ(1.7〜20.4μL)として試薬表面上に分取した。大きな小滴サイズの分取後の試薬の性能を、クリニテックステータス(CLINITEK STATUS)(登録商標)尿検査ストリップリーダによって計測し、および浸漬したときの性能と比較した(表2を参照のこと)。第3のテストにおいては、単一のノズルを有するマイクロポンプを用いて、一連の微小な小滴サイズ(100nL〜1μL)を試薬表面上に分取した(図1)。再度、微小小滴サイズを分取した後の試薬の性能を計測し、浸漬後の性能と比較した(表2を参照のこと)。
【0026】
試薬の性能を、計測される分析物に欠く、またはそれを含有する一連のテストサンプルに対する応答を用いて、性能指数(FOM)として計測した。性能指数(FOM)を、分析物に欠くおよび分析物を低濃度で含有する2つのテストサンプルについての平均結果間の絶対差を、各レベルで観察した標準偏差の二乗の和の平方根で除したものとして算出した。FOMのより高い値が好ましいが、本テストについては、少なくとも7〜10の値が許容可能な性能を示す。性能指数(FOM)値を、浸漬した試薬と、大きな小滴サイズおよび理想的な小滴サイズとして分取したサンプル液体を有していた試薬とについて算出した(表1および2を参照のこと)。
【表1】

【0027】
浸漬に比した小滴のピペット
試薬含有パッドは、浸漬したときに、組成物に応じて異なる量の液体を吸収したことは明らかであった(表1)。普通、きわめて疎水性の試薬表面は微量の液体を吸収する。70ダイン/cmの表面張力を有するきわめて疎水性のポリスチレン表面はわずかに0.2μLのフィルムを保持した。含浸された液体の量における顕著な偏差は、類似の表面エネルギーの乾燥試薬の間に見いだされ、および試薬要素によって影響されていた。
【0028】
ピペットを用いてサンプルの比較的大きな小滴(1.7〜20.4μL)を分取する追加のテストにおいては、所望どおり試薬からの均一な応答は得られなかった(表2を参照のこと)。大きな小滴についてのFOM値は、浸漬についてのFOM値より低かった。FOM値は、サンプル中の分析物を伴う、および欠いた結果間の差が小さいときは小さく、および標準偏差は大きい。従って、サンプル液体中の分析物の計測値の正確性および一定性は、大きな小滴を用いたときにはより悪かった。劣った性能についての数々の理由がある。大きな小滴は、小滴が多孔性パッドに進入せず、乾燥試薬と接触しなかったため、きわめて疎水性の試薬(例えばグルコース)について応答を得ることができなかった。小滴は試薬の表面上で球状になり、および分散しなかった(液滴の直径が液体を加えるにつれて増加しなかった図4を参照のこと)。他の理由は、液滴が表面に広がるに伴って試薬が移行するために、水溶性液体(例えば白血球)との試薬に適用された大きな小滴は、浸漬と比して劣った応答を有していることである。大きな小滴は、吸水能を超えることにより過剰な液体を多孔性パッド上に生成し、移動をもたらす。これはまた、個別の液体サンプルを受けるべきである乾燥試薬エリア間に汚染のキャリーオーバーが生じるであろう確率を増加させる。大きな小滴の劣った性能に対する最終的な理由は、不水溶性試薬(アルブミン)を有する疎水性表面において観察された。この場合、分取された液体の劣った吸収は不均一な適用および不均一なシグナルを生成する。
【0029】
一般に、小滴を、各パッドの真ん中に適用した。観察された液体被覆率は、小滴サイズ(図4と対照的な図5を参照のこと)および適用した総体積に依存していた。ピペットにより試薬パッドを液体で充填させる量は、度々、浸漬によって見出したもの未満であったことを見出した。一般に、約6〜8μLの総液体体積が、ピペットとテスト溶液中への浸しとの間で性能の一致に到達するために必要であった。サンプル液体を小滴で吐出するときは、浸漬と比して、均等な性能の達成にはサンプルの精密な吐出が必要とされたと結論づけた。小滴により分取した理想的な液体体積を、達成した最良のFOMに基づいて選択した(表2)。微小な小滴を吐出したときに、理想的な総体積を達成するために複数の液滴を用いた。テストパッドの特性に応じて、小滴として吐出した液体の体積は、均等な性能を補償するために異ならせるべきであると結論づけた。これを行ったとき、微小小滴サイズで達成したFOMは、すべての試薬表面タイプについての浸漬の性能と同等またはそれに勝っていた(表1および2を比較すること)。
【表2】

【0030】
体積および液滴サイズおよび分取パターンの効果
サンプル液体を試薬パッド上に多量の液体でピペットするとき、得た結果の性能を補正する必要性に追加して、吐出した体積がどのように液体の拡散に影響するのかを判定することも重要である。研究を実施して、液体小滴の量の増加の、親水性表面およびきわめて疎水性の試薬表面上での液体の拡散への影響を評価した。小滴サイズを増加するに伴って、親水性試薬パッド上の液体の直径が増加する(図5を参照のこと)ことを、予期したとおり見出した。しかしながら、きわめて疎水性の試薬パッド(グルコース)の場合には、大きな小滴を用いたときに少量の吸収および液体の膨張が生じた(図4を参照のこと)。しかしながら、意外なことに、小滴サイズが100nL未満であるとき、液体は瞬間的に吸収され、膨張が生じる(小滴のサイズと相対的に)ことを見出した。すなわち、小滴が微小であるとき、疎水性試薬パッドは親水性であるかのような挙動を示した。複数のより微小な小滴の吐出が、均一な被覆率をもたらすために好ましいであろうと結論づけた。また、サンプル体積の制御により、利用可能な試薬パッドのより効率的な使用が可能であるであろう。
【0031】
疎水性表面の問題
これらのテストで用いた例えばグルコースパッドといった試薬パッドがきわめて疎水性である場合、液体サンプルにとって、大きな小滴ではパッドに浸透することは困難である。(図4の液体吸収についてのテストの結果に注意)。グルコースパッドにおいて、これは、サンプル液体の進入を制限することにより意図的になし得る。サンプル中のグルコースの試薬との反応からの変色は、表面上に位置する液滴の基部下で液体が表面に接触する場合にのみ生じる。従って、大きな小滴をピペットするのではなく、多くの微小な小滴を既定のエリア上に吐出することが、最良の結果を得るために好ましいであろう。これがなされるとき、浸漬のものと同等のまたはそれを超える性能を、達成することが可能である(表2中の微小な小滴で達成したFOMに注意)。
【0032】
試薬含有エリア上への吐出
図1は、ノズル12aが液体チャンバ10aから提供され、および複数のノズル開口が小滴14aを、疎水性表面16a上に支持されている試薬含有エリア18a上に分取する本発明の第1の実施形態を示す。
【0033】
図2は、ノズル12bが液体チャンバ10bから提供され、および単一のノズル開口が小滴14bを、疎水性表面16b上に支持されている試薬含有エリア18b上に分取する本発明の第2の実施形態を示す。この実施形態においては、ノズルが移動され、または試薬含有エリアがノズルと相対的に移動されて、小滴が所定のパターンに吐出される。
【0034】
液体はまた、きわめて疎水性の基材、例えば試薬エリアからオフセットのポリスチレン基材の部分上に分取されることができる。これが本発明の第3の実施形態であり、図3に示されている。液体チャンバ10cは、小滴14cを、試薬含有エリア18cに隣接する疎水性表面16cに分取するノズル12cを提供する。液体サンプルは、キャピラリー現象を介して試薬含有エリアに移行することとなる。キャピラリー現象は、流体を試薬に導くポリスチレン中のキャピラリーによって、または液体を内部に吸い上げる試薬エリア中のキャピラリーによって達成されることができる。大きな小滴では、液体接触は劣っている。試薬中またはポリスチレン中のキャピラリーより大きい小滴は、試薬中には移動せず、小滴は、代わりに泡を形成する。
【0035】
2つのテストケースにおいて、4μLの1つの大きな小滴および0.1μLの40の微小な小滴を、グルコース試薬エリアからのオフセットのポリスチレンに適用した。第1のケースにおいては、テスト小滴を、グルコース試薬エリアと接触していた150×100ミクロン×4mm長のマイクロキャピラリーとの接触下に置いた。大きな小滴は、キャピラリーを介して60秒以内に移送されなかったが、一方で、より微小な小滴は、キャピラリーを介して試薬中に数秒以内に移動した。従って、応答は、微小な小滴でのみ計測可能であった。第2のケースにおいては、テスト小滴を、グルコースパッド内のキャピラリーとの接触下に置いた。大きな小滴は、60秒未満ではパッド中に移行し難かった。パッドは多くのキャピラリーを含有していたため、いくらかの移行は生じた。より微小な小滴は、容易にパッド中に進入した。大きな小滴のケースについて判定したFOMは<3であり、一方で、微小な小滴のケースについてのFOMは22.1であり、微小な小滴の適用について有利な性能が示された。同様に向上した結果を、グルコース試薬を、hCG、hbAlcおよびウリスタチンを検出するためのイムノアッセイ試薬を含有する親和性メンブランと置き換えたときに、微小な小滴について得た。
【0036】
水溶性試薬の問題
水溶性試薬が試薬表面中にあるとき、サンプル液体、例えば尿がそれらを吸収する。次いで、液体が試薬エリアに拡散するに伴って、水溶性要素は、溶剤面で液体と共に移動する。この移行は、不均一な発色を生成する。水溶性要素とのテストを用いて移行を計測した。大きな液滴とテストした白血球試薬(水溶性要素を含有する)は、サンプル体積に関係なく、およびサンプルが白血球を含有していたか否かに関わらず、実質的に同一の結果を示した(<3のFOM、表2)。しかしながら、テストパッドをサンプル液体中に浸漬したとき、または液体を微小な小滴で適用したとき、白血球の存在または不存在は容易に判定された(>10のFOM、表1または2)。水溶性要素の拡散は、浸漬または微小な小滴適用のいずれにおいても明らかであった。微小な小滴の反復適用での試薬表面の同時被覆は移行を制限し、および生じたいずれの移行も予測可能なパターンとなった。大きな小滴(>3μL)の場合には、不作為な凝集が移行に不均一さを生じさせていた。きわめて微小な小滴(<10nl)の場合には、不作為な凝集がまた蒸発に伴って生じた。これは、不均一な移行だけではなく、吐出液体に欠く開放空隙も生成した。
【0037】
一つの可能な適用において、液体の拡散は小滴体積および試薬エリア上への吹付けパターンによって制限されているため、分取ノズル下に供給される試薬の連続面(例えば試薬の長いリボンまたはこのようなリボンを含有するポリスチレンのカード)上に複数のテストエリアを画定することが可能である。ホール間隔は、分離した反応エリア間で液体の連通がないよう、個別の試薬エリア間に十分な離間を許容するために調整されることができる。ホール間隔はまた、試薬から均一な応答を得るために、および水溶性試薬の移行を回避するためにも調整されることができる。テストケースにおいて、1μL以下の小滴を、分取パターンに適当な間隔をとることにより、試薬のリボンにおいて5mm×6で分離することができることが示された。結果を、光をテストエリア全体に指向化させるため、およびサンプル液体がテストエリア上に吹き付けられた後所定の時間で反射光を受けるために配置された光学読み取りヘッドにより読み取った。
【0038】
分取パターンの適当な間隔化
典型的な実施形態において、ノズルは、試薬表面上約5mm以下の間隔とされるであろう。図1〜3においては、ノズルプレートは、小滴がテストエリア上に垂直に落下するようホールで穿孔されている。プレートはまた、小滴が角度をもって落下するよう湾曲していてもよい。交差汚染を最小限とするために、ノズルおよびテストエリア間の距離はできるだけ短く、小滴のサイズおよびそれらの軌道によって決定されるとおり、正確な小滴の配置のため典型的には、1mmを超え、および5mm未満であろう。
【0039】
リボンで実証されたとおり、精確な液体の吐出は、交差汚染を回避しつつ、試薬を含有する基材上でテストエリアを近接して間隔をとることを可能とする。ノズル開口の数およびサイズは適用に応じて異なるであろうが、エアロゾルの形成を回避するために、ホールは直径100μmを超えているべきである。所与のサイズのテストエリア上に小滴を分取するためにノズルはサイズ化されることとなるため、ノズルは、最小としておよそテストエリアのサイズ、または複数のホールあるいはテストエリア上で複数のパスを用いる場合にはより微小となるであろうことが通常のケースであろう。テストエリアは、当然、例えば約1〜25平方mmと微小であり、四角または円形が最も一般的であるがいずれかの所望の形状を有することとなる。本発明のノズルはサンプル液体の正確な配置を提供するため、テストエリアを近接して配置することが可能であり、それ故分析の効率および正確性が向上される。試薬の水への溶解度に応じて、テストエリアを、隣接する縁間がわずかに約0.3〜8mmの、約1.3〜10mm(中心間で)もの近さで配置することが可能であることが観察された。
【0040】
小滴パターンの光学的画像に対する関係
微小な小滴を試薬エリア上に分取するこの方法を利用するとき、試薬のサンプルに対する光学的応答を読み取る方法を向上することが可能である。従来の技術においては、例えば発色といった試薬の応答は、所望の波長を有する光をエリアに供給し、および光検出器への反射または透過光を計測することにより全試薬エリアについて測定される。計測される光の量は、反応したサンプル中の分析物の量と相関する。実質的には、試薬エリア全体での発色の平均が読み取られる。より正確な計測は、サンプル液体の吐出に応じたパターンおよび方策で試薬エリアを照射する。すなわち、光線は反応エリアをトラバース(スキャン)することができ、および反射または透過光が、1回に1スポット(ピクセル)で、受光され、および計測されることができる。このようなプロセスは、従来のテレビセットにおける陰極線管のスクリーン上でのパターントレースに類似するとして考えることができる。
【0041】
その結果、スキャンされた分光画像を所定の時間で得て、試薬表面にわたる種々のピクセル位置での分光情報を提供することができる。図6は、試薬表面にわたるx方向での分光画像を示す。図6においては、10のピクセルが1mmに等しく、従って、試験されている幅は10mmである。結果を選択されたスキャンエリアにわたって平均化することができ、および次いで試薬エリアに存在する分析物と関連される総発色として報告した。スキャンされた画像は、時間および液滴サイズに依存することが分かった。より大きな小滴サイズ(「C」)(8μLまたは2.5mm直径)は、試薬が水溶性要素を含有していたときは、既述のとおり溶剤面での移行によってより不均一なパターンを形成し、より低い反射率を小滴の外側縁でもたらした。より微小な小滴サイズ(「AおよびB」)(0.5μm直径の小滴20滴)は、試薬が反応するに十分な時間を許容する条件で、より均一なパターンを同一の試薬で形成した。曲線Aは、分取直後の小滴を示し、曲線Bは後の時間での拡散を示す。試薬の光学的応答を読み取るこの方法は、個別の小滴の、エリアをカバーするトレースでの分取に特に良好に適合するが、上記の噴射ノズルが用いられる本発明の実施形態でも用いることが可能である。
【0042】
小滴サイズの下限
100μm未満のノズルホールの一定サイズの小滴を送達する能力に影響する微粒子(例えば細胞、キャスト、結晶、生分子等)を含む尿をサンプル液体として適応させるために、100nLの小滴サイズ限界を選択した。100μmを超えるホール直径は、微粒子を洗い流すため、および交差汚染のキャリーオーバーを回避するために、十分な分離を許容することがさらに示された。総サンプル液体は単一の小滴としてピペットによって送達されるものと同等であり、約1〜1000の微小な小滴が約0.2〜5秒の短時間で送達されるため、ノズルホールは反復的に用いられると共に閉塞してはならない。所望の結果は、100μmを超えるホール直径が、試薬からの均一な応答を提供するために、反応エリア上へ何千もの微小な小滴が均一に吐出されることを許容したことであった。100μm未満のホール直径でみられた追加の問題は、吸収が完了する前の液体の蒸発およびエアロゾルの形成であった。
【0043】
より一般的には、流体が粒子を含有しない液体試薬であり、および分取高さが試薬表面に近接している場合には、直径100μm未満の小滴を用いることが可能であると考えられている。
【0044】
ノズルアレイ
ノズルは、ソースからのサンプル流体または加圧下の試薬で供給され得、これは、例えば、逆止弁、スプリッタ、空気供給および通気を伴うまたは伴わない、シリンジポンプ、ダイヤフラムポンプ、加圧コンテナ、ピエゾアクチュエータ、ダイヤフラム、蠕動、ボルテックス、吸引、遠心分離等であり得る。
【0045】
多くの装置が本発明の範囲内であると予期される。ノズルは、それらのテストエリアの優れた被覆率の利点を得ることができる自動化分析器において用いられるであろうことが想定される。例えば、1〜20の群に配置され、個別にまたは群で1〜20の液体源によって供給される2つ以上のノズルを用いることが可能である。ノズルは、個別にまたは群で供給され、および交換されることが可能である。ノズルは、洗浄または廃棄のために100〜1000のサンプルの吐出後に交換が必要であり得るため、これらは、容易に取り外されおよび交換される群で形成されている可能性が高い。
【0046】
他の実施形態において、全試薬エリアは、多数の開口を含有する1つのノズルからの吐出によっては、サンプル液体で同時に被覆されない。その代わり、試薬エリアは、微小な小滴で、1個ずつ、試薬エリアにおけるパターンをトレースして被覆される。このプロセスは、小滴が線で吐出される点でインクジェットプリンタと類似であるが、インクを含まない空隙によって分離された記号を形成するのではなく、本プロセスは、可能な限り均一に、実質的にすべての試薬エリアを被覆し、およびすべての試薬がサンプルと反応することを確実とする。小滴のこの態様での吐出は、吐出ノズル(または複数のノズル)または試薬エリア、または両方の移動が必要である。好ましくは、試薬エリアが、静止している分取ノズル(または複数のノズル)下で移動される。
【0047】
約25mmの典型的な試薬エリアにおいて、一連のトレースは、一縁から開始して、および対向縁に到達するまで平行なトレースで進行して吐出される。各トレースの幅は、小滴のサイズおよび試薬エリア上への着地後の各小滴の拡散に応じて異なり得る。例えば、100〜1000μmの直径を有する小滴では、25mmの試薬エリアは、合計で約2500〜25の小滴のための約50〜5本の直鎖のトレースで被覆されるであろう。プロセスは、わずかに約0.01〜2秒内で実施されるであろう。エリアの中心から開始してエリアの外側縁に到達するまで螺旋状に外方移動する円形トレースなどの、他のパターンを用いて全反応エリアを被覆することが可能である。
【0048】
2つの実施形態において、本発明は、約100〜1000μmの直径を有する1つまたは複数の微小なホールでのノズルの置き換えを含む(図1&2)。典型的に分析のために用いられる個別の乾燥試薬エリアは小さい、例えば約1〜25平方mmであるため、ノズルは、可能な限り少ないパスで計測可能な量の試薬表面を微小な小滴で被覆するに十分な開口を含む。これらの微小な小滴は直径約100〜1000μmのノズルホールを必要とするため、ホールの数は、ノズルによってカバーされるべき表面1mm当たり1〜10の範囲であり得る。
【0049】
単一のノズルの使用に追加して、他の可能な装置は、分取されるべき液体ための1つまたは複数のコンテナから各々が供給される複数のノズルを含む。ノズルまたは複数のノズルが1つのテストエリアから他へ移動されることができ、またはテストエリアが、静止するノズル下で移動されることができる。一の装置においては、異なる液体サンプルを試薬上に分取するために複数のノズルが用いられる。例えば、クリニテックアトラス(Clinitek Atlas)(登録商標)において有用であるために、自動化尿分析器(バイエルコーポレーション(Bayer Corporation))、ノズルは、40を超える様々な尿サンプルを少なくとも12の試薬上に分取するよう配置されなければならない。ノズルコンテナもまた、サンプル間で洗浄可能でなければならない。あるいは、各々が個別のサンプルを分取する、または各々が同一のサンプルを個別のテストエリアに分取する、個別のコンテナを備えるノズルのアレイを用いることができる。
【0050】
試薬の追加
さらなる従来の技術においては、例えば吸収剤パッドといった吸収性表面に試薬が追加され、次いで乾燥される。生物学的流体サンプルが追加され、および発色または他の光学的応答の発生に十分な時間が経過した後、試薬含有表面が読み取られ、およびサンプル中の分析物の量と相関される。本発明において、生物学的サンプルの精確な吐出および試薬エリアの光学的画像が、所望の場合に、生物学的サンプルがテストされているときでの追加の試薬の吐出を可能とする。
【0051】
本発明の一実施形態においては、生物学的サンプルが試薬エリア上に吐出された後に、追加の試薬が試薬エリアのすべてまたは選択された部分に吐出される。
【0052】
代替的には、または追加の試薬を、生物学的サンプルが試薬エリアに配置される前に吐出することが可能である。これは、例えば、すでにある他の試薬を活性化するために、または短い保管寿命を有しており、このようにしなければ用いることができない試薬を追加するために役立つことができる。
【0053】
さらなる他の実施形態においては、追加の試薬を、生物学的サンプルと同時に追加することが可能である。この方法は、細胞の溶解、親和性反応、化学反応および希釈に必要とされる混合を提供することができる。
【0054】
サンプル後の液体試薬の吐出
液体は、サンプルが追加された後に試薬エリア上に分取されることができる。例えば、3μLの尿をグルコース試薬に添加し、続いて、3μLのリン酸緩衝剤pH6.5を添加した。尿サンプルは、0秒で試薬と液体接触をなし、および色反応が開始される。液体緩衝剤は、10秒後に試薬と液体接触をなし、および色反応は継続する。FOMは、グルコース試薬結果がサンプル中の高塩化物含有量によって阻害されるため、高比重尿がサンプルとして用いられるときは低減される。サンプル後の第2の液体試薬の適用では、表3に示すとおり、希釈サンプル中の低下した溶解塩により、低および高サンプル間の偏差は低減され、およびFOMが向上される。
【表3】

【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の第1の実施形態における液体小滴を分取するマルチホールノズルの断面図を示す。
【図2】本発明の第2の実施形態における液体小滴を分取する移動しているノズルの断面図を示す。
【図3】本発明の第3の実施形態におけるノズルおよび液体の断面図を示す。
【図4】高疎水性試薬表面上の分取された液体の拡散エリアを示す。
【図5】高親水性試薬表面上の分取された液体の拡散エリアを示す。
【図6】分取された液体の、時間および液滴サイズの関数としての光学的スキャンを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物学的流体のサンプルを、前記生物学的流体中の分析物と反応するための試薬を含有するエリアを有する表面上に吐出する方法であって、
(a)前記生物学的流体を、ノズルと液体的に連通するリザーバ中に入れるステップと、
(b)前記生物学的流体を前記ノズルから、0.1〜2mmの範囲の直径を有する小滴で、前記試薬含有エリア上に、または前記試薬含有エリアに隣接して分取するステップと、
(c)前記生物学的流体と前記試薬との間の反応の結果を試薬含有エリアの分光写真画像から読み取るステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
試薬を含有するエリアを同時に被覆するに十分な小滴を分取することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
小滴が線の配列で分取されて試薬を含有するエリアが被覆されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記生物学的流体と前記試薬との間の反応の結果が、前記分光画像の所定の部分に光を指向化させると共に、前記分光画像の各部分から戻る光を計測することにより読み取られることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ノズルが、前記試薬エリアから約1〜5mmに配置されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ノズルが前記小滴を分取する開口を有し、前記開口は約100μmおよび約1000μmの間の直径を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記分光画像の前記所定の部分が全試薬エリアから構成されることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記分光画像の前記所定の部分が1滴の小滴によって接触されるエリアから構成されることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記生物学的流体と前記試薬との間の反応の結果が、小滴の配列によって接触されるエリアの配列において読み取られることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記生物学的流体が前記試薬エリアに隣接して吐出されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
生物学的流体のサンプルを、前記生物学的流体中の分析物と反応するための試薬を含有するエリアを有する表面上に吐出する方法であって、
(a)前記生物学的流体を、ノズルと液体的に連通するリザーバ中に入れるステップと、
(b)1種または複数種の試薬液体を、(a)の前記ノズルまたは第2のノズルと液体的に連通する1つまたは複数のリザーバ中に入れるステップと、
(c)前記生物学的流体を(a)の前記ノズルから、0.1〜2mmの範囲の直径を有する小滴で、前記試薬含有エリア上に、または前記試薬含有エリアに隣接して分取するステップと、
(d)(a)の前記ノズルまたは第2のノズルから(b)の1種または複数種の試薬液体を、0.1〜2mmの範囲の直径を有する小滴で、前記試薬含有エリア上に、または前記試薬含有エリアに隣接して分取するステップであって、(c)の前記生物学的流体の前記分取の前、最中または後になされる前記分取するステップと、
(e)前記生物学的流体と前記試薬との間の反応の結果を試薬含有エリアの分光写真画像から読み取るステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項12】
(b)の1種または複数種の試薬液体を、前記生物学的流体の分取前に前記試薬エリア上に分取することを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
(b)の1種または複数種の試薬液体を、前記生物学的流体の分取後に前記試薬エリア上に分取することを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項14】
(b)の前記1種または複数種の試薬液体を、前記生物学的流体の分取の最中に前記試薬エリア上に分取することを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項15】
試薬を含有するエリアを同時に被覆するに十分な小滴を分取することを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項16】
小滴が線の配列で分取されて、試薬を含有するエリアが被覆されることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記生物学的流体と前記試薬との間の反応の結果が、前記分光画像の所定の部分に光を指向化させると共に、前記分光画像の各部分から戻る光を計測することにより読み取られることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記ノズルが、前記試薬エリアから約1〜5mmに配置されることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項19】
ノズルが前記小滴を分取する開口を有し、前記開口は約100μmおよび約1000μmの間の直径を有することを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項20】
前記試薬エリアの前記所定の部分が全試薬エリアから構成されることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記試薬エリアの前記所定の部分が1滴の小滴によって接触されるエリアから構成されることを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記生物学的流体と前記試薬との間の反応の結果が、小滴の配列によって接触されるエリアの配列において読み取られることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記生物学的流体または前記試薬液体が前記試薬エリアに隣接して吐出されることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項24】
前記分析物と反応する試薬を含有する表面上に分取された生物学的流体のサンプルの分析物含有量を計測するための装置であって、
(a)生物学的流体の前記サンプルを分取するノズルであって、約100μmおよび1000μmの間の直径を有する1つまたは複数の開口を含有すると共に、前記試薬含有表面上約1〜5mmに配置されたノズルと、
(b)前記生物学的サンプルを(a)の前記ノズルに供給するためのリザーバと、
(c)前記ノズル開口が、生物学的流体の前記サンプルを、前記試薬を含有する表面の所定の領域上に分取するよう、前記ノズルを前記表面に対して配置する、または前記表面を前記ノズルに対して配置する手段と
を含むことを特徴とする装置。
【請求項25】
前記表面の前記所定の領域が全試薬含有領域であることを特徴とする請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記表面の前記所定の領域が、前記ノズル開口によって分取される1滴の小滴によって接触されるエリアであることを特徴とする請求項24に記載の装置。
【請求項27】
前記表面の前記所定の領域が、前記試薬を含有する表面の一部分であることを特徴とする請求項24に記載の装置。
【請求項28】
前記生物学的流体と前記試薬との間の反応の結果を、試薬含有表面の分光写真画像から読み取る手段をさらに含むことを特徴とする請求項24に記載の装置。
【請求項29】
前記生物学的流体と前記試薬との間の反応の結果を読み取る前記手段が、前記分光画像の所定の部分に指向化される光の光源と、前記分光画像の前記部分から戻る光を計測する検出器とを含むことを特徴とする請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記分光画像の前記所定の領域が、全試薬含有表面から構成されることを特徴とする請求項29に記載の装置。
【請求項31】
前記分光画像の前記所定の領域が、1滴の小滴によって接触されるエリアから構成されることを特徴とする請求項29に記載の装置。
【請求項32】
前記分光画像の前記所定の領域が、前記試薬含有表面の一部分から構成されることを特徴とする請求項29に記載の装置。
【請求項33】
試薬液体を前記試薬含有表面上に分取する手段をさらに含むことを特徴とする請求項24に記載の装置。
【請求項34】
試薬含有液体を分取する前記手段が、約100μmおよび1000μmの間の直径を有する1つまたは複数の開口を含有すると共に、前記試薬含有表面上約1〜5mmに配置されたノズルを含むことを特徴とする請求項33に記載の装置。
【請求項35】
前記ノズル開口が、前記試薬液体を前記試薬含有表面の所定の部分上に分取するよう、前記ノズルを前記試薬含有表面に対して配置する、または前記表面を前記ノズルに対して配置する手段をさらに含むことを特徴とする請求項34に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−542715(P2008−542715A)
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−513597(P2008−513597)
【出願日】平成18年5月22日(2006.5.22)
【国際出願番号】PCT/US2006/019791
【国際公開番号】WO2006/127631
【国際公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(507318299)シーメンス メディカル ソリューションズ ダイアグノスティクス (2)
【氏名又は名称原語表記】SIEMENS MEDICAL SOLUTIONS DIAGNOSTICS
【Fターム(参考)】