説明

診断用システム

【課題】 各種アミノ酸情報を好ましくはチップ状の小型検出ユニットを用いて検出し、各アミノ酸情報について相互の関連性を認識可能に表示することで、アミノ酸バランスに基づく健康管理、疾患の予防、肥満の予防、的確な診断又は処置を行うようにする。
【解決手段】体液中からアミノ酸情報を検出する手段、検出された各アミノ酸の成分情報と基準成分情報を比較して各比較値を形成し、前記基準成分情報で設定された範囲で前記各比較値を相互に認識可能に表示出力する手段よりなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は体液中のアミノ酸成分情報に基づく診断用システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
臨床医療の分野において、体液中のアミノ酸の成分量を測定することは、各種の疾患の診断や、病態の解析に有効であると共に健康管理情報としても有意義であることが知られている。
従来の体液中のアミノ酸の成分量を測定する手段としては、HPLC高速液体クロマトグラフィーの利用や、電気泳動と質量分析装置による組み合わせ分析が利用されており、後者においては、短時間で、精度よく各種アミノ酸の成分量が得られるが、装置自体が大きく、高価であって、検査をするには全体的にコストがかかるものであった。
特開2007−163423号公報には、電気泳動チップにより、個々のアミノ酸を経時的に分離溶出させ、この分離溶出したアミノ酸毎に質量分析計により個々のアミノ酸の濃度を精度良く計測する手法が示されているが、質量分析装置は、既存のものを用いており、全てについて規模が大きく手軽に利用できるものとは言い難い。
【0003】
特開2006−166709号公報には、20種類のアミノ酸を、それぞれのアミノ酸に対応する酵素センサーを用いたチップタイプのアミノ酸計測装置が示されている。
【0004】
特開2006−234449号公報には、アミノ酸毎に特異な色彩で発色する試薬が示されており、リトマス試験紙の様な取り扱いができる試薬が記載され、チップ化の可能性を示唆している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−166709号公報
【特許文献2】特開2007−163423号公報
【特許文献3】特開2006−234449号公報
【特許文献4】特表WO2006/038682
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Q.Zhang et.al.:Hepatology Research 34(2006)170−177
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、アミノ酸の手軽な計測が可能となり得る技術が示唆されつつあるが、これを各種の診断に有効に結びつけるシステム等は未だ存在しない。
アミノ酸と各種疾患との関係が解明される中、アミノ酸の分析装置の規模が大きく、診察するために必要な情報が外部検査機関を介する場合が多いため、短時間で得られるものではないことから、検査の為の通院を必要とし、手軽さや予防の為の利用の点では、不十分であった。
特に複数のアミノ酸の成分の割合、傾向がわかることで、関連する疾患の予防に繋がる場合があるが、病気になる前の、アミノ酸状態を、より手軽に、短時間で、視覚的にわかりやすく表示できるシステムは未だ存在しない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記に鑑み本発明は、体液中からアミノ酸情報を検出する手段、個々の検出アミノ酸の成分情報と基準成分情報を比較し、前記比較した値が、前記基準成分情報で設定された範囲でアミノ酸情報及びアミノ酸の相互間の情報を認識可能に出力する手段よりなる組み合わせ構成により、癌、生活習慣病、精神的疾患、を含む各種の疾患、を早期に且つ簡易に計測可能とし、特に、未だ疾患とは、確認されない場合であっても、その可能性を示す情報を提供可能とするものである。 本発明は、体液中の遊離アミノ酸を検査対象とする他、タンパク質から溶離させて、アミノ酸を抽出して検査対象とする場合もある。アミノ酸の種類は、目的に応じて選択されるが、以下で示す20種類全部を対象としてもよい。
本発明における検出手段をチップ状のアミノ酸検出ユニットとすることで、在宅医療等、より身近なところで、診断を可能とする。チップ状のアミノ酸検出ユニットとは、1乃至複数の数十mm以下の基板の上に1μm以上で、毛管現象を駆動力で利用できる口径をも持つものから、数mm前後のものまでのマイクロ流路、マイクロ操作領域との組み合わせを用いて、より微量単位の検体を用いてで定量、分配、試薬反応に基づくセンシング、酵素センサによるセンシングを行いアミノ酸の濃度値で示されるアミノ酸情報を検出する。各種アミノ酸とは、図6(a)で示す統計的機能的表示の円周上に示すものであって、20種類(グリシン(Gly)、アラニン(Ala)、セリン(Ser)、スレオニン(Thr)、バリン(Val)、イソロイシン(Ile)、ロイシン(Leu)、リジン(lys)、アルギニン(Arg)、ヒスチジン(His)、、チロシン(Tyr)、フェニルアラニン(Phe)、トリプトファン(Trp)、メチオニン(Met)、システイン(Cys)、プロリン(Pro)、グルタミン(Gln)、グルタミン酸(Glu)、アスパラギン(Asn)、アスパラギン酸(Asp))が例示される。
【0009】
これら20種類に限るものではないが、検出可能性、疾患との関係や目的に応じて、数種類のアミノ酸を用いる場合もある。
尚、アミノ酸の種類によっては、酵素センサ、試薬発色センシングが十分にできなものがあることから、両者を組み合わせたり、その他の計測機器を利用してアミノ酸情報を得てもよい。
本発明における予め設定された疾患と各種アミノ酸との関係は、例えば図7で示す表が、コンピュータ処理においてはテーブル化して記憶されている状態を示すものであって、疾患とは、単に病気を示すものではなく、病気になる以前の状態、又は健常状態でありながら、いわゆる肥満傾向、ストレス過多の状態、を示すものであり、各種アミノ酸との関係が解明されているものが含まれる。その他、美容、アンチエイジングも広義に含まれる。
疾患の診断に応じて検査対象のみのアミノ酸のデータを検出するような設定でも十分であるが、これに限らず、その他のアミノ酸のデータを検出してもよく、常に20種類程度のアミノ酸の分析を行うことで、他の疾患の発見、治療の際の体調の管理用等に利用できる場合もある。
選択された個々の検出アミノ酸の成分情報と基準成分情報との比較は、例えば、検出されたアミノ酸の濃度値を基準成分情報と比較し、その比較した差分を示すものであるが、その他、重み係数の付加等も含まれ、目的に応じて決定される場合もある。
又基準成分情報は、健常人の体液中に含まれる平均的アミノ酸濃度値や、患者が健常の際に採取され、得られた各種のアミノ酸の濃度等の平均的な値を示すが、後者の場合、個々人の健康状態、疾患の適切な発見が可能となる場合もある。
【0010】
例えば、図6(a)で示す車輪図のような統計的表示における基準値501に対し、上限値502、下限値503の様な値として設定される(アミノ酸と生活習慣病 著者 栃久保 修ら、女子栄養大学出版部、2010年発行)。
前記比較値が、前記基準成分情報で設定された範囲を超えたアミノ酸情報を認識可能とする、とは、例えば測定装置である場合は、好ましくはアミノ酸の種類と、その成分値を注意的に示すものや、音声表示等が例示され、コンピュータ処理で、2次元的に表示する場合は、診断する者が、注意して見るような点滅を行う表示が例示される。その際、対象となる疾患名と共に、表示されることが好ましい。
【0011】
前記比較値がその他の各種アミノ酸比較値と連結的に表示される、とは、主にコンピュータ等のモニター上や、プリンタによる印字画面上に折れ線グラフ、図6で示す車輪図、ヒストグラム等、計測したアミノ酸毎に、その成分値が好ましくは一目でわかるように出力表示された状態を示すものであり、利用の際の状況によって、適宜選択される。
アミノ酸のバランスが認識できる程度に表示される、とは、画面または紙面上に、車輪図の様な、一目で、比較値が示され、その増減が認識できるものを示すものであり、車輪図に限らず、その他の統計的な表現であっても良い。
本発明は、更に、複数回アミノ酸濃度等の成分値を検出し、その際基準値との比較値を求め記憶させておく、そして、現在検出したアミノ酸の比較値と先に検出された比較値とを重ねて表示すると共に差分をとる構成としてもよい。
差分値は、アミノ酸の濃度値の値が変化する変化量がわかり、傾向が示されるため、この差分値を所定の値と比較してそれを越えたとき、疾患の傾向がある旨の表示を行う構成を取り得る。この所定の値は、差分値が、上限方向へ向かって、一定の上昇をしていることを示すことから、今後、疾患になる可能性があることを示すため、好ましくはその為の表示、音声出力等を行うものである。この差分値は、該当するアミノ酸について、平均した値であってもよい。差分平均値は、経時的に特定のアミノ酸の増加、減少量が示され、予防のための処置の参考となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、より手軽で、短時間に個々のアミノ酸成分濃度の測定により、この成分濃度を基準値と比較し、表示することで、個々のアミノ酸の成分濃度の変化とその傾向を見いだすことができ、アミノ酸のバランスに基づく予防と健康管理、及び癌を初めとする生活習慣病等の疾患に対する的確な指導、処方及び診断を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施例を示す図。
【図2】本発明の一実施例を説明する為の図。
【図3】本発明の一実施例を説明する為の図。
【図4】本発明の一実施例を説明する為の図。
【図5】本発明の一実施例を説明する為の図。
【図6】本発明の一実施例を説明する為の図。
【図7】本発明の一実施例を説明する為の図。
【図8】本発明の一実施例を説明する為の図。
【図9】本発明の一実施例を説明する為の図。
【図10】本発明の一実施例を説明する為の図。
【図11】本発明の一実施例を説明する為の図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、体液中からアミノ酸情報を検出する検出手段、検出された全ての種類のアミノ酸の成分情報、好ましくは予め設定された疾患と各種アミノ酸との関係に基づいて選択された個々の検出アミノ酸の成分情報と基準成分情報を比較し、前記比較値が、前記基準成分情報で設定された範囲でアミノ酸情報を認識可能に出力する比較出力手段の組み合わせ構成よりなり、検出手段は、好ましくは、マイクロ流路の組み合わせで形成され、数種類から数十種類のアミノ酸の成分濃度を検出できるチップタイプの装置と、このチップタイプの装置で得られた成分情報を、統計的に表示する手段と、統計的な表示構成においてのアミノ酸成分情報が、特定の疾患に対応するアミノ酸パターンにおいて、基準範囲を超えているかどうか、及び、複数回の検査を行い統計的表示上から減少又は増加方向に、特徴を持った変化を行う成分があるかどうかを検出し、患者自身が利用する場合や診断用情報として使用する場合等は、その部位に注意表示を行う手段を具備し、アミノ酸のバランスに基づく健康管理、疾患予防、更に、疾患発見等を容易に見分けることが出来る表示を行う診断用のシステムを提供する。
本発明における体液は、血液、尿、汗、唾液、皮膚からの浸出液、精液等が例示され、その他、遊離アミノ酸、タンパク質が検出される体液であれば、適用可能である。
【実施例1】
【0015】
以下本発明の一実施例を図面を用いて説明する。
本発明は、小型チップ化されたアミノ酸成分計測手段を好適に用いるものであって、ブロック図は、チップ状の担体の上に形成された凹部、溝等のの組み合わせ、酵素センサ、試薬及び蓋部によって形成されており、この担体を10として示した。
11は、体液供給部であって、採血器、採尿器等で採取した体液を供給する部位である。
体液供給部は、窪みで形成されたり、採血器から血液を供給しやすいような、結合構成を取り得る。
12は、分離手段であり、本実施例は、体液中の主に遊離アミノ酸を測定対象としていることから、血球、タンパク質、血小板類を除くためのヘマセップL膜等のフィルタ部材を好適に利用する。
尚、血球分離は、遠心分離で行っても良く、血漿成分(より血清に近い)を比較的短時間に得ることが出来る。
13は、分配手段であり、血液、尿等から不要な粒子、成分を分離除去をして20種類のアミノ酸の成分を測定する為の後段の検出領域へ供給するための部分である。これは、毛管力と空気圧、遠心力を用いた自動的なものから、ピペットによる手動なものも含まれ得る。
又、一定量の容積を持つ空間に、血漿成分を供給し、充填状態とすることで、血漿成分の定量化をはかるものであってもよい。
分離手段13は、担体上に一体的に組み込まれなくとも良く、必要なアミノ酸溶液がえられた状態で、担体10から取り除く構成であっても良く、又は、遠心分離機のような別途違う構成として形成され、分離後、アミノ酸検出手段にアミノ酸溶液を供給するものであってもよい。
【0016】
14は、アミノ酸検出手段であり、測定するための個々のアミノ酸に対応する酵素センサー、発色試薬等が含まれ、それぞれ、異なる空間が形成されている事が好ましい。
酵素センサの場合は、出力が電気信号で得られるため、電気出力部が接続し、発色試薬の場合は、発色後の吸光度、比色計が別途も受けられ、この測定器の電気信号が出力として形成される。生体に関するアミノ酸は、合計20種類程度であり、グリシン(Gly)、アラニン(Ala)、セリン(Ser)、スレオニン(Thr)、バリン(Val)、イソロイシン(Ile)、ロイシン(Leu)、リジン(lys)、アルギニン(Arg)、ヒスチジン(His)、、チロシン(Tyr)、フェニルアラニン(Phe)、トリプトファン(Trp)、メチオニン(Met)、システイン(Cys)、プロリン(Pro)、グルタミン(Gln)、グルタミン酸(Glu)、アスパラギン(Asn)、アスパラギン酸(Asp)が示されている。本発明はそれぞれのアミノ酸に特異的に結合し、電気的信号を出力する例えばアミノアシルtRNA合成酵素のような酵素センサー、又は特異的な色彩で発色する試薬、又はこれらの組み合わせで形成されている。
アミノアシルtRNA合成酵素は、特開2006−166709号に示されているように、生体内でタンパク質の合成にかかわるものであり、ATP存在下での、アミノ酸との結合で、アミノアシルAMPとピロリン酸が生成する反応過程をイオン感応電界効果トランジスタにより計測する手法が示される。この手法は、20種類のアミノ酸の濃度をそれぞれ測定できる点で好適である。また、発色反応として、特開2006−234449号公報に示されるような、シクロペンタジエニル−ロジウム錯体と発色色素の組み合わせや、特開2007−163423号で示す電気泳動チップにより、アミノ酸の電荷量の違いを利用して分離し、その後、個々のアミノ酸と上記酵素センサ、又はニンヒドリン等の発色試薬との発色反応を利用して、電気信号、分光、吸光測定による電気信号を形成し出力する手法を取り得る。
又、tーRNAとアミノアシルtーRNA合成酵素が結合する際、ATPが消費されるが、この消費量を、ルシフェラーゼによる発光量に置き換えたものであってもよい。
この場合の発光測定には、既存の光学検査装置が好適に用いられる。
又、t−RNAの吸光度が260nm前後であるため、例えば、アミノアシルtRNAと未反応tRNAを分離した後、アミノアシルtRNAの量をこの吸光度に基づいて測定を行っても良い。
更に電気泳動チップを用いて、アミノ酸の電気的特性を利用し、経時的に得られる泳動出力ごとに特定されるアミノ酸の濃度を、反応したtRNAの吸光度に測定して得たものであっても良い。
【0017】
尚、本発明は、好ましくは、チップ状のアミノ酸計測体を用いて、簡易でありながら、所望の精度を持ってアミノ酸の濃度分析ができるものであれば良く、上述の手段以外でも本発明は採用し得るものである。
また、特定のアミノ酸毎に異なる検出を行っても良い。
15は、入力手段であり、前記、アミノ酸検出手段から出力されたアミノ酸電気信号を入力し、信号処理装置へ出力するための部分である。電気処理を施すために増幅器が接続される場合もある。
入力手段15は、アミノ酸センサの出力様式により異なる手法を組み合わせ、最終的に電気信号に変換すればよい。
例えば、酵素センサが電気出力を行う場合は、フィルタと増幅器を用いてA/Dコンバータの計測可能な範囲まで増幅する手段や、 アミノ酸と発色試薬の組み合わせの場合は、光電変換素子による電気信号への変換素子等の組み合わせ、発熱の場合は、サーミスタ素子等が適宜選択される。
【0018】
16は、分析手段であり、コンピュータ、専用の分析回路を含む装置で構成され、入力手段15から出力されたアミノ酸電気信号を入力し解析して、後段の表示手段17で表示可能な信号に変換するためのものである。
本発明は、入力手段15で得られたアミノ酸情報を、図6で示す車輪図500に当てはめることを可能とする為の処理をおこなう、また、測定で得られた20種類のアミノ酸の濃度値を、車輪図状に該当可能なデータに変換したあと、予め設定された標準範囲と比較する。更に、前に検出したアミノ酸データと比較する。
この比較は、統計的表現である車輪図状に、それぞれのアミノ酸の濃度値が記録されることで、20種類のアミノ酸のそれぞれの状態がわかりやすく表現される。
【0019】
本実施例では、車輪図以外でも、複数種類のアミノ酸濃度分布を一度に見渡せる手法であれば、その手法を取り得る。
分析手段16は、例えば、図5で示すような構成を取り得る。
160は、表示データ形成手段であって、入力されるアミノ酸データを車輪図等の統計的表示に置き換えたり、注意表示を示すデータを形成する。更に比較手段161を介して送信されてきた基準範囲出力手段164の出力に基づいて、車輪図500に表示される図6(a)で示す基準値501、基準範囲の上限値502、下限値503を更に形成する。
又、目的とする診察、予防、健康管理の為のリクエストに応じ、疾患テーブル166による疾患に対応する各種アミノ酸を選択して車輪図の選択されたアミノ酸のみのデータを形成し、後段の表示手段17に出力する場合もある。
161は、比較手段であり、基準範囲出力手段164から入力される基準範囲の基準値と、入力手段15から出力されたアミノ酸濃度データとの差を求め、比較データとして出力する。
【0020】
基準範囲出力手段164は、健常人の一般的アミノ酸濃度の上限及び下限を示すものである他、利用者毎の濃度値を加味した範囲を示す出力を行ってもよい。これは、利用者が、複数回のアミノ酸分析試験を受けた結果現れる値とするものであり本実施例の診断を毎回受けて、その平均から求められるものであってもよく、その場合、個々人の適正なアミノ酸濃度範囲が得られ、疾患の可能性をより確実なものとすることができる場合がある。
162は、過去のアミノ酸濃度計測情報との比較をするための比較差分手段であり、データ記憶手段163で記憶された過去のアミノ酸濃度を読み出し比較し、更に差分データを形成する。
この比較差分は、前回検出したアミノ酸濃度比較値と比較し差を求めるものであり、前と前々との濃度差との比較差分を求めることも含まれる。又場合によっては、これらの差分値から平均差分値を算出しても良い。この差分値は、各種アミノ酸の濃度成分値に2回差分を施したものと等しく、得られる値は、アミノ酸の変化の割合を示すものであって、疾患と関わるアミノ酸の場合、このような変化量は、患者の状況を的確に把握でき、治療と、予防に有効に作用し得る場合がある。
163は、データ記憶手段であり、先に検出した各種アミノ酸の濃度値、比較値、又は非格差分値などの情報を時間情報と共に記録する為のものである。又疾患テーブル166を更にデータベース化したものを記録し、疾患テーブルとして使用し得る。
これらの情報は、更にインターネット等を介して外部から供給されても良い場合もある。
【0021】
165は、変化情報検出手段であり、比較差分手段162から出力された差分信号が、所定の閾値を超えた場合、注意を喚起する信号を、表示データ形成手段160に出力する。
変化情報検出手段165は、利用者が、医療従事者以外で有効に作用する場合もあり、必要用に応じて使用される場合もある。
166は、疾患テーブルであり、各種疾患と、対応するアミノ酸の関係を示したものである。166で示す疾患テーブルは、疾患と個々のアミノ酸の関係のみを示しているが、疾患毎の固有のパターン、例えば基準範囲でありながら、複数のアミノ酸が低下傾向にあるもの等、疾患固有の濃度成分パターンも含む場合もある。
【0022】
17は、表示手段であり、モニター、プリンタで形成され、図6(a)の円周上に記載された20種類のアミノ酸505の成分量を車輪図状、その他統計的に連結した表示に変換して表示、印字する為のものである。
尚、表示手段17は、インターネット等のネットワーク手段を用いる場合は、遠隔地でのデータの出力表示を可能とした構成であっても良い。
又、図1で示した担体10と入力手段15以降のコンピュータ処理装置とは、例えば担体10から出力される濃度成分を電気信号に変えて、これを変調、復調して電送する伝送手段を更に付加して、切り離し、端末同志を公衆回線を利用して接続する遠隔医療等に適用しても良い。
【0023】
以下に動作の説明を図6を用いて詳細に説明する。
図6は、車輪状のアミノ酸濃度分布図の一例であり、最外円周505に等間隔で種類ごとのアミノ酸の表示がされ、中心にアミノ酸の物理化学的特性を説明する領域504が形成されている。尚、領域504は、診断が専門家による場合は、なくても良い場合もある。
501は、中心付近の円周は基準値501であり、個々のアミノ酸の基準値を示し、図上では、中心から同じ位置となるように設定されている。
502は上限値であり、503は下限値であって、個々のアミノ酸の基準値に基づく値であって、医学上の標準的値、利用者から過去に得られた値等から設定されている。
上限値502と下限値503の間は、好ましくは、他の部分と別の配色がされている。
更に診断目的が特定されている場合は、特定されたアミノ酸の部分のみが表示されたり、特定されたアミノ酸以外の部分が薄く表示されたりしても良い。
採血、採尿によって得られた体液を、体液供給部11から、供給し、分離手段12で、血球、その他不要な粒子を毛管現象、遠心分離機、遠心分離能を用いて分離除去する。
血液から血球を除去して血漿を取り出した後、それぞれのアミノ酸検出手段14へ供給する為の分配手段13に供給する。分配手段13は、アミノ酸分析検出する手段の構成によって、形状や機能が変化するが、アミノ酸分析センサ毎に流路が形成され、また定量が要求される場合、この分配手段13が、定量機能を有する場合がある。例えば、流路の容積がそのまま、分析領域で分析されるアミノ酸溶液量として定量される場合がある。
分配手段13で分配されたアミノ酸を含む溶液は、個々のアミノ酸検出手段14に必要に応じ定量供給される。
以上の流体の移動は、外部より空気圧を加えたり、ポンプにより溶液に運動を加えたりして、流体に流れを生じさせたり、流体の流れを停止させたりして、目的とするアミノ酸検出領域へ、迅速に所定量のアミノ酸を含む溶液を供給できるものであれば、特に限定されない。
【0024】
アミノ酸検出手段14では、個々のアミノ酸ごとに溶液中の濃度に関連するデータ信号を出力する。
このデータ信号は、入力手段15に入力される。入力手段15は、アミノ酸検出手段14が形成された担体とは、別の装置上にある場合は、電気リード線を介している場合や、光学的測定の場合は、途中光電変換回路を介してこれを電気リード線で結ぶ場合、変調回路を含む端末化して、専用回線、公衆回線で接続する場合等が例示される。
入力手段15は、このアミノ酸信号を、調整して分析手段16の比較手段161に供給される。
比較手段161は、入力手段15から入力されたアミノ酸信号のアミノ酸の種類に応じて基準範囲出力手段164から出力される基準値と比較しその差分値信号を出力する。
この差分値信号は、表示データ形成手段160に供給される。
表示データ形成手段160は、入力された差分値信号を車輪図等の統計的データに変換し、例えば、図6(a)の該当するアミノ酸に対する基準値151からの差分値(図6(b)で示す506a)として出力表示する。
更に入力手段15から次の種類のアミノ酸濃度値が供給されると、表示データ形成手段160は、比較手段161から供給される比較差分値信号を同様に図6(a)の該当するアミノ酸に対する基準値151からの差分値(図6(b)で示す50B)信号として出力表示し、この動作を繰り返して、入力されるアミノ酸濃度値に関連する差分値信号を全て、車輪図500上に出力表示した後、個々の比較差分値(506a)を線データで繋いで線図(図6(b)の507)とすることで形成される。 一部不正確で、検出不可能な部分は、空きスペースで形成されている。
【0025】
表示データ形成手段160は、疾患テーブル166から、入力された目的とする疾患に対応するアミノ酸データに特別な表示を付して表示する。更にアミノ酸の差分値が上限値502を越えると、その部分を色を変える等して表示してもよく、更に、それが、目的とする疾患に対応するアミノ酸である場合は、異なる色、この色の点滅、又は音声により表示する場合もある。
図6(b)の場合、上限値502を越えた、アミノ酸差分値が50Aで示す部分であって、この部分を太い線、又は色彩が異なる線で、囲む等して表示してもよい。
図6(c)は、60A、60C、60Dで示す部分も上限値を超えている状態で、注意を喚起する表示がされる部分である。
尚、上限値を超えても、必ずしも疾患に直接関係するものではなく、単に注意を喚起するのみの信号として出力される場合もある。
図6(b)は、例えばダイエット中の被験者のアミノ酸成分を示すものとした場合、疾患テーブル166の記録に基づき図6(a)の505で示す必須アミノ酸(Lys、Met)が少なくとも検査され、その結果低下している部分50Bと50Cが画像的に特別な色彩等の表示が付される。50Aは、目的上、選択されたアミノ酸と異なるが、基準範囲から越えているため、点滅表示など表示を異ならせて、注意を喚起させてもよい。
【0026】
表示データ形成手段160は、この比較範囲内外を示す出力表示を表示手段17行い、疾患テーブル166を参照する等して、疾患対応アミノ酸の場合は、対応アミノ酸表示部分を点滅させたり、音を出力したりする命令を出力する。
本発明は、20種類のアミノ酸を車輪図のような統計的データとして、一目でわかりやすく表示し診断用の準備データとして提供する。尚、検出不可能なアミノ酸の値、不要なアミノ酸の値がある場合など、20種類に限るものではない。
【0027】
比較手段161の比較差分データは、データ記憶手段163に記録されると共に、比較差分値信号として比較差分手段162に供給される。
比較差分手段162は、データ記憶手段163から過去の指定したアミノ酸データを読み込み、2回目の比較差分を行い比較差分データを変化情報検出手段165に出力する。
変化情報検出手段165は、この比較差分値が所定の値を示す場合や、過去の全ての比較差分値が所定の値を超えている場合は、そのアミノ酸が全体的に減少又は増加していることが示される為、注意を促す信号の出力を行う。例えば図6(c)の60Bで示す部分のように、チロシン(Tyr)の比較値は次第に増加している状態を示していることから、これを差分した比較差分値は、増加量を示すこととなり、この増加量がある一定量大きくなった場合、注意信号を変化情報検出手段165は表示データ形成手段160へ出力され、表示データ形成手段160で注意を喚起する信号(色彩の変更、強調、点滅など)に変換され、表示データ形成手段160に出力される。図6(c)の60Bの比較差分情報は、直接表示手段17のモニター上に表示されるほか、例えば、図6(c)で示すようにコンピュータマウス60Pを移動接近させることで、比較差分値60Sが表示されてもよい。
【0028】
表示データ形成手段160は、図6(b)で示す1回のアミノ酸情報表示か、図6(c)で示す過去に計測したアミノ酸情報表示を重ねて表示するかを、医師又は利用者により、選択される。
図6(c)は、アミノ酸分析を4回行いそれぞれを重ねて表示した状態を示す。
1回目を61、2回目を62、3回目を63、4回目の64で示した。
表示データ形成手段160は変化情報検出手段165からの情報に基づき疾患の可能性等の信号を表示する。
尚、分析手段16をブロック図状に示したが、コンピュータの内部処理でもあることから、プログラム処理に置き換えてもよく、汎用性の点からもプログラム表示が好ましい場合もある。尚、注意を喚起する色彩出力、点滅音声出力などは、あくまで任意であり、利用者の利用状況によって適宜適用される。
【0029】
次に図1のアミノ酸検出手段14の一例を図2に示して詳細に説明する。
図2は、少量のアミノ酸から各測定項目毎に成分濃度が測定可能な領域へ適量を供給する構成を一つの基板上に形成したものである。
21は、基板であって、PDMS、アクリル、石英板等で形成され、当該平面上の部材の表面に凹状の溝等を形成してなる。基板21上に形成される流路は、毛管現象により、流体の移動を行う構成を有する為、幅、深さが1μm〜数十μmが例示される。
これら流路、作業用凹部は、流体の移動をスムーズに行うため、親水性、疎水性の表面処理が行われてもよい。
基板21を使用する場合は、これにアクリル材等よりなる蓋21Hを、接着、超音波溶着等の手法を用いて接続する。尚、流体が移動する為に必要な、気孔部が必要な部位毎に形成されている。
22は、入力部でありシリンジポンプ等の、空気圧駆動供給装置と接続するほか、尿、血液等の体液を供給するための部位である。この空気圧は、空気でなく窒素ガス等の不活性ガスが好ましい場合もある。
駆動力が体液駆動のみであれば、空気圧駆動等の他の駆動源を有する必要が無い場合もある。
入力部22は、空気圧駆動供給駆動装置、及び体液供給装置等との接続のための形状を有していても良い。
【0030】
23は、粒子分離部であり、外部から供給された体液内の不要となる血球、リンパ球などの粒子を分離し、アミノ酸を含む溶液のみを取り出すための部分であって、基板上には円筒状の凹部にヘマセップL膜、不織布等の分離膜を装着した状態を一例として示す。
尚、この部位は、血球などの粒子を取り除ければ良く、上記に限るものではなく、又分離後、アミノ酸溶液の流路内の移動を効率よく行うため、点線で示す部分を取り除くか、粒子分離部23内の濾紙を取り出し、直接空気圧を供給する構成としても良い場合もある。
24は、調整部であり、遊離アミノ酸だけでなく、タンパク質中のアミノ酸を溶解分離して遊離させる作業する凹部の場合もある。タンパク質を溶解分離する際、溶離液供給部25から、溶離液を供給混合して使用してもよい。
25は溶離液供給部であり、予め、又は必要に応じ、溶離液が貯留されている。調整部24での調整が必要な場合は、駆動入力部251を介して外部から空気圧、等の気体駆動力が加わる場合もある。
【0031】
26は、分配流路群であり、中心に分配槽261が形成され、その分配槽261から、測定対象となる反応部27毎に数μm程度の幅と深さをもつ流路が接続している。
27は、反応部であり、ここの測定対象となるアミノ酸毎に形成された凹状の領域であり、図2では、直方体状の反応槽271と、酵素センサ272の組み合わせを示す。
尚、反応槽271は、直方体状に示されているが、毛管力が強くなる角部を取り除いた、面取り状の直方体、又は、真円又は、楕円の円筒状で形成される方が好ましい場合もある。
酵素センサ272は、測定するアミノ酸によって、異なるが、例えば、各種アミノ酸に対応したアミノアシルtRNA合成酵素酵素を、FET基板上に固定したものが例示される。
酵素センサ272は、図中点線で示した2つの電気リード線(GND線272a、主極用の電気リード線272b)、と接続しており、これは、基板上に導電部材をエッチング処理などにより印刷とスルーホールで形成されることが好ましい。
図2では、反応部27は、20個設けられており、それぞれ、右から、グリシン(Gly)、アラニン(Ala)、セリン(Ser)、スレオニン(Thr)、バリン(Val)、イソロイシン(Ile)、ロイシン(Leu)、リジン(lys)、アルギニン(Arg)、ヒスチジン(His)、、チロシン(Tyr)、フェニルアラニン(Phe)、トリプトファン(Trp)、メチオニン(Met)、システイン(Cys)、プロリン(Pro)、グルタミン(Gln)、グルタミン酸(Glu)、アスパラギン(Asn)、アスパラギン酸(Asp)測定用の酵素センサ272が装着されている。
【0032】
28は、回収用流路であり、反応部27とそれぞれ接続している。この回収用流路28は、アミノ酸溶液の移動により、押出されてくる空気、酵素センサーで発生するガスを外部へ逃がす為の流路である他、反応後のアミノ酸溶液を回収するための流路でもある。281は、回収領域であり、各回収用流路28を流れてきた反応後のアミノ酸溶液を一時的に集合貯留するための領域である。
29は、回収口であって、外部からの引圧発生装置等と接続する部位であり、回収領域281内のアミノ酸溶液を、引圧を用いて、外部へ取り出し、回収するための部分である。
30は、コネクタであり、酵素センサ272から延びた電気リード線272a、272bが集合配列した雌部31bと、これに、外部計測装置との電気的接続を行う為の、着脱可能な、雄部31aにより形成されている。
31は、接続ケーブルであり、コネクタ30の雄部31aと電気的に接続し、外部の分析装置32と接続する為のものである。外部の分析装置32は、専用ソフトウエアを備えた汎用マイクロコンピュータで形成されていてもよい。33は表示手段であって、モニターデイスプレイよりなり、外部の分析装置32の処理情報を画面に表示するためのものである。
【0033】
接続ケーブル31は、必ずしも、USBケーブル等の有線である必要はなく、赤外線、電波、等無線手段に置き換わる場合もある。
図2で示すチップ状の基板21は、数平方センチ程度で形成され、図2では、長方形状を示すが、これに限ることはなく、円盤状、楕円版状、その他の構成との関係に基づく幾何学的形状が例示される。
又図2で示すアミノ酸分析ユニットは、微小な流路の配列であるため、毛管力の影響が強い場合があり、空気圧駆動では、内部の流体が効率的に動かない場合があることから、図2の中心点2Oを中心として、回転させることで、遠心力を用いる場合もある。
この状態を図2(b)で示した。図2(b)は、円盤状のデイスク2D上の装着部2D1に図2で示す基板21を装着して、回転させるものである。
回転を利用する場合、粒子分離部23は、遠心力による血球分離を行っても良い場合もある。その場合は、サイホンによる流体の流れをオンオフするスイッチ機構を更に設けても良い。
【0034】
図2でしめしたアミノ酸分析チップの動作を例えば血液を体液とした場合について説明する。
入力部22からから供給された血液は、必要により更に入力部22に接続した空気圧出力装置の空気圧により、粒子分離部23方向移動する。
移動してきた血液は、粒子分離部23で、血球類が粒子分離部23内のフィルタ膜で分離され、血漿成分のみが調整部24へ移行する。
調整部24では、必要に応じ、溶離液供給部25の溶離剤が、駆動入力部251の駆動により供給され、タンパク質からアミノ酸を溶離させる。尚、遊離アミノ酸の測定の場合は、必要としない場合もある。
調整部24で溶離したアミノ酸は、分配槽261に供給され、個々の流路262の毛管力により、又は入力部22からの空気圧により、それぞれの流路262内にアミノ酸溶液が移動し充填状態となる。
次に入力部22からの外部駆動力、又は分配領域261付近の蓋部21Hに孔を開け直接空気圧を加えて、内部のアミノ酸溶液を、反応部27に移動させる。
又は、図2(b)で示すような回転体に基板21を装着して、回転させ、遠心力により、アミノ酸溶液を、反応部27へ移行させる。
【0035】
反応部27へ移行したアミノ酸溶液は、酵素センサ272と反応し、これが電気量の変化になって、電気リード線272a、272bを介してコネクタ30へ出力される。
コネクタ30に接続した接続ケーブル31を介して、外部の分析装置32へ酵素センサの信号が移動し、図1、図6の処理動作により、信号処理され、動作説明の様な表示が表示手段33で表示され、診断される。
反応部27において反応が終わったアミノ酸溶液は、更なる遠心力、又は外部空気圧により回収用流路28へ移行し、回収領域281を経て、回収口29で回収される場合もある。本発明では、当該基板21が、繰り返し使用不可の場合があり、その場合は、反応部27迄、アミノ酸溶液が到達すれば足り、回収用流路28におけるアミノ酸溶液の回収は不要な場合もある。
【0036】
次にアミノ酸分析部の他の例を図3に示す。
図3は、定量されたアミノ酸溶液の測定に係るものであり、長方形状の基板300に、溝、凹部を設け、上から蓋(記載せず)をして形成される。
20種類のアミノ酸用に示したものであるが、疾患との関係、計測できるアミノ酸との関係から、20種類以下の場合もあり、数種類の構成とする場合もある。
入力部303に供給される体液は、例えば血液の場合、既に血球が分離した血漿状態である事が好ましい。尿の場合は、血球を分離せずとも、そのまま供給できる場合がある。
301は、体液供給部でありアミノ酸溶液に相当する溶液を供給する為の装置である。
302は、空気圧駆動部であり、シリンジポンプ等の空気圧を形成出力するための装置である。304は、主流路であり、直線状、又は、円弧状に形成され、その大きさは、数十μから数百μの流路であり、その側面には数μmから数十μmの幅と深さを持つ定量用流路305が等間隔に接続されている。
定量用流路305は、その容積が反応部307の容積であって、酵素センサの反応に十分な量と同等の内容積を備えている。
【0037】
定量用流路の向きは、流路内の流体の移動を不活性ガス、空気等の供給圧力で行う場合は、主流路と直角に交差するのが好ましいが、図2(b)の様な回転体に歳置して回転させて流体の移動を遠心力を用いる場合は、遠心方向と長軸が同じ方向となるようなパターン形成が、好ましい場合もある。
307は反応部であり、円筒状の凹部に、図2で示すような酵素センサ306が収容されている。
308及び309は、電気リード線であり、印刷された配線板等で形成され、309は、対極(GND)用の電気リード線であり、308は、主極用の電気リード線である。
310は、コネクタであり、図2と同様の外部分析処理装置と有線、無線で接続する為の部分である。
311は、脱気部であり、流れてきた流体によって押し出された残留ガスや、場所によっては、流体の流れを妨げるガスを外部へ放出する為に部分である。
312は、回収部であり、主流路304を流れてきたアミノ酸溶液であって、余剰分を回収するために部分である。
【0038】
次に図3(a)の動作の説明を図3(b)以降を用いて体液を血漿として詳細に説明する。
血漿成分を体液供給部301から入力部303へ供給し、空気圧駆動部302を駆動させると、主流路304内を血漿成分BLが回収部312方向へ移動する。
その際、定量用流路305に血漿成分BLが到来すると、定量用流路305内に血漿成分が毛管力により保持される図3(b)。
この状態で、血漿成分BLが通り過ぎても、定量用流路305内に、血漿が保持され、事実上の定量化がされる(図3(c))。
主流路304を通過した血漿成分BLは、回収部312で回収される。
次に、回収部312に栓をした状態で、空気圧駆動部302から空気圧を主流路304内に供給し、定量流路305内の定量血漿成分を、反応部307に押し出す(図3(d))。
尚、定量用流路305内の血漿を反応部307へ移動させる手法は、上述した空気圧の他、図2(b)で示す様な回転体に装着して遠心運動を行わせるものであってもよい。
この状態で、酵素センサ306を含む反応部307には、定量化された血漿成分が充填され、酵素センサ306は、より正確なアミノ酸濃度に関連する電気信号を出力する。
酵素センサ306から出力された電気信号は、電気リード線308を介してコネクタ310に出力され、更にコネクタ310を介して図2(a)のケーブル31を経て、分析装置32へ供給される。
【0039】
次に図1の担体10の他の一例を図4を参照して詳細に説明する。
円盤状の基板400は、厚さ3〜5mm、透明、半透明のアクリル材、PDMS等で形成され、中心には、凹状の血液供給部401が形成されている。基板400上で、血液供給部401は、基板の中心にあり、そこから渦巻き状の主流路402が形成されている。
主流路402の外側には、血球収容部列403が、隣接して接続しており、主流路402の側面に開口している状態である。
血球収容部列403は、いずれも同じ容積を持つものであって、血球で一杯になると、次の血球収容部列403に血球が貯まる様な構成となっている。
404は、分配用流路であって、渦巻き状の主流路402と接続し、最も外側の流路を形成し、定量用流路群405のそれぞれと接続する。
405は、定量用流路群であって、等間隔で20個設定され、毛管力が生じる程度の幅と深さをもち、その容積が、反応部群406内の試薬が必要とするアミノ酸溶液量と等しい状態となっている。
【0040】
406は、反応部群であり、例えば内部に個々のアミノ酸と発色反応を行う試薬が収容されている。
反応部群406は、20種類のアミノ酸の発色情報を得るために、それぞれ異なる固形状又は液状の試薬が収容されており、上下が透明、半透明性を備えた状態となっている。
ここで示される試薬は、アミノ酸と反応し、発色するものであればよく、例えば、
特開2006−166709号公報に示される様な、アミノアシルtRNA合成酵素と特定アミノ酸との反応時のアデノシン三リン酸の存在下で発光する酵素を組み合わせたもの等が例示。その他、特開2006−234449号、特開2006−271379号、の各公報に記載された試薬を用いても良く、市販発色試薬等適宜選択される。尚、試薬部内の試薬は主に発色試薬を示しているが、これに限らず、図2、図3に示した酵素センサーであっても良い。407は、貯留部であり、余剰血漿を貯留する部分である。
【0041】
次に図4(a)で示す実施例の動作を図4(b)以降を参照して説明する。
動作を説明する際、図4(a)の4A部分は、図4(b)、図4(c)で示し、図4(a)の4B部分は、図4(d)、図4(e)、図4(f)で示す。
中央の血液供給部401に、採血後の血液BLDを供給し、渦巻き状の流路の進行方向である右回りに回転させる(図4(b))。回転数は、遠心力が血球に十分加わる角度であれば良いが、好ましくは4000rpmから6000rpmが例示される。
血液供給部401の血液は、この回転によって発生する遠心力により、渦巻き状の主流路402に沿って移動し初める。
血液BLDが、主流路402と血球収容部列403aが接続する部位へ来ると回転による遠心力により、血球BKが外方向から順に積み重なっていき、一杯になると次の血球収容部403aで血球BKが積み重なっていく。主流路402を進行する過程で順に血球収容部403b、403c、403dが血球で一杯になっていくことで、血漿成分KSが進行方向へ追い出されるように移動していく(図4(c))。
この動作が、繰り返し行われ、外方向に向かって移動するだけで血漿成分KSのみとなる。
【0042】
図4(d)で示す用に血漿成分のみが最外部の分配用流路404に到達し、さらに進行方向へ向かって移動すると毛管現象により、定量用流路405aに血漿成分が充填された状態となる(図4(e))。定量用流路405aに全ての血漿成分が充填され、最後に余剰血漿が貯留する貯留部407に血漿成分KSが貯まる。
次に回転速度を増加させ、定量用流路405a、405b内の血漿成分に強い遠心力を与えてそれぞれ対応する反応部406a、406bとそれぞれ血漿成分を移動させる。
これで定量化した血漿成分KSが反応部群406に移動し、試薬と接触する。
この状態で、500rpm〜1000rpm程の間で回転速度を調整し特開2007−40833号公報で示すように攪拌した状態KDとなる。発色が一様になった状態で、比色計、吸光度計で、個々の反応部群406を透過光、又は反射光を用いて計測して、発色値を電気信号に変換し、図2で示す分析装置32へ発色値を示す電気信号を伝達して校正した個々のアミノ酸の濃度値の対応関係から、濃度値を求める。
【実施例2】
【0043】
次に本発明の他の実施例を図8、図9を参照して詳細に説明する。
図8は、アミノ酸を抗原抗体反応的手法を用いて濃度の検出を行う為の構成を示すものであり、アミノ酸用抗体を作製する手法を示したものである。
図8(a)は、その為の抗原用に形成された補完ペプチド部800の一例である。
801は、アミノ酸結合基であり、例えば、NOS基(isothiocyanate)、マレイミド基(maleimide)、FITC、TRITC、Cy3−NHS等の官能基等アミノ基に反応し共有結合するものが示されるが、その他のアミノ基と結合する官能基であってもよい。
802は、ペプチド部であり、ここでは、フェニルアラニンと7個のアミノ基で形成されている。ペプチド部802は、測定する際の取り扱いや好適な抗原抗体反応を行うために4〜12個のアミノ基で形成されることが例示され、また、アミノ酸結合基801と結合する部分であるフェニルアラニンについても、他のアミノ基を代用したアミノ酸結合基も良い場合もある。
図8(b)は、アミノ基803と結合した状態を示す。アミノ基803は、検査対象となる少なくとも20種類のアミノ基が示されるがこれに限る物ではない。
図8(c)は、図8(b)で示すアミノ基と補完ペプチドとの結合によって得られたアミノ酸抗原にたいして、抗体804を結合した状態を示す。抗体804の作製方法は、従来法でも良く、体外免疫法、体内免疫法、ファージライブラリーに基づく作製 等が例示される。
次に得られた抗体(図8(d))を取り出して、検査用試薬として用いてもよい。
尚、補完ペプチドは、目的とするアミノ酸にペプチドを結合させて抗原抗体反応として使用可能な程度に大きくするものであるが、この抗原抗体反応が検査測定可能な範囲で起こり得れば良いことから、その他の高分子であってもよく、当該高分子の結合により補完部を形成するものである。
【0044】
図8は、抗体804の作成工程も併せて示している。
まず、アミノ酸結合基801とペプチド部802を混合し結合した状態の補完ペプチド800を作製する(図8(a))。
次に、この補完ペプチド800と目的とするアミノ基803とを溶液の混合等で結合させる(図8(b)。
この補完用ペプチドを用いることで、アミノ酸用抗体が形成可能であり、さらに保管用ペプチドとのくみあわせにより、個々のアミノ酸成分濃度測定ユニットの形成も可能となる。その一例を図9に示す。
【0045】
図9において、91は、アミノ酸901aを含む血漿成分入力部であり、少なくとも血球及日タンパク質が除去された溶液である。
92は、補完ペプチド保持部であり、遊離した補完ペプチド902が配置されている。
補完ペプチド902には、金粒子、プラチナ粒子、蛍光物質、磁性粒子等の標識902aが結合しており、
94aから94e及びそれ以降は、個々のアミノ酸用抗体が固定されており、94aは、第1アミノ酸用抗体93aが、線状、平面状、その他計測する際有効な特定のパターンで固定された。第1検査部である。
94bは、第2検査部であって、第2アミノ酸用抗体93bが同様に固定されている。 94cは、第3検査部であって、第2アミノ酸用抗体93cが同様に固定されている。
94dは、第4検査部であって、第2アミノ酸用抗体93dが同様に固定されている。
94eは、第5検査部であって、第2アミノ酸用抗体93eが同様に固定されている。
図示されていないが合計20の検査部が形成されている。いずれの抗体も、図8でしめす作製手法によって作製されたものである。
【0046】
次に図9で示す構成について、その動作を説明する。
血漿成分入力部91より供給されたアミノ酸901aを含む血漿成分は、次の補完ペプチド保持部92において、遊離補完ペプチド902と結合する。アミノ酸901aと遊離補完ペプチド902との結合は、アミノ酸の種類を問わず行われる。
アミノ酸901aと補完ペプチド902が結合したいわゆるアミノ酸抗原902bは、次の第1検査部94aに供給され、内部のアミノ酸用抗体93aと接触し結合するとそこで固定される。
次に結合しなかったアミノ酸抗原902bは、次の第2検査部94bの抗体93bと接触し、結合固定が図られ、結合しなかったアミノ酸抗原902bは、第3検査部94cの抗体93c、第4検査部94dの抗体93d、第5検査部94eの抗体93eとそれぞれ接触結合が図られ、最終的に20種類の検査部を移動していく。
個々の検査部で、抗体と結合したアミノ酸抗原の標識902aの色、色の濃淡、吸光度、或いは、標識902aの種類に応じた測定が行われ、個々のアミノ酸の濃度が測定される。
図9でしめす実施例は、例えば不織布等の多孔質シート状に配置され、更に先端に全血から、血球及びタンパク質等の不要なものの除去用多孔質部と組み合わせることで、いわゆるイムノクロマトストリップが形成され、簡易で安価なアミノ酸濃度測定用試験紙が形成可能となる。
更に、流路を用いた構成として、血漿成分溶液を流して個々の液体反応係を形成してもよい場合もある。これは次の図10でしめす実施例と同様の構成となる場合もある。
【0047】
次に本発明の他の実施例を図10を参照して詳細に説明する。
一つの担体100に、血液供給部101、血球等分離部102、及び、20種の反応部103を直列的に凹状に形成したものである。更に、加圧駆動部を担体外に備えたものであり、
加圧駆動部は、空気圧、窒素ガス圧等を出力して流路内の流体を駆動させるためのものである。
担体100は、PDMS、アクリル、石英、ガラス、紙、プラスチックシート等の材料からなり、101は、血液供給部であり、全血を供給する場合や、血球を除いた血漿成分を供給する場合もある。
102は、血球等分離部であり、フィルタ等で形成され、その出力側には、蛍光反応物質供給孔が形成されている。
103は、反応部であり、t−RNA、アミノアシルt−RNA合成酵素、及びATPが塗布されるなどして配置されている。反応部103は、103aから103tの少なくとも20個配置され、それぞれ、異なるt−RNA、アミノアシルt−RNA合成酵素及びATPが収容固定されている。ATPは、定量化されて配置されている。 最後は、余分な検体を収容する収容部104となっている。
反応部103は、不織布等の多孔質材に、t−RNA、アミノアシルt−RNA合成酵素、及びATPが塗布含浸されていてもよい。
本実施例は、血液供給部101に、全血からなる検体を定量供給し、溶血しない程度の圧力を加える。検体は、血球等分離部102で、血球、タンパク質、血小板などが分離された血漿成分に濾過され、反応部103の先頭から順々に充填されていく。
【0048】
先頭の反応部103から、血漿成分のアミノ酸と、反応部に配置されたt−RNAが合成酵素を介して結合するが、その際、ATPを消費し、消費したATP量に相当する発光が減少する。この発光量の差をルミノメータで計測していく。
この減少量から、アミノ酸の濃度を測定していく。
105は、測定装置であり、発光量の測定等を行うものであって、ルミノメーターを利用することが好ましい。又、アミノ酸と反応したt−RNAを波長260nmで計測してもよい。測定装置105は、更にコンピュータと接続し、発光量の測定値から、少なくとも、反応部103内のt−RNAとアミノ酸の結合した際、消費されるATP量が検出される演算が行われ、結果としてアミノ酸の濃度値が求められる。
担体100は、プラスチックシート等上述した材料からなるものに凹部、溝部を形成することで、流路、貯留部等が形成され、これに透明な蓋を貼り付け、圧着状態で貼り付けをおこなう。尚、反応部103が、不織布等の多孔質状シートの場合は、蓋は不要となる場合もある。
上述した実施例の動作を説明する。
血液供給部101に所定量の血液、又は血漿を供給する。
血液供給部101に供給された血液は、血球等分離部102で血球、タンパク質、血漿が分離除去され、血漿成分が、反応部103を進行する。
血漿成分は、次々に反応部103と接触していき、余剰液は、収容部104に収容される。
反応部103aから103tには、それぞれ20種類のtーRNA及び、アミノアシルt−RNAが配置され、さらに結合時に使用されるATPが配置されている。
それぞれt−RNAの量とATPの量は、定量的であり、全ATPとルシフェールが反応した際の発光量が計測されている。
尚、ルシフェールは、血液と一緒に投与されても良く、発光時間が長く側光時間として十分な場合は、t−RNAと一緒になっていても良い。
【0049】
本発明の他の実施例を図11に示し説明する。図11で示す実施例は、溶血の恐れがない手法であるが、有る程度時間を要するため、冷蔵庫等、冷却空間で行うことが好ましい場合もある。
110は、担体であり、平板状の石英、プラスチック、ガラス、セラミックス材などで形成され、111は、主流路であり、凹状の溝で形成されている。112は、フィルタであり、主にタンパク質、血小板等を分離除去するための多孔質材、不織布等によって形成されている。
112aは、脱気部であり、フィルタ112の部分で、主流路111の距離を設定する。
113は、分岐流路であり、内部の流量を調整するため、流路口径、内部形状、長さが調節されている。
これらは、いずれも主流路111内の血球類、血小板などの粒子、又は、粒子に近い物を分配し補足するものである。
分岐流路113の本数は、分配して取り除く粒子の多さなどで更に本数を増加させたりしてもよく、赤血球、白血球等その大きさによって、長さ、口径、本数が調整されても良い。
114は、反応流路であり、計測に必要なアミノ酸の種類に応じたアミノ酸反応部114aが形成されている。
アミノ酸反応部114aは、目的とするアミノ酸に対するt−RNA、及びその合成酵素とATP(アデノシン三リン酸)が固定配置されているか、多孔質材に含浸され、固定されている。
115は、回収部であり、分岐流路113、反応流路114を通過してきた検体を回収する部分である。
117は、発色試薬貯留部であり、ATPと反応して、発色、発光を行うものが好ましく、ルシフェラーゼが例示される。
116aは、主流路用駆動部であり、116cは、補助用層流出力流路であり、116bは、補助液供給駆動部である。116bは、層流駆動部を兼ね備えている。
116dは、血液供給部である。
116は、層流発生器であり、一様な管内の流体の押圧であり、例えば、シリンジポンプ、などで形成されている。
【0050】
次に動作を説明する。
血液供給部116dから血液を供給し、層流発生器116を駆動させ、主流路111に血液の層流を形成する。更に層流駆動部116bの駆動により、補助液供給駆動部116bの補助液を補助液用層流出力流路から、主流路111に向けて出力する。血液の層流は、補助液の層流と併硫するため、分岐流路113側へ、血液が押されるような状態で流れる。層流駆動部116bの出力は、分岐流路113の流路にも一様に圧力が加わるが、その長さ、口径、流体抵抗に応じた内部流量と主流路の下流流量との比を、赤血球、白血球、及び血小板等の粒子を分岐流路113へ分配する程度に設定して、これらの不要な粒子を分岐流路113へ分離除去する。
主流路111内の液体は、フィルタ112へ到達すると、毛管現象を利用して、タンパク質、ペプチド類が分離除去されると共に補助液との混合が行われ希釈される。
希釈アミノ酸成分血漿溶液は、更に反応流路114を多孔質材の毛管力などで進行し、それぞれのアミノ酸反応部114aへ順次到達する。
更に発色試薬貯留部117から、試薬が反応流路114へ供給される。
アミノ酸血漿成分がアミノ酸反応部114aに到達すると固定されたアミノアシルt−RNAとアミノ酸例えば、グリシンが接触し、そこに存在するグリシンt−RNA合成酵素が同じく配置されたATPにより合成し、グリシンt−RNAが形成される。その際、ATPが消費するが、その消費したATPとルシフェール試薬とが反応して発光する。
この発光量を、ルミノメータにより測定する。
この発光量は、アミノ酸反応部114aに予め配置したATP全部との反応により得られる発光量より少なくなることから、その差が、アミノ酸の量に相関する。
【0051】
従ってルミノメータの値を予め全てのATPとルシフェラーゼとが反応した際の発光量値との差をとり、その差分値を、予め設定した検量線関数に入力することで、アミノ酸濃度を測定して、基準値と更に比較してその差分値を得る。
これを過去の値を2次元的空間で比較する等して成分評価を行う。更には、明らかに基準値及びその許容値を超えていた場合、それが他のアミノ酸濃度値も同様に越えていた場合は、疾病の可能性、或いは、ダイエットルールの逸脱の可能性等を被験者に信号等で知らせる。
本発明は、食事前後等を除く安静時には、アミノ酸データは安定しているという現象(アミノ酸と生活習慣病 著作者 栃久保 修ら、女子栄養大学出版部、2010年発行)から、安静時に測定することが好ましいが、
更に食事の際の摂取量が、このアミノ酸データに反映される為、食事摂取後にアミノ酸濃度を測定し、統計的データ化することで、ダイエット、食事制限量の評価などに用いることも可能である。
尚、その際の基準値は、本人の体質に応じた値、即ち、食事後に複数回測定して得られる値の平均値などであっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、複数種類のアミノ酸情報を、チップタイプの計測器を用いて簡易に手軽に測定し、測定したアミノ酸情報と基準値とを比較した各比較値を相互に認識可能な表示をして、診断用の情報を提供すると共に、複数回の測定において、得られるアミノ酸の比較から、疾患、肥満の診断的な表示を行うことを可能とし、例えば病院における診断又は医学的処置の他、在宅における予防、健康管理に好適に使用できる。
【符号の説明】
【0053】
11 体液供給部
12 分離手段
13 分配手段
14 アミノ酸検出手段
15 入力手段
16 分析手段
17 表示手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
体液中からアミノ酸情報を検出する手段、検出された各アミノ酸の成分情報と基準成分情報から比較情報を形成し、前記基準成分情報の範囲で各比較情報を相互に認識可能に表示出力する手段よりなる診断用システム。
【請求項2】
予め設定された疾患と各種アミノ酸との関係に基づいて選択されたアミノ酸情報についての表示出力を更に付加する請求項1に記載の診断用システム。
【請求項3】
前記検出手段は、チップ状のアミノ酸検出ユニットである請求項1に記載の診断用システム。
【請求項4】
前記各アミノ酸情報の各比較値を連結的に表示して相互に認識可能とする請求項1に記載の診断用システム。
【請求項5】
前記比較値を、同じアミノ酸情報であって、先に検出された比較値と、重ねて表示する請求項1に記載の診断用システム。
【請求項6】
前記表示出力がコンピュータのモニター上での表示、又はプリントされた表示である請求項1に記載の診断用システム。
【請求項7】
採取された体液を供給する体液供給部、前記体液供給部で供給された体液から不要粒子を分離した分離体液を形成する分離手段、前記分離手段で得られた分離体液から各アミノ酸の成分濃度を検出するためのアミノ酸検出手段、前記アミノ酸検出手段で得られたアミノ酸成分濃度を予め決定された基準値と比較して比較値を求め、当該比較値を他のアミノ酸比較値と連結して表示する表示手段、予め設定された疾患と各種アミノ酸との関係に基づき、前記比較値が基準値に基づく基準範囲を越えた部位を認識可能に表示する診断表示手段よりなる請求項1に記載の診断用システム。
【請求項8】
前記アミノ酸情報検出手段は、抗体を調整可能な分子からなる補完部と目的とするアミノ酸とで形成されるアミノ酸抗原、前記アミノ酸抗原に基づいて調整されたアミノ酸抗体、前記アミノ酸抗原とアミノ酸抗体間の抗原抗体反応を利用してアミノ酸情報が得られるものである請求項1に記載の診断用システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2011−137794(P2011−137794A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−122068(P2010−122068)
【出願日】平成22年5月11日(2010.5.11)
【出願人】(000126757)株式会社アドバンス (60)
【Fターム(参考)】