説明

診断装置、及び、記憶制御方法

【課題】 メディアに複数の患者についてのデータを記録することでメディア総数を低減し、検査の際には一人の患者についてのデータが全てを記録された1つのメディアを利用するとともに、データの読み出し時間を少なくすることが可能な診断装置を提供すること。
【解決手段】 検査の前に、メディア16に記録された過去の検査データのうち装置の記憶手段に記憶されていない検査対象患者の検査データを記憶手段14に追加記憶し、検査終了後に今回の検査データをドライバ装置15で、過去の検査データが記録されたメディアに容量があれば、そのメディアに記録し、容量が無ければ、別のメディアに過去の検査データとともに記録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データを記憶するための記憶手段を備えるとともに、着脱可能な記録媒体に対してデータの読み書きが可能な診断装置及びその診断装置で行う記憶制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療機関においてもネットワーク化が進み、例えば、X線診断装置やCT装置等による画像情報をネットワークを介しサーバに保存し管理する場合がある。しかしながら、超音波診断装置は、多くの場合、装置そのものが大きなものではなく可搬型であるため、ネットワークに接続するようなことはせずにオフラインで使用される。また、ネットワークの整備が不十分な環境下にあっては、言うまでも無いがオフラインで使用されている。また、ネットワーク環境が整っていても、特に病院のネットワークにおけるサーバは与えられる負荷が大きくネットワークを介してのデータのやり取りには時間がかかるので装置をネットワークに接続しないでオフラインで使用される場合もある。
【0003】
一方、複数台の超音波診断装置を保有する病院において、検査は超音波診断装置が空き次第行われる。したがって、一人の患者の検査は同じ装置で行われるとは限らず、オフラインで使用される場合には、検査データはそれぞれの装置のHDD(Hard Disk Drive)などの記憶手段に記憶され、過去の検査データは分割されることになり、過去のデータを用いての解析、例えば、胎児の発育の様子を示すトレンドグラフの作成などができない。または、患者に装置を対応付けてその装置でのみ検査を行うようにすれば、その装置に過去のデータが全て記憶されるので上述の解析はできるが、その装置が使用中である場合には、他の装置が空いていたとしてもその装置が空くまでその患者を待たせなければならなかった。また、装置の利用効率も低くしていた。
【0004】
そのために、患者ごとにメディア(記録媒体)を割り振り、そのメディアに個人の基本情報、検査データなどの医療文書データと医療画像データを記録して、そのメディアに記録されたデータを利用するシステムなどがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
この場合、その患者の全てのデータはメディアに記録されているが、検査の際にそのデータを利用しようとする度にメディアからのデータの読み出しに多大な時間がかかり、検査時間に無駄を生じてしまう。
【0006】
また、患者ごとにメディアを割り振るため、少なくとも患者の人数分のメディアを用意し管理しなければならない。
【0007】
また、個人のデータが複数のメディアに分散して記録される場合がある。検査などの際に患者が運ぶメディアが増えるので、持ち運びの際の落下等により紛失、破損などを引き起こす場合があった。
【0008】
【特許文献1】特開平4−311274号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
一方、メディアの容量は、DVD(Digital Video Disc)など大容量化が進み、また、HDDの容量も大容量化が進んでいるが、患者ごとにメディアを割り振れば空き容量が無駄となる場合や、複数の患者のデータを1つのメディアに記録しようとすれば、個人のデータが複数のメディアに分散して記録される場合がある。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、メディアに複数の患者についてのデータを記録することで無駄な空き容量及びメディア総数を低減し、検査の際には一人の患者についてのデータが全てを記録された1つのメディアを利用するとともに、データの読み出し時間を少なくすることが可能な診断装置及び記憶制御方法を提供することにある。
【0011】
また、メディアに記録されたデータを他の装置で利用できるようにする診断装置及び記憶制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために請求項1記載の発明は、患者を検査する検査手段と、前記検査の際に前記患者を識別する識別情報を入力するための入力手段と、前記検査手段で検査した検査データを前記識別情報と関連付けて記憶する記憶手段とを備え、着脱可能な記録媒体に対してデータの読み書きが可能な診断装置であって、前記識別情報と前記検査データとを関連付けて記録された記録媒体が装着されたときに、この記録媒体に記録された検査データのうち、前記記憶手段に記憶されていない検査データと、当該検査データに関連付けられた識別情報とを抽出する抽出手段を備え、前記記憶手段は、前記抽出した検査データと前記抽出した識別情報と関連付けて追加記憶することを特徴としている。
【0013】
また、請求項2記載の発明は、患者を検査する検査手段と、前記検査の際に前記患者を識別する識別情報を入力するための入力手段と、前記検査手段で検査した検査データを前記識別情報と関連付けて記憶する記憶手段とを備え、着脱可能な記録媒体に対してデータの読み書きが可能な診断装置であって、前記識別情報と前記検査データとを関連付けて記録された記録媒体が装着されたときに、この記録媒体に記録された検査データのうち、前記入力手段によって入力された検査対象患者の識別情報に関連付けられ、前記記憶手段に記憶されていない検査データを抽出する抽出手段を備え、前記記憶手段は、前記抽出した検査データを、前記検査対象患者の識別情報と関連付けて追加記憶することを特徴としている。
【0014】
また、請求項3記載の発明は、前記検査手段による検査の後に、当該検査の検査データの大きさと前記装着された記録媒体に記録可能な容量とを比較して記録可能か否かを判定する判定手段と、前記判定手段が記録可能と判定した場合には、当該検査データを前記検査対象患者の識別情報と関連付けて前記装着された記録媒体に記録し、前記判定手段が記録不可と判定した場合には、前記記憶手段に記憶された検査データのうち、前記検査対象患者の識別情報に関連付けられた検査データを前記検査対象患者の識別情報と関連付けて新たに装着される記録媒体に記録する記録手段とを更に備えることを特徴としている。
【0015】
また、請求項4記載の発明は、検査の際に患者を識別する識別情報と前記検査の検査データとを記憶する記憶手段を備え、着脱可能な記録媒体に対してデータの読み書きが可能な診断装置で行う記憶制御方法であって、前記識別情報と前記検査データとを関連付けて記録された記録媒体を装着する段階と、前記装着された記録媒体に記録された検査データのうち、前記記憶手段に記憶されていない検査データと、当該検査データに関連付けられた識別情報とを抽出する段階と、前記抽出した検査データと前記抽出した識別情報と関連付けて前記記憶手段に追加記憶する段階とを含むことを特徴としている。
【0016】
また、請求項5記載の発明は、検査の際に患者を識別する識別情報と前記検査の検査データとを記憶する記憶手段を備え、着脱可能な記録媒体に対してデータの読み書きが可能な診断装置で行う記憶制御方法であって、前記識別情報と前記検査データとを関連付けて記録された記録媒体が装着する段階と、検査対象患者の前記識別情報を入力する段階と、前記装着された記録媒体に記録された検査データのうち、前記入力手段によって入力された検査対象患者の識別情報に関連付けられ、前記記憶手段に記憶されていない検査データを抽出する段階と、前記抽出した検査データを、前記検査対象患者の識別情報と関連付けて前記記憶手段に追加記憶する段階とを含むことを特徴としている。
【0017】
また、請求項6記載の発明は、前記検査の後に、当該検査の検査データの大きさと前記装着された記録媒体に記録可能な容量とを比較して記録可能か否かを判定する段階と、前記判定により記録可能と判定した場合には、当該検査データを前記検査対象患者の識別情報と関連付けて前記装着された記録媒体に記録し、前記判定により記録不可と判定した場合には、前記記憶手段に記憶された検査データのうち、前記検査対象患者の識別情報に関連付けられた検査データを前記検査対象患者の識別情報と関連付けて新たに装着される記録媒体に記録する段階とを更に含むことを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
請求項1記載の診断装置によれば、診断装置に、記録媒体のみに記録された過去の検査データを記憶することができる。また、メディアに記録された検査データのうち不足している検査データの追加記憶を行うので、最小限の時間で記憶することができる。また、メディアには複数の患者についての検査データを記録することができるので無駄な空き容量及びメディア総数を低減することができる。
【0019】
請求項2記載の診断装置によれば、患者が検査を受けようとする診断装置に、検査を受ける患者の過去の検査データの全てを記憶することができる。また、メディアに記録された検査データのうち不足している検査データの追加記憶を行うので、最小限の時間で記憶することができる。また、メディアには複数の患者についての検査データを記録することができるので無駄な空き容量及びメディア総数を低減することができる。
【0020】
請求項3記載の診断装置によれば、メディアに個人の患者情報を分散させずに記録することができる。
【0021】
請求項4記載の記憶制御方法によれば、診断装置に、記録媒体のみに記録された過去の検査データを記憶することができる。また、メディアに記録された検査データのうち不足している検査データの追加記憶を行うので、最小限の時間で記憶することができる。また、メディアには複数の患者についての検査データを記録することができるので無駄な空き容量及びメディア総数を低減することができる。
【0022】
請求項5記載の記憶制御方法によれば、患者が検査を受けようとする診断装置に、検査を受ける患者の過去の検査データの全てを記憶することができる。また、メディアに記録された検査データのうち不足している検査データの追加記憶を行うので、最小限の時間で記憶することができる。また、メディアには複数の患者についての検査データを記録することができるので無駄な空き容量及びメディア総数を低減することができる。
【0023】
請求項6記載の記憶制御方法によれば、メディアに個人の患者情報を分散させずに記録することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
(構成)
以下、本発明の実施の形態について診断装置として超音波診断装置を例に図を参照しつつ説明する。図1は、本実施の形態の超音波診断装置のブロック図である。
【0025】
検査部11は、患者の検査を行う検査手段であって、患者の検査対象部位に対して超音波の送波を行い、受信した反射エコーから画像情報を生成する。
【0026】
表示部12は、モニタ等の表示手段を備え、画面情報に基づいて表示画面に表示を行い、操作パネル13は、操作・入力を行うための入力手段である。
【0027】
記憶手段14は、HDD(Hard Disk Drive)で構成され、全体の制御プログラム、アプリケーションプログラム、及び、患者情報などの各種情報を特定のディレクトリに記憶する。ここで、患者情報は、患者の名前等の固有情報、関連メディア番号を含む基礎データと、検査部11で生成された画像情報から作成される動画または静止画の画像データ、また、操作パネル13からの入力される診断結果などの文字データからなる検査データとで構成される。また、患者情報は、検査開始の際に操作パネル13から入力される識別情報としての患者IDと関連付けて記憶されている。
【0028】
ドライバ装置15は、記録媒体であるメディア16に対して、データの書き込みや読み出しを行う装置である。本実施の形態では、メディア16は、DVD(Digital Video Disc)に限るものではないが、DVDのような大容量である方が好ましい。また、超音波診断装置に内蔵してもよいし、インターフェイスを介して外付けでもよい。
【0029】
制御部10は、記憶手段14に記憶されたプログラムに基づいて超音波診断装置の各部の制御を行う。また、基礎データや検査データの患者情報及びアプリケーションプログラムの記憶手段14に記憶させ、基礎データや検査データの患者情報を所定の汎用形式、例えば、医用におけるデジタル画像と通信の規格であるDICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)の形式でメディア16へ記録する及びアプリケーションプログラムをメディア16へ記録するようにドライバ装置15を制御する機能、メディア16への記録が可能か否かを判定する判定手段としての機能を備えている。また、後述の(過去の検査データのメディアから記憶手段への追加記憶手順)で説明する検査データの抽出を行う抽出手段としての機能を備える。さらに、検査部11で生成された画像情報を画像として表示するように表示部12の表示手段を制御する表示制御手段としての機能、検査部11で生成された画像情報及び操作パネル13からの入力される診断結果から検査データを作成する手段としての機能を備えている。また、その他に、前述の表示制御手段としての機能はアプリケーションプログラムに基づいて検査データを表示する。その他に、検査データを解析する解析手段としての機能を備え、更に前述の表示制御手段としての機能により表示部12の表示手段を制御しこの解析結果を表示する。そのために、CPU(図示せず)と、各種のプログラムを実行するときに必要な各種データを記憶すると共に、各種のプログラムを実行するときのワークエリアを構成するシステムメモリ(図示せず)と、を含んで構成される。
【0030】
また、本発明の「記録手段」は、「制御部10」と「ドライバ装置15」とで構成される。
【0031】
(メディアのデータの構成)
ここで、メディア16に記録される検査データ等の構成を図2を用いて説明する。メディア16には、メディア管理情報、複数の患者についての患者情報、及び、アプリケーションプログラムが図2に示すような階層で記録される。メディア管理情報として、メディア番号及び作成日が記録される。また、基礎データや検査データの患者情報が、それぞれの患者の患者IDに関連付けて記録される。また、アプリケーションプログラムとして、図2では、AP1、AP2及びAP3と示す、例えば検査データから画像及び動画を表示し、または、検査データ用いて比較表示またはトレンドグラフを作成して表示するためのプログラム、及び、検査データを汎用形式で記録するためのデータ変換プログラムが、他の装置で動作可能に記録される。
【0032】
更に図3(a)、(b)及び(c)には、それぞれメディア16a、16b及び16cに種々のデータが記録された様子を模式的に示した説明図を示す。ずなわち、メディア16aは、メディア番号が1で、AP1、AP2及びAP3のアプリケーションプログラムが記録され、患者A、患者B及び患者Cの患者情報が記録されている。メディア16bは、メディア番号が2で、AP1、AP2及びAP3のアプリケーションプログラムが記録され、患者Dの患者情報が記録されている。メディア16cは、まだデータが記録されていない新品の状態である。したがって、患者A、患者B及び患者Cは検査の際にメディア16aを使用し、患者Dは検査の際にメディア16bを使用することになる。どのメディアを使用するかは、管理台帳やカルテ等に記載し管理する。
【0033】
そして、検査の際、メディア管理担当者が患者の過去の検査データを記録しているメディア16を管理台帳やカルテで確認して患者に渡し、患者はそれを受け取り、そのメディア16を超音波診断装置まで持って行き、検査を受ける。以下に、検査対象患者を患者Aとする場合を例に、記憶手段14への基礎データや検査データの患者情報の記憶の制御及びメディア16への検査データの記録の制御を行う記憶制御方法について説明する。
【0034】
(過去の検査データのメディアから記憶手段への追加記憶手順)
図4は、過去の検査データのメディアから記憶手段への追加記憶手順を示すフローチャートである。図4を用いて過去の検査データのメディアから記憶手段への追加記憶手順について説明する。
【0035】
まず、患者Aは、メディア16aを受け取り超音波診断装置まで持って行く。検査を行う医師は、まず、メディア16aを装着する(ステップS101。以下、S101と省略、他も同様。)。メディア16aが装着されると制御部10は、表示部12に患者ID入力の指示表示を表示させる(S102)。そして、患者IDが入力されると(S103,Y)、入力された患者IDのメディア16aに記録された検査データと記憶手段14に記憶された検査データとを比較し、記憶手段14に記憶されていない過去の検査データをメディア16aから抽出し、記憶手段14に追加記憶する(S104)。図5(a)には、この追加記憶前の記憶手段14の様子を示し、制御プログラム、アプリケーションプログラム、及び、各患者の患者情報が記憶されていて、図5(b)には、患者Aの検査データが追加記憶された様子を示す。検査データの比較は、例えば、検査データのヘッダ部に記載されている検査データを示す情報を用いて行うことができる。また、具体的には、メディア16aから入力された患者IDの検査データを示す情報を抽出し、記憶手段14を検索してその抽出した情報の有無を調べることでよい。
【0036】
このようにして、患者が検査を受けようとする超音波診断装置には、検査を受ける患者の過去の検査データが全て記憶されることとなり、例えば、これから行う検査による検査データと過去の検査データとの比較やトレンドグラフを作成して表示することなどが可能となる。また、過去の検査データを追加記憶のみを行う場合にも上述のように行えばよい。また、追加記憶は不足している過去の検査データのみについて行うので、最小限の時間で記憶することができる。
【0037】
また、上述の説明では、検査対象の患者の検査データを追加記憶するように説明したが、メディア16aに記録されている全ての検査データを対象とし、記憶手段14に記憶されていないメディア16aにのみ記録されている過去の検査データを抽出して、記憶手段14に追加記憶するようにしてもよい。
【0038】
(今回の検査データのメディアへの記録手順)
図6は、今回の検査データのメディアへの記録手順を示すフローチャートである。図6を用いて今回の検査データのメディアへの記録手順について説明する。
【0039】
過去の検査データのメディアから記憶手段への追加記憶に続いて、検査部11により患者Aの検査を行う(S201)。制御部10は、生成された画像情報を表示部12に表示し(S202)、医師は検査データを作成するように操作パネル13の操作し、その操作の入力を受けて(S203)、制御部10は、検査データを作成する(S204)。または、医師は操作パネル13の操作し診断結果を入力し、S203でその操作の入力を受けて、S204で検査データを作成する。作成された検査データは、記憶手段14に追加され記憶される(S205)。さらに、検査を続ける場合には、上述のS201乃至S204と同様に、検査部11により検査を行い検査データを作成し記憶手段14に記憶する。図5(c)に示すように、今回の患者Aの検査データが追加記憶される。したがって、患者Aが最後に検査を行った装置には、患者Aの検査データは全て記憶されている。または、制御部10のシステムメモリに一時的に格納し、検査終了時に、記憶手段14に記憶するようにしてもよい。
【0040】
そして、検査が終了すると(S206,Y)、制御部10は、装着されているメディア16aの空き容量をチェックする。今回の検査データを記録する容量があり記録可能と判定した場合には(S207,可)、今回の検査データをはじめに入力された患者IDと関連付けて汎用形式でメディア16aに記録するようにドライバ装置15を制御する(S214)。図7に、メディア16aに患者Aの今回の検査データを追加記録した様子示した。メディア16aには患者Aの検査データは全て記憶されている。この場合、患者Aは、次回の検査の際にも、メディア16aを使用する。
【0041】
また、容量が足りず記録不可と判定した場合には(S207,不可)、まず、制御部10は、表示部12にメディア16aの交換支持表示を表示させる(S208)。そして、別のメディア16bまたはメディア16cに交換されると、制御部10は、交換されたメディア16bまたはメディア16cの空き容量をチェックする。ここで、容量チェックを行うのは、本実施の形態では、1つのメディア16に複数の患者についての患者情報を記録するので、既に患者Dの患者情報が記録されたメディア16bに交換される場合があるためである。容量か足りず記録不可と判定した場合には(S210,不可)、再び交換支持表示を表示させる(S208)。
【0042】
容量があり記録可能と判定した場合(S210,可)、制御部10は、さらに新しいメディアか否か判断し、新しいメディアであれば(S211,Y)、本例ではメディア16cが装着された場合、メディア管理情報としてのメディア番号と、アプリケーションプログラムとを記録し、患者Aの患者IDと関連付けて今回の検査データ及び記憶手段に記憶されている患者Aの過去の検査データを含む患者情報を汎用形式で記録するようにドライバ装置15を制御する(S212)。図8に、メディア16cに記録した様子示した。メディア16cには患者Aの検査データは全て記憶されている。この場合、患者Aは、次回の検査の際には、メディア16cを使用することになる。
【0043】
また、新しいメディアでなければ(S211,N)、本例ではメディア16bが装着された場合、はじめに入力された患者IDと関連付けて今回作成した検査データ及び記憶手段に記憶されている患者IDの患者情報を汎用形式で記録するようにドライバ装置15を制御する(S213)。図9に、メディア16bに記録した様子示した。メディア16bには患者Aの検査データは全て記憶されている。この場合、患者Aは、次回の検査の際には、メディア16bを使用することになる。
【0044】
上述したように、メディア16に個人の患者情報を分散させずに記録することができる。そして、過去の検査データを全て記憶していない装置で検査を行う際に、過去の検査データをメディア16から追加記録することができ、その装置に全て検査データを記憶することができる。また、メディア16を複数の患者で共有できる、図3(a)には3人で共有する例を示したが、DVDなどによれば数十人単位の患者の患者情報を記録できるので、メディア16の総数を減らすことができる。また、メディアに対しては追加記録を行い、書き換えは行わないので、データを破壊する危険性が小さい。
【0045】
また、メディアへの記録形式については特に汎用形式に限られるものではないが、汎用形式で記録しておくことにより、他の装置でも検査データを解読でき、その装置に備えられている表示のためのプログラムを用いて表示を行うことができるためである。
【0046】
また、メディア16には、上述のような表示のためのアプリケーションプログラムが記録されているので、例えば、検査を行う超音波診断装置にアプリケーションプログラムが記憶されていない場合には、メディア16に記録されている検査データを表示するためのプログラムや検査データ用いて比較表示またはトレンドグラフを作成して表示するためのプログラムをロードしインストールすることによりアプリケーションプログラムに基づいた表示を行うことができる。また、このアプリケーションプログラムに基づいた検査データの表示は、超音波診断装置だけではなく、プログラムをロードしインストールすることによりワークステーションで実行することも可能である。これらの表示のためのアプリケーションプログラムは、具体的には、例えば、動画の中の重要なフレームをフレーム番号で表示させるもの、診断結果と関連のある情報や画像データを表示するもの、得られた心電波形のR波間をループ再生させるもの、複数の動画を心電波形で同期表示させるもの、検査データをリスト化して一覧表示するもの等である。
【0047】
また、汎用形式で記録するためのデータ変換プログラムをそのプログラムを有さない超音波診断装置にロードしインストールすることにより、汎用形式で記録できるので他の装置でも検査データを解読でき、その装置に備えられている表示のためのプログラムを用いて表示を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本実施の形態の超音波診断装置のブロック図である。
【図2】メディアに記録される検査データ等の構成を示す説明図である。
【図3】メディアに種々のデータが記録された様子を模式的に示す説明図である。
【図4】過去の検査データのメディアから記憶手段への追加記憶手順を示すフローチャートである。
【図5】記憶手段に種々のデータが記憶された様子を模式的に示す説明図である。
【図6】今回の検査データのメディアへの記録手順を示すフローチャートである。
【図7】メディアに種々のデータが記録された様子を模式的に示す説明図である。
【図8】メディアに種々のデータが記録された様子を模式的に示す説明図である。
【図9】メディアに種々のデータが記録された様子を模式的に示す説明図である。
【符号の説明】
【0049】
10 制御部
11 検査部
12 表示部
13 操作パネル
14 記憶手段
15 ドライバ装置
16 メディア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者を検査する検査手段と、前記検査の際に前記患者を識別する識別情報を入力するための入力手段と、前記検査手段で検査した検査データを前記識別情報と関連付けて記憶する記憶手段とを備え、着脱可能な記録媒体に対してデータの読み書きが可能な診断装置であって、
前記識別情報と前記検査データとを関連付けて記録された記録媒体が装着されたときに、この記録媒体に記録された検査データのうち、前記記憶手段に記憶されていない検査データと、当該検査データに関連付けられた識別情報とを抽出する抽出手段を備え、
前記記憶手段は、前記抽出した検査データと前記抽出した識別情報と関連付けて追加記憶することを特徴とする診断装置。
【請求項2】
患者を検査する検査手段と、前記検査の際に前記患者を識別する識別情報を入力するための入力手段と、前記検査手段で検査した検査データを前記識別情報と関連付けて記憶する記憶手段とを備え、着脱可能な記録媒体に対してデータの読み書きが可能な診断装置であって、
前記識別情報と前記検査データとを関連付けて記録された記録媒体が装着されたときに、この記録媒体に記録された検査データのうち、前記入力手段によって入力された検査対象患者の識別情報に関連付けられ、前記記憶手段に記憶されていない検査データを抽出する抽出手段を備え、
前記記憶手段は、前記抽出した検査データを、前記検査対象患者の識別情報と関連付けて追加記憶することを特徴とする診断装置。
【請求項3】
前記検査手段による検査の後に、当該検査の検査データの大きさと前記装着された記録媒体に記録可能な容量とを比較して記録可能か否かを判定する判定手段と、
前記判定手段が記録可能と判定した場合には、当該検査データを前記検査対象患者の識別情報と関連付けて前記装着された記録媒体に記録し、前記判定手段が記録不可と判定した場合には、前記記憶手段に記憶された検査データのうち、前記検査対象患者の識別情報に関連付けられた検査データを前記検査対象患者の識別情報と関連付けて新たに装着される記録媒体に記録する記録手段とを更に備える請求項2に記載の診断装置。
【請求項4】
検査の際に患者を識別する識別情報と前記検査の検査データとを記憶する記憶手段を備え、着脱可能な記録媒体に対してデータの読み書きが可能な診断装置で行う記憶制御方法であって、
前記識別情報と前記検査データとを関連付けて記録された記録媒体を装着する段階と、
前記装着された記録媒体に記録された検査データのうち、前記記憶手段に記憶されていない検査データと、当該検査データに関連付けられた識別情報とを抽出する段階と、
前記抽出した検査データと前記抽出した識別情報と関連付けて前記記憶手段に追加記憶する段階とを含むことを特徴とする記憶制御方法。
【請求項5】
検査の際に患者を識別する識別情報と前記検査の検査データとを記憶する記憶手段を備え、着脱可能な記録媒体に対してデータの読み書きが可能な診断装置で行う記憶制御方法であって、
前記識別情報と前記検査データとを関連付けて記録された記録媒体が装着する段階と、
検査対象患者の前記識別情報を入力する段階と、
前記装着された記録媒体に記録された検査データのうち、前記入力手段によって入力された検査対象患者の識別情報に関連付けられ、前記記憶手段に記憶されていない検査データを抽出する段階と、
前記抽出した検査データを、前記検査対象患者の識別情報と関連付けて前記記憶手段に追加記憶する段階とを含むことを特徴とする記憶制御方法。
【請求項6】
前記検査の後に、当該検査の検査データの大きさと前記装着された記録媒体に記録可能な容量とを比較して記録可能か否かを判定する段階と、
前記判定により記録可能と判定した場合には、当該検査データを前記検査対象患者の識別情報と関連付けて前記装着された記録媒体に記録し、前記判定により記録不可と判定した場合には、前記記憶手段に記憶された検査データのうち、前記検査対象患者の識別情報に関連付けられた検査データを前記検査対象患者の識別情報と関連付けて新たに装着される記録媒体に記録する段階とを更に含む請求項5に記載の記憶制御方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−6524(P2006−6524A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−186301(P2004−186301)
【出願日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【出願人】(594164531)東芝医用システムエンジニアリング株式会社 (892)
【Fターム(参考)】