説明

診断試薬を読み、取り扱うための容器及び同容器の使用方法

【課題】試薬をテープ形態で含む容器には、試験センサを容器から送りださなければならない等の欠点が存在したので、これらの欠点を解決する容器及びその使用方法を提供する。
【解決手段】容器10は、本体部分12、ふた部分14、連続テープ16、試薬感知装置18及び貯蔵装置20,22を含む、テープ形態の診断試薬を読み、取り扱うための、回動可能なふたを備える。本体部分12は内面及び外面を含む。ふた部分14は、本体部分に取り付けられ、閉位置から開位置まで回動するように適合されている。連続テープは診断試薬を含む。試薬感知装置18は、本体部分又はふた部分のいずれかに取り付けられ、診断試薬を読むように適合されている。貯蔵装置20は、本体部分に取り付けられ、連続テープの未使用部分を保持し、小出しするように適合されている。ふた部分が回動する間、連続テープは、第一の貯蔵装置から送り出され、試薬感知装置の上に延ばされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、診断試薬を読み、取り扱うための容器及び同容器の使用方法に関する。より具体的には、本発明は、診断試薬を含むテープを使用する容器及び同容器の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
体液中の分析対象物の定量は、特定の生理的異常の診断及び管理において非常に重要である。たとえば、特定の個人において、乳酸、フルクトサミン、コレステロール、ビリルビン、アルコール及び薬物をモニタ又は試験することがある。モニタ又は試験される体液としては、血液、間質液、唾液又は尿が挙げられる。特に、体液中のグルコースの測定は、食事におけるグルコース摂取を規制するために体液中のグルコースレベルを頻繁にチェックしなければならない糖尿病患者にとって重要である。
【0003】
試薬をテープ形態で含む容器が存在した。しかし、これらの容器は一以上の欠点をかかえている。たとえば、既存の容器の一つの欠点は、試験センサを容器から送り出さなければならないことである。このような容器では、使用済みセンサが容器中に貯蔵されることはなく、したがって、簡便及び/又は安全な廃棄を考慮することはできない。既存の容器の他の欠点は、(a)試薬を劣化させる環境水分に対する保護を十分には提供しないこと及び/又は(b)試薬感知装置を十分に清浄に維持せず、それを通常使用の摩滅から保護しないことを含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記欠点を解消する、グルコースのような分析対象物の濃度を検出する容器を提供することが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一つの実施態様によると、テープ形態の診断試薬を読み、取り扱うための、回動可能なふたを備えた容器は、本体部分、ふた部分、連続テープ、試薬感知装置及び貯蔵装置を含む。本体部分は内面及び外面を含む。ふた部分は、本体部分に取り付けられ、閉位置から開位置まで回動するように適合されている。連続テープは診断試薬を含む。試薬感知装置は、本体部分又はふた部分のいずれかに取り付けられ、診断試薬を読むように適合されている。貯蔵装置は、本体部分に取り付けられ、連続テープの未使用部分を保持し、小出しするように適合されている。ふた部分が回動する間、連続テープは、貯蔵装置から送り出され、試薬感知装置の上に延ばされる。
【0006】
もう一つの実施態様によると、テープ形態の診断試薬を読み、取り扱うための、回動可能なふたを備えた容器は、本体部分、ふた部分、連続テープ、試薬感知装置、第一の貯蔵装置及び第二の貯蔵装置を含む。本体部分は内面及び外面を含む。ふた部分は、本体部分に取り付けられ、閉位置から開位置まで回動するように適合されている。連続テープは診断試薬を含む。試薬感知装置は、本体部分又はふた部分のいずれかに取り付けられ、診断試薬を読むように適合されている。第一の貯蔵装置は、本体部分に取り付けられ、連続テープの未使用部分を保持し、小出しするように適合されている。第二の貯蔵装置は、ふた部分に取り付けられ、連続テープの使用済み部分を受けるように適合されている。ふた部分が回動する間、連続テープは、第一の貯蔵装置から送り出され、試薬感知装置の上に延ばされ、第二の貯蔵装置によって受けられる。
【0007】
さらなる実施態様によると、グルコース濃度を測定するように適合されたテープ形態の診断試薬を読み、取り扱うための、回動可能なふたを備えた容器は、本体部分、ふた部分、連続テープ、試薬感知装置及び第一の貯蔵装置を含む。本体部分は内面及び外面を含む。ふた部分は、本体部分に取り付けられ、閉位置から開位置まで回動するように適合されている。連続テープは、グルコース濃度を測定するための診断試薬を含む。試薬感知装置は、本体部分又はふた部分のいずれかに取り付けられ、診断試薬を読むように適合されている。第一の貯蔵装置は、本体部分に取り付けられ、連続テープの未使用部分を保持し、小出しするように適合されている。ふた部分が回動する間、連続テープは、第一の貯蔵装置から送り出され、試薬感知装置の上に延ばされる。
【0008】
一つの実施態様によると、回動可能なふたを備えた容器を使用してテープ形態の診断試薬を読み、取り扱う方法は、回動可能な容器を用意することを含む。回動可能な容器は、本体部分、ふた部分、連続テープ、試薬感知装置及び第一の貯蔵装置を含む。本体部分は内面及び外面を含む。ふた部分は本体部分に取り付けられている。連続テープは診断試薬を含む。試薬感知装置は、本体部分又はふた部分のいずれかに取り付けられ、診断試薬を読むように適合されている。第一の貯蔵装置は、本体部分に取り付けられ、連続テープの未使用部分を保持し、小出しするように適合されている。ふた部分を閉位置から開位置まで回動させる。ふた部分が回動する間、連続テープを第一の貯蔵装置から送り出して試薬感知装置の上に延ばす。
【0009】
本発明の他の利点は、以下の詳細な説明を読み、図面を参照することによって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一つの実施態様の回動可能な容器を閉位置で示す図である。
【図2】図1の回動可能な容器を開位置で示す図である。
【図3】本発明のもう一つの実施態様の回動可能な容器を閉位置で示す図である。
【図4】図3の回動可能な容器を開位置で示す図である。
【0011】
本発明は、種々の変形及び代替形態をとることができるが、その具体的な実施態様を図面で一例として示し、本明細書で詳細に説明する。しかし、本発明を開示される特定の形態に限定する意図はなく、それどころか、特許請求の範囲によって定められる発明の本質及び範囲に入るすべての変形、均等及び代替を包含する意図であることが理解されるべきである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、テープ形態の診断試薬を読み、取り扱うための容器及び同容器の使用方法に関する。診断試薬は、1種以上の分析対象物、たとえばグルコース、乳酸、フルクトサミン、コレステロール、ビリルビン、アルコール及び/又は薬物を試験するように独立して選択することができる。本発明の容器を使用して他の分析対象物を試験してもよいと考えられる。試験される体液としては、血液、間質液、唾液又は尿が挙げられる。本発明の容器を使用して他の流体を試験してもよいと考えられる。一般的に試験される一つの分析対象物は、全血試料中のグルコースである。
【0013】
本発明の容器は、本体部分と、ふた部分と、連続テープと、試薬感知装置と、連続テープの未使用部分を保持し、小出しするように適合されている第一の貯蔵装置とを含む。回動可能な容器は、試薬を劣化させる環境水分に対する保護を提供し、試薬感知装置を清浄に維持し、それを通常の使用の摩滅から保護する。ふた部分は、閉位置から開位置まで回動して、その回動が連続テープを送り出すように適合されている。
【0014】
図1及び2を参照すると、回動可能な容器10が閉位置(図1)及び開位置(図2)で示されている。回動可能な容器10は、テープ形態の診断試薬を読み、取り扱うように適合されている。回動可能な容器10は、本体部分12、ふた部分14、連続テープ16及び試薬感知装置18を含む。ふた部分14は、図1及び図2に示すように、閉位置から開位置まで回動するように適合されている。回動可能な容器は、ヒンジ30を介して開位置から閉位置まで回動させることができる。ヒンジは、金属製であってもよいし、一体ヒンジであってもよい。一体ヒンジは通常、可撓性であるポリマー材料、たとえばポリプロピレン又はポリエチレンでできている。回転可能な容器は、他の方法を使用して開位置から閉位置まで動かしてもよいと考えられる。
【0015】
連続テープ
連続テープ16は、診断試薬を含み、図1及び2の第一の貯蔵装置20上に貯蔵される。第一の貯蔵装置20は、図1及び2に示すように略円形であるスプール又はリールであってもよい。あるいはまた、第一の貯蔵装置は、連続テープ16を保持し、小出しするように適合されている多角形、たとえば長方形又は非多角形であってもよい。Z状に折り畳まれた連続テープを保持し、小出しするように適合されている第一の貯蔵装置を有することが望ましいであろう。第一の貯蔵装置20は、本体部分12に取り付けられた状態で示され、連続テープ16の未使用部分を保持し、小出しするように適合されている。図2に示すように、連続テープ16は、未使用部分16a及び使用済みもしくは消費済み部分16bを含む。ふた部分14が本体部分12から回動する間、連続テープ16は第一の貯蔵装置20から送り出される。連続テープ16は、試薬感知装置18の上に延ばされるか掛け渡される。連続テープ16の送り出しが未使用の試薬を試薬感知装置18に対して正しい位置に配置する。したがって、本体部分12からのふた部分14の開放は、(a)試薬感知装置18を露出させること、(b)連続テープ16を新品又は未使用の試薬区域まで送り出すこと、及び(c)試薬を含む連続テープ16を試薬感知装置18の上に伸ばすことを達成する。ふた部分14が閉位置に配置されると、連続テープ16は、たとえば図1に示すように、試薬感知装置18から離れる。
【0016】
連続テープ16は、流体試料の濃度を測定するのに役立つ1種以上の試薬を含むことができる。診断試薬は、連続テープの中又は上に配置することができる。たとえば、一つの実施態様では、診断試薬は、連続テープに被着された膜の上に配置される。診断試薬は、湿度に敏感であってもよい。たとえば全血試料中のグルコースを測定する場合には、試薬は、酵素、たとえばグルコースオキシダーゼであることができる。試薬の一例は、Bayer社製のグルコメータENCORE(登録商標)で見いだすことができる。使用することができる他のグルコース指示薬は、グルコースデヒドロゲナーゼ、NAD、ジアホラーゼ、テトラゾリン指示薬(WST−4)及びポリマーである。他の非限定的な試薬の例を連続テープに使用してもよい。連続テープ16は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート又はポリスチレンをはじめとするポリマー材料で製造することができる。テープ上の試薬の一例は、Bayer社製のCLINITEK ATLAS(登録商標)自動化尿化学分析装置で使用される試薬である。
【0017】
一つの実施態様によると、試薬は、連続テープの一部であり、したがって、工程を通じて連続テープに付着したままである。もう一つの実施態様によると、試薬は、連続テープに積層されて、連続テープから剥離するように適合される。このような実施態様では、連続テープを支持体と呼ぶこともできる。
【0018】
一つの実施態様によると、回動可能な容器10は、第二の貯蔵装置22をさらに含む。第二の貯蔵装置22は、たとえば、使用済み又は消費済み連続テープを受けるように適合されたスプール又は他のタイプの貯蔵装置であってもよい。図1及び2に示すように、第二の貯蔵装置22はふた部分14に取り付けられている。第二の貯蔵装置22は、連続テープ16の使用済み又は消費済み部分の簡便で安全な廃棄を提供するため、望ましいかもしれない。このような実施態様では、使用済み試薬が連続テープ16上にとどまることが望ましい。たとえば、ふた部分14が閉位置に配置されると、連続テープの使用済み部分(すなわち、使用済み又は消費済み試薬を有する部分)が第二の貯蔵装置22の中又は上に配置される。
【0019】
試薬感知装置
本発明の試薬感知装置は、診断試薬を読むように適合されている。試薬感知装置はまた、情報(たとえばグルコース濃度)を被験者に伝達する。
【0020】
図1及び2を参照すると、試薬感知装置18は本体部分12に取り付けられている。試薬感知装置18は、本体部分12の内面に取り付けた状態で示されているが、本体部分の外面に取り付けてもよいと考えられる。たとえば、試薬感知装置は、本体部分の外面の上縁(すなわち、ふたが閉位置にあるときふたにもっとも近づく本体部分の縁)又はその近くに取り付けることができる。試薬感知装置を本体部分12内に位置づけることがしばしば望ましい。理由は、試薬感知装置を清浄に維持し、通常の使用中のさらなる摩滅を防止又は抑止するのに役立つからである。ふた部分14が閉位置にあると、試薬感知装置18はそのような条件から保護される。
【0021】
本発明の一つの実施態様によると、試薬感知装置は、当該技術で公知であるような試験センサ、たとえば電気化学的バイオセンサ又は光学バイオセンサを含む。電気化学的バイオセンサは、試験流体中の分析対象物と反応して、電気化学的バイオセンサ内に配置された電極で酸化電流を発生させるように設計されている、連続テープからの試薬を使用する。この電流は試験流体中の分析対象物の濃度に正比例する。
【0022】
グルコース濃度を計測するために使用することができる電気化学的バイオセンサの例は、Bayer社のグルコメータDEX(登録商標)及びELITE(登録商標)システムで使用されているものである。これらの電気化学的センサの試薬感知装置は、本発明の容器の本体部分及びふた部分に組み込むことができる。本発明の容器と関連して使用することができる電気化学的バイオセンサは、それぞれ全体を本明細書に取り込む米国特許第5,120,420号、第5,660,791号、第5,759,364号及び第5,798,031号に記載されている。電気化学的センサのもう一つの例は、全体を引用例として取り込む、2001年11月22日に公開された米国特許出願第2001/0042683号に記載されている。1種以上の電気化学的センサは、松下電器産業から購入することができる。使用することができる電気化学的センサのさらなる例が、全体を引用例として取り込む米国特許第5,429,735号に開示されている。他の電気化学的バイオセンサを本発明に使用してもよいと考えられる。
【0023】
光学バイオセンサは、連続テープからの試薬を使用し、試験流体中の分析対象物の濃度を示す比色反応を生じさせるように設計されている。そして、この比色反応を、試験機器に組み込まれた分光光度計によって読み取る。関連して使用することができる光学バイオセンサは、全体を引用例として本明細書に取り込む米国特許第5,194,393号に記載されている。光学検出装置のもう一つの例が、全体を引用例として本明細書に取り込む米国特許第6,096,269号に記載されている。
【0024】
試験流体、たとえば血液を抜き取るためのランセットをバイオセンサに組み込む又は連動させてもよいと考えられる。一つの実施態様では、ランセットは本体部分の内部に位置づけられる。ランセットを他の場所に位置づけてもよいと考えられる。あるいはまた、物理的に別個の穿刺装置を使用してもよい。
【0025】
本発明の容器は、試薬感知装置中の光学バイオセンサの性能を較正し、検査する標準を含むことができる。標準は、回動可能な容器10に使用される場合、ふたの内側に、試薬感知装置18の正面に正しく位置し、環境から保護されるように取り付けることができる。たとえば、図2では、較正標準24は、ふた部分に取り付けた状態で示されている。較正標準物質の一例は、Edmund Industrial Optics(米ニュージャージー州Barrington)から市販されており、「白反射率標準」と呼ばれている。
【0026】
さらなる要素又は装置を本体部分12内に位置づけてもよいと考えられる。たとえば、低い湿度を維持するのに役立つよう、本体部分12内に乾燥剤を加えてもよい。少なくとも、試薬を含む連続テープを保護するためには、低湿度環境が望ましい。使用することができる適当な乾燥剤の非限定的な例は、モレキュラーシーブ及びシリカゲルである。使用することができる乾燥剤の1種は、Multisorb Technologies社(米ニューヨーク州Buffalo)から粉末、ペレット及びビーズ形態で市販されている13X合成モレキュラーシーブである。使用することができるもう一つの乾燥剤は、Multisorb Technologies社(米ニューヨーク州Buffalo)又はTexas Technologies社(米テキサス州Leander)から市販されているタイプ4A合成モレキュラーシーブである。当該技術で公知の他の乾燥剤を本発明に使用してもよいと考えられる。
【0027】
水蒸気侵入を防止又は抑止するのに役立つよう、少なくとも一つのシールを本体部分12又はふた部分14のいずれかに取り付けて、ふた部分が閉位置にあるときシールが本体部分12とふた部分14との間に位置するようにしてもよい。シールは、たとえば接着剤又は熱融着によって取り付けてもよいし、本体部分又はふた部分の一部であってもよい。ふた部分14が閉位置にあるときシールを変形させてもよい。シール形状寸法は、拡散路の長さを延ばすことによって水蒸気透過を最小限にするように最適化することができる。シールがその間に連続テープを滑り込ませてしまうことを避けることが望ましい。理由は、そのような場所で漏れが起こる危険があるからである。シールは、ポリマー材料をはじめとする多様な材料から製造することができるが、これに限定されることはない。シールを形成するための材料のいくつかの望ましい属性は、高い遮断性(たとえば、水蒸気透過率が低いもの)、開閉しやすさのための潤滑性及び嵌め合い面どうしを適合させるための弾性である。ポリマー材料の一つの非限定的な例は、ポリオレフィン、たとえばポリプロピレンである。シールは、他の材料、たとえばエラストマー材料から製造することもできる。シールを形成するためのいくつかの材料としては、気泡質ゴム、スチレンエラストマー、ポリオレフィンエラストマー、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマー及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0028】
もう一つの実施態様にしたがって、回動可能な容器110が閉位置(図3)及び開位置(図4)で示されている。回動可能な容器110は、テープ形態の診断試薬を読み、取り扱うように適合されている。回動可能な容器110は、本体部分112、ふた部分114、連続テープ116及び試薬感知装置118を含む。連続テープ116は、連続テープ16に関して上記したものと同じであってもよい。同様に、試薬感知装置118は、回動可能な容器上のその場所を除き、試薬感知装置18に関して上記したものと同じであってもよい。この実施態様では、試薬感知装置118は、ふた部分114と本体部分112との間に移動可能に取り付けられている。閉位置では、試薬感知装置118はふた部分の内面に隣接して、ほこりや汚れのような条件から保護されて清浄な状態を維持する。試薬感知装置を他の場所に取り付けてもよいと考えられる。
【0029】
回動可能な容器110は、第一の貯蔵装置120及び第二の貯蔵装置122をさらに含む。ふた部分114は、図3に示す閉位置から図4に示す開位置まで回動するように適合されている。回動可能な容器は、ヒンジ130又は一体ヒンジを介して開位置から閉位置まで回動させてもよい。ヒンジ130は、一つの実施態様によると、ヒンジ支持ブラケット132を介して本体部分112に取り付けられる。回動可能な容器は、他の方法を使用して開位置から閉位置まで動かしてもよいと考えられる。
【0030】
さらに図3及び図4を参照すると、試薬感知装置118は、本体部分112に対して外側に位置し、ふた部分114に取り付けられている。回動可能な容器110の一つの利点は、試薬感知装置118のこの位置づけが、ランセット(使用される場合)を試薬感知装置118と統合するためのさらなる空間を可能にするということである。試薬感知装置118は、ラック・ピニオンドライブ128のような機構又はたとえばヒンジによって動かされるカム機構によって前方(すなわち、図3及び4では上方)に動かすことができる。試薬感知装置118の第一の位置(図3を参照)は、本体部分112の上縁112aとほぼ同じ高さである。試薬感知装置118の第二の位置(図4を参照)は、本体部分112の上縁よりも高さH1だけ上である。高さH1は異なることができるが、一般には約0.2〜約0.4インチ(約0.5〜約1.0cm)である。被験者が試験流体を連続テープ16上に配置することを支援するため、試薬感知装置を上縁112aよりも少なくとも約0.2インチ(約0.5cm)上に延ばすことが望ましい。さらに、そのような高さはまた、連続テープが試薬感知装置に対して平坦になるように連続テープを試薬感知装置に対して配置することを支援することができる。
【0031】
先に論じたように、回動可能な容器110は、試薬感知装置の光学バイオセンサ(使用するならば)の性能を較正し、検査するための標準をさらに含むことができる。回動可能な容器110はまた、乾燥剤及びシールを含むことができる。
【0032】
回動可能な容器のベース部分及びふた部分は、非常に低い水蒸気透過率の材料で製造することができる。このような材料のいくつかの例は、ポリエチレン、ポリプロピレンをはじめとするポリマー材料又はアルミニウムのような金属であるが、これに限定されることはない。さらには、ベース部分、ふた部分及びシールの個々の性質が望ましく最適化され、同じ材料で製造されていなくてもよいことが考えられる。ベース部分及びふた部分は、閉位置で、湿度感知性診断試薬を貯蔵するように適合された密封容器を形成することが望ましい。
【0033】
本発明の方法
分析対象物濃度(たとえばグルコース濃度)を測定する方法は、被験者、特に糖尿病患者である被験者によって実施されることができる。また、方法は、病院又は医院の担当者によって実施されてもよいと考えられる。
【0034】
一つの方法によると、被験者がふた部分を本体部分に対して開位置まで回動させる。本体部分からふた部分を回動させる間、(a)試薬感知装置が露出し、(b)連続テープが新品又は未使用の試薬区域まで送り出され、(c)連続テープが新品又は未使用の試薬とともに試薬感知装置の上に配置される。試薬を含み、試薬感知装置の上に位置する連続テープ未使用部分と接触する位置に、流体試料(たとえば全血試料)を配置する。全血試料は、穿刺装置、たとえばBayerのMICROLET(登録商標)調節自在穿刺装置によって生成することができる。穿刺装置は、たとえば人の指を穿刺することによって血液を得ることができる。少量、たとえば1μl未満の血液しか使用しないことが望ましい。試薬感知装置が流体試料中の分析対象物の濃度(たとえばグルコース濃度)を測定し、この情報を被験者に戻す。この情報は、短い時間枠、たとえば約5〜約15秒で被験者に戻すことが望ましい。
【0035】
連続テープの未使用部分の試薬及び試薬感知装置を保護するために、試験が完了すると、容器のふた部分を被験者が閉じる。ふた部分を閉じる間、(a)連続テープは試薬感知装置から離れ、(b)試薬感知装置は保護される。さらには、ふた部分を閉じる間、本体部分がシールされて、水蒸気が透過して本体部分に入ることが防止又は抑止されることが望ましい。また、第二の貯蔵装置が回動可能な容器に含まれるならば、ふた部分の閉鎖が連続テープの使用済み部分を第二の貯蔵装置の上又は中に送る又は巻き取ることもできると考えられる。
【0036】
もう一つの方法では、本体部分から開位置へのふた部分の回動が、試薬感知装置を本体部分の上縁よりも上の場所へと動かすことができる。このような動きは、被験者が試薬感知装置の上で試験流体を連続テープの未使用部分に上に配置することを支援する。
【0037】
本発明の具体的な実施態様及び応用を例示し、説明したが、本発明は、本明細書に開示されたとおりの構造及び構成に限定されず、特許請求の範囲で定義められる発明の本質及び範囲を逸することなく、種々の変形、変更及び改変が前記記載から自明であるということが理解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープ形態の診断試薬を読み、取り扱うための、回動可能なふたを備えた容器であって、
内面及び外面を含む本体部分と、
前記本体部分に取り付けられ、閉位置から開位置まで回動するように適合されているふた部分と、
診断試薬を含む連続テープと、
前記本体部分又は前記ふた部分のいずれかに取り付けられ、前記診断試薬を読むように適合されている試薬感知装置と、
前記本体部分に取り付けられ、前記連続テープの未使用部分を保持し、小出しするように適合されている貯蔵装置と、
を含み、前記ふた部分が回動する間、前記連続テープが、前記貯蔵装置から送り出され、前記試薬感知装置の上に延ばされる容器。
【請求項2】
前記試薬感知装置が前記本体部分の前記内面に取り付けられている、請求項1記載の容器。
【請求項3】
前記試薬感知装置が前記本体部分の前記外面に取り付けられている、請求項1記載の容器。
【請求項4】
前記試薬感知装置が前記ふた部分に取り付けられている、請求項1記載の容器。
【請求項5】
前記本体部分及び前記ふた部分を互いに対して回動させるためのヒンジをさらに含む、請求項1記載の容器。
【請求項6】
前記連続テープの送り出しの間に前記診断試薬が前記連続テープとともに残る、請求項1記載の容器。
【請求項7】
前記診断試薬が、前記連続テープの送り出しの間、前記連続テープの残り部分から剥離するように適合されている、請求項1記載の容器。
【請求項8】
ランセットをさらに含む、請求項1記載の容器。
【請求項9】
較正標準をさらに含む、請求項1記載の容器。
【請求項10】
前記較正標準が前記ふた部分に取り付けられている、請求項9記載の容器。
【請求項11】
前記試薬感知装置が電気化学的センサを含む、請求項1記載の容器。
【請求項12】
前記試薬感知装置が光学センサを含む、請求項1記載の容器。
【請求項13】
前記試薬感知装置を動かすための手段をさらに含む、請求項1記載の容器。
【請求項14】
前記試薬感知装置を動かすための手段がラック・ピニオンドライブである、請求項13記載の容器。
【請求項15】
前記試薬感知装置を動かすための手段がカム機構である、請求項13記載の容器。
【請求項16】
前記貯蔵装置がスプールである、請求項1記載の容器。
【請求項17】
前記本体部分及び前記ふた部分が、閉位置で、湿度感知性診断試薬を貯蔵するように適合された密封容器を形成する、請求項1記載の容器。
【請求項18】
前記ふた部分が閉位置にあるとき前記本体部分と前記ふた部分との間に位置する少なくとも一つのシールをさらに含む、請求項1記載の容器。
【請求項19】
乾燥剤をさらに含む、請求項1記載の容器。
【請求項20】
前記連続テープがZ状に折り畳まれている、請求項1記載の容器。
【請求項21】
テープ形態の診断試薬を読み、取り扱うための、回動可能なふたを備えた容器であって、
内面及び外面を含む本体部分と、
前記本体部分に取り付けられ、閉位置から開位置まで回動するように適合されているふた部分と、
診断試薬を含む連続テープと、
前記本体部分又は前記ふた部分のいずれかに取り付けられ、前記診断試薬を読むように適合されている試薬感知装置と、
前記本体部分に取り付けられ、前記連続テープの未使用部分を保持し、小出しするように適合されている第一の貯蔵装置と、
前記ふた部分に取り付けられ、前記連続テープの使用済み部分を受けるように適合されている第二の貯蔵装置と、
を含み、前記ふた部分が回動する間、前記連続テープが、前記第一の貯蔵装置から送り出され、前記試薬感知装置の上に延ばされ、前記第二の貯蔵装置によって受けられる容器。
【請求項22】
前記第一及び第二の貯蔵装置がスプールである、請求項21記載の容器。
【請求項23】
前記試薬感知装置が前記本体部分の前記内面に取り付けられている、請求項21記載の容器。
【請求項24】
前記試薬感知装置が前記本体部分の前記外面に取り付けられている、請求項21記載の容器。
【請求項25】
前記連続テープの送り出しの間に前記診断試薬が前記連続テープとともに残る、請求項21記載の容器。
【請求項26】
較正標準をさらに含む、請求項21記載の容器。
【請求項27】
前記試薬感知装置が電気化学的センサを含む、請求項21記載の容器。
【請求項28】
前記試薬感知装置が光学センサを含む、請求項21記載の容器。
【請求項29】
前記試薬感知装置を動かすための手段をさらに含む、請求項21記載の容器。
【請求項30】
前記ふた部分が閉位置にあるとき前記本体部分と前記ふた部分との間に位置する少なくとも一つのシールをさらに含む、請求項21記載の容器。
【請求項31】
乾燥剤をさらに含む、請求項21記載の容器。
【請求項32】
グルコース濃度を測定するように適合されたテープ形態の診断試薬を読み、取り扱うための、回動可能なふたを備えた容器であって、
内面及び外面を含む本体部分と、
前記本体部分に取り付けられ、閉位置から開位置まで回動するように適合されているふた部分と、
グルコース濃度を測定するための診断試薬を含む連続テープと、
前記本体部分又は前記ふた部分のいずれかに取り付けられ、前記診断試薬を読むように適合されている試薬感知装置と、
前記本体部分に取り付けられ、前記連続テープの未使用部分を保持し、小出しするように適合されている第一の貯蔵装置と、
を含み、前記ふた部分が回動する間、前記連続テープが前記第一の貯蔵装置から送り出され、前記試薬感知装置の上に延ばされる容器。
【請求項33】
第二の貯蔵装置をさらに含む、請求項32記載の容器。
【請求項34】
前記ふた部分が閉位置にあるとき前記本体部分と前記ふた部分との間に位置する少なくとも一つのシールをさらに含む、請求項32記載の容器。
【請求項35】
乾燥剤をさらに含む、請求項32記載の容器。
【請求項36】
回動可能なふたを備えた容器を使用してテープ形態の診断試薬を読み、取り扱う方法であって、
本体部分、ふた部分、連続テープ、試薬感知装置及び第一の貯蔵装置を含み、前記本体部分が内面及び外面を含み、前記ふた部分が前記本体部分に取り付けられており、前記連続テープが診断試薬を含み、前記試薬感知装置が、前記本体部分又は前記ふた部分のいずれかに取り付けられ、前記診断試薬を読むように適合されており、前記第一の貯蔵装置が、前記本体部分に取り付けられ、前記連続テープの未使用部分を保持し、小出しするように適合されている、回動可能な容器を用意することと、
前記ふた部分を閉位置から開位置まで回動させることと、
前記ふた部分が回動する間、前記連続テープを前記第一の貯蔵装置から送り出して前記試薬感知装置の上に延ばすことと、
を含む方法。
【請求項37】
前記容器が、前記ふた部分に取り付けられている第二の貯蔵装置をさらに含み、前記連続テープの送り出しの間、前記第二の貯蔵装置が前記連続テープの使用済み部分を受ける、請求項36記載の方法。
【請求項38】
前記ふたを前記開位置から前記閉位置まで回動させ、前記ふたの前記閉位置への回動の間、前記試薬感知装置から前記連続テープを動かすことをさらに含む、請求項36記載の方法。
【請求項39】
前記試薬感知装置上の前記連続テープの前記未使用部分に体液を配置し、前記試薬感知装置から前記体液の分析対象物の濃度を測定することをさらに含む、請求項36記載の方法。
【請求項40】
前記分析対象物がグルコースであり、前記体液が全血試料である、請求項39記載の方法。
【請求項41】
前記試薬感知装置上の前記連続テープの前記未使用部分に全血試料を配置し、前記試薬感知装置から前記全血試料のグルコースの濃度を測定することをさらに含む、請求項36記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−32524(P2010−32524A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−195767(P2009−195767)
【出願日】平成21年8月26日(2009.8.26)
【分割の表示】特願2004−179171(P2004−179171)の分割
【原出願日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(503085274)バイエル・ヘルスケア・エルエルシー (7)
【氏名又は名称原語表記】Bayer Healthcare,LLC
【Fターム(参考)】