説明

診療支援装置、診療支援方法

【課題】 診断対象画像ごとに医師が必要とする種類の診療支援情報を判定し、この判断結果に応じて適切な種類の診療支援情報を優先して提示する為の技術を提供すること。
【解決手段】 医用画像において異常陰影が写っている領域として指定された指定領域中の画像特徴、及び/又は該指定領域に対する医師の所見、を定量化した特性値を取得する。特性値を用いて指定領域に対する診断名を推論すると共に、該推論の信頼度を求める。特性値が既定の条件を満たすか否かを判断する。満たさない場合、予め保持している、次に行うべき診療行為を示す情報を読み出して出力する。満たし且つ信頼度が閾値以上であれば、推論した診断名を示す情報を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、診療支援技術に関し、特に、医用画像を用いた診療を支援する情報を提供する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータを用いたデータ処理技術の一つとして、既知の事象から抽出した知識に基づいて、未知の事象を推論する推論技術が知られている。近年、医療分野でも、推論装置を用いて病変部の診断支援を行う研究が行われている。例えば、ある医用画像上の異常陰影が良性であるか悪性であるかを、その医用画像の特性値(画像特徴や画像所見など)を入力として推論する技術が研究されている。
【0003】
未知の事象を推論する推論装置の多くは、教師付き学習によって推論に用いる知識を得ている。従って、教師付き学習に用いた知識(すなわち学習データ)の良し悪しが、その知識を用いた推論装置の推論精度に大きく影響する。
【0004】
特許文献1では、複数の推論部に対して、それぞれ推論に用いる知識の信頼度を設定し、推論対象データに対して信頼度の高い知識を有する推論部を選択することで、信頼性の高い推論結果が得られるとしている。
【0005】
特許文献2では、医用画像の属性情報(上述の特性値)に基づいて、適応可能な異常検出アルゴリズムを選択することにより、精度の高い診断支援情報を、医師の読影に影響を与えない簡単な操作で得ることができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−160782号公報
【特許文献2】特許第3083606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した先行技術はいずれも、所定の支援情報(診断推論結果または異常検出結果)を得るのに適切な方法(診断推論方法または異常検出方法)を選択する技術に関するものであった。しかし、医用画像診断においては、診断対象画像に十分な情報が含まれていない(例えば、異常陰影のサイズが小さすぎたり、画像が不明瞭だったりする)ために、どの様な推論方法を用いても信頼できる診断推論結果が得られない場合がある。この様な場合は、医師に信頼性の低い推論結果を提示してしまうという課題があった。また逆に、診断対象画像に明らかに治療が必要とわかる異常陰影(例えば、直径数cm以上の大きな腫瘤影)が写っている場合は、画像診断の推論結果はほとんど参照されずに、直ちに生検による組織診断(確定診断)を行うか、または治療を開始することになる。この様な場合は、推論装置による診断推論結果を提示しても、医師が次に行うべき診療行為を判断する上で有用な支援情報とはならないという課題があった。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、診断対象画像ごとに医師が必要とする種類の診療支援情報を判定し、この判断結果に応じて適切な種類の診療支援情報を優先して提示する為の技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の目的を達成するために、例えば、本発明の診療支援装置は、診断対象が写っている医用画像を取得する手段と、前記医用画像において異常陰影が写っている領域として指定された指定領域中の画像特徴、及び/又は該指定領域に対する医師の所見、を定量化した特性値を取得する取得手段と、前記特性値を用いて前記指定領域に対する診断名を推論すると共に、該推論の信頼度を求める推論手段と、前記特性値が既定の条件を満たすか否かを判断する判断手段と、前記判断手段が満たさないと判断した場合、予め保持している、次に行うべき診療行為を示す情報を読み出して出力する手段と、前記判断手段が満たすと判断し且つ前記信頼度が閾値以上であれば、前記推論手段が推論した診断名を示す情報を出力する手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の構成によれば、診断対象画像ごとに医師が必要とする種類の診療支援情報を判定し、この判断結果に応じて適切な種類の診療支援情報を優先して提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】診療支援システムの機能構成例を示すブロック図。
【図2】診療支援装置1に適用可能なコンピュータのハードウェア構成例を示すブロック図。
【図3】診療支援装置1が行う診療支援処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照し、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、以下説明する実施形態は、本発明を具体的に実施した場合の一例を示すもので、特許請求の範囲に記載した構成の具体的な実施例の一つである。
【0013】
[第1の実施形態]
先ず、本実施形態に係る診療支援システムの機能構成例について、図1のブロック図を用いて説明する。図1に示す如く、本実施形態に係る診療支援システムは、データベース2と診療支援装置1とを有し、それぞれはLAN(Local Area Network)3を介して接続されている。もちろん、それぞれの装置間の接続方法はLAN3に限るものではないし、有線、無線の何れであってもよい。
【0014】
データベース2には、診断対象が写っている医用画像(診断対象画像)が、該医用画像に関する様々な情報と共に格納されている。また、データベース2には、後述するように様々な情報が格納されている。診療支援装置1は、このデータベース2に格納されている任意の情報を、LAN3を介して取得することができる。
【0015】
次に、診療支援装置1について説明する。特性値取得部101は、医用画像において異常陰影が写っている領域として指定された指定領域中の画像特徴、及び/又は医用画像に対する医師の所見、を定量化した特性値を取得する。より具体的には特性値取得部101は、医用画像に対して適当な画像処理を施したりユーザがキーボードやマウス等を用いて指定した領域を検知することで、医用画像中における上記指定領域を特定し、特定した指定領域内の画像特徴を特性値として算出する。また、特性値取得部101は、ユーザ(医師など)がキーボードやマウスなどを用いてGUI(グラフィカルユーザインターフェース)を操作することで入力する、上記指定領域に対する様々な所見(画像所見)も、特性値として取得する。然るに、特性値には、指定領域内の画像特徴、及び/又は指定領域に対する所見、が含まれていることになる。
【0016】
推論部102は、特性値取得部101が取得した特性値に基づいて、指定領域内の異常陰影に関する推論処理を実行し、該異常陰影がそれぞれの診断名である確率(推論結果)を算出することで、指定領域に対する診断名を推論する。
【0017】
信頼度計算部103は、特性値取得部101が取得した特性値に基づいて、推論部102による推論結果に対する信頼度を求める。
【0018】
判定部104は、特性値取得部101が取得した特性値と、信頼度計算部103が求めた信頼度と、を用いて、推論部102が推論した診断名、後述する診療支援情報取得部105が取得する情報、の何れを出力対象とするのかを決定する。診療支援情報取得部105が取得する情報には後述する如く様々なものがあるため、判定部104は更に、診療支援情報取得部105が取得可能な様々な情報のうち何れを出力対象とするのかも決定する。
【0019】
提示部106は、判定部104が決定した方の情報を出力する。出力先はCRTや液晶画面などの表示装置であることが好ましいが、音声として出力するようにしてもよいし、ネットワークを介して外部の装置に対して出力してもよい。
【0020】
次に、診療支援装置1が行う診療支援処理について、同処理のフローチャートを示す図3を用いて説明する。ステップS301では、診療支援装置1は、ユーザがキーボードやマウスなどを用いて指定した医用画像をLAN3を介してデータベース2から取得する。
【0021】
ステップS302では、診療支援装置1は、ステップS301で取得した医用画像において異常陰影が写っている領域を指定領域(異常陰影領域)として特定(指定)する。例えば、ステップS301で取得した医用画像を診療支援装置1が有する表示装置の表示画面上に表示する。これを見たユーザは、異常陰影が写っていると判断される領域をキーボードやマウスなどを用いて指定するので、診療支援装置1は更に、公知の領域抽出技術(グラフカット法や、レベルセット法など)を用いて、この指定された領域から異常陰影領域を取得する。なお、この異常陰影領域は、公知の異常陰影検出技術を用いて医用画像から直接求めてもよい。
【0022】
このように、異常陰影領域を特定するための方法には如何なる方法を採用してもよい。いずれにせよ、ステップS302では、医用画像中における異常陰影領域を指定領域として指定する。
【0023】
次にステップS303では、特性値取得部101は、ステップS302で指定された異常陰影領域に対して公知の画像処理技術を適用することで、異常陰影領域中の画像特徴を、異常陰影領域における特性値として検出する。画像特徴の例としては、異常陰影領域の形状特徴(最大径(直径)、境界線の円形度、扁平率、不整度など)や、濃度特徴(濃度の平均値と分散、石灰化や空気などに対応する特定の濃度範囲内の濃度値の有無または存在する割合など)が挙げられる。なお、これらの画像特徴のうちの一部若しくは全部を、ユーザがキーボードやマウスなどを用いて入力し、特性値取得部101がこの入力された画像特徴を特性値として取得するようにしてもよい。
【0024】
ステップS304では、特性値取得部101は、ユーザがキーボードやマウスなどを用いてGUIを操作することで入力する、異常陰影領域に対する様々な所見(画像所見)を、異常陰影領域における特性値として取得する。画像所見の例としては、全体形状、棘状突起、血管や気管支の巻込・引込、胸膜嵌入像、気管支透瞭像などの有無や程度に関するものが知られている。
【0025】
上述の画像特徴と画像所見は、いずれも診断対象画像の特性値である。ただし、画像特徴は画像処理技術を用いて客観的に計測または計算できる特性値を意味しており、画像所見はユーザ(医師)の判断によって入力される特性値を意味している。以下の処理では、上述の画像特徴と画像所見をまとめて特性値と呼ぶ。また、以下の処理では、診断対象画像の特性値を利用するが、特性値には、必ずしも画像特徴と画像所見の両方が含まれている必要はない。従って、ステップS303における異常陰影領域中の画像特徴の計算、ステップS304における画像所見の取得、の一方を省略してもよい。
【0026】
ステップS305では、推論部102は、公知の推論技術(ベイズネット、ニューラルネット、SVM、決定木など)を用いて、特性値取得部101が取得した特性値から、異常陰影領域に対する診断名を推論する。また、ステップS305では、信頼度計算部103は、公知の推論結果の信頼度の計算技術を用いて、特性値取得部101が取得した特性値から、推論部102による推論結果に対する信頼度を求める。推論結果に対する信頼度の計算技術の例としては、次に説明する近傍データを用いた計算方法がある。すなわち、異常陰影領域の特性値の近傍(所定の距離内)にある特性値を持つ学習データ数が多いほど、高い信頼度を算出する計算方法である。ここで、学習データとは、ステップS305で用いる推論部102を予め機械学習する際に用いた、特性値と画像診断名の両方が既知の医用画像データを意味する。
【0027】
ステップS306では、判定部104は、特性値取得部101が取得したいくつかの特性値のうち、予め定められた属性(複数の属性でもよい)の特性値を第1の特性値とし、この第1の測定値が既定の条件を満たすか否かを判断する。この判断の結果、既定の条件を満たす場合には、処理はステップS307に進み、既定の条件を満たさない場合には、処理はステップS309に進む。例えば、「予め定められた属性」が「異常陰影の最大経(直径)」であり、「既定の条件」が「3cm以下」であるとする。このとき、ステップS306では、異常陰影領域から画像処理により検出された「異常陰影の最大経(直径)」の特性値(直径)が「3cm以下」であるか否かを判断する。そして、「異常陰影の最大経(直径)」の特性値(直径)が「3cm以下」であれば、処理はステップS307に進み、「異常陰影の最大経(直径)」の特性値(直径)が「3cm以下」ではない場合は処理はステップS309に進む。この判断は、異常陰影の最大経(直径)が3cmを超える腫瘤影については、画像診断名に関わらず明らかに治療が必要だとした場合のものである。もちろん、本ステップにおける判断内容やその基準については様々なものが考えられる。
【0028】
ステップS309では、診療支援情報取得部105は、データベース2に予め格納されている「次に行うべき診療行為に関する情報」を読み出して、提示部106に出力する(第1の出力)。「次に行うべき診療行為に関する情報」の例としては、特性値取得部101が取得したいくつかの特性値の属性のうち、予め定められた属性(複数の属性でもよい)に対応づけてデータベース2に予め保存されている診療ガイドラインがある。この診療ガイドラインとは、標準的な診療手順を記した文書またはチャート図である。別の例としては、複数の医師(例えば、同じ病院の医師)が過去に行った診療行為を記録し、集計した統計情報が挙げられる。この統計情報についても、特性値取得部101が取得したいくつかの特性値の属性のうち、予め定められた属性(複数の属性でもよい)に対応づけてデータベース2に予め保存されている。
【0029】
上記の例によれば、第1の測定値が既定の条件を満たさない場合(最大経が3cmを超える腫瘤影であり、必ず治療が必要な場合)、ステップS309では、医師が次に行うべき診療行為(主な追加検査や治療方法)に関する情報を医師に提示することができる。これにより医師は迅速に、かつ確信を持って次の診療行為を決定することができる。
【0030】
一方、ステップS307では、判定部104は、ステップS305で計算した信頼度が閾値以上であるか否かを判断する。この判断の結果、信頼度が閾値以上であれば、処理はステップS310に進み、閾値未満であれば、処理はステップS308に進む。
【0031】
ステップS310では、提示部106は、ステップS305において推論部102が推論した診断名を示す情報を出力する(第2の出力)。即ち、推論結果の信頼度が高く、かつ画像診断名を推論する必要性が高い場合にのみ、画像診断名の推論結果を医師に提示するため、医師の画像診断の質を高めることができる。
【0032】
一方、ステップS308では、特性値取得部101が取得したいくつかの特性値のうち、予め定められた属性(複数の属性でもよい)の特性値を第2の特性値(規定の属性の特性値)とし、第2の特性値が既定の条件を満たすか否かを判断する(第2の判断)。この判断の結果、既定の条件を満たす場合には、処理はステップS311に進み、既定の条件を満たさない場合には、処理はステップS312に進む。例えば、「予め定められた属性」が「異常陰影の最大経(直径)」であり、「既定の条件」が「5mm以上」であるとする。このとき、ステップS308では、異常陰影領域から画像処理により検出された「異常陰影の最大経(直径)」の特性値(直径)が「5mm以上」であるか否かを判断する。そして、「異常陰影の最大経(直径)」の特性値(直径)が「5mm以上」であれば、処理はステップS311に進み、「異常陰影の最大経(直径)」の特性値(直径)が「5mm以上」ではない場合は処理はステップS312に進む。この判断は、異常陰影の最大経が5mm未満の場合は異常陰影が小さ過ぎるため、画像診断が困難であるとわかっている場合のものである。もちろん、本ステップにおける判断内容やその基準については様々なものが考えられる。
【0033】
ステップS311では、診療支援情報取得部105は、特性値取得部101が取得したいくつかの特性値と類似する特性値と関連づけて予めデータベース2に保存されている「症例を示す情報」(例えば(複数の)類似画像(類似症例))を読み出す。そして診療支援情報取得部105は、この読み出した情報を提示部106に出力する。また、該類似症例に対して施された治療や予後の記録がデータベース2に保存されている場合は、これらの記録情報も読み出して提示部106に出力する。このとき、多数の類似症例が存在している場合には、それらの類似症例に対して施された治療の傾向を分析して提示してもよい。例えば、類似症例のうちの何割の症例でどのような治療が行われたかといった情報を提示してもよい。
【0034】
これにより、第2の特性値が既定の条件を満たしているにもかかわらず、診断推論結果の信頼度が低い場合は、類似画像やそれに付与された情報を医師に対して提示するので、医師は類似画像を手掛かりにして画像診断を行うことができる。なお、上記の例では、最大経が5mm以上であり、画像診断可能な場合である。すなわち、信頼度の低い診断推論結果を表示して医師に悪影響を与えることや、または逆に、診療支援情報を全く表示できないといったことがなくなる。
【0035】
一方、ステップS312では、診療支援情報取得部105は、今後どの様な手順(検査時期や検査方法)で経過観察を行うべきかを記した経過観察のガイドラインを示す情報をデータベース2から読み出して提示部106に出力する。この情報は例えば、特性値取得部101が取得したいくつかの特性値と類似する特性値と関連づけて予めデータベース2に保存されている情報であってもよい。
【0036】
これにより、第2の特性値が既定の条件を満たさない場合は、経過観察のガイドラインに関する情報を医師に提示するため、医師は迅速に、かつ確信を持って経過観察の指示を出すことができる。なお、上記の例では、最大経が5mm未満であり、画像診断困難な場合である。
【0037】
なお、提示部106がCRTや液晶画面に対して情報を表示するような動作を行う場合、上記の説明で「提示部106に出力」された情報は、その他の情報よりも相対的に強調された状態で表示する。然るに、上記の説明で提示部106に出力された情報が、その他の情報よりも相対的に強調されて表示されるのであれば、その強調方法は特定の方法に限るものではない。また、最初は強調すべき情報のみを表示するが、ユーザからの要求が入力された場合は他の支援情報も表示するといった形態であってもよい。
【0038】
このように、ステップS307では、第1の特性値が既定の条件を満たすか否かに応じてその後の処理を切り替え、推論結果の信頼度が低い場合は、画像診断名の推論結果を強調して提示することがなくなるため、医師に悪影響を与える心配が軽減できる。
【0039】
以上の説明により、本実施形態によれば、診断対象画像に対する診断推論結果の信頼度と特性値に基づいて、医師が診断推論結果と他の診療支援情報のどちらをより必要としているかを判定し、より必要と判定された診療支援情報を優先して提示できる。これにより、診断対象画像ごとに適切な診療支援情報を提示できる。
【0040】
[第2の実施形態]
図1に示した診療支援装置1を構成する各部のうち、1以上は独立した装置としてもよい。また、図1に示した診療支援装置1を構成する各部はソフトウェア(コンピュータプログラム)として実装してもよい。この場合、診療支援装置1には、このようなコンピュータプログラムを実行することが可能なコンピュータを適用することができる。
【0041】
診療支援装置1に適用可能なコンピュータのハードウェア構成例について、図2のブロック図を用いて説明する。もちろん、このハードウェア構成例は一例であり、図1に示した各部の機能を実現するコンピュータプログラムを実行可能なコンピュータであれば、如何なる構成を採用してもよい。
【0042】
CPU200は、主メモリ201に格納されているコンピュータプログラムやデータを用いて診療支援装置1全体の動作制御を行うと共に、診療支援装置1が行うものとして説明した各処理を実行する。
【0043】
主メモリ201は、磁気ディスク202からロードされたコンピュータプログラムやデータを一時的に記憶するためのエリア、CPU200が各種の処理を実行する為に使用するワークエリア、等のエリアを有する。即ち、主メモリ201は、各種のエリアを適宜提供することができる。
【0044】
磁気ディスク202には、OS(オペレーティングシステム)、データベース2が保持しているものとして説明した各種の情報、上記のGUIに係るコンピュータプログラムやデータ、等が保存されている。また更に、磁気ディスク202には、図1に示した診療支援装置1を構成する各部の機能を実現するためのコンピュータプログラムも保存されている。磁気ディスク202に保存されているコンピュータプログラムやデータは、CPU200による制御に従って適宜主メモリ201にロードされ、CPU200による処理対象となる。特に、CPU200は、図1に示した診療支援装置1を構成する各部の機能を実現するためのコンピュータプログラムを実行することで、図3のフローチャートに従った処理を実行することになる。
【0045】
表示メモリ203は、モニタ204に表示するための情報を一時的に記憶するものである。モニタ204は、CRTや液晶画面などにより構成されており、表示メモリ203に格納されている情報を、画像や文字などでもって表示することができる。上記の提示部106により提示される情報は、このモニタ204に表示されてもよい。
【0046】
マウス205、キーボード206は何れも、ユーザが操作するユーザインターフェースであり、このユーザインターフェースを操作することで、各種の指示をCPU200に対して入力することができる。上記の各部は、共通バス207に接続されており、互いに通信が可能な構成となっている。
【0047】
(その他の実施例)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
診断対象が写っている医用画像を取得する手段と、
前記医用画像において異常陰影が写っている領域として指定された指定領域中の画像特徴、及び/又は該指定領域に対する医師の所見、を定量化した特性値を取得する取得手段と、
前記特性値を用いて前記指定領域に対する診断名を推論すると共に、該推論の信頼度を求める推論手段と、
前記特性値が既定の条件を満たすか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段が満たさないと判断した場合、予め保持している、次に行うべき診療行為を示す情報を読み出して出力する手段と、
前記判断手段が満たすと判断し且つ前記信頼度が閾値以上であれば、前記推論手段が推論した診断名を示す情報を出力する手段と
を備えることを特徴とする診療支援装置。
【請求項2】
更に、
前記判断手段が満たすと判断し且つ前記信頼度が前記閾値未満の場合、前記取得手段が取得した特性値のうち、規定の属性の特性値が既定の条件を満たすか否かを判断する第2の判断手段と、
前記第2の判断手段が満たすと判断した場合、前記取得手段が取得した特性値と類似する特性値と関連づけて予め保持している、症例を示す情報を読み出して出力する手段と、
前記第2の判断手段が満たさないと判断した場合、予め保持している、経過観察のガイドラインを示す情報を読み出して出力する手段と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の診療支援装置。
【請求項3】
前記次に行うべき診療行為を示す情報は、前記取得手段が取得した特性値のうち、規定の属性の特性値に予め対応づけられた情報であることを特徴とする請求項1又は2に記載の診療支援装置。
【請求項4】
前記次に行うべき診療行為を示す情報は、医師の標準的な診療手順を記した診療ガイドラインを示す情報であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の診療支援装置。
【請求項5】
前記次に行うべき診療行為を示す情報は、複数の医師が過去に実施した診療行為を集計した統計情報であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の診療支援装置。
【請求項6】
診療支援装置が行う診療支援方法であって、
前記診療支援装置の医用画像の取得手段が、診断対象が写っている医用画像を取得する工程と、
前記診療支援装置の特性値の取得手段が、前記医用画像において異常陰影が写っている領域として指定された指定領域中の画像特徴、及び/又は該指定領域に対する医師の所見、を定量化した特性値を取得する取得工程と、
前記診療支援装置の推論手段が、前記特性値を用いて前記指定領域に対する診断名を推論すると共に、該推論の信頼度を求める推論工程と、
前記診療支援装置の判断手段が、前記特性値が既定の条件を満たすか否かを判断する判断工程と、
前記診療支援装置の第1の出力手段が、前記判断工程で満たさないと判断した場合、予め保持している、次に行うべき診療行為を示す情報を読み出して出力する工程と、
前記診療支援装置の第2の出力手段が、前記判断工程で満たすと判断し且つ前記信頼度が閾値以上であれば、前記推論工程で推論した診断名を示す情報を出力する工程と
を備えることを特徴とする診療支援方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−249964(P2012−249964A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−126703(P2011−126703)
【出願日】平成23年6月6日(2011.6.6)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】