説明

評価指標提供装置、方法及びプログラム

【課題】投資対象に係る評価指標データであって生成時から所定期間内にユーザへ提供するデータについて、そのサンプル提供にあたり、受領側による投資への無断利用と提供側によるデータ改竄との両方を防止する技術を提供する。
【解決手段】データロック手段10が、送信対象の評価指標データをロックし、評価指標送信手段12が、ロックされた評価指標データを生成時から所定期間内に送信先情報に従ってユーザ端末Tへ送信し、ロック解除データ送信手段14が、評価指標データの送信後であって所定の時点にロック解除データをユーザ端末Tへ送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投資対象の評価指標データをユーザに提供するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
インターネットの普及に伴い、スマートフォンに代表されるモバイル情報端末などの情報端末(単に「端末」とも呼ぶ)で任意の場所から株売買等の投資を行う機会が急増している。また、投資判断のため、ニュースやIR情報等の他、各種の評価指標を、投資顧問業などの事業者が工夫し、有償公開している。
【0003】
一方で、インターネットのウェブサイトにおける掲載情報にも特定の業界や企業に関するものがあり、ブログや電子掲示板などの投稿にも、株価変動に影響する最新情報などが含まれることがある。このため、投稿掲載サイトの膨大な投稿から対象銘柄の評価指標を算出し投資家に評価指標データとして提供する提案もある(例えば、特許文献1)。これら各種の評価指標については、提供事業者から利用者へ、有償利用に先立って検証用にサンプル提供したい場合が増えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−20745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、検証用サンプルとしてであっても、有償利用時と同様に、市場取引時間中に最新の評価指標データをリアルタイムに提供するのでは、実際の売買に無断利用される可能性があった。一方、市場終了後など数時間遅れで過去の評価指標を提供するのでは、提供事業者によって評価指標が、算出時から提供時までの間に判明した実際の値動きに合わせてあたかも投資対象の値動きと関連性が高いかのような内容に改竄される虞が有り、利用者側にとって検証用としての価値が低くなってしまうという課題があった。
【0006】
上記の課題に対し、本発明の目的は、評価指標データのサンプル提供にあたり、受領側による無断利用と提供側によるデータ改竄との両方を防止する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的をふまえ、本発明の一態様(1)は、投資対象に係る評価指標データを生成後所定の期間内にユーザ端末へ送信する評価指標提供装置であって、前記評価指標データの送信先情報を記憶する送信先情報記憶手段と、前記送信対象の評価指標データをロックするデータロック手段と、前記ロックされた評価指標データを前記送信先情報に従って前記ユーザ端末へ送信する評価指標送信手段と、前記送信された評価指標データのロックを解除するためのロック解除データを格納するロック解除データ格納手段と、前記評価指標データの送信後であって所定の時点に前記ロック解除データを前記ユーザ端末へ送信するロック解除データ送信手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
このように、最新の評価指標データを暗号化などでロックしてユーザ側に送信することで、まず、評価指標データを終始受領者側に置くのでデータ提供側による評価指標の改竄の可能性を排除できる。また、評価指標データの送信後、所定期間経過したタイミングでロック解除データを送信することで、受領側による評価指標の無断利用を不可能にしつつ、受領側に対し所定期間前に算出された過去の評価指標を検証用サンプルとして利用させることを可能にする。したがって、本発明によれば、評価指標データの検証用サンプル提供にあたり、受領側による投資売買への無断利用と提供側によるデータ改竄との両方を防止することができる
【0009】
本発明の一様態(2)は、上記評価指標提供装置において、前記送信先情報記憶手段は、申込案件毎に送信先情報を記憶し、前記データロック手段は、前記申込案件毎に異なるロック解除データに対応したロックを前記評価指標データに施し、前記ロック解除データ格納手段は、前記申込案件毎に対応したロック解除データを格納し、前記ロック解除データ送信手段は、前記申込案件毎に登録された送信先へ当該申込案件に対応するロック解除データを送信することを特徴とする。
【0010】
このように、ユーザからの指標サンプルの提供依頼の申込毎に別のロック解除データを生成し使用することにより、配布したロック解除データの第三者へ流出や次回提供する評価指標への流用を不可能にするので、評価指標データの受領側による無断利用を有効に防止することができる。
【0011】
本発明の一様態(3)は、上記評価指標提供装置において、評価指標データが、所定期間毎に順次生成されるデータであり、前記送信先情報記憶手段は、前記申込案件毎に複数の送信日時を記憶しており、前記データロック手段は、前記申込案件毎にその各送信日時に順次生成される各評価指標データに対し同一のロック解除データに対応したロックを施し、前記ロック解除データ送信手段は、前記申込案件毎にその最後の送信日時の評価指標データが送信された後の所定の時点に、当該申込案件に対応する1つのロック解除データを送信することを特徴とする。
【0012】
このように、申込案件毎に指定期間の各評価指標データを同一の解除データに応じてロックして送信し、指定期間の最後の評価指標データを送信した後にその1つの共通解除データを送信することで、評価指標データユーザ側のロック解除データの管理負担を軽減することができる。
【0013】
本発明の一様態(4)は、上記評価指標提供装置において、前記評価指標データを送信する時点から当該評価指標データに対応するロック解除データを送信する時点までの期間の大小に応じた額の料金を送信先側に課金するための課金処理を実行する課金手段を備えたことを特徴とする。
【0014】
このように、評価指標データ送信時からロック解除データ送信時までの期間の長さに応じた料金を課金することで、古いデータほど安価にするなどサンプルに対し適正価格を設定できるとともに、評価指標データをリアルタイムに有償利用している正規ユーザとサンプルユーザとの間での公平性を確保することができる。
【0015】
なお、上記の各態様は、明記しない他のカテゴリ(方法、プログラム、システムなど)の技術とすることができ、方法やプログラムのカテゴリについては、装置のカテゴリで示した「手段」を、「処理」や「ステップ」のように適宜読み替えるものとする。また、処理やステップの実行順序は本出願に直接明記するものに限定されず、処理順序を変更したり、一部の処理をまとめてもしくは随時一部分ずつ実行したりするなど、変更可能である。さらに、方法やプログラムのカテゴリにおいて、個々の処理やステップを実行するサーバや端末などのコンピュータは共通でもよいし、処理ごとにもしくはタイミングごとに異なってもよい。加えて、本発明は、後述するさらに具体的な各態様を含むものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、評価指標データのサンプル提供にあたり、受領側による投資への無断利用と提供側によるデータ改竄との両方を防止する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態について構成を示す機能ブロック図。
【図2】本発明の実施形態におけるデータ例を示す図。
【図3】本発明の実施形態における処理手順を示すフローチャート。
【図4】本発明の実施形態について概要を説明したイメージ図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明を実施するための形態について図面に沿って説明する。なお、背景技術や課題などで既に述べた内容と共通の前提事項は適宜省略する。
【0019】
〔1.構成〕
本実施形態は、投資対象に係る評価指標データを生成時から所定の期間内にユーザ端末Tへ(以下「端末T」とする)送信する評価指標提供装置1(以下「本装置1」とする)に関するものである。「投資対象」とは、ユーザが投資活動を行う対象であり、例えば、株銘柄、金融商品、投資ポートフォリオ、公営競技における投票対象などのほか、商圏予想に係る業種などである。また、「評価指標データ」とは、投資対象の値動きを事前に予想するために用いられる指標データである。そのため、本装置1は、このような評価指標データを生成時から評価対象の値が確定する前までの期間内に事前に端末Tへ送信するように構成されている。
【0020】
そして、本装置1は、図1の構成図に示すように、CPUなどからなる演算制御部6と、主メモリや補助記憶装置等の記憶装置7と、通信ネットワークN(例えば、携帯電話網,PHS網又は公衆無線LAN網などの移動通信網や、インターネットなど)を介して端末Tなどと通信する通信装置8(例えば、通信回路、通信ゲートウェイ装置、無線LANアダプタなど)と、を備えている。
【0021】
端末Tは、パーソナルコンピュータやスマートフォンなどの他、他のサーバシステムなど、任意の種類の情報処理装置であり、模式的な図1に拘らず、実際はユーザ数に応じ複数存在してよい。
【0022】
本装置1は、記憶装置7に記憶(インストール)した所定のコンピュータ・プログラムに従って演算制御部6が情報処理および通信装置8の制御を行うことにより、図1に示す各手段(10,11ほか)を実現する。これら各手段のうちの各記憶手段(11,13,15,18)は、記憶装置7に記憶されたファイルなど任意のデータ形式で実現するが、ネットワークコンピューティング(クラウド)によるリモート記憶でもよい。また、この各記憶手段は、データの格納領域だけでなく、データの入出力や管理などの機能を含む構成であってもよい。また、本出願に示す記憶手段の単位は説明上の便宜によるもので、適宜、構成を分けたり一体化したりできるほか、明示する記憶手段以外にも、各手段の処理データや処理結果などを記憶する記憶手段を適宜用いるものとする。
【0023】
そして、送信先情報記憶手段11は、評価指標データの送信先情報(例えば図2(1))を記憶する手段である。解除データ格納手段13は、送信した評価指標データのロックを解除するためのロック解除データ(例えば図2(2))を格納する手段である。評価指標記憶手段15は、投資対象に係る評価指標データを記憶する手段である。価格リスト記憶手段18は、評価指標データ送信先のユーザに課金するための価格のリスト(例えば図2(3))を記憶した手段である。
【0024】
なお、図中(例えば図1)の矢印は、データや制御などの流れについて主要な方向を補助的に示すもので、他の流れを否定するものでも、方向の限定を意味するものでもない。例えばデータをある方向に取得する場合、事前のデータリクエストや事後のアクノリッジ(ACK)が逆方向に送信される。また、記憶手段以外の各手段は、以下に説明するような情報処理の機能・作用を実現・実行する処理手段であるが、これらは説明のために整理した機能単位であり、実際のハードウェア要素やソフトウェアモジュールとの一致は問わない。
【0025】
〔2.動作及び作用〕
上記のように構成された本装置1の動作を図3のフローチャートに基づいて説明する。
【0026】
〔2−1.評価指標データのサンプル提供〕
本装置1では、まず、データロック手段10が、送信対象の評価指標データを評価指標記憶手段15から取得して(図3のステップS10)、ロックし(ステップS20)、評価指標送信手段12が、そのロックされた評価指標データを送信先情報記憶手段11に記憶された送信先情報に従って端末Tへ送信する(ステップS30)。そして、解除データ送信手段14が、評価指標データの送信後であって所定の時点になると(ステップS40の「YES」)、ロック解除データ格納手段13に格納されたロック解除データを端末Tへ送信する(ステップS50)。
【0027】
本実施形態において、評価指標記憶手段15は、評価指標算出装置2によって生成された評価指標データを記憶する。評価指標算出装置2は、ニュースサイト、電子掲示板,ブログ,簡易投稿サイト又はソーシャルネットワークサービスなどのメディアサイトを運用するコンテンツサーバ3の投稿記憶手段30に記憶された不特定多数の投稿(テキストデータ)の中から、評価対象に係るワードを含む投稿を取得し、取得した投稿をテキストマイニンングして評価対象の評価指標データを生成する。
【0028】
評価指標データとしては、例えば、対象の評判を示すスコアである「評判スコア」、対象の評価元の信用度を加味した「センチメント」、対象への対処法を通知する「シグナル」などがある。「評判スコア」は、テキストマイニングによって、各投稿をポジティブコメント又はネガティブコメントのどちらであるか判定して算出される、ポジティブコメント総数,ネガティブコメント総数又はポジティブコメント率である。「センチメント」は、評判スコアをその投稿の信用度で重み付けした値である。「シグナル」は、センチメントを閾値判定した結果を表し“買い”又は“売り”などを示すデータである。
【0029】
また、上述した「評価指標データをロックする」とは、評価指標データに対し、読み書きを制限する処理を施すことである。具体的に、ロックとは、暗号化やパスワード制限もしくは暗号化してさらにパスワード制限などのことであり、暗号化の場合、ロック解除データが復号鍵となり、パスワード制限の場合はロック解除データがパスワードとなる。ここで、このロック手法とロック解除手法は、送信時点でロックしたデータが評価指標提供者側によって改ざんされていないことを、受領側のユーザが確認可能にするために、一般に公開された技術等の第三者検証可能な技術によるものであればよい。
【0030】
送信先情報記憶手段11は、図2(1)に例示するように、送信先情報として、送信先メールアドレスと、ロックした評価指標データを送信するタイミングを示す指標送信日時と、ロック解除データを送信するタイミングを示す解除データ送信日時とを含む送信先情報を記憶する。データロック手段10は、指標送信日時に生成された評価指標データをロックして、評価指標送信手段12へ送る。解除データ送信手段14は、解除データ送信日時にロック解除データを送信する。
【0031】
ロック解除データについて、十分な数量を予め用意して解除データ格納手段13に格納しておき、取り出して使うようにすれば、ロック解除データをその都度生成する処理負荷が軽減できる。一方、ロック解除データを、データロック手段10が、ロックの都度、生成するようにすれば、事前にまとめて生成しておく準備の負担や、生成済みのものを格納しておく記憶容量の負担を回避することができる。
【0032】
解除データ送信手段14がロック解除データを送信するタイミングとなる解除データ送信日時は、指標送信日時の後であってその評価対象の値が確定した後の日時に設定しておく。例えば、評価対象が株式銘柄であれば、生成された評価指標データを送信後、その日の終値確定後にロック解除データを送信するように設定する。
【0033】
このように、最新の評価指標データを暗号化などでロックしてユーザ側に送信することで、まず、評価指標データを終始受領者側に置くのでデータ提供側による評価指標の改竄の可能性を排除できる。また、評価指標データの送信後、所定期間経過したタイミングでロック解除データを送信することで、受領側による評価指標の無断利用を不可能にしつつ、受領側に対し所定期間前に算出された過去の評価指標を検証用サンプルとして利用させることを可能にする。
【0034】
したがって、本実施形態によれば、評価指標データの検証用サンプル提供にあたり、受領側による投資売買への無断利用と提供側によるデータ改竄との両方を防止することができる。また、通常の電子メール等、信頼性が必ずしも高くない通信システムであっても、本実施形態を採用することで一定の信頼性を確保することができる。
【0035】
〔2−2.ロック解除データの使い分け〕
上記のようなロック解除データを申込案件ごとに異ならせれば、ロック解除データの不当流用などが防止できる。この場合、具体的には、送信先情報記憶手段11が申込案件毎に送信先情報を記憶しており、データロック手段10が、申込案件毎に異なるロック解除データに対応したロックを評価指標データに施し(図3のステップS20)、解除データ格納手段13が申込案件毎に対応したロック解除データを格納しており、解除データ送信手段14が、申込案件毎に登録された送信先へ当該申込案件に対応するロック解除データを送信する(図3のステップS50)。
【0036】
「申込案件」とは、ユーザから申込を受けた案件のことであり、本実施形態の評価指標提供装置1では、申込受付手段16が、端末Tからサンプル申込情報を受け付け、受け付けたサンプル申込情報に申込番号を付して送信先情報記憶手段11に記憶させる(例えば図2(1))。サンプル申込情報には、指定投資対象ID,送信先情報(送信先メールアドレス),サンプル希望日が含まれており、送信先情報記憶手段11は、サンプル申込情報におけるサンプル希望日を上述の指標送信日時として記憶する。送信先情報記憶手段11に記憶されている各申込案件の「解除データ送信日時」については、サンプル申込情報に含ませる構成であってもよいし、サンプル申込情報におけるサンプル希望日から予め定められた条件に基づいて計算する構成であってもよい。
【0037】
また、申込案件毎の送信先情報については、端末Tから通信ネットワークNを介して受け付けるのではなく、図示していない入力装置から管理者の操作に従って入力し送信先情報記憶手段に記憶するように構成してもよい。
【0038】
解除データ格納手段13は、各申込番号に対応付けて個別のロック解除データを格納している。このロック解除データは、例えば図2(2)に示すように、データロック手段10が、ロックの都度、生成し申込番号を付して解除データ格納手段13に格納させるようにすればよい。
【0039】
解除データ送信手段14は、評価指標送信手段12から評価指標データを送信した旨の通知を該当する申込番号と共に受けて、その申込番号に対応する解除データ送信日時になると、同じ申込番号に対応付けられたロック解除データを送信する。
【0040】
このように、ユーザからの評価指標サンプル提供の申込毎に個別のロック解除データを生成することにより、配布したロック解除データの第三者への流出や次回提供する評価指標への流用を不可能にするので、評価指標データの受領側による無断利用を有効に防止することができる。
【0041】
〔2−3.同一のロック解除データの利用〕
また、評価指標データが、株式銘柄に対する評価指標など、所定期間毎に順次新しいデータが生成される性質のものである場合、ユーザが指定した期間分の評価指標データを同一のロック解除データに対応したロックを施して順次提供し、最後の評価指標データ提供後の所定の時点にそのロック解除データを提供するように構成してもよい。
【0042】
具体的には、上記評価指標データが、所定期間毎に順次生成されるデータであり、送信先情報記憶手段11は、申込案件毎に複数の送信日時を記憶しており、データロック手段10は、申込案件毎にその各送信日時に順次生成される各評価指標データに対し同一のロック解除データに対応したロックを施して評価指標送信手段12へ送り(図3のステップS20)、解除データ送信手段14は、申込案件毎にその最後の送信日時の評価指標データが送信された後の所定の時点になると(ステップS40の「YES」)、当該申込案件に対応する1つのロック解除データを送信する(ステップS50)。
【0043】
「所定期間毎に順次生成される評価指標データ」とは、株式銘柄など常に値動きがあるものを評価対象とし、毎日もしくは数分毎など決められた期間毎に生成される評価指標を示すデータである。また、「申込案件毎に複数の送信日時を記憶」するとは、申込案件毎にユーザが希望する評価指標サンプルの日時を複数記憶することであり、例えば、ユーザから「○月○日○時に生成される分までの一週間分の評価指標データをサンプルとしてほしい」という申込を受けた場合、○月○日○時の前一週間内におけるすべての評価指標データ生成日時を当該申込に対する送信日時として記憶する。
【0044】
本実施形態では、申込受付手段16が端末Tから受け付けるサンプル申込情報のサンプル希望日が、例えば、「○月○日○時から1週間分」など、サンプルを希望する期間を示す場合、送信先情報記憶手段11には、上述した指標送信日時に「○月○日○時」から1週間内の複数の評価指標データ生成日時が当該申込案件に対する指標送信日時として記録される。
【0045】
このように、1つの申込に対し指定期間内に順次生成される複数の評価指標データをサンプルとして提供する場合、図4(1)に例示するように、申込案件毎に同一のロック解除データに対応するロックを、順次生成される各評価指標データ(5回分の各データ)に施して送信し、最後に送信した評価指標データの次の評価指標データ生成時の後に共通で使用できる1つのロック解除データを送信する。このため、個々の評価指標データに対して個別にロック解除データを用意する場合に比べて、ロック解除データの不足を回避することができるとともに、ユーザ側のロック解除データの管理負担を軽減することができる。
【0046】
また、この構成を利用したモデルケースとして、図4(2)に例示するように、正規の評価指標データを提供するサービスの開始前に、評価指標送信手段12が、一定期間、ロックされた評価指標データをサンプルとして順次送信し、解除データ送信手段が、最初に正規の評価指標データが提供される際にロック解除データを添付するようにしてもよい。これにより、正規サービスの顧客に対して、最初の評価指標データと一緒に直近の一定期間分の過去のサンプルデータを付加サービスとして提供することができるので、新規顧客の増加を図ることができる。
【0047】
〔2−4.課金処理〕
上述したように、本装置1によれば、評価指標データの検証用サンプル提供にあたり、提供側によるデータ改竄を防止することができるので、これにより、サンプルを有価物として扱うことが可能になる。そのため、評価指標データのサンプル提供の際に課金することで、提供元による開発が促進され、評価指標の精度向上を図ることができる。
【0048】
具体的には、課金手段17が、ロックした評価指標データを送信する時点から当該評価指標データに対応するロック解除データを送信する時点までの期間の大小に応じた額の料金を送信先側に課金するための課金処理を実行する(図3のステップS60)。
【0049】
課金手段17は、送信先情報記憶手段11に記憶された指標送信日時と解除データ送信日時とに基づいて、申込案件毎の「ロックした評価指標データを送信する時点から当該評価指標データに対応するロック解除データを送信する時点までの期間」を計算し、この計算した期間に対応する額を価格リスト記憶手段18に記憶された価格リストを基に特定し、特定した額の料金を送信先側に課金する処理を実行する。
【0050】
価格リスト記憶手段18は、図2(3)に例示するように、送信日時から解除データ送信日時までの期間について一日毎に課金価格が設定された価格リストを記憶している。図2(3)に例示した価格リストは、送信日時から解除データ送信日時までの期間が1日未満の場合に課金価格¥300で、4日以上5日未満の場合に課金価格¥50と設定されている。この価格設定は、例えば、評価対象が株銘柄の場合、古い評価指標よりも新しい評価指標の方が現在の投資判断に有用であり、過去の評価指標であってもそれが近々のものであれば、指定銘柄の値動き予想の材料になり得るなど、投資対象の評価指標は新しいほど価値が高いということを基に定められている。
【0051】
また、図4(1)及び(2)に示す例においては、課金手段17は、ロックして送信する各評価指標データそれぞれについて、当該評価指標データの送信時からロック解除データの送信時までの期間に対応する単価に基づいて、全評価指標データ(5回分)に対する単価の合計価格を送信先に課金する処理を行う。これにより、複数回分のサンプルデータの提供依頼を一の申込で受け付ける場合であっても、その申込案件毎に適切な価格で課金を行うことができる。
【0052】
このように、評価指標データのサンプル提供に対し課金を行い、送信日時から解除データ送信日時までの期間の大小に応じて課金価格を設定すれば、サンプルに対して適正価格を設定することができ、正規の評価指標データをリアルタイムに有償利用しているユーザとサンプルを受け取るユーザとの間での公平性を保つことができる。
【0053】
〔3.他の実施形態〕
なお、上記実施形態は例示に過ぎず、以下に例示するものやそれ以外の他の実施態様も含むものである。例えば、本出願における構成図、データの図、フローチャートなどは例示に過ぎず、各要素の有無、その配置や処理実行などの順序、具体的内容などは適宜変更可能である。
【0054】
また、図1に示した本装置1と評価指標算出装置2を一体に構成してもよく、本装置1を構成する個々の手段を、さらにそれぞれ独立した装置で実現する構成であってもよい。さらに、本装置1の評価指標記憶手段15は、外部から入力された評価指標データを記憶する構成であれば、上述した評価指標算出装置2からの評価指標データを記憶する構成に限らず、操作者からキーボード等を介して手入力された評価指標データを記憶する構成であってもよい。
【0055】
また、外部のプラットフォーム等をAPI(アプリケーション・プログラム・インタフェース)やネットワークコンピューティング(いわゆるクラウドなど)で呼び出すことで、上記実施形態で示した各手段を実現するなど、本発明の構成は柔軟に変更できる。さらに、本実施形態における各手段などの各要素は、コンピュータの演算制御部に限らず物理的な電子回路など他の情報処理機構で実現してもよい。
【符号の説明】
【0056】
1 評価指標提供装置
2 評価指標算出装置
3 コンテンツサーバ
6 演算制御部
7 記憶装置
8 通信装置
10 データロック手段
11 送信先情報記憶手段
12 評価指標送信手段
13 解除データ格納手段
14 解除データ送信手段
15 評価指標記憶手段
16 申込受付手段
17 課金手段
18 価格リスト記憶手段
30 投稿記憶手段
N 通信ネットワーク
T 端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投資対象に係る評価指標データを生成時から所定期間内にユーザ端末へ送信する評価指標提供装置であって、
前記評価指標データの送信先情報を記憶する送信先情報記憶手段と、
送信対象の評価指標データをロックするデータロック手段と、
前記ロックされた評価指標データを前記送信先情報に従って前記ユーザ端末へ送信する評価指標送信手段と、
前記送信された評価指標データのロックを解除するためのロック解除データを格納するロック解除データ格納手段と、
前記評価指標データの送信後であって所定の時点に前記ロック解除データを前記ユーザ端末へ送信するロック解除データ送信手段と、
を備えたことを特徴とする評価指標提供装置。
【請求項2】
前記送信先情報記憶手段は、申込案件毎に送信先情報を記憶し、
前記データロック手段は、前記申込案件毎に異なるロック解除データに対応したロックを前記評価指標データに施し、
前記ロック解除データ格納手段は、前記申込案件毎に対応したロック解除データを格納し、
前記ロック解除データ送信手段は、前記申込案件毎に登録された送信先へ当該申込案件に対応するロック解除データを送信することを特徴とする請求項1に記載の評価指標提供装置。
【請求項3】
前記評価指標データが、所定期間毎に順次生成されるデータであり、
前記送信先情報記憶手段は、前記申込案件毎に複数の送信日時を記憶しており、
前記データロック手段は、前記申込案件毎にその各送信日時に順次生成される各評価指標データに対し同一のロック解除データに対応したロックを施し、
前記ロック解除データ送信手段は、前記申込案件毎にその最後の送信日時の評価指標データが送信された後の所定の時点に、当該申込案件に対応する1つのロック解除データを送信することを特徴とする請求項2に記載の評価指標提供装置。
【請求項4】
前記評価指標データを送信する時点から当該評価指標データに対応するロック解除データを送信する時点までの期間の大小に応じた額の料金を送信先側に課金するための課金処理を実行する課金手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の評価指標提供装置。
【請求項5】
投資対象に係る評価指標データを生成後所定の期間内にユーザ端末へ評価指標提供装置が送信する評価指標提供方法であって、
送信対象の評価指標データをロックするステップと、
前記ロックされた評価指標データを予め定められた送信先情報に従って前記ユーザ端末へ送信するステップと、
前記評価指標データの送信後であって所定の時点に、当該評価指標データのロックを解除するためのロック解除データを前記ユーザ端末へ送信するステップと、
を前記評価指標提供装置が実行することを特徴とする評価指標提供方法。
【請求項6】
コンピュータに対し、投資対象に係る評価指標データを生成後所定の期間内に他のコンピュータ端末へ送信させるための評価指標提供プログラムであって、
送信対象の評価指標データをロックするステップと、
前記ロックされた評価指標データを予め定められた送信先情報に従って前記他のコンピュータ端末へ送信するステップと、
前記評価指標データの送信後であって所定の時点に、当該評価指標データのロックを解除するためのロック解除データを前記他のコンピュータ端末へ送信するステップと、
を前記コンピュータに実行させるための評価指標提供プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−25724(P2013−25724A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−162672(P2011−162672)
【出願日】平成23年7月26日(2011.7.26)
【出願人】(500257300)ヤフー株式会社 (1,128)