説明

評価装置、評価方法、プログラム、および記録媒体

【課題】運転者に対して、運転技術の向上につながる模範運転を具体的に提示すること。
【解決手段】算出部102は、自車両の運転に対する評価を算出する。受信部104は、自車両の周辺に存在する比較対象車両の運転に対する評価を、比較対象車両から受信する。判断部105は、比較対象車両の運転に対する評価と、自車両の運転に対する評価とを比較することにより、比較対象車両の運転と、自車両の運転とで、いずれの方が評価が高いかを判断する。通知部106は、比較対象車両の運転の方が評価が高い、と判断部105が判断した場合、比較対象車両の運転が優れている旨を、自車両の運転者に通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両の運転を評価する評価装置、評価方法、プログラム、および記録媒体に関する。ただし、この発明の利用は、上述した評価装置、評価方法、プログラム、および記録媒体には限られない。
【背景技術】
【0002】
走行履歴情報を用いて運転者の運転傾向(例えば、癖や運転技量)を推定し、その推定結果に応じて、車両の燃費向上に資する運転アドバイスの態様を変更することで、運転者の運転傾向に合った運転アドバイスを運転者に提供する技術が考案されている(たとえば、下記特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−64254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、運転者に対して、運転技術の向上につながる模範運転を具体的に提示することができない。さらに、従来技術のように、過去の運転傾向に基づいて運転者に運転アドバイスを提供する場合、その時点の交通状況を考慮していないため、実際の走行には適さないアドバイスを提供する場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1の発明にかかる評価装置は、車両の運転を評価する評価装置であって、自車両の運転に対する評価を算出する算出部と、前記自車両の周辺に存在する比較対象車両の運転に対する評価を、前記比較対象車両から受信する受信部と、前記比較対象車両の運転に対する評価と、前記自車両の運転に対する評価とを比較することにより、前記比較対象車両の運転と、前記自車両の運転とで、いずれの方が評価が高いかを判断する判断部と、前記比較対象車両の運転の方が評価が高い、と前記判断部が判断した場合、前記比較対象車両の運転が優れている旨を、前記自車両の運転者に通知する通知部と、を備えることを特徴とする。
【0006】
また、請求項6の発明にかかる評価方法は、車両の運転を評価する評価方法であって、
前記自車両の運転に対する評価を算出する算出工程と、前記自車両の周辺に存在する比較対象車両の運転に対する評価を、前記比較対象車両から受信する受信工程と、前記比較対象車両の運転に対する評価と、前記自車両の運転に対する評価とを比較することにより、前記比較対象車両の運転と、前記自車両の運転とで、いずれの方が評価が高いかを判断する判断工程と、前記比較対象車両の運転の方が評価が高い、と前記判断工程で判断された場合、前記比較対象車両の運転が優れている旨を、前記自車両の運転者に通知する通知工程と、を含んだことを特徴とする。
【0007】
また、請求項7の発明にかかるプログラムは、請求項6に記載の評価方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0008】
また、請求項8の発明にかかる記録媒体は、請求項7に記載のプログラムをコンピュータで読み取り可能に記録したことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】評価装置100の機能的構成を示すブロック図である。
【図2】評価装置100による評価処理の手順を示すフローチャートである。
【図3】ナビゲーション装置300のハードウエア構成を示すブロック図である。
【図4】ナビゲーション装置300による評価処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】ナビゲーション装置300による評価の算出処理の一例を示す説明図である。
【図6】ナビゲーション装置300による通知例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる評価装置、評価方法、プログラム、および記録媒体の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0011】
(実施の形態)
(評価装置100の機能的構成)
まず、本実施の形態にかかる評価装置100の機能的構成について説明する。図1は、評価装置100の機能的構成を示すブロック図である。図1において、評価装置100は、車両の運転を評価する評価装置であって、算出部102、受信部104、判断部105、通知部106、選択部108、送信部110、および決定部112を備えて構成されている。
【0012】
算出部102は、自車両の運転に対する評価を算出する。自車両とは、評価装置100が搭載された車両を示す。決定部112は、自車両の周辺に存在する車両の中から、比較対象車両を決定する。比較対象車両とは、自車両の周辺に存在する車両のうち、運転の評価の比較対象となる車両である。たとえば、決定部112は、自車両の周辺に存在する車両のうち、自車両の前方に存在する車両を比較対象車両として決定する。これ以外にも、決定部112は、自車両の斜め前方、側方などに存在する車両を、比較対象車両として決定してもよい。
【0013】
決定部112は、自車両の周辺に存在する車両のうち、所定の走行条件で走行している車両を、比較対象車両として決定してもよい。たとえば、決定部112は、自車両の周辺に存在する車両のうち、自車両と進行方向が同一の車両を比較対象車両として決定してもよい。また、決定部112は、自車両の周辺に存在する車両のうち、所定の速度範囲内で走行している車両を、比較対象車両として決定してもよい。この場合、上記所定の速度範囲は、道路の種類(一般道路、高速道路)や、道路の制限速度などによって異なるものであってもよい。また、決定部112は、自車両の周辺に存在する車両のうち、自車両の周辺に存在する複数の車両の平均速度に最も近い速度で走行している車両を、比較対象車両として決定してもよい。また、決定部112は、自車両の周辺に存在する車両のうち、最新の運転の評価または過去の運転の評価の平均値が最も高い車両を、比較対象車両として決定してもよい。
【0014】
受信部104は、比較対象車両の運転に対する評価を、決定部112によって決定された比較対象車両から受信する。比較対象車両には、評価装置100と同様に、この比較対象車両の運転に対する評価を算出し、算出した比較対象車両の運転に対する評価を他の車両に送信することが可能な評価装置が設けられている。受信部104は、この評価装置から送信された、比較対象車両の運転に対する評価を受信する。
【0015】
判断部105は、受信部104が受信した比較対象車両の運転に対する評価と、算出部102によって算出された自車両の運転に対する評価とを比較することにより、比較対象車両の運転と、自車両の運転とで、いずれの方が評価が高いかを判断する。
【0016】
通知部106は、比較対象車両の運転の方が評価が高い、と判断部105が判断した場合、比較対象車両の運転が優れている旨を、自車両の運転者に通知する。たとえば、通知部106は、比較対象車両の運転が優れている旨を示すメッセージを、自車両に設けられているディスプレイに表示させる。他の例として、通知部106は、比較対象車両の運転が優れている旨を示す音声を、自車両に設けられているスピーカーから出力させる。
【0017】
選択部108は、比較対象車両の運転の方が評価が高い、と判断部105が判断した場合、比較対象車両を模範車両とするか否かをユーザーに選択させる。たとえば、選択部108は、比較対象車両を模範車両とするか否かを示すメッセージをディスプレイに表示し、比較対象車両を模範車両とするか否かを、ユーザーに選択させる。送信部110は、比較対象車両を模範車両とする、とユーザーが選択した場合、前記比較対象車両が模範車両とされたことを示す情報を、比較対象車両へ送信する。
【0018】
比較対象車両の評価装置においては、評価装置100から送信された、模範車両とされた旨を示す情報を受信し、これに応じた所定の処理をおこなう。たとえば、比較対象車両の評価装置は、模範車両とされた旨を示す情報を、当該比較対象車両のユーザーに通知する。他の例として、比較対象車両の評価装置の内部または外部のデータベースにおいて、なんらかのサービスに利用可能なポイントが格納されている場合、比較対象車両の評価装置は、当該比較対象車両のユーザーに対するインセンティブとして、上記データベースに格納されている、当該比較対象車両のユーザーのポイントに対して、模範車両とされた回数等に応じたポイント数を追加してもよい。評価装置100が搭載された自車両は、同様の評価装置を搭載した他の車両から見れば、比較対象車両ともなりうる。このため、評価装置100は、上記したような、比較対象車両側の評価装置としての機能を有してもよい。
【0019】
なお、比較対象車両の運転に対する評価および自車両の運転に対する評価のそれぞれは、平均加速度、平均減速度、および平均燃費の少なくともいずれか一つを評価項目として含むものであってもよい。これに応じて、算出部102は、自車両の運転に対する評価を、評価項目ごとに算出してもよい。また、判断部105は、比較対象車両の運転と自車両の運転とでいずれの方が評価が高いかを評価項目ごとに判断してもよい。または、判断部105は、比較対象車両の運転と自車両の運転とでいずれの方が評価が高いかを各評価項目の合計値で判断してもよい。さらに、通知部106は、評価項目ごとの判断結果を自車両の運転者に通知してもよく、各評価項目の合計値での判断結果を自車両の運転者に通知してもよい。なお、比較対象車両の運転に対する評価および自車両の運転に対する評価に用いる評価項目は、平均加速度、平均減速度、および平均燃費に限定されない。これら以外であっても、二酸化炭素排出量など、運転者の運転技術によって変動しうる項目を上記の評価項目に適用することができる。
【0020】
通知部106は、少なくとも一つの評価項目について比較対象車両の運転の方が評価が高いと判断された場合には、この判断結果を自車両の運転者に通知してもよい。この場合、通知部106は、全評価項目の判断結果を通知してもよく、比較対象車両の運転の方が評価が高いと判断された評価項目の判断結果のみを通知してもよい。他の例として、通知部106は、各評価項目の合計値で比較対象車両の運転の方が評価が高いと判断された場合にのみ、この判断結果を自車両の運転者に通知してもよい。
【0021】
受信部104は、比較対象車両の運転に対する評価を受信する代わりに、比較対象車両の運転に対する評価の算出に必要な情報(たとえば、加速度情報、減速度情報、燃費情報など)を、比較対象車両から受信してもよい。この場合、算出部102は、受信部104が受信した情報を用いて、比較対象車両の運転に対する評価を算出してもよい。
【0022】
(評価装置100による評価処理の手順)
つぎに、評価装置100による評価処理の手順について説明する。図2は、本実施の形態にかかる評価装置100による評価処理の手順を示すフローチャートである。
【0023】
まず、算出部102が、自車両の運転に対する評価を算出する(ステップS202)。つぎに、決定部112が、自車両の周辺に存在する車両の中から、比較対象車両を決定する(ステップS204)。つぎに、受信部104が、比較対象車両の運転に対する評価を、ステップS204で決定された比較対象車両から受信する(ステップS206)。続いて、判断部105が、ステップS206で受信された比較対象車両の運転に対する評価と、ステップS202で算出された自車両の運転に対する評価とを比較することにより、比較対象車両の運転と、自車両の運転とで、いずれの方が評価が高いかを判断する(ステップS208)。
【0024】
ステップS208において、自車両の運転の方が評価が高い、と判断された場合(ステップS208:No)、評価装置100は、一連の評価処理を終了する。一方、ステップS208において、比較対象車両の運転の方が評価が高い、と判断された場合(ステップS208:Yes)、通知部106が、比較対象車両の運転が優れている旨を、自車両の運転者に通知する(ステップS210)。
【0025】
そして、選択部108が、比較対象車両を模範車両とするか否かをユーザーに選択させる(ステップS212)。ステップS212において、比較対象車両を模範車両としない、とユーザーが選択した場合(ステップS212:No)、評価装置100は、一連の評価処理を終了する。一方、ステップS212において、比較対象車両を模範車両とする、とユーザーが選択した場合(ステップS212:Yes)、送信部110が、比較対象車両が模範車両とされたことを示す情報を、比較対象車両へ送信して(ステップS214)、評価装置100は、一連の評価処理を終了する。
【0026】
以上説明したように、本実施の形態にかかる評価装置100は、比較対象車両から受信した比較対象車両の運転に対する評価と、自車両の運転に対する評価とを比較し、比較対象車両の運転の方が評価が高い場合には、その旨を自車両の運転者に通知する構成とした。これにより、運転者は、比較対象車両の運転の評価が高い旨を通知された場合に、この比較対象車両を運転の参考とすることで、運転技術を向上することができる。したがって、本実施の形態にかかる評価装置100は、運転者に対して、運転技術の向上につながる模範運転を具体的に提示することができる。さらに、本実施例の形態にかかる評価装置100は、運転者に対して、実際の走行に適した模範運転を提示することができる。
【実施例】
【0027】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる評価装置、評価方法、プログラム、および記録媒体の好適な実施例を詳細に説明する。本実施例では、四輪車、二輪車、自転車などの車両に搭載され、現在位置検出処理、経路探索処理、経路誘導処理などの各種処理をおこなうナビゲーション装置300によって、本発明にかかる評価装置、評価方法、プログラム、および記録媒体を実施した場合について説明する。
【0028】
(ナビゲーション装置300のハードウエア構成)
まず、ナビゲーション装置300のハードウエア構成について説明する。図3は、ナビゲーション装置300のハードウエア構成を示すブロック図である。
【0029】
図3において、ナビゲーション装置300は、CPU301、ROM302、RAM303、磁気ディスクドライブ304、磁気ディスク305、光ディスクドライブ306、光ディスク307、音声I/F(インターフェース)308、スピーカ309、入力デバイス310、映像I/F311、ディスプレイ312、通信I/F313、GPSユニット314、各種センサ315、カメラ316を備えている。これら各構成部301〜316はバス320によってそれぞれ接続されている。
【0030】
CPU301は、ナビゲーション装置300の全体の制御を司る。ROM302は、ナビゲーション装置300が備える各種機能を実現するためのブートプログラム、OS(Operation System)プログラム、ナビゲーションプログラムなどの各種プログラムを記録している。RAM303は、CPU301のワークエリアとして使用される。
【0031】
CPU301は、ROM302、磁気ディスク305、光ディスク307などに記録されているナビゲーションプログラムを実行することにより、現在位置検出処理、経路探索処理、経路誘導処理などの各種処理をおこなう。たとえば、CPU301は、GPSユニット314および各種センサ315の出力情報に基づいて、車両の現在位置(ナビゲーション装置300の現在位置)を検出する。また、CPU301は、ナビゲーションプログラムに含まれた地図データなどを利用して、出発地から目的地までの走行経路を探索する。また、CPU301は、探索した走行経路を示す経路情報や、探索した走行経路を案内する案内情報などを、映像I/F311を介してディスプレイ312に表示させる。また、CPU301は、探索された走行経路を案内する案内情報などを、音声I/F308を介してスピーカ309から音声出力させる。
【0032】
磁気ディスクドライブ304は、CPU301の制御にしたがって磁気ディスク305に対するデータの読み取り/書き込みを制御する。磁気ディスク305は、磁気ディスクドライブ304の制御で書き込まれたデータを記録する。磁気ディスク305としては、たとえば、HD(ハードディスク)やFD(フレキシブルディスク)を用いることができる。
【0033】
光ディスクドライブ306は、CPU301の制御にしたがって光ディスク307に対するデータの読み取り/書き込みを制御する。光ディスク307は、光ディスクドライブ306の制御にしたがってデータが読み出される着脱自在な記録媒体である。光ディスク307は、書き込み可能な記録媒体を利用することもできる。また、この着脱自在な記録媒体として、光ディスク307のほか、MO、メモリカードなどであってもよい。
【0034】
音声I/F308は、音声出力用のスピーカ309に接続される。スピーカ309は、音声を出力する。入力デバイス310は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えたリモコン、キーボード、マウス、タッチパネルなどが挙げられる。入力デバイス310は、リモコン、キーボード、マウス、タッチパネルのうち、いずれか一つの形態によって実現されてもよいし、複数の形態によって実現してもよい。
【0035】
映像I/F311は、ディスプレイ312に接続される。映像I/F311は、具体的には、たとえば、ディスプレイ312全体の制御をおこなうグラフィックコントローラと、即時表示可能な画像情報を一時的に記録するVRAM(Video RAM)などのバッファメモリと、グラフィックコントローラから出力される画像データに基づいてディスプレイ312を制御する制御ICなどによって構成される。
【0036】
ディスプレイ312は、たとえば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどを採用することができる。ディスプレイ312は、たとえば、車両のダッシュボード付近に設置される。ディスプレイ312は、車両のダッシュボード付近のほか、車両の後部座席周辺などに設置するなどして、車両内に複数設置してもよい。通信I/F313は、外部(他の車両の評価装置、通信ネットワーク、情報処理装置、記録媒体など)と有線または無線によって接続され、接続された外部に対するデータの入出力を制御する。
【0037】
GPSユニット314は、GPS衛星からの電波を受信し、車両の現在位置を示す情報を出力する。GPSユニット314の出力情報は、後述する各種センサ315の出力値とともに、CPU301による車両の現在位置の算出に際して利用される。現在位置を示す情報は、たとえば緯度・経度、高度などの、地図データ上の1点を特定する情報である。
【0038】
各種センサ315は、車速センサ、加速度センサ、角速度センサなどの、車両の位置や挙動を判断することが可能な情報を出力する。各種センサ315の出力値は、CPU301による車両の現在位置の算出や、速度や方位の変化量の測定などに用いられる。
【0039】
本実施例のナビゲーション装置300は、ROM302、磁気ディスク305、光ディスク307などに記録されている評価処理プログラムをCPU301が実行することによって、図1に示した算出部102、判断部105、および決定部112の機能を実現することができる。また、本実施例のナビゲーション装置300は、上記評価処理プログラムをCPU301が実行し、通信I/F313を制御することによって、図1に示した受信部104および送信部110の機能を実現することができる。また、本実施例のナビゲーション装置300は、上記評価処理プログラムをCPU301が実行し、映像I/F311および音声I/F308を制御することによって、図1に示した通知部106の機能を実現することができる。また、本実施例のナビゲーション装置300は、上記評価処理プログラムをCPU301が実行し、映像I/F311、音声I/F308、および入力デバイス310を制御することによって、図1に示した選択部108の機能を実現することができる。
【0040】
(ナビゲーション装置300による評価処理の手順)
つぎに、ナビゲーション装置300による評価処理の手順について説明する。図4は、ナビゲーション装置300による評価処理の手順を示すフローチャートである。
【0041】
まず、ナビゲーション装置300は、自車両の運転に対する加速度の評価を算出する(ステップS402)。たとえば、ナビゲーション装置300は、所定の走行時間または走行距離を走行する間、急な加速がおこなわれる頻度が高いほど、加速度の評価を低く算出する。たとえば、ナビゲーション装置300は、所定の閾値よりも高い加速度の発生回数が多いほど、加速度の評価をより低く算出する。反対に、ナビゲーション装置300は、所定の閾値よりも低い加速度の発生回数が多いほど、加速度の評価をより高く算出する。
【0042】
つぎに、ナビゲーション装置300は、自車両の運転に対する減速度の評価を算出する(ステップS404)。たとえば、ナビゲーション装置300は、所定の走行時間または走行距離を走行する間、急な減速がおこなわれる頻度が高いほど、減速度の評価を低く算出する。たとえば、ナビゲーション装置300は、所定の閾値よりも高い減速度の発生回数が多いほど、減速度の評価をより低く算出する。反対に、ナビゲーション装置300は、所定の閾値よりも低い減速度の発生回数が多いほど、減速度の評価をより高く算出する。たとえば、ナビゲーション装置300は、上記算出処理に用いる加速度および減速度を、自車両が備える加速度センサから取得することができる。他の例として、ナビゲーション装置300は、上記算出処理に用いる加速度および減速度を、単位時間当たりの車速度の変化量に基づいて算出してもよい。
【0043】
つぎに、ナビゲーション装置300は、自車両の運転に対する燃費の評価を算出する(ステップS406)。たとえば、ナビゲーション装置300は、所定の走行時間または走行距離を走行する間、燃料消費量が多いほど、燃費の評価を低く算出する。たとえば、ナビゲーション装置300は、所定の閾値よりも悪い瞬間燃費の発生回数が多いほど、燃費の評価をより低く算出する。反対に、ナビゲーション装置300は、所定の閾値よりも良い瞬間燃費の発生回数が多いほど、燃費の評価をより高く算出する。たとえば、ナビゲーション装置300は、上記算出処理に用いる燃費を、単位時間当たりの燃料消費量に基づいて算出してもよい。
【0044】
つぎに、ナビゲーション装置300は、自車両の周辺に存在する複数の車両から、比較対象車両を決定する(ステップS408)。つぎに、ナビゲーション装置300は、ステップS408で決定された比較対象車両から、当該比較対象車両の運転に対する評価を取得する(ステップS410)。
【0045】
つぎに、ナビゲーション装置300は、ステップS410で取得された比較対象車両の運転に対する評価と、ステップS402〜ステップS406で算出された自車両の運転に対する評価とを、評価項目ごとに比較することにより、比較対象車両の運転と、自車両の運転とで、いずれの方が評価が高いかを評価項目ごとに判断する(ステップS412)。
【0046】
ステップS412において、全ての評価項目について自車両の運転の方が評価が高い、と判断された場合(ステップS412:No)、ナビゲーション装置300は、一連の評価処理を終了する。一方、ステップS412において、少なくとも一つの評価項目について比較対象車両の運転の方が評価が高い、と判断された場合(ステップS412:Yes)、ナビゲーション装置300は、比較対象車両の運転が優れている旨を、自車両の運転者に通知する(ステップS414)。
【0047】
そして、ナビゲーション装置300は、比較対象車両を模範車両とするか否かをユーザーに選択させる(ステップS416)。ステップS416において、比較対象車両を模範車両としない、とユーザーが選択した場合(ステップS416:No)、ナビゲーション装置300は、一連の評価処理を終了する。一方、ステップS416において、比較対象車両を模範車両とする、とユーザーが選択した場合(ステップS416:Yes)、ナビゲーション装置300は、比較対象車両が模範車両とされたことを示す情報を、比較対象車両へ送信して(ステップS418)、ナビゲーション装置300は、一連の評価処理を終了する。
【0048】
たとえば、ナビゲーション装置300は、自車両が走行している間、繰り返し、上記評価処理をおこなう。これにより、ナビゲーション装置300は、車両が走行している間、自車両よりも評価が高い車両が自車両の周辺に出現するごとに、その旨を自車両の運転者に通知することができる。そして、自車両の運転者は、自車両よりも評価が高いとされた様々な車両の運転を参考にすることで、運転技術を向上することができる。
【0049】
(ナビゲーション装置300による評価の算出処理の一例)
つぎに、ナビゲーション装置300による評価の算出処理の一例について説明する。図5は、ナビゲーション装置300による評価の算出処理の一例を示す説明図である。
【0050】
ナビゲーション装置300は、所定の単位時間ごとに燃費走行をしているか否かを判定し、所定の走行時間の間の上記判定回数に基づいて評価を決定してもよい。たとえば、図5に示すテーブル500は、ナビゲーション装置300が有するデータベーステーブルであり、上記所定の単位時間を1秒とし、上記所定の走行時間を1時間とした場合の、上記判定回数に応じた評価が予め設定されている。
【0051】
この例では、ナビゲーション装置300は、1秒ごとに燃費走行をしているか否かを判定する。たとえば、ナビゲーション装置300は、1秒ごとに、瞬間加速度、瞬間減速度、および瞬間燃費のそれぞれについて、所定の閾値を下回っているか否かを判断する。そして、ナビゲーション装置300は、瞬間加速度、瞬間減速度、および瞬間燃費のいずれかもしくはいずれもが所定の閾値を下回っている場合に、燃費走行していると判断する。そして、ナビゲーション装置300は、1時間の走行について、燃費走行していると判定された回数に基づいて、テーブル500を参照することにより、評価を決定する。
【0052】
ナビゲーション装置300は、この例のように、ある一定期間または一定距離を走行する間に計測された複数の計測データに基づく評価を算出してもよく、直近に計測された計測データのみに基づく評価を算出してもよい。もしくは、これらの双方を算出してもよい。また、ナビゲーション装置300は、直近に決定した評価を、そのまま比較・判断処理に利用してもよく、一定期間または一定距離を走行する間に決定された複数の評価の平均値を、比較・判断処理に利用してもよい。もしくは、これらの双方を、比較・判断処理に利用してもよい。
【0053】
(ナビゲーション装置300による通知例)
つぎに、ナビゲーション装置300による通知例について説明する。図6は、ナビゲーション装置300による通知例を示す説明図である。図6に示す画像600は、ナビゲーション装置300のディスプレイ312に表示された画像である。画像600は、自車両よりも比較対象車両の方が運転の評価が高いことを自車両の運転者に通知するためのものである。
【0054】
画像600は、メッセージ602および評価604を含む。メッセージ602は、自車両よりも比較対象車両の方が運転の評価が高いことを示すメッセージである。図6に示す例では、メッセージ602として、「前車の方が運転の評価が高いです」が示されている。このように、ナビゲーション装置300は、メッセージ602として、単に比較対象車両の運転の評価が高いことを示すものを表示してもよい。他の例として、ナビゲーション装置300は、メッセージ602として、「前車の方が加速度の評価が高いです」などのように、評価が高いと判定された評価項目を示すものであってもよい。
【0055】
評価604は、比較対象車両の評価および自車両の評価を示す。図6に示す例では、評価604には、比較対象車両および自車両のそれぞれの評価が評価項目ごとに示されている。また、評価604は、比較対象車両および自車両のそれぞれの総合評価が示されている。このように、ナビゲーション装置300は、評価604として、評価項目ごとの評価および総合評価をそれぞれ表示してもよい。他の例として、ナビゲーション装置300は、評価604として、評価項目ごとの評価または総合評価のいずれか一方を表示してもよい。また、ナビゲーション装置300は、評価604として、比較対象車両の方が評価が高いと判定された評価項目の評価のみを表示するようにしてもよい。
【0056】
また、画像600は、メッセージ610、ボタン612、およびボタン614を含む。メッセージ610は、比較対象車両を模範車両とするか否かの選択を促すメッセージである。ボタン612は、比較対象車両を模範車両とすることを決定するための入力ボタンである。ボタン614は、比較対象車両を模範車両としないことを決定するための入力ボタンである。たとえば、自車両の運転者によってボタン612が押下された場合、ナビゲーション装置300は、模範車両とされたことを示す情報を、比較対象車両へ送信する。
【0057】
ナビゲーション装置300は、ある一定期間または一定距離を走行する間に計測された複数の計測データに基づく評価を通知してもよく、直近に計測された計測データのみに基づく評価を通知してもよい。もしくは、これらの双方を通知してもよい。また、ナビゲーション装置300は、直近に決定した評価を、そのまま通知してもよく、一定期間または一定距離を走行する間に決定された複数の評価の平均値を、通知してもよい。もしくは、これらの双方を通知してもよい。
【0058】
以上説明したように、本実施例にかかるナビゲーション装置300は、比較対象車両の運転に対する評価と、自車両の運転に対する評価とを比較することにより、比較対象車両の運転と、前記自車両の運転とで、いずれの方が評価が高いかを判断し、比較対象車両の運転の方が評価が高い、と判断した場合、比較対象車両の運転が優れている旨を、自車両の運転者に通知する構成とした。これにより、自車両の運転者は、比較対象車両の運転の評価が高い旨を通知された場合に、この比較対象車両を運転の参考とすることで、運転技術を向上することができる。したがって、本実施例にかかるナビゲーション装置300は、運転者に対して、運転技術の向上につながる模範運転を具体的に提示することができる。さらに、本実施例にかかるナビゲーション装置300は、運転者に対して、実際の走行に適した模範運転を提示することができる。
【0059】
特に、本実施例にかかるナビゲーション装置300は、比較対象車両を模範車両とする、と自車両の運転者が選択した場合、比較対象車両が模範車両とされたことを示す情報を、前記比較対象車両へ送信する構成とした。これにより、比較対象車両の運転者に対し、模範車両とされていることを自覚させることができ、より模範的な運転をするように心がけさせることができ、より模範的な運転を、自車両の運転者に対して示すことができる。
【0060】
なお、本実施例で説明した評価方法は、あらかじめ用意されたプログラムをコンピュータで実行することにより実現することができる。このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。また、このプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することが可能な伝送媒体であってもよい。
【符号の説明】
【0061】
100 評価装置
102 算出部
104 受信部
106 通知部
108 選択部
110 送信部
112 決定部
300 ナビゲーション装置
500 テーブル
600 画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の運転を評価する評価装置であって、
自車両の運転に対する評価を算出する算出部と、
前記自車両の周辺に存在する比較対象車両の運転に対する評価を、前記比較対象車両から受信する受信部と、
前記比較対象車両の運転に対する評価と、前記自車両の運転に対する評価とを比較することにより、前記比較対象車両の運転と、前記自車両の運転とで、いずれの方が評価が高いかを判断する判断部と、
前記比較対象車両の運転の方が評価が高い、と前記判断部が判断した場合、前記比較対象車両の運転が優れている旨を、前記自車両の運転者に通知する通知部と、
を備えることを特徴とする評価装置。
【請求項2】
前記比較対象車両の運転の方が評価が高い、と前記判断部が判断した場合、前記比較対象車両を模範車両とするか否かを前記自車両の運転者に選択させる選択部と、
前記比較対象車両を模範車両とする、と前記自車両の運転者が選択した場合、前記比較対象車両が模範車両とされたことを示す情報を、前記比較対象車両へ送信する送信部と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の評価装置。
【請求項3】
前記自車両の周辺に存在する車両のうち、所定の走行条件で走行している車両を、前記比較対象車両として決定する決定部をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の評価装置。
【請求項4】
前記自車両の周辺に存在する車両のうち、運転の評価が最も高い車両を、前記比較対象車両として決定する決定部をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の評価装置。
【請求項5】
前記比較対象車両の運転に対する評価および前記自車両の運転に対する評価のそれぞれは、
平均加速度、平均減速度、および平均燃費の少なくともいずれか一つを評価項目として含んでおり、
前記判断部は、
前記評価項目ごとに、前記比較対象車両の運転に対する評価と、前記自車両の運転に対する評価とを比較することにより、前記比較対象車両の運転と、前記自車両の運転とで、いずれの方が評価が高いかを判断し、
前記通知部は、
前記評価項目ごとに、前記判断部による判断結果を前記自車両の運転者に通知することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の評価装置。
【請求項6】
車両の運転を評価する評価方法であって、
前記自車両の運転に対する評価を算出する算出工程と、
前記自車両の周辺に存在する比較対象車両の運転に対する評価を、前記比較対象車両から受信する受信工程と、
前記比較対象車両の運転に対する評価と、前記自車両の運転に対する評価とを比較することにより、前記比較対象車両の運転と、前記自車両の運転とで、いずれの方が評価が高いかを判断する判断工程と、
前記比較対象車両の運転の方が評価が高い、と前記判断工程で判断された場合、前記比較対象車両の運転が優れている旨を、前記自車両の運転者に通知する通知工程と、
を含んだことを特徴とする評価方法。
【請求項7】
請求項6に記載の評価方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項8】
請求項7に記載のプログラムを記録したことを特徴とするコンピュータに読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−180781(P2011−180781A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−43401(P2010−43401)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】