説明

評価装置及び評価方法

【課題】太陽電池セルにおける一部の箇所の電気特性を簡易な構成で評価できる評価装置及び評価方法を得ること。
【解決手段】評価装置は、太陽電池セルの電気特性を評価するための評価装置であって、互いに絶縁されており、前記太陽電池セルにおける異なる接続箇所と電流計測回路とをそれぞれ接続する複数の第1の接続端子と、前記太陽電池セルと電圧計測回路とを接続する第2の接続端子と、前記太陽電池セルにおける接続箇所を切り替えるように、前記複数の第1の接続端子から少なくとも2つの第1の接続端子を選択し、前記少なくとも2つの第1の接続端子を介して前記電流計測回路を前記太陽電池セルに直列に接続させる切替機構とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、評価装置及び評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池セルを生産していくなかで、原材料であるシリコン基板や工程プロセスによる不良品が発生してしまうことは不可避の事象である。不良品かどうかを判定する方法として一般的に用いられているのは、太陽電池セルの電気特性を計測することである。電気特性を計測する際には、電圧測定用端子と電流測定用端子とを接続し、太陽電池セルに擬似太陽光を照射させ測定を実施する。しかし、太陽電池セルの欠陥が発生する箇所は面内のどこに発生するかは偶発的であり、太陽電池セルの全面に擬似太陽光を照射する測定方法では、欠陥が発生している位置を特定することは不可能である。
【0003】
それに対して、特許文献1には、太陽電池評価装置において、部分照明光源からy軸方向走査ミラー及びx軸方向走査ミラーで反射され太陽電池上に照射される光スポットを、y軸方向走査ミラー及びx軸方向走査ミラーを回転させることにより太陽電池上で走査させ、太陽電池上の光スポットの位置ごとに太陽電池の電流を測定することが記載されている。これにより、特許文献1によれば、部分照明の照射位置ごとに太陽電池の光・電気変換効率を測定することによって太陽電池の光・電気変換効率分布を得ることができ、太陽電池の光・電気変換効率分布から太陽電池の欠陥位置を検出することができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−111215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術では、部分照明の照射位置を変更するために、太陽電池セルを水平方向に駆動させるロボットや、ミラーを回転駆動させる走査駆動機構を備える構成となっている。これらの機構を実現するためには、評価装置が全体として大型化せざるを得ない傾向にある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、太陽電池セルにおける一部の箇所の電気特性を簡易な構成で評価できる評価装置及び評価方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の1つの側面にかかる評価装置は、太陽電池セルの電気特性を評価するための評価装置であって、互いに絶縁されており、前記太陽電池セルにおける異なる接続箇所と電流計測回路とをそれぞれ接続する複数の第1の接続端子と、前記太陽電池セルと電圧計測回路とを接続する第2の接続端子と、前記太陽電池セルにおける接続箇所を切り替えるように、前記複数の第1の接続端子から少なくとも2つの第1の接続端子を選択し、前記少なくとも2つの第1の接続端子を介して前記電流計測回路を前記太陽電池セルに直列に接続させる切替機構とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、太陽電池セル全体の電気特性を測定するための接続端子と、太陽電池セルの一部の箇所の電気特性を測定するための接続端子とを同一のものとすることが可能である。これにより、太陽電池セルにおける一部の箇所の電気特性を簡易な構成で評価できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、実施の形態1にかかる評価装置の構成を示す図である。
【図2】図2は、実施の形態1における太陽電池セルの構成を示す図である。
【図3】図3は、実施の形態1にかかる評価装置の構成を示す図である。
【図4】図4は、実施の形態1にかかる評価装置の動作を示す図である。
【図5】図5は、実施の形態1にかかる評価装置の動作を示すフローチャートである。
【図6】図6は、実施の形態1における太陽電池セルの欠陥箇所を特定する際の評価装置の動作を説明するための図である。
【図7】図7は、実施の形態1における太陽電池セルの欠陥箇所を特定する際に評価される電流−電圧特性を示す図である。
【図8】図8は、実施の形態1における太陽電池セルの断線不良を検知する際の評価装置の動作を説明するための図である。
【図9】図9は、実施の形態1における太陽電池セルの裏面電極の構成を示す断面図である。
【図10】図10は、実施の形態1における太陽電池セルの裏面電極同士の合金部の電気抵抗を測定する際の評価装置の動作を説明するための図である。
【図11】図11は、実施の形態2における評価装置の構成を示す図である。
【図12】図12は、実施の形態2における接続プレートの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明にかかる評価装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
実施の形態1.
実施の形態1にかかる評価装置100について説明する。
【0012】
評価装置100は、太陽電池セル10における全体又は一部の箇所の電気特性の評価(検査)を行ったり、太陽電池セル10における一部の箇所の欠陥などの不良解析を行なったりするための装置である。
【0013】
図1は、評価対象となる太陽電池セル10と、電流計測回路34および、電圧計測回路35との接続を表した回路図である。太陽電池セル10の電気特性(例えば、I−V特性)を測定する際には、例えば擬似太陽光1を照射した状態で太陽電池セル10に直流可変電源33からバイアス電圧を印加し、このバイアス電圧を直流可変電源33によりスイープさせながらその時の電流値と電圧値とを電流計測回路34及び電圧計測回路35でそれぞれ計測する。電流計測回路34は、直流可変電源33と太陽電池セル10とを接続する電流経路に対して直列に接続される。電流計測回路34は、例えば、電流計である。電圧計測回路35は、直流可変電源33と太陽電池セル10とを接続する電流経路における太陽電池セル10の両端に並列に接続される。電圧計測回路35は、例えば、電圧計である。
【0014】
測定対象である太陽電池セル10の基板は、例えば擬似太陽光1を受光すべき受光面21と、受光面21の反対側の裏面24とを有する。太陽電池セル10の(例えば、シリコン等の半導体で形成された)基板内における受光面21近傍は、例えば、n型半導体にて形成されている。太陽電池セル10の基板内における裏面24近傍は、例えば、p型半導体にて形成されている。
【0015】
このとき、図2(a)に示すように、受光面21には、複数の細線電極22と複数のバスバー電極23−1、23−2とが配置されている。複数の細線電極22は、擬似太陽光1の太陽電池セル10内への受光をなるべく妨げないように、所定の間隔で互いに(例えば、平行に)並んで配置されている。また、複数の細線電極22は、太陽電池セル10内で発電された電力を収集しバスバー電極23−1、23−2へ伝達するように、バスバー電極23−1、23−2と(例えば、直角に)交差して延びている。複数のバスバー電極23−1、23−2は、互いに(例えば、平行に)並んで配置されている。各バスバー電極23−1、23−2は、細線電極22と(例えば、直角に)交差して延びている。
【0016】
また、図2(b)に示すように、裏面24には、電極25がほぼ全面に配置されている。この電極25は、例えば、後述するように、材料コストを低減するために複数種類の金属が用いられることもある。
【0017】
この太陽電池セル10の電気特性を評価装置100により計測する場合、図3に示すように、受光面21と裏面24とにある各電極にプローブ治具20−1〜20−4の複数の第1の接続端子31a−1〜31d−4及び複数の第2の接続端子32−1〜32−4を上下から挟み込むように太陽電池セル10に接触させ、電流計測回路34及び直流可変電源33と電圧計測回路35とにそれぞれ接続する。このとき、受光面21側に位置するプローブ治具20−1、20−2の本体27−1、27−2は、擬似太陽光1の照射をできるだけ妨げないように細長い形状とする必要があり、接続させた場合の斜視図としては図3に示すような形状となる。また、裏面24側に位置するプローブ治具20−3、20−4の本体27−3、27−4も、同様の形状としてもよい。
【0018】
次に、各プローブ治具20−1〜20−4の詳細について説明する。
【0019】
図3に示すように各プローブ治具20−1〜20−4は、本体27−1〜27−4、複数の第1の接続端子31a−1〜31d−4、及び第2の接続端子32−1〜32−4を有する。複数の第1の接続端子31a−1〜31d−4及び第2の接続端子32−1〜32−4は、例えば、本体27−1〜27−4の長手方向に沿って所定の間隔で(例えば、平行に)並んでいる。
【0020】
本体27−1〜27−4は、バスバー電極23−1、23−2に対応した細長い形状を有している。本体27−1〜27−4は、複数の第1の接続端子31a−1〜31d−4及び第2の接続端子32−1〜32−4により貫通されている。本体27−1〜27−4は、例えば、絶縁物で形成されている。これにより、本体27−1〜27−4は、各接続端子間の絶縁性を確保しながら各接続端子を保持する。
【0021】
複数の第1の接続端子31a−1〜31d−4は、本体27−1〜27−4を介して互いに絶縁されている。複数の第1の接続端子31a−1〜31d−4は、太陽電池セル10における異なる接続箇所と電流計測回路34とをそれぞれ接続する。各第1の接続端子31a−1〜31d−4には、例えば、スプリングプローブなどの接触機構を用いる。各第1の接続端子31a−1〜31d−4は、例えば、導体で形成されている。
【0022】
また、複数の第1の接続端子31a−1〜31d−4は、複数の受光面側接続端子31a−1〜31d−2及び複数の裏面側接続端子31a−3〜31d−4を有する。複数の受光面側接続端子31a−1〜31d−2は、太陽電池セル10の受光面21における異なる接続箇所と直流可変電源33及び電流計測回路34とをそれぞれ接続する。複数の裏面側接続端子31a−3〜31d−4は、太陽電池セル10の裏面24における異なる接続箇所と直流可変電源33及び電流計測回路34とをそれぞれ接続する。
【0023】
第2の接続端子32−1〜32−4は、太陽電池セル10と電圧計測回路35とを接続する。第2の接続端子32−1〜32−4は、例えば、複数の第1の接続端子31a−1〜31d−4の間に配される。第2の接続端子32−1〜32−4には、例えば、スプリングプローブなどの接触機構を用いる。第2の接続端子32−1〜32−4は、例えば、導体で形成されている。受光面21側に複数の第2の接続端子32−1、32−2が配される場合にはすべて短絡する配置とする。また、裏面24側に複数の第2の接続端子32−3、32−4が配される場合にはすべて短絡する配置とする。
【0024】
複数の第1の接続端子31a−1〜31d−4のうちどの第1の接続端子を直流可変電源33及び電流計測回路34に接続するかはスイッチングリレー36−1〜36−4により切り替えられる。例えば、スイッチングリレー36−1〜36−4は、太陽電池セル10における接続箇所を切り替えるように、複数の第1の接続端子31a−1〜31d−4から2つの接続端子を選択し、その2つの接続端子を介して直流可変電源33及び電流計測回路34を太陽電池セル10に直列に接続させる。また、スイッチングリレー36−5、36−6は、第2の接続端子32−1〜32−4を介して電圧計測回路35を太陽電池セル10に並列に接続させる。
【0025】
また、スイッチングリレー36−1〜36−4は、例えば、複数の受光面側接続端子31a−1〜31d−2における受光面側接続端子と複数の裏面側接続端子31a−3〜31d−4における裏面側接続端子とを選択し、その選択された受光面側接続端子と選択された裏面側接続端子とを介して可変直流電源33及び電流計測回路34を太陽電池セル10に直列に接続させる。
【0026】
次に、太陽電池セル10の電気特性の測定と欠陥部分の特定方法との関係およびその手段について図5を説明する。図5は、評価装置100の動作を示すフローチャートである。
【0027】
まず、スイッチングリレー36−1〜36−4は、複数の第1の接続端子31a−1〜31d−4の全てを介して直流可変電源33及び電流計測回路34を太陽電池セル10に直列に接続させる(ステップS1)。また、スイッチングリレー36−5、36−6は、第2の接続端子32−1〜32−4を介して電圧計測回路35を太陽電池セル10に並列に接続させる。
【0028】
次に、評価装置100は、太陽電池セル10に擬似太陽光1を照射する。この状態で、評価装置100は、電流計測回路34及び電圧計測回路35を用いて、太陽電池セル10のI−V測定を行う(ステップS2)。
【0029】
そして、評価装置100は、I−V測定の結果に応じて、規定の電気特性が得られているか否かを判断する(ステップS3)。評価装置100は、規定の電気特性が得られている場合、太陽電池セル10に対して検査が合格であると判定する(ステップS4)。一方、評価装置100は、規定の電気特性が得られていない場合、図4に示すようにスイッチングリレー36−1〜36−6の開閉を切り替えることで太陽電池セル10と第1の接続端子との接続箇所を切り替える。すなわち、スイッチングリレー36−1〜36−4は、複数の第1の接続端子31a−1〜31d−4から未選択の2つの接続端子例えば2つの第1の接続端子31b−1、31b−3を選択し、その2つの第1の接続端子31b−1、31b−3を介して直流可変電源33及び電流計測回路34を太陽電池セル10に直列に接続させる(ステップS5)。
【0030】
そして、評価装置100は、太陽電池セル10に擬似太陽光1を照射する。この状態で、評価装置100は、電流計測回路34及び電圧計測回路35を用いて、太陽電池セル10のI−V測定を行う(ステップS6)。
【0031】
評価装置100は、ステップS5及びステップS6の測定動作を複数の第1の接続端子31a−1〜31d−4の全てについて完了するまで繰り返し行う(ステップS7)。
【0032】
このような測定動作を行うことにより、図6(a)に示すように太陽電池セル10の基板内部に介在する欠陥箇所51がある際には、この欠陥箇所51が電気抵抗成分となる。そのため、欠陥箇所51に近い接続箇所に第1の接続端子31d−1を接続した場合には、欠陥がない部分からの発電した電流を欠陥箇所51でロスして流れてしまいやすい(矢印52参照)ため欠陥箇所51がI−V特性に影響してしまう。この場合の太陽電池セル10のI−V特性としては、例えば、図7に実線で示すI−V波形111のようになる。
【0033】
逆に、図6(b)のように欠陥箇所51から離れた接続箇所に第1の接続端子31a−1を接続した場合には、欠陥がない正常な箇所にて発電した電流が欠陥箇所51を介した電流経路となりにくい(矢印52参照)ため欠陥箇所51がI−V特性に与える影響が少なくなる。この場合の太陽電池セル10のI−V特性としては、図7に破線で示すI−V波形112のようになる。すなわち、太陽電池セル10のI−V特性としては、I−V波形111からI−V波形112へと変化する減少を得る。この際には、太陽電池セル10の電気特性の一部である出力Pmaxやフィルファクターが変化することになり、欠陥部分51の場所を特定するための材料となる(ステップS8)。
【0034】
さらに、太陽電池セル10の製造の欠陥の一例として挙げられるのが、図2(a)の細線電極22の断線である。細線電極22やバスバー電極23はスクリーン印刷などで太陽電池セル10の基板に印刷されるが、工程プロセスで不具合があると所望とパターンで印刷されないなどの不良が発生する。このような不良が発生した場合には、図8(b)に示すように電流計測回路34に流れる電流が断線箇所61を回避して流れるため電気抵抗が上昇してしまう。この不良を検知するために、例えば、2つの第1の接続端子31c−1、31c−4を選択して直流可変電源33にて任意の電流を流しながら電圧計測回路35で電圧計測を行って電気抵抗を評価した場合(図8(a)参照)と、2つの第1の接続端子31d−1、31d−4を選択して直流可変電源33にて任意の電流を流しながら電圧計測回路35で電圧計測を行って電気抵抗を評価した場合(図8(b)参照)とで計測結果を比較する。両者の電気抵抗の評価結果が所定の閾値以上異なっていれば、断線箇所61を検知することができる(ステップS8)。
【0035】
なお、図3に示す評価装置100においてスイッチングリレー36−2とスイッチングリレー36−4とが入れ替えられるように接続構成が変更された評価装置を用いた場合、2つの第1の接続端子31c−1、31c−2を選択して直流可変電源33にて任意の電流を流しながら電圧計測回路35で電圧計測を行って電気抵抗を評価した場合(図8(a)参照)と、2つの第1の接続端子31d−1、31d−2を選択して直流可変電源33にて任意の電流を流しながら電圧計測回路35で電圧計測を行って電気抵抗を評価した場合(図8(b)参照)とで計測結果を比較することになる。
【0036】
また、図2(b)に示す裏面24の電極25に、複数種類の素材(複数種類の導電体)を用いた電極251、252が配置されている場合には、図9に示すような電極251、252同士を接続する部分(合金部分)253の出来が工程プロセスによって左右されてしまう。このときに、合金部分253の接合がうまく形成されていないと電気抵抗値が高くなるため、結果として発電した電力をロスしてしまう。このような合金部分253の不具合を解析するためには、図10に示すように裏面24に配置された素材の異なる電極252、251にそれぞれ2つの第1の接続端子31a−3、31b−1を接触させ、この状態で直流可変電源33にて任意の電流を流しながら、電圧計測を行うことで2箇所の電極252、251間の電気抵抗を測定する。この際に、どの電極に接触させるかの切替と電圧計測回路35との接続は図3に示すようにスイッチングリレー36−1〜36−6の切替によって実施する。電極252、251間の電気抵抗が所定の閾値以上であれば、合金部分253の接合がうまく形成されていないことを特定できる(ステップS8)。
【0037】
なお、図3に示す評価装置100においてスイッチングリレー36−1の一部とスイッチングリレー36−3の一部とが入れ替えられるように接続構成が変更された評価装置を用いた場合、図10に示すように、電極252、251にそれぞれ2つの第1の接続端子31a−3、31b−3を接触させ、この状態で直流可変電源33にて任意の電流を流しながら、電圧計測を行うことで2箇所の電極252、251間の電気抵抗を測定することになる。
【0038】
以上のように、実施の形態1では、スイッチングリレー36−1〜36−6が複数の第1の接続端子の全てを選択して電流計測回路34を太陽電池セル10に直列に接続させた状態で太陽電池セル10全体の電気特性を測定する。また、スイッチングリレー36−1〜36−6が複数の第1の接続端子から2つの第1の接続端子を選択しその2つの第1の接続端子を介して電流計測回路34を太陽電池セル10に直列に接続させた状態で太陽電池セル10の不良箇所等を特定する。これにより、太陽電池セル10全体に擬似太陽光を照射して電気特性を測定するための接続端子と、太陽電池セル10の一部の箇所の電気特性を測定するための接続端子とを同一のものとすることが可能なため、部分照明を用いた場合に必要となる駆動機構を用いずに装置を構成することが可能となる。すなわち、太陽電池セル10における一部の箇所の電気特性を簡易な構成で評価できる。
【0039】
例えば、スイッチングリレー36−1〜36−6は、図6(a)、(b)に示すように、すなわち太陽電池セル10における欠陥箇所51を特定するように、太陽電池セル10における接続箇所を切り替える。これにより、欠陥箇所51に近い接続箇所に第1の接続端子を接続した場合のI−V特性と欠陥箇所51から遠い接続箇所に第1の接続端子を接続した場合のI−V特性とを比較することで、太陽電池セル10の基板内部に介在する欠陥箇所51の場所を特定することができる。
【0040】
あるいは、例えば、スイッチングリレー36−1〜36−6は、図8(a)、(b)に示すように、すなわち太陽電池セル10における細線電極22の断線不良を検知するように、太陽電池セル10における接続箇所を切り替える。これにより、例えば、2つの第1の接続端子31d−1、31d−4を選択して直流可変電源33にて任意の電流を流しながら電圧計測回路35で電圧計測を行って電気抵抗を評価した場合(図8(b)参照)とで計測結果を比較することで、断線箇所61を検知することができる。
【0041】
あるいは、例えば、スイッチングリレー36−1〜36−6は、図10に示すように、合金部分253の電気抵抗を測定するように、太陽電池セル10における接続箇所を切り替える。これにより、例えば、電極252、251間の電気抵抗が所定の閾値以上であれば、合金部分253の接合がうまく形成されていないことを特定できる。すなわち、実施の形態1によれば、部分照明を用いる方法では発見できない太陽電池セルに配置される電極部分の性能評価も可能となる。
【0042】
実施の形態2.
実施の形態2にかかる評価装置200について図11を用いて説明する。図11は、評価装置200における、評価対象である太陽電池セル10と測定系との接続方式を表した図である。図11において太陽電池セル10の電気特性を測定する際には、受光面21側に接続される受光面側プローブ治具20−1、20−2と、裏面24側に接続される裏面側接続プレート202とで接続を行う。裏面側接続プレート202には、図12に示すような区切り枠2021及び複数の導体部2022が配置されている。区切り枠2021は、例えば絶縁物によって形成されており、複数の導体部2022間を互いに絶縁性を保った状態で区切りながら保持するように格子状に延びている。これにより、複数の導体部2022は、互いに絶縁されている。
【0043】
また、複数の導体部2022には、各々配線が施され、電流計測回路34および電圧計測回路35へと実施の形態1と同様のスイッチングリレー36−3、36−4(図3参照)を介して直列に接続される。本構成とすることで、受光面側プローブ治具20−1、20−2および裏面側接続プレート202と太陽電池セル10との接続については実施の形態1と同様の評価方法を実施することが可能となる。また、本形態とする場合には各導体部2022の大きさを細かくすることで、欠陥箇所の特定精度を細かくすることが可能となる。
【0044】
なお、複数の導体部2022と電流計測回路34との接続箇所を切り替えるためのスイッチングリレーは、実施の形態1と同様のスイッチングリレー36−3、36−4に代えて、複数の導体部2022から2次元的に少なくとも2つを選択して電流計測回路34へ接続されるようなものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0045】
以上のように、本発明にかかる評価装置は、太陽電池セルの電気特性の評価に有用である。
【符号の説明】
【0046】
1 擬似太陽光
10 太陽電池セル
20−1〜20−4 プローブ治具
21 受光面
22 細線電極
23 バスバー電極
24 裏面
25 電極
27−1〜27−4 本体
31a−1〜31d−4 第1の接続端子
32−1〜32−4 第2の接続端子
33 直流可変電源
34 電流計測回路
35 電圧計測回路
36−1〜36−6 スイッチングリレー
51 欠陥箇所
52 電流の向き
61 断線箇所
111 I−V波形
112 I−V波形
201 プローブ治具
202 接続プレート
251 電極
252 電極
253 合金部分
2021 区切り枠
2022 導体部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池セルの電気特性を評価するための評価装置であって、
互いに絶縁されており、前記太陽電池セルにおける異なる接続箇所と電流計測回路とをそれぞれ接続する複数の第1の接続端子と、
前記太陽電池セルと電圧計測回路とを接続する第2の接続端子と、
前記太陽電池セルにおける接続箇所を切り替えるように、前記複数の第1の接続端子から少なくとも2つの第1の接続端子を選択し、前記少なくとも2つの第1の接続端子を介して前記電流計測回路を前記太陽電池セルに直列に接続させる切替機構と、
を備えたことを特徴とする評価装置。
【請求項2】
前記切替機構は、前記太陽電池セルにおける欠陥箇所を特定するように、前記太陽電池セルにおける接続箇所を切り替える
ことを特徴とする請求項1に記載の評価装置。
【請求項3】
前記切替機構は、前記太陽電池セルにおける電極の断線不良を検知するように、前記太陽電池セルにおける接続箇所を切り替える
ことを特徴とする請求項1に記載の評価装置。
【請求項4】
前記太陽電池セルは、
第1の導電体で形成された第1の電極と、
第2の導電体で形成された第2の電極と、
前記第1の電極及び前記第2の電極を接続する合金部分と、
を有し、
前記切替機構は、前記合金部の電気抵抗を測定するように、前記太陽電池セルにおける接続箇所を切り替える
ことを特徴とする請求項1に記載の評価装置。
【請求項5】
前記複数の第1の接続端子は、
前記太陽電池セルの受光面における異なる接続箇所と電流計測回路とをそれぞれ接続する複数の受光面側接続端子と、
前記太陽電池セルの裏面における異なる接続箇所と電流計測回路とをそれぞれ接続する複数の裏面側接続端子と、
を有し、
前記切替機構は、前記複数の受光面側接続端子における受光面側接続端子と前記複数の裏面側接続端子における裏面側接続端子とを選択し、前記選択された受光面側接続端子と前記選択された裏面側接続端子とを介して前記電流計測回路を前記太陽電池セルに直列に接続させる
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の評価装置。
【請求項6】
前記複数の裏面側接続端子は、前記太陽電池セルの裏面側に配されたプレートにおける格子状の絶縁体で区切られ互いに絶縁された複数の導体部を含む
ことを特徴とする請求項5に記載の評価装置。
【請求項7】
互いに絶縁されており、前記太陽電池セルにおける異なる接続箇所と電流計測回路とをそれぞれ接続する複数の第1の接続端子と、前記太陽電池セルと電圧計測回路とを接続する第2の接続端子とを用いて、太陽電池セルの電気特性を評価するための評価方法であって、
前記太陽電池セルにおける接続箇所を切り替えるように、前記複数の第1の接続端子から少なくとも2つの接続端子を選択し、前記少なくとも2つの接続端子を介して前記電流計測回路を前記太陽電池セルに直列に接続させる切替工程を備えたことを特徴とする評価方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−231006(P2012−231006A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−98257(P2011−98257)
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】