説明

試料からの病原体の捕獲およびアウリントリカルボン酸除去のための物質および方法

本発明は、病原体を閉じこめたフィブリン凝集体を形成する工程、および分析のために病原体を曝露するフィブリン溶解試薬を導入する工程を含む、血液などの試料から感染性病原体を抽出するための方法および物質に関する。フィブリン溶解試薬は好ましくは、フィブリン溶解試薬が必要とされるまで、一致した関係で冷凍されたプラスミノーゲンおよびストレプトキナーゼによって構成され、それにより、解凍するとすぐにストレプトキナーゼはプラスミノーゲンと酵素的に反応し、プラスミンを形成する。好ましくは冷凍前に、NaClおよびNa3PO4を含む食塩水溶液にプラスミノーゲンを懸濁する。
本発明は、核酸組成物を含む試料からATAを効率的に除去するための物質および方法にも関する。本方法は、RT-PCR反応および逆転写酵素が関与するその他の反応が実施できるように十分にATA非含有の核酸組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、助成第DAAD13-01-C-0045号の下、米国陸軍および生物化学司令部(biological chemical command)の援助を受けて行われた。政府は本発明に対し一定の権利を有しうる。
【0002】
関連出願の相互参照
本発明は、2003年8月15日に提出された米国特許出願第10/604,779号および2004年1月14日に提出された米国仮出願第60/481,892号の恩典を主張し、その開示内容全体が参照として本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
生物テロ(BT)および生物戦争の脅威が、臨床現場への課題を提示しているが、これには、BT物質を検出するための高速かつ高感度な技術が最適である。末梢血試料は、感染性生物種の濃度が低い場合でも検出できるようであれば、生物攻撃の初期的および特異的な臨床的および疫学的な管理に貢献するだろう。確実かつ最近感染した不安な患者は、初期薬理学的介入によって心理学的にも物理学的にも利益を受けるだろう。
【0004】
炭疽菌(Bacillus anthracis)またはペスト菌(Yersinia pestis)による感染はしばしば、最初は、非特異的な発熱性の症状または流感に似た症状を提示する。炭疽菌の吸入に関連する縦隔炎は、リンパ管が生物種でいっぱいになると、最終的には杆菌の血液への進入をもたらす。菌血症(血液中に細菌が存在する状態)および敗血症(病原性細菌による体組織の侵襲)が開始されると、杆菌数は急速に増え、48分ごとに倍になり、ほとんどの場合患者の死につながる。
【0005】
患者の血液試料に対する微生物学的試験が、肺ペストの診断に有用であることが報告されている。ペスト菌杆菌が末梢循環血液中に存在する可能性は、PCRアッセイが有用な診断ツールになりうることを示唆している。肺ペストまたは吸入炭疽菌を試験することは、「流感に似た」症状(倦怠感、熱、咳、胸の痛み、および短い呼吸)を示す健康な患者が、その他の非特異的な症状を伴う可能性のある場合に有効である。しかし、検出の成功の可能性を最大にするためには、感染生物種の検出は、循環する細菌の濃度がとても低い、疾患プロセスの初期に行われなければならない。
【0006】
全血からの病原体DNAの抽出には、典型的には患者試料を各調製事象あたり200μl〜500μl必要とする。初期の菌血症の検出は、患者血液の6mlチューブ全体を単独の試料調製事象に用いることで改善される。従来技術文献は、血液成分の選択的溶解を生かす単独チューブ血液培養系、次いで、固形培地へのプレーティングのための細菌ペレットへの遠心分離を記載している。この技術は、微生物学的試験と併せて詳細に検討されている。
【0007】
フィブリンは、繊維ネットワークを形成する血液から沈殿させた、不溶性のタンパク質である。インビボでは、このプロセスは血液凝固の中核を成す。フィブリンは、フィブリノーゲン末端ペプチドのタンパク分解性開裂によって作り出される。血液の実験室分析において、血液が遠心分離されると、フィブリン凝集体(ペレット)がチューブの底に回収される。フィブリン凝集体の中に、病原体が閉じこめられる。これらの病原体の分析が非常に望ましい。しかし、コンクリート舗装に埋め込まれたコインのように、捕獲された病原体はフィブリン凝集体に閉じこめられ、大部分が分析から隠れている。危険な病原体に曝露した可能性のある個体にとって時間は重要であり、捕獲された病原体の迅速な同定は最優先事項である。
【0008】
プラスミンは、フィブリンをフィブリノーゲンモノマーに変換できる血中物質である。プラスミノーゲンは血中プラスミンの前駆体である。ストレプトキナーゼはプラスミンを形成するためにプラスミノーゲンを活性化させる酵素である。プラスミノーゲンおよびストレプトキナーゼの組み合わせは、血液成分および細菌(末梢循環中に正式に存在する)を含むフィブリン凝集体存在下で、フィブリン凝集体の液体状態への変換を可能にする。
【0009】
この変換は、血液培養、抗体に基づく試験、または核酸配列に基づく試験(逆転写PCR、PCR、NASBA、TMAなど)を通じての、迅速且つ効率的な病原体の分析を容易にする。
【0010】
上述の反応にDNA分解酵素(DNAヌクレアーゼ)を添加することで、ヒトDNAは短い断片へと変換される。このようなヒトDNAの短い断片への変換は、DNA抽出の際の、より迅速かつ効率的なタンパク質加水分解プロセスに貢献する。このようなヒトDNAの短い断片への変換は、細菌DNAが保護されている間に行われる。ヒトDNAの短い断片は、DNA抽出プロセスを通して効率悪く運ばれ、そのため総DNA産物のうち小さな割合を占める。結果として、ヒトDNAレベルの低下は、核酸に基づく反応に対する阻害性分を殆ど提示しない。
【0011】
アウリントリカルボン酸 (ATA)は、強力なリボヌクレアーゼ阻害剤が文献において示唆された高分子陰イオンである。化合物は今まで、RNA種を組織試料から抽出する目的において、試料溶解緩衝液の添加物として記載されてきた。そのような工程において得られた核酸抽出物は、ハイブリダイゼーションおよびゲル電気泳動による分析に適していることが示されている。しかし、ATAは、RNA種のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)検出に必要不可欠な逆転写酵素の協力な阻害剤である。公表されている、核酸含有組成物からATAを除去するための手順は、ATAのほんの一部分しか排除または除去できない、クロマトグラフィー的な手順を中心に展開してきた。
【0012】
プロテイナーゼK溶解緩衝液中でのATAの使用は、潜在的には、1)カオトロピック塩(PCRの結果に証明されるように、プロテイナーゼK駆動性タンパク質加水分解の効率を減少させる傾向があるため);2)タンパク質に基づくリボヌクレアーゼ阻害剤(これらの阻害剤がプロテイナーゼKによって分解されるため);および、3)EDTA(これらヌクレアーゼに用いられる二価陽イオンのキレート化を介して、間接的にしかヌクレアーゼを阻害しない)よりも優れている。実際、酵素的なDNA加水分解が実施されるRNA調製物に、二価陽イオンを添加する必要がある。従来技術において、いったん添加すると、下流の逆転写PCR(RT-PCR)反応が機能するほどに、下流の核酸抽出物からATAを完全に除去することができる方法は示されていない。
【0013】
大量(1〜10ml)の全血試料を処理するための溶解緩衝液においてATAを用いる方法もまた、従来技術に記載されていない。この方法では、いくつかの試薬添加工程の後、1つの分析事象において全血試料を使用し、直接RNAアレイハイブリダイゼーションに移行することで、結果としてRNA抽出および増幅をバイパスする。
【0014】
米国特許出願第10/604,779号に詳述される、ヒアルロン酸に対して機能するようにされた生理活性ペプチドを用いる、病原体捕獲と組み合わせたATA含有混合物で処理された血液試料を使用する方法もまた、従来技術に記載されておらず、ここでヒアルロン酸は次に、高分子導波管として作用する。
【0015】
ヒアルロン酸高分子導波管のマトリックス上での、生理活性ペプチドまたはRNA種アニーリングを介した病原体捕獲部位におけるレポーター分子で標識されたフィブリノーゲンの不溶性フィブリンへの変換を誘発するために、生理活性ペプチドまたはRNA種アニーリングを介した病原体捕獲部位においてカルシウムを放出させる方法もまた、従来技術に記載されていない。
【0016】
ATAは、米国特許出願第10/604,779号に含まれる様々な態様において用いられる、高レベル(>100 U/ml)のDNA分解酵素Iを含む試薬によって処理された血液試料中に細菌が存在する場合に、細菌DNAの保護において重要な機能も果たす。米国特許出願第10/604,779号に記載の技術によって達成できるものよりも優れたRNA検出能力を達成するため、および追加の工程や必要条件なしで達成するために、本発明は、米国特許出願第10/604,779号に記載の血液試料処理技術と、ならびに、シリカなどの捕獲マトリックス存在下でグアニジンチオシアネートなどのカオトロピック塩を用いるまたは粗試料から核酸を濃縮するために沈殿法を用いる従来の核酸抽出技術法と組み合わせて用いられる。
【0017】
したがって、当技術分野には、1)大量の血液から分析物粒子を露出させ、(遠心分離、ろ過、または捕獲を介して)急速に濃縮するために分析物粒子(細菌、ウイルス、真菌、毒素、代謝マーカー、病状マーカー、または化学物質)を傷つけることなく幅広い血液成分の構成要素(赤血球、白血球、核膜、フィブリン、および宿主核酸)を破壊および可溶化する方法に対する、2)自動化および携帯用システムに使用できる単一工程の酵素-界面活性剤カクテルを用いた、大量の血液試料中に存在する宿主DNAおよびマトリックス関連バイオマスの除去に対する、ならびに、3)核酸抽出、バイオセンサー試験、または液体クロマトグラフィーによる分離および質量分析に関する既存のマニュアルまたは自動化プロセスと組み合わせることができる分析物粒子を濃縮する方法に対する需要が未だ存在する。
【発明の開示】
【0018】
発明の概要
本発明は、多量の血液などの試料から感染性病原体を抽出する方法および物質に関し、病原体を閉じこめたフィブリン凝集体を作製する工程、ならびに、DNA抽出を容易にするために、フィブリン溶解試薬を導入することで分析用病原体およびDNA分解酵素を曝露する工程を含む。フィブリン溶解試薬は、必要とされるまで一致した関係(coincident relation)で冷凍された、DNA分解酵素、プラスミノーゲン、およびストレプトキナーゼによって構成されてよく、それによって、解凍されてフィブリン試料に導入されるとすぐに、ストレプトキナーゼはプラスミノーゲンと酵素的に反応してプラスミンを形成する。好ましくはプラスミノーゲンは、冷凍前にNaClおよびNa3PO4を含む食塩水溶液に懸濁される。フィブリン溶解試薬は好ましくはDNA分解酵素およびホスホリパーゼA2で構成される。DNA分解酵素は、前述のプロトコルの結果得られるペレット状血液成分の化学的および物理的な破壊を容易にするために用いられる。ホスホリパーゼA2 は、リン脂質二重層を破壊することで核膜を結果的に崩壊させて、ヒトDNAの消化を助けるために用いられる。
【0019】
本発明は、核酸組成物からなる試料などの試料から効率的にATAを除去するための物質および方法に関する。本方法は、RT-PCR反応および逆転写酵素が関与するその他の反応が実施できるほど充分にATA非含有である核酸組成物を提供する。
【0020】
本発明はまた、乾燥されて本発明に記載されるようなその他の乾燥成分と組み合わされた、ATA、塩化マグネシウム、リン酸カリウム、および塩化ナトリウムの混合物のための物質および方法にも関する。
【0021】
本発明はまた、任意でEDTA、クエン酸ナトリウム、および塩化ナトリウムを含む尿素、ジエチレントリアミン5酢酸(DTPA)溶液を、少なくとも600℃まで4時間加熱し、続いて乾燥してプロテイナーゼKおよび任意でメチル6-O-(N-ヘプチルカルバモイル)-α-D-グルコピラノシドと組み合わせるための物質および方法、ならびに、カオトロピック塩または核酸沈殿とそれに続く遠心分離に基づく既存の従来技術の方法によって製造される核酸抽出物からATAを除去するためのこの試薬の使用、または処理された全血試料から直接RNA種を下流でハイブリダイゼーションさせるための本明細書に記載の方法にも関する。
【0022】
本発明はまた、製造過程で600℃より高温で4時間熱処理され、かつ上記の試料の処理およびそれに続く尿素を分解するためのウレアーゼとの組み合わせ、続いてRNAアレイ分析に用いられる、尿素/DTPA試薬にも関する。
【0023】
本発明はまた、本明細書に記載されているように、ヒアルロン酸上で機能するようにされた生理活性ペプチドを用いて病原体を捕獲するための物質および方法にも関し、ここでヒアルロン酸は次々に高分子導波管として作用する。
【0024】
本発明はまた、ヒアルロン酸高分子導波管のマトリックス上での、生理活性ペプチドまたはRNA種アニーリングを介した病原体捕獲部位においてレポーター分子で標識されたフィブリノーゲンの不溶性フィブリンへの変換を誘発するために、生理活性ペプチドまたはRNA種アニーリングを介して病原体捕獲部位においてカルシウムを放出させる方法にも関する。
【0025】
本発明はまた、本明細書に記載されるもののように、ビオチンおよびストレプトアビジンを用いて架橋されかつ生理活性ペプチドと機能するようにされたヒアルロン酸マトリックスを、病原体の溶出を容易にするために、ヒアルロニダーゼによってその後分解できるような物質および方法にも関する。
【0026】
発明の詳細な開示
本発明は、多量の血液などの生物試料から感染性病原体を抽出する方法に関し、病原体を閉じこめたフィブリン凝集体を製造する工程、ならびにフィブリン溶解試薬を導入することで分析用病原体およびDNA分解酵素を曝露してDNA抽出を容易にする工程を含む。フィブリン溶解試薬は、フィブリン溶解試薬が必要となるまで一致した関係で冷凍された、DNA分解酵素、プラスミノーゲン、およびストレプトキナーゼで構成されてもよく、これによりストレプトキナーゼは、解凍およびフィブリン試料への導入の際にプラスミノーゲンと酵素的に反応し、プラスミンを形成する。好ましくは、プラスミノーゲンは冷凍前に、NaClおよびNa3PO4含有食塩水溶液に懸濁される。フィブリン溶解試薬は、好ましくは、DNA分解酵素およびホスホリパーゼA2で構成される。DNA分解酵素は、上述のプロトコルの結果生じるペレット状の血液成分の化学的および物理的な破壊を容易にするために用いられる。ホスホリパーゼA2は、リン脂質二重層を壊し、その結果核膜を破壊するヒトDNAの消化を助けるために用いられる。
【0027】
本発明は、血液成分の可溶化を助けるためにリン酸カリウムを用いた、緩衝液への乾燥酵素の再懸濁を用いる。ストレプトキナーゼおよびプラスミノーゲンを、血液試料の添加直前まで緩衝液と混合してはならない。リン酸カリウムのpH範囲は約7.8〜8.0であり、7.2〜7.6の効果的pH範囲を請求する従来技術と異なる。従来技術は、真の緩衝液として作用させるために、pHの低いリン酸塩イオン溶液を使用する。しかし本方法は、最適なホスホリパーゼA2活性およびマグネシウムの可溶性を可能にする。マグネシウムは、DNA分解酵素の存在下におけるホスホリパーゼA2活性を駆動する二価陽イオンとして、緩衝液中に存在する。従来技術は、ホスホリパーゼA2活性を駆動するための古典的な二価陽イオンとしてカルシウムを使用するが、カルシウムは血液成分の可溶化に不可欠なリン酸イオンと適合性がない。
【0028】
本発明の一つの態様は、血液試料中の病原体を露出させるために、酵素-界面活性剤の組み合わせを導入することで、多量の血液試料からプリオン、毒素、代謝マーカー、がん性物質、病状マーカー、細菌、ウイルス、および真菌などの粒子を濃縮および抽出する工程、ならびに抽出を介してただちに確認できるようになった粒子について血液試料を分析する工程を含む。酵素-界面活性剤は、プラスミノーゲンおよびストレプトキナーゼを含むフィブリン溶解試薬であってよい。プラスミノーゲンおよびストレプトキナーゼは、フィブリン溶解試薬が必要とされるまで、一致した関係で冷凍されていてよい。ストレプトキナーゼはその後、解凍によってプラスミノーゲンと反応し、プラスミンを形成する。冷凍前に、プラスミノーゲンを食塩水溶液に懸濁してもよい。適切な食塩溶液は、NaCl、NaPO4などを含んでもよい。分析を促進するために、粒子をポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって複製してもよい。
【0029】
DNA分解酵素を導入することにより、DNAが短い断片に変換されることによってプロセスが容易になり、それによりDNA抽出中のより迅速かつ効率的なタンパク質加水分解プロセスに貢献し、かつ阻害的ヒトDNAの負担を低くする。同様に、エンドヌクレアーゼの導入は、類似の利点をもたらす。
【0030】
冷凍する代わりに、酵素-界面活性剤は、フィブリン溶解試薬として乾燥ストレプトキナーゼおよび乾燥プラスミノーゲンを含んでもよい。乾燥試薬は次に、混合され、使い捨ての試験容器に分配されてもよい。この態様は、高性能の実験設備や対照が手に入らない状況における野外試験で特に有用である。
【0031】
プラスミノーゲンは、ホスホリパーゼA2、DNA分解酵素、エンドヌクレアーゼ、リパーゼ、およびそれらの組み合わせと組み合わせてもよい。。乾燥酵素-界面活性剤の組み合わせをトレハロース緩衝液のペレットに懸濁させ、乾燥試薬としてチューブ内に梱包してもよい。次いで、乾燥試薬を緩衝液に再懸濁し、1〜10ml量の血液に添加し、室温で5〜20分インキュベートしてもよい。具体的には、乾燥試薬は約1,500〜4,500KUのホスホリパーゼA2、約5,000〜10,000Uのストレプトキナーゼ、約2〜10Uのプラスミノーゲン、約200〜3,650UのDNA分解酵素、約200〜4,000Uのエンドヌクレアーゼ、および約10,000〜100,000のリパーゼを含む。
【0032】
溶液を5,000〜5,500×gで約20分間、10〜20℃の温度で遠心分離し、上清をデカントし、ペレットを洗浄する。ペレットを、エコタイン(Ecotine)/20mM HEPES pH7.7の10〜20mM溶液および/またはスクロース/20mM HEPES pH7.7の10〜20mM溶液で3回洗浄する。次いで、得られた試料を市販の核酸抽出法に適用してもよい。
【0033】
試料の消化は、溶解およびDNA分解酵素不活化、または溶解およびエンドヌクレアーゼ不活化を含んでもよい。12.5〜25mgプロテイナーゼK、1〜105% SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)、10〜200mM アウリントリカルボン酸、および10〜20mM クエン酸ナトリウム緩衝液pH7.8〜8.4を用いることが出来、溶液は室温で10分間インキュベートしてもよい。次いで、試料を0.22〜0.45μmフィルターユニットでろ過し、10〜200mM アウリントリカルボン酸で洗浄し、溶解およびDNA分解酵素不活化および/またはエンドヌクレアーゼ不活化によって消化し、精製する。
【0034】
試料の消化は、12.5〜25mgプロテイナーゼK、1〜1.5%SDS、10〜200mMアウリントリカルボン酸、および10〜20mMクエン酸ナトリウム緩衝液を組み合わせる工程、室温で10分インキュベートする工程、ならびに3.5〜4.2MグアニジンイソチオシアネートpH6.4の添加により溶菌液をフィルター表面から溶出する工程を含んでもよい。
【0035】
溶液を直接バイオセンサー装置に適用してもよく、ここで、血液試料中の病原体の存在に反応して、患者に病原性または先天性のの病状マーカーが発生し、これは、バイオセンサー装置によるこれらのマーカーの捕獲および検出を可能にする。あるいは、溶液を直接液体クロマトグラフィー質量分析装置に適用してもよく、それにより、血液試料中の病原体の存在に反応して、患者に病原性または先天性のの病状マーカーが発生し、これは、質量分析装置を用いた病原体の構造的構成要素に関連する質量サイン(mass signature)の検出を可能にする。
【0036】
緩衝液は、界面活性剤および塩を含んでもよい。これは、pH7.8〜8.0の範囲内での10〜30mMリン酸カリウムの導入、二価陽イオンとしての10〜80mM塩化マグネシウムの添加によるホスホリパーゼA2活性の駆動、20〜150mM塩化ナトリウムの添加、およびDNA分解酵素インキュベーションプロセス中に10〜200mM アウリントリカルボン酸を含めることにより、血液成分の可溶化を助けることによって達成され得る。緩衝液はまた、1.0〜1.2%トリトンX-100を含んでもよい。追加の工程は、20〜35mMメチル6-O-(N-ヘプチルカルバモイル)-α-D-グルコピラノシドおよび0.05〜0.1%サポニンを組み合わせる工程;ならびにトレハロース緩衝液を用いて酵素を保存する工程を含んでもよい。酵素の保存は、メチル6-O-(N-ヘプチルカルバモイル)-α-D-グルコピラノシドと組み合わせたトレハロース緩衝液を用いることで達成される。トレハロース保存緩衝液は、10mMリン酸カリウム、0.01〜0.04%トリトンX-100、1〜5mMジチオスレイトール、および0.3〜0.5 Mトレハロースを含む。
【0037】
図1において、患者に採血30が実施される。PBS(pH7.4)および1.2%トリトンX-100の溶液を添加し、血液をボルテックスおよび遠心分離40することで15mlチューブ50中にペレット60を形成させる。好ましくは、細菌、ウイルス、真菌、がん細胞、プリオン、毒素などの粒子を捕獲してこれらの粒子の密度の増加に貢献するために、PBS/トリトンX-100溶液と共に、樹脂、金属水酸化物、および/またはナノ物質を添加してもよい。粒子密度の増加は、遠心分離中の運転速度の低下を可能にする。
【0038】
上清をデカントすることで、フィブリン凝集物が残る。本発明のフィブリン溶解試薬70をチューブ50に添加し、それによりフィブリン凝集物を溶解して、分析のために病原体65が露出されたままになる。病原体DNAを抽出するために、病原体65をボルテックスし、遠心分離し、溶解に供する。次いでDNAは複製90され、疑わしい病原体の同定のために分析100される。
【0039】
本発明の別の態様において、装置を用いて遠心分離の必要性を回避できる。装置は、魚のえらに似た柔軟な電極を用いて粒子(細菌、ウイルス、がん性細胞、プリオン、または毒素など)を収集する。電極はまた、これらの粒子が付着した樹脂およびナノ物質を収集するためにも用いられる。装置は、表面上の泡に似ている。病原体の捕獲を促進するために、電位が用いられる。装置は、内容物の効率的な除去を可能にするために、圧縮されてもよい。装置は、好ましくは次の特性を有する: (1)硬い基底層および柔軟な上層、(2)上層または下層に装備される柔軟なえら、(3) 細菌、ウイルス、真菌、毒素、代謝マーカー、病状マーカー、または化学物質などの粒子を誘引する生理活性ペプチド、抗体、アプタマー、分子インプリントポリマー、または金属によって機能するようにされたストレプトアビジンおよびヒアルロン酸鎖が、柔軟なえら状電極(gill electrode)上に沈渣される、(4)柔軟な層には電極が沈渣される、(5)えら状電極の対向電極は逆サイドに存在する、(6)装置のデッドボリュームの平均は300μlである(装置から物質を絞り出した後の装置中には残存物質がないことが好ましい)、ならびに(7)ポリイミドが柔軟な部分を形成し、電極はPt、Au、または炭素から作られる。装置は好ましくは次のように用いられる:(1)装置に液体を注ぎ、同時に電圧を加える;(2)化学物質を加え装置を加熱する;および(3)内容物を全て除去するために装置を絞る。装置は、分光光度法、質量分析法、抗体、培養物、または核酸(例えばPCR、NASBA、TMA)に基づく検出系を用いて粒子(細菌、ウイルス、がん性細胞、プリオン、または毒素など)の分析用試料を調製するために用いられる。
【0040】
ストレプトキナーゼ、プラスミノーゲン、ホスホリパーゼA2、DNA分解酵素、およびリパーゼの群から選択される酵素を含むトリトンX-100/PBS/マグネシウム溶液で処理された血液から粒子をろ過するために、ろ過装置を用いてもよい。ストレプトキナーゼ、プラスミノーゲン、ホスホリパーゼA2、DNA分解酵素、およびリパーゼの群から選択される酵素と、メチル6-O-(N-ヘプチルカルバモイル)-α-D-グルコピラノシド、サポニン、およびPBS/マグネシウムとの組み合わせによって処理された血液から粒子をろ過するためにも、ろ過装置を用いることが出来る。酵素および界面活性剤の処理試薬および任意の分解された残存血液成分を洗い落とすことで、分析またはさらなる処理に粒子を用いる準備が整う。
【0041】
フィブリン溶解試薬を調製する一つの態様が、図2のプロトコル1として示されており、ここで、NaCl、MnCl、DTT、DNA分解酵素、およびプラスミノーゲンを混合チューブ110に加える。次いで、混合チューブ110にリン酸ナトリウムを加え、溶液を氷上の1.5ml試薬チューブ120に分配する。試薬チューブ120を約20分間、-75℃に冷凍する。およそ2,700Uのストレプトキナーゼ130を試薬チューブ120の壁面の冷凍されたプラスミノーゲン溶液の直ぐ上に加える。
【0042】
図3〜6は、CDCプロトコル#CDC.DFA.1.2に従って生育し、15%グリセロールTSB中で保存し、-75℃で冷凍させた被包性で植物性の非病原性炭疽菌(Bacillus anthracis)を播種した血液試料の試験により得られたPCR結果を提供する。37℃でTSB中で生育され、15%グリセロールTSB中で冷凍され、かつ-75℃で冷凍された、非病原性ペスト菌(Yersinia pestis)。細菌回収時に細菌数を試験し、試料スパイク(sample spike)時にも再試験した。
【0043】
ヒト血液6mlあたりの炭疽菌CFU平均についての図は、比較(side-by-side)冷凍後希釈事象において生じた標準偏差が大きいことをふまえて、冷凍後試験から得た。有意な細胞死は確認されず、予想もされなかった。最悪の状況において論理的に予想される最大の細胞死率は30%である。保守的なアプローチにより、炭疽菌CFU計算値は全て、30%増加すると考えられる。
【0044】
血液6mlあたりのペスト菌CFU平均についての図は、冷凍前試験から得られた。冷凍前計数の標準偏差の低さは繰り返されており、冷凍後試験との一致により、冷凍前細菌数の使用が可能になる。これは、この生物種の保存および希釈から得られる、予測可能な結果を受けて使用できる、保守的なアプローチである。
【0045】
本発明は、繰り返し可能な形で、最長で生後3ヶ月までの患者の血液試料を用いて、炭疽菌などの病原体のPCR試験に適したDNA分析物を産生する。Becton Dickinson Vacutainer(表1および2)に回収された6mlの血液を用いる場合、ヒト血液1mlあたり<10 CFUにおける感度は100%である。このプロトコルはまた、この生物種に関して集められたより限定されたデータに準ずる4つのオリゴセットのうち少なくとも1つについて、1mlあたり<10 CFUにおける感度100%で、ペスト菌の検出も可能にする(表3)。CDCは、ペスト菌に関して、許容可能なPCRシグナルを2つのオリゴセットが発生させないかぎり、試料を陽性とはみなさないことに留意されたい。
【0046】
プロトコル1によると、図7は、本発明の抽出試薬の好ましいセットアップ法を示す。図8〜9は、本発明による細菌回収およびフィブリン溶解の方法を示す。図10〜13は、本発明による細菌の溶解法および核酸抽出の好ましい方法を示す。
【0047】
別の態様において、図14〜図16Bに示されるように、ストレプトキナーゼおよびプラスミノーゲンはそれぞれ、乾燥粉末にされ、混合され、次いで使い捨てのチューブに分配される。別の態様において、ホスホリパーゼA2、プラスミノーゲン、DNA分解酵素、またはエンドヌクレアーゼ、およびリパーゼは、トレハロース緩衝液のペレットに懸濁され、乾燥される。ホスホリパーゼA2が好ましいが、細菌の細胞壁またはウイルスのコーティングを無傷に保ちながら核膜を破壊する任意の酵素も用いることができる。ストレプトキナーゼは同様に、トレハロース緩衝液のペレットに懸濁され、乾燥される。少なくとも1つのプラスミノーゲンペレット、および1つのストレプトキナーゼペレットが、乾燥試薬としてチューブ内に梱包される。
【0048】
本発明の乾燥試薬を、約10〜30mMリン酸カリウム、約10〜80mM塩化マグネシウム、約20〜150mM塩化ナトリウム、約10〜200mMアウリントリカルボン酸、および約1.0〜1.2%トリトンX-100を含む、10ml緩衝液溶液に再懸濁してもよい。アウリントリカルボン酸は、ヒトDNAの消化を妨げることなく細菌核酸をある程度保護することが証明されている。アウリントリカルボン酸の使用は、従来のヒトDNA消化法には記載されていない。メチル6-O-(N-ヘプチルカルバモイル)-α-D-グルコピラノシドおよびサポニンは、トリトンX-100に代替できる。一つの態様において、メチル6-O-(N-ヘプチルカルバモイル)-α-D-グルコピラノシドは20〜35mMで使用され、サポニンは0.05〜0.19の濃度で使用される。メチル6-O-(N-ヘプチルカルバモイル)-α-D-グルコピラノシドは、ホスホリパーゼA2、プラスミノーゲン、DNA分解酵素I、およびリパーゼと共に、トレハロース保存緩衝液中に保存される。トリトンX-100をメチル6-O-(N-ヘプチルカルバモイル)-α-D-グルコピラノシドおよびサポニン溶液に置換することは、ホスホリパーゼA2の効率的な活性を可能にし、変性を生じさせることなくタンパク質凝集体を分解する作用を提供し、かつトリトンX-100よりも細菌壁に優しい。この組み合わせにおけるサポニンおよびメチル6-O-(N-ヘプチルカルバモイル)-α-D-グルコピラノシドの使用は、従来技術には記載されていない。トレハロース保存緩衝液は、10mMリン酸カリウムpH7.4、0.01〜0.04%トリトンX-100またはメチル6-O-(N-ヘプチルカルバモイル)-α-D-グルコピラノシド、1〜5mMジチオスレイトール、および0.3〜0.5トレハロースを含んでもよい。緩衝液および酵素の混合物は、次に、ただちに10ml血液試料と混合されるが、これは1mlにまでスケールダウンしてもよい。試料は次いで、室温で5〜10分間インキュベートされる。前述の構成要素は、さもなくばフィルターを詰まらせ、バイオセンサーまたは質量分析装置を損傷させ、かつ核酸抽出を妨げる特定の微粒子を最小限にすることで、血液成分の可溶化を助ける。可溶化は、ヒトDNAが効率的に消化されている間で、ウイルスおよび/または細菌のDNAが無傷のままである時に起きる。
【0049】
プロトコル2および4によると、好ましい酵素の組み合わせは、ストレプトキナーゼ、プラスミノーゲン、DNA分解酵素またはエンドヌクレアーゼ、ホスホリパーゼA2、およびリパーゼからなる。あるいは、ストレプトキナーゼ、プラスミノーゲン、DNA分解酵素またはエンドヌクレアーゼ、およびホスホリパーゼA2からなる酵素の組み合わせを用いることもできる。別の組み合わせとして、DNA分解酵素またはエンドヌクレアーゼ、ホスホリパーゼA2、およびリパーゼに加えて、ストレプトキナーゼ、プラスミノーゲン、DNA分解酵素またはエンドヌクレアーゼを用いることができる。DNA分解酵素またはエンドヌクレアーゼと組み合わせたホスホリパーゼA2も、さらなる別の代替物である。後半の3通りの組み合わせの有効性が等しいことが分かっている。
【0050】
プロトコル3によると、好ましい酵素の組み合わせは、ストレプトキナーゼ、プラスミノーゲン、DNA分解酵素またはエンドヌクレアーゼ、ホスホリパーゼA2、およびリパーゼからなる。あるいは、ストレプトキナーゼ、プラスミノーゲン、DNA分解酵素またはエンドヌクレアーゼ、およびホスホリパーゼA2からなる酵素の組み合わせを用いることもできる。別の代替的な組み合わせとして、ストレプトキナーゼ、プラスミノーゲン、DNA分解酵素またはエンドヌクレアーゼを用いることができる。
【0051】
プロトコル2と共に図14に示されるとおり、試料をインキュベーション後、5,000〜5,500×gで約20分間、10〜22℃の間で遠心分離する。次いで、上清をデカントし、エコタイン/20mM HEPES pH7.7の10〜20mM溶液、および/またはスクロース/20mM HEPES pH7.7の20〜30mM溶液によってペレットを3回洗浄する。
【0052】
あるいはインキュベーション後、プロトコル2の試料を同様に遠心分離し、上清をデカントした後で、試料の溶解、ならびに、約12.5〜25mgプロテイナーゼK、約1〜1.5%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、約10〜200mMアウリントリカルボン酸、および約10〜20mMクエン酸ナトリウム緩衝液pH7.8〜8.4を用いたDNA分解酵素またはエンドヌクレアーゼの不活化を行う。試料を室温で約10分間インキュベートする。次いで消化された試料を、図14bに示される任意の市販の核酸抽出方法に適用することができる。
【0053】
プロトコル3として図15に描かれるさらに別の代替物として、試料を0.22〜0.45μmフィルターユニットでろ過し、約10〜200mM アウリントリカルボン酸10〜20mlで洗浄する。次いで試料を溶解し、DNA分解酵素またはエンドヌクレアーゼを不活化する。試料の溶解およびDNA分解酵素またはエンドヌクレアーゼ不活化は、約12.5〜25mgプロテイナーゼK、約1〜1.5% SDS、約10〜200mMアウリントリカルボン酸、および約10〜20mMクエン酸ナトリウム緩衝液を用いることで達成される。次いで試料を室温で約10分間インキュベートする。フィルター表面から溶解物を溶出するために、約3.5〜4.2MグアニジンイソチオシアネートpH6.4の添加が必要である。核酸抽出物はその後、市販の方法を用いてさらに精製することができる。
【0054】
プロトコル4として図16aに示される別の代替物では、試料を、細菌、ウイルス、真菌、毒素、プリオン、化学物質、代謝マーカーまたは、血液試料中に存在するこれらの病原体および物質に反応して患者自身の体内で発生した先天性の病状マーカーを捕獲および検出する、バイオセンサー装置に直接適用する。
【0055】
図16bに示されるさらに別のプロトコル4代替物として、試料を、液体クロマトグラフィー質量分析装置に直接適用するが、これは、細菌、ウイルス、毒素、プリオン、および血液試料中に存在する化学物質または血液試料中に存在するこれらの病原体および物質に対する反応として患者自身の体内で発生した先天性の病状マーカーを含む構造的構成要素の質量サインを検出する。上述の目的、および前述の記載から明らかになる目的は効率的に達成されると考えられ、かつ、発明の範囲から逸脱することなく上記の構成にいくつかの変更を行えることから、前述の記載または添付の図面に含まれる全ての事柄は例示的にとらえられるべきであり、限定的な意味ではないことが意図される。
【0056】
本発明は、核酸を含む血液試料などの試料からATAを選択的に除去するために用いることのできる、物質および方法に関する。典型的にATAは、リボヌクレアーゼ阻害剤としてのその活性のために、細胞、ウイルスなどからRNAを抽出および精製する過程で用いられる。本発明の一つの態様において、強力なリボヌクレアーゼ阻害剤であるATAは、タンパク質の加水分解が最適な条件下で進行できる(すなわちグアニジンチオシアネートなどのカオトロピック塩ではなくATAを用いた)、一部の核酸抽出プロセスの際に存在する。ATAを除去するための組成物は、溶液の形状または乾燥固体の形状のいずれかで提供できる。好ましくは組成物は、乾燥固体の形状で提供され、続いてこれに液体または流体が加えられる。例示的な態様において本発明の組成物は、本明細書に記載される溶解試薬と組み合わせて用いられる。
【0057】
一つの態様において、本発明の方法は、ATAおよび任意で核酸を含む試料を、本発明の尿素/DTPA組成物に接触させる工程を含む。一つの態様において試料は、本発明の溶解緩衝液に記載されている任意の試薬の組み合わせを含んでよい。本発明の尿素/DTPA組成物は、尿素とDTPA、および任意でEDTA、クエン酸ナトリウム、および表1に定義付けられるpH8.0を達成するための、水酸化ナトリウムなどの十分な塩基(base)とを組み合わせることで調製できる。一つの態様において、混合物を約4時間、約600℃まで加熱し、乾燥させ、粉末へと粉砕し、かつ任意でプロテイナーゼKおよびメチル6-O-(N-ヘプチルカルバモイル)-α-D-グルコピラノシドと混合する。尿素/DTPA試薬は、下流の試料の容量を最小限にし、別の工程においてプロテイナーゼK(PK)を添加する手順を回避する(PKは6.0から7.5M尿素中では長時間安定でいられないため)ために、好ましくは乾燥した形状で提供される。粉砕された尿素/DTPA試薬は、真空乾燥され、本明細書に記載の溶解試薬で事前に処理された血液に添加される(血液試料1mlあたり360mg)。尿素/DTPAで処理された試料は、約65℃で約5〜10分間インキュベートされる。ATA処理された試料および本発明の尿素/DTPA試薬を、従来技術の(ここで、シリカまたは、カオトロピック塩の存在下で核酸と結合するその他の物質を、結合マトリックスに用いる、または、沈降および遠心分離を用いる)核酸抽出プロトコルと組み合わせる場合、ATAは核酸抽出物と一緒に精製されない。別の態様において、約80℃より高温に5〜10分間以上曝露し、試料を次いで約40℃より低温に冷まし、その後ウレアーゼを約1,000〜100,000U/mlまで添加して尿素を分解することで、プロテイナーゼKを不活化することができる。次いで試料を核酸アレイ装置に直接適用することができる。
【0058】
本方法とPCRを併用することによって、血液10mlあたり10CFUの炭疽菌を検出できる。また、ATAを用いてまたは用いることなく作製された核酸抽出物に1ngのMS2 RNAが播種されたPBS試料から得られたRT-PCR動態に差はなかった。また、本明細書に記載される溶解試薬と尿素/DTPA試薬および上記のプロトコルとを組み合わせた場合に、RT-PCRによって1,000pfuポリオサビンIII (polio sabin III)ウイルス/8ml SPS全血が検出された。本発明の尿素/DTPA試薬を用いることで、プロテイナーゼK消化工程の前に存在したATAは、本方法を用いて調製された核酸抽出物を用いるPCR動態に対して負の影響を与えなかった。
【0059】
(表1)粉末尿素/DTPA試薬の内容物(試薬360mgへの試料1mlの添加において)
尿素 6.0〜7.5M
メチル6-O-(N-ヘプチルカルバモイル)-α-D-グルコピラノシド 10〜20mg/ml
プロテイナーゼK 600〜1,000μg/ml
EDTA 20〜70mM
DTPA 20〜70mM
クエン酸ナトリウム 120mM
水酸化ナトリウム pH8.0まで添加
【0060】
別の態様において、本明細書に記載されているものなどの試料が溶解試薬で処理されていない場合は、ATAのみを含む緩衝液を最初の工程として細胞に加え、続いて上に概略されるように処理する。
【0061】
別の態様において、ATA含有試料に尿素を約6.0〜7.5Mまで添加し、次いで従来技術のカオトロピック塩に基づく結合緩衝液およびシリカ結合マトリックスと組み合わせて、参考文献または製造業者の仕様書に従ってプロトコルを実施することができる。このとき例外として、カオトロピック塩に基づく結合および洗浄緩衝液を、試料との使用の前に約55〜65℃に加熱する。尿素とアウリントリカルボン酸 (ATA)との反応、および、本溶液とカオトロピック塩との約55〜65℃での混合に続く、シリカに基づく核酸捕獲マトリックスへの適用は、マトリックスへの核酸の選択的結合およびATAの除去(カラムの貫流によって排出される)を可能にする。尿素との反応および加熱の組み合わせによって、核酸が容易に結合する一方、シリカ捕獲マトリックスからのATAの除去が提供される。製造過程で600℃を上回る加熱により提供される上記尿素/DTPA試薬は、このカオトロピック塩加熱工程の必要性を排除し、かつさらに完全なATAの除去を可能にする。
【0062】
別の態様において血液試料は、本明細書に記載されるヒアルロン酸に対して機能するようにされた生理活性ペプチドを用いる病原体捕獲と組み合わせた、本明細書に記載されるATA含有混合物によって処理されてもよい。このときヒアルロン酸は高分子の導波管として作用する。ヒアルロン酸はカルボキシル基またはアミンを介してビオチン標識され、それに続いて余分な未結合ビオチンが透析を介して除去される。ストレプトアビジンは架橋され、余分な未結合クロスリンカーは透析を介して除去される。架橋ストレプトアビジンはビオチン化ヒアルロン酸に対して100〜10,000モル余分に添加され、電気泳動フィールドまたは誘電泳動フィールドを印加してまたはせずに、4〜10時間インキュベートされる。あるいは、ストレプトアビジンを記載の割合で添加し、混合しながら1〜4時間インキュベートし、光活性化された架橋試薬と混合し、試料の流路に位置する構造を産生させるためにリソグラフィー系内で架橋させる。この系において、生理活性ペプチドまたはRNA種アニーリングを介した病原体捕獲部位でのカルシウムの放出は、トロンビンの存在下(1ミリリットルあたり約10〜500μg)であり、これは、高分子ヒアルロン酸導波管のマトリックス上の生理活性ペプチドまたはRNA種アニーリングを介した病原体捕獲部位において、レポーター分子で標識されたフィブリノーゲン(1ミリリットルあたり約10〜500μg)を不溶性フィブリン凝集体に局所的に変換するのを誘発するために用いられる。レポーター分子は検出可能な任意の分子であってよく、例えば蛍光分子(フルオレセインなど)、放射性分子、酵素、抗体などを含む。本明細書において、生理活性ペプチドは、最も適切には例えばラクトフェリンまたは脂肪酸改変ラクトフェリンなどの天然のおよび修飾非特異的なウイルス結合ペプチドを、ならびに、最も適切には例えばセクロピンP1などであるが、例えばプロタミン、ブフォリン(Buforin)I、ブフォリンII、ディフェンシン、D-マガイニンII、セクロピンA、セクロピンB、レクチンPA-1、およびトリトロプチシン(Tritrpticin)も含む、天然のおよび修飾非特異的な細菌結合ペプチドを含む。修飾されたペプチドはアミノ酸含量について改変されていてもよく、塩、エステル、アミド、およびそれらのアシル化型を含む。
【0063】
別の態様において、ヒアルロン酸に対して機能するようにされた生理活性ペプチド(ビオチンおよびストレプトアビジンを介して架橋される)は、病原体捕獲部分として作用する。病原体またはバイオマーカー捕獲の際、装置中で、ヒアルロン酸は試料1mlあたり約1,000〜1,000,000ユニットのヒアルロニダーゼを用いて分解される。
【0064】
別の態様において、本発明の溶解緩衝液中で記載されたATA、塩化マグネシウム、およびリン酸カリウム成分は組み合わされ、100mlのバッチでpH約9.2〜10にされ、乾燥した残渣が形成されるまで沸騰するよう加熱される。乾燥残渣は粉砕され、真空下でさらに乾燥され、その他の酵素、界面活性剤、および本明細書に記載されるようなトレハロース構成要素に添加される。
【0065】
本明細書において参照または引用される全ての特許、特許出願、仮出願、および文献は、全ての図面および表を含むその全体が、本明細書の明確な教示内容と矛盾しない範囲において参照により組み入れられる。
【0066】
本明細書に記載される実施例および態様は例示目的だけのものであり、それに照らして様々な修正または変更が当業者に示唆され、かつこれらが本願の精神と視野、および添付の特許請求の範囲に含まれることが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0067】
(図1)本発明の方法を図示したものである。
(図2)本発明のプロトコル1によるフィブリン溶解試薬の調製法を図示したものである。
(図3)炭疽菌血液プロトコルに関するデータを提供する表である。
(図4)異なる個体からの二つの血液試料を比較したデータを提供する表である。
(図5)保健省(Department of Health)の実験助手による本方法の評価に関するデータを提供する表である。
(図6)ペスト菌血液プロトコルに関するデータを提供する表である。
(図7)本発明のプロトコル1による抽出試薬のセットアップを図示するものである。
(図7〜図9)本発明のプロトコル1による細菌回収およびフィブリン溶解を図示するものである。
(図10〜図13)本発明のプロトコル1による細菌溶解および核酸抽出を図示するものである。
(図14a)本発明のプロトコル2による試薬の抽出工程を図示するものである。
(図14b)本発明のプロトコル2による試薬の抽出工程を図示するものである。
(図15)本発明のプロトコル3による試薬の抽出工程を図示するものである。
(図16a)本発明のプロトコル4による試薬の抽出工程を図示するものである。
(図16b)本発明のプロトコル4による試薬の抽出工程を図示するものである。
(図17)炭疽菌によってスパイクされ、かつプラスミノーゲン、ストレプトキナーゼ、ホスホリパーゼA2、DNA分解酵素I、およびリパーゼを用いて遠心分離またはろ過によって処理された血液試料のノイズ帯域の交差点に関するデータを提供する表である。
(図18)様々な界面活性剤および酵素処理に曝露された6ml血液試料からの組織凝集体の沈降および可溶化を示す。
(図19)様々な界面活性剤および酵素処理に曝露された6ml血液試料のろ過特性を示す。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14a】

【図14b】

【図15】

【図16a】

【図16b】

【図17】

【図18】

【図19】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料と尿素を含む組成物とを接触させる段階および試料のpHを約8.0にする段階を含む、試料からATAを除去する方法。
【請求項2】
組成物がクエン酸ナトリウムをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
組成物がプロテイナーゼKをさらに含む、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項4】
組成物がメチル6-O-(N-ヘプチルカルバモイル)-α-D-グルコピラノシドをさらに含む、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項5】
水酸化ナトリウムによってpHを約8.0にする、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項6】
組成物がEDTAまたは DTPA、またはEDTAおよびDTPAの両方をさらに含む、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
【請求項7】
以下の工程を含む、その後の効率的な核酸抽出または直接のRNAアレイ分析を容易にするために、試料からアウリントリカルボン酸を除去する方法:
全血試料を、米国特許出願第10/604,779号に詳述の試薬に曝露する工程;および
続いて、カオトロピック塩存在下でのマトリックスへの核酸の結合または核酸の沈殿に続く沈殿などのその後の処理の前に、尿素含有溶液を添加する工程。
【請求項8】
典型的なカオトロピック塩およびシリカなどの結合マトリックスが核酸抽出に用いられる場合に、ATA含有試料への尿素の添加がATA除去を提供し、かつ洗浄および/または結合中にカオトロピック塩が55〜65℃の間で加熱される、請求項7記載の方法。
【請求項9】
製造中に尿素およびDTPA溶液を少なくとも600℃で1〜4時間加熱する工程;粉末へと粉砕する工程;ならびにATA含有試料に直接添加する工程に続いて任意の核酸抽出法が行われる、請求項7記載の方法。
【請求項10】
尿素/DTPA試薬製造中に、次の化合物の一つまたは全てを添加する工程;EDTAおよび/またはクエン酸ナトリウムおよび/または水酸化ナトリウムを添加する工程をさらに含む、請求項9記載の方法。
【請求項11】
プロテイナーゼKを、尿素およびDTPAおよび請求項10記載の一つまたは全ての化合物からなる乾燥粉末に添加する工程をさらに含む、請求項9記載の方法。
【請求項12】
メチル6-O-(N-ヘプチルカルバモイル)-α-D-グルコピラノシドを、尿素およびDTPAならびに請求項10および11記載の一つまたは全ての化合物からなる乾燥粉末に添加する工程をさらに含む、請求項9記載の方法。
【請求項13】
請求項9、10、11、および/または12記載の任意の組み合わせによって得られる尿素/DTPA試薬による処理の後、試料にウレアーゼ1,000〜10,000U/mlを添加する工程をさらに含む、請求項9記載の方法。
【請求項14】
全血試料(まず米国特許出願第10/604,779号に列挙される試薬およびATAで処理され、次に尿素/DTPAで処理され、最後にウレアーゼで処理される)から、ビオチンおよびストレプトアビジンで架橋されたヒアルロン酸マトリックス上で機能するようにされたDNAオリゴに直接RNAをハイブリダイズする工程をさらに含む、請求項9記載の方法。
【請求項15】
不溶型のカルシウムが、次々とRNA/DNAハイブリッドに結合するが分解はしない変異RNaseHなどのタンパク質上に標識されており、かつ、該タンパク質が、不溶型のカルシウムを、架橋ヒアルロン酸マトリックス上で機能するようにされた相補的なDNAオリゴと野生型RNAが結合する部位に運ぶ、方法。
【請求項16】
不溶型のカルシウムが、細菌細胞壁の外側で凝集する生理活性ペプチドまたはウイルスタンパク質構造などのタンパク質上に標識されており、かつ、該タンパク質が、不溶型のカルシウムをヒアルロン酸マトリックス上で機能するようにされた生理活性ペプチドと細菌が結合する部位に運ぶ、請求項14記載の方法。
【請求項17】
局所型のカルシウムが可溶化され、それによって、架橋ヒアルロン酸構造の表面近くにおける電位誘発性の局所的pHシフトにより放出される、請求項14記載の方法。
【請求項18】
蛍光定量的、比色定量的、電気化学的、電磁気的、または電位差測定的な検出を可能にするレポーター分子で標識されたフィブリノーゲンが、局所的pHシフトが誘発電位によって産生される場合にトロンビンと共に溶液中に存在し;かつフィブリノーゲンが、生理活性ペプチドまたはDNAオリゴそれぞれとの細菌、ウイルス、またはRNA結合部位で放出されるカルシウムの存在下でトロンビン活性によって不溶性のフィブリンに変換される、請求項14記載の方法。
【請求項19】
架橋ヒアルロン酸が、光学的および電気的な放出の導波管として作用する工程をさらに含む、請求項14記載の方法。
【請求項20】
架橋ヒアルロン酸が、標識されたフィブリン凝集の結果としての光学的および電気的な放出の導波管として作用し;かつ標識されたフィブリノーゲンから変換された凝集フィブリンを、トロンビン存在下の可溶性カルシウムの放出により沈降させる工程をさらに含む、請求項14記載の方法。
【請求項21】
RNAアレイが、処理された血液試料の流れ(flow stream)にまで伸びる架橋ヒアルロン酸ポストで構成され;かつヒアルロン酸導波管ポストの末端からシグナルが読み取られる、請求項14記載の方法。
【請求項22】
ビオチンおよびストレプトアビジンと架橋され、かつ(米国特許出願第10/604,779号に記載のとおり)病原体を捕獲するために用いられる生理活性ペプチドと共に機能するようにされたヒアルロン酸を用いる方法であって、試料を押し出すために、病原体捕獲装置中に沈着させたヒアルロン酸がその後、ヒアルロニダーゼを介して分解される、方法。
【請求項23】
以下の工程を含む、血液試料から粒子を濃縮および抽出する方法:
血液試料を酵素-界面活性剤の組み合わせに曝露する工程;および
曝露された血液試料に粒子が存在するかを分析する工程。
【請求項24】
酵素-界面活性剤の組み合わせがプラスミノーゲンおよびストレプトキナーゼを含む、請求項23記載の方法。
【請求項25】
以下の工程をさらに含む、請求項24記載の方法:
フィブリン溶解試薬が必要とされるまで、プラスミノーゲンおよびストレプトキナーゼを一致した関係(coincident relation)で冷凍する工程;ならびに
解凍の際にストレプトキナーゼとプラスミノーゲンとを反応させ、それによってプラスミンを形成する工程。
【請求項26】
冷凍前に、プラスミノーゲンを食塩水溶液に懸濁する工程をさらに含む、請求項24記載の方法。
【請求項27】
食塩水溶液がNaClを含む、請求項26記載の方法。
【請求項28】
食塩水溶液がNaPO4を含む、請求項26記載の方法。
【請求項29】
粒子が、プリオン、毒素、代謝マーカー、がん性物質、病状マーカー、細菌、ウイルス、および真菌からなる群から選択される、請求項23記載の方法。
【請求項30】
PCRで粒子を複製する工程をさらに含む、請求項23記載の方法。
【請求項31】
血液試料にDNA分解酵素を導入する工程をさらに含む、請求項23記載の方法。
【請求項32】
血液試料にエンドヌクレアーゼを導入する工程をさらに含む、請求項23記載の方法。
【請求項33】
プラスミノーゲンおよびストレプトキナーゼが乾燥状態にある、請求項24記載の方法。
【請求項34】
プラスミノーゲンおよびストレプトキナーゼが混合されて、使い捨ての試験容器に分配される、請求項33記載の方法。
【請求項35】
プラスミノーゲンが、ホスホリパーゼ A2、DNA分解酵素、エンドヌクレアーゼ、およびリパーゼと組み合わされる、請求項33記載の方法。
【請求項36】
酵素-界面活性剤の組み合わせが、トレハロース緩衝液のペレットと懸濁されてその後乾燥され、乾燥試薬として梱包される、請求項35記載の方法。
【請求項37】
ストレプトキナーゼが、トレハロース緩衝液のペレットと懸濁されてその後乾燥され、乾燥試薬としてチューブ内に梱包される、請求項33記載の方法。
【請求項38】
以下の工程をさらに含む、請求項33記載の方法:
乾燥試薬を緩衝液中で再懸濁する工程;
多量の血液に溶液を添加する工程;および
試料を室温でインキュベートする工程。
【請求項39】
乾燥試薬が、約1,500〜4,500KU ホスホリパーゼA2、約5,000〜10,000Uストレプトキナーゼ、約2〜10Uプラスミノーゲン、約200〜3,650U DNA分解酵素、約200〜4,000Uエンドヌクレアーゼ、および約10,000〜100,000リパーゼを含む、請求項38記載の方法。
【請求項40】
以下の工程をさらに含む、請求項38記載の方法:
溶液を遠心分離する工程;
上清をデカントする工程;および
ペレットを洗浄する工程。
【請求項41】
溶液が、10〜20℃において5,000〜5,500×gで約20分間遠心分離される、請求項40記載の方法。
【請求項42】
ペレットが、エコタイン(Ecotine)-HEPES溶液で洗浄される、請求項40記載の方法。
【請求項43】
ペレットが、スクロース-HEPES溶液で洗浄される、請求項40記載の方法。
【請求項44】
ペレットが、エコタイン-HEPES溶液およびスクロース-HEPES溶液で洗浄される、請求項40記載の方法。
【請求項45】
以下の工程をさらに含む、請求項38記載の方法:
溶液を遠心分離する工程;
上清をデカントする工程;
試料を消化する工程;および
試料を市販の核酸抽出法に適用する工程。
【請求項46】
試料を消化する工程が、溶解およびDNA分解酵素不活化をさらに含む、請求項45記載の方法。
【請求項47】
試料を消化する工程が、溶解およびエンドヌクレアーゼ不活化をさらに含む、請求項45記載の方法。
【請求項48】
試料を消化する工程が、室温でインキュベートされた、プロテイナーゼK、ドデシル硫酸ナトリウム、アウリントリカルボン酸、およびクエン酸ナトリウム緩衝液の使用をさらに含む、請求項45記載の方法。
【請求項49】
以下の工程をさらに含む、請求項38記載の方法:
溶液を濾過する工程;
溶液を洗浄する工程;
試料を消化する工程;および
抽出物を市販の方法を通じて精製する工程。
【請求項50】
試料を消化する工程が、溶解およびDNA分解酵素不活化をさらに含む、請求項49記載の方法。
【請求項51】
試料を消化する工程が、溶解およびエンドヌクレアーゼ不活化をさらに含む、請求項49記載の方法。
【請求項52】
試料を消化する工程が以下の工程をさらに含む、請求項49記載の方法:
プロテイナーゼK、アウリントリカルボン酸、およびクエン酸ナトリウム緩衝液を混合する工程;
室温でインキュベートする工程;ならびに
フィルター表面から溶解物を溶出する工程。
【請求項53】
溶液をバイオセンサー装置に直接適用し、それによって、血液試料中の病原体の存在に反応して、患者が病原性または先天性の病状マーカーを発症し、これによりバイオセンサー装置によるこれらのマーカーの捕獲および検出が可能になる工程をさらに含む、請求項38記載の方法。
【請求項54】
溶液を液体クロマトグラフィー質量分析装置に直接適用し、それによって、血液試料中の病原体の存在に反応して、患者が病原性または先天性の病状マーカーを発症し、これにより質量分析装置を用いた病原体の構造的構成要素に関連する質量サイン(mass signature)の検出が可能になる工程をさらに含む、請求項38記載の方法。
【請求項55】
緩衝液がリン酸カリウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、およびアウリントリカルボン酸を含む、請求項38記載の方法。
【請求項56】
緩衝液がトリトンX-100をさらに含む、請求項55記載の方法。
【請求項57】
酵素をトレハロース緩衝液と共に保存する工程をさらに含む、請求項55記載の方法。
【請求項58】
トレハロース緩衝液中でメチル6-O-(N-ヘプチルカルバモイル)-α-D-グルコピラノシドおよびサポニンを混合する工程をさらに含む、請求項57記載の方法。
【請求項59】
20〜35mMの濃度のメチル6-O-(N-ヘプチルカルバモイル)-α-D-グルコピラノシドが用いられる、請求項58記載の方法。
【請求項60】
0.05〜0.1%の濃度のサポニンが用いられる、請求項58記載の方法。
【請求項61】
トレハロース保存緩衝液がリン酸カリウム、トリトンX-100、ジチオスレイトール、およびトレハロースを含む、請求項57記載の方法。
【請求項62】
トレハロース保存緩衝液が10mMリン酸カリウムを含む、請求項61記載の方法。
【請求項63】
トレハロース保存緩衝液が0.01〜0.04%トリトンX-100を含む、請求項61記載の方法。
【請求項64】
トレハロース保存緩衝液が1〜5mMジチオスレイトールを含む、請求項61記載の方法。
【請求項65】
トレハロース保存緩衝液が0.3〜0.5Mトレハロースを含む、請求項61記載の方法。
【請求項66】
尿素ならびに、EDTAまたはDTPAまたはEDTAおよびDTPA両方を含む、組成物。
【請求項67】
プロテイナーゼKをさらに含む、請求項66記載の組成物。
【請求項68】
メチル6-O-(N-ヘプチルカルバモイル)-α-D-グルコピラノシドをさらに含む、請求項66記載の組成物。

【公表番号】特表2007−502618(P2007−502618A)
【公表日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−523971(P2006−523971)
【出願日】平成16年8月16日(2004.8.16)
【国際出願番号】PCT/US2004/026606
【国際公開番号】WO2005/021799
【国際公開日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(504332089)ユニバーシティー オブ サウス フロリダ (11)
【Fターム(参考)】