説明

試料における励起状態の寿命を測定するための方法

【課題】試料における励起状態の寿命を測定するための方法を提供する。
【解決手段】本発明は、試料における励起状態の寿命、特に蛍光寿命を測定するための方法、およびかかる方法を実行するための装置に関する。最初に、励起パルスが生成され、試料領域が、励起パルスで照明される。次に、励起パルスのパワー・時間プロファイルを表す第1のデジタルデータシーケンスが生成され、第1のスイッチング瞬間が、第1のデジタルデータシーケンスから決定される。さらに、試料領域から発する検出光が、検出器によって検出され、検出光のパワー・時間プロファイルを表す第2のデジタルデータシーケンスが生成され、第2のスイッチング瞬間が、第2のデジタルデータシーケンスから決定される。最後に、第1および第2のスイッチング瞬間の間の時間差が計算される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料における励起状態の寿命、特に蛍光寿命を測定するための方法、およびかかる方法を実行するための装置に関する。
【0002】
本発明はまた、試料における励起状態の寿命、特に蛍光寿命を測定するための装置であって、励起パルスで試料領域を照明するために励起パルスを生成するための光源、および試料領域から発する検出光を検出するための検出器を含む装置に関する。
【背景技術】
【0003】
1つまたは複数の蛍光染料でラベル付けされた試料における励起状態の寿命を分析することによって、試料の特性に関する重要な情報を取得することができる。特に、多数の蛍光染料が用いられる場合に、試料領域の組成および環境に関する情報など、分析されている試料領域に関する情報を、蛍光寿命結像顕微鏡法(FLIM)を用いて取得することができる。例えば、細胞生物学において、試料領域におけるカルシウム濃度は、蛍光染料の寿命を測定することによって、間接的に推測することができる。
【0004】
蛍光染料における励起状態の寿命を測定するための多くの方法が存在する。これらの方法のいくつかは、非特許文献1に詳細に説明されている。例えば、励起状態の寿命に関する結論を放射光の位相遅延から導き出すことができるように、励起光のパワーを経時的に調整することが可能である。
【0005】
また、放射パルスの時間遅延を電子的に測定できるように、短い光パルスで蛍光染料を励起させることが可能である。例えば、特許文献1は、試料における励起状態の寿命を分析するための顕微鏡を説明しており、この顕微鏡には、励起光を生成するための少なくとも1つの光源、および試料から発する検出光を受信するための少なくとも1つの検出器が含まれる。顕微鏡は、光源が、パルス励起光を放射する半導体レーザを含むことと、試料の特定の寿命特性に対してパルス繰り返し率を調整するための調整装置が設けられることと、を特徴とする。
【0006】
特に、データ分析用に必要とされる電子装置は、PCプラグインカードの形で市販されていることが多い。しかしながら、高コストとは別に、かかる時間測定カードは、非常に長い不感時間という欠点を有し、その結果、それは、試料の励起時に、第1の検出パルス(第1の検出光子)の到達だけを検出することができ、その後、かなりの期間にわたって「ブラインド」になる。結局、試料から発する検出光に含まれる情報のかなりの部分は、ユーザから隠されたままである。
【0007】
さらに、励起パルス用の高繰り返し率を達成することが不可能であり、したがって1つの測定期間内で頻繁な測定を実行することもまた不可能である。実際に達成可能な測定速度は、市販のパルスレーザにおける通常の繰り返し率よりはるかに低い。この理由で、例えばFLIM画像を生成するために十分なデータを収集するまでには、通常、非常に長い時間がかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】DE 10 2004 017 956 A1
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】「Principles of Fluorescence Spectroscopy」という表題のJoseph R. Lakowiczによるテキストブック第4章および第5章、Kluwer Academic/Plenum Publishers,第2版,1999
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
したがって、本発明の目的は、より少ない時間でより正確な測定結果を取得可能にする方法を提供することである。
【0011】
この目的は、以下のステップ、
a. 励起パルスを生成し、励起パルスで試料領域を照明するステップと、
b. 励起パルスのパワー・時間プロファイルを表す第1のデジタルデータシーケンスを生成するステップと、
c. 第1のデジタルデータシーケンスから第1のスイッチング瞬間を決定するステップと、
d. 試料領域から発する検出光を検出器によって検出するステップと、
e. 検出光のパワー・時間プロファイルを表す第2のデジタルデータシーケンスを生成するステップと、
f. 第2のデジタルデータシーケンスから第2のスイッチング瞬間を決定するステップと、
g. 第1および第2のスイッチング瞬間の間の時間差を計算するステップと、
を含む方法によって達成される。
【0012】
本発明のさらなる目的は、より少ない時間でより正確な測定結果を取得可能にする装置を提供することである。
【0013】
このさらなる目的は、
a. 励起パルスのパワー・時間プロファイルを表す第1のデジタルデータシーケンスを生成し、
b. 第1のデジタルデータシーケンスから第1のスイッチング瞬間を決定し、
c. 検出光のパワー・時間プロファイルを表す第2のデジタルデータシーケンスを生成し、
d. 第2のデジタルデータシーケンスから第2のスイッチング瞬間を決定し、
e. 第1および第2のスイッチング瞬間の間の時間差を計算する制御機器を含む上記のタイプの装置によって達成される。
【0014】
本発明によれば、信号処理制御機器がまた、第1の光子の到達後に発生するがしかし同じ励起パルスに属する光子事象を検出できる場合にのみ、第1の光子の到達時間後の追加情報が取得可能であることが、とりわけ発見された。これは、アナログ測定信号を直ちにデジタル数字のシーケンスに変換することによって達成できることがまた発見された。
【0015】
有利なことに、本発明によって、特に、市販のパルスレーザの繰り返し周波数に対応する80MHz以上の繰り返し周波数における周期的な反復測定が可能になる。さらに、試料の寿命特性に関する一層正確な情報を取得することができる。なぜなら、特に高データ処理速度ゆえに、第1の光子の到達時間だけでなく、十分な励起パワーがあるならば、ほぼ全ての光子事象が、どの時点においても検出されるからである。
【0016】
方法の特定の一実施形態において、次のことが規定される。すなわち、励起パルスがプライマリー光パルスから生じ、プライマリー光パルスの一部が、プライマリー光パルスの一部におけるパワーの時間プロファイルに、振幅・時間プロファイルが依存する第1のアナログ電気信号を生成する励起検出器に送られることと、第1のデジタルデータシーケンスを生成するために、第1のアナログ電気信号が、特に定義済みおよび/または予め定義可能な第1の時間スロットにおいて経時的にサンプリングされることと、が規定される。
【0017】
特に、次のことを規定してもよい。すなわち、光源が、プライマリー光ビームを生成し、この光ビームが、励起パルスを含む励起ビームと測定ビームとにビームスプリッタによって分割されることと、励起検出器が、測定ビームを受信し、かつ測定ビームのパワーにおける時間プロファイルに、振幅・時間プロファイルが依存する第1のアナログ電気信号を生成することと、第1のデジタルデータシーケンスを生成するために、制御機器が、特に定義済みおよび/または予め定義可能な第1の時間スロットにおいて第1のアナログ電気信号を経時的にサンプリングすることと、を規定してもよい。
【0018】
第1のデータシーケンスの特に高速な生成は、次のような方法、すなわち、ちょうどサンプリングされた振幅が定義済みおよび/または定義可能な第1の励起閾値未満である場合に、より低い標準化信号(例えば「0」)が生成され、またはちょうどサンプリングされた振幅が定義済みおよび/または定義可能な第2の励起閾値を超える場合に、より低い標準化信号とは異なるより高い標準化信号(例えば「1」)が生成されるような方法で、例えば、標準化電気信号から特に2進数で第1のデータシーケンスを生成することによって達成することができる。
【0019】
有利なことに、次のことを規定してもよい。すなわち、検出器が、検出光のパワーにおける時間プロファイルに、振幅・時間プロファイルが依存する第2のアナログ電気信号を生成することと、第2のデジタルデータシーケンスを生成するために、第2のアナログ電気信号が、特に定義済みおよび/または予め定義可能な第2の時間スロットにおいて経時的にサンプリングされることと、を規定してもよい。
【0020】
第1のデータシーケンスと同様に、次のことを規定してもよい。すなわち、第2のデータシーケンスが、次のような方法、つまり、ちょうどサンプリングされた振幅が、定義済みおよび/または定義可能な第1の検出閾値未満である場合に、より低い標準化信号が生成され、またはちょうどサンプリングされた振幅が定義済みおよび/または定義可能な第2の検出閾値を超える場合に、より低い標準化信号とは異なるより高い標準化信号が生成されるような方法で、標準化電気信号から特に2進数で生成されることを規定してもよい。
【0021】
可能な限り全ての光子事象を検出できるように、有利な実施形態において、次のことが規定される。すなわち、データシーケンスを生成するために、第1および/または第2のアナログ電気信号が、繰り返し周波数より著しく高いサンプリング周波数で、特に制御機器によって、サンプリングされることが規定される。特に、第1および/または第2のアナログ電気信号が、繰り返し周波数の50倍を超える、特に100倍を超えるサンプリング周波数でサンプリングされることを規定してもよい。特に有利な実施形態において、第1および/または第2のアナログ電気信号は、繰り返し周波数より約125倍高いサンプリング周波数でサンプリングされる。特定の一実施形態において、第1および/または第2のアナログ電気信号は、10GHzのサンプリング周波数でサンプリングされ、一方で繰り返し周波数は、80MHzである。
【0022】
特定の実施形態において、時間分解能をさらに向上させるために、第1および/または第2のアナログ電気信号は、繰り返しサンプリングされる。特に、第1および/または第2のアナログ電気信号が、繰り返しサンプリングされるが、しかし時間スロットより短い、特に連続的に調整可能な、時間オフセットでサンプリングされることを規定してもよい。
【0023】
特に正確な結果を提供する特に有利な実施形態において、第1および/または第2のアナログ電気信号は、n回サンプリングされるが、しかし時間スロットのn番目の部分に対応する時間オフセットでサンプリングされる。例えば、二重サンプリングの場合に、それに応じて、設けられる時間オフセットは、時間スロットにおける期間の半分になろう。
【0024】
次に、好ましくは、多重サンプリングのサンプリング結果は、数学的に組み合わされ、特にインターリーブされて、第1のデータシーケンスおよび第2のデータシーケンスをそれぞれ生成する。特に、多重サンプリングおよび数学的な組み合わせによって、同じ測定期間の単一サンプリングによって得られるであろうよりもn倍多いデータを含む、およびしたがって著しくより高い情報内容を有するデータシーケンスを生成することが可能である。
【0025】
第1のデジタルデータシーケンスの特に高速で信頼できる生成は、例えば、比較器および/またはコンスタントフラクション弁別器を含む第1のサンプリング装置を用いる場合に可能である。これによって、特に、数十ギガビット、例えば28ギガビットの範囲におけるサンプリング速度を困難なしに達成することが可能になる。同じことは、第2のデジタルデータシーケンスの生成に関して当てはまり、その生成は、比較器および/またはコンスタントフラクション弁別器を同様に含む第2のサンプリング装置を用いて有利に実行される。サンプリング速度は、同じであってもよいが、必ずしも同じである必要はない。もっと正確に言えば、特定の用途に依存して、第1のデジタルデータシーケンスを生成するためのサンプリング速度は、第2のデジタルデータシーケンスを生成するためのサンプリング速度と異なってもよい。
【0026】
方法の有利な実施形態において、第1のデータシーケンスは、第1の並列データワードに変換され、および/または第2のデータシーケンスは、第2の並列データワードに変換される。特に、第1のデータシーケンスを第1の並列データワードに変換するために、第1の直並列変換器を設けてもよい。代替または追加として、第2のデータシーケンスを第2の並列データワードに変換するために、第2の直並列変換器を設けてもよい。かかる実施形態は、データワードを、さらに、並列動作の評価電子装置において高速および効率的に処理できるという特定の利点を有する。
【0027】
特に、第1および/または第2の直並列変換器は、連続励起パルス間の時間間隔と少なくとも同じ長さの測定期間をそれぞれ表すデータワードを有利なことに生成可能である。
【0028】
第1および/または第2の直並列変換器が、連続励起パルス間の時間間隔と正確に同じ長さの測定期間を表すデータワードを生成する場合には、特に有利である。なぜなら、そのとき、励起パルスに関連する測定サイクルに関する全ての情報が、どの時点でも1つのデータワードに組み合わされるからである。これによって、データの取り扱いが容易にされ、分析の速度および効率が向上される。
【0029】
有利なことに、次のことを規定してもよい。すなわち、第1のスイッチング瞬間が、第1のデータシーケンスおよび/または第1のデータワード内における、より低い標準化信号からより高い標準化信号への変化、またはより高い標準化信号からより低い標準化信号への変化が存在する瞬間であるように、特に制御機器によって、定義されることを規定してもよい。スイッチング瞬間を決定するこの方法は、特に高速である。
【0030】
代替として、第1のスイッチング瞬間が、第1のデータシーケンスおよび/または第1のデータワード内における、より低い標準化信号からより高い標準化信号への第1の変化の瞬間、およびより高い標準化信号からより低い標準化信号への第2の変化の瞬間から計算され、かつ特に変化間の時間間隔の算術平均を計算することによって計算される瞬間であるように、特に制御機器によって、定義されることを規定してもよい。スイッチング瞬間を決定するこの方法は、特に正確である。
【0031】
同様に、第2のスイッチング瞬間は、同じ方法で、すなわち、第2のスイッチング瞬間が、第2のデータシーケンスおよび/または第2のデータワード内における、より低い標準化信号からより高い標準化信号への変化、またはより高い標準化信号からより低い標準化信号への変化が存在する瞬間であるように定義されるという点で同じ方法で定義してもよい。
【0032】
代替としてまた、第2のスイッチング瞬間の決定のために、その決定が、第2のデータシーケンスおよび/または第2のデータワード内における、より低い標準化信号からより高い標準化信号への第1の変化の瞬間、およびより高い標準化信号からより低い標準化信号への第2の変化の瞬間から、特に制御機器によって、計算され、かつ特に変化間の時間間隔の算術平均を計算することによって計算されることを規定してもよい。
【0033】
分析される試料領域の特性に関する特に正確な情報は、複数の計算された時間差の少なくとも1つの度数分布を生成することによって取得することができる。度数分布は、例えば、試料のFLIM画像の生成において用いてもよい。
【0034】
特に蛍光寿命画像を生成するために、異なる試料領域、特に、互いに隣接するか、および/または走査線において互いに隣接して配置された試料領域が、励起状態の寿命に関して次々に連続して分析されることを規定してもよい。さらなるデータ分析のために、各試料領域のデータシーケンスおよび/またはデータワードおよび/または度数分布および/または時間差に位置情報を追加することが特に有利である。
【0035】
特に試料を走査するために、異なる、特に隣接する試料位置を次々に連続して分析できるように、励起光および/または検出光を操作するための走査機器を用いることが有利である。走査機器には、例えば検流計によって回転位置を調整可能な1つまたは複数の傾斜ミラーを含んでもよい。
【0036】
特に有利な実施形態において、励起光を異なる試料位置に導くための、および/または試料を走査するための走査機器が設けられ、制御機器は、走査機器の特定の位置に関する位置情報を、各試料領域のデータシーケンスおよび/またはデータワードおよび/または度数分布および/または時間差に追加する。このデータから、特に高速で効率的な方法で蛍光寿命画像を生成することができる。
【0037】
動作において特に信頼ができて高速な実施形態において、制御機器および/または少なくとも1つのサンプリング装置および/または直並列変換器の少なくとも1つが、プログラマブル集積回路、特にフィールドプログラマブルゲートアレイ(一言でいえばFPGA)の一部を形成する。かかる実施形態は、それが個々の境界条件に特に容易に適応可能だという追加の利点を有する。
【0038】
有利な実施形態において、本発明の装置は、走査顕微鏡、特に共焦点走査顕微鏡の一部を形成する。
【0039】
本発明の他の目的、利点、特徴および可能な用途は、図面を参照する例示的な実施形態の以下の説明から導き出し得る。ここにおいて、説明または図示される特徴の全てが、単独または任意の有用な組み合わせにおいて、かつそれらが、特許請求の範囲またはその先行例において組み合わされる方法にかかわらず、本発明の主題を構成する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明に係る装置を含む走査顕微鏡の例示的な実施形態を示す。
【図2】非常に低い励起パワーおよび高い励起パワーにおける励起光および検出光のパワー・時間プロファイルを示す。
【図3】可能な実施形態において、励起光および検出光の時間プロファイルと同様にデジタルデータシーケンスの表現を示す。
【図4】別の可能な実施形態において、励起光および検出光の時間プロファイルと同様にデジタルデータシーケンスの表現を示す。
【図5】例示的な実施形態を概略形態で示す。
【図6】第1および/または第2のアナログ電気信号のサンプリングのための時間分解能を向上させるための手順を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1は、本発明に係る装置を含む走査顕微鏡の例示的な実施形態を示す。走査顕微鏡1は、共焦点走査顕微鏡の形態をしている。
【0042】
走査顕微鏡1は、励起パルスの高速シーケンスを生成するように適合されたパルスレーザ3の形態をした光源2を有する。具体的には、パルスレーザ3は、第1のビームスプリッタ5に当たるプライマリー光ビーム4を生成する。第1のビームスプリッタ5において、プライマリー光ビーム4は、測定ビーム6および励起ビーム8に分割される。測定ビーム6は、励起検出器7に導かれる。励起検出器7は、第1のアナログ電気信号、すなわち、その振幅・時間プロファイルが、励起ビーム8のパワーにおける時間プロファイルに比例する第1のアナログ電気信号を生成する。第1のアナログ電気信号は、制御機器9に送られ、制御機器9は、第1のアナログ電気信号から、励起光8のパワー・時間プロファイルを表す第1のデジタルデータシーケンスを生成する。
【0043】
励起ビーム8は、照明ピンホール10を通過し、その後、メインビームスプリッタ11に到達する。メインビームスプリッタは、ジンバル搭載走査ミラー13を含む走査機器12に励起ビーム8を導く。次に、励起ビーム8は、走査光学系14、チューブ光学系15、および顕微鏡対物レンズ16を通過し、試料17に到達する。試料17において、試料領域が、励起光にさらされ、それによって、励起光は、試料領域に存在する蛍光染料を光学的に励起させる。
【0044】
試料から発した検出光18は、励起ビーム8がメインビームスプリッタ11から試料17へと移動したのと同じ光学経路に沿って、しかし反対方向にメインビームスプリッタ11に到達し、次にメインビームスプリッタおよび下流の検出ピンホール19を通過し、最後に検出器20に到達する。
【0045】
検出器20は、第2のアナログ電気信号、すなわち、その振幅・時間プロファイルが、検出光18のパワーにおける時間プロファイルに依存する第2のアナログ電気信号を生成する。第2のアナログ電気信号もまた、制御機器9に送られる。そこにおいて、第2のデジタルデータシーケンスを生成するために、第2のアナログ電気信号は、所定の第2の時間スロットにおいて経時的にサンプリングされる。これに関連して、以下の例示的な実施形態で一層詳細に説明するように、制御機器9は、第1のデータシーケンスと時間的に相関する第2のデータシーケンスを生成する。
【0046】
走査機器12は、走査ミラー13の特定の位置に関する情報を制御機器9に送る。制御機器9は、この情報を、第1のアナログ信号および第2のアナログ信号から得られたそれぞれのデータと相関させるが、そのデータがどの試料位置に属するかを推測可能にする方法で相関させる。
【0047】
図2は、その上半分に、非常に低い励起パワーにおける励起光21のパワー・時間プロファイルおよび検出光22のパワー・時間プロファイルを示す。低放出確率ゆえにほんの少数の光子事象23だけを捕捉および検出できることが分かるが、それは、励起光の低パワーゆえである。かかる測定状況は、やはり、先行技術の装置によって扱うことができる。しかしながら、これは、図の下半分に示す状況(高励起パワー)にとっては真ではない。
【0048】
高励起パワーの場合に、放出確率が非常に高いので、一励起パルス24が、いくつかの光子事象23を引き起こし得る。第1のデジタルデータシーケンス25および第2のデジタルデータシーケンス26の生成が、図3および4に示されている。
【0049】
図3および図4は、デジタルデータシーケンス25、26が、標準化電気信号、すなわち2進数0および1から生成され、かつ次のような方法、すなわち、ちょうどサンプリングされた振幅が、定義済みおよび/または定義可能な第1の励起閾値未満である場合に、より低い標準化信号、つまり0が設定され、またはちょうどサンプリングされた振幅が定義済みおよび/または定義可能な第2の励起閾値を超える場合に、より高い標準化信号、すなわち1が設定されるような方法で生成される実施形態を示す。閾値は、同じであってもよいが、必ずしも同じである必要はない。
【0050】
図3に示す実施形態において、第1のスイッチング瞬間27は、第1のデータシーケンス25内および/または第1のデータワード内における、より低い標準化信号すなわち0から、より高い標準化信号すなわち1への変化が存在する瞬間であるように、特に制御機器9によって、定義される。
【0051】
同様に、第2のデータシーケンス26に関して、第2のスイッチング瞬間28は、第2のデータシーケンス26内および/または第2のデータワード内における、より低い標準化信号すなわち0から、より高い標準化信号すなわち1への変化が存在する瞬間であるように定義される。
【0052】
図4は、コンスタントフラクション弁別器と共に使用するのに有利な別の実施形態を示す。この実施形態において、第1のスイッチング瞬間27は、第1のデータシーケンス25内および/または第1のデータワード内における、より低い標準化信号からより高い標準化信号への第1の変化の瞬間から、およびより高い標準化信号からより低い標準化信号への第2の変化の瞬間から、算術平均として計算される瞬間であるように、特に制御機器9によって、定義される。同様に、第2のスイッチング瞬間28もまた、第2のデータシーケンス26内における対応する変化の瞬間の算術平均として計算される。
【0053】
図5は、分かりやすくするために、個々のコンポーネントがボックスとして示された概略表現で例示的な実施形態を示す。試料17が、パルスレーザ3の形態をした光源2から照明光8で照明される。同時に、照明光8のパワーに比例する振幅の第1のアナログ電気信号が生成される。第1のアナログ電気信号は、信号調整のために第1のコンスタントフラクション弁別器42に送られる。次に、調整された第1のアナログ電気信号は、第1の比較器43に伝達され、第1の比較器43は、第1のアナログ信号を経時的にサンプリングすることによって、第1のデジタルデータシーケンスを生成する。
【0054】
第1のデジタルデータシーケンスは、直並列変換器29に送られ、直並列変換器29は、第1の並列データワードを生成する。データワードは、連続励起パルス間の時間間隔と正確に同じ長さの測定期間を各場合に表す。次に、データワードは、相関ユニット30に送られる。
【0055】
検出器20は、試料17から発する検出光18を受信し、かつ信号調整のために第2のコンスタントフラクション弁別器31に送られる第2のアナログ電気信号を生成する。次に、調整された第2のアナログ電気信号は、第2の比較器32に伝達され、第2の比較器32は、第2のアナログ信号を経時的にサンプリングすることによって、第2のデジタルデータシーケンスを生成する。第2のデジタルデータシーケンスは、第2の直並列変換器33に送られ、第2の直並列変換器33は、第2の並列データワードを生成する。第2のデータワードは、連続励起パルス間の時間間隔と正確に同じ長さの測定期間を各場合に表す。次に、第2のデータワードもまた、相関ユニット30に送られる。
【0056】
走査制御ユニット34が、検査されている試料領域に関連する画素データを相関ユニット30に送る。
【0057】
相関ユニット30は、第1のデータワード、第2のデータワードおよび画素データをデータパケット内で互いに相関させる。次に、データパケットは、スイッチング瞬間を決定するために、ならびに第1および第2のスイッチング瞬間の間の時間差を計算するためにユニット35に送られる。さらに、時間差の度数分布もまた、ユニット35において各場合に計算される。計算されたデータおよび情報は、メモリ36に転送され、そこに記憶される。後でデータおよび情報をオフラインでさらに分析することが可能である。代替または追加として、データは、例えばFLIM画像の形態で、実験中にオンラインでユーザに表示してもよい。
【0058】
図6は、第1および/または第2のアナログ電気信号のドラフティングサンプリング用に時間分解能を向上させるための手順を概略的に示す。プロセスにおいて、それぞれのアナログ電気信号37は、上記で詳細に説明したように、比較器32によって、nの同一デジタルデータシーケンス38に変換される。デジタルデータシーケンス38のそれぞれは、遅延ステージ39−1〜39−nを通過する。遅延ステージ39−1〜39−nは、それぞれのデジタルデータシーケンス38を異なる程度で遅延させる。遅延ステージ39−xの遅延時間は、時間スロットのn番目の部分に対応する時間オフセットだけ、次のステージ39−(x+1)の遅延時間と異なる。次に、デジタルデータシーケンス38は、それぞれの直並列変換器40−1〜40−nにそれぞれ送られ、それぞれの直並列変換器40−1〜40−nは、それぞれのデジタルデータワードを生成する。次に、これらのデータワードは、組み合わせおよび相関ユニット41で数学的に組み合わされる。
【符号の説明】
【0059】
1 走査顕微鏡
2 光源
3 パルスレーザ
4 プライマリー光ビーム
5 ビームスプリッタ
6 測定ビーム
7 励起検出器
8 励起ビーム
9 制御機器
10 照明ピンホール
11 メインビームスプリッタ
12 走査機器
13 走査ミラー
14 走査光学系
15 チューブ光学系
16 顕微鏡対物レンズ
17 試料
18 検出光
19 検出ピンホール
20 検出器
21 励起光のパワー・時間プロファイル
22 検出光のパワー・時間プロファイル
23 光子事象
24 励起パルス
25 第1のデジタルデータシーケンス
26 第2のデジタルデータシーケンス
27 第1のスイッチング瞬間
28 第2のスイッチング瞬間
29 第1の直並列変換器
30 相関ユニット
31 コンスタントフラクション弁別器
32 比較器
33 第2の直並列変換器
34 走査制御ユニット
35 ユニット
36 メモリ
37 電気信号
38 デジタルデータシーケンス
39 遅延ステージ
40 直並列変換器
41 組み合わせおよび相関ユニット
42 第1のコンスタントフラクション弁別器
43 第1の比較器


【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料における励起状態の寿命、特に蛍光寿命を測定するための方法であって、
a.励起パルスを生成し、前記励起パルスで試料領域を照明するステップと、
b.前記励起パルスのパワー・時間プロファイルを表す第1のデジタルデータシーケンスを生成するステップと、
c.前記第1のデジタルデータシーケンスから第1のスイッチング瞬間を決定するステップと、
d.前記試料領域から発する検出光を検出器によって検出するステップと、
e.前記検出光のパワー・時間プロファイルを表す第2のデジタルデータシーケンスを生成するステップと、
f.前記第2のデジタルデータシーケンスから第2のスイッチング瞬間を決定するステップと、
g.前記第1および第2のスイッチング瞬間の間の時間差を計算するステップと、
を備えて構成される、方法。
【請求項2】
a.前記ステップa〜gが周期的に繰り返され、および/またはb.前記ステップa〜gが一定の繰り返し周波数で周期的に繰り返される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記励起パルスがプライマリー光パルスから生じ、前記プライマリー光パルスの一部が、前記プライマリー光パルスの前記一部におけるパワーの時間プロファイルに振幅・時間プロファイルが依存する第1のアナログ電気信号を生成する励起検出器に送られ、前記第1のデジタルデータシーケンスを生成するために、前記第1のアナログ電気信号が、特に定義済みおよび/または予め定義可能な第1の時間スロットにて経時的にサンプリングされる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ちょうどサンプリングされた振幅が定義済みおよび/または定義可能な第1の励起閾値未満である場合に、より低い標準化信号が生成され、またはちょうどサンプリングされた振幅が定義済みおよび/または定義可能な第2の励起閾値を超える場合に、前記より低い標準化信号とは異なるより高い標準化信号が生成されるように、前記第1のデータシーケンスが、標準化電気信号から、特に2進数で生成される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記検出器が、前記検出光のパワーにおける時間プロファイルに振幅・時間プロファイルが依存する第2のアナログ電気信号を生成し、かつ前記第2のデジタルデータシーケンスを生成するために、前記第2のアナログ電気信号が、特に定義済みおよび/または予め定義可能な第2の時間スロットにて経時的にサンプリングされる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ちょうどサンプリングされた振幅が定義済みおよび/または定義可能な第1の検出閾値未満である場合に、より低い標準化信号が生成され、またはちょうどサンプリングされた振幅が定義済みおよび/または定義可能な第2の検出閾値を超える場合に、前記より低い標準化信号とは異なるより高い標準化信号が生成されるように、前記第2のデータシーケンスが、標準化電気信号から、特に2進数で生成される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
a.前記第1および/または前記第2のアナログ電気信号が、前記繰り返し周波数より著しく高いサンプリング周波数でサンプリングされ、および/またはb.前記第1および/または前記第2のアナログ電気信号が、前記繰り返し周波数の50倍を超える、特に100倍を超えるサンプリング周波数でサンプリングされ、および/またはc.前記第1および/または前記第2のアナログ電気信号が、前記繰り返し周波数より約125倍のサンプリング周波数でサンプリングされ、および/またはd.前記第1および/または前記第2のアナログ電気信号が、10GHzのサンプリング周波数でサンプリングされる一方で繰り返し周波数が80MHzである、請求項3〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
時間分解能を向上させるために、
a.前記第1のアナログ電気信号が、繰り返しサンプリングされ、および/または
b.前記第1のアナログ電気信号が繰り返しサンプリングされるが、時間スロットより短い、特に連続的に調整可能な、時間オフセットでサンプリングされ、および/または
c.前記第1のアナログ電気信号がn回サンプリングされるが、時間スロットのn番目の部分に対応する時間オフセットでサンプリングされ、および/または
d.前記第2のアナログ電気信号が、繰り返しサンプリングされ、および/または
e.前記第2のアナログ電気信号が繰り返しサンプリングされるが、時間スロットより短い、特に連続的に調整可能な、時間オフセットでサンプリングされ、および/または
f.前記第2のアナログ電気信号がn回サンプリングされるが、時間スロットのn番目の部分に対応する時間オフセットでサンプリングされる、請求項3〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
多重サンプリングのサンプリング結果が、数学的に組み合わされ、特にインターリーブされて、前記第1のデータシーケンスおよび前記第2のデータシーケンスをそれぞれ生成する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
a.前記第1のデジタルデータシーケンスの生成が、比較器および/またはコンスタントフラクション弁別器を含む第1のサンプリング装置を用いて達成され、および/またはb.前記第2のデジタルデータシーケンスの生成が、比較器および/またはコンスタントフラクション弁別器を含む第2のサンプリング装置を用いて達成される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記第1のデータシーケンスが、特に第1の直並列変換器によって、第1の並列データワードに変換され、および/または前記第2のデータシーケンスが、特に第2の直並列変換器によって、第2の並列データワードに変換される、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記データワードがそれぞれ、連続励起パルス間の時間間隔と少なくとも同じ長さ、特に正確に同じ長さである測定期間を表す、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1のスイッチング瞬間が、
a.前記第1のデータシーケンスおよび/または第1のデータワード内における、より低い標準化信号からより高い標準化信号への変化、またはより高い標準化信号からより低い標準化信号への変化が存在する瞬間であるように、または
b.前記第1のデータシーケンスおよび/または前記第1のデータワード内における、より低い標準化信号からより高い標準化信号への第1の変化の瞬間、およびより高い標準化信号からより低い標準化信号への第2の変化の瞬間から計算され、特に前記変化間の時間間隔の算術平均を計算することによって計算される瞬間であるように定義される、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記第2のスイッチング瞬間が、
a.前記第2のデータシーケンスおよび/または第2のデータワード内における、より低い標準化信号からより高い標準化信号への変化、またはより高い標準化信号からより低い標準化信号への変化が存在する瞬間であるように、または
b.前記第2のデータシーケンスおよび/または第2のデータワード内における、より低い標準化信号からより高い標準化信号への第1の変化の瞬間、およびより高い標準化信号からより低い標準化信号への第2の変化の前記瞬間から計算され、特に、前記変化間の時間間隔の算術平均を計算することによって計算される瞬間であるように定義される、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
複数の計算された時間差の少なくとも1つの度数分布が生成される、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
a.異なる試料領域、特に、互いに隣接するか、および/または走査線にて互いに隣接して配置された試料領域が、励起状態の寿命に関して次々に連続して分析され、および/またはb.異なる試料領域、特に、互いに隣接するか、および/または走査線にて互いに隣接して配置された試料領域が、励起状態の寿命に関して次々に連続して分析され、位置情報が、各試料領域のデータシーケンスおよび/またはデータワードおよび/または度数分布および/または時間差に追加され、c.異なる試料領域、特に、互いに隣接するか、および/または走査線にて互いに隣接して配置された試料領域が、励起状態の寿命に関して次々に連続して分析され、前記試料の蛍光寿命画像(FLIM)が生成される、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記励起光および/または前記検出光を操作するため走査機器が用いられる、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法を実行するための装置。
【請求項19】
試料における励起状態の寿命、特に蛍光寿命を測定するための装置にして、励起パルスで試料領域を照明するために前記励起パルスを生成するための光源、および前記試料領域から発する検出光を検出するための検出器を有する装置であって、
a.前記励起パルスのパワー・時間プロファイルを表す第1のデジタルデータシーケンスを生成し、
b.前記第1のデジタルデータシーケンスから第1のスイッチング瞬間を決定し、
c.前記検出光のパワー・時間プロファイルを表す第2のデジタルデータシーケンスを生成し、
d.前記第2のデジタルデータシーケンスから第2のスイッチング瞬間を決定し、かつ
e.前記第1および第2のスイッチング瞬間の間の時間差を計算する制御機器が設けられている、装置。
【請求項20】
前記光源が、特に一定の繰り返し周波数で励起パルスシーケンスを生成し、前記制御機器が、ステップa〜eを周期的に繰り返す、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記光源が、前記励起パルスを含む励起ビームと測定ビームとにビームスプリッタによって分割されるプライマリービームを生成し、励起検出器が、前記測定ビームを受信し、かつ前記測定ビームのパワーにおける時間プロファイルに振幅・時間プロファイルが依存する第1のアナログ電気信号を生成し、かつ前記第1のデジタルデータシーケンスを生成するために、前記制御機器が、特に定義済みおよび/または予め定義可能な第1の時間スロットにて前記第1のアナログ電気信号を経時的にサンプリングする、請求項19または20に記載の装置。
【請求項22】
ちょうどサンプリングされた振幅が定義済みおよび/または定義可能な第1の励起閾値未満である場合に、より低い標準化信号が生成され、またはちょうどサンプリングされた振幅が定義済みおよび/または定義可能な第2の励起閾値を超える場合に、前記より低い標準化信号とは異なるより高い標準化信号が生成されるように、前記制御機器が、標準化電気信号から第1のデータシーケンスを特に2進数で生成する、請求項19〜21のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
前記検出器が、前記検出光のパワーにおける時間プロファイルに振幅・時間プロファイルが依存する第2のアナログ電気信号を生成し、かつ前記第2のデジタルデータシーケンスを生成するために、前記制御機器が、特に定義済みおよび/または予め定義可能な第2の時間スロットにて前記第2のアナログ電気信号を経時的にサンプリングする、請求項19〜22のいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】
ちょうどサンプリングされた振幅が定義済みおよび/または定義可能な第1の検出閾値未満である場合に、より低い標準化信号が生成され、またはちょうどサンプリングされた振幅が定義済みおよび/または定義可能な第2の検出閾値を超える場合に、前記より低い標準化信号とは異なるより高い標準化信号が生成されるように、前記制御機器が、標準化電気信号から前記第2のデータシーケンスを特に2進数で生成する、請求項19〜23のいずれか一項に記載の装置。
【請求項25】
前記制御機器が、
a.前記繰り返し周波数より著しく高いサンプリング周波数で、前記第1および/または前記第2のアナログ電気信号をサンプリングし、および/またはb.前記繰り返し周波数の50倍を超える、特に100倍を超えるサンプリング周波数で、前記第1および/または前記第2のアナログ電気信号をサンプリングし、および/またはc.前記繰り返し周波数より約125倍のサンプリング周波数で、前記第1および/または前記第2のアナログ電気信号をサンプリングし、および/またはd.10GHzのサンプリング周波数で前記第1および/または前記第2のアナログ電気信号をサンプリングする一方で、前記繰り返し周波数が80MHzである、請求項21〜24のいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
時間分解能を向上させるために、前記制御機器が、
a.前記第1のアナログ電気信号を繰り返しサンプリングし、および/またはb.前記第1のアナログ電気信号を繰り返しサンプリングするが、時間スロットより短い時間オフセットでサンプリングし、および/またはc.前記第1のアナログ電気信号をn回サンプリングするが、時間スロットのn番目の部分に対応する時間オフセットでサンプリングし、および/またはd.前記第2のアナログ電気信号を繰り返しサンプリングし、および/またはe.前記第2のアナログ電気信号を繰り返しサンプリングするが、時間スロットより短い時間オフセットでサンプリングし、および/またはf.前記第2のアナログ電気信号をn回サンプリングするが、時間スロットのn番目の部分に対応する時間オフセットでサンプリングする、請求項21〜25のいずれか一項に記載の装置。
【請求項27】
前記制御機器が、多重サンプリングのサンプリング結果を数学的に組み合わせ、特にインターリーブして、前記第1のデータシーケンスおよび前記第2のデータシーケンスをそれぞれ生成する、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
a.前記第1のデジタルデータシーケンスの生成が、比較器および/またはコンスタントフラクション弁別器を含む第1のサンプリング装置を用いて達成され、および/またはb.前記第2のデジタルデータシーケンスの生成が、比較器および/またはコンスタントフラクション弁別器を含む第2のサンプリング装置を用いて達成される、請求項19〜27のいずれか一項に記載の装置。
【請求項29】
前記第1のデータシーケンスを第1の並列データワードに変換するために第1の直並列変換器が設けられ、および/または前記第2のデータシーケンスを第2の並列データワードに変換するために第2の直並列変換器が設けられる、請求項19〜28のいずれか一項に記載の装置。
【請求項30】
前記第1および/または前記第2の直並列変換器が、連続励起パルス間の時間間隔と少なくとも同じ長さ、特に正確に同じ長さである測定期間をそれぞれ表すデータワードを生成する、請求項29に記載の装置。
【請求項31】
a.前記制御機器が、前記第1のデータシーケンスおよび/または第1のデータワード内における、より低い標準化信号からより高い標準化信号への変化、またはより高い標準化信号からより低い標準化信号への変化が存在する瞬間であるように第1のスイッチング瞬間を定義し、または
b.前記制御機器が、前記第1のデータシーケンスおよび/または第1のデータワード内における、より低い標準化信号からより高い標準化信号への第1の変化の瞬間、およびより高い標準化信号からより低い標準化信号への第2の変化の前記瞬間から第1のスイッチング瞬間を計算し、特に算術平均を計算することによって計算する、請求項19〜30のいずれか一項に記載の装置。
【請求項32】
a.前記制御機器が、前記第2のデータシーケンスおよび/または第2のデータワード内における、より低い標準化信号からより高い標準化信号への変化、またはより高い標準化信号からより低い標準化信号への変化が存在する瞬間であるように第2のスイッチング瞬間を定義し、または
b.前記制御機器が、前記第2のデータシーケンスおよび/または第2のデータワード内における、より低い標準化信号からより高い標準化信号への第1の変化の瞬間、およびより高い標準化信号からより低い標準化信号への第2の変化の瞬間から第2のスイッチング瞬間を計算し、特に算術平均を計算することによって計算する、請求項19〜31のいずれか一項に記載の装置。
【請求項33】
前記制御機器が、複数の計算された時間差の少なくとも1つの度数分布を生成する、請求項19〜31のいずれか一項に記載の装置。
【請求項34】
a.前記励起光を異なる試料位置に導くため、および/または試料を走査するため走査機器が設けられ、および/または
b.前記励起光を異なる試料位置に導くため、および/または試料を走査するため走査機器が設けられ、前記制御機器が、前記走査機器の特定位置に関する位置情報を、各試料領域のデータシーケンスおよび/またはデータワードおよび/または度数分布および/または時間差に追加する、請求項19〜33のいずれか一項に記載の装置。
【請求項35】
前記制御機器および/または前記サンプリング装置の少なくとも1つおよび/または前記直並列変換器の少なくとも1つが、プログラマブル集積回路、特にフィールドプログラマブルゲートアレイ(一言でいえばFPGA)の一部を形成する、請求項19〜34のいずれか一項に記載の装置。
【請求項36】
走査顕微鏡、特に共焦点走査顕微鏡の一部を形成する、請求項19〜34のいずれか一項に記載の装置。
【請求項37】
請求項19〜35のいずれか一項に記載の装置を含む走査顕微鏡。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2013−104876(P2013−104876A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−247351(P2012−247351)
【出願日】平成24年11月9日(2012.11.9)
【出願人】(500178876)ライカ マイクロシステムス ツェーエムエス ゲーエムベーハー (80)
【Fターム(参考)】