説明

試料における点状対象の三次元位置決め用の顕微鏡装置および方法

【課題】試料における点状対象の三次元位置決め用の顕微鏡装置および方法を提供する。
【解決手段】試料112における点状対象114を検出光学系108で結像し、画像空間に配置された少なくとも1つの検出ユニット146,148の、光束の入射方向に垂直に配置された検出面150,152で受ける。それぞれの検出面150,152上で感知されたそれぞれの光点を評価することによって、関連点状対象114の横方向X−Y位置、および鮮鋭面に垂直に位置する光学軸Oの方向における、鮮鋭面に対する関連点状対象114の軸方向Z位置を確認する評価ユニット154と、を含む。検出ユニット146,148によって検出できる異なる波長領域用のそれぞれ1つのZ位置補正値が、その波長領域における検出光学系108の縦の色収差を示すものであり、評価ユニット154は、関連Z位置補正値を用いて、点状対象114のそれぞれの波長領域でのZ位置を補正する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
近年、個々のマーカ、特に蛍光分子の逐次的な確率的位置決めに基づいて、従来の光学顕微鏡の回折限界に依存する解像限界より小さい試料構造を表示できる光学顕微鏡法が開発された。かかる方法は、例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、非特許文献1、および非特許文献2に説明されている。この新しい顕微鏡法の分野はまた、「位置決め顕微鏡法」とも呼ばれる。適用される方法は、例えば、(F)PALM((蛍光)光活性化位置決め顕微鏡法)、PALMIRA(独立画像取得型PALM)、GSD(IM)(基底状態抑制(個別分子リターン)顕微鏡法)、または(F)STORM((蛍光)確率的光学再構成顕微鏡法)の名称で文献において周知である。
【0002】
新しい方法には、結像される試料構造が、2つの識別可能な状態、すなわち「明」状態および「暗」状態を有する、マーカと呼ばれる点状対象を提供されるという共通点がある。例えば、蛍光染料がマーカとして用いられる場合に、明状態は、蛍光発光できる状態であり、暗状態は、蛍光発光できない状態である。
【0003】
好ましい実施形態において、例えば特許文献6および特許文献1において、光切り換え可能または光活性化可能な蛍光分子が用いられる。代替として、例えば特許文献2におけるように、標準蛍光分子の固有の暗状態を用いることができる。
【0004】
画像生成光学系の従来の解像限界より高い解像度で試料構造を結像するために、より小さなマーカサブセットが、繰り返して明状態にされる。この活性サブセットを構成するマーカの密度は、すなわち、明状態、およびしたがって光学顕微鏡によって結像できる状態における隣接マーカ間の平均間隔が、結像光学系の解像限界より大きくなるように選択しなければならない。活性サブセットを構成するマーカは、各点状マーカの配光が、光学系の解像限界によってサイズが決定される光点の形態で感知されるように、空間解像光検出器、例えばCCDカメラ上に結像される。
【0005】
複数の個別生データ画像が、このように感知され、そのそれぞれにおいて、異なる活性サブセットが結像される。次に、画像解析プロセスにおいて、明状態にある点状マーカを表す配光の中心点位置が、各個別生データ画像において決定される。次に、個別生データ画像から確認された配光の中心点位置が、全体的な画像データセットの形で1つの全体的な表現へと結合される。この全体的な表現によって生成された高解像度の全体画像は、マーカの分布を反映する。
【0006】
結像される試料構造の代表的な再生のために、十分に大きな数のマーカ信号が、検出されなければならない。しかし、各活性サブセットにおけるマーカ数が、明状態において2つのマーカ間に存在しなければならない最小平均間隔によって制限されるので、試料構造を完全に結像するためには非常に多数の個別生データ画像が感知されなければならない。個別生データ画像の数は、典型的には10,000〜100,000の範囲である。
【0007】
対象面(以下ではX−Y面とも呼ばれる)におけるマーカの横方向位置における上記の決定に加えて、軸方向(以下ではZ方向とも呼ばれる)における位置決定もまた行うことができる。ここで軸方向は、画像生成システムの光学軸における方向、すなわち光の主な伝播方向を意味する。
【0008】
三次元位置決めは、非特許文献3、非特許文献4、および非特許文献5に説明されている実験など、いわゆる「粒子追跡」実験から周知である。それらはまた、個別分子の上記の切り換えおよび位置決めに基づく画像生成方法において既に利用されている。ここで非特許文献6および非特許文献7が参照される。既存の技術に関しては、さらに、非特許文献8および非特許文献9について述べられている。
【0009】
Z方向における点状対象の位置決めは、点状対象が、検出面と光学的に共役な鮮鋭面または焦点面から外に出た場合に見えるようになる、カメラの検出面上で感知される光点における変化を評価することによって、原則として達成することができる。点状対象は、画像生成システム、特に検出対物レンズの回折限界に依存する解像限界より寸法が小さい対象として、以下では理解されたい。この場合に、検出対物レンズは、この種の対象を、三次元焦点配光の形態で画像空間に結像する。焦点配光は、文献では「点広がり関数」、略してPSFとも呼ばれる光点を、カメラの検出面上に生成する。次に、点状対象が、焦点を通ってZ方向、すなわち鮮鋭面に垂直なZ方向に移動された場合に、PSFのサイズおよび形状が変化する。PSFのサイズおよび形状の点で、感知された光点に対応する検出信号を解析することによって、対象の実際のZ位置に関する推測を導くことができる。
【0010】
しかしながら、三次元位置決めに関連して、点状対象に由来するPSFが、検出面の観点から言えば対称的であるという基本的問題が存在する。これは、次のことを意味する。すなわち点状対象が、鮮鋭面から外に移動されることでPSFは変化し、その結果、鮮鋭面からの対象の間隔を決定することができるけれども、しかしながらPSFにおける変化は、鮮鋭面の両側で対称的であり、その結果、点状対象が鮮鋭面のどちら側に位置するかを決定することが不可能であることを意味する。
【0011】
点状対象の三次元位置決めは、いわゆる多色測定、すなわち試料が異なる染料でマークされ、かつこれらの異なる染料に対して感知された検出信号が分離されなければならない多色測定を実行する必要がある場合に、さらに一層困難になる。多色測定は、細胞内の構造、例えばタンパク質の共同位置決めに特に役立つ。異なる染料の検出信号を分離することが可能な場合に、染料およびしたがって様々な構造のそれぞれの分布に関して結論を引き出すことができる。
【0012】
多色測定に関連して、高解像度位置決め顕微鏡法に発生する根本問題は、全ての検出対物レンズがある程度に呈するいわゆる縦の色収差(軸上色収差とも呼ばれる)である。縦の色収差は、異なる色の光を放射する対象を、波長の関数として異なる画像面に結像させる収差として理解される。これは、図1に示されており、そこでは、点状対象10が、2つの波長(図1では、破線および点線として、かつ12および14の符号でそれぞれ示されている)の光を放射していると仮定されている。対物レンズ16およびチューブレンズ18によって構成された検出光学系に発生する縦の色収差は、今や、異なる波長用に検出光学系によって生成された焦点配光を、Z方向において互いにオフセットさせる。相互にオフセットされた焦点配光の中心点は、図1において20および22の符号を付けられている。
【0013】
縦の色収差は、レンズ材料が散乱を呈するということ、すなわち異なる光波長に対して異なる屈折率を有するということによって引き起こされる。縦の色収差は、巧みなレンズ設計によってある程度まで低減させることができる。典型的な高性能対物レンズは、例えば、150〜200nmの縦の色収差を有し、それは、同じ鮮鋭面に位置する青色染料および赤色染料が、Z方向において互いから150〜200nmのオフセットで結像されることを意味する。
【0014】
上に挙げた範囲における縦の色収差は、従来の顕微鏡法では許容できる。なぜなら、Z方向において達成可能な解像度が、いかなる場合でも600〜1000nmの範囲にのみあるからである。しかしながら、他方において、はるかに優れた解像値が、今や、個別分子の検出に基づいて、位置決め顕微鏡法において達成されている。例えば、50nm未満の解像度が達成可能である。かかる解像度において、上に挙げた大きさの縦の色収差は、もはや許容できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】WO 2006/127692 A2
【特許文献2】DE 10 2006 021 317 B3
【特許文献3】WO 2007/128434 A1
【特許文献4】US 2009/0134342 A1
【特許文献5】DE 10 2008 024 568 A1
【特許文献6】WO 2008/091296 A2
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】“Sub-diffraction-limit imaging by stochastic optical reconstruction microscopy(STORM),”Nature Methods 3,793−796(2006),M.J.Rust,M.Bates,X.Zhuang
【非特許文献2】“Resolution of Lambda/10 in fluorescence microscopy using fast single molecule photo-switching,”Geisler C.et al,Appl.Phys.A,88,223−226(2007)
【非特許文献3】Kajo et al.,1994,Biophysical Journal,67
【非特許文献4】Holtzer et al.,2007,Applied Physics Letters,90
【非特許文献5】Toprak et al.,2007,Nano Letters,7(7)
【非特許文献6】Huang et al.,2008,Science,319
【非特許文献7】Juette et al.,2008,Nature Methods
【非特許文献8】Bossi et al.,2008,Nano Letters,8(8),2463−2468
【非特許文献9】Pavani et al.,2009,PNAS,106
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の目的は、特にZ方向において高精度で、多色測定に基づいて点状対象の三次元位置決めを可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、この目的を、請求項1に記載の顕微鏡装置および請求項14に記載の方法によって達成する。
【0019】
特に有利な実施形態において、試料における点状対象の三次元位置決め用の装置には、対象空間に配置された点状対象を、それぞれ三次元焦点配光の形態で画像空間に結像する検出光学系と、点状対象を結像するために、検出光学系によって発生された光を、異なる波長領域に光波長がある少なくとも2つの別個の光束へと分割する色分離装置と、画像空間に配置された少なくとも2つの検出ユニットであって、そのうちの一検出ユニットが、2つの光束の1つを受信し、もう一方の検出ユニットが、2つの光束のもう一方を受信し、各検出ユニットが、関連焦点配光を通る平面セクションをそれぞれが表す光点を感知するために、それぞれの光束の入射方向に垂直に配置された検出面を含む少なくとも2つの検出ユニットと、それぞれの検出面上で感知されたそれぞれの光点を評価することによって、鮮鋭面と平行な対象面内の関連点状対象の横方向X−Y位置、および鮮鋭面に垂直に位置する光学軸の方向における、鮮鋭面に対する関連点状対象の軸方向Z位置を確認する評価ユニットであって、それぞれの鮮鋭面が、対象空間に位置する平面であって、画像空間に位置し、かつそれぞれの検出面が配置された検出平面と光学的に共役な平面である評価ユニットと、2つの波長領域の少なくとも1つ(好ましくはそれぞれ)のための少なくとも1つのZ位置補正値が、評価ユニットに記憶され、その値が、その波長領域における検出光学系の縦の色収差を示すことと、関連Z位置補正値を用いて、それぞれの点状対象の、それぞれの波長領域において確認されたZ位置を補正する評価ユニットと、が含まれる。
【0020】
本発明による装置は、特にZ方向を含んで、高空間解像度で点状対象の三次元位置決め用の多色測定を実行するのに適している。そのために、位置決め装置には、試料から放射された光を少なくとも2つの波長領域に分割する色分離装置が含まれる。多色測定において放射スペクトルがわずかに重複する染料が用いられる場合に、色分離装置は、装置の検出ビーム経路における色フィルタの適切な選択によって実現することができる。この場合に、別個の検出フィルタおよびしたがって別個の検出チャネルが、各染料に割り当てられる。このように分離できる染料の数は、染料の放射スペクトルが、可能なら、大きな重複なしに可視光線の利用可能なスペクトル窓に収まるべきであるという事実によって制限される。
【0021】
しかしながら、効果的な色分離は、まさに2つの検出チャネルのみを用いてさえ可能である。この場合に、色分離装置には、例えば、分離される染料の数にかかわらず、点状対象を結像するために検出光学系によって発生された光を、検出ユニット上にそれぞれ入射するまさに2つの別個の光束のみに分割する二色ビームスプリッタが含まれる。この方法において、異なる波長領域における全く同一の対象の画像が、2つの検出ユニットの検出面上で感知される。次に、染料は、これらの2つの光点の輝度比に基づいて容易に決定することができる。この時点で考慮すべきことは、2つの検出ユニットが、1つのユニットに、例えば、カメラチップの一部分が一検出チャネル用に用いられ、かつカメラチップの別の部分が別の検出チャネル用に用いられるというカメラの形態に組み合わせ可能であるということである。
【0022】
本発明によれば、問題の特定の点状対象の横方向X−Y位置と同様に軸方向Z位置が、それぞれの検出ユニットの検出面上で感知された光点を評価することによって確認される。この評価には、例えば、鮮鋭面に対する点状対象のZ位置を決定するために、光点によって生成されたPSFの形状およびサイズの解析が含まれる。そのために、例えば、正確なZ位置をPSFの特定の測定された形状に割り当てる適切な割り当てプロトコルに解析を基づかせることが考えられる。この種の割り当てプロトコルは、例えば、点状対象が、鮮鋭面の一側から他側へZ方向において移動され、かつPSFの形状が、今や周知のZ位置に対して決定される較正測定によって得ることができる。これは、後続の測定において、正確なZ位置を、測定されたPSF形状に割り当てることができるようにする割り当てプロトコルを生成する。
【0023】
例えば、X方向およびY方向におけるPSFの寸法の差がZ位置と相関する割り当てプロトコルを用いることができる。
【0024】
本発明によれば、評価ユニットには、少なくとも2つの波長領域のそれぞれのために、それぞれの波長領域における検出光学系の縦の色収差を示す少なくとも1つのZ位置補正値が保持される。これによって、波長依存のZ位置補正値を用いて、上記の方法で確認された対象のZ位置を補正し、それにより検出光学系に生じる縦の色収差を補償することが可能になる。したがって、本発明によって、異なる染料の非常に正確な位置決めがZ方向において同様に可能になる。
【0025】
特に好ましい実施形態において、次のような方法で、それぞれの焦点配光に影響を及ぼす装置が提供される。すなわち、点状対象が鮮鋭面に位置する場合に、関連光点が対称形状を有するような方法、点状対象が、検出光学系に背を向けた鮮鋭面の側に位置する場合に、関連光点が、第1の非対称形状を有するような方法、および点状対象が検出光学系に面する鮮鋭面の側に位置する場合に、関連光点が、第一の対称形状と見分けがつく、第2の非対称形状を有するような方法である。この構成を用いれば、対称性の破れは、次のような方法で実現される。すなわち、鮮鋭面の一側に位置する点状対象に由来する、検出面上で感知された光点が、鮮鋭面の他側における対象から生じる光点と異なるような方法で実現される。以下で「対称的」は、光点が、X−Y面に配置された検出面に垂直に両方とも配置されたX−Z面およびY−Z面における反射に関して対称的である状態を意味する。
【0026】
それぞれの焦点配光に影響を及ぼすための装置には、円柱レンズを含むことが好ましい。この種の円柱レンズは、点状対象が、鮮鋭面の一側から他側に移動される場合に、PSFに非対称変化を引き起こす非点収差を生成する。しかしながら、対象が鮮鋭面に位置する場合に、PSFは、対称的である(例えば、わずかに十字形である)。対象の正確なZ位置は、検出面上のPSF形状において、すなわち横方向において、非点収差によって引き起こされる非対称変化に基づいて、容易に決定することができる。
【0027】
円柱レンズが用いられると、2つの検出面に割り当てられる鮮鋭面は、対象空間において一致することができる。しかしながら、同様に、Z位置を決定するために提供されるPSFの対称性の破れを、2つの検出面に割り当てられる鮮鋭面が対象空間において互いにオフセットされるという事実によって達成することが可能である。この実施形態において、位置決めされる対象が、一検出チャネルの鮮鋭面に位置する場合に、対象は、そこで鮮明に結像されるのに対して、もう一方の検出チャネルでは不鮮明に結像される。対象が、2つの鮮鋭面間に配置された場合に、対象は、両方の検出チャネル上で不鮮明に結像されるが、他方のチャネルよりも焦点位置が接近しているチャネル上で、より鮮明に結像される。どの検出チャネルがどの焦点位置を占めるかが周知である為、ここでも同様に、測定に基づいて、点状対象が位置するZ位置を決定することが可能である。再度、適切な割り当てプロトコルを較正測定から得ることができる。ここで考えられる一割り当てプロトコルは、例えば、一検出チャネルにおいて感知された光点の直径と、もう一方の検出チャネルにおいて感知された光点の直径との間の差であろう。本発明によるPSFの対称性の破れはまた、例えば、Pavani et al., 2009, PNAS, 106に説明されているいわゆる二重らせん法に従って、別の仕方で実現することができる。
【0028】
試料取付台および/または検出光学系、特に検出対物レンズを光学軸に沿って移動させるための位置調整装置を設けることが好ましい。これは、それぞれの対象に割り当てられたPSFの形状における変化を決定し、かつそこから対象のZ位置を確認するために、試料、およびしたがって位置決めされる点状対象を、検出光学系の鮮鋭面に対してZ方向、すなわち光学軸の方向に変位できるようにする。
【0029】
本発明による位置決め装置は、励起光を試料上に放射するための光源と、試料上に放射された励起光のスペクトル変化用の、光源の後に位置する装置と、を有することが好ましい。試料上に導かれる励起光を、そのスペクトル組成の点で変化させることができるという事実は、例えば反射較正部材の使用によって、それらの波長用の検出光学系の縦の色収差を正確に決定すること、および位置決めされる染料のその後の測定に導入できる値をZ位置補正値の形で保持することを可能にする。
【0030】
本発明による方法の有利な改善において、少なくとも1つの反射または散乱点状較正対象を含む較正試料を、異なる較正波長の光で照明することと、点状較正対象のZ位置を各較正波長用に確認することと、様々な較正波長用に確認された較正対象のZ位置間の偏差を決定することと、これらの偏差に基づいて、波長依存のZ位置補正値を識別することと、に対する備えがなされる。この有利な実施形態には、較正試料、例えばガラス基板であって、その上または中に、例えば金マイクロスフェアまたは金属ナノドットなどの反射または散乱較正対象が位置するガラス基板を用いることによって、縦の色収差を示すZ位置補正値を識別するために、較正を実行することが含まれる。縦の色収差を決定するために、較正対象は、それらの放射の点において、後で位置決めされる染料によって提示されると同じ配光で照射することができる。したがって、較正対象は、後で調査される染料と同じ波長で照らし出される。次に、較正対象は、所望の波長で連続的に照明することができる。次に、問題の較正対象のZ位置は、各波長用に決定される。ここでは、各個別較正波長用に、較正試料の異なるZ位置用の多重較正測定を実行することが可能である。次に同様に、較正試料の特定のZ位置を、そのZ位置に様々な較正波長を設定するために移動することができる。それによって、いずれにせよ、必要な較正情報を、例えば異なる染料用の較正曲線の形で生成することができる。
【0031】
上記の方法は、異なる染料組み合わせを基準試料として手元に維持する必要がなく、代わりに1つの較正試料のみが必要とされるという利点を有する。必要であるのは、位置決めされることになる各染料用の対応する励起光分布を生成することのみである。これは、例えば、励起光を放射する光源の後に配置された適切なフィルタを用いて、達成することができる。この場合に、各染料タイプは、それ自体に、染料の放射スペクトルに対応する光スペクトルを生成するフィルタを割り当てた。
【0032】
各2つの較正波長間に位置する波長用のZ位置補正値は、識別されたZ位置補正値の補間によって確認することが好ましい。追加または代替として、最長較正波長より長いか、または最短較正波長より短い波長用のZ位置補正値は、識別されたZ位置補正値の外挿によって確認することができる。これらの有利な改善によって、較正測定が実行されていない波長領域用にさえ、縦の色収差を決定することが可能になる。
【0033】
図に関連して以下で本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】検出光学系に発生する縦の色収差を示す概略表現である。
【図2】円柱レンズが、検出面上で感知されるPSFの対称性の破れをどのように引き起こすかを表す概略表現を示す。
【図3】割り当てプロトコル、すなわち、それを用いて、検出面上で感知されたPSFの形状が、鮮鋭面に対する点状対象のZ位置と相関される割り当てプロトコルを示す。
【図4】本発明による位置決め装置を概略的に示す。
【図5】異なる染料の分光分離を表す概略表現を示す。
【図6】検出面上で感知されたPSFを評価するための代替実施形態を示す概要表現である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図2を参照して、点状対象のZ位置が、検出面上で感知されたPSFの評価によって、本発明においてどのように確認されるかの説明が最初に与えられる。説明を単純化するために、図2に示す例には、最初に単色光だけが検討される。
【0036】
図2は、点状対象30が、対物レンズ32およびチューブレンズ34から構成された検出光学系36を介して検出面38上に結像される従来の配列を部分a)に示す。対象30は、ここでは、検出面38と光学的に共役な平面である鮮鋭面40に位置すると仮定される。
【0037】
検出光学系36は、対象30から進む光を、検出面38上に入射する三次元焦点配光へと形作る。したがって、検出面38は、焦点配光を通して、Z方向に垂直に位置する平面セクションを表す光点42を感知する。状況をよりよく示すために、光点42は、図2では、検出面38上の、すなわちX−Y面における平面図で示されている。点状対象30が鮮鋭面40に位置する図2の部分a)に示された例において、検出面38上の光点42は、円形、すなわちX−Z面およびY−Z面における反射に関して対称的な形状を有する。
【0038】
図2は、円柱レンズ44が対物レンズ32およびチューブレンズ34に加えて設けられた修正実施形態を部分b)に示す。円柱レンズ44は、X−Y方向において異なる屈折力を有する。それに応じて、検出面38上の光点42は、XおよびY方向において十字に変形される。しかしながら、部分b)に示す例において、点状対象30が、やはり鮮鋭面40に位置するので、十字形の光点42は、上記の意味で対称的なままである。
【0039】
図2は、点状対象30が鮮鋭面40の上方に配置された例を部分c)に示す。鮮鋭面40からのこのオフセットは、検出面38上の光点42を楕円へと非対称的に変形させる。鮮鋭面からの対象30の距離が大きければ大きいほど、光点42の楕円形状は、より顕著になる。
【0040】
図2は、点状対象30が、鮮鋭面40の下方に位置する例を部分d)に示す。ここでも同様に、検出面38上の光点42は、楕円形に変形されるが、部分c)における光点42の向きとは異なる向きに変形される。それに応じ、光点42の形状に基づいて、点状対象が鮮鋭面40の上方または下方に配置されているかどうかを検出することが可能である。
【0041】
図2に示すことから明白なように、鮮鋭面40に対する点状対象30のZ位置は、検出面38上における光点42の形状および寸法に基づいて決定することができる。これは、目下の例示的な実施形態において、図3に例として示す割り当てプロトコルに基づいて達成される。この割り当てプロトコルは、較正測定によって得られるが、この較正測定では、点状対象30が、Z方向において変位され、光点42の形状、すなわちPSFの形状が、個別Z位置用にそれぞれ決定される。図3に示す割り当てプロトコルの場合に、2つの相互に垂直な楕円軸PSFおよびPSFの長さにおける差は、PSFの形状用のパラメータとして利用され、Z位置と比較される。図3に示すことから直ちに明白なように、1つのZ位置を、差PSF−PSFの各値に明確に割り当てることができる。前述の差の値がゼロである場合に、それから、点状対象30が、鮮鋭面40にまさに位置すると推測可能である。
【0042】
厳密に言えば、図3に示す割り当てプロトコルは、単一の所定波長に対してのみ有効である。検討されるものが単一波長のみではなく、いくつかの異なる波長または波長領域である場合に、結果は、図3に示す割り当てプロトコルと比較すると、縦の色収差の結果として変位され、かつ恐らくまた変形された、いくつかの割り当てプロトコルである。縦の色収差は、図3に示すゼロ交差の変位を本質的に生成する。したがって、本発明によれば、図3に示す種類の割り当てプロトコルは、関心のある全ての波長用に、較正測定に関連して確認される。次に、この方法で得られた較正曲線におけるゼロ交差の前述の変位から、それぞれの波長用の、検出光学系の縦の色収差を表すZ位置補正値が引き出され、点状対象のZ位置を決定する場合に考慮される。
【0043】
図4は、本発明の例示的な実施形態を表す顕微鏡装置100を示す。
【0044】
装置100は、励起光のスペクトル変化用に役立つ装置104上に励起光を放射する励起光源102を有する。装置104には、例えば、励起光のビーム経路に選択的に導入できるいくつかの光学フィルタの配列が含まれる。
【0045】
装置104から放射された励起光は、励起光を対物レンズ108へ反射するように具体化された二色ビームスプリッタ106上に入射する。対物レンズ108は、位置決めされることになる複数の点状対象を含む、可動試料ホルダ110に配置された試料112上に励起光を送出する。これらの対象のうち、114の符号を付けられた単一の対象のみが、図4に純粋に概略的に示されている。点状対象114の寸法は、ここでは、対物レンズ108の回折限界に依存する解像限界より小さいと仮定される。試料ホルダ110は、光学軸Oに沿って試料ホルダ110を変位するように働く位置調整装置116に結合される。
【0046】
点状対象114から進む光は、対物レンズ108を通って案内され、ビームスプリッタ106上に入射する。ビームスプリッタ106は、それが、対象114から進む光を検出フィルタ118上へ透過させるように具体化される。次に、光は、チューブレンズ120を通過し、偏向ミラー122上に入射する。次に、偏向ミラー122で反射された光は、円柱レンズ124を通過するが、円柱レンズ124によって、光は、図2に示すような方法で影響を受ける。
【0047】
光は、円柱レンズ124を通過した後で、色分離装置126に入る。色分離装置126には、二色ビームスプリッタ128が含まれるが、二色ビームスプリッタ128の効果は、図5の部分a)に関連して後でさらに詳細に説明する。二色ビームスプリッタ128は、第1の波長領域内の蛍光の一部が通過できるようにし、一方でそれは、第2の波長領域内における蛍光の残りの部分を反射する(図5の部分a)もまた参照されたい)。通過できるようにされた蛍光部分は、偏向ミラー130、132、134および136の配列を介して、カメラ138上に導かれる。ビームスプリッタ128によって反射された蛍光部分は、偏向ミラー140、142および144の配列を介して、異なる光路で、再度カメラ138上に導かれる。カメラ138には、2つの別個の検出ユニット146および148が含まれ、これらの各検出ユニットは、検出面150および152をそれぞれ有する。ビームスプリッタ128によって通過できるようにされた蛍光部分は、検出面150上に入射し、一方でビームスプリッタ128で反射された蛍光部分は、検出面152上に入射する。したがって、色分離装置は、二色ビームスプリッタ128によって、検出ビーム経路を2つの別個の検出チャネルへ分割し、検出チャネルの一方は検出面150に至り、もう一方は検出面152に至る。
【0048】
装置100は、装置100の個別コンポーネントに制御を適用するコントローラ154をさらに含み、かつ点状対象114を位置決めするために、カメラ138によって生成された信号の評価を本発明に従って実行する。
【0049】
色分離装置126によって、試料112に含まれる異なる染料の分光分離が可能になるが、この分離は、図5に関連して以下で説明する。
【0050】
図5は、3つの異なる染料A、BおよびCの蛍光放射と同様に、160の符号を付けられた、二色ビームスプリッタ128の透過特性曲線を部分a)に示す。前に説明したように、二色ビームスプリッタ128は、2つの別個の検出面150および152に至る2つの別個の検出チャネルに、検出ビーム経路を分割する。2つの検出面150および152に割り当てられる鮮鋭面が、対象空間において一致するので、検出面150および152は、試料112内の正確に同じ領域を感知する。しかしながら、2つの検出チャネルへ移動する波長領域は異なる。例えば、染料Aの放射領域が、一方の検出チャネルのほぼ全体に位置するのに対して、染料Cの放射領域は、もう一方の検出チャネルのほぼ全体に位置する。染料Bの放射領域は、2つの検出チャネルのほぼ中間に位置する。
【0051】
次に、個別染料から進む蛍光が受信される場合に、蛍光は、したがって、図5の部分a)に示すように2つの検出チャネルにわたって分配される。図5は、3つの染料A、BおよびCから生じ、かつ検出面150および152上で感知される光点の例を部分b)に示す。この表現から推察し得るように、染料Aは、比較的高い信号レベルを有する光点を一検出チャネルに残すのに対して、比較的低い信号レベルを有する光点を、もう一方の検出チャネルに生成する。染料Cによってもたらされた光点は、逆の挙動を示す。他方で、染料Bから生じる光点は、両方の検出チャネルにおいて、ほぼ同じ信号レベルを有する。
【0052】
各個別分子信号用に、輝度分布、すなわち2つの検出チャネルにわたる光子分布、を測定して、図5の部分c)に示す図に表すことができる。各測定された個別分子事象は、この図において、極座標rおよびφによって定義される測定点を生成する。角度φは、ここで、染料の色に関して情報を提供し、座標系の原点からの距離rは、輝度を示す。非常に多数の事象が、3つの全ての染料A、BおよびCから測定された場合に、結果は、部分c)に示す分布であり、この分布は、互いに分離できる3つの「色素雲」に対して顕著である。これらの色素雲の空間範囲は、それぞれの検出チャネルの光子分布における統計的変動によって、かつ個別分子事象が全て異なる輝度を有し、その結果、一事象当たりの合計光子数がまたランダムであるという事実によって画定される。次に、光子分布の点で、これらの色素雲の1つにおける領域に入る事象が測定された場合に、分子が染料タイプA、BまたはCの1つであると明白に確定することが可能である。
【0053】
結果は、互いに分離できる染料の数が、必要な検出チャネル数よりかなり多いということである。さらに、放射スペクトルが互いに実質的に一部重複する染料を互いに分離することが可能である。これは、非常に有利である。なぜなら、全ての染料が、同じ励起光で照明されるからである。図5に関連して上記で説明した分光信号分離および三次元位置決めの組み合わせが、縦の色収差を決定するために用いることができる追加的な使用可能情報をもたらすことがさらに言及されるべきである。例えば、信号が、2つのスペクトル的に異なる検出チャネルに分離されるという事実によって、縦の色収差は、各検出チャネルにおいて異なる効果を有するようになる。したがって、全く同一の個別分子事象用の信号は、一検出チャネルにおいて、もう一方の検出チャネルとは異なって見える。同じ割り当てプロトコル、すなわち、それに基づいてZ位置がPSFの形状から推測される割り当てプロトコルが、両方の信号用に利用される場合に、Z位置用の異なる値が、2つの検出チャネル用に得られる。染料スペクトルの分布およびしたがって絶対的な縦の色収差は、これらの2つの値から推測することができる。
【0054】
図5に関連して説明した分光信号分離は、さらなる利点を有する。特に、図5の部分c)に示す色素雲が測定された場合に、それぞれの色素雲の幅が、通常、純粋に統計的考察から予想されるより大きいことが明白である。その理由は、染料の微小環境における変化が、放射スペクトルにおける変化を結果としてもたらし得るということである。したがって、染料の隣接環境の性質に依存して、試料の一位置における色素分子は、別の位置とは異なるスペクトルを有することができる。分光信号分離は、この分光シフトが各個別色素分子用に測定可能であり、したがってそれに応じて縦の色収差もまた、各個別分子用に補正できるという利点を提供する。
【0055】
上記の実施形態は、単に例として理解されたい。これらの可能な変形の1つを図6に示す。
【0056】
図6は、2つの別個の検出チャネルを有する配列を示し、これらのチャネルの1つは、対物レンズ170およびチューブレンズ172によって実質的に画定され、もう一方は、対物レンズ170およびチューブレンズ174によって画定される。点状対象180から進む光は、ビームスプリッタ182、ならびに偏向ミラー184、186および187によって、2つの検出チャネルへ等しい割り当てで導かれる。2つの検出チャネルは、それらの焦点位置の点で、わずかに異なる。これは、次のことを意味する。すなわち、一方の検出チャネルが、第1の鮮鋭面190と光学的に共役な第1の画像面188を有するのに対して、もう一方の検出チャネルが、第1の画像面188に関してZ方向にオフセットされた、かつ今度は第1の鮮鋭面190に関してZ方向にオフセットされた第2の鮮鋭面194と光学的に共役な第2の画像面192を有することを意味する。位置決めされる対象180が、一方の検出チャネルの鮮鋭面に位置する場合に、対象180は、そこでは鮮明に結像されるのに対して、もう一方の検出チャネルでは不鮮明に結像される。対象180が、2つの鮮鋭面190および194間に位置する場合に、それは、両方の検出チャネルにおいて不鮮明に結像される。対象180が、両方の焦点面190および194を越えて配置された場合に、それは、両方の検出チャネルにおいて不鮮明に結像されるが、しかし検出チャネル、すなわち、その鮮鋭面が、もう一方の鮮鋭面より対象180に近い検出チャネルにおいて、より鮮明に結像される。
【0057】
どの検出チャネルがどの焦点位置にあるかが先験的に知られているので、ここでは同様に測定に基づいて、どこに対象180が位置するかを決定することが可能である。適切な割り当てプロトコルが、再度較正測定から取得可能である。ここで、1つの考えられる割り当てプロトコルは、例えば、一検出チャネルで感知された光点198の直径と、もう一方の検出チャネルで感知された光点200の直径との間の差であろう。この種の割り当てプロトコルは、図3に示す割り当てプロトコルに類似している。
【符号の説明】
【0058】
10 点状対象
12 波長
14 波長
16 対物レンズ
18 チューブレンズ
20 焦点配光の中心点
22 焦点配光の中心点
30 点状対象
32 対物レンズ
34 チューブレンズ
36 検出光学系
38 検出面
40 鮮鋭面
42 光点
44 円柱レンズ
100 顕微鏡装置
102 励起光源
104 装置
106 二色ビームスプリッタ
108 対物レンズ
110 可動試料ホルダ
112 試料
114 点状対象
116 位置調整装置
118 検出フィルタ
120 チューブレンズ
122 偏向ミラー
124 円柱レンズ
126 色分離装置
128 二色ビームスプリッタ
130 偏向ミラー
132 偏向ミラー
134 偏向ミラー
136 偏向ミラー
138 カメラ
140 偏向ミラー
142 偏向ミラー
144 偏向ミラー
146 検出ユニット
148 検出ユニット
150 検出面
152 検出面
154 コントローラ
160 透過特性曲線
170 対物レンズ
172 チューブレンズ
174 チューブレンズ
180 点状対象
182 ビームスプリッタ
184 偏向ミラー
186 偏向ミラー
187 偏向ミラー
188 第1の画像面
190 第1の鮮鋭面
192 第2の画像面
194 第2の鮮鋭面
198 光点
200 光点


【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料(112)における点状対象(30、114)の三次元位置決め用の顕微鏡装置(100)であって、
対象空間に配置された点状対象(30、114)を、それぞれ三次元焦点配光の形態で画像空間に結像する検出光学系(36、108)と、
前記検出光学系(36、108)から1つの光束を受信する、前記画像空間に配置された少なくとも1つの検出ユニット(146、148)であって、関連焦点配光を通る平面セクションをそれぞれ表す光点(42)を感知するための、前記光束の入射方向に垂直に配置された検出面(38、150、152)を含む検出ユニット(146、148)と、
前記検出面(38、150、152)上で感知された前記光点(42)を評価することによって、鮮鋭面(40)と平行な対象面内の前記関連点状対象(30、114)の横方向X−Y位置、および前記鮮鋭面(40)に垂直に位置する光学軸(O)の方向における、前記鮮鋭面(40)に対する前記関連点状対象(30、114)の軸方向Z位置を確認する評価ユニット(154)であって、前記鮮鋭面(40)は、前記対象空間に位置する平面であって、前記画像空間に位置し、かつ前記検出面(38、150、152)が配置された検出平面と光学的に共役な平面である、評価ユニット(154)と、
を含む顕微鏡装置(100)にして、
前記検出ユニット(146、148)によって検出できる異なる波長領域用のそれぞれ1つのZ位置補正値が、その波長領域における前記検出光学系(36、108)の縦の色収差を示すものであり、前記評価ユニット(154)に記憶されること、および
前記関連Z位置補正値を用いて、前記それぞれの点状対象(30、114)の、前記それぞれの波長領域で確認された前記Z位置を補正する前記評価ユニット(154)を更に含む、
顕微鏡装置(100)。
【請求項2】
光源によって放射され、前記検出ユニット(146、148)によって受信された前記光束から励起光をフィルタリングするように具体化されたフィルタを特徴とする、請求項1に記載の顕微鏡装置(100)。
【請求項3】
前記点状対象(30、114)を結像するために、前記検出光学系(36、108)によって生成された光を、異なる波長領域に光波長がある少なくとも2つの別個の光束に分割する色分離装置(126)を特徴とし、
前記少なくとも1つの検出ユニットが、前記画像空間に配置された少なくとも2つの検出ユニット(146、148)を備えて構成され、そのうちの一方の検出ユニットが、前記2つの光束の1つを受信し、他方の検出ユニットが、前記2つの光束の他方を受信し、各検出ユニット(146、148)が、前記関連焦点配光を通る平面セクションをそれぞれ表す前記光点(42)を感知するために、前記それぞれの光束の入射方向に垂直に配置された検出面(38、150、152)を備えて構成される、請求項1または2に記載の顕微鏡装置(100)。
【請求項4】
前記点状対象(30、114)が前記鮮鋭面(40)に位置する場合に、前記関連光点(42)が対称的な形状を有するように、かつ前記点状対象(30、114)が前記検出光学系(36、108)に背を向けた前記鮮鋭面(40)の側に位置する場合に、前記関連光点(42)が、第1の非対称的な形状を有するように、かつ前記点状対象(30、114)が前記検出光学系(36、108)に面している前記鮮鋭面(40)の側に位置する場合に、前記関連光点(42)が、前記第1の対称的な形状と見分けることができる第2の非対称的な形状を有するように、前記それぞれの焦点配光に影響を及ぼすための装置(44、124)を特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の顕微鏡装置(100)。
【請求項5】
前記それぞれの非対称的な形状が、少なくともほぼ楕円を構成し、前記評価ユニット(154)が、前記2つの相互に垂直な楕円軸の長さにおける差に基づいて、前記それぞれの点状対象(30、114)の軸方向Z位置を確認する、請求項4に記載の顕微鏡装置(100)。
【請求項6】
前記それぞれの焦点配光に影響を及ぼすための前記装置が、円柱レンズ(44、124)を含む、請求項4または5に記載の顕微鏡装置(100)。
【請求項7】
前記2つの検出面(150、152)に割り当てられた前記鮮鋭面が、前記対象空間において一致する、請求項3〜6のいずれか一項に記載の顕微鏡装置(100)。
【請求項8】
前記2つの検出面に割り当てられた前記鮮鋭面が、前記対象空間において互いにオフセットされる、請求項3に記載の顕微鏡装置(100)。
【請求項9】
前記2つの検出面が、同じ点状対象に属する光点を感知し、前記評価ユニットが、前記光点のサイズ比に基づいて、その点状対象(30、114)の軸方向Z位置を確認する、請求項8に記載の顕微鏡装置(100)。
【請求項10】
前記色分離装置(126)が、二色ビームスプリッタ(128)を含む、請求項3〜9のいずれか一項に記載の顕微鏡装置(100)。
【請求項11】
前記評価ユニット(154)が、それぞれ結像された点状対象(30、114)の色を、前記2つの検出面(150、152)によって感知されかつその点状対象(30、114)に属する光点の輝度比に基づいて確認し、前記確認された色を、その色用の縦の色収差を示す関連Z位置補正値に、割り当てる、請求項3〜10のいずれか一項に記載の顕微鏡装置(100)。
【請求項12】
試料取付台(110)および/または前記検出光学系(36、108)を前記光学軸(O)に沿って移動させるための位置調整装置(116)を特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の顕微鏡装置(100)。
【請求項13】
励起光を前記試料(112)上に放射するための光源(102)、および前記試料(112)上に放射された前記励起光のスペクトル変化のために前記光源の後に配置された装置(104)を特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の顕微鏡装置(100)。
【請求項14】
試料(112)における点状対象(30、114)の三次元位置決め用の方法であって、
対象空間に配置された点状対象(30、114)を、それぞれ三次元焦点配光の形態で、検出光学系(36、108)によって画像空間に結像するステップと、
前記画像空間に配置され、かつ関連焦点配光を通る平面セクションをそれぞれ表す光点(42)を感知するため、光束の入射方向に垂直に配置された検出面(38、150、152)を備えて成る、少なくとも1つの検出ユニット(146、148)を用いて、前記検出光学系(36、108)から1つの光束を受信するステップと、
前記対象空間に位置する平面であって、前記画像空間に位置し、かつ前記検出面(38、150、152)を配置した検出平面と光学的に共役な平面である鮮鋭面(40)と平行な対象面内のそれぞれの点状対象(30、114)の横方向X−Y位置、および前記鮮鋭面(40)に垂直に位置する光学軸(O)の方向における、前記鮮鋭面(40)に対する前記それぞれの点状対象(30、114)の軸方向Z位置を、前記検出面(38、150、152)上で感知された関連光点(42)を評価することによって確認するステップと、
前記検出ユニット(146、148)によって検出できる異なる波長領域用のそれぞれ1つのZ位置補正値であって、関連波長領域における前記検出光学系(36、108)の縦の色収差をそれぞれ示すZ位置補正値を利用可能にするステップと、
関連Z位置補正値を用いて、前記それぞれの点状対象(30、114)の、前記それぞれの波長領域で確認されたZ位置を補正するステップと、
を有する、方法。
【請求項15】
光源によって放射された励起光が、前記検出ユニット(146、148)によって受信された前記光束から、フィルタによってフィルタリングされることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記点状対象(30、114)を結像するために前記検出光学系(36、108)によって生成された光を、異なる波長領域に光波長がある少なくとも2つの別個の光束へ分割することと、
前記画像空間に配置された検出ユニット(146)によって、前記2つの光束の一方を受信し、かつ前記画像空間に配置されたさらなる検出ユニット(148)によって、前記2つの光束の他方を受信し、各検出ユニット(146、148)が、関連焦点配光を通る平面セクションをそれぞれ表す前記光点(42)を感知するために、前記それぞれの光束の入射方向に垂直に配置された検出面(38、150、152)を備えて構成されることと、
を特徴とする、請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
少なくとも1つの反射または散乱点状較正対象を含む較正試料が、異なる較正波長の光で照明され、
前記点状較正対象のZ位置が、各較正波長用に確認され、
様々な較正波長用に確認された前記較正対象のZ位置間の偏差が決定され、
これらの偏差に基づいて、波長依存Z位置補正値が識別される、
請求項14〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
複数の異なる蛍光染料を含む較正試料が、異なる励起波長の光で照明され、各励起波長が、蛍光を放射するために、各励起波長に割り当てられた1つの蛍光染料をそれぞれ励起し、前記蛍光の蛍光波長が、他の蛍光染料によって放射された前記蛍光の蛍光波長と異なることと、
前記点状較正対象のZ位置が、較正波長を定義する各蛍光波長用に確認されることと、
様々な較正波長用に確認された前記較正対象のZ位置間の偏差を決定することと、
これらの偏差に基づいて、波長依存Z位置補正値が識別されることと、
を特徴とする、請求項14〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
各2つの各較正波長間に位置する波長用のZ位置補正値が、識別されたZ位置補正値の補間によって確認され、および/または最長較正波長より長いか、最短較正波長より短い波長用のZ位置補正値が、識別されたZ位置補正値の外挿によって確認される、請求項18に記載の方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−105177(P2013−105177A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−247350(P2012−247350)
【出願日】平成24年11月9日(2012.11.9)
【出願人】(500178876)ライカ マイクロシステムス ツェーエムエス ゲーエムベーハー (80)
【Fターム(参考)】