説明

試料の抽出装置

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、物質から材料を抽出する装置に関するものであり、詳細には超臨界流体抽出に関する。
【0002】
【発明の背景】超臨界流体は、抽出装置、クロマトグラフ及び他の関連装置において溶媒として使用される。臨界温度は、それより上では気体と液体の区別が消失する温度であり、そこでは全ての圧力に対して1つの流体相が存在する。どんなに大きな圧力が加えられても、液相を凝縮することはできない。超臨界領域は、臨界温度及び臨界圧力より上の全ての温度及び圧力により規定される。超臨界流体は、一般に認められるように気体と液体との有用な混成物であり、気体類似の粘度、液体類似の密度、及び典型的な溶媒より大きい拡散率を有している。超臨界流体の液体類似の密度は、実質上密度の直線関数により、液体類似の可変の溶媒能力を与える。これにより、溶媒の能力(通常化学的相互作用と考えられている)を、単に物理的パラメータすなわち密度又は圧力を調節することにより、設定(「ダイアル・イン」)することかできる。可変の溶媒能力は、臨界圧力の約0.6倍から溶媒密度がほぼ液体類似になる圧力までの圧力に相当する密度において最も著しい。
【0003】超臨界流体の他の重要な特徴は、典型的な液体溶媒と比較して、超臨界流体の粘度及び拡散率の輸送性が、石炭、動植物の組織、あるいは充填層のような複合マトリックス内部において大量輸送を高めることができることである。換言すれば、超臨界流体は、一層良く浸透し、典型的液体と殆ど同じように溶解させる。それ故、超臨界流体は、複合マトリックスの抽出に使用するのに一層効率的である。
【0004】超臨界流体の溶媒能力が可変であっても、各超臨界流体には、液体のような物質のそれに近い最大溶媒能力がある。液体の溶媒能力は、可変でもあり、実質上密度の直線関数でもあるが、液体溶媒能力をかなり増大させる必要がある。メタノールのような典型的な実験室液体溶媒については、圧力を大気圧にまで下げることができ、溶媒と溶質からなる溶液は安定である。溶液の濃縮及び溶質の乾燥のために溶媒を追い出すには熱を供給しなければならない。液体二酸化炭素又はアンモニアのような、周囲温度で蒸気圧が非常に高い液体を使用する場合には、溶媒は溶液を減圧すると容易に蒸発して、乾いた濃縮溶質を残す。しかし、共存する液相と気相との間の結合ラインに対応する等温線に沿って密度の不連続が存在する。密度及び溶媒能力の不連続のため、実質的に、高く又は低く、あるいは「成功」又は「不成功」になり、溶媒能力の制御の融通性が失われる。
【0005】大量輸送性に関しては、拡散率が重要なパラメータである。液体の拡散率は広い範囲を包含し、その幾つか(例えば、二酸化炭素及びアンモニア)は、液体が臨界状態の近くにあるとき超臨界流体の拡散率と殆ど同じである。これらの場合には、液体又は超臨界流体は、効率的な抽出に充分である。しかし、普通使用されている液体については、拡散率は超臨界流体の場合より10〜100倍低く、従ってこれらの液体は、抽出時間に関して効率が小さい。
【0006】それ故、超臨界溶媒は、(1)溶媒能力の連続範囲を大きくすることができ、従ってその範囲にわたって溶質の選択的溶解を行うことができること、(2)熱入力(input)を可能な限り少なくした迅速かつ完全な溶媒/溶質分離の手段を提供すること、及び(3)複合マトリックスの抽出に要する時間を10〜100倍減らすことができること、の点で優れている。
【0007】二酸化炭素は、廉価であり、無害であり、高純度で容易に入手でき、かつその臨界温度が約31℃であり熱的に不安定な化合物に対して有用であることから、超臨界流体抽出システムに使用される主要な抽出流体である。更に、二酸化炭素は、多数の普通の液体溶媒と相互に溶解可能である。二酸化炭素の溶媒能力は、ヘキサンの溶媒能力と同じであることが判っている。従って、大きな溶媒能力、超臨界流体の有利な性質、及び熱的に不安定な化合物に対する穏やかな操作温度を必要とする多数の用途が存在する。二酸化炭素と調節剤(modifiers)との混合物は、これらの要求事項を満たしている。当事者には周知のように、超臨界流体は、抽出及びクロマトグラフィにおいて溶媒として使用することができる。このような用途では二酸化炭素は好ましい溶媒である。エタン、亜酸化窒素、エチレン、あるいは六フッ化硫黄のような臨界温度が周囲温度(25℃)に近い他の流体も基本溶媒として動作する。これらの代わりの溶媒を利用する可能性は、これらの溶媒を使用する際に固有の危険性があるため、むしろ開発されていない。
【0008】超臨界流体システムにおける溶質溶解性を増やす他の方法は、温度制御によるものである。幾つかの溶質について、最大密度であっても、超臨界流体への受容可能な溶質溶解性を得るには、一定の最低温度が必要であり、従って密度との簡単なP−T関係の他に温度が溶質能力のパラメータでもあることが実証されている。
【0009】大気圧(周囲の圧力)を超える圧力で圧縮性流体を使用する抽出システムを構成するに当たって遭遇する問題は、流体システムの圧力が、流動する流体の質量流量と結合すると言うことである。これは、一定の幾何学的形状寸法を備え、高い圧力から、但し周囲あるいは真空の状態に一般には制限されない低い圧力までの圧力降下を達成する絞り弁を使用する結果であり、従って高い方の圧力を制限より上に置く唯一の実際的方法は、質量流量を増やすことである。しかし、これらの抽出システムを操作させるに際し、あらゆる圧力で質量流量を同じにすることが望ましい。すなわち、低い方の圧力を達成する小さい流量では、流体の所定の正味量を流す時間は高い圧力での場合よりかなり長く、例えば時間:分になる可能性がある。それ故、各圧力設定値で膨張キャリヤ流体の同じ統合質量を与える流量により、複数の圧力(例えば、1100psi、1300psi、1500psi、3000psi、6000psi)で順次操作するように調節することができるシステムでは、手順を完了する時間が非常に長くなる可能性があり、手順が非能率になる。これは、臨界流体及び非臨界流体の輸送性(例えば、粘度、拡散率)のために、従来の流体を使用する抽出より時間的に効率が良くなり得る近臨界流体抽出ばかりでなく、超臨界流体抽出システムを操作させる場合にも特に正しい。しかし、その効率は、圧力及び流れのパラメータを、ハードウェアの実現のために、例えば幾何学的流れが一定になるという制限のために、分離することができないときには失われる。
【0010】
【発明の目的】それ故、本発明の目的は、圧力及び流れのパラメータを分離し、これらのパラメータを独立に設定し、かつ制御することができるようにすることにある。
【0011】従来は、超臨界流体クロマトグラフ(SFC)及び超臨界流体抽出(SFE)装置のオペレータは、圧力及び温度のパラメータを選択して所要密度パラメータを間接的に設定していた。密度は、通常、流体の溶媒能力に対するその簡単な直線関係のために、超臨界(及び近臨界)システムにおける圧力より意味の深いパラメータである。しばしば、超臨界流体システムの以前のどんな実施例でも、圧力及び温度の入力だけが許容さていた。結果として得られる密度の計算、あるいは圧力/密度/温度の関係の把握は、時折簡略な調べ表により助けられることはあるが、ユーザに残されているものである。それ故、これらの場合には、溶解能力を制御することは、技法の洗練とユーザの忍耐力とに頼って状態方程式を適切に適用することであった。
【0012】固形物の抽出は、典型的には伝統的な実験室のガラス器具により人手で行われてきた。沸騰する液体溶媒中に試料を浸漬すると共に、続いて得られる溶液を濃縮するのを自動化する実験室装置は、Tecatorにより「Soxtec」として市販さている。この装置は分離を手順の一部として行うことができず、出力(output)はオートサンプラ適合容器内に無く、試料は抽出溶媒の沸点で決まる温度で煮沸され、これは熱的に不安定な化合物にとっては不利である。最近、数社が超臨界流体の使用に基づく装置を供給している。Milton Roy、Suprex、CCS、Lee Scientific/Dionex、及びJascoである。これら各社による装置は、例外的に精巧でもなく、また自動化されていない。これらは、種々の程度の人手の介入を必要としている。これらの装置では、定量抽出に対して超臨界流体を使用する能力を完全には実現していない。
【0013】従って、固形試料から超臨界流体技術を利用して各種の物質を分離することができる装置を設計する熱望的必要性が存在する。分離された物質(抽出物)又は残っている物質(残渣《raffinate》)のいずれかが関心のあるものである。分離の過程を抽出と言う。典型的には、この手順は人手を必須とするために、固形物の抽出を自動化する必要性も存在する。分析装置用試料を調製する業務において、未加工試料を、分析実験室で全世界に使用されている分析装置に導入するのに適した形態に、試料調製することを自動化することは、非常に望ましい。固形物の抽出には、しばしば、分離(例えば、カラム・クロマトグラフィによる)、濃縮、溶媒交換、及び再構成のような他の操作が伴われる。これら一般的な操作を含む方法は、実際には多数の(数段階から数百段までの範囲)人手操作段階で構成される。それ故、前述の5つの一般的操作を置き換えて、試料を抽出装置に提示し、かつ分析装置のオートサンプラに適した容器に分離物質の留分を受けるという1つの段階しか必要としない装置を作ることが望まれていた。
【0014】固形試料から所定物質を分離することの改良及び抽出、分離、濃縮、溶媒交換及び再構成のような過程の一般的操作を自動化することが明らかに望ましい目標である。当業者に既知の伝統的な実験室操作とは異なる技法を使用することが、このような異なる技法が、定量,反復可能性及び再現性,速さ,自動操作,自動化可能性,衛生上の危険の減少,あるいは費用の低減(材料及び労力)のいずれかの分野においても優れた性能を示すならば、望ましく、かつかなり有利なものである。
【0015】理想的には、抽出装置は、孤立モジュール、すなわち集積システムの構成要素となる装置である。このようなシステムでは、試料を入れ、留分を自動的に取り出すためのロボット式のアクセス可能性を備えることも甚だ望ましい。それ故、抽出システムの重要な特徴は、試料入力の自動化(すなわち、固形試料用オートサンプラの追加)、及び留分出力の自動化(すなわち、更なる化学的操作及び大規模な連続操作を伴う留分の収集)のために、その品質向上性にある。抽出流体成分を混合する外部ポンプ・モジュールも将来追加することができる。
【0016】抽出システムを利用する際の他の改良は、入力される試料及び出力される留分溶液に対して標準の入力容器及び出力容器を使用することである。装置は従って固形試料を受け入れる複数の大きさの抽出室を備えることになる。
【0017】改良された抽出装置は、また自動化された「方法」を取り入れることになり、この方法は或る1つの試料に関連する一連の操作として規定される。例としては、限定するものではないが、弁の動作、熱区域設定点の変更、抽出流体溶媒の選択、再構成溶媒の選択、流路の選択、留分出力の用途,密度/圧力の設定点の変更、流量設定点の変更がある。このような自動化抽出装置はまた、1つのあるいは種々の方法で、自動選択可能な出力先、自動選択可能な入力抽出流体成分、溶媒交換/再構成エミュレーションプロセスのための自動選択可能なすすぎ溶媒を、夫々提供する。
【0018】
【発明の概要】本発明は、主要抽出溶媒として超臨界二酸化炭素を使用して複合マトリックスから試料成分を抽出し、得られた抽出物を、オートサンプラ瓶を我々の分析装置(CC、LC、SFC)の自動注入システムに直接適合できるようにして、ユーザ選択の試料収集容器(オートサンプラ瓶、大型容器、浅い水鉢等)に集める試料調製装置を提供する。本発明は、溶媒抽出、ソックスレー抽出、液体/液体抽出、濃縮、あるいは蒸発のような伝統的調製手順に置き代わるものである。溶媒能力を、密度、調節剤濃度、及び温度により階段状に選定できるようにして、超臨界流体抽出器は、幾つかの用途においてカラム・クロマトグラフィの試料分離を模擬できる。
【0019】従って、制御装置、可変かつ制御可能な流れ制限を有する少なくとも1つの要素、及び試料収容部からなる流体流れシステム装置を使用して、試料から成分を抽出する方法が開示される。本発明の方法は、試料を試料収容部に挿入する段階、温度、圧力、流量、及び抽出時間の設定点を制御装置に入力する段階、及び加圧流体を供給する段階からなる。流体を流れシステム装置に入力流量設定点で注入するポンプに、流体を導くことにより、抽出プロセスを開始する。システム圧力を、流体がシステム内に汲み上げられるにつれて検知し、可変流れ制限を調整して設定点圧力を達成し、保持する。抽出は、流体を設定点流量で試料内部を通過させて導き、試料収容部を出る流体混合物を膨張ノズル部に導くことにより行われる。好ましくは、本発明の方法は、入力抽出時間が経過するまで流れ、圧力、温度の設定点を常に制御することを含む。或る実施例では、設定点を入力する段階は、これらのパラメータを所定の順序で変える抽出の方法が得られるように反復される。本発明の方法は、可変流れ制限を制御するためにオリフィスを開閉すること、あるいは設定点圧力が達成されるまでオリフィスを閉じること、及びオリフィスの絞りを制御して設定点圧力を維持することを考えている。
【0020】本発明は、試料から成分を抽出する装置をも開示している。好適には、ポンプモータ及びポンプモータ速度制御器を備えたガス液化用ポンプが、ポンプの出力の圧力を設定点圧力に調整する手段と共に設けられている。抽出部への加圧流体の供給は、流れシステムにより試料を保持するための手段である。この装置はまた、可変オリフィスを備えたノズル、及び信号をポンプモータ速度制御器に供給するための圧力トランスデューサ(trasducer)からレギュレータ・フィードバック・ループに接続されている圧力信号供給用の圧力トランスデューサを備えている。ノズルによる圧力降下は、膨張流体から溶解物質を沈澱させる一方、流れ及び圧力のパラメータを分離させる。別の1つの実施例では、レギュレータ・フィードバック・ループは、流体の圧力を所定値に維持するように、ポンプの速度を制御し、可変オリフィスを有するノズルは、加圧流体の質量流量を所定値に制限する絞りを作るように設定される。代わりの他の実施例では、ポンプは質量流量の調節を行う計量ポンプを備え、可変オリフィスを有するノズルは加圧流体の圧力を所定に維持する絞りを作るように設定される。
【0021】このように好適な実施例では、本発明に従って作られた試料から成分を抽出する装置を開示している。記述したシステムは、1つ以上の溶媒流体源及び高圧ポンプに接続された1つ以上の抽出溶媒流体入力ポートを備えている。圧力トランスデューサは、高圧ポンプから供給された流体の圧力を測定する。抽出室流れシステムは、好適には試料を流体の流れシステム内に保持する抽出室、及び試料を抽出室に入れる試料入力モジュールを備えて設けられる。流体流れを抽出室部を通るようにするバイパス流れシステムも設けられている。これらの流れシステムは、バイパス流れシステムと抽出室流れシステムとを併合する手段により結合されている。抽出された成分を分離するために、本発明は、少なくとも1つのノズルとトラップ・サブアセンブリとからなる、抽出溶媒流体を試料からの成分と分離する試料収集手段を利用している。少なくとも1つの試料収集容器の他に、流れトランスデューサも好適に組み込まれている。本発明の装置のこの好適な実施例では、加圧流体は、独立に決定されかつ制御される条件の下で、試料内部を通過して流れ、試料からの1つ以上の所定の成分を溶解し、成分は試料収集容器により集められる。上述の基本装置に対する多数の変形例及び追加例を以下に詳細に示す。
【0022】最後に、本発明は、ユーザにより所定の値にプログラムすることができ、かつこのような値を維持するようにシステムを調整する圧力・熱制御システムを備えた超臨界流体抽出システムの操作方法をも開示する。最初にユーザは、操作流体設定点密度及び区域温度を入力し、システムは設定点密度をその流体に対する状態方程式の所定の領域で設定点として区別し得る値に丸める。次に、システムは、設定点密度に対応する操作圧力を、これらの変数間の既知の関係を利用して計算する。ユーザは、密度及び温度の値が装置の操作領域外の圧力を生ずれば知らされ、操作圧力及び他の値が表示される。最後に、システムは、値を、設定点密度を抽出プロセス中設計仕様に維持する圧力・温度制御システムに伝える。
【0023】
【実施例】本発明の第1の特徴によれば、流れ及び圧力の設定点を分離することができる。ユーザは、試料を流れシステムに挿入し、温度制御設定点及び制御圧力又は密度設定点を入力して、本発明による超臨界流体抽出の手順を開始する。密度設定点の方を選択すれば、密度設定点の入力値を使用して制御圧力を計算しなければならない。オペレータは、次に制御流量、抽出に対する時間の長さ−これは、抽出流体がどれだけ長く試料内部を通過して流れるかを決める−を、システム・パラメータ時間と共に入力する。本発明の方法は、全ての段階に対してパラメータ設定点の選択を繰り返し、これらのパラメータをユーザが規定した順序で変える完全な抽出サイクルを作り出す。「開始」命令を発することより、装置は以下の各段階を遂行する。(1)流体を、周囲圧力又は大気圧より高い圧力の内容物が入っている標準ガスシリンダから、ガス層又は液体層として回収する。(2)回収した流体を、流体の所定の流量で抽出システムの残りの部分に供給するよう電子的に制御されているポンプに導く。(3)流体がシステムに注入されるとき、システム圧力を検知する。(4)流体を閉鎖システム内に注入することにより、設定点圧力が達成されるまでノズル・オリフィスを閉鎖するように制御する。(5)設定点抽出時間と比較するために時間測定を開始する。(6)ノズル・オリフィスを適切な範囲の絞りに制御して、一旦達成された設定圧力を維持し、システムへの流体注入が設定点流量で継続するようにする。次に、流体を、試料収容部内を通過させ、選択した流路を通して導く。システムは、次に試料収容部を出る流体混合物を膨張ノズル部に導き、抽出時間入力が経過し終わるまで、流れ、圧力、及び温度の全ての調整された設定点を維持するように続行する。
【0024】図1を参照すると、超臨界流体及び近臨界流体を使用する本発明の抽出システムの一実施例が示してある。システムは、最初に、設定点圧力を制御するレギュレータ104を備えたポンプ102を使用して、ガスシリンダ100からの二酸化炭素又は他の流体又は流体混合物を加圧する。流れシステムは、分離すべき成分を含む試料を保持している抽出部106に加圧流体を伝える。システムは、次に流体溶液をノズル108に導き、ここでその溶液は低い(例えば、大気の)圧力まで減圧される。図示した実施例では、ノズル108は、質量流量を制限する絞りを生成するように設定された可変オリフィスを備えている。設定点圧力を達成するには、レギュレータ104を使用してポンプ102の速さを調整することによる。両分離パラメータは、独立に設定される。レギュレータ104は、信号をポンプモータ速度制御器104に供給して所定の圧力設定点で操作を安定させる圧力トランスデューサ112からのフィードバック・ループの一部である。流れトランスデューサ118は、設定点流量を制御するノズルの可変オリフィスの物理的絞りを調整する制御ループ116の一部として設けられている。
【0025】図2に示す本発明の好適な実施例では、流体は、計量ポンプ102により所定流量で汲み上げられ、流れシステムの残りの部分に、調節された質量流量を供給する。再び、流体は、流体に浸されている抽出部106にある試料内部を通過して流れ、試料からの物質を溶解し、ノズル108での圧力降下を通して進む。ノズル108は、高圧溶液内に圧力降下を生じさせて膨張抽出流体から溶解物質を沈澱させる領域としての他に、加圧システムに対する背圧レギュレータとしても働く。圧力トランスデューサ112からの信号を使用する制御ループ110は、ノズル108による物理的絞りを制御し、ポンプシステムにより、流れ無しから約4g/分までの範囲に計量された質量流量の全範囲について設定点圧力を維持する。当業者により理解されるように、可変環状オリフィス・ノズル108は、多様な手段で実現することができる。例えば、修正ニードルバルブは、膨張領域の設計に特別な注意を払って構成することができる。
【0026】超臨界流体を使用するときは、密度のパラメータは、圧力及び温度の関数であるが、流体の溶媒能力(溶解力)に直接関連付けられる。それ故、溶媒能力は、3つのパラメータの中の2つを設定し調整することにより、調節可能であり、かつ選定可能である。圧力トランスデューサは共通であるが、典型的な抽出装置の操作状態での密度トランスデューサは共通でないから、所望の操作密度及び温度を選択し、適切な操作圧力を計算し,その圧力に制御するのが好ましい。
【0027】圧力及び流れを独立に制御することにより、化学者は、操作圧力を選択して抽出流体溶媒を変え、ポンプ流量を変えて抽出流体処理量の割合(又は効率)を変えることができる。パラメータを分離した状態で、ユーザは、両パラメータの範囲にわたり所定の時間量だけ、すなわち抽出流体の正味量を抽出することができる。本質的に、これら全てのパラメータ、流量、圧力、及び時間は、今や独立している。本発明の或る実施例では、流れシステムの多数の区画の温度も第4のパラメータとして独立に制御される。
【0028】当業者には容易に認められるように、本発明は、クロマトグラフの効率を可能な限り大きくすることにより超臨界流体クロマトグラフィ(SFC)をかなり発展させている。SFC抽出装置の将来の典型的な実施例は、超臨界及び近臨界のキャリヤ流体(移動相とも言われる)を用いる操作から必要な圧力降下を生じさせるのに固定絞り(穴、或る長さの細管、フリット等)を採用していた。絞りの直径は、代表的には数ミクロンであった。SFCで使用する場合において、密度(圧力)、流体、及び温度のパラメータを開発することは、超臨界流体抽出(SFF)で行う程度に重要である。固定絞りの場合には、クロマトグラフのオペレータは、流量を変えて操作圧力を達成するしかなかった。したし、これは、クロマトグラフ分離においては、流量が分離効率上重要なパラメータであるため、望ましくない。高い圧力を達成するのに必要な流量は、最も効率の良いクロマトグラフ領域で、すなわちファンディームター(van Deemter)曲線の極小で、操作させるには、はるかに大き過ぎることがしばしばである。従って、本発明により開示されているように、密度(圧力)と流量の独立制御は、適切なクロマトグラフ操作を可能とするものである。
【0029】図3には、固形物、半固形物、及び少量の液体から成分を抽出する本発明の装置の好適な実施例が示されている。この装置は、ガスボンベ100からの複数の抽出流体の入力ポートを備えており、その各々はバルブ101及び、或る場合には下流に設置されて、必要に応じて多数から1つのポートを選択する付随チェックバルブ203を備えている。上流で、かつポンプへの注入の直前に流体温度を制御する熱交換器204をも設けることができる。溶媒は、ポンプ室内部で必要な流体圧縮性を与えるように熱的に制御することができる高圧ポンプ202を通して流れる。流体の汲み上げによる圧力の波打ち現象を減衰するように、パルスダンパ205がポンプ202の下流に設けられている。次に、流れは「バイパス」部及び「室」部と言う2つの部分に分割される。バルブ207、209は、流れを、この2つの部分のいずれかに、両方に、あるいはいずでもなく、向けるように設けられている。流れシステムの室部は、図3に示す下方のバルブ209により調整される。予備加熱器211は、溶媒の温度を調整するために流れシステムのこの部分に再び設けることができる。別の予備加熱器240を、バイパス部にも設けることができる。このようにして流体は、抽出が行われる室210に流入する。概略的に示したように、本発明の室は、好適には2つの位置の間で動作する。この動作により、室を自動化することができ、室210と試料が入っている容器との間に必要な高圧シールを自動的に発生する装置を設けることができる。
【0030】室は、図示した2つの位置の間で動作するため、流体接続用管及び熱信号、制御信号、及びパワー信号の可撓電子接続を含む可撓継手が設けられている。これは、本発明の装置が流体を作動部分に供給する必要があるからである。
【0031】室210の内部にある試料入力モジュールは、好適には試料を、供給される動きによって作られる必要な全てのシールによって、抽出室210を経由して流れに挿入できるようにする。試料入力容器インターフェース及びアクチュエータは、好適には、円筒容器の種々の大きさに適合できるようになっている。「シンブル」(thimble)と言う試料入力容器は、好適には、自動化ベンチ(bench)内の共通の容器であり、同じ容器を、試料輸送容器として、固相抽出カートリッジの一部として、及びロ過装置の一部として役立てることができる。
【0032】上に指摘したように、本発明の流れシステムは、図3に示すように、上方バルブ207で制御されるバイパス部を備えている。バイパス部は、流体の流れを試料が入っている抽出室部210の周りに導き、室/円筒形容器からの溶液の内容のサンプリングが行われる前に、全ての制御がされた設定点を平衡させる。高圧ポンプにより供給される流体の圧力は、圧力トランスデューサ20により測定されるが、このトランスデューサはバイパス内部に設定されているとして図示されている。しかし、本発明の他の実施例では、トランスデューサ20は、他のどこにでも設置することができ、また流れシステムの種々の点で圧力を一層完全に監視するために1つ以上の別のトランスデューサを備えることができる。
【0033】圧力/密度による抽出流体の溶媒力を有意に制御するには、圧力トランスデューサ20を使用して行う。当業者に理解されるように、このような圧力トランスデューサ20の構成は、該当する確度及び精度の仕様を満たさなければならない。トランスデューサは、好適には、流体流に対する無効体積が可能な限り小さくなるように機械的に選定され、背圧調整サブアセンブリ及び室210への両部への圧力降下を最小限にするために、背圧調整アセンブリに近接して、及び室210の出口の比較的近くに設置される。当業者が容易に理解するように、図3は本発明の概要図であり、記述した構成要素の相対的設置は、システムの操作仕様と選択した構成要素の性能によって決められる。
【0034】上述したバイパス及び抽出室の流路は、続いて接合部213で共に併合され、適切なバルブ及びフィルタを使用してノズル・トラップサブアセンブリ214に流入する。本発明の装置は、高圧流路を低圧すすぎ部から分離するバルブをも備えている。微粒子によるノズルアセンブリ214の故障をできる限り少なくするには、フィルタ215をノズル/トラップアセンブリの直ぐ上流に設けるのが好ましい。
【0035】流れは、次に、システムの試料収集部を構成するサブアセンブリに向けられ、ここで純粋抽出溶媒、混合抽出溶媒、及び/又は抽出溶媒に溶解している抽出成分の混合物が、ノズル・サブアセンブリ216による圧力降下を受ける。液体二酸化炭素、あるいは二酸化炭素とメタノールのような流体の亜臨界又は近臨界の混合物のような高蒸気圧の液体は、圧力降下を受けると膨張するので、圧力降下により抽出溶媒を溶解成分から分離することができる。
【0036】ノズル・サブアセンブリ216はまた、圧力制御ループ及び熱制御区域の一部として背圧調整機能を受け持つ。但し、流れの制御は、圧力/密度の制御とは無関係である。本発明の装置の好適な実施例では、流れの制御は、ポンプ202により行われる。しかし、他の実施例では、図1及び図2を参照して上述したように、流れ制御のためにノズル216を使用し、ポンプ202に圧力及び密度を制御させることができるようにしている。
【0037】ノズル216で圧力降下を受けても液体のままでいる流体については、トラップ・サブアセンブリ218を操作させて、これらを下流で蒸発させる。トラップ・サブアセンブリ218は、沈澱する抽出成分を運び去る膨張流動ガス流を隔てる区画となる。トラップ・サブアセンブリ218には、不活性であるか、あるいは吸着剤のような或る化学的活性、あるいは静止相又は結合液相のような或る化学的官能性を有する、多孔質又は粒状の物質を詰めることができる。当業者は、トラップ・サブアセンブリ218の内部に使用する埋め込み物質又は詰め物は、ユーザが分野を開発することができるパラメータであることを容易に理解するであろう。
【0038】トラップ・サブアセンブリ218は、周囲状態と加熱状態との間で操作することができる独立に制御される熱区域でもある。圧力降下に遭っても蒸発しない抽出流体については、トラップ・サブアセンブリ218の熱制御を利用して、例えば、ヘキサン、あるいは調節剤・二酸化炭素混合物を作るのに使用される調節剤のような流体を蒸発させることができる。
【0039】本発明の装置は、好適には、抽出操作中に排出蒸気を開放孔/廃棄位置に導いたり、すすぎ段階中にすすぎ溶液を種々の大きさの収集機器や開放孔/廃棄位置に導いたりすることができる切替えバルブ(actuated diverter valve)220,234を備えている。切替えバルブ220,234は、好適には、無効体積を可能な限り少なくしながら、バルブ動作を行う。バルブ動作は、すすぎ流体流又は排出抽出流体を異なる届け先に導くのにも行われる。最初の届け先は、液体廃棄流223及びガス状開放孔224の双方への端部を有している分配カラム222である。第2の届け先は、遠隔ポート225である。好適には、分配カラム222は低温に制御され、ミスト除去成分を使用して液体調節剤を基礎蒸発抽出流体から分離し、あるいは液体溶媒を収集する。
【0040】流れトランスデューサ226又はロータメータが、好適には、分配カラム222の上部に接続されている。分配カラム222はまた、すすぎ溶媒を供給するポートを備えた切替えバルブ220にも接続されている。バルブ227(又は複数のバルブ)は、システム圧力に耐え得、すすぎ溶媒ポンプ230を提供し、1つ以上のすすぎ溶媒溜からすすぎ溶媒流を選択するのに設けられている。すすぎ溶媒ポンプ230は、好適には、液体クロマトグラフ式の帯域移動に適した可変分配率を備えており、ユーザが選択した収集体積を所定の届け先に供給するようにすることができる。すすぎ溶媒ポンプ230は、一層確実に操作するため、活性な入口バルブ231又は活性な出口バルブ232を備えて構成することができる。これらのバルブは、典型的なチェックバルブかスイッチバルブでよい。
【0041】このようにして、所定の条件下で、すすぎ溶媒は、ポンプ230及び切替えバルブ220を通してトラップ・サブアセンブリに導かれ、沈澱成分を溶解し、これらをユーザが選定した留分収集場所に移動させることができる。トラップを通るすすぎ溶媒の方向は、抽出段階中の抽出流体の流れに対して前方フラッシュ又は後方フラッシュとすることができる。図3は、後方フラッシュ・システムを示しているが、前方フラッシュも本発明の好適な実施例である。
【0042】トラップ・サブアセンブリ218は、液体廃棄ポート223、遠隔ポート225、及び好適には切替えバルブ234により待ち状態にあるオート液体サンプラ容器236に接続されている。バルブ234は、試料収集容器236に供給するが、これは自動化を容易にするために抽出室210に関連して上述したように動作される。従って、好適な実施例では、本発明の装置は、ガスクロマトグラフや液体クロマトグラフに典型的に使用されているオートサンプラ容器のような試料収集容器に、複数の留分を集めることができる待ち列をも備えている。
【0043】本発明の装置が受け入れる試料の主な形態は、固形試料からなるが、液体をロ紙、吸着剤、又は粉末のような固形保持体上に散布することにより少量(すなわち、体積でマイクロリットルからミリリットル)の液体を導入することが可能である。同様に、脂肪及びクリームのような半固体を入力することができる。
【0044】本発明の他の実施例では、図3を参照して上述したノズル/トラップ・サブアセンブリ214の他に、1つ以上の更に別のノズル/トラップ・サブアセンブリを備えるのが望ましいことがある。このような付加ノズル/トラップ・サブアセンブリは、本発明の装置に組み込むか、あるいは本発明の装置と結合されている他の装置に設置される。或る場合には、付加ノズルは単に付加サブアセンブリであることもある。他の実施例では、他の装置に設けられるノズル及び/又はトラップ・サブアセンブリを、本発明に従って作られた抽出器の一部として好適に設けられているものと、完全に置き換えることができる。その他に、ノズル及びトラップ・サブアセンブリのハードウェアは、本発明の装置内で、あるいは本発明の装置が設置されている装置内で機能を行うように適合することができ、その例としては、ガスクロマトグラフでの注入ポート、液体クロマトグラフでのプリカラム又はハートカットがある。
【0045】開示した装置に対する他の修正は、遠隔ポート225及び/又はトラップ出口223、224と他の分析装置−例えば、特に液体クロマトグラフ、紫外/可視分光光度計、及び液体サンプラ−との間の付加接続を組み立てる手段を設け、トラップ218から洗い落とした留分を更に操作し、続いて分析するためにこれらの装置に導くようにすることである。
【0046】同様に、図3に開示した装置は、ノズル/トラップ・サブアセンブリ214の中の溶質を回収する前に、あるいは他の装置に導く前に抽出室210を出る流体溶液のサンプリングを行うように修正することができる。例えば、サンプルした流れを、おそらく高圧であるが、紫外/可視分光光度計に、あるいは液体クロマトグラフ、超臨界流体クロマトグラフ、ガスクロマトグラフのような多様な他の分析装置のサンプリング・バルブを通して導くことができる。
【0047】図3を参照して上述したように、トラップ218には、詰め込み材料を詰めることができる。しかし、本発明の装置の別の実施例は、幾つかの化学的に活性な詰め込み材料(例えば、典型的な液体クロマトグラフのカラム詰め込み材料、吸着剤、あるいは他の多孔質材料)を備えた別の領域、及びこのような領域への流体の方向を制御する別のバルブである別の熱区域制御及びハードウェアを備えることができる。このような装置を追加することにより、試料が入っている抽出室210を出る溶液の混合物を、その溶液がノズル及び/又はトラップ・サブアセンブリ214に到達する前に、分別を行うように装置を使用することができる。室及び上述したバイパス領域を通る流れは、熱区域の操作と共に、統合されて試料物質を分別区域に堆積し、次にその区域から成分を選択的に除去する。成分は、上述した装置構成のどれかに集められる。
【0048】上述した試料収集容器236の待ち列は、更に多数のオートサンプラ容器の収集、オートサンプラ容器上のラベル(バーコードラベル)の読み取り及び/又は書き込み、固相抽出又は他の典型的な湿式化学操作による留分溶液内の成分の更なる分別、及び定量を含む所定の分析法に適切な溶液を得るように分析実験室で行われる典型的な湿式化学操作及び反応、のいずれかに対して設けられる別の留分待ち列で補足することができる。
【0049】また、抽出容器を抽出室210に設置し、室210から抽出容器を取り出し、抽出容器を待ち列/貯蔵区域に置き直す自動化装置を設けることができる。抽出容器(サンプル出力容器)上にラベルを読み書きすることも、このような実施例に設けることができる。
【0050】或る実施例では、ポンプ202は、抽出装置に単成分、2成分、及び3成分の溶媒供給を行って流体及び流体混合物、特に周囲状態では通常液体であるもの、を混合するように操作することができるポンプを備えることにより修正することがてきる。基礎抽出流体は適切な管及びバルブを介して結合され、統合動作はワークステーション、又は他の命令を溶媒バルブ及びポンプに発するコンピュータ基準制御器を介して行われる。このように、或る実施例では、流体及び流体混合物(特に、周囲状態で通常液体であるもの)を基礎抽出流体として混合し、複数成分の抽出溶媒を形成する付加汲み上げチャンネルを追加することは、抽出器装置内部に更に他のポンプ及びバルブを組み込んで抽出流体用混合物を得ることにより行うことができる。
【0051】最も好ましいのは、バルブを設けてすすぎ溶媒流れを選択すること、及びすすぎ溶媒ポンプを設けることである。上述したように、すすぎ溶媒ポンプは、システム圧力に耐えることができ、液体クロマトグラフ式の帯域移動に適した分配率を備えている。
【0052】最後に、このようなシステムの設計に関する当業者により理解されるように、本発明の装置は、ハイフン方式(hyphenation)と言われる方法で、他の装置又は技法と結合することができる。本発明が企図しているハイフン方式の例は、試料の超臨界流体抽出と結合した高圧固相抽出,超臨界流体抽出のプレカーサーとしての固相抽出,試料の超臨界流体抽出後の抽出物収集トラップ218により固相抽出と同程度に洗練されている或る実施例での低圧分別,他の装置に対するすすぎ溶媒インターフェース(すなわち、再構成溶媒),試料が入っている室210と試料収集サブアセンブリ214(ノズル及びトラップ218)との高圧流サンプリングで他の装置が高圧流からの試料を監視し又は採取することができるように圧力制御機構のように動作するサンプリング,複数の試料収集サブアセンブリの使用,(a)ユーザからの他の届け先への他の命令と結合して抽出器装置からの一連の動作を他の一連の動作と統合できるようにすること、及び(b)一連の動作を構築できる原始命令の特徴を有する命令セットの使用、である。
【0053】本発明を、その幾つかが本発明と関連して上述のようなノズル及び/又はトラップ部を具備し得る他の分析装置と関連して利用できるように考えている。このような分析装置には、ガスクロマトグラフ、液体クロマトグラフ、及び超臨界流体クロマトグラフがある。その他、本発明は、試料からの抽出物をノズルに到達する前に分別する手段をも備えることができる。このような分析器は、抽出物及びノズルと関連してバルブ及び熱制御手段を利用することになる。
【0054】本発明の装置は、各種の分野、すなわち超臨界流体、流体の(超音速)膨張、抽出物の収集/再構成、圧縮性流体の汲み上げ、設定点制御、での重要なパラメータ及び制限の理解を応用している。上述したように、システムは、溶媒を汲み上げるのに流体圧縮性アルゴリズムを利用し、流れ及び圧力/密度の制御を分離して行いながら溶媒能力(対圧力)に関する関連パラメータとして密度を入力できるようにする圧力・堆積・温度アルゴリズムを利用している。好適には、システムは、バイパス及び/又は希釈モードの流れを発生させる。或る実施例では、抽出溶媒流体組成の選択を複数の入力により行っており、他の実施例では、抽出流体組成の選択は別の汲み上げチャンネルにより行われる。適切なバルブ作用及び制御ソフトウェアを組み込んだ上述の実施例では、静的な抽出及び動的流れ抽出の双方を行うことができる。本発明の装置はまた、複数区域の熱/圧力制御を、特に臨界、近臨界、及び超臨界の各領域について、それらのパラメータの密度制御に及ぼす影響を理解することに基づく仕様に対して行う。
【0055】本発明は、密度/圧力/温度アルゴリズムを設定点入力及び後続のパラメータ制御についてユーザ・インターフェースに組み入れる方法をも提供する。本発明のこの特徴によりオペレータは、パラメータとして密度を、圧力(及び、従って密度)をユーザ指定の温度に維持する電子制御ループの一部として圧力トランスデューサを使用している機器に、入力できる。上述したように、この時点で、密度を直接制御する電子制御ループにとって密度トランスデューサは、汎用機器には適切でないが、本発明には取り入れることができる。
【0056】本発明はまた、ユーザが所要密度を入力して設定点密度を、抽出流体の流量を調節して密度設定点を達成するようにする必要無しに維持できる熱制御システムと共に、電子式圧力制御システムを備えている超臨界流体抽出システムを操作させる方法を提供する。最初に、操作密度及び区域温度をユーザ・インターフェースを経由して入力する。次に、設定点密度を、状態方程式の所定の領域で熱及び圧力の制御ループの制御能力があるとして、設定点として区別し得る値に丸める。次に、システムは、相当する操作圧力を計算し、圧力及び温度の設定点の組合せが機器の操作範囲外の圧力を生ずれば、ユーザに知らせる。システムは、次に相当する操作圧力をユーザに表示するので、全てのパラメータを目で見ることができる。最後に、圧力及び温度の設定点を適切な制御ループに伝えて、抽出又は他のサイクル中において密度を維持する。
【0057】開示した方法は、オペレータが超臨界流体抽出器の機器操作に対するパラメータ設定点を選択するに当たり、一層有意義な密度パラメータに重点を置くことができるようにする手段を提供する。このようにして、オペレータは、表に示されていない温度及び圧力での密度に対して必然的にエントリ間で補間を必要とする調べ表の使用の必然性を回避する。操作中、システムは、相互作用パラメータの操作環境を超えているため、−例えば、或る高い密度と高い温度との組合せが可能な供給圧力を超えている場合−指定密度に達することができないときは、直ちにユーザにフィードバックする。
【0058】従って、本発明は、その溶解力との非直線関係が直観的でなく、溶解力(溶媒能力)が機器における重要なパラメータであるとき、所定の等温式によってかなり変わるパラメータ(圧力)をユーザが入力することを回避している。パラメータとしての密度の重要性が、新しいユーザに、それを使用する代わりに、訓練のように徐々に教え込まれる。
【0059】特定物質の状態方程式に基づき、制御プログラムが、所定温度での対応する圧力の後続計算と共に、密度を入力できるように作られる。このようなプログラムは、調べ表への一層自動化された手掛かりであるばかりでなく、設計余裕及び設計仕様(得られる密度に影響を与える温度及び圧力の波打ち現象)を探究する道具でもある。
【0060】本発明は、更に、ほぼ直接比例する溶媒能力パラメータとしての密度の使用を促進するだけでなく、ユーザに圧力の一層保守的な設定点の値を利用するよう間接的に促し、これにより機器の寿命を長くするものである。この最後の点は、密度が高くなれば、圧力が非常に増大し、結果として対応する密度の増加が非常に小さくなる等温線の「S」形状から生ずるものである。
【0061】本発明の一定の実施例について詳細に述べてきたが、本発明は開示された実施例に限定されるものではない。
【0062】
【発明の効果】本発明によれば、試料(固体、半固定、液体)からの各種の成分を、超臨界流体を主な抽出溶媒として、抽出することができ。しかも、本発明によれば、この試料の抽出装置内への入力から、抽出された成分のオートサンプラ容器への出力までを、自動化することができる。そして、試料の入力容器として標準のものが使用でき、かつオートサンプラ容器としても各種の分析装置に直接適合できる標準のものを使用することができる。
【0063】また、本発明によれば、圧力と流れのパラメータを分離することができ、これらのパラメータを夫々独立に設定することができ、かつ夫々独立に制御することができる。この結果、試料の抽出操作能率を大幅に向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による抽出システムの概略説明図である。
【図2】本発明の他の実施例の概略説明図である。
【図3】本発明の抽出装置の好適な実施例の概略説明図である。
【符号の説明】
100 ガスシリンダ
102,202 ポンプ
106,210 抽出部
108 ノズル
214 ノズル/トラップ・サブアセンブリ
216,218 トラップ・サブアセンブリ
112,201 圧力トランスデューサ
118,226 流れトランスデューサ
236 オートサンプラ容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】加圧した抽出流体の出力流れを作るためのポンプと、該ポンプからの前記出力流れの下流側に位置し、試料が維持される抽出室と、該抽出室をバイパスするバイパス手段と、前記抽出流体の圧力を表す圧力信号を提供する圧力トランスデューサと、前記抽出室及び前記バイパス手段の下流側に位置し、少なくとも前記抽出流体の一部を気化するオリフィス手段とを有し、前記抽出流体の流量と圧力とを前記ポンプ及び前記オリフィス手段により制御して、前記試料の成分の抽出を行う試料の抽出装置において、前記オリフィス手段及びトラップ手段はそれぞれノズル・サブアセンブリ及びトラップ・サブアセンブリに設けられ、該ノズル・サブアセンブリ及び該トラップ・サブアセンブリは互いに組み合わされてノズル/トラップ・サブアセンブリを構成し、更に、すすぎ溶液を送液するためのすすぎ用ポンプ及び前記トラップ・サブアセンブリに結合される第1及び第2の切替バルブを有し、前記第1の切替バルブは、少なくとも、抽出操作中に排気蒸気の通過を可能にするか、又はすすぎ段階中に前記すすぎ用ポンプからのすすぎ溶液を前記トラップ手段に導くかを選択的に切替可能とされ、前記第2の切替バルブは、少なくとも、すすぎ段階中に前記トラップ手段からのすすぎ溶液を成分を収集するための手段に導くことができるよう構成されることを特徴とする試料の抽出装置。
【請求項2】前記成分を収集するための手段は、少なくとも切替バルブに連通するようにして自動化されたオート液体サンプラを有することを特徴とする請求項1の試料の抽出装置。
【請求項3】抽出操作中に前記第1の切替バルブを通過した前記排気蒸気は、液体の排出、及びガス開放の両方が可能である分配カラムに導入されることを特徴とする請求項1の試料の抽出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【特許番号】特許第3207866号(P3207866)
【登録日】平成13年7月6日(2001.7.6)
【発行日】平成13年9月10日(2001.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−59543
【出願日】平成3年3月1日(1991.3.1)
【公開番号】特開平4−222602
【公開日】平成4年8月12日(1992.8.12)
【審査請求日】平成10年2月25日(1998.2.25)
【出願人】(399117121)アジレント・テクノロジーズ・インク (710)
【氏名又は名称原語表記】AGILENT TECHNOLOGIES, INC.
【住所又は居所原語表記】395 Page Mill Road Palo Alto,California U.S.A.
【参考文献】
【文献】特開 昭64−44847(JP,A)
【文献】特開 昭62−148855(JP,A)