試料の測定方法、センサチップのチップパッケージ及びセンサチップの固定機構
【課題】複数のセンサチップ内の試料を測定するにあたり、センサチップを測定装置に移載する際にオペレータが直接又は道具を使用することなく簡便で短時間に、しかも安全に測定装置に移載し簡易な機構で固定することができる試料の測定方法、センサチップのチップパッケージ及びセンサチップの固定機構を提供する。
【解決手段】複数のセンサチップSCを搬送するチップパレット11を移載台33に嵌め合わせて載置する工程と、チップパッケージ1の位置決め用孔2eを位置決め用ピン34に嵌め合わせる工程と、移載台33にチップパッケージ1の底板3を引き抜くことで収納されているセンサチップSCを一度に移載する工程と、チップパレット11を引き上げて、移載台33上のセンサチップSCをチップパレット11上に一度に移載する工程と、複数のセンサチップSCを載せたチップパレット11を測定装置上に載置して試料を測定する測定工程とを備える。
【解決手段】複数のセンサチップSCを搬送するチップパレット11を移載台33に嵌め合わせて載置する工程と、チップパッケージ1の位置決め用孔2eを位置決め用ピン34に嵌め合わせる工程と、移載台33にチップパッケージ1の底板3を引き抜くことで収納されているセンサチップSCを一度に移載する工程と、チップパレット11を引き上げて、移載台33上のセンサチップSCをチップパレット11上に一度に移載する工程と、複数のセンサチップSCを載せたチップパレット11を測定装置上に載置して試料を測定する測定工程とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサチップ内の試料の測定方法、センサチップを格納するチップパッケージ及びセンサチップの固定機構に関する。
【背景技術】
【0002】
近年臨床検査分野や環境計測分野では、短時間で検査結果を得ることのできるデバイスの開発が活発である。このデバイスの例として、例えば、イムノクロマト、ドライケム、μTAS等のセンサチップを挙げることができる。
【0003】
このセンサチップは、真空成形で形成された窪み(ポケット)を有する底材とこのポケットを覆うフィルムで構成されるパッケージ内に格納される。このとき、センサチップの試料を反応させるリザーバを上にしてポケットに入れ、その上からフィルムで覆う。このようにポケット内にセンサチップを納めることによって、底材がセンサチップのトレイの役割を果たし、フィルムを剥がすだけでセンサチップのリザーバに試料を入れて反応させることができる。リザーバに入れられた試料を一定の時間反応させた後、光学的或いは電気的に信号を読み取る測定装置に移載して測定結果を得る。
【0004】
ここで使用される多くの測定装置は、1つのセンサチップを測定するようにされており、オペレータが測定装置にセンサチップを手作業で移し替えている。また、多数の試料を短時間に測定するために、複数個のセンサチップを同時に載置することのできる測定装置もあるが、この場合もオペレータが測定装置へ手作業でセンサチップを一つ一つ移載している(特許文献1参照)。
【0005】
この移載されたセンサチップは、測定位置を均一化して読み取りを容易にするために、例えば、位置決めの基準となるピンに対してバネで押しつけて固定される。また、センサチップの位置決めをあまり精度良く行わずにセンサチップを測定装置のステージに置くだけのような場合には、信号を読み取る光学系が広い範囲にわたってスキャンをすることにより信号の読み取りを行っていた。
【特許文献1】特開2006−153642号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1において提案されているように、複数のセンサチップをオペレータが測定装置に一つ一つ移載していたのでは、例えば、ピンセット等の道具を使用するにしろ、オペレータがセンサチップを直接持って移載するにしろ非常に煩雑であり効率が悪い。
【0007】
また、センサチップには、例えば、ウイルス等の危険性を有する試料が入っている場合もあり取り扱いに注意しなければならないが、移載にあたってオペレータが直接センサチップを持つような場合は特に注意を要することになる。
【0008】
一方、センサチップに関して、例えば、光学式化学センサチップの場合、ガラスや石英を基板としているものも多い。このようなセンサチップを位置決めの基準ピンに対してバネで押しつける機構を持つ測定装置を利用すると、この基準ピンが金属製の場合は特に、センサチップの基準ピンに接する部分が欠ける等、センサチップを破損する場合もあった。また、センサチップの位置決めの精度をゆるやかにして光学系がセンサチップの広い範囲にわたってスキャンを行う機構を備える測定装置の場合、位置決め精度の高い測定装置に比してスキャン機構が複雑になる傾向にある。
【0009】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、複数のセンサチップ内の試料を測定するにあたり、センサチップを測定装置に移載する際にオペレータが直接又は道具を使用することなく簡便で短時間に、しかも安全に測定装置に移載し簡易な機構で固定することができる試料の測定方法、センサチップのチップパッケージ及びセンサチップの固定機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の実施の形態に係る特徴は、試料の測定方法において、複数のセンサチップを搬送する枠状のチップパレットを、チップ移載用ブロックに設けられた移載台に向けて嵌め合わせて載置する工程と、センサチップを収納したチップパッケージの長手方向の位置を移載台上で合わせるためにチップ移載用ブロックに設けられた位置決め用ピンに合わせてチップパッケージの位置決め用孔を嵌め合わせる工程と、移載台のセンサチップが載置される載置面に設けられたセンサチップの移動を防止する桟と桟との間に、チップパッケージからセンサチップの下面を保持するチップパッケージの底板を引き抜くことでセンサチップを一度に移載する工程と、チップパレットを引き上げてチップパレットを移載台の上に載置されたセンサチップの四隅に当接させることでセンサチップをチップパレット上に一度に移載する工程と、複数のセンサチップを載せたチップパレットを測定装置上に載置して、センサチップ内の試料を測定する測定工程とを備える。
【0011】
本発明の第2の実施の形態に係る特徴は、チップパッケージにおいて、試料注入部がそれぞれの上面に設けられた複数のセンサチップを各個収納するとともに試料注入部を露出させる開口部を備える複数のチップポケットが等間隔で形成された収納体と、複数のセンサチップのそれぞれの下面を保持する底板と、を備え、底板は、収納体に形成された折り返しの間でスライド可能に組み合わされている。
【0012】
本発明の第3の実施の形態に係る特徴は、試料の測定方法において、センサチップ内の試料を読み取る測定装置のチップ固定ブロックにチップ排出パレットを載置する工程と、センサチップを収納したチップパッケージの長手方向の位置をチップ固定ブロック上で合わせるためにチップ固定ブロックに設けられた位置決め用ピンに合わせてチップパッケージの位置決め用孔を嵌め合わせる工程と、センサチップをチップ排出パレットに形成された載置ポケットにチップパッケージからセンサチップの下面を保持するチップパッケージの底板を引き抜くことでセンサチップを一度に移載する工程と、測定装置に設けられた変位機構を用いて載置ポケット内に載置されたセンサチップの位置を変位させて整列させる工程と、載置ポケット内で整列させられたセンサチップを固定治具を用いてその位置で固定する工程と、固定された複数のセンサチップ内の試料を測定する測定工程とを備える。
【0013】
本発明の第4の実施の形態に係る特徴は、チップ固定装置において、センサチップを載置するガイドを備えるチップ固定ブロックと、第1の従動節を一方向に動かす第1のカム及びチップ固定ブロックに接続される第2の従動節を第1の従動節に接続され第1の従動節の動く方向に対して直交する方向に動かす第2のカムを備えるカム機構と、第2の従動節に接続されチップ固定ブロックを第2の従動節の動く方向に対して非直交方向に動かす第1のリニアガイドベアリングとから構成されるチップ固定ブロックを動かしてセンサチップの位置を変位させる変位機構と、第1のカムによって第1の従動節と同一方向に動かされる第3の従動節と、第3の従動節に接続される第3のカムと、第3のカムによって第3の従動節と同一方向に動かされる第4の従動節と、第4の従動節をチップ固定ブロック上に載置されるセンサチップに対して直交方向に移動可能にする第2のリニアガイドベアリングと、第4の従動節と直交方向に接続されセンサチップに接触してセンサチップを固定するチップ固定ピンとを備えるチップ固定ブロック上で変位したセンサチップの位置を固定する固定治具とを備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、複数のセンサチップ内の試料を測定するにあたり、センサチップを測定装置に移載する際にオペレータが直接又は道具を使用することなく簡便で短時間に、しかも安全に測定装置に移載し簡易な機構で固定することができる試料の測定方法、センサチップのチップパッケージ及びセンサチップの固定機構を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
(第1の実施の形態)
本発明の実施の形態に係るセンサチップを収納するチップパッケ−ジ1は、例えば、図1の平面図に示すような外観であり、その内部にセンサチップSCを収納する収納体2と、底板3とから構成される。底板3は、収納体2の一対の折り返し2a,2aに間に挟まれて保持されることによりチップパッケージ1の底板を構成するとともに、収納されるセンサチップSCの下面が接することでセンサチップSCを保持する。底板3は、把持部3aを掴んで引っ張ることで折り返し2a内を移動して収納体2から取り外すことができるようにされている。
【0017】
図2は、収納体2のみを示す平面図である。収納体2は、例えば、PET(polyethlene terephthalate)シートを真空成形して形成する。底板3を保持するための折り返し2aは、例えば、ホットプレスによる曲げ加工によって形成される。図2に示す収納体2の平面図では、折り返し2a,2aは収納体2の底面側に折り返されているため破線で示している。
【0018】
また、収納体2には、センサチップSCを収納するためのポケット2bが設けられる。ここでポケット2bに収納されるセンサチップSCは、直方体であるリザーバの上部中央に試料注入部を有している。従って、センサチップSCの断面形状は凸状となる。このセンサチップSCを収納するためにポケット2bは、センサチップSCがポケット2b内において大きく動くことのないように収納できる大きさとなるようにセンサチップSCの外形寸法より若干大きい矩形状をしている。また、上述した形状を備えるセンサチップSCを収納するために、ポケット2bは収納体2の表面から折り返し2aとは逆方向に盛り上がるように形成される。
【0019】
そして、底板3が折り返し2aに組み合わされてチップパッケージ1の底板となることで収納体2と底板3によってセンサチップSCを収納する空間が作られ、センサチップSCは底板3によってその下面を保持されて収納体2に形成されたポケット2bに収納される。
【0020】
ポケット2bは収納体2に複数形成される。またポケット2bは、収納体2の長辺に対してセンサチップSCの長辺が直交する位置にセンサチップSCが収納がされるように形成される。このようにポケット2bを形成することによって複数のセンサチップSCの各試料注入部を一直線上に揃えて収納することができる。
【0021】
さらに隣接する複数のポケット2bは、仕切壁2cによって区切られる。この仕切壁2cによってポケット2bは複数のセンサチップSCをまとめて収納するのではなく、個別にセンサチップSCを収納することが可能となる。また、仕切壁2cがあることによって、センサチップSCを後述するチップ移載用ブロックやチップパレットに移載する際のセンサチップSCの載置位置が決まる。仕切壁2cは、収納体2の表面と同一平面としポケット2bのように収納体2の表面から盛り上げた形状としないことによりポケット2bとポケット2bとの間を仕切っている。
【0022】
本発明の実施の形態においては、7箇所の仕切壁2cに仕切られて8個のポケット2bが設けられているが、収納体2にいくつのポケット2bを設けるかはセンサチップSCの形状等に合わせて自由に設定することができる。
【0023】
ポケット2bでは、センサチップSCの試料注入部が位置する部分が切り欠かれて開口部2dが形成されている。この開口部2dによって収納体2及び底板3との間で形成されるポケット2bの一部が試料注入部の部分において開放された状態となる。開口部2dがこのように形成されることにより、チップパッケージ1に収納されたセンサチップSCをチップパッケージ1から取り出すことなくその試料注入部に試料を注入して検査を行うことができる。
【0024】
なお、検査開始前にはチップパッケージ1内にセンサチップSCが収納された状態で取り引きされるが、その状態では、開口部2dの部分はシール等が貼付されることによって塞がれている。この開口部2dは、本発明の実施の形態においては図1に示すように、複数のポケット2bに渡ってその一部が開放されるように形成されているが、個々のポケット2bに収納されるセンサチップSCの試料注入部の部分が開放するように開口部2dが形成されていても良い。
【0025】
収納体2の表面には位置決め用孔2eが設けられている。本発明の実施の形態においては、位置決め用孔2eは、図2に示すように、複数形成されているポケット2bの中で最も端に位置するポケット2b近傍であって、開口部2dの短辺の中心と位置決め用孔2eの中心が同軸上に位置するように設けられている。この位置決め用孔2eは、収納しているセンサチップSCを後述するチップ移載用ブロック31に移載する際に、チップパッケージ1とチップ移載用ブロック31との位置合わせを行うために使用される。
【0026】
すなわち、位置決め用孔2eにチップ移載用ブロック31に設けられた位置決め用ピン34を底板3側から通すことによってチップパッケージ1のチップ移載用ブロック31に対する長手方向の位置を決めることができる。なお、本発明の実施の形態においては、上述したように図2に示すような位置に位置決め用孔2eを設けたが、この位置決め用孔2eの位置はチップ移載用ブロック31の位置決め用ピン34の位置に合わせて適宜収納体2の表面に設けられる。
【0027】
図3は、図1におけるA−A線でチップパッケージ1を切断して示すA−A線断面図である。図3をはじめ、以後に示す断面図において切断面にはハッチングを施している。収納体2には、一対の折り返し2a,2aが設けられており、この折り返し2a,2a上に底板3が組み合わされている。底板3によってその下面が保持されるセンサチップSCを収納するために収納体2の表面から盛り上がるようにポケット2bが形成されている。また、図1に示すようにA−A線はポケット2bの中央を切断しているので、その奥には仕切壁2cが見える。
【0028】
図4は、図1におけるB−B線でチップパッケージ1を切断して示すB−B線断面図である。B−B線は仕切壁2cの部分を切断している。この断面図にも示されているように、仕切壁2cは収納体2の表面と同一平面上に形成されている。また、図5は、図1におけるC−C線でチップパッケージ1を切断して示すC−C線断面図である。C−C線は、ポケット2bに形成された開口部2dの端部において切断しているため開口部2dは表わされていない。図6は、図1におけるD−D線でチップパッケージ1を切断して示すD−D線断面図である。またこれら図3ないし図6では、折り返し2a,2aと収納体2の表面に挟まれて底板3保持されている様子がわかる。
【0029】
図7は、図1におけるE−E線でチップパッケージ1を切断して示すE−E線断面図である。この図からは複数のポケット2bが仕切壁2cによって区分けされてセンサチップSCを個々に収納することができるようにされていることがわかる。また、底板3は、収納体2の表面と折り返し2aに挟まれて保持されるとともに、ポケット2bの底板の役割も果たし、センサチップSCを収納する空間を形成している。
【0030】
図8は、底板3を示す平面図である。底板3は、平面視略長方形の形状をしており、長手方向一端部には把持部3aが設けられている。この把持部3aは、チップパッケージ1内に収納されたセンサチップSCをチップ移載用ブロック31に載せる際に底板3を収納体2からスライドさせて引き抜くために把持される部分である。また、把持部3aの両端部には、第1の突出部3b,3bが設けられている。この第1の突出部3b,3bが収納体2の表面から折り返し2a,2aに至る部分に接触することで底板3を収納体2に組み合わせた場合に底板3が抜けることが防止される。
【0031】
底板3の長手方向他端部の両端には、第2の突出部3c,3cが形成されている。この第2の突出部3c,3cは、第1の突出部3b,3b同様、底板3が収納体2から抜けることを防止する役割を有する。一方で、第2の突出部3c,3cは、把持部3aを持って底板3を収納体2からスライドさせて引き抜く場合には容易に引き抜くことができるように形成されている。そのため、第2の突出部3c,3cは、第1の突出部3b,3bと比べて底板3の長辺からの突出量が少なくされるとともに、第2の突出部3c,3cの形状も曲線部を有するように形成されている。
【0032】
さらに底板3の長手方向他端部には、細長い矩形状の切り欠き3dが設けられている。この切り欠き3dの終端部3eは、図1に示すように収納体2を底板3と組み合わせたときに収納体2表面に設けられた位置決め用孔2eの一部とその位置が一致するように形成される。
【0033】
チップパッケージ1内に収納されたセンサチップSCをチップ移載用ブロック31へ移載する際には、上述したように、チップ移載用ブロック31の位置決め用ピン34を底板3側から収納体2の位置決め用孔2eに向けて通し(このとき位置決め用ピンは切り欠き3dの終端部3eに接する)、チップ移載用ブロック31上でチップパッケージ1の位置決めを行った上で移載する。この切り欠き3dは、位置決め用ピン34が底板3に干渉して底板3が引き抜けないことがないように、収納体2から底板3を引き抜く際に位置決め用ピン34が通ることができるように設けられたものである。
【0034】
図9は、チップパッケージ1内にセンサチップSCを収納した状態を示すチップパッケージ1の平面図である。センサチップSCはポケット2b内に個々に収納され、隣接するセンサチップSCとの間には仕切壁2cが形成されている。また、図10は、図9に示すセンサチップSCを収納したチップパッケージ1をF−F線で切断して示すF−F線断面図である。センサチップSCの下面は底板3に接して保持されることにより、ポケット2b内に収納される。また、センサチップSCの試料注入部は、ポケット2bの上面にあたる収納体2の表面(開口部2d)よりも高く突き出ることはない。試料注入部にゴミ等が入ることを防止するため、試料注入部に試料が注入される直前まで開口部2dにはシールが貼付されるが、このシールに試料注入部が接触することを避けるためである。
【0035】
図11は、チップ移載用ブロック31の位置決め用ピン34を底板3の切り欠き3d(終端部3e)と収納体2の位置決め用孔2eとに貫通させてチップパッケージ1を固定した状態をセンサチップSCが収納されたチップパッケージ1を長手方向に切断することによって簡易に表わした断面図である。センサチップSCは、底板3によって保持されている。
【0036】
このような状態から、図12の矢印に示す方向に底板3を引っ張ると底板3が折り返し2aを移動してそれまで底板3によって保持されていたセンサチップSCが下に落下する。このとき底板3は切り欠き3dが形成されているため位置決め用ピン34によって固定されることなく収納体2から引き抜くことができる。一方、収納体2は位置決め用孔2eに位置決め用ピン34が通された状態にあるため、固定された状態を保持することができる。このため、チップパッケージ1内に収納される複数のセンサチップSCをまとめてチップ移載用ブロック31の上に移載することができる。
【0037】
図13に示すように、チップパレット11は複数のセンサチップSCが載置される矩形状のパレットである。図13ではチップパレット11上には1つのセンサチップSCのみを載置した状態を示しているが、本発明の実施の形態におけるチップパレット11には合計8枚のセンサチップSCが載置できるようにされている。
【0038】
チップパレット11は、互いに平行な一対の横フレーム12,12と、これら横フレーム12,12の端部を連結し互いに平行な一対の縦フレーム13,13とからなる。横フレーム12,12の互いに対向する内側縁部12a,12aには、複数の位置決めリブ14が等間隔に形成されている。本発明の実施の形態におけるチップパレット11では、8枚のセンサチップSCを搭載するために横フレーム12,12のそれぞれの内側縁部に各々9つの位置決めリブ14が形成されている。
【0039】
この位置決めリブ14は、チップパレット11に搭載されるセンサチップSCの配置位置を決めるための第1のリブ14aとセンサチップSCを載置するための第2のリブ14bとから構成される。第1のリブ14aは略直方体の形状をなし、隣接する第1のリブ14a,14aとの間にセンサチップSCが配置される。第2のリブ14bは、第1のリブ14aと内側縁部12aとの間をつなぐように略三角形状に設けられる。隣接する第1のリブ14a,14aとの間に設けられる第2のリブ14b,14b上にセンサチップSCの四隅が載ることによってセンサチップSCはチップパレット11上に搭載される。また、この第2のリブ14bの高さは第1のリブ14aの高さに比べて低く形成されているので、センサチップSCは位置決めリブ14と内側縁部12aとの間でチップパレット11上において載置される位置が決定される。
【0040】
一対の縦フレーム13,13のそれぞれの中間部には、チップ移載用ブロックに突出して設けられた位置決め用ピンが通る孔15,15が形成されている。また、横フレーム12と縦フレーム13との連結部には、チップパレット11を搬送するための搬送用ロッド16が設けられている。この搬送用ロッド16は、チップパレット11において互いに対向する位置に一対設けられている。
【0041】
図14は、センサチップSCをチップパッケージ1からチップパレット11に移載する際に用いるチップ移載用ブロック31を示す斜視図である。チップ移載用ブロック31は、本発明の実施の形態では矩形状であるベース32と、このベース32上に設けられた移載台33と、位置決め用ピン34と、一対の位置決め用ガイド35,35とを備える。
【0042】
移載台33は、ベース32上に設けられ、この移載台33の上にチップパッケージ1に収納されているセンサチップSCが移載される。その上でセンサチップSCはこの移載台33からチップパレット11に移載される。移載台33は、ベース32上に図14に示すZ方向に一定の厚みをもって形成される。この厚みは、少なくとも移載されるチップパレット11の厚み以上の厚みがあれば足りる。
【0043】
移載台33のベース32と接続される面に対向する面には、チップパッケージ1から移載されるセンサチップSCが載置される面(以下、「載置面」という。)33aと、隣接する載置面33aの間に桟33bとが形成されている。
【0044】
桟33bは、載置面33aよりもZ軸方向に、載置面33aに対して高さを有するように形成されている。また、桟33bは、載置面33a上に載置されるセンサチップSCの長手方向(図14におけるY軸方向)と平行となる向きに設けられている。隣接する載置面33a,33aとの間に桟33bを形成することにより、センサチップSCが載置面33aから移動することを防止することができる。隣接する桟33b,33bの間の長さは、センサチップSCの短手方向の長さと略同じであり、センサチップSCはこの長さに形成された載置面33a上に載置される。
【0045】
載置面33aのY軸方向の長さは、センサチップSCの長手方向の長さよりも短い。そのため、載置面33aはセンサチップSCの下面全体を保持することはなく、センサチップSCの長手方向両端領域は載置面33aからはみ出す。センサチップSCの下面の全領域が載置面33a上に載置されると、チップ移載用ブロック31を利用してチップパレット11へセンサチップSCを移載することができなくなるからである。
【0046】
移載台33における載置面33aと直交し、かつ、センサチップSCの長手方向と直交する面には、センサチップSC両端領域の直下であり載置面33aとベース32との間において移載台33の外側に向けて張り出す凸部33cが形成されている。図14に示す本発明の実施の形態においては、凸部33cはベース32上から載置面33aと水平面を形成する高さまで設けられている。但し、後述する移載台33とチップパレット11との間で行われる抜き差しが円滑に行われるようにされていれば、その高さは任意に設定することができる。
【0047】
この凸部33cは、図14に示すように、本発明の実施の形態においては載置面33aと接する側を底辺とする略台形の形状をしている。この形状は、チップ移載用ブロック31にチップパレット11を組み合わせたときに、チップパレット11の内側縁部との間で組み合わせることができる形状とされている。すなわち、移載台33の凸部33cがチップパレット11の位置決めリブ14,14の間に位置することでチップパレット11がチップ移載用ブロック31に嵌め合わせられる。また、凸部33cをこのような形状とすることにより、センサチップSCの下面の四隅が凸部33cによって保持されない状態となる。予め移載台33と嵌め合わせてあるチップパレット11を引き上げた際に、センサチップSCの四隅がチップパレット11の第2のリブ14bに引っかかりこの第2のリブ14b上に載置されることにより、センサチップSCはチップパレット11に移載されることになる。
【0048】
移載台33の長手方向(X軸方向)の一方の端部中央付近には、移載台33にセンサチップSCを移載する際にチップパッケージ1の位置決めを行うために用いる位置決め用ピン34が設けられている。この位置決め用ピン34を底板3の切り欠き3dと収納体2の位置決め用孔2eに貫通させることで移載台33上においてチップパッケージ1の長手方向の位置が決められる。
【0049】
また、移載台33の長手方向他方の端部付近には、移載台33のY軸方向に位置決め用ガイド35が形成されている。この位置決め用ガイド35は、チップパッケージ1の短手方向の位置を決めるために用いられる。なお、本発明の実施の形態においては、この位置決め用ガイド35を移載台33の長手方向他端部に近い場所に形成しているが、チップパッケージ1の短手方向の位置を決めることができれば、移載台33の長手方向のどの位置に形成しても構わない。また、図14では、位置決め用ガイド35は互いに対向する位置に形成されているが、必ずしも対向する位置に形成される必要はなく、移載台33を挟んで両側に位置をずらして形成することもできる。
【0050】
次に、チップパッケージ1に収納されたセンサチップSCを一旦チップ移載用ブロック31に移載した後、チップパレット11にそのセンサチップSCを移載する、センサチップ内の試料の測定方法の一部について説明する。
【0051】
図15に示すように、まずチップ移載用ブロック31を用意する。次に、センサチップSCをここでは図示しない測定装置に搬送するためのチップパレット11をチップ移載用ブロック31の移載台33に嵌め合わせる(図16参照)。チップパレット11は図13に示すように枠状の形状をしており、図16の矢印に示すようにこの枠内部に移載台33が貫通する形で嵌め合わせられる。図17は、チップパレット11がチップ移載用ブロック31のベース32上に載置された状態を示し、この図に示すように、移載台33の凸部33c,33cの間に位置決めリブ14が入り込む。また、チップパレット11に形成されている孔15には、チップ移載用ブロック31の位置決め用ピン34が貫通する。
【0052】
図18は、チップパレット11がチップ移載用ブロック31のベース32上に載置された状態でさらに位置決め用ピン34をチップパッケージ1の位置決め用孔2eに貫通させた状態を示す工程図である。ここでは、チップパッケージ1を透明に表わしていることから、チップ移載用ブロック31、チップパレット11との位置関係が明示されている。
【0053】
この状態では、チップパッケージ1の短手方向は、チップ移載用ブロック31に形成されている位置決め用ガイド35の間に挟まれており、チップパッケージ1は移載台33の上でその位置が決定される。また、チップパッケージ1の底板3は移載台33の桟33b上に載った状態にある。チップパッケージ1が移載台33上においてこのような位置に置かれた場合、チップパッケージ1に収納されているセンサチップSCは載置面33aの上に位置することになる。
【0054】
ここでチップパッケージ1の底板3を把持部3aを図18に示す矢印方向に引っ張ることにより、チップパッケージ1に収納されているセンサチップSCが移載台33上の載置面33aに落下する。
【0055】
図19は、チップパッケージ1からチップ移載用ブロック31の移載台33上にセンサチップSCを移載した状態を示す工程図である。ここでは収納していたセンサチップSCを移載台33に移載したチップパッケージ1については図示していない。チップパッケージ1から落下して移載面33aに載置されたセンサチップSCは、その長手方向の両辺を桟33b,33bに挟まれるとともに、長手方向両端領域は、凸部33c上に載る。一方、センサチップSCの四隅は、凸部33c上に載っておらず凸部33cによって保持されていない。
【0056】
この状態で、チップ移載用ブロック31に嵌め合わせたチップパレット11を引き上げる。この様子を示したのが図20である。搬送用ロッド16を掴んでチップパレット11を凸部33c及び位置決め用ピン34に沿って図20に示す矢印の方向に引き上げると、センサチップSCの保持されていない四隅がチップパレット11の第2のリブ14b上に載置されることになる。そのままさらにチップパレット11を引き上げてチップ移載用ブロック31から抜き取ると、センサチップSCはチップパレット11上に移載される。
【0057】
その上で、これら複数のセンサチップSCを載せたチップパレット11を図示しない測定装置上に載置して、センサチップSC内の試料を測定する。
【0058】
このようなチップパッケージ1、チップパレット11及びチップ移載用ブロック31を用いることにより、複数のセンサチップ内の試料を測定するにあたり、センサチップを測定装置に移載する際にオペレータが直接又は道具を使用することなく簡便で短時間に、しかも安全に測定装置に移載し簡易な機構で固定することができる試料の測定方法、センサチップのチップパッケージ及びセンサチップの固定機構を提供することができる。
【0059】
(第2の実施の形態)
次に本発明における第2の実施の形態について説明する。なお、第2の実施の形態において、上述の第1の実施の形態において説明した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、同一の構成要素の説明は重複するので省略する。
【0060】
第2の実施の形態は、試料の測定方法において、センサチップを測定装置に移載、載置して固定するまでの流れを示すものである。
【0061】
図21は、センサチップ内の試料を読み取る測定装置上でセンサチップを固定する固定装置を示す模式図である。
【0062】
固定装置40は、センサチップSCを載置するチップ固定ブロック50と、このチップ固定ブロック50を動かしてセンサチップSCの位置を固定位置まで変位させる変位機構60と、チップ固定ブロック50上で変位したセンサチップSCの位置を固定する固定治具80とから構成される。チップ固定ブロック50、変位機構60及び固定治具80は、いずれも図21では図示しない測定装置Rに設けられている。
【0063】
センサチップSCは、チップ固定ブロック50上に載置されて固定治具80によって固定された上で測定装置Rに設けられている読取装置(スキャン機構)によってその内部に納められている試料が読み取られるようになっている。
【0064】
チップ固定ブロック50には、センサチップSCを載置するためのガイド51が形成されている。このガイド51,51は、センサチップSCの1つの短辺を含む3辺を保持するように形成されている。また、センサチップSCの1つの短辺を保持する部分が互いに対向するような位置に一対のガイド51,51が形成されており、これら一対のガイド51が1つのセンサチップSCを保持する。一対のガイド51,51は、図21のY軸方向で示す長手方向に沿って複数(本発明の実施の形態においては8つ)形成されている。
【0065】
さらにチップ固定ブロック50には、このチップ固定ブロック50上に載置されるチップ排出パレット52の位置を決めるための位置決め用ピン53が設けられている。本発明の実施の形態においては、位置決め用ピン53は、チップ固定ブロック50の幅方向(X軸方向)中央であって複数のガイド51を挟むように一対設けられている。
【0066】
チップ排出パレット52は、チップ固定ブロック50上に載置されて測定装置Rによって試料が読み取られた後のセンサチップSCを測定装置Rから排出するためのパレットである。図22(a)はチップ排出パレット52の平面を示す図であり、図22(b)はG−G線でチップ排出パレット52を切断して表わしたG−G線断面図である。図22(a)に示すように、チップ排出パレット52には、チップ固定ブロック50上に載置する際に位置決め用ピン53に通してそのその位置を決める位置決め用孔52a,52aが設けられている。この位置決め用孔52a,52aは、本発明の実施の形態においては、いずれも長孔となっているが、いずれか一方が長孔とされていれば足りる。
【0067】
位置決め用孔52a.52aによって挟まれるようにセンサチップSCを収納する載置ポケット52bが形成されている。この載置ポケット52bは、本発明の実施の形態においては8つ形成されている。また、1つの載置ポケット52bのX軸方向に対向する2辺には、一対の載置片52c,52cが形成されている。ガイド51に載置された載置ポケット52b内に収納されたセンサチップSCが排出される際には、この載置片52c,52cにセンサチップSCの下面が当たる。従って、チップ固定ブロック50からチップ排出パレット52を引き上げると、同時にセンサチップSCもチップ固定ブロック50から引き上げられる。
【0068】
チップ排出パレット52がチップ固定ブロック50に載置された場合、チップ固定ブロック50上に形成されるガイド51は図21に示すように載置ポケット52b内に納められる。そのため、チップ固定ブロック50上にチップ排出パレット52が載置され、その載置ポケット52b内にセンサチップSCが収納された状態では、センサチップSCの下面はガイド51に接している。但し、この載置ポケット52bはセンサチップSCの大きさよりも大きく形成されていることから、センサチップSCが載置ポケット52b内に収納されたばかりの状態では、図21に示すように各載置ポケット52b内において各センサチップSCの位置はばらばらである。
【0069】
変位機構60は、図21に示すように、第1の従動節61を一方向に動かす第1のカム62及びチップ固定ブロック50に接続される第2の従動節63を第1の従動節61に接続され第1の従動節61の動く方向に対して直交する方向に動かす第2のカム64を備えるカム機構Cと、第2の従動節63に接続されチップ固定ブロック50を第2の従動節63の動く方向に対して非直交方向に動かす一対の第1のリニアガイドベアリングL1,L1とから構成される。これら変位機構60は、測定装置R上において移動可能に設けられている。
【0070】
第1のカム62は、図21に示すように直動カムであり、第1の段差62aと第2の段差62bとが形成されている。第1の段差62aはセンサチップSCを整列させるために用いられ、第2の段差62bは整列したセンサチップSCを固定させるために用いる。また、第2の段差62bは、第1の段差62aに比べてY軸方向に向けて高くなるように形成されるとともに、低い第2の段差62baと高い第2の段差62bbの2つの高さを持つように形成されている。低い第2の段差62baは固定治具80をセンサチップSC上までY軸方向に押し出す役割を担っている。一方、高い第2の段差62bbは、センサチップSCを固定するためにセンサチップSC上に到達した固定治具80をZ軸方向に動かしてセンサチップSCを固定する役割を有している。
【0071】
第1の従動節61は、第1のカム62と接する一方端部にカムフォロア61aを設け、他方端部には第2のカム64を形成している。カムフォロア61aは第1のカム62上を移動することができるようにされている。第2のカム64は、第2の従動節63を動かすためのカムであり、最初に図21に示すX軸方向右に第2の従動節63を動かすためにX軸方向であってチップ固定ブロック50に向けて低くなるような斜面を備える略台形形状をしている。
【0072】
この第2のカム64によって動かされるのが第2の従動節63である。第2の従動節63の一方端部は、第2のカム64と接するカムフォロア63aであり、他方端部はX軸方向に自由に動くことのできる自由端とされている。
【0073】
図23は、チップ固定ブロック50の下面に設けられているカム機構C、より具体的には第2の従動節63と第1のリニアガイドベアリングL1との関係を示す模式図である。この図23ではチップ固定ブロック50及びその上に載置されるチップ排出パレット52は破線で示されている。
【0074】
第2の従動節63は、チップ固定ブロック50をX軸方向に貫通するように設けられるとともに、第2の従動節63のZ軸方向下2箇所で第1のリニアガイドベアリングL1,L1と接続されている。第2の従動節63と第1のリニアガイドベアリングL1とを結ぶピンは、チップ固定ブロック50とも接続され、さらにはチップ固定ブロック50上でチップ排出パレット52の位置決めを行う位置決め用ピン53として用いられる。
【0075】
第1のリニアガイドベアリングL1は、レール部材L1aとこのレール部材L1a上をレール部材L1aに沿って動くベアリング部材L1bとから構成される。第1のリニアガイドベアリングL1は第2の従動節63とは直交しない向き(非直交方向)となるように測定装置Rに固定される。また、ベアリング部材L1bには付勢部材L1cが接続されている。
【0076】
ここで変位機構60を構成するカム機構Cと第1のリニアガイドベアリングL1とによってチップ固定ブロック50がどのように動くかを説明すると以下の通りである。すなわち、第1のカム62をX軸方向(実線の矢印A1の方向)に動かすと、カムフォロア61aが第1の段差62aに乗り上げる。カムフォロア61aが第1の段差62aに乗り上げることによって、第1の従動節61が第2のカム64を押し出すようにY軸方向(実線の矢印A2の方向)に動く。第2のカム64は上述のような形状をしていることから、カムフォロア63aを介して第2の従動節63は、X軸方向(実線の矢印A3の方向)に動かされる。第2の従動節63と第1のカム62とはそれぞれ矢印A1、A3の方向に動きいずれもX軸方向に動くが、その動く方向は正反対である。
【0077】
第2の従動節63が矢印A3の方向に動くと、第2の従動節63に接続された第1のリニアガイドベアリングL1のベアリング部材L1bはレール部材L1aに沿って矢印A4の方向に動く。このときベアリング部材L1bに接続される付勢部材L1cはベアリング部材L1bの動きに従って伸長する。この矢印A3方向の動きと矢印A4方向の動きから、チップ固定ブロック50は矢印A5の方向に動かされることになる。
【0078】
一方、第1のカム62がさらに矢印A1の方向に動くと、カムフォロア61aが第1の段差62aから降りる。第1の従動節61は、今度は破線の矢印B2で示す方向に動くとともに第2の従動節63が破線の矢印B3の向きに動く。また、この第2の従動節63の動きに合わせて付勢部材L1cが元の状態に戻ろうとして、ベアリング部材L1bが破線の矢印B4の向きに動くため、チップ固定ブロック50は破線の矢印B5の方向に動き、第1のカム62が動く前の状態に戻る。
【0079】
固定治具80は、図21及び図24に示すように、第1のカム62に接するカムフォロア81と、このカムフォロア81を一端に備える第3の従動節82と、第3の従動節82の他方の一端に設けられる第3のカム83と、第3のカム83に接するカムフォロア84と、このカムフォロア84を一端に備える第4の従動節85と、第4の従動節85をZ方向に動かす第2のリニアガイドベアリングL2と、第4の従動節85の他端に接続されセンサチップSCに接触して固定するチップ固定ピン86とから構成される。
【0080】
図21には図示されていないが、カムフォロア81はさらに第1のカムフォロア81aと第2のカムフォロア81bとに分けられる。これは、第1のカムフォロア81aと第2のカムフォロア81bとで果たす役割が異なるからである。第1のカムフォロア81aが低い第2の段差62baに乗り上げることで、固定治具80を押し出してチップ固定ブロック50上まで移動させる。一方、第2のカムフォロア81bは第1のカムフォロア81aが低い第2の段差62baに乗り上げた後も第2の段差62bを上り、さらに高い第2の段差62bbに乗り上げることでチップ固定ブロック50上に移動された固定治具80によってセンサチップSCを固定するために、固定治具80をZ軸方向に移動させる役割を有する。
【0081】
図24は、センサチップSC上に到達した固定治具80をX軸方向から見た様子を示す模式図である。この図24に示されているように、第3のカム83は第4の従動節85を押し下げるようにZ軸方向のチップ固定ブロック50に向けて傾斜するような斜面を備える略台形形状をしている。
【0082】
また、カムフォロア84を一端に備える第4の従動節85は、さらに第2のリニアガイドベアリングL2と接続されている。この第2のリニアガイドベアリングL2は、レール部材L2aとこのレール部材L2a上をレール部材L2aに沿って動くベアリング部材L2bとから構成される。この第2のリニアガイドベアリングL2と接続されることによって第4の従動節85はZ軸方向に移動が可能である。
【0083】
図24に示すように第4の従動節85の他端には、第4の従動節85とZ軸方向に直交するようにチップ固定ピン86が設けられている。このチップ固定ピン86は、さらに実際にセンサチップSCに接触するチップ固定ピンコンタクトプローブ86aを備えている。このチップ固定ピンコンタクトプローブ86aのセンサチップSCとは接触しない一端には付勢部材が取り付けられており、センサチップSCにチップ固定ピンコンタクトプローブ86aが接触した場合に、第2のリニアガイドベアリングL2による第4の従動節85の動きを吸収するとともにチップ固定ピンコンタクトプローブ86aを確実にセンサチップSCに接触、固定させる。
【0084】
すなわち、図24の矢印C1に示すように第2のカムフォロア81bによって第3の従動節82がY軸方向に押し出される。この第3のカム83は上述したような形状を有しているとともに、第4の従動節85は、第2のリニアガイドベアリングL2と接続されており、Z軸方向に自在に動くことが可能であることから矢印C2の方向に動く。すると、これら矢印C1及びC2の動きによって第4の従動節85は矢印C3の方向へ動く。第4の従動節85がこのような動きをするため、チップ固定ピンコンタクトプローブ86aはZ軸方向下向きに押し下げられてセンサチップSCの表面に接触して固定する。
【0085】
図25及び図26は、変位機構60が動くことによってセンサチップSCがどのように動き、固定されるかを説明するための模式図である。センサチップSCは、チップパッケージ1から移載されチップ排出パレット52の載置ポケット52b内に収納された直後は、図21に示すようにその位置は揃っていない。
【0086】
図25においては、第1の段差62aにカムフォロア61a(第1の従動節61)が乗り上げた様子を示している。この状態では、図23を用いて説明したように、第2のカム64によって第2の従動節63がX軸方向であって第1のカム62が動いたのとは反対の方向(矢印A3の方向)に動く。チップ固定ブロック50は、第1のリニアガイドベアリングL1の矢印A4方向への動きに伴って矢印A5の方向へ動く。載置ポケット52bは収納されるセンサチップSCよりも大きく形成されていることから、このチップ固定ブロック50の動きが急であるとセンサチップSCはこの動きに追随することはなく、結果、載置ポケット52bの第1の角52baに突き当たって止まる。
【0087】
カムフォロア61a(第1の従動節61)が第1の段差62aに乗り上げると同時に、カムフォロア81(第3の従動節82)も第2の段差62bに乗り上げる。このようなカムフォロア81の動きによって固定治具80は図21に示す位置よりもチップ固定ブロック50側へ押し出される。
【0088】
図26に示すように、カムフォロア61a(第1の従動節61)が第1の段差62aから降りると、変位機構60によって矢印A5の方向に動いたチップ固定ブロック50は矢印A5とは反対の方向(矢印B5の方向)にさらに動く。このチップ固定ブロック50の動きに対してもセンサチップSCは追随しないので、今度は第1の角52baの対角にある第2の角52bbに突き当たって止まる。センサチップSCがこのような状態になったときには、固定治具80のチップ固定ピンコンタクトプローブ86aもセンサチップSCに接触することのできる位置まで動き、第2のカムフォロア81bが高い第2の段差62bbに乗り上げることによってセンサチップSCがチップ固定ピンコンタクトプローブ86aによって固定される。
【0089】
このように変位機構60が動くことによって、チップパッケージ1から移載した状態では載置ポケット52b内においてその位置がばらばらの状態にあったセンサチップSCが、最終的に載置ポケット52bの特定の角(本発明の実施の形態においては第2の角52bb)に接するとともに固定治具80によってその位置が固定される。
【0090】
このようなチップパッケージ1、チップ固定ブロック50、チップ排出パレット52、変位機構60及び固定治具80を用いることにより、複数のセンサチップ内の試料を測定するにあたり、センサチップを測定装置に移載する際にオペレータが直接又は道具を使用することなく簡便で短時間に、しかも安全に測定装置に移載し簡易な機構で固定することができる試料の測定方法、センサチップのチップパッケージ及びセンサチップの固定機構を提供することができる。
【0091】
なお、この発明は、上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の実施の形態に係るチップパッケージの外観を示す平面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るチップパッケージの収納体の外観を示す平面図である。
【図3】図1に示すチップパッケージをA−A線で切断して示す断面図である。
【図4】図1に示すチップパッケージをB−B線で切断して示す断面図である。
【図5】図1に示すチップパッケージをC−C線で切断して示す断面図である。
【図6】図1に示すチップパッケージをD−D線で切断して示す断面図である。
【図7】図1に示すチップパッケージをE−E線で切断して示す断面図である。
【図8】本発明の実施の形態に係るチップパッケージの底板の外観を示す平面図である。
【図9】本発明の実施の形態にかかるチップパッケージ内にセンサチップを収納した状態を示すチップパッケージの平面図である。
【図10】図9に示すチップパッケージをF−F線で切断して示す断面図である。
【図11】センサチップが収納されたチップパッケージにチップ移載用ブロックの位置決め用ピンを貫通させて固定した状態を、チップパッケージを長手方向に切断することによって簡易に表わした断面図である。
【図12】図11に示した状態から底板を引き抜いてセンサチップが落下する状態を示す断面図である。
【図13】本発明の実施の形態におけるチップパレットを示す斜視図である。
【図14】本発明の実施の形態におけるチップ移載用ブロックを示す斜視図である。
【図15】本発明の第1の実施の形態におけるセンサチップの第1の移載工程を示す工程図である。
【図16】本発明の第1の実施の形態におけるセンサチップの第2の移載工程を示す工程図である。
【図17】本発明の第1の実施の形態におけるセンサチップの第3の移載工程を示す工程図である。
【図18】本発明の第1の実施の形態におけるセンサチップの第4の移載工程を示す工程図である。
【図19】本発明の第1の実施の形態におけるセンサチップの第5の移載工程を示す工程図である。
【図20】本発明の第1の実施の形態におけるセンサチップの第6の移載工程を示す工程図である。
【図21】本発明の第2の実施の形態における移載工程で用いられるチップ固定ブロック、チップ排出パレット、変位機構、固定治具を示す全体図である。
【図22】本発明の第2の実施の形態におけるチップ排出パレットを示す図であり、(a)はその平面図、(b)はそのG−G線断面図である。
【図23】本発明の第2の実施の形態におけるカム機構、より具体的には第2の従動節と第1のリニアガイドベアリングとの関係を示す模式図である。
【図24】本発明の第2の実施の形態における固定治具(センサチップ上に到達した状態)をX方向から見た様子を示す模式図である。
【図25】変位機構の動きによってのセンサチップの動き、固定を説明するための模式図である。
【図26】変位機構の動きによってのセンサチップの動き、固定を説明するための模式図である。
【符号の説明】
【0093】
1…チップパッケージ、2…収納体、2a…折り返し、2b…ポケット、2c…仕切壁、2d…開口部、2e…位置決め用孔、3…底板、3a…把持部、3b…第1の突出部、3c…第2の突出部、3d…切り欠き、3e…終端部、11…チップパレット、12…横フレーム、13…縦フレーム、14…位置決めリブ、15…孔、16…搬送用ロッド、31…チップ移載用ブロック、32…ベース、33…移載台、34…位置決め用ピン、35…位置決め用ガイド、40…固定装置、50…チップ固定ブロック、51…ガイド、52…チップ排出パレット、53…位置決め用ピン、60…変位機構、61…第1の従動節、61a…カムフォロア、62…第1のカム、63…第2の従動節、63a…カムフォロア、64…第2のカム、80…固定治具、81…カムフォロア、82…第3の従動節、83…第3のカム、84…カムフォロア、85…第4の従動節、86…チップ固定ピン、86a…チップ固定ピンコンタクトプローブ、L1…第1のリニアガイドベアリング、L1a…レール部材、L1b…ベアリング部材、L1c…付勢部材、L2…第2のリニアガイドベアリング、L2a…レール部材、L2b…ベアリング部材、L2c…付勢部材、SC…センサチップ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサチップ内の試料の測定方法、センサチップを格納するチップパッケージ及びセンサチップの固定機構に関する。
【背景技術】
【0002】
近年臨床検査分野や環境計測分野では、短時間で検査結果を得ることのできるデバイスの開発が活発である。このデバイスの例として、例えば、イムノクロマト、ドライケム、μTAS等のセンサチップを挙げることができる。
【0003】
このセンサチップは、真空成形で形成された窪み(ポケット)を有する底材とこのポケットを覆うフィルムで構成されるパッケージ内に格納される。このとき、センサチップの試料を反応させるリザーバを上にしてポケットに入れ、その上からフィルムで覆う。このようにポケット内にセンサチップを納めることによって、底材がセンサチップのトレイの役割を果たし、フィルムを剥がすだけでセンサチップのリザーバに試料を入れて反応させることができる。リザーバに入れられた試料を一定の時間反応させた後、光学的或いは電気的に信号を読み取る測定装置に移載して測定結果を得る。
【0004】
ここで使用される多くの測定装置は、1つのセンサチップを測定するようにされており、オペレータが測定装置にセンサチップを手作業で移し替えている。また、多数の試料を短時間に測定するために、複数個のセンサチップを同時に載置することのできる測定装置もあるが、この場合もオペレータが測定装置へ手作業でセンサチップを一つ一つ移載している(特許文献1参照)。
【0005】
この移載されたセンサチップは、測定位置を均一化して読み取りを容易にするために、例えば、位置決めの基準となるピンに対してバネで押しつけて固定される。また、センサチップの位置決めをあまり精度良く行わずにセンサチップを測定装置のステージに置くだけのような場合には、信号を読み取る光学系が広い範囲にわたってスキャンをすることにより信号の読み取りを行っていた。
【特許文献1】特開2006−153642号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1において提案されているように、複数のセンサチップをオペレータが測定装置に一つ一つ移載していたのでは、例えば、ピンセット等の道具を使用するにしろ、オペレータがセンサチップを直接持って移載するにしろ非常に煩雑であり効率が悪い。
【0007】
また、センサチップには、例えば、ウイルス等の危険性を有する試料が入っている場合もあり取り扱いに注意しなければならないが、移載にあたってオペレータが直接センサチップを持つような場合は特に注意を要することになる。
【0008】
一方、センサチップに関して、例えば、光学式化学センサチップの場合、ガラスや石英を基板としているものも多い。このようなセンサチップを位置決めの基準ピンに対してバネで押しつける機構を持つ測定装置を利用すると、この基準ピンが金属製の場合は特に、センサチップの基準ピンに接する部分が欠ける等、センサチップを破損する場合もあった。また、センサチップの位置決めの精度をゆるやかにして光学系がセンサチップの広い範囲にわたってスキャンを行う機構を備える測定装置の場合、位置決め精度の高い測定装置に比してスキャン機構が複雑になる傾向にある。
【0009】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、複数のセンサチップ内の試料を測定するにあたり、センサチップを測定装置に移載する際にオペレータが直接又は道具を使用することなく簡便で短時間に、しかも安全に測定装置に移載し簡易な機構で固定することができる試料の測定方法、センサチップのチップパッケージ及びセンサチップの固定機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の実施の形態に係る特徴は、試料の測定方法において、複数のセンサチップを搬送する枠状のチップパレットを、チップ移載用ブロックに設けられた移載台に向けて嵌め合わせて載置する工程と、センサチップを収納したチップパッケージの長手方向の位置を移載台上で合わせるためにチップ移載用ブロックに設けられた位置決め用ピンに合わせてチップパッケージの位置決め用孔を嵌め合わせる工程と、移載台のセンサチップが載置される載置面に設けられたセンサチップの移動を防止する桟と桟との間に、チップパッケージからセンサチップの下面を保持するチップパッケージの底板を引き抜くことでセンサチップを一度に移載する工程と、チップパレットを引き上げてチップパレットを移載台の上に載置されたセンサチップの四隅に当接させることでセンサチップをチップパレット上に一度に移載する工程と、複数のセンサチップを載せたチップパレットを測定装置上に載置して、センサチップ内の試料を測定する測定工程とを備える。
【0011】
本発明の第2の実施の形態に係る特徴は、チップパッケージにおいて、試料注入部がそれぞれの上面に設けられた複数のセンサチップを各個収納するとともに試料注入部を露出させる開口部を備える複数のチップポケットが等間隔で形成された収納体と、複数のセンサチップのそれぞれの下面を保持する底板と、を備え、底板は、収納体に形成された折り返しの間でスライド可能に組み合わされている。
【0012】
本発明の第3の実施の形態に係る特徴は、試料の測定方法において、センサチップ内の試料を読み取る測定装置のチップ固定ブロックにチップ排出パレットを載置する工程と、センサチップを収納したチップパッケージの長手方向の位置をチップ固定ブロック上で合わせるためにチップ固定ブロックに設けられた位置決め用ピンに合わせてチップパッケージの位置決め用孔を嵌め合わせる工程と、センサチップをチップ排出パレットに形成された載置ポケットにチップパッケージからセンサチップの下面を保持するチップパッケージの底板を引き抜くことでセンサチップを一度に移載する工程と、測定装置に設けられた変位機構を用いて載置ポケット内に載置されたセンサチップの位置を変位させて整列させる工程と、載置ポケット内で整列させられたセンサチップを固定治具を用いてその位置で固定する工程と、固定された複数のセンサチップ内の試料を測定する測定工程とを備える。
【0013】
本発明の第4の実施の形態に係る特徴は、チップ固定装置において、センサチップを載置するガイドを備えるチップ固定ブロックと、第1の従動節を一方向に動かす第1のカム及びチップ固定ブロックに接続される第2の従動節を第1の従動節に接続され第1の従動節の動く方向に対して直交する方向に動かす第2のカムを備えるカム機構と、第2の従動節に接続されチップ固定ブロックを第2の従動節の動く方向に対して非直交方向に動かす第1のリニアガイドベアリングとから構成されるチップ固定ブロックを動かしてセンサチップの位置を変位させる変位機構と、第1のカムによって第1の従動節と同一方向に動かされる第3の従動節と、第3の従動節に接続される第3のカムと、第3のカムによって第3の従動節と同一方向に動かされる第4の従動節と、第4の従動節をチップ固定ブロック上に載置されるセンサチップに対して直交方向に移動可能にする第2のリニアガイドベアリングと、第4の従動節と直交方向に接続されセンサチップに接触してセンサチップを固定するチップ固定ピンとを備えるチップ固定ブロック上で変位したセンサチップの位置を固定する固定治具とを備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、複数のセンサチップ内の試料を測定するにあたり、センサチップを測定装置に移載する際にオペレータが直接又は道具を使用することなく簡便で短時間に、しかも安全に測定装置に移載し簡易な機構で固定することができる試料の測定方法、センサチップのチップパッケージ及びセンサチップの固定機構を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
(第1の実施の形態)
本発明の実施の形態に係るセンサチップを収納するチップパッケ−ジ1は、例えば、図1の平面図に示すような外観であり、その内部にセンサチップSCを収納する収納体2と、底板3とから構成される。底板3は、収納体2の一対の折り返し2a,2aに間に挟まれて保持されることによりチップパッケージ1の底板を構成するとともに、収納されるセンサチップSCの下面が接することでセンサチップSCを保持する。底板3は、把持部3aを掴んで引っ張ることで折り返し2a内を移動して収納体2から取り外すことができるようにされている。
【0017】
図2は、収納体2のみを示す平面図である。収納体2は、例えば、PET(polyethlene terephthalate)シートを真空成形して形成する。底板3を保持するための折り返し2aは、例えば、ホットプレスによる曲げ加工によって形成される。図2に示す収納体2の平面図では、折り返し2a,2aは収納体2の底面側に折り返されているため破線で示している。
【0018】
また、収納体2には、センサチップSCを収納するためのポケット2bが設けられる。ここでポケット2bに収納されるセンサチップSCは、直方体であるリザーバの上部中央に試料注入部を有している。従って、センサチップSCの断面形状は凸状となる。このセンサチップSCを収納するためにポケット2bは、センサチップSCがポケット2b内において大きく動くことのないように収納できる大きさとなるようにセンサチップSCの外形寸法より若干大きい矩形状をしている。また、上述した形状を備えるセンサチップSCを収納するために、ポケット2bは収納体2の表面から折り返し2aとは逆方向に盛り上がるように形成される。
【0019】
そして、底板3が折り返し2aに組み合わされてチップパッケージ1の底板となることで収納体2と底板3によってセンサチップSCを収納する空間が作られ、センサチップSCは底板3によってその下面を保持されて収納体2に形成されたポケット2bに収納される。
【0020】
ポケット2bは収納体2に複数形成される。またポケット2bは、収納体2の長辺に対してセンサチップSCの長辺が直交する位置にセンサチップSCが収納がされるように形成される。このようにポケット2bを形成することによって複数のセンサチップSCの各試料注入部を一直線上に揃えて収納することができる。
【0021】
さらに隣接する複数のポケット2bは、仕切壁2cによって区切られる。この仕切壁2cによってポケット2bは複数のセンサチップSCをまとめて収納するのではなく、個別にセンサチップSCを収納することが可能となる。また、仕切壁2cがあることによって、センサチップSCを後述するチップ移載用ブロックやチップパレットに移載する際のセンサチップSCの載置位置が決まる。仕切壁2cは、収納体2の表面と同一平面としポケット2bのように収納体2の表面から盛り上げた形状としないことによりポケット2bとポケット2bとの間を仕切っている。
【0022】
本発明の実施の形態においては、7箇所の仕切壁2cに仕切られて8個のポケット2bが設けられているが、収納体2にいくつのポケット2bを設けるかはセンサチップSCの形状等に合わせて自由に設定することができる。
【0023】
ポケット2bでは、センサチップSCの試料注入部が位置する部分が切り欠かれて開口部2dが形成されている。この開口部2dによって収納体2及び底板3との間で形成されるポケット2bの一部が試料注入部の部分において開放された状態となる。開口部2dがこのように形成されることにより、チップパッケージ1に収納されたセンサチップSCをチップパッケージ1から取り出すことなくその試料注入部に試料を注入して検査を行うことができる。
【0024】
なお、検査開始前にはチップパッケージ1内にセンサチップSCが収納された状態で取り引きされるが、その状態では、開口部2dの部分はシール等が貼付されることによって塞がれている。この開口部2dは、本発明の実施の形態においては図1に示すように、複数のポケット2bに渡ってその一部が開放されるように形成されているが、個々のポケット2bに収納されるセンサチップSCの試料注入部の部分が開放するように開口部2dが形成されていても良い。
【0025】
収納体2の表面には位置決め用孔2eが設けられている。本発明の実施の形態においては、位置決め用孔2eは、図2に示すように、複数形成されているポケット2bの中で最も端に位置するポケット2b近傍であって、開口部2dの短辺の中心と位置決め用孔2eの中心が同軸上に位置するように設けられている。この位置決め用孔2eは、収納しているセンサチップSCを後述するチップ移載用ブロック31に移載する際に、チップパッケージ1とチップ移載用ブロック31との位置合わせを行うために使用される。
【0026】
すなわち、位置決め用孔2eにチップ移載用ブロック31に設けられた位置決め用ピン34を底板3側から通すことによってチップパッケージ1のチップ移載用ブロック31に対する長手方向の位置を決めることができる。なお、本発明の実施の形態においては、上述したように図2に示すような位置に位置決め用孔2eを設けたが、この位置決め用孔2eの位置はチップ移載用ブロック31の位置決め用ピン34の位置に合わせて適宜収納体2の表面に設けられる。
【0027】
図3は、図1におけるA−A線でチップパッケージ1を切断して示すA−A線断面図である。図3をはじめ、以後に示す断面図において切断面にはハッチングを施している。収納体2には、一対の折り返し2a,2aが設けられており、この折り返し2a,2a上に底板3が組み合わされている。底板3によってその下面が保持されるセンサチップSCを収納するために収納体2の表面から盛り上がるようにポケット2bが形成されている。また、図1に示すようにA−A線はポケット2bの中央を切断しているので、その奥には仕切壁2cが見える。
【0028】
図4は、図1におけるB−B線でチップパッケージ1を切断して示すB−B線断面図である。B−B線は仕切壁2cの部分を切断している。この断面図にも示されているように、仕切壁2cは収納体2の表面と同一平面上に形成されている。また、図5は、図1におけるC−C線でチップパッケージ1を切断して示すC−C線断面図である。C−C線は、ポケット2bに形成された開口部2dの端部において切断しているため開口部2dは表わされていない。図6は、図1におけるD−D線でチップパッケージ1を切断して示すD−D線断面図である。またこれら図3ないし図6では、折り返し2a,2aと収納体2の表面に挟まれて底板3保持されている様子がわかる。
【0029】
図7は、図1におけるE−E線でチップパッケージ1を切断して示すE−E線断面図である。この図からは複数のポケット2bが仕切壁2cによって区分けされてセンサチップSCを個々に収納することができるようにされていることがわかる。また、底板3は、収納体2の表面と折り返し2aに挟まれて保持されるとともに、ポケット2bの底板の役割も果たし、センサチップSCを収納する空間を形成している。
【0030】
図8は、底板3を示す平面図である。底板3は、平面視略長方形の形状をしており、長手方向一端部には把持部3aが設けられている。この把持部3aは、チップパッケージ1内に収納されたセンサチップSCをチップ移載用ブロック31に載せる際に底板3を収納体2からスライドさせて引き抜くために把持される部分である。また、把持部3aの両端部には、第1の突出部3b,3bが設けられている。この第1の突出部3b,3bが収納体2の表面から折り返し2a,2aに至る部分に接触することで底板3を収納体2に組み合わせた場合に底板3が抜けることが防止される。
【0031】
底板3の長手方向他端部の両端には、第2の突出部3c,3cが形成されている。この第2の突出部3c,3cは、第1の突出部3b,3b同様、底板3が収納体2から抜けることを防止する役割を有する。一方で、第2の突出部3c,3cは、把持部3aを持って底板3を収納体2からスライドさせて引き抜く場合には容易に引き抜くことができるように形成されている。そのため、第2の突出部3c,3cは、第1の突出部3b,3bと比べて底板3の長辺からの突出量が少なくされるとともに、第2の突出部3c,3cの形状も曲線部を有するように形成されている。
【0032】
さらに底板3の長手方向他端部には、細長い矩形状の切り欠き3dが設けられている。この切り欠き3dの終端部3eは、図1に示すように収納体2を底板3と組み合わせたときに収納体2表面に設けられた位置決め用孔2eの一部とその位置が一致するように形成される。
【0033】
チップパッケージ1内に収納されたセンサチップSCをチップ移載用ブロック31へ移載する際には、上述したように、チップ移載用ブロック31の位置決め用ピン34を底板3側から収納体2の位置決め用孔2eに向けて通し(このとき位置決め用ピンは切り欠き3dの終端部3eに接する)、チップ移載用ブロック31上でチップパッケージ1の位置決めを行った上で移載する。この切り欠き3dは、位置決め用ピン34が底板3に干渉して底板3が引き抜けないことがないように、収納体2から底板3を引き抜く際に位置決め用ピン34が通ることができるように設けられたものである。
【0034】
図9は、チップパッケージ1内にセンサチップSCを収納した状態を示すチップパッケージ1の平面図である。センサチップSCはポケット2b内に個々に収納され、隣接するセンサチップSCとの間には仕切壁2cが形成されている。また、図10は、図9に示すセンサチップSCを収納したチップパッケージ1をF−F線で切断して示すF−F線断面図である。センサチップSCの下面は底板3に接して保持されることにより、ポケット2b内に収納される。また、センサチップSCの試料注入部は、ポケット2bの上面にあたる収納体2の表面(開口部2d)よりも高く突き出ることはない。試料注入部にゴミ等が入ることを防止するため、試料注入部に試料が注入される直前まで開口部2dにはシールが貼付されるが、このシールに試料注入部が接触することを避けるためである。
【0035】
図11は、チップ移載用ブロック31の位置決め用ピン34を底板3の切り欠き3d(終端部3e)と収納体2の位置決め用孔2eとに貫通させてチップパッケージ1を固定した状態をセンサチップSCが収納されたチップパッケージ1を長手方向に切断することによって簡易に表わした断面図である。センサチップSCは、底板3によって保持されている。
【0036】
このような状態から、図12の矢印に示す方向に底板3を引っ張ると底板3が折り返し2aを移動してそれまで底板3によって保持されていたセンサチップSCが下に落下する。このとき底板3は切り欠き3dが形成されているため位置決め用ピン34によって固定されることなく収納体2から引き抜くことができる。一方、収納体2は位置決め用孔2eに位置決め用ピン34が通された状態にあるため、固定された状態を保持することができる。このため、チップパッケージ1内に収納される複数のセンサチップSCをまとめてチップ移載用ブロック31の上に移載することができる。
【0037】
図13に示すように、チップパレット11は複数のセンサチップSCが載置される矩形状のパレットである。図13ではチップパレット11上には1つのセンサチップSCのみを載置した状態を示しているが、本発明の実施の形態におけるチップパレット11には合計8枚のセンサチップSCが載置できるようにされている。
【0038】
チップパレット11は、互いに平行な一対の横フレーム12,12と、これら横フレーム12,12の端部を連結し互いに平行な一対の縦フレーム13,13とからなる。横フレーム12,12の互いに対向する内側縁部12a,12aには、複数の位置決めリブ14が等間隔に形成されている。本発明の実施の形態におけるチップパレット11では、8枚のセンサチップSCを搭載するために横フレーム12,12のそれぞれの内側縁部に各々9つの位置決めリブ14が形成されている。
【0039】
この位置決めリブ14は、チップパレット11に搭載されるセンサチップSCの配置位置を決めるための第1のリブ14aとセンサチップSCを載置するための第2のリブ14bとから構成される。第1のリブ14aは略直方体の形状をなし、隣接する第1のリブ14a,14aとの間にセンサチップSCが配置される。第2のリブ14bは、第1のリブ14aと内側縁部12aとの間をつなぐように略三角形状に設けられる。隣接する第1のリブ14a,14aとの間に設けられる第2のリブ14b,14b上にセンサチップSCの四隅が載ることによってセンサチップSCはチップパレット11上に搭載される。また、この第2のリブ14bの高さは第1のリブ14aの高さに比べて低く形成されているので、センサチップSCは位置決めリブ14と内側縁部12aとの間でチップパレット11上において載置される位置が決定される。
【0040】
一対の縦フレーム13,13のそれぞれの中間部には、チップ移載用ブロックに突出して設けられた位置決め用ピンが通る孔15,15が形成されている。また、横フレーム12と縦フレーム13との連結部には、チップパレット11を搬送するための搬送用ロッド16が設けられている。この搬送用ロッド16は、チップパレット11において互いに対向する位置に一対設けられている。
【0041】
図14は、センサチップSCをチップパッケージ1からチップパレット11に移載する際に用いるチップ移載用ブロック31を示す斜視図である。チップ移載用ブロック31は、本発明の実施の形態では矩形状であるベース32と、このベース32上に設けられた移載台33と、位置決め用ピン34と、一対の位置決め用ガイド35,35とを備える。
【0042】
移載台33は、ベース32上に設けられ、この移載台33の上にチップパッケージ1に収納されているセンサチップSCが移載される。その上でセンサチップSCはこの移載台33からチップパレット11に移載される。移載台33は、ベース32上に図14に示すZ方向に一定の厚みをもって形成される。この厚みは、少なくとも移載されるチップパレット11の厚み以上の厚みがあれば足りる。
【0043】
移載台33のベース32と接続される面に対向する面には、チップパッケージ1から移載されるセンサチップSCが載置される面(以下、「載置面」という。)33aと、隣接する載置面33aの間に桟33bとが形成されている。
【0044】
桟33bは、載置面33aよりもZ軸方向に、載置面33aに対して高さを有するように形成されている。また、桟33bは、載置面33a上に載置されるセンサチップSCの長手方向(図14におけるY軸方向)と平行となる向きに設けられている。隣接する載置面33a,33aとの間に桟33bを形成することにより、センサチップSCが載置面33aから移動することを防止することができる。隣接する桟33b,33bの間の長さは、センサチップSCの短手方向の長さと略同じであり、センサチップSCはこの長さに形成された載置面33a上に載置される。
【0045】
載置面33aのY軸方向の長さは、センサチップSCの長手方向の長さよりも短い。そのため、載置面33aはセンサチップSCの下面全体を保持することはなく、センサチップSCの長手方向両端領域は載置面33aからはみ出す。センサチップSCの下面の全領域が載置面33a上に載置されると、チップ移載用ブロック31を利用してチップパレット11へセンサチップSCを移載することができなくなるからである。
【0046】
移載台33における載置面33aと直交し、かつ、センサチップSCの長手方向と直交する面には、センサチップSC両端領域の直下であり載置面33aとベース32との間において移載台33の外側に向けて張り出す凸部33cが形成されている。図14に示す本発明の実施の形態においては、凸部33cはベース32上から載置面33aと水平面を形成する高さまで設けられている。但し、後述する移載台33とチップパレット11との間で行われる抜き差しが円滑に行われるようにされていれば、その高さは任意に設定することができる。
【0047】
この凸部33cは、図14に示すように、本発明の実施の形態においては載置面33aと接する側を底辺とする略台形の形状をしている。この形状は、チップ移載用ブロック31にチップパレット11を組み合わせたときに、チップパレット11の内側縁部との間で組み合わせることができる形状とされている。すなわち、移載台33の凸部33cがチップパレット11の位置決めリブ14,14の間に位置することでチップパレット11がチップ移載用ブロック31に嵌め合わせられる。また、凸部33cをこのような形状とすることにより、センサチップSCの下面の四隅が凸部33cによって保持されない状態となる。予め移載台33と嵌め合わせてあるチップパレット11を引き上げた際に、センサチップSCの四隅がチップパレット11の第2のリブ14bに引っかかりこの第2のリブ14b上に載置されることにより、センサチップSCはチップパレット11に移載されることになる。
【0048】
移載台33の長手方向(X軸方向)の一方の端部中央付近には、移載台33にセンサチップSCを移載する際にチップパッケージ1の位置決めを行うために用いる位置決め用ピン34が設けられている。この位置決め用ピン34を底板3の切り欠き3dと収納体2の位置決め用孔2eに貫通させることで移載台33上においてチップパッケージ1の長手方向の位置が決められる。
【0049】
また、移載台33の長手方向他方の端部付近には、移載台33のY軸方向に位置決め用ガイド35が形成されている。この位置決め用ガイド35は、チップパッケージ1の短手方向の位置を決めるために用いられる。なお、本発明の実施の形態においては、この位置決め用ガイド35を移載台33の長手方向他端部に近い場所に形成しているが、チップパッケージ1の短手方向の位置を決めることができれば、移載台33の長手方向のどの位置に形成しても構わない。また、図14では、位置決め用ガイド35は互いに対向する位置に形成されているが、必ずしも対向する位置に形成される必要はなく、移載台33を挟んで両側に位置をずらして形成することもできる。
【0050】
次に、チップパッケージ1に収納されたセンサチップSCを一旦チップ移載用ブロック31に移載した後、チップパレット11にそのセンサチップSCを移載する、センサチップ内の試料の測定方法の一部について説明する。
【0051】
図15に示すように、まずチップ移載用ブロック31を用意する。次に、センサチップSCをここでは図示しない測定装置に搬送するためのチップパレット11をチップ移載用ブロック31の移載台33に嵌め合わせる(図16参照)。チップパレット11は図13に示すように枠状の形状をしており、図16の矢印に示すようにこの枠内部に移載台33が貫通する形で嵌め合わせられる。図17は、チップパレット11がチップ移載用ブロック31のベース32上に載置された状態を示し、この図に示すように、移載台33の凸部33c,33cの間に位置決めリブ14が入り込む。また、チップパレット11に形成されている孔15には、チップ移載用ブロック31の位置決め用ピン34が貫通する。
【0052】
図18は、チップパレット11がチップ移載用ブロック31のベース32上に載置された状態でさらに位置決め用ピン34をチップパッケージ1の位置決め用孔2eに貫通させた状態を示す工程図である。ここでは、チップパッケージ1を透明に表わしていることから、チップ移載用ブロック31、チップパレット11との位置関係が明示されている。
【0053】
この状態では、チップパッケージ1の短手方向は、チップ移載用ブロック31に形成されている位置決め用ガイド35の間に挟まれており、チップパッケージ1は移載台33の上でその位置が決定される。また、チップパッケージ1の底板3は移載台33の桟33b上に載った状態にある。チップパッケージ1が移載台33上においてこのような位置に置かれた場合、チップパッケージ1に収納されているセンサチップSCは載置面33aの上に位置することになる。
【0054】
ここでチップパッケージ1の底板3を把持部3aを図18に示す矢印方向に引っ張ることにより、チップパッケージ1に収納されているセンサチップSCが移載台33上の載置面33aに落下する。
【0055】
図19は、チップパッケージ1からチップ移載用ブロック31の移載台33上にセンサチップSCを移載した状態を示す工程図である。ここでは収納していたセンサチップSCを移載台33に移載したチップパッケージ1については図示していない。チップパッケージ1から落下して移載面33aに載置されたセンサチップSCは、その長手方向の両辺を桟33b,33bに挟まれるとともに、長手方向両端領域は、凸部33c上に載る。一方、センサチップSCの四隅は、凸部33c上に載っておらず凸部33cによって保持されていない。
【0056】
この状態で、チップ移載用ブロック31に嵌め合わせたチップパレット11を引き上げる。この様子を示したのが図20である。搬送用ロッド16を掴んでチップパレット11を凸部33c及び位置決め用ピン34に沿って図20に示す矢印の方向に引き上げると、センサチップSCの保持されていない四隅がチップパレット11の第2のリブ14b上に載置されることになる。そのままさらにチップパレット11を引き上げてチップ移載用ブロック31から抜き取ると、センサチップSCはチップパレット11上に移載される。
【0057】
その上で、これら複数のセンサチップSCを載せたチップパレット11を図示しない測定装置上に載置して、センサチップSC内の試料を測定する。
【0058】
このようなチップパッケージ1、チップパレット11及びチップ移載用ブロック31を用いることにより、複数のセンサチップ内の試料を測定するにあたり、センサチップを測定装置に移載する際にオペレータが直接又は道具を使用することなく簡便で短時間に、しかも安全に測定装置に移載し簡易な機構で固定することができる試料の測定方法、センサチップのチップパッケージ及びセンサチップの固定機構を提供することができる。
【0059】
(第2の実施の形態)
次に本発明における第2の実施の形態について説明する。なお、第2の実施の形態において、上述の第1の実施の形態において説明した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、同一の構成要素の説明は重複するので省略する。
【0060】
第2の実施の形態は、試料の測定方法において、センサチップを測定装置に移載、載置して固定するまでの流れを示すものである。
【0061】
図21は、センサチップ内の試料を読み取る測定装置上でセンサチップを固定する固定装置を示す模式図である。
【0062】
固定装置40は、センサチップSCを載置するチップ固定ブロック50と、このチップ固定ブロック50を動かしてセンサチップSCの位置を固定位置まで変位させる変位機構60と、チップ固定ブロック50上で変位したセンサチップSCの位置を固定する固定治具80とから構成される。チップ固定ブロック50、変位機構60及び固定治具80は、いずれも図21では図示しない測定装置Rに設けられている。
【0063】
センサチップSCは、チップ固定ブロック50上に載置されて固定治具80によって固定された上で測定装置Rに設けられている読取装置(スキャン機構)によってその内部に納められている試料が読み取られるようになっている。
【0064】
チップ固定ブロック50には、センサチップSCを載置するためのガイド51が形成されている。このガイド51,51は、センサチップSCの1つの短辺を含む3辺を保持するように形成されている。また、センサチップSCの1つの短辺を保持する部分が互いに対向するような位置に一対のガイド51,51が形成されており、これら一対のガイド51が1つのセンサチップSCを保持する。一対のガイド51,51は、図21のY軸方向で示す長手方向に沿って複数(本発明の実施の形態においては8つ)形成されている。
【0065】
さらにチップ固定ブロック50には、このチップ固定ブロック50上に載置されるチップ排出パレット52の位置を決めるための位置決め用ピン53が設けられている。本発明の実施の形態においては、位置決め用ピン53は、チップ固定ブロック50の幅方向(X軸方向)中央であって複数のガイド51を挟むように一対設けられている。
【0066】
チップ排出パレット52は、チップ固定ブロック50上に載置されて測定装置Rによって試料が読み取られた後のセンサチップSCを測定装置Rから排出するためのパレットである。図22(a)はチップ排出パレット52の平面を示す図であり、図22(b)はG−G線でチップ排出パレット52を切断して表わしたG−G線断面図である。図22(a)に示すように、チップ排出パレット52には、チップ固定ブロック50上に載置する際に位置決め用ピン53に通してそのその位置を決める位置決め用孔52a,52aが設けられている。この位置決め用孔52a,52aは、本発明の実施の形態においては、いずれも長孔となっているが、いずれか一方が長孔とされていれば足りる。
【0067】
位置決め用孔52a.52aによって挟まれるようにセンサチップSCを収納する載置ポケット52bが形成されている。この載置ポケット52bは、本発明の実施の形態においては8つ形成されている。また、1つの載置ポケット52bのX軸方向に対向する2辺には、一対の載置片52c,52cが形成されている。ガイド51に載置された載置ポケット52b内に収納されたセンサチップSCが排出される際には、この載置片52c,52cにセンサチップSCの下面が当たる。従って、チップ固定ブロック50からチップ排出パレット52を引き上げると、同時にセンサチップSCもチップ固定ブロック50から引き上げられる。
【0068】
チップ排出パレット52がチップ固定ブロック50に載置された場合、チップ固定ブロック50上に形成されるガイド51は図21に示すように載置ポケット52b内に納められる。そのため、チップ固定ブロック50上にチップ排出パレット52が載置され、その載置ポケット52b内にセンサチップSCが収納された状態では、センサチップSCの下面はガイド51に接している。但し、この載置ポケット52bはセンサチップSCの大きさよりも大きく形成されていることから、センサチップSCが載置ポケット52b内に収納されたばかりの状態では、図21に示すように各載置ポケット52b内において各センサチップSCの位置はばらばらである。
【0069】
変位機構60は、図21に示すように、第1の従動節61を一方向に動かす第1のカム62及びチップ固定ブロック50に接続される第2の従動節63を第1の従動節61に接続され第1の従動節61の動く方向に対して直交する方向に動かす第2のカム64を備えるカム機構Cと、第2の従動節63に接続されチップ固定ブロック50を第2の従動節63の動く方向に対して非直交方向に動かす一対の第1のリニアガイドベアリングL1,L1とから構成される。これら変位機構60は、測定装置R上において移動可能に設けられている。
【0070】
第1のカム62は、図21に示すように直動カムであり、第1の段差62aと第2の段差62bとが形成されている。第1の段差62aはセンサチップSCを整列させるために用いられ、第2の段差62bは整列したセンサチップSCを固定させるために用いる。また、第2の段差62bは、第1の段差62aに比べてY軸方向に向けて高くなるように形成されるとともに、低い第2の段差62baと高い第2の段差62bbの2つの高さを持つように形成されている。低い第2の段差62baは固定治具80をセンサチップSC上までY軸方向に押し出す役割を担っている。一方、高い第2の段差62bbは、センサチップSCを固定するためにセンサチップSC上に到達した固定治具80をZ軸方向に動かしてセンサチップSCを固定する役割を有している。
【0071】
第1の従動節61は、第1のカム62と接する一方端部にカムフォロア61aを設け、他方端部には第2のカム64を形成している。カムフォロア61aは第1のカム62上を移動することができるようにされている。第2のカム64は、第2の従動節63を動かすためのカムであり、最初に図21に示すX軸方向右に第2の従動節63を動かすためにX軸方向であってチップ固定ブロック50に向けて低くなるような斜面を備える略台形形状をしている。
【0072】
この第2のカム64によって動かされるのが第2の従動節63である。第2の従動節63の一方端部は、第2のカム64と接するカムフォロア63aであり、他方端部はX軸方向に自由に動くことのできる自由端とされている。
【0073】
図23は、チップ固定ブロック50の下面に設けられているカム機構C、より具体的には第2の従動節63と第1のリニアガイドベアリングL1との関係を示す模式図である。この図23ではチップ固定ブロック50及びその上に載置されるチップ排出パレット52は破線で示されている。
【0074】
第2の従動節63は、チップ固定ブロック50をX軸方向に貫通するように設けられるとともに、第2の従動節63のZ軸方向下2箇所で第1のリニアガイドベアリングL1,L1と接続されている。第2の従動節63と第1のリニアガイドベアリングL1とを結ぶピンは、チップ固定ブロック50とも接続され、さらにはチップ固定ブロック50上でチップ排出パレット52の位置決めを行う位置決め用ピン53として用いられる。
【0075】
第1のリニアガイドベアリングL1は、レール部材L1aとこのレール部材L1a上をレール部材L1aに沿って動くベアリング部材L1bとから構成される。第1のリニアガイドベアリングL1は第2の従動節63とは直交しない向き(非直交方向)となるように測定装置Rに固定される。また、ベアリング部材L1bには付勢部材L1cが接続されている。
【0076】
ここで変位機構60を構成するカム機構Cと第1のリニアガイドベアリングL1とによってチップ固定ブロック50がどのように動くかを説明すると以下の通りである。すなわち、第1のカム62をX軸方向(実線の矢印A1の方向)に動かすと、カムフォロア61aが第1の段差62aに乗り上げる。カムフォロア61aが第1の段差62aに乗り上げることによって、第1の従動節61が第2のカム64を押し出すようにY軸方向(実線の矢印A2の方向)に動く。第2のカム64は上述のような形状をしていることから、カムフォロア63aを介して第2の従動節63は、X軸方向(実線の矢印A3の方向)に動かされる。第2の従動節63と第1のカム62とはそれぞれ矢印A1、A3の方向に動きいずれもX軸方向に動くが、その動く方向は正反対である。
【0077】
第2の従動節63が矢印A3の方向に動くと、第2の従動節63に接続された第1のリニアガイドベアリングL1のベアリング部材L1bはレール部材L1aに沿って矢印A4の方向に動く。このときベアリング部材L1bに接続される付勢部材L1cはベアリング部材L1bの動きに従って伸長する。この矢印A3方向の動きと矢印A4方向の動きから、チップ固定ブロック50は矢印A5の方向に動かされることになる。
【0078】
一方、第1のカム62がさらに矢印A1の方向に動くと、カムフォロア61aが第1の段差62aから降りる。第1の従動節61は、今度は破線の矢印B2で示す方向に動くとともに第2の従動節63が破線の矢印B3の向きに動く。また、この第2の従動節63の動きに合わせて付勢部材L1cが元の状態に戻ろうとして、ベアリング部材L1bが破線の矢印B4の向きに動くため、チップ固定ブロック50は破線の矢印B5の方向に動き、第1のカム62が動く前の状態に戻る。
【0079】
固定治具80は、図21及び図24に示すように、第1のカム62に接するカムフォロア81と、このカムフォロア81を一端に備える第3の従動節82と、第3の従動節82の他方の一端に設けられる第3のカム83と、第3のカム83に接するカムフォロア84と、このカムフォロア84を一端に備える第4の従動節85と、第4の従動節85をZ方向に動かす第2のリニアガイドベアリングL2と、第4の従動節85の他端に接続されセンサチップSCに接触して固定するチップ固定ピン86とから構成される。
【0080】
図21には図示されていないが、カムフォロア81はさらに第1のカムフォロア81aと第2のカムフォロア81bとに分けられる。これは、第1のカムフォロア81aと第2のカムフォロア81bとで果たす役割が異なるからである。第1のカムフォロア81aが低い第2の段差62baに乗り上げることで、固定治具80を押し出してチップ固定ブロック50上まで移動させる。一方、第2のカムフォロア81bは第1のカムフォロア81aが低い第2の段差62baに乗り上げた後も第2の段差62bを上り、さらに高い第2の段差62bbに乗り上げることでチップ固定ブロック50上に移動された固定治具80によってセンサチップSCを固定するために、固定治具80をZ軸方向に移動させる役割を有する。
【0081】
図24は、センサチップSC上に到達した固定治具80をX軸方向から見た様子を示す模式図である。この図24に示されているように、第3のカム83は第4の従動節85を押し下げるようにZ軸方向のチップ固定ブロック50に向けて傾斜するような斜面を備える略台形形状をしている。
【0082】
また、カムフォロア84を一端に備える第4の従動節85は、さらに第2のリニアガイドベアリングL2と接続されている。この第2のリニアガイドベアリングL2は、レール部材L2aとこのレール部材L2a上をレール部材L2aに沿って動くベアリング部材L2bとから構成される。この第2のリニアガイドベアリングL2と接続されることによって第4の従動節85はZ軸方向に移動が可能である。
【0083】
図24に示すように第4の従動節85の他端には、第4の従動節85とZ軸方向に直交するようにチップ固定ピン86が設けられている。このチップ固定ピン86は、さらに実際にセンサチップSCに接触するチップ固定ピンコンタクトプローブ86aを備えている。このチップ固定ピンコンタクトプローブ86aのセンサチップSCとは接触しない一端には付勢部材が取り付けられており、センサチップSCにチップ固定ピンコンタクトプローブ86aが接触した場合に、第2のリニアガイドベアリングL2による第4の従動節85の動きを吸収するとともにチップ固定ピンコンタクトプローブ86aを確実にセンサチップSCに接触、固定させる。
【0084】
すなわち、図24の矢印C1に示すように第2のカムフォロア81bによって第3の従動節82がY軸方向に押し出される。この第3のカム83は上述したような形状を有しているとともに、第4の従動節85は、第2のリニアガイドベアリングL2と接続されており、Z軸方向に自在に動くことが可能であることから矢印C2の方向に動く。すると、これら矢印C1及びC2の動きによって第4の従動節85は矢印C3の方向へ動く。第4の従動節85がこのような動きをするため、チップ固定ピンコンタクトプローブ86aはZ軸方向下向きに押し下げられてセンサチップSCの表面に接触して固定する。
【0085】
図25及び図26は、変位機構60が動くことによってセンサチップSCがどのように動き、固定されるかを説明するための模式図である。センサチップSCは、チップパッケージ1から移載されチップ排出パレット52の載置ポケット52b内に収納された直後は、図21に示すようにその位置は揃っていない。
【0086】
図25においては、第1の段差62aにカムフォロア61a(第1の従動節61)が乗り上げた様子を示している。この状態では、図23を用いて説明したように、第2のカム64によって第2の従動節63がX軸方向であって第1のカム62が動いたのとは反対の方向(矢印A3の方向)に動く。チップ固定ブロック50は、第1のリニアガイドベアリングL1の矢印A4方向への動きに伴って矢印A5の方向へ動く。載置ポケット52bは収納されるセンサチップSCよりも大きく形成されていることから、このチップ固定ブロック50の動きが急であるとセンサチップSCはこの動きに追随することはなく、結果、載置ポケット52bの第1の角52baに突き当たって止まる。
【0087】
カムフォロア61a(第1の従動節61)が第1の段差62aに乗り上げると同時に、カムフォロア81(第3の従動節82)も第2の段差62bに乗り上げる。このようなカムフォロア81の動きによって固定治具80は図21に示す位置よりもチップ固定ブロック50側へ押し出される。
【0088】
図26に示すように、カムフォロア61a(第1の従動節61)が第1の段差62aから降りると、変位機構60によって矢印A5の方向に動いたチップ固定ブロック50は矢印A5とは反対の方向(矢印B5の方向)にさらに動く。このチップ固定ブロック50の動きに対してもセンサチップSCは追随しないので、今度は第1の角52baの対角にある第2の角52bbに突き当たって止まる。センサチップSCがこのような状態になったときには、固定治具80のチップ固定ピンコンタクトプローブ86aもセンサチップSCに接触することのできる位置まで動き、第2のカムフォロア81bが高い第2の段差62bbに乗り上げることによってセンサチップSCがチップ固定ピンコンタクトプローブ86aによって固定される。
【0089】
このように変位機構60が動くことによって、チップパッケージ1から移載した状態では載置ポケット52b内においてその位置がばらばらの状態にあったセンサチップSCが、最終的に載置ポケット52bの特定の角(本発明の実施の形態においては第2の角52bb)に接するとともに固定治具80によってその位置が固定される。
【0090】
このようなチップパッケージ1、チップ固定ブロック50、チップ排出パレット52、変位機構60及び固定治具80を用いることにより、複数のセンサチップ内の試料を測定するにあたり、センサチップを測定装置に移載する際にオペレータが直接又は道具を使用することなく簡便で短時間に、しかも安全に測定装置に移載し簡易な機構で固定することができる試料の測定方法、センサチップのチップパッケージ及びセンサチップの固定機構を提供することができる。
【0091】
なお、この発明は、上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の実施の形態に係るチップパッケージの外観を示す平面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るチップパッケージの収納体の外観を示す平面図である。
【図3】図1に示すチップパッケージをA−A線で切断して示す断面図である。
【図4】図1に示すチップパッケージをB−B線で切断して示す断面図である。
【図5】図1に示すチップパッケージをC−C線で切断して示す断面図である。
【図6】図1に示すチップパッケージをD−D線で切断して示す断面図である。
【図7】図1に示すチップパッケージをE−E線で切断して示す断面図である。
【図8】本発明の実施の形態に係るチップパッケージの底板の外観を示す平面図である。
【図9】本発明の実施の形態にかかるチップパッケージ内にセンサチップを収納した状態を示すチップパッケージの平面図である。
【図10】図9に示すチップパッケージをF−F線で切断して示す断面図である。
【図11】センサチップが収納されたチップパッケージにチップ移載用ブロックの位置決め用ピンを貫通させて固定した状態を、チップパッケージを長手方向に切断することによって簡易に表わした断面図である。
【図12】図11に示した状態から底板を引き抜いてセンサチップが落下する状態を示す断面図である。
【図13】本発明の実施の形態におけるチップパレットを示す斜視図である。
【図14】本発明の実施の形態におけるチップ移載用ブロックを示す斜視図である。
【図15】本発明の第1の実施の形態におけるセンサチップの第1の移載工程を示す工程図である。
【図16】本発明の第1の実施の形態におけるセンサチップの第2の移載工程を示す工程図である。
【図17】本発明の第1の実施の形態におけるセンサチップの第3の移載工程を示す工程図である。
【図18】本発明の第1の実施の形態におけるセンサチップの第4の移載工程を示す工程図である。
【図19】本発明の第1の実施の形態におけるセンサチップの第5の移載工程を示す工程図である。
【図20】本発明の第1の実施の形態におけるセンサチップの第6の移載工程を示す工程図である。
【図21】本発明の第2の実施の形態における移載工程で用いられるチップ固定ブロック、チップ排出パレット、変位機構、固定治具を示す全体図である。
【図22】本発明の第2の実施の形態におけるチップ排出パレットを示す図であり、(a)はその平面図、(b)はそのG−G線断面図である。
【図23】本発明の第2の実施の形態におけるカム機構、より具体的には第2の従動節と第1のリニアガイドベアリングとの関係を示す模式図である。
【図24】本発明の第2の実施の形態における固定治具(センサチップ上に到達した状態)をX方向から見た様子を示す模式図である。
【図25】変位機構の動きによってのセンサチップの動き、固定を説明するための模式図である。
【図26】変位機構の動きによってのセンサチップの動き、固定を説明するための模式図である。
【符号の説明】
【0093】
1…チップパッケージ、2…収納体、2a…折り返し、2b…ポケット、2c…仕切壁、2d…開口部、2e…位置決め用孔、3…底板、3a…把持部、3b…第1の突出部、3c…第2の突出部、3d…切り欠き、3e…終端部、11…チップパレット、12…横フレーム、13…縦フレーム、14…位置決めリブ、15…孔、16…搬送用ロッド、31…チップ移載用ブロック、32…ベース、33…移載台、34…位置決め用ピン、35…位置決め用ガイド、40…固定装置、50…チップ固定ブロック、51…ガイド、52…チップ排出パレット、53…位置決め用ピン、60…変位機構、61…第1の従動節、61a…カムフォロア、62…第1のカム、63…第2の従動節、63a…カムフォロア、64…第2のカム、80…固定治具、81…カムフォロア、82…第3の従動節、83…第3のカム、84…カムフォロア、85…第4の従動節、86…チップ固定ピン、86a…チップ固定ピンコンタクトプローブ、L1…第1のリニアガイドベアリング、L1a…レール部材、L1b…ベアリング部材、L1c…付勢部材、L2…第2のリニアガイドベアリング、L2a…レール部材、L2b…ベアリング部材、L2c…付勢部材、SC…センサチップ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のセンサチップを搬送する枠状のチップパレットを、チップ移載用ブロックに設けられた移載台に向けて嵌め合わせて載置する工程と、
前記センサチップを収納したチップパッケージの長手方向の位置を前記移載台上で合わせるために前記チップ移載用ブロックに設けられた位置決め用ピンに合わせて前記チップパッケージの位置決め用孔を嵌め合わせる工程と、
前記移載台の前記センサチップが載置される載置面に設けられた前記センサチップの移動を防止する桟と桟との間に、前記チップパッケージから前記センサチップの下面を保持する前記チップパッケージの底板を引き抜くことで前記センサチップを一度に移載する工程と、
前記チップパレットを引き上げて前記チップパレットを前記移載台の上に載置された前記センサチップの四隅に当接させることで前記センサチップを前記チップパレット上に一度に移載する工程と、
複数の前記センサチップを載せた前記チップパレットを測定装置上に載置して、前記センサチップ内の試料を測定する測定工程と、
を備えることを特徴とする試料の測定方法。
【請求項2】
試料注入部がそれぞれの上面に設けられた複数のセンサチップを各個収納するとともに前記試料注入部を露出させる開口部を備える複数のチップポケットが等間隔で形成された収納体と、
複数の前記センサチップのそれぞれの下面を保持する底板と、を備え、
前記底板は、前記収納体に形成された折り返しの間でスライド可能に組み合わされていることを特徴とするチップパッケージ。
【請求項3】
貼付されたことにより前記開口部を覆うシール部材を備えることを特徴とする請求項2に記載のチップパッケージ。
【請求項4】
前記収納体には、前記センサチップをチップ移載用ブロックに設けられた移載台に載置する際に前記移載台における前記センサチップの位置決めを行うために前記チップ移載用ブロックに設けられた位置決めピンが挿通される位置決め用孔が設けられ、前記底板には、前記収納体から前記底板を抜き取るに際して前記位置決めピンが通る切り欠きを備えることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のチップパッケージ。
【請求項5】
センサチップ内の試料を読み取る測定装置のチップ固定ブロックにチップ排出パレットを載置する工程と、
前記センサチップを収納したチップパッケージの長手方向の位置を前記チップ固定ブロック上で合わせるために前記チップ固定ブロックに設けられた位置決め用ピンに合わせて前記チップパッケージの位置決め用孔を嵌め合わせる工程と、
前記センサチップを前記チップ排出パレットに形成された載置ポケットに前記チップパッケージから前記センサチップの下面を保持する前記チップパッケージの底板を引き抜くことで前記センサチップを一度に移載する工程と、
前記測定装置に設けられた変位機構を用いて前記載置ポケット内に載置された前記センサチップの位置を変位させて整列させる工程と、
前記載置ポケット内で整列させられた前記センサチップを固定治具を用いてその位置で固定する工程と、
固定された複数の前記センサチップ内の試料を測定する測定工程と、
を備えることを特徴とする試料の測定方法。
【請求項6】
センサチップを載置するガイドを備えるチップ固定ブロックと、
第1の従動節を一方向に動かす第1のカム及び前記チップ固定ブロックに接続される第2の従動節を前記第1の従動節に接続され前記第1の従動節の動く方向に対して直交する方向に動かす第2のカムを備えるカム機構と、前記第2の従動節に接続され前記チップ固定ブロックを前記第2の従動節の動く方向に対して非直交方向に動かす第1のリニアガイドベアリングとから構成される前記チップ固定ブロックを動かして前記センサチップの位置を変位させる変位機構と、
前記第1のカムによって前記第1の従動節と同一方向に動かされる第3の従動節と、前記第3の従動節に接続される第3のカムと、前記第3のカムによって前記第3の従動節と同一方向に動かされる第4の従動節と、前記第4の従動節を前記チップ固定ブロック上に載置される前記センサチップに対して直交方向に移動可能にする第2のリニアガイドベアリングと、前記第4の従動節と直交方向に接続され前記センサチップに接触して前記センサチップを固定するチップ固定ピンとを備える前記チップ固定ブロック上で変位した前記センサチップの位置を固定する固定治具と、
を備えることを特徴とするチップ固定装置。
【請求項7】
前記ガイドは前記センサチップの1つの短辺を含む3辺を保持するように形成されるとともに、前記センサチップの1つの短辺を保持する部分が互いに対向する位置に形成されていることを特徴とする請求項6に記載のチップ固定装置。
【請求項1】
複数のセンサチップを搬送する枠状のチップパレットを、チップ移載用ブロックに設けられた移載台に向けて嵌め合わせて載置する工程と、
前記センサチップを収納したチップパッケージの長手方向の位置を前記移載台上で合わせるために前記チップ移載用ブロックに設けられた位置決め用ピンに合わせて前記チップパッケージの位置決め用孔を嵌め合わせる工程と、
前記移載台の前記センサチップが載置される載置面に設けられた前記センサチップの移動を防止する桟と桟との間に、前記チップパッケージから前記センサチップの下面を保持する前記チップパッケージの底板を引き抜くことで前記センサチップを一度に移載する工程と、
前記チップパレットを引き上げて前記チップパレットを前記移載台の上に載置された前記センサチップの四隅に当接させることで前記センサチップを前記チップパレット上に一度に移載する工程と、
複数の前記センサチップを載せた前記チップパレットを測定装置上に載置して、前記センサチップ内の試料を測定する測定工程と、
を備えることを特徴とする試料の測定方法。
【請求項2】
試料注入部がそれぞれの上面に設けられた複数のセンサチップを各個収納するとともに前記試料注入部を露出させる開口部を備える複数のチップポケットが等間隔で形成された収納体と、
複数の前記センサチップのそれぞれの下面を保持する底板と、を備え、
前記底板は、前記収納体に形成された折り返しの間でスライド可能に組み合わされていることを特徴とするチップパッケージ。
【請求項3】
貼付されたことにより前記開口部を覆うシール部材を備えることを特徴とする請求項2に記載のチップパッケージ。
【請求項4】
前記収納体には、前記センサチップをチップ移載用ブロックに設けられた移載台に載置する際に前記移載台における前記センサチップの位置決めを行うために前記チップ移載用ブロックに設けられた位置決めピンが挿通される位置決め用孔が設けられ、前記底板には、前記収納体から前記底板を抜き取るに際して前記位置決めピンが通る切り欠きを備えることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のチップパッケージ。
【請求項5】
センサチップ内の試料を読み取る測定装置のチップ固定ブロックにチップ排出パレットを載置する工程と、
前記センサチップを収納したチップパッケージの長手方向の位置を前記チップ固定ブロック上で合わせるために前記チップ固定ブロックに設けられた位置決め用ピンに合わせて前記チップパッケージの位置決め用孔を嵌め合わせる工程と、
前記センサチップを前記チップ排出パレットに形成された載置ポケットに前記チップパッケージから前記センサチップの下面を保持する前記チップパッケージの底板を引き抜くことで前記センサチップを一度に移載する工程と、
前記測定装置に設けられた変位機構を用いて前記載置ポケット内に載置された前記センサチップの位置を変位させて整列させる工程と、
前記載置ポケット内で整列させられた前記センサチップを固定治具を用いてその位置で固定する工程と、
固定された複数の前記センサチップ内の試料を測定する測定工程と、
を備えることを特徴とする試料の測定方法。
【請求項6】
センサチップを載置するガイドを備えるチップ固定ブロックと、
第1の従動節を一方向に動かす第1のカム及び前記チップ固定ブロックに接続される第2の従動節を前記第1の従動節に接続され前記第1の従動節の動く方向に対して直交する方向に動かす第2のカムを備えるカム機構と、前記第2の従動節に接続され前記チップ固定ブロックを前記第2の従動節の動く方向に対して非直交方向に動かす第1のリニアガイドベアリングとから構成される前記チップ固定ブロックを動かして前記センサチップの位置を変位させる変位機構と、
前記第1のカムによって前記第1の従動節と同一方向に動かされる第3の従動節と、前記第3の従動節に接続される第3のカムと、前記第3のカムによって前記第3の従動節と同一方向に動かされる第4の従動節と、前記第4の従動節を前記チップ固定ブロック上に載置される前記センサチップに対して直交方向に移動可能にする第2のリニアガイドベアリングと、前記第4の従動節と直交方向に接続され前記センサチップに接触して前記センサチップを固定するチップ固定ピンとを備える前記チップ固定ブロック上で変位した前記センサチップの位置を固定する固定治具と、
を備えることを特徴とするチップ固定装置。
【請求項7】
前記ガイドは前記センサチップの1つの短辺を含む3辺を保持するように形成されるとともに、前記センサチップの1つの短辺を保持する部分が互いに対向する位置に形成されていることを特徴とする請求項6に記載のチップ固定装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公開番号】特開2009−68845(P2009−68845A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−234285(P2007−234285)
【出願日】平成19年9月10日(2007.9.10)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000006116)森永製菓株式会社 (130)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月10日(2007.9.10)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000006116)森永製菓株式会社 (130)
【Fターム(参考)】
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