説明

試料の自動分析のための遠心力式マイクロ流体システムおよび方法

【課題】試料の自動分析のための改善された遠心力式マイクロ流体システムおよび方法を提供する。
【解決手段】回転自在な支持装置103と、前記支持装置と共に回転するように前記支持装置に固定された少なくとも1つのマイクロ流体装置102であって、少なくとも1つの流入領域と、前記少なくとも1つの流入領域に流体接続し、前記磁気応答性粒子の保持に適合された少なくとも1つの保持領域を備えた少なくとも1つの反応チャンバとを有する少なくとも1つのマイクロ流体構造体を設けた少なくとも1つのマイクロ流体装置と、前記少なくとも1つの反応チャンバに含まれた磁気応答性粒子を磁気操作するように適合された磁界を発生させるために、前記支持装置と共に回転するよう前記少なくとも1つの保持領域に対応して前記支持装置に固定された少なくとも1つの磁石123とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医学的診断の分野にあって、検体と特異的に相互作用するように適合された磁気応答性粒子の使用を含む、少なくとも1つの検体を含有する試料の自動分析のための遠心力式マイクロ流体システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医学的診断において、主として臨床分析数の進行的な増加のために、体液の自動分析に対する強い要求を見ることができる。試料の低消費、迅速な分析時間および試料の高い処理量のために、近年において、わずか数マイクロリットルの微量な試料の自動分析のためのマイクロ流体システム、特に遠心式マイクロ流体システムを開発するための多くの取り組みがされている。
【0003】
通常、遠心力式マイクロ流体システムは、試料を受領するための複数のマイクロ流体構造体を含む。検体の有無および任意的に検体の濃度を測定するために、各々のマイクロ流体構造体は、流入領域から検体の反応と反応生成物の検出とを可能にする反応チャンバへ個々の試料を搬送可能にする。
【0004】
遠心力式マイクロ流体システムは当業者に周知であり、たとえば、米国出願公開第2008/0252905号、2008/02371151号および2008/0206110号明細書などの特許文献に広く記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、試料の自動分析のための改善された遠心力式マイクロ流体システムおよび方法を提供することである。本目的は、独立請求項のシステムおよび方法によって達成される。本発明の好ましい実施の形態は、従属請求項の特徴により与えられる。
【0006】
本発明の第1の特徴によると、検体に特異的に相互作用するように適合された磁気応答性粒子の使用を含む、少なくとも1つの検体を含有する試料の自動分析のための新しい遠心力式マイクロ流体システムが提案される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の遠心力式マイクロ流体システムは、体外診断を含む(生)化学において使用可能であり、試料と試薬とを混合すること、およびこのような反応の結果を検出することを一般的に含む種々の分析を実施するように適合される。これは、たとえば、臨床化学分析および免疫学的検定などの診断分析のために使用され得る。一般的な診断分析は、たとえば、アルブミン、ALP(アルカリホスファターゼ)、ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)、アンモニア、アミラーゼ、アスパラギン酸塩、アミノトランスフェラーゼ、重炭酸塩、ビリルビン、カルシウム、心臓マーカー、コレステロール、クレアチニンキナーゼ、Dダイマー、エタノール、g‐グルタミン酸転移酵素、グルコース、HBA1c(ヘモグロビンA1c)、HDLコレステロール、鉄、乳酸塩、乳酸脱水素酵素、LDLコレステロール、リパーゼ、マグネシウム、無機リン、カリウム、ナトリウム、総タンパク、トリグリセリド、UREAおよび尿酸などの検体の定性および/または定量分析を含む。このリストは包括的でない。
【0008】
本発明によると、試料とは、1以上の重要な検体が見出され得る液体流体である。試料は化学物質でよく、システムは、たとえば、薬物相互作用スクリーニング、環境分析、有機物質の同定などの1以上の化学分析を実施するように適合され得る。また、試料は、たとえば、血液、血清、尿、乳、唾液、脳脊髄液の体液など生体のものでもよい。
【0009】
本発明によると、「試薬」という用語は、たとえば、反応を発生させるため、または検出を可能にするために試料および/または他の試薬と混合される、たとえば、溶媒または化学溶液などの任意の液体を示すために使用される。試薬は、たとえば、第1の試料と相互作用する別の試料でよい。また、試薬は水などの希釈液でよい。これは、有機溶媒または洗浄剤を含み得る。また、これは緩衝液でもよい。用語のより厳格な意味において、試薬は、たとえば、試料中に存在する1以上の検体を結合または変換可能な、一般的に化合物または薬剤である反応物質を含有する溶液であり得る。反応物質の例として、酵素、酵素基質、共役色素、タンパク結合分子、核酸結合分子、抗体、キレート剤、プロモータ、阻害剤、エピトープ、抗原、触媒などがある。任意的に、乾燥試薬を分析装置に設け、試料、別の試薬または希釈液により溶解することができる。
【0010】
本発明によると、試薬は試料と不均一に混合され、分析は不均一分析である。不均一分析の例として、捕捉抗体などのいくつかの反応物質が固定支持体上に固定化された不均一免疫学的検定がある。本発明によると、固定支持体は磁気応答性粒子を含む。
【0011】
磁気応答性(すなわち、磁気誘引可能または磁力反発可能な)粒子は、たとえば、試料中に含まれる少なくとも1つの検体に特異的に結合するように適合された抗体などの分子結合要素など、固定化反応物質が設けられた磁気ビーズまたは磁性体製の微小球として具現化可能である。
【0012】
以下において、本出願のいくつかの別の例が例証目的のみで与えられる。
‐磁気応答性粒子が触媒表面を形成または含有する不均一触媒作用;
‐磁気応答性ビーズ、破片または粒子を介した核酸の捕捉および精製;
‐磁気応答性粒子による細胞またはウイルスなどの他の生体物質の捕捉;
‐化学固相抽出。
【0013】
本発明によるマイクロ流体システムは、たとえば、ディスク状を有することができ、電気モータなどの駆動装置により駆動される回転軸の周りを回転可能な少なくとも1つの回転自在な支持装置を含む。
【0014】
本発明のマイクロ流体システムは、たとえば、ディスク状を有することができ、回転自在な支持装置に固定されてこれと共に回転する少なくとも1つのマイクロ流体装置を含む。マイクロ流体装置には、少なくとも1つ、つまり複数のマイクロ流体構造体が設けられ、これは、たとえば、互いに対して環状に配置される。
【0015】
一実施の形態において、マイクロ流体システムは回転自在な支持装置に取り外し可能に固定されているため、マイクロ流体装置を支持装置に取り付けて、試料の自動分析のために共回転させることができ、そうでない場合は試料分析後に容易に取り外し可能である。特に、マイクロ流体システムは、一度のみの使用を目的とする使い捨て式として具現化可能である。
【0016】
各々のマイクロ流体構造体は少なくとも1つの流入領域を含み、該流入領域は、試料および/または磁気応答性粒子および/または試薬および/または洗浄バッファなどの他の流体のうちの少なくとも1つを流入領域と流体接続した少なくとも1つの反応チャンバへ供給する。反応チャンバは、磁気応答性粒子の保持に適合された少なくとも1つの保持領域を備える。保持領域は、形状的に画定されたチャンバ様またはチャネル様の空洞として具現化可能であり、または磁気応答性粒子を少なくとも部分的、また少なくとも一時的に保持するように設計され、少なくとも1つの反応チャンバ内に備えられた自由領域として具現化可能である。
【0017】
反応チャンバは、たとえば、試料中に含まれ得る検体を、検体を選択的に結合するように適合された分子結合要素が供された磁気応答性粒子に結合可能にするために使用され得る。反応チャンバは、たとえば、蛍光マーカーなどの検出可能な標識で粒子結合検体を標識するために使用され得る。反応チャンバは、非結合分子検出可能標識を洗浄するために使用され得る。反応チャンバは、たとえば、検出のための結合標識検体を有する粒子を受領するために使用され得る。特に、反応チャンバの少なくとも保持領域は、標識粒子結合検体の検出のために使用され得る。
【0018】
一実施の形態において、マイクロ流体構造体は、少なくとも1つの保持領域に流体接続された、廃液を受領するための少なくとも1つの廃棄領域を備える。該廃棄領域は、たとえば、サイフォン様チャネルによって少なくとも1つの反応チャンバに流体接続された廃棄容器を含み得る。
【0019】
前述のマイクロ流体構造体は、マイクロ流体装置の回転により生じた遠心力によって、試料を流入領域から少なくとも1つの反応チャンバ、そして最終的に少なくとも部分的に廃棄領域へ搬送することを可能にする。流入領域は、少なくとも1つの反応チャンバに流体接続された流入口および/または流入チャンバを備え得る。
【0020】
本発明によるシステムは、さらに、反応チャンバの少なくとも1つの保持領域に対応した少なくとも1つの磁石を含み、該磁石は、回転自在の支持装置に固定されてこれと共回転して磁界を発生し、反応チャンバに含まれた磁気応答性粒子の磁気的操作、特に磁気応答性粒子を保持領域に保持するように適合される。少なくとも1つの磁石は、支持装置に回転式に固定された別のマイクロ流体装置において磁気応答性粒子を操作するために再使用可能であり、このことは、マイクロ流体装置の製造において有利にはコストの削減を可能にする。さらに、マイクロ流体装置の質量(慣性)を減少できる。少なくとも1つの磁石は、たとえば、磁極片磁石を含む永久磁石あるいは電磁石、切替可能磁石またはトロイダル磁石として具現化され得る。
【0021】
本発明の実施の形態によると、少なくとも1つの磁石の磁界は、検出のために、磁気応答性粒子を混合および/または洗浄および/または保持するために使用され得る。
【0022】
本発明のマイクロ流体システムの別の実施の形態によると、マイクロ流体装置には、保持領域と磁石との間の距離を減少するために、少なくとも1つの磁石を収容するように適合された少なくとも1つの凹所が設けられる。この手段により、反応チャンバに含まれた磁気応答性粒子を操作するための、たとえば、引張力などの磁力は、磁石の磁気強度を増加する必要なしに有利には増加できる。本実施の形態のさらなる利点は、磁気応答性粒子が均一で同質、またより小さなスポットになり得る増大した焦点効果にあり、このことは検出目的のために有利になり得る。
【0023】
本発明のマイクロ流体システムの別の実施の形態によると、マイクロ流体構造体は、第1の保持領域と第2の保持領域とを含み、これらは同一または別の反応チャンバ内に配置され得る。第1の保持領域は第1の反応チャンバ内に配置でき、第2の保持領域は第2の反応チャンバ内に配置できる。代替的に、第1および第2の保持領域は、単一の反応チャンバ内に配置できる。第2の反応領域は第1の保持領域と流体接続しており、磁気応答性粒子を保持するように適合される。本実施の形態において、マイクロ流体システムは、磁気応答性粒子を第1の保持領域に保持するように適合された磁界を発生するための第1の保持領域に対応する少なくとも1つの第1の磁石と、磁気応答性粒子を第2の保持領域に保持するように適合された磁界を発生するための第2の保持領域に対応する少なくとも1つの第2の磁石とを含む。少なくとも1つの第2の磁石は回転自在のプラットフォームに固定されており、これと共に(共)回転する。第1および第2の磁石は、たとえば、磁極片磁石を含む永久磁石あるいは電磁石、切替可能磁石またはトロイダル磁石でよい。
【0024】
本発明のマイクロ流体システムの別の実施の形態によると、マイクロ流体システムは、第1の保持領域と、該第1の保持領域と流体接続する第2の保持領域とを含む。システムは、さらに、少なくとも1つの第1の保持領域に対応して支持装置に固定された少なくとも1つの第1の磁石を含み、該第1の磁石は、磁気応答性粒子を第1の保持領域に保持するように適合された磁界を発生させるために支持装置と共に回転する。システムは、さらに、少なくとも1つの第2の保持領域に対応して支持装置に固定された少なくとも1つの第2の磁石を含み、該第2の磁石は、磁気応答性粒子を第2の保持領域に保持するように適合された磁界を発生させるために支持装置と共に回転する。システムは、さらに、支持装置から離間した少なくとも1つの第3の磁石を含み、支持装置は少なくとも1つの第3の磁石に対して回転可能である。一実施の形態において、少なくとも1つの第3の磁石は、磁気応答性粒子を第2の保持領域に保持するように適合された磁界を発生するために、第2の保持領域に対応して配置される。少なくとも1つの第3の磁石は、たとえば、磁極片磁石を含む永久磁石あるいは電磁石、切替可能磁石またはトロイダル磁石でよい。
【0025】
本発明のマイクロ流体システムの別の実施の形態によると、マイクロ流体装置に第1の磁石を収容するように適合された少なくとも第1の凹所と第2の磁石を収容するように適合された第2の凹所を設けて、第1の磁石と第1の保持領域との間の距離および第2の磁石と第2の保持領域との間の距離をそれぞれ減少するとさらに好ましい。これにより、それぞれ、第1および第2の保持領域に保持された磁気応答性粒子を操作するためのたとえば、引張力などの磁力は、第1および第2の磁石の磁気強度を増加する必要なしに有利には増加できる。本実施の形態のさらなる利点は、磁気応答性粒子が均一で同質、またより小さなスポットになり得る増大した焦点効果にあり、このことは検出目的のために有利になり得る。
【0026】
本発明のマイクロ流体システムの別の実施の形態によると、該システムは、さらに、少なくとも1つの第1の磁石、少なくとも1つの第2の磁石および少なくとも1つの第3の磁石からなる群から選択される1以上の磁石の磁束を凝集するように適合された少なくとも1つの磁束凝集手段を含み、第1および/または第2の保持領域において磁気応答性粒子との磁気相互作用を増加する。特に、少なくとも1つの第2の磁石には、磁束を凝集するように適合された磁極片などの磁束凝集手段を設けることができ、これにより、第2の保持領域に印加された磁界を増加できる。本実施の形態のさらなる利点は、増加した凝集効果にあり、このことは、磁気応答性粒子が均一で同質、またより小さなスポットになり得る増大した焦点効果をもたらし、検出目的のために有利になり得る。
【0027】
本発明のマイクロ流体システムの別の実施の形態によると、少なくとも1つの第2の保持領域には、少なくとも1つの第2の磁石および/または第3の磁石によって粒子を磁気的に操作する際に、第2の保持領域内に磁気応答性粒子を局所的に蓄積する(すなわち、凝集する)よう適合された少なくとも1つの案内面が設けられる。この手段により、粒子結合検体の検出のための検出信号の強度が有利には増加する。
【0028】
磁気応答性粒子を第1の保持領域に保持するように適合された少なくとも1つの第1の(共回転)磁石の磁界は、分析または反応中により効率的な混合および/または洗浄を達成するために、たとえば、遠心力および磁力との組み合わせによって反応チャンバに粒子を移動するために使用され得る。同様に、磁気応答性粒子を第2の保持領域に保持するように適合された少なくとも1つの第2の(共回転)磁石の磁界は、分析または反応中により効率的な混合および/または洗浄を達成するために、たとえば、遠心力および磁力との組み合わせによって反応チャンバに磁気応答性粒子を移動するために使用され得る。
【0029】
特に、少なくとも1つの第1の磁石の磁界は混合および/または洗浄目的で使用でき、少なくとも1つの第2の磁石の磁界は検出目的で磁気応答性粒子を保持するために使用できる。
【0030】
本発明のマイクロ流体システムは、さらに、マイクロ流体構造体に対して流体を搬送するように適合された少なくとも1つのピペット先端部を設けたピペット装置を含み得る。
【0031】
マイクロ流体システムは、さらに、保持領域に含まれた粒子結合検体を検出するように適合された検出装置を含む。検出装置は、たとえば、マイクロ流体構造体の保持領域に向けて放射される光を発生するための光源と、磁気応答性粒子結合検体に結合された蛍光マーカーから放出される蛍光発光を感知するための蛍光センサとを含む蛍光検出器として具現化され得る。
【0032】
粒子結合検体を適切に検出するために、粒子結合検体は、粒子結合検体の選択的検出を可能にする染色、蛍光または放射性マーカーなどの検出可能な標識に結合される。
【0033】
マイクロ流体システムは、所定の処理動作計画にしたがって試料の自動分析を制御するための制御部を含むことができ、これは、たとえば、処理動作計画にしたがって動作を実施するための指令を有するコンピュータ可読プログラムを実行するプログラム可能な論理制御器として具現化され得る。
【0034】
光を放射するための光源と先行技術において既知である半導体光センサなどの光センサとを含む光学検出装置は、マイクロ流体システムにおける光学検出装置として適当である。また光検出装置は、第1の保持領域および/または第2の保持領域を照射するための光線を発生するための光源に加えて、適当なレンズおよび開口を備え得る。ここで使用される「光」という用語は、光学的構成により使用可能な波長領域、すなわち、可視光に加えて紫外線および赤外線を包含することが意図されている。
【0035】
本発明の第2の特徴によると、検体と特異的に相互作用するように適合された磁気応答性粒子の使用を含む、少なくとも1つの検体を含む試料の自動分析のための新たな方法が提案される。
【0036】
前述の方法は、次の工程、
‐回転自在な支持装置と、該支持装置と共回転するように支持装置に固定された少なくとも1つのマイクロ流体装置とを含むマイクロ流体システムを提供する工程であって、該マイクロ流体装置が、磁気応答性粒子を保持するように適合された少なくとも1つの保持領域を含む少なくとも1つの反応チャンバを備えた少なくとも1つのマイクロ流体構造体を有してなる、工程と、
‐1つの試料を反応チャンバ内に案内する工程と、
‐磁気応答性粒子を反応チャンバ内に案内する工程と、
‐磁気応答性粒子を磁気的に操作するように適合された磁界を保持領域に印加する工程と、を含む。
【0037】
前述の方法は、さらに、たとえば、分子検出可能な標識または洗浄バッファを含む他の試薬を少なくとも1つの反応チャンバに案内する工程を含み得る。
【0038】
前述の方法は、さらに、少なくとも1つの保持領域に保持された粒子結合検体を検出する工程を含み得る。好ましくは、磁気応答性粒子は、少なくとも粒子の検出を実施する際に、磁界によって反応チャンバの保持領域に蓄積される。
【0039】
本発明の方法は、たとえば、1以上の次の工程、
‐反応チャンバに流体接続された流入領域に磁気応答性粒子を供給することによってマイクロ流体構造体の少なくとも1つの反応チャンバ内に磁気応答性粒子を提供し、流入領域から反応チャンバへの粒子の搬送に充分な遠心力をもたらすようにマイクロ流体装置を回転する工程と、
‐試料中に含まれ得る検体と粒子の検体結合要素との間の反応を可能にするために、試料を同一または異なる流入領域に供給することによって試料を反応チャンバ内に提供し、試料を反応チャンバに搬送するために充分な遠心力をもたらすようにマイクロ流体装置を回転する工程と、
‐染色、蛍光または放射性マーカーなどの検出可能なマーカーにより粒子結合検体を標識する工程と、
‐洗浄によって非結合標識分子を粒子結合検体から除去する工程と、
‐支持装置に固定された、たとえば、少なくとも1つの磁石によって磁界を少なくとも1つの保持領域に印加する工程と、
‐分析または反応中のより効率的な混合および/または洗浄を達成するために、たとえば、遠心力と磁力との組み合わせによって、少なくとも1つの反応チャンバに含まれた粒子結合検体を移動する工程であって、特に、磁界の磁力を上回るのに充分な遠心力が生成されるようにマイクロ流体装置を回転することによって、または磁界の磁力が遠心力を上回る遠心力が生成されるようにマイクロ流体装置を回転することによって、磁気応答性粒子を径方向において前後に移動する、工程と、
‐保持領域に保持された粒子結合検体を検出する工程と、を含み得る。
【0040】
本発明の方法は、代替的に次の1以上の工程、
‐反応チャンバに流体接続された流入領域に磁気応答性粒子を供給することによってマイクロ流体構造体の少なくとも1つの反応チャンバに磁気応答性粒子を提供し、流入領域から反応チャンバへの粒子の搬送に充分な遠心力をもたらすようにマイクロ流体装置を回転する工程と、
‐試料中に含まれ得る検体と粒子の検体結合要素との間の反応を可能にするために、試料を同一または異なる流入領域に供給することによって試料を反応チャンバ内に提供し、試料を反応チャンバに搬送するために充分な遠心力をもたらすようにマイクロ流体装置を回転する工程と、
‐染色、蛍光または放射性マーカーなどの検出可能なマーカーにより粒子結合検体を標識する工程と、
‐洗浄によって非結合標識分子を粒子結合検体から除去する工程と、
‐たとえば、支持装置に固定された第1の磁石によって第1の保持領域に対応する反応チャンバに第1の磁界を印加する工程と、
‐分析または反応中により効率的な混合および/または洗浄を達成するために、たとえば、遠心力と磁力との組み合わせによって、反応チャンバに含まれる粒子結合検体を移動する工程と、
‐少なくとも1つの反応チャンバの第2の保持領域に粒子結合検体を搬送する工程と、
‐たとえば、支持装置に固定された第2の磁石によって第2の保持領域に対応する少なくとも1つの反応チャンバに第2の磁界を印加する工程と、
‐少なくとも1つの第2の保持領域に保持された粒子結合検体を検出する工程と、を含み得る。
【0041】
方法は、さらに、第1の反応チャンバの一部である少なくとも1つの第1の保持領域に保持された粒子結合検体を、第2の反応チャンバの一部である少なくとも1つの第2の保持領域に搬送する工程を含み得る。
【0042】
本発明の方法の実施の形態によると、少なくとも1つの保持領域に含まれた磁気応答性粒子を蓄積するように適合され、マイクロ流体システムに対して定常の磁界を印加する工程を含む。この場合において、方法は、好ましくは保持領域に磁気応答性粒子を局所的に蓄積するように、磁界に対して回転自在のマイクロ流体装置の往復回転運動を実施し、その後、蓄積した粒子に結合した検体を検出する工程を含む。この場合において、好ましくはマイクロ流体装置の往復回転運動の振幅を最大振幅から特にゼロである最小振幅に減少することによって、有利には粒子を中央部周辺に凝集し得る。
【0043】
本発明の方法の別の方法によると、さらに、回転運動を実施することによって磁気応答性粒子を径方向において前後に移動する工程を含み、該回転運動において、粒子に作用する磁力を上回るのに充分な遠心力が生成されるか、または磁力が遠心力を上回る遠心力を生成するようにマイクロ流体装置が回転される。
【0044】
本発明の他の特徴およびさらなる目的、特徴および利点は次の説明からより明らかになる。明細書に組み込まれてその一部を構成する添付の図面は、本発明の好ましい実施の形態を示し、前述の一般的な説明および次の詳細な説明と共に本発明の原理を説明するものである。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】試料の自動分析のための本発明のマイクロ流体システムの例示的実施の形態の略断面図である。
【図2】図1のマイクロ流体システムの略斜視図である。
【図3】図1のマイクロ流体システムの詳細を示す略断面図である。
【図4】図1のマイクロ流体システムの変形例を示す略断面図である。
【図5】図1のマイクロ流体システムの動作方法を示すフローチャートである。
【図6】図7に示された本発明のマイクロ流体システムの別の例示的実施の形態の例示的マイクロ流体構造体の略平面図である。
【図7】試料の自動分析のための本発明のマイクロ流体システムの別の例示的実施の形態の略断面図である。
【図8】図7のマイクロ流体システムの動作方法を示すフローチャートである。
【図9】図7の本発明のマイクロ流体システムの例示的実施の形態の変形例を示す略断面図である。
【図10】図7のマイクロ流体システムの例示的実施の形態の別の変形例を示す略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本発明を添付の図面を参照して以下に詳細に説明する。特に図1〜5を参照して、体液などの試料の自動分析のための遠心力式のマイクロ流体システム101の例示的実施の形態を説明する。マイクロ流体システム101は、以下において「チップ102」と称されるディスク状のマイクロ流体装置を含み、これは以下において「プラットフォーム103」と称されるディスク状の回転自在な支持装置によって支持される。プラットフォーム103は、チップ102に対して同心状に配置され、電気モータ105の回転自在の従動軸104に連結されているため、チップ102およびプラットフォーム103は、共通の回転軸106の周りで回転する。チップ102は固定要素(図示せず)によってプラットフォーム103に取り外し可能に固定され、チップ102はプラットフォーム103と共回転する。そうでない場合、チップ102はプラットフォーム103から容易に取り外され、たとえば、使用後に廃棄される使い捨て可能な部材として具現化され得る。チップ102およびプラットフォーム103の両方がディスク状を有するように示されているが、チップ102および/またはプラットフォーム103は、試料の自動分析に対する特定の要求に応じて所望のとおりに任意の他の形状を有し得る。
【0047】
図2に示されるように、チップ102には複数のマイクロ流体構造体114が設けられ、該マイクロ流体構造体は、試料を受領するように適合され、環状に配置されて互いに対して等距離に離間される。より詳細に説明すると、チップ102にはマイクロ流体構造体114を収容する複数のセグメント状の空洞111が設けられる。空洞111は、たとえば、チップ102全体を被覆するように周方向に規則的に配置され得る。7つのマイクロ流体構造体114が例示目的のみのために示されているが、チップ102には、試料の自動分析に対する特定の要求に応じて所望の数のマイクロ流体構造体114を設け得る。
【0048】
各々のマイクロ流体構造体114は、以下において「試料流入領域115」と称される第1の流入領域を含み、該第1の流入領域は、流入口および流体容器(より詳細には説明しない)を備える。試料流入領域115は、以下において「試料導管116」と称されるマイクロキャピラリー流体管によって反応チャンバ119と流体接続している。これは、たとえば、流体試料および/または磁気応答性粒子および/または他の試薬をマイクロ流体構造体114に供給するために使用され得る。各々のマイクロ流体構造体114は、以下において「粒子流入領域117」と称される第2の流入領域を含み、該第2の流入領域は流入口および流体容器(より詳細には説明しない)を備える。粒子流入領域117は、以下において「粒子導管118」と称される別のマイクロキャピラリー流体管によって反応チャンバ119と流体接続している。粒子流入領域117は、たとえば、流体試料および/または磁気応答性粒子および/または他の試薬をマイクロ流体構造体114に供給するために使用され得る。
【0049】
各マイクロ流体構造体114において、反応チャンバ119は、別のマイクロキャピラリー流体管によって、たとえば、チャンバとして形成された廃棄領域121と流体接続しており、該廃棄領域は、たとえばサイフォン様構造を有し、以下において「廃棄導管122」と称される。マイクロ流体構造体114において、流体は、たとえば、反応チャンバ119内にて一定の流体体積を超過した場合にプラットフォーム103が回転することにより生じた遠心力によって、試料流入領域115から廃棄領域121に搬送され得る。廃棄領域121は、たとえば、標識された磁気応答性粒子結合検体が検出のために反応チャンバ119に保持される一方で、非結合分子(検出可能)標識を洗浄するために使用される洗浄バッファなどの余分な流体を受領するように適合される。
【0050】
マイクロ流体システム101において、プラットフォーム103には、複数のプラットフォーム固定磁石123が設けられ、これらのプラットフォーム固定磁石は、反応チャンバ119内に磁力応答性粒子を保持するための保持領域120に対応する反応チャンバ119の下に位置決めされるように配置される。磁石123はプラットフォーム103の一体部分であるため、プラットフォーム103と共回転する。
【0051】
マイクロ流体システム101は、さらに、金属針または使い捨て可能な先端部などの少なくとも1つのピペット先端部113を設けたピペット装置112を含み、流体容器107からマイクロ流体構造体114へ流体を搬送するように適合されている。1つのみを図示する容器107は、試料、磁気応答性粒子の懸濁液、試薬、洗浄液などの種々の流体を含む。容器107は、基板110上に配置される。ピペット装置112は、ピペット先端部113を容器107およびチップ102に対して搬送するための自動位置決め装置(図示せず)に動作可能に連結される。このようなピペット装置112および位置決め装置は当業者とって周知であるため、ここではより詳細に説明しない。
【0052】
マイクロ流体システム101は、さらに、反応チャンバ119に含まれる標識検体を検出するように適合された検出装置108を含む。検出装置108は、たとえば、マイクロ流体構造体114の保持領域120に向けて放射される光109を発生するための光源と、反応チャンバ119に含まれる粒子結合検体に結合された蛍光マーカーから放射された蛍光発光を感知するための蛍光センサとを含む蛍光検出器として具現化され得る。蛍光検出器などの検出装置は当業者とって周知であるため、検出装置108についてはより詳細に説明しない。
【0053】
マイクロ流体システム101は、さらに、たとえば、試料の自動分析のための動作を実施する指令を有するコンピュータ可読プログラムを実行するプログラム可能な論理制御器として具現化され得る制御器(図示せず)を含む。制御器は、システム101の異なる要素から情報を受信し、構成要素を制御するための対応する制御信号を生成および伝達する。タスクを実行するために、制御器は、制御を要求および/または情報を提供し、モータ105、ピペット装置112および検出装置108を含むシステム構成要素に電気的に接続される。
【0054】
図1に示されるように、プラットフォーム103には複数の開口部125を設けることができ、これは、プラットフォーム103の質量(慣性)を減少し、および/または、たとえば、反応チャンバ119の保持領域120に保持された磁力応答性粒子126に結合された検体の検出目的のために、下方からチップ102へのアクセスを提供するためである。さらに、図3および4に示されるように、チップ102は、マイクロ流体構造体114を密閉するための上部被覆箔127により被覆される。光学的な理由のために、この被覆箔127は有利には透明である。同様に、チップ102の少なくとも一部は透明でよい。
【0055】
図1のマイクロ流体システム101の詳細部の断面図を示す図4を特に参照して、この変形例を説明する。これによると、チップ102には磁石123を収容するための凹所124が設けられ、該凹所は、磁石123と反応チャンバ119の保持領域120との間の距離を減少するようにチップ102に向かって突出している。
【0056】
フローチャート示す図5を特に参照して、マイクロ流体システム101を使用する試料の自動分析のための方法の例示的実施の形態を説明する。
【0057】
工程I:プロセスの開始。
【0058】
工程II:磁気応答性粒子126が反応チャンバ119内に提供される。より詳細に説明すると、ピペット先端部113を使用して、磁気応答性粒子の懸濁液が懸濁液を含む流体容器107の1つから各々の粒子流入領域117に搬送され、その後、所定の速度でプラットフォーム103を回転することによって、遠心力により、所定の体積の懸濁液を粒子流入領域117から粒子導管118を通って反応チャンバ119に搬送する。一実施の形態において、磁気応答性粒子126は、その外面に付着して特異的に検体を結合可能な固定化分子結合要素をもち、試料中の検体の有無および任意的に濃度が試験される。別の実施の形態において、検体は、磁気応答性粒子の外面に付着し得る。反応チャンバ119に搬送されると、磁石123は、反応チャンバ119内の保持領域120にある磁気応答性粒子126を磁気誘引する。
【0059】
工程III:粒子126と特異的に相互作用可能で、たとえば、粒子126に結合可能な検体を含有する試料が反応チャンバ119内に提供される。より詳細に説明すると、ピペット先端部113を使用して、試料が、試料を含む別の流体容器107から各々の試料流入領域115に搬送され、その後、所定の回転速度でプラットフォーム103を回転することによって、遠心力により、試料を試料流入領域115から反応チャンバ119に搬送する。反応チャンバ119に含まれた検体と磁気応答性粒子126の分子結合要素との特異的結合を可能にする反応チャンバ119内の効率的な混合は、たとえば、粒子126に作用する磁気相互作用と遠心力との組み合わせにより達成され得る。より詳細には、保持領域120に保持された磁気応答性粒子126は、回転運動を実施することによって径方向に前後移動可能であり、該回転運動において、チップ102は、磁石123の磁力を上回るのに充分な遠心力が生成されるように回転されるか、または磁石123の磁力が遠心力を上回る遠心力を生成するように回転される。
【0060】
工程IV:反応チャンバ119に保持された粒子結合検体の標識。より詳細に説明すると、ピペット先端部113を使用して、検体、この場合においては粒子結合検体に特異的に結合するように適合された蛍光マーカーなどの検出可能な分子標識を含有する流体は、標識を含む別の容器107から各々の試料流入領域115および/または粒子流入領域117または別の流入領域(図示せず)に搬送され、その後、遠心力によって流体を試料流入領域115から反応チャンバ119を通って廃棄領域121へ搬送するために、プラットフォーム103を所定の回転速度で回転する。標識含有流体を反応チャンバ119に供給し、また、たとえば、工程IIIで説明した混合工程を繰り返すことによって、含有されている標識が特異的および効率的に粒子結合検体に結合可能になる。
【0061】
工程V:非結合標識の除去。より詳細に説明すると、ピペット先端部113を使用して、洗浄液は洗浄液を含む別の容器107から各々の試料流入領域115に搬送され、その後、遠心力によって洗浄液を試料流入領域115から反応チャンバ119に搬送するために、プラットフォーム103を所定の速度で回転することによって、保持された磁気応答性粒子126を包囲する流体を廃棄領域121に流して洗浄液と交換し、非結合標識を除去する。このような洗浄工程は必要に応じて繰り返される。
【0062】
工程VI:試料中の検体の有無および任意的に濃度を測定する。より詳細に説明すると、反応チャンバ119の保持領域120に保持された標識粒子結合検体の蛍光強度などの標識の強度が検出装置120によって測定され、得られた結果に基づいて、試料中の検体の有無および任意的に濃度が測定される。
【0063】
工程VII:プロセスを終了する。
【0064】
前述の方法において、異なる数の試料流入領域115および/または粒子流入領域117、たとえば、マイクロ流体構造体114ごとに単一の試料流入領域115および/または単一の粒子流入領域117のみをすべての液体の添加ために使用できる。さらに、異なる流体を、反応チャンバ119に同時搬送する前に、同一またはより多くの試料流入領域115および/または粒子流入領域117に案内できる。
【0065】
図6〜8を特に参照して、試料の自動分析のための遠心力式のマイクロ流体システム201の別の実施の形態を説明する。
【0066】
図1のマイクロ流体システム101と同様に、マイクロ流体システム201は、ディスク状の回転可能プラットフォーム203に支持されて取り外し可能に固定されたディスク状チップ202を含み、該チップおよびプラットフォームは互いに対して同軸状に配置され、電気モータ205の回転自在な従動軸204に連結されて、共通の回転軸206の周りで回転する。チップ202には、複数のマイクロ流体構造体214が設けられる。
【0067】
各々のマイクロ流体構造体214は試料流入領域215を含み、該試料流入領域は、以下において「試料導管216」と称されるマイクロキャピラリー流体管によって第1の反応チャンバ219に流体接続している。試料流入領域215は、たとえば、流体試料および/または磁気応答性粒子および/または他の試薬をマイクロ流体構造体214に供給するために使用され得る。第1の反応チャンバ219は第1の保持領域220を備え、該保持領域は、たとえば、分子結合要素との結合のために分子結合要素をもつ磁気応答性粒子を少なくとも1つの検体を含有する試料と混合し、ならびに標識粒子結合検体を標識および洗浄するために使用され得る。
【0068】
各々のマイクロ流体構造体214は、さらに、粒子流入領域217を含み、該粒子流入領域は、以下において「粒子導管218」と称されるマイクロキャピラリー流体管によって第1の反応チャンバ219に流体接続している。粒子流入領域217は、たとえば、流体試料および/または磁気応答性粒子および/または他の試薬をマイクロ流体構造体214に供給するために使用され得る。
【0069】
各々のマイクロ流体構造体214は、さらに、第2の反応チャンバ223を含み、該第2の反応チャンバは、以下において「チャンバ間導管225」と称されるマイクロキャピラリー流体管によって第1の反応チャンバ219に流体接続している。別の方法では、第2の反応チャンバ223は、サイフォン様構造を有する廃棄導管222によって廃棄領域221に流体接続している。第2の反応チャンバ223は第2の保持領域224を備え、該第2の保持領域は、たとえば、標識粒子結合検体が第1の反応チャンバ219から第2の反応チャンバ223に搬送された後に、標識粒子結合検体の検出のために使用され得る。
【0070】
マイクロ流体システム201は、さらに、ピペット装置212を含み、該ピペット装置には流体を流体容器207からマイクロ流体構造体214へ搬送するように適合された少なくとも1つのピペット先端部213が設けられる。容器207は基板210上に配置される。ピペット装置212は、ピペット先端部213を容器207およびチップ202に対して搬送するための自動位置決め装置(図示せず)に動作可能に連結される。マイクロ流体システム201は、さらに、第2の反応チャンバ223の第2の保持領域224に含まれた粒子結合標識検体を検出するように適合された検出装置208を含む。検出装置208は、たとえば、第2の保持領域224に向けて放射される光209を発生するための光源と、第1の反応チャンバ219に保持された場合に粒子結合検体に結合される蛍光マーカーから放射された蛍光発光を感知するための蛍光センサとを含む蛍光検出器として具現化され得る。
【0071】
マイクロ流体システム201は、さらに、システム201の異なる構成要素から情報を受信し、構成要素を制御するための対応する制御信号を発生および伝達する制御器を含む。
【0072】
図7を特に参照して、マイクロ流体システム201において、プラットフォーム203には複数の第1の磁石226が設けられ、該複数の第1の磁石226は、第1の反応チャンバ219内に磁気応答性粒子を保持する第1の保持領域220に対応して第1の反応チャンバ219の下に位置決めされるように周方向に配置される。プラットフォーム203には、さらに、複数の第2の磁石227が設けられ、該複数の第2の磁石227は、第2の反応チャンバ223内に磁気応答性粒子を保持する第2の保持領域224に対応して第2の反応チャンバ223下に位置決めされるように周方向に配置される。第2の磁石227は、第1の磁石226に対して径方向外側の位置に配置される。
【0073】
第1の磁石226および第2の磁石227は、それぞれ、たとえば、永久磁石または電磁石として具現化され得る。第1の磁石226は、第1の反応チャンバ219に含まれる磁気応答性粒子を少なくとも部分的に、また少なくとも一時的に第1の保持領域220に蓄積するよう誘引するために充分な、たとえば引張力などの磁気強度を有する磁界を発生するように適合される。第2の磁石227は、第2の反応チャンバ223に搬送された磁気応答性粒子を少なくとも部分的に、また少なくとも一時的に第2の保持領域224に蓄積するよう誘引するために充分な、たとえば引張力などの磁気強度を有する磁界を発生するように適合される。
【0074】
第1の磁石226および第2の磁石227はチップ202と共回転するため、一定の磁界が、それぞれの第1の反応チャンバ219および第2の反応チャンバ223内の磁気応答性粒子にチップ202の回転中も印加される。
【0075】
フローチャートを示す図8を特に参照して、本発明の第2の実施の形態のマイクロ流体システム201を使用した試料の自動分析のための例示的方法を説明する。
【0076】
工程I:プロセスを開始する。
【0077】
工程II:磁気応答性粒子が第1の反応チャンバ219内に提供される。より詳細に説明すると、ピペット先端部213を使用して、磁気応答性粒子の懸濁液が、懸濁液を含む流体容器207の1つから各々の粒子流入領域217に搬送され、その後、所定の回転速度でプラットフォーム203を回転することによって、遠心力により、所定の体積の懸濁液を粒子流入領域217から粒子導管218を通って第1の反応チャンバ219に搬送する。一実施の形態において、磁気応答性粒子は、その外面に付着して特異的に検体を結合可能な固定化分子結合要素をもち、試料中の検体の有無および任意的に濃度が試験される。別の実施の形態において、検体は、磁気応答性粒子の外面に付着可能である。第1の反応チャンバ219に搬送されると、第1の磁石226は、第1の反応チャンバ219内にある第1の保持領域220の磁気応答性粒子を磁気誘引する。
【0078】
工程III:粒子と特異的に相互作用可能で、たとえば、粒子に結合可能な検体を含有する試料が第1の反応チャンバ219内に提供される。より詳細に説明すると、ピペット先端部213を使用して、試料は、試料を含む別の流体容器207から各々の試料流入領域215に搬送され、その後、所定の回転速度でプラットフォーム203を回転することによって、遠心力により、試料を試料流入領域215から第1の反応チャンバ219に搬送する。第1の反応チャンバ219に含まれた検体と磁気応答性粒子の分子結合要素との特異的結合を可能にする第1の反応チャンバ219内の効率的な混合は、たとえば、図5の工程IIIに関連して前述したように達成され得る。
【0079】
工程IV:第1の反応チャンバ119に保持された粒子結合検体の標識。より詳細に説明すると、ピペット先端部213を使用して、検体、この場合においては粒子結合検体に特異的に結合するように適合された蛍光マーカーなどの検出可能な分子標識を含有する流体は、標識を含む別の容器207から各々の試料流入領域215および/または粒子流入領域217または別の流入領域(図示せず)に搬送され、その後、遠心力によって流体を試料流入領域215から第1の反応チャンバ219および第2の反応チャンバ223を通って廃棄領域221へ搬送するために、プラットフォーム203を所定の回転速度で回転する。標識含有流体を第1の反応チャンバ219に供給し、また、たとえば、工程IIIで説明した混合工程を繰り返すことによって、流体に含有された標識が特異的および効率的に粒子結合検体に結合可能になる。
【0080】
工程V:非結合標識の除去。より詳細に説明すると、ピペット先端部213を使用して、洗浄液は洗浄液を含む別の容器207から各々の試料流入領域215に搬送され、その後、遠心力によって洗浄液を試料流入領域215から第1の反応チャンバに搬送するために、プラットフォーム203を所定の回転速度で回転することによって、第1の保持領域220に保持された磁気応答性粒子を包囲する流体を廃棄領域に流して洗浄液と交換し、非結合標識を除去する。このような洗浄工程は必要に応じて繰り返される。
【0081】
工程VI:磁気応答性粒子結合検体を第1の反応チャンバ219から第2の反応チャンバ223に搬送し、粒子結合検体を第2の反応チャンバ223に蓄積する。より詳細に説明すると、プラットフォーム203は、粒子を粒子流入領域217から第1の反応チャンバ219に搬送するために使用された速度より高速で回転し、粒子を第1の反応チャンバ219から放出して第2の反応チャンバ223に流す。第2の反応チャンバ223において、その後、粒子結合検体は、第2の磁石227により第2の保持領域224に蓄積される。
【0082】
工程VII:試料中の検体の有無および任意的に濃度を測定する。より詳細に説明すると、第2の反応チャンバ223の第2の保持領域224に保持された標識粒子結合検体の蛍光強度などの標識の強度が検出装置208によって測定され、得られた結果に基づいて、試料中の検体の有無および任意的に濃度が測定される。
【0083】
工程VIII:プロセスを終了する。
【0084】
図9を特に参照して、図7の遠心力式マイクロ流体システム201の変形例を説明する。不要な重複を回避するために、図7のマイクロ流体システム201との相違のみを説明し、他は図6〜8に関連した前述の説明を参照されたい。
【0085】
これによると、マイクロ流体システム201において、1または複数の第3の磁石230は担体211により支持されて基板210上に位置決めされ、該磁石は、第2の反応チャンバ223内に磁気応答性粒子を保持するための第2の反応チャンバ223の第2の保持領域224に対応する。図9においては、例示目的のみのために、単一の第3の磁石230のみが示されている。以下の説明は、複数の第3の磁石230の場合でも同様に当てはまる。基板に位置決めされた第3の磁石230は、プラットフォーム203に固定された第1の磁石226に対して径方向外側の位置に配置される。第3の磁石230は、第2の反応チャンバ223に含まれる磁気応答性粒子を少なくとも部分的に、また少なくとも一時的に第2の保持領域224に蓄積するよう誘引するために充分な、たとえば引張力などの磁気強度を有する磁界を発生するように適合される。
【0086】
したがって、この変形例において、回転するチップ202と共回転する第1の磁石226は、一定の磁界をチップ202の回転中も第1の反応チャンバ219内の磁気応答性粒子に及ぼすことができる。他方で、第3の磁石230はチップ202と共回転しないため、第2の反応チャンバ223の第2の保持領域224に保持された磁気応答性粒子に印加された磁界は、チップ202の回転中は一定でない。より詳細に説明すると、第3の磁石230の磁気応答性粒子への影響はチップ202の回転速度が減少する場合に増加し、逆の場合も同様である。第3の磁石230は、たとえば、検出前に第2の保持領域224に保持された磁気応答性粒子を収集する機能を有し得る。
【0087】
図9のマイクロ流体システム201を使用して、図8に関連して説明した試料の自動分析のための前述の方法において、工程VIでは、標識粒子結合検体の第2の保持領域224での蓄積は、基板に固定された第3の磁石230の磁界に対してチップ202の往復回転運動を行うようにプラットフォーム203を双方向に回転することにより実施でき、往復回転運動の振幅は、所定の最大振幅から、たとえばゼロである所定の最低振幅まで減少される。この点において、チップ202の往復回転運動は、回転しない第3の磁石230の磁界に動作可能に連結され、個々の第2の保持領域224にて粒子を局所的に蓄積する(すなわち、凝集する)。
【0088】
図9には示されないが、図7に示された第2の磁石227は、図7に示されるように、プラットフォーム203に固定された第3の磁石230と共に配置し得る。
【0089】
図10を特に参照して、図7の遠心力式マイクロ流体システム201の別の変形例を説明する。不要な重複を回避するために、図7のマイクロ流体システム201との相違のみを説明し、他は図6〜8に関連した前述の説明を参照されたい。
【0090】
これによると、チップ202には複数のマイクロ流体構造体214が設けられ、その1つが図10において部分的に示される。該マイクロ流体構造体214は、図6に示されるようにマイクロキャピラリー流体管によって試料流入領域(図示せず)および粒子流入領域(図示せず)ならびに廃棄領域(図示せず)に流体接続された単一の反応チャンバ219のみを含む点で図6のマイクロ流体構造体と異なる。
【0091】
各々のマイクロ流体構造体214の反応チャンバ219は、第1の保持領域220と第1の保持領域220に対して離間配置された第2の保持領域224とを備える。第1の保持要素220は、たとえば、分子結合要素との結合のために分子結合要素をもつ磁気応答性粒子228を少なくとも1つの検体を含有する試料と混合し、ならびに標識粒子結合検体を標識および洗浄するために使用され得る。第2の保持領域224は、たとえば、標識粒子結合検体を第1の保持領域220から第2の保持領域224に搬送した後に、標識粒子結合検体を検出するために使用され得る。
【0092】
マイクロ流体システム201において、プラットフォーム203には複数の第1の磁石226が設けられ、該第1の磁石226は、磁気応答性粒子228を第1の保持領域220内に保持する第1の保持領域220に対応して反応チャンバ219の下に位置決めされるように周方向に配置される。プラットフォーム203には、さらに、複数の第2の磁石227が設けられ、該第2の磁石227は、磁気応答性粒子228を第2の保持領域224内に保持する第2の保持領域224に対応して反応チャンバ219の下に位置決めされるように周方向に配置される。第2の磁石227は、第1の磁石226に対して径方向外側の位置に配置される。第1の磁石226は、磁気応答性粒子228を少なくとも部分的に、また少なくとも一時的に第1の保持領域220に蓄積するよう誘引するために充分な、たとえば引張力などの磁気強度を有する磁界を発生するように適合される。第2の磁石227は、磁気応答性粒子228を少なくとも部分的に、また少なくとも一時的に第2の保持領域224に蓄積するよう誘引するために充分な、たとえば引張力などの磁気強度を有する磁界を発生するように適合される。
【0093】
第1の磁石226および第2の磁石227の両方はチップ202と共回転するため、一定の磁界が、それぞれの第1の保持領域220および第2の保持領域224の磁気応答性粒子228にチップ202の回転中も印加される。そうでない場合、第1の磁石のみがチップと共回転する。
【0094】
図10に示されるように、磁気応答性粒子228と応答チャンバ219の第1の保持領域220の検体含有試料とを混合するために、粒子228は回転運動を行う際に径方向に前後移動可能であり、プラットフォーム203は、第1の磁石226の磁界の磁力を上回るのに充分な遠心力が生成されるか、または第1の磁石226の磁界の磁力が遠心力を上回る遠心力を生成するように交互回転される。
【0095】
そうでない場合、プラットフォーム203の回転速度を適合させることにより粒子228は第2の保持領域224に保持でき、該第2の保持領域には、第2の磁石227の磁力と組み合わせて粒子228を第2の保持領域224に局所的に蓄積するように使用可能な案内面229が設けられている。図示されるように案内面229は、特に、反応チャンバ219内に小さな区画として設けることができる。
【0096】
前述の説明の通り本発明によると、プラットフォーム103,203の回転運動が停止すると、拡散および/または流動障害および/または緩和効果によって粒子結合検体は一般的に再配置する傾向があるため、検出を実施する際の保持領域内での標識粒子結合検体の固定は、有利には、測定の信頼性を向上する。
【0097】
前述の説明の通り本発明によると、たとえば、蛍光マーカーの迷光が標識粒子結合検体を含む保持領域の内壁から散乱して測定の信頼性を減少し、および/または蛍光マーカーがまた保持領域の内壁に非特異的に結合することにより、標識粒子結合検体の磁気的捕捉は、有利には、保持領域の内壁からさらなる距離を有するように粒子を位置決め可能にし、よって有利には測定の信頼性を向上させる。
【0098】
明らかに、前述の説明を参照して本発明のさらなる修正および変形が可能である。したがって、本発明は、添付の請求項の範囲内において、特定の案以外でも実施することができることが理解される。
【符号の説明】
【0099】
101 システム
102 チップ
103 プラットフォーム
104 軸
105 モータ
106 回転軸
107 容器
108 検出装置
109 光
110 基板
111 空洞
112 ピペット装置
113 ピペット先端部
114 マイクロ流体構造体
115 試料流入領域
116 試料導管
117 粒子流入領域
118 粒子導管
119 反応チャンバ
120 保持領域
121 廃棄領域
122 廃棄導管
123 磁石
124 凹所
125 開口部
126 粒子
127 被覆箔
201 システム
202 チップ
203 プラットフォーム
204 軸
205 モータ
206 回転軸
207 容器
208 検出装置
209 光
210 基板
211 担体
212 ピペット装置
213 ピペット先端部
214 マイクロ流体構造体
215 試料流入領域
216 試料導管
217 粒子流入領域
218 粒子導管
219 第1の反応チャンバ
220 第1の保持領域
221 廃棄領域
222 廃棄導管
223 第2の反応チャンバ
224 第2の保持領域
225 チャンバ間導管
226 第1の磁石
227 第2の磁石
228 粒子
229 案内面
230 第3の磁石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体と特異的に相互作用するように適合された磁気応答性粒子(126;228)の使用を含む、少なくとも1つの検体を含有する試料の自動分析のための遠心力式マイクロ流体システム(101;201)であって、
少なくとも1つの回転自在な支持装置(103;203)と、
前記支持装置と共に回転するように前記支持装置に固定された少なくとも1つのマイクロ流体装置(102;202)であって、少なくとも1つの流入領域(115,117;215,217)と、前記少なくとも1つの流入領域に流体接続して前記試料の1つを受領し、前記磁気応答性粒子(126;228)の保持に適合された少なくとも1つの保持領域(120;220,224)を備えた少なくとも1つの反応チャンバ(119;219,223)とを有する少なくとも1つのマイクロ流体構造体(114;214)を設けた少なくとも1つのマイクロ流体装置と、
前記少なくとも1つの反応チャンバ(119;219,223)に含まれた磁気応答性粒子を磁気操作するように適合された磁界を発生させるために、前記支持装置(103;203)と共に回転するよう前記少なくとも1つの保持領域(120;220,224)に対応して前記支持装置に固定された少なくとも1つの磁石(123;226)と、を備えたシステム。
【請求項2】
前記マイクロ流体装置(102;202)が、前記少なくとも1つの保持領域(120)と前記少なくとも1つの磁石(123)との間の距離を減少するために、前記少なくとも1つの磁石(123)を収容するように適合された少なくとも1つの凹所(124)を設けてなる請求項1記載のシステム(101;201)。
【請求項3】
前記マイクロ流体構造体(214)が、第1の保持領域(220)および該第1の保持領域(220)と流体接続した第2の保持領域(224)を含み、前記システムが、さらに、前記磁気応答性粒子(228)を前記第1の保持領域に保持するように適合された磁界を発生させるため前記支持装置(203)と共に回転するように前記支持装置に固定され、前記少なくとも1つの第1の保持領域(220)に対応した少なくとも1つの第1の磁石(226)と、前記磁気応答性粒子(228)を前記第2の保持領域(224)に保持するように適合された磁界を発生させるため前記支持装置(203)と共に回転するように前記支持装置に固定され、前記少なくとも1つの第2の保持領域(224)に対応した少なくとも1つの第2の磁石(227)とを含む請求項1または2記載のシステム(201)。
【請求項4】
前記マイクロ流体構造体(214)が、第1の保持領域(220)および該第1の保持領域(220)と流体接続した第2の保持領域(224)を含み、前記システムが、さらに、前記磁気応答性粒子(228)を前記第1の保持領域に保持するように適合された磁界を発生させるため前記支持装置(203)と共に回転するように前記支持装置に固定され、前記少なくとも1つの第1の保持領域(220)に対応した少なくとも1つの第1の磁石(226)と、前記磁気応答性粒子(228)を前記第2の保持領域(224)に保持するように適合された磁界を発生させるため前記支持装置(203)と共に回転するように前記支持装置に固定され、前記少なくとも1つの第2の保持領域(224)に対応した少なくとも1つの第2の磁石(227)と、前記支持装置(203)から離間した少なくとも1つの第3の磁石(230)であって、前記支持装置(203)が前記少なくとも1つの第3の磁石(230)に対して回転可能である、少なくとも1つの第3の磁石と、を含む請求項1または2記載のシステム(201)。
【請求項5】
前記マイクロ流体装置(214)が、前記少なくとも1つの第1の磁石(226)と前記少なくとも1つの第1の保持領域(220)との間の距離を減少するように、前記少なくとも1つの第1の磁石(226)を収容するように適合された少なくとも1つの第1の凹所と、前記少なくとも1つの第2の磁石(227)と前記少なくとも1つの第2の保持領域(224)との間の距離を減少するように、前記少なくとも1つの第2の磁石(227)を収容するように適合された少なくとも1つの第2の凹所とを設けてなる請求項3または4記載のシステム(201)。
【請求項6】
前記磁気応答性粒子(126;228)の磁気相互作用を増加するために、1つの前記磁石の磁束を凝集するように適合された少なくとも1つの磁束凝集手段をさらに含む請求項3〜5のいずれか1項に記載のシステム(201)。
【請求項7】
前記少なくとも1つの第2の保持領域(224)が、前記少なくとも1つの第2の保持領域(224)内に前記磁気応答性粒子(228)を蓄積するように適合された少なくとも1つの案内面(229)を設けてなる請求項3〜6のいずれか1項に記載のシステム(201)。
【請求項8】
前記マイクロ流体構造体(214)が、第1の反応チャンバ(219)および第2の反応チャンバ(223)を有し、前記第1の反応チャンバ(219)が前記第1の保持領域(220)を備え、第2の反応チャンバ(223)が前記第2の保持領域(224)を備えてなる請求項3〜7のいずれか1項に記載のシステム(201)。
【請求項9】
前記少なくとも1つの反応チャンバ(119;219,223)と流体接続した、廃液を受領するための少なくとも1つの廃棄領域(121;221)をさらに含む請求項1〜8のいずれか1項に記載のシステム(101;201)。
【請求項10】
前記マイクロ流体装置(102;202)が、前記支持装置(103;203)に取り外し可能に固定されてなる請求項1〜9のいずれか1項に記載のシステム(101;201)。
【請求項11】
検体と特異的に相互作用するように適合された磁気応答性粒子(126;228)の使用を含む、少なくとも1つの検体を含有する試料の自動分析のための方法であって、次の工程、
回転自在な支持装置(103;203)と、該支持装置と共に回転するように前記支持装置に固定された少なくとも1つのマイクロ流体装置(102;202)とを含むマイクロ流体システム(101;201)を提供する工程であって、前記マイクロ流体装置が、前記磁気応答性粒子を保持するための少なくとも1つの保持領域(120;220,224)を含む少なくとも1つの反応チャンバ(119;219,223)を備えた少なくとも1つのマイクロ流体構造体(114;214)を有してなる、工程と、
前記試料の1つを前記反応チャンバ(119;219,223)に案内する工程と、
前記磁気応答性粒子(126;228)を反応チャンバ(119;219,223)に案内する工程と、
前記磁気応答性粒子(126;228)を磁気的に操作するように適合された磁界を前記保持領域(120;220,224)に印加する工程と、を含む方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの反応チャンバ(223)に含まれた前記磁気応答性粒子(228)を蓄積するように適合された、前記マイクロ流体システム(201)に対して定常の磁界を印加する工程をさらに含む請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記磁気応答性粒子(228)を前記少なくとも1つの保持領域(224)に局所的に蓄積するように、前記磁界に対して前記マイクロ流体装置(202)の往復回転運動を実施し、その後、前記蓄積された粒子(228)と相互作用する検体を検出する工程を含む請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記往復回転運動の振幅が、最大振幅から特にゼロである最小振幅に減少される請求項13記載の方法。
【請求項15】
回転運動を実施することによって前記磁気応答性粒子(126;228)を径方向において前後に移動する工程をさらに含み、該回転運動において、粒子(126;228)に作用する磁力を上回るのに充分な遠心力が生成されるか、または磁力が遠心力を上回る遠心力を生成するように前記マイクロ流体装置(102;202)が回転される請求項11〜14のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−7778(P2011−7778A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−110646(P2010−110646)
【出願日】平成22年5月12日(2010.5.12)
【出願人】(501205108)エフ ホフマン−ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト (285)
【Fターム(参考)】