試料の調製容器及び方法
分析物の試験のための試料を調製及び供給するためのシステム並びに方法である。このシステムは、試料調製システム、及び試料調製システムに結合された試料供給システムを含みうる。試料調製システムは、分析物源及び希釈剤を含む液体組成物を収容するように構成されたリザーバを含む変形可能な自己支持型レセプタクルを含みうる。試料供給システムは、リザーバと流体連通するように配置されるとともに試料調製システムからの試料の取り出しを制御するように構成された弁を含みうる。本方法は、変形可能な自己支持型レセプタクルに圧力を作用させることによって試料調製システムから試料供給システムを介して試料を取り出すことを含みうる。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
様々な用途において、食品及び非食品源を微生物(例、細菌、ウイルス、真菌、胞子など)及び/又は他の対象とする分析物(例、毒素、アレルゲン、ホルモンなど)について試験しなければならない場合がある。例えば、一般集団によって生育、購入及び消費される食品は、微生物又は他の分析物を含有又は獲得している場合があり、こうした微生物又は他の分析物はそれらが置かれた環境の関数として繁殖又は増殖しうる。この増殖によって食品の腐敗が早まり、毒物を産生したり感染量にまで分裂しうる病原性生物の増殖につながる場合がある。更なる例として、各種の分析法を非食品源の試料(例、地下水、尿など)に対して行うことによって試料が特定の分析物を含んでいるか否かを判定することができる。例えば、地下水を微生物又は化学的毒素について試験することが可能であり、また、尿を様々な診断指示物質について試験することによって診断(例、糖尿病、妊娠など)を行うことが可能である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
本開示は、試料の調製及び供給システム並びに方法に関するものであり、詳細には、分析物の試験のための試料の調製及び供給システム並びに方法に関し、試料の調製及び供給システムは、試料調製システムと、試料調製システムからの試料の除去(又は分離)及び/又は別の位置若しくは装置への試料の供給を行う、試料調製システムに結合された試料供給システムとを含む。
【0003】
本開示の特定の実施形態は、分析物の試験のための試料を調製及び供給するためのシステムを提供するものである。このシステムは、試料調製システム及び試料調製システムに結合された試料供給システムを含みうる。試料調製システムは、リザーバを含む変形可能な自己支持型レセプタクルを含みうる。リザーバは、分析物源及び希釈剤を含む液体組成物を収容するように構成することができる。試料供給システムは、リザーバと流体連通するように配置されるとともに試料調製システムからの試料の取り出しを制御するように構成された弁を含みうる。
【0004】
本開示の特定の実施形態は、分析物の試験のための試料を調製及び供給するためのシステムを提供するものである。このシステムは、試料調製システム及び試料調製システムに結合された試料供給システムを含みうる。試料調製システムは、第1のリザーバを含む自立式容器と、自立式容器の第1のリザーバ内に受容されるような寸法に構成されるとともに第2のリザーバを含む変形可能な自己支持型レセプタクルと、自立式容器及び変形可能な自己支持型レセプタクルの少なくとも一方に結合されるように構成された蓋と、を含みうる。第2のリザーバを、分析物源及び希釈剤を含む液体組成物を収容するように構成することができる。自立式容器は変形可能な自己支持型レセプタクルよりも堅くともよい。試料供給システムは、第2のリザーバと流体連通するように配置されるとともに試料調製システムからの試料の取り出しを制御するように構成された弁を含みうる。
【0005】
本開示の特定の実施形態は、分析物の試験のための試料を調製及び供給するための方法を提供するものである。本方法は、リザーバを有する変形可能な自己支持型レセプタクルを有する試料調製システムを提供することと、分析物源及び希釈剤を含む液体組成物を提供することと、液体組成物を変形可能な自己支持型レセプタクルのリザーバ内に配置すること、とを含んでもよい。本方法は、試料調製システムに結合されるように構成された試料供給システムを提供することを更に含んでもよい。試料供給システムはリザーバと流体連通するように配置された弁を含みうる。本方法は、変形可能な自己支持型レセプタクルに圧力を作用させて試料調製システムから試料供給システムを通じて試料を取りだすこと、を更に含みうる。
【0006】
本発明の他の特徴及び態様は詳細な説明及び付属の図面を考慮することで明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本開示の一実施形態に係る試料の調製及び供給方法を示した概略フローチャート。
【図2】蓋を含む、本開示の一実施形態に係る試料調製システムの分解斜視図。
【図3】図2の3−3線に沿った、図2の蓋の拡大断面図。
【図4】本開示の別の実施形態に係る試料調製システムの斜視図。
【図5】本開示の別の実施形態に係る試料調製システムの蓋の底面図。
【図6】図5の6−6線に沿った、図5の蓋の断面図。
【図7】本開示の別の実施形態に係る試料調製システムの斜視図。
【図8】本開示の別の実施形態に係る試料調製システムの斜視図。
【図9】本開示の別の実施形態に係る試料調製システムの分解側面図であり、試料調製システムは、フィルター、並びに蓋及びカバーを含む蓋アセンブリを有している。
【図10】フィルターが圧縮された状態にある、図9の蓋アセンブリ及びフィルターの斜視図。
【図11】フィルターが非圧縮状態にある、図9及び10の蓋アセンブリ及びフィルターの斜視図。
【図12】図9〜11のカバーの上面斜視図。
【図13】本開示の別の実施形態に係る試料調製システムの蓋アセンブリの側面図。
【図14】本開示の一実施形態に係る試料調製及び供給システムの斜視図。
【図15】検出システムとともに使用されている状態が示されている、図14の試料調製及び供給システムの斜視図。
【図16】増殖装置に結合された、本開示の別の実施形態に係る試料調製及び供給システムの斜視図。
【図17A】本開示の一実施形態に係る試料供給システムの概略断面図。
【図17B】本開示の一実施形態に係る試料供給システムの概略断面図。
【図17C】本開示の一実施形態に係る試料供給システムの概略断面図。
【図18A】本開示の別の実施形態に係る試料供給システムの概略断面図。
【図18B】本開示の別の実施形態に係る試料供給システムの概略断面図。
【図18C】本開示の別の実施形態に係る試料供給システムの概略断面図。
【図19A】本開示の別の実施形態に係る試料供給システムの概略断面図。
【図19B】本開示の別の実施形態に係る試料供給システムの概略断面図。
【図19C】本開示の別の実施形態に係る試料供給システムの概略断面図。
【図20A】本開示の別の実施形態に係る試料供給システムの概略断面図。
【図20B】本開示の別の実施形態に係る試料供給システムの概略断面図。
【図20C】本開示の別の実施形態に係る試料供給システムの概略断面図。
【図20D】本開示の別の実施形態に係る試料供給システムの概略断面図。
【図21A】本開示の別の実施形態に係る試料調製及び供給システムの概略断面図。
【図21B】本開示の別の実施形態に係る試料調製及び供給システムの概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施形態を詳細に説明する前に、本発明はその応用において、下記の説明文に記載されるか又は付属の図面に示される構成の細部及び要素の配置に限定されないものである点は理解されるべきである。本発明は他の実施形態が可能であり、様々な方法で実施又は実行することが可能である。更に、本明細書において使用される語法及び専門用語は説明を目的としたものであって、限定的なものとみなされてはならない。本明細書における、「including」(含む、有する)、「comprising」(備える、有する、含む)、「containing」(含有する、含む)、又は「having」(有する)及びこれらの変形の使用は、その後に列記される要素及びその均等物、並びに更なる要素を包含するものとする。特に特定又は限定されないかぎり、「支持された」及び「結合された」なる用語並びにその変形は広義の意味で用いられ、直接的及び間接的な支持及び結合の両方を包含するものである。他の実施形態の利用も可能であり、本開示の範囲から逸脱することなく構造的又は論理的変更を行うことも可能である点は理解されるべきである。更に、「前」、「後」、「上」、「下」などの用語は、各要素を互いの関連において述べるためにのみ用いられ、決して装置の特定の向きを記載するものではなく、装置の必要な又は要求される向きを指示又は示唆するものでもなく、本明細書で述べられる発明が使用時にどのように使用、取り付け、表示、又は配置されるかを特定するものでもない。
【0009】
本開示は、一般的に試料を調製及び供給するためのシステム並びに方法に関する。試料は更に濃縮、増殖、及び/又は、様々な分析物の有無について分析することができる。
【0010】
「分析物源」なる用語は、分析物について試験することが望ましい食品又は非食品を指して一般的に用いられる。分析物源は、固体、液体、半固体、ゼラチン状物質、及びこれらの組み合わせであってもよい。特定の実施形態では、分析物源は、例えば、対象とする表面から分析物源を採取するために使用された基質によって提供されうる。特定の実施形態では、液体組成物は基質を含んでもよく、基質は更に分解される(例えば、攪拌又は溶解プロセスの際に)ことによって分析物源及び対象とする任意の分析物の回収を促進することができる。対象とする表面には、これらに限定されるものではないが、壁(ドアを含む)、床、天井、排水管、冷蔵システム、ダクト(例、エアダクト)、通気口、トイレの便座、ハンドル、ドアノブ、手すり、ベッドレール(例えば、病院における)、カウンタートップ、テーブルトップ、食事用表面(例、トレイ、皿など)、作業面、機器表面、衣類など、及びこれらの組み合わせを含む様々な表面の少なくとも一部が含まれる。分析物源の全部又は一部を本試料調製システム及び方法で使用することができる。分析物源の一部が使用される場合、これを分析物源の「試料」と呼ぶ場合がある。しかしながら、「試料」なる用語は、本明細書では、更なる分析(例えば、分析物の検出)を行うために試料調製システムから抽出された一定体積又は量の物質を指すものとして一般的に用いられる。
【0011】
「食品」なる用語は、固体、液体(例えば、これらに限定されないが溶液、分散液、乳濁液、懸濁液など、及びこれらの組み合わせを含む)、及び/又は半固体の食用組成物を指すものとして一般的に用いられる。食品の例としては、これらに限定されるものではないが、肉、鶏肉、卵、魚、魚介類、野菜、果物、調理済み食品(例、スープ、ソース、ペースト)、穀物製品(例、小麦粉、シリアル、パン)、缶詰食品、牛乳、他の乳製品(例、チーズ、ヨーグルト、サワークリーム)、脂肪、油、デザート、香辛料、スパイス、パスタ、飲料、水、動物飼料、他の適当な食用材料、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0012】
「非食品」なる用語は、「食品」の定義に当てはまらず、一般的に食用とは考えられない対象分析物源を指すものとして一般的に用いられる。非食品源の例としては、これらに限定されるものではないが、臨床試料、細胞ライセート、全血又はその一部(例、血清)、他の体液又は分泌液(例、唾液、汗、皮脂、尿)、糞便、細胞、組織、臓器、生検、植物材料、木材、土、堆積物、薬剤、化粧品、栄養補助食品(例、朝鮮ニンジンカプセル)、医薬品、感染媒介物、他の適当な非食用物質、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0013】
「感染媒介物」なる用語は、感染性生物を運搬、かつ/又は移動することが可能な無生物又は基質を指すものとして一般的に用いられる。感染媒介物としては、これらに限定されるものではないが、布巾、モップヘッド、タオル、スポンジ、雑巾、食器、硬貨、紙幣、携帯電話、衣類(靴を含む)、ドアノブ、女性用品、おむつなど、これらの部分、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0014】
「分析物」なる用語は、検出しようとする(例えば、実験室又はフィールド試験により)物質を指すものとして一般的に用いられる。分析物源は、特定の分析物の有無について、又は特定の分析物を定量するために試験することができる。こうした分析物は、分析物源の内部(例えば、内側)、又は分析物源の外側(例えば、外表面)に存在しうる。分析物の例としては、これらに限定されるものではないが、微生物、寄生虫(その一部は微生物でもある)、生体分子、化学物質(例、殺虫剤、抗生物質)、金属イオン(例、水銀イオン、重金属イオン)、金属イオン含有錯体(例、金属イオンと有機配位子とからなる錯体)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0015】
微生物学的アッセイ、生化学的アッセイ(例、免疫アッセイ)、又はこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない各種の試験法を用いて分析物を同定及び/又は定量することができる。使用可能な試験法の具体例としては、これらに限定されるものではないが、ラテラルフローアッセイ、滴定法、熱分析法、顕微鏡法(例、光学顕微鏡法、蛍光顕微鏡法、免疫蛍光顕微鏡法、走査型電子顕微鏡法(SEM)、透過型電子顕微鏡法(TEM))、分光法(例、質量分析法、核磁気共鳴(NMR)分光法、ラマン分光法、赤外線(IR)分光法、X線分光法、減衰全反射分光法、フーリエ変換分光法、ガンマ線分光法など)、分光光度法(例、吸光度、蛍光、発光など)、クロマトグラフィー(例、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィーなど)、電気化学的分析法、遺伝子工学的手法(例、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、転写介在増幅法(TMA)、ハイブリダイゼーション保護アッセイ(HPA)、DNA又はRNA分子認識アッセイなど)、アデノシン三リン酸(ATP)検出アッセイ、免疫学的アッセイ(例、酵素結合免疫吸着法(ELISA))、細胞毒性アッセイ、ウイルスプラークアッセイ、細胞変性効果を評価するための方法、成長培地(例、寒天)及び/又は3M(商標)Petrifilm(商標)プレート(例、3M(商標)Petrifilm(商標)プレートリーダー(スリー・エム・カンパニー(3M Company)、ミネソタ州セントポール))を用いた画像化、定量化、及び/又は解釈)を用いて行うことができるような培養法、他の適当な分析物試験法、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0016】
「微生物」なる用語は、これらに限定されるものではないが、細菌(例、運動性又は増殖性、グラム陽性又はグラム陰性)、ウイルス(例、ノロウイルス、ノーウォークウイルス、ロタウイルス、アデノウイルス、DNAウイルス、RNAウイルス、エンベロープ型、非エンベロープ型、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ヒトパピローマウイルス(HPV)など)、細菌の胞子又は内生胞子、藻類、真菌類(例、酵母、糸状菌類、真菌胞子)、プリオン、マイコプラズマ、及び原生動物の1以上を含む、すべての原核又は真核微生物を指すものとして一般的に用いられる。特定の場合では、特に対象となる微生物は病原性を有するものであり、「病原体」なる用語がすべての病原性微生物を指して用いられる。病原体の例としては、これらに限定されるものではないが、腸内細菌科の細菌、又はミクロコッカス科の細菌、又はブドウ球菌属、連鎖球菌属、シュードモナス属、腸球菌属、サルモネラ菌属、レジオネラ菌属、赤痢菌属、エルシニア属、エンテロバクター属、エシェリキア属、バチルス属、リステリア属、カンピロバクター属、アシネトバクター属、ビブリオ属、クロストリジウム属、及びコリネバクテリウム属が挙げられる。病原体の具体例としては、これらに限定されるものではないが、腸管出血性大腸菌(例、血清型O157:H7)、シュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)、バチルス・アントラシス(Bacillus anthracis)、サルモネラ・エンテリティディス(Salmonella enteritidis)、サルモネラ・チフィリウム(Salmonella typhimurium)、リステリア・モノサイトジェネス(Listeria monocytogenes)、クロストリジウム・ボツリヌム(Clostridium botulinum)、クロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、メチシリン耐性スタフィロコッカス・アウレウス、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、エルシニア・エンテロコリティカ(Yersinia enterocolitica)、ビブリオ・バルニフィカス(Vibrio vulnificus)、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)、バンコマイシン耐性エンテロコッカス、及びエンテロバクター・サカザキ(Enterobacter sakazakii)が挙げられる。微生物の増殖に影響しうる環境因子としては、栄養素の有無、pH、含水量、酸化還元電位、抗微生物化合物、温度、大気ガス組成、及び生物学的構造又は障壁が挙げられる。
【0017】
「寄生生物」なる用語は、第2の生物(すなわち宿主)の体内(すなわち体内寄生生物)又は体表(すなわち体外寄生生物)に生息し、通常第2の生物に害をもたらす生物を指すものとして一般的に用いられる。寄生生物としては、これらに限定されるものではないが、微生物及び寄生虫(例、回虫、線虫、鉤虫、巨視的多細胞寄生虫、蟯虫、鞭虫など)が挙げられる。寄生生物の具体例としては、これらに限定されるものではないが、クリプトスポリジウム属、ジアルジア属、ブラストシスチス・ホミニス(Blastocystis hominis)、小形アメーバ、クリプトスポリジウム・パルバム(Cryptosporidium parvum)、赤痢アメーバ、大腸アメーバ、ハルトマンアメーバ、ランブル鞭毛虫、メニール鞭毛虫、シクロスポラ・カイエタネンシス(Cyclospora cayetanensis)、蠕虫(巨視的多細胞寄生虫)、回虫(ヒト回虫)、糞線虫(線虫)、ズビニ鉤虫(鉤虫)、アメリカ鉤虫(鉤虫)、エンテロビウス・バーミキュラリス(Enterobius vermicularis)(蟯虫)、及びトリチュリス・トリチウラ(Trichuris trichiura)(鞭虫)が挙げられる。
【0018】
「生体分子」なる用語は、生物の体内に存在するが、生物によって生成される分子又はその誘導体を指すものとして一般的に用いられる。例えば、生体分子としては、これらに限定されるものではないが、アミノ酸、核酸、ポリペプチド、タンパク質、ポリヌクレオチド、脂質、リン脂質、糖類、多糖類、及びこれらの組み合わせの少なくとも1つが挙げられる。生体分子の具体例としては、これらに限定されるものではないが、代謝物質(例、ブドウ球菌エンテロトキシン)、アレルゲン(例、落花生アレルゲン、卵アレルゲン、花粉、イエダニ、カビ、鱗屑、又はそれらに内在するタンパク質など)、ホルモン、毒素(例、バチルス下痢原性毒素、アフラトキシン、クロストリジウム・ディフィシル毒素など)、RNA(例、mRNA、全RNA、tRNAなど)、DNA(例、プラスミドDNA、植物DNAなど)、タグ標識タンパク質、抗体、抗原、ATP、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0019】
「可溶性物質」及び「不溶性物質」なる用語は、特定の条件下で特定の培地に比較的可溶又は不溶である物質を指すものとして一般的に用いられる。詳細には、特定の条件の組み合わせの下では、「可溶性物質」とは、溶液中に混和し、系の溶媒(例、希釈剤)に溶解する物質であり、「不溶性物質」とは、特定の条件の組み合わせの下で溶液中に混和せず、系の溶媒に溶解しない物質である。分析物源には可溶性物質及び不溶性物質(例、細胞片)が含まれる。不溶性物質は微粒子又は破片と呼ばれる場合もあり、分析物源物質それ自体の一部(例、分析物源の内部又は外部(例、外面)から得られるもの)、又は攪拌工程から生ずる他の分析物源の残渣若しくは破片を含みうる。対象とする分析物は、可溶性物質又は不溶性物質中に存在しうる。
【0020】
「攪拌する」なる用語及びその派生語は、液体組成物に運動を与える、例えば、こうした液体組成物の内容物を混合又は混和するか、あるいは固体の分析物源を液体と混和することによって液化するプロセスを述べるものとして一般的に用いられる。これらに限定されるものではないが、人の手による振盪、機械的振盪(例、直線的振盪)、超音波振動、ボルテックス攪拌、人の手による攪拌、機械的攪拌(例、機械的プロペラ、磁気攪拌棒、又はボールベアリングなどの他の攪拌補助要素による)、人の手による叩打、機械的叩打、ブレンディング、混練、及びこれらの組み合わせを含む各種の攪拌法を用いることができる。
【0021】
「濾過」なる用語は、サイズ、電荷、及び/又は機能によって物質を分離するプロセスを述べるものとして一般的に用いられる。例えば、濾過において、可溶性物質及び溶媒(例、希釈剤)を不溶性物質から分離することを行ってもよく、あるいは、濾過において、可溶性物質、溶媒及び比較的小さな不溶性物質を、比較的大きな不溶性物質から分離することを行ってもよい。これらに限定されるものではないが、液体組成物をフィルターに通過させる、沈殿の後、吸引又はデカンテーションを行う、他の適当な濾過法、及びこれらの組み合わせを含む各種の濾過法を用いることができる。「沈殿」とは、液体組成物中の不溶化物質を沈殿させることを指して用いられる。沈殿は重力又は遠心によって行うことができる。この後、可溶化物質及び溶媒を不溶化物質から吸引する、可溶化物質及び溶媒をデカントする、又はこれらの組み合わせによって、不溶化物質(又は比較的大きな不溶化物質)を、可溶化物質(又は可溶化物質及び比較的小さな不溶化物質)及び溶媒から分離することができる。
【0022】
「フィルター」とは、可溶化物質(又は可溶化物質及び比較的小さな不溶化物質)及び溶媒を液体組成物中の不溶化物質(又は比較的大きな不溶化物質)から分離するための装置を述べるものとして一般的に用いられる。フィルターの例としては、これらに限定されるものではないが、織布又は不織布メッシュ(例、ワイヤーメッシュ、クロスメッシュ、プラスチックメッシュなど)、織布又は不織布ポリマーウェブ(例、均一又は不均一プロセスで寝かせたポリマー繊維からなるものを場合によりカレンダー加工したもの)、表面フィルター、デプスフィルター、膜(例、セラミック膜(例、ワットマン社(Whatman Inc.)ニュージャージー州フローハムパーク(Florham Park)よりANOPOREの商標表記で市販されるセラミック酸化アルミニウム膜フィルター)、ポリカーボネート膜(例、ワットマン社(Whatman Inc.)よりNUCLEOPOREの商標表記で市販されるトラックエッチングされたポリカーボネート膜フィルター))、ポリエステル膜(例、トラックエッチングポリエステルからなるものなど)、シーブ、グラスウール、フリット、濾紙、発泡材など、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0023】
「濾液」なる用語は、液体組成物から不溶性物質(又は少なくとも比較的大きな不溶性物質)が除去された後に残る液体を述べるものとして一般的に用いられる。濾過には広範な方法が含まれるため、「濾液」なる用語は、混合物中の不溶性物質(又は比較的大きな不溶性物質)を沈殿させることによって生ずる上清を指すものとしても用いられる。
【0024】
図1は、本開示の一実施形態に係る試料の調製及び供給方法10を示したものである。図1に示されるように、試料の調製及び供給方法10は、分析物源12を取得することで始まりうる。希釈剤13を分析物源12の全部又は一部と合わせて攪拌することによって、分析物源12が希釈剤13に溶解、分散、懸濁及び/又は乳濁された液体組成物14を形成することができる。このため、液体組成物14は一般的に混合物であり、溶液、乳濁液、分散液、懸濁液、又はこれらの組み合わせでありうる。
【0025】
分析物源12は、希釈剤13と組み合わされた場合、可溶性物質及び不溶性物質15を含むことによって、分析物源12の特定の部分が希釈剤13に溶解しうるのに対して分析物源12の他の部分は希釈剤13に懸濁、分散、又は乳濁されうる。次いで液体組成物14を濾過することによって対象とする分析物(存在する場合)を含む濾液16が形成される。対象とする分析物は、液体組成物14の可溶性物質又は不溶性物質中に存在しうる。対象とする分析物が不溶性物質中に存在する場合、かつ破片又は不要な物質から対象分析物を除去するためにフィルターが使用される場合、フィルターは通常、対象分析物(及び場合により他の同様のサイズの不溶性物質)を濾液16としてフィルターを通過させる一方で、比較的大きな不溶性物質17がフィルターを通過するのを制限するように構成される。したがって、濾液16もいくらかの不溶性物質をも含みうる点は理解されるべきであり、不溶性物質17は簡単のため、及びあくまで一例として、液体組成物14から除去されている状態が図1に示されている。この後、試料18が濾液16の少なくとも一部から形成され、この試料18を培養、分析などの目的で供給することが可能である。各種の試料調製システムからの試料18を増殖、濃縮、分析などの1以上を行うために一緒に蓄えることが可能である。
【0026】
本開示の全体を通じて、液体組成物14、濾液16、及びそれらのあらゆる試料18の内の1以上のものを、対象分析物を含むものとして述べる場合がある。しかしながら、特定の実施形態では、液体組成物14は対称分析物を含まない場合があり、試料を分析した場合に陰性の試験結果が得られる場合がある。例えば、食品源から試料が調製され、その試料を特定の細菌について試験したが、この食品源がその細菌を含んでいなかった場合、その食品から形成される液体組成物14、並びにそのあらゆる濾液16及び試料18もやはり対象とする細菌を含まないことになる。したがって、液体組成物14、濾液16、及びこれらから採取されるあらゆる試料18の1つ以上が対象分析物を含むものとして述べられたとしても、これは対象分析物が存在した場合にのみ当てはまることは理解されるべきである。
【0027】
図1に示し、上記に述べた試料の調製及び供給方法10はあくまで一例として図示及び説明するものである。しかしながら、当業者であれば、本開示の試料の調製及び供給方法は図1に示し、上記に述べたすべての工程を含む必要はない点は理解されるはずである。例えば、本開示の特定の実施形態では、試料の調製及び供給方法は濾過工程を含まず、その代わりに液体組成物14の試料が培養、分析などの目的で供給される。
【0028】
希釈剤13は一般的には液体であり、特定の実施形態では滅菌された液体である。特定の実施形態では、希釈剤13として、これらに限定されるものではないが、界面活性剤、又は後の分析物の試験のために分析物源の分散、溶解、懸濁又は乳濁を助ける他の適当な添加剤、レオロジー添加剤、抗微生物中和剤(例、防腐剤又は他の抗微生物剤を中和するもの)、栄養素(例、望ましい微生物の選択的増殖を促進するもの)及び/又は増殖阻害剤(例、望ましくない微生物の増殖を阻害するもの)を含む増菌又は成長培地、pH緩衝剤、酵素、指示分子(例、pH又は酸化/還元指示剤)、胞子発芽剤、消毒剤を中和するための薬剤(例、塩素のチオ硫酸ナトリウムによる中和)、細菌の甦生を促進することを目的とした薬剤(例、ピルビン酸ナトリウム)、又はこれらの組み合わせなどの各種の添加剤を挙げることができる。特定の実施形態では、希釈剤13は、滅菌水(例、滅菌再蒸留水(ddH2O))、分析物源を選択的に溶解、分散、懸濁又は乳濁する1以上の有機溶媒、水性有機溶媒、又はこれらの組み合わせを含む。特定の実施形態では、希釈剤13は滅菌緩衝溶液(例、エッジバイオロジカル社(Edge Biological)(テネシー州メンフィス)より販売されるButterfield緩衝液)である。特定の実施形態では、希釈剤13は選択的又は半選択的栄養製剤であることにより、希釈剤13を所望の分析物(例、細菌)の選択的又は半選択的な増殖に使用することができる。こうした実施形態では、希釈剤13を分析物源12と所定の時間(例、特定の温度において)インキュベートすることによって所望の分析物のこうした増殖を促進することができる。
【0029】
成長培地の例としては、これらに限定されるものではないが、トリプティックソイブロス(Tryptic Soy Broth)(TSB)、緩衝ペプトン水(BPW)、ユニバーサルプレエンリッチメントブロス(Universal Pre-enrichment Broth)(UPB)、リステリア増菌基礎培地(LEB)、ラクトースブロス、Boltonブロス、又は当業者には周知の他の汎用、非選択的、又は軽度に選択的な培地が挙げられる。成長培地は、1以上の所望の微生物(対象分析物)の増殖を支持する栄養素を含みうる。
【0030】
増殖阻害剤の例としては、これらに限定されるものではないが、胆汁塩、デオキシコール酸ナトリウム、亜セレン酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、塩化リチウム、亜テルル酸カリウム、テトラチオン酸ナトリウム、スルファセタミドナトリウム、マンデル酸、テトラチオン酸システインセレナイト(selenite cysteine tetrathionate)、スルファメタジン、ブリリアントグリーン、マラカイトグリーンオキサレート、クリスタルバイオレット、タージトール4、スルファジアジン、アミカシン、アズトレオナム、ナリジクス酸、アクリフラビン、ポリミキシンB、ノボビオシン、アラフォスファリン、有機及び鉱酸、バクテリオファージ、ジクロランローズベンガル、クロラムフェニコール、クロロテトラサイクリン、特定の濃度の塩化ナトリウム、スクロース及び他の溶質、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0031】
特定の実施形態では、分析物源12が希釈剤13を含むことにより、液体組成物14は分析物源12及び希釈剤13を含んだものになるが、希釈剤13は別に加えたものではない。例えば、相当量の水又は他の液体を含む食品源を混合することによって、分析物源12及び希釈剤13を含む液体組成物14を、別の希釈剤13を加える必要なく形成することができる。特定の実施形態では、分析物源12を希釈剤13に実質的に溶解することが可能であり、これにより液体組成物14が最小量の不溶性物質15を含んだものとなり、濾過工程が不要になる。
【0032】
図14は、本開示の一実施形態に係る試料の調製及び供給システム801を示したものである。試料調製及び供給システム801は、試料調製システム800、及び試料調製システム800に結合された試料供給システム803を有し、試料供給システム803は試料調製システム800と流体連通している。試料調製システム800は分析物源812から試料を調製し、試料供給システム803は試料調製システムから試料を除去及び/又は培養、分析(例、対象検体の有無を識別する)を行うために試料を供給するように構成されている。
【0033】
図2〜13は、本開示に係る試料調製システムの異なる実施形態を示したものであり、図14〜16は、本開示に係る試料調製及び供給システムの異なる実施形態を示したものであり(試料調製システム及び試料供給システムの異なる実施形態を含む)、図17A〜21Bは、本開示に係る試料供給システムの異なる実施形態を示したものである。
【0034】
図2は、本開示の一実施形態に係る試料調製システム100を示したものである。図2に示されるように、試料調製システム100は、容器102、ライナー104、蓋106、カラー108、及びカバー109を含む。特定の実施形態では、試料調製システム100の1以上の要素は滅菌状態であるか、又は、蒸気、γ線照射、酸化エチレン、過酸化水素、過酢酸、水/アルコール溶液、漂白剤、及びこれらの組み合わせなどの滅菌及び殺菌法によって滅菌可能である。試料調製システム100と類似する特徴を有するシステムが、国際公開第WO98/32539号、米国特許第6,536,687号及び同第6,588,681号、国際公開第2004/060574号、同第2004/060575号、同第2004/0164182号、同第2004/094072号、国際公開第WO2007/079143号、同2007/079188号に述べられており、これらはいずれもその全容を本明細書に援用するものである。
【0035】
本開示の特定の実施形態では、複数の試料調製システム100を使用することによって、複数の同じ試料調製システム100を並列に使用(あるいは試料を蓄える)することで試料の調製を促し、生産性/生産量を向上させることができる。こうした実施形態では、複数の試料調製システム100を少なくとも部分的に一体形成するか、あるいは別体として形成することができる。例えば、特定の実施形態では、複数のライナー104を1個の比較的大きな容器102(例えば、ライナー104用の複数のリザーバを有するもの)内で使用することができる。
【0036】
特定の実施形態では図2に示されるように、容器102は自立式及び/又は自己支持型であり、底127及び側壁129を含んでいる。「自立式」なる用語は、圧し潰れたり歪んだりすることなく、また、別の物体によって保持されることなく、それ自体で立つことが可能な物体を指すものとして一般的に用いられる。「自己支持型」なる用語は、それ自身の重量によって圧し潰れたり変形することのない物体を指すものとして一般的に用いられる。例えば、バッグは、それ自身の重量により、その形状が保たれずに圧し潰れたり歪んでしまうため、通常「自己支持型」ではない。自己支持型の物体は必ずしも自立式ではない。
【0037】
容器102は、これらに限定されるものではないが、高分子材料、金属(例、アルミニウム、ステンレス鋼など)、セラミック、ガラス、及びこれらの組み合わせを含む様々な材料で形成することができる。高分子材料の例としては、これらに限定されるものではないが、ポリオレフィン(例、ポリエチレン、ポリプロピレン、これらの組み合わせなど)、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリスチレン、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン、自立式及び/又は自己支持型容器を形成することができる他の適当な材料、又はこれらの組み合わせが挙げられる。容器102は、半透明(又は更には透明)であってもよく、分析しようとする分析物源の種類、量、及びサイズに応じて任意の適当なサイズとすることができる。例えば、特定の実施形態では、容器102は50mL、100mL、250mL、又はこれよりも大きな容量を有してもよい。
【0038】
特定の実施形態では、図2に示されるように、試料調製システム100は、容器102内に受容されるような形状及び寸法に構成されたライナー104を有する。ライナー104は使い捨て(例、1回の使用用とする)とすることによって大きな汚染のリスクなく、また各使用の間に大がかりな洗浄を行う必要なく容器102を再使用することが可能である。後に詳述し、また図9に示されるように、特定の実施形態では、試料調製システムは容器を含まずにライナーを有する。容器なしでライナーが用いられる場合、ライナーは「ライナー」自体として機能するのみではなく、貯蔵部又は容器と一般的に呼ぶこともできる。
【0039】
図2に示されるように、容器102は第1のリザーバ120を画定し、ライナー104は第2のリザーバ122を画定している。ライナー104は、容器102の第1のリザーバ120内に受容されるような形状及び寸法に構成されている。特定の実施形態では、分析物源112及び希釈剤113を第1のリザーバ120に加えることができる。特定の実施形態では、図2に示されるように、ライナー104を使用し、分析物源112及び希釈剤113を第2のリザーバ122内に配置し、ライナー104を第1のリザーバ120内に配置する。第1のリザーバ120又は第2のリザーバ122のいずれに加えられるかによらず、分析物源112と希釈剤113とを加え合わせて(更に攪拌して)液体組成物114を形成することができる。特定の実施形態では、ライナー104は自立式であり、ライナー104又は容器102が液体組成物114を収容可能な自立式の貯蔵部として機能しうる。
【0040】
分析物源112を容器102又はライナー104に最初に加えた後、希釈剤113を加えてもよく、希釈剤113を最初に加えた後に分析物源112を加えてもよく、あるいは、分析物源112と希釈剤113とを同時に加えてもよい。また、分析物源112と希釈剤113とを試料調製システム100に加える前に加え合わせてもよい。
【0041】
希釈剤113が容器102又はライナー104に最初に加えられる特定の実施形態では、予め計量した量の希釈剤113(例、滅菌液体希釈剤)を取り外し可能に結合されるカバー(例、接着剤、熱シール、超音波溶接、又は後述する他の結合手段のいずれかの1以上のものによって容器102又はライナー104に結合される1回使用の取り外し式バリアフィルム)によって容器102又はライナー104内に密封し、分析物源112を加える直前にカバーを取り外すことができる。また、特定の実施形態では、予め計量した量の乾燥粉末媒質(例、対象分析物に対する栄養媒質、及び/又は、対象としない分析物に対する増殖阻害剤)を取り外し可能に結合されるカバーによって容器102又はライナー104内に密封するか、あるいは所望の媒質を容器102又はライナー104の内面上にコーティングするか又は吸着させてもよい。こうした実施形態では、分析物源112を加えるのに先立って又はそれと同時にカバーを取り外し、溶媒(例、ddH2O)を加えることによって希釈剤113を形成することができる。また、分析物源112が媒質を溶解できるだけの充分な液体を含んでいる場合には、分析物源112を乾燥粉末媒質に加えることによって、分析物源112及び希釈剤113(例、分析物源112によって与えられる溶媒中に溶解された媒質)を含んだ液体組成物114を形成してもよい。
【0042】
特定の実施形態では、容器102及び/又はライナー104(ライナー104が使用される場合)を区画化することによって、それぞれが複数の第1のリザーバ120及び/又は複数の第2のリザーバ122を有するようにしてもよい。複数のリザーバ120/122を、例えば異なる微生物の並行又は同時濃縮、又はこれらの組み合わせを行うための多段階濃縮に使用することができる。一例として、ライナー104は2個の第2のリザーバ122(この例では簡単のためリザーバA及びBと呼ぶ)を有することができる。第1の濃縮媒質をリザーバA内に配置して微生物の一次濃縮を行い、第2の濃縮培地をリザーバB内に配置して同じ微生物の二次濃縮を行うことができる。リザーバA及びBは、例えば、媒質を配置するうえで両方にアクセスが可能であるが、一方には分析物源112が加えられ他方には加えられないように配置することができる。リザーバA内で液体組成物114が形成され、一次濃縮が行われた後、液体組成物114又はその一部をリザーバBに移動して二次濃縮を行うことができる。液体組成物114を、試料調製システム100の攪拌、2個のリザーバA及びBの間の破断可能なバリアの破損など、様々な方法によってリザーバBに移動させることができる。
【0043】
特定の実施形態では、1個の容器102が1以上の第1のリザーバ120を有するように、1個の容器102を複数のライナー104と共に使用することが可能であり、かつ/又は1以上のライナー104(それぞれが1以上の第2のリザーバ122を含む)を容器102内に配置することが可能である。他の構成も可能であり、当業者であれば複数の区画を得るうえで可能な異なる組み合わせが認識されるであろう。どのような構成であるかに関わらず、複数のリザーバ又は区画を、隣接、縦方向、同心状、又はこれらの組み合わせで配置することが可能である。
【0044】
ライナー104は、ポリプロピレン(例、低密度ポリエチレン(LDPE))、ポリエチレン、及びポリ(メチルペンテン)を含むがこれらに限定されないポリオレフィン、ポリアミド(例、NYLON(登録商標))、又はこれらの組み合わせを含む(これらに限定されない)各種の高分子材料を含む様々な材料で形成することができる。特定の実施形態では、ライナー104は熱成形法などの成形法によって成形される。ライナー104は半透明(又は更には透明)又は不透明であってもよい。
【0045】
特定の実施形態では、図2に示されるようにライナー104は自立式及び/又は自己支持型であり、いずれの場合にも、分析物源112及び希釈剤113を、ライナー104を容器102内に配置するのに先立って、ライナー104が圧し潰れたり歪んだりすることなく、ライナー104内に充填することが可能である。更に、自立式及び/又は自己支持型ライナー104は、重量の測定、分析物源112及び/又は希釈剤113の添加、輸送、取り扱い、及び/又は試料の除去をしやすくできる。
【0046】
特定の実施形態では、ライナー104は自己支持型及び/又は自立式であると同時に更に変形可能である。「変形可能」なる用語は、圧力(例、陽圧又は陰圧)又は応力によって最初の形状又は状態から変化しうる構造のことを指して用いられる。変形可能なライナー104を使用した実施形態では、圧力をライナー104に作用させることでライナー104のサイズを最初の(つまり、応力が作用していない)寸法から減少させることができる。こうした圧力を用いてライナー104からの液体組成物114(又はその濾液)の除去を促進することができる。こうした実施形態では、ライナー104は、液体組成物114を収容することが可能な変形可能な自己支持型の貯蔵部として機能しうる。特定の実施形態では、変形可能な自己支持型貯蔵部は自立式でもある。
【0047】
特定の実施形態では、図2に示されるように容器102の底127には開口部124が形成されており、これを通じて使用者がライナー104にアクセスしてライナー104に圧力を加えて変形させることができる。こうした圧力は手で直接作用させるか、あるいは更なる装置によって作用させてもよく、手動又は自動プロセスであってもよい。開口部124は望ましい用途に基づいた形状及び寸法に構成することができる。特定の実施形態では、容器102の底127は側壁129の単なる最下部、あるいは側壁129がやや内側に突出した部分であることから、容器102の底部においてライナー104に容易にアクセスすることが可能である。上記の別法の特定の実施形態では、容器102の開口部124は容器102の底部の大部分(例えば、容器102の断面積の大部分)を形成しており、底127は開口部124を囲む容器102のわずかな部分のみとなっている。ライナー104を用いない実施形態では、容器102は開口部124を含む必要はない。
【0048】
特定の実施形態では、ライナー104は比較的堅い底126及び比較的薄くかつ変形可能な側壁128を有し、これにより底126に対してライナー104の長手方向軸に平行な方向に(例えば、容器102の開口部124を介して)圧力が加えられると、ライナー104は長手方向に変形する(底126ではなく側壁128が圧し潰れることにより)。これに代えるか、あるいはこれに加えて、底126は側壁128よりも厚くともよい。あくまで一例として、特定の実施形態では側壁128の厚さは少なくとも50μmであり、特定の実施形態では少なくとも100μmであり、特定の実施形態では少なくとも150μmであり、特定の実施形態では少なくとも200μmである。特定の実施形態では、底126の厚さは少なくとも225μmであり、特定の実施形態では275μmであり、特定の実施形態では少なくとも300μmであり、特定の実施形態では少なくとも350μmである。
【0049】
ライナー104は更に、1以上のバッフル、プリーツ、波状部、シーム、接合部、ガセット、低強度部分(例、環状の低強度部分)、又はこれらの組み合わせを含んでもよく、これらを取り入れることによってライナー104の変形性を制御することを助け、かつ/又はライナー104の内容量を更に低減することができる。特定の実施形態では、後に詳述され、更に図9に示されるように、ライナー104はアコーディオン式の構成を含む。特定の実施形態では、ライナー104は内面、特に底126と側壁128との内側接合部において一切の溝を含まない。
【0050】
特定の実施形態では、ライナー104を意図的に変形させることによってライナー104の表面形状に乱れを生じさせる。このように乱れた表面形状は、攪拌時に分析物源112を細かくするうえで役立つ。例えば、特定の実施形態では、ライナー104の側壁128と容器102との間に障害物(例、比較的堅い材料)を配置することによってライナー104の側壁128に異なる表面形状を与えることができる。
【0051】
図2に示されるように、容器102は容器102内の内容物の量(すなわち、体積)を示す標示130を含んでもよい。標示130を使用することによって、例えば、希釈剤113に対する分析物源112の重量比が1:100〜1:1の範囲である場合に液体組成物114の望ましい重量比を得ることができる。好適な標示の一例が、米国特許第6,588,681号に述べられている。これに代えるか、あるいはこれに加えて、ライナー104が標示を含んでもよい。容器102及び/又はライナー104上で標示130を使用できるようにするためには、容器102及び/又はライナー104を半透明又は更には透明とすることで容器102の側壁129及び/又はライナー104の側壁128を通じて液体組成物114が見えるようにする。側壁128及び129も、商標、ブランド名などの他の種類のマーキングを有してもよい。容器102又はライナー104内に受容されるような寸法を有するとともに、容器102又はライナー104の内面に対して外側(すなわち、径方向に)に押し付けられるような充分な内部応力を含む材料で形成することが可能なフィルム上に標示130を設けることもできる。
【0052】
図2に示される実施形態では、蓋106がライナー104に取り外し可能に結合され、カラー108を使用して蓋106を容器102に対して更に固定している。例えば図2では、容器102は、側壁129の外面の上端に、カラー108(容器102のネジ山131と係合可能な雌ネジ山133を有する)を容器102の上端にねじ付けることができるような形状及び寸法に構成されたネジ山131を含む。蓋106を容器102に対して固定するためにカラー108を使用する代わりに、締め付け具及び/又は後述する他の結合手段のいずれかを含む他の結合手段を使用することができる。特定の実施形態では、ライナー104を使用せず、蓋106を容器102に直接結合することができる。こうした実施形態では、カラー108を使用する必要はない。したがって、蓋106は容器102又はライナー104のいずれかとシール(例、密閉シール)を形成することができる。特定の実施形態では、蓋106と容器102(又は蓋106とライナー104)とは一体形成されるかあるいは永久的に結合される。
【0053】
蓋106とライナー104との間、蓋106と容器102との間、及び/又は、カラー108と容器102との間のいずれかにおいて各種の結合手段を用いることで、各要素を互いに取り外し可能に結合することができる。こうした結合手段としては、これらに限定されるものではないが、重力(例えば、1つの要素を別の要素又はその嵌合部分の上に置く)、ネジ山、圧入係合(しばしば「摩擦嵌め係合」又は「締り嵌め係合」とも呼ばれる)、スナップ嵌め係合、磁石、接着剤、熱シール、他の適当な取り外し可能な結合手段、及びこれらの組み合わせが挙げられる。特定の実施形態では、分析物源112及び希釈剤113を加えた後に試料調製システム100を再び開く必要がないことから、容器102、ライナー104、蓋106及びカラー108を互いに取り外し可能に結合する必要はなく、代わりに互いに永久的又は半永久的に結合することができる。このような永久的又は半永久的結合手段としては、これらに限定されるものではないが、接着剤、縫合、ステープル、ネジ、クギ、リベット、無頭釘、クリンプ、溶接(例、音波(例、超音波)溶接)、任意の熱接着法(例、結合される要素の一方又は両方に加えられる熱及び/又は圧力)、スナップ嵌め係合、圧入係合、熱シール、他の適当な永久的又は半永久的結合手段、及びこれらの組み合わせが挙げられる。当業者であれば、永久的又は半永久的結合手段の特定のものを取り外し可能に構成することも可能であり、またその逆も可能であって、あくまで例としてこのように分類したことは認識されるであろう。
【0054】
図2及び3に示されるように、蓋106は更に、フィルター134に結合可能なポート132、ライナー104内に受容されるような寸法に構成された円筒状部分136、及び、円筒状部分136からポート132に延びるほぼ円錐状(例、切頭円錐)の部分138を含む。円筒状部分136と円錐状部分138との間の接合部において、蓋106は、円筒状部分136及び円錐状部分138から径方向外側に延びるリップ140を更に含む。
【0055】
特定の実施形態では、フィルター134は蓋106に直接結合される。特定の実施形態では、図2〜3に示されるように、フィルター134はフレーム135によって支持され、フレーム135を介して蓋106に結合されてもよい。フレーム135はフィルター134の一部を形成してもよく、フィルター134及び蓋106の両方に結合される別の要素としてもよい。フレーム135は、これらに限定されるものではないが、各種のポリマー、金属、セラミック、ガラス、及びこれらの組み合わせを含む様々な材料で形成することができる。図2〜3に示される実施形態では、フィルター134は金属メッシュで形成されており、フレーム135は金属フィルター134に結合したポリマーで形成されている。後に詳述するようにフレーム135は蓋106に結合されている。
【0056】
図2及び3に示される実施形態のフィルター134及びフレーム135は、蓋106の下端よりも下方に延びるような形状及び寸法に構成されているため、試料調製システム100が組み立てられた際に、フィルター134及びフレーム135はライナー104の第2のリザーバ122内(又は容器102の第1のリザーバ120内)に延びることになる。しかしながら、フィルター134及びフレーム135は様々な形状及びサイズとすることができる。特定の実施形態では、例えば、フレーム135は堅い上側部分(例えば、蓋106に結合される部分)と堅い下側部分とを有し、フィルター134をそれらの間に結合することが可能であり、フィルター134は圧し潰すことができるものでよい。このような実施形態を後に詳述し、図9に示す。
【0057】
蓋106の円筒状部分136は、ライナー104の内面に対して円筒状部分136をスナップ嵌め又は圧入することができるように複数の外周で外側に突出した突起部142を有している。特定の実施形態では、ライナー104の内面が、外側に突出した突起部142の代わりに、あるいは外側に突出した突起部142に加えて使用される内側に突出した突起部を有してもよい(例えば、外側に突出した突起部142と嵌合関係を形成するため)。
【0058】
ライナー104は、ライナー104の側壁128から径方向外側に突出して容器102の上面146及び蓋106のリップ140と当接関係を形成することが可能なリップ144を含むことができ、これにより、試料調製システム100が組み立てられる際に、ライナー104のリップ144が蓋106のリップ140と容器102の上面146との間に位置してシール(例、密閉シール)が形成される。図2に示されるように、カラー108は内側に突出したリップ156を含むことから、カラー108が容器102と結合される際に、カラー108のリップ156が蓋106のリップ140をライナー104のリップ144と接触するように押圧し、ライナー104のリップ144が容器102の上面146と接触するように押圧される(例えば、これによってより完全なシールが形成される)。試料調製システム100を組み立てるための、かつ試料調製システム100の各要素間にシールを形成するための上記に述べた手段はあくまで一例として説明及び図示したものである。しかしながら、当業者であれば、試料調製システム100の各要素を組み立てシールを形成する(例、液密シール、密閉シール、又はこれらの組み合わせ)うえで様々な他の機構を使用することが可能であり、これにより通常の動作条件下で試料調製システム100の漏れが防止される点は理解されるであろう。
【0059】
図2及び3に示される実施形態の蓋106はほぼ円錐状又は切頭円錐状の形状を有するものとして示されている。一方、蓋106は様々な他の形状を有することができ、こうした形状としては、これらに限定されるものではないが、円筒形状、長方形又は正方形の断面を有する管状形状、又は試料調製システム100の他の要素と結合するうえで適した他の形状が挙げられることが理解されるであろう。同様に、容器102、ライナー104、及びカラー108も図2に示されるほぼ円筒状の形状以外の様々な形状を有しうるものである。更に、蓋106を、試料調製システム100の他の要素を収容するような寸法に構成することができる。
【0060】
蓋106は、容器102に関して上記に示した材料を含む様々な材料で形成することができる。蓋106は用途に応じて半透明(又は更には透明)又は不透明であってもよい。
【0061】
カラー108は、これらに限定されるものではないが、各種の高分子材料、金属材料、及びこれらの組み合わせを含む様々な材料で形成することができる。例えば、カラー108は成型されたプラスチック製要素、又は機械加工された金属(例えば、アルミニウム)製要素で形成することができる。特定の実施形態では、カラー108はグラスファイバーで強化されたポリプロピレンからなる成型プラスチック要素から形成される。
【0062】
図2に示されるように、蓋106のポート132はほぼ円筒状かつ管状の形状を有することにより、ポート132は蓋106の内面153の一部分152及び蓋106の開口部154を画定している。蓋106は中空であり、試料調製システム100が組み立てられる際には第2のリザーバ122と流体連通する。ポート132は円筒状である必要はなく、代わりに特定の用途で必要とされる任意の形状とすることができる。図2及び3に示される実施形態では、フィルター134はポート132と結合されて(すなわち、フレーム135を介して)おり、蓋開口部154及び第2のリザーバ122と流体連通している。
【0063】
図2に示される実施形態では、カバー109はポート132の少なくとも一部を受容するような形状及び寸法に構成されている。その結果、カバー109は蓋106のポート132と結合されることによって蓋106の開口部154を閉鎖し、試料調製システム100を外部環境からシールすることができる(例、密閉シール)。カバー109は上記に述べた結合手段の任意のものを用いて蓋106に結合することができる。カバー109は蓋106と一体形成してもよく(例、後に詳述し、図13に示されるような押し上げスナップ式のカバー)、あるいは蓋106とは別体とすることもできる(例、後に詳述し、図9〜12に示されるようなネジ式のカバー)。カバー109は、容器102又はカラー108に関して上記に示した材料を含む様々な材料で形成することができる。
【0064】
特定の実施形態では、蓋106は、外部環境から蓋106の内部の少なくとも一部を隔離する破断可能若しくは貫通可能なバリア又は剥離可能なフィルムを有しているため、バリアに穿孔若しくは穿刺するか、又はフィルムを剥離することによって蓋106の内部にアクセスすることができる。こうした実施形態では、カバー109を使用する必要はない。
【0065】
図3に示されるように、蓋106の内面153には他の要素(例、その概念を図5〜6に示し、後述する追加的又は代替的フィルター)を結合することが可能な様々な内周縁部を設けることができる。内周縁部は、縁部に結合されることが望ましい他の要素の種類に応じて任意の望ましい向きを有することができる。特定の実施形態では、内周縁部は蓋106の長手方向中心軸に対してほぼ直交する向きであるため、図3では縁部はほぼ水平となっている。
【0066】
更に、蓋106は他の要素(例、フィルター)を結合することが可能な内側に延びる様々な部材を含むことができる。例えば、図3に示されるように、フィルター134はフレーム135によって支持されており、蓋106は、上記に述べた結合手段のすべてを含む(ただし、これらに限定されない)各種の結合手段を介してフレーム135を結合することが可能な内側に延びる部材155を含んでいる。内側に延びる部材155は蓋106と一体形成されてもよい。
【0067】
フィルター134は液体組成物114を充分に濾過することができるものであれば任意の幾何学的形状のものであってもよい。特定の実施形態では、フィルター134は変形可能及び/又は圧潰可能(フィルター134がそれ自身の重さで折れ曲がる)である。特定の実施形態では、フィルター134は剛性であり、その形状が維持される(それ自身の重さで折れ曲がらない)。試料調製システム100で使用されるフィルター134のサイズ及び数、並びにその多孔度は、分析物源112中の所望の分析物及び不溶性物質に応じて異なりうる。
【0068】
あくまで一例として、特定の実施形態では液体組成物114は食品からなり、所望の分析物は細菌であり、不溶性物質は食品の粒子又は破片である。こうした実施形態では、例えば、フィルター134は、食品粒子を保持及び/又は分離する一方で、対象とする細菌(存在する場合)は後の分析のためにフィルター134を通過させるようなものを選択することができる。更なる例として、特定の実施形態では、液体組成物114は溶解した細菌細胞培養物からなり、所望の分析物はDNA、RNA、タンパク質、又は代謝物質の内の1以上のものであり、不溶性物質は細胞の破片である。こうした実施形態では、例えば、フィルター134は、細胞破片を保持及び/又は分離する一方で、所望のDNA、RNA、タンパク質及び/又は代謝物質は後の分析のためにフィルター134を通過させるように選択又は処理(例、抗体などの生体分子結合物質で誘導体化する)することができる。あるいは、例えばフィルター134は、所望のDNA、RNA、タンパク質及び/又は代謝物質は保持する一方で、細胞破片はフィルター134を通過させるように選択又は処理してもよい。
【0069】
フィルター134は、液体組成物114からの粒子を保持する一方で、液体組成物114中の所望の分析物(存在する場合)は抽出及び試料採取のためにフィルター134を通過させるのに充分な様々な孔径を有してもよい。また、フィルター134は所望の分析物は保持する一方で不要な物質はフィルター134を通過させるようなサイズ、電荷とし、かつ/又は官能化することもできる。こうした実施形態では、試料はフィルター134の少なくとも一部を含んでもよく、これを更に処理(例、増殖、濃縮、分析など)することができる。
【0070】
特定の実施形態では、フィルター134は平均孔径又はメッシュサイズが少なくとも2μmであり、特定の実施形態では少なくとも5μmであり、特定の実施形態では少なくとも40μmであり、特定の実施形態では少なくとも80μmであり、特定の実施形態では少なくとも120μmである。特定の実施形態では、フィルター134は平均孔径又はメッシュサイズが最大で2000μmであり、特定の実施形態では最大で1000μmであり、特定の実施形態では最大で500μmであり、特定の実施形態では最大で200μmであり、特定の実施形態では最大で50μmであり、特定の実施形態では最大で10μmであり、特定の実施形態では最大で1μmである(例、細菌がフィルター134を通過することを制限することが望ましい場合)。
【0071】
図2及び3に示される実施形態では、フィルター134は、蓋106内に、蓋106の長手方向中心軸とほぼ一致するようにして配置されている。しかしながら、特定の実施形態では、フィルター134は蓋106の「軸線から外れた」位置に配置される。例えば、図2では、蓋106におけるフィルター134の可能な「軸線から外れた」位置を表す開口部158が破線で示されている。代替的又は追加的ポートを開口部158の位置に配置して開口部に結合することもできる。フィルター134は一方又は両方の位置に永久的又は取り外し可能に結合することができる。
【0072】
特定の実施形態、特にライナー104を使用しない実施形態では、フィルター134は、容器102の側壁129の開口部160又は容器102の底127の開口部124(又は容器102の底127の異なる位置に形成された開口部)を通じて試料調製システム100の内部(すなわち、容器102の第1のリザーバ120)に代替的又は追加的にアクセスすることが可能である。こうした実施形態では、フィルター134を容器102の側壁129又は底127に永久的又は取り外し可能に結合することができる。代替的又は追加的ポートを開口部160及び124の位置に配置して開口部に結合することもできる。特定の実施形態では、試料調製システム100は、蓋106のポート132、蓋106の開口部158の位置の更なるポート、容器102の側壁129の開口部160の位置の更なるポート、及び/又は、容器102の底127の開口部124の位置の更なるポートのような複数のポートを含むことができる。カバー109又は同様の閉鎖装置を使用して、試料調製システム100の任意の位置のポートの任意のものをシールすることができる。
【0073】
フィルター134の可能な異なる位置のため、フィルター134は試料調製システム100におけるその位置及び特定の用途に適応した形状及び寸法に構成することができる。フィルター134の可能な任意の位置において、フィルター134は、望ましい濾過の種類及びフィルター134が液体組成物114をどのように濾過することを目的としているかに応じて、液体組成物114の液面165よりも完全に上側又は完全に下側となるように配置するか、あるいは、液体組成物114の液面165よりも部分的に上側かつ部分的に下側となるように配置することができる。例えば、図2に示される実施形態では、フィルター134はポート132に結合されており、液体組成物114の液面165の高さに応じて、ポート132から試料調製システム100の内部へと通常は延びることから、フィルター134は液体組成物114の液面165よりも部分的に上側かつ部分的に下側となるように位置することになる。
【0074】
フィルター134はライナー104の内部及び液体組成物114と流体連通し、液体組成物114を濾過して濾液116を形成する機能を有する。濾液116はフィルター134の容積内に置かれ、隣接するポート132から抽出及び/又は試料採取することができる。複数の位置でフィルター134が用いられる実施形態では、濾液116は上記に述べたポート又は開口部のいずれから試料を採取してもよい。
【0075】
フィルター134は、これらに限定されるものではないが、ナイロン、フッ素化ポリマー(例、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))、セルロース誘導体(例、酢酸セルロース及びニトロセルロースなどの改質セルロース)、グラスファイバー、紙、及びこれらの組み合わせの1以上を含む様々な材料から形成することができる。特定の実施形態では、フィルター134は織布ウェブ、不織布ウェブ、成形構造、発泡材、布地、繊維ウェブ、及びこれらの組み合わせで形成することができる。フィルター134の表面積は、フィルター134をプリーツ加工することにより、あるいは他の同様の方法によって増大させることができる。フィルター134の厚さはカレンダー加工又はフェルト化処理によって調節することができる。
【0076】
特定の実施形態では(フィルター134がどの位置にあるかによらず)、フィルター134を分析物源112の保持部又は貯蔵部として使用することができる。この概念の一例を図4に示し、後述する。
【0077】
上記に述べたようにライナー104は使い捨てとすることができる。更に特定の実施形態では、蓋106、カバー109、及びフィルター134の内の1以上のものをやはり使い捨てとすることができる。例えば、特定の実施形態では、蓋106をライナー104に結合し、カバー109及びフィルター134を蓋106に結合することができる。ライナー104、蓋106、フィルター134及びカバー109が、容器102又はカラー108を汚染することなく使用することが可能な試料調製システム100の使い捨て部分を形成してもよい。この使い捨て部分を容器102から取り外して処分することができる。この後、容器102及びカラー108を、新たなライナー104、蓋106、フィルター134及びカバー109とともに再使用することができる。
【0078】
図4は、本開示の別の実施形態に係る試料調製システム200を示したものであり、同様の参照符合は同様の要素を表わしている。試料調製システム200は、図2〜3に示される実施形態に関して上記に述べたものと多くの同じ要素及び特徴を共有している。したがって、図2及び3に示される実施形態の要素及び特徴に相当する要素及び特徴には、200番台の同様の参照符合を付すものとする。図4に示される実施形態の特徴及び要素(並びにこれらの特徴及び要素の代替物)のより完全な説明については図2及び3についての上記の説明文を参照されたい。
【0079】
試料調製システム200は、容器202及び蓋206を含む。試料調製システム200はライナーを有さず、蓋206が容器202に直接結合されている。試料調製システム200は更に、容器202の側壁229に形成された開口部260に流体移動可能に結合されたフィルター234を含む。試料調製システム100のフィルター134と異なり、フィルター234は分析物源112の保持部又は貯蔵部として機能する。
【0080】
フィルター234を容器202に永久的に結合し、分析物源212をフィルター234に加えることができる。あるいは、フィルター234を取り外し可能に容器202に取り外し可能に結合し、フィルター234を容器202に結合する前又は後に分析物源212をフィルター234に加えることができる。特定の実施形態では、フィルター234は容器202の第1のリザーバ220内で自由に浮動することが可能であり、これによりフィルター234は分析物源212を含み、希釈剤213がフィルター234の内部へ又はその外へと流れることが可能であるために分析物源212と混合されることになる。
【0081】
分析物源212がフィルター234内に位置し、フィルター234が容器202内の希釈剤213の液面よりも少なくとも部分的に下側に配置されて容器202の内部と流体連通しているため、分析物源212が希釈剤213と加え合わされて、フィルター234内で液体組成物214を形成する。フィルター234内に位置する液体組成物214は、希釈剤213中に対象とする分析物(存在する場合)及び分析物源212からのあらゆる他の可溶性又は不溶性物質を含んでいる。攪拌時には、分析物源212と希釈剤213とが混合され、分析物源212が希釈剤213中に溶解、分散、懸濁及び/又は乳濁する。フィルター234の孔径は、希釈剤213及び希釈剤213中のすべての対象分析物(存在する場合)がフィルター234の内外に自由に流れるように適合され、これにより、生じた濾液216はフィルター234の外部かつ容器202のリザーバ220の内部に位置し、希釈剤213及び存在するあらゆる対象分析物を含んだものとなる。
【0082】
濾液216は、蓋206内のポート232、蓋206内の開口部258、容器202の側壁229内の更なる開口部、及び/又は容器202の底227の開口部224のような様々なポート又は開口部から試料として採取することができる。更に、フィルター234は、開口部260を介して試料調製システム200に結合する代わりに、蓋206のポート232、蓋206の開口部258、及び/又は容器202の底227の開口部224のような様々なポート又は開口部のような様々なポート又は開口部のいずれかを介して試料調製システム200と結合することができる。特定の実施形態では図4に示されるように、1以上のポートが、試料調製システム100のフィルター134と同様に機能する更なるフィルター234’含むことができる。こうした実施形態では、濾液216がフィルター234’によって更に濾過され、生じた濾液216’はフィルター234’内に置かれ、隣接するポート(すなわち、図4のポート232)から抽出及び/又は試料採取することができる。
【0083】
試料調製システム200は更にライナーを含むことができ、その場合、開口部260の位置においてライナーと容器202との間に充分なシールが与えられていれば、希釈剤213及び得られた濾液216がライナー内に位置してもよい。
【0084】
図5及び6は、本開示の別の実施形態に係る試料調製システム300を示したものであり、同様の参照符合は同様の要素を表わしている。試料調製システム300は、図2及び3に示される実施形態に関して上記に述べたものと多くの同じ要素及び特徴を共有している。したがって、図2及び3に示される実施形態の要素及び特徴に相当する要素及び特徴には、300番台の同様の参照符合を付すものとする。図5及び6に示される実施形態の特徴及び要素(並びにこれらの特徴及び要素の代替物)のより完全な説明については、図2及び3についての上記の説明文を参照されたい。
【0085】
図5及び6は、試料調製システム300の蓋306のみを示したものである。試料調製システム300の他の要素は、上記に述べ、図2〜4に示した試料調製システムの他の対応する要素の任意のものを含むものと仮定できることから、簡単のために図5及び6には示さない。
【0086】
蓋306は、ほぼ平板状で蓋306の内面353に結合されるフィルター334を有する点を除いては、上記に述べ、図2及び3に示した蓋106とほぼ同様である。蓋306の内面353は、上側内周縁部370及び下側内周縁部368を含む。図5に示されるように、上側内周縁部370は外周371から内周373に延びる下側を向いた表面を含む。同様に、下側内周縁部368は外周376から内周378に延びる下側を向いた表面を含む。フィルター34の外周部は、内面353の上側内周縁部370に結合される。更にフィルター334は保持壁372と接触している。保持壁372は、蓋106の内面353から下側に延びてフィルター334の外周部を保持する。
【0087】
フィルター334を蓋106に関して上記に述べたのと同様の結合手段を用いて蓋306に結合することができる。フィルター334を蓋306に永久的又は取り外し可能に結合することができる。フィルター334と蓋306との間の結合の度合いは、フィルター334の材料、蓋306の材料、結合される表面領域のサイズ及びテクスチャー、並びに使用される結合手段の種類を含むがこれらに限定されない多くの因子に応じて異なりうる。例えば、フィルター334がほつれた縁部を含む場合、より幅の広いかつ/又は刻み目を付けた結合表面領域を使用することができる(例、上側内周縁部370に刻み目を付けることができる)。このような幅広かつ/又は刻み目部分を超音波溶接することによってフィルター334のほつれた縁部が捕捉される。ほつれの量を最小化するにはフィルター334をレーザーを用いて切断すればよく、これによりフィルター334の縁部が融合する。得られたレーザー切断フィルター334ではほつれがあるとしても最小の量であるため、より幅の狭い結合領域を使用することができる。特定の実施形態では、結合領域はフィルター334の外周部の周囲全体に延びている。特定の実施形態では、結合領域の平均の幅(すなわち、フィルター334と同じ平面内でフィルター334の外周部に対してほぼ垂直な寸法)は最大で5.0mmであり、特定の実施形態では、1.0mm〜3.0mmの範囲であってもよい。また、フィルター334は、例えば成型プロセスによって蓋306と一体形成してもよい。
【0088】
フィルター334は蓋306と同じ材料か又は異なる材料で形成することができる。フィルター334は可撓性であってもよく、半剛性であってもよい。特定の実施形態では、フィルター334がナイロン不織布又は織布で形成されるのに対して、蓋306はポリプロピレンなどのポリマーで形成された射出成型部品である。こうした実施形態では、ナイロンフィルター334を超音波溶接法によって蓋306に結合することができる。超音波溶接中に、上側内周縁部370の少なくとも一部が溶融してフィルター334と機械的に結合しうる。ナイロンはポリプロピレンよりも融点が高いため、ナイロンフィルター334は超音波溶接処理の間、その構造的一体性が維持される。こうした実施形態では、上側内周縁部370の少なくとも一部がフィルター334の一部に入り込むことによって、フィルター334の一部が封入される。
【0089】
フィルター334は特定の用途によって異なる寸法及び形状を有することができる。フィルター334は、これらに限定されるものではないが、円形、正方形、長方形、三角形、多角形、星形、他の適当な形状、及びこれらの組み合わせを含む任意の所望の形状を有してもよい。図5及び6に示される実施形態では、フィルター334はほぼ円形の形状を有している。
【0090】
フィルター334の寸法は蓋306のサイズに応じて異なりうる。特定の実施形態では、フィルター334の最大の寸法(長さ、幅、又は直径)は15mm〜100mmの範囲であるが、フィルター334はこれよりも小さいか又は大きい寸法を有してもよい。例えば、特定の実施形態では、フィルター334は円形の形状を有し、直径が56mmのものとすることができる。
【0091】
引き続き図5及び6を参照すると、保持壁372を蓋306と一体形成することができる。特定の実施形態では、図5に示されるように、蓋306は2個以上の保持壁372を含み、この場合、(i)各保持壁372はその厚さよりも大きな外周長を有し、(ii)各保持壁372はフィルター334の外周部に沿って配置され、(iii)2個以上の保持壁372の全周長はフィルター334の外周部の全周長よりも短い。
【0092】
図5に示されるように、蓋306は上側内周縁部370の外周371に沿って互いに等間隔で配置された4個の保持壁372を含む。特定の実施形態では、各保持壁372は、800μm〜1200μmの範囲の厚さと、外周371に沿って1.0mm〜22.0mmの範囲の距離で延びる長さ(すなわち、この例示的実施形態では円弧の長さ)と、1.0mm〜5.0mmの高さとを有する。特定の実施形態では、各保持壁372は保持壁372の周囲の液体の流れを阻害しないように(又は影響が最小となるように)断片化された形態を有する。
【0093】
蓋306は開口部354及び内側に延びる部材355を含む。図2及び3においてフィルター134が蓋106に結合されるのと同様に、更なるフィルター(図示せず)を蓋306に結合するために、内側に延びる部材355を用いることができる。こうした実施形態では、フィルター334は更なるフィルターの下に配置され、更なるフィルターは蓋306の上部からフィルター334までの距離よりも小さい長さ寸法を有しうる。
【0094】
特定の実施形態では、図5及び6に示されるように、フィルター334は蓋306の最小の断面積よりも大きな全表面積を有する。蓋306において、最小の断面積は蓋開口部354の断面積である。特定の実施形態では、複数のフィルターをフィルター334と同じ要領で蓋306に結合することができる。例えば、特定の実施形態では、フィルター334又は更なるフィルター(図示せず)を下側内周縁部368に結合することができる。すなわち、1以上のフィルター334を蓋306に結合して蓋306の内面353の任意の位置に配置することができる。複数のフィルター334が用いられる実施形態では、各フィルター334は互いに似たものでも互いに異なったものでもよい。すなわち、各フィルター334は同じか又は異なる材料で形成してもよく、各フィルター334は同じか又は順次小さくなる孔径を有することができる。
【0095】
一例として、第1のフィルター334を上側内周縁部370に結合し、直径を56mm、要素孔径を80μmとし、1以上の保持壁372で少なくとも部分的に囲むことができるのに対して、第2のフィルター334は下側内周縁部368に結合し、直径を96mm、要素孔径を200μmとし、蓋306の内面353によって少なくとも部分的に囲むことができる。
【0096】
上記に述べたフィルター134、234及び334の任意のものを単一の試料調製システムにおいて互いに組み合わせて使用することができる。例えば、上記に述べたように、フィルター134をフィルター234及び/又はフィルター334と組み合わせて使用することによって、異なる用途のための、及び/又は、液体組成物からより小さい微粒子を順次除去するための一連のフィルターを提供することができる。
【0097】
これに代えて、又はこれに加えて、液体組成物からより小さい微粒子を順次除去するためにフィルター134、234及び334のそれぞれの種類を複数個使用することができる(更に特定の実施形態では入れ子とすることができる)。例えば、目の粗いフィルターが、濾液を回収するために孔径が順次小さくなる後続のフィルターに対してより大きな孔径を有するプレフィルターとして機能するように各フィルターを配置することができる。各フィルターを、直立した試料調製システムで使用するように配置してもよく、かつ/又は各フィルターが傾けられているか逆さまにされた試料調製システムで使用するように配置してもよい。
【0098】
図7は、本開示の別の実施形態に係る試料調製システム400を示したものであり、同様の参照符合は同様の要素を表わしている。試料調製システム400は、図2と3及び図5と6に示される実施形態に関して上記に述べたものと多くの同じ要素及び特徴を共有している。したがって、図2と3及び図5と6に示される実施形態の要素及び特徴に相当する要素及び特徴には、400番台の同様の参照符合を付すものとする。図7に示される実施形態の特徴及び要素(並びにこれらの特徴及び要素の代替物)のより完全な説明については図2と3及び図5と6についての上記の説明文を参照されたい。
【0099】
試料調製システム400は、第1のリザーバ420を有する容器402、第2のリザーバ422を有するとともに、容器402の第1のリザーバ420内に受容される寸法に構成されたライナー404、蓋406、カラー408、及びプランジャー437を有している。蓋406は、上記に述べ、図2〜6に示した蓋106、206及び306と似ているが、2個の上側に延びる突起部439を更に含んでいる。突起部439は試料調製システムを他の装置に結合することを可能とするか、あるいはカバー(図示せず)用の結合手段を提供するものである。蓋406はポート432を有し、ポート432は、試料調製システム400をカバー又は他の装置に結合するための代替的又は追加的な結合手段を提供できる複数の隆起部441を有している。蓋406は、図5と6に示し、上記に述べたフィルター334とほぼ同様のフィルター434を更に含んでいる。
【0100】
特定の実施形態では図7に示されるように、プランジャー437は、容器402の上部に向かう第1の方向D1にプランジャー437が動かされる際にライナー404の外側に陽圧を作用させるように構成される。図7に示されるように、プランジャー437を使用してライナー404の外側に圧力が加えられると、ライナー404が圧縮されて第2のリザーバ422内の容積が減少し、液体組成物414(分析物源412及び希釈剤412を含む)がフィルター434から押し出されて濾液416が形成され、蓋406内に回収される(例えば、図7に示されるように試料調製システム400が逆さまにされる際)。この後、濾液416をポート432を介して試料調製システム400の外に取り出すことができる。
【0101】
特定の実施形態では、プランジャー437はライナー404の内側に陰圧を作用させるように構成される。例えば、特定の実施形態では、容器402の下部に向かう、第1の方向D1とは逆向きの第2の方向D2にプランジャー437が動かされる際にライナー404が拡張するようにプランジャー437をライナー404に結合し、ライナー404の拡張により、ライナー404の内部(第2のリザーバ422)内の圧力が低下し、第2のリザーバ422と試料調製システム400の外側との間に圧力差が生じる。この圧力差により、液体が例えばポート432を介して第2のリザーバ422内に流入する。プランジャー437がライナー404の外側と協働して圧力差が形成される結果、プランジャー437を液体組成物414と接触することなく使用し、汚染のリスクなく再使用することが可能である。
【0102】
特定の実施形態では図7に示されるように、プランジャー437は容器402の底427の開口部424内に受容される寸法に構成されたハンドル443を含むことができる。特定の実施形態では、プランジャー437のハンドル443を、開口部424の大きさにより近くなるようなサイズに構成してもよく、かつ/又はシール手段(例、Oリング)をハンドル443と開口部424との間に配置してシールを形成してもよい。図7に示される実施形態では、ハンドル443は、ライナー404(例、ライナー404の底426)と接触するプランジャー437の部分よりも小さい直径を有している。ライナー404と接触するプランジャー437の部分は、容器402の第1のリザーバ420内に受容されるような寸法に構成されている。しかしながら、特定の実施形態では、プランジャー437は一様な断面を有するか、徐々に小さくなる(例えば、第2の方向D2に向かって)断面を有し、容器402の開口部424はこれに応じたサイズに構成される。図7に示されるプランジャー437はあくまで一例として示したものであり、当業者であれば、様々な形状及びサイズのプランジャーを本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく使用することができる点は理解されるはずである。
【0103】
プランジャー437は容器102に関して上記に示した材料を含む様々な材料で形成することが可能であり、また、プランジャー437は中実であっても中空であってもよい。プランジャー437は用途に応じて半透明(又は更には透明)又は不透明であってもよい。
【0104】
図8は、本開示の別の実施形態に係る試料調製システム500を示したものであり、同様の参照符合は同様の要素を表わしている。試料調製システム500は、図2と3及び図7に示される実施形態に関して上記に述べたものと多くの同じ要素及び特徴を共有している。したがって、図2と3及び図7に示される実施形態の要素及び特徴に相当する要素及び特徴には、500番台の同様の参照符合を付すものとする。図8に示される実施形態の特徴及び要素(並びにこれらの特徴及び要素の代替物)のより完全な説明については図2と3及び図7についての上記の説明文を参照されたい。
【0105】
図8に示されるように、試料調製システム500は、第1のリザーバ520を含む容器502、第1のリザーバ520内に受容される寸法に構成されるとともに第2のリザーバ522を含むライナー504、及び蓋506を含んでいる。カラー(図示せず)を使用して、試料調製システム500の要素同士を更に固定することもできる。第2のリザーバ522は、分析物源512及び希釈剤513を含む液体組成物514を収容するように構成されている。試料調製システム500はフィルター534に結合されたプランジャー537を更に含む。フィルター534は、液体組成物514を濾過して対象とする分析物(存在する場合)を含む濾液516を形成するように構成されている。
【0106】
容器502は、底527、側壁529、及び底527内に画定された開口部524を含む。ライナー504は、側壁528、及び例えば容器502の底527の開口部524を介してアクセスすることが可能な底526を有している。蓋506は、蓋506及び試料調製システム500に開口部554を画定するポート532を含む。プランジャー537は、ポート532内に受容される寸法に構成されたハンドル543を含むため、ハンドル543に試料調製システム500の外部からアクセスしてフィルター534を液体組成物514中に押し込むことができる。特定の実施形態では、プランジャー537のハンドル543を、開口部554の大きさにより近くなるようなサイズに構成してもよく、かつ/又はシール手段(例、Oリング)をハンドル543と開口部554との間に配置してシールを形成してもよい。蓋506は、蓋506の第2のポート内に画定された、軸から外れた開口部558を更に含み、開口部558は例えば試料調製システム500内部から圧力を解放するための排気口として機能しうる。
【0107】
特定の実施形態では図8に示されるように、フィルター534はライナー504の第2のリザーバ522内に嵌るような寸法に構成することができる。こうした実施形態では、フィルター534はライナー504の変形性のためにライナー504の側壁528とシールを形成することが可能であり、フィルター534の外面とライナー504の側壁528の内面との間に更なるシール手段を設ける必要は必ずしもない。ライナー504の変形性により公差の幅も広くなることから、フィルター534のサイズが狭い範囲内に収まっていなくともフィルター534はライナー504と協働することができる。
【0108】
また、特定の実施形態では、試料調製システム500がライナー504を含まず、フィルター534が容器502と協働するように構成してもよい。例えば、フィルター534は容器502の第1のリザーバ520内に嵌るようなサイズに構成することができる。特定の実施形態では、試料調製システム500はフィルター534と容器502の側壁529との間に配置されるシール手段(例、Oリング)を有してもよい。特定の実施形態では、容器502の側壁529は上下に真っ直ぐである(すなわち、底527に対して垂直である)ことによって、フィルター534と側壁529とのシールが容易となる。特定の実施形態では、フィルター534は、容器502の側壁529のテーパにフィルター534が適合できるように外側の変形可能な(例、エラストマー)フランジを含む。こうしたフランジを、フィルター504を使用した実施形態に取り入れることもできる。
【0109】
プランジャー537が方向D1に沿って下方に押されるにしたがって、フィルター534が液体組成物514中を下方に移動し、これにより比較的大きな不溶性物質(フィルター534の孔径よりも大きな粒径を有するすべての微粒子)はフィルター534の下に残り、すべての可溶性物質及び比較的小さな不溶性物質(フィルター534の孔径よりも小さな粒径を有するすべての微粒子)はフィルターを通過して第2のリザーバ522内のフィルター534の上に濾液516が形成される。プランジャー537は、方向D1に停止位置(例えば、ライナー504、フィルター534及び/又はプランジャー537が1以上の停止要素を含み、プランジャー537を第2のリザーバ522内の特定の深さのみに適合するようなサイズに構成する)にまで、又は液体組成物514中のすべての残りの不溶性物質がフィルター534によって少なくとも部分的に圧縮される位置にまで押し込むことができる。
【0110】
特定の実施形態では、プランジャー537のハンドル543を中空とし、第2のリザーバ522と流体連通するようにしてもよい。こうした実施形態では、濾液516の少なくとも一部がプランジャー537のハンドル543の内部に受容され、ハンドル543を介して試料調製システム500から取り出すことができる。こうした実施形態では、プランジャー537はハンドル543の上端に受容されるような寸法に構成されたカバーを含むことができる。また、プランジャー537を中空とし、その底でフィルター534で覆わないようにしてもよく、これにより、液体組成物514の少なくとも一部がプランジャー537のハンドル543の内部に受容されうる。こうした実施形態によれば、液体組成物514が第2のリザーバ522の底部で占める空間が小さくなり、フィルター534を方向D1に沿って第2のリザーバ522内に更に押し下げることが可能となる。
【0111】
図9〜12は、本開示の別の実施形態に係る試料調製システム600を示したものであり、同様の参照符合は同様の要素を表わしている。試料調製システム600は、図2と3に示される実施形態に関して上記に述べたものと多くの同じ要素及び特徴を共有している。したがって、図2と3に示される実施形態の要素及び特徴に相当する要素及び特徴には、600番台の同様の参照符合を付すものとする。図9〜12に示される実施形態の特徴及び要素(並びにこれらの特徴及び要素の代替物)のより完全な説明については図2と3についての上記の説明文を参照されたい。
【0112】
図9に示されるように、試料調製システム600は、レセプタクル604、蓋606、カバー609、及びフィルターアセンブリ633を含んでいる。レセプタクル604は変形可能であり、自己支持型かつ自立式である。レセプタクル604は底626及び側壁628を有している。側壁628はアコーディオン式の構成を含み、複数のプリーツ又は折り目645を含んで、側壁628を各プリーツ645で折り曲げることが可能であり、これによりレセプタクル604をその長手方向軸にほぼ沿って圧し潰すことが容易となり、特に、レセプタクル604をその長手方向軸にほぼ沿ってほぼ均一に圧し潰すことが容易となる。図9に示される実施形態では、側壁628はあくまで一例として複数のプリーツ又は折り目645を含んでいる。しかしながら、側壁628は、側壁628をその長手方向軸にほぼ沿ってほぼ均一に圧し潰すことを可能とする他の構造を含んでもよい点は理解されるはずであり、こうした他の構造としては、側壁628の他の部分よりも剛性が低くかつ/又は厚みの小さい環状の低強度部分があり、環状低強度部分の位置で側壁628が座屈するようなものがある。他の好適な構造も可能であり、本開示の趣旨及び範囲に含まれるものである。
【0113】
レセプタクル604の底626を、強化したり、より剛性の高い材料で形成したり、かつ/又は側壁628に対して厚くすることにより、レセプタクル604がその長手方向軸に沿って圧し潰れやすくすることができる。レセプタクル604は、分析物源及び希釈剤を含む液体組成物を収容するように構成されたリザーバ622を含む。
【0114】
レセプタクル604は、ライナー104に関して上記に示した材料を含む様々な材料で形成することができる。レセプタクル604は用途に応じて半透明(又は更には透明)又は不透明であってもよい。試料調製システム600のいずれか、又はすべての要素を使い捨て(例、1回使用用とする)とすることができる。
【0115】
蓋606は、フィルターアセンブリ633に結合可能なポート632、レセプタクル604内に受容されるような寸法に構成された円筒状部分636、及び、円筒状部分636からポート632に延びるほぼ円錐状(例、切頭円錐)の部分638を含む。円筒状部分636と円錐状部分638との間の接合部において、蓋106は、円筒状部分636及び円錐状部分638から径方向外側に延びるリップ640を更に有している。蓋606のポート632はほぼ円筒状かつ管状の形状であるため、ポート632は内表面652を含み、組立て時に、蓋606内に、また試料調製システム600内に開口部654を画定する。
【0116】
蓋606の円筒状部分636は、レセプタクル604の内面に対して円筒状部分636をスナップ嵌め又は圧入することができるように複数の外周で外側に突出した突起部642を含んでいる。レセプタクル604は、蓋606のリップ640との当接関係を形成することが可能な上面644を含むことができる。蓋606は、上記の取り外し可能な又は永久的な結合手段のいずれかを用いて互いに結合することによってシール(例、液密シール、密閉シール、又はこれらの組み合わせ)を形成することが可能であり、これにより、通常の動作時に試料調製システム600に漏れが生じることが防止される。例えば、複数の外周で外側に突出した突起部642をレセプタクル604の内面に超音波溶接することができる。
【0117】
フィルターアセンブリ633はフレーム635及びフィルター634を含んでいる。フレーム635は上側部分635a及び下側部分635bを含み、フィルター634がそれらの間に結合されている。フレーム635の上側部分635aは、蓋606のポート632に結合されるとともに蓋606のポート632及びレセプタクル604のリザーバ622内に受容されるような形状及び寸法に構成されている。フレーム635は下側部分635bを含む必要はないが、下側部分635bはフィルター634に更なる重量を与え、フィルター634をレセプタクル604のリザーバ622内の液体組成物に曝露することを助けるものである。
【0118】
上側部分635aは、蓋606のポート632内に受容されるような寸法に構成された管状本体647、蓋606のポート632の上に載るような寸法に構成され、環状本体647の上端に結合されたリップ649、及び複数のリブ651を含んでいる。リブ651は、管状本体647の外周に沿って間隔をおいて配置されている。図9に示される実施形態は2個のリブを有しているが、必要に応じてこれよりも少ないか又は多い数のリブを使用することができる。リブ651は、スナップ嵌め係合により蓋606に結合されるような形状に構成されている。詳細には、リブ651は、フレームの上側部分635aがポート632内に動かされるのにしたがってポート632の内表面652に沿って滑るように構成されたカム面675を含んでいる。更に、各リブ651のカム面675により、管状本体647がポート637内に動かされるのにしたがって、各リブ651が径方向内側に押され、更に、ポート632の底部の下側において定位置(すなわち、蓋606の内側)に各リブ651がスナップ嵌合(例、径方向外側に)することが可能である。
【0119】
次いで、カム面675がポート632の内面652と接触し、リブ651がポート632の内面652との接触状態から解放されるまでカム面675が内面652に沿って上側に引き続き滑るような充分な距離だけ少なくとも1つのリブ652を内側に動かすような充分な力でフレーム635のリップ649を上側に引っ張ることによって、フィルターアセンブリ633を蓋606から取り外すことができる。また、各リブ651のカム面675がポート632の内面652と接触するように上向きの力を加えながら、少なくとも1つのリブ651を径方向内側に動かすか、あるいは各リブ651を互いに向かって(例、径方向内側に)押し込み、フレーム635の上側部分635aをポート632の外へと上側に動かすことによってもフィルターアセンブリ633を蓋606から取り外すことができる。
【0120】
図9に示されるフィルター634は圧し潰すことが可能なものであり、フレーム635の下側部分635bの重量によってレセプタクル604のリザーバ622内に少なくとも部分的に下方に垂れ下がりうる。
【0121】
カバー609は、ポート632の少なくとも一部を受容するような形状及び寸法に構成されている。その結果、カバー609は蓋606のポート632と結合されることによって蓋606の開口部654を閉鎖し、試料調製システム600を周囲環境からシールすることができる(例、密閉シール)。カバー609は、上記に述べた結合手段の任意のものを用いて蓋106に結合することができる。図9に示された実施形態では、蓋606のポート632は、カバー609の内側のネジ山(図示せず)と噛合って係合するように構成された複数のネジ山を有するため、カバー609をポート632にねじ付けることができる。しかしながら、上記に述べた他の結合手段の任意のものを用いてカバー609を蓋606に結合して蓋606の開口部654を閉鎖することができる。カバー609と蓋606とは共に蓋アセンブリ677を形成し、試料調製システム600が組み立てられ閉鎖される際に、フィルターアセンブリ633のリップ649をカバー609と蓋606のポート632の上端との間に挟み込むことができる。
【0122】
図10は、カバー609が蓋606に結合され、その間にフィルターアセンブリ633が結合された蓋アセンブリ677及びフィルターアセンブリ633を示したものである。フィルター634は圧縮された状態で示されており、フィルターアセンブリ633は蓋606の内部に収容されている。フィルターフレーム635の下側部分635bは圧潰可能なフィルター634に対して固く、フィルター634をその長手方向に圧し潰すことを助けるものであるため、フレーム635の下側部分635bを上側に押すことによってフィルター634を蓋606の内部に圧縮することができる。剥離可能なバリアフィルム679を蓋606の下面681に結合して、フィルター634を蓋606の内部で圧縮された状態に維持することができる。蓋アセンブリ677は、フィルター634が圧縮され、フィルターアセンブリ633が剥離可能なバリアフィルム679によって蓋606の内部に収容された状態で滅菌及びパッケージ化することができる。このため、使用者が使用に先立って(例えば、滅菌環境内で)剥離可能なバリアフィルム679を剥離することによって、フィルター634(及び用いられている場合にはフレーム635の下側部分635b)が非圧縮状態で蓋アセンブリ677の下方に垂れ下がることになる。蓋606をレセプタクル604に結合する直前に剥離可能なバリアフィルム67を剥離して、フィルター634がレセプタクル604のリザーバ622内に垂れ下がるようにしてもよい。剥離可能なバリアフィルム679を剥離した後の非圧縮状態のフィルター634を図11に示す。
【0123】
剥離可能なバリアフィルム679を、上記に述べた結合手段の任意のものを用いて蓋606に結合することが可能であり、ポリプロピレン(例、低密度ポリエチレン(LDPE))、ポリエチレンを含むが、これらに限定されないポリオレフィン、ポリ(メチルペンテン)、ポリアミド(例、NYLON(登録商標))、圧縮吹き付けマイクロファイバー(compressed blown microfiber)(cBMF)、ウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、及びこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない様々な材料で形成することができる。特定の実施形態では、剥離可能なバリアフィルム679として、例えば、3M(商標)SCOTCHPAK(商標)剥離ライナー(スリー・エム・カンパニー(3M Company)、ミネソタ州セントポール)などの熱シールされた「剥離式」フィルムが挙げられる。剥離可能なバリアフィルム679は半透明(又は更には透明)又は不透明であってもよい。剥離可能なバリアフィルム679は、成型プロセス、押出し、ブローフィルム成形プロセスなど及びこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない様々なプロセスで形成することができる。
【0124】
特定の実施形態では、図12に示されるように、カバー609は、レセプタクル604のリザーバ622又はフィルター634内部の容積にアクセスするために穿孔することができる破断可能なバリア683を有する。バリア683としては、膜、非多孔性フィルム、及びこれらの組み合わせが挙げられる。更に、破断可能なバリア683は、ポリプロピレン(例、低密度ポリエチレン(LDPE))、ポリエチレンを含むがこれらに限定されないポリオレフィン、ポリ(メチルペンテン)、ポリアミド(例、NYLON(登録商標))、圧縮吹き付けマイクロファイバー(compressed blown microfiber)(cBMF)、ウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、合成又は天然エラストマー、3M(商標)TEGADERM(商標)フィルムドレッシング(スリー・エム・カンパニー(3M Company)、ミネソタ州セントポール)、及びこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない、バリア683を破断可能とするような(例えば、ピペットの先端によって穿孔することができる)様々な材料で形成することができる。特定の実施形態では、バリア683は代わりに蓋606の開口部654にわたって形成される。こうした実施形態では、カバー609を中実とし、例えば、バリア683が穿孔された後に蓋606を覆うために用いてもよく、あるいはカバー609が更なるバリアを有してもよい。また、バリア683が蓋606の開口部654にわたって形成される実施形態では、カバー609を必ずしも用いずともよい。バリア683は、蓋606若しくはカバー609、又はその両方、又は試料調製システム600の別の部分のいずれかと用いられる場合にも、リザーバ622の内部と周囲環境との間のガス交換(例えば、対象とする好気性細菌に酸素を供給するため)を可能とするようにガス透過性という更なる機能を有してもよい。
【0125】
図13は、本開示の別の実施形態に係る試料調製システム700を示したものである。図13は、試料調製システム700の蓋アセンブリ777のみを示している。試料調製システム700の他の要素は、上記に述べ、図2〜12に示した試料調製システムの他の対応する要素の任意のものを含むものと仮定できることから、簡単のために図13には示さない。
【0126】
蓋アセンブリ777は、蓋706及びヒンジ785を介して蓋706に結合されたカバー709を含んでいる。特定の実施形態では図13に示されるように、ヒンジ785はリビングヒンジであり、カバー709は蓋706と一体形成されている。特定の実施形態では、ヒンジ785は蓋706及びカバー709の一方又は両方と別体に形成される。カバー709は押し上げ式のカバーであり、スナップ式の係合を介して蓋706と結合することができる。図13に示される実施形態では、カバー709は蓋706の隆起部789上にスナップ嵌めすることができる突起部787を含んでいる。カバー709は、蓋706を覆ってカバー709が閉じられる際にカバー709が蓋706とシール(例、液密シール、密封シールなど)を形成するような他のシール手段(例、Oリング)を含むことができる。
【0127】
上記に述べたように、図14及び15は使用調製システム800と試料供給システム803とを有する試料調製及び供給システム801を示したものである。図14に示されるように、試料調製システム800は図7に示されるような試料調製システム400と似ているが、図2と3に示し上記に述べたようなフィルター134に似たフィルター834を含んでいる。試料調製システム800は、図2と3及び図7に示される実施形態に関して上記に述べたものと多くの同じ要素及び特徴を共有している。したがって、図2と3及び図7に示される実施形態の要素及び特徴に相当する要素及び特徴には、800番台の同様の参照符合を付すものとする。図14と15に示される実施形態の特徴及び要素(並びにこれらの特徴及び要素の代替物)のより完全な説明については図2と3及び図7についての上記の説明文を参照されたい。図2〜13に示した前述の試料調製システム100、200、300、400、500、600、700のいずれも試料調製及び供給システム801で使用することができる。試料調製システム800はあくまで一例として示したものであり、これに限定されるものではない。
【0128】
図14に示されるように、試料調製システム800は、第1のリザーバ820を有する容器802、第2のリザーバ822を有するとともに第1のリザーバ820内に配置されたライナー804、及び蓋806を有している。液体組成物814がライナー804の第2のリザーバ822内に配置される。液体組成物814は分析物源812及び希釈剤813を含む。第2のリザーバ822はフィルター834と流体連通し、液体組成物814をフィルター834によって濾過して濾液816を形成することができる。
【0129】
試料供給システム803は蓋806のポート832を介して試料調製システム800に結合される。ポート832を用いる実施形態では、試料供給システム803の少なくとも一部がポート832内に受容されるような寸法に構成されている。しかしながら、特定の実施形態では、試料供給システム803は試料調製システム800内の開口部に結合することが可能であり、ポートに結合する必要はない。試料供給システム803は、試料調製システム800の蓋806のポート832に結合され、ポート832内に少なくとも部分的に受容される一方向の圧力作動弁891を含んでいる。弁891は、蓋806の開口部854に結合され、フィルター834の内部(又はフィルター834が使用されていない場合には第2のリザーバ822と)と流体連通して配置されている。弁891は、第2のリザーバ822と周囲環境(又は試料調製及び供給システム801に結合された別の装置)との間に充分な圧力差が確立されている場合に、濾液816(又はフィルター834が使用されていない場合には、液体組成物814)を試料調製システム800から取り出すことができるように構成されている。すなわち、弁891はライナー804に圧力を作用させることによって作動される。充分な圧力差が確立されると弁891は、濾液816がどのように試料調製システム800から吐出されるかを制御することができる。例えば、使用される弁891の種類に応じて、濾液816を、連続的な流れとして、一滴ずつ、あるいは別の適当な流れの形態として試料調製及び供給システム801から流出させることができる。
【0130】
図14に示される一方向の圧力作動弁891はSUPRAVALVE(商標)ダックビルチェック弁(スモールパーツ社(Small Parts, Inc.)、フロリダ州マイアミ)であり、上流の圧力が最小閾圧を上回るか、あるいは下流の圧力が最大閾圧を下回るとダックビルが開放することによって機能する。ダックビルの「フラップ」は所定の閾圧に達するまで閉鎖されたままとなる。
【0131】
図15に示されるように、ライナー804の外側に陽圧が加えられ(例えば、容器802の底827に形成された開口部824を介してライナー804(例えば、ライナー804の底826)にアクセスすることによって)、第2のリザーバ822内部の圧力が閾値を上回ると、試料供給システム803の弁891が開放し、濾液816が試料供給システム803を介して試料調製システム800の外に供給される。圧力をライナー804の外側に手で加えてもよく、あるいは更なる装置(プランジャ−など)を用いて手動又は自動で加えてもよい。
【0132】
特定の実施形態では、弁891を開放するための圧力差を、ライナー804の外側に陽圧を作用させる代わりに、ライナー804の第2のリザーバ822に陰圧を作用させる(弁891の下流側に陰圧を加える)ことによって確立することができる。陰圧(又は真空)は、例えば、真空源を弁891に結合することによってライナー804の第2のリザーバ822に作用させることができる。真空源としては、これらに限定されるものではないが、減圧を生じる機械的ポンプ、又は手動式ポンプ(例、シリンジ/プランジャーの組み合わせ)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0133】
特定の実施形態では、弁891を開放するための圧力差は、弁891の上流側のまとまった量の液体によって確立することができる。例えば、液体組成物814又は濾液816は、弁891を開放するうえで充分な圧力を生じることができる(例えば、試料調製システム800又は試料調製及び供給システム801が傾けられるか逆さまにされる際のヘッド圧)。
【0134】
特定の実施形態では、弁891が閉鎖状態にある場合に試料調製及び供給システム801が外部環境からシールされることにより、弁891が作動して開放されるまで、流体(液体又は気体)が試料調製及び供給システム801に流入する、又は試料調製及び供給システム801から流出することが防止される。しかしながら、特定の実施形態では、弁891が閉鎖状態にある場合に、試料調製及び供給システム801の異なる要素(例えば、蓋806、ライナー804及び/又は容器802)がガス透過性を有し、ガスは試料調製及び供給システム801の内外に自由に移動できる(例えば、試料調製システム800内の好気性細菌に酸素を供給するため)が、液体は、弁891が作動されて開放し、液体が流出できるようになるまで、試料調製及び供給システム801に流入する、又は試料調製及び供給システム801から流出することが防止される。
【0135】
更に、特定の実施形態では、試料調製及び供給システム801の要素はガス不透過性であるが、試料調製及び供給システム801内でガスが発生していて(例えば、試料調製及び供給システム801内の細菌がガスを発生している場合、又は分析物源812と希釈剤813との間でガスを発生する反応が起こっている場合、又は攪拌プロセスがガスの蓄積をもたらす場合など)、ライナー804の第2のリザーバ822内部に充分な圧力が生じる場合には、弁891からガスが放出されるようにすることができる。したがって、特定の実施形態では、弁891は試料調製及び供給システム801からのガス除去を可能にするという更なる機能を有する(又は、更なる弁891又はポートを用いることができる)。
【0136】
更に、試料調製及び供給システム801の各要素がガス不透過性であるような実施形態では、試料調製システム800内の空気を二酸化炭素などの無酸素環境で置換することによって試料調製システム800内に嫌気性細菌を置く(かつ培養する)ことができる。こうした実施形態では、置換用のガスを弁又は吸気口チューブを介して試料調製システム800内に導入するか、あるいは弁891、又は試料調製システム800のポート(例えば、ポート832)を介して試料調製システム800から空気を除去することができる。その結果、弁891は試料調製システム800内の大気が置換される場合には更なるガス除去を可能とするものである。
【0137】
弁891は更に濾液816の流れを制御することが可能であり、これにより、1回に所望の体積の濾液816(例えば、濾液816の全部又は一部を含みうる試料)を試料調製システム800から取り出すことで所望の体積流量が実現される。特定の実施形態では図15に示されるように、濾液816の試料を、対象とする分析物について分析を行うための検出システム895内に試料供給システム803を介して試料調製システム800から供給することができる。検出システム895は、対象とする分析物を同定及び/又は定量するための上記に述べた試験方法のいずれかを行うように構成することができる。また、試料供給システム803は増殖装置に試料を供給してもよく、ここで試料を栄養素で増殖させたり、更に場合に応じてインキュベートし(図16を参照)、あるいは濃縮化装置に導入して試料を濃縮する(例えば、遠心、濾過などにより)ことができる。
【0138】
試料供給システム803、及び特に弁891は、高分子材料、エラストマー材料(例、合成又は天然)、金属(例、アルミニウム、ステンレス鋼など)、セラミック、ガラス、及びこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない様々な材料で形成することができる。高分子材料の例としては、これらに限定されるものではないが、ポリオレフィン(例、ポリエチレン、ポリプロピレン、これらの組み合わせなど)、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリスチレン、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン、他の適当な材料、又はこれらの組み合わせが挙げられる。弁891はハウジング及び内部部品(例、可動式内部部品)を含むことができ、ハウジング及び内部部品は同じ又は異なる材料で形成することができる。例えば、特定の実施形態では、弁891のハウジングがより堅い材料で形成されるのに対して、内部部品はエラストマー材料で形成される。弁891又はその任意の部分は、半透明(又は、更には透明)又は不透明とすることができる。弁891は、分析される分析物源の種類、量、及びサイズに応じて任意の適当なサイズとすることができる。
【0139】
一方向の圧力作動弁891は、あくまで一例として図示及び説明したものであるが、当業者であれば本開示の趣旨及び範囲を逸脱することなく各種の弁を試料供給システム803で使用することが可能である点は理解されるであろう。例えば、試料供給システム803(又は弁891)は、各種の手動又は自動弁、電子的圧力トランスデューサー、他の種類のチェック弁(例、ボールチェック弁、ダイアフラムチェック弁、スウィングチェック弁、ストップチェック弁、リフトチェック弁など)、又は、ストップコック弁、バタフライ弁、計量弁、定量計量弁、タイマー弁、他の一方向弁、他の適当な弁などの他の種類の弁、及びこれらの組み合わせを含むことができる。
【0140】
更に、特定の実施形態では、試料供給システム803は別の物体又は装置によって作動することが可能な弁を含むことができる。例えば、試料供給システム803は、シリンジ又はピペットの先端などの、試料供給システム803に結合された別の物体又は装置によって開放位置に動かすことが可能な可動式部品(例、シングルゲート、ダブルゲート、ディスク、ダイアフラム、ボールなど)を有する弁を含むことができる。こうした実施形態では、試料供給システム803が更なる装置を含むか、あるいは更なる装置は別の装置の一部とすることができる。
【0141】
更に、特定の実施形態では、試料供給システム803は、可動式部品を含まない代わりに、断面積が漸減する、試料調製システム800のポート832に結合された先端部のような規制された開口部を有する弁を含むことができる。こうした実施形態では、濾液816(又は液体組成物814)は、ライナー804の第2のリザーバ822内に濾液816を規制開口部から外に押し出すだけの充分な圧力が確立される(例えば、ライナー804に圧力を加えることにより)まで規制開口部を通過することはできない。
【0142】
試料供給システム803又はその一部を、試料調製システム800のいずれかの使い捨て可能な部分とともに使い捨てとすることができる。例えば、図14と15に示される実施形態では、蓋806及びライナー804を使い捨てとし、容器802を再使用することができる。蓋806に結合されている試料供給システム803は、蓋806及び/又はライナー804とともに処分するか、あるいは使用後に蓋806から取り外して洗浄した後、再使用することができる。特定の実施形態では、試料供給システムの一部を試料調製システム800の使い捨て可能な部分とともに処分し、試料供給システム803の一部を再使用することができる。
【0143】
図16は、本開示の別の実施形態に係る試料調製及び供給システム901を示したものであり、同様の参照符合は同様の要素を表わしている。試料調製及び供給システム901は、図14と15に示される実施形態に関して上記に述べたものと多くの同じ要素及び特徴を共有している。したがって、図14と15に示される実施形態の要素及び特徴に相当する要素及び特徴には、900番台の同様の参照符合を付すものとする。図16に示される実施形態の特徴及び要素(並びにこれらの特徴及び要素の代替物)のより完全な説明については図14と15についての上記の説明文を参照されたい。
【0144】
試料調製及び供給システム901は、試料調製システム900、及び試料調製システム900に結合された試料供給システム903を含み、試料供給システム903は試料調製システム900と流体連通している。試料調製システム900は、容器902の第1のリザーバ920内に配置されたライナー904、及びライナー904の第2のリザーバ922内に配置された液体組成物914を含んでいる。液体組成物914は、分析物源912及び希釈剤913を含む。第2のリザーバ922はフィルター934と流体連通し、液体組成物914をフィルター934によって濾過して濾液916を形成することができる。
【0145】
試料供給システム903は、別の装置によって作動される弁991を含んでいる。弁991は、軸から外れた開口部958を介して試料調製システム900の蓋906に結合されており、弁991はライナー904の第2のリザーバ922及びフィルター934と液体連通するように配置されている。
【0146】
特定の実施形態では、図16に示されるように、試料供給システム903を増殖装置997と結合することが可能であり、試料供給システム903は、試料調製システム900から増殖装置997への濾液916の流れを制御することが可能である。増殖装置997は、試料供給システム903に取り外し可能に結合することが可能であり、これにより、試料918(濾液916の全部又は一部を含みうる)が増殖装置997に移され、インキュベートを行うために異なる場所に移動された後で増殖装置997を試料供給システム903から取り外すことができる。図16に示される実施形態では、弁991に増殖装置997を結合することによって弁991が開放するように作動させる。増殖装置997が弁991に取り外し可能に結合される実施形態では、増殖装置997が弁991から分離される際に閉鎖するように弁を作動させる。
【0147】
図16に示されるように、ライナー904の外側(例えば、ライナー904の底926に例えば容器902の底927の開口部924を介して)に陽圧を作用させることによって、第2のリザーバ922内部の圧力が、試料供給システム903を介した増殖装置997への濾液916の移動を促すようにすることができる。特定の実施形態では、弁991は上記に述べたような弁891と同様、圧力によって作動するものであってもよく、第2のリザーバ922内の圧力が閾値を上回ると弁991が開放して、濾液916が試料供給システム903を介して試料調製システム900から増殖装置997へと移動するようにすることができる。また、こうした実施形態では、ライナー904の内側に陰圧を作用させる(例えば、増殖装置を介して)ことによって、弁991を開放するように作動させ、濾液916を試料調製システム900から増殖装置997へと移動させることも可能である。
【0148】
増殖装置997は、試料918中の対象分析物(存在する場合)を選択的又は半選択的に増殖させるための栄養素を含んでもよい。特定の実施形態では、増殖装置997は装置の内面にコーティング又は吸着された栄養素を含んでもよい。更に特定の実施形態では、増殖装置997は、所定の体積の濾液916(又はフィルター934が用いられていない場合には、液体組成物914)の回収を促すための標示(例えば、図2に示される容器102の標示に似たもの)を含むことができる。
【0149】
図16に示される実施形態では、増殖装置997は試料供給システム903に(例えば、ルアーロック式の結合を介して)取り外し可能に結合することが可能なシリンジである。シリンジはプランジャー919を含み、シリンジが試料918で充填される(例えば、ライナー904に圧力を加えることにより)にしたがって、プランジャーが外側に押され、試料918が所望の体積にまで引き続きシリンジを充填する。シリンジは、シリンジをインキュベーション用の環境に移動する前に試料918がシリンジに移され、そのシリンジを滅菌環境で試料調製及び供給システム801(場合に応じてキャップされる)から取り外すことができることから、増殖装置997として有用である。更に、シリンジ内のプランジャー919をバレル921から外側に引くことによって試料918をシリンジ内に引き込むことができる。ライナー904はプランジャー919を引くことに応じて変形することが可能であり、これにより試料918のシリンジへの移動が促進される。
【0150】
シリンジはあくまで一例として上記に述べ、図示したものであるが、当業者であれば、各種の増殖装置を試料調製及び供給システム901の試料供給システム903に結合することによって試料918を試料調製及び供給システム901から移す、特に周囲環境に曝露することなく移すことが可能である点は理解されるはずである。増殖装置以外にも、上記に述べた分析法において中間的要素(別の装置又はアッセイシステムに移すことが可能なレセプタクル又は装置)として機能する各種のレセプタクル又は装置を試料供給システム903に結合する(取り外し可能に結合する)ことが可能である。更に、特定の実施形態では、複数の試料調製システム900を同じ試料供給システム903(及び増殖装置997などの下流側のすべての装置)と結合かつ流体連通することによって、複数の試料調製システム900から得られた試料を供給する前、又は下流における分析の前、又は更なる処理の前にまとめて蓄えることができる(例えば、各試料を増殖、濃縮などの前後において、供給するためにまとめて蓄えることができる)。
【0151】
特定の実施形態では、「周囲環境に曝露することなく」という語句及びその派生語は、試料918を、試料調製システム900と試料供給システム903との間の試料の移動時においても、試料供給システム903から別の装置(例えば、増殖装置997)への移動時においても試料調製及び供給システム901から取り出さない(例えば、漏出又は汚染防止するため)ことにより、試料918が、調製から供給あるいは更に別の工程に到るまで試料調製及び供給システム901の流体経路に留まることを指すものであるが、試料調製及び供給システム901がガス交換に対して閉じている、あるいは他の液体が試料調製及び供給システム901内に入れないことを必ずしも意味するものではない。
【0152】
図14〜16に示し、上記に述べたような弁891及び991に加えて、又はこれに代えて、各種の弁及び/又は体積測定装置を本開示の試料供給システムにおいて用いることができる。図17A〜21Bは、様々な種類の体積測定装置を有する本開示の試料供給システムの異なる実施形態を示したものである。図17A〜21Bは、本開示の試料供給システムの異なる実施形態の概略図を示したものであるが、当業者であれば、図14〜16に示される試料調製及び供給システム801及び901のそれぞれで、図17A〜21Bに示し、下記に述べる試料供給システムの特徴のいずれか又はすべてのものを用いることが可能である点は理解されるであろう。
【0153】
図17A〜17Cは、本開示の一実施形態に係る試料供給システム1203を示したものである。試料供給システム1203は2重弁体積測定システムを含み、流入口1202(例えば、試料調製システムと結合及び流体連通している)、第2の弁1206から一定の距離を置き、第2の弁1206と直列に配置され、更に第2の弁1206と流体連通している第1の弁1204、及び流出口1208(例えば、試料調製システムの外部の周囲環境又は増殖装置などの別の装置と流体連通している)を含む。導管1210の一部分が第1の弁1204と第2の弁1206とを分離しており、第1の弁1204と第2の弁1206との間の距離D(すなわち、第1の弁1204と第2の弁1206との間の導管1210の長さ)、及び導管1210の断面積Aにほぼ依存する体積Vを画定している。
【0154】
第1及び第2の弁1204及び1206はそれぞれ1/4回転弁であり、詳細にはボール弁である。各弁1204、1206は開状態と閉状態とを有し、それぞれ軸S、Tを中心として回転可能なボール1205、1207を含んで、開状態と閉状態との間で動くようになっている。各ボール1205、1207は通路1209、1211を含み、通路1209、1211がそれぞれの弁1204、1206の両端と一直線になるように(すなわち、流入口1202及び流出口1208と一直線になるように)ボール1205、1207が回転すると流れが生ずるようになっている。弁1204、1206のそれぞれのボール1205、1207は、軸S、Tを中心として90°回転(すなわち、1/4回転)させることにより、弁1204、1206を開状態から閉状態へと(及びその逆に)変化させることができる。
【0155】
図17A〜17Cに示されるように、第1及び第2の弁1204、1206はそれぞれフルポートボール弁であり、それぞれ大径のボール1205、1207を有し、通路1209、1211は流入口1202、導管1210、及び流出口1208と同じ断面積を有している。こうした構成により、摩擦損失が最小となり、弁1204及び1206を通じた流れが規制されない。しかしながら、他の種類の1/4回転弁又は他の種類のボール弁を含む他の種類の適当な弁を本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく用いることが可能である。更に、第1及び第2の弁1204、1206は1/4回転弁である必要はない。すなわち、特定の実施形態では、第1及び第2の弁1204、1206を一度に90°よりも小さいかあるいは大きい角度で動かすことによって弁1204、1206を開状態と閉状態との間で変化させることができる。
【0156】
図17A〜17Cは、試料供給システム1203を使用して試料調製システムから所定体積Vの濾液(又は液体組成物)を計量するプロセスを順番に示したものである。
【0157】
図17Aは、所定体積Vの濾液(試料)が流入口1202を通じて導管1210に流入することができるように、開状態にある(すなわち、ボール1205の通路1209が流入口1202及び導管1210と一直線になっている)第1の弁1204、及び閉状態にある(すなわち、通路1211が導管1210及び流出口1208と一直線とはならない(例えば、直交する)ように配置されている)第2の弁1206を示している。図17Bは、閉状態にある第1の弁1204(すなわち、ボール1205が軸Sを中心として時計回り又は反時計回りに90°回転させられている)、及び依然、閉状態にある第2の弁1206を示しており、所定体積Vの濾液が導管1210内に有る状態が示されている。最後に、図17Cは、閉状態にある第1の弁1204、及び開状態にある第2の弁1206(すなわち、ボール1207が軸Tを中心として時計回り又は反時計回りに90°回転させられている)を示しており、所望の体積Vの濾液が流出口1208を通じて試料供給システム1203から流出するようになっている。
【0158】
図18A〜18Cは、本開示の別の実施形態に係る試料供給システム1303を示したものである。試料供給システム1303は2重弁体積測定システムを含み、流入口1302(例えば、試料調製システムと結合及び流体連通している)、第2の弁1306から一定の距離を置き、第2の弁1306と直列に配置され、更に第2の弁1306と流体連通している第1の弁1304、及び流出口1308(例えば、試料調製システムの外部の周囲環境又は増殖装置などの別の装置と流体連通している)を含む。導管1310の一部分が第1の弁1304と第2の弁1306とを分離しており、第1の弁1304と第2の弁1306との間の距離D(すなわち、第1の弁1304と第2の弁1306との間の導管1310の長さ)、及び導管1310の断面積Aにほぼ依存する体積Vを画定している。
【0159】
試料供給システム1303は、互いに対して平行に配置され、かつ摺動可能な第1の側1312と第2の側1314とを含んでいる。図18A〜18Cに示される実施形態では、第2の側1314は固定されているものとして示されており、第1の側1312は第2の側1314に対して摺動可能(すなわち、図18A〜18Cのページの平面の上下方向に)なものとして示されている。流入口1302及び流出口1308が第1の側1312に位置しており、第1の弁1304と第2の弁1306とを分離する導管1310は第2の側1314内に位置している。各弁1304、1306はゲート弁であり、開位置と閉位置との間で摺動可能であることによりそれぞれの弁1304、1306を開状態と閉状態との間で変化させるゲート1305、1307をそれぞれが含んでいる。ゲート1305及び1307は、第1の側1312が第2の側1314に対して動かされるのにしたがって(あるいは、第1の側1312及び第2の側1314が互いに対して動かされるのにしたがって)一緒に摺動する。
【0160】
図18A〜18Cは、試料供給システム1303を使用して試料調製システムから所定体積Vの濾液(又は液体組成物)を計量するプロセスを順番に示したものである。
【0161】
図18Aは、所定体積Vの濾液(すなわち、試料)が流入口1302を介して導管1310に流入できるように開状態にある第1の弁1304、及び閉状態にある第2の弁1306を示している。詳細には、濾液の試料は流入口1302を介して試料供給システム1303の第1の側1312に流入し、第1の側1312から開状態の第1の弁1304を介して第2の側1314に流入し、導管1310に流入する。図18Bは、閉状態にある第1の弁1304、及び依然、閉状態(すなわち、第1の側1312が第2の側1314に対して下方に摺動しており、ゲート1307が閉位置に維持された状態でゲート1305が閉位置へと摺動している)にある第2の弁1306を示しており、所定体積Vの濾液が導管1310内に有る状態が示されている。最後に、図18Cは、閉状態にある第1の弁1304、及び開状態にある第2の弁1306(すなわち、第1の側1312が第2の側1314に対して更に下方に摺動しており、ゲート1305が閉位置に維持された状態でゲート1307が開位置へと摺動している)を示しており、所望の体積Vの濾液が流出口1308を介して試料供給システム1303から流出するようになっている。
【0162】
図19A〜19Cは、本開示の一実施形態に係る試料供給システム1403を示したものである。試料供給システム1303は単一弁体積測定システムを含み、流入口1402(例えば、試料調製システムと結合及び流体連通している)、弁1404、及び流出口1408(例えば、試料調製システムの外部の周囲環境又は増殖装置などの別の装置と流体連通している)を含む。
【0163】
弁1404はボール弁である。弁1404は、流入口1402に向かって弁1404が開く第1の開状態、及び流出口1408に向かって弁1404が開く第2の開状態の2つの開状態と、閉状態とを有する。弁1404は、軸Xを中心として回転可能であることによって2つの開状態と閉状態との間で動くボール1405を含む。ボール1405は、ボール1405のほぼ球状の内部1411と流体移動可能に結合した通路1409を含み、通路1409が流入口1402又は流出口1408と一直線となるようにボール1405が回転すると、ボール1405内に向かう、又はボール1405の外に向かう流れが生じる。ボール1405の通路1409と内部1411とは共に、流入口1402から流出口1408へと計量供給される所定体積Vを画定する。ボール1405は、弁1404を第1の開状態から閉状態へと(及びその逆)、更に、第1の開状態から第2の開状態へと(及びその逆)変化させるように軸Xを中心として90°(すなわち、1/4回転)させることが可能である。図19A〜19Cに示される実施形態では、弁1404は1/4回転弁であるが、弁1404は、各開状態の間で、又は開状態と閉状態との間で弁1404を変化させるように90°よりも小さいかあるいは大きい角度で動くように構成することが可能である点は理解されるはずである。
【0164】
図19A〜19Cは、試料供給システム1403を使用して試料調製システムから所定体積Vの濾液(又は液体組成物)を計量するプロセスを順番に示したものである。
【0165】
図19Aは、所定体積Vの濾液(試料)が流入口1402を通じてボール1405の内部1411に流入できるように第1の開状態(すなわち、ボール1405の通路1409が流入口1402と一直線になっている)にある弁1404を示している。図19Bは、閉状態(すなわち、ボール1405が軸Xを中心として時計回り又は反時計回りに90°回転している)にある弁1404を示しており、所定体積Vの濾液がボール1405内に有る状態が示されている。最後に、図19Cは、第2の開状態(すなわち、ボール1405が軸Xを中心として同じ方向に90°回転された後の状態)にある弁1404を示しており、所望の体積Vの濾液が流出口1408を通じて試料供給システム1403から流出するようになっている。
【0166】
図20A〜20Dは、本開示の別の実施形態に係る試料供給システム1503を示したものである。試料調製システム1503は、図17A〜17Cに示される実施形態に関して上記に述べたものと多くの同じ要素及び特徴を共有している。したがって、図17A〜17Cに示される実施形態の要素及び特徴に相当する要素及び特徴には、1500番台の同様の参照符合を付すものとする。図20A〜20Dに示される実施形態の特徴及び要素(並びにこれらの特徴及び要素の代替物)のより完全な説明については図17A〜17Cについての上記の説明文を参照されたい。
【0167】
試料供給システム1503は、単一弁体積測定システムを含み、流入口(例えば、試料調製システムと結合及び流体連通する場合)及び流出口(例えば試料調製システムとの流体連通関係から外れた後で更に試料調製システムの外部の周囲環境又は増殖装置などの別の装置と流体連通している状態)として機能しうる第1の導管1502を含んでいる。試料供給システム1503は、開状態にある場合に、弁1504と反対側に閉鎖端を有する第2の導管1510と流体連通しうる弁1504を更に含んでいる。第2の導管1510は、第2の導管1510の長さL、及び第1の導管1510の断面積Aにほぼ依存する所定体積Vを画定している。
【0168】
上記に述べ、図17A〜17Cに示した弁1204、1206と同様、弁1504は1/4回転弁であり、詳細にはボール弁である。弁1504は開状態と閉状態とを有し、軸Yを中心として回転可能なボール1505を含んで、開状態と閉状態との間で動くようになっている。ボール1505は通路1509を有し、通路1509が弁1504の両端と一直線になるように(すなわち、第1の導管1502及び第2の導管1510と一直線になるように)ボール1505が回転すると流れが生ずるようになっている。ボール1505は、軸Yを中心として90°回転(すなわち、1/4回転)させることにより、弁1504を開状態から閉状態へと(及びその逆に)変化させることができる。
【0169】
弁1504はフルポートボール弁であり、大径のボール1505を含み、通路1509は第1の導管1502及び第2の導管1510と同じ断面積を有している。こうした構成により、摩擦損失が最小となり、弁1504を通じた流れが規制されない。しかしながら、他の種類の1/4回転弁又は他の種類のボール弁を含む他の種類の適当な弁を本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく用いることが可能である。更に、弁1504は、1/4回転弁である必要はなく、代わりに一度に90°よりも小さいかあるいは大きい角度で動かすことによって弁1504を開状態と閉状態との間で変化させることができる。
【0170】
図20A〜20Dは、試料供給システム1503を使用して試料調製システムから所定体積Vの濾液(又は液体組成物)を計量するプロセスを順番に示したものである。
【0171】
図20Aは、第1の導管1502が流入口として機能する場合に所定体積Vの濾液(すなわち、試料)が第1の導管1502を介して第2の導管1510に流入できるように開状態(すなわち、ボール1505の通路1509が第1の導管1502及び第2の導管1510と一直線になっている)にある弁1504を示している。図20Bは、閉状態(すなわち、ボール1505が軸Yを中心として時計回り又は反時計回りに90°回転された後の状態)にある弁1504を示しており、所定体積Vの濾液が第2の導管1510内にある状態が示されている。図20Cは、試料調製システムから分離され、反転された後の試料供給システム1503を示しており、弁1504が閉状態に維持され、体積Vの濾液は依然、第2の導管1510内にある状態が示されている。最後に、図20Dは、開状態(すなわち、ボール1505が軸Yを中心として90°回転された後の状態)にある弁1504を示しており、流出口として機能する第1の導管1502を介して所望の体積Vの濾液が試料供給システム1503から流出するようになっている。
【0172】
体積Vの濾液を供給するために試料供給システム1503が試料調製システムから分離されるにも関わらず、試料供給システム1503は、濾液の試料を最初に周囲環境に曝露することなく試料供給システム1503内に導入することが可能なものとなっている。この後、試料供給システム1503を別の場所(例えば、滅菌環境)に移動した後、体積Vの濾液を試料供給システム1503から所望の場所(例えば、検出装置、増殖装置など)に供給することができる。
【0173】
図21Aと21Bは、本開示の別の実施形態に係る試料調製システム1600及び試料供給システム1603を有する試料調製及び供給システム1601を概略的に示したものである。試料供給システム1603は、試料調製システム1600と結合及び流体連通した2重弁体積測定システムを含んでいる。
【0174】
試料供給システム1603は、第1の一方向弁1604、導管1610、及び第1の一方向弁1604と直列に、かつ流体連通して配置された第2の一方向弁1606を含んでいる。第1の弁1604は、試料調製システム1600から導管1610への流体の移動は可能とするが、導管1610から試料調製システム1600への流体の流れは防止するように構成されている。第2の弁1606は、導管1610から周囲環境(又は試料供給システム1603に結合された別の装置)への流体の移動は可能とするが、周囲環境から導管1610への流体の流れは防止するように構成されている。導管1610は、試料調製システム1600から計量され、試料供給システム1603内に保持され、更に試料供給システム1603から供給される所定体積Vの濾液を画定する。あくまで一例として、導管1610はほぼ平行6面体形状として、詳細には直方体として示されている。しかしながら、当業者であれば、様々な好適な3次元形状を用いて第1の弁1604と第2の弁1606との間の体積空間を画定することができる点は理解されるはずである。
【0175】
第1及び第2の弁1604及び1606はそれぞれ、各種の弁のいずれを含むことができるが、あくまで一例としてクラッパーチェック弁(clapper check valve)として概略的に示されている。弁1604、1606はそれぞれ開状態及び閉状態を有し、上流のクラッキング圧の閾値を上回った場合にヒンジ1613、1615を中心として旋回するゲート1605、1607を含んでいる。また、第1及び第2の弁1604及び1606は、クラッキング圧の閾値ではなく重力によって作動されてもよい。当業者であれば、これらに限定されるものではないが、他のチェック弁(例、ボールチェック弁、ダイアフラムチェック弁、スウィングチェック弁、ストップチェック弁、リフトチェック弁など)、他の適当な弁(例えば、上記に述べたもの)などの他の種類の弁、及びこれらの組み合わせを含む、試料供給システム1603の内外への流れを制御するうえで適した各種の弁を、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく第1及び第2の弁1604及び1606として使用することができる点は理解されるであろう。更に、第1の弁1604及び第2の弁1606として同じ種類の弁を使用する必要はなく、代わりに複数の種類の弁を混ぜて試料供給システム1603で使用することもできる。
【0176】
図21Aと21Bは、試料供給システム1603を使用して試料調製システム1600から所定体積Vの濾液(又は液体組成物)を計量するプロセスを順番に示したものである。
【0177】
図21Aは、所定体積Vの濾液(すなわち、試料)が第2の導管1610に流入できるように開状態(すなわち、弁1604の上流の圧力が閾クラッキング圧を上回ったためにゲート1605が開放位置へとヒンジ1613を中心として旋回した状態)にある第1の弁1604、及び閉状態(すなわち、導管1610内の圧力が第2の弁1606の閾クラッキング圧を上回らないためにゲート1607が閉状態に維持されている状態)にある第2の弁1606を示している。
【0178】
図21Bは、逆さまにされ、濾液の試料が導管1610に流入させられた後の試料調製及び供給システム1601を示している。第1の弁1604は閉状態(すなわち、上流の圧力が閾クラッキング圧を下回ったことに応じてゲート1605がヒンジ1613を中心として旋回して閉位置に戻った状態)にあり、第2の弁1606は開状態(すなわち、導管1610内の圧力が閾クラッキング圧を上回ったために、ゲート1607がヒンジ1615を中心として旋回して開位置となった状態)にあり、所望の体積Vの濾液が試料供給システム1603から流出するようになっている。
【0179】
上記に述べたように、図17A〜21Bは本開示に係る試料供給システムの異なる実施形態を概略的に示したものである。試料供給システム1203、1303、1403、1503、1603が適切に機能するためには他の要素又は改変が必要となる場合もある。例えば、導管1210、1310、1410、1510、1610(又はボール1405の内部1411)のいずれか、又は各試料供給システムの他の任意の部分に解放通気口、弁又は他の同様の装置を追加することによって、液体の流入が可能となるように捕らわれた空気(又は他のガス)をすべて放出させるなど、こうした要素又は改変は当業者には理解されるものである。こうした通気口又は弁は、ガスを流出させる一方で液体の流出は防止する(例えばエアロック又は別の同様に機能する装置)ように構成することができる(又はそのように構成された別の装置に結合することができる)。
【0180】
本明細書で述べた試料調製システム100、200、300、400、500、600、700、800、900及び1600のいずれか、及び試料供給システム803、903、1203、1303、1403、1503及び1603のいずれかを有する試料調製及び供給システム801、901及び1601のいずれか、並びにこれらの部分及び組み合わせを合わせて使用して、上記に述べ、図1に示した試料調製及び供給方法10に概ねしたがうことによって試料を調製及び供給することができる。当業者であれば、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書に述べた特定の試料調製システムからの異なる要素を、本明細書に述べた別の試料調製システムからの他の要素と組み合わせて使用することが可能であることもやはり理解されるであろう。例えば、試料調製システム800において、ライナー804の代わりにレセプタクル604を使用することができる。同様に、特定の試料調製及び供給システムからの異なる要素を、別の試料調製及び供給システムからの他の要素と組み合わせて使用することが可能であり、更に、特定の試料供給システムからの異なる要素を別の試料供給システムからの他の要素と組み合わせて使用することが可能である。次に例示的な一方法を、図14の試料調製及び供給システム801を用いて詳細に述べる。
【0181】
分析物源812及び希釈剤813をライナー804の第2のリザーバ822に加えて組み合わせることによって液体組成物814を形成することができる。ライナー804を容器802内に配置した後、蓋806をライナー804に結合することができる。カラー(図示せず)を容器802に結合することによって試料調製システム800の各要素を互いに更に固定することが可能であり、更に蓋開口部854をカバー(図示せず)を用いて閉鎖することができる。
【0182】
液体組成物814を攪拌することによって、分析物源812と希釈剤813とを混合し、分析物源812を希釈剤813中に溶解、分散、懸濁、及び/又は乳濁することができる。攪拌には上記に述べた方法の任意のものが含まれ、例えば、直線状、円形軌道、楕円形軌道、ランダム軌道、これらの組み合わせ、又は分析物源812と希釈剤813とを効果的かつ効率的に混合するための他の手段であってもよい。試料調製システム800は、攪拌時にクランプ又は他の手段によって更に固定することによって液体組成物814がこぼれたり、かつ/又は失われることを抑制することができる。
【0183】
特定の実施形態では、試料調製及び供給システム801をBurell Model 75 Wrist Action シェーカー(攪拌器)(ビュレル・サイエンティフィック社(Burrell Scientific)、ペンシルベニア州ピッツバーグ)に連結し、試料調製及び供給システム801を10〜2000サイクル/分の周波数、特定の実施形態では200〜500サイクル/分の周波数で選択された時間だけ攪拌することによって液体組成物814を攪拌することができる。特定の実施形態では、試料調製及び供給システム801を、攪拌器のアームから5cm〜50cm、特定の実施形態では10cm〜20cmの距離に取り付けることができる。特定の実施形態では、試料調製及び供給システム801が、5°〜30°、特定の実施形態では15°〜20°の円弧を描くようにできる。液体組成物814は、少なくとも10秒、特定の実施形態では少なくとも15秒、特定の実施形態では少なくとも30秒、特定の実施形態では少なくとも40秒、特定の実施形態では少なくとも60秒にわたって攪拌することができる。特定の実施形態では、液体組成物814は最大で15分、特定の実施形態では最大で10分、特定の実施形態では最大で5分、特定の実施形態では最大で3分にわたって攪拌することができる。
【0184】
特定の実施形態では、液体組成物814は、VX−2500 Multi−Tube Vortexer(ヴィー・ダブリュー・アール・サイエンティフィック・プロダクツ社(VWR Scientific Products)ペンシルベニア州ウェストチェスター)上で200〜5000rpm、特定の実施形態では1000〜3000rpmの攪拌周波数で選択された時間だけボルテックス混合することができる。ボルテックスの軌道は、直線状、円形、楕円形、ランダム、又はこれらの組み合わせであってもよい。特定の実施形態では、軌道は0.25cm〜5cmであり、特定の実施形態では1cm〜3cmである。
【0185】
複数の試料調製及び供給システムを、プレート、アーム、又は他の装置上に置くことによって同時に攪拌することが可能であり、重力、クランプ又は他の手段によって後の攪拌用に固定することができる。例えば、特定の実施形態では、1個〜約50個の試料調製及び供給システムを同時に攪拌し、特定の実施形態では単一の攪拌装置又は複数の攪拌装置によって約10個〜約25個の試料調製及び供給システムを同時に攪拌する。
【0186】
特定の実施形態では、シャフト及び攪拌羽根を有する機械的攪拌器を加えることによって液体組成物814を攪拌することができ、機械的攪拌器は上記に述べた可能な開口部の内の、塞がっていない開口部のいずれかを通じて挿入することができる。液体組成物814の攪拌は、鋼球ベアリング、磁気攪拌子、羽根、及び、希釈剤813中に分析物源812を粉砕かつ/又は分散することによって分析物源812からのあらゆる対象分析物の放出を助ける他の手段によって更に行うことが可能である。上記に述べた攪拌法はあくまで一例であり、これに限定されるものではない。当業者であれば、他の同様の攪拌法を使用することも可能である点は理解されるであろう。
【0187】
液体組成物814をフィルター834を用いて濾過することによって、フィルター834内に位置し、希釈剤813及びフィルター834を通過するだけ充分に小さいか、あるいは希釈剤813中に溶解したあらゆる対象検体(存在する場合)を含む濾液816が形成される。
【0188】
試料供給システム803を用いて濾液816の全部又は一部(例、試料)を後の分析のためにフィルター834の内部から取り出すことができる。詳細には、所定の圧力差が確立されることによって、ライナー804が変形し、液体組成物814がフィルター834を通じて押し出され、濾液816が試料供給システム803内に押し出され、弁891のクラッキング圧を上回ると試料供給システム803の弁891が開放するように作動して濾液816が試料供給システム803から流れ出る。上記に述べたように、この圧力差は、ライナー804の外側に(例えば、容器802の底827の開口部824を介してライナー804の底826に)陽圧を作用させるか、あるいはライナー804の内側に(例えば、弁891を介して)陰圧を作用させることによって確立することができる。弁891は更に、試料供給システム803からの濾液816の流れの形態を制御することができる。
【0189】
特定の実施形態では、液体組成物814の液面865は、フィルター834が液体組成物814の液面865よりも部分的に上側かつ部分的に下側に位置するように充分に高い。特定の実施形態では、液体組成物814の液面865はフィルター834の底部よりも下方に位置し、フィルター834は液体組成物814の液面865よりも完全に上側に配置される。こうした実施形態では、試料調製及び供給システム801を傾けるか逆さまにすることによって、ライナー804に圧力を加えるのに先立って液体組成物814をフィルター834によって濾過することが可能であり、あるいはライナー804に圧力を加えることにより液体組成物814の液面865を動かして液体組成物814をフィルター834に通過させることができる。
【0190】
図15に示されるように、試料供給システム803は、試料を分析するための検出システム895に(例えば、ラテラルフロー装置又はストリップのコンジュゲートパッドに)濾液816の試料を供給することができる。また、試料供給システム803は濾液806の試料を増殖装置などの別の装置に供給することもできる。
【0191】
試料調製及び供給システム801の使用についての上記の説明はあくまで一例として述べたものであり、これに限定されるものではない。上記に述べた試料の調製及び供給方法10、並びに試料調製及び供給システムの異なる実施形態の上記の説明に基づけば、当業者であれば本開示の試料調製及び供給システムを使用して試料を調製及び供給することが可能な様々な方法が理解されるはずである。
【0192】
上記に説明及び例示し、図に示した各実施形態は、あくまで例として示したものであり、本発明の概念及び原理を限定することを目的とするものではない。したがって、当業者であれば、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく各要素並びにそのの構成及び配置における様々な変更が可能である点は認識されるであろう。本発明の異なる特徴及び態様を以下の特許請求の範囲に記載する。
【背景技術】
【0001】
様々な用途において、食品及び非食品源を微生物(例、細菌、ウイルス、真菌、胞子など)及び/又は他の対象とする分析物(例、毒素、アレルゲン、ホルモンなど)について試験しなければならない場合がある。例えば、一般集団によって生育、購入及び消費される食品は、微生物又は他の分析物を含有又は獲得している場合があり、こうした微生物又は他の分析物はそれらが置かれた環境の関数として繁殖又は増殖しうる。この増殖によって食品の腐敗が早まり、毒物を産生したり感染量にまで分裂しうる病原性生物の増殖につながる場合がある。更なる例として、各種の分析法を非食品源の試料(例、地下水、尿など)に対して行うことによって試料が特定の分析物を含んでいるか否かを判定することができる。例えば、地下水を微生物又は化学的毒素について試験することが可能であり、また、尿を様々な診断指示物質について試験することによって診断(例、糖尿病、妊娠など)を行うことが可能である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
本開示は、試料の調製及び供給システム並びに方法に関するものであり、詳細には、分析物の試験のための試料の調製及び供給システム並びに方法に関し、試料の調製及び供給システムは、試料調製システムと、試料調製システムからの試料の除去(又は分離)及び/又は別の位置若しくは装置への試料の供給を行う、試料調製システムに結合された試料供給システムとを含む。
【0003】
本開示の特定の実施形態は、分析物の試験のための試料を調製及び供給するためのシステムを提供するものである。このシステムは、試料調製システム及び試料調製システムに結合された試料供給システムを含みうる。試料調製システムは、リザーバを含む変形可能な自己支持型レセプタクルを含みうる。リザーバは、分析物源及び希釈剤を含む液体組成物を収容するように構成することができる。試料供給システムは、リザーバと流体連通するように配置されるとともに試料調製システムからの試料の取り出しを制御するように構成された弁を含みうる。
【0004】
本開示の特定の実施形態は、分析物の試験のための試料を調製及び供給するためのシステムを提供するものである。このシステムは、試料調製システム及び試料調製システムに結合された試料供給システムを含みうる。試料調製システムは、第1のリザーバを含む自立式容器と、自立式容器の第1のリザーバ内に受容されるような寸法に構成されるとともに第2のリザーバを含む変形可能な自己支持型レセプタクルと、自立式容器及び変形可能な自己支持型レセプタクルの少なくとも一方に結合されるように構成された蓋と、を含みうる。第2のリザーバを、分析物源及び希釈剤を含む液体組成物を収容するように構成することができる。自立式容器は変形可能な自己支持型レセプタクルよりも堅くともよい。試料供給システムは、第2のリザーバと流体連通するように配置されるとともに試料調製システムからの試料の取り出しを制御するように構成された弁を含みうる。
【0005】
本開示の特定の実施形態は、分析物の試験のための試料を調製及び供給するための方法を提供するものである。本方法は、リザーバを有する変形可能な自己支持型レセプタクルを有する試料調製システムを提供することと、分析物源及び希釈剤を含む液体組成物を提供することと、液体組成物を変形可能な自己支持型レセプタクルのリザーバ内に配置すること、とを含んでもよい。本方法は、試料調製システムに結合されるように構成された試料供給システムを提供することを更に含んでもよい。試料供給システムはリザーバと流体連通するように配置された弁を含みうる。本方法は、変形可能な自己支持型レセプタクルに圧力を作用させて試料調製システムから試料供給システムを通じて試料を取りだすこと、を更に含みうる。
【0006】
本発明の他の特徴及び態様は詳細な説明及び付属の図面を考慮することで明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本開示の一実施形態に係る試料の調製及び供給方法を示した概略フローチャート。
【図2】蓋を含む、本開示の一実施形態に係る試料調製システムの分解斜視図。
【図3】図2の3−3線に沿った、図2の蓋の拡大断面図。
【図4】本開示の別の実施形態に係る試料調製システムの斜視図。
【図5】本開示の別の実施形態に係る試料調製システムの蓋の底面図。
【図6】図5の6−6線に沿った、図5の蓋の断面図。
【図7】本開示の別の実施形態に係る試料調製システムの斜視図。
【図8】本開示の別の実施形態に係る試料調製システムの斜視図。
【図9】本開示の別の実施形態に係る試料調製システムの分解側面図であり、試料調製システムは、フィルター、並びに蓋及びカバーを含む蓋アセンブリを有している。
【図10】フィルターが圧縮された状態にある、図9の蓋アセンブリ及びフィルターの斜視図。
【図11】フィルターが非圧縮状態にある、図9及び10の蓋アセンブリ及びフィルターの斜視図。
【図12】図9〜11のカバーの上面斜視図。
【図13】本開示の別の実施形態に係る試料調製システムの蓋アセンブリの側面図。
【図14】本開示の一実施形態に係る試料調製及び供給システムの斜視図。
【図15】検出システムとともに使用されている状態が示されている、図14の試料調製及び供給システムの斜視図。
【図16】増殖装置に結合された、本開示の別の実施形態に係る試料調製及び供給システムの斜視図。
【図17A】本開示の一実施形態に係る試料供給システムの概略断面図。
【図17B】本開示の一実施形態に係る試料供給システムの概略断面図。
【図17C】本開示の一実施形態に係る試料供給システムの概略断面図。
【図18A】本開示の別の実施形態に係る試料供給システムの概略断面図。
【図18B】本開示の別の実施形態に係る試料供給システムの概略断面図。
【図18C】本開示の別の実施形態に係る試料供給システムの概略断面図。
【図19A】本開示の別の実施形態に係る試料供給システムの概略断面図。
【図19B】本開示の別の実施形態に係る試料供給システムの概略断面図。
【図19C】本開示の別の実施形態に係る試料供給システムの概略断面図。
【図20A】本開示の別の実施形態に係る試料供給システムの概略断面図。
【図20B】本開示の別の実施形態に係る試料供給システムの概略断面図。
【図20C】本開示の別の実施形態に係る試料供給システムの概略断面図。
【図20D】本開示の別の実施形態に係る試料供給システムの概略断面図。
【図21A】本開示の別の実施形態に係る試料調製及び供給システムの概略断面図。
【図21B】本開示の別の実施形態に係る試料調製及び供給システムの概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施形態を詳細に説明する前に、本発明はその応用において、下記の説明文に記載されるか又は付属の図面に示される構成の細部及び要素の配置に限定されないものである点は理解されるべきである。本発明は他の実施形態が可能であり、様々な方法で実施又は実行することが可能である。更に、本明細書において使用される語法及び専門用語は説明を目的としたものであって、限定的なものとみなされてはならない。本明細書における、「including」(含む、有する)、「comprising」(備える、有する、含む)、「containing」(含有する、含む)、又は「having」(有する)及びこれらの変形の使用は、その後に列記される要素及びその均等物、並びに更なる要素を包含するものとする。特に特定又は限定されないかぎり、「支持された」及び「結合された」なる用語並びにその変形は広義の意味で用いられ、直接的及び間接的な支持及び結合の両方を包含するものである。他の実施形態の利用も可能であり、本開示の範囲から逸脱することなく構造的又は論理的変更を行うことも可能である点は理解されるべきである。更に、「前」、「後」、「上」、「下」などの用語は、各要素を互いの関連において述べるためにのみ用いられ、決して装置の特定の向きを記載するものではなく、装置の必要な又は要求される向きを指示又は示唆するものでもなく、本明細書で述べられる発明が使用時にどのように使用、取り付け、表示、又は配置されるかを特定するものでもない。
【0009】
本開示は、一般的に試料を調製及び供給するためのシステム並びに方法に関する。試料は更に濃縮、増殖、及び/又は、様々な分析物の有無について分析することができる。
【0010】
「分析物源」なる用語は、分析物について試験することが望ましい食品又は非食品を指して一般的に用いられる。分析物源は、固体、液体、半固体、ゼラチン状物質、及びこれらの組み合わせであってもよい。特定の実施形態では、分析物源は、例えば、対象とする表面から分析物源を採取するために使用された基質によって提供されうる。特定の実施形態では、液体組成物は基質を含んでもよく、基質は更に分解される(例えば、攪拌又は溶解プロセスの際に)ことによって分析物源及び対象とする任意の分析物の回収を促進することができる。対象とする表面には、これらに限定されるものではないが、壁(ドアを含む)、床、天井、排水管、冷蔵システム、ダクト(例、エアダクト)、通気口、トイレの便座、ハンドル、ドアノブ、手すり、ベッドレール(例えば、病院における)、カウンタートップ、テーブルトップ、食事用表面(例、トレイ、皿など)、作業面、機器表面、衣類など、及びこれらの組み合わせを含む様々な表面の少なくとも一部が含まれる。分析物源の全部又は一部を本試料調製システム及び方法で使用することができる。分析物源の一部が使用される場合、これを分析物源の「試料」と呼ぶ場合がある。しかしながら、「試料」なる用語は、本明細書では、更なる分析(例えば、分析物の検出)を行うために試料調製システムから抽出された一定体積又は量の物質を指すものとして一般的に用いられる。
【0011】
「食品」なる用語は、固体、液体(例えば、これらに限定されないが溶液、分散液、乳濁液、懸濁液など、及びこれらの組み合わせを含む)、及び/又は半固体の食用組成物を指すものとして一般的に用いられる。食品の例としては、これらに限定されるものではないが、肉、鶏肉、卵、魚、魚介類、野菜、果物、調理済み食品(例、スープ、ソース、ペースト)、穀物製品(例、小麦粉、シリアル、パン)、缶詰食品、牛乳、他の乳製品(例、チーズ、ヨーグルト、サワークリーム)、脂肪、油、デザート、香辛料、スパイス、パスタ、飲料、水、動物飼料、他の適当な食用材料、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0012】
「非食品」なる用語は、「食品」の定義に当てはまらず、一般的に食用とは考えられない対象分析物源を指すものとして一般的に用いられる。非食品源の例としては、これらに限定されるものではないが、臨床試料、細胞ライセート、全血又はその一部(例、血清)、他の体液又は分泌液(例、唾液、汗、皮脂、尿)、糞便、細胞、組織、臓器、生検、植物材料、木材、土、堆積物、薬剤、化粧品、栄養補助食品(例、朝鮮ニンジンカプセル)、医薬品、感染媒介物、他の適当な非食用物質、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0013】
「感染媒介物」なる用語は、感染性生物を運搬、かつ/又は移動することが可能な無生物又は基質を指すものとして一般的に用いられる。感染媒介物としては、これらに限定されるものではないが、布巾、モップヘッド、タオル、スポンジ、雑巾、食器、硬貨、紙幣、携帯電話、衣類(靴を含む)、ドアノブ、女性用品、おむつなど、これらの部分、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0014】
「分析物」なる用語は、検出しようとする(例えば、実験室又はフィールド試験により)物質を指すものとして一般的に用いられる。分析物源は、特定の分析物の有無について、又は特定の分析物を定量するために試験することができる。こうした分析物は、分析物源の内部(例えば、内側)、又は分析物源の外側(例えば、外表面)に存在しうる。分析物の例としては、これらに限定されるものではないが、微生物、寄生虫(その一部は微生物でもある)、生体分子、化学物質(例、殺虫剤、抗生物質)、金属イオン(例、水銀イオン、重金属イオン)、金属イオン含有錯体(例、金属イオンと有機配位子とからなる錯体)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0015】
微生物学的アッセイ、生化学的アッセイ(例、免疫アッセイ)、又はこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない各種の試験法を用いて分析物を同定及び/又は定量することができる。使用可能な試験法の具体例としては、これらに限定されるものではないが、ラテラルフローアッセイ、滴定法、熱分析法、顕微鏡法(例、光学顕微鏡法、蛍光顕微鏡法、免疫蛍光顕微鏡法、走査型電子顕微鏡法(SEM)、透過型電子顕微鏡法(TEM))、分光法(例、質量分析法、核磁気共鳴(NMR)分光法、ラマン分光法、赤外線(IR)分光法、X線分光法、減衰全反射分光法、フーリエ変換分光法、ガンマ線分光法など)、分光光度法(例、吸光度、蛍光、発光など)、クロマトグラフィー(例、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィーなど)、電気化学的分析法、遺伝子工学的手法(例、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、転写介在増幅法(TMA)、ハイブリダイゼーション保護アッセイ(HPA)、DNA又はRNA分子認識アッセイなど)、アデノシン三リン酸(ATP)検出アッセイ、免疫学的アッセイ(例、酵素結合免疫吸着法(ELISA))、細胞毒性アッセイ、ウイルスプラークアッセイ、細胞変性効果を評価するための方法、成長培地(例、寒天)及び/又は3M(商標)Petrifilm(商標)プレート(例、3M(商標)Petrifilm(商標)プレートリーダー(スリー・エム・カンパニー(3M Company)、ミネソタ州セントポール))を用いた画像化、定量化、及び/又は解釈)を用いて行うことができるような培養法、他の適当な分析物試験法、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0016】
「微生物」なる用語は、これらに限定されるものではないが、細菌(例、運動性又は増殖性、グラム陽性又はグラム陰性)、ウイルス(例、ノロウイルス、ノーウォークウイルス、ロタウイルス、アデノウイルス、DNAウイルス、RNAウイルス、エンベロープ型、非エンベロープ型、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ヒトパピローマウイルス(HPV)など)、細菌の胞子又は内生胞子、藻類、真菌類(例、酵母、糸状菌類、真菌胞子)、プリオン、マイコプラズマ、及び原生動物の1以上を含む、すべての原核又は真核微生物を指すものとして一般的に用いられる。特定の場合では、特に対象となる微生物は病原性を有するものであり、「病原体」なる用語がすべての病原性微生物を指して用いられる。病原体の例としては、これらに限定されるものではないが、腸内細菌科の細菌、又はミクロコッカス科の細菌、又はブドウ球菌属、連鎖球菌属、シュードモナス属、腸球菌属、サルモネラ菌属、レジオネラ菌属、赤痢菌属、エルシニア属、エンテロバクター属、エシェリキア属、バチルス属、リステリア属、カンピロバクター属、アシネトバクター属、ビブリオ属、クロストリジウム属、及びコリネバクテリウム属が挙げられる。病原体の具体例としては、これらに限定されるものではないが、腸管出血性大腸菌(例、血清型O157:H7)、シュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)、バチルス・アントラシス(Bacillus anthracis)、サルモネラ・エンテリティディス(Salmonella enteritidis)、サルモネラ・チフィリウム(Salmonella typhimurium)、リステリア・モノサイトジェネス(Listeria monocytogenes)、クロストリジウム・ボツリヌム(Clostridium botulinum)、クロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、メチシリン耐性スタフィロコッカス・アウレウス、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、エルシニア・エンテロコリティカ(Yersinia enterocolitica)、ビブリオ・バルニフィカス(Vibrio vulnificus)、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)、バンコマイシン耐性エンテロコッカス、及びエンテロバクター・サカザキ(Enterobacter sakazakii)が挙げられる。微生物の増殖に影響しうる環境因子としては、栄養素の有無、pH、含水量、酸化還元電位、抗微生物化合物、温度、大気ガス組成、及び生物学的構造又は障壁が挙げられる。
【0017】
「寄生生物」なる用語は、第2の生物(すなわち宿主)の体内(すなわち体内寄生生物)又は体表(すなわち体外寄生生物)に生息し、通常第2の生物に害をもたらす生物を指すものとして一般的に用いられる。寄生生物としては、これらに限定されるものではないが、微生物及び寄生虫(例、回虫、線虫、鉤虫、巨視的多細胞寄生虫、蟯虫、鞭虫など)が挙げられる。寄生生物の具体例としては、これらに限定されるものではないが、クリプトスポリジウム属、ジアルジア属、ブラストシスチス・ホミニス(Blastocystis hominis)、小形アメーバ、クリプトスポリジウム・パルバム(Cryptosporidium parvum)、赤痢アメーバ、大腸アメーバ、ハルトマンアメーバ、ランブル鞭毛虫、メニール鞭毛虫、シクロスポラ・カイエタネンシス(Cyclospora cayetanensis)、蠕虫(巨視的多細胞寄生虫)、回虫(ヒト回虫)、糞線虫(線虫)、ズビニ鉤虫(鉤虫)、アメリカ鉤虫(鉤虫)、エンテロビウス・バーミキュラリス(Enterobius vermicularis)(蟯虫)、及びトリチュリス・トリチウラ(Trichuris trichiura)(鞭虫)が挙げられる。
【0018】
「生体分子」なる用語は、生物の体内に存在するが、生物によって生成される分子又はその誘導体を指すものとして一般的に用いられる。例えば、生体分子としては、これらに限定されるものではないが、アミノ酸、核酸、ポリペプチド、タンパク質、ポリヌクレオチド、脂質、リン脂質、糖類、多糖類、及びこれらの組み合わせの少なくとも1つが挙げられる。生体分子の具体例としては、これらに限定されるものではないが、代謝物質(例、ブドウ球菌エンテロトキシン)、アレルゲン(例、落花生アレルゲン、卵アレルゲン、花粉、イエダニ、カビ、鱗屑、又はそれらに内在するタンパク質など)、ホルモン、毒素(例、バチルス下痢原性毒素、アフラトキシン、クロストリジウム・ディフィシル毒素など)、RNA(例、mRNA、全RNA、tRNAなど)、DNA(例、プラスミドDNA、植物DNAなど)、タグ標識タンパク質、抗体、抗原、ATP、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0019】
「可溶性物質」及び「不溶性物質」なる用語は、特定の条件下で特定の培地に比較的可溶又は不溶である物質を指すものとして一般的に用いられる。詳細には、特定の条件の組み合わせの下では、「可溶性物質」とは、溶液中に混和し、系の溶媒(例、希釈剤)に溶解する物質であり、「不溶性物質」とは、特定の条件の組み合わせの下で溶液中に混和せず、系の溶媒に溶解しない物質である。分析物源には可溶性物質及び不溶性物質(例、細胞片)が含まれる。不溶性物質は微粒子又は破片と呼ばれる場合もあり、分析物源物質それ自体の一部(例、分析物源の内部又は外部(例、外面)から得られるもの)、又は攪拌工程から生ずる他の分析物源の残渣若しくは破片を含みうる。対象とする分析物は、可溶性物質又は不溶性物質中に存在しうる。
【0020】
「攪拌する」なる用語及びその派生語は、液体組成物に運動を与える、例えば、こうした液体組成物の内容物を混合又は混和するか、あるいは固体の分析物源を液体と混和することによって液化するプロセスを述べるものとして一般的に用いられる。これらに限定されるものではないが、人の手による振盪、機械的振盪(例、直線的振盪)、超音波振動、ボルテックス攪拌、人の手による攪拌、機械的攪拌(例、機械的プロペラ、磁気攪拌棒、又はボールベアリングなどの他の攪拌補助要素による)、人の手による叩打、機械的叩打、ブレンディング、混練、及びこれらの組み合わせを含む各種の攪拌法を用いることができる。
【0021】
「濾過」なる用語は、サイズ、電荷、及び/又は機能によって物質を分離するプロセスを述べるものとして一般的に用いられる。例えば、濾過において、可溶性物質及び溶媒(例、希釈剤)を不溶性物質から分離することを行ってもよく、あるいは、濾過において、可溶性物質、溶媒及び比較的小さな不溶性物質を、比較的大きな不溶性物質から分離することを行ってもよい。これらに限定されるものではないが、液体組成物をフィルターに通過させる、沈殿の後、吸引又はデカンテーションを行う、他の適当な濾過法、及びこれらの組み合わせを含む各種の濾過法を用いることができる。「沈殿」とは、液体組成物中の不溶化物質を沈殿させることを指して用いられる。沈殿は重力又は遠心によって行うことができる。この後、可溶化物質及び溶媒を不溶化物質から吸引する、可溶化物質及び溶媒をデカントする、又はこれらの組み合わせによって、不溶化物質(又は比較的大きな不溶化物質)を、可溶化物質(又は可溶化物質及び比較的小さな不溶化物質)及び溶媒から分離することができる。
【0022】
「フィルター」とは、可溶化物質(又は可溶化物質及び比較的小さな不溶化物質)及び溶媒を液体組成物中の不溶化物質(又は比較的大きな不溶化物質)から分離するための装置を述べるものとして一般的に用いられる。フィルターの例としては、これらに限定されるものではないが、織布又は不織布メッシュ(例、ワイヤーメッシュ、クロスメッシュ、プラスチックメッシュなど)、織布又は不織布ポリマーウェブ(例、均一又は不均一プロセスで寝かせたポリマー繊維からなるものを場合によりカレンダー加工したもの)、表面フィルター、デプスフィルター、膜(例、セラミック膜(例、ワットマン社(Whatman Inc.)ニュージャージー州フローハムパーク(Florham Park)よりANOPOREの商標表記で市販されるセラミック酸化アルミニウム膜フィルター)、ポリカーボネート膜(例、ワットマン社(Whatman Inc.)よりNUCLEOPOREの商標表記で市販されるトラックエッチングされたポリカーボネート膜フィルター))、ポリエステル膜(例、トラックエッチングポリエステルからなるものなど)、シーブ、グラスウール、フリット、濾紙、発泡材など、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0023】
「濾液」なる用語は、液体組成物から不溶性物質(又は少なくとも比較的大きな不溶性物質)が除去された後に残る液体を述べるものとして一般的に用いられる。濾過には広範な方法が含まれるため、「濾液」なる用語は、混合物中の不溶性物質(又は比較的大きな不溶性物質)を沈殿させることによって生ずる上清を指すものとしても用いられる。
【0024】
図1は、本開示の一実施形態に係る試料の調製及び供給方法10を示したものである。図1に示されるように、試料の調製及び供給方法10は、分析物源12を取得することで始まりうる。希釈剤13を分析物源12の全部又は一部と合わせて攪拌することによって、分析物源12が希釈剤13に溶解、分散、懸濁及び/又は乳濁された液体組成物14を形成することができる。このため、液体組成物14は一般的に混合物であり、溶液、乳濁液、分散液、懸濁液、又はこれらの組み合わせでありうる。
【0025】
分析物源12は、希釈剤13と組み合わされた場合、可溶性物質及び不溶性物質15を含むことによって、分析物源12の特定の部分が希釈剤13に溶解しうるのに対して分析物源12の他の部分は希釈剤13に懸濁、分散、又は乳濁されうる。次いで液体組成物14を濾過することによって対象とする分析物(存在する場合)を含む濾液16が形成される。対象とする分析物は、液体組成物14の可溶性物質又は不溶性物質中に存在しうる。対象とする分析物が不溶性物質中に存在する場合、かつ破片又は不要な物質から対象分析物を除去するためにフィルターが使用される場合、フィルターは通常、対象分析物(及び場合により他の同様のサイズの不溶性物質)を濾液16としてフィルターを通過させる一方で、比較的大きな不溶性物質17がフィルターを通過するのを制限するように構成される。したがって、濾液16もいくらかの不溶性物質をも含みうる点は理解されるべきであり、不溶性物質17は簡単のため、及びあくまで一例として、液体組成物14から除去されている状態が図1に示されている。この後、試料18が濾液16の少なくとも一部から形成され、この試料18を培養、分析などの目的で供給することが可能である。各種の試料調製システムからの試料18を増殖、濃縮、分析などの1以上を行うために一緒に蓄えることが可能である。
【0026】
本開示の全体を通じて、液体組成物14、濾液16、及びそれらのあらゆる試料18の内の1以上のものを、対象分析物を含むものとして述べる場合がある。しかしながら、特定の実施形態では、液体組成物14は対称分析物を含まない場合があり、試料を分析した場合に陰性の試験結果が得られる場合がある。例えば、食品源から試料が調製され、その試料を特定の細菌について試験したが、この食品源がその細菌を含んでいなかった場合、その食品から形成される液体組成物14、並びにそのあらゆる濾液16及び試料18もやはり対象とする細菌を含まないことになる。したがって、液体組成物14、濾液16、及びこれらから採取されるあらゆる試料18の1つ以上が対象分析物を含むものとして述べられたとしても、これは対象分析物が存在した場合にのみ当てはまることは理解されるべきである。
【0027】
図1に示し、上記に述べた試料の調製及び供給方法10はあくまで一例として図示及び説明するものである。しかしながら、当業者であれば、本開示の試料の調製及び供給方法は図1に示し、上記に述べたすべての工程を含む必要はない点は理解されるはずである。例えば、本開示の特定の実施形態では、試料の調製及び供給方法は濾過工程を含まず、その代わりに液体組成物14の試料が培養、分析などの目的で供給される。
【0028】
希釈剤13は一般的には液体であり、特定の実施形態では滅菌された液体である。特定の実施形態では、希釈剤13として、これらに限定されるものではないが、界面活性剤、又は後の分析物の試験のために分析物源の分散、溶解、懸濁又は乳濁を助ける他の適当な添加剤、レオロジー添加剤、抗微生物中和剤(例、防腐剤又は他の抗微生物剤を中和するもの)、栄養素(例、望ましい微生物の選択的増殖を促進するもの)及び/又は増殖阻害剤(例、望ましくない微生物の増殖を阻害するもの)を含む増菌又は成長培地、pH緩衝剤、酵素、指示分子(例、pH又は酸化/還元指示剤)、胞子発芽剤、消毒剤を中和するための薬剤(例、塩素のチオ硫酸ナトリウムによる中和)、細菌の甦生を促進することを目的とした薬剤(例、ピルビン酸ナトリウム)、又はこれらの組み合わせなどの各種の添加剤を挙げることができる。特定の実施形態では、希釈剤13は、滅菌水(例、滅菌再蒸留水(ddH2O))、分析物源を選択的に溶解、分散、懸濁又は乳濁する1以上の有機溶媒、水性有機溶媒、又はこれらの組み合わせを含む。特定の実施形態では、希釈剤13は滅菌緩衝溶液(例、エッジバイオロジカル社(Edge Biological)(テネシー州メンフィス)より販売されるButterfield緩衝液)である。特定の実施形態では、希釈剤13は選択的又は半選択的栄養製剤であることにより、希釈剤13を所望の分析物(例、細菌)の選択的又は半選択的な増殖に使用することができる。こうした実施形態では、希釈剤13を分析物源12と所定の時間(例、特定の温度において)インキュベートすることによって所望の分析物のこうした増殖を促進することができる。
【0029】
成長培地の例としては、これらに限定されるものではないが、トリプティックソイブロス(Tryptic Soy Broth)(TSB)、緩衝ペプトン水(BPW)、ユニバーサルプレエンリッチメントブロス(Universal Pre-enrichment Broth)(UPB)、リステリア増菌基礎培地(LEB)、ラクトースブロス、Boltonブロス、又は当業者には周知の他の汎用、非選択的、又は軽度に選択的な培地が挙げられる。成長培地は、1以上の所望の微生物(対象分析物)の増殖を支持する栄養素を含みうる。
【0030】
増殖阻害剤の例としては、これらに限定されるものではないが、胆汁塩、デオキシコール酸ナトリウム、亜セレン酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、塩化リチウム、亜テルル酸カリウム、テトラチオン酸ナトリウム、スルファセタミドナトリウム、マンデル酸、テトラチオン酸システインセレナイト(selenite cysteine tetrathionate)、スルファメタジン、ブリリアントグリーン、マラカイトグリーンオキサレート、クリスタルバイオレット、タージトール4、スルファジアジン、アミカシン、アズトレオナム、ナリジクス酸、アクリフラビン、ポリミキシンB、ノボビオシン、アラフォスファリン、有機及び鉱酸、バクテリオファージ、ジクロランローズベンガル、クロラムフェニコール、クロロテトラサイクリン、特定の濃度の塩化ナトリウム、スクロース及び他の溶質、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0031】
特定の実施形態では、分析物源12が希釈剤13を含むことにより、液体組成物14は分析物源12及び希釈剤13を含んだものになるが、希釈剤13は別に加えたものではない。例えば、相当量の水又は他の液体を含む食品源を混合することによって、分析物源12及び希釈剤13を含む液体組成物14を、別の希釈剤13を加える必要なく形成することができる。特定の実施形態では、分析物源12を希釈剤13に実質的に溶解することが可能であり、これにより液体組成物14が最小量の不溶性物質15を含んだものとなり、濾過工程が不要になる。
【0032】
図14は、本開示の一実施形態に係る試料の調製及び供給システム801を示したものである。試料調製及び供給システム801は、試料調製システム800、及び試料調製システム800に結合された試料供給システム803を有し、試料供給システム803は試料調製システム800と流体連通している。試料調製システム800は分析物源812から試料を調製し、試料供給システム803は試料調製システムから試料を除去及び/又は培養、分析(例、対象検体の有無を識別する)を行うために試料を供給するように構成されている。
【0033】
図2〜13は、本開示に係る試料調製システムの異なる実施形態を示したものであり、図14〜16は、本開示に係る試料調製及び供給システムの異なる実施形態を示したものであり(試料調製システム及び試料供給システムの異なる実施形態を含む)、図17A〜21Bは、本開示に係る試料供給システムの異なる実施形態を示したものである。
【0034】
図2は、本開示の一実施形態に係る試料調製システム100を示したものである。図2に示されるように、試料調製システム100は、容器102、ライナー104、蓋106、カラー108、及びカバー109を含む。特定の実施形態では、試料調製システム100の1以上の要素は滅菌状態であるか、又は、蒸気、γ線照射、酸化エチレン、過酸化水素、過酢酸、水/アルコール溶液、漂白剤、及びこれらの組み合わせなどの滅菌及び殺菌法によって滅菌可能である。試料調製システム100と類似する特徴を有するシステムが、国際公開第WO98/32539号、米国特許第6,536,687号及び同第6,588,681号、国際公開第2004/060574号、同第2004/060575号、同第2004/0164182号、同第2004/094072号、国際公開第WO2007/079143号、同2007/079188号に述べられており、これらはいずれもその全容を本明細書に援用するものである。
【0035】
本開示の特定の実施形態では、複数の試料調製システム100を使用することによって、複数の同じ試料調製システム100を並列に使用(あるいは試料を蓄える)することで試料の調製を促し、生産性/生産量を向上させることができる。こうした実施形態では、複数の試料調製システム100を少なくとも部分的に一体形成するか、あるいは別体として形成することができる。例えば、特定の実施形態では、複数のライナー104を1個の比較的大きな容器102(例えば、ライナー104用の複数のリザーバを有するもの)内で使用することができる。
【0036】
特定の実施形態では図2に示されるように、容器102は自立式及び/又は自己支持型であり、底127及び側壁129を含んでいる。「自立式」なる用語は、圧し潰れたり歪んだりすることなく、また、別の物体によって保持されることなく、それ自体で立つことが可能な物体を指すものとして一般的に用いられる。「自己支持型」なる用語は、それ自身の重量によって圧し潰れたり変形することのない物体を指すものとして一般的に用いられる。例えば、バッグは、それ自身の重量により、その形状が保たれずに圧し潰れたり歪んでしまうため、通常「自己支持型」ではない。自己支持型の物体は必ずしも自立式ではない。
【0037】
容器102は、これらに限定されるものではないが、高分子材料、金属(例、アルミニウム、ステンレス鋼など)、セラミック、ガラス、及びこれらの組み合わせを含む様々な材料で形成することができる。高分子材料の例としては、これらに限定されるものではないが、ポリオレフィン(例、ポリエチレン、ポリプロピレン、これらの組み合わせなど)、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリスチレン、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン、自立式及び/又は自己支持型容器を形成することができる他の適当な材料、又はこれらの組み合わせが挙げられる。容器102は、半透明(又は更には透明)であってもよく、分析しようとする分析物源の種類、量、及びサイズに応じて任意の適当なサイズとすることができる。例えば、特定の実施形態では、容器102は50mL、100mL、250mL、又はこれよりも大きな容量を有してもよい。
【0038】
特定の実施形態では、図2に示されるように、試料調製システム100は、容器102内に受容されるような形状及び寸法に構成されたライナー104を有する。ライナー104は使い捨て(例、1回の使用用とする)とすることによって大きな汚染のリスクなく、また各使用の間に大がかりな洗浄を行う必要なく容器102を再使用することが可能である。後に詳述し、また図9に示されるように、特定の実施形態では、試料調製システムは容器を含まずにライナーを有する。容器なしでライナーが用いられる場合、ライナーは「ライナー」自体として機能するのみではなく、貯蔵部又は容器と一般的に呼ぶこともできる。
【0039】
図2に示されるように、容器102は第1のリザーバ120を画定し、ライナー104は第2のリザーバ122を画定している。ライナー104は、容器102の第1のリザーバ120内に受容されるような形状及び寸法に構成されている。特定の実施形態では、分析物源112及び希釈剤113を第1のリザーバ120に加えることができる。特定の実施形態では、図2に示されるように、ライナー104を使用し、分析物源112及び希釈剤113を第2のリザーバ122内に配置し、ライナー104を第1のリザーバ120内に配置する。第1のリザーバ120又は第2のリザーバ122のいずれに加えられるかによらず、分析物源112と希釈剤113とを加え合わせて(更に攪拌して)液体組成物114を形成することができる。特定の実施形態では、ライナー104は自立式であり、ライナー104又は容器102が液体組成物114を収容可能な自立式の貯蔵部として機能しうる。
【0040】
分析物源112を容器102又はライナー104に最初に加えた後、希釈剤113を加えてもよく、希釈剤113を最初に加えた後に分析物源112を加えてもよく、あるいは、分析物源112と希釈剤113とを同時に加えてもよい。また、分析物源112と希釈剤113とを試料調製システム100に加える前に加え合わせてもよい。
【0041】
希釈剤113が容器102又はライナー104に最初に加えられる特定の実施形態では、予め計量した量の希釈剤113(例、滅菌液体希釈剤)を取り外し可能に結合されるカバー(例、接着剤、熱シール、超音波溶接、又は後述する他の結合手段のいずれかの1以上のものによって容器102又はライナー104に結合される1回使用の取り外し式バリアフィルム)によって容器102又はライナー104内に密封し、分析物源112を加える直前にカバーを取り外すことができる。また、特定の実施形態では、予め計量した量の乾燥粉末媒質(例、対象分析物に対する栄養媒質、及び/又は、対象としない分析物に対する増殖阻害剤)を取り外し可能に結合されるカバーによって容器102又はライナー104内に密封するか、あるいは所望の媒質を容器102又はライナー104の内面上にコーティングするか又は吸着させてもよい。こうした実施形態では、分析物源112を加えるのに先立って又はそれと同時にカバーを取り外し、溶媒(例、ddH2O)を加えることによって希釈剤113を形成することができる。また、分析物源112が媒質を溶解できるだけの充分な液体を含んでいる場合には、分析物源112を乾燥粉末媒質に加えることによって、分析物源112及び希釈剤113(例、分析物源112によって与えられる溶媒中に溶解された媒質)を含んだ液体組成物114を形成してもよい。
【0042】
特定の実施形態では、容器102及び/又はライナー104(ライナー104が使用される場合)を区画化することによって、それぞれが複数の第1のリザーバ120及び/又は複数の第2のリザーバ122を有するようにしてもよい。複数のリザーバ120/122を、例えば異なる微生物の並行又は同時濃縮、又はこれらの組み合わせを行うための多段階濃縮に使用することができる。一例として、ライナー104は2個の第2のリザーバ122(この例では簡単のためリザーバA及びBと呼ぶ)を有することができる。第1の濃縮媒質をリザーバA内に配置して微生物の一次濃縮を行い、第2の濃縮培地をリザーバB内に配置して同じ微生物の二次濃縮を行うことができる。リザーバA及びBは、例えば、媒質を配置するうえで両方にアクセスが可能であるが、一方には分析物源112が加えられ他方には加えられないように配置することができる。リザーバA内で液体組成物114が形成され、一次濃縮が行われた後、液体組成物114又はその一部をリザーバBに移動して二次濃縮を行うことができる。液体組成物114を、試料調製システム100の攪拌、2個のリザーバA及びBの間の破断可能なバリアの破損など、様々な方法によってリザーバBに移動させることができる。
【0043】
特定の実施形態では、1個の容器102が1以上の第1のリザーバ120を有するように、1個の容器102を複数のライナー104と共に使用することが可能であり、かつ/又は1以上のライナー104(それぞれが1以上の第2のリザーバ122を含む)を容器102内に配置することが可能である。他の構成も可能であり、当業者であれば複数の区画を得るうえで可能な異なる組み合わせが認識されるであろう。どのような構成であるかに関わらず、複数のリザーバ又は区画を、隣接、縦方向、同心状、又はこれらの組み合わせで配置することが可能である。
【0044】
ライナー104は、ポリプロピレン(例、低密度ポリエチレン(LDPE))、ポリエチレン、及びポリ(メチルペンテン)を含むがこれらに限定されないポリオレフィン、ポリアミド(例、NYLON(登録商標))、又はこれらの組み合わせを含む(これらに限定されない)各種の高分子材料を含む様々な材料で形成することができる。特定の実施形態では、ライナー104は熱成形法などの成形法によって成形される。ライナー104は半透明(又は更には透明)又は不透明であってもよい。
【0045】
特定の実施形態では、図2に示されるようにライナー104は自立式及び/又は自己支持型であり、いずれの場合にも、分析物源112及び希釈剤113を、ライナー104を容器102内に配置するのに先立って、ライナー104が圧し潰れたり歪んだりすることなく、ライナー104内に充填することが可能である。更に、自立式及び/又は自己支持型ライナー104は、重量の測定、分析物源112及び/又は希釈剤113の添加、輸送、取り扱い、及び/又は試料の除去をしやすくできる。
【0046】
特定の実施形態では、ライナー104は自己支持型及び/又は自立式であると同時に更に変形可能である。「変形可能」なる用語は、圧力(例、陽圧又は陰圧)又は応力によって最初の形状又は状態から変化しうる構造のことを指して用いられる。変形可能なライナー104を使用した実施形態では、圧力をライナー104に作用させることでライナー104のサイズを最初の(つまり、応力が作用していない)寸法から減少させることができる。こうした圧力を用いてライナー104からの液体組成物114(又はその濾液)の除去を促進することができる。こうした実施形態では、ライナー104は、液体組成物114を収容することが可能な変形可能な自己支持型の貯蔵部として機能しうる。特定の実施形態では、変形可能な自己支持型貯蔵部は自立式でもある。
【0047】
特定の実施形態では、図2に示されるように容器102の底127には開口部124が形成されており、これを通じて使用者がライナー104にアクセスしてライナー104に圧力を加えて変形させることができる。こうした圧力は手で直接作用させるか、あるいは更なる装置によって作用させてもよく、手動又は自動プロセスであってもよい。開口部124は望ましい用途に基づいた形状及び寸法に構成することができる。特定の実施形態では、容器102の底127は側壁129の単なる最下部、あるいは側壁129がやや内側に突出した部分であることから、容器102の底部においてライナー104に容易にアクセスすることが可能である。上記の別法の特定の実施形態では、容器102の開口部124は容器102の底部の大部分(例えば、容器102の断面積の大部分)を形成しており、底127は開口部124を囲む容器102のわずかな部分のみとなっている。ライナー104を用いない実施形態では、容器102は開口部124を含む必要はない。
【0048】
特定の実施形態では、ライナー104は比較的堅い底126及び比較的薄くかつ変形可能な側壁128を有し、これにより底126に対してライナー104の長手方向軸に平行な方向に(例えば、容器102の開口部124を介して)圧力が加えられると、ライナー104は長手方向に変形する(底126ではなく側壁128が圧し潰れることにより)。これに代えるか、あるいはこれに加えて、底126は側壁128よりも厚くともよい。あくまで一例として、特定の実施形態では側壁128の厚さは少なくとも50μmであり、特定の実施形態では少なくとも100μmであり、特定の実施形態では少なくとも150μmであり、特定の実施形態では少なくとも200μmである。特定の実施形態では、底126の厚さは少なくとも225μmであり、特定の実施形態では275μmであり、特定の実施形態では少なくとも300μmであり、特定の実施形態では少なくとも350μmである。
【0049】
ライナー104は更に、1以上のバッフル、プリーツ、波状部、シーム、接合部、ガセット、低強度部分(例、環状の低強度部分)、又はこれらの組み合わせを含んでもよく、これらを取り入れることによってライナー104の変形性を制御することを助け、かつ/又はライナー104の内容量を更に低減することができる。特定の実施形態では、後に詳述され、更に図9に示されるように、ライナー104はアコーディオン式の構成を含む。特定の実施形態では、ライナー104は内面、特に底126と側壁128との内側接合部において一切の溝を含まない。
【0050】
特定の実施形態では、ライナー104を意図的に変形させることによってライナー104の表面形状に乱れを生じさせる。このように乱れた表面形状は、攪拌時に分析物源112を細かくするうえで役立つ。例えば、特定の実施形態では、ライナー104の側壁128と容器102との間に障害物(例、比較的堅い材料)を配置することによってライナー104の側壁128に異なる表面形状を与えることができる。
【0051】
図2に示されるように、容器102は容器102内の内容物の量(すなわち、体積)を示す標示130を含んでもよい。標示130を使用することによって、例えば、希釈剤113に対する分析物源112の重量比が1:100〜1:1の範囲である場合に液体組成物114の望ましい重量比を得ることができる。好適な標示の一例が、米国特許第6,588,681号に述べられている。これに代えるか、あるいはこれに加えて、ライナー104が標示を含んでもよい。容器102及び/又はライナー104上で標示130を使用できるようにするためには、容器102及び/又はライナー104を半透明又は更には透明とすることで容器102の側壁129及び/又はライナー104の側壁128を通じて液体組成物114が見えるようにする。側壁128及び129も、商標、ブランド名などの他の種類のマーキングを有してもよい。容器102又はライナー104内に受容されるような寸法を有するとともに、容器102又はライナー104の内面に対して外側(すなわち、径方向に)に押し付けられるような充分な内部応力を含む材料で形成することが可能なフィルム上に標示130を設けることもできる。
【0052】
図2に示される実施形態では、蓋106がライナー104に取り外し可能に結合され、カラー108を使用して蓋106を容器102に対して更に固定している。例えば図2では、容器102は、側壁129の外面の上端に、カラー108(容器102のネジ山131と係合可能な雌ネジ山133を有する)を容器102の上端にねじ付けることができるような形状及び寸法に構成されたネジ山131を含む。蓋106を容器102に対して固定するためにカラー108を使用する代わりに、締め付け具及び/又は後述する他の結合手段のいずれかを含む他の結合手段を使用することができる。特定の実施形態では、ライナー104を使用せず、蓋106を容器102に直接結合することができる。こうした実施形態では、カラー108を使用する必要はない。したがって、蓋106は容器102又はライナー104のいずれかとシール(例、密閉シール)を形成することができる。特定の実施形態では、蓋106と容器102(又は蓋106とライナー104)とは一体形成されるかあるいは永久的に結合される。
【0053】
蓋106とライナー104との間、蓋106と容器102との間、及び/又は、カラー108と容器102との間のいずれかにおいて各種の結合手段を用いることで、各要素を互いに取り外し可能に結合することができる。こうした結合手段としては、これらに限定されるものではないが、重力(例えば、1つの要素を別の要素又はその嵌合部分の上に置く)、ネジ山、圧入係合(しばしば「摩擦嵌め係合」又は「締り嵌め係合」とも呼ばれる)、スナップ嵌め係合、磁石、接着剤、熱シール、他の適当な取り外し可能な結合手段、及びこれらの組み合わせが挙げられる。特定の実施形態では、分析物源112及び希釈剤113を加えた後に試料調製システム100を再び開く必要がないことから、容器102、ライナー104、蓋106及びカラー108を互いに取り外し可能に結合する必要はなく、代わりに互いに永久的又は半永久的に結合することができる。このような永久的又は半永久的結合手段としては、これらに限定されるものではないが、接着剤、縫合、ステープル、ネジ、クギ、リベット、無頭釘、クリンプ、溶接(例、音波(例、超音波)溶接)、任意の熱接着法(例、結合される要素の一方又は両方に加えられる熱及び/又は圧力)、スナップ嵌め係合、圧入係合、熱シール、他の適当な永久的又は半永久的結合手段、及びこれらの組み合わせが挙げられる。当業者であれば、永久的又は半永久的結合手段の特定のものを取り外し可能に構成することも可能であり、またその逆も可能であって、あくまで例としてこのように分類したことは認識されるであろう。
【0054】
図2及び3に示されるように、蓋106は更に、フィルター134に結合可能なポート132、ライナー104内に受容されるような寸法に構成された円筒状部分136、及び、円筒状部分136からポート132に延びるほぼ円錐状(例、切頭円錐)の部分138を含む。円筒状部分136と円錐状部分138との間の接合部において、蓋106は、円筒状部分136及び円錐状部分138から径方向外側に延びるリップ140を更に含む。
【0055】
特定の実施形態では、フィルター134は蓋106に直接結合される。特定の実施形態では、図2〜3に示されるように、フィルター134はフレーム135によって支持され、フレーム135を介して蓋106に結合されてもよい。フレーム135はフィルター134の一部を形成してもよく、フィルター134及び蓋106の両方に結合される別の要素としてもよい。フレーム135は、これらに限定されるものではないが、各種のポリマー、金属、セラミック、ガラス、及びこれらの組み合わせを含む様々な材料で形成することができる。図2〜3に示される実施形態では、フィルター134は金属メッシュで形成されており、フレーム135は金属フィルター134に結合したポリマーで形成されている。後に詳述するようにフレーム135は蓋106に結合されている。
【0056】
図2及び3に示される実施形態のフィルター134及びフレーム135は、蓋106の下端よりも下方に延びるような形状及び寸法に構成されているため、試料調製システム100が組み立てられた際に、フィルター134及びフレーム135はライナー104の第2のリザーバ122内(又は容器102の第1のリザーバ120内)に延びることになる。しかしながら、フィルター134及びフレーム135は様々な形状及びサイズとすることができる。特定の実施形態では、例えば、フレーム135は堅い上側部分(例えば、蓋106に結合される部分)と堅い下側部分とを有し、フィルター134をそれらの間に結合することが可能であり、フィルター134は圧し潰すことができるものでよい。このような実施形態を後に詳述し、図9に示す。
【0057】
蓋106の円筒状部分136は、ライナー104の内面に対して円筒状部分136をスナップ嵌め又は圧入することができるように複数の外周で外側に突出した突起部142を有している。特定の実施形態では、ライナー104の内面が、外側に突出した突起部142の代わりに、あるいは外側に突出した突起部142に加えて使用される内側に突出した突起部を有してもよい(例えば、外側に突出した突起部142と嵌合関係を形成するため)。
【0058】
ライナー104は、ライナー104の側壁128から径方向外側に突出して容器102の上面146及び蓋106のリップ140と当接関係を形成することが可能なリップ144を含むことができ、これにより、試料調製システム100が組み立てられる際に、ライナー104のリップ144が蓋106のリップ140と容器102の上面146との間に位置してシール(例、密閉シール)が形成される。図2に示されるように、カラー108は内側に突出したリップ156を含むことから、カラー108が容器102と結合される際に、カラー108のリップ156が蓋106のリップ140をライナー104のリップ144と接触するように押圧し、ライナー104のリップ144が容器102の上面146と接触するように押圧される(例えば、これによってより完全なシールが形成される)。試料調製システム100を組み立てるための、かつ試料調製システム100の各要素間にシールを形成するための上記に述べた手段はあくまで一例として説明及び図示したものである。しかしながら、当業者であれば、試料調製システム100の各要素を組み立てシールを形成する(例、液密シール、密閉シール、又はこれらの組み合わせ)うえで様々な他の機構を使用することが可能であり、これにより通常の動作条件下で試料調製システム100の漏れが防止される点は理解されるであろう。
【0059】
図2及び3に示される実施形態の蓋106はほぼ円錐状又は切頭円錐状の形状を有するものとして示されている。一方、蓋106は様々な他の形状を有することができ、こうした形状としては、これらに限定されるものではないが、円筒形状、長方形又は正方形の断面を有する管状形状、又は試料調製システム100の他の要素と結合するうえで適した他の形状が挙げられることが理解されるであろう。同様に、容器102、ライナー104、及びカラー108も図2に示されるほぼ円筒状の形状以外の様々な形状を有しうるものである。更に、蓋106を、試料調製システム100の他の要素を収容するような寸法に構成することができる。
【0060】
蓋106は、容器102に関して上記に示した材料を含む様々な材料で形成することができる。蓋106は用途に応じて半透明(又は更には透明)又は不透明であってもよい。
【0061】
カラー108は、これらに限定されるものではないが、各種の高分子材料、金属材料、及びこれらの組み合わせを含む様々な材料で形成することができる。例えば、カラー108は成型されたプラスチック製要素、又は機械加工された金属(例えば、アルミニウム)製要素で形成することができる。特定の実施形態では、カラー108はグラスファイバーで強化されたポリプロピレンからなる成型プラスチック要素から形成される。
【0062】
図2に示されるように、蓋106のポート132はほぼ円筒状かつ管状の形状を有することにより、ポート132は蓋106の内面153の一部分152及び蓋106の開口部154を画定している。蓋106は中空であり、試料調製システム100が組み立てられる際には第2のリザーバ122と流体連通する。ポート132は円筒状である必要はなく、代わりに特定の用途で必要とされる任意の形状とすることができる。図2及び3に示される実施形態では、フィルター134はポート132と結合されて(すなわち、フレーム135を介して)おり、蓋開口部154及び第2のリザーバ122と流体連通している。
【0063】
図2に示される実施形態では、カバー109はポート132の少なくとも一部を受容するような形状及び寸法に構成されている。その結果、カバー109は蓋106のポート132と結合されることによって蓋106の開口部154を閉鎖し、試料調製システム100を外部環境からシールすることができる(例、密閉シール)。カバー109は上記に述べた結合手段の任意のものを用いて蓋106に結合することができる。カバー109は蓋106と一体形成してもよく(例、後に詳述し、図13に示されるような押し上げスナップ式のカバー)、あるいは蓋106とは別体とすることもできる(例、後に詳述し、図9〜12に示されるようなネジ式のカバー)。カバー109は、容器102又はカラー108に関して上記に示した材料を含む様々な材料で形成することができる。
【0064】
特定の実施形態では、蓋106は、外部環境から蓋106の内部の少なくとも一部を隔離する破断可能若しくは貫通可能なバリア又は剥離可能なフィルムを有しているため、バリアに穿孔若しくは穿刺するか、又はフィルムを剥離することによって蓋106の内部にアクセスすることができる。こうした実施形態では、カバー109を使用する必要はない。
【0065】
図3に示されるように、蓋106の内面153には他の要素(例、その概念を図5〜6に示し、後述する追加的又は代替的フィルター)を結合することが可能な様々な内周縁部を設けることができる。内周縁部は、縁部に結合されることが望ましい他の要素の種類に応じて任意の望ましい向きを有することができる。特定の実施形態では、内周縁部は蓋106の長手方向中心軸に対してほぼ直交する向きであるため、図3では縁部はほぼ水平となっている。
【0066】
更に、蓋106は他の要素(例、フィルター)を結合することが可能な内側に延びる様々な部材を含むことができる。例えば、図3に示されるように、フィルター134はフレーム135によって支持されており、蓋106は、上記に述べた結合手段のすべてを含む(ただし、これらに限定されない)各種の結合手段を介してフレーム135を結合することが可能な内側に延びる部材155を含んでいる。内側に延びる部材155は蓋106と一体形成されてもよい。
【0067】
フィルター134は液体組成物114を充分に濾過することができるものであれば任意の幾何学的形状のものであってもよい。特定の実施形態では、フィルター134は変形可能及び/又は圧潰可能(フィルター134がそれ自身の重さで折れ曲がる)である。特定の実施形態では、フィルター134は剛性であり、その形状が維持される(それ自身の重さで折れ曲がらない)。試料調製システム100で使用されるフィルター134のサイズ及び数、並びにその多孔度は、分析物源112中の所望の分析物及び不溶性物質に応じて異なりうる。
【0068】
あくまで一例として、特定の実施形態では液体組成物114は食品からなり、所望の分析物は細菌であり、不溶性物質は食品の粒子又は破片である。こうした実施形態では、例えば、フィルター134は、食品粒子を保持及び/又は分離する一方で、対象とする細菌(存在する場合)は後の分析のためにフィルター134を通過させるようなものを選択することができる。更なる例として、特定の実施形態では、液体組成物114は溶解した細菌細胞培養物からなり、所望の分析物はDNA、RNA、タンパク質、又は代謝物質の内の1以上のものであり、不溶性物質は細胞の破片である。こうした実施形態では、例えば、フィルター134は、細胞破片を保持及び/又は分離する一方で、所望のDNA、RNA、タンパク質及び/又は代謝物質は後の分析のためにフィルター134を通過させるように選択又は処理(例、抗体などの生体分子結合物質で誘導体化する)することができる。あるいは、例えばフィルター134は、所望のDNA、RNA、タンパク質及び/又は代謝物質は保持する一方で、細胞破片はフィルター134を通過させるように選択又は処理してもよい。
【0069】
フィルター134は、液体組成物114からの粒子を保持する一方で、液体組成物114中の所望の分析物(存在する場合)は抽出及び試料採取のためにフィルター134を通過させるのに充分な様々な孔径を有してもよい。また、フィルター134は所望の分析物は保持する一方で不要な物質はフィルター134を通過させるようなサイズ、電荷とし、かつ/又は官能化することもできる。こうした実施形態では、試料はフィルター134の少なくとも一部を含んでもよく、これを更に処理(例、増殖、濃縮、分析など)することができる。
【0070】
特定の実施形態では、フィルター134は平均孔径又はメッシュサイズが少なくとも2μmであり、特定の実施形態では少なくとも5μmであり、特定の実施形態では少なくとも40μmであり、特定の実施形態では少なくとも80μmであり、特定の実施形態では少なくとも120μmである。特定の実施形態では、フィルター134は平均孔径又はメッシュサイズが最大で2000μmであり、特定の実施形態では最大で1000μmであり、特定の実施形態では最大で500μmであり、特定の実施形態では最大で200μmであり、特定の実施形態では最大で50μmであり、特定の実施形態では最大で10μmであり、特定の実施形態では最大で1μmである(例、細菌がフィルター134を通過することを制限することが望ましい場合)。
【0071】
図2及び3に示される実施形態では、フィルター134は、蓋106内に、蓋106の長手方向中心軸とほぼ一致するようにして配置されている。しかしながら、特定の実施形態では、フィルター134は蓋106の「軸線から外れた」位置に配置される。例えば、図2では、蓋106におけるフィルター134の可能な「軸線から外れた」位置を表す開口部158が破線で示されている。代替的又は追加的ポートを開口部158の位置に配置して開口部に結合することもできる。フィルター134は一方又は両方の位置に永久的又は取り外し可能に結合することができる。
【0072】
特定の実施形態、特にライナー104を使用しない実施形態では、フィルター134は、容器102の側壁129の開口部160又は容器102の底127の開口部124(又は容器102の底127の異なる位置に形成された開口部)を通じて試料調製システム100の内部(すなわち、容器102の第1のリザーバ120)に代替的又は追加的にアクセスすることが可能である。こうした実施形態では、フィルター134を容器102の側壁129又は底127に永久的又は取り外し可能に結合することができる。代替的又は追加的ポートを開口部160及び124の位置に配置して開口部に結合することもできる。特定の実施形態では、試料調製システム100は、蓋106のポート132、蓋106の開口部158の位置の更なるポート、容器102の側壁129の開口部160の位置の更なるポート、及び/又は、容器102の底127の開口部124の位置の更なるポートのような複数のポートを含むことができる。カバー109又は同様の閉鎖装置を使用して、試料調製システム100の任意の位置のポートの任意のものをシールすることができる。
【0073】
フィルター134の可能な異なる位置のため、フィルター134は試料調製システム100におけるその位置及び特定の用途に適応した形状及び寸法に構成することができる。フィルター134の可能な任意の位置において、フィルター134は、望ましい濾過の種類及びフィルター134が液体組成物114をどのように濾過することを目的としているかに応じて、液体組成物114の液面165よりも完全に上側又は完全に下側となるように配置するか、あるいは、液体組成物114の液面165よりも部分的に上側かつ部分的に下側となるように配置することができる。例えば、図2に示される実施形態では、フィルター134はポート132に結合されており、液体組成物114の液面165の高さに応じて、ポート132から試料調製システム100の内部へと通常は延びることから、フィルター134は液体組成物114の液面165よりも部分的に上側かつ部分的に下側となるように位置することになる。
【0074】
フィルター134はライナー104の内部及び液体組成物114と流体連通し、液体組成物114を濾過して濾液116を形成する機能を有する。濾液116はフィルター134の容積内に置かれ、隣接するポート132から抽出及び/又は試料採取することができる。複数の位置でフィルター134が用いられる実施形態では、濾液116は上記に述べたポート又は開口部のいずれから試料を採取してもよい。
【0075】
フィルター134は、これらに限定されるものではないが、ナイロン、フッ素化ポリマー(例、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE))、セルロース誘導体(例、酢酸セルロース及びニトロセルロースなどの改質セルロース)、グラスファイバー、紙、及びこれらの組み合わせの1以上を含む様々な材料から形成することができる。特定の実施形態では、フィルター134は織布ウェブ、不織布ウェブ、成形構造、発泡材、布地、繊維ウェブ、及びこれらの組み合わせで形成することができる。フィルター134の表面積は、フィルター134をプリーツ加工することにより、あるいは他の同様の方法によって増大させることができる。フィルター134の厚さはカレンダー加工又はフェルト化処理によって調節することができる。
【0076】
特定の実施形態では(フィルター134がどの位置にあるかによらず)、フィルター134を分析物源112の保持部又は貯蔵部として使用することができる。この概念の一例を図4に示し、後述する。
【0077】
上記に述べたようにライナー104は使い捨てとすることができる。更に特定の実施形態では、蓋106、カバー109、及びフィルター134の内の1以上のものをやはり使い捨てとすることができる。例えば、特定の実施形態では、蓋106をライナー104に結合し、カバー109及びフィルター134を蓋106に結合することができる。ライナー104、蓋106、フィルター134及びカバー109が、容器102又はカラー108を汚染することなく使用することが可能な試料調製システム100の使い捨て部分を形成してもよい。この使い捨て部分を容器102から取り外して処分することができる。この後、容器102及びカラー108を、新たなライナー104、蓋106、フィルター134及びカバー109とともに再使用することができる。
【0078】
図4は、本開示の別の実施形態に係る試料調製システム200を示したものであり、同様の参照符合は同様の要素を表わしている。試料調製システム200は、図2〜3に示される実施形態に関して上記に述べたものと多くの同じ要素及び特徴を共有している。したがって、図2及び3に示される実施形態の要素及び特徴に相当する要素及び特徴には、200番台の同様の参照符合を付すものとする。図4に示される実施形態の特徴及び要素(並びにこれらの特徴及び要素の代替物)のより完全な説明については図2及び3についての上記の説明文を参照されたい。
【0079】
試料調製システム200は、容器202及び蓋206を含む。試料調製システム200はライナーを有さず、蓋206が容器202に直接結合されている。試料調製システム200は更に、容器202の側壁229に形成された開口部260に流体移動可能に結合されたフィルター234を含む。試料調製システム100のフィルター134と異なり、フィルター234は分析物源112の保持部又は貯蔵部として機能する。
【0080】
フィルター234を容器202に永久的に結合し、分析物源212をフィルター234に加えることができる。あるいは、フィルター234を取り外し可能に容器202に取り外し可能に結合し、フィルター234を容器202に結合する前又は後に分析物源212をフィルター234に加えることができる。特定の実施形態では、フィルター234は容器202の第1のリザーバ220内で自由に浮動することが可能であり、これによりフィルター234は分析物源212を含み、希釈剤213がフィルター234の内部へ又はその外へと流れることが可能であるために分析物源212と混合されることになる。
【0081】
分析物源212がフィルター234内に位置し、フィルター234が容器202内の希釈剤213の液面よりも少なくとも部分的に下側に配置されて容器202の内部と流体連通しているため、分析物源212が希釈剤213と加え合わされて、フィルター234内で液体組成物214を形成する。フィルター234内に位置する液体組成物214は、希釈剤213中に対象とする分析物(存在する場合)及び分析物源212からのあらゆる他の可溶性又は不溶性物質を含んでいる。攪拌時には、分析物源212と希釈剤213とが混合され、分析物源212が希釈剤213中に溶解、分散、懸濁及び/又は乳濁する。フィルター234の孔径は、希釈剤213及び希釈剤213中のすべての対象分析物(存在する場合)がフィルター234の内外に自由に流れるように適合され、これにより、生じた濾液216はフィルター234の外部かつ容器202のリザーバ220の内部に位置し、希釈剤213及び存在するあらゆる対象分析物を含んだものとなる。
【0082】
濾液216は、蓋206内のポート232、蓋206内の開口部258、容器202の側壁229内の更なる開口部、及び/又は容器202の底227の開口部224のような様々なポート又は開口部から試料として採取することができる。更に、フィルター234は、開口部260を介して試料調製システム200に結合する代わりに、蓋206のポート232、蓋206の開口部258、及び/又は容器202の底227の開口部224のような様々なポート又は開口部のような様々なポート又は開口部のいずれかを介して試料調製システム200と結合することができる。特定の実施形態では図4に示されるように、1以上のポートが、試料調製システム100のフィルター134と同様に機能する更なるフィルター234’含むことができる。こうした実施形態では、濾液216がフィルター234’によって更に濾過され、生じた濾液216’はフィルター234’内に置かれ、隣接するポート(すなわち、図4のポート232)から抽出及び/又は試料採取することができる。
【0083】
試料調製システム200は更にライナーを含むことができ、その場合、開口部260の位置においてライナーと容器202との間に充分なシールが与えられていれば、希釈剤213及び得られた濾液216がライナー内に位置してもよい。
【0084】
図5及び6は、本開示の別の実施形態に係る試料調製システム300を示したものであり、同様の参照符合は同様の要素を表わしている。試料調製システム300は、図2及び3に示される実施形態に関して上記に述べたものと多くの同じ要素及び特徴を共有している。したがって、図2及び3に示される実施形態の要素及び特徴に相当する要素及び特徴には、300番台の同様の参照符合を付すものとする。図5及び6に示される実施形態の特徴及び要素(並びにこれらの特徴及び要素の代替物)のより完全な説明については、図2及び3についての上記の説明文を参照されたい。
【0085】
図5及び6は、試料調製システム300の蓋306のみを示したものである。試料調製システム300の他の要素は、上記に述べ、図2〜4に示した試料調製システムの他の対応する要素の任意のものを含むものと仮定できることから、簡単のために図5及び6には示さない。
【0086】
蓋306は、ほぼ平板状で蓋306の内面353に結合されるフィルター334を有する点を除いては、上記に述べ、図2及び3に示した蓋106とほぼ同様である。蓋306の内面353は、上側内周縁部370及び下側内周縁部368を含む。図5に示されるように、上側内周縁部370は外周371から内周373に延びる下側を向いた表面を含む。同様に、下側内周縁部368は外周376から内周378に延びる下側を向いた表面を含む。フィルター34の外周部は、内面353の上側内周縁部370に結合される。更にフィルター334は保持壁372と接触している。保持壁372は、蓋106の内面353から下側に延びてフィルター334の外周部を保持する。
【0087】
フィルター334を蓋106に関して上記に述べたのと同様の結合手段を用いて蓋306に結合することができる。フィルター334を蓋306に永久的又は取り外し可能に結合することができる。フィルター334と蓋306との間の結合の度合いは、フィルター334の材料、蓋306の材料、結合される表面領域のサイズ及びテクスチャー、並びに使用される結合手段の種類を含むがこれらに限定されない多くの因子に応じて異なりうる。例えば、フィルター334がほつれた縁部を含む場合、より幅の広いかつ/又は刻み目を付けた結合表面領域を使用することができる(例、上側内周縁部370に刻み目を付けることができる)。このような幅広かつ/又は刻み目部分を超音波溶接することによってフィルター334のほつれた縁部が捕捉される。ほつれの量を最小化するにはフィルター334をレーザーを用いて切断すればよく、これによりフィルター334の縁部が融合する。得られたレーザー切断フィルター334ではほつれがあるとしても最小の量であるため、より幅の狭い結合領域を使用することができる。特定の実施形態では、結合領域はフィルター334の外周部の周囲全体に延びている。特定の実施形態では、結合領域の平均の幅(すなわち、フィルター334と同じ平面内でフィルター334の外周部に対してほぼ垂直な寸法)は最大で5.0mmであり、特定の実施形態では、1.0mm〜3.0mmの範囲であってもよい。また、フィルター334は、例えば成型プロセスによって蓋306と一体形成してもよい。
【0088】
フィルター334は蓋306と同じ材料か又は異なる材料で形成することができる。フィルター334は可撓性であってもよく、半剛性であってもよい。特定の実施形態では、フィルター334がナイロン不織布又は織布で形成されるのに対して、蓋306はポリプロピレンなどのポリマーで形成された射出成型部品である。こうした実施形態では、ナイロンフィルター334を超音波溶接法によって蓋306に結合することができる。超音波溶接中に、上側内周縁部370の少なくとも一部が溶融してフィルター334と機械的に結合しうる。ナイロンはポリプロピレンよりも融点が高いため、ナイロンフィルター334は超音波溶接処理の間、その構造的一体性が維持される。こうした実施形態では、上側内周縁部370の少なくとも一部がフィルター334の一部に入り込むことによって、フィルター334の一部が封入される。
【0089】
フィルター334は特定の用途によって異なる寸法及び形状を有することができる。フィルター334は、これらに限定されるものではないが、円形、正方形、長方形、三角形、多角形、星形、他の適当な形状、及びこれらの組み合わせを含む任意の所望の形状を有してもよい。図5及び6に示される実施形態では、フィルター334はほぼ円形の形状を有している。
【0090】
フィルター334の寸法は蓋306のサイズに応じて異なりうる。特定の実施形態では、フィルター334の最大の寸法(長さ、幅、又は直径)は15mm〜100mmの範囲であるが、フィルター334はこれよりも小さいか又は大きい寸法を有してもよい。例えば、特定の実施形態では、フィルター334は円形の形状を有し、直径が56mmのものとすることができる。
【0091】
引き続き図5及び6を参照すると、保持壁372を蓋306と一体形成することができる。特定の実施形態では、図5に示されるように、蓋306は2個以上の保持壁372を含み、この場合、(i)各保持壁372はその厚さよりも大きな外周長を有し、(ii)各保持壁372はフィルター334の外周部に沿って配置され、(iii)2個以上の保持壁372の全周長はフィルター334の外周部の全周長よりも短い。
【0092】
図5に示されるように、蓋306は上側内周縁部370の外周371に沿って互いに等間隔で配置された4個の保持壁372を含む。特定の実施形態では、各保持壁372は、800μm〜1200μmの範囲の厚さと、外周371に沿って1.0mm〜22.0mmの範囲の距離で延びる長さ(すなわち、この例示的実施形態では円弧の長さ)と、1.0mm〜5.0mmの高さとを有する。特定の実施形態では、各保持壁372は保持壁372の周囲の液体の流れを阻害しないように(又は影響が最小となるように)断片化された形態を有する。
【0093】
蓋306は開口部354及び内側に延びる部材355を含む。図2及び3においてフィルター134が蓋106に結合されるのと同様に、更なるフィルター(図示せず)を蓋306に結合するために、内側に延びる部材355を用いることができる。こうした実施形態では、フィルター334は更なるフィルターの下に配置され、更なるフィルターは蓋306の上部からフィルター334までの距離よりも小さい長さ寸法を有しうる。
【0094】
特定の実施形態では、図5及び6に示されるように、フィルター334は蓋306の最小の断面積よりも大きな全表面積を有する。蓋306において、最小の断面積は蓋開口部354の断面積である。特定の実施形態では、複数のフィルターをフィルター334と同じ要領で蓋306に結合することができる。例えば、特定の実施形態では、フィルター334又は更なるフィルター(図示せず)を下側内周縁部368に結合することができる。すなわち、1以上のフィルター334を蓋306に結合して蓋306の内面353の任意の位置に配置することができる。複数のフィルター334が用いられる実施形態では、各フィルター334は互いに似たものでも互いに異なったものでもよい。すなわち、各フィルター334は同じか又は異なる材料で形成してもよく、各フィルター334は同じか又は順次小さくなる孔径を有することができる。
【0095】
一例として、第1のフィルター334を上側内周縁部370に結合し、直径を56mm、要素孔径を80μmとし、1以上の保持壁372で少なくとも部分的に囲むことができるのに対して、第2のフィルター334は下側内周縁部368に結合し、直径を96mm、要素孔径を200μmとし、蓋306の内面353によって少なくとも部分的に囲むことができる。
【0096】
上記に述べたフィルター134、234及び334の任意のものを単一の試料調製システムにおいて互いに組み合わせて使用することができる。例えば、上記に述べたように、フィルター134をフィルター234及び/又はフィルター334と組み合わせて使用することによって、異なる用途のための、及び/又は、液体組成物からより小さい微粒子を順次除去するための一連のフィルターを提供することができる。
【0097】
これに代えて、又はこれに加えて、液体組成物からより小さい微粒子を順次除去するためにフィルター134、234及び334のそれぞれの種類を複数個使用することができる(更に特定の実施形態では入れ子とすることができる)。例えば、目の粗いフィルターが、濾液を回収するために孔径が順次小さくなる後続のフィルターに対してより大きな孔径を有するプレフィルターとして機能するように各フィルターを配置することができる。各フィルターを、直立した試料調製システムで使用するように配置してもよく、かつ/又は各フィルターが傾けられているか逆さまにされた試料調製システムで使用するように配置してもよい。
【0098】
図7は、本開示の別の実施形態に係る試料調製システム400を示したものであり、同様の参照符合は同様の要素を表わしている。試料調製システム400は、図2と3及び図5と6に示される実施形態に関して上記に述べたものと多くの同じ要素及び特徴を共有している。したがって、図2と3及び図5と6に示される実施形態の要素及び特徴に相当する要素及び特徴には、400番台の同様の参照符合を付すものとする。図7に示される実施形態の特徴及び要素(並びにこれらの特徴及び要素の代替物)のより完全な説明については図2と3及び図5と6についての上記の説明文を参照されたい。
【0099】
試料調製システム400は、第1のリザーバ420を有する容器402、第2のリザーバ422を有するとともに、容器402の第1のリザーバ420内に受容される寸法に構成されたライナー404、蓋406、カラー408、及びプランジャー437を有している。蓋406は、上記に述べ、図2〜6に示した蓋106、206及び306と似ているが、2個の上側に延びる突起部439を更に含んでいる。突起部439は試料調製システムを他の装置に結合することを可能とするか、あるいはカバー(図示せず)用の結合手段を提供するものである。蓋406はポート432を有し、ポート432は、試料調製システム400をカバー又は他の装置に結合するための代替的又は追加的な結合手段を提供できる複数の隆起部441を有している。蓋406は、図5と6に示し、上記に述べたフィルター334とほぼ同様のフィルター434を更に含んでいる。
【0100】
特定の実施形態では図7に示されるように、プランジャー437は、容器402の上部に向かう第1の方向D1にプランジャー437が動かされる際にライナー404の外側に陽圧を作用させるように構成される。図7に示されるように、プランジャー437を使用してライナー404の外側に圧力が加えられると、ライナー404が圧縮されて第2のリザーバ422内の容積が減少し、液体組成物414(分析物源412及び希釈剤412を含む)がフィルター434から押し出されて濾液416が形成され、蓋406内に回収される(例えば、図7に示されるように試料調製システム400が逆さまにされる際)。この後、濾液416をポート432を介して試料調製システム400の外に取り出すことができる。
【0101】
特定の実施形態では、プランジャー437はライナー404の内側に陰圧を作用させるように構成される。例えば、特定の実施形態では、容器402の下部に向かう、第1の方向D1とは逆向きの第2の方向D2にプランジャー437が動かされる際にライナー404が拡張するようにプランジャー437をライナー404に結合し、ライナー404の拡張により、ライナー404の内部(第2のリザーバ422)内の圧力が低下し、第2のリザーバ422と試料調製システム400の外側との間に圧力差が生じる。この圧力差により、液体が例えばポート432を介して第2のリザーバ422内に流入する。プランジャー437がライナー404の外側と協働して圧力差が形成される結果、プランジャー437を液体組成物414と接触することなく使用し、汚染のリスクなく再使用することが可能である。
【0102】
特定の実施形態では図7に示されるように、プランジャー437は容器402の底427の開口部424内に受容される寸法に構成されたハンドル443を含むことができる。特定の実施形態では、プランジャー437のハンドル443を、開口部424の大きさにより近くなるようなサイズに構成してもよく、かつ/又はシール手段(例、Oリング)をハンドル443と開口部424との間に配置してシールを形成してもよい。図7に示される実施形態では、ハンドル443は、ライナー404(例、ライナー404の底426)と接触するプランジャー437の部分よりも小さい直径を有している。ライナー404と接触するプランジャー437の部分は、容器402の第1のリザーバ420内に受容されるような寸法に構成されている。しかしながら、特定の実施形態では、プランジャー437は一様な断面を有するか、徐々に小さくなる(例えば、第2の方向D2に向かって)断面を有し、容器402の開口部424はこれに応じたサイズに構成される。図7に示されるプランジャー437はあくまで一例として示したものであり、当業者であれば、様々な形状及びサイズのプランジャーを本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく使用することができる点は理解されるはずである。
【0103】
プランジャー437は容器102に関して上記に示した材料を含む様々な材料で形成することが可能であり、また、プランジャー437は中実であっても中空であってもよい。プランジャー437は用途に応じて半透明(又は更には透明)又は不透明であってもよい。
【0104】
図8は、本開示の別の実施形態に係る試料調製システム500を示したものであり、同様の参照符合は同様の要素を表わしている。試料調製システム500は、図2と3及び図7に示される実施形態に関して上記に述べたものと多くの同じ要素及び特徴を共有している。したがって、図2と3及び図7に示される実施形態の要素及び特徴に相当する要素及び特徴には、500番台の同様の参照符合を付すものとする。図8に示される実施形態の特徴及び要素(並びにこれらの特徴及び要素の代替物)のより完全な説明については図2と3及び図7についての上記の説明文を参照されたい。
【0105】
図8に示されるように、試料調製システム500は、第1のリザーバ520を含む容器502、第1のリザーバ520内に受容される寸法に構成されるとともに第2のリザーバ522を含むライナー504、及び蓋506を含んでいる。カラー(図示せず)を使用して、試料調製システム500の要素同士を更に固定することもできる。第2のリザーバ522は、分析物源512及び希釈剤513を含む液体組成物514を収容するように構成されている。試料調製システム500はフィルター534に結合されたプランジャー537を更に含む。フィルター534は、液体組成物514を濾過して対象とする分析物(存在する場合)を含む濾液516を形成するように構成されている。
【0106】
容器502は、底527、側壁529、及び底527内に画定された開口部524を含む。ライナー504は、側壁528、及び例えば容器502の底527の開口部524を介してアクセスすることが可能な底526を有している。蓋506は、蓋506及び試料調製システム500に開口部554を画定するポート532を含む。プランジャー537は、ポート532内に受容される寸法に構成されたハンドル543を含むため、ハンドル543に試料調製システム500の外部からアクセスしてフィルター534を液体組成物514中に押し込むことができる。特定の実施形態では、プランジャー537のハンドル543を、開口部554の大きさにより近くなるようなサイズに構成してもよく、かつ/又はシール手段(例、Oリング)をハンドル543と開口部554との間に配置してシールを形成してもよい。蓋506は、蓋506の第2のポート内に画定された、軸から外れた開口部558を更に含み、開口部558は例えば試料調製システム500内部から圧力を解放するための排気口として機能しうる。
【0107】
特定の実施形態では図8に示されるように、フィルター534はライナー504の第2のリザーバ522内に嵌るような寸法に構成することができる。こうした実施形態では、フィルター534はライナー504の変形性のためにライナー504の側壁528とシールを形成することが可能であり、フィルター534の外面とライナー504の側壁528の内面との間に更なるシール手段を設ける必要は必ずしもない。ライナー504の変形性により公差の幅も広くなることから、フィルター534のサイズが狭い範囲内に収まっていなくともフィルター534はライナー504と協働することができる。
【0108】
また、特定の実施形態では、試料調製システム500がライナー504を含まず、フィルター534が容器502と協働するように構成してもよい。例えば、フィルター534は容器502の第1のリザーバ520内に嵌るようなサイズに構成することができる。特定の実施形態では、試料調製システム500はフィルター534と容器502の側壁529との間に配置されるシール手段(例、Oリング)を有してもよい。特定の実施形態では、容器502の側壁529は上下に真っ直ぐである(すなわち、底527に対して垂直である)ことによって、フィルター534と側壁529とのシールが容易となる。特定の実施形態では、フィルター534は、容器502の側壁529のテーパにフィルター534が適合できるように外側の変形可能な(例、エラストマー)フランジを含む。こうしたフランジを、フィルター504を使用した実施形態に取り入れることもできる。
【0109】
プランジャー537が方向D1に沿って下方に押されるにしたがって、フィルター534が液体組成物514中を下方に移動し、これにより比較的大きな不溶性物質(フィルター534の孔径よりも大きな粒径を有するすべての微粒子)はフィルター534の下に残り、すべての可溶性物質及び比較的小さな不溶性物質(フィルター534の孔径よりも小さな粒径を有するすべての微粒子)はフィルターを通過して第2のリザーバ522内のフィルター534の上に濾液516が形成される。プランジャー537は、方向D1に停止位置(例えば、ライナー504、フィルター534及び/又はプランジャー537が1以上の停止要素を含み、プランジャー537を第2のリザーバ522内の特定の深さのみに適合するようなサイズに構成する)にまで、又は液体組成物514中のすべての残りの不溶性物質がフィルター534によって少なくとも部分的に圧縮される位置にまで押し込むことができる。
【0110】
特定の実施形態では、プランジャー537のハンドル543を中空とし、第2のリザーバ522と流体連通するようにしてもよい。こうした実施形態では、濾液516の少なくとも一部がプランジャー537のハンドル543の内部に受容され、ハンドル543を介して試料調製システム500から取り出すことができる。こうした実施形態では、プランジャー537はハンドル543の上端に受容されるような寸法に構成されたカバーを含むことができる。また、プランジャー537を中空とし、その底でフィルター534で覆わないようにしてもよく、これにより、液体組成物514の少なくとも一部がプランジャー537のハンドル543の内部に受容されうる。こうした実施形態によれば、液体組成物514が第2のリザーバ522の底部で占める空間が小さくなり、フィルター534を方向D1に沿って第2のリザーバ522内に更に押し下げることが可能となる。
【0111】
図9〜12は、本開示の別の実施形態に係る試料調製システム600を示したものであり、同様の参照符合は同様の要素を表わしている。試料調製システム600は、図2と3に示される実施形態に関して上記に述べたものと多くの同じ要素及び特徴を共有している。したがって、図2と3に示される実施形態の要素及び特徴に相当する要素及び特徴には、600番台の同様の参照符合を付すものとする。図9〜12に示される実施形態の特徴及び要素(並びにこれらの特徴及び要素の代替物)のより完全な説明については図2と3についての上記の説明文を参照されたい。
【0112】
図9に示されるように、試料調製システム600は、レセプタクル604、蓋606、カバー609、及びフィルターアセンブリ633を含んでいる。レセプタクル604は変形可能であり、自己支持型かつ自立式である。レセプタクル604は底626及び側壁628を有している。側壁628はアコーディオン式の構成を含み、複数のプリーツ又は折り目645を含んで、側壁628を各プリーツ645で折り曲げることが可能であり、これによりレセプタクル604をその長手方向軸にほぼ沿って圧し潰すことが容易となり、特に、レセプタクル604をその長手方向軸にほぼ沿ってほぼ均一に圧し潰すことが容易となる。図9に示される実施形態では、側壁628はあくまで一例として複数のプリーツ又は折り目645を含んでいる。しかしながら、側壁628は、側壁628をその長手方向軸にほぼ沿ってほぼ均一に圧し潰すことを可能とする他の構造を含んでもよい点は理解されるはずであり、こうした他の構造としては、側壁628の他の部分よりも剛性が低くかつ/又は厚みの小さい環状の低強度部分があり、環状低強度部分の位置で側壁628が座屈するようなものがある。他の好適な構造も可能であり、本開示の趣旨及び範囲に含まれるものである。
【0113】
レセプタクル604の底626を、強化したり、より剛性の高い材料で形成したり、かつ/又は側壁628に対して厚くすることにより、レセプタクル604がその長手方向軸に沿って圧し潰れやすくすることができる。レセプタクル604は、分析物源及び希釈剤を含む液体組成物を収容するように構成されたリザーバ622を含む。
【0114】
レセプタクル604は、ライナー104に関して上記に示した材料を含む様々な材料で形成することができる。レセプタクル604は用途に応じて半透明(又は更には透明)又は不透明であってもよい。試料調製システム600のいずれか、又はすべての要素を使い捨て(例、1回使用用とする)とすることができる。
【0115】
蓋606は、フィルターアセンブリ633に結合可能なポート632、レセプタクル604内に受容されるような寸法に構成された円筒状部分636、及び、円筒状部分636からポート632に延びるほぼ円錐状(例、切頭円錐)の部分638を含む。円筒状部分636と円錐状部分638との間の接合部において、蓋106は、円筒状部分636及び円錐状部分638から径方向外側に延びるリップ640を更に有している。蓋606のポート632はほぼ円筒状かつ管状の形状であるため、ポート632は内表面652を含み、組立て時に、蓋606内に、また試料調製システム600内に開口部654を画定する。
【0116】
蓋606の円筒状部分636は、レセプタクル604の内面に対して円筒状部分636をスナップ嵌め又は圧入することができるように複数の外周で外側に突出した突起部642を含んでいる。レセプタクル604は、蓋606のリップ640との当接関係を形成することが可能な上面644を含むことができる。蓋606は、上記の取り外し可能な又は永久的な結合手段のいずれかを用いて互いに結合することによってシール(例、液密シール、密閉シール、又はこれらの組み合わせ)を形成することが可能であり、これにより、通常の動作時に試料調製システム600に漏れが生じることが防止される。例えば、複数の外周で外側に突出した突起部642をレセプタクル604の内面に超音波溶接することができる。
【0117】
フィルターアセンブリ633はフレーム635及びフィルター634を含んでいる。フレーム635は上側部分635a及び下側部分635bを含み、フィルター634がそれらの間に結合されている。フレーム635の上側部分635aは、蓋606のポート632に結合されるとともに蓋606のポート632及びレセプタクル604のリザーバ622内に受容されるような形状及び寸法に構成されている。フレーム635は下側部分635bを含む必要はないが、下側部分635bはフィルター634に更なる重量を与え、フィルター634をレセプタクル604のリザーバ622内の液体組成物に曝露することを助けるものである。
【0118】
上側部分635aは、蓋606のポート632内に受容されるような寸法に構成された管状本体647、蓋606のポート632の上に載るような寸法に構成され、環状本体647の上端に結合されたリップ649、及び複数のリブ651を含んでいる。リブ651は、管状本体647の外周に沿って間隔をおいて配置されている。図9に示される実施形態は2個のリブを有しているが、必要に応じてこれよりも少ないか又は多い数のリブを使用することができる。リブ651は、スナップ嵌め係合により蓋606に結合されるような形状に構成されている。詳細には、リブ651は、フレームの上側部分635aがポート632内に動かされるのにしたがってポート632の内表面652に沿って滑るように構成されたカム面675を含んでいる。更に、各リブ651のカム面675により、管状本体647がポート637内に動かされるのにしたがって、各リブ651が径方向内側に押され、更に、ポート632の底部の下側において定位置(すなわち、蓋606の内側)に各リブ651がスナップ嵌合(例、径方向外側に)することが可能である。
【0119】
次いで、カム面675がポート632の内面652と接触し、リブ651がポート632の内面652との接触状態から解放されるまでカム面675が内面652に沿って上側に引き続き滑るような充分な距離だけ少なくとも1つのリブ652を内側に動かすような充分な力でフレーム635のリップ649を上側に引っ張ることによって、フィルターアセンブリ633を蓋606から取り外すことができる。また、各リブ651のカム面675がポート632の内面652と接触するように上向きの力を加えながら、少なくとも1つのリブ651を径方向内側に動かすか、あるいは各リブ651を互いに向かって(例、径方向内側に)押し込み、フレーム635の上側部分635aをポート632の外へと上側に動かすことによってもフィルターアセンブリ633を蓋606から取り外すことができる。
【0120】
図9に示されるフィルター634は圧し潰すことが可能なものであり、フレーム635の下側部分635bの重量によってレセプタクル604のリザーバ622内に少なくとも部分的に下方に垂れ下がりうる。
【0121】
カバー609は、ポート632の少なくとも一部を受容するような形状及び寸法に構成されている。その結果、カバー609は蓋606のポート632と結合されることによって蓋606の開口部654を閉鎖し、試料調製システム600を周囲環境からシールすることができる(例、密閉シール)。カバー609は、上記に述べた結合手段の任意のものを用いて蓋106に結合することができる。図9に示された実施形態では、蓋606のポート632は、カバー609の内側のネジ山(図示せず)と噛合って係合するように構成された複数のネジ山を有するため、カバー609をポート632にねじ付けることができる。しかしながら、上記に述べた他の結合手段の任意のものを用いてカバー609を蓋606に結合して蓋606の開口部654を閉鎖することができる。カバー609と蓋606とは共に蓋アセンブリ677を形成し、試料調製システム600が組み立てられ閉鎖される際に、フィルターアセンブリ633のリップ649をカバー609と蓋606のポート632の上端との間に挟み込むことができる。
【0122】
図10は、カバー609が蓋606に結合され、その間にフィルターアセンブリ633が結合された蓋アセンブリ677及びフィルターアセンブリ633を示したものである。フィルター634は圧縮された状態で示されており、フィルターアセンブリ633は蓋606の内部に収容されている。フィルターフレーム635の下側部分635bは圧潰可能なフィルター634に対して固く、フィルター634をその長手方向に圧し潰すことを助けるものであるため、フレーム635の下側部分635bを上側に押すことによってフィルター634を蓋606の内部に圧縮することができる。剥離可能なバリアフィルム679を蓋606の下面681に結合して、フィルター634を蓋606の内部で圧縮された状態に維持することができる。蓋アセンブリ677は、フィルター634が圧縮され、フィルターアセンブリ633が剥離可能なバリアフィルム679によって蓋606の内部に収容された状態で滅菌及びパッケージ化することができる。このため、使用者が使用に先立って(例えば、滅菌環境内で)剥離可能なバリアフィルム679を剥離することによって、フィルター634(及び用いられている場合にはフレーム635の下側部分635b)が非圧縮状態で蓋アセンブリ677の下方に垂れ下がることになる。蓋606をレセプタクル604に結合する直前に剥離可能なバリアフィルム67を剥離して、フィルター634がレセプタクル604のリザーバ622内に垂れ下がるようにしてもよい。剥離可能なバリアフィルム679を剥離した後の非圧縮状態のフィルター634を図11に示す。
【0123】
剥離可能なバリアフィルム679を、上記に述べた結合手段の任意のものを用いて蓋606に結合することが可能であり、ポリプロピレン(例、低密度ポリエチレン(LDPE))、ポリエチレンを含むが、これらに限定されないポリオレフィン、ポリ(メチルペンテン)、ポリアミド(例、NYLON(登録商標))、圧縮吹き付けマイクロファイバー(compressed blown microfiber)(cBMF)、ウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、及びこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない様々な材料で形成することができる。特定の実施形態では、剥離可能なバリアフィルム679として、例えば、3M(商標)SCOTCHPAK(商標)剥離ライナー(スリー・エム・カンパニー(3M Company)、ミネソタ州セントポール)などの熱シールされた「剥離式」フィルムが挙げられる。剥離可能なバリアフィルム679は半透明(又は更には透明)又は不透明であってもよい。剥離可能なバリアフィルム679は、成型プロセス、押出し、ブローフィルム成形プロセスなど及びこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない様々なプロセスで形成することができる。
【0124】
特定の実施形態では、図12に示されるように、カバー609は、レセプタクル604のリザーバ622又はフィルター634内部の容積にアクセスするために穿孔することができる破断可能なバリア683を有する。バリア683としては、膜、非多孔性フィルム、及びこれらの組み合わせが挙げられる。更に、破断可能なバリア683は、ポリプロピレン(例、低密度ポリエチレン(LDPE))、ポリエチレンを含むがこれらに限定されないポリオレフィン、ポリ(メチルペンテン)、ポリアミド(例、NYLON(登録商標))、圧縮吹き付けマイクロファイバー(compressed blown microfiber)(cBMF)、ウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、合成又は天然エラストマー、3M(商標)TEGADERM(商標)フィルムドレッシング(スリー・エム・カンパニー(3M Company)、ミネソタ州セントポール)、及びこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない、バリア683を破断可能とするような(例えば、ピペットの先端によって穿孔することができる)様々な材料で形成することができる。特定の実施形態では、バリア683は代わりに蓋606の開口部654にわたって形成される。こうした実施形態では、カバー609を中実とし、例えば、バリア683が穿孔された後に蓋606を覆うために用いてもよく、あるいはカバー609が更なるバリアを有してもよい。また、バリア683が蓋606の開口部654にわたって形成される実施形態では、カバー609を必ずしも用いずともよい。バリア683は、蓋606若しくはカバー609、又はその両方、又は試料調製システム600の別の部分のいずれかと用いられる場合にも、リザーバ622の内部と周囲環境との間のガス交換(例えば、対象とする好気性細菌に酸素を供給するため)を可能とするようにガス透過性という更なる機能を有してもよい。
【0125】
図13は、本開示の別の実施形態に係る試料調製システム700を示したものである。図13は、試料調製システム700の蓋アセンブリ777のみを示している。試料調製システム700の他の要素は、上記に述べ、図2〜12に示した試料調製システムの他の対応する要素の任意のものを含むものと仮定できることから、簡単のために図13には示さない。
【0126】
蓋アセンブリ777は、蓋706及びヒンジ785を介して蓋706に結合されたカバー709を含んでいる。特定の実施形態では図13に示されるように、ヒンジ785はリビングヒンジであり、カバー709は蓋706と一体形成されている。特定の実施形態では、ヒンジ785は蓋706及びカバー709の一方又は両方と別体に形成される。カバー709は押し上げ式のカバーであり、スナップ式の係合を介して蓋706と結合することができる。図13に示される実施形態では、カバー709は蓋706の隆起部789上にスナップ嵌めすることができる突起部787を含んでいる。カバー709は、蓋706を覆ってカバー709が閉じられる際にカバー709が蓋706とシール(例、液密シール、密封シールなど)を形成するような他のシール手段(例、Oリング)を含むことができる。
【0127】
上記に述べたように、図14及び15は使用調製システム800と試料供給システム803とを有する試料調製及び供給システム801を示したものである。図14に示されるように、試料調製システム800は図7に示されるような試料調製システム400と似ているが、図2と3に示し上記に述べたようなフィルター134に似たフィルター834を含んでいる。試料調製システム800は、図2と3及び図7に示される実施形態に関して上記に述べたものと多くの同じ要素及び特徴を共有している。したがって、図2と3及び図7に示される実施形態の要素及び特徴に相当する要素及び特徴には、800番台の同様の参照符合を付すものとする。図14と15に示される実施形態の特徴及び要素(並びにこれらの特徴及び要素の代替物)のより完全な説明については図2と3及び図7についての上記の説明文を参照されたい。図2〜13に示した前述の試料調製システム100、200、300、400、500、600、700のいずれも試料調製及び供給システム801で使用することができる。試料調製システム800はあくまで一例として示したものであり、これに限定されるものではない。
【0128】
図14に示されるように、試料調製システム800は、第1のリザーバ820を有する容器802、第2のリザーバ822を有するとともに第1のリザーバ820内に配置されたライナー804、及び蓋806を有している。液体組成物814がライナー804の第2のリザーバ822内に配置される。液体組成物814は分析物源812及び希釈剤813を含む。第2のリザーバ822はフィルター834と流体連通し、液体組成物814をフィルター834によって濾過して濾液816を形成することができる。
【0129】
試料供給システム803は蓋806のポート832を介して試料調製システム800に結合される。ポート832を用いる実施形態では、試料供給システム803の少なくとも一部がポート832内に受容されるような寸法に構成されている。しかしながら、特定の実施形態では、試料供給システム803は試料調製システム800内の開口部に結合することが可能であり、ポートに結合する必要はない。試料供給システム803は、試料調製システム800の蓋806のポート832に結合され、ポート832内に少なくとも部分的に受容される一方向の圧力作動弁891を含んでいる。弁891は、蓋806の開口部854に結合され、フィルター834の内部(又はフィルター834が使用されていない場合には第2のリザーバ822と)と流体連通して配置されている。弁891は、第2のリザーバ822と周囲環境(又は試料調製及び供給システム801に結合された別の装置)との間に充分な圧力差が確立されている場合に、濾液816(又はフィルター834が使用されていない場合には、液体組成物814)を試料調製システム800から取り出すことができるように構成されている。すなわち、弁891はライナー804に圧力を作用させることによって作動される。充分な圧力差が確立されると弁891は、濾液816がどのように試料調製システム800から吐出されるかを制御することができる。例えば、使用される弁891の種類に応じて、濾液816を、連続的な流れとして、一滴ずつ、あるいは別の適当な流れの形態として試料調製及び供給システム801から流出させることができる。
【0130】
図14に示される一方向の圧力作動弁891はSUPRAVALVE(商標)ダックビルチェック弁(スモールパーツ社(Small Parts, Inc.)、フロリダ州マイアミ)であり、上流の圧力が最小閾圧を上回るか、あるいは下流の圧力が最大閾圧を下回るとダックビルが開放することによって機能する。ダックビルの「フラップ」は所定の閾圧に達するまで閉鎖されたままとなる。
【0131】
図15に示されるように、ライナー804の外側に陽圧が加えられ(例えば、容器802の底827に形成された開口部824を介してライナー804(例えば、ライナー804の底826)にアクセスすることによって)、第2のリザーバ822内部の圧力が閾値を上回ると、試料供給システム803の弁891が開放し、濾液816が試料供給システム803を介して試料調製システム800の外に供給される。圧力をライナー804の外側に手で加えてもよく、あるいは更なる装置(プランジャ−など)を用いて手動又は自動で加えてもよい。
【0132】
特定の実施形態では、弁891を開放するための圧力差を、ライナー804の外側に陽圧を作用させる代わりに、ライナー804の第2のリザーバ822に陰圧を作用させる(弁891の下流側に陰圧を加える)ことによって確立することができる。陰圧(又は真空)は、例えば、真空源を弁891に結合することによってライナー804の第2のリザーバ822に作用させることができる。真空源としては、これらに限定されるものではないが、減圧を生じる機械的ポンプ、又は手動式ポンプ(例、シリンジ/プランジャーの組み合わせ)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0133】
特定の実施形態では、弁891を開放するための圧力差は、弁891の上流側のまとまった量の液体によって確立することができる。例えば、液体組成物814又は濾液816は、弁891を開放するうえで充分な圧力を生じることができる(例えば、試料調製システム800又は試料調製及び供給システム801が傾けられるか逆さまにされる際のヘッド圧)。
【0134】
特定の実施形態では、弁891が閉鎖状態にある場合に試料調製及び供給システム801が外部環境からシールされることにより、弁891が作動して開放されるまで、流体(液体又は気体)が試料調製及び供給システム801に流入する、又は試料調製及び供給システム801から流出することが防止される。しかしながら、特定の実施形態では、弁891が閉鎖状態にある場合に、試料調製及び供給システム801の異なる要素(例えば、蓋806、ライナー804及び/又は容器802)がガス透過性を有し、ガスは試料調製及び供給システム801の内外に自由に移動できる(例えば、試料調製システム800内の好気性細菌に酸素を供給するため)が、液体は、弁891が作動されて開放し、液体が流出できるようになるまで、試料調製及び供給システム801に流入する、又は試料調製及び供給システム801から流出することが防止される。
【0135】
更に、特定の実施形態では、試料調製及び供給システム801の要素はガス不透過性であるが、試料調製及び供給システム801内でガスが発生していて(例えば、試料調製及び供給システム801内の細菌がガスを発生している場合、又は分析物源812と希釈剤813との間でガスを発生する反応が起こっている場合、又は攪拌プロセスがガスの蓄積をもたらす場合など)、ライナー804の第2のリザーバ822内部に充分な圧力が生じる場合には、弁891からガスが放出されるようにすることができる。したがって、特定の実施形態では、弁891は試料調製及び供給システム801からのガス除去を可能にするという更なる機能を有する(又は、更なる弁891又はポートを用いることができる)。
【0136】
更に、試料調製及び供給システム801の各要素がガス不透過性であるような実施形態では、試料調製システム800内の空気を二酸化炭素などの無酸素環境で置換することによって試料調製システム800内に嫌気性細菌を置く(かつ培養する)ことができる。こうした実施形態では、置換用のガスを弁又は吸気口チューブを介して試料調製システム800内に導入するか、あるいは弁891、又は試料調製システム800のポート(例えば、ポート832)を介して試料調製システム800から空気を除去することができる。その結果、弁891は試料調製システム800内の大気が置換される場合には更なるガス除去を可能とするものである。
【0137】
弁891は更に濾液816の流れを制御することが可能であり、これにより、1回に所望の体積の濾液816(例えば、濾液816の全部又は一部を含みうる試料)を試料調製システム800から取り出すことで所望の体積流量が実現される。特定の実施形態では図15に示されるように、濾液816の試料を、対象とする分析物について分析を行うための検出システム895内に試料供給システム803を介して試料調製システム800から供給することができる。検出システム895は、対象とする分析物を同定及び/又は定量するための上記に述べた試験方法のいずれかを行うように構成することができる。また、試料供給システム803は増殖装置に試料を供給してもよく、ここで試料を栄養素で増殖させたり、更に場合に応じてインキュベートし(図16を参照)、あるいは濃縮化装置に導入して試料を濃縮する(例えば、遠心、濾過などにより)ことができる。
【0138】
試料供給システム803、及び特に弁891は、高分子材料、エラストマー材料(例、合成又は天然)、金属(例、アルミニウム、ステンレス鋼など)、セラミック、ガラス、及びこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない様々な材料で形成することができる。高分子材料の例としては、これらに限定されるものではないが、ポリオレフィン(例、ポリエチレン、ポリプロピレン、これらの組み合わせなど)、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリスチレン、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン、他の適当な材料、又はこれらの組み合わせが挙げられる。弁891はハウジング及び内部部品(例、可動式内部部品)を含むことができ、ハウジング及び内部部品は同じ又は異なる材料で形成することができる。例えば、特定の実施形態では、弁891のハウジングがより堅い材料で形成されるのに対して、内部部品はエラストマー材料で形成される。弁891又はその任意の部分は、半透明(又は、更には透明)又は不透明とすることができる。弁891は、分析される分析物源の種類、量、及びサイズに応じて任意の適当なサイズとすることができる。
【0139】
一方向の圧力作動弁891は、あくまで一例として図示及び説明したものであるが、当業者であれば本開示の趣旨及び範囲を逸脱することなく各種の弁を試料供給システム803で使用することが可能である点は理解されるであろう。例えば、試料供給システム803(又は弁891)は、各種の手動又は自動弁、電子的圧力トランスデューサー、他の種類のチェック弁(例、ボールチェック弁、ダイアフラムチェック弁、スウィングチェック弁、ストップチェック弁、リフトチェック弁など)、又は、ストップコック弁、バタフライ弁、計量弁、定量計量弁、タイマー弁、他の一方向弁、他の適当な弁などの他の種類の弁、及びこれらの組み合わせを含むことができる。
【0140】
更に、特定の実施形態では、試料供給システム803は別の物体又は装置によって作動することが可能な弁を含むことができる。例えば、試料供給システム803は、シリンジ又はピペットの先端などの、試料供給システム803に結合された別の物体又は装置によって開放位置に動かすことが可能な可動式部品(例、シングルゲート、ダブルゲート、ディスク、ダイアフラム、ボールなど)を有する弁を含むことができる。こうした実施形態では、試料供給システム803が更なる装置を含むか、あるいは更なる装置は別の装置の一部とすることができる。
【0141】
更に、特定の実施形態では、試料供給システム803は、可動式部品を含まない代わりに、断面積が漸減する、試料調製システム800のポート832に結合された先端部のような規制された開口部を有する弁を含むことができる。こうした実施形態では、濾液816(又は液体組成物814)は、ライナー804の第2のリザーバ822内に濾液816を規制開口部から外に押し出すだけの充分な圧力が確立される(例えば、ライナー804に圧力を加えることにより)まで規制開口部を通過することはできない。
【0142】
試料供給システム803又はその一部を、試料調製システム800のいずれかの使い捨て可能な部分とともに使い捨てとすることができる。例えば、図14と15に示される実施形態では、蓋806及びライナー804を使い捨てとし、容器802を再使用することができる。蓋806に結合されている試料供給システム803は、蓋806及び/又はライナー804とともに処分するか、あるいは使用後に蓋806から取り外して洗浄した後、再使用することができる。特定の実施形態では、試料供給システムの一部を試料調製システム800の使い捨て可能な部分とともに処分し、試料供給システム803の一部を再使用することができる。
【0143】
図16は、本開示の別の実施形態に係る試料調製及び供給システム901を示したものであり、同様の参照符合は同様の要素を表わしている。試料調製及び供給システム901は、図14と15に示される実施形態に関して上記に述べたものと多くの同じ要素及び特徴を共有している。したがって、図14と15に示される実施形態の要素及び特徴に相当する要素及び特徴には、900番台の同様の参照符合を付すものとする。図16に示される実施形態の特徴及び要素(並びにこれらの特徴及び要素の代替物)のより完全な説明については図14と15についての上記の説明文を参照されたい。
【0144】
試料調製及び供給システム901は、試料調製システム900、及び試料調製システム900に結合された試料供給システム903を含み、試料供給システム903は試料調製システム900と流体連通している。試料調製システム900は、容器902の第1のリザーバ920内に配置されたライナー904、及びライナー904の第2のリザーバ922内に配置された液体組成物914を含んでいる。液体組成物914は、分析物源912及び希釈剤913を含む。第2のリザーバ922はフィルター934と流体連通し、液体組成物914をフィルター934によって濾過して濾液916を形成することができる。
【0145】
試料供給システム903は、別の装置によって作動される弁991を含んでいる。弁991は、軸から外れた開口部958を介して試料調製システム900の蓋906に結合されており、弁991はライナー904の第2のリザーバ922及びフィルター934と液体連通するように配置されている。
【0146】
特定の実施形態では、図16に示されるように、試料供給システム903を増殖装置997と結合することが可能であり、試料供給システム903は、試料調製システム900から増殖装置997への濾液916の流れを制御することが可能である。増殖装置997は、試料供給システム903に取り外し可能に結合することが可能であり、これにより、試料918(濾液916の全部又は一部を含みうる)が増殖装置997に移され、インキュベートを行うために異なる場所に移動された後で増殖装置997を試料供給システム903から取り外すことができる。図16に示される実施形態では、弁991に増殖装置997を結合することによって弁991が開放するように作動させる。増殖装置997が弁991に取り外し可能に結合される実施形態では、増殖装置997が弁991から分離される際に閉鎖するように弁を作動させる。
【0147】
図16に示されるように、ライナー904の外側(例えば、ライナー904の底926に例えば容器902の底927の開口部924を介して)に陽圧を作用させることによって、第2のリザーバ922内部の圧力が、試料供給システム903を介した増殖装置997への濾液916の移動を促すようにすることができる。特定の実施形態では、弁991は上記に述べたような弁891と同様、圧力によって作動するものであってもよく、第2のリザーバ922内の圧力が閾値を上回ると弁991が開放して、濾液916が試料供給システム903を介して試料調製システム900から増殖装置997へと移動するようにすることができる。また、こうした実施形態では、ライナー904の内側に陰圧を作用させる(例えば、増殖装置を介して)ことによって、弁991を開放するように作動させ、濾液916を試料調製システム900から増殖装置997へと移動させることも可能である。
【0148】
増殖装置997は、試料918中の対象分析物(存在する場合)を選択的又は半選択的に増殖させるための栄養素を含んでもよい。特定の実施形態では、増殖装置997は装置の内面にコーティング又は吸着された栄養素を含んでもよい。更に特定の実施形態では、増殖装置997は、所定の体積の濾液916(又はフィルター934が用いられていない場合には、液体組成物914)の回収を促すための標示(例えば、図2に示される容器102の標示に似たもの)を含むことができる。
【0149】
図16に示される実施形態では、増殖装置997は試料供給システム903に(例えば、ルアーロック式の結合を介して)取り外し可能に結合することが可能なシリンジである。シリンジはプランジャー919を含み、シリンジが試料918で充填される(例えば、ライナー904に圧力を加えることにより)にしたがって、プランジャーが外側に押され、試料918が所望の体積にまで引き続きシリンジを充填する。シリンジは、シリンジをインキュベーション用の環境に移動する前に試料918がシリンジに移され、そのシリンジを滅菌環境で試料調製及び供給システム801(場合に応じてキャップされる)から取り外すことができることから、増殖装置997として有用である。更に、シリンジ内のプランジャー919をバレル921から外側に引くことによって試料918をシリンジ内に引き込むことができる。ライナー904はプランジャー919を引くことに応じて変形することが可能であり、これにより試料918のシリンジへの移動が促進される。
【0150】
シリンジはあくまで一例として上記に述べ、図示したものであるが、当業者であれば、各種の増殖装置を試料調製及び供給システム901の試料供給システム903に結合することによって試料918を試料調製及び供給システム901から移す、特に周囲環境に曝露することなく移すことが可能である点は理解されるはずである。増殖装置以外にも、上記に述べた分析法において中間的要素(別の装置又はアッセイシステムに移すことが可能なレセプタクル又は装置)として機能する各種のレセプタクル又は装置を試料供給システム903に結合する(取り外し可能に結合する)ことが可能である。更に、特定の実施形態では、複数の試料調製システム900を同じ試料供給システム903(及び増殖装置997などの下流側のすべての装置)と結合かつ流体連通することによって、複数の試料調製システム900から得られた試料を供給する前、又は下流における分析の前、又は更なる処理の前にまとめて蓄えることができる(例えば、各試料を増殖、濃縮などの前後において、供給するためにまとめて蓄えることができる)。
【0151】
特定の実施形態では、「周囲環境に曝露することなく」という語句及びその派生語は、試料918を、試料調製システム900と試料供給システム903との間の試料の移動時においても、試料供給システム903から別の装置(例えば、増殖装置997)への移動時においても試料調製及び供給システム901から取り出さない(例えば、漏出又は汚染防止するため)ことにより、試料918が、調製から供給あるいは更に別の工程に到るまで試料調製及び供給システム901の流体経路に留まることを指すものであるが、試料調製及び供給システム901がガス交換に対して閉じている、あるいは他の液体が試料調製及び供給システム901内に入れないことを必ずしも意味するものではない。
【0152】
図14〜16に示し、上記に述べたような弁891及び991に加えて、又はこれに代えて、各種の弁及び/又は体積測定装置を本開示の試料供給システムにおいて用いることができる。図17A〜21Bは、様々な種類の体積測定装置を有する本開示の試料供給システムの異なる実施形態を示したものである。図17A〜21Bは、本開示の試料供給システムの異なる実施形態の概略図を示したものであるが、当業者であれば、図14〜16に示される試料調製及び供給システム801及び901のそれぞれで、図17A〜21Bに示し、下記に述べる試料供給システムの特徴のいずれか又はすべてのものを用いることが可能である点は理解されるであろう。
【0153】
図17A〜17Cは、本開示の一実施形態に係る試料供給システム1203を示したものである。試料供給システム1203は2重弁体積測定システムを含み、流入口1202(例えば、試料調製システムと結合及び流体連通している)、第2の弁1206から一定の距離を置き、第2の弁1206と直列に配置され、更に第2の弁1206と流体連通している第1の弁1204、及び流出口1208(例えば、試料調製システムの外部の周囲環境又は増殖装置などの別の装置と流体連通している)を含む。導管1210の一部分が第1の弁1204と第2の弁1206とを分離しており、第1の弁1204と第2の弁1206との間の距離D(すなわち、第1の弁1204と第2の弁1206との間の導管1210の長さ)、及び導管1210の断面積Aにほぼ依存する体積Vを画定している。
【0154】
第1及び第2の弁1204及び1206はそれぞれ1/4回転弁であり、詳細にはボール弁である。各弁1204、1206は開状態と閉状態とを有し、それぞれ軸S、Tを中心として回転可能なボール1205、1207を含んで、開状態と閉状態との間で動くようになっている。各ボール1205、1207は通路1209、1211を含み、通路1209、1211がそれぞれの弁1204、1206の両端と一直線になるように(すなわち、流入口1202及び流出口1208と一直線になるように)ボール1205、1207が回転すると流れが生ずるようになっている。弁1204、1206のそれぞれのボール1205、1207は、軸S、Tを中心として90°回転(すなわち、1/4回転)させることにより、弁1204、1206を開状態から閉状態へと(及びその逆に)変化させることができる。
【0155】
図17A〜17Cに示されるように、第1及び第2の弁1204、1206はそれぞれフルポートボール弁であり、それぞれ大径のボール1205、1207を有し、通路1209、1211は流入口1202、導管1210、及び流出口1208と同じ断面積を有している。こうした構成により、摩擦損失が最小となり、弁1204及び1206を通じた流れが規制されない。しかしながら、他の種類の1/4回転弁又は他の種類のボール弁を含む他の種類の適当な弁を本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく用いることが可能である。更に、第1及び第2の弁1204、1206は1/4回転弁である必要はない。すなわち、特定の実施形態では、第1及び第2の弁1204、1206を一度に90°よりも小さいかあるいは大きい角度で動かすことによって弁1204、1206を開状態と閉状態との間で変化させることができる。
【0156】
図17A〜17Cは、試料供給システム1203を使用して試料調製システムから所定体積Vの濾液(又は液体組成物)を計量するプロセスを順番に示したものである。
【0157】
図17Aは、所定体積Vの濾液(試料)が流入口1202を通じて導管1210に流入することができるように、開状態にある(すなわち、ボール1205の通路1209が流入口1202及び導管1210と一直線になっている)第1の弁1204、及び閉状態にある(すなわち、通路1211が導管1210及び流出口1208と一直線とはならない(例えば、直交する)ように配置されている)第2の弁1206を示している。図17Bは、閉状態にある第1の弁1204(すなわち、ボール1205が軸Sを中心として時計回り又は反時計回りに90°回転させられている)、及び依然、閉状態にある第2の弁1206を示しており、所定体積Vの濾液が導管1210内に有る状態が示されている。最後に、図17Cは、閉状態にある第1の弁1204、及び開状態にある第2の弁1206(すなわち、ボール1207が軸Tを中心として時計回り又は反時計回りに90°回転させられている)を示しており、所望の体積Vの濾液が流出口1208を通じて試料供給システム1203から流出するようになっている。
【0158】
図18A〜18Cは、本開示の別の実施形態に係る試料供給システム1303を示したものである。試料供給システム1303は2重弁体積測定システムを含み、流入口1302(例えば、試料調製システムと結合及び流体連通している)、第2の弁1306から一定の距離を置き、第2の弁1306と直列に配置され、更に第2の弁1306と流体連通している第1の弁1304、及び流出口1308(例えば、試料調製システムの外部の周囲環境又は増殖装置などの別の装置と流体連通している)を含む。導管1310の一部分が第1の弁1304と第2の弁1306とを分離しており、第1の弁1304と第2の弁1306との間の距離D(すなわち、第1の弁1304と第2の弁1306との間の導管1310の長さ)、及び導管1310の断面積Aにほぼ依存する体積Vを画定している。
【0159】
試料供給システム1303は、互いに対して平行に配置され、かつ摺動可能な第1の側1312と第2の側1314とを含んでいる。図18A〜18Cに示される実施形態では、第2の側1314は固定されているものとして示されており、第1の側1312は第2の側1314に対して摺動可能(すなわち、図18A〜18Cのページの平面の上下方向に)なものとして示されている。流入口1302及び流出口1308が第1の側1312に位置しており、第1の弁1304と第2の弁1306とを分離する導管1310は第2の側1314内に位置している。各弁1304、1306はゲート弁であり、開位置と閉位置との間で摺動可能であることによりそれぞれの弁1304、1306を開状態と閉状態との間で変化させるゲート1305、1307をそれぞれが含んでいる。ゲート1305及び1307は、第1の側1312が第2の側1314に対して動かされるのにしたがって(あるいは、第1の側1312及び第2の側1314が互いに対して動かされるのにしたがって)一緒に摺動する。
【0160】
図18A〜18Cは、試料供給システム1303を使用して試料調製システムから所定体積Vの濾液(又は液体組成物)を計量するプロセスを順番に示したものである。
【0161】
図18Aは、所定体積Vの濾液(すなわち、試料)が流入口1302を介して導管1310に流入できるように開状態にある第1の弁1304、及び閉状態にある第2の弁1306を示している。詳細には、濾液の試料は流入口1302を介して試料供給システム1303の第1の側1312に流入し、第1の側1312から開状態の第1の弁1304を介して第2の側1314に流入し、導管1310に流入する。図18Bは、閉状態にある第1の弁1304、及び依然、閉状態(すなわち、第1の側1312が第2の側1314に対して下方に摺動しており、ゲート1307が閉位置に維持された状態でゲート1305が閉位置へと摺動している)にある第2の弁1306を示しており、所定体積Vの濾液が導管1310内に有る状態が示されている。最後に、図18Cは、閉状態にある第1の弁1304、及び開状態にある第2の弁1306(すなわち、第1の側1312が第2の側1314に対して更に下方に摺動しており、ゲート1305が閉位置に維持された状態でゲート1307が開位置へと摺動している)を示しており、所望の体積Vの濾液が流出口1308を介して試料供給システム1303から流出するようになっている。
【0162】
図19A〜19Cは、本開示の一実施形態に係る試料供給システム1403を示したものである。試料供給システム1303は単一弁体積測定システムを含み、流入口1402(例えば、試料調製システムと結合及び流体連通している)、弁1404、及び流出口1408(例えば、試料調製システムの外部の周囲環境又は増殖装置などの別の装置と流体連通している)を含む。
【0163】
弁1404はボール弁である。弁1404は、流入口1402に向かって弁1404が開く第1の開状態、及び流出口1408に向かって弁1404が開く第2の開状態の2つの開状態と、閉状態とを有する。弁1404は、軸Xを中心として回転可能であることによって2つの開状態と閉状態との間で動くボール1405を含む。ボール1405は、ボール1405のほぼ球状の内部1411と流体移動可能に結合した通路1409を含み、通路1409が流入口1402又は流出口1408と一直線となるようにボール1405が回転すると、ボール1405内に向かう、又はボール1405の外に向かう流れが生じる。ボール1405の通路1409と内部1411とは共に、流入口1402から流出口1408へと計量供給される所定体積Vを画定する。ボール1405は、弁1404を第1の開状態から閉状態へと(及びその逆)、更に、第1の開状態から第2の開状態へと(及びその逆)変化させるように軸Xを中心として90°(すなわち、1/4回転)させることが可能である。図19A〜19Cに示される実施形態では、弁1404は1/4回転弁であるが、弁1404は、各開状態の間で、又は開状態と閉状態との間で弁1404を変化させるように90°よりも小さいかあるいは大きい角度で動くように構成することが可能である点は理解されるはずである。
【0164】
図19A〜19Cは、試料供給システム1403を使用して試料調製システムから所定体積Vの濾液(又は液体組成物)を計量するプロセスを順番に示したものである。
【0165】
図19Aは、所定体積Vの濾液(試料)が流入口1402を通じてボール1405の内部1411に流入できるように第1の開状態(すなわち、ボール1405の通路1409が流入口1402と一直線になっている)にある弁1404を示している。図19Bは、閉状態(すなわち、ボール1405が軸Xを中心として時計回り又は反時計回りに90°回転している)にある弁1404を示しており、所定体積Vの濾液がボール1405内に有る状態が示されている。最後に、図19Cは、第2の開状態(すなわち、ボール1405が軸Xを中心として同じ方向に90°回転された後の状態)にある弁1404を示しており、所望の体積Vの濾液が流出口1408を通じて試料供給システム1403から流出するようになっている。
【0166】
図20A〜20Dは、本開示の別の実施形態に係る試料供給システム1503を示したものである。試料調製システム1503は、図17A〜17Cに示される実施形態に関して上記に述べたものと多くの同じ要素及び特徴を共有している。したがって、図17A〜17Cに示される実施形態の要素及び特徴に相当する要素及び特徴には、1500番台の同様の参照符合を付すものとする。図20A〜20Dに示される実施形態の特徴及び要素(並びにこれらの特徴及び要素の代替物)のより完全な説明については図17A〜17Cについての上記の説明文を参照されたい。
【0167】
試料供給システム1503は、単一弁体積測定システムを含み、流入口(例えば、試料調製システムと結合及び流体連通する場合)及び流出口(例えば試料調製システムとの流体連通関係から外れた後で更に試料調製システムの外部の周囲環境又は増殖装置などの別の装置と流体連通している状態)として機能しうる第1の導管1502を含んでいる。試料供給システム1503は、開状態にある場合に、弁1504と反対側に閉鎖端を有する第2の導管1510と流体連通しうる弁1504を更に含んでいる。第2の導管1510は、第2の導管1510の長さL、及び第1の導管1510の断面積Aにほぼ依存する所定体積Vを画定している。
【0168】
上記に述べ、図17A〜17Cに示した弁1204、1206と同様、弁1504は1/4回転弁であり、詳細にはボール弁である。弁1504は開状態と閉状態とを有し、軸Yを中心として回転可能なボール1505を含んで、開状態と閉状態との間で動くようになっている。ボール1505は通路1509を有し、通路1509が弁1504の両端と一直線になるように(すなわち、第1の導管1502及び第2の導管1510と一直線になるように)ボール1505が回転すると流れが生ずるようになっている。ボール1505は、軸Yを中心として90°回転(すなわち、1/4回転)させることにより、弁1504を開状態から閉状態へと(及びその逆に)変化させることができる。
【0169】
弁1504はフルポートボール弁であり、大径のボール1505を含み、通路1509は第1の導管1502及び第2の導管1510と同じ断面積を有している。こうした構成により、摩擦損失が最小となり、弁1504を通じた流れが規制されない。しかしながら、他の種類の1/4回転弁又は他の種類のボール弁を含む他の種類の適当な弁を本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく用いることが可能である。更に、弁1504は、1/4回転弁である必要はなく、代わりに一度に90°よりも小さいかあるいは大きい角度で動かすことによって弁1504を開状態と閉状態との間で変化させることができる。
【0170】
図20A〜20Dは、試料供給システム1503を使用して試料調製システムから所定体積Vの濾液(又は液体組成物)を計量するプロセスを順番に示したものである。
【0171】
図20Aは、第1の導管1502が流入口として機能する場合に所定体積Vの濾液(すなわち、試料)が第1の導管1502を介して第2の導管1510に流入できるように開状態(すなわち、ボール1505の通路1509が第1の導管1502及び第2の導管1510と一直線になっている)にある弁1504を示している。図20Bは、閉状態(すなわち、ボール1505が軸Yを中心として時計回り又は反時計回りに90°回転された後の状態)にある弁1504を示しており、所定体積Vの濾液が第2の導管1510内にある状態が示されている。図20Cは、試料調製システムから分離され、反転された後の試料供給システム1503を示しており、弁1504が閉状態に維持され、体積Vの濾液は依然、第2の導管1510内にある状態が示されている。最後に、図20Dは、開状態(すなわち、ボール1505が軸Yを中心として90°回転された後の状態)にある弁1504を示しており、流出口として機能する第1の導管1502を介して所望の体積Vの濾液が試料供給システム1503から流出するようになっている。
【0172】
体積Vの濾液を供給するために試料供給システム1503が試料調製システムから分離されるにも関わらず、試料供給システム1503は、濾液の試料を最初に周囲環境に曝露することなく試料供給システム1503内に導入することが可能なものとなっている。この後、試料供給システム1503を別の場所(例えば、滅菌環境)に移動した後、体積Vの濾液を試料供給システム1503から所望の場所(例えば、検出装置、増殖装置など)に供給することができる。
【0173】
図21Aと21Bは、本開示の別の実施形態に係る試料調製システム1600及び試料供給システム1603を有する試料調製及び供給システム1601を概略的に示したものである。試料供給システム1603は、試料調製システム1600と結合及び流体連通した2重弁体積測定システムを含んでいる。
【0174】
試料供給システム1603は、第1の一方向弁1604、導管1610、及び第1の一方向弁1604と直列に、かつ流体連通して配置された第2の一方向弁1606を含んでいる。第1の弁1604は、試料調製システム1600から導管1610への流体の移動は可能とするが、導管1610から試料調製システム1600への流体の流れは防止するように構成されている。第2の弁1606は、導管1610から周囲環境(又は試料供給システム1603に結合された別の装置)への流体の移動は可能とするが、周囲環境から導管1610への流体の流れは防止するように構成されている。導管1610は、試料調製システム1600から計量され、試料供給システム1603内に保持され、更に試料供給システム1603から供給される所定体積Vの濾液を画定する。あくまで一例として、導管1610はほぼ平行6面体形状として、詳細には直方体として示されている。しかしながら、当業者であれば、様々な好適な3次元形状を用いて第1の弁1604と第2の弁1606との間の体積空間を画定することができる点は理解されるはずである。
【0175】
第1及び第2の弁1604及び1606はそれぞれ、各種の弁のいずれを含むことができるが、あくまで一例としてクラッパーチェック弁(clapper check valve)として概略的に示されている。弁1604、1606はそれぞれ開状態及び閉状態を有し、上流のクラッキング圧の閾値を上回った場合にヒンジ1613、1615を中心として旋回するゲート1605、1607を含んでいる。また、第1及び第2の弁1604及び1606は、クラッキング圧の閾値ではなく重力によって作動されてもよい。当業者であれば、これらに限定されるものではないが、他のチェック弁(例、ボールチェック弁、ダイアフラムチェック弁、スウィングチェック弁、ストップチェック弁、リフトチェック弁など)、他の適当な弁(例えば、上記に述べたもの)などの他の種類の弁、及びこれらの組み合わせを含む、試料供給システム1603の内外への流れを制御するうえで適した各種の弁を、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく第1及び第2の弁1604及び1606として使用することができる点は理解されるであろう。更に、第1の弁1604及び第2の弁1606として同じ種類の弁を使用する必要はなく、代わりに複数の種類の弁を混ぜて試料供給システム1603で使用することもできる。
【0176】
図21Aと21Bは、試料供給システム1603を使用して試料調製システム1600から所定体積Vの濾液(又は液体組成物)を計量するプロセスを順番に示したものである。
【0177】
図21Aは、所定体積Vの濾液(すなわち、試料)が第2の導管1610に流入できるように開状態(すなわち、弁1604の上流の圧力が閾クラッキング圧を上回ったためにゲート1605が開放位置へとヒンジ1613を中心として旋回した状態)にある第1の弁1604、及び閉状態(すなわち、導管1610内の圧力が第2の弁1606の閾クラッキング圧を上回らないためにゲート1607が閉状態に維持されている状態)にある第2の弁1606を示している。
【0178】
図21Bは、逆さまにされ、濾液の試料が導管1610に流入させられた後の試料調製及び供給システム1601を示している。第1の弁1604は閉状態(すなわち、上流の圧力が閾クラッキング圧を下回ったことに応じてゲート1605がヒンジ1613を中心として旋回して閉位置に戻った状態)にあり、第2の弁1606は開状態(すなわち、導管1610内の圧力が閾クラッキング圧を上回ったために、ゲート1607がヒンジ1615を中心として旋回して開位置となった状態)にあり、所望の体積Vの濾液が試料供給システム1603から流出するようになっている。
【0179】
上記に述べたように、図17A〜21Bは本開示に係る試料供給システムの異なる実施形態を概略的に示したものである。試料供給システム1203、1303、1403、1503、1603が適切に機能するためには他の要素又は改変が必要となる場合もある。例えば、導管1210、1310、1410、1510、1610(又はボール1405の内部1411)のいずれか、又は各試料供給システムの他の任意の部分に解放通気口、弁又は他の同様の装置を追加することによって、液体の流入が可能となるように捕らわれた空気(又は他のガス)をすべて放出させるなど、こうした要素又は改変は当業者には理解されるものである。こうした通気口又は弁は、ガスを流出させる一方で液体の流出は防止する(例えばエアロック又は別の同様に機能する装置)ように構成することができる(又はそのように構成された別の装置に結合することができる)。
【0180】
本明細書で述べた試料調製システム100、200、300、400、500、600、700、800、900及び1600のいずれか、及び試料供給システム803、903、1203、1303、1403、1503及び1603のいずれかを有する試料調製及び供給システム801、901及び1601のいずれか、並びにこれらの部分及び組み合わせを合わせて使用して、上記に述べ、図1に示した試料調製及び供給方法10に概ねしたがうことによって試料を調製及び供給することができる。当業者であれば、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書に述べた特定の試料調製システムからの異なる要素を、本明細書に述べた別の試料調製システムからの他の要素と組み合わせて使用することが可能であることもやはり理解されるであろう。例えば、試料調製システム800において、ライナー804の代わりにレセプタクル604を使用することができる。同様に、特定の試料調製及び供給システムからの異なる要素を、別の試料調製及び供給システムからの他の要素と組み合わせて使用することが可能であり、更に、特定の試料供給システムからの異なる要素を別の試料供給システムからの他の要素と組み合わせて使用することが可能である。次に例示的な一方法を、図14の試料調製及び供給システム801を用いて詳細に述べる。
【0181】
分析物源812及び希釈剤813をライナー804の第2のリザーバ822に加えて組み合わせることによって液体組成物814を形成することができる。ライナー804を容器802内に配置した後、蓋806をライナー804に結合することができる。カラー(図示せず)を容器802に結合することによって試料調製システム800の各要素を互いに更に固定することが可能であり、更に蓋開口部854をカバー(図示せず)を用いて閉鎖することができる。
【0182】
液体組成物814を攪拌することによって、分析物源812と希釈剤813とを混合し、分析物源812を希釈剤813中に溶解、分散、懸濁、及び/又は乳濁することができる。攪拌には上記に述べた方法の任意のものが含まれ、例えば、直線状、円形軌道、楕円形軌道、ランダム軌道、これらの組み合わせ、又は分析物源812と希釈剤813とを効果的かつ効率的に混合するための他の手段であってもよい。試料調製システム800は、攪拌時にクランプ又は他の手段によって更に固定することによって液体組成物814がこぼれたり、かつ/又は失われることを抑制することができる。
【0183】
特定の実施形態では、試料調製及び供給システム801をBurell Model 75 Wrist Action シェーカー(攪拌器)(ビュレル・サイエンティフィック社(Burrell Scientific)、ペンシルベニア州ピッツバーグ)に連結し、試料調製及び供給システム801を10〜2000サイクル/分の周波数、特定の実施形態では200〜500サイクル/分の周波数で選択された時間だけ攪拌することによって液体組成物814を攪拌することができる。特定の実施形態では、試料調製及び供給システム801を、攪拌器のアームから5cm〜50cm、特定の実施形態では10cm〜20cmの距離に取り付けることができる。特定の実施形態では、試料調製及び供給システム801が、5°〜30°、特定の実施形態では15°〜20°の円弧を描くようにできる。液体組成物814は、少なくとも10秒、特定の実施形態では少なくとも15秒、特定の実施形態では少なくとも30秒、特定の実施形態では少なくとも40秒、特定の実施形態では少なくとも60秒にわたって攪拌することができる。特定の実施形態では、液体組成物814は最大で15分、特定の実施形態では最大で10分、特定の実施形態では最大で5分、特定の実施形態では最大で3分にわたって攪拌することができる。
【0184】
特定の実施形態では、液体組成物814は、VX−2500 Multi−Tube Vortexer(ヴィー・ダブリュー・アール・サイエンティフィック・プロダクツ社(VWR Scientific Products)ペンシルベニア州ウェストチェスター)上で200〜5000rpm、特定の実施形態では1000〜3000rpmの攪拌周波数で選択された時間だけボルテックス混合することができる。ボルテックスの軌道は、直線状、円形、楕円形、ランダム、又はこれらの組み合わせであってもよい。特定の実施形態では、軌道は0.25cm〜5cmであり、特定の実施形態では1cm〜3cmである。
【0185】
複数の試料調製及び供給システムを、プレート、アーム、又は他の装置上に置くことによって同時に攪拌することが可能であり、重力、クランプ又は他の手段によって後の攪拌用に固定することができる。例えば、特定の実施形態では、1個〜約50個の試料調製及び供給システムを同時に攪拌し、特定の実施形態では単一の攪拌装置又は複数の攪拌装置によって約10個〜約25個の試料調製及び供給システムを同時に攪拌する。
【0186】
特定の実施形態では、シャフト及び攪拌羽根を有する機械的攪拌器を加えることによって液体組成物814を攪拌することができ、機械的攪拌器は上記に述べた可能な開口部の内の、塞がっていない開口部のいずれかを通じて挿入することができる。液体組成物814の攪拌は、鋼球ベアリング、磁気攪拌子、羽根、及び、希釈剤813中に分析物源812を粉砕かつ/又は分散することによって分析物源812からのあらゆる対象分析物の放出を助ける他の手段によって更に行うことが可能である。上記に述べた攪拌法はあくまで一例であり、これに限定されるものではない。当業者であれば、他の同様の攪拌法を使用することも可能である点は理解されるであろう。
【0187】
液体組成物814をフィルター834を用いて濾過することによって、フィルター834内に位置し、希釈剤813及びフィルター834を通過するだけ充分に小さいか、あるいは希釈剤813中に溶解したあらゆる対象検体(存在する場合)を含む濾液816が形成される。
【0188】
試料供給システム803を用いて濾液816の全部又は一部(例、試料)を後の分析のためにフィルター834の内部から取り出すことができる。詳細には、所定の圧力差が確立されることによって、ライナー804が変形し、液体組成物814がフィルター834を通じて押し出され、濾液816が試料供給システム803内に押し出され、弁891のクラッキング圧を上回ると試料供給システム803の弁891が開放するように作動して濾液816が試料供給システム803から流れ出る。上記に述べたように、この圧力差は、ライナー804の外側に(例えば、容器802の底827の開口部824を介してライナー804の底826に)陽圧を作用させるか、あるいはライナー804の内側に(例えば、弁891を介して)陰圧を作用させることによって確立することができる。弁891は更に、試料供給システム803からの濾液816の流れの形態を制御することができる。
【0189】
特定の実施形態では、液体組成物814の液面865は、フィルター834が液体組成物814の液面865よりも部分的に上側かつ部分的に下側に位置するように充分に高い。特定の実施形態では、液体組成物814の液面865はフィルター834の底部よりも下方に位置し、フィルター834は液体組成物814の液面865よりも完全に上側に配置される。こうした実施形態では、試料調製及び供給システム801を傾けるか逆さまにすることによって、ライナー804に圧力を加えるのに先立って液体組成物814をフィルター834によって濾過することが可能であり、あるいはライナー804に圧力を加えることにより液体組成物814の液面865を動かして液体組成物814をフィルター834に通過させることができる。
【0190】
図15に示されるように、試料供給システム803は、試料を分析するための検出システム895に(例えば、ラテラルフロー装置又はストリップのコンジュゲートパッドに)濾液816の試料を供給することができる。また、試料供給システム803は濾液806の試料を増殖装置などの別の装置に供給することもできる。
【0191】
試料調製及び供給システム801の使用についての上記の説明はあくまで一例として述べたものであり、これに限定されるものではない。上記に述べた試料の調製及び供給方法10、並びに試料調製及び供給システムの異なる実施形態の上記の説明に基づけば、当業者であれば本開示の試料調製及び供給システムを使用して試料を調製及び供給することが可能な様々な方法が理解されるはずである。
【0192】
上記に説明及び例示し、図に示した各実施形態は、あくまで例として示したものであり、本発明の概念及び原理を限定することを目的とするものではない。したがって、当業者であれば、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく各要素並びにそのの構成及び配置における様々な変更が可能である点は認識されるであろう。本発明の異なる特徴及び態様を以下の特許請求の範囲に記載する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析物の試験のための試料を調製及び供給するためのシステムにおいて、
リザーバを含む変形可能な自己支持型のレセプタクルであって、前記リザーバは分析物源及び希釈剤を含む液体組成物を収容するように構成されたレセプタクルを備えた、試料調製システムと、
前記試料調製システムに結合された試料供給システムであって、前記試料供給システムは弁を備え、前記弁は前記リザーバと流体連通するように配置されるとともに前記試料調製システムからの前記液体組成物の試料の取り出しを制御するように構成される試料供給システムと、を備えた、システム。
【請求項2】
前記分析物が、微生物、寄生虫、生体分子、化学物質、金属イオン、金属イオン含有錯体、及びこれらの組み合わせの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記分析物が、サルモネラ属、アシネトバクター属、ビブリオ属、リステリア・モノサイトジェネス(Listeria monocytogenes)、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、クロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、シュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)、バチルス・アントラシス(Bacillus anthracis)、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)、メチシリン耐性スタフィロコッカス・アウレウス、バンコマイシン耐性エンテロコッカス、ノロウイルス、ノーウォークウイルス、ロタウイルス、アデノウイルス、及びこれらの組み合わせの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記分析物が、ブドウ球菌エンテロトキシン、バチルス下痢原性毒素、クロストリジウム・ディフィシル毒素、アフラトキシン、落花生アレルゲン、卵アレルゲン、及びこれらの組み合わせの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記分析物源が前記希釈剤を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記分析物源が食品源及び非食品源の少なくとも一方を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記希釈剤が、界面活性剤、レオロジー添加剤、抗微生物中和剤、栄養素、増殖阻害剤、pH緩衝剤、酵素、指示分子、滅菌水、有機溶媒、及びこれらの組み合わせの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記分析物が微生物を含み、前記希釈剤が前記微生物を増菌するように構成された増菌培地を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記試料調製システムが、前記変形可能な自己支持型レセプタクルの内面上に配置された増菌培地を更に含み、前記増菌培地が少なくとも前記分析物を増殖させるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記弁が圧力で作動されるものである、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記弁が、前記試料調製システムの前記リザーバからガスを除去するように更に構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記弁が、前記試料調製システムから流体を流出させる一方で前記試料調製システムに流体が流入することを防止するように構成された一方向弁を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記弁が、前記試料調製システムから検出システムへの前記試料の流れを制御するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記弁に結合された増殖装置を更に備え、前記増殖装置が前記検体を増殖させるように構成された栄養培地を含み、前記弁が前記試料調製システムから前記増殖装置への前記試料の流れを制御するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記弁が体積測定装置の少なくとも一部を形成する、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記試料供給システムが体積測定装置を更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記体積測定装置が2重弁システムを含む、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記体積測定装置が、直列に配置された複数の弁を含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記複数の弁のそれぞれがゲート弁又はボール弁である、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記体積測定装置が単一ボール弁を含む、請求項16に記載のシステム。
【請求項21】
前記体積測定装置が直列に配置された2個の一方向弁を有することにより、所望の体積の試料が第1の一方向弁を通じて前記所望の体積を有する導管内へと通過し、更に前記導管から第2の一方向弁を通過することが可能である、請求項16に記載のシステム。
【請求項22】
前記試料供給システムが、所望の体積を有する前記試料を収容するように構成されるとともに、前記試料供給システムから前記試料を供給するために前記試料調製システムから取り外されるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項23】
前記変形可能な自己支持型レセプタクルが自立式である、請求項1に記載のシステム。
【請求項24】
前記試料調製システムが、前記変形可能な自己支持型レセプタクルを受容するような寸法に構成された自立式容器を更に含み、前記自立式容器が前記変形可能な自己支持型レセプタクルよりも堅いものである、請求項1に記載のシステム。
【請求項25】
前記自立式容器が底及び前記底に画定された開口部を有し、前記変形可能な自己支持型レセプタクルに前記開口部を通じてアクセス可能である、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記変形可能な自己支持型レセプタクルが側壁を含み、前記側壁がアコーディオン式の構成を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項27】
前記変形可能な自己支持型レセプタクルが長手方向軸及び側壁を含み、前記側壁が前記長手方向軸に実質的に沿ってほぼ均一に圧し潰れるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項28】
前記変形可能な自己支持型レセプタクルが側壁を含み、前記側壁が側壁を圧し潰すことができるように構成された少なくとも1つの折り目を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項29】
前記変形可能な自己支持型レセプタクルが、圧し潰すことができるように構成された側壁を含むことにより、前記変形可能な自己支持型レセプタクルは、前記リザーバが第1の体積を画定する第1の状態と、前記リザーバが第2の体積を画定する第2の状態とを含み、前記第2の体積が前記第1の体積よりも小さい、請求項1に記載のシステム。
【請求項30】
前記変形可能な自己支持型レセプタクルが使用の前後において前記第2の状態にある、請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
前記試料調製システムが、前記リザーバと流体連通するとともに前記液体組成物を濾過して濾液を形成するように構成されたフィルターを更に有し、前記試料が少なくとも前記濾液の少なくとも一部を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項32】
前記フィルターがプランジャーに結合され、前記フィルターは前記プランジャーによって前記液体組成物中に動かされることによって濾液を形成するように構成されている、請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
前記試料調製システムが、前記変形可能な自己支持型レセプタクルを圧縮するように構成されたプランジャーを更に有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項34】
前記試料調製システムが、前記変形可能な自己支持型レセプタクルに結合された蓋を更に有し、前記試料供給システムが前記蓋に結合される、請求項1に記載のシステム。
【請求項35】
前記試料調製システムが、前記蓋に結合されるように構成されたカバーを更に有し、前記蓋及び前記カバーの少なくとも一方が破断可能なバリアを有する、請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
前記試料供給システムが前記蓋のポートに結合される、請求項34に記載のシステム。
【請求項37】
前記試料調製システムが、前記変形可能な自己支持型レセプタクルを受容するような寸法に構成された自立式容器を更に含み、前記自立式容器が前記変形可能な自己支持型レセプタクルよりも堅いものである、請求項1に記載のシステム。
【請求項38】
前記試料が前記液体組成物の少なくとも一部を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項39】
分析物の試験のための試料を調製及び供給するためのシステムにおいて、
第1のリザーバを有する自立式容器と、前記自立式容器の前記第1のリザーバに受容されるような寸法に構成されるとともに第2のリザーバを有する変形可能な自己支持型レセプタクルであって、前記第2のリザーバが、分析物源及び希釈剤を含む液体組成物を収容するように構成され、前記自立式容器が前記変形可能な自己支持型レセプタクルよりも堅いものであるような、変形可能な自己支持型レセプタクルと、前記自立式容器及び前記変形可能な自己支持型レセプタクルの少なくとも一方に結合されるように構成された蓋と、を有する試料調製システムと、
前記試料調製システムに結合されるとともに弁を有する試料供給システムであって、前記弁が、前記第2のリザーバと流体連通するように配置されるとともに前記試料調製システムからの前記液体組成物の試料の取り出しを制御するように構成されている試料供給システムと、を備えた、システム。
【請求項40】
前記分析物が、微生物、寄生虫、生体分子、化学物質、金属イオン、金属イオン含有錯体、及びこれらの組み合わせの少なくとも1つを含む、請求項39に記載のシステム。
【請求項41】
前記分析物が、サルモネラ属、アシネトバクター属、ビブリオ属、リステリア・モノサイトジェネス(Listeria monocytogenes)、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、クロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、シュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)、バチルス・アントラシス(Bacillus anthracis)、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)、メチシリン耐性スタフィロコッカス・アウレウス、バンコマイシン耐性エンテロコッカス、ノロウイルス、ノーウォークウイルス、ロタウイルス、アデノウイルス、及びこれらの組み合わせの少なくとも1つを含む、請求項39に記載のシステム。
【請求項42】
前記分析物源が前記希釈剤を含む、請求項39に記載のシステム。
【請求項43】
前記分析物源が食品源及び非食品源の少なくとも一方を含む、請求項39に記載のシステム。
【請求項44】
前記希釈剤が、界面活性剤、レオロジー添加剤、抗微生物中和剤、増菌培地、pH緩衝剤、酵素、指示分子、滅菌水、有機溶媒、及びこれらの組み合わせの少なくとも1つを含む、請求項39に記載のシステム。
【請求項45】
前記弁が圧力で作動されるものである、請求項39に記載のシステム。
【請求項46】
前記弁が、前記試料調製システムのガス除去をするように更に構成されている、請求項39に記載のシステム。
【請求項47】
前記弁が、前記試料調製システムから流体を流出させる一方で前記試料調製システムに流体が流入することを防止するように構成された一方向弁を含む、請求項39に記載のシステム。
【請求項48】
前記弁が、前記試料調製システムから検出システムへの前記試料の流れを制御するように構成されている、請求項39に記載のシステム。
【請求項49】
前記弁に結合された増殖装置を更に備え、前記増殖装置が前記検体を増殖させるように構成された栄養培地を含み、前記弁が前記試料調製システムから前記増殖装置への前記試料の流れを制御するように構成されている、請求項39に記載のシステム。
【請求項50】
前記弁が体積測定装置の少なくとも一部を形成する、請求項39に記載のシステム。
【請求項51】
前記試料供給システムが体積測定装置を更に含む、請求項39に記載のシステム。
【請求項52】
前記変形可能な自己支持型レセプタクルが自立式である、請求項39に記載のシステム。
【請求項53】
前記試料供給システムが前記蓋に結合される、請求項39に記載のシステム。
【請求項54】
前記試料供給システムが前記蓋のポートに結合される、請求項39に記載のシステム。
【請求項55】
前記試料供給システムが前記蓋の中央ポートに結合される、請求項39に記載のシステム。
【請求項56】
前記試料調製システムが、前記第2のリザーバと流体連通するとともに前記液体組成物を濾過して濾液を形成するように構成されたフィルターを更に有し、前記試料が少なくとも前記濾液の少なくとも一部を含む、請求項39に記載のシステム。
【請求項57】
前記試料調製システムがプランジャーを更に有し、前記プランジャーの少なくとも一部が前記第1のリザーバ内に受容されて前記変形可能な自己支持型レセプタクルを圧縮するような寸法に構成されている、請求項39に記載のシステム。
【請求項58】
前記試料調製システムが、前記蓋に結合されるように構成されたカバーを更に有し、前記蓋及び前記カバーの少なくとも一方が破断可能なバリアを有する、請求項39に記載のシステム。
【請求項59】
分析物の試験のための試料を調製及び供給するための方法において、
リザーバを有する変形可能な自己支持型レセプタクルを有する試料調製システムを提供することと、
分析物源及び希釈剤を含む液体組成物を提供することと、
前記液体組成物を前記変形可能な自己支持型レセプタクルの前記リザーバ内に配置することと、
前記試料調製システムに結合されるように構成されるとともに弁を有する試料供給システムであって、前記弁が前記リザーバと流体連通するように配置された試料供給システムを提供することと、
前記変形可能な自己支持型レセプタクルに圧力を作用させることによって前記試料供給システムを通じて前記試料調製システムから前記液体組成物の試料を取りだすことと、を含む、方法。
【請求項60】
前記分析物が、微生物、寄生虫、生体分子、化学物質、金属イオン、金属イオン含有錯体、及びこれらの組み合わせの少なくとも1つを含む、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記分析物源が前記希釈剤を含む、請求項59に記載の方法。
【請求項62】
前記分析物源が食品源及び非食品源の少なくとも一方を含む、請求項59に記載の方法。
【請求項63】
前記希釈剤が、界面活性剤、レオロジー添加剤、抗微生物中和剤、栄養素、増殖阻害剤、pH緩衝剤、酵素、指示分子、滅菌水、有機溶媒、及びこれらの組み合わせの少なくとも1つを含む、請求項59に記載の方法。
【請求項64】
前記弁が圧力により作動し、前記変形可能な自己支持型レセプタクルに圧力を作用させることによって前記弁が開放するように作動する、請求項59に記載の方法。
【請求項65】
前記試料供給システムが体積測定装置を含み、前記変形可能な自己支持型レセプタクルに圧力を作用させることが、前記試料を前記体積測定装置を通じて移動させることを含む、請求項59に記載の方法。
【請求項66】
前記弁がチェック弁であり、前記変形可能な自己支持型レセプタクルに圧力を作用させることにより、前記チェック弁がクラッキング圧を上回ることによって液体が前記試料調製システムから流出することが可能となる、請求項59に記載の方法。
【請求項67】
前記試料調製システムがフィルターを更に有し、前記液体組成物を前記フィルターで濾過することによって濾液を形成することを更に含み、前記試料が少なくとも前記濾液の一部を含む、請求項59に記載の方法。
【請求項68】
前記フィルターがプランジャーに結合され、前記液体組成物を前記フィルターで濾過することが、前記プランジャーを押すことによって前記フィルターを前記液体組成物中に動かすことで濾液を形成することを含む、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記液体組成物を濾過して濾液を形成することを更に含み、前記試料が前記濾液の少なくとも一部を含む、請求項59に記載の方法。
【請求項70】
前記試料調製システムが、前記変形可能な自己支持型レセプタクルよりも堅い自立式容器を更に有し、前記変形可能な自己支持型レセプタクルが前記自立式容器内に受容されるような寸法に構成されており、前記変形可能な自己支持型レセプタクルを前記自立式容器内に配置することを更に含む、請求項59に記載の方法。
【請求項71】
前記自立式容器が、これを通じて前記変形可能な自己支持型レセプタクルにアクセスすることが可能な開口部を含み、前記変形可能な自己支持型レセプタクルに圧力を作用させることが前記開口部を通じて前記変形可能な自己支持型レセプタクルの外側に陽圧を作用させることを含む、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記変形可能な自己支持型レセプタクルが底を含み、前記自立式容器が、開口部が画定された底を含み、前記変形可能な自己支持型レセプタクルに圧力を作用させることが前記自立式容器の前記底の前記開口部を通じて前記変形可能な自己支持型レセプタクルの前記底に圧力を作用させることを含む、請求項70に記載の方法。
【請求項73】
前記試料調製システムが更に蓋を有し、前記試料供給システムが前記蓋に結合されており、前記蓋を前記変形可能な自己支持型レセプタクルに結合することを更に含む、請求項59に記載の方法。
【請求項74】
前記液体組成物を攪拌することを更に含む、請求項59に記載の方法。
【請求項75】
前記変形可能な自己支持型レセプタクルに蓋を結合することを更に含む、請求項59に記載の方法。
【請求項76】
前記試料を前記分析物について分析することを更に含む、請求項59に記載の方法。
【請求項77】
前記試料を分析することが、微生物学的アッセイ、生化学的アッセイ、免疫学的アッセイ、ラテラルフローアッセイ、滴定法、熱分析法、顕微鏡法、分光法、分光光度法、クロマトグラフィー、電気化学的分析法、遺伝子工学的手法、アデノシン三リン酸(ATP)検出アッセイ、細胞毒性アッセイ、ウイルスプラークアッセイ、細胞変性効果のアッセイ、培養法、及びこれらの組み合わせの少なくとも1つを用いて分析することを含む、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記試料を前記分析物について分析することが、前記分析物を同定すること及び前記分析物を定量することの少なくとも一方を含む、請求項76に記載の方法。
【請求項79】
前記試料を前記試料供給システムから検出装置へと移動することを更に含む、請求項59に記載の方法。
【請求項80】
前記検出装置によって前記試料を前記分析物について分析することを更に含む、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記試料供給システムに増殖装置を結合することを更に含み、これにより前記試料調製システムの前記リザーバと前記増殖装置とが流体連通し、前記増殖装置は前記検体を増殖させるように構成された栄養培地を含み、
前記変形可能な自己支持型レセプタクルに圧力を作用させることが、前記試料を前記増殖装置内へと移動させることを含む、請求項59に記載の方法。
【請求項82】
前記増殖装置を前記試料供給システムから分離することと、
前記増殖装置をインキュベートして前記分析物の増殖を促進することと、を更に含む、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記液体組成物を前記変形可能な自己支持型レセプタクルの前記リザーバ内に配置することが、
前記希釈剤を含む前記分析物源を前記リザーバ内に配置すること、
前記分析物源及び前記希釈剤を前記リザーバ内に同時に加えること、
前記リザーバに前記希釈剤を加える前に前記リザーバに前記分析物源を加えること、
前記リザーバに前記分析物源を加える前に前記リザーバに前記希釈剤を加えること、及び、
前記分析物源と前記希釈剤とを合わせることによって液体組成物を形成し、前記液体組成物を前記リザーバに加えること、の少なくとも1つを含む、請求項59に記載の方法。
【請求項84】
前記試料調製システムが、前記変形可能な自己支持型レセプタクルと、前記変形可能な自己支持型レセプタクルに結合された蓋とを有する使い捨て可能な部分を有し、前記試料供給システムが前記蓋に結合され、更に使い捨て可能な部分を有しており、前記試料調製システムの前記使い捨て可能な部分及び前記試料供給システムの前記使い捨て可能な部分を処分することを更に含む、請求項59に記載の方法。
【請求項85】
前記試料が前記液体組成物の少なくとも一部を含む、請求項59に記載の方法。
【請求項1】
分析物の試験のための試料を調製及び供給するためのシステムにおいて、
リザーバを含む変形可能な自己支持型のレセプタクルであって、前記リザーバは分析物源及び希釈剤を含む液体組成物を収容するように構成されたレセプタクルを備えた、試料調製システムと、
前記試料調製システムに結合された試料供給システムであって、前記試料供給システムは弁を備え、前記弁は前記リザーバと流体連通するように配置されるとともに前記試料調製システムからの前記液体組成物の試料の取り出しを制御するように構成される試料供給システムと、を備えた、システム。
【請求項2】
前記分析物が、微生物、寄生虫、生体分子、化学物質、金属イオン、金属イオン含有錯体、及びこれらの組み合わせの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記分析物が、サルモネラ属、アシネトバクター属、ビブリオ属、リステリア・モノサイトジェネス(Listeria monocytogenes)、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、クロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、シュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)、バチルス・アントラシス(Bacillus anthracis)、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)、メチシリン耐性スタフィロコッカス・アウレウス、バンコマイシン耐性エンテロコッカス、ノロウイルス、ノーウォークウイルス、ロタウイルス、アデノウイルス、及びこれらの組み合わせの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記分析物が、ブドウ球菌エンテロトキシン、バチルス下痢原性毒素、クロストリジウム・ディフィシル毒素、アフラトキシン、落花生アレルゲン、卵アレルゲン、及びこれらの組み合わせの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記分析物源が前記希釈剤を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記分析物源が食品源及び非食品源の少なくとも一方を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記希釈剤が、界面活性剤、レオロジー添加剤、抗微生物中和剤、栄養素、増殖阻害剤、pH緩衝剤、酵素、指示分子、滅菌水、有機溶媒、及びこれらの組み合わせの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記分析物が微生物を含み、前記希釈剤が前記微生物を増菌するように構成された増菌培地を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記試料調製システムが、前記変形可能な自己支持型レセプタクルの内面上に配置された増菌培地を更に含み、前記増菌培地が少なくとも前記分析物を増殖させるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記弁が圧力で作動されるものである、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記弁が、前記試料調製システムの前記リザーバからガスを除去するように更に構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記弁が、前記試料調製システムから流体を流出させる一方で前記試料調製システムに流体が流入することを防止するように構成された一方向弁を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記弁が、前記試料調製システムから検出システムへの前記試料の流れを制御するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記弁に結合された増殖装置を更に備え、前記増殖装置が前記検体を増殖させるように構成された栄養培地を含み、前記弁が前記試料調製システムから前記増殖装置への前記試料の流れを制御するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記弁が体積測定装置の少なくとも一部を形成する、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記試料供給システムが体積測定装置を更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記体積測定装置が2重弁システムを含む、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記体積測定装置が、直列に配置された複数の弁を含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記複数の弁のそれぞれがゲート弁又はボール弁である、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記体積測定装置が単一ボール弁を含む、請求項16に記載のシステム。
【請求項21】
前記体積測定装置が直列に配置された2個の一方向弁を有することにより、所望の体積の試料が第1の一方向弁を通じて前記所望の体積を有する導管内へと通過し、更に前記導管から第2の一方向弁を通過することが可能である、請求項16に記載のシステム。
【請求項22】
前記試料供給システムが、所望の体積を有する前記試料を収容するように構成されるとともに、前記試料供給システムから前記試料を供給するために前記試料調製システムから取り外されるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項23】
前記変形可能な自己支持型レセプタクルが自立式である、請求項1に記載のシステム。
【請求項24】
前記試料調製システムが、前記変形可能な自己支持型レセプタクルを受容するような寸法に構成された自立式容器を更に含み、前記自立式容器が前記変形可能な自己支持型レセプタクルよりも堅いものである、請求項1に記載のシステム。
【請求項25】
前記自立式容器が底及び前記底に画定された開口部を有し、前記変形可能な自己支持型レセプタクルに前記開口部を通じてアクセス可能である、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記変形可能な自己支持型レセプタクルが側壁を含み、前記側壁がアコーディオン式の構成を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項27】
前記変形可能な自己支持型レセプタクルが長手方向軸及び側壁を含み、前記側壁が前記長手方向軸に実質的に沿ってほぼ均一に圧し潰れるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項28】
前記変形可能な自己支持型レセプタクルが側壁を含み、前記側壁が側壁を圧し潰すことができるように構成された少なくとも1つの折り目を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項29】
前記変形可能な自己支持型レセプタクルが、圧し潰すことができるように構成された側壁を含むことにより、前記変形可能な自己支持型レセプタクルは、前記リザーバが第1の体積を画定する第1の状態と、前記リザーバが第2の体積を画定する第2の状態とを含み、前記第2の体積が前記第1の体積よりも小さい、請求項1に記載のシステム。
【請求項30】
前記変形可能な自己支持型レセプタクルが使用の前後において前記第2の状態にある、請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
前記試料調製システムが、前記リザーバと流体連通するとともに前記液体組成物を濾過して濾液を形成するように構成されたフィルターを更に有し、前記試料が少なくとも前記濾液の少なくとも一部を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項32】
前記フィルターがプランジャーに結合され、前記フィルターは前記プランジャーによって前記液体組成物中に動かされることによって濾液を形成するように構成されている、請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
前記試料調製システムが、前記変形可能な自己支持型レセプタクルを圧縮するように構成されたプランジャーを更に有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項34】
前記試料調製システムが、前記変形可能な自己支持型レセプタクルに結合された蓋を更に有し、前記試料供給システムが前記蓋に結合される、請求項1に記載のシステム。
【請求項35】
前記試料調製システムが、前記蓋に結合されるように構成されたカバーを更に有し、前記蓋及び前記カバーの少なくとも一方が破断可能なバリアを有する、請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
前記試料供給システムが前記蓋のポートに結合される、請求項34に記載のシステム。
【請求項37】
前記試料調製システムが、前記変形可能な自己支持型レセプタクルを受容するような寸法に構成された自立式容器を更に含み、前記自立式容器が前記変形可能な自己支持型レセプタクルよりも堅いものである、請求項1に記載のシステム。
【請求項38】
前記試料が前記液体組成物の少なくとも一部を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項39】
分析物の試験のための試料を調製及び供給するためのシステムにおいて、
第1のリザーバを有する自立式容器と、前記自立式容器の前記第1のリザーバに受容されるような寸法に構成されるとともに第2のリザーバを有する変形可能な自己支持型レセプタクルであって、前記第2のリザーバが、分析物源及び希釈剤を含む液体組成物を収容するように構成され、前記自立式容器が前記変形可能な自己支持型レセプタクルよりも堅いものであるような、変形可能な自己支持型レセプタクルと、前記自立式容器及び前記変形可能な自己支持型レセプタクルの少なくとも一方に結合されるように構成された蓋と、を有する試料調製システムと、
前記試料調製システムに結合されるとともに弁を有する試料供給システムであって、前記弁が、前記第2のリザーバと流体連通するように配置されるとともに前記試料調製システムからの前記液体組成物の試料の取り出しを制御するように構成されている試料供給システムと、を備えた、システム。
【請求項40】
前記分析物が、微生物、寄生虫、生体分子、化学物質、金属イオン、金属イオン含有錯体、及びこれらの組み合わせの少なくとも1つを含む、請求項39に記載のシステム。
【請求項41】
前記分析物が、サルモネラ属、アシネトバクター属、ビブリオ属、リステリア・モノサイトジェネス(Listeria monocytogenes)、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、クロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、シュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)、バチルス・アントラシス(Bacillus anthracis)、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)、メチシリン耐性スタフィロコッカス・アウレウス、バンコマイシン耐性エンテロコッカス、ノロウイルス、ノーウォークウイルス、ロタウイルス、アデノウイルス、及びこれらの組み合わせの少なくとも1つを含む、請求項39に記載のシステム。
【請求項42】
前記分析物源が前記希釈剤を含む、請求項39に記載のシステム。
【請求項43】
前記分析物源が食品源及び非食品源の少なくとも一方を含む、請求項39に記載のシステム。
【請求項44】
前記希釈剤が、界面活性剤、レオロジー添加剤、抗微生物中和剤、増菌培地、pH緩衝剤、酵素、指示分子、滅菌水、有機溶媒、及びこれらの組み合わせの少なくとも1つを含む、請求項39に記載のシステム。
【請求項45】
前記弁が圧力で作動されるものである、請求項39に記載のシステム。
【請求項46】
前記弁が、前記試料調製システムのガス除去をするように更に構成されている、請求項39に記載のシステム。
【請求項47】
前記弁が、前記試料調製システムから流体を流出させる一方で前記試料調製システムに流体が流入することを防止するように構成された一方向弁を含む、請求項39に記載のシステム。
【請求項48】
前記弁が、前記試料調製システムから検出システムへの前記試料の流れを制御するように構成されている、請求項39に記載のシステム。
【請求項49】
前記弁に結合された増殖装置を更に備え、前記増殖装置が前記検体を増殖させるように構成された栄養培地を含み、前記弁が前記試料調製システムから前記増殖装置への前記試料の流れを制御するように構成されている、請求項39に記載のシステム。
【請求項50】
前記弁が体積測定装置の少なくとも一部を形成する、請求項39に記載のシステム。
【請求項51】
前記試料供給システムが体積測定装置を更に含む、請求項39に記載のシステム。
【請求項52】
前記変形可能な自己支持型レセプタクルが自立式である、請求項39に記載のシステム。
【請求項53】
前記試料供給システムが前記蓋に結合される、請求項39に記載のシステム。
【請求項54】
前記試料供給システムが前記蓋のポートに結合される、請求項39に記載のシステム。
【請求項55】
前記試料供給システムが前記蓋の中央ポートに結合される、請求項39に記載のシステム。
【請求項56】
前記試料調製システムが、前記第2のリザーバと流体連通するとともに前記液体組成物を濾過して濾液を形成するように構成されたフィルターを更に有し、前記試料が少なくとも前記濾液の少なくとも一部を含む、請求項39に記載のシステム。
【請求項57】
前記試料調製システムがプランジャーを更に有し、前記プランジャーの少なくとも一部が前記第1のリザーバ内に受容されて前記変形可能な自己支持型レセプタクルを圧縮するような寸法に構成されている、請求項39に記載のシステム。
【請求項58】
前記試料調製システムが、前記蓋に結合されるように構成されたカバーを更に有し、前記蓋及び前記カバーの少なくとも一方が破断可能なバリアを有する、請求項39に記載のシステム。
【請求項59】
分析物の試験のための試料を調製及び供給するための方法において、
リザーバを有する変形可能な自己支持型レセプタクルを有する試料調製システムを提供することと、
分析物源及び希釈剤を含む液体組成物を提供することと、
前記液体組成物を前記変形可能な自己支持型レセプタクルの前記リザーバ内に配置することと、
前記試料調製システムに結合されるように構成されるとともに弁を有する試料供給システムであって、前記弁が前記リザーバと流体連通するように配置された試料供給システムを提供することと、
前記変形可能な自己支持型レセプタクルに圧力を作用させることによって前記試料供給システムを通じて前記試料調製システムから前記液体組成物の試料を取りだすことと、を含む、方法。
【請求項60】
前記分析物が、微生物、寄生虫、生体分子、化学物質、金属イオン、金属イオン含有錯体、及びこれらの組み合わせの少なくとも1つを含む、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記分析物源が前記希釈剤を含む、請求項59に記載の方法。
【請求項62】
前記分析物源が食品源及び非食品源の少なくとも一方を含む、請求項59に記載の方法。
【請求項63】
前記希釈剤が、界面活性剤、レオロジー添加剤、抗微生物中和剤、栄養素、増殖阻害剤、pH緩衝剤、酵素、指示分子、滅菌水、有機溶媒、及びこれらの組み合わせの少なくとも1つを含む、請求項59に記載の方法。
【請求項64】
前記弁が圧力により作動し、前記変形可能な自己支持型レセプタクルに圧力を作用させることによって前記弁が開放するように作動する、請求項59に記載の方法。
【請求項65】
前記試料供給システムが体積測定装置を含み、前記変形可能な自己支持型レセプタクルに圧力を作用させることが、前記試料を前記体積測定装置を通じて移動させることを含む、請求項59に記載の方法。
【請求項66】
前記弁がチェック弁であり、前記変形可能な自己支持型レセプタクルに圧力を作用させることにより、前記チェック弁がクラッキング圧を上回ることによって液体が前記試料調製システムから流出することが可能となる、請求項59に記載の方法。
【請求項67】
前記試料調製システムがフィルターを更に有し、前記液体組成物を前記フィルターで濾過することによって濾液を形成することを更に含み、前記試料が少なくとも前記濾液の一部を含む、請求項59に記載の方法。
【請求項68】
前記フィルターがプランジャーに結合され、前記液体組成物を前記フィルターで濾過することが、前記プランジャーを押すことによって前記フィルターを前記液体組成物中に動かすことで濾液を形成することを含む、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記液体組成物を濾過して濾液を形成することを更に含み、前記試料が前記濾液の少なくとも一部を含む、請求項59に記載の方法。
【請求項70】
前記試料調製システムが、前記変形可能な自己支持型レセプタクルよりも堅い自立式容器を更に有し、前記変形可能な自己支持型レセプタクルが前記自立式容器内に受容されるような寸法に構成されており、前記変形可能な自己支持型レセプタクルを前記自立式容器内に配置することを更に含む、請求項59に記載の方法。
【請求項71】
前記自立式容器が、これを通じて前記変形可能な自己支持型レセプタクルにアクセスすることが可能な開口部を含み、前記変形可能な自己支持型レセプタクルに圧力を作用させることが前記開口部を通じて前記変形可能な自己支持型レセプタクルの外側に陽圧を作用させることを含む、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記変形可能な自己支持型レセプタクルが底を含み、前記自立式容器が、開口部が画定された底を含み、前記変形可能な自己支持型レセプタクルに圧力を作用させることが前記自立式容器の前記底の前記開口部を通じて前記変形可能な自己支持型レセプタクルの前記底に圧力を作用させることを含む、請求項70に記載の方法。
【請求項73】
前記試料調製システムが更に蓋を有し、前記試料供給システムが前記蓋に結合されており、前記蓋を前記変形可能な自己支持型レセプタクルに結合することを更に含む、請求項59に記載の方法。
【請求項74】
前記液体組成物を攪拌することを更に含む、請求項59に記載の方法。
【請求項75】
前記変形可能な自己支持型レセプタクルに蓋を結合することを更に含む、請求項59に記載の方法。
【請求項76】
前記試料を前記分析物について分析することを更に含む、請求項59に記載の方法。
【請求項77】
前記試料を分析することが、微生物学的アッセイ、生化学的アッセイ、免疫学的アッセイ、ラテラルフローアッセイ、滴定法、熱分析法、顕微鏡法、分光法、分光光度法、クロマトグラフィー、電気化学的分析法、遺伝子工学的手法、アデノシン三リン酸(ATP)検出アッセイ、細胞毒性アッセイ、ウイルスプラークアッセイ、細胞変性効果のアッセイ、培養法、及びこれらの組み合わせの少なくとも1つを用いて分析することを含む、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記試料を前記分析物について分析することが、前記分析物を同定すること及び前記分析物を定量することの少なくとも一方を含む、請求項76に記載の方法。
【請求項79】
前記試料を前記試料供給システムから検出装置へと移動することを更に含む、請求項59に記載の方法。
【請求項80】
前記検出装置によって前記試料を前記分析物について分析することを更に含む、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記試料供給システムに増殖装置を結合することを更に含み、これにより前記試料調製システムの前記リザーバと前記増殖装置とが流体連通し、前記増殖装置は前記検体を増殖させるように構成された栄養培地を含み、
前記変形可能な自己支持型レセプタクルに圧力を作用させることが、前記試料を前記増殖装置内へと移動させることを含む、請求項59に記載の方法。
【請求項82】
前記増殖装置を前記試料供給システムから分離することと、
前記増殖装置をインキュベートして前記分析物の増殖を促進することと、を更に含む、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記液体組成物を前記変形可能な自己支持型レセプタクルの前記リザーバ内に配置することが、
前記希釈剤を含む前記分析物源を前記リザーバ内に配置すること、
前記分析物源及び前記希釈剤を前記リザーバ内に同時に加えること、
前記リザーバに前記希釈剤を加える前に前記リザーバに前記分析物源を加えること、
前記リザーバに前記分析物源を加える前に前記リザーバに前記希釈剤を加えること、及び、
前記分析物源と前記希釈剤とを合わせることによって液体組成物を形成し、前記液体組成物を前記リザーバに加えること、の少なくとも1つを含む、請求項59に記載の方法。
【請求項84】
前記試料調製システムが、前記変形可能な自己支持型レセプタクルと、前記変形可能な自己支持型レセプタクルに結合された蓋とを有する使い捨て可能な部分を有し、前記試料供給システムが前記蓋に結合され、更に使い捨て可能な部分を有しており、前記試料調製システムの前記使い捨て可能な部分及び前記試料供給システムの前記使い捨て可能な部分を処分することを更に含む、請求項59に記載の方法。
【請求項85】
前記試料が前記液体組成物の少なくとも一部を含む、請求項59に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17A】
【図17B】
【図17C】
【図18A】
【図18B】
【図18C】
【図19A】
【図19B】
【図19C】
【図20A】
【図20B】
【図20C】
【図20D】
【図21A】
【図21B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
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【図14】
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【図16】
【図17A】
【図17B】
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【図18A】
【図18B】
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【図19A】
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【図19C】
【図20A】
【図20B】
【図20C】
【図20D】
【図21A】
【図21B】
【公表番号】特表2011−502544(P2011−502544A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−535042(P2010−535042)
【出願日】平成20年11月19日(2008.11.19)
【国際出願番号】PCT/US2008/084035
【国際公開番号】WO2009/067513
【国際公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月19日(2008.11.19)
【国際出願番号】PCT/US2008/084035
【国際公開番号】WO2009/067513
【国際公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
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