説明

試料ガス分析装置

【課題】 試料測定中の測定値に対する信頼性の確保し、測定精度の高い試料ガス分析装置を提供すること。
【解決手段】 (1)試料処理手段として、成分Aを選択的に除去あるいは他の物質に変換する変換手段Y1を備え、(2)校正およびチェック手段として、ゼロガスを供給する手段P1、所定濃度の成分Aを供給する手段P2を備え、(3)測定手段Dとして、成分Aの濃度を選択的に検出する手段を備え、手段P1から供給されるガスを測定手段Dに導入するとともに、前記手段P2から供給されるガスを直接精製器Y1に導入した後に測定手段Dに導入することによって、該精製器Y1の処理機能のチェックを可能とし、演算処理手段Mにおいて、成分Aの検出機能、成分Aの校正機能、および試料処理手段の処理機能のチェックを行うとともに、各機能に基づく処理を行うことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料ガス中の成分濃度を検出することができる試料ガス分析装置に関するもので、特に、微小濃度成分を選択的に除去処理した試料と処理しなかった試料との比較によって、該微小濃度成分を検出することができる試料ガス分析装置として有用である。
【背景技術】
【0002】
一般に、大気中あるいは固定排出源や移動排出源からの排気ガス中における窒素酸化物(以下「NOx」という。)分析装置のように、各種試料中の成分測定においては、複数の測定対象成分(以下「測定成分」という。)の相関関係を把握する必要性から、複数成分を同時に検出することが求められるとともに、定期的にゼロガスおよびスパンガスを導入して計器校正をすることで、測定値の信頼性を維持している。
【0003】
NOx分析装置を例にとると、NOxを構成する一酸化窒素(以下「NO」という。)および二酸化窒素(以下「NO」という。)を同時に測定するには、主として化学発光法を用いた分析計(以下「CLD」という。)や非分散式赤外線吸収法を用いた分析計(以下「NDIR」という。)や非分散式紫外線吸収法を用いた分析計(以下「NDUV」という。)などのNOのみを検出する測定手段を用い、変換手段によって試料中のNOをNOに変換してトータルNOx濃度を測定するとともに、変換しない場合に得られるNO濃度、およびNOx濃度からNO濃度を減算してNO濃度を得る方法を挙げることができる。
【0004】
具体的に、多用されている化学発光法による大気中NOx自動計測器の構成例を、図8に示す(例えば非特許文献1等)。試料大気入口61から吸引採取された試料は、測定手段(反応槽)65の後段に設けられた吸引ポンプ(試料大気吸引ポンプ)63によって吸引され、ダストフィルタ62によって清浄にした後、流量制御部71、電磁弁(切換弁)67を経由して測定手段65に導入される。電磁弁67と測定手段65の中間の一方の流路にはコンバータ64が設けられ(流路Sa)、他方の流路にはコンバータ64との圧力バランスの関係で流路抵抗66が設けられる(流路Sb)。
【0005】
通常の測定時は、流路Saに接続し大気中のNOをNOに変換しトータルNOxとして測定される。NOあるいはNOのみを測定する時は、流路Sbに切り換えて大気中のNOのみを検出し、切換直前あるいは直後のNOxからNOを減算することによってNOを得ることができる。このように流路を切り換える構成によって、NO、NOおよびNOxの測定が可能となる。
【0006】
ここで、測定手段65には、別途オゾン(以下「O」という。)源ガスがオゾン発生器72を経由して導入される。測定手段65を通過したガスは必要な処理、例えば残留オゾンを分解処理する(分解器は図示せず)、等を行った後排気ダクトなどに排出される。測定手段65では、以下の反応によって生じる光量(hν)を光電測光部(測光部)73によって検知することで、試料中のNO濃度を測定することができ、
NO + O → NO + O
NO → NO + hν
測光部73の出力は増幅器74を経由して指示記録計75によって明示される。この測定法は、広い濃度範囲で濃度−出力の関係が直線になるという優れた特性を有することが1つの特長である。
【0007】
このとき、計測器のゼロ点の校正用としてゼロガスを測定手段65に導入してゼロ調整を行い、検出感度の校正用として所定濃度のスパンガスを測定手段65に導入して予め設定された所定濃度に対応する出力値になるようにスパン調整を行っている。校正用ガス導入口は開示されていないが、一般に図8では、(a)部や(b)部から導入される。JIS規格にも示されるようにゼロガスは測定レンジの最大目盛値(以下「FS」という。)の0%(NOを含まないガス)、スパンガスは測定レンジの80〜100%の濃度のNOを含むガスを用いることが一般的である。
【0008】
また、ゼロガスや基準ガスとして、試料ガスからNOやNOを選択的に除去したガスを用いる場合がある。これによって、測定手段についての他の成分の干渉などの影響を確認することができることから、試料ガス流路内にスクラバーを設けて、分析装置の校正時など定期的に確認操作を行う方法が採られることがある。
【0009】
【非特許文献1】日本工業規格「JIS B7953−1997」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記分析装置では、以下のような課題が生じることがあった。
従来技術では、自動的にコンバータや上記のようなスクラバーの特性をチェックする方法がなく、これらの特性を予め推定し、性能を確保するために一定周期でのそれらの交換を行ってきた。このとき、たとえば試料ガスに含まれる被毒成分の量や試料ガス濃度が想定の範囲を超えたガスを長期間装置に導入すると、設定していた交換周期よりも寿命が早くなり、それ以降の測定値は信頼性が乏しく、安定性が著しく低下することがあった。また、コンバータ内臓の測定装置などに於いては、コンバータを自動的にチェックする機能の要求が強くあった。つまり、コンバータによって試料中のNOをNOに変換し、NOxとして測定する方法にあっては、試料中のNOが高濃度の場合、コンバータの変換効率が比較的短期間に低下することから、頻繁に保守・交換する必要があり、長期の連続自動運転が要求される分析装置としての課題となっている。特に試料中のNO濃度の変化が大きい場合には、コンバータの変換効率の低下時期の判定が困難であり、随時変換効率の検査が可能な分析装置の要請が強くあった。
【0011】
また、NOのように吸着性の強い物性を有する測定成分については、校正ガスとして用いる高圧ガスの長期的な安定性の確保が難しい場合がある。また、例えば高圧ガス容器から校正ガスを導入するまでの圧力調整部や配管での残留成分によるオーバーシュートあるいは応答遅れによる校正の再現性不良による測定誤差の発生が無視できない。特に、低濃度の高圧ガスを用いた場合における影響が大きく、実質的に低濃度の校正ガスは使用できないという課題がある。こうした校正ガスにおける課題は、NOだけではなく低濃度のアンモニア(NH)などにも該当する。また、塩化水素(HCL)や塩素(CL)のように測定対象物質自体の反応性が高く安定性が悪い成分の場合などにおいては、ガス化した状態で長期間同一濃度を維持することはできず、実質的に校正ガスは使用できないという課題がある。
【0012】
さらに、NOx分析装置におけるNOとNOのように、同一元素を含む物質を複数測定成分とする場合には、NOのように安定な成分とNOのようにそうでない成分が共存することが多く、こうした条件であっても、測定精度の高い分析装置を提供することが課題となる。
【0013】
また、こうした課題は、試料が大気や排気ガス用の分析装置に限らず、種々のプロセスガス分析装置についても同様である。さらに、試料ガス中のNOxの分析に限らず、Oの分析や、炭化水素(HC)、特にメタン(CH)と非メタン系炭化水素(NMHC)の分離分析(これらのトータルとして全炭化水素(THC)を分析することがある。)、上記のNH、HCL、CL、あるいは水銀(Hg)の分析などにおいても、同様の課題がある。
【0014】
そこで、本発明はこうした問題点を解決し、試料測定中の測定値に対する信頼性の確保し、測定精度の高い試料ガス分析装置を提供することを目的とする。つまり、試料ガスをコンバータなどの変換手段によって選択的に変換あるいはスクラバーなどの除去手段によって選択的に除去処理し、得られた測定成分を含むガスあるいは測定成分を選択的に除去あるいは他の成分に変換されたガスを検出する場合において、その変換手段の変換効率あるいは除去手段の除去効率を容易に検査することができる手段を有する試料ガス分析装置の提供を目的とする。また、安定な校正ガスの確保が難しい測定成分の校正を容易かつ精度よく行うことが可能な手段を有し、長期的に安定した測定を行うことができる試料ガス分析装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、以下に示す試料ガス分析装置によって上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0016】
本発明は、試料採取手段と試料処理手段と校正およびチェック手段からなるサンプリング系、測定手段、および演算処理手段を有し、少なくとも成分Aの濃度を検出することができる試料ガス分析装置であって、
(1)前記試料処理手段として、試料ガス流路を分岐した一方の流路に成分Aを選択的に除去あるいは他の物質に変換する変換手段Y1を備え、
(2)前記校正およびチェック手段として、成分Aを含まないゼロガスを供給する手段P1、所定濃度の成分Aを供給する手段P2を備え、
(3)前記測定手段として、成分Aの濃度を選択的に検出する手段を備え、
試料ガス流路を介して前記手段P1から供給されるガスを測定手段に導入するとともに、前記手段P2から供給されるガスを直接変換手段Y1に導入した後に測定手段に導入することによって、該変換手段Y1の処理機能のチェックを可能とし、
前記演算処理手段において、成分Aの検出機能、成分Aの校正機能、および試料処理手段の処理機能のチェックを行うとともに、各機能に基づく処理を行うことを特徴とする。
【0017】
試料ガス分析装置の測定精度を上げるためには、測定成分に対する検出手段の選択性を上げるとともに、理想的には試料ガス中の干渉影響等を及ぼす他の共存成分を除去する方法がある。しかし、こうした方法を実現することは困難であることから、測定成分に対する選択性の高い検出手段を用いるとともに、試料処理手段として、試料ガス流路を分岐した一方の流路に測定成分(成分A)を選択的に除去あるいは他の物質に変換する変換手段を備え、かかる処理を行わない他方の流路からのガスとの比較によって、測定精度の向上を図ることが好ましい。本発明は、さらに校正ガス供給手段を利用し、このときの変換手段の変換効率を容易に検査することができる手段を備えることによって、装置が正しく動作しているかをチェックし、長期的に安定した測定を行う試料ガス分析装置の提供を図った。つまり、基準ガスとして、試料ガス流路を介して校正用のゼロガスを測定手段に導入するとともに、変換手段によって処理されたガスとして、スパンガスを直接変換手段に導入した後に測定手段に導入することによって、該変換手段の処理機能のチェックを可能にしたものである。なお、ここで、「変換」とは、特定成分が本来の特性と異なる物理的あるいは化学的特性を有するものとなる処理をいい、広く酸化反応、還元反応、分解反応等を含む概念である。
【0018】
また、本発明は、少なくとも1つの成分Aの濃度を選択的に検出する手段を用いて少なくとも1つの成分Aの濃度を検出することができる試料ガス分析装置について、その基本構成を明確にしたもので、特に、自動的に一定の周期で試料ガスと基準ガスの切り換えを行う流体変調方式においては、基準ガスの性状を確認することができることから非常に有用である。さらに、本発明は、低濃度のNOなど安定な校正用スパンガスあるいはチェックガスの確保が難しい場合には、後述するように、パーミエーションチューブなど所定の手段を用いた発生器により所定濃度の成分ガスを供給することによって、測定成分の校正あるいはチェックを容易かつ精度よく行うことが可能となる。特に、容易に入手しやすいゼロガスのみで、校正およびチェック手段を構成することができる点において有用である。
【0019】
本発明は、試料採取手段と試料処理手段と校正およびチェック手段からなるサンプリング系、測定手段、および演算処理手段を有し、少なくとも成分Aおよび/または成分Bの濃度を検出することができる試料ガス分析装置であって、
(1)前記試料処理手段として、試料ガス流路を分岐した一方の流路に成分Aを選択的に成分Bに変換する変換手段Y2を備え、
(2)前記校正およびチェック手段として、成分Aおよび成分Bを含まないゼロガスを供給する手段P1、所定濃度の成分Aを供給する手段P2を備え、
(3)前記測定手段として、成分Bの濃度を選択的に検出する手段を備え、
試料ガス流路を介して前記手段P1から供給されるガスを測定手段に導入するとともに、前記手段P2から供給されるガスを直接変換手段Y2に導入した後に測定手段に導入することによって、該変換手段Y2の処理機能のチェックを可能とし、
前記演算処理手段において、成分Aおよび/または成分Bの検出機能、成分Aおよび/または成分Bの校正機能、および試料処理手段の処理機能のチェックを行うとともに、各機能に基づく処理を行うことを特徴とする。
【0020】
既述のように、NOx分析装置を例にとると、NOxを構成するNOおよびNOを同時に測定する。このとき、NO濃度について高い測定精度を要求される場合には、校正ガスとしてNOを用いる必要がある一方、他成分の干渉影響などを考慮するとCLDなどNOの選択性の高い検出手段を用いることが好ましい。本発明は、上記試料ガス分析装置において、試料処理手段としてNOを選択的にNOに変換する変換手段Y2(第1構成例における変換手段Y1と機能面では同じであるが、変換方法が異なることから区別し明示した)と、校正およびチェック手段として所定濃度のNOを供給する手段P2と、測定手段としてNOの濃度を選択的に検出する手段を備えることによって、測定精度に大きな影響を及ぼす各要素を適切に管理・制御し、試料測定中の測定値に対する信頼性の確保し、測定精度の高い試料ガス分析装置を提供することができる。なお、低濃度のNOなど安定な校正用スパンガスあるいはチェックガスの確保が難しい場合には、上記同様、発生器を用いることが好ましい。
【0021】
本発明は、試料採取手段と試料処理手段と校正およびチェック手段からなるサンプリング系、測定手段、および演算処理手段を有し、少なくとも成分Aおよび/または成分Bの濃度を検出することができる試料ガス分析装置であって、
(1)前記試料処理手段として、成分Aを選択的に成分Bに変換する変換手段X1、試料ガス流路を分岐した一方の流路に成分Bを選択的に除去あるいは他の物質に変換する変換手段Y3を備え、
(2)前記校正およびチェック手段として、成分Aおよび成分Bを含まないゼロガスを供給する手段P1、所定濃度の成分Bを含むガスを供給する手段P2、成分Bを成分Aに変換する変換手段Y4を備え、
(3)前記測定手段として、少なくとも成分Bの濃度を選択的に検出する手段を備え、
前記手段P2から供給されるガスを変換手段Y4に導入した後に変換手段X1に導入することによって、該変換手段X1の処理機能のチェックを可能とし、
試料ガス流路を介して前記手段P1から供給されるガスを測定手段に導入するとともに、前記手段P2から供給されるガスを直接変換手段Y3に導入した後に測定手段に導入することによって、該変換手段Y3の処理機能のチェックを可能とし、
前記演算処理手段において、成分Aおよび/または成分Bの検出機能、成分Aおよび/または成分Bの校正機能、および試料処理手段の処理機能のチェックを行うとともに、各機能に基づく処理を行うことを特徴とする。
【0022】
NOx分析装置を例にとると、NOx全量についての連続性を有し測定精度が高い分析装置を要求される場合がある。このとき、上記の分析装置のように試料ガス流路を分岐した一方の流路にNOをNOに変換する変換手段を備え、かかる処理を行わない他方の流路からのガスとの比較による測定では、NOx濃度についての高い測定精度を確保しながら連続的に測定することが難しい。本発明は、校正ガスとして安定なNOを用いる必要がある一方、CLDなどNOの選択性の高い検出手段を用いるとともに、試料処理手段としてNOを選択的にNOに変換する変換手段X1および試料ガス流路を分岐した一方の流路にNOを選択的に除去あるいは他の物質(NOを含む)に変換する変換手段Y3、校正およびチェック手段としてNOをNOに変換する変換手段Y4を備えることによって、測定精度に大きな影響を及ぼす各要素を適切に管理・制御し、試料測定中の測定値に対する信頼性の確保し、測定精度の高い試料ガス分析装置を提供することができる。
【0023】
つまり、変換手段X1によって試料中のNOをNOに変換したガスを分岐し、変換手段Y3によってガス中のNOを除去したガスと、除去処理していないガスを比較測定することによって、NOxを測定することができ、変換手段X1をバイパスした試料ガスを分岐して比較測定することによって、試料中のNOを測定することができることによってNO濃度について高い測定精度を確保することができる。また、変換手段Y4によってスパンガスNOが変換されたNOを変換手段X1に導入し、変換手段Y3については上記と同様にチェックし各変換効率を維持することによって、NOおよびのNO濃度について高い測定精度を確保することができる。
【0024】
本発明は、試料採取手段と試料処理手段と校正およびチェック手段からなるサンプリング系、測定手段、および演算処理手段を有し、少なくとも成分Aおよび/または成分Bの濃度を検出することができる試料ガス分析装置であって、
(1)前記試料処理手段として、成分Aを選択的に除去あるいは他の物質に変換する変換手段X2、試料ガス流路を分岐した一方の流路に成分Bを選択的に除去あるいは他の物質に変換する変換手段Y3を備え、
(2)前記校正およびチェック手段として、成分Aおよび成分Bを含まないゼロガスを供給する手段P1、所定濃度の成分Aを含むガスを供給する手段P2、成分Aを成分Bに変換する変換手段Y5を備え、
(3)前記測定手段として、少なくとも成分Aおよび成分Bの濃度を選択的に検出することが可能な手段を備え、
前記手段P2から供給されるガスを直接変換手段X2に導入することによって、該変換手段X2の処理機能のチェックを可能とし、
試料ガス流路を介して前記手段P1から供給されるガスを測定手段に導入するとともに、前記手段P2から供給され変換手段Y5を経由したガスを直接変換手段Y3に導入した後に測定手段に導入することによって、該変換手段Y3の処理機能のチェックを可能とし、
前記演算処理手段において、成分Aおよび/または成分Bの検出機能、成分Aおよび/または成分Bの校正機能、および試料処理手段の処理機能のチェックを行うとともに、各機能に基づく処理を行うことを特徴とする。
【0025】
試料処理手段として、試料ガス流路を分岐した一方の流路に測定成分を選択的に除去あるいは他の物質に変換する変換手段を備え、かかる処理を行わない他方の流路からのガスとの比較を行うとともに、さらに校正ガス供給手段を利用し、このときの変換手段の変換効率を容易に検査することができる手段を備えることによって、装置が正しく動作しているかをチェックし、長期的に安定した測定を図るという本発明の特徴は、少なくとも2成分の濃度を選択的に検出することが可能な手段を用いることによって、さらに適用範囲を拡大することができる。
【0026】
つまり、大気中のTHC/NMHC/CH分析装置を例にとると、(1)測定成分NMHCと測定成分CHの酸化反応特性の相違を利用して、試料処理手段として、各々を除去する2つの異なる変換手段である、NMHCを選択的に除去あるいは他の物質(CHを含む)に変換する変換手段X2および試料ガス流路を分岐した一方の流路にCH(NMHCを含む)を選択的に除去あるいは他の物質に変換する変換手段Y3を備え、(2)校正およびチェック手段として、NMHCをCHに変換する変換手段Y5、(3)測定手段としてNMHCおよびCHの濃度を選択的に検出することが可能な手段(例えば水素炎イオン化検出法を用いた分析計(以下「FID)という。)を備えることによって、測定精度に大きな影響を及ぼす各要素を適切に管理・制御し、試料測定中の測定値に対する信頼性の確保し、測定精度の高い試料ガス分析装置を提供することができる。
【0027】
具体的には、変換手段X2によって試料中のNMHCを除去したガスを分岐し、変換手段Y3によってガス中のCHを除去したガスと、除去処理していないガスを比較測定することによって、CHを測定することができ、変換手段X2によって試料中のNMHCをCHに変換したガスを分岐して比較測定することあるいは変換手段X2をバイパスすることによって、試料中のTHC(=NMHC+CH)を測定することができる。ことによってTHC/CHの濃度について高い測定精度を確保することができる。また、スパンガスNMHCおよび変換手段Y5によってスパンガス中のNMHCが変換されたCHを含むガスを変換手段X2に導入することによって、変換手段X2の変換効率をチェックし維持することができる。また、変換手段Y3については上記と同様の方法によって変換効率をチェックし維持することができる。こうしたチェック機能を有することによって、NMHCおよびCH濃度について高い測定精度を確保することができる。
【0028】
本発明は、試料採取手段と試料処理手段と校正およびチェック手段からなるサンプリング系、測定手段、および演算処理手段を有し、少なくとも成分Aおよび/または成分Bの濃度を検出することができる試料ガス分析装置であって、
(1)前記試料処理手段として、成分Aを選択的に成分Cに変換する変換手段X3、試料ガス流路を分岐した一方の流路に成分Bを成分Cに変換する変換手段Y6を備え、
(2)前記校正およびチェック手段として、成分A、成分Bおよび成分Cを含まないゼロガスを供給する手段P1、所定濃度の成分Aを含むガスを供給する手段P2、成分Aを成分Bに変換する変換手段Y5を備え、
(3)前記測定手段として、少なくとも成分Cの濃度を選択的に検出する手段を備え、
前記手段P2から供給されるガスを直接変換手段X3に導入することによって、該変換手段X3の処理機能のチェックを可能とし、
試料ガス流路を介して前記手段P1から供給されるガスを測定手段に導入するとともに、前記手段P2から供給され変換手段Y5を経由したガスを直接変換手段Y6に導入した後に測定手段に導入することによって、該変換手段Y6の処理機能のチェックを可能とし、
前記演算処理手段において、成分Aおよび/または成分Bの検出機能、成分Aおよび/または成分Bの校正機能、および試料処理手段の処理機能のチェックを行うとともに、各機能に基づく処理を行うことを特徴とする。
【0029】
本構成は、上記のような本発明の特徴を活かし、少なくとも2成分のいずれか/およびと異なる第3の成分を選択的に検出する手段を用いることによって、さらに適用範囲を拡大することを図ったものである。
【0030】
つまり、大気中のTHC/NMHC/CH分析装置を例にとると、測定成分NMHCと測定成分CHの酸化反応特性の相違、および酸化反応の結果、最終的には二酸化炭素(CO)が発生することを利用して、試料処理手段として、NMHCを選択的にCOに変換する変換手段X3および試料ガス流路を分岐した一方の流路にCHを選択的にCOに変換する変換手段Y6、校正およびチェック手段として、NMHCをCHに変換する変換手段Y5を備えることによって、測定精度に大きな影響を及ぼす各要素を適切に管理・制御し、試料測定中の測定値に対する信頼性の確保し、測定精度の高い試料ガス分析装置を提供することができる。
【0031】
具体的には、変換手段X3によって試料中のNMHCをCOに変換し除去したガスを分岐し、変換手段Y6によってガス中のCHをCOに変換し除去したガスと、除去処理していないガスをCO検出手段によって比較測定することによって、CHを測定することができ、変換手段X3をバイパスした試料ガスを分岐して比較測定することによって、試料中のTHC(=NMHC+CH)を測定することができることによってTHC/CHの濃度について高い測定精度を確保することができる。また、スパンガスNMHCおよび変換手段Y5によってスパンガスNMHCが変換されたCHを変換手段X3に導入し、変換手段Y6について上記と同様にチェックし各変換効率を維持することによって、NMHCおよびCH濃度について高い測定精度を確保することができる。
【0032】
本発明は、上記分析装置であって、前記試料処理手段が、試料ガス流路を分岐した一方の前記変換手段Y1〜Y3、Y6のいずれかの変換手段を有する流路、および他方の変換手段Y1〜Y3、Y6のいずれをも有しない流路を備え、前記測定手段として、該2つの流路の切換を行うガス切換式測定法あるいは流体変調式測定法を用いることを特徴とする。
【0033】
複数のガス流路中のガス濃度の測定方法として、ガス切換式測定法あるいは流体変調式測定法が知られている。本発明においても、こうした測定方法の適用が可能であり、また本発明の特徴を有効に活かすことができる。つまり、測定手段として、測定成分Aと測定成分Bに対して個別の検出部を有する方法に代え、少なくとも1つの検出部を有する測定手段に、変換手段Y1〜Y3、Y6のいずれかの変換手段によって処理された試料と、変換手段Y1〜Y3、Y6のいずれをも経由しない試料、の2つのガスを順次周期的に切り換えて導入する方法を用いることによって、各流路中の測定成分Aまたは/および測定成分Bの濃度、および両者の和や差を測定することが可能である。従って、特に上記のような複数の成分の測定において、測定値に対する信頼性が高く、測定精度の高い試料ガス分析装置を提供することが可能となる。ここで、ガス切り換え式測定法とは、後述するように、各流路を順次一定の周期で切り換えを行った場合において、出力を順次保持・演算することによって各成分を同時に検出することが可能な測定法をいい、流体変調式測定法とは、同じく後述するように、各流路を順次一定の周期で切り換えを行った場合において、切り換え周期にあった複数の変調された出力を得ることによって各成分を同時に検出することが可能な測定法をいう。
【発明の効果】
【0034】
以上のように、本発明によって、精製器やコンバータ等の変換手段の交換時期を容易に知りえることができるため、正しい測定が可能であるとともに、測定値異常時に外部からの遠隔操作などでも装置の診断が可能となる。従って、装置が正しく動作しているかをチェックし、長期的に安定した測定を行う試料ガス分析装置の提供が可能となる。また、こうした特徴を基本にし、試料処理手段、校正およびチェック手段および測定手段として、変換手段およびガス流路を様々に工夫し組み合わせることによって、種々の用途において試料測定中の測定値に対する信頼性の確保し、測定精度の高い試料ガス分析装置を提供することが可能となった。また、安定な校正ガスの確保が難しい測定成分の校正を容易かつ精度よく行うことが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。この発明に係る分析装置の基本的な構成は、試料採取手段と試料処理手段と校正およびチェック手段からなるサンプリング系、測定手段、および演算処理手段からなる。
【0036】
<本発明に係る試料ガス分析装置の第1構成例>
図1は、この発明に係る試料ガス分析装置(以下「本装置」という。)の第1構成例として、試料中の少なくとも1つの測定成分(成分A)を測定対象とし、その成分を検出する測定手段を有する場合を例示している(以下「本構成」という。)。本構成においては、測定対象としてNOあるいはOなどのように、試料ガスから測定成分を選択的に除去したガスとの比較によって他の共存成分の影響を排除し、かつスパンガスが入手困難な測定成分を対象とする分析装置における校正手段を確保する場合に適している。以下、具体的な実施態様として、測定手段としてNDUVを用いたNO分析装置に本発明を適用した場合を、その一例として説明する。
【0037】
本構成は、試料ガス測定装置であって、
(1)試料処理手段として、試料ガス流路aを分岐した一方の流路cにNOを選択的に除去あるいは他の物質に変換する精製器Y1(変換手段Y1に相当)を備え、
(2)校正およびチェック手段として、NOを含まないゼロガスを供給する手段P1、所定濃度のNOを供給する手段P2を備え、
(3)測定手段Dとして、NOの濃度を選択的に検出する手段を備え、
試料ガス流路aを介して前記手段P1から供給されるガスを測定手段Dに導入するとともに、前記手段P2から供給されるガスを直接精製器Y1に導入した後に測定手段Dに導入することによって、該精製器Y1の処理機能のチェックを可能とし、
演算処理手段Mにおいて、NOの検出機能、NOの校正機能、および試料処理手段の処理機能のチェックを行うとともに、各機能に基づく処理を行うことを特徴とする。
【0038】
試料は、試料入口(試料採取手段に相当)1から測定手段Dの下流側に設けられた吸引ポンプ5によって吸引採取される。採取された試料は、ダストフィルタ2によって清浄にした後、バルブV1を介して流路aを経由して二分され、一方(流路c)は精製器Y1によって試料中のNOが除去されて流路抵抗4を経由して測定手段Dに導入され、他方(流路b)は何も処理されずに流路抵抗3および4を経由して測定手段Dに導入される。吸引ポンプ5を配設した流路には、これと並列的に圧力調整器5aを設けることによって、常に上流側から吸引可能な状態を形勢することによって吸引ポンプ5の負荷を軽減し、吸引圧力を安定に調整することができる。
【0039】
通常の測定時は、流路bと流路cが周期的に切り換えられ、両者の差異からNOが測定手段Dによって検出される。両流路の切換は、測定手段Dの上流に設けられた電磁弁(バルブ)Vfによって行われる。ゼロ校正時は、ゼロガスが校正ガス入口6aから導入され(ゼロガスを供給する手段P1に相当)、流路zを経由して測定手段Dに導入される。スパン校正時は、校正ガス入口6aからゼロガスが導入された発生器7から発生した所定濃度のスパンガスが(所定濃度のNOを供給する手段P2に相当)、流路sを経由して測定手段Dに導入される。また、精製器Y1のチェック時は、ゼロガスが校正ガス入口6aから導入され、一方は流路z、流路aおよび流路bを経由して測定手段Dに導入され、他方は発生器7、流路eおよび精製器Y1を経由して測定手段Dに導入される。バルブVfの切り換えは、後述するように、測定手段Dによって異なるが、通常0.5秒〜30秒程度の周期で行われる。測定時、校正時およびチェック時の詳細は、後述する。
【0040】
測定手段Dからの出力は、演算処理手段Mに導入され、比較演算されて、NOの検出機能、NOの校正機能、および精製器Y1の処理機能のチェックを行い、NOの校正係数や精製器Y1の変換効率やNOの誤差などのデータとともにメモリされ、あるいはさらに演算処理されて、表示部(図示せず)などに画像表示をしたり装置外部に転送・通信される。また、演算処理手段Mにおいて、各バルブV1〜V3およびVfの作動が制御される。
【0041】
精製器Y1は、NOを選択的に除去あるいは他の物質に変換する機能があれば、特に制限はないが、アルカリ性物質例えばNa0H又はNaCOのように選択的にNOの除去が可能な試剤を用いる方法やNOをNOに還元する手段を用いる方法を挙げることができる。NOをNOに変換する手段(コンバータ)の詳細については、後述する。
【0042】
測定手段Dは、NOUVとしてNOに比較的選択性の高い光源として水銀ランプあるいはキセノンランプなどを用い、試料セル部内の紫外線の吸収量を、電子増倍管(PM)、フォトダイオードや半導体検出器などによって検出する方法を挙げることができる。このとき、本構成は、選択性の高い測定手段Dを用いるとともに、試料ガス流路を分岐した一方の流路cをNOを選択的に除去したガス、他方の流路bをこうした処理を行わないガスとして両者を測定手段Dに導入することによって、測定精度に大きな影響を及ぼす要素を低減し、高い測定精度を確保することを特徴とすることから、ガス切換式測定法あるいは流体変調式測定法を用いることが好ましい。各法の詳細は後述する。なお、測定手段Dは、NO用検出手段を有する方法であれば、特に制限はなく、NDUV以外にもNDIRを用いることも可能である。また、NDUVやNDIRについても2つの試料セル部を有し、流路bと流路cのガスをそれぞれに導入してその差量を測定する方法などを挙げることができる。
【0043】
校正あるいはチェック用の所定濃度のNOガスは、通常高圧ガスとして準備することが可能であるが、数ppm以下の低濃度の高圧ガスについては安定性の面で作製が困難であることから、パーメーションチューブなどを用いた発生器7を用いることが好ましい。つまり、図1破線に示すように、高濃度のNOガスを校正ガス入口6bから発生器7に導入し、パーメーションチューブの内部あるいは外部を流通するゼロガスに対し浸透圧の差から高濃度のNOガスを混入させて、所定濃度のNOガスを作製することができる。
【0044】
以上は、NO分析装置に本発明を適用した場合を述べたが、同様に、O分析装置に本発明を適用することも可能である。このとき、精製器Y1としては、Oの加熱分解機能を利用し、約200〜400℃の加熱手段を通過させることによってOをOに分解し除去することができる。また、加熱手段の内部に銅(Cu)板体あるいは粒状体を配設することによって、加熱温度を約150〜200℃に下げ、かつ分解効率を上げることも可能である。校正あるいはチェック用の所定濃度のOガスは、高圧ガスとして準備することができず、発生器7を用いることが必要である。例えば、ゼロガスとして乾燥空気を用い、紫外線ランプ照射の空間あるいは高圧放電が生じている空間を通過させることによって、数100〜数1000ppmのOガスを得ることができる。これをゼロガスにより希釈することによって所定の濃度のOガスを得ることができる。
【0045】
また、同様に、Hg分析装置に本発明を適用することも可能である。このとき、精製器Y1としては、試料中のHgを活性炭などの吸着剤によって選択的に吸着・除去することができる。また、校正あるいはチェック用の所定濃度のHgガスは、高圧ガスとして準備することができず、発生器7を用いることが必要である。例えば、ゼロガスを所定温度に維持されたHgの表層を通過させる方法、あるいはパーミエーションチューブをHg液槽に浸し浸透するHgをゼロガスに混入させることによって、所定濃度のHgガスを得ることができる。また、これをゼロガスにより希釈することによって低濃度のHgガスを得ることができる。
【0046】
〔本装置の第1構成例にかかる処理機能〕
次に、本発明の特徴の1つである本装置の基本的機能である測定機能、校正機能、チェック機能あるいは処理機能について、図2(1)〜(4)に基づき説明する。また、このときのバルブV1〜V3の制御は、表1に示す通りである。
【0047】
【表1】

【0048】
(1)本装置の測定機能
図2(1)に例示するように、試料入口1から吸引採取された試料は、ダストフィルタ2およびバルブV1を介して流路aにおいて分岐される。一方の流路bでは何も処理されずに流路抵抗3、バルブVfおよび流路抵抗4を経由して測定手段Dに導入される。他方の流路cではバルブV3を経由して精製器Y1に導入され、ここで試料中のNOが除去されてバルブVfおよび流路抵抗4を経由して測定手段Dに導入される。両流路と測定手段Dとの接続は、測定手段Dの上流に設けられたバルブVfによって周期的に切り換えられ、両者の差異からNOが測定手段Dによって検出される。このとき、測定手段Dとしては、上記のように、(a)ガス切り換え式測定法、あるいは(b)流体変調式測定法を用いることが好ましい。以下、図3に基づき各法について説明する。
【0049】
(a)ガス切り換え式測定法
このときの動作および出力を、図3(A)〜(C)に示す。
(a−1)図3(A)に示すように、バルブVfによって流路bと流路cを一定の時間間隔で周期的に切り換えて測定手段Dに導入する。切り換え時間は試料流量あるいは測定手段などの条件によって様々であるが、通常数sec〜数10sec程度に設定される。
(a−2)図3(B)に示すように、各々の時間間隔において、所定時間経過後安定した検出器出力をホールドし、濃度換算する。
(a−3)各出力は、図3(C)に示すように、流路bのガスを導入したとき:
NO成分の濃度+共存する他成分の干渉影響+バックグランド
となり、流路cのガスを導入したとき:
NO成分の濃度(ゼロ)+共存する他成分の干渉影響+バックグランド
を意味する。従って、両者のホールドされた出力の差をとると、干渉影響やバックグランドは相殺されて、 出力差 = (NO成分の濃度)であることから、上式を演算することによって、NO成分の濃度を得ることができる。連続性には欠けるが、ガス種の相違による応答性あるいは処理内容による応答性に合せた、切り換え後の安定した測定値を正確に把握できる点において優れている。
【0050】
(b)流体変調式測定法
このときの動作および出力を、図3(D)〜(F)に示す。
(b−1)図3(D)に示すように、切換弁Vfによって流路bと流路cを一定の時間間隔、例えば1Hz(変調周期)で周期的に切り換えて測定手段Dに導入する。通常変調手段として処理される周期は、ガスの切り換えの応答から0.5〜20Hz程度で設定される。
(b−2)図3(E)に示すように、検出器出力は変調周期1Hzの出力となる。
(b−3)検出器出力を変調周期1Hzに同期させて整流する。このときの出力は、図3(F)に示すように、(NO成分の濃度)の平均値を意味することから、検出器出力自体が共存する他成分の干渉影響やバックグランドのノイズ成分を含まない出力となり、測定精度の高いNO成分の濃度を得ることができる。本図に示す方法では個々の流路ごとの出力をえることはできないが、検出器出力自体の安定性が高い点および連続性を有する点において優れている。
【0051】
(2)校正機能のチェックあるいは処理
(2−1)ゼロ校正
図2(2)に例示するように、校正ガス入口6aから導入されたゼロガスが、流路zを経由してバルブV2およびV1を介して流路aにおいて分岐される。一方の流路bでは何も処理されずに流路抵抗3、バルブVfおよび流路抵抗4を経由して測定手段Dに導入される。他方の流路cでも同様にバルブV3を経由して精製器Y1を通過してバルブVfおよび流路抵抗4を経由して測定手段Dに導入される。従って、正常な測定機能を有する場合には、測定手段Dの上流に設けられたバルブVfによって周期的に切り換えられたときに両者の差異は生じない。しかしながら、精製器Y1などからのNOの湧き出しなどの異常があれば、両者の差異が生じ測定手段Dによって検出される。演算処理手段Mにおいて予め複数のゼロ校正値を設定しておき、所定値以下の差異の場合はゼロ補正を行い、所定値以上の差異があれば、精製器Y1の機能チェックあるいは適正な処理を行う必要があり、演算処理手段Mにおいて外部へのアラーム出力や表示が行われる。このとき、分析装置の校正はより測定状態と同等の条件が好ましく、ゼロガスを流路aから導入する本構成は、より正確な校正を行うことが可能となる。
【0052】
(2−2)スパン校正
図2(3)に例示するように、校正ガス入口6aからゼロガスが導入された発生器7から発生した所定濃度のNOを含むスパンガスが、ゼロガス同様、流路sを経由してバルブV2およびV1を介して流路aにおいて分岐される。一方の流路bでは何も処理されずに流路抵抗3、バルブVfおよび流路抵抗4を経由して測定手段Dに導入される。他方の流路cではバルブV3を経由して精製器Y1に導入され、ここで試料中のNOが除去されてバルブVfおよび流路抵抗4を経由して測定手段Dに導入される。各流路は測定手段Dの上流に設けられたバルブVfによって周期的に切り換えられ、スパンガス中に含まれる所定濃度のNOに相当する差異が両者に生じ、NOが測定手段Dによって検出される。演算処理手段Mにおいて予め複数のスパン校正係数を設定しておき、所定係数以下の差異の場合はスパン係数の補正を行い、所定係数以上の差異があれば、測定手段Dや精製器Y1の機能チェックあるいは適正な処理を行う必要があり、演算処理手段Mにおいて外部へのアラーム出力や表示が行われる。このとき、ゼロ校正と同様、測定状態と同等の条件でスパン校正が行われ、より正確な校正を行うことが可能となる。
【0053】
(3)精製器Y1の機能チェックあるいは処理
図2(4)に例示するように、校正ガス入口6aから導入されたゼロガスが、流路zを経由してバルブV2およびV1を介して導入され、流路aにおいて分岐されずに流路bに導入され、何も処理されずに流路抵抗3、バルブVfおよび流路抵抗4を経由して測定手段Dに導入される。一方、ゼロガスが導入された発生器7から発生した所定濃度のNOを含むスパンガスが、流路sを経由してバルブV3を経由して精製器Y1に導入され、ここでスパンガス中のNOが除去されてバルブVfおよび流路抵抗4を経由して測定手段Dに導入される。精製器Y1の機能が正常な場合には、測定手段Dの上流に設けられたバルブVfによって周期的に切り換えられたときに両者の差異は生じない。しかしながら、精製器Y1の変換効率の低下などの異常があれば、変換されないNOが精製器Y1から供出されて両者の差異が生じ測定手段Dによって検出される。所定値以上の差異があれば、精製器Y1の交換あるいはその準備を行うことによって、精製器Y1の機能チェックあるいは適正な処理を行うことができる。
【0054】
(4)各機能のチェックあるいは処理
以上は、各機能を個別にチェックあるいは処理することができることを説明したが、検出器出力の感度の変化や誤差が存在し、精製器Y1の変換効率低下の時期の推定が困難な場合が多く、通常、(2−1)、(2−2)および(3)を定期的に同時に行うことが好ましい。
【0055】
<本装置の第2構成例>
次に本装置の第2構成例として、試料中の少なくとも2つの測定成分(成分Aおよび成分B)を測定対象とし、その成分を検出する測定手段を有する場合を説明する。本構成においては、NOとNOなどのように同一元素を含む相互に変換可能な複数の成分を測定対象とする場合に適している。試料ガスと、試料ガスから測定成分Aを選択的に測定成分Bに変換したガスとの比較によって、他の共存成分の影響やバックグランドを排除することが可能となる。以下、具体的な実施態様として、測定手段としてCLDを用いたNOx分析装置に本発明を適用した場合を、その一例として説明する。基本的なフローおよび構成は、既述の第1構成例と同様であり、重複部分は省略する。なお、同様にスパンガスが入手困難な測定成分を対象とする分析装置における校正手段を確保する場合にも適用可能である。
【0056】
本構成は、試料ガス測定装置であって、NO(成分Aに相当)およびNO(成分Bに相当)を測定対象とし、
(1)試料処理手段として、試料ガス流路aを分岐した一方の流路cにNOを選択的にNOに変換する精製器Y2(変換手段Y2に相当)を備え、
(2)校正およびチェック手段として、NOおよびNOを含まないゼロガスを供給する手段P1、所定濃度のNOを供給する手段P2を備え、
(3)測定手段Dとして、NOの濃度を選択的に検出する手段を備え、
試料ガス流路aを介して前記手段P1から供給されるガスを測定手段Dに導入するとともに、前記手段P2から供給されるガスを直接精製器Y2に導入した後に測定手段Dに導入することによって、該精製器Y2の処理機能のチェックを可能とし、
演算処理手段Mにおいて、NOおよびNOの検出機能、NOおよびNOの校正機能、および試料処理手段の処理機能のチェックを行うとともに、各機能に基づく処理を行うことを特徴とする。
【0057】
試料の採取・処理方法は、基本的に第1構成例と同等であり、第1構成例と同様図1に基づき説明する。主として流路cに設けられている精製器Y2によって試料中のNOがNOに変換される点および測定手段DとしてNO検出手段を有する点において相違する。
【0058】
精製器Y2は、NOをNOに還元する方法を挙げることができる。NOをNOに変換する手段としては、例えば、グラファイトや活性炭粒子などを担体とし、その表面にモリブデン系触媒を担持させたカーボン系のエレメントを所定量封入したユニットを用いることが好ましい。150〜200℃程度の低温で90〜95%以上の高い変換効率を確保し長期間活性を維持することが可能であるためである。
【0059】
測定手段Dは、NOに対する選択性の高い測定法であれば特に制限はなく、NDIRやNDUVあるいはCLDなどを用いることができる。特に、共存成分の干渉影響などが少ない減圧式のCLDを用いる方法が好ましい。
【0060】
以上は、NOx分析装置に本発明を適用した場合を述べたが、同様に、全水銀(Hg2++Hg)分析装置に本構成を適用することも可能である。つまり、精製器Y2として、試料中のHg2+を選択的にHgに還元(変換)する触媒を用い、測定手段Dとして、紫外線吸光法等の測定方法を用いることによって、全水銀をHgとして測定することができる。校正あるいはチェック用の所定濃度のHgガスは第1構成例同様、発生器7を用いることが必要である。
【0061】
〔本装置の第2構成例にかかる処理機能〕
本装置の基本的機能である測定機能、校正機能、チェック機能あるいは処理機能、このときのバルブV1〜V3の制御方法などは第1構成例と同様(表1)であるが、上記相違点によって、一部機能面においても相違がある。図2(1)〜(4)に基づき説明する。
【0062】
(1)本装置の測定機能
図2(1)に例示するように、測定時は、流路bにおいては試料中のNO(成分Bのみに相当)を検出することができ、流路cにおいては試料中のNOから変換されたNO+元々試料中に含まれていたNO(成分A+成分Bに相当)を検出することができる。つまり、NOおよびNOの検出機能を有する。
【0063】
(2)校正機能のチェックあるいは処理
ゼロ校正時は、図2(2)に例示するように、NO検出手段によるゼロガスの検出によって、NOおよびNOのゼロ校正機能を有する。スパン校正時は、図2(3)に例示するように、NOのスパンガスまたは発生器7からの既知濃度のNOによるNO自身の校正機能を有し、かつ精製器Y2による既知濃度のNOのNOへの変換によるNOの校正機能を有する。つまり、NOおよびNOの校正機能を有する。
【0064】
(3)精製器Y2の機能チェックあるいは処理
精製器Y2のチェック時は、図2(4)に例示するように、流路bからはゼロガスが測定手段Dに導入され、流路cからは既知濃度のNOが変換されたNOを含むガスが測定手段Dに導入される。測定手段Dの出力と既知濃度との比較によって精製器Y2の機能をチェックすることができる。このとき、スパンガスまたは発生器7の不純物の存在など異常がなければNOのスパン校正時の出力と同じになることから、上記校正と同時に行うことによって、スパンガスまたは発生器7の機能を確認することができる。
【0065】
(4)各機能のチェックあるいは処理
以上は、各機能を個別にチェックあるいは処理することができることを説明したが、検出器出力の感度の変化や誤差が存在し、精製器Y2の変換効率低下の時期の推定が困難な場合が多く、通常、(2)および(3)を定期的に同時に行うことが好ましい。
【0066】
<本装置の第3構成例>
次に、本装置の第3構成例として、第2構成例と同様、試料中の少なくとも2つの測定成分(成分Aおよび成分B)を測定対象としつつ、その全量成分を検出する測定手段を有する場合を図4に例示する。本構成においては、NOとNOなどのように同一元素を含む相互に変換可能な複数の成分の全量(NOx)を測定対象とする場合に適している。つまり、試料ガスを最初に測定対象となるNOx全量に変換した後、このガスからNOxを選択的に除去したガスとの比較によって、他の共存成分の影響やバックグランドを排除することが可能となる。以下、具体的な実施態様として、測定手段としてCLDを用いたNOx分析装置に本発明を適用した場合を、その一例として説明する。基本的なフローおよび構成は、既述の第2構成例と同様であり、重複部分は省略する。なお、スパンガスが入手困難な測定成分を対象とする分析装置における校正手段を確保する場合にも同様に適用可能である。
【0067】
本構成は、試料ガス測定装置であって、NO(成分Aに相当)およびNO(成分Bに相当)を測定対象とし、
(1)試料処理手段として、NOを選択的にNOに変換するコンバータX1(変換手段X1に相当)、試料ガス流路aを分岐した一方の流路cにNOを選択的に除去する精製器(変換手段に相当)Y3を備え、
(2)校正およびチェック手段として、NOおよびNOを含まないゼロガスを供給する手段P1、所定濃度のNOを供給する手段P2、NOをNOに変換する変換器Y4(変換手段Y4に相当)を備え、
(3)測定手段Dとして、NOの濃度を選択的に検出する手段を備え、
前記手段P2から供給されるガスを変換手段Y4に導入した後にコンバータX1に導入することによって、該コンバータX1の処理機能のチェックを可能とし、
試料ガス流路aを介して前記手段P1から供給されるガスを測定手段Dに導入するとともに、前記手段P2から供給されるガスを直接精製器Y3に導入した後に測定手段Dに導入することによって、該精製器Y3の処理機能のチェックを可能とし、
演算処理手段Mにおいて、NOおよびNOの検出機能、NOおよびNOの校正機能、および試料処理手段の処理機能のチェックを行うとともに、各機能に基づく処理を行うことを特徴とする。
【0068】
試料の採取・処理方法は、基本的に第2構成例と同等であり、流路aにコンバータX1を設けることによって試料中のNOがNOに変換される点、およびこのコンバータX1の変換効率をチェックするためにスパン校正用ガス中のNOをNOに変換する変換器Y4および流路を切り換えるためのバルブV4を有する点において相違する。
【0069】
コンバータX1は、上記精製器Y2と同一機能を有するものであり、試料中のNOをNOに還元することができる。また、精製器Y3は、NOを選択的に除去する機能があれば、特に制限はないが、変換器Y4と同様にNOを選択的にNOに変換する機能を有するものであっても使用することができる。変換器Y4は、NOを選択的にNOに変換する機能があれば、特に制限はないが、Pt−シリカ系やPd−アルミナ系あるいはVなどの試剤を用い、400〜600℃程度に加熱して用いることができる。また、校正あるいはチェック用の所定濃度のNOガスは、通常高圧ガスとして準備することが可能であるが、数ppm以下の低濃度の高圧ガスについては安定性の面で作製が困難であることから、パーメーションチューブなどを用いた発生器7を用いることが好ましい。
【0070】
以上は、NOをNOに変換してNO検出手段によってNOx全量を測定する構成を有するNOx分析装置に本発明を適用した場合を述べたが、NOをNOに変換してNO検出手段によってNOx全量を測定する構成を有するNOx分析装置に本発明を適用することも可能である。また、同様に、全水銀(Hg2++Hg)分析装置に本構成を適用することも可能である。つまり、コンバータX1として、試料中のHg2+を選択的にHgに還元(変換)する触媒を用い、精製器Y3および変換器Y4として、HgをHg2+に酸化する触媒を用い、測定手段Dとして、紫外線吸光法等の測定方法を用いることによって、全水銀をHgとして測定することができる。触媒としては、例えばPt−シリカ系やPd−アルミナ系あるいはVなどを挙げることができる。なお、精製器Y3は、活性炭などHgを選択的に除去可能な試剤を用いることも可能である。また、校正あるいはチェック用の所定濃度のHgガスは第1構成例同様、発生器7を用いることが必要である。
【0071】
〔本装置の第3構成例にかかる処理機能〕
本装置の基本的機能である測定機能、校正機能、チェック機能あるいは処理機能について、図5(1)〜(5)に基づき説明する。ただし、第1、第2構成例と同様の内容については省略する。また、このときのバルブV1〜V4の制御は、表2に示す通りである。
【0072】
【表2】

【0073】
(1)本装置の測定機能
図5(1)に例示するように、試料入口1から吸引採取された試料は、ダストフィルタ2およびバルブV1を介して流路aに配設されたコンバータX1に導入される。試料は、コンバータX1においてその中のNOがNOに変換された後、2つの流路bおよび流路cに分岐される。一方の流路bでは何も処理されずに流路抵抗3、バルブVfおよび流路抵抗4を経由して測定手段Dに導入される。他方の流路cではバルブV3を経由して精製器Y3に導入され、ここで試料中のNOおよびコンバータX1によって変換されたNOが除去されてバルブVfおよび流路抵抗4を経由して測定手段Dに導入される。両流路と測定手段Dとの接続は、測定手段Dの上流に設けられたバルブVfによって周期的に切り換えられ、両者の差異からNOxが測定手段Dによって検出される。
【0074】
(2)校正機能のチェックあるいは処理
図5(2)および(3)に例示するように、ゼロ校正およびスパン校正については、第1構成例同様、ゼロガスおよびスパンガスが流路aに導入される。このとき、流路aにはコンバータX1が配設されており、ゼロガスおよびスパンガスは、実測状態と同等の条件において校正されることが好ましく、その上流側にからコンバータX1に導入することが好ましい。
【0075】
(3)精製器Y3の機能チェックあるいは処理
図5(4)に例示するように、精製器Y3のチェック時は、流路bからはゼロガスが測定手段Dに導入され、流路cからは、既知濃度のNOを含むガスが流路sを経由して精製器Y3に導入されてスパンガス中のNOが除去された後測定手段Dに導入される。精製器Y3の機能が正常な場合には、両者の差異は生じないが、精製器Y3の変換効率の低下などの異常があれば、変換されないNOが精製器Y3から供出されて両者の差異が生じ測定手段Dによって検出される。所定値以上の差異があれば、精製器Y3の交換あるいはその準備を行うことによって、精製器Y3の機能チェックあるいは適正な処理を行うことができる。
【0076】
(4)コンバータX1の機能チェックあるいは処理
図5(5)に例示するように、コンバータX1のチェック時は、バルブV4を作動して所定濃度のNOを含むスパンガスを変換器Y4に導入し、NOをNOに変換する。変換されたNOを含むガスが、流路sを経由してバルブV2およびV1を介して流路aに配設されたコンバータX1に導入され、NOをNOに変換された後分岐される。一方の流路bでは何も処理されずに流路抵抗3、バルブVfおよび流路抵抗4を経由して測定手段Dに導入される。他方の流路cではバルブV3を経由して精製器Y3に導入され、ここで試料中のNOが除去されてバルブVfおよび流路抵抗4を経由して測定手段Dに導入される。このとき、測定手段Dによって検出された出力が、当初のスパンガス中に含まれるNOの所定濃度に相当する出力と所定量以上の差異があれば、コンバータX1の機能チェックあるいは適正な処理を行う必要があり、演算処理手段Mにおいて外部へのアラーム出力や表示が行われる。このとき、予め精製器Y3の機能チェックを行うことで、異常の部位の特定を容易に行うことが可能となる。
【0077】
(5)各機能のチェックあるいは処理
以上は、各機能を個別にチェックあるいは処理することができることを説明したが、検出器出力の感度の変化や誤差が存在し、コンバータX1および変換器Y4の変換効率低下の時期の推定が困難な場合が多く、通常、(2)〜(4)を定期的に同時に行うことが好ましい。
【0078】
<本装置の第4構成例>
次に、上記構成例の応用として、試料中の少なくとも2つの測定成分(成分Aおよび成分B)を測定対象としつつ、その両方の成分を検出する測定手段を有する場合について、本装置の第4構成例を図6に例示する。本構成においては、NMHCとCHなどのように同一元素を含む成分であって、分離可能な特性を有する成分を測定対象とする場合に適している。つまり、(1)最初に試料ガス中のNMHCを選択的に除去した場合、このガスからCHを選択的に除去したガスとの比較によって、試料中のCHを他の共存成分の影響やバックグランドを排除して精度よく測定することが可能となる。このとき、変換手段X2をバイパスすることによって、このガスからNMHCとCHを選択的に除去したガスとの比較によって、試料中のTHCを他の共存成分の影響やバックグランドを排除して精度よく測定することが可能となる。(2)最初に試料ガス中のNMHCを選択的にCHに変換した後、このガスからCHを選択的に除去したガスとの比較によって、試料中のTHCを他の共存成分の影響やバックグランドを排除して精度よく測定することが可能となる。以下、具体的な実施態様として、測定手段としてFIDを用いたTHC(/NMHC/CH)分析装置に本発明を適用した場合を、その一例として説明する。基本的なフローおよび構成は、既述の第3構成例と同様であり、重複部分は省略する。なお、スパンガスが入手困難な測定成分を対象とする分析装置における校正手段を確保する場合にも同様に適用可能である。
【0079】
本構成は、試料ガス測定装置であって、NMHC(成分Aに相当)およびCH(成分Bに相当)を測定対象とし、
(1)試料処理手段として、NMHCを選択的に除去あるいは他の物質に変換するコンバータX2(変換手段X2に相当)、試料ガス流路aを分岐した一方の流路cにCHを選択的に除去する精製器Y3(変換手段Y3に相当)を備え、
(2)校正およびチェック手段として、NMHCおよびCHを含まないゼロガスを供給する手段P1、所定濃度のNMHCを供給する手段P2、NMHCをCHに変換する変換器Y5(変換手段Y5に相当)を備え、
(3)測定手段Dとして、NMHCおよびCHの濃度を選択的に検出する手段を備え、
前記手段P2から供給されるガスを直接コンバータX2に導入することによって、該コンバータX2の処理機能のチェックを可能とし、
試料ガス流路aを介して前記手段P1から供給されるガスを測定手段Dに導入するとともに、前記手段P2から供給され変換器Y5を経由したガスを直接精製器Y3に導入した後に測定手段Dに導入することによって、該精製器Y3の処理機能のチェックを可能とし、
演算処理手段Mにおいて、NMHCおよびCHの検出機能、NMHCおよびCHの校正機能、および試料処理手段の処理機能のチェックを行うとともに、各機能に基づく処理を行うことを特徴とする。
【0080】
試料の採取・処理方法は、基本的に既述の構成例と同等であるが、流路aに配設されたコンバータX2が同じ炭化水素(HC)であってもNMHCを除去する一方CHを変換しない点、精製器Y3の変換機能をチェックするためにスパン校正用ガス中のNMHCをCHに変換する変換器Y5および流路を切り換えるためのバルブV4を有する点、およびにおいて相違する。また、スパン校正の方法や精製器Y3のチェック方法についても既述の構成例と相違する点がある。
【0081】
コンバータX2は、いずれもNMHCとCHは酸化反応特性を利用して除去あるいは他の物質への変換を図ることから、例えば白金(Pt)系やパラジウム(Pd)系などの触媒を用い、上記精製器Y3と同様酸化手段として同一機能を有するものを使用することが可能である。しかしながら、NMHCとCHは酸化反応温度が相違し、酸素21%存在下においては、NMHCについては約200〜300℃において完全に燃焼する一方、CHは約300〜400℃以上の温度条件が必要となる。また、試料を還元雰囲気条件下にしてNMHCを選択的にCHに還元(変換)することも可能である。この場合CHは還元されないことから、コンバータX2から供出される試料中のHC成分は全てCHとなる。精製器Y3は、コンバータX2と同一機能を有するものを高温条件下で使用することによって、必要な機能を確保することができる。
【0082】
変換器Y5は、NMHCを選択的にCHに変換する機能があれば、特に制限はないが、ニッケル系触媒などを用いることができる。このとき、還元雰囲気下での還元または分解反応が好ましいことから、チェック用ガス入口6cから水素(H)や水(HO)などの水素含有物質を導入することが好ましい。
【0083】
また、校正用のNMHCとしては、高圧ガスのプロパン(C)などの使用も可能であるが、測定成分が炭素数6以上の化合物や芳香族化合物あるいはアルデヒドなどの化合物については、所定濃度の安定した校正用のガスを準備することが困難であることから、パーメーションチューブなどを用いた発生器7を用いることが好ましい。また、チェック用のNMHCとしては、比較的低温で容易にCHに変換するガスが好ましく、アルコール燃料排気ガス測定装置の場合においては測定対象となるメタノール(CHOH)やホルムアルデヒド(HCHO)などを挙げることができる。
【0084】
〔本装置の第4構成例にかかる処理機能〕
本装置の基本的機能である測定機能、校正機能、チェック機能あるいは処理機能などは既述の構成例と同様であるが、上記相違点によって、一部機能面においても相違があり、図7(1)〜(5)に基づき説明する。また、このときのバルブV1〜V4の制御は、第3構成例と同様表2に示す通りであり省略する。
【0085】
(1)コンバータX2によって試料中のNMHCは除去される場合
(1−1)本装置の測定機能
図7(1)に例示するように、流路aに配設されたコンバータX2によって試料中のNMHCは除去されることから、流路bにおいては試料中のCHを検出することができ、流路cにおいては試料中のCHを含む全てのHCが除去されて何も検出されない。つまり、CHの検出機能を有する。ここで、コンバータX2をバイパスすると、流路bにおいては試料中の[NMHC+CH]つまりTHCを検出することができ、流路cにおいては何も検出されない。つまり、試料中のTHCの検出機能を有する。NMHC濃度はTHCの出力からの出力を差分することによって算出することができる。これらを組み合わせると、THC、NMHCおよびCHの検出機能を有する。
【0086】
(1−2)校正機能のチェックあるいは処理
ゼロ校正時は、図7(2)に例示するように、流路aから導入されるゼロガスの検出によって、NMHCおよびCHのゼロ校正機能を有する。スパン校正時は、図7(3)に例示するように、NMHCのスパンガスまたは発生器7からの既知濃度のNMHCを変換器Y5によってCHに変換し、バルブ4、バルブ2およびバルブ1を介して流路aから導入されて校正される。つまり、NMHCおよびCHの校正機能を有する。
【0087】
(1−3)精製器Y3の機能チェックあるいは処理
図7(4)に例示するように、精製器Y3のチェック時は、流路bからはゼロガスが測定手段Dに導入され、流路cからは、スパン校正時同様、NMHCが変換された既知濃度のCHを含むガスが流路sを経由して精製器Y3に導入されCHが除去された後測定手段Dに導入される。つまり、精製器Y3の機能チェックあるいは適正な処理を行うことができる。
【0088】
(1−4)コンバータX2の機能チェックあるいは処理
図7(5)に例示するように、コンバータX2のチェック時は、バルブV4を作動して所定濃度のNMHCを含むスパンガスが、流路sを経由してバルブV2およびV1を介して流路aに配設されたコンバータX2に導入され、NMHCを除去された後分岐される。このとき、コンバータX2に異常があれば未処理のNMHCが流路bおよび流路cに導入されることから、測定手段Dによって検出された出力が、所定量以上であれば、コンバータX2の機能チェックあるいは適正な処理を行う必要があり、演算処理手段Mにおいて外部へのアラーム出力や表示が行われる。このとき、予め精製器Y3の機能チェックを行うことで、異常の部位の特定を容易に行うことが可能となる。
【0089】
(1−5)各機能のチェックあるいは処理
以上は、各機能を個別にチェックあるいは処理することができることを説明したが、検出器出力の感度の変化や誤差が存在し、コンバータX2および精製器Y3の変換効率低下の時期の推定が困難な場合が多く、通常、(1−2)〜(1−4)を定期的に同時に行うことが好ましい。
【0090】
(2)コンバータX2によって試料中のNMHCがCHに変換される場合
(2−1)本装置の測定機能
図7(1)に例示するように、流路aに配設されたコンバータX2によって試料中のNMHCがCHに変換されることから、流路bにおいては試料中のNMHCが変換されたCHおよび元々試料中に存在していたCHを検出することができ、流路cにおいては試料中のCHを含む全てのHCが除去されて何も検出されない。つまり、THCの検出機能を有する。ここで、検出手段におけるNMHCとCHに対する検出感度が同じであれば、上記(1−1)においてコンバータX2をバイパスした場合との差異はない。しかし、実際には、例えばFIDのようにNMHCを構成する各成分によって検出感度(相対感度)が相違することから、本構成のようにNMHCをいったん同一化合物であるCHに変換することによって、カーボン(C)単位のTHCを正確に測定することが可能となる。
【0091】
(2−2)校正機能のチェックあるいは処理
上記(1−2)同様、図7(2)および(3)に例示するように、NMHCおよびCHの校正機能を有する。
【0092】
(2−3)精製器Y3の機能チェックあるいは処理
上記(1−3)同様、図7(4)に例示するように、精製器Y3の機能チェックあるいは適正な処理を行うことができる。
【0093】
(2−4)コンバータX2の機能チェックあるいは処理
図7(5)に例示するように、コンバータX2のチェック時は、バルブV4を作動して所定濃度のNMHCを含むスパンガスが、流路sを経由してバルブV2およびV1を介して流路aに配設されたコンバータX2に導入され、CHに変換された後分岐される。このとき、測定手段Dによって検出された出力が、当初のスパンガス中に含まれるNMHCの所定濃度に相当する出力と所定量以上の差異があれば、コンバータX1の機能チェックあるいは適正な処理を行う必要があり、演算処理手段Mにおいて外部へのアラーム出力や表示が行われる。このとき、予め精製器Y3の機能チェックを行うことで、異常の部位の特定を容易に行うことが可能となる。
【0094】
(2−5)各機能のチェックあるいは処理
以上は、各機能を個別にチェックあるいは処理することができることを説明したが、検出器出力の感度の変化や誤差が存在し、コンバータX2および精製器Y3の変換効率低下の時期の推定が困難な場合が多く、通常、(2−2)〜(2−4)を定期的に同時に行うことが好ましい。
【0095】
<本装置の第5構成例>
次に、既述の第4構成例の応用として、試料中の少なくとも2つの測定成分(成分Aおよび成分B)を測定対象としつつ、その両方が同一化合物に変換され、その化合物濃度を検出する測定手段を有する場合を、本装置の第5構成例として説明する。本構成においては、例えばNMHCとCHなどのように同一元素を含む成分であって、分離可能な特性を有し酸化反応によってCOという同一化合物(成分Cの相当)に変換可能な特性を有する成分を測定対象とする場合に適している。つまり、最初に試料ガス中のNMHCを選択的にCOに変換した場合、CO検出手段を用いて、このガスとさらにCHを選択的にCOに変換したガスとの比較を行うことに、試料中のCHを他の共存成分の影響やバックグランドを排除して精度よく測定することが可能となる。このとき、変換手段X2をバイパスすることによって、このガスからNMHCとCHを選択的にCOに変換したガスとの比較によって、試料中のTHCを他の共存成分の影響やバックグランドを排除して精度よく測定することが可能となる。以下、具体的な実施態様として、測定手段としてNDIRを用いたTHC(/NMHC/CH)分析装置に本発明を適用した場合を、その一例として説明する。基本的なフローおよび構成は、既述の第4構成例と同様であり、重複部分は省略する。なお、スパンガスが入手困難な測定成分を対象とする分析装置における校正手段を確保する場合にも同様に適用可能である。
【0096】
本構成は、試料ガス測定装置であって、NMHC(成分Aに相当)およびCH(成分Bに相当)を測定対象とし、
(1)試料処理手段として、NMHCを選択的にCO(成分Cの相当)に変換するコンバータX3(変換手段X3に相当)、試料ガス流路aを分岐した一方の流路cにCHを選択的にCOに変換する精製器Y6(変換手段Y6に相当)を備え、
(2)校正およびチェック手段として、NMHC、CHおよびCOを含まないゼロガスを供給する手段P1、所定濃度のNMHCを供給する手段P2、NMHCをCHに変換する変換器Y5(変換手段Y5に相当)を備え、
(3)測定手段Dとして、COの濃度を選択的に検出する手段を備え、
前記手段P2から供給されるガスを直接コンバータX3に導入することによって、該コンバータX3の処理機能のチェックを可能とし、
試料ガス流路aを介して前記手段P1から供給されるガスを測定手段Dに導入するとともに、前記手段P2から供給され変換器Y5を経由したガスを直接精製器Y6に導入した後に測定手段Dに導入することによって、該精製器Y6の処理機能のチェックを可能とし、
演算処理手段Mにおいて、NMHCおよびCHの検出機能、NMHCおよびCHの校正機能、および試料処理手段の処理機能のチェックを行うとともに、各機能に基づく処理を行うことを特徴とする。
【0097】
試料の採取・処理方法は、基本的に第4構成例と同等であるが、流路aに配設されたコンバータX3がNMHCをCOに変換する一方CHを変換しない点、精製器Y6においてCHをCOに変換する点および測定手段DとしてCOを検出する機能を有する点において相違する。
【0098】
コンバータX3は、第4構成例におけるコンバータX2と同様の機能を有するが、コンバータX2においてはNMHCがCH以外の化合物(例えば、一酸化炭素(CO)やアルデヒドあるいはカルボン酸など)に酸化され除去されることで十分であるのに対し、本構成においては、COにまで変換する必要があり、例えば白金(Pt)系やパラジウム(Pd)系などの触媒を用いた場合、酸素21%存在下においては約250〜300℃に制御する必要がある。精製器Y6についてもこれと同様酸化手段として同一機能を有するものを使用する一方、CHをCOにまで変換するためには約350〜400℃以上の温度条件が必要となる。精製器Y6は、コンバータX3と同一機能を有するものを高温条件下で使用することによって、必要な機能を確保することができる。
【0099】
変換器Y5、および校正あるいはチェック用のNMHCは、既述の第4構成例と同等である。
【0100】
〔本装置の第5構成例にかかる処理機能〕
本装置の基本的機能である測定機能、校正機能、チェック機能あるいは処理機能、このときのバルブV1〜V4の制御方法などは第4構成例と同様であるが、上記相違点によって、一部機能面においても相違があり、図7(1)〜(5)に基づき説明する。
【0101】
(1)本装置の測定機能
図7(1)に例示するように、流路aに配設されたコンバータX3によって試料中のNMHCはCOに変換されることから、流路bにおいては試料中のNMHCと元々存在していたCOを検出することができ、流路cにおいては試料中のCHを含む全てのHCと元々存在していたCOが検出される。つまり、両者の差異である試料中のCHの検出機能を有する。ここで、コンバータX2をバイパスすると、流路bにおいては試料中に元々存在していたCOを検出することができ、流路cにおいては試料中のCHを含む全てのHCと元々存在していたCOが検出される。つまり、両者の差異である試料中のTHCの検出機能を有する。NMHC濃度はTHCの出力からの出力を差分することによって算出することができる。これらを組み合わせると、THC、NMHCおよびCHの検出機能を有する。
【0102】
(2)校正機能のチェックあるいは処理
ゼロ校正時は、図7(2)に例示するように、流路aから導入されるゼロガスの検出によって、NMHCおよびCHのゼロ校正機能を有する。スパン校正時は、図7(3)に例示するように、NMHCのスパンガスまたは発生器7からの既知濃度のNMHCを変換器Y5によってCHに変換し、バルブ4、バルブ2およびバルブ1を介して流路aから導入されて校正される。つまり、NMHCおよびCHの校正機能を有する。また、NMHCのスパンガスまたは発生器7からの既知濃度のNMHCを変換器Y5に導入せずに直接流路aから導入することも可能である。なお、スパンガスの入手が困難な場合には、安定性が高く低濃度の高圧ガスの入手が容易なCOによって校正機能のチェックおよび校正処理を行うことが可能である点においても、本構成の適用範囲は広い。
【0103】
(3)精製器Y6の機能チェックあるいは処理
図7(4)に例示するように、精製器Y6のチェック時は、流路bからはゼロガスが測定手段Dに導入され、流路cからは、スパン校正時同様、NMHCが変換された既知濃度のCHを含むガスが流路sを経由して精製器Y6に導入されCHがCOに変換された後測定手段Dに導入される。つまり、スパンガスの炭素換算濃度(例えば、NMHCがCmHnからなる化合物が100[ppm]の場合、炭素換算濃度は100×m[ppm]となる)から所定範囲をはずれた測定手段の出力が得られれば、精製器Y6の機能チェックあるいは適正な処理を行う必要があり、演算処理手段Mにおいて外部へのアラーム出力や表示が行われる。このように、精製器Y6の機能チェックあるいは適正な処理を行うことができる。
【0104】
(4)コンバータX3の機能チェックあるいは処理
図7(5)に例示するように、コンバータX3のチェック時は、バルブV4を作動して所定濃度のNMHCを含むスパンガスが、流路sを経由してバルブV2およびV1を介して流路aに配設されたコンバータX2に導入され、NMHCを除去された後分岐される。このとき、コンバータX3に異常があればスパンガスの炭素換算濃度から所定範囲をはずれた測定手段の出力となり、所定量以上であれば、コンバータX3の機能チェックあるいは適正な処理を行う必要があり、演算処理手段Mにおいて外部へのアラーム出力や表示が行われる。このとき、予め精製器Y6の機能チェックを行うことで、異常の部位の特定を容易に行うことが可能となる。
【0105】
(5)各機能のチェックあるいは処理
以上は、各機能を個別にチェックあるいは処理することができることを説明したが、検出器出力の感度の変化や誤差が存在し、コンバータX3および精製器Y6の変換効率低下の時期の推定が困難な場合が多く、通常、(2)〜(4)を定期的に同時に行うことが好ましい。
【0106】
<その他>
以上の各構成例に係る装置において用いられる、チェック用の変換器Y4やY5については、一定の装置稼動期間ごとに保守あるいは交換することが好ましいが、演算処理手段Mによって実際に使用したガス中の成分濃度や時間などから寿命判定を行い、保守あるいは交換することが好ましい。
【0107】
また、本発明は、上記のような気体の測定だけでなく、液体等の成分測定や、また、各種測定原理にも適用が可能であり、上記に限定されるものでないことはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本発明に係る試料ガス分析装置の第1構成例を示す説明図。
【図2】第1構成例に係る処理機能を概略的に例示する説明図。
【図3】本発明に係る測定手段を概略的に例示する説明図。
【図4】本発明に係る試料ガス分析装置の第3構成例を示す説明図。
【図5】第3構成例に係る処理機能を概略的に例示する説明図。
【図6】本発明に係る試料ガス分析装置の第4構成例を示す説明図。
【図7】第4構成例に係る処理機能を概略的に例示する説明図。
【図8】従来技術に係る分析装置の構成を例示する説明図。
【符号の説明】
【0109】
1 試料入口
2 ダストフィルタ
3,4 流路抵抗
5 吸引ポンプ
5a 圧力調整器
6a,6b 校正ガス入口
7 発生器
a,b,c,e,s,z 流路
D 測定手段
M 演算処理手段
V1〜V4 バルブ
Vf 電磁弁(バルブ)
X1〜3 コンバータ(変換手段)
Y1〜3,Y6 精製器(変換手段)
Y4,Y5 変換器(変換手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料採取手段と試料処理手段と校正およびチェック手段からなるサンプリング系、測定手段、および演算処理手段を有し、少なくとも成分Aの濃度を検出することができる試料ガス分析装置であって、
(1)前記試料処理手段として、試料ガス流路を分岐した一方の流路に成分Aを選択的に除去あるいは他の物質に変換する変換手段Y1を備え、
(2)前記校正およびチェック手段として、成分Aを含まないゼロガスを供給する手段P1、所定濃度の成分Aを供給する手段P2を備え、
(3)前記測定手段として、成分Aの濃度を選択的に検出する手段を備え、
試料ガス流路を介して前記手段P1から供給されるガスを測定手段に導入するとともに、前記手段P2から供給されるガスを直接変換手段Y1に導入した後に測定手段に導入することによって、該変換手段Y1の処理機能のチェックを可能とし、
前記演算処理手段において、成分Aの検出機能、成分Aの校正機能、および試料処理手段の処理機能のチェックを行うとともに、各機能に基づく処理を行うことを特徴とする試料ガス分析装置。
【請求項2】
試料採取手段と試料処理手段と校正およびチェック手段からなるサンプリング系、測定手段、および演算処理手段を有し、少なくとも成分Aおよび/または成分Bの濃度を検出することができる試料ガス分析装置であって、
(1)前記試料処理手段として、試料ガス流路を分岐した一方の流路に成分Aを選択的に成分Bに変換する変換手段Y2を備え、
(2)前記校正およびチェック手段として、成分Aおよび成分Bを含まないゼロガスを供給する手段P1、所定濃度の成分Aを供給する手段P2を備え、
(3)前記測定手段として、成分Bの濃度を選択的に検出する手段を備え、
試料ガス流路を介して前記手段P1から供給されるガスを測定手段に導入するとともに、前記手段P2から供給されるガスを直接変換手段Y2に導入した後に測定手段に導入することによって、該変換手段Y2の処理機能のチェックを可能とし、
前記演算処理手段において、成分Aおよび/または成分Bの検出機能、成分Aおよび/または成分Bの校正機能、および試料処理手段の処理機能のチェックを行うとともに、各機能に基づく処理を行うことを特徴とする試料ガス分析装置。
【請求項3】
試料採取手段と試料処理手段と校正およびチェック手段からなるサンプリング系、測定手段、および演算処理手段を有し、少なくとも成分Aおよび/または成分Bの濃度を検出することができる試料ガス分析装置であって、
(1)前記試料処理手段として、成分Aを選択的に成分Bに変換する変換手段X1、試料ガス流路を分岐した一方の流路に成分Bを選択的に除去あるいは他の物質に変換する変換手段Y3を備え、
(2)前記校正およびチェック手段として、成分Aおよび成分Bを含まないゼロガスを供給する手段P1、所定濃度の成分Bを含むガスを供給する手段P2、成分Bを成分Aに変換する変換手段Y4を備え、
(3)前記測定手段として、少なくとも成分Bの濃度を選択的に検出する手段を備え、
前記手段P2から供給されるガスを変換手段Y4に導入した後に変換手段X1に導入することによって、該変換手段X1の処理機能のチェックを可能とし、
試料ガス流路を介して前記手段P1から供給されるガスを測定手段に導入するとともに、前記手段P2から供給されるガスを直接変換手段Y3に導入した後に測定手段に導入することによって、該変換手段Y3の処理機能のチェックを可能とし、
前記演算処理手段において、成分Aおよび/または成分Bの検出機能、成分Aおよび/または成分Bの校正機能、および試料処理手段の処理機能のチェックを行うとともに、各機能に基づく処理を行うことを特徴とする試料ガス分析装置。
【請求項4】
試料採取手段と試料処理手段と校正およびチェック手段からなるサンプリング系、測定手段、および演算処理手段を有し、少なくとも成分Aおよび/または成分Bの濃度を検出することができる試料ガス分析装置であって、
(1)前記試料処理手段として、成分Aを選択的に除去あるいは他の物質に変換する変換手段X2、試料ガス流路を分岐した一方の流路に成分Bを選択的に除去あるいは他の物質に変換する変換手段Y3を備え、
(2)前記校正およびチェック手段として、成分Aおよび成分Bを含まないゼロガスを供給する手段P1、所定濃度の成分Aを含むガスを供給する手段P2、成分Aを成分Bに変換する変換手段Y5を備え、
(3)前記測定手段として、少なくとも成分Aおよび成分Bの濃度を選択的に検出することが可能な手段を備え、
前記手段P2から供給されるガスを直接変換手段X2に導入することによって、該変換手段X2の処理機能のチェックを可能とし、
試料ガス流路を介して前記手段P1から供給されるガスを測定手段に導入するとともに、前記手段P2から供給され変換手段Y5を経由したガスを直接変換手段Y3に導入した後に測定手段に導入することによって、該変換手段Y3の処理機能のチェックを可能とし、
前記演算処理手段において、成分Aおよび/または成分Bの検出機能、成分Aおよび/または成分Bの校正機能、および試料処理手段の処理機能のチェックを行うとともに、各機能に基づく処理を行うことを特徴とする試料ガス分析装置。
【請求項5】
試料採取手段と試料処理手段と校正およびチェック手段からなるサンプリング系、測定手段、および演算処理手段を有し、少なくとも成分Aおよび/または成分Bの濃度を検出することができる試料ガス分析装置であって、
(1)前記試料処理手段として、成分Aを選択的に成分Cに変換する変換手段X3、試料ガス流路を分岐した一方の流路に成分Bを成分Cに変換する変換手段Y6を備え、
(2)前記校正およびチェック手段として、成分A、成分Bおよび成分Cを含まないゼロガスを供給する手段P1、所定濃度の成分Aを含むガスを供給する手段P2、成分Aを成分Bに変換する変換手段Y5を備え、
(3)前記測定手段として、少なくとも成分Cの濃度を選択的に検出する手段を備え、
前記手段P2から供給されるガスを直接変換手段X3に導入することによって、該変換手段X3の処理機能のチェックを可能とし、
試料ガス流路を介して前記手段P1から供給されるガスを測定手段に導入するとともに、前記手段P2から供給され変換手段Y5を経由したガスを直接変換手段Y6に導入した後に測定手段に導入することによって、該変換手段Y6の処理機能のチェックを可能とし、
前記演算処理手段において、成分Aおよび/または成分Bの検出機能、成分Aおよび/または成分Bの校正機能、および試料処理手段の処理機能のチェックを行うとともに、各機能に基づく処理を行うことを特徴とする試料ガス分析装置。
【請求項6】
前記試料処理手段が、試料ガス流路を分岐した一方の前記変換手段Y1〜Y3、Y6のいずれかの変換手段を有する流路、および他方の変換手段Y1〜Y3、Y6のいずれをも有しない流路を備え、
前記測定手段として、該2つの流路の切換を行うガス切換式測定法あるいは流体変調式測定法を用いることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の試料ガス分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−271462(P2007−271462A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−97607(P2006−97607)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000155023)株式会社堀場製作所 (638)
【Fターム(参考)】