説明

試料スライドの処理装置

【課題】封入処理された試料スライドを容易に取り扱うことができるよう、試料スライド上に配置された薄切片を簡単に封入処理可能とする、試料スライドの処理装置を提供する。
【解決手段】当該処理装置10は、試料スライド32上に配置された薄切片を封入処理するための少なくとも1つの封入モジュールを有する。更に当該処理装置10は、前記試料スライド上へ塗布された封入剤から溶剤を除去するための乾燥ユニット16を含んで構成される。該乾燥ユニットは、前記試料スライドへ空気流を供給するための空気供給ユニット40を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の記載)
本出願は、2010年11月26日出願のドイツ特許出願第 10 2010 060 825.4 号の優先権主張に基づくものであり、同出願の全記載内容は引用をもって本明細書に組み込み記載されているものとする。
【0002】
本発明は、試料スライドの処理装置に関し、特に、試料スライド(試料支持体)上に配置された薄切片を被覆要素で被覆(以下、封入処理(Eindecken)という)するための少なくとも1つの封入モジュールを含んで構成される試料スライドの処理装置(取扱装置)に関する。そのために前記封入モジュールは、先ず封入剤(被覆剤ないし封入媒体)を試料スライド上へ塗布し、引き続いて被覆要素(カバー部材)、特にカバーガラスを該試料スライド上へ載置(カバースリップ)する。
【背景技術】
【0003】
組織学において、組織試料(組織検体)から生成される薄切片は試料スライド(所謂スライド)上に載置される。引き続き、試料スライド上に載置された薄切片は、通常は(薬品などで)処理され、例えば染色及び/又は脱水される。その後、薄切片を保護するために薄切片はカバーガラスを用いて封入される。カバーガラスを載置する前に先ずは、カバーガラスを試料スライド上で付着させる封入剤が塗布される。そしてこのように封入処理された試料スライドは顕微鏡へ導かれる。
【0004】
先行技術文献として下記特許文献が挙げられる。これらの特許文献の全開示内容はこれらの引用をもって本明細書に組み込み記載されているものとする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】US 2009/0110597 A1
【特許文献2】US 2007/0172911 A1
【特許文献3】US 2006/0231023 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以下の分析は本発明者によるものである。試料スライド上に配置された薄切片を封入処理するための公知の装置において、封入処理された試料スライドが極めて注意深く慎重に取り扱われなくてはならないことは問題であるが、その理由は、封入モジュールから試料スライドを取り出す際に封入剤がまだ完全には乾いてなく、従って例えば試料スライドが水平でない状態に保たれた場合にはカバーガラスが滑ってその位置をずらしてしまうからである。それにより薄切片は損傷されてしまう。また、カバーガラスが滑って位置をずらすことで横の方へ試料スライドから突き出てしまい、それにより試料スライドを取り扱う使用者が簡単に指や手を切ってしまうということもあり得る。このことは、汚染されている薄切片を取り扱う場合に特に問題であるが、その理由は、その場合には使用者が感染のリスクにさらされているためである。
【0007】
上記特許文献1から、試料スライドの処理装置が公知であり、該処理装置は、封入モジュールと、乾燥ユニットと、封入処理されて乾燥処理された試料スライドを搬出するための搬出ユニットとを含んでいる。この際、試料スライドは、これらの試料スライドが個々に乾燥ユニットを通って搬出ユニットへ移送される間、乾燥され、そして個々に搬出ユニット内に保管される。
【0008】
試料スライドを封入処理するための別の装置及び方法が上記特許文献2及び3から公知である。
【0009】
従って本発明の課題は、封入処理された試料スライドを容易に取り扱うことができるよう、試料スライド上に配置された薄切片を簡単に封入処理可能とする、試料スライドの処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一視点によれば、試料スライドの処理装置であって、試料スライド上に配置された薄切片を封入処理するための少なくとも1つの封入モジュールを有し、該封入モジュールは、先ず封入剤を前記試料スライド上へ塗布し、引き続いて被覆要素を該試料スライド上へ載置し、前記試料スライド上へ塗布された前記封入剤から少なくとも一溶剤を少なくとも部分的に除去するための乾燥ユニットを有する、処理装置が提供される。該処理装置において、乾燥ユニットは、前記試料スライドへ空気流を供給するための空気供給ユニットを含んで構成され、封入処理された前記試料スライドを前記封入モジュールから前記乾燥ユニットへ移送するための移送ユニットが設けられている。該移送ユニットは、該移送ユニットを用い、前記試料スライドの収容されているラックが前記乾燥ユニットへ供給可能であるように構成されている。前記乾燥ユニットは、乾燥室を含んで構成され、該乾燥室内には、少なくとも1つのラックが収容可能であり、前記空気供給ユニットは、空気流を前記乾燥室へ供給することを特徴とする。
(尚、本願の特許請求の範囲に付記されている図面参照符号は専ら本発明の理解の容易化のためのものであり、図示の形態に限定することを意図するものではないことを付言する。)
【発明の効果】
【0011】
本発明の上記一視点によれば、本発明の課題に対応する効果、即ち封入処理された試料スライドを容易に取り扱うことができるよう、試料スライド上に配置された薄切片を簡単に封入処理可能とする、試料スライドの処理装置が提供される。
【0012】
試料スライド上に塗布された封入剤から溶剤を除去する(Entziehen)ために乾燥ユニットを設けたことにより、封入剤が迅速に乾燥し、従って被覆要素が試料スライドにおいて確実に固着する。従って試料スライドは、既に封入処理後の短時間内で、たとえ試料スライドが斜めに保持されたとしても被覆要素が滑って位置をずらしてしまうことなく取り出すことができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
先ず、本発明の好ましい実施形態の概要について説明する。
【0014】
被覆要素として特にカバーガラスが使用される。溶剤は、揮発性ないし蒸発可能なものでよく、特にキシレン(Xylol)、トルエン(Toluol)、及び/又は水を含んでいる。
【0015】
試料スライド上に塗布された封入剤から溶剤を除去する(Entziehen)ことは、試料スライドに対し、乾燥ユニットの空気供給ユニットにより空気流を供給することにより達成される。この空気乾燥により封入剤の慎重な(ないし処理対象に悪影響を及ぼさない条件で、即ち大きなストレスを生じない, low-stress, schonend)乾燥処理が行われ、それにより、試料スライド上に載置された薄切片が損傷されることはない。特に従って、乾燥処理時に薄切片が該薄切片を損傷するであろう温度に達することはないことが保証される。
【0016】
当該処理装置は、特に移送ユニットを含んで構成され、該移送ユニットを用い、封入処理された試料スライドを封入モジュールから乾燥ユニットへ移送することができる。従って、封入モジュールから乾燥ユニットへの封入処理された試料スライドの自動移送が提供されており、それにより手動アクセス(手で操作すること)が省略され、そして移送ユニットを用いた移送により移送中には試料スライドの水平位置が維持され、カバーガラスが滑って位置をずらしてしまうことが回避される。
【0017】
試料スライドは、その移送中には特に1つの又は複数のラック内に収容されており、それにより各試料スライドが個々に移送される必要はない。それにより、時間単位ごとにより多くの試料スライドを移送することができるようになる。更に、特に封入剤がまだ完全に乾いていない場合には、ラックを取り扱う方が個々の試料スライドを取り扱うよりも簡単である。試料スライドは、該試料スライド上に載置された薄切片と共に、好ましくはラックを用い、搬入コンパートメント(インプット用の区画)を介して当該処理装置内へ取り入れられ、ラックを用いて封入モジュールへ移送される。封入処理後には封入処理された試料スライドが、ラックが移送ユニットにより乾燥ユニットへ移送される前に再びラック内へ戻される。乾燥ユニット内での封入剤の乾燥処理後にラックは、該ラックが機械的に及び/又は手動で取り出し可能である搬出コンパートメント(アウトプット用の区画)内へ移送ユニットを用いて移送される。
【0018】
本発明の一変形実施形態において、試料スライドは個々でも封入モジュールから乾燥ユニットへ移送され、個々でも乾燥ユニット内に収容することができる。或いはまた、試料スライドを個々で搬入ユニット(インプットユニット)から封入モジュールへ又は乾燥ユニットから搬出コンパートメントへ移送することも可能である。同様に、それらの移送の一部分をラック内で(ラックを用いて)行い、それらの移送の他の一部分の間では試料スライドが個々に移送されるということも可能である。
【0019】
乾燥ユニットは、好ましくはケーシングを含んで構成され、該ケーシングは、試料スライドの収容されているラックを供給及び/又は取り出すための開口部を含んで構成される。該ケーシングにより乾燥ユニットは当該処理装置の残りの部分に対して閉鎖されており、それにより、乾燥すべき試料スライドのところを通っていく空気流が当該処理装置の残りの部分へ漏れ出すことはない。従って、乾燥ユニット内に収容されている試料スライドにおいて封入剤の的を絞った簡単な乾燥処理が達成される。更に該ケーシングは該ケーシング内に収容されている試料スライドを保護する機能も有する。
【0020】
乾燥ユニットのケーシングの開口部は、好ましくは開閉可能であり、それにより該ケーシングが閉鎖されている場合には空気流が漏れ出すことはない。該開口部の閉鎖は、特に摺動式扉(スライド式ドア)を介して行われ、それにより、特に折畳式扉と比べ、必要な構造空間は少なくて済む。従って当該処理装置のコンパクトで省スペースの構造が達成される。
【0021】
本発明の有利な一実施形態において、好ましくは、乾燥ユニットのケーシングの少なくとも1つの部分領域は断熱材料を用いて断熱されており、それにより、乾燥ユニットのケーシングの内部空間と、当該処理装置の残りの部分との間の熱的な分離が達成される。また乾燥ユニットの全ケーシングが断熱されていると特に有利である。追加的に又は択一的に摺動式扉を断熱性とすることもできる。断熱作用により熱損失は減少され、それにより、空気流を予め設定された温度に加熱するためのエネルギーはより少なくて済むことになる。
【0022】
乾燥ユニットは、特に乾燥室を含んで構成され、該乾燥室内には少なくとも1つのラックが収容可能である。空気供給ユニットは、空気流がラック内に収容されている試料スライド(複数)のところを通っていくように空気流を乾燥ユニット内へ流入させ、それにより、封入剤から溶剤が空気流を介して除去され、封入剤が乾燥する。乾燥室内に少なくとも2つのラックを収容可能であるように乾燥室が形成されていると特に有利であり、それにより多数の試料スライドを同時に乾燥室内で乾燥させることができる。本発明の一変形実施形態において乾燥室は、該乾燥室内に2つよりも多くのラック、特に3つ又は4つのラックが収容可能であるように構成することもできる。
【0023】
この際、ラックは、収容されたラック内に配置されている試料スライドが水平配置されているように乾燥ユニット内に収容可能であり、それにより、封入剤が乾いて付着していない間に被覆要素(カバーガラス)が滑って位置をずらしてしまうことが回避される。
【0024】
更に乾燥ユニットは、好ましくは、乾燥室から空気を排出するための空気排出ユニットを含んで構成される。従って、空気供給ユニットにより供給された空気流が排出され、乾燥室の連続的な通流が達成され、従って空気流が試料スライドの周りを連続的に通流することが達成される。
【0025】
特に空気排出ユニットは、好ましくは、該空気排出ユニットがファンを含んで構成されており、該ファンを用い、排出すべき空気が乾燥室から吸引されるないし吐き出される。空気供給ユニットも、好ましくはファンを含んで構成され、該ファンにより、供給すべき空気が空気供給路を通って乾燥室内へ送られる。
【0026】
本発明の特に有利な一実施形態において、好ましくは、空気供給ユニットは、予め設定された温度を有する空気流を試料スライドへ供給する。予め設定された温度は、特に40℃〜70℃の間の値、好ましくは40℃〜50℃の間の値を有する。
【0027】
温度設定された空気流の供給により、加熱空気は、より冷たい空気、特に室温を有する空気の場合よりも多くの溶剤を吸収することができるようになり、それにより、乾燥室内に配置された試料スライドの封入剤はより迅速に乾燥し、試料スライドが乾燥室内に留まるべき時間は減少される。40℃〜50℃の間の温度を有する空気流を供給することにより、一方では、迅速な乾燥処理が行われ、他方では、高すぎる温度による薄切片の損傷が回避されることが保証されている。
【0028】
空気流の加熱のために特に乾燥ユニットは、好ましくは、空気流が乾燥室へ供給される前に該空気流を加熱するヒータ要素(ヒータエレメント)を含んで構成される。特にヒータ要素は、空気供給ユニットにおいて乾燥室から離れた端部に配置されており、それによりヒータ要素と乾燥室との間にできるだけ大きな間隔が達成される。従って、乾燥ユニット内に配置された試料スライド上に載置されている薄切片が高すぎる温度で損傷されてしまうことが回避される。特に従って、薄切片がヒータ要素の放射熱に直接的にはさらされないことが達成される。
【0029】
更に、空気流の現在温度を検出するためのセンサが設けられていると有利である。一制御ユニットが、予め設定された温度と現在温度とを比較し、この比較の結果に依存し、供給される空気流が目標温度を有するようにヒータ要素を制御する。従って、予め設定された目標温度も達成されることが保証される。従って試料スライドの迅速で十分な乾燥処理が成され、高すぎる温度による薄切片の損傷が回避される。ヒータ要素の制御は、特に閉ループ制御ないしフィードバック制御(Regelkreis)の形式で行われる。
【0030】
空気供給ユニットは、好ましくは、特に空気流が0.5m/s〜1.5m/sの間の気流速度及び/又は4m/h〜5m/hの間の容積流量を有するように構成されている。この場合、カバーガラスが滑って位置をずらしてしまうことのない封入剤の十分な乾燥が、空気流が50℃〜60℃の間の温度をもつ際には3分以内で達成され、それにより、乾燥室内に収容されたラックを既に3分後には取り出すことができる。従って高いスループット(処理量)が達成される。
【0031】
本発明の特に有利な一実施形態において、乾燥ユニットは少なくと1つのセンサを含んで構成され、該センサを用い、空気流の現在気流速度及び/又は現在容積流量が検知可能である。前記制御ユニットが、検出された現在気流速度及び/又は検出された現在容積流量を、予め設定された目標気流速度及び/又は予め設定された目標容積流量と比較し、予め設定された目標気流速度及び/又は予め設定された目標容積流量を有する空気流が試料スライドへ供給されるように空気供給ユニットを制御する。この制御は、特に閉ループ制御ないしフィードバック制御(Regelkreis)の形式で行われる。
【0032】
更に、供給すべき空気をフィルタリング(ろ過)するためのフィルタ、特に活性炭フィルタが設けられていると有利である。それにより、汚染ないし不純化された空気により、乾燥すべき試料スライド上に載置された薄切片が変質されること(ないし歪の生成)が防止され、従って薄切片の顕微鏡検査において後の結果が誤りとなってしまうことも防止される。或いはまた、排出される空気をフィルタリング(ろ過)するための別のフィルタ、特に活性炭フィルタを設けることもできる。それにより、当該処理装置の周辺部へ放出される空気は汚染されていないことになる。このことは、薄切片がそのように負荷されている場合(汚染されている場合)には特に有利である。
【0033】
空気供給ユニットは、空気流を特に乾燥室の下部領域において該乾燥室へ供給する。それにより、加熱空気が乾燥室を通過する際には該加熱空気の自然特性に応じて下方から上方へ上昇することが達成され、従って空気を案内するための特殊な手段は必要ではない、又は必要であったとしても少なくて済む。乾燥室の下部領域における空気供給は、特に乾燥室において互いに対向配置された2つの側壁のところで側方より行われ、それに対して空気排出は、特にそれらの間の中央において行われる。それにより、ラック内で互いに隣接して配置された2つの試料スライドの間に形成されている中間空間において渦状の通流(エアーフロー形態)が空気流により達成され、それにより短時間内で良好な乾燥処理が達成される。
【0034】
本発明の一変形実施形態では、乾燥室において互いに対向配置された2つの側壁において、各々、乾燥室内へ空気流を供給するためのスリット状ノズルを設けることができる。この際、スリット状ノズルは、該スリット状ノズルの縦方向(長手方向)が(当該処理装置において)鉛直に延在するように配置されている。更にスリット状ノズルは、好ましくはラック(ラックの高さ)よりも長くなるように構成されており、それにより、ラックにおいて一番端にある試料スライド(最上段や最下段にある試料スライド)の周りの確実な通流が達成される。この場合、排出すべき空気の吸引(ないし排出)は、特に乾燥室の下部領域において行われる。
【0035】
特に空気供給ユニットは、空気流を供給するための少なくとも1つの空気供給路と、排出すべき空気を排出するための少なくとも1つの空気排出路とを有する。本発明の好ましい一実施形態において空気供給路と空気排出路は、これらが少なくとも一部分領域において直接的に相並んで延在し、特に空気供給路と空気排出路の各々の境界壁の一部分領域が一体式で形成されているように構成されている。従ってコンパクトで省スペースの構造が達成される。
【0036】
本発明の更なる特徴及び長所は、添付の図面に図示した本発明の具体的な実施例を説明する後続段落の記載内容から明らかである。
【0037】
上記のごとく本発明において下記形態が可能である。尚、下記各形態は、本願の特許請求の範囲の各請求項に記載した各々の構成要件にも対応している。
(形態1)上記一視点のとおり。
(形態2)前記乾燥室は、少なくとも2つのラックが該乾燥室内に収容可能であるように構成されていることが好ましい。
(形態3)前記乾燥ユニットは、ケーシングを含んで構成され、該ケーシングは、前記試料スライドの収容されているラック及び/又は前記試料スライドを供給及び/又は取り出すための開口部を含んで構成されることが好ましい。
(形態4)前記開口部は、摺動式扉を介して閉鎖可能であることが好ましい。
(形態5)前記ケーシングの少なくとも1つの部分領域が、断熱材料を用いて断熱されていることが好ましい。
(形態6)前記乾燥ユニットは、前記乾燥室から空気を排出するための空気排出ユニットを含んで構成されることが好ましい。
(形態7)前記空気供給ユニットは、予め設定された温度を有する空気流を供給することが好ましい。
(形態8)前記空気供給ユニットは、40℃〜70℃の間の予め設定された温度を有する空気流を供給することが好ましい。
(形態9)前記空気供給ユニットは、空気流を加熱するためのヒータ要素を含んで構成されることが好ましい。
(形態10)空気流の現在温度を検出するためのセンサが設けられており、制御ユニットが、予め設定された目標温度と現在温度とを比較し、この比較の結果に依存し、供給される空気流が目標温度を有するようにヒータ要素を制御することが好ましい。
(形態11)前記空気供給ユニットは、該空気供給ユニットが、0.5m/s〜1.5m/sの間の気流速度及び/又は4m/h〜5m/hの間の容積流量を有する空気流を供給することが好ましい。
(形態12)供給すべき空気をフィルタリングするためのフィルタ、及び/又は、排出される空気をフィルタリングするためのフィルタが設けられていることが好ましい。
(形態13)前記空気供給ユニットは、前記乾燥室の下部領域において空気流を供給することが好ましい。
(形態14)前記乾燥室において互いに対向配置された2つの側壁には、各々、該乾燥室内へ空気流を供給するための少なくとも1つのスリット状ノズルが設けられていることが好ましい。
(形態15)前記空気供給ユニットは、空気流を供給するための少なくとも1つの空気供給路を含んで構成され、前記空気排出ユニットは、空気を排出するための少なくとも1つの空気排出路を含んで構成されること、及び、少なくとも一部分領域において前記空気供給路の境界壁と前記空気排出路の境界壁が一体式で構成されていることが好ましい。
【0038】
次に、本発明の具体的な実施例について図面を参照して説明する。
【0039】
本明細書に添付の図面の簡単な説明は、以下のとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】試料スライドの処理装置を示す概要斜視図である。
【図2】図1による試料スライドの処理装置を示す別の概要斜視図であり、図2では乾燥ユニットが(他の部分を鎖線として)強調されて示されている。
【図3】本発明の具体的な第1実施例による乾燥ユニットを示す概要斜視図であり、図3において摺動式扉は閉められた状態にある。
【図4】図3による乾燥ユニットを示す概要斜視図であり、図4において摺動式扉は開けらた状態にある。
【図5】図3、4による乾燥ユニットの断面を示す断面図である。
【図6】図1、2による試料スライドの処理装置を極めて簡素化して示す概要側面図である。
【図7】本発明の具体的な第2実施例による乾燥ユニットを示す概要断面図である。
【図8】本発明の具体的な第3実施例による乾燥ユニットを示す概要斜視図である。
【実施例】
【0041】
図1には、自動封入装置(自動カバーガラススリッピング装置 Eindeckautomat)10として構成されている、試料スライドの処理装置(取扱装置)の概要斜視図が示されている。自動封入装置10は、図1では非図示の搬入ユニットを含んで構成され、該搬入ユニット(インプットユニット)を介し、複数のラックを該ラック内に収容された試料スライドと共に自動封入装置10へ供給することができる。搬出コンパートメント(アウトプット用の区画)内に配置されたラックは例として符号20で示されている。また該ラック内には試料スライドが収容されている。
【0042】
ラック20及び試料スライドの供給は、手動でも、供給ユニットを用いて自動でも行うことができる。従って、自動封入装置10が試料スライド用の別の処理装置とは連結されていないスタンドアローン稼動も、ワークステーション稼動も可能である。ワークステーション稼動において自動封入装置10は、特に自動染色装置に隣接して配置され、この際、試料スライドは、これらの試料スライド上に配置された薄切片が染色された後に、自動で、ラック20内に収容されて自動染色装置から自動封入装置10へ移行される。
【0043】
更に自動封入装置10は移送ユニット12を有し、該移送ユニット12を用い、搬入ユニットを介して搬入されたラック20を封入モジュール14へ移送することができる。封入モジュール14内では試料スライドが個々にラック20から取り出される。取り出された試料スライド上には先ず封入剤(被覆剤 Eindeckmedium)が塗布され、引き続きこの封入剤上へ特にカバーガラスである被覆要素(Eindeckmittel)が載置される。このようにして薄切片はカバーガラスにより保護され、薄切片の顕微鏡検査における明瞭な表示ないし描写が保証されている。試料スライドの薄切片がこのように封入処理された後に、該試料スライドは、再び移送されてラック20内へ戻され、次の試料スライドが封入処理のために取り出される。
【0044】
ラック20の全ての試料スライドが封入処理された後に、移送ユニット12はラック20を乾燥ユニット16内へ移送する。乾燥ユニット16内では、ラック20内に収容されている試料スライドの封入剤から少なくとも一溶剤が少なくとも部分的に除去され(放出され: entziehen)、それにより封入剤が迅速に乾燥し、カバーガラスを試料スライドに付着させる。このようにして、その後の取り扱いの際にカバーガラスが滑って位置をずらしてしまうことが防止される。従って、薄切片の損傷、並びに試料スライドを取り扱う人をカバーガラスによって傷付けてしまうことが回避される。乾燥ユニット16については図2以降の図面を用いて更に詳細に説明される。
【0045】
乾燥ユニット16内に収容されているラック20の試料スライドが乾燥された後に、ラック20は移送ユニット12により乾燥ユニット16から搬出コンパートメント18へ移送される。搬出コンパートメント18は、該搬出コンパートメント18内に多数のラック20が収容可能であるように構成されている。それらのラック20は、該ラック(試料スライド)が顕微鏡検査のために顕微鏡へ供給される前に搬出コンパートメント18から手動及び/又は自動で取り出すことができる。
【0046】
図2には、図1による自動封入装置10の概要図が示されているが、図2では自動封入装置10のハウジング22(破線で図示)と乾燥ユニット16(実線で図示)だけが示されており、ハウジング22内の乾燥ユニット16の配置構成を明確に見ることができる。自動封入装置10の他の構成要素は、図面の見易さのために図示されていない。
【0047】
図3、4には、乾燥ユニット16を示す概要斜視図が示されおり、図3において摺動式扉(スライド式ドア24)は閉められた状態にあり、図4において該摺動式扉は開けられた状態にある。図5には、図3、4による乾燥ユニット16の一断面図が示されている。
【0048】
乾燥ユニット16は、乾燥室26を含んで構成され、該乾燥室26内には、図1〜5に図示された具体的な実施例において2つのラック28、30が同時に収容可能である。各々のラック28、30には、封入剤が塗布され且つカバーガラスが載置された(封入処理を終えた)多数の試料スライドが収容されており、これらの試料スライドの1つが図4では例として符号32で示されている。本発明の一変形実施形態において乾燥室26は、該乾燥室26内に1つだけのラック又は2つよりも多くのラックが収容可能であるように構成することもできる。2つのラック28、30の収容可能性により、時間単位ごとにより高いスループット(処理量)をもってラック28、30を乾燥させることができる、従って試料スライド32を乾燥させることができるようになるが、それにも拘らず乾燥ユニット16はコンパクトに構成されている。乾燥室26は、該乾燥室26を画定するケーシング34により包囲されている。ケーシング34は開口部36を有し、該開口部36を通り、ラック28、30が移送ユニット12から供給され、該乾燥ユニット16から取り出すことができる。或いはまた、開口部36を通ったラック28、30の手動の供給及び/又は手動の取り出しも可能である。開口部36は、レール38を介して案内される摺動式扉(スライド式ドア)24を用いて閉鎖可能である。そのような摺動式扉24は旋回式扉に比べると必要なスペースはより少なくて済むため、同様に乾燥ユニット16のコンパクトな構造が達成される。更にケーシング34は跳ね蓋(フラップ)25(図1、2)を含んで構成され、該跳ね蓋25を通り、例えば整備のため及び/又は故障時に乾燥室26への手動アクセス(手が届くこと)が可能である。
【0049】
更に乾燥ユニット16は空気供給ユニット40を含んで構成され、該空気供給ユニット40は、乾燥室26へ、従って乾燥室26内に収容されている試料スライド32へ空気流を供給する。試料スライド32のところを通っていき、該試料スライド32を特に取り巻くように流れる空気流により、該試料スライド32の封入剤から溶剤が除去され(放出され: entziehen)、従って封入剤の乾燥が達成される。
【0050】
空気供給ユニット40は、自動封入装置10の外部から周辺空気を吸引するファン42を含んで構成される。ファン42に後置されたヒータ要素(ヒータエレメント)44が、空気流として供給された周辺空気を、特に自動封入装置10の周りの周辺空気の温度よりも高い、予め設定された温度に加熱する。加熱空気流は、引き続き空気供給路46を介して乾燥室26へ供給され、従って試料スライド32へ供給される。
【0051】
ヒータ要素44は、空気流を特に40℃〜50℃の間の温度に加熱し、それにより試料スライド32は短時間内で乾燥されるが、試料スライド32上に載置されている薄切片が高すぎる温度によって損傷されてしまうことが回避される。ヒータ要素44は、空気供給路46において乾燥室26とは反対側の端部に配置されており、従って乾燥室26からできるだけ遠くに離れて配置されている。ヒータ要素44と乾燥室26との間の大きな間隔により、ヒータ要素44から試料スライド32上の薄切片に対する直接的な熱放射が回避され、従って薄切片の損傷が予め防止される。
【0052】
本発明の一変形実施例では、ヒータ要素44を含まずに空気供給ユニット40を構成し、自動封入装置10の周りの空気の温度を有する周辺空気を空気流として供給させることもできる。この変形実施形態では、封入剤の乾燥のために確かにより長い時間が必要とされるが、乾燥ユニット16の構造はより簡単でよりコンパクトになり、エネルギー需要もより少なくなる。
【0053】
特にケーシング34は、該ケーシング34が断熱作用を有するように構成されており、それにより乾燥室26からケーシング34を介して漏れる熱エネルギーは僅かであり、従って必要なエネルギー需要も少なくなる。そのためにケーシング34及び/又は摺動式扉24は(少なくとも部分的に)例えば断熱材料を介して断熱されている。ケーシング34は、特にPU(ポリウレタン)発泡材を含んで構成される。或いはまた空気供給路46も断熱されており、それによりヒータ要素44から乾燥室26への空気流の移送中にも、発生する熱損失は僅かである。
【0054】
空気供給ユニット40は、特にファン42は、好ましくは該ファン42により乾燥室26へ供給される空気流が0.5m/s〜1.5m/sの間の気流速度、好ましくはほぼ1m/sの気流速度を有するように構成されている。更に空気供給ユニット40は、特にファン42は、4m/h〜5m/hの間の容積流量が達成されるように構成されている。空気供給ユニット40を上記のように構成し、空気流を上記のように適切に設定することにより、試料スライド32の封入剤が乾くためには、乾燥室26内のラック28、30の滞留時間はほぼ3分で十分であり、それによりラック28、30の取り出し後には、たとえ試料スライド32が斜めに保たれる場合にも、試料スライド32からカバーガラスが滑って位置をずらすことはない。
【0055】
本発明の一変形実施例では、空気供給ユニット40により供給される空気流の気流速度は0.5m/sより小さくても又は1.5m/sより大きくてもよい。同様に4m/hより小さい又は5m/hより大きい容積流量を空気供給ユニット40により発生させることもできる。
【0056】
更に乾燥ユニット16は、乾燥室26から空気を排出する空気排出ユニット48を含んで構成される。それにより、乾燥室26を通る連続的な空気流が維持され、該乾燥室26内に収容されている試料スライド32の連続的な乾燥処理が達成される。特に空気排出ユニット48を用い、冷却されて(熱を奪われて)より湿気を帯びた空気が排出される。空気排出ユニット48は空気排出路50を含んで構成され、該空気排出路50を通り、排出すべき空気が排出される。
【0057】
図6には、図1、2による自動封入装置10を極めて簡素化して示す概要側面図が示されている。図6では再びハウジング22と乾燥ユニット16のみが図示されている。また図6では空気流が流れ方向について複数の白抜き矢印により図示されている。
【0058】
矢印P1で示唆されている周辺空気がファン42により吸引され、ヒータ要素44により加熱される。引き続き、矢印P2、P3で示唆されている加熱空気が、空気供給路46を通って乾燥室26へ供給される。空気供給路46においてヒータ要素44の反対側の端部において、空気は矢印P4に応じて方向転換され、それにより空気が側方下方から乾燥室26内へ導かれる。
【0059】
乾燥室26内へ空気が導かれる前に、センサ52を用いて空気流の現在温度が検出される。非図示の制御ユニットが、予め設定された目標温度と前記現在温度とを比較し、この比較の結果に依存してヒータ要素44を、空気流が予め設定された目標温度又は目標温度範囲を有するように制御する。この制御は、特に閉ループ制御ないしフィードバック制御(Regelkreis)の形式で行われる。
【0060】
上向きの小さな矢印P5〜P8により示唆されているように暖かい空気は、乾燥室26の内部で上方へ向かって上昇する。この際、空気は、ラック28、30内で水平配置されている複数の試料スライド32の間を通過するように導かれる。この際、空気はこれらの試料スライドの周りを特に渦状に流れ、それにより高い乾燥能力が達成される。試料スライドの周りを空気が流れることで該空気は徐々に冷却され(熱を奪われ)、封入剤から気化(蒸発)された溶剤を吸収し、それにより封入剤が乾燥される。加熱空気よりも低い温度で溶剤の成分を含んだ空気は(降下して底部の)中央で吸引され、矢印P9に応じて乾燥室26の底部から空気排出路(ダクト)50を通って排出される。
【0061】
空気排出路50内には気流センサ54が配置されており、該気流センサ54を用い、空気流が空気排出路50を通って導かれているか否かを検出することができる。このようにして乾燥ユニット16の計画的な稼動を監視することができる。空気排出路50内には別のファン(排気ファン)56が配置されており、該(排気)ファン56により、乾燥室26から排出すべき空気が吸引される。別のファン56の上流側にはフィルタ58が配置されており、該フィルタ58により、矢印P10に応じて該フィルタ58へ供給される排出空気がフィルタリング(ろ過)される。フィルタ58は特に活性炭フィルタとして構成されている。フィルタ58により汚染物が除去され、従って汚染されていない排気空気が放出される。
【0062】
空気排出路50において乾燥室26から離れた端部には接続要素60が配置されており、該接続要素60を介し、空気排出路50は、自動封入装置10の設置されているラボの(略式図示してある)中央排気吸引装置62へ接続可能であり、それにより、矢印P11に応じる排出空気を、中央排気吸引装置62を介してラボの外部で野外へと導くことができる。
【0063】
図7には、本発明の具体的な第2実施例による乾燥ユニット70を示す概要断面図が示されている。この第2実施例において乾燥ユニット70は2つのスリット状ノズル72を含んで構成されており、該スリット状ノズル72は、互いに対向配置された2つの側壁74、76に配置されており、該スリット状ノズル72を介し、空気流が空気供給ユニット40から乾燥室26へ供給される。スリット状ノズル72は、該スリット状ノズルの縦方向(長手方向)が(該自動封入装置において)鉛直に延在するように配置されている。更にスリット状ノズル72は、該スリット状ノズルが、少なくとも、ラック28、30において最上段の試料スライド78と最下段の試料スライド80との間の間隔と同じ長さであるように構成されている。本発明の好ましい一実施形態においてスリット状ノズル72は、該スリット状ノズルがラック28、30において最上段の試料スライド78と最下段の試料スライド80との間の間隔よりも僅かに長いように構成されており、それによりラック28、30において最上段の試料スライド78及び最下段の試料スライド80の周りの空気流の通流も保証されている。
【0064】
スリット状ノズル72により、空気流がラック28、30内で水平配置されている複数の試料スライド32(詳しくは隣接試料スライド間の空隙)を通過するよう案内されることになり、従って、供給された加熱空気が十分にこれらの試料スライド32の周りを流れる。ラック28、30のこの通流により、供給された加熱空気は冷却され(熱を奪われ)、溶剤を(気化させてその成分を)吸収する。ラック28、30を通流した後には冷却空気が下方へ沈み(降下し)、下部領域の中央において空気排出ユニット48(図6参照)を用いて吸引される。
【0065】
図8には、本発明の具体的な第3実施例による乾燥ユニット90を示す概要斜視図が示されている。この第3実施形態において空気排出路50の部分領域は(2つの)空気供給路46の間に配置されている。このようにして乾燥ユニット90のコンパクトな構造が達成される。
【0066】
尚、本発明の全開示(請求の範囲及び図面を含む)の枠内において、更にその基本的技術思想に基づき、実施形態ないし実施例の変更、調整が可能である。また、本発明の請求の範囲の枠内において、種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせないし選択が可能である。即ち本発明は、請求の範囲及び図面を含む全開示、技術的思想に従い、当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
【符号の説明】
【0067】
10 自動封入装置
12 移送ユニット
14 封入モジュール
16、70、90 乾燥ユニット
18 搬出コンパートメント
20、28、30 ラック
22 ハウジング
24 摺動式扉(スライド式ドア)
25 跳ね蓋(フラップ)
26 乾燥室
32、78、80 試料スライド(試料支持体)
34 ケーシング
36 開口部
38 レール
40 空気供給ユニット
42 ファン
44 ヒータ要素(ヒータエレメント)
46 空気供給路
48 空気排出ユニット
50 空気排出路
52 温度センサ
54 気流センサ
56 ファン
58 フィルタ
60 接続要素
62 中央排気吸引装置(フード)
72 スリット状ノズル
74、76 側壁
P1〜P11 空気流

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料スライドの処理装置であって、
試料スライド上に配置された薄切片を封入処理するための少なくとも1つの封入モジュールを有し、
該封入モジュールは、先ず封入剤を前記試料スライド上へ塗布し、引き続いて被覆要素を該試料スライド上へ載置し、
前記試料スライド上へ塗布された前記封入剤から少なくとも一溶剤を少なくとも部分的に除去するための乾燥ユニットを有し、
前記乾燥ユニット(16、70、90)は、前記試料スライド(32、78、80)へ空気流を供給するための空気供給ユニット(40)を含んで構成され、
封入処理された前記試料スライド(32、78、80)を前記封入モジュール(14)から前記乾燥ユニット(16、70、90)へ移送するための移送ユニット(12)が設けられており、
該移送ユニット(12)は、該移送ユニット(12)を用い、前記試料スライド(32、78、80)の収容されているラック(20、28、30)が前記乾燥ユニット(16、70、90)へ供給可能であるように構成されており、
前記乾燥ユニット(16、70、90)は、乾燥室(26)を含んで構成され、該乾燥室(26)内には、少なくとも1つのラック(20、28、30)が収容可能であり、
前記空気供給ユニット(40)は、空気流を前記乾燥室(26)へ供給すること
を特徴とする処理装置。
【請求項2】
前記乾燥室(26)は、少なくとも2つのラック(20、28、30)が該乾燥室(26)内に収容可能であるように構成されていること
を特徴とする、請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】
前記乾燥ユニット(16、70、90)は、ケーシング(34)を含んで構成され、該ケーシング(34)は、前記試料スライド(32、78、80)の収容されているラック(20、28、30)及び/又は前記試料スライド(32、78、80)を供給及び/又は取り出すための開口部(36)を含んで構成されること
を特徴とする、請求項1又は2に記載の処理装置。
【請求項4】
前記開口部(36)は、摺動式扉を介して閉鎖可能であること
を特徴とする、請求項3に記載の処理装置。
【請求項5】
前記ケーシング(34)の少なくとも1つの部分領域が、断熱材料を用いて断熱されていること
を特徴とする、請求項3又は4に記載の処理装置。
【請求項6】
前記乾燥ユニット(16、70、90)は、前記乾燥室(26)から空気を排出するための空気排出ユニット(48)を含んで構成されること
を特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の処理装置。
【請求項7】
前記空気供給ユニット(40)は、予め設定された温度を有する空気流を供給すること
を特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の処理装置。
【請求項8】
前記空気供給ユニット(40)は、40℃〜70℃の間の予め設定された温度を有する空気流を供給すること
を特徴とする、請求項7に記載の処理装置。
【請求項9】
前記空気供給ユニット(40)は、空気流を加熱するためのヒータ要素(44)を含んで構成されること
を特徴とする、請求項7又は8に記載の処理装置。
【請求項10】
空気流の現在温度を検出するためのセンサ(52)が設けられており、制御ユニットが、予め設定された目標温度と現在温度とを比較し、この比較の結果に依存し、供給される空気流が目標温度を有するようにヒータ要素(44)を制御すること
を特徴とする、請求項9に記載の処理装置。
【請求項11】
前記空気供給ユニット(40)は、該空気供給ユニット(40)が、0.5m/s〜1.5m/sの間の気流速度及び/又は4m/h〜5m/hの間の容積流量を有する空気流を供給すること
を特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の処理装置。
【請求項12】
供給すべき空気をフィルタリングするためのフィルタ、及び/又は、排出される空気をフィルタリングするためのフィルタ(58)が設けられていること
を特徴とする、請求項7〜11のいずれか一項に記載の処理装置。
【請求項13】
前記空気供給ユニット(40)は、前記乾燥室(26)の下部領域において空気流を供給すること
を特徴とする、請求項7〜12のいずれか一項に記載の処理装置。
【請求項14】
前記乾燥室(26)において互いに対向配置された2つの側壁(74、76)には、各々、該乾燥室(26)内へ空気流を供給するための少なくとも1つのスリット状ノズル(72)が設けられていること
を特徴とする、請求項7〜12のいずれか一項に記載の処理装置。
【請求項15】
前記空気供給ユニット(40)は、空気流を供給するための少なくとも1つの空気供給路(46)を含んで構成され、前記空気排出ユニット(48)は、空気を排出するための少なくとも1つの空気排出路(50)を含んで構成されること、及び、少なくとも一部分領域において前記空気供給路(46)の境界壁と前記空気排出路(50)の境界壁が一体式で構成されていること
を特徴とする、請求項7〜14のいずれか一項に記載の処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−112963(P2012−112963A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257136(P2011−257136)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(500113648)ライカ ビオズュステムス ヌスロッホ ゲーエムベーハー (45)
【Fターム(参考)】