説明

試料ラックの移送のためのジャンクション、装置および方法

【課題】分析機器において、種々のワークセル間で異なる形式の試料ラックを移送する効率的な装置を提供する。
【解決手段】大きさの異なる試料ラック4、4’を移送するジャンクション15は、複数の主要移送ライン8、9と;前記主要移送ラインに交互に接続し、および/または少なくとも2つの前記主要移送ラインを相互接続するように連結される、回転可能な移送ライン11、12を設けた回転板6と;それぞれが、前記回転板をバイパスしつつ、小さい試料ラック4’の移送を可能にし、大きい試料ラック4の移送を不可能にするように曲線を描きながら2つの前記主要移送ラインを相互接続し、前記試料ラック4’をガイドするか、または留めるように作動する少なくとも1つの制御可能な主要/バイパスラインスイッチ18に結合された1つまたは2つ以上のバイパス移送ライン14とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動分析試料処理の分野のものであり、試料を処理する1つまたは2つ以上のワークセルを備えたシステムにおいて試料容器を保持する試料ラック移送のためのジャンクション、装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、種々の臨床化学および免疫化学の分析項目に対し、試料を分析する自動機器の使用が慣行されている。典型的に、機器は複数の処理工程を行う2つ以上のワークセルを含み、多くの場合、それは種々の分析方法に関するが、たとえば、後の段階でさらに処理するために、試料分析を準備し、試料を保管する分析前および/または分析後処理工程にも関連する。
【0003】
自動試料処理の過程において、典型的にその試料またはそのアリコートは、個別の部分が取り出し可能、および/または試薬、希釈剤および緩衝液などの様々な流体を試料に加えることができるように1つのワークセルから別のワークセルへ移送される。自動化機器において、試料を収容する複数の容器は通常、複数の容器を保持する試料ラックを介して移送され、1つのラックは、1つの容器(単一のホルダー)、または互いに連続して配列された複数の容器(多数のホルダー)のいずれかを保持する。自動化機器において、種々のワークセルの間で試料ラックを移送する専用の移送装置の使用が慣用されている。したがって、このような移送装置は当業者に周知であり、特許文献1および特許文献2などの特許文献に記載されている。
【0004】
分析機器では、ただ1つのラック形式(ラックサイズ)の使用が都合がよいであろう。しかし、ワークセルが異なると、異なるラック形式を必要とすることがある。ラック形式が異なると、使用前に複雑な再フォーマット作業を必要とし、ほとんどの場合、これに時間を消費し、費用がかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6202829号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第1460431号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、分析機器において、種々のワークセル間で異なる形式の試料ラックを移送する効率的な装置を提供することである。この目的およびさらなる目的は、独立請求項に記載の試料ラックを移送するジャンクション、移送装置および方法によって達成される。好ましい実施形態は、従属請求項に記載している。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書で使用する、用語「試料」は、目的の1または2以上の検体が存在し得る液状流体または乾燥物質を含む。いくつかの実施形態において、試料とは、例えば、それだけに限定されないが、薬物間相互作用スクリーニング、環境解析および有機物質の同定など1つまたは2つ以上の化学分析およびアッセイを行うことができる化学的流体である。いくつかの実施形態において、試料とは、例えば、それだけに限定されないが、医学および薬学研究および臨床診断において1つまたは2つ以上の分析およびアッセイを行うことができる血液、血漿、尿素、唾液および脊髄液などの体液といった生物学的流体である。
【0008】
本発明の一態様によると、試料を処理する1つまたは2つ以上のワークセルを備える分析システムにおいて試料ラックを移送するための新たなジャンクションが提案されている。このジャンクションは、第1および第2試料ラックを移送する複数の主要移送ラインを備え、それぞれの主要移送ラインの移送方向において、第1の試料ラックは、第2の試料ラックよりラックサイズが大きい。いくつかの実施形態において、第1の試料ラックのそれぞれは2、3、4、5またはそれ以上の複数の試料容器を保持する一方で、第2の試料ラックのそれぞれは1つの試料容器しか保持しない。
【0009】
ジャンクションはさらに、第1および第2の試料ラックを移送するための少なくとも1つの回転可能な移送ラインを設けた回転板を備える。ジャンクションにおいて、主要移送ラインに交互に接続し、および/または少なくとも2つの主要移送ラインを相互接続するように、少なくとも1つの回転可能な移送ラインは連結される。
【0010】
ジャンクションはさらに、1つまたは2つ以上のバイパス移送ラインを備え、そのそれぞれが回転板をバイパスするように2つの主要移送ラインを相互接続し、第2の試料ラックの移送を可能にし、かつ、第1の試料ラックの移送を不可能にするように曲線を描く。その他に、各バイパス移送ラインは、1つの主要移送ラインからバイパス移送ラインまで第2の試料ラックをガイドするか、または主要移送ライン上に第2の試料ラックを留めるように作動する少なくとも1つの制御可能な主要/バイパスラインスイッチを備える。いくつかの実施形態において、ジャンクションは、回転板に隣接して配置される1つまたは2つ以上のバイパス移送ラインを備える。いくつかの実施形態において、各バイパス移送ラインは、隣接する主要移送ラインを相互接続する。
【0011】
一般に、移送ラインのそれぞれは、1つの移送方向(一方向)または両方の移送方向(二方向)に試料ラックを移送するように構成され得る。
【0012】
いくつかの実施形態において、ジャンクションはペアの主要移送ラインを備え、各ペアは対向する移送方向に第1および第2の試料ラックを移送するように構成され、一方の主要移送ラインは1つの移送方向に試料ラックを移送するように構成され、他方の主要移送ラインは、反対の移送方向に試料ラックを移送するように構成される。いくつかの実施形態において、主要移送ラインの各ペアの主要移送ラインそれぞれは、両方の移送方向に試料ラックを移送するように構成される。
【0013】
いくつかの実施形態において、1つまたは2つ以上の主要移送ラインのペアはそれぞれ、少なくとも1つの相互接続移送ラインにより相互接続され、相互接続移送ラインは、1つの主要移送ラインから相互接続移送ラインまで第2試料ラックをガイドするか、または1つの主要移送ライン上に第1および第2の試料ラックを留めるように作動する少なくとも1つの制御可能な主要/主要ラインスイッチを備える。
【0014】
いくつかの実施形態において、バイパス移送ラインおよび相互接続移送ラインは、回転板の周りにループ状の移動経路を形成する。
【0015】
いくつかの実施形態において、回転板は、対向する方向に第1および第2の試料ラックを移送するように構成された1つのペアの回転可能な移送ラインを備える。
【0016】
本発明の別の態様において、試料を処理する1つまたは2つ以上のワークセルを備える分析システムにおいて試料ラックを移送する新規の自動移送装置が提案される。移送装置は、上記で詳述されたような1つまたは2つ以上のジャンクションを含む。さらに移送装置は、
回転可能な移送ラインが回転して主要移送ラインを相互接続し、第1および第2の試料ラックは回転可能な移送ラインで移送され、または、
回転可能な移送ラインが回転して主要移送ラインに交互に接続され、第1の試料ラックは回転可能な移送ラインで移送され、第2の試料ラックは主要移送ラインを相互接続するバイパス移送ラインで移送されるように、
1つのジャンクションの2つの主要移送ラインの間で試料ラックの移送の制御を設定するコントローラを含む。
【0017】
ペアの主要移送ラインを備え、各ペアが対向する方向に試料ラックを移送するように構成されている移送装置のいくつかの実施形態において、コントローラは、一方の主要移送ラインから回転可能な移送ラインまで試料ラックを移送し、少なくとも1つの回転可能な移送ラインを回転することによって他方の主要移送ラインに接続し、試料ラックを他方の主要移送ラインへ移送することにより、主要移送ラインの1つのペアの主要移送ライン間で試料ラックの移送を制御するよう設定される。
【0018】
移送装置のいくつかの実施形態において、主要移送ラインの1つまたは2つ以上のペアはそれぞれ、少なくとも1つの相互接続移送ラインで相互接続され、相互接続移送ラインは、一方の移送ラインから相互接続移送ラインまで第2の試料ラックをガイドすることによって、主要移送ラインのペアの他方の主要移送ラインに第2の試料ラックを移送するか、または一方の主要移送ライン上に第1および第2の試料ラックを留めるように作動する少なくとも1つの制御可能な主要/主要ラインスイッチを備える。さらに、コントローラは、相互接続ラインによって第2の試料ラックを移送することによって、1つのペアの主要移送ライン間の第2の試料ラックの移送を制御するように設定される。
【0019】
移送装置のいくつかの実施形態において、1つまたは2つ以上のスイッチそれぞれが、ラックサイズを感知するように構成されたラックサイズセンサーに操作可能に連結される。さらに、コントローラは、ラックサイズセンサーでラックサイズが決定されてラックサイズセンサー信号を取得し、スイッチがラックサイズのセンサー信号に基づいて作動するといった方法で、第1および第2の試料ラックの移送を制御するよう設定される。
【0020】
本発明のさらなる別の態様において、試料を処理する1つまたは2つ以上のワークセルを備える新規の分析システムが提案される。ワークセルは、試料の分析、場合により分析前および/または分析後の試料処理工程に関連するものでもよい。さらに、このシステムは、上記で詳述したような自動移送装置を備える。
【0021】
システムのいくつかの実施形態において、ワークセルには、第1および/または第2のワークセルが含まれ、第1のワークセルのそれぞれが、1つの主要移送ラインに接続された1つの補助移送ラインを備えることによって補助移送ラインで移送される試料を処理し、第2のワークセルのそれぞれが、少なくとも1つの主要移送ラインを備えることによって主要移送ラインで移送される試料を処理する。いくつかの実施形態において、第1ワークセルのそれぞれは、1つの補助移送ラインに平行に配列されている。
【0022】
本発明のさらなる別の態様において、試料を処理する1つまたは2つ以上のワークセルを備える自動分析システムにおいて第1および第2の試料ラックを移送する新規の方法が提案される。移送方向において、第1の試料ラックは第2の試料ラックよりサイズが大きい。この方法は以下の工程を含む。
主要移送ラインに交互に接続するように、少なくとも1つの回転可能な移送ラインを回転させることで、1つの主要移送ラインから別の主要移送ラインに第1の試料ラックを移送する。
バイパス移送ラインを用いて、一方の主要移送ラインから他方の主要移送ラインまで第2の試料ラックを移送する工程であり、このバイパス移送ラインは、回転可能な移送ラインをバイパスするように主要移送ラインを相互接続し、第2の試料ラックの移送を可能にし、且つ第1の試料ラックの移送を不可能にするように曲線を描く。
【0023】
この方法のいくつかの実施形態において、第1および第2の試料ラックは、1つの主要移送ラインから別の主要移送ラインまで移送され、これらの主要移送ラインは、少なくとも1つの回転可能な移送ラインが回転し、回転可能な移送ラインによって試料ラックを移送することで対向する方向に試料ラックを移送するように構成される。具体的に述べると、試料ラックは、1つの主要移送ラインから回転可能な移送ラインに移送され、少なくとも1つの回転可能な移送ラインが回転することによって他方の主要移送ラインに接続し、試料ラックが他方の主要移送ラインに移送される。
【0024】
本発明の種々の態様の上記実施形態は、本発明の範囲を逸脱することなく、単独または任意で組み合わせて使用できる。
【0025】
本発明のさらなる目的、特徴および利点を以下により十分に説明する。添付の図面は、明細書の一部に組み込まれ、かつこれを構成し、本発明の好ましい実施形態を示し、上記の全体的な記載および下記の詳細な記載と合わせ、本発明の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の試料を処理するシステムの実施形態を例示した上面概略図である。
【図2】図1のシステムのジャンクションを示す上面概略図である。
【図3】図2のジャンクションを用いた試料ラックを移送する種々の代表的なシナリオを示す上面概略図である。
【図4】図2のジャンクションを用いた試料ラックを移送する種々の代表的なシナリオを示す上面概略図である。
【図5】図2のジャンクションを用いた試料ラックを移送する種々の代表的なシナリオを示す上面概略図である。
【図6】図1のシステムの第1のワークセルを示す上面概略図である。
【図7】図1のシステムの第2のワークセルを示す上面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明を添付図面を参照して、以下に詳細に説明する。特に図1を参照し、概して参照符号1として、試料を処理する複数のワークセルを備えたシステムの実施形態の例を説明する。
【0028】
図示されるように、いくつかの実施形態において、システム1は、試料を分析する1種または2種以上の種々の分析方法に関し得る複数の分析ワークセル2、2´と、1つまたは2つ以上の分析前試料処理工程を行うための1つの分析前ワークセル16と、後のさらなる処理のために試料を保存するなどの、1または2以上の分析後試料処理工程を行うための1つの分析後ワークセル17とを備える。
【0029】
いくつかの実施形態において、図1および2を参照すると、システム1は、概ね水平な面において、ラック形式の異なる試料ラック4、4´を移送する複数の主要移送ライン8、9を備える移送装置3を含む。具体的には、移送装置3は、第1および第2の試料ラック4、4´をともに移送するよう構成され、第1のラックタイプの第1の試料ラック4は、第2ラックタイプの第2の試料ラック4´に比べ、主要移送ライン8、9の移送方向においてラックサイズが大きく、第2の試料ラック4´は、第1の試料ラック4よりもラックサイズが小さい。試料ラック4、4´のそれぞれには、1つまたは2つ以上の試料容器5が設けられている。具体的には、第1の試料ラック4のそれぞれはラックサイズが大きいため、第2の試料ラック4´に比べ多くの試料容器5を保持することができる。図2に示されるように、いくつかの実施形態において、第1の試料ラック4のそれぞれが複数の試料容器5を、例えば5つ保持する一方で、第2の試料ラック4´のそれぞれが1つの試料容器しか保持しないということが挙げられるが、この例に限定されない。
【0030】
図示されるように、いくつかの実施形態において、移送装置3は、種々の主要移送ライン8、9の間で試料ラック4、4´を移送するために複数のジャンクション15を、例えば、2つのジャンクション15を備えることが挙げられるが、これに限定されない。具体的には、図2は、図1のシステム1の1つのジャンクション15の拡大図を示す。続いて図1および2を参照すると、ジャンクション15のそれぞれは、主要移送ライン8、9が一方向に動く場合に、いずれの移動点も後戻りすることなく、試料ラック4、4´が1つの地点から別の地点に移動することを可能にする直線の移動経路をそれぞれ定義する、第1および第2の試料ラック4、4´を移送する複数の主要移送ライン8、9を備える。図示されるように、いくつかの実施形態において、主要移送ライン8、9は平行な移送ラインのペアであり、主要移送ライン8、9の各ペア7が対向する移送方向に第1および第2の試料ラック4、4´を移送するように構成される。具体的には、主要移送ライン8、9の各ペア7において、1つの主要移送ラインは、1つの移送方向(一方向)に第1および第2の試料ラック4、4´を移送するように構成される一方で、他方の主要移送ラインは、対向するもう一方の移送方向(一方向)に第1および第2の試料ラック4、4´を移送するように構成される。その他に、主要移送ライン8、9それぞれは、対向する移送方向(二方向)に第1および第2の試料ラック4、4´を移送するように構成されることができる。
【0031】
続いて図1および図2について、各ジャンクション15は、対向する方向に第1および第2の試料ラック4、4´を移送する回転可能な移送ライン11、12のペア10を設けた1つの回転板を備える。具体的には、回転可能な移送ライン11、12のペア10において、1つの回転可能な移送ラインは、1つの移送方向(一方向)に第1および第2の試料ラック4、4´を移送するように構成されることができる一方で、他方の回転可能な移送ラインは、対向するもう一方の移送方向(一方向)に第1および第2の試料ラック4、4´を移送するように構成される。その他に、回転可能な移送ライン11、12それぞれは、対向する移送方向(二方向)に第1および第2の試料ラック4、4´を移送するように構成することができる。
【0032】
図示されるように、回転可能な移送ライン11、12は、主要移送ライン8、9の複数のペア7に、例えば、4つのペア7に連結されることが挙げられるが、それに限定されない。いくつかの実施形態において、1つの回転板6に連結された隣接する主要移送ライン8、9のペア7は、互いに直角に配置される。具体的には、いくつかの実施形態において、ジャンクション15は、2つの対向するペア7の第1の組および第1の組から90°の角度で傾いた2つの対向するペア7の第2の組を含む。しかし、主要移送ライン8、9のペア7が図1および2に示される向き以外のいずれの向きにすることもできることが示唆される。具体的には、いくつかの実施形態において、各ジャンクション15は、2つの対向するペア7の第1の組および第1連結部に対して90°以外の角度に傾いた2つの対向するペア7の第2の組を含む。
【0033】
1つの回転板6に連結された主要移送ライン8、9の各ペア7は、回転板6に向かって、およびそこから離れるように第1および第2の試料ラック4、4´を移送するための共通の移送経路であることがわかる。具体的には、いくつかの実施形態において、各ジャンクション15では、1つのペア7のうち第1の主要移送ライン8を操作して、回転板6に向かって第1および第2の試料ラック4、4´を移送することができる一方で、そのペア7の第2の主要移送ライン9を操作して、回転板6から離れるように第1および第2の試料ラック4、4´を移送することができる。その他に、いくつかの実施形態において、回転可能な移送ライン11、12のペア10のうち第1の回転可能なライン11を操作して、連結されるペア7の第1の主要移送ライン8と同じ方向に第1および第2の試料ラック4、4´を移送することができる一方で、そのペア10の第2の回転可能な移送ライン12を操作して、ペア7の第2の主要移送ライン9と同じ方向に試料ラック4、4´を移送することができる。
【0034】
回転板6において、主要移送ライン8、9の各ペア7について、回転可能な移送ライン11、12のペア10が回転できることによって、主要移送ライン8、9の1つのペア7の第1の主要移送ライン8に第1の回転可能なライン11を接続することができる一方で、第2の回転可能なライン12は、第2の主要移送ライン9に接続される。図示されるように、いくつかの実施形態において、2つの対向するペア7の第1の組および2つの対向するペア7の第2の組により、主要移送ライン8、9の2つの対向するペア7の各組について、回転可能な移送ライン11、12のペア10が回転することによって、第1の主要移送ライン8と第2の主要移送ライン9をそれぞれ相互接続することができる。
【0035】
その他に、回転可能なライン11、12のペア10が回転できることによって、主要移送ライン8、9の1つのペア7の第1の主要移送ライン8に第1の回転可能なライン11を接続することができる一方で、第2の回転可能なライン12は、そのペア7の第2の主要移送ライン9に接続され、その後、180°回転することによって、主要移送ライン8、9の同じペア7の第2の主要移送ライン9に第1の回転可能なライン11を接続させることができる一方で、第2の回転可能なライン12がそのペア7の第1の主要移送ライン9に接続される。
【0036】
さらに図1に示されるように、いくつかの実施形態において、主要移送ライン8、9の1つのペア7の第1および第2の主要移送ライン8、9の一端が、1つの回転板6に連結される一方で、その他端が曲線部分22で接続され、第2の試料ラック4´を一方向に移送することで対向する方向に運ぶことが可能になる。いくつかの他の実施形態において、主要移送ライン8、9の1つのペア7の第1および第2の主要移送ライン8、9の他端が回転板(図示されていない)により接続され、第1および第2の試料ラック4、4´をともに一方向に移送することで対向する方向に運ぶことが可能になる。
【0037】
さらにひき続き図1および図2を参照すると、いくつかの実施形態において、ジャンクション15は、それぞれが、回転板6に隣接して配置される複数のバイパス移送ライン14を、例えば、4つのバイパス移送ライン14を備えていることが挙げられるが、これに限定されない。さらに図示されるように、いくつかの実施形態において、各バイパス移送ライン14は、1つの回転板6に連結される2つの隣接する主要移送ライン8、9のペア7に接続される。さらに図示されるように、いくつかの実施形態において、各バイパス移送ライン14は、主要移送ライン8、9の1つのペア7の第1の主要移送ライン8と、主要移送ライン8、9の隣接するペア7の第2の主要移送ライン9を相互接続する。各ジャンクション15において、各バイパス移送ライン14は、小さいサイズの第2の試料ラック4´のみの移送を可能にし、したがって大きいサイズの第1の試料ラック4の移送を不可能にするように曲線を描く。したがって、バイパス移送ライン14が大きく曲がっているため、有利なことに、ジャンクション15は比較的小さい寸法となり、それにより移送装置3の全体的な寸法を小さくすることができる。したがって、ジャンクション15では、主要移送ライン8、9の1つのペア7の第1の主要移送ライン8から、主要移送ライン8、9の隣接するペア7の第2の主要移送ライン9まで第2の試料ラック4´を移送するために、各バイパス移送ライン14は操作され得る。
【0038】
ひき続き図2を参照すると、いくつかの実施形態において、各バイパス移送ライン14は、主要移送ライン8、9の1つのペア7の第1の主要移送ライン8からそれに接続されるバイパス移送ライン14まで第2の試料ラック4´をガイドするか、または回転板6に向かって移送するために第1の主要移送ライン8上で第2の試料ラック4´を留めるように作動する1つの制御可能な主要/バイパスラインスイッチ18に操作可能に連結される。図に示されていないが、いくつかの実施形態において、制御可能な主要/バイパスラインスイッチ18は、ラックサイズセンサー信号を取得するために、ラックサイズを感知するよう構成されたラックサイズセンサーに操作可能に連結される。主要/バイパスラインスイッチ18の制御は、このラックサイズセンサー信号に基づいて行うことができる。
【0039】
さらにひき続き、図1および2を参照すると、いくつかの実施形態において、主要移送ライン8、9の1つのペア7の第1および第2の主要移送ライン8、9は、回転板6に隣接して配置され、第2の試料ラック4´を移送するように構成されている1つの相互接続ライン19で相互接続される。図2に示されるように、いくつかの実施形態において、各相互接続ライン19は、1つの主要移送ライン8、9から相互接続ライン19まで第2の試料ラック4´をガイドするか、または主要移送ライン8、9上に第1および第2の試料ラック4、4´を留めるように作動する1つの制御可能な主要/主要ラインスイッチ20に操作可能に連結される。図に示されていないが、いくつかの実施形態において、制御可能な主要/主要ラインスイッチ20は、ラックサイズセンサー信号を取得するために、ラックサイズを感知するように構成されるラックサイズセンサーに操作可能に連結される。主要/主要ラインスイッチ20の制御は、ラックサイズセンサー信号に基づいて行うことができる。
【0040】
さらにひき続き、図1および2を参照すると、いくつかの実施形態において、隣接する主要移送ライン8、9のペア7の第1および第2の主要移送ライン8、9は、バイパス移送ライン14で相互接続され、主要移送ライン8、9の1つのペア7の第1および第2の主要移送ライン8、9はそれぞれ相互接続ライン19で相互接続されており、合わせて回転板6を中心にループ状の移動経路となる。したがって、第2の試料ラック4´が、回転板6を中心にループ状の移動経路上で移送されることができるため、一方向に移動する場合、必要なだけ移動経路を繰り返すことが可能となる。
【0041】
さらにひき続き、図1を参照すると、いくつかの実施形態において、移送装置3は、1つまたは2つ以上の補助移送ライン23を備え、そのそれぞれが一方向に第2の試料ラック4´を移送するように構成される1つの主要移送ライン8、9に平行に配列されるように接続され、設けられている。図1に示されるように、いくつかの実施形態において、各補助移送ライン23は、主要移送ライン8、9の1つのペア7の第2の主要移送ライン9に接続されることによって第2の試料ラック4´が補助移送ライン23により回転板6から離れるように移送される。具体的には、いくつかの実施形態において、各補助移送ライン23は、第2の主要移送ライン9から補助移送ライン23まで第2の試料ラック4´をガイドするか、または第2の主要移送ライン9上に第2の試料ラック4´を留めるように作動する1つの制御可能な主要/補助ラインスイッチ(図示はされていない)に操作可能に連結される。補助移送ライン23から、第2の試料ラック4´は第2の主要移送ライン9に戻るように移送される。
【0042】
ひき続き、図1および特に図6を参照すると、いくつかの実施形態において、各補助移送ライン23は、1つまたは2つ以上の第1のワークセル2、例えば、1つのワークセル2と関連するが、これに限定されない。具体的には、いくつかの実施形態において、第1のワークセル2は、第2の試料ラック4´内の試料を分析するように構成される処理工程に関連し、第1のワークセル2それぞれは、それに結合された補助移送ライン23によって第2の試料ラック4´を移送すると同時に試料を処理するのに使用されることができる。図示されるように、いくつかの実施形態において、第1のワークセル2それぞれは、試料処理作業を行うように構成できるが、試料処理作業には、例えば、試料を分析するためにその一部を取り出したり、および/または利用者の具体的な要望に応じて希釈剤、緩衝液または他の物質などの流体物質を試料に加えるのに適応したピペットデバイス13を用いたピペット作業が挙げられるが、これに限定されない。補助移送ライン23で移送された場合、いくつかの実施形態において、第2の試料ラック4´は、それに接続された第2の主要移送ライン9で移送される場合の移送速度に比べ移送速度を小さくすることができる。いくつかの実施形態において、補助移送ライン23で運ばれる第2の試料ラック4´はまた、試料処理作業を行うために所定の時間間隔で停止させることもできる。図示されていないが、いくつかの実施形態において、第1のワークセル2は、第1または第2の試料ラック4、4´のいずれかに収容される試料を分析するように構成される処理工程に関連する。したがって、補助移送ライン23は、一方向に第1および第2の試料ラック4、4´をともに移送するように構成されることができ、(図示されていない)制御可能な主要/補助ラインスイッチは、第2の主要移送ライン9から補助移送ライン23まで第1および第2の試料ラック4、4´をガイドするか、または第2の主要移送ライン9上に第1および第2の試料ラック4、4´を留めるように作動可能である。
【0043】
ひき続き、図1および特に図7を参照すると、いくつかの実施形態において、主要移送ライン8、9の1つまたは2つ以上のペア7における第1および第2の主要ライン8、9は、第2のワークセル2´と関連する。具体的には、いくつかの実施形態において、第2のワークセル2´は、第1の試料ラック4で移送される試料を分析するように構成される処理工程に関連し、第2のワークセル2それぞれを使って、それに関連する主要移送ライン8、9のペア7によって試料を収容する第1の試料ラック4を移送すると同時に試料を処理することができる。具体的には、図示されるように、いくつかの実施形態において、主要移送ライン8、9の1つのペア7は、1つの第2のワークセル2´に関連することができ、その第1および第2の主要移送ライン8、9が、第2のワークセル2´に向けられることによって、第1の試料ラック4、4´は、第2のワークセル2´の内外に移送されることができる。図示されていないが、いくつかの実施形態において、第1のワークセル2は第1または第2の試料ラック4、4´のいずれかに収容される試料を分析するように構成される処理工程に関連する。
【0044】
システム1において、移送装置3は、1つまたは2つ以上の駆動手段により駆動できるが、駆動手段としては例えば、ベルト駆動が挙げられるが、これに限定されない。いくつかの実施形態において、個々の移送ラインは、個別の駆動手段により駆動される。いくつかの実施形態において、1つまたは2つ以上の移送ラインが同じ駆動手段により駆動される。いくつかの実施形態において、回転可能な移送ラインそれぞれは、1つの回転手段によって回転することができるが、この回転手段として例えば、電気駆動ローターが挙げられるが、これに限定されない。
【0045】
さらにシステム1は、移送装置3による試料ラック4、4´の移送を含む、種々のワークセル2、2´、16、17による試料処理を制御するよう設定されるコントローラ21を備える。コントローラ21は、例えば、制御を必要とし、および/または情報を提供する、ワークセル2、2´、16、17と、種々の移送ラインおよびスイッチを含む移送装置3とを含むシステムコンポーネントに電気的に接続されるコンピューター読み取り可能プログラムを稼働するプログラム可能なロジックコントローラとして具体化されることができる。具体的には、いくつかの実施形態において、コントローラ21は、図3〜5に概略的に図示されるように、1つのジャンクション15によって第1および第2の試料ラック4、4´を移送する種々のシナリオを制御するよう設定される。
【0046】
まず、システム1の1つのジャンクション15によって第1および第2の試料ラック4、4´を移送する第1のシナリオを示す図3を参照する。このシナリオでは、第1および第2の試料ラック4、4´は、下方の主要移送ライン8、9のペア7から主要移送ライン8、9の上方のペア7に移送される。このため、回転可能な移送ライン11、12のペア10が回転することによって、第1および第2の回転可能な移送ライン11、12それぞれが、対向する主要移送ライン8、9のペア7の第1および第2の主要移送ライン8、9を相互接続する。次いで、第1および第2の試料ラック4、4´を、点線および破線の矢印で示されるように、直線の移動経路で回転板6を通過するように移送することができる。したがって、回転板6が、主要移送ライン8、9の対向する2つのペア7を相互接続する回転位置にある場合、主要移送ライン8、9の一方のペア7から主要移送ライン8、9の他方のペア7まで第1および第2の試料ラック4、4´を移送するため回転板6をさらに回転させる必要はない。
【0047】
システム1の1つのジャンクション15によって第1および第2の試料ラック4、4´を移送する第2のシナリオを示す図4を参照する。このシナリオでは、第1および第2の試料ラック4、4´が下方の主要移送ライン8、9のペア7から、右に隣接する主要移送ライン8、9のペア7まで移送され、それにより、試料ラック4、4´の移送方向が右に変更する。このため、回転板6が回転し、その2つのペアの第1および第2の主要移送ライン8、9に交互に接続する。より具体的に記述すると、回転板6は、第1および第2の回転可能な移送ライン11、12が主要移送ライン8、9の下方のペア7の第1および第2の主要移送ライン8、9に接続される回転位置に回転する。次いで、1つまたは2つ以上の第1の試料ラック4が第1の主要移送ライン8から第1の回転可能な移送ライン11まで移送され、回転板6で停止する。次いで、図示されるように、回転板6は、第1および第2の回転可能な移送ライン11、12が主要移送ライン8、9の右のペア7の第1および第2の主要移送ライン8、9に接続されるもう1つの回転位置に、右に90°回転する。次いで、1つまたは2つ以上の第1の試料ラック4が第1の回転可能な移送ライン11から主要移送ライン8、9の右のペア7の第1の主要移送ライン8まで移送される。第1の試料ラック4の移送は、破線の矢印で示される。その他に、第2の試料ラック4´は、回転板6で移送されるのではなく、点線の矢印で示されるように、下方および右の主要移送ライン8を相互接続するバイパス移送ライン14を介して移送される。それゆえ、回転板6は一方の主要移送ライン8から他方の主要移送ライン8まで第1の試料ラック4を移送するために回転する一方で、第2の試料ラック4´は、バイパス移送ライン14を介して移送される。
【0048】
システム1の1つのジャンクション15により第1および第2の試料ラック4、4´を移送する第3のシナリオを示す図5を参照する。このシナリオでは、第1および第2の試料ラック4、4´は、主要移送ライン8、9の下方のペア7から隣接する主要移送ライン8、9の左のペア7まで移送され、それによって試料ラック4、4´の移送方向が左に変更になる。したがって、回転板6が回転し、2つのペア7のライン8、9に交互に接続される。詳述すると、回転板6は、第1および第2の回転可能な移送ライン11、12が主要移送ライン8、9の下方のペア7の第1および第2の主要移送ライン8、9に接続される回転位置に回転する。次いで、1つまたは2つ以上の第1の試料ラック4は、第1の主要移送ライン8から第1の回転可能な移送ライン11まで移送され、回転板6で停止する。次いで、図示されるように、回転板6は、第1および第2の回転可能な移送ライン11、12が主要移送ライン8、9の左のペア7の第1および第2の主要移送ライン8、9に接続されるもう1つの回転位置に、左へ90°回転する。次いで、1つまたは2つ以上の第1の試料ラック4は、第1の回転可能な移送ライン11から主要移送ライン8、9の左のペア7の第1の主要移送ライン8まで移送される。第1の試料ラック4の移送は、破線の矢印により示される。その他に、第2の試料ラック4´の移送のために、回転板6は、第1および第2の回転移送ライン11、12が対向する主要移送ライン8、9の上方および下方のペア7の第1および第2の主要移送ライン8、9を相互接続する回転位置に回転する。そして、第2の試料ラック4´は、主要移送ライン8、9の下方のペア7の第1の主要移送ライン8から直線の移動経路で回転板6を通過して主要移送ライン8、9の上方のペア7の第2の主要移送ライン9まで移送される。次いで、第2の試料ラック4´は、相互接続移送ライン19を介して第2の主要移送ライン9から主要移送ライン8、9の上方のペア7の第1の主要移送ライン8まで移送される。次いで、第2の試料ラック4´は、点線の矢印で示されるように、主要移送ライン8、9の上方のペア7の第1の主要移送ライン8および主要移送ライン8、9の左のペア7の第2の主要移送ライン9を相互接続するバイパス移送ライン14を介して、主要移送ライン8、9の上方のペア7の第1の主要移送ライン8から主要移送ライン8、9の左のペア7の第2の主要移送ライン9まで移送される。別法として、回転板6を介して移送される代わりに、第2の試料ラック4´は、もう1つの点線の矢印で示されるように、主要移送ライン8、9の下方のペア7の第1の主要移送ライン8と主要移送ライン8、9の右のペア7の第2の主要移送ライン9を相互接続するバイパス移送ライン14、主要移送ライン8、9の右のペア7の相互接続移送ライン19、主要移送ライン8、9の右のペア7の第1の主要移送ライン8と主要移送ライン8、9の上方のペア7の第2の主要移送ライン9を相互接続するバイパス移送ライン14、主要移送ライン8、9の上方のペア7の相互接続移送ライン19、および主要移送ライン8、9の上方のペア7の第1の主要移送ライン8と主要移送ライン8、9の左のペア7の第2の主要移送ライン9を相互接続するバイパス移送ライン14からなる複合的な移動経路を用いて移送されることもできる。
【0049】
図示されていないが、システム1の1つのジャンクション15による第1および第2の試料ラック4、4´を移送するための別のシナリオでは、第1および第2の試料ラック4、4´は、主要移送ライン8、9の1つのペア7の第1の移送ライン8から主要移送ライン8、9の同じペア7の第2の主要移送ライン9まで以下の方法で移送されることができる。
回転板6が回転し、主要移送ライン8、9のペア7の第1および第2の主要移送ライン8、9それぞれに第1および第2の回転可能な移送ライン11、12を接続する。次いで、1つまたは2つ以上の第1および/または第2の試料ラック4、4´がその第1の主要移送ライン8から第1の回転可能な移送ライン11まで移送され、回転板6で停止する。次いで、回転板6は、第1の回転可能な移送ライン11が主要移送ライン8、9の同じペア7の第2の主要移送ライン9に接続されるもう1つの回転位置に180°回転する一方で、第2の回転可能な移送ライン12は、その第1の主要移送ライン8に接続される。次いで、第1および/または第2の試料ラック4、4´は、第1の回転可能な移送ライン11から主要移送ライン8、9のペア7の第2の主要移送ライン9まで移送される。
【0050】
上記のように、分析システム1は、種々の分析前、分析中および分析後のワークセル2、2´、16、17の間において、例えば、単一のホルダー(1容器ラック)および複数のホルダー(多容器ラック)として具体化される異なるラック形式を有する試料ラック4、4´の移送のためのフレキシブルな移送装置3を含む。バイパス移送ライン14により、ジャンクション15は、両方のラック形式の試料ラック4、4´をより効率的に移送することができる。具体的には、直線の移動経路に沿って移動する場合、両方のラック形式の試料ラック4、4´を同じ主要移送ライン8、9で移送することができる。試料ラック4、4´が第1の主要移送ライン8と同じ側に移送方向を変更する必要がある場合、ジャンクション15を使用することにより、第1の試料ラック4は回転板6を介して移送され、第2の試料ラック4´は、主要移送ライン8、9の隣接するペア7の第1および第2の主要移送ライン8、9を相互接続するバイパス移送ライン14を介して移送される。したがって、第2の試料ラック4´は回転板6に到達する前に迂回し、回転板6からのびる第2の主要移送ライン9と合流する曲線のバイパス移送ライン14を介して方向を変えることができる。第2の主要移送ライン9に入っていくとき、試料ラックの衝突を回避するため、第1または第2の試料ラック4、4´のいずれかを制御することができる。特に、第1の試料ラック4に1つの第2の試料ラック4´が続き、それに第1の試料ラック4が続いているために、個々の第2の試料ラック4´を移送するために回転板6を作動する必要がある場合、バイパス移送ライン14を介した第2の試料ラック4´の移動は、回転板6を介したものより効率的である。試料ラック4、4´が、第1の主要移送ライン8の反対側に方向を変更する必要がある場合、ジャンクション15を使用することにより、第1の試料ラック4が回転板6を介して移送され、第2の試料ラック4´が直線の移動経路で回転板6を通過後、主要移送ライン8、9のもう一方のペア7の相互接続移送ライン19と、そして回転板6からのびる第2の主要移送ライン9と合流するバイパス移送ライン14に押し出される。別法として回転板6が空いていない場合、空くまで待機する代わりに、回転板6の周りを第2の試料ラック4´を移送することができる。
【0051】
システム1では、試料ラック4、4´が第1の主要移送ライン8によりジャンクション15に近接すると、いくつかの実施形態において、試料ラック4、4´のアイデンティティをリーダーで読み取ることにより、直線の移動で回転板6を通過するか、または回転板6をバイパスする1つまたは2つ以上のバイパス移送ライン14を介して移送されるよう、第2の試料ラック4´の移送を制御する。このリーダーとしては例えばRFIDリーダーが挙げられるが、これに限定されない。
【0052】
システム1において、第1のワークセル2による分析のために、第2の試料ラック4´を補助移送ライン23に移送することができる。第1のワークセル2は、例えば、第2の試料ラック4´内の試料をピペットで取り出す「ピックインスペース(pick-in-space)(隙間選択)」法に関する。いくつかの実施形態において、ピペット作業位置に移送される前に、第2の試料ラック4´のアイデンティティをリーダーで読み取ることにより、ラック内の試料のピペット作業を制御する。このリーダーとしては例えば、RFID−リーダーが挙げられるが、これに限定されない。ピペット作業位置において、いくつかの実施形態では、正確なピペット作業を可能にするために、特定の機械的位置決め手段によって確実に第2の試料ラック4´が適切に位置付けられる。いくつかの実施形態において、第1の試料ラック4内の試料を処理するように構成される場合、複数の試料容器5を把持する第1の試料ラック4が、ピペット作業位置を通して段階的に移動することによって、第1の試料ラック4内のすべての試料位置でピペット作業を行うことができる。
【0053】
システム1において、コントローラ21により制御され、分析前、分析中および分析後の試料処理工程を含む処理の流れは種々のパラメータに基づいていてもよい。パラメータとしては例えば、割り当てられたテスト依頼、容器の種類に関する情報、システム状態の情報などが挙げられるが、これに限定されない。具体的には、いくつかの実施形態において、分析前ワークセル16において、試料は、遠心分離、キャップ除去(de-capping)、アリコーティングなどの従来の処理作業により処理され、次いで、分析前処理工程の終了後、第1および第2の試料ラック4、4´の容器5に入れられる。いくつかの実施形態において、試料ラック4、4´はその後、対向する走行方向を有する平行な2つの主要移送ライン8、9の複数のペア7を備える2方向移送装置3により、1つまたは2つ以上の分析ワークセル2、2´に移送される。いくつかの実施形態において、図示されるように、移送装置3は右側通行システムとして実装される。いくつかの実施形態において、試料の分析後、試料ラック4、4´は、例えば、さらに試料を処理または排出するために保管するため、分析後ワークセル17に移送される。
【0054】
システム1において、有利なことに、ジャンクション15によって最小限のスペースで第1および第2の試料ラック4、4´両方の移送方向を非常に効率的に変更できる。したがって、システム1は、第1および第2の試料ラック4、4´の時間効率のよい移送を可能にする。他の利点として、異なるラックサイズを有する試料ラック4、4´を扱うことができるが、異なるラックサイズに適応させるためにシステム1を再フォーマットする設定の必要がない。したがって、システム1を再フォーマットする費用、時間およびスペースを抑えることができる。その他に、システム1は、試料が単一のホルダーなどの小さいサイズの試料ラック4´で移送される場合に高い可撓性を利用することができ、同時に特定のワークセルの対象となり得る大きいサイズの試料ラック4を移送する効率的な方法が得られる。
【0055】
上記に照らし、本発明は明らかに多くの修正および変更が可能である。それゆえ、本発明は、添付の請求項の範囲内で具体的に発明されたものと異なって実施され得ることが理解される。
【符号の説明】
【0056】
1 システム
2、2´ 分析ワークセル
3 移送装置
4、4´ 試料ラック
5 試料容器
6 回転板
7 主要移送ラインのペア
8 第1の主要移送ライン
9 第2の主要移送ライン
10 回転可能なラインのペア
11 第1の回転可能な移送ライン
12 第2の回転可能な移送ライン
13 ピペットデバイス
14 バイパス移送ライン
15 ジャンクション
16 分析前ワークセル
17 分析後ワークセル
18 主要/バイパスラインスイッチ
19 相互接続移送ライン
20 主要/主要ラインスイッチ
21 コントローラ
22 曲線ライン部分
23 補助移送ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料を処理する1つまたは2つ以上のワークセル(2、2´)を備える分析システム(1)において、試料ラック(4、4´)を移送するためのジャンクション(15)であって、
その移送方向において、第1の試料ラック(4)が第2の試料ラック(4´)よりラックサイズが大きい、前記第1および第2の試料ラック(4、4´)を移送する複数の主要移送ライン(8,9)と、
前記主要移送ライン(8、9)に交互に接続し、および/または少なくとも2つの主要移送ライン(8、9)を相互接続するように、前記主要移送ライン(8、9)に連結され、前記第1および第2試料ラック(4、4´)を移送する少なくとも1つの回転可能な移送ライン(11、12)を備える回転板(6)と、
1つまたは2つ以上のバイパス移送ライン(14)とを備え、
前記バイパス移送ライン(14)のそれぞれが、
前記回転板(6)をバイパスしつつ、前記第2の試料ラック(4´)の移送を可能にし、かつ、前記第1の試料ラック(4)の移送を不可能にするように曲線を描きながら2つの主要移送ライン(8、9)を相互接続し、かつ、1つの主要移送ライン(8、9)から前記1つまたは2つ以上のバイパス移送ライン(14)まで前記第2の試料ラック(4´)をガイドするか、または前記主要移送ライン(8、9)上に前記第2の試料ラック(4´)を留めるように作動する少なくとも1つの制御可能な主要/バイパスラインスイッチ(18)に結合されたジャンクション(15)。
【請求項2】
前記1つまたは2つ以上のバイパス移送ライン(14)が前記回転板(6)に隣接して配置される請求項1記載のジャンクション(15)。
【請求項3】
各バイパス移送ライン(14)が隣接する主要移送ライン(8、9)を相互接続する請求項1または2記載のジャンクション(15)。
【請求項4】
それぞれが、対向する方向に前記第1および第2の試料ラック(4、4´)を移送するように構成される主要移送ラインのペア(7)を備える請求項1〜3のいずれか1項に記載のジャンクション(15)。
【請求項5】
前記主要移送ライン(8、9)の1つまたは2つ以上のペア(7)のそれぞれが、少なくとも1つの相互接続移送ライン(19)により相互接続され、前記相互接続移送ライン(19)が、前記相互接続移送ライン(19)を介して、主要移送ライン(8、9)のペア(7)のうち、一方の主要移送ライン(8、9)からもう一方の主要移送ライン(8、9)に前記第2の試料ラック(4´)をガイドするか、または1つの主要移送ライン(8、9)上に前記第1および第2の試料ラック(4、4´)を留めるように作動する少なくとも1つの制御可能な主要/主要ラインスイッチ(20)に結合された請求項4記載のジャンクション(15)。
【請求項6】
前記バイパス移送ラインおよび相互接続移送ライン(14、19)が前記回転板(6)の周りにループ状の移動経路を形成する請求項5記載のジャンクション(15)。
【請求項7】
前記回転板(6)が、対向する方向に前記第1および第2の試料ラック(4、4´)を移送するように構成された回転可能な移送ライン(11、12)の1つのペア(10)を備えた請求項1〜6のいずれか1項に記載のジャンクション(15)。
【請求項8】
試料を処理するための1つまたは2つ以上のワークセル(2、2´)を備える分析システム(1)において、試料ラック(4、4´)を移送する自動移送装置(3)であって、
その移送方向において第1の試料ラック(4)が第2の試料ラック(4´)よりラックサイズが大きい、前記第1および第2の試料ラック(4、4´)を移送する複数の主要移送ライン(8、9)と;前記主要移送ライン(8、9)に交互に接続し、および/または少なくとも2つの主要移送ライン(8、9)を相互接続するように前記主要移送ライン(8、9)に連結される、前記第1および第2の試料ラック(4、4)を移送する少なくとも1つの回転可能な移送ライン(11,12)を設ける回転板(6)と;1つまたは2つ以上のバイパス移送ライン(14)を備え、前記バイパス移送ライン(14)のそれぞれが、前記回転板(6)をバイパスしつつ、前記第2の試料ラック(4´)の移送を可能にし、かつ、前記第1の試料ラック(4)の移送を不可能にするように曲線を描きながら2つの主要移送ライン(8、9)を相互接続し、かつ、1つの主要移送ライン(8、9)から前記バイパス移送ライン(14)まで前記第2の試料ラック(4´)をガイドするか、または前記主要移送ライン(8、9)上で前記第2の試料ラック(4´)を留めるように作動する少なくとも1つの制御可能な主要/バイパスラインスイッチ(18)に結合された1つまたは2つ以上のジャンクション(15);および
1つのジャンクション(15)の2つの主要移送ライン(8、9)の間で前記試料ラック(4、4´)の移送を制御するよう設定されるコントローラ(21)を備え、
前記コントローラ(21)が、
前記回転可能な移送ライン(11、12)が回転することによって前記主要移送ライン(8、9)を相互接続し、前記第1および第2の試料ラック(4、4´)が前記回転可能な移送ライン(11、12)によって移送されるか、または
前記回転可能な移送ライン(11、12)が回転することによって前記移送ライン(8、9)に交互接続し、前記第1の試料ラック(4)が前記回転可能な移送ライン(11、12)により移送され、前記第2の試料ラック(4´)が前記主要移送ライン(8、9)を相互接続する前記バイパス移送ライン(14)により移送されるような方法で移送を制御するよう設定される自動移送装置(3)。
【請求項9】
ペアの主要移送ラインを備え、各ペア(7)は対向する方向に前記第1および第2の試料ラック(4、4´)を移送するように構成され、前記コントローラ(21)が、前記少なくとも1つの回転可能な移送ライン(11、12)を回転することおよび前記回転可能な移送ライン(11、12)によって前記試料ラック(4、4´)を移送することにより、主要移送ライン(8、9)の1つのペア(7)の間の前記試料ラック(4、4´)の移送を制御するよう設定される請求項8記載の移送装置(3)。
【請求項10】
前記主要移送ライン(8、9)の1つまたは2つ以上のペア(7)のそれぞれが、少なくとも1つの相互接続移送ライン(19)により相互接続され、前記相互接続移送ライン(19)は、前記相互接続移送ライン(19)を介して主要移送ライン(8、9)のペア(7)のうち、一方の主要移送ライン(8、9)から他方の主要移送ライン(8、9)まで前記第2の試料ラック(4´)をガイドするか、または1つの主要移送ライン(8、9)上に前記第1および第2の試料ラック(4、4´)を留めるように作動する少なくとも1つの制御可能な主要/主要ラインスイッチ(20)に結合され、前記コントローラ(21)が、前記相互接続移送ライン(19)によって前記第2の試料ラック(4´)を移送することによって、主要移送ライン(8、9)の1つのペア(7)の前記主要移送ライン(8、9)の間での前記第2の試料ラック(4´)の移送を制御するよう設定される請求項9記載の移送装置(3)。
【請求項11】
1つまたは2つ以上の前記スイッチ(18、20)それぞれが、前記ラックサイズを感知するように構成されるラックサイズセンサーに操作可能に連結され、前記コントローラ(21)が、前記ラックサイズが前記ラックサイズセンサーによって決定されることによってラックサイズのセンサー信号を取得し、前記スイッチ(18、20)が前記ラックサイズセンサー信号に基づいて作動するような方法で前記第1および第2の試料ラック(4、4´)の移送を制御するよう設定される請求項8〜10のいずれか1項に記載の移送装置(3)。
【請求項12】
試料を処理する1つまたは2つ以上のワークセル(2、2´)および、前記ワークセル(2、2´)間で試料ラック(4、4´)を移送する自動移送装置(3)を備えた分析システム(1)であって、
前記自動移送装置(3)が、
その移送方向において第1の試料ラック(4)が第2の試料ラック(4´)よりラックサイズが大きい、前記第1および第2の試料ラック(4、4´)を移送する複数の主要移送ライン(8、9)と;前記主要移送ライン(8、9)に交互に接続し、および/または少なくとも2つの主要移送ライン(8、9)を相互接続するように前記主要移送ライン(8、9)に連結され、前記第1および第2の試料ラック(4、4´)を移送するための少なくとも1つの回転可能な移送ライン(11、12)を設けた回転板(6)と;それぞれが、前記回転板(6)をバイパスしつつ、前記第2の試料ラック(4´)の移送を可能にし、且つ前記第1の試料ラック(4´)の移送を不可能にするように曲線を描きながら2つの主要移送ライン(8、9)を相互接続し、1つの主要移送ライン(8、9)からバイパス移送ライン(14)に前記第2の試料ラック(4´)をガイドするか、または前記主要移送ライン(8、9)上に前記第2の試料ラック(4´)を留めるように作動する少なくとも1つの制御可能な主要/バイパスラインスイッチ(18)に結合された1つまたは2つ以上の前記バイパス移送ライン(14)とをそれぞれ備えたジャンクション(15);および
1つのジャンクション(15)の2つの主要移送ライン(8、9)の間で前記試料ラック(4、4´)の移送を制御するよう設定されるコントローラ(21)を備え、
前記コントローラ(21)が、
前記回転可能な移送ライン(11、12)が回転することによって前記主要移送ライン(8、9)を相互接続し、前記第1および第2の試料ラック(4、4´)が前記回転可能な移送ライン(11、12)により移送されるか、または
前記回転可能な移送ライン(11、12)が回転することによって前記主要移送ライン(8、9)に交互に接続され、前記第1の試料ラック(4)が前記回転可能な移送ライン(11、12)により移送され、前記第2の試料ラック(4´)が前記主要移送ライン(8、9)を相互接続する前記バイパス移送ライン(14)により移送されるような方法で
移送を制御するよう設定される分析システム(1)。
【請求項13】
前記ワークセル(2、2´)が、第1および/または第2のワークセル(2、2´)を含み、前記第1のワークセル(2)のそれぞれが、1つの主要移送ライン(8、9)に接続される1つの補助移送ライン(23)に結合されることによって、前記補助移送ライン(23)によって移送される試料を処理し、前記第2のワークセル(2´)のそれぞれが、少なくとも1つの主要移送ライン(8、9)に結合されることによって、前記主要移送ライン(8、9)により移送される試料を処理する、請求項12記載のシステム(1)。
【請求項14】
試料を処理するための1つまたは2つ以上のワークセル(2、2´)を備える自動分析システム(1)において、第1の試料ラック(4)が移送方向において第2の試料ラック(4´)よりラックサイズが大きい前記第1および第2の試料ラック(4、4´)を移送する方法であって、
主要移送ライン(8、9)に交互に接続するように少なくとも1つの回転可能な移送ライン(11、12)を回転することにより、一方の主要移送ライン(8、9)から他方の主要移送ライン(8、9)まで前記第1の試料ラック(4)を移送する工程と、
前記回転可能な移送ライン(11、12)をバイパスしつつ、前記第2の試料ラック(4´)の移送を可能にし、かつ、前記第1の試料ラック(4)の移送を不可能にするように曲線を描きながら前記主要移送ライン(8、9)を相互接続するバイパス移送ライン(14)を用いて一方の主要移送ライン(8、9)から他方の主要移送ライン(8、9)に前記第2の試料ラック(4´)を移送する工程とを備える方法。
【請求項15】
前記第1および第2の試料ラック(4、4´)が、一方の主要ライン(8、9)から他方の主要ライン(8、9)まで移送され、前記主要ライン(8、9)が、前記少なくとも1つの回転可能な移送ライン(11、12)が回転し、前記回転可能な移送ライン(11、12)により前記試料ラック(4、4´)を移送することにより、対向する方向に前記試料ラック(4、4´)を移送するように構成される請求項14記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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