説明

試料中のアナライトの検出のための半逐次アッセイ

本発明は、試料中のアナライトの検出方法に関する。該方法は、半逐次アッセイ法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野
本発明は、試料中のアナライトの検出方法に関する。該方法は、半逐次アッセイ法である。本発明は、さらに、試料中のアナライトの検出のための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景
生物療法に基づく治療レジメの実施を成功させるために重要な点は、薬物分子に対する患者の免疫応答を最小化することである。幾つかの要因が、望ましくない免疫応答、例えば薬物分子(DM)に対する抗薬物抗体(ADA)産生の一因となる。
・外来タンパク質部分を含む薬物分子に対する免疫応答
・薬物分子に対する免疫耐容性を破壊するメカニズム
・DMの純度
・DMのグリコシル化
・DMの凝集
・DMの製剤化
・DMの投与経路
・患者の免疫状態。
【0003】
DMに対する免疫耐容性が破壊されたとき、抗薬物抗体(ADA)は、幾つかのタイプの望ましくない影響を有し得る:
・循環系からのDM排泄の増加(すなわち患者におけるDMの半減期の減少)
・治療効果の減少
・有害反応のリスクの増大。これは、アナフィラキシー反応やさらなる薬物処置を妨げる重症度が低い反応を含み得る。
・抗薬物抗体(ADA)は、DM供給を完全に排除する内因的に産生されたタンパク質と反応し得る。
【0004】
組み換えタンパク質での処置後の抗薬物抗体の形成は、広くレビューされている(Koren E, Zuckerman LA, Mire-Sluis A. Immune responses to therapeutic proteins in humans-Clinical significance, assessment and prediction. Current Pharmaceutical Biotechnology; 2002, 3, 349-360; Pendley C, Schantz A, Wagner C. Immunogenicity of therapeutic monoclonal antibodies. Current opinion in Molecular Therapeutics; 2003, 5, 172-179; Shankar G, Pendley C, Stein KE. A risk-based bioanalytical strategy for the assessment of antibody immune responses against biological drugs. Nat. Biotechnology; 2007, 25, 555-561)。
【0005】
候補DMの免疫原性の可能性を理解するために、臨床試験中、抗薬物抗体(ADA)の発生をモニターする。これは、規制当局のガイドラインに従うスクリーニングアッセイ、確証的アッセイおよび免疫応答特性決定のためのアッセイを含む、よく開発された工程に従って行われる。これらの手順がどのように行われるべきかについての明示的な推奨が存在する(Koren E, Smith HW, Shores E, Shankar G, Finco-Kent D, Rup B, Barrett Y-C, Devanarayan V, Gorowits B, Gupta S, Parish T, Quarmby V, Moxness M, Swanson, SJ, Taniguchi G, Zuckerman LA, Stebbins CC, Mire-Sluis A. Recommendations on risk-based strategies for detection and characterization of antibodies directed against biotechnology products. J. Immunol. Methods; 2008, 333, 1-9)。
【0006】
薬物分子(DM)の性質および抗薬物抗体(ADA)の発生に依存して、抗薬物抗体(ADA)の精密な検出に用いられるアッセイの設計および方法は、異なっていてもよい(Mire-Sluis AR, Barrett YC, Devanarayan V, Koren E, Liu H, Maia M, Parish T, Scott G, Shankar G, Shores E, Swanson SJ, Taniguchi G, Wierda D, Zuckerman L. J. Immunol. Methods; 2004, 289, 1-16; Lofgren JA, Dhandapani S, Pennucci JJ, Abbott CM, Mytych DT, Kaliyaperumal A, Swanson SJ, Mullenix MC. Comparing ELISA and surface plasmon resonance for assessing clinical immunogenicity of panitumumab. J. Immunol. 2007, 178, 7467-7472)。
【0007】
試料中のアナライト、例えば抗薬物抗体を検出するための既知の方法は、低いシグナル対ノイズ比、低感度、およびプロゾーン現象(またはフック現象)などの問題を有する。
【発明の概要】
【0008】
本発明の概要
試料中のアナライト、例えば抗薬物抗体の検出のための先行技術のアッセイ法に関連する問題、すなわち低いシグナル対ノイズ比、低感度、およびプロゾーン現象(またはフック現象)を考慮して、本発明の目的は、記載された問題を排除した、または少なくとも軽減した試料中のアナライトの検出方法を提供することである。
【0009】
この目的は、次に示す工程を含むことを特徴とする半逐次アッセイ法である、試料中のアナライトの検出方法によって達成される。
a) 捕捉部分およびアナライトに対する親和性カウンターパートを含む捕捉試薬の飽和量を、捕捉部分に結合することができる反応部位を有する表面を有する支持体と接触させること;
b) 捕捉試薬が捕捉部分を介して支持体に結合することによって固定化され、当該反応部位が固定化された捕捉試薬で飽和されていること;
c) 検出可能な部分およびアナライトに対する親和性カウンターパートを含む検出試薬と、アナライトを含む試料を接触させること;
d) アナライトを親和性カウンターパートを介して検出試薬に結合させて、複合体を形成させること;
e) 複合体が、支持体上に固定化された捕捉試薬にアナライトを介して結合するように、支持体上に固定化された捕捉試薬と、複合体を接触させること;そして
f) 検出可能な部分を検出すること。
【0010】
好ましい態様において、本発明は、アナライトが抗薬物抗体であり、捕捉試薬が捕捉部分に結合した薬物分子を含み、検出試薬が検出可能な部分に結合した薬物分子を含む方法を提供する。
【0011】
さらに好ましい態様において、本発明は、アナライトが薬物分子であり、捕捉試薬が捕捉部分に結合した薬物分子に対する抗イディオタイプ抗体を含み、検出試薬が検出可能な部分に結合した薬物分子に対する抗イディオタイプ抗体を含む。
【0012】
さらに好ましい態様において、本発明は、工程f)の前に洗浄溶液で支持体を洗浄する工程をさらに含む方法を提供する。
【0013】
さらに好ましい態様において、本発明は、洗浄溶液が、5%未満、好ましくは1%未満、より好ましくは0.5%未満の濃度の洗浄剤を含む方法を提供する。
さらに好ましい態様において、本発明は、洗浄剤が非イオン性である方法を提供する。
さらに好ましい態様において、本発明は、洗浄剤が、モノラウリン酸 ポリオキシエチレンソルビタンである方法を提供する。
【0014】
さらに好ましい態様において、本発明は、工程e)の前に24時間未満、好ましくは工程e)の前に2時間未満、より好ましくは工程e)の前に20分未満、より好ましくは工程e)の前に10分未満、より好ましくは工程e)の前に1分未満、より好ましくは工程e)の前に1秒未満、試料を検出試薬と接触させる方法を提供する。
【0015】
さらに好ましい態様において、本発明は、捕捉部分がビオチンであり、反応部位を有する表面を有する支持体がストレプトアビジンを含む方法を提供する。
【0016】
さらに好ましい態様において、本発明は、検出可能な部分(3b)が、Alexa Fluor 633、Alexa Fluor 647、DyLight 649、Cy-5、Cy-5.5および蛍光ナノ粒子からなる群から選択される方法を提供する。
【0017】
さらに好ましい態様において、本発明は、試料が、1000nl以下、好ましくは200nl以下の容積を有する方法を提供する。
【0018】
さらに好ましい態様において、本発明は、検出試薬(3)が、1000nl以下、好ましくは200nl以下の容積を有する方法を提供する。
さらに好ましい態様において、本発明は、検出試薬(3)が、15μg/ml未満または100nM未満、好ましくは0.5μg/ml未満または3.3nM未満の濃度を有する方法を提供する。
【0019】
さらに好ましい態様において、本発明は、支持体(4)が、多孔性、または半薄膜状(semi-pellicular)もしくは薄膜状(すなわち非多孔性)である粒子を含む方法を提供する。
さらに好ましい態様において、本発明は、粒子が、本質的に円形であって、10μmより大きい平均直径を有する方法を提供する。
さらに好ましい態様において、本発明は、粒子が均一なサイズ分布を有する方法を提供する。
【0020】
さらに好ましい態様において、本発明は、支持体が、装置の一部であり、該装置が、
−試料入口;
−検出試薬入口;
−捕捉試薬入口;
−試料入口および検出試薬入口と流体接触している(in fluid contact with)混合チャンバーであって、試料入口および検出試薬入口の下流方向に位置している混合チャンバー;
−支持体を含むカラムであって、試料入口、検出試薬入口、捕捉試薬入口および混合チャンバーと流体接触しており、そして捕捉試薬入口および混合チャンバーの下流方向に位置しているカラム;
−カラムと流体接触している出口であって、カラムの下流方向に位置している出口;および
−検出試薬を検出するための手段;
を含む方法を提供する。
【0021】
本発明の他の局面において、
−試料入口;
−検出試薬入口;
−捕捉試薬入口;
−試料入口および検出試薬入口と流体接触している混合チャンバーであって、試料入口および検出試薬入口の下流方向に位置している混合チャンバー;
−支持体を含むカラムであって、支持体が、捕捉部分を介して捕捉試薬に結合することができる反応部位を有する表面を有し、カラムが、試料入口、検出試薬入口、捕捉試薬入口および混合チャンバーと流体接触しており、カラムが、捕捉試薬入口および混合チャンバーの下流方向に位置している、カラム;
−カラムと流体接触している出口であって、カラムの下流方向に位置している出口;および
−検出試薬を検出するための手段;
を含む装置が提供される。
【0022】
装置の好ましい態様において、反応部位が、捕捉試薬で飽和されている。
さらに好ましい態様において、本発明は、捕捉試薬が、捕捉部分に結合している薬物分子を含む装置を提供する。
さらに好ましい態様において、本発明は、捕捉試薬が、捕捉部分に結合している薬物分子に対する抗イディオタイプ抗体を含む装置を提供する。
【0023】
さらに好ましい態様において、本発明は、捕捉部分がビオチンであり、反応部位を有する表面を有する支持体がストレプトアビジンを含む装置を提供する。
【0024】
さらに好ましい態様において、本発明は、カラムが1pmole以下の捕捉試薬を結合する能力を有し、カラムが20nl未満の容積を有する装置を提供する。
【0025】
さらに好ましい態様において、本発明は、0.1〜5nl/秒の範囲、好ましくは0.3〜2nl/秒の範囲の流速で、試料および捕捉試薬を伝達する(propagate)のに適合させた装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、a)捕捉試薬(1)、アナライト(2)および検出試薬(3)を予め混合し;b)捕捉試薬(1)、アナライト(2)および検出試薬(3)が複合体を形成し;そしてc)該複合体を支持体(4)上で捕捉する、均一アッセイ法を説明している。
【図2】図2は、a)支持体(4)を用いて、b)それに加えた捕捉試薬(1)を結合させ、次の工程c)においてアナライト(2)を加えて、支持体(4)上に固定化された捕捉試薬(1)にアナライト(2)を結合させ、さらなる工程d)において検出試薬(3)を加えて、支持体(4)に固定化した捕捉試薬(1)に予め結合させたアナライト(2)に検出試薬(3)を結合させる、逐次アッセイ法を説明している。
【図3】図3は、a)捕捉試薬(1)を支持体(4)に加え;b)捕捉試薬(1)を支持体(4)に結合させ、それによって固定化し;c)アナライト(2)を検出試薬(3)と混合し;d)アナライト(2)を検出試薬(3)に結合させて複合体(5)を形成し;e)支持体(4)上に固定化した捕捉試薬(1)に複合体(5)を結合させるために、支持体(4)上に固定化した捕捉試薬(1)に複合体(5)を加える、半逐次アッセイ法を説明している。
【図4】図4は、同じセットアップのイムノ試薬を用いた異なるアッセイプロトコル(均一法、逐次法および半逐次法)についての用量応答曲線を示している。
【図5a】図5a)は、半逐次アッセイ法における薬物許容範囲の評価を示している。予め存在するDM(すなわち捕捉部分や検出可能な部分に結合していないDM)のADA検出に対する影響を評価するために、変化させた濃度のADAと、Alexa標識DMを予め混合し、3種の異なる濃度のDM(0μg/ml、1μg/mlおよび5μg/ml)を試料に加えて分析した。
【図5b】図5b)は、均一アッセイ法における薬物許容範囲の評価を示している。予め存在するDM(すなわち捕捉部分や検出可能な部分に結合していないDM)のADA検出に対する影響を評価するために、変化させた濃度のADAと、Alexa標識DMを予め混合し、3種の異なる濃度のDM(0μg/ml、1μg/mlおよび5μg/ml)を試料に加えて分析した。
【図6】図6は、半逐次フォーマットにおけるADAおよびAlexa標識DMのプレインキュベーション時間の影響を示している。
【図7a−c】図7a)〜c)は、複合体(5)がアナライト(2)と検出試薬(3)の間で形成される工程であって、アナライト(2)に対して過剰の検出試薬(3)が存在する場合および/またはアナライト(2)と検出試薬(3)を混合する時間が比較的長い場合、複合体(5)が検出試薬(3)の他のユニットに結合して2つのユニットの検出試薬(3)と1つのユニットのアナライト(2)を含む複合体を形成する工程(図7b))、そして、c)に示した通り、当該複合体が支持体(4)上に固定化された捕捉試薬(1)に結合しない工程を示している。
【図8a】図8a)は、二価のアナライト(2)が、アナライト(2)上の利用可能な2つの結合部位を介して検出試薬(3)に結合している工程を示している。
【図8b】図8b)は、図8a)で検出試薬(3)に結合した二価のアナライト(2)が、検出試薬(3)に2つの結合部位の両方で結合するように、結合工程を示された時間で行う工程を示している。
【図8c】図8c)は、検出試薬(3)に2つの結合部位の両方で結合している二価のアナライト(2)が、支持体(4)上に固定化された捕捉試薬(1)に結合できないことを示している。
【図9】図9は、均一および半逐次フォーマットの濃度範囲の上限におけるフック現象についての感度を示している。
【図10】図10は、半逐次フォーマットにおけるアッセイ性能についての捕捉カラム容量依存性を示している。パネルの図は、捕捉カラム上のB−DM対B−BSAの割合(それぞれ100、50/50、25/75および10/90%)を表す。
【図11a】図11a)は、捕捉試薬(1)の2つのユニットを結合する支持体(4)を示しており、支持体(4)が捕捉試薬(1)で飽和されておらず、そのために、支持体(4)の表面の一部が捕捉試薬(1)で覆われていない工程を示している。矢印で示した通り、アナライト(2)および検出試薬(3)で形成された複合体は、支持体(4)と相互作用することが可能であり、支持体(4)に非特異的に結合することさえ可能であり、それにより、系中のバックグラウンドシグナルが増大する。
【図11b】図11b)は、支持体(4)に固定化された捕捉試薬(1)ユニット間の距離を最小にするように、支持体(4)を捕捉試薬(1)の飽和溶液と接触させ、それによって、例えばアナライト(2)および検出試薬(3)で形成される複合体との非特異的相互作用に利用可能な支持体(4)の表面を最少にする工程を示している。
【図12】図12は、半逐次アッセイ法における薬物許容範囲およびインキュベーション時間の影響の評価を示している。分析前にADAおよびAlexa標識DM(DM−A)をプレインキュベーションするのに必要とされる時間を求めるために、半逐次フォーマットで、変化させた濃度のADAとAlexa標識DMを予め混合して、異なる時間点で分析した(0時間および2時間インキュベーション)。2つの試験群において、一方は、非標識DMを5μg/mlの濃度で加え、他方は非標識DMを加えなかった。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の詳細な説明
抗薬物抗体(ADA)を検出するためのアッセイフォーマット
本明細書において、用語“異なるフォーマット”は、a)反応剤アナライト、捕捉剤および検出可能な反応剤(使用するならば)を反応させる相対的順番;b)i)捕捉剤が検出可能な反応剤および/またはアナライトに対する親和性カウンターパートであるかどうか、ii)検出可能な反応剤がアナライトおよび/または捕捉剤に対する親和性カウンターパートであるかどうか、iii)検出可能な反応剤および捕捉剤が、アナライトについて異なっていても同一であってもよい、同じ結合部位を利用するか2つの空間的に間隔のあいた結合部位を利用するか(=アナライトの結合について検出可能な反応剤および捕捉剤の異なるまたは同一の特異性、すなわち、アナライトが関連する結合部位に関して少なくとも二価であることを意味する)、iv)カウンターパートの関係のタイプ、例えば1個以上のアナライト、捕捉剤および検出可能な反応剤(使用するならば)が1個以上のこれらの反応剤のうちの他のものに対して抗体または抗原/ハプテンであるかどうか、などのアナライト、捕捉剤および検出可能な反応剤の間のカウンターパートの関係;c)親和性アッセイの一般的なタイプ、すなわちイムノアッセイ、ハイブリダイゼーション・アッセイなど;d)別個に導入されたラベルによる検出可能性、または親和性基もしくはシグナル発生基などによる固有の検出可能な基などの、生成物を測定するために利用される原理;e)固相によるアナライトまたは検出可能な反応剤の捕捉の際の固相の状態、すなわち粒子の多孔性床、モノリシックな多孔性床、マイクロキャビティーの内部壁など;f)反応剤、例えばアナライトまたは検出可能な反応剤の捕捉の際の、または可溶性親和性複合体または生成物を固相に結合させる際の流動条件または静止条件;g)反応工程の数、例えばアナライト、捕捉剤および検出可能な反応剤の使用に関して1工程または2工程フォーマット;h)アナライトまたはアナライトに対するカウンターパートの限定量または非限定量/濃度;などの、少なくとも1つ、2つ、3つ以上の特徴に関して、互いに異なる親和性アッセイを言う。
【0028】
典型的な親和性アッセイにおいて、試料の非特徴的な量のアナライトは、アナライトおよびアナライトに対する親和性カウンターパートを少なくとも含む、親和性複合体を形成することができる。用いられるフォーマットに依存して、さらなる親和性反応剤を用いてもよく、可能ならば複合体に組み込んでもよい。反応剤の量およびタイプは、関与する親和性反応が、元のまたは天然の試料中の、または、用いられる反応剤の1種以上と接触させた特定の試料中の、アナライトの量を反映する量の親和性複合体をもたらすように選択される。
【0029】
用いられるアッセイフォーマットは、捕捉剤および検出可能な反応剤が固定化されたまたは固定化可能な形態を利用している。これらの2つの反応剤は、同一であってもなくてもよい。捕捉剤または検出可能な反応剤の何れか一方または双方が、親和性複合体に、完全にまたは部分的に組み込まれ、その量は、試料中のアナライトの量を反映する。アナライトは、複合体の一部であってもなくてもよい。組み込まれていない検出可能な反応剤の部分からの影響で攪乱されることなく試料中のアナライトの量を反映する親和性複合体に組み込まれた検出可能な反応剤の部分を個別に測定するのを容易にするために、固相への固定化を用いる。
【0030】
親和性アッセイ/フィーマットは、測定される親和性複合体を形成するのに必要とされるインキュベーション(工程)の数に関して分類され得る。本明細書の内容において、1回インキュベーション/1工程は、親和性反応剤を、予め形成させた複合体または1種の反応剤(添加された反応剤に対する親和性カウンターパート)と、別個に反応させることを意味する。
【0031】
1工程フォーマットは、“同時”(または“均一”)とも呼ばれ、すなわち、アナライト、捕捉剤およびアナライトカウンターパートが、同一のインキュベーション/工程で反応される。2工程フォーマット、または2回以上インキュベーション工程を有するフォーマットは、“逐次”フォーマットと呼ばれる。第1工程が固定化されたまたは固定化可能な捕捉剤との反応を含む2工程フォーマット(または2工程以上有する多工程フォーマット)は、“フォワード”と呼ばれる。第1工程に捕捉剤が関与しないならば、そのフォーマットは、“リバース”と呼ばれる。
【0032】
阻害フォーマットは他の分析的適用で使用されるが、これらのフォーマットは、一般的に、ADA検出には役立たないことが見出された。
【0033】
非阻害フォーマット(非競合的フォーマット)は、典型的に、アナライトに対する親和性カウンターパートの1種以上を、典型的には抗Ansを非限定量で利用する。或る変法において、限定量のカウンターパートの量を用いてもよい。このような情況における量は濃度を含む。
【0034】
最も重要な非競合的フォーマットのアッセイは、サンドイッチ型のものであり、アナライトが、同じアナライト分子上の離れた位置にある結合部位に向かう2つのアナライト・カウンターパートの間、例えば2つの抗Ansの間で挟まれている(すなわち両方の抗アナライトがアナライトに同時に結合することが可能である)、固定化されたまたは固定化可能な複合体の形成を含む。サンドイッチアッセイにおいて、一方のアナライト・カウンターパートは検出可能な反応剤であり、他方は捕捉剤である。アナライト上の結合部位は異なっていてもよく、このことは、用いられる2つのカウンターパートが異なる特異性を有することを意味する。関与している結合部位は、幾つかの変法において、用いられる2つのカウンターパートが何れか一方の結合部位と交換可能に反応し得るという意味で、等しくてもよく(繰り返すが(repetitive)、これらの結合部位に関して少なくとも二価)、このことは、2つのカウンターパートが本質的に同一の結合特異性を有することを意味する。本発明の一つの態様において、用いられる2つのカウンターパートが何れか一方の結合部位と交換可能に反応し得るという意味で、関与している結合部位が等しく(繰り返すが(repetitive)、これらの結合部位に関して少なくとも二価)、このことは、アナライトに対する2つのカウンターパートが、少なくとも本質的に同一の結合特異性を有することを意味する。
【0035】
2つの主要な2工程のアッセイフォーマットの変法、すなわち、a)第1工程が固定化されたまたは固定化可能なアナライト・カウンターパート(捕捉剤)をアナライトと共にインキュベーションすることを含み、その後に第1工程で形成された複合体を第2のアナライト・カウンターパート(検出可能な反応剤)と共にインキュベーションすることを含む第2工程を行う、フォワード・フォーマット;およびb)第1工程が可溶性の検出可能なアナライト・カウンターパート(検出可能な反応剤)をアナライトと共にインキュベーションすることを含み、その後に第1工程で形成された複合体を、固定化されたまたは固定化可能なアナライト・カウンターパート(捕捉剤)と共にインキュベーションすることを含む第2工程を行う、リバース・フォーマットがある。
【0036】
サンドイッチアッセイの同時1工程フォーマットは、2種のみの反応剤を含む2成分の複合体を別個に予め形成することなく3種全ての反応剤を含む少なくとも3成分の複合体を形成するために、固定化されたまたは固定化可能なアナライト・カウンターパート(捕捉剤)、可溶性の検出可能なアナライト・カウンターパート(検出可能な反応剤)およびアナライトをインキュベーションすることを含む。
【0037】
サンドイッチフォーマットにおいて、アナライトの量は、好ましくは、固相上の複合体(生成物)の量から、好ましくは2工程の変法においては第2工程の後に固相上の検出可能な反応剤を測定することによって決定される。原則として、生成物形成後の液体中に残っている検出可能なアナライト・カウンターパート(検出可能な反応剤)の測定が可能である。
【0038】
サンドイッチアッセイにおいて、アナライトは、少なくとも二価(=多価)であり、2つの抗アナライトが同時に結合可能であるために比較的高分子量を有する。従って、分子量は、1,000ダルトン以上、例えば10,000ダルトン以上または50,000ダルトン以上であり得る。これらの種類のアナライトは、典型的に、高分子構造を含み、例えば生体高分子構造を含む。
【0039】
異なるおよび/または同一のアミノ酸残基、ヌクレオチド、単糖ユニットなどのサブユニットの数は、典型的に、10以上、例えば100以上、または500以上である。
【0040】
本質的に同じ結合特異性を有する2つのアナライト・カウンターパート(捕捉剤および検出可能な反応剤として)を利用するサンドイッチフォーマットは、アナライト上で利用される結合部位に関して少なくとも二価であるアナライトのアッセイに、特に適合する。この条件に従うアナライトの1つの重要なタイプは、少なくとも二価の抗体であり、従って、関連するアッセイフォーマットは、クラス、サブクラスまたは種に関わりなく、抗原特異的抗体のアッセイに用いられ得る。この種類のサンドイッチフォーマットにおいて、同じアナライトの分子に対する2つのカウンターパートの同時結合を確実にするために、典型的に、限定量および/または選択された密度の捕捉剤が好都合である。特に、これは、固相(捕捉剤)に結合したカウンターパートに適用する。検出可能なカウンターパートの量の注意深い選択はまた、2つの検出可能なアナライト・カウンターパートの間に挟まれたアナライトを含む可溶性の3成分複合体の形成を妨害するのを避けるために、適切である。さらなる詳細については、PCT/SE2006/000071 (Gyros Patent AB)を参照のこと。
【0041】
異なる結合特異性を有する2つのアナライト・カウンターパート(捕捉剤および検出可能な反応剤として)、例えば抗An1および抗An2を利用するサンドイッチフォーマットは、空間的に間隔のあいた2つの異なる結合部位を露出しているアナライトに、特に適合する。この種のフォーマットは、原則として、多価であって一般的に下記に示した反応剤のための構造を1個以上含む、何れかのより大きな生体分子を測定するために用いられ得る。このフォーマットは、各副集団が、a)他の副集団にも存在する結合部位(共通の結合部位);およびb)他の何れの副集団にも存在しないその他の異なる結合部位を有する、物質のグループの特定の副集団を測定するのに、特によく適合する。この段落で言うサンドイッチフォーマット(IAA)は、A)特定のIgクラス、Igサブクラス、種などの抗原特異的抗体(一方のカウンターパートが抗原/ハプテンであり、他方のカウンターパートが抗Igクラス抗体、抗Igサブクラス抗体または幾つかの他のIg結合反応剤である。);B)免疫グロブリンクラス(IgG、IgA、IgM、IgDまたはIgE)、または免疫グロブリンサブクラス(例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2)、または免疫グロブリンの捕捉クラスまたはサブクラスに属する特異的抗体に結合する検出可能な抗原調製物を添加した後、対応する免疫グロブリンクラスまたはサブクラスと反応する、幾つかの他のIg結合反応剤に特異的な捕捉反応剤を飽和量で用いることによって分析される抗原特異的抗体であるアナライトのアッセイと説明されるものである。
【0042】
他の非競合フォーマットは、固定化されたまたは固定化可能な形態の1つのアナライト・カウンターパートのみを利用する。この場合において、複合体形成は、固定化された複合体、またはその後に固定化される可溶性複合体をもたらす。固定化された複合体は、そのまま測定される。この種の非阻害フォーマットは、1工程型であってもよい。固定化されたまたは固定化可能なカウンターパートは、検出可能であってもよく、例えばアナライトに結合した後シグナルが変化するシグナル生成ラベルを含んでいてもよい(捕捉剤と検出可能な反応剤が一致している)。
【0043】
本発明の好ましい態様において、リバース型の2工程フォーマットが用いられる。リバース・フォーマットにおいて、第1工程が、可溶性の検出可能なアナライト・カウンターパート(検出可能な反応剤)をアナライトと共にインキュベーションすることを含み、その後に、第1工程で形成された複合体を、固定化されたまたは固定化可能なアナライト・カウンターパート(捕捉剤)と共にインキュベーションすることを含む第2工程を行う。
【0044】
用いられる個々の反応剤は、典型的には、a)抗原/ハプテン;b)抗体およびその抗原/ハプテン結合フラグメントの抗原/ハプテン結合能を模倣する親和性反応物を含む、抗体またはその抗原/ハプテン結合フラグメント;c)ホルモン、例えばホルモンのステロイド構造またはペプチド構造、およびホルモン受容体;などの親和性カウンターパートであるリガンド−受容体ペアのメンバーから選択される。
【0045】
本発明の内容において用いられる親和性反応物は、典型的には、(a)抗体のような、タンパク質構造を含むアミノ酸構造、例えばペプチド構造、例えばポリおよびオリゴペプチド構造であって、これらの構造のミメティックおよび化学修飾された形態を含む構造、および/または薬物を含むその他の有機または生物有機構造、からなる群のメンバーから選択される、1つ以上の構造を示す。
【0046】
ブリッジングイムノアッセイ(BIA)は、少なくとも3つの相互作用する分子、すなわち捕捉試薬(1)、アナライト(2)および検出試薬(3)を含む。ブリッジングイムノアッセイ(BIA)において、アナライト分子(2)は、捕捉試薬(1)と検出試薬(3)の双方に結合して、捕捉試薬(1)−アナライト(2)−捕捉試薬(3)のタイプの複合体を形成し、アナライト(2)は、捕捉試薬(1)と検出試薬(2)の間にブリッジを形成する。
【0047】
間接的抗体アッセイ(IAA)およびリバース抗体アッセイ(RAA)は、試薬の性質、試料の由来、およびDMの性質に依存して用いられることがある。この場合において、Gyrolabで好ましいアッセイフォーマットは、捕捉および検出のための試薬を過剰量で用いる逐次法である。
【0048】
二価の治療用抗体に対して指向性である抗薬物抗体(ADA)を含む試料が分析されるとき、以前に好ましとされていたアッセイフォーマット(図1)は、等モルの捕捉試薬と検出試薬を試料と予め混合して、3つの反応体(すなわち捕捉分子(薬物分子DMであってもよい)、抗薬物抗体(ADA)および検出分子(標識薬物分子DM−Aであってもよい))からなる、検出され得る複合体の形成を可能とするものである。捕捉分子がビオチン化されている(B−DM)ならば、複合体は、固定化されたストレプトアビジンで捕捉され得る。この方法には、幾つかの欠点がある。
・理論上、形成された複合体の50%しか検出できない(試薬を混合した結果が二項定理に従う);
・高濃度の抗薬物抗体(ADA)で、アッセイが、本アッセイにおける明白なフック現象として翻訳されるプロゾーン現象の典型的な徴候を示す;
・十分な混合に必要な試料および試薬の量が比較的多い;
・安定な複合体を形成するのに要する時間が数時間を超え、実用的な理由で、一夜行われる場合もある;
・むき出しのストレプトアビジンをAlexa標識検出試薬に曝露すると、アッセイでのバックグラウンド増大の一因となる。
【0049】
現状で、ADAの存在について分析される試料はまた、かなりの量のDMを含む。これらの状況下で、ADAとDMから構成される免疫複合体が形成される可能性がある。このことは、ADAの検出を複雑化する。免疫複合体を酸処理して、試料に標識成分を混合するのに必要な工程を行い、続いて免疫複合体に標識成分を組み込むために中性pHに調節する場合がある(Lofgren JA, Dhandapani S, Pennucci JJ, Abbott CM, Mytych DT, Kaliyaperumal A, Swanson SJ, Mullenix MC. Comparing ELISA and surface plasmon resonance for assessing clinical immunogenicity of panitumumab. J. Immunol. 2007, 178, 7467-7472)。あるいは、アッセイに必要な成分を試料のみと混合し、分析前に非常に長い時間インキュベートして交換反応させ、ADA検出に必要な反応剤を組み込む。
【0050】
さらに、ADAは、DMについて親和性が異なっていてもよい。免疫原性の全ての徴候を検出することが重要であると考えられる場合、低親和性抗体が検出されるべきである。逆説的に、低親和性ADAは高親和性ADAよりも非複合体型で存在する可能性が高いため、試料がDMを含むアッセイ状況では低親和性ADAの方が近づき易い。このことは、検出可能な免疫複合体の形成を簡単にし得る。複合体の安定性は、ADAの解離性に依存するが、解離は、本質的に時間(s−1)のみに依存する。従って、完了に至るのに必要な時間が短いアッセイは、検出前に解離する時間が短いために、低親和性ADAを検出する可能性がより高い。従って、必要とするアッセイ時間が短いアッセイは、よりよく低親和性ADAを検出するであろう。
【0051】
上記で示した通り、ADAを測定するのに好ましい現行の手順は、全ての反応成分を予め混合することである。主な理由は、DMのパラトープに特異性を有するADAは、ADAのFabアームがDMの両方のFabアームと相互作用する場合、比1:1でDMと複合体を形成することが好ましいと仮定される抗イディオタイプ抗体として反応すると予測されることである。このような複合体が形成される場合、標識化(ビオチン標識化またはalexa標識化)されたDMを導入して複合体から検出可能なシグナルを生じさせることは難しい。結果として、ADAを分析するために工夫された方法は、試薬を予め十分な時間で混合して安定で検出可能な複合体を形成し、最終的に複合体中のビオチン化化合物を介して該複合体をストレプトアビジン・ビーズに捕捉することに依存している。
【0052】
我々は、DMアナログに対するADA応答の最も限定的な特異性を摸倣するための抗イディオタイプ抗体(ADAアナログ)と共に複合体を形成することができる、ヒト癌胎児抗原(CEA)に指向性であるマウスのモノクローナル抗体(DMアナログ)をベースとするモデル系を用いた。
【0053】
ADA濃度とアッセイ応答の間の関係を表す“標準曲線”を作製するために、試薬の割合の点で、完全均一フォーマットにおける種々の環境において、このモデル系を修飾した。さらに、我々は、混合し、他のアッセイプロトコルにも用いた後に選択された試薬濃度を採用した。全ての反応は、洗浄剤(0.1% Tween 20、すなわちモノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン, Sigma, USA)を含むExxip F (Gyros AB, Uppsala, Sweden)中で行った。
【0054】
下記に、ADAを検出するための3種の異なるアッセイフォーマットが論じられている。図1に概略された第1の方法は、下記において、均一法と呼ばれる。図2に概略された第2の方法は、下記において、逐次法と呼ばれる。図3に概略された第3の方法は、下記において、半逐次法と呼ばれる。
【0055】
均一法
図1は、a)捕捉試薬(1)、アナライト(2)および検出試薬(3)を予め混合し、捕捉試薬(1)および検出試薬(3)が等モル濃度を有し、一方、アナライト(2)の濃度が変化し得るそして;b)捕捉試薬(1)、アナライト(2)、検出試薬(3)が複合体を形成する;そしてc)複合体が支持体(4)上に捕捉される、均一アッセイ法を概略している。捕捉試薬(1)が捕捉部分(1b)および薬物分子(1a)を含むビオチン化薬物分子(1)であってもよい。アナライト(2)が抗薬物抗体(ADA)であってもよい。検出試薬(3)が検出可能なAlexaラベル(3b)および薬物分子(3a)を含むAlexa標識薬物分子(3)であってもよい。下記の均一法を実験的に試験した。
【0056】
ビオチン化DM(0.25μg/ml)、ADA(種々の濃度レベルを試験)およびAlexa標識DM(0.25μg/ml)を、複合体を形成するために予め混合し、該複合体をこの場合はストレプトアビジン・カラムであった支持体(4)に加えた。複合体はビオチンラベルを介してストレプトアビジン表面に結合し、複合体が検出可能なAlexaラベルを含むので検出可能である。
【0057】
逐次法
図2は、a)支持体(4)を用いて、b)それに添加した捕捉試薬(1)を結合させ、次の工程c)でアナライト(2)を加え、アナライト(2)を、支持体(4)上に固定化された捕捉試薬(1)に結合させ、さらなる工程d)において、検出試薬(3)を加えて、検出試薬(3)を、予め支持体(4)に固定化された捕捉試薬(1)に結合させたアナライト(2)に結合させる、逐次アッセイ法を概略している。捕捉試薬(1)は捕捉部分(1b)および薬物分子(1a)を含むビオチン化薬物分子(1)であってもよい。アナライト(2)は抗薬物抗体(ADA)であってもよい。検出試薬(3)は、検出可能なAlexaラベル(3b)および薬物分子(3a)を含むAlexa標識薬物分子(3)であってもよい。支持体(4)は、カラム中のストレプトアビジン表面であってもよい。下記の逐次法を実験的に試験した。
【0058】
ビオチン化薬物分子をビオチンラベルを介してストレプトアビジン・カラムに結合させるために、飽和濃度(100μg/ml)のビオチン化薬物分子をカラム上に適用することによって、ストレプトアビジン・カラムを飽和にした(図2a〜b)。次の工程において、抗薬物抗体をストレプトアビジン・カラムに固定化されたビオチン化薬物分子に結合させるために、抗薬物抗体(抗薬物抗体は薬物分子に対する抗体と定義される)の濃度レベルを変化させてストレプトアビジン・カラムに適用した(図2c)。次の工程において、ビオチン化薬物分子を介してストレプトアビジン・カラムに固定化された抗薬物抗体にAlexa標識薬物分子を結合させるために、Alexa標識薬物分子(0.25μg/ml)をストレプトアビジン・カラムに加えた(図2d)。
【0059】
半逐次法
図3は、a)捕捉試薬(1)を支持体(4)に加え;b)捕捉試薬(1)を支持体(4)に結合させ、それによって固定化し;c)アナライト(2)を検出試薬(3)と混合し;d)複合体(5)を形成させるために、アナライト(2)を検出試薬(3)に結合させ;e)支持体(4)に固定化された捕捉試薬(1)に複合体(5)を結合させるために、支持体(4)上に固定化された捕捉試薬(1)に複合体(5)を加える、半逐次アッセイ法を概略している。捕捉試薬(1)は、捕捉部分(1b)および薬物分子(1a)を含むビオチン化薬物分子(1)であってもよい。アナライト(2)は、抗薬物抗体(ADA)であってもよい。検出試薬(3)は、検出可能なAlexaラベル(3b)および薬物分子(3a)を含むAlexa標識薬物分子(3)であってもよい。支持体(4)は、カラム中のストレプトアビジン表面であってもよい。下記の半逐次法を試験した。
【0060】
ビオチン化薬物分子をビオチンラベルを介してストレプトアビジン・カラムに結合させるために、飽和濃度(100μg/ml)のビオチン化薬物分子をカラム上に適用することによって、ストレプトアビジン・カラムを飽和にした(図3a〜b)。次の工程において、変化させた濃度レベルの抗薬物抗体(抗薬物抗体は薬物分子に対する抗体として定義される)を、一定量(0.25μg/ml)のAlexa標識薬物分子(3)と予め混合し(図3c)、抗薬物抗体(2)およびAlexa標識薬物分子(3)を含む複合体を形成する(図3d, アイテム5)。次の工程において、ストレプトアビジン・カラムに固定化されたビオチン化薬物分子(1)を介してストレプトアビジン・カラムに複合体(5)を結合させるために、複合体(5)をストレプトアビジン・カラムに加えた。
【0061】
均一法、逐次法および半逐次法の使用による結果を含む3種の実験の結果を、図4に示す。図4は、同じ企画の免疫試薬を用いた異なるアッセイプロトコル(均一法、逐次法および半逐次法)についての用量応答曲線を示している。用いられる試薬の濃度レベルは、3種全ての手順で同一であった。
【0062】
図4で示された通り、本アッセイの作業範囲で、曲線の傾きは大きく異なっている。半逐次フォーマットは、他の方法に対して幾つかの利点を提供する:
・逐次フォーマットの曲線は、抗薬物抗体(ADA)の濃度が低い方へシフトし、その結果、均一フォーマットに比べて感受性の高いアッセイを提供する(曲線の下端において感受性は2〜3倍改善する)
・半逐次フォーマットのバックグラウンド(ノイズレベル)は、おそらくAlexa標識薬物分子とむき出しのストレプトアビジンの間の相互作用が低いために、均一フォーマットと比べて低下している
・これらの実験に基づくと、半逐次フォーマットにおいて、フック現象は、均一フォーマットに比べて顕著でないように見える。
【0063】
ADAの存在について試料を分析するのに重要な局面は、試料中の薬物分子(DM)の存在に対するアッセイの許容範囲である。ADAの存在について半逐次アッセイ法を評価するために、それぞれ1μg/mlおよび5μg/mlに変化させた量のADAおよびDMを含む試料を調製し、2時間インキュベートして複合体を形成させた。続いてAlexa標識DMを加え(0.25μg/ml)、半逐次フォーマットで分析した。この結果(図5a)は、均一フォーマットで分析した同一の実験条件(図5b)と比較して、アッセイの薬物許容範囲が、半逐次フォーマットでは、僅かしか影響されないことを示している。
【0064】
図5a)および5b)は、半逐次フォーマット(図5a))および均一フォーマット(図5b))における、薬物許容範囲(すなわちADA検出試験結果に対する試料中の薬物分子の影響)を示している。
【0065】
また、ADAについて試料を分析する他の局面は、標識化された試薬とADAを含む試料の間で分析に耐えるのに十分な程安定な複合体を形成させるためにプレインキュベーションを行い、ADAについて高感度のアッセイを得るのに必要とされる時間である。プレインキュベーションに要する時間を求めるために、半逐次フォーマットにおいて、変化させた濃度のADAを検出とAlexa標識DMを予め混合し、異なる時間点で分析した。図6は、半逐次法フォーマットにおけるADAおよびAlexa標識DMのプレインキュベーション時間の影響を示している。実用的な理由により、さらに10〜20分のインキュベーション時間を、示した0時間および2時間のインキュベーション時間に加えなければならない。図6に示した通り、半逐次法フォーマットにおいて、より高いシグナル対ノイズ比を提供するため、短いインキュベーション時間での使用が好ましいことが分かる。
【0066】
プレインキュベーション時間を延長する影響の1つを図7に示す。図7a)〜c)において、複合体(5)は、アナライト(2)と検出試薬(3)の間で形成され、アナライト(2)に比べて過剰の検出試薬(3)が存在する場合および/またはアナライト(2)および検出試薬(3)を混合する時間が比較的長い場合には、複合体(5)は、検出試薬(3)の他のユニットに結合して2つのユニットの検出試薬(3)と1つのユニットのアナライト(2)を含む複合体を形成し(図7b))、c)に示した通り、このような複合体は、支持体(4)に固定化された捕捉試薬(1)に結合しない。捕捉試薬(1)は、捕捉部分(1b)および薬物分子(1a)を含むビオチン化薬物分子(1)であってもよい。アナライト(2)は、抗薬物分子(ADA)であってもよい。検出試薬(3)は検出可能なAlexaラベル(3b)および薬物分子(3a)を含むAlexa標識薬物分子(3)であってもよい。支持体(4)は、カラム中のストレプトアビジン表面であってもよい。
【0067】
プレインキュベーション時間を延長することによるさらなる可能性のある影響を図8に示す。図8a)において、二価のアナライト(2)が、アナライト(2)上の利用可能な2つの結合部位の一方を介して検出試薬(3)に結合している。図8b)において、図8a)で検出試薬(3)に結合した二価のアナライト(2)が、検出試薬(3)に2つの結合部位の両方で結合するように、結合工程を示された時間で行う。図8c)において、検出試薬(3)に2つの結合部位の両方で結合している二価のアナライト(2)は、支持体(4)上に固定化された捕捉試薬(1)に結合できない。捕捉試薬(1)は、捕捉部分(1b)および薬物分子(1a)を含むビオチン化薬物分子(1)であってもよい。アナライト(2)は抗薬物抗体(ADA)であってもよい。検出試薬(3)は、検出可能なAlexaラベル(3b)および薬物分子(3a)を含むAlexa標識薬物分子(3)であってもよい。支持体(4)は、カラム中のストレプトアビジン表面であってもよい。
【0068】
図9は、均一および半逐次フォーマットの濃度範囲の上限におけるフック現象についての感度をそれぞれ示している。図9に示した通り、フック現象は、半逐次法と比較して、均一法において、より顕著であり、より低いADA濃度で見られる。
【0069】
図10は、半逐次フォーマットにおけるアッセイ性能についてのカラム捕捉能力依存性を示している。パネルの図は、捕捉カラム上のB−DM対B−BSAの割合(それぞれ100、50/50、25/75および10/90%)を表す。図10から分かるように、半逐次法フォーマットにおいて、カラムの捕捉能力が大きくなると、シグナル対ノイズ比が高くなるようである。
【0070】
図11a)は、捕捉試薬(1)の2つのユニットを結合する支持体(4)を示しており、支持体(4)が捕捉試薬(1)で飽和されておらず、そのために、支持体(4)の表面の一部が捕捉試薬(1)で覆われていないことを示している。矢印で示した通り、アナライト(2)および検出試薬(3)で形成された複合体は、支持体(4)と相互作用することが可能であり、支持体(4)に非特異的に結合することさえ可能であり、それによって、系中のバックグラウンドシグナルが増大する。従って、過剰量の検出試薬(3)が支持体(4)と相互作用することが可能であり、支持体(4)に非特異的に結合することさえ可能であり、それにより、系中のバックグラウンドシグナルが増大する。支持体(4)がカラム中に位置する適用において、本発明者らは、捕捉試薬(1)が、特定の条件下で、カラムの入口部分近くに位置する部分の支持体(4)にのみ結合する傾向があり、そのために、カラム中のさらに下流に位置する部分の支持体は捕捉試薬(1)で覆われていないことを観察した。対照的に、カラム中のさらに下流に位置する部分の支持体(4)は露出したままであり、アッセイ法で用いられた他の何れかの試薬に、例えば非特異的に結合する。このことは、例えば支持体(4)に吸着した過剰量の検出試薬(3)由来のバックグラウンドシグナルの増大をもたらすため、不都合である。
【0071】
図11b)は、支持体(4)に固定化された複数捕捉試薬(1)ユニット間の距離を最小にするように、支持体(4)を捕捉試薬(1)の飽和溶液と接触させている。言い換えると、支持体(4)の表面を捕捉試薬(1)で飽和させている。それによって、例えばアナライト(2)および検出試薬(3)で形成される複合体との非特異的相互作用に利用可能な支持体(4)の表面を最少にしている。
【0072】
図12は、半逐次アッセイ法における薬物許容範囲およびインキュベーション時間の影響の評価結果を示している。分析前にADAおよびAlexa標識DM(DM−A)をプレインキュベーションするのに要する時間を求めるために、半逐次フォーマットで、種々の濃度のADAとAlexa標識DMを予め混合して、異なる時間点で分析した(0時間および2時間インキュベーション)。2つの試験群において、一方は、非標識DMを5μg/mlの濃度で加え、他方は非標識DMを加えなかった。図12から分かるように、DMを添加しない試験群とDMを添加した試験群の双方で最も高いシグナル対ノイズ比を提供するため、予め混合する時間を最短にすることが好都合であるように見える。
【0073】
本発明の一つの態様において、支持体(4)は、多孔性、または半薄膜状もしくは薄膜状(すなわち非多孔性)である粒子を含む。
【0074】
本発明のさらなる態様において、粒子は、本質的に円形であって、10μmより大きい平均直径を有する。本発明の一つの態様において、粒子は、10〜14μmの範囲内の平均直径を有する。本発明のさらなる態様において、粒子は、15±0.5μmの平均直径を有する
本発明のさらなる態様において、粒子は、均一な、または狭いサイズ分布を有する。
【0075】
また、半逐次法でアッセイを行う他の局面は、結合した複合体の分布が、複合体中のストレプトアビジンとDMのビオチンの間の相互作用に依存せず、むしろ、捕捉DMと、検出可能な複合体の一部であるADAの間の相互作用に依存することである。この違いは、ADAを含む異なる試料の変化する親和性を解析する可能性を有するが、実施するためには、特に、相互作用する成分間で異なる親和性を有するモデル系を用いるさらなる試験が必要である。
【0076】
本発明の一つの態様において、該方法は、a)捕捉試薬(1)を支持体(4)に加え;b)捕捉試薬(1)が支持体(4)に結合し、それによって固定化され;c)アナライト(2)を検出試薬(3)と混合し;d)アナライト(2)が検出試薬(3)と結合して複合体(5)を形成し;e)支持体(4)上に固定化された捕捉試薬(1)に複合体(5)が結合するように、支持体(4)上に固定化された捕捉試薬(1)に複合体(5)を加える、半逐次アッセイ法である。
【0077】
本発明の一つの態様において、捕捉試薬(1)が、捕捉部分(1b)および薬物分子(1a)を含むビオチン化薬物分子(1)であってもよい。アナライト(2)は、抗薬物抗体(ADA)であってもよい。検出試薬(3)が、検出可能なAlexaラベル(3b)および薬物分子(3a)を含むAlexa標識薬物分子(3)であってもよい。支持体(4)がカラム中のストレプトアビジン表面であってもよい。
【0078】
抗薬物抗体(ADA)は、生物由来の試料、例えば血液、血清、血漿、尿またはヒトまたは動物の組織の一部であってもよい。定義によると、抗薬物抗体(ADA)は、薬物分子に対する親和性カウンターパートである抗体である。抗薬物抗体(ADA)は、薬物分子に対する抗イディオタイプ抗体であってもよく、他の変法において、ADAは、Fab−アームよりむしろ薬物分子の他の構造部分に対して親和性を有していてもよい。抗薬物抗体は、天然のポリクローナル抗体であり、薬物に対する親和性を変化させてもよく、異なる免疫グロブリンサブクラスに属していてもよく、異なる濃度範囲の試料中に存在していてもよい。
【0079】
本発明のさらなる態様において、アナライト(2)は、薬物分子(例えば抗体)であってもよく、捕捉試薬(1)が薬物分子に対するビオチン化抗イディオタイプ抗体であってもよく、検出試薬(3)が、薬物分子に対するAlexa標識抗イディオタイプ抗体であってもよく、捕捉試薬(1)は、捕捉部分(1b)としてのビオチンおよび薬物分子に対する抗イディオタイプ抗体(1a)を含む。さらに、検出試薬(3)は、検出可能なAlexaラベル(3b)および薬物分子に対する抗イディオタイプ抗体(3a)を含む。支持体(4)はカラム中のストレプトアビジン表面であってもよい。
【0080】
予め混合する時間が短い程、逆にADA検出感度は増大するという結果を示し、これは、仮説であるが、形成された複合体において時間が長くなることによって利用可能なADAの接近可能部位がますます少なくなるからであろう。複合体は時間経過と共に成熟すると言われている。このことは、手順の工程に用いられる時間を制御することが好ましいことを示しており、各工程に用いられるインキュベーション時間を最短にすることが好ましいことを示している。
【0081】
従って、捕捉カラムの上流に混合のための機能を含むCDは、ADAおよびAlexa標識DMを含む適切な容積の試料を容量規定して、適切な“放出”回転によって、容量規定された試料を捕捉カラムに同時に放出する前に十分に長い時間混合することができる。これは、幾つかの方法でより好都合となる。
・プレインキュベーションおよび分析に必要な時間をかなり減らすことができる
・MTPウェル中で予め混合を行う場合に比べて、CD中で予め混合を行う場合必要な試料容量を減らすことができる
・最後に述べるが決して軽んじられないのは、試料や試薬のピペッティングの工程を完全に自動で処理することができ、処理の間にオペレーターの介入の繰り返しを減らすことができる。
【0082】
WO 2005/094976 A1 (Gyros Patent AB)は、本発明の1つの態様における装置の一部として適用可能な混合ユニットを開示している。WO 2005/094976 A1 (Gyros Patent AB)は、言及することによって本明細書に組み込まれる。
【実施例】
【0083】
材料および方法
このモデル系は、Erfa Biotech, Canadaのマウスのモノクローナル抗体をベースとしている。DMアナログは、抗癌胎児抗原(カタログ番号76050)であり、ADAアナログは、抗癌胎児抗原に対する抗イディオタイプ抗体(カタログ番号76150)である。DMは、捕捉抗体として作用するためにビオチン標識され、かつ、検出抗体としてAlexa 647標識されている。全ての分析を、Bioaffy200 CD micro laboratory (Gyros AB)におけるGyrolab Workstation (Gyros AB)で行った。
【0084】
捕捉抗体および検出抗体の調製
供給者の指示に従って、EZ−Link Sulfo−NHS−LC−Biotin(カタログ番号21335, PIERCE Biotechnology)およびAlexa Flour 647 (カタログ番号A-20186, Molecular Probes)でそれぞれ、DMを標識した。
【0085】
均一アッセイ法
均一アッセイ法では、3種全ての成分、すなわちビオチン標識DM、Alexa標識DMおよびADAを分析前に予め混合する。同じ容積の3種全ての成分を予め混合するとき、混合時の濃度は、望ましい最終濃度の3倍でなければならない。全ての希釈は、Exxip F (Gyros AB)で行った。
【0086】
ビオチン標識DMおよびAlexa標識DMをそれぞれ0.75μg/mlに希釈した。ADAアナログを、0.21〜3600ng/mlの間の変化させた濃度に希釈し、“標準曲線”を作製した。10μlの各成分を、マイクロプレート中で予め混合し、室温で2時間一定速度で振盪しながらインキュベートした。
【0087】
逐次アッセイ法
逐次アッセイ法では、ビオチン標識DMで始まり、続いてADAを添加し、最後にAlexa標識DMを添加する順番で3成分を加える。
【0088】
ビオチン標識DMを、PBS−T(15mM リン酸緩衝液、150nM NaCl、0.02% NaN、0.02% Tween 20)で、100μg/mlに希釈し、Alexa標識DMをExxip Fで0.25μg/mlに希釈した。ADAアナログをExxip Fで0.29〜300ng/mlの間で変化させた濃度に希釈して、“標準曲線”を作製した。
【0089】
半逐次アッセイ法
半逐次アッセイでは、ビオチン標識DMを飽和濃度で加え、続いて予め混合したAlexa標識DMおよびADAを添加する。予混合は等容積で行われ、このため、混合時の濃度は、望ましい最終濃度の2倍でなければならない。
【0090】
Alexa標識DMをExxip Fで0.5μg/mlに希釈し、ADAを0.14〜2400ng/mlの間で変化させた濃度に希釈して、“標準曲線”を作製した。
10μlの各成分をマイクロプレート中で混合し、室温で2時間、一定速度で振盪しながらインキュベートした。また、アッセイは、インキュベーションせずに、Alexa標識DMとADAを分析直前に混合して行った。アッセイの開始に関連して、ビオチン標識DMをPBS−Tで100μg/mlに希釈した。
半逐次フォーマットのためのカラム能力アッセイにおいて、100μg/mlのビオチン標識DMを、変化させた割合の100μg/mlのビオチン標識BSAと混合した。
【0091】
薬物許容範囲
“試料”を作製するために、ADAアナログを等量の非標識DMと混合し、室温で振盪しながら2時間インキュベートした。ADAをExxip Fで種々の濃度に希釈し、“標準曲線”を作製し、DMを0、1および5μg/mlの最終濃度に希釈した。薬物許容範囲を、均一アッセイフォーマットおよび半逐次アッセイフォーマットの双方で調べた。
【0092】
均一フォーマットにおいて、“試料”をマイクロプレート中でビオチン標識DMおよびAlexa標識DMと混合した。室温で振盪しながらインキュベーションを2時間行った。各標識DMの最終濃度は0.25μg/mlであった。
【0093】
半逐次フォーマットにおいて、“試料”をAlexa標識DMと混合し、室温で振盪しながら2時間インキュベートした。Alexa標識DMの最終濃度は0.25μg/mlであり、分析直前にビオチン標識DMを100μg/mlに希釈した。
【図1a)】

【図1b)】

【図1c)】

【図2a)】

【図2b)】

【図2c)】

【図2d)】

【図3a)】

【図3b)】

【図3c)】

【図3d)】

【図3e)】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
半逐次アッセイ法である試料中のアナライト(2)の検出方法であって、下記の工程:
a) 捕捉部分(1b)およびアナライト(2)に対する親和性カウンターパート(1a)を含む捕捉試薬(1)の飽和量を、捕捉部分(1b)に結合することができる反応部位を有する表面を有する支持体(4)と接触させ;それによって、当該反応部位が固定化された捕捉試薬(1)で飽和されるまで、捕捉試薬(1)を捕捉部分(1b)を介して支持体(4)に結合させて固定化させること;
b) アナライト(2)を含む試料を、検出可能な部分(3b)およびアナライト(2)に対する親和性カウンターパート(3a)を含む検出試薬(3)と接触させ;それによってアナライト(2)を親和性カウンターパート(3a)を介して検出試薬(3)に結合させて複合体(5)を形成させること;
c) 支持体(4)を複合体(5)に曝露し、それによって、複合体(5)を、支持体(4)に固定化された捕捉試薬(1)にアナライト(2)を介して結合させること;そして
d) 検出可能な部分(3b)を検出すること;
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
アナライト(2)が抗薬物抗体であり、捕捉試薬(1)が、捕捉部分(1b)に結合した薬物分子(1a)を含み、検出試薬(3)が、検出可能な部分(3b)に結合した薬物分子(3a)を含む、請求項1に記載された方法。
【請求項3】
アナライト(2)が薬物分子であり、捕捉試薬(1)が、捕捉部分(1b)に結合した抗イディオタイプ抗体を含み、検出試薬(3)が、検出可能な部分(3b)に結合した薬物分子に対する抗イディオタイプ抗体を含む、請求項1に記載された方法。
【請求項4】
工程f)の前に、支持体(4)を洗浄溶液で洗浄する工程をさらに含む、請求項1〜3の何れか1項に記載された方法。
【請求項5】
洗浄溶液が、5%未満、好ましくは1%未満、より好ましくは0.5%未満の濃度の洗浄剤を含む、請求項4に記載された方法。
【請求項6】
洗浄剤が非イオン性である、請求項5に記載された方法。
【請求項7】
洗浄剤が、モノラウリン酸 ポリオキシエチレンソルビタンである、請求項6に記載された方法。
【請求項8】
工程e)の前に24時間未満、好ましくは工程e)の前に2時間未満、より好ましくは工程e)の前に20分未満、より好ましくは工程e)の前に10分未満、より好ましくは工程e)の前に1分未満、より好ましくは工程e)の前に1秒未満、試料を検出試薬(3)と接触させる請求項1〜7の何れか1項に記載された方法。
【請求項9】
捕捉部分(1b)がビオチンであり、反応部位を有する表面を有する支持体(4)がストレプトアビジンを含む、請求項1〜8の何れか1項に記載された方法。
【請求項10】
検出可能な部分(3b)が、Alexa Fluor 633、Alexa Fluor 647、DyLight 649、Cy-5、Cy-5.5および蛍光ナノ粒子からなる試薬の群から選択される、請求項1〜9の何れか1項に記載された方法。
【請求項11】
試料が、1000nl以下、好ましくは200nl以下の容積を有する、請求項1〜10の何れか1項に記載された方法。
【請求項12】
検出試薬(3)が、1000nl以下、好ましくは200nl以下の容積を有する、請求項1〜11の何れか1項に記載された方法。
【請求項13】
検出試薬(3)が、15μg/ml未満または100nM未満、好ましくは0.5μg/ml未満または3.3nM未満の濃度を有する、請求項1〜12の何れか1項に記載された方法。
【請求項14】
支持体(4)が、多孔性、半薄膜状または薄膜状(すなわち非多孔性)である粒子を含む、請求項1〜13の何れか1項に記載された方法。
【請求項15】
粒子が、本質的に円形であって、10μmより大きい平均直径を有する、請求項14に記載された方法。
【請求項16】
粒子が均一なサイズ分布を有する、請求項14〜15の何れか1項に記載された方法。
【請求項17】
支持体(4)が装置の一部であり、該装置が、
−試料入口;
−検出試薬入口;
−捕捉試薬入口;
−試料入口および検出試薬入口と流体接触している混合チャンバーであって、試料入口および検出試薬入口の下流方向に位置している混合チャンバー;
−支持体(4)を含むカラムであって、試料入口、検出試薬入口、捕捉試薬入口および混合チャンバーと流体接触しており、そして捕捉試薬入口および混合チャンバーの下流方向に位置しているカラム;
−カラムと流体接触している出口であって、カラムの下流方向に位置している出口;および
−検出試薬を検出するための手段;
を含む、請求項1〜16の何れか1項に記載された方法。
【請求項18】
−試料入口;
−検出試薬入口;
−捕捉試薬入口;
−試料入口および検出試薬入口と流体接触している混合チャンバーであって、試料入口および検出試薬入口の下流方向に位置している混合チャンバー;
−支持体(4)を含むカラムであって、支持体(4)が、捕捉部分(1b)を介して捕捉試薬(1)に結合することができる反応部位を有する表面を有し、カラムが、試料入口、検出試薬入口、捕捉試薬入口および混合チャンバーと流体接触しており、カラムが、捕捉試薬入口および混合チャンバーの下流方向に位置している、カラム;
−カラムと流体接触している出口であって、カラムの下流方向に位置している出口;および
−検出試薬を検出するための手段;
を含む装置。
【請求項19】
反応部位が捕捉試薬(1)で飽和されている、請求項18に記載された装置。
【請求項20】
捕捉試薬(1)が、捕捉部分(1b)に結合している薬物分子(1a)を含む、請求項19に記載された装置。
【請求項21】
捕捉試薬(1)が、捕捉部分(1b)に結合している薬物分子に対する抗イディオタイプ抗体を含む、請求項19に記載された装置。
【請求項22】
捕捉部分(1b)がビオチンであり、反応部位を有する支持体(4)がストレプトアビジンを含む、請求項18〜21の何れか1項に記載された装置。
【請求項23】
カラムが、1pmol以下の捕捉試薬(1)を結合する能力を有し、カラムが、20nl未満の容積を有する、請求項18〜22の何れか1項に記載された装置。
【請求項24】
0.1〜5nl/秒の範囲、好ましくは0.3〜2nl/秒の範囲の流速で、試料および捕捉試薬(1)を伝達するのに適合させた、請求項18〜23の何れか1項に記載された装置。

【図4】
image rotate

【図5a】
image rotate

【図5b】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7a)】
image rotate

【図7b)】
image rotate

【図7c)】
image rotate

【図8a)】
image rotate

【図8b)】
image rotate

【図8c)】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11a)】
image rotate

【図11b)】
image rotate

【図12】
image rotate


【公表番号】特表2012−505402(P2012−505402A)
【公表日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−530992(P2011−530992)
【出願日】平成21年10月6日(2009.10.6)
【国際出願番号】PCT/SE2009/051107
【国際公開番号】WO2010/042031
【国際公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(505358004)ユィロス・パテント・アクチボラグ (22)
【氏名又は名称原語表記】Gyros Patent AB
【Fターム(参考)】