説明

試料中のRNAスプライシング形態を検出するための非標的増幅法

生物学的試料由来のRNAを単離する方法、生物学的試料中での特定のRNAスプライシング形態変異体の存在を決定するための方法および手段、生物学的試料中でのRNA比の相対比を決定するための方法および手段、ならびに前癌性子宮頸部病変の進行を予測するための方法および手段が提供される。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照
35U.S.C.§111(a)の下で出願された本米国非仮特許出願は、2009年5月1日に35U.S.C.§111(b)の下で出願された米国仮特許出願第61/174,938号明細書、および2009年5月1日に35U.S.C.§111(b)の下で出願された米国仮特許出願第61/174,946号明細書の、35U.S.C.§119(e)(1)の下での便益性を主張し、その各々は、その全体が参照により本明細書中に援用される。
【0002】
1.分野
本開示は、試料中でのリボ核酸(RNA)の存在を決定するための方法およびキットに関する。
【背景技術】
【0003】
2.関連技術の説明
特定の核酸配列および配列変化の検出および特徴づけを用い、感染を示唆するウイルスまたは細菌核酸配列の存在、疾患および癌に関連した哺乳類遺伝子の変異体または対立遺伝子の存在を検出し、かつ、法医学試料中、ならびに父子関係の決定において見出される核酸の供給源を同定している。正常な生物学的プロセスに関与するRNA種の特徴づけは、様々なあまり知られていない生物学的プロセスを理解する上で重要でありうる。
【0004】
検出
RNA(例えば、メッセンジャーRNA、トランスファーRNA、リボソームRNA、小核RNA、および他のRNA)の検出および特徴づけは、分子生物学、毒物学、および生化学を含む多くの分野における重要なツールである。メッセンジャーRNA(mRNA)は、細胞に必須の機能性成分(functional constituent)であり、遺伝子発現のプロセスの間、mRNAの機能性一本鎖構造は、合成され、タンパク質合成中の翻訳プロセスにおける中間体鋳型として役立つ。短命のmRNA分子の存在は、DNAのRNA分子への転写に始まり、最終的に分解されることになる。その寿命の期間、mRNA分子はまた、翻訳前に、プロセシングされ、編集され、輸送されうる。スプライシングは、プレmRNAが修飾され、イントロンと称される非コード配列の特定のストレッチが除去されるプロセスであり、残存するストレッチは、タンパク質コード配列を含む場合があり、エクソンと称される。場合により、プレmRNAメッセージは、いくつかの異なる方法でスプライシングされる場合があり、それは、単一の転写産物が複数のタンパク質をコードすることを可能にする。
【0005】
メッセンジャーRNA(mRNA)の検出は、DNAの検出では提供できないウイルス量および遺伝子発現情報を提供しうることから、診断上重要である。これらの要素は、疾患の進行および予後についての手掛かりを与えることが多い。mRNA検出についての現行の技術は、費用および汚染に対する潜在性を含む多数の問題を提示する。
【0006】
リバースハイブリッド(reverse hybrid)捕捉は、汚染のリスクが極めて低い生物学的試料に由来する特定の遺伝子転写産物を検出するのに使用可能な、RNA検出における新規の非標的増幅方法である。この方法では、RNA標的にハイブリダイズされるDNAプローブが使用される。次いで、生成されるハイブリッドは、ハイブリッド捕捉抗体系を用いて検出される。
【0007】
mRNA検出の最も一般的な方法は、ノーザンブロット、リボヌクレアーゼ保護アッセイ(RPA)、および逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)を含む。しかし、これらの技術の各々は、感度においていくつかの利点を提供する一方、時間および材料に対する需要を要求する。さらに、全mRNAが全RNAの約1%を表すにすぎないことや、任意の特定のmRNAが有意により小さい百分率を占めることから、一部の技術では、標的mRNAの増幅が要求される。
【0008】
特徴づけ
現在、逆転写酵素−ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)は、RNA転写産物を特徴づけるために広く用いられている。しかし、本方法は、次の制限、すなわち、1)限られた数の特定の領域のみが同時増幅されうること、2)突然変異または選択的スプライシングが特定のプライマーのRNAに対する検出能を制限しうること、および3)mRNA構造を連続モード法で特徴づけることが困難であること、を含む。
【発明の概要】
【0009】
簡単な概要
本開示は、RNA転写産物を特徴づけることが可能な、RNA検出の非標的増幅法を提供する。一実施形態では、本開示は、mRNA転写産物を特徴づけることが可能な、mRNA検出の非標的増幅法を提供する。
【0010】
本開示は、標的RNAの存在を検出する方法であって、a)支持体に結合された少なくとも1つのDNA捕捉プローブを提供するステップと、b)標的RNAを上記少なくとも1つのDNA捕捉プローブとハイブリダイズし、標的RNA:DNA捕捉プローブ複合体を生成するステップと、c)標的RNA:DNA捕捉プローブ複合体を単離するステップと、d)少なくとも1つのDNA増幅プローブを提供し、かつ上記少なくとも1つのDNA増幅プローブを上記標的RNA:DNA捕捉プローブ複合体とハイブリダイズし、標的RNA:DNA捕捉/増幅プローブ複合体を生成するステップと、e)抗−RNA:DNAハイブリッド抗体を提供し、かつ上記標的RNA:DNA捕捉/増幅プローブ複合体を上記抗体とともにインキュベートし、標的RNA:DNA:抗体複合体を生成するステップと、f)上記標的RNAの存在を示す上記抗体を検出するステップと、を含む方法を提供する。一態様では、抗体は、検出可能なマーカーにコンジュゲートされ、かつ、検出するステップは、マーカーを検出するステップを含む。一態様では、検出可能なマーカーは、アルカリホスファターゼおよび西洋わさびペルオキシダーゼからなる群から選択される。一態様では、検出するステップは、上記抗−RNA:DNAハイブリッド抗体に結合する二次抗体を提供するステップを含み、ここで上記二次抗体は、検出可能なマーカーにコンジュゲートされ、またここで上記検出するステップは、マーカーを検出するステップをさらに含む。一態様では、支持体は、磁性ビーズを含む。一態様では、磁性ビーズは、少なくとも1つのストレプトアビジン分子にコンジュゲートされ、かつ少なくとも1つのDNA捕捉プローブは、ビオチン分子にコンジュゲートされる。
【0011】
標的RNAは、ウイルス、細菌、抗酸菌または原虫に由来しうる。標的RNAは、ヘルペスウイルス科(Herpesviridae)、ヒト免疫不全ウイルス、バクテリオファージ、クラミジア種(Chlamydia spp.)、ナイセリア種(Neisseria spp.)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、抗酸菌、SARSコロナウイルス、オルソミクソウイルス科(Orthomixoviridae)またはパピローマウイルス科(Papillomaviridae)に由来しうる。
【0012】
一態様では、少なくとも1つのDNA捕捉プローブおよび少なくとも1つのDNA増幅プローブは、約15〜約200塩基長である。
【0013】
一態様では、標的RNAは、スプライス変異体であり、かつ、少なくとも1つのDNA捕捉プローブおよび少なくとも1つのDNA増幅プローブは、上記スプライス変異体の存在を検出するように選択される。
【0014】
一態様では、少なくとも1つのDNA捕捉プローブおよび少なくとも1つのDNA増幅プローブは、HPV高リスク型16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、68、26、66、73、および82に由来するRNAに対して相補的である。
【0015】
本開示は、標的RNAを検出するためのキットであって、a)磁性支持体に結合された少なくとも1つのDNA捕捉プローブ、b)少なくとも1つのDNA増幅プローブ、c)抗−RNA:DNAハイブリッド抗体、およびd)検出試薬を含む、キットを提供する。一態様では、上記抗−RNA:DNAハイブリッド抗体は、検出可能なマーカーにコンジュゲートされ、かつ、上記検出試薬は、上記検出可能なマーカーに対する基質を含む。一態様では、キットは、上記抗−RNA:DNAハイブリッド抗体に結合する二次抗体をさらに含み、ここで上記二次抗体は、検出可能なマーカーにコンジュゲートされ、またここで上記検出試薬は、上記検出可能なマーカーに対する基質を含む。
【0016】
本開示は、検出のための標的RNAを提供する方法であって、標的RNAを含有する生物学的試料をカルボキシルビーズとともにインキュベートするステップと、ビーズを単離するステップと、単離されたビーズに結合された生物学的試料を溶解するステップと、溶解された生物学的試料からビーズを単離するステップと、を含み、ここで得られた上清は検出のための標的RNAを含有する、方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本開示の性質、目的、および利点をさらに理解するため、以下の詳細な説明を、以下の図面と併せて理解するように参照すべきであり、ここで同様の参照番号は、同様の要素を意味する。
【0018】
【図1】ビオチン化DNAプローブ(白色バー)によって捕捉された標的RNA(斜交平行バー)の略図である。「B」はビオチン部分を表し、「SA」はストレプトアビジン部分を表し、「AP」は抗体にコンジュゲートされたアルカリホスファターゼを表すが、SAは、任意の他の適切な検出可能な部分(例えば西洋わさびペルオキシダーゼなど)であってもよい。
【図2】DNA捕捉プローブ(白色バー)、複数のDNA増幅プローブ(黒色バー)、および複数のDNA:RNAハイブリッド抗体を使用し、標的RNA(斜交平行バー)を増幅する必要性を伴わずにシグナルを「増幅する」ことを示す略図である。「B」はビオチン部分を表し、「SA」はストレプトアビジン部分を表し、BおよびSAは、DNAプローブをビーズにコンジュゲートさせる他のコンジュゲーション技術と交換してもよく、「AP」は抗体にコンジュゲートされたアルカリホスファターゼを表すが、APは、任意の他の適切な検出可能な部分(例えば西洋わさびペルオキシダーゼなど)であってもよい。
【図3】基質(S)に結合された異なるDNA捕捉プローブによって捕捉された標的RNA(破線矢印)の略図である。非コンジュゲートDNA増幅プローブ(黒色バー)と、(アルカリホスファターゼまたは任意の他の適切な検出可能な部分、例えば西洋わさびペルオキシダーゼなどにコンジュゲートされた)DNA:RNAハイブリッド領域を検出しかつそれに結合する複数の抗体もまた示される。基質(例えばビーズ)は、複数のDNA捕捉プローブを担持し、かつDNA捕捉プローブは、同じ(すなわち同じ配列および/または長さ)ものであっても、または異なる(すなわち異なる配列および/または異なる長さ)ものであってもよい。
【図4】RNA捕捉後に未ビオチン化DNAプローブを添加する効果を示す実験の結果を提供する。この実験では、可変数のビオチン化プローブが、ストレプトアビジンビーズにコンジュゲートされた。標的は、HPV16のE6/7遺伝子転写産物であった。アッセイは、未標識シグナル増幅プローブが添加される場合(黒色バー)および添加されない場合(白色バー)に、各ビーズセットを用いて行われた(1ステップ対2ステップアッセイ)。シグナル増幅ステップが加えられない場合(白色バー)、シグナルは、捕捉プローブによって提供される範囲の量とともに増加した。しかし、シグナル増幅プローブが加えられた場合(黒色バー)、シグナルは、1ステップアッセイの場合より著しく高く、改善されたシグナルのために必要であったのは、わずか3〜5つの捕捉プローブであった。
【図5】内因性ハイブリッドが臨床上のバックグラウンドノイズ源であることが多いことを示す。「RLU」=相対発光単位。
【図6】PreservCyt(登録商標)溶液中で細胞試料をアッセイする場合での、アッセイでのバックグラウンドに対する溶解緩衝液(ここで100%緩衝液は約3Mグアニジンチオシアネートおよび約2%界面活性剤を含有する)濃度の効果を示し、これは、臨床上のバックグラウンドが溶解緩衝液の濃度の低下とともに低下することを示す。
【図7】細胞ペレットの低張性溶解が、バックグラウンドノイズが安定状態を維持し、かつ使用される標本の量にかかわらずバックグラウンドが有意に変化しないことを保証することを示す。「PC」=PreservCyt(登録商標)溶液;「PC(−)」=HPV標的を有しないPreservCyt(登録商標)溶液中に固定された標本(子宮頸部擦過)プール。
【図8】HPV陽性細胞(SiHa)由来のHPV E6/E7の検出の限界を示す。これは、本開示の方法を用いると、HPV E6/7 RNAの検出のために必要とされるのが、わずか1×10個の細胞であることを示す。
【図9】COOHビーズによって捕捉される細胞に対する様々な溶解緩衝液の溶解能についての試験から得られる結果を示す。図9のデータは、下の表1のデータとともに、好ましい溶解緩衝液が約1Mグアニジンチオシアネートおよび約0.7%界面活性剤であることを示す。
【図10】磁性カルボン酸塩で修飾された(COOH)ビーズ(Sera Dynカタログ番号6515−2105−050350)による細胞捕捉を経時的に示し、これは約95%の細胞が30分のインキュベーション後に捕捉されていることを示す。
【図11】COOHビーズ捕捉と低張性(hyotonic)溶解との比較を示し、mRNAを細胞から得るのに、COOHビーズ捕捉が低張性溶解より効率的であることを示す。「PC−」は、HPVの存在が欠如している子宮頸部擦過標本のプールを示す。
【図12】捕捉およびシグナルプローブ設計領域を示す略図である。HPV転写産物の長さは、特異的標的を捕捉する特異的捕捉オリゴを有する磁性ビーズ上への捕捉によって「特徴づけ」られ、ハイブリッド領域の長さを延長するのに使用される未標識オリゴヌクレオチドの様々なセットで検出することが可能である。捕捉RNAが、使用される検出プローブに相補的な配列を担持する場合、シグナルが発生することになる。シグナル出力は、増幅シグナルプローブを、シグナルがプラトー状態になる、最長に達するまで連続添加することで、増大することになる。HPV16における様々なHPV転写産物が示される。破線ボックスによって示される領域は、プローブ設計用に指定される。
【図13】シグナル増幅プローブの数が増加するにつれて、シグナルが増大することを示す。この方法で、RNA転写産物長は、連続検出プローブの数の増加によってもたらされるシグナルの増大によって決定されうる。図13では、5つのオリゴの各セットが互いに隣接し、連続セットが添加されるにつれ、結果的に、RNA:DNAハイブリッドが長くなり、かつシグナルが強力になっている。
【図14】高い初期:後期HPV mRNA比を有する細胞の画分が、低い比を有する細胞のバックグラウンドに対して検出されうることを示す。この図14においては、SiHa細胞(子宮頸癌細胞系)が、頸部標本のプール(それぞれ高グレードHPV関連病変と診断された)に添加された。SiHa細胞は、高いHPV初期転写産物:HPV後期転写産物の比を包含し、それは子宮頸癌の一般的特徴である。試料は、前癌性病変細胞内部に癌細胞を有する標本を模倣したものである。結果は、本アッセイが、より良性の病変細胞のプール中で癌細胞を検出することを示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本開示がさらに説明される前に、本開示が、特定の実施形態の変形がなされても、依然として添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれるものとして、下記の開示の特定の実施形態に限定されないことは理解されるべきである。また、使用される用語が、特定の実施形態を記述することを目的とし、かつ限定するように意図されていないことは理解されるべきである。事実、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲によって確立されることになる。
【0020】
本明細書および添付の特許請求の範囲における、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈上そうでないとする明確な指示がない限り、複数の参照を含む。他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての科学技術用語は、本開示が属する当業者に一般に理解される場合と同じ意味を有する。
【0021】
本開示の方法を用い、試料由来の標的核酸の存在を検出することが可能である。かかる核酸は、RNAであってもよく、かかる試料は、限定はされないが、標本または培養物(例えば、生物学的および環境試料を含む、細胞、微生物およびウイルス培養物)を含んでもよい。生物学的試料は、真核生物、原核生物、古細菌、ウイルス、動物、例えば、ヒト、植物、菌類、発掘物(excavate)に由来してもよく、また、液体、固形物(例えば排泄物)または組織、細胞培養物、液体または固体培地、ならびに液体および固体の食品および飼料とその原料、例えば、乳製品の品目、野菜、肉および肉副産物、ならびに廃棄物に由来してもよい。環境試料は、表面物質、土、水、空気および工業試料、ならびに食品および乳製品加工用の計器、装置、機器、器具、消耗品目および非消耗品目から得られる試料などの環境材料を含む。特に好ましいものは、限定はされないが、頸部上皮細胞(例えば、頸部スワブまたは生検から得られる試料)、アデノイド細胞、肛門上皮細胞(anal epithelial cell)、血液、唾液、脳脊髄液、胸膜液、ミルク、リンパ液、痰および精液を含む生物学的試料である。試料は、メッセンジャーRNA(mRNA)を含むリボ核酸を含んでもよい。
【0022】
本開示は、試料中の標的RNAの存在を決定するための方法であって、a)標的RNAを、標的RNAに相補的な配列を有するDNA捕捉プローブとハイブリダイズし、ここでDNA捕捉プローブは支持体にコンジュゲートされ、標的RNA:DNA捕捉プローブ複合体を形成するステップと、b)標的RNA:DNA捕捉プローブ複合体を未結合RNAから(例えば洗浄によって)分離するステップと、c)場合により、少なくとも1つの増幅プローブを標的RNA:DNA捕捉プローブ複合体にハイブリダイズさせ、ここで少なくとも1つの増幅プローブは標的RNAに相補的な配列を有し、それにより、標的RNA:DNA捕捉/増幅プローブ複合体を形成するステップと、d)RNA:DNAハイブリッドを認識しかつそれに結合する抗体を添加し、標的RNA:DNA捕捉/増幅プローブ複合体に結合させ、ここで抗体は検出可能なマーカーで標識され、それにより標的RNA:DNA:抗体複合体を形成するステップと、e)上記抗体上のマーカーを検出し、ここで検出が標的リボ核酸の存在を示すステップと、f)検出結果を増幅プローブの異なる組み合わせから得られる結果と比較し、存在する特定のRNAスプライシング形態を示すステップと、を含む方法を提供する。
【0023】
本開示は、試料中の標的RNAの存在を決定するための方法であって、a)標的RNAを、標的RNAに相補的な配列を有するDNA捕捉プローブとハイブリダイズし、ここでDNA捕捉プローブは支持体にコンジュゲートされ、標的RNA:DNA捕捉プローブ複合体を形成するステップと、b)標的RNA:DNA捕捉プローブ複合体を未結合RNAから分離するステップと、c)場合により、少なくとも1つの増幅プローブを標的RNA:DNA捕捉プローブ複合体にハイブリダイズさせ、ここで少なくとも1つの増幅プローブは標的RNAに相補的な配列を有し、それにより、標的RNA:DNA捕捉/増幅プローブ複合体を形成するステップと、d)RNA:DNAハイブリッドを認識しかつそれに結合する抗体を添加し、標的RNA:DNA捕捉/増幅プローブ複合体に結合させ、それにより標的RNA:DNA:抗体複合体を形成するステップと、e)一次抗体を認識しかつそれに結合する二次抗体を添加し、ここで二次抗体は、検出可能なマーカーで標識されるステップと、f)二次抗体上のマーカーを検出し、ここで検出が標的リボ核酸の存在を示すステップと、g)検出結果を増幅プローブの異なる組み合わせから得られる結果と比較し、存在する特定のRNAスプライシング形態を示すステップと、を含む、方法を提供する。
【0024】
本開示はまた、試料中でのリボ核酸(RNA)スプライシング形態の存在を検出する方法であって、a)標的RNAを、標的RNAに相補的な配列を有するDNA捕捉プローブと、プローブおよび標的リボ核酸がハイブリダイズすることを可能にする条件下でハイブリダイズし、それにより、標的RNA:DNA捕捉プローブ複合体を形成するステップと、b)RNA:DNAハイブリッドを認識しかつそれに結合する一次抗体を添加し、標的RNA:DNA捕捉プローブ複合体に結合させ、ここで一次抗体は、支持体にコンジュゲートされ、それにより、標的RNA:DNA捕捉プローブ:抗体複合体を形成するステップと、c)標的RNA:DNA捕捉プローブ:抗体複合体を未結合RNAから分離するステップと、d)少なくとも1つの増幅プローブを標的RNA:DNA捕捉プローブ:抗体複合体にハイブリダイズさせ、ここで少なくとも1つの増幅プローブは標的RNAに相補的な配列を有し、かつ特定の標的RNA領域をカバーすることになる組み合わせで添加され、それにより、標的RNA:DNA:抗体複合体を形成するステップと、e)RNA:DNA二本鎖を認識しかつそれに結合する二次抗体を添加し、標的RNA:DNA:抗体複合体に結合し、標的RNA:DNA:抗体複合体を形成し、ここで二次抗体は検出可能なマーカーで標識されるステップと、f)上記二次抗体上のマーカーを検出し、ここで検出が標的RNAの存在を示すステップと、g)検出結果を増幅プローブの異なる組み合わせから得られる結果と比較し、存在する特定のRNAスプライシング形態を示すステップと、
を含む、方法を提供する。
【0025】
本開示はまた、試料中でのリボ核酸(RNA)スプライシング形態の存在を検出する方法であって、a)標的RNAを、標的RNAに相補的な配列を有するDNA捕捉プローブと、プローブおよび標的リボ核酸がハイブリダイズすることを可能にする条件下でハイブリダイズし、それにより、標的RNA:DNA捕捉プローブ複合体を形成するステップと、b)RNA:DNAハイブリッドを認識しかつそれに結合する一次抗体を添加し、ここで一次抗体は、支持体にコンジュゲートされ、標的RNA:DNA捕捉プローブ複合体に結合し、それにより、標的RNA:DNA捕捉プローブ:抗体複合体を形成するステップと、c)標的RNA:DNA捕捉プローブ:抗体複合体を未結合RNAから分離するステップと、d)少なくとも1つの増幅プローブを標的RNA:DNA捕捉プローブ:抗体複合体にハイブリダイズし、ここで少なくとも1つの増幅プローブは、標的RNAに相補的な配列を有し、かつ特定の標的RNA領域をカバーすることになる組み合わせで添加され、それにより、標的RNA:DNA:抗体複合体を形成するステップと、e)RNA:DNA二本鎖を認識しかつそれに結合する二次抗体を添加し、標的RNA:DNA:抗体複合体に結合し、標的RNA:DNA:抗体複合体を形成するステップと、f)標的RNA:DNA:抗体複合体を未結合二次抗体から分離するステップと、g)検出可能なマーカーで標識された三次抗体を添加し、ここで三次抗体は、二次および/または一次抗体を認識しかつそれに結合するステップと、h)三次抗体上のマーカーを検出し、ここで検出が標的RNAの存在を示すステップと、i)検出結果を少なくとも1つの増幅プローブの異なる組み合わせから得られる結果と比較し、存在するRNAスプライシング形態を示すステップと、を含む、方法をさらに提供する。
【0026】
RNAは、異なるプロモータから転写されることが多く、それにより、異なる遺伝子におけるコード領域を含む複数の形態が得られる。基礎研究および特定のmRNAアイソフォームの検出が重要である場合の応用において、RNAのこれらの複数のスプライシング形態を特徴づけることは重要である。
【0027】
本開示の一応用が、ヒトパピローマウイルス(HPV)におけるmRNA発現の検出および特徴づけである。頸部の癌は、高リスクHPV型の存在(現在、約13〜約18の高リスク型が同定されている)に関連することが示されている。HPV DNA試験は、高リスクHPV型を同定しうるが、前癌性臨床標本における疾患の進行に対する不良の予測因子である。したがって、HPV試験の予測値を改善するため、追加的な方法およびマーカーが必要とされる。本開示によって提供される、E6/7腫瘍遺伝子および他のmRNAの存在についてのmRNAの特徴づけは、これらの腫瘍遺伝子に対する他のウイルス遺伝子の発現の比を決定する正確かつ信頼できる方法を提供することになる。E2、E4、および/もしくはL1 mRNAに対するE6/E7 mRNAの比は、前癌性子宮頸部病変の進行に対するより良好な予測因子でありえるが(例えば、参照により本明細書中に援用される米国特許第6,355,424号明細書を参照)、現在利用可能なアッセイは、mRNA比を検出しない。ハイブリッド捕捉技術は、線形シグナル増幅法である。したがって、本開示は、治療法を導くための貴重な方法を提供する一方、コルポスコピーに必要な患者数を最小にする。本開示は、スプライシング形態を特徴づけるための、RNA(および特にmRNA)の異なる長さ/遺伝子にハイブリダイズ可能な短いオリゴヌクレオチドの混合物を使用する方法を提供する。
【0028】
標的核酸
一実施形態では、検出されるべき標的リボ核酸は、mRNA、リボソームRNA、核小体RNA、トランスファーRNA、ウイルスRNA、異種核RNAなどであってもよく、ここで1つもしくは複数のポリヌクレオチドプローブは、DNAプローブである。標的リボ核酸は、限定はされないが、生物学的試料および環境試料を含む、標本または培養物(例えば、細胞、微生物およびウイルス培養物)中に見出される核酸を含む。標的リボ核酸は、ヒト、液、固形物(例えば排泄物)または組織、ならびに液体および固体の食品および飼料とその原料、例えば、乳製品の品目、野菜、肉および肉副産物、ならびに廃棄物を含む、動物由来の生物学的試料中に見出されうる。標的リボ核酸は、環境試料中に見出される場合があり、また、表面物質、土、水および工業試料、ならびに食品および乳製品加工用の計器、装置、機器、器具、消耗品目および非消耗品目から得られる試料などの環境材料を含む。特に好ましいものは、限定はされないが、頸部試料(例えば、頸部スワブから得られる試料)、アデノイド細胞、肛門上皮細胞、血液、唾液、脳脊髄液、胸膜液、ミルク、リンパ液、痰、尿および精液を含む生物学的試料中に見出される標的核酸である。
【0029】
他の実施形態では、標的リボ核酸は、ウイルス、細菌、抗酸菌または原虫、例えば、それにより限定されることを意図しない場合、サイトメガロウイルス(CMV)、ヘルペスウイルス科(Herpesviridae)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、クラミジア種(Chlamydia spp.)、ナイセリア種(Neisseria spp.)(例えば淋菌(N.gonorrhea))、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、抗酸菌(例えばマイコバクテリウム・ツベルクローシス(Mycobacterium tuberculosis))、SARSコロナウイルス(SARS−CoV)、またはオルソミクソウイルス科(Orthomixoviridae)(例えばインフルエンザウイルス)に由来する。
【0030】
一実施形態では、標的リボ核酸は、ヒトパピローマウイルス(HPV)であり、HPVの遺伝的変異体を含む。変異体は、標的核酸の、多型、突然変異体、誘導体、修飾形態、改変形態、またはそれに類する形態を含む。一実施形態では、標的核酸は、HPV核酸である。別の実施形態では、HPV核酸は、高リスクHPV型のHPV DNAである。別の実施形態では、標的核酸は、高リスクHPV型16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、68、26、66、73、および82である。
【0031】
RNAは、(限定はされないが)グアニジンチオシアネート−フェノール−クロロホルム抽出(例えば、TRI試薬としても知られるTRIzol(登録商標)試薬)、低張性溶解、およびカルボキシル(COOH)ビーズ捕捉を含む、種々の方法および試薬によるハイブリダイゼーションにおいて、単離され、調製されうる。RNA単離の原理は、細胞/組織溶解、その後の抽出、沈降、および洗浄に基づく。これらの技術は、非常に有効である一方、高レベルの技術的精度を必要とし、自動化にとっての候補ではない。他のRNA調製方法は、DNAおよび他の潜在的な汚染物質を完全に除去することはなく、高価な酵素を必要とし、また多くの(場合によって時間のかかる)洗浄ステップを必要とする。同課題は、現在の課題の多くを低減する、mRNA検出のための方法を開発することであり、特定遺伝子の発現についての迅速な情報を提供しうる。本開示においては、2つの一次試料の調製方法、すなわち低張性細胞溶解およびカルボキシルビーズ捕捉、が考案されている。また、TRIzol(登録商標)またはQIAGEN樹脂技術(例えば、QIAGEN RNeasy Plus Mini Kit)を用いて単離されるRNAを、このアッセイにおいて使用してもよい。
【0032】
特定の実施形態では、生物学的試料は、頸部細胞、特にヒト頸部細胞からなる。試料は、Dacron(登録商標)(ポリ(エチレンテレフタレート))先端スワブ(tipped swab)などの化学的に不活性な回収デバイスを含む、当該技術分野で既知の任意の方法またはデバイスを用いて回収してもよい。限定はされないが、綿棒、頸部ブラシ、フロックスワブ(flocked swab)(Dacron(登録商標)スワブ様形状であるが、より多くの細胞の回収および細胞のより容易な放出を可能にするナイロン繊維製のスワブ)、頸部ブルーム、ミニブルーム(mini broom)、洗浄、またはPAP塗抹試験(パパニコロー(Papanikolaou's)試験)で使用されることが多い任意の回収デバイスを含む、他の許容可能な回収デバイスを使用してもよい。頸部細胞はまた、生検標本の一部であってもよい。
【0033】
試料調製
RNAを単離するためのTRIzol(登録商標)の使用、およびRNA単離のための他の既知の方法は、本開示の方法において用いてもよい。細胞ペレットの低張性溶解による試料調製は、アッセイ検出ステップと干渉する可能性がある内因性RNA:DNAハイブリッドの放出を回避し、またこれは好ましいRNA単離方法である。この試料調製方法では、細胞は遠心分離を介してペレット化され、上清は除去され、ペレットは再懸濁され、細胞は溶解される。溶解後、細胞残屑はペレット化され、(RNAを含有する)上清は回収される。(緩衝液中の塩および界面活性剤濃度によって測定される)溶解のストリンジェンシーが低下することにより、メタノールに基づく頸部標本のプールから生成される臨床上のバックグラウンドが低減される(図5および6)。また、シグナル:ノイズ比は上昇し、プール間のバックグラウンドおよび干渉における変動性は低下する。他の試験によると、低張性溶解は、細胞と環境の間の張性における差異が原因で細胞膜を破裂させることによって作用するが、細胞小器官は無傷のままであることが示されている。したがって、細胞内のRNAは、細胞から溶液中に放出される一方、アッセイに対する汚染物質(内因性RNA:DNAハイブリッドなど)は、不溶性細胞残渣中に残存することになる。この方法は、標本中のRNAの量が限られている場合、標本の量の増加がバックグラウンドの増大をまねかないことから、有用でありうる。
【0034】
試料調製の別の方法では、生物学的試料に直接添加可能な磁性カルボキシル(COOH)ビーズが使用される。試料中の細胞は、疎水相互作用を介してビーズに引き付けられる。磁性ラックを使用し、ビーズをペレット化した後、上清を除去し、細胞を溶解してもよい。非磁性COOHビーズまたは他の吸着性粒子(adsorbtive particle)も使用すれば、磁性ラックを介したペレット化の代わりに遠心分離を用いることができる。(通常65℃で15分間行われる)溶解後、ビーズは再びペレット化され、残留上清は、本開示の方法において直接使用してもよい。本方法において、溶解ストリンジェンシーが低下することにより、バックグラウンドがさらに低減される一方、水単独は、細胞からRNAを放出するのに不十分である。したがって、本開示のすべての試料調製方法において、約1Mグアニジンチオシアネートおよび約0.7%界面活性剤を含む溶解緩衝液を使用することは好ましい(例えば、図5および6を参照)。
【0035】
ハイブリダイゼーション/捕捉 ― 捕捉プローブ
試料が調製され、標的RNAが放出された後、それは、少なくとも1つのポリヌクレオチドDNA捕捉プローブと、少なくとも1つのポリヌクレオチドプローブが試料中の標的RNAとハイブリダイズし、二本鎖核酸ハイブリッドを形成するのに十分な条件下で、接触される。DNA捕捉プローブは、完全長、切断、または合成DNAであってもよい。DNA捕捉プローブは、標的RNAに特異的な配列である。DNA捕捉プローブは、理想的には約35塩基長であり、かつ標的RNAの任意の領域に相補的であってもよい。DNA捕捉プローブは、約15〜約200塩基長の範囲であってもよい。DNA捕捉プローブは、支持体に結合されていてもよい。「結合される」は、限定はされないが、化学的に結合される、共有結合される(covalently bound)、また共有結合される(covalently linked)を含む。図3に略図的に示されるように、複数のDNA捕捉プローブおよび複数の異なるDNA捕捉プローブは、同じ支持体(例えば、同じ磁性ビーズ)に結合されていてもよい。最適な結果を得るのに必要なのは、わずか3〜5つの異なる捕捉プローブであり(図4を参照)、そこでは、これらのプローブが、配列特異的でありかつ一部の変異体内でスプライシングアウトされうる領域に含まれないことを可能にするような多大な柔軟性が提供される。一実施形態では、配列特異的なDNA捕捉プローブは、ビオチン化され、また、磁性ストレプトアビジンビーズとのコンジュゲーションによって結合されている。
【0036】
一態様では、本開示は、場合により、高リスク(HR)ヒトパピローマウイルスの検出にとって有用なDNA捕捉プローブセットの使用を含んでもよく、ここで同セットは、HPV高リスク型16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、68、26、66、73、および82に対するポリヌクレオチド捕捉プローブを含む。
【0037】
支持体は、限定はされないが、ビーズ、磁性ビーズ、カラム、プレート、ろ紙、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、およびディップスティックを含む。任意の支持体は、液相の抽出を可能にし、かつ結合および未結合捕捉プローブまたは抗体に対する分離能を提供する限り、使用してもよい。磁性ビーズは、それが溶液中に残存可能であり、かつ液相が抽出またはデカント可能である場合、磁場の適用によってビーズが所定の位置で保持される限り、特に有用である。小規模でかつ大きい表面積を有するビーズ、例えば直径が約1μmのビーズが好ましい。特定の実施形態では、支持体は、修飾された磁性ビーズ、すなわちコーティングされるか、またはそれに対して標的mRNAに相補的かつ特異的なDNA捕捉プローブが結合しているものを含む。磁場を用いることで、二本鎖核酸/磁性ビーズ複合体が非結合リボ核酸から分離される。特定の実施形態では、支持体は、修飾された磁性ビーズを含み、ここで磁性ビーズは、ビーズを、二本鎖ハイブリッド核酸に対して免疫特異的な一次抗体でコーティングすることによって修飾される。磁場を用いると、核酸ハイブリッド/抗体/磁性ビーズ複合体が未結合リボ核酸から分離される。電荷スイッチング(charge switching)またはシリカ捕捉(磁場と逆向きの場合)を用いる他のビーズも、同様に使用してもよい。
【0038】
上記のように標的RNAまたは標的RNA:DNAハイブリッドの捕捉後、捕捉された標的RNAまたはRNA:DNAハイブリッドは、磁場の適用(磁性ビーズの場合)や、捕捉されなかった核酸を洗い流すことにより、試料の残りから分離することが可能である。望ましくない干渉物質を洗い流すことは、様々な温度で使用される、塩および/または界面活性剤を含有する緩衝液を用いて実行できる。磁性ビーズ以外の支持体を使用する場合、捕捉されたハイブリッドを試料の残りから分離する他の方法、例えば限定はされないが洗浄、が行われる。
【0039】
ハイブリダイゼーション/捕捉 ― 増幅プローブ
洗浄ステップによって標的のみが残存することを確認した後、シグナル増幅DNAプローブは、標的mRNAにハイブリダイズされ、ここでシグナル増幅プローブは、標的mRNAに対して相補的および/または特異的な未標識DNAプローブである。増幅プローブは、標的核酸に特異的である必要がない。例えば、DNA増幅プローブは、設計された標的以外の他の核酸に結合できる場合がある。mRNA領域に相補的なDNAシグナル増幅プローブは、特異的遺伝子をカバーする混合物中で設計され、結合される。範囲を拡大し、変化させることにより、いずれの遺伝子が存在し、RNAの特定のスプライシング形態であるかを判定することができる。「範囲」は、相補的シグナルプローブによって隣接された標的配列の範囲および長さとして定義される。シグナル増幅プローブは、約40塩基長であるが、それらが捕捉プローブの周囲に設計されることから、一部は40塩基より増減する場合がある。シグナル増幅プローブは、約15〜約200塩基長であってもよい。範囲を増大させること(すなわち、より多くのシグナルプローブを標的RNAの相補的領域とハイブリダイズさせること)により、シグナルが増大することになる。したがって、より多くのプローブを使用し、増幅シグナルを得ることが好ましい。検出の限界は、部分的には、標的核酸(すなわち標的遺伝子)の長さに依存する。
【0040】
増幅シグナルプローブは、既知のRNAスプライシング形態の遺伝子配列全体に広がることになる組み合わせで添加される。シグナル増幅プローブの組み合わせは、標的mRNA上の範囲の程度、それ故にシグナル出力を決定づけることになる。増幅プローブの異なる組み合わせから得られるシグナル出力の比較により、特定のmRNAスプライシング形態変異体の存在が示されることになる。このように、本方法は、シグナル出力が存在するスプライシング形態に依存する点で「分子定規(molecular ruler)」である。例えば、捕捉プローブ3は、E6/7標的mRNAとハイブリダイズするが、El、E2、E4、E5、L1、もしくはL2とハイブリダイズしないことが想定される(例えば、表3および図11を参照)。シグナル増幅プローブ1および6は、捕捉プローブ3とのハイブリダイゼーション後に使用される場合、スプライシングされたE6/7形態から強いシグナル、またスプライシングされた/組み込まれたE6/7形態から弱いシグナルを生成することになる。捕捉プローブおよび増幅プローブの組み合わせおよび数を変化させることにより、シグナル出力は、いずれのウイルス遺伝子が発現されているか(例えばその比)に加え、それら遺伝子のいずれのスプライシング形態が発現されるかについての情報を提供する。かかる情報は、臨床および実験データと併せると、前癌性子宮頸部病変の進行に対するより良好な予測因子を提供することが期待される。
【0041】
細胞内での遺伝子発現の、mRNAレベルの測定を介する特徴づけは、細胞が病原体に感染されているか否か、および病状の進行を判定するのに有用なツールである。
【0042】
本開示は、既知および未知のスプライシング形態変異体における遺伝子転写産物の長さを決定する方法を提供する。交互にスプライシングされた転写産物の発現を測定するための信頼できる強固な方法は、各変異体の有意性を検討する上で重要なステップである。これまで、スプライス変異体の正確な定量、例えばノーザンブロッティング、RT−PCRおよびリアルタイムRT−PCRは、従来の方法に特有の制限に起因し、骨の折れる困難なものであった。本開示は、スプライシング形態変異体の存在を決定する方法を提供する。例えば、初期HPV転写産物(例えばHPV E6I)が後期遺伝子配列を担持するか否かについての疑問は、転写産物を初期領域に相補的な捕捉プローブで捕捉し、次いで後期領域に相補的な検出プローブで検出することによって判定可能であり、得られたシグナルは、初期遺伝子転写産物上での後期領域の存在を示しうる。さらに、予測されるスプライシング形態配列をカバーすることになる縮重シグナル増幅プローブの組み合わせを提供することにより、スプライス変異体の存在は決定されうる。さらに、領域の不在は、選択した(select)DNAプローブによる捕捉の欠如によって示されうる。
【0043】
得られたハイブリッドは、RNA:DNAハイブリッドを認識する分子を使用して捕捉/検出される。二本鎖核酸ハイブリッドに特異的な分子は、限定はされないが、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、限定はされないがRNアーゼHなどのタンパク質、限定はされないがアプタマー、または配列特異的な核酸を含む核酸を含む。アプタマーは、特定の標的分子に結合する短いオリゴヌクレオチドまたはペプチド分子である。それらは、それらをランダム配列の大規模なプールから選択することによって作成されることが多いが、天然アプタマー(例えばリボスイッチアプタマー)は既知である。
【0044】
ハイブリダイゼーション/捕捉 ― 抗−ハイブリッド抗体
一実施形態では、二本鎖核酸ハイブリッドに特異的な分子は、抗体(「抗−ハイブリッド抗体」)である。ハイブリッドは、抗−ハイブリッド抗体とともに、二本鎖核酸ハイブリッドへの結合を可能にするのに十分な時間インキュベートされる。抗−ハイブリッド抗体は、モノクローナルであっても、またはポリクローナルであってもよい。最も好ましい実施形態では、抗体は、モノクローナルである。
【0045】
別の実施形態では、一次抗体は、支持体に結合される。本実施形態では、試料が調製され、RNAが放出された後、それは、少なくとも1つのポリヌクレオチドDNA捕捉プローブと、少なくとも1つのポリヌクレオチドプローブが試料中の標的RNAにハイブリダイズし、二本鎖核酸ハイブリッドを形成するのに十分な条件下で、接触される。標的RNAは、標的RNA:DNA捕捉プローブ複合体の形態の場合、未結合RNAから洗浄によって分離される。洗浄ステップによって残存するRNAのみが標的RNAであることを確認した後、シグナル増幅DNAプローブは、標的mRNAにハイブリダイズされ、ここでシグナル増幅プローブは、標的mRNAに対して相補的および/または特異的な未標識DNAプローブである。標的RNAに対する捕捉および増幅プローブのハイブリダイゼーションにより、二本鎖核酸ハイブリッドが生成される。得られたハイブリッドは、RNA:DNAハイブリッドを認識する分子を使用して検出される。好ましい実施形態では、二本鎖核酸ハイブリッドに特異的な分子は、抗体(「抗−ハイブリッド抗体」)である。ハイブリッドは、抗−ハイブリッド抗体とともに、二本鎖核酸ハイブリッド領域への結合を可能にするのに十分な時間インキュベートされる。抗−ハイブリッド抗体は、支持体にコンジュゲートされ、RNA:DNAハイブリッドへの結合は、RNA:DNAハイブリッド:抗体複合体を形成する。複合体は、未結合抗体から分離される。支持体が磁性ビーズである用途では、磁場を使用し、任意の未結合抗体が分離される。
【0046】
検出
未結合抗−ハイブリッド抗体が除去された後、二次抗体が添加され、ここで二次抗体は、検出可能なマーカーで標識され、一次抗体を認識しかつそれに結合する。二次抗体上に存在する標識が検出され、それにより、標的リボ核酸の存在が示される。様々な標識を検出するための方法は、当該技術分野で既知である。例えば、比色定量法、放射性(radioactive)、表面プラスモン共鳴、または化学発光法については、例えば、Coutleeら、J.Clin.Microbiol.27:1002−1007頁(1989年)によって記載がなされている。
【0047】
例えば、少なくとも1つのアルカリホスファターゼ分子とコンジュゲートされた抗体は、例えば、E/Lumina(商標)ルミノメーター(Source Scientific Systems,Inc.(Garden Grove,CA))、Optocomp I(商標)ルミノメーター(MGM Instruments(Hamden,CT))、またはそれに類する検出器を使用する、Lumi−Phos(商標)530試薬(Lumigen(Detroit,MI))またはDR2(Applied Biosystems(Foster City,CA))などの試薬を用いた化学発光により、検出してもよい。本明細書中に記載のように、二次抗体上の標識の検出は、試料中での、1つもしくは複数のプローブに相補的な1つもしくは複数の標的リボ核酸の存在を示唆する。洗浄後、試料は、例えば、二次抗体上の標識に対する基質を含有する検出緩衝液に懸濁される。
【0048】
下記の本アッセイでは、抗−ハイブリッド抗体を、使用し、および/または磁性ビーズとカップリングし、および/または支持体上に固定化してもよい。好ましい実施形態では、標的核酸の捕捉および検出のために使用される抗体は、モノクローナル抗体である。一次および二次抗体は、捕捉および検出において同じであって(すなわち同じハイブリッド骨髄腫細胞系によって産生されて)もよく、または異なり、異なるハイブリッド骨髄腫細胞系によって生成してもよい。最も好ましい実施形態では、捕捉および/または検出のために使用される一次および二次モノクローナル抗体は、同じであり、またRNA/DNAハイブリッドに特異的である。また、二本鎖ハイブリッドに特異的な抗体の免疫断片(immunofragment)または誘導体も、かかる断片または誘導体が抗体の結合領域を有する場合、含まれる。
【0049】
例えば、RNA:DNAハイブリッドで免疫された脾臓細胞と融合された骨髄腫細胞に由来するモノクローナルRNA:DNAハイブリッド抗体は、使用してもよい。ハイブリッド−特異抗体は、例えば、Kitawagaら、Mol.Immunology、19:413頁(1982年);および米国特許第4,732,847号明細書(これらの各々は参照により本明細書中に援用される)に記載のように、固体支持体上に固定化されたRNA:DNAハイブリッドに対する親和性精製によって精製することが可能である。
【0050】
例えば、ライブラリーから組換え抗体(例えば、一本鎖FvもしくはFab、または他のその断片)を選択するか、またはヒト抗体のレパートリーを産生する能力があるトランスジェニック動物(例えばマウス)の免疫に依存する方法を含む、ヒトまたは人工抗体を含む抗体を産生または単離する他の好適な方法を使用してもよい(例えば、Jakobovitsら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、90:2551頁(1993年);Jakobovitsら、Nature、362:255頁(1993年);および米国特許第5,545,806号明細書および米国特許第5,545,807号明細書を参照)。
【0051】
さらに別の態様では、本開示は、生物学的試料または核酸を含有する試料中でのリボ核酸の検出を可能にするキットを提供する。好ましい実施形態では、キットは、a)磁性ビーズにコンジュゲートされたDNA捕捉プローブ;b)DNA増幅プローブ;c)一次抗−ハイブリッド抗体;d)一次抗体に結合しかつ検出可能に標識された二次抗体を含む検出試薬;e)界面活性剤に基づく洗浄用緩衝液;およびf)二次抗体上の標識に対する基質を含む二次検出試薬を含む。好ましい界面活性剤に基づく洗浄用緩衝液は、40mMトリス−HCl、100mM NaCl、0.5%Triton X−100である。
【0052】
特定の実施形態では、本開示の検出方法では、まず標的を、磁性ストレプトアビジンビーズにコンジュゲートされた相補的ビオチン化DNAプローブ上に捕捉することにより、RNAが検出される。このプローブ−ビーズ複合体は、前コンジュゲートしてもよく、4℃で数か月間安定である。この捕捉ステップは、好ましくは、常に振とうしながら60℃で行われ、約30分間(捕捉を可能にするのに十分な時間)進行可能である。次いで、捕捉された標的を有するビーズは、任意の非標的RNA配列が除去されるように洗浄される。ハイブリッド捕捉抗体が個別のDNA−RNAハイブリッドに結合することから、DNA増幅プローブで標的領域をカバーし、最大シグナルを得ることが好ましい(図1および2を参照)。それ故、次いで、さらなるプローブが、標的mRNAにハイブリダイズされる。このポイントで標的のみが捕捉されることから、これらのプローブは配列特異的である必要はないが、それよりも、既に特異的なビオチン化プローブによってカバーされている領域を除く、遺伝子の完全長をカバーしうる。シグナル増幅プローブは、mRNA領域に相補的であり、特異的遺伝子をカバーすることになる混合物中で設計され、結合される。範囲を拡大し、変化させることにより、特定の遺伝子および特定のスプライス変異体を決定することができる。これらの「シグナル増幅」プローブは、好ましくは4.2nMの濃度で使用される。このハイブリダイゼーションはまた、好ましくは、約7.8のpH、60℃で30分間行われる。次いで、ハイブリダイゼーションに続き、上で考察したハイブリッド捕捉抗体系を用いて検出がなされる(抗−ハイブリッド抗体および抗−ハイブリッド抗体を検出するための二次抗体の使用)。
【実施例】
【0053】
実施例1 細胞ペレットの低張性溶解を介する試料調製
内因性ハイブリッドは、ハイブリッド捕捉抗体によって検出されることになることから、検出アッセイに対する特有の課題を提示する。したがって、試料調製は、好ましくは、これらのハイブリッドを破壊するか、またはその放出を回避する。低張性溶解は、後者の方法に依存する。この方法では、細胞は遠心分離を介してペレット化され、上清は除去され、ペレットは溶解される。図6に示されるように、緩衝液中の塩および界面活性剤濃度を変化させることによって溶解のストリンジェンシーを低下させることにより、メタノールに基づく頸部標本のプールからもたらされる臨床上のバックグラウンドが低減される。シグナル:ノイズ比もまた高くなり、プール間のバックグラウンドおよび干渉における変動性は低下する(表2)。他の試験は、低張性溶解が、環境に対する細胞張性の差異から細胞膜を破裂することによって作用しても、細胞小器官が無傷で残存することを示している。したがって、細胞内のRNAは、細胞から溶液中へ放出される一方、ハイブリッドなどのアッセイに対する汚染物質は、不溶性細胞残渣とともに残存することになる。この方法は、標本の量の増加がバックグラウンドの増大をまねかない理由から、標本中のRNAの量が制限される場合に有用でありうる(図7)。HPV陽性細胞を陰性頸部標本のプールにスパイクするというモデルを使用すると、低張性溶解と後の本開示の検出方法により、丁度1000個の細胞に由来するHPV E6/7 RNAを検出することができる(図8)。
【0054】
実施例2
磁性カルボキシルビーズを介する試料調製
本開示の方法における使用として特徴づけられている別の試料調製方法では、生物学的試料(例えば、Sera−Mag(登録商標) Magnetic Carboxylate−Modified Particles;Thermo Fisher Scientific,Inc.)に直接添加されうる磁性カルボキシル修飾(COOH)ビーズを使用する。試料中の細胞を、疎水相互作用を介してビーズに結合させる。磁性ラックを使用し、ビーズをペレット化した後は、上清を除去し、細胞を溶解することができる。溶解後、ビーズを再びペレット化し、残存する上清を、本開示の方法での使用のために移す。本方法において、溶解ストリンジェンシーの低下により、再びバックグラウンドが低減されるが(表1を参照)、水単独では、細胞からRNAを放出するには不十分である。むしろ、好ましい溶解緩衝液は、溶解およびハイブリダイゼーションの双方を支持することから、約1Mグアニジンチオシアネートおよび約0.7%界面活性剤である(図9を参照)。ハイブリダイゼーション捕捉ステップ前に希釈される場合、より強い溶解緩衝液の濃度を使用してもよい。図10で示されるように、細胞のビーズ上への捕捉は、二相性反応である。カルボキシルビーズを、頸部細胞のPreservCyt(登録商標)に基づく試料に直接スパイクした。試料中の全細胞の約50〜60%を、暴露から最初の1分以内にビーズに引き付けた。このプロセスは、少なくとも15分間プラトー状態であるが、ビーズ添加の約30分後、細胞の少なくとも95%が捕捉されている(上清中に残存する細胞を計数することによって測定;図10を参照)。図11は、本開示の方法を用いると、約1000個のHPV陽性細胞のみを使用する場合に結果が得られる可能性があり、細胞からmRNAを得る際、カルボキシルビーズ細胞捕捉と後の本開示の検出方法が、低張性細胞溶解と後の本開示の検出方法よりも効率的であることを示す(図11を参照)。
【0055】
【表1】

【0056】
実施例4
アッセイのバックグラウンドに対する内因性ハイブリッドの効果
内因性ハイブリッドは、臨床上のバックグラウンドノイズ源であることが多い(図5を参照)。HPV16 E6/7 RNAを(HPV;KPSTM(−)を有しない)臨床プールにスパイクする場合、バックグラウンドは高く、シグナルはマスクされる。しかし、RNAの添加前、プールが変性され(1.75M NaOH)、中和される場合、バックグラウンドは低く、シグナルは回復される。これは、核酸ハイブリッドを認識する抗体を使用する検出方法を用いる前に、内因性核酸ハイブリッドを除去するかまたはその放出を阻止する必要性があることを示す。
【0057】
実施例5
バックグラウンドに対する溶解緩衝液濃度の効果
溶解ストリンジェンシーの低下により、臨床上のバックグラウンドノイズが低減される(図6を参照)。1mLのメタノールに基づく頸部標本を遠沈させ、x軸上に示されるように、ペレットを緩衝液に様々な濃度(100%緩衝液=約3Mグアニジンチオシアネート+約2%界面活性剤)で再懸濁した。ペレット化細胞を、65℃で15分間加熱した。次いで、RNAの捕捉のため、本開示の方法に従い、溶解緩衝液の最終濃度を32.5%に調整した。図6に示されるように、バックグラウンドは、溶解緩衝液の濃度の減少とともに低減した。本実験は、細胞の低張性溶解が内因性核酸ハイブリッドの放出の阻止において奏功した証拠を提供する。細胞質中のRNAが細胞から放出される一方、ハイブリッドなどのアッセイに対する汚染物質は、核内に残存することになる。
【0058】
さらに、水溶解は、よりストリンジェントな溶解に対し、バックグラウンドおよび変動性の低下とシグナル:ノイズの上昇をもたらす(下の表2を参照)。表2中の値は、頸部標本の4つの異なる臨床プールから得られる結果を通じて平均化されている。典型的には、これらのプールは、バックグラウンドが大幅に変化する。
【0059】
【表2】

【0060】
実施例6
細胞ペレットの低張性溶解
図7は、細胞ペレットの低張性溶解が、バックグラウンドノイズが安定状態を維持することを保証することを示す。様々な量の頸部標本(250μl〜10ml)を遠沈させ、水で溶解し、本開示のRNA検出アッセイを施した。図7中のグラフに示されるように、バックグラウンドは、使用した標本の量にかかわらず有意に変化しない。
【0061】
実施例7
検出の限界
HPV陽性細胞(SiHa細胞)由来のHPV16 E6/7 RNAにおける検出の限界について試験した(図8を参照)。細胞を1mLの陰性頸部標本のプールにスパイクし、臨床試料をモデル化した。遠沈し、水で溶解し、加熱してから、緩衝液を細胞に加え(32.5%緩衝液、または約1Mグアニジンチオシアネートおよび約0.7%界面活性剤の濃度になるまで)、それらをプレート内に置き、本開示のRNA検出アッセイを開始した。結果は、本開示の方法を用い、HPV E6/7 RNA検出において必要なのは、わずか1x10個の細胞であることを示す。
【0062】
実施例8
COOHビーズによって捕捉される細胞の溶解
様々な溶解緩衝液を、COOHビーズによって捕捉される細胞に対する溶解能について比較した(図9を参照)。結果は、水単独がCOOHビーズによって捕捉される細胞を溶解するのに十分でないことを示す。HPV陰性またはHPV陽性のいずれかの細胞を、1mLの陰性頸部プールにスパイクした。細胞をビーズによって捕捉し、上清を除去した後、(グアニジンチオシアネートおよび界面活性剤を含有する)様々な濃度の緩衝液を試料に添加し、次いでそれを65℃で15分間加熱した。RNA検出のため、本開示の方法を用い、緩衝液濃度を全部で32.5%に調整した。遠沈方法で見られるように、バックグラウンドは、塩および界面活性剤の量の減少とともに低下する。しかし、RNAを放出するのに十分な細胞を溶解するためには、少なくとも32.5%の緩衝液(全部で約1Mの塩および0.7%界面活性剤)が必要である。
【0063】
実施例9
COOHビーズによる細胞捕捉の経時変化は細胞のビーズ上への捕捉が二相性反応であることを示す
COOHビーズによる細胞捕捉の経時変化を実施した(図10を参照)。細胞を1mLの陰性頸部プールにスパイクした。細胞のベースライン数を計数し、COOHビーズの添加後の各時点で、計数のため、ビーズを1.5分間ペレット化し、次いで上清を除去し、希釈した。約50%の細胞が、1分以内に捕捉された。捕捉し、次いでプラトーに達したが、30分後、少なくとも95%の細胞が捕捉されている。ビーズを増加させることにより、わずかにより効率的な捕捉が得られる。
【0064】
実施例10
カルボキシル(COOH)ビーズ捕捉は低張性溶解より効率的である
1mLの陰性頸部標本のプール中のHPV18陽性(HeLa)細胞を、COOHビーズ捕捉またはペレット化および低張性溶解を用いて調製した。また、カルボキシルビーズ捕捉方法における検出の限界は約1000個のHPV陽性細胞であり、リバースハイブリッド捕捉アッセイの結果は、この方法が細胞からmRNAを得るためにより効率的であることを示す(図11を参照)。バックグラウンドはCOOHビーズ捕捉が用いられる場合よりわずかに高く(271RLU対163RLU(低張性溶解))、一方、シグナル:ノイズおよびシグナル−ノイズ(検出される全RNAの尺度)の双方は、低張性溶解が用いられる場合よりはるかに高かった
【0065】
実施例11
標的RNAの検出と組み合わされる前処理手順(低張性溶解)
次のプロトコルでは、試料前処理手順(低張性細胞溶解を使用)が本開示のRNA検出方法と組み合わされる。管内の細胞を、1500相対遠心力(RCF)で3分間遠沈する。上清を除去し、33.75μLの水を添加し、ペレットをゆっくりとピペットで取り、再懸濁した。次いで、ゆっくりと振とうさせながら、65℃で15分間加熱する。次いで、16.25μLの緩衝液(約3Mグアニジンチオシアネートおよび約2%界面活性剤)を添加し、50μLの試料をプレート上のウェルに移す。次いで、ビオチン化捕捉プローブを有する10μLの前コンジュゲート(preconjugated)ストレプトアビジンビーズを加え、プレートを、1150毎分回転数(RPM)で振とうさせながら、60℃で30分間インキュベートする。プレートを磁性ラック上に置き、ビーズを1.5分間ペレット化し、次いでプレートをデカントし、ブロットする。Sharp洗浄用緩衝液(1Mトリス−HCl、0.6M NaCl、0.25% Tween−20)で2回洗浄する(1回目の洗浄は2分間、2回目の洗浄は5分間である必要がある)。洗浄後、プレートをデカントし、ブロッティングにより十分に乾燥させる。各ウェルに対し、65μLのシグナル増幅プローブを加え、RNAハイブリダイゼーション緩衝液で4.2nMに希釈する。次いで、プレートを、1150RPMで振とうさせながら、60℃で30分間インキュベートする。プレートを磁性ラック上に3分間置き、デカントし、ウェルを乾燥させる。35μLのDigene Hybrid Capture 2キットのDetection Reagent 1(0.05%(w/v)のナトリウムアジドを有し、RNアーゼを有しない緩衝溶液中、アルカリホスファターゼ−RNA:DNAハイブリッドとのコンジュゲート抗体)を各ウェルに加え、プレートを45℃で30分間インキュベートする。プレートを磁性ラック上に置き、デカントし、ブロットする。プレートを、40mMトリス−HCl、100mM NaCl、0.5% Triton X−100を含有する緩衝液で5回洗浄し、プレートを1回の洗浄につき1分間静置しておく。次いで、ウェルをデカントし、乾燥させる。次いで、45μLのDigene Hybrid Capture 2キットのDetection Reagent 2(化学発光基質のEmerald II(商標)を有するCDP−Star(登録商標)試薬)を各ウェルに加える。プレートを、光から保護し、300RPMで振とうさせながら、室温で15分間インキュベートする。プレートを、ルミノメーターで読み取る。
【0066】
実施例12
標的RNAの検出と組み合わされる前処理手順(COOHビーズ捕捉)
以下のプロトコルでは、カルボキシルビーズ捕捉試料調製が本開示のRNA検出方法と組み合わされる。各試料に対し、8μLのカルボキシル(COOH)ビーズ(2mLのウェルプレート)を加え、室温、800RPMで30分間振とうする。プレートを磁性ラック上に2分間置き、ビーズをペレット化する。上清を真空下で除去し、50μLの32.5%緩衝液(約1Mグアニジンチオシアネートおよび約0.7%界面活性剤)に再懸濁する。次いで、65℃、1000RPMで15分間振とうする。プレートを磁性ラック上に置き、ビーズをペレット化し、上清を新しいウェルに移す。次いで、ビオチン化捕捉プローブを有する10μLの前コンジュゲートストレプトアビジンビーズを加え、プレートを、1150RPMで振とうさせながら、60℃で30分間インキュベートする。プレートを磁性ラック上に置き、ビーズを1.5分間ペレット化し、次いでプレートをデカントし、ブロットする。Sharp洗浄用緩衝液(1Mトリス−HCl、0.6M NaCl、0.25% Tween−20)で2回洗浄する(1回目の洗浄は2分間、2回目の洗浄は5分間である必要がある)。洗浄後、プレートウェルをデカントし、ブロッティングにより十分に乾燥させる。各ウェルに対し、65μLのシグナル増幅プローブを加え、RNAハイブリダイゼーション緩衝液で4.2nMに希釈する。次いで、プレートを、1150RPMで振とうさせながら、60℃で30分間インキュベートする。プレートを磁性ラック上に3分間置き、デカントし、ウェルを乾燥させる。35μLのDetection Reagent 1(0.05%(w/v)のナトリウムアジドを有し、RNアーゼを有しない緩衝溶液中、RNA:DNAハイブリッドへのアルカリホスファターゼコンジュゲート抗体)を各ウェルに加え、プレートを45℃で30分間インキュベートする。プレートを磁性ラック上に置き、デカントし、ブロットする。プレートを、40mMトリス−HCl、100mM NaCl、0.5% Triton X−100を含有する緩衝液で5回洗浄し、プレートを1回の洗浄につき1分間静置しておく。次いで、ウェルをデカントし、乾燥させる。次いで、45μLのDetection Reagent 2(化学発光基質のEmerald II(商標)を有するCDP−Star(登録商標)試薬)を各ウェルに加える。プレートを、光から保護し、300RPMで振とうさせながら、室温で15分間インキュベートする。プレートを、ルミノメーターで読み取る。
【0067】
実施例13
ストレプトアビジンビーズ−ビオチン化プローブコンジュゲーション
以下のプロトコルは、磁性ビーズに結合されたDNA捕捉プローブを形成する方法を提供する。Seradyn dsMagストレプトアビジンビーズ(Seradynパート番号3015210301050、Thermo Fisher Scientific,Inc.)をボルテックスし、超音波処理する。5μLのビーズを、250μLのビーズコンジュゲーション緩衝液(conjugation buffer)(1×PBS;0.15M NaCl)に加える。磁性ラック上のビーズをプルダウンし(pull down)、ビーズコンジュゲーション洗浄用緩衝液(上記の0.5% Tween−20)で2回洗浄する。ビーズを、45nMの各DNA捕捉プローブとともに、ビーズコンジュゲーション緩衝液に再懸濁する。1150RPMで振とうさせながら、37℃で30分間インキュベートする。ビーズをプルダウンし、ビーズコンジュゲーション洗浄用緩衝液で3回洗浄する。Digene Hybrid Capture 2からの250μLのBlocker緩衝液(カゼインベース)に再懸濁し、50×のビーズを得る。
【0068】
実施例14
リバースハイブリッド捕捉アッセイ
リバースハイブリッド捕捉では、まず、標的RNAを、磁性ストレプトアビジンビーズにコンジュゲートされた相補的ビオチン化DNAプローブ上に捕捉することにより、mRNAが検出される。このプローブ−ビーズ複合体は、前コンジュゲートしてもよく、4℃で数か月間安定である。この捕捉ステップは、30分を要し、常に振とうさせながら、60℃で行う必要がある。次いで、捕捉された標的を伴うビーズを、あらゆる非標的RNA配列が除去されるように洗浄する。ハイブリッド捕捉抗体が個別のDNA−RNAハイブリッドに結合することから、DNAプローブ(例えば、DNA捕捉プローブおよび増幅プローブ)で標的RNAをカバーし、最大シグナルを得ることが好ましい(例えば図1および2を参照)。したがって、次いで追加的プローブを標的mRNAとハイブリダイズさせる。標的のみがこのポイントに存在することから(非標的RNAは洗い流されていることから)、これらのプローブは、配列特異的である必要はないが、それよりも、既にビオチン化DNAプローブによってカバーされている領域を除く、遺伝子の完全長をカバーしうる。これらの「シグナル増幅」プローブを、4.2nMの作用濃度まで希釈する。このハイブリダイゼーションはまた、好ましくは振とうさせながら、約7.8のpH、60℃で30分間行う。次いで、ハイブリダイゼーションを行った後、ハイブリッド捕捉抗体系で検出する、すなわちDetection Reagent 1(0.05%(w/v)のナトリウムアジドを有し、RNアーゼを有しない緩衝溶液中、RNA:DNAハイブリッドへのアルカリホスファターゼコンジュゲート抗体)に45°で30分間暴露した後、さらに洗浄し、それに続き、Detection Reagent 2(化学発光基質のEmerald II(商標)を有するCDP−Star(登録商標)試薬)を室温で15分間加える。シグナルを、ルミノメーターで読み取る。アッセイのこの分析後部分では、約2時間15分かかる。
【0069】
実施例15
未標識シグナル増幅プローブを添加する効果
シグナルは、わずか3もしくは5つのビオチン化DNA捕捉プローブおよび未標識シグナルプローブなしで捕捉されるRNA標的において比較的低い。シグナルは、ハイブリッド−捕捉抗体および発光技術を用いた検出前、未標識プローブが標的にハイブリダイズされる場合より実質的に高い。リバースハイブリッド−捕捉アッセイを使用することで、RNAが検出される。この実験では、可変数のビオチン化DNA捕捉プローブは、ストレプトアビジンビーズにコンジュゲートされた(図4を参照)。標的は、HPV16のE6/7遺伝子であった。アッセイは、シグナル増幅プローブの添加を伴う場合と伴わない場合(各々、1ステップ対2ステップアッセイ)に、ビーズの各セットを用いて実施した。シグナル増幅に対して未標識DNAプローブを全く添加しなかったとき(1ステップアッセイ;灰色バー)、シグナルは、ビオチン化捕捉プローブによって提供される範囲の量とともに増大した。しかし、シグナル増幅に対する未標識DNAプローブを添加したとき(2ステップアッセイ;黒色バー)、シグナルは、わずか1、3、もしくは5つの捕捉プローブを使用した場合の1ステップアッセイにおけるよりはるかに高かった。2ステップアッセイでは、わずか3〜5つの捕捉プローブで、最適なシグナルが得られた。
【0070】
実施例16
分子定規法によって決定されるmRNA転写産物の長さ
HPV転写産物の長さは、ハイブリッド領域の長さを延長するため、磁性ビーズ上への捕捉および使用される未標識オリゴヌクレオチドでの検出によって「測定する」ことが可能である。シグナル出力は、増幅シグナルプローブを、最長に達する(シグナルがプラトーになる場合)まで連続添加することで、増大することになる。HPV16における様々なHPV転写産物を、図12中に略図で示す。プローブ設計においては、番号付けられた領域1〜7(図12)を指定する。例えば、E6/7遺伝子転写産物は、DNA捕捉プローブ3を使用して試料から捕捉することが可能であり、シグナル増幅プローブの組み合わせは、シグナル出力を決定づけることになる。存在する変異体形態が完全長であり、かつ増幅プローブの組み合わせが転写産物の全長をカバーする場合、シグナルは強力になる。存在するE6/7変異体形態がスプライシングされ、シグナルプローブのサブセットが使用される(例えば、プローブ1および6)場合、シグナル出力は、完全長/未スプライシング型E6/7からのシグナルと比べてやや弱いものになる(表3を参照)。E6/7変異体形態がスプライシングされ、組み込まれる場合、それははるかに弱いシグナルをもたらすことになる(表3を参照)。より強いシグナルは、より多くの標的および特定の病状を示唆する。スプライシングされ、組み込まれたE6/7変異体は、より弱いシグナルをもたらし、また、捕捉される標的が減少し、それ故、この遺伝子の発現が低下することを示唆する。それはまた、異なる病状を示唆する。表3は、HPV16の様々な領域に由来する、(図12中に示される)列挙されるプローブの併用から得られる想定されるシグナルを示す。
【0071】
【表3】

【0072】
再び図12および表3を参照すると、(例えば)捕捉プローブ#2にハイブリダイズする非スプライシング型転写産物によって与えられるシグナルを、他の捕捉プローブを使用して生成されるシグナルから差し引くことで、スプライシングされた転写産物単独から生じるシグナルの程度を判定できる。シグナル増幅プローブの組み合わせは、標的mRNA上の範囲の程度、それ故にシグナル出力を決定づけることになる。増幅プローブの異なる組み合わせから得られるシグナル出力の比較により、特定のmRNAスプライシング形態変異体の存在が示されることになる。このようにして、本方法は、シグナル出力が存在するスプライシング形態に依存し、病状の進行を示しうる「分子定規」である。
【0073】
実施例17
初期:後期mRNA比の上昇の検出
本開示の方法は、初期および後期HPV mRNA転写産物の比の検出を可能にし、それはHPV関連子宮頸部疾患の進行を示唆しうる。記載のアッセイは、HPV−陽性標本のバックグラウンドに対するSiHa細胞(癌細胞系)の高い初期:後期mRNA比を検出した(図14)。捕捉および検出DNAプローブを、HPVの初期転写産物および後期転写産物を検出するように設計した。これら2つのアッセイを、同じ試料に対して同時に行い、得られたシグナルの比は、初期および後期HPV転写産物の比を示す。前癌性病変の細胞と混合された数個の癌細胞を含む標本を模倣するため、HSIL標本のプール(高グレード扁平上皮内病変、頸部細胞学におけるベセスダシステムによるもの(per Bethesda System))を、既知数のSiHa細胞(x軸上に示される)でスパイクし、次いで本開示の方法(例えば、実施例12を参照)を介してアッセイした。図14によって示されるように、高いE6/7 mRNA比を有する細胞の画分が、低い比を有する細胞のバックグラウンドに対して検出されうる。
【0074】
本明細書中に引用されるすべての参考文献は、あたかも各参考文献が参照により援用されるべく具体的かつ個別に示されるように、参照により本明細書中に援用される。任意の参考文献の引用は、出願日に先立つその開示を目的とし、本開示が、先行発明を踏まえ、かかる参考文献に先立つものとしての権限を付与されないことの承認として解釈されるべきではない。
【0075】
上記の要素の各々、または2つ以上が相まって、上記のタイプと異なる他のタイプの方法において有用な用途を見出すことも可能であることは理解されるであろう。さらなる分析を行わずに、上記において本開示の主旨が十分に示されることにより、他者は、現行の知識を適用することにより、それを様々な用途向けに、添付の特許請求の範囲において示される本開示の一般または特定の態様の本質的特性を先行技術の観点から公正に構成する特徴を省略することなく、容易に適合させることができる。上記の実施形態は、あくまで例として提示され、本開示の範囲は、あくまで以下の特許請求の範囲によって限定されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的RNAの存在を検出する方法であって、
a)支持体に結合された少なくとも1つのDNA捕捉プローブを提供するステップと、
b)前記標的RNAを前記少なくとも1つのDNA捕捉プローブとハイブリダイズさせ、標的RNA:DNA捕捉プローブ複合体を生成するステップと、
c)前記標的RNA:DNA捕捉プローブ複合体を単離するステップと、
d)少なくとも1つのDNA増幅プローブを提供し、かつ前記少なくとも1つのDNA増幅プローブを前記標的RNA:DNA捕捉プローブ複合体とハイブリダイズさせ、標的RNA:DNA捕捉/増幅プローブ複合体を生成するステップと、
e)抗−RNA:DNAハイブリッド抗体を提供し、かつ前記標的RNA:DNA捕捉/増幅プローブ複合体を前記抗体とともにインキュベートし、標的RNA:DNA:抗体複合体を生成するステップと、
f)前記標的RNAの存在を示す前記抗体を検出するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記抗体は、検出可能なマーカーにコンジュゲートされ、かつここで前記検出するステップは、前記マーカーを検出するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記検出可能なマーカーは、アルカリホスファターゼおよび西洋わさびペルオキシダーゼからなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記検出するステップは、前記抗−RNA:DNAハイブリッド抗体に結合する二次抗体を提供するステップを含み、ここで前記二次抗体は、検出可能なマーカーにコンジュゲートされ、かつここで前記検出するステップは、前記マーカーを検出するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記支持体は、磁性ビーズを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つのDNA捕捉プローブは、ビオチン分子にコンジュゲートされ、かつここで前記支持体は、少なくとも1つのストレプトアビジン分子にコンジュゲートされている、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記標的RNAは、ウイルス、細菌、抗酸菌または原虫に由来する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記標的RNAは、ヘルペスウイルス科(Herpesviridae)、ヒト免疫不全ウイルス、クラミジア種(Chlamydia spp.)、ナイセリア種(Neisseria spp.)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、抗酸菌、SARSコロナウイルス、オルソミクソウイルス科(Orthomixoviridae)、またはパピローマウイルス科(Papillomaviridae)に由来する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つのDNA捕捉プローブおよび前記少なくとも1つのDNA増幅プローブは、約15〜約200塩基長である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記標的RNAは、スプライス変異体であり、かつここで前記少なくとも1つのDNA捕捉プローブおよび前記少なくとも1つのDNA増幅プローブは、前記スプライス変異体の存在を検出するように選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つのDNA捕捉プローブおよび前記少なくとも1つのDNA増幅プローブは、HPV高リスク型16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、68、26、66、73、および82に由来するRNAに相補的である、請求項11に記載の方法。
【請求項12】
標的RNAを検出するためのキットであって、
a)磁性支持体に結合された少なくとも1つのDNA捕捉プローブ、
b)少なくとも1つのDNA増幅プローブ、
c)抗−RNA:DNAハイブリッド抗体、および
d)検出試薬
を含む、キット。
【請求項13】
前記抗−RNA:DNAハイブリッド抗体は、検出可能なマーカーにコンジュゲートされ、かつここで前記検出試薬は、前記検出可能なマーカーに対する基質を含む、請求項12に記載のキット。
【請求項14】
前記抗−RNA:DNAハイブリッド抗体に結合する二次抗体をさらに含み、ここで前記二次抗体は、検出可能なマーカーにコンジュゲートされ、かつここで前記検出試薬は、前記検出可能なマーカーに対する基質を含む、請求項12に記載のキット。
【請求項15】
検出のための標的RNAを提供する方法であって、
a)前記標的RNAを含有する生物学的試料をカルボキシルビーズとともにインキュベートするステップと、
b)前記ビーズを単離するステップと、
c)前記単離されたビーズに結合された前記生物学的試料を溶解するステップと、
d)前記溶解された生物学的試料から前記ビーズを単離するステップであって、得られた上清は、検出のための前記標的RNAを含有する、ステップ
を含む、方法。
【請求項16】
標的RNAの存在を検出する方法であって、
a)少なくとも1つのDNA捕捉プローブを提供するステップと、
b)支持体に結合された一次抗−RNA:DNAハイブリッド抗体を提供するステップと、
c)前記標的RNAを前記少なくとも1つのDNA捕捉プローブとハイブリダイズさせ、標的RNA:DNA捕捉プローブ複合体を生成するステップと、
d)前記標的RNA:DNA捕捉プローブ複合体を前記抗−RNA:DNAハイブリッド抗体とともにインキュベートし、結合された標的RNA:DNA捕捉プローブ複合体を生成するステップと、
e)少なくとも1つのDNA増幅プローブを提供し、かつ前記少なくとも1つのDNA増幅プローブを前記結合された標的RNA:DNA捕捉プローブ複合体とハイブリダイズさせ、結合された標的RNA:DNA捕捉/増幅プローブ複合体を生成するステップと、
f)二次抗−RNA:DNAハイブリッド抗体を提供し、かつ前記結合された標的RNA:DNA捕捉/増幅プローブ複合体を前記二次抗−RNA:DNAハイブリッド抗体とともにインキュベートし、結合された標的RNA:DNA:抗体複合体を生成するステップと、
g)前記標的RNAの存在を示す、前記二次抗−RNA:DNAハイブリッド抗体を検出するステップと、
を含む、方法。
【請求項17】
前記二次抗−RNA:DNAハイブリッド抗体は、検出可能なマーカーにコンジュゲートされ、かつここで前記検出するステップは、前記マーカーを検出するステップを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記検出可能なマーカーは、アルカリホスファターゼおよび西洋わさびペルオキシダーゼからなる群から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記検出するステップは、前記二次抗−RNA:DNAハイブリッド抗体に結合する三次抗体を提供するステップを含み、ここで前記三次抗体は、検出可能なマーカーにコンジュゲートされ、かつここで前記検出するステップは、前記マーカーを検出するステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記支持体は、磁性ビーズを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記一次抗−RNA:DNAハイブリッド抗体は、ビオチン分子にコンジュゲートされ、かつここで前記支持体は、少なくとも1つのストレプトアビジン分子にコンジュゲートされる、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記標的RNAは、ウイルス、細菌、抗酸菌または原虫に由来する、請求項16に記載の方法。
【請求項23】
前記標的RNAは、ヘルペスウイルス科(Herpesviridae)、ヒト免疫不全ウイルス、クラミジア種(Chlamydia spp.)、ナイセリア種(Neisseria spp.)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、抗酸菌、SARSコロナウイルス、オルソミクソウイルス科(Orthomixoviridae)、またはパピローマウイルス科(Papillomaviridae)に由来する、請求項16に記載の方法。
【請求項24】
前記少なくとも1つのDNA捕捉プローブおよび前記少なくとも1つのDNA増幅プローブは、約15〜約200塩基長である、請求項16に記載の方法。
【請求項25】
前記標的RNAは、スプライス変異体であり、かつここで前記少なくとも1つのDNA捕捉プローブおよび前記少なくとも1つのDNA増幅プローブは、前記スプライス変異体の存在を検出するように選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項26】
前記少なくとも1つのDNA捕捉プローブおよび前記少なくとも1つのDNA増幅プローブは、HPV高リスク型16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、68、26、66、73、および82に由来するRNAに相補的である、請求項25に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2012−525153(P2012−525153A)
【公表日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−508768(P2012−508768)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際出願番号】PCT/US2010/033145
【国際公開番号】WO2010/127228
【国際公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(510069559)キアジェン ゲイサーズバーグ インコーポレイテッド (13)
【Fターム(参考)】