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試料作製のための反復的周状切削
説明

試料作製のための反復的周状切削

【課題】基板から試料を抽出するための効率的な方法。
【解決手段】集束イオンビームのようなビームを使って複数回の重なり合う切り込みを入れて試料のまわりに溝を作り、次いで当該試料の下を切って切り離す。切り込みの側壁が垂直でないため、重なり合う切り込みは以前の切り込みによって形成された傾きのある側壁上に入射する。大きな入射角のため、切削スピードが大幅に向上し、複数回の重なり合う切り込みを行って広い溝を生成することに必要な時間は、試料の周に沿って単一の深い切り込みを入れるよりも短くできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は基板からさらなる解析のために顕微鏡試料を抽出するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
透過型電子顕微鏡(TEM: transmission electron microscope)はきわめて小さな、ナノメートルオーダーの特徴を観察することができる。しかし、TEM試料は電子が透過するよう十分薄くなければならない。TEM試料の厚さは典型的には約20nmから200nmの間である。
【0003】
TEM標本の作製にはいくつかの技法が知られている。それらの技法は劈開、化学研磨、機械的研磨もしくは幅広ビーム低エネルギーイオンミリング(ion milling)または前記のうち一つまたは複数の組み合わせに関わりうる。これらの技法の欠点はサイト特異的でないことで、しばしば出発物質をどんどん小さな小片に分割することが必要となり、もとの試料の多くを破壊してしまうことがある。
【0004】
「リフトアウト(lift-out)」法と総称されるそれ以外の技法は、集束イオンビーム(focused ion beam)を使って試料を基板またはバルク試料から当該基板の周辺部分を破壊したり傷つけたりすることなく切り出す。そのような技法は集積回路製造において使われる処理の結果ならびに物理科学や生物科学に一般的な物質を解析するのに有用である。これらの技法は試料をいかなる配向で解析するのにも(たとえば断面でも平面図でも)使うことができる。TEMで直接使うのに十分な薄さの試料を抽出する技法もあれば、観察前にさらに薄くする必要のある「チャック」すなわち大きな試料を抽出する技法もある。さらに、これらの「リフトアウト」標本はTEM以外のその他の解析ツールによって直接解析することもできる。
【0005】
たとえば、Ohnishiらへの米国特許第5,270,552号は、集束イオンビームを使ってまず関心のある領域の隣に長方形の穴をあけ、次いでビームをその長方形の側壁に向け、関心のある領域の下に当該試料表面にほぼ平行な「床」を切ることを記載している。次いでイオンビームは前記関心のある領域の周に沿って部分的に切り、抽出されるべき試料にプローブが取り付けられる。プローブ取り付け後、周の残りの部分がイオンビームで切られ、前記関心のある領域を含む試料が取り付けられたプローブを用いて取り外される。
【0006】
もう一つの集束イオンビーム技法はMooreらへの米国特許第6,570,170号に記載されている。ここに記載される試料抽出は、U字型の切り込みを入れ、次いで「U」の開いている側から当該試料を斜めに切ることによって下側を切って当該試料を切り離す。当該試料が切り離されたのち、当該サンプルにプローブが取り付けられて持ち上げられる(lifted out)。
【0007】
TEM観測前に必要な追加処理が最小となる、薄い試料作成のある技法では、集束イオンビームが基板上に二つの隣接する長方形を切る。その二つの長方形の間に残った物質が関心のある領域を含む薄い垂直なウェーハをなすのである。そのウェーハの周に沿って部分的に斜めにU字型の切り込みが入れられ、ウェーハは該ウェーハ上部のいずれかの側のでっぱりでぶら下がる形になる。当該試料にプローブが接続され、次いで集束イオンビームを使ってでっぱりが切られて試料が切り離される。
【0008】
これらの方法はみな時間がかかる。ナノ製造工程をモニターするのに要求されるTEM試料はますます多くなっており、より効率的な試料抽出工程が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的の一つは、基板から試料を抽出するための効率的な方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、関心のある領域のまわりに少なくとも二つの重なりあう周状切り込みを入れることを伴う。第一の周状切り込みは抽出されるべき試料の深さいっぱいまで削る必要はないので高速に行われる。当該ビームが作り出す側壁は傾斜しており、その後の切り込みはそれ以前の切り込みと重なり合うので、その後の切り込みにおけるビームは比較的大きな入射角で側壁を衝撃する。その角はいくつかの実施例では89°近くになる。大きな入射角により切削スピードが大いに向上し、試料が周のまわりで切り離されるまでの時間が大幅に削減できる。関心のある領域の下をさらに切ることによって当該試料が切り離される。プローブの取り付けは当該試料が切り離されるより前でも後でもよい。
【0011】
上に述べたことは、以下の本発明の詳細な説明がよりよく理解されうるよう、本発明の特徴および技術上の効果をやや大まかに概観したものである。本発明のさらなる特徴および効果が下記にて説明されるであろう。開示される思想および特定の実施形態は本発明を修正したり、同じ目的を実行するための他の構成を考案したりする基礎として容易に利用しうることは当業者には理解されるはずである。そのような等価な構成が付属の請求項において述べられる本発明の精神および範囲から外れないことも当業者には認識されるはずである。
本発明およびその効果のより完全な理解のため、付属の図面と併せて以下の記述を参照されたい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明のある好ましい実施形態のステップを示すフローチャートである。
【図2A】典型的な集束イオンビームシステムの、例示的な、スケールを無視したガウス型電流密度分布を示す図である。
【図2B】図2Aで示された電流密度分布をもつビームによって削られた穴を示す図である。
【図3A】本発明のある好ましい実施形態に従ってなされる第一の切り込みとして削られた円筒状の穴の上面図である。
【図3B】図3Aの穴の断面図である。
【図4】図3Bの穴の断面の、第二の重なり合う切り込みが入れられたのちの状態を示す図である。
【図5】いくつかの重なり合う切り込みが行われ、当該試料が周に沿って切り離されたのちの加工片の断面図である。
【図6】図5の試料が斜めの切り込みによって基板から切り離されるところを示す図である。
【図7】本発明に基づいて処理された加工片および試料の顕微鏡写真である。
【図8】抽出された試料がグリッド上に置かれる顕微鏡写真である。
【図9】本発明を実装するために好適な集束イオンビームシステムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の好ましい実施形態は、基板から顕微鏡試料を効率的に抽出するための諸方法および装置に向けられる。本発明のある好ましい実施形態では、集束イオンビームのようなビームを使って複数回の重なり合う切り込みを入れて試料のまわりに溝を作り、次いで当該試料の下を切って切り離すことによって試料が抽出される。
【0014】
下記でより詳細に議論されるように、スパッタ効率はビーム入射角が大きくなるにつれて上昇する(入射角が90°に近づくと効率は急減するが)。本発明は、入射角と切削スピードとの間の関係を利用し、切削中のビーム入射角を最大化する切削アルゴリズムを採用する。切削ビームを使って、関心のある対象のまわりに一連の重なり合う周状切り込みが入れられる。一連の切り込みのそれぞれについて、ビーム位置は、外側直径から関心のある領域に近い内側直径まで広がる以前のエッジ位置に重なる。その結果、最初の切り込み以後は、イオンビームは常にエッジ、すなわち以前の切り込みによって生成された標本の側壁の上を削ることになる。側壁を切削することによる入射角増大のため、スパッタ効率(すなわちスループット)が上昇し、関心のある領域に向かってより深い溝を生じる。周状切削が完了したのち、試料セクション(関心のある領域を含む)は所望の深さの溝の中で立っており、底部以外のすべての辺は切り離された状態になる。次いで試料の底部は、切削ビームを斜めに向け、一辺で立っている試料の下を切り、基板物質から完全に解放されるようにすることによって切り離すことができる。ひとたび試料が切り離されれば、試料にプローブを取り付けることができる。そうすれば試料を持ち上げ、試料グリッドまたはホルダーまで持っていくことができ、解析のためにさらに切削にかけることもできるし、直接解析することもできる。
【0015】
本稿では「周」の語は円形のものに限られず、関心のある対象のまわりに広がる任意の形の閉曲線を意味して使う。周状切り込みの際のビーム経路の形が最終的に抽出される試料の形を決定することは当業者には認識されるであろう。一連の周状切り込みは、立った状態で残される試料がいかなる所望の形(たとえば、円、卵形、四角形、三角形、八角形、自由形、多角形など)になるよう行ってもよい。同様に、「直径」の語の使用も円形に限定されず、任意の形の周状切り込みの周の差し渡しの距離を指して使う。
【0016】
図1は、関心ある領域を含む標本を基板から、試料領域から離れた基板を傷つけることなく抽出するための本発明のある好ましい実施形態のステップを示すフローチャートである。たとえば、基板が複数の集積回路が作りつけられる半導体ウェーハであった場合、ある回路から残りの回路を傷つけることなく試料を抽出することができる。
【0017】
ステップ100では関心のある領域が同定される。これはたとえば走査型電子顕微鏡を使って、あるいは集束イオンビーム顕微鏡を通じたイオン撮像を使って行いうる。次いで抽出すべき、関心のある領域を含んだ試料セクションが定義される。ステップ102は第一の切り込みが行われることを示しているが、取り外すべき試料セクションを囲みつつも関心のある領域からは離れた周に沿って行われる。これにより以下に述べる追加的な切り込みが関心のある領域を傷つけることなく行える。加工片表面上でのビームの軌跡はたとえば円、長方形またはその他の規則的もしくは不規則形状でありうる。
【0018】
以下の記述の多くはFIB(集束イオンビーム)ミリングの使用に向けられるが、切削ビームはたとえば電子ビーム、レーザービームまたは液体金属イオン源もしくはプラズマイオン源などからの集束もしくは成形イオンビーム、あるいは他のいかなる荷電粒子ビームであってもよい。
【0019】
ある好ましい実施形態はガリウム液体金属イオン源を使ってマイクロメートル以下のスポットに集束されたガリウムイオンのビームを生成する。そのような集束イオンビームシステムはたとえば本出願の譲受人FEI社から販売されている。ビームは好ましくは、電流またはエネルギー密度がビームの中心から離れるにつれて漸減する。たとえば、集束イオンビームシステムは典型的には円対称な実質ガウス型の電流密度分布を有する。それを図示するのが図2Aで、イオン電流密度と動径方向の軸に沿った位置との関係が示されている。ビームの中心にはイオンがより多く、端にはより少ないので、ビームによって生成される「穴」は中のほうが深くなる。図2Bは図2Aによって示される形の静的なビームによって切削される穴の形を示している。当技術分野で周知のように、移動ビームは図2Bに示したのと同じ横断方向の断面概形をもつ「切り込み」すなわち溝を切削する。
【0020】
図3Aは基板300の上面図で、ステップ102で第一の切り込み302が入れられたところを示している。図3Bは前記第一の切り込みの断面を示している。図3Bでは、ビームが非一様な、この場合ガウス型の電流密度プロファイルであるために切り込みの側壁が傾斜している。ビーム中心にはより多くのイオンがあり、端にはより少ないイオンがあるので、ビームによって削られる穴は中のほうが深くなる。切り込みの形はビーム電流密度プロファイルを反転したものに関係している。
【0021】
ステップ104では、イオンビーム切り込みが第二の重なり合う切り込みを行う。第二の切り込みは第一の切り込みと同じ形をもつが、第二の切り込みは好ましくは関心のある領域のほうにずれており、第一の切り込みと重なり合う。第二の切り込みは第一の切り込みと重なり合うので、第二の切り込みの際のビーム中のイオンは第一の切り込みの傾斜した側壁に入射する。円形切り込みの場合、第二の切り込みは第一の切り込みよりもわずかに小さな直径なので、両切り込みは直径が減少する同心円をなす。非円形切り込みの場合、イオンビームは好ましくは、ビーム中のイオンが関心のある領域に近い方の第一の切り込みの側壁(内側の側壁)を衝撃するよう指向される。いくつかの実施例では、ビーム軸は基板300の表面に垂直であるにもかかわらず、第二の切り込みにおけるイオンの入射角は(垂直入射を基準として)89°近くになる。
【0022】
イオンビームが加工片から物質を除去する割合、すなわち切削スピードは、ビームの入射角、すなわちイオンが表面を衝撃する角度に依存する。鋭角で表面を衝撃するイオンは表面に垂直に衝撃するイオンよりも著しく多量の物質を除去する。入射角が大きいと、切削スピードは10倍に増加することもあると推定される。よって、所与の標的については、スパッタレート、よって標本作製のスループットは、標的表面に垂直なビームを用いて切削するときよりも標本エッジに平行に近いイオンビームを用いて切削するときのほうが大きいことになる。本発明は、入射角と切削スピードとの間の関係を利用し、開口設定は一つ(すなわち20nA)しか使わずに、一組の周状切削ビーム切り込みを指定して、各ビーム位置が外側直径から関心のある領域に近い内側直径まで広がる以前のエッジ位置に重なるようにする。第二の切り込みのイオンは第一の切り込みの側壁を衝撃するので、入射角はより大きくなり、第二の切り込みは第一の切り込みよりずっと高速で物質を除去する。切削スピード増と重なり合いのため、たとえ処理パラメータ(ビームエネルギー、電流、電流密度および滞留時間(dwell time))が同じままであっても、第二の切り込みは第一の切り込みより深くなる。図4は第二の切り込み後の穴402の形を、破線で示された第一の切り込み302の画像に重ねて示している。
【0023】
たいていの場合、任意的なステップ106でいくつかの追加的な周状切り込みが実行される。切り込みのたびに関心のある領域に向かって内側に動いていく。円形切り込みの場合、一連の各切り込みは好ましくは直前の切り込みよりもわずかに小さな直径なので、切り込みは直径が減少する一連の同心円をなす。連続する切り込みの間のずれの大きさは、好ましくはイオンビームのスポット径(直径)よりも小さく、(第一の切り込み完了後は)ビーム中のイオンのほとんどが直前の切り込みの傾斜のある側壁にぶつかり、より大きな入射角となるようにする。
【0024】
図5は数度にわたる重なり合う切り込みの結果得られる基板の断面図を示している。当業者は、ステップ102や104の切り込みのような、単一の切り込みとして言及されているものが典型的には、逐次小さくなる直径をもつ一連の円形経路上を動くイオンビームによって作られた細い環状の切り込みであって、次の切り込みに移る前に環内で円を反復したものであることを認識するであろう。このように、好ましい実施形態の実際の工程は、ある環内にある減少する直径の一連の円形経路上でビームを複数回動かし、前回の環と隣接しており同心であるが試料により近い、すなわち直径がより小さな次の環でそのプロセスを反復することを含んでいるのである。当該試料の下を切る前に溝を生成するために、少なくとも2つ、好ましくは5超、より好ましくは10程度または10超の環の切削が行われる。代替的に、ステップ102、104、106は以前に切削された切り込みを深くするために何度でも繰り返すことができる。
【0025】
さらに、説明を簡単にするため異なる切り込みとして言及されているものの、ここで述べている「第一の切り込み」「第二の切り込み」「その後の切り込み」は、好ましくは単一の操作として実行される周状切り込みからなり、単一の切り込みと考えることもできる。角度やビームパラメータ(ビーム直径、ビームエネルギー、電流、滞留時間または電流密度など)の変更は必要なく、一回の操作で試料は底部以外のすべての面で孤立させられる。ユーザーが関心のある領域または切削すべき溝を指定することができ、すると該溝が迅速に切削できるのである。
【0026】
第一の切り込みは試料の深さいっぱいまで切削する必要はないので、第一の切り込みは従来技術に比べ比較的浅くてもよく、垂直な入射角のイオンビームを用いて試料の全厚さを要求される深さまで切削する必要のある従来技術の技法よりもずっと迅速に実行できる。その後の各切り込みは直前の切り込みよりも深く(その後の各切り込みは大きな入射角で側壁を衝撃するので)、各切り込みについて側壁はより長くなる。図5は溝502が傾斜した側壁504をもち、溝の最後に切削された部分、すなわち試料506に最も近い部分が溝の最初に切削された部分よりも著しく深く、溝のそれらの間の部分は中心に向かって徐々に深くなっていくことを示している。
【0027】
溝の深さは試料に近づくにつれて増し、溝は、下を切ることで関心のある領域を含む試料を切り離すのに十分な深さになっている。スパッタリングされた物質が溝の壁や試料の間に再沈積し、可能性としては試料に再付着する機会が少なくなるよう、溝は十分な幅がある。溝の深さおよび幅、ならびにイオンビームのパス回数は抽出される試料の大きさに依存することになる。いくつかの実施例では、溝の幅は溝の中心に残る試料の幅の10分の1よりも大きい。他の実施例では、溝の幅は好ましくは試料の幅の1/3よりも大きい、試料の幅の1/2よりも大きい、試料の幅の1/2よりも大きい、または試料の幅よりも大きい、である。周状切削の結果得られるお椀と柱の構造の組み合わせのため、試料が基板から切り離されたときに倒れたり切削領域の外に落ちたりする可能性は少なくなる。
【0028】
周に沿った複数回の切削の完了後、試料は立っており、底部以外のすべての辺は切り離された状態になる。次いで試料は下を切ることによって切り離すことができる。ステップ108では、イオンビームが表面に対して好ましくは10°と80°の間の角度A1で向けられ、図7に示すように試料の下を切って基板から切り離す。この斜めの穴は長方形または他のいかなる形でもよい。周状の溝の深さおよびその外側直径に応じて、下を切るのは溝直径の外側または内側のいずれから始めてもよい。図示した実施例では、周状溝を切削するのに使うイオンビームは基板表面に垂直な角度で向けられるのに対し(すなわち、ビームと表面との間が90°)、下を切るビームは表面に対してより鋭角で向けられる。当業者は、試料の下を切るためには、下を切るイオンビームと表面との間の角が、表面と周状溝を切削するのに使ったビームとの間の角よりも小さいことが必要であることを認識するであろう。
【0029】
ステップ110では、切り離された試料にプローブが取り付けられる。プローブはたとえばイオンビーム蒸着、電子ビーム蒸着、静電引力、機械的かみ合わせまたは他のいかなる方法を使って取り付けもよい。プローブがマイクロマニピュレータ・ツールの構成要素であって、当技術分野においては周知のように、プローブ(および取り付けられた試料)が該マイクロマニピュレータによって位置決めできるようになっていてもよい。ステップ112では、抽出された試料が、好ましくは研磨によってあるいは集束イオンビームの使用によって成形または薄化される。本発明のいくつかの実施形態では、試料は「最終」薄化に先立って試料グリッドまたはホルダーに移動させることができる。試料は薄化されたのち、ステップ114で透過型電子顕微鏡またはその他の解析ツールで観察される。
【0030】
本発明の別の実施形態では、周状切削後(ただし試料の下を切る前)、標本の中心部分(一辺で立っている試料)を研磨またはFIB切削して所望の形または厚さにすることもできる。次いで試料を傾けて下を切って切り離すこともできるし、および/またはチャンバー系からex-situのマニピュレータステーションに取り出して標本を持ち上げ、必要に応じて将来の解析のための操作をしてもよい。
【0031】
多くの実施形態において、すべての切り込みは単一のビーム電流、たとえば20nAのビーム電流を使って多くの市販のFIB装置ですぐ利用可能なビームエネルギー(たとえば数10keV)を使って、SiのFIBミリングに典型的に使われる滞留時間および重なり合いを用いて実行される。好ましいプロセスパラメータを記載しているが、当業者は好ましいプロセスパラメータが試料の大きさおよび形ならびに基板の材質によって変わるであろうことは理解するであろう。当業者はさまざまな用途において試料を抽出するために好適なプロセスパラメータを容易に決定することができるであろう。
【0032】
本発明は、従来技術に対していくつかの利点をもたらす。多くの実施形態では、本発明は二つの切り込みステップしか必要とせず、工程を通じて試料およびビームの向きを変えるのも一回だけである。
【0033】
いくつかの実施形態では、本発明は底部がより厚い試料を生成する。これにより試料は溝の中で直立したままでいやすくなり、プローブの取り付けが容易になる。お椀形の溝により、試料が切り離されたときに溝の外に落ちる可能性が少なくなる。
【0034】
後続の切り込みが試料に向かって内向きに進行する実施形態では、スパッタリングされた物質の再沈積は主として基板壁面上への沈積であって試料上ではない(試料は常時切削されているので)ため、試料そのものに再沈積する物質はほとんどあるいは全くない。この種の切削パターンはまた、スパッタリングされた物質が切削済みの溝や穴を埋める原因となりうる再沈積効果を減らす。従来技術では典型的には、直径のまわりを完全ではなく部分的に比較的細い線で切り込んでいた。下を切る操作の際にスパッタリングされる物質は比較的薄い切り込み内に再沈積しがちで、再沈積による穴埋めを生じ、試料が基板に再びつながってしまっていた。そこで表面に垂直な追加的なイオンビーム切り込みがスパッタリングされた物質を除去して試料を再び切り離すために必要とされる。この余計な切り込みは、試料に対してビームの角を変えるという時間のかかる操作を必要とする。追加的な切り込みを入れるにはステージを傾け、ビームのアラインメントを取り直すのである。これに対し、本発明の諸実施形態によって生成される比較的幅の広い溝はステップ108の間の再沈積による穴埋めの可能性を少なくする。
【0035】
本発明の技法は、垂直切り込みが停止することなく継続的に行える、すなわち従来技術のように切削を途中まで行ったところで他の操作を実行するのではなく周上で反復できるので、ほとんどの従来技術の方法よりも高速で、自動化をより容易にする。後続の切り込みにおいてはイオンビームが側壁にぶつかるため、中央部を切り離すのに必要な時間は、ビームを複数回周上を通過させるにもかかわらず、単一の切り込みがなされる従来技術で必要な時間よりも著しく短くなる。試験では、本発明は従来技術の諸法法よりも著しく速いことが示された。周状溝は伝統的なラスタパターンを使って切削することもできるが、そのような溝は一様な深さで切削されることになる。外側直径から内側直径に向けて円形に切削を行うことで、内側直径によって定義される位置は最も深くなる。円の外側周の物質は円の内側直径によって定義される領域ほど深くなくてもいいので、切削時間が短くなる。
【0036】
図9は本発明を実施するために好適な典型的なビームシステムである集束イオンビームシステム10を示している。集束イオンビームシステム10は上部ネック部分12をもつ真空にされた外被11を含んでいる。上部ネック部分12の中には、液体金属イオン源14と、抽出電極および静電光学系を含む集束カラム16が位置している。電子ビームおよびレーザーシステムと同様、マルチカスプもしくはその他のプラズマ源といったその他の種類のイオン源ならびに成形ビームカラムのようなその他の光学カラムも使うことができる。
【0037】
イオンビーム18はイオン源14からカラム16を通って概略的に20で示されている静電偏向手段の間を通り試料22に向かう。試料22はたとえば下部チャンバー26内の可動XYステージ24上に位置された半導体素子である。システムコントローラ19はシステム10のさまざまな部分の動作を制御する。システムコントローラ19を通じてユーザーは、伝統的なユーザーインターフェース(図示せず)に投入するコマンドによって所望の仕方でビーム18がスキャンされるよう制御できる。あるいはまた、コントローラ19はプログラムされた命令に従ってシステム10を制御してもよい。
【0038】
たとえば、ユーザーはポインティングデバイスを使ってディスプレイ画面上に関心のある領域を描くことができる。するとシステムが自動的に図1で説明したステップを実行できるのである。いくつかの実施形態では、システム10は、関心のある領域を自動的に同定するための、米国マサチューセッツ州ネーティックのCognex社から市販されているソフトウェアのような画像認識ソフトウェアを組み込んでいる。その場合、システムは手動または自動で本発明に基づいて試料を抽出できる。たとえば、システムは、複数の素子を含んでいる半導体ウェーハ上の類似の特徴を自動的に位置特定して異なる(または同一の)素子上のそれらの特徴の試料を採取することができる。
【0039】
イオンポンプ28はネック部分12を真空に引くために用いられる。チャンバー26は真空コントローラ32の制御のもとにターボ分子および機械式ポンピングシステム30を用いて真空にされる。真空系はチャンバー26内におよそ1.3×10-7mbarと6.6×10-4mbarの間の真空を提供する。エッチング補助ガス、エッチング遅延ガスまたは蒸着前駆ガスが使われる場合、チャンバーの背景圧力は典型的には1.3×10-5mbar程度に上がることがある。
【0040】
高圧電源34は液体金属イオン源14に、また集束カラム16の適切な電極に接続され、およそ1keVから60keVのイオンビーム18を形成してそれを下方に向けるために用いられる。偏向コントローラおよび増幅器36は、パターン発生器38によって提供される所定のパターンに従って動作されるもので、偏光板20に結合され、それによりビーム18は対応するパターンを手動または自動で試料22の上側表面に描くよう制御されうる。当技術分野において周知のように、システムによっては偏光板は最終レンズの前に置かれる。ビーム消去電極は、消去コントローラが消去電圧を消去電極に加えたときに、ビームが標的22ではなく消去開口に入射するようにするものである。
【0041】
イオン源14は典型的にはガリウムの金属イオンビームを与える。該イオン源は典型的には、イオンミリング、強化エッチング、物質蒸着による試料22の修正のため、あるいは試料22の撮像の目的のために、試料22のところで0.1マイクロメートル以下のビーム幅に集束されることができる。二次イオンまたは電子放出の検出に使われるエバーハート・ソーンリー(Everhart-Thornley)検出器またはマルチチャンネルプレートのような荷電粒子検出器40がロックインアンプのような周波数感応増幅器およびビデオ回路42に接続されている。ビデオ回路42は、コントローラ36からも偏向信号を受け取っているビデオモニタ44に駆動信号を供給するものである。
【0042】
チャンバー26内での荷電粒子検出器40の位置は実施形態によって変わりうる。たとえば、荷電粒子検出器40はイオンビームと同軸でイオンビームが通過できるよう穴を含んでいてもよい。別の実施形態では、二次粒子を最終レンズを通じて集め、それから軸からそらして捕集してもよい。FIBシステム10は任意的に走査型電子顕微鏡41をその電源および制御部45とともに具備する。
【0043】
気体蒸気を試料22のほうに誘導し、指向させるためにガス配送システム46が下部チャンバー26内に伸びている。Casellaらに発行され、本発明の譲受人に譲渡された「粒子ビーム処理のためのガス配送システム」についての米国特許第5,851,413号は好適な流体配送システム46を記載している。Rasmussenに発行されやはり本発明の譲受人に譲渡された「ガス注入システム」についての米国特許第5,435,850号には別のガス配送システムが記載されている。たとえば、エッチング強化のためにヨウ素が配送され、あるいは金属蒸着のために有機金属化合物が配送されることができる。
【0044】
試料22を加熱したり冷却したりできるステージ24上に差し入れるため、そしてまた内部ガス供給浴を使う場合にはそれを扱うために扉60が開けられる。扉はインターロックされており、システムが真空下にあるときは開けられないようになっている。高電圧電源は、イオンビーム18にエネルギーを与えたり集束したりするために適切な加速電圧をイオンビームカラム16内の電極に加える。イオンビームが標的22に当たると、試料から物質がスパッタリング、すなわち物理的な力で放出される。あるいはまた、イオンビーム18は前駆ガスを分解して物質を蒸着させることもできる。集束イオンビームシステムはたとえば本発明の譲受人である米国オレゴン州ヒルズバラのFEI社などから販売されている。使用可能なハードウェアの例を上に述べたが、本発明はいかなる種類のハードウェアでの実装にも限定されるものではない。
【0045】
記載された実施形態は集束イオンビームを使用しているが、本発明はいかなる特定の種類のビームにも限定されず、さまざまな物質のために、化学的なエッチング剤を用いた電子ビーム、レーザービームもしくはその他のビームまたは前記ビームの一つまたは複数の組み合わせについて実装されることができる。集束ビームを使う代わりに、成形ビームを使うことも可能である。イオンビーム処理はエッチング強化ガスありでもなしでも使うことができる。
【0046】
本発明およびその利点について詳細に述べてきたが、付属の請求項によって定義される本発明の精神および範囲から外れることなくこれにさまざまな変化、代替、変更を施すことができることを理解しておくべきである。さらに、本出願の範囲は明細書に記載された工程、機械、製造、物質組成、手段、方法およびステップの特定の実施例に限定されることは意図されていない。通常の当業者なら本発明の開示からすぐ理解するであろうように、現在存在する、あるいは今後開発される工程、機械、製造、物質組成、手段、方法またはステップでここに記載した対応する実施例と実質同じ機能を実行する、あるいは実質同じ結果を達成するものを本発明に基づいて利用してもよい。したがって、付属の請求項はそのような工程、機械、製造、物質組成、手段、方法またはステップをもその範囲内に包含することが意図されているものである。
【0047】
いくつかの態様を記載しておく。
〔態様1〕
基板から顕微鏡試料を抽出する方法であって:
基板表面に実質垂直な角度でイオンビームをある実質完全な周に沿って制御して当該基板中に溝を生成し、
基板表面に実質垂直な角度で前記イオンビームを、実質的に前記完全な周に沿った前記第一の経路と重なり合うがずれているある第二の経路に沿って制御して前記試料のまわりの溝を拡大し、
基板に実質垂直でない角度で前記イオンビームを制御して前記試料の下を切り、前記試料を当該基板から切り離す、
ことを含むことを特徴とする方法。
〔態様2〕
基板に垂直なイオンビームを制御することが、当該ビームの外側直径に向かって電流密度が減少する形をもつビームを制御して傾きのある側壁をもつ切り込みを作ることを含み、
基板表面に垂直なイオンビームを第二の経路に沿って制御することが、前記第一の経路の内側にあって重なり合う経路に沿って前記イオンビームを制御し、当該イオンビームの少なくとも一部分が前記傾きのある側壁を衝撃するようにすることを含む、
ことを特徴とする、態様1記載の方法。
〔態様3〕
基板表面に垂直なイオンビームを制御することが、第一の円形経路に沿ってイオンビームを制御することを含み、
前記イオンビームを第二の経路に沿って制御することが、第二の円形経路に沿って前記イオンビームを制御することを含み、前記第二の円形経路が前記第一の円形経路よりも小さな直径をもつが前記第一の円形経路と実質的に同心である、
ことを特徴とする、態様1記載の方法。
〔態様4〕
基板から顕微鏡試料を抽出する方法であって:
ある経路に沿ってビームを制御して、関心のある領域に向けて漸次移動する一連の重なり合う切り込みを実行して前記関心のある領域のまわりに溝を生成し、前記溝の部分が前記関心のある領域に向かって深くなるようにし、
前記試料部分の基部を切断し、
前記試料部分を取り出す、
ことを含むことを特徴とする方法。
〔態様5〕
顕微鏡試料を抽出する方法であって:
前記試料を含む関心のある領域のまわりを実質的に完全に取り巻く溝を切り、前記試料が実質的に底部を除いたすべての側で切り離されるようにし、
前記試料の下を切ってそれを前記基板から切り離す、
ことを含むことを特徴とする方法。
〔態様6〕
前記溝を切ることが、集束イオンビームを用いて位置をずらした重なり合う複数回のパスを行うことを含むことを特徴とする、態様5記載の方法。
〔態様7〕
溝を切ることが、集束イオンビームを前記試料の周のまわりを継続的に動かして、ビームの角、エネルギー、電流、電流密度または直径を変えることなく、位置をずらした重なり合う複数回の切り込みを行うことを含むことを特徴とする、態様5記載の方法。
〔態様8〕
基板から試料を抽出するためのシステムであって:
基板を支持する試料ステージと、
基板上に傾きのある側壁を生成するために非一様分布をもつ、直径がマイクロメートル以下のイオンビームを生成するためのイオンビーム源と、
態様1記載の方法を実行するために前記イオンビーム源および前記ステージを制御するようプログラムされたコントローラ、
とを有することを特徴とするシステム。
〔態様9〕
前記試料を支持し、操作するためにプローブを動かすよう適応されたマイクロマニピュレータをさらに有することを特徴とする、態様8記載のシステム。
〔態様10〕
基板から試料を抽出するためのシステムであって:
基板中に穴を切削することができ、基板上に傾きのある側壁を生成するために非一様分布をもつ、直径がマイクロメートル以下のビームを生成するためのビーム源と、
関心のある領域に向けて内向きに移動する一連の重なり合う切り込みを実行して前記重なり合う切り込みが徐々に深くなるようにし、前記関心のある領域を含む試料のまわりに溝を生成するようプログラムされている、前記基板に対する前記ビームの動きを制御するためのコントローラ、
とを有することを特徴とするシステム。
〔態様11〕
前記コントローラがさらに前記試料の下を切って切り離すよう前記ビームを制御するようプログラムされていることを特徴とする、態様10記載のシステム。
〔態様12〕
前記コントローラがさらに、前記試料の下を切って切り離すよう前記ビームを制御する前に前記ビームまたは試料ステージを傾けるようプログラムされていることを特徴とする、態様10記載のシステム。
〔態様13〕
基板から顕微鏡試料を抽出するための方法であって:
基板上で抽出されるべき試料セクションを定義し、
基板表面に対してある第一の角で荷電粒子ビームを前記基板表面に向け、次いで前記試料セクションのまわりの実質完全な周に沿って荷電粒子ビームを制御することによって前記基板表面を切削して前記試料セクションのまわりに溝が形成されるようにし、
基板表面に対してある第二の角で荷電粒子ビームを試料セクションに向け、次いで前記試料セクションを切削して前記試料セクションの基部が前記基板から切断されるようにし、
前記試料を前記基板から取り外す、
ことを含むことを特徴とする方法。
〔態様14〕
態様13記載の方法であって、前記試料セクションのまわりの実質完全な周に沿って荷電粒子ビームを制御することによって前記基板表面を切削して前記試料セクションのまわりに溝が形成されるようにすることが:
前記試料セクションのまわりの実質完全な周に沿った第一の経路で荷電粒子ビームを制御することによって前記基板表面を切削して前記試料セクションのまわりに傾きのある側壁をもつ溝が形成されるようにし、
前記試料セクションのまわりの実質完全な周に沿った第二の経路で荷電粒子ビームを制御することによって前記基板を切削して前記試料のまわりの前記溝を拡大し、前記第二の経路によって生成される切り込みは前記第一の経路によって生成される切り込みと重なり合うが前記試料セクションのほうにずれており、前記第二の経路で制御された前記荷電粒子ビームが前回のビーム経路によって生成された傾斜のある側壁を衝撃する、
ことを特徴とする方法。
〔態様15〕
態様13記載の方法であって、前記試料セクションのまわりの実質完全な周に沿って荷電粒子ビームを制御することによって前記基板表面を切削して前記試料セクションのまわりに溝が形成されるようにすることが:
前記試料セクションのまわりの実質完全な周に沿った第一の経路で荷電粒子ビームを制御することによって前記基板表面を切削して前記試料セクションのまわりに溝が形成されるようにし、
前記試料セクションのまわりの実質完全な周に沿った第二の経路で荷電粒子ビームを制御することによって前記溝を拡大し、前記第二の経路でのビーム位置が前記第一の経路でのビーム位置と重なり合うが前記試料セクションのほうにずれている、
ことを特徴とする方法。
〔態様16〕
態様13記載の方法であって、前記試料セクションのまわりの実質完全な周に沿って荷電粒子ビームを制御することによって前記基板表面を切削して前記試料セクションのまわりに溝が形成されるようにすることが:
前記試料セクションのまわりの実質完全な周に沿った第一の経路で荷電粒子ビームを制御することによって前記基板表面を切削して前記試料セクションのまわりに前記試料セクションに近いほうの内側側壁をもつ溝が形成されるようにし、
前記試料セクションのまわりの実質完全な周に沿った第二の経路で荷電粒子ビームを制御することによって前記基板を切削して前記試料のまわりの前記溝を拡大し、前記第二の経路が前記第一の経路から前記試料セクションのほうにずれており、前記第二の経路で制御された前記荷電粒子ビームが前記溝の前記内側側壁を衝撃する、
ことを特徴とする方法。
〔態様17〕
態様13記載の方法であって、基板表面に対してある第一の角で荷電粒子ビームを前記基板表面に向けることが、基板表面に対して実質垂直な角度で前記基板表面に前記荷電粒子ビームを向けることを含むことを特徴とする方法。
〔態様18〕
前記第二の角が前記基板表面に対して10°ないし80°であることを特徴とする、態様17記載の方法。
〔態様19〕
前記第二の角が前記第一の角よりも小さいことを特徴とする態様13記載の方法。
〔態様20〕
態様13記載の方法であって、前記試料セクションのまわりの実質完全な周に沿って荷電粒子ビームを制御することによって前記基板表面を切削して前記試料セクションのまわりに溝が形成されるようにすることが、前記試料セクションに向けて漸次移動する一連の重なり合う切り込みにおいてある実質完全な周に沿って前記荷電粒子ビームを制御して前記試料セクションのまわりに溝が形成されるようにすることを含むことを特徴とする方法。
〔態様21〕
態様13記載の方法であって:
荷電粒子ビームを前記基板表面に向けることが、ある直径をもつ荷電粒子ビームを前記基板表面に向けることを含み、
前記試料セクションのまわりの実質完全な周に沿って荷電粒子ビームを制御することが、前記試料セクションのまわりの周をなす一連の二つ以上の円形経路において前記荷電粒子ビームを制御してビーム経路が直径が減少する一連の同心円を描き、連続する円形経路の直径の差がビーム直径より小さいようにすることを含む、
ことを特徴とする方法。
〔態様22〕
態様13記載の方法であって、さらに前記荷電粒子ビームを用いて切削することによって前記試料を薄化することを含むことを特徴とする方法。
〔態様23〕
前記薄化ステップが、前記試料セクションのまわりの実質完全な周に沿って荷電粒子ビームを制御することによって前記基板表面を切削して前記試料セクションのまわりに溝が形成されるようにしたあと、かつ、前記試料セクションを切削して前記試料セクションの基部が前記基板から切断されるようにする前に実行されることを特徴とする、態様22記載の方法。
〔態様24〕
態様13記載の方法であって、基板表面に対してある第二の角で荷電粒子ビームを試料セクションに向け、次いで前記試料セクションを切削して前記試料セクションの基部が前記基板から切断されるようにすることが:
前記試料セクションを荷電粒子ビームを用いて成形し、
前記試料を傾け、
荷電粒子ビームを前記試料セクションの基部に向け、前記試料セクションの下を切って該試料セクションが前記基板から切り離されるようにする、
ことを含むことを特徴とする方法。
〔態様25〕
態様1、態様4、態様5または態様13のうちいずれか一項記載の方法であって、さらに前記試料にプローブを取り付けることを含むことを特徴とする方法。
〔態様26〕
前記試料にプローブを取り付けることが、前記試料が前記基板から切り離された後で前記試料にプローブを取り付けることを含むことを特徴とする、態様25記載の方法。
〔態様27〕
態様1または態様5記載の方法であって、前記試料の下を切って前記基板から切り離すことが、前記ビームと前記基板との間の角を減少させ、前記ビームを前記試料の基部に向け、前記試料が前記基板から切り離されるまで基板物質を切削することを含むことを特徴とする方法。
〔態様28〕
態様1、態様4、態様5または態様13のうちいずれか一項記載の方法であって、前記溝の幅が前記試料よりも広いことを特徴とすることを特徴とする方法。
〔態様29〕
態様1、態様4、態様5または態様13のうちいずれか一項記載の方法であって、前記溝の底が前記試料に向かって漸次深くなることを特徴とする方法。
〔態様30〕
態様1、態様4、態様5または態様13のうちいずれか一項記載の方法であって、前記ビームが集束イオンビームであることを特徴とする方法。
〔態様31〕
態様1、態様4、態様5または態様13のうちいずれか一項記載の方法であって、ビームを制御して溝を生成することが、集束イオンビームを試料の周のまわりで継続的に制御して、ビームの角、エネルギー、電流、電流密度または直径を変えることなく、位置をずらした重なり合う複数回の切り込みを行うことを含むことを特徴とする方法。
【符号の説明】
【0048】
10 集束イオンビームシステム
11 外被
12 ネック部分
14 イオン源
16 イオンビーム集束カラム
18 イオンビーム
19 システムコントローラ
20 偏光板
22 試料
24 XYステージ
26 下部チャンバー
28 イオンポンプ
30 ポンピングシステム
32 真空コントローラ
34 高圧電源
36 偏向コントローラおよび増幅器
38 パターン発生器
40 荷電粒子検出器
41 走査型電子顕微鏡
42 ビデオ回路
44 モニター
45 走査型電子顕微鏡電源および制御部
46 ガス配送システム
60 扉
100 関心のある領域を位置特定
102 ビームを使って周に沿って切り込み
104 第一の切り込みに重なる第二の切り込み
106 追加的な重なり合う経路に沿った切り込み
108 試料の下を切って切り離す
110 試料にプローブを取り付け
112 集束イオンビームを使って試料を所望の形に切る
114 試料を観察
300 基板
302 第一の切り込み
402 第二の切り込み
502 溝
504 傾斜した側壁
506 試料
602 イオンビーム
604 斜めの穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顕微鏡試料を抽出する方法であって:
少なくとも一つの連続的なパスでの前記試料の周のまわりのビーム切削によって前記試料を含む関心のある領域のまわりを実質的に完全に取り巻く溝を切り、前記試料が実質的に、底部を除いたすべての側で切り離されるようにし、ここで、溝を切ることは、集束イオンビームを前記試料の周のまわりで連続的に動かして、ビームの角、エネルギー、電流、電流密度、直径を変えることなく、位置をずらした重なり合う複数回の切り込みを行い、試料に向かって溝を深くすることを含み、
前記試料の下を切ってそれを前記基板から切り離す、
ことを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法であって、前記溝の底が前記試料に向かって漸次深くなることを特徴とする、方法。
【請求項3】
基板から顕微鏡試料を抽出するための方法であって:
基板上で抽出されるべき試料セクションを定義し、
基板表面に対してある第一の角で荷電粒子ビームを前記基板表面に向け、次いで前記試料セクションのまわりの実質完全な周に沿って一つの連続的なパスで荷電粒子ビームを制御することによって前記基板表面を切削して前記試料セクションのまわりに溝が形成されるようにし、
基板表面に対してある第二の角で荷電粒子ビームを試料セクションに向け、次いで前記試料セクションを切削して前記試料セクションの基部が前記基板から切断されるようにし、
前記試料セクションを前記基板から取り外す、
ことを含むことを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項3記載の方法であって、前記試料セクションのまわりの実質完全な周に沿って荷電粒子ビームを制御することによって前記基板表面を切削して前記試料セクションのまわりに溝が形成されるようにすることが:
前記試料セクションのまわりの実質完全な周に沿った第一の経路で荷電粒子ビームを制御することによって前記基板表面を切削して前記試料セクションのまわりに傾きのある側壁をもつ溝が形成されるようにし、
前記試料セクションのまわりの実質完全な周に沿った第二の経路で荷電粒子ビームを制御することによって前記基板を切削して前記試料のまわりの前記溝を拡大し、前記第二の経路によって生成される切り込みは前記第一の経路によって生成される切り込みと重なり合うが前記試料セクションのほうにずれており、前記第二の経路で制御された前記荷電粒子ビームが前回のビーム経路によって生成された傾きのある側壁を衝撃する、
ことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項3記載の方法であって、基板表面に対してある第一の角で荷電粒子ビームを前記基板表面に向けることが、基板表面に対して実質垂直な角度で前記基板表面に前記荷電粒子ビームを向けることを含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項3記載の方法であって:
荷電粒子ビームを前記基板表面に向けることが、あるビーム直径をもつ荷電粒子ビームを前記基板表面に向けることを含み、
前記試料セクションのまわりの実質完全な周に沿って荷電粒子ビームを制御することが、前記試料セクションのまわりの周をなす一連の二つ以上の円形経路において前記荷電粒子ビームを制御してビーム経路が直径が減少する一連の同心円を描き、連続する円形経路の直径の差が前記ビーム直径より小さいようにすることを含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項7】
基板から顕微鏡試料を抽出する方法であって:
基板表面に実質垂直な角度でイオンビームを、試料セクションのまわりのある完全な周に実質的に沿った第一の経路に沿って制御して、当該基板中に溝を生成し、ここで、前記イオンビームは該イオンビームの方向を反転することなく前記試料の周のまわりを一つの連続的なパスで前記第一の経路に沿って制御され、
前記基板表面に実質垂直な角度で前記イオンビームを第二の経路に沿って制御し、ここで、前記イオンビームは該イオンビームの方向を反転することなく前記試料の周のまわりを一つの連続的なパスで前記第二の経路に沿って制御され、前記第二の経路は、実質的に前記周の全体に沿って、前記第一の経路と重なり合うが前記第一の経路から前記試料セクションのほうに向けて内側にずれており、これにより前記試料のまわりの溝を拡大し、
前記基板に実質垂直でない角度で前記イオンビームを制御して前記試料の下を切り、前記試料を当該基板から切り離す、
ことを含むことを特徴とする方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−47691(P2013−47691A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−249461(P2012−249461)
【出願日】平成24年11月13日(2012.11.13)
【分割の表示】特願2006−45684(P2006−45684)の分割
【原出願日】平成18年2月22日(2006.2.22)
【出願人】(501233536)エフ イー アイ カンパニ (87)
【氏名又は名称原語表記】FEI COMPANY
【住所又は居所原語表記】7451 NW Evergreen Parkway, Hillsboro, OR 97124−5830 USA
【Fターム(参考)】