試料処理装置
【課題】生体組織を破砕して得られた組織溶液をろ過するとともにろ過により抽出されたろ液を採取することが可能な試料処理装置を提供する。
【解決手段】この試料処理装置100は、一端に開口40eを有するとともに、他端にフィルタ41および42が設けられた筒体からなるろ過具40を少なくとも保持するための保持部材141と、保持部材141を移動させるための移動機構部142とを備えている。そして、移動機構部142により保持部材141に保持されたろ過具40を移動させることによって、生体組織を破砕して得られた組織溶液をろ過するための試料調製容器10のろ過処理用収容室14にろ過具40を挿入するとともに、組織溶液をろ過してろ液を抽出し、抽出されたろ液をろ過具40の開口40eを介して吸引する。
【解決手段】この試料処理装置100は、一端に開口40eを有するとともに、他端にフィルタ41および42が設けられた筒体からなるろ過具40を少なくとも保持するための保持部材141と、保持部材141を移動させるための移動機構部142とを備えている。そして、移動機構部142により保持部材141に保持されたろ過具40を移動させることによって、生体組織を破砕して得られた組織溶液をろ過するための試料調製容器10のろ過処理用収容室14にろ過具40を挿入するとともに、組織溶液をろ過してろ液を抽出し、抽出されたろ液をろ過具40の開口40eを介して吸引する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料処理装置に関し、特に、生体組織などの試料を処理する試料処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生体組織などの試料を処理する試料処理装置として、ろ過具を含むろ過装置や破砕具を含むホモジナイザ(試料の均質化を行う装置)などが知られている(たとえば、特許文献1および2参照)。
【0003】
上記特許文献1には、生体組織を破砕して得られた細胞粒子を含む組織溶液(懸濁液)をろ過することにより、所定の大きさよりも大きい細胞粒子のみを採取することによって、表面に所定の大きさよりも大きい細胞粒子が付着された標本スライドガラスを作製するためのろ過装置が開示されている。この特許文献1のろ過具は、一端が閉口され、他端にフィルタが設けられた筒体によって構成されている。そして、上記特許文献1において、標本スライドガラスを作製する際には、まず、組織溶液が収容された容器内にろ過具を挿入した後、ろ過具の内部を負圧にすることにより組織溶液を吸引する。これにより、ろ過具の内部にろ液を抽出する。この際、所定の大きさよりも小さい細胞粒子は、フィルタを通過してろ過具の内部に移動する一方、所定の大きさよりも大きい細胞粒子は、フィルタを通過せずにフィルタの外表面に残留する。この後、ろ過具のフィルタの外表面とスライドガラスの表面とを接触させることによって、フィルタの外表面に残留した細胞粒子をスライドガラスの表面に付着させる。このようにして、標本スライドガラスが作製される。
【0004】
また、上記特許文献2には、破砕具(ペッスル)により生体組織の均質化を行うことによって、均質化された生体組織を含む組織溶液を作製するためのホモジナイザが開示されている。なお、この特許文献2に開示されたホモジナイザでは、生体組織の均質化のみが行われる。
【0005】
【特許文献1】特開平6−221976号公報
【特許文献2】特開2000−333669号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1のろ過装置では、一端が閉口され、他端にフィルタが設けられた筒体からなるろ過具の内部にろ液が抽出されるので、ろ液の分析などを行う場合に、ろ液を採取するのが困難であるという問題点がある。
【0007】
また、上記特許文献2のホモジナイザでは、組織溶液をろ過するための機構部が設けられていないので、組織溶液をろ過する場合には、ろ過装置を別途準備する必要があるという問題点がある。
【0008】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、生体組織を破砕して得られた組織溶液をろ過するとともにろ過により抽出されたろ液を採取することが可能な試料処理装置を提供することである。
【0009】
この発明のもう1つの目的は、生体組織を破砕して組織溶液を調製し、かつ、その組織溶液をろ過するとともにろ過により抽出されたろ液を採取することが可能な試料処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0010】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面による試料処理装置は、一端に開口を有するとともに、他端にフィルタが設けられた筒体からなるろ過具を少なくとも保持するための保持部材と、保持部材を移動させるための第1移動機構部とを備えている。そして、第1移動機構部により保持部材に保持されたろ過具を移動させることによって、生体組織を破砕して得られた組織溶液をろ過するためのろ過室を含む収容容器のろ過室にろ過具を挿入するとともに、組織溶液をろ過してろ液を抽出し、抽出されたろ液をろ過具の開口を介して吸引する。
【0011】
この第1の局面による試料処理装置では、上記のように、一端に開口を有するとともに、他端にフィルタが設けられた筒体からなるろ過具を保持部材により保持し、その保持部材に保持されたろ過具を第1移動機構部を用いて移動させることにより、生体組織を破砕して得られた組織溶液が収容された収容容器のろ過室にろ過具を挿入することによって、一端に開口を有する筒体からなるろ過具により、収容容器のろ過室に収容された組織溶液をろ過することができる。この場合、ろ過具の内部にろ液が抽出されるように構成すれば、ろ過具の一端の開口を介してろ過具の内部に吸引部材を挿入することができるので、その吸引部材によりろ液を吸引することができる。その結果、生体組織を破砕して得られた組織溶液をろ過することにより抽出されたろ液を採取することができる。
【0012】
上記第1の局面による試料処理装置において、好ましくは、ろ液は、ろ過具を構成する筒体の内部に抽出される。このように構成すれば、容易に、ろ過具の開口を介して、ろ過具の内部に抽出されたろ液を吸引することができる。
【0013】
上記第1の局面による試料処理装置において、好ましくは、少なくともろ液を吸引分注するための吸引分注機構部をさらに備え、吸引分注機構部により、抽出されたろ液をろ過具の開口を介して吸引するとともに、吸引したろ液を採取容器に分注する。このように構成すれば、容易に、吸引分注機構部により、ろ液を採取することができる。
【0014】
この場合、好ましくは、収容容器は、ろ過室に加えて、生体組織を破砕して組織溶液を調製するための破砕室をさらに含み、吸引分注機構部は、収容容器の破砕室で調製された組織溶液を吸引するとともに、吸引した組織溶液を収容容器のろ過室に分注する機能も有する。このように構成すれば、破砕室で調製された組織溶液をろ過室に搬送するための機構部を別途設ける必要がないので、部品点数を削減することができるとともに、装置の小型化を図ることができる。
【0015】
上記収容容器がろ過室に加えて破砕室をさらに含む場合において、好ましくは、保持部材は、ろ過具に加えて、生体組織を破砕するための破砕具を保持する機能も有し、第1移動機構部により保持部材に保持された破砕具を移動させることによって、収容容器の破砕室に破砕具を挿入するとともに、生体組織を破砕して組織溶液を調製する。このように構成すれば、生体組織を破砕して組織溶液を調製する場合には、保持部材により破砕具を保持するとともに、組織溶液をろ過する場合には、保持部材によりろ過具を保持すれば、組織溶液の調製およびろ過を1つの装置内で行うことができる。また、組織溶液の調製およびろ過を1つの装置内で行う場合において、破砕具を保持し、かつ、破砕具を収容容器の破砕室に挿入するための機構部を別途設ける必要がないので、これによっても、部品点数を削減することができるとともに、装置の小型化を図ることができる。
【0016】
上記保持部材がろ過具に加えて破砕具を保持する機能も有する構成において、好ましくは、保持部材は、収容容器よりも上方に配置され、第1移動機構部は、保持部材を上下方向に移動させることが可能なように構成されており、保持部材により破砕具を保持した状態で、第1移動機構部により保持部材を下方向に移動させて収容容器の破砕室に破砕具を挿入することによって、生体組織の破砕が行われ、保持部材によりろ過具を保持した状態で、第1移動機構部により保持部材を下方向に移動させて収容容器のろ過室にろ過具を挿入することによって、組織溶液のろ過が行われる。このように構成すれば、保持部材が収容容器よりも上方に配置されている場合において、第1移動機構部により保持部材を下方向に移動させることによって、容易に、生体組織を破砕して組織溶液を調整することができるとともに、組織溶液のろ過を行うことができる。
【0017】
上記保持部材がろ過具に加えて破砕具を保持する機能も有する構成において、好ましくは、保持部材は、ろ過具および破砕具が圧入される圧入部を含む。このように構成すれば、保持部材の圧入部にろ過具および破砕具を圧入することによって、容易に、保持部材により、ろ過具および破砕具を保持することができる。
【0018】
上記保持部材がろ過具および破砕具が圧入される圧入部を含む構成において、好ましくは、使用前のろ過具および破砕具は、収容容器に収容されており、第1移動機構部により保持部材を下方向に移動させることによって、収容容器に収容されたろ過具および破砕具が保持部材の圧入部に圧入される。このように構成すれば、容易に、保持部材を下方向に移動させることにより、保持部材の圧入部に、収容容器に収容された使用前のろ過具および破砕具を圧入して保持することができる。
【0019】
上記保持部材がろ過具および破砕具が圧入される圧入部を含む構成において、好ましくは、保持部材の圧入部に圧入されたろ過具および破砕具の少なくとも一方を、保持部材から取り外すための取り外し機構部をさらに備える。このように構成すれば、組織溶液の調製工程から組織溶液のろ過工程に移行する場合に、取り外し機構部により保持部材から破砕具を取り外してろ過具を装着することができる。また、組織溶液のろ過工程から組織溶液の調製工程に移行する場合に、取り外し機構部により保持部材からろ過具を取り外して破砕具を装着することができる。
【0020】
上記取り外し機構部をさらに備えた構成において、好ましくは、取り外し機構部は、保持部材からろ過具および破砕具を取り外すための取り外し部材と、取り外し部材を水平方向に移動させることにより、取り外し部材を保持部材の圧入部近傍の取り外し位置に配置するための第2移動機構部とを含み、第2移動機構部により取り外し部材を水平方向に移動させて取り外し位置に配置した状態で、第1移動機構部により保持部材を上方向に移動させることによって、保持部材からろ過具および破砕具の少なくとも一方が取り外される。このように構成すれば、ろ過具および破砕具を保持するための保持部材を上下方向にのみ移動可能に構成したとしても、保持部材の上下方向への移動と、取り外し部材の水平方向への移動とにより、容易に、保持部材からろ過具および破砕具の少なくとも一方を取り外すことができる。
【0021】
上記保持部材がろ過具に加えて破砕具を保持する機能も有する構成において、好ましくは、保持部材よりも下方に配置され、収容容器が装着される収容容器装着部材と、収容容器装着部材を、ろ過具が保持された保持部材と収容容器のろ過室との水平方向の位置が実質的に一致する第1の位置と、破砕具が保持された保持部材と収容容器の破砕室との水平方向の位置が実質的に一致する第2の位置とに少なくとも移動させるための第3移動機構部とをさらに備える。このように構成すれば、保持部材を上下方向にのみ移動可能に構成したとしても、第3移動機構部により収容容器が装着された収容容器装着部材を水平方向に移動させれば、組織溶液のろ過を行う場合に、ろ過具が保持された保持部材と収容容器のろ過室との水平方向の位置を一致させることができるとともに、組織溶液の調製を行う場合に、破砕具が保持された保持部材と収容容器の破砕室との水平方向の位置を一致させることができる。これにより、保持部材を上下方向にのみ移動可能に構成したとしても、組織溶液のろ過を行う場合には、ろ過具を収容容器のろ過室に挿入することができるとともに、組織溶液の調製を行う場合には、破砕具を収容容器の破砕室に挿入することができる。
【0022】
この発明の第2の局面による試料処理装置は、生体組織を破砕する破砕具を保持するための破砕具保持部材と、破砕具保持部材を移動させるための破砕具移動機構部と、生体組織を破砕して得られた組織溶液をろ過するろ過具を保持するためのろ過具保持部材と、ろ過具保持部材を移動させるためのろ過具移動機構部と、少なくとも組織溶液を吸引分注するための吸引分注機構部とを備えている。そして、破砕具移動機構部により破砕具保持部材に保持された破砕具を移動させることによって、収容容器の破砕室に破砕具を挿入するとともに、生体組織を破砕して組織溶液を調製し、吸引分注機構部により、収容容器の破砕室から組織溶液を吸引するとともに、吸引した組織溶液を収容容器のろ過室に分注し、ろ過具移動機構部によりろ過具保持部材に保持されたろ過具を移動させることによって、収容容器のろ過室にろ過具を挿入するとともに、組織溶液をろ過してろ液を抽出する。
【0023】
この第2の局面による試料処理装置では、上記のように、生体組織を破砕する破砕具を保持するための破砕具保持部材と、破砕具保持部材を移動させるための破砕具移動機構部と、生体組織を破砕して得られた組織溶液をろ過するろ過具を保持するためのろ過具保持部材と、ろ過具保持部材を移動させるためのろ過具移動機構部と、少なくとも組織溶液を吸引分注するための吸引分注機構部とを設けることによって、破砕具移動機構部により破砕具保持部材に保持された破砕具を収容容器の破砕室に挿入することができるので、生体組織を破砕して組織溶液を調製することができる。また、吸引分注機構部により、収容容器の破砕室から組織溶液を吸引するとともに、その吸引された組織溶液を収容容器のろ過室に分注することができる。さらに、ろ過具移動機構部によりろ過具保持部材に保持されたろ過具を収容容器のろ過室に挿入することができるので、組織溶液をろ過してろ液を抽出することができる。その結果、生体組織を破砕して組織溶液を調製し、かつ、その組織溶液をろ過することにより抽出されたろ液を採取することができる。
【0024】
上記第2の局面による試料処理装置において、好ましくは、破砕具保持部材とろ過具保持部材とは、共通の1つの保持部材により構成されており、破砕具移動機構部とろ過具移動機構部とは、共通の1つの移動機構部により構成されている。このように構成すれば、破砕具保持部材とろ過具保持部材とを互いに異なる保持部材により構成し、かつ、破砕具移動機構部とろ過具移動機構部とを互いに異なる移動機構部により構成する場合に比べて、部品点数を削減することができるとともに、装置の小型化を図ることができる。
【0025】
上記第2の局面による試料処理装置において、好ましくは、吸引分注機構部は、ろ過具により抽出されたろ液を吸引するとともに、吸引したろ液を採取容器に分注する機能も有する。このように構成すれば、容易に、吸引分注機構部により、生体組織を破砕して得られた組織溶液をろ過することにより抽出されたろ液を採取することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0027】
図1は、本発明の一実施形態による試料処理装置の全体構成を示した斜視図である。図2は、図1に示した一実施形態による試料処理装置に装着される試料調製キットの斜視図であり、図3は、図1に示した一実施形態による試料処理装置に装着される試料調製キットの分解図である。図4〜図14は、図1に示した一実施形態による試料処理装置に装着される試料調製キットの詳細構造を説明するための図である。
【0028】
本実施形態による試料処理装置100は、図1に示すように、生体組織を破砕した後、その破砕された生体組織から得られた組織溶液をろ過することにより、ろ液を採取するための装置である。なお、生体組織としては、リンパ節が用いられる。また、予め切断されたリンパ節は、試料調製キット1の試料調製容器10に収容された後、図1に示した試料処理装置100に設置される。まず、図2〜図14を参照して、本実施形態による試料処理装置100に装着される試料調製キット1の構成について詳細に説明する。
【0029】
本実施形態による試料処理装置100に装着される試料調製キット1は、図2および図3に示すように、試料調製容器10と、試料調製容器10に嵌め込まれる蓋部20と、切断されたリンパ節を破砕するための破砕具30と、リンパ節から取得された組織溶液をろ過するためのろ過具40と、ろ過具40によりろ過されたろ液を吸引および吐出するための2つの分注チップ50および60とを備えている。そして、試料調製キット1の試料調製容器10には、予め、破砕用溶液70と希釈液80とが収容されている。この破砕用溶液70および希釈液80は、リンパ節に含まれる膜タンパクを破壊する非イオン性界面活性剤を含んでいる。また、試料調製容器10の上面部17(図5および図6参照)には、図3および図4に示すように、破砕用溶液70や希釈液80などに外部からのゴミが混入しないように、アルミからなるフィルム90が接着されている。なお、この試料調製キット1は、1回の使用毎に廃棄する使い捨てのキットである。
【0030】
試料調製容器10は、図3〜図6に示すように、ろ過具40を収容するためのろ過具収容室11と、破砕具30を収容するための破砕具収容室12と、破砕用溶液70が収容される破砕処理用収容室13と、希釈液80が収容されるろ過処理用収容室14と、2つの分注チップ50および60を収容するための分注チップ収容室15とを含んでいる。そして、各収容室11〜15は、図6に示すように、補強リブ16および上面部17を介して一体的に形成されている。そして、ろ過具収容室11、破砕具収容室12、破砕処理用収容室13、ろ過処理用収容室14および分注チップ収容室15は、それぞれ、一端に開口部11a、12a、13a、14aおよび15aを有するとともに他端に底面部11b、12b、13b、14bおよび15bを有している。また、図3および図6に示すように、各収容室11〜15の周りを取り囲むように形成される側面部18と、破砕具収容室12、破砕処理用収容室13、ろ過処理用収容室14および分注チップ収容室15とは、それぞれ、上記した補強リブ16により連結されている。また、補強リブ16は、ろ過具収容室11と破砕具収容室12との間、破砕具収容室12と破砕処理用収容室13との間、破砕処理用収容室13とろ過処理用収容室14との間およびろ過処理用収容室14と分注チップ収容室15との間にも設けられている。また、上面部17には、上面部17の周りを囲むように垂直上方に延びる縁部19が設けられており、その縁部19のろ過具収容室11側および分注チップ収容室15側の外側面には、それぞれ、突起部19aおよび19bが設けられている。
【0031】
ろ過具収容室11は、図3に示すように、試料調製キット1のろ過具40を収容するために設けられるとともに、破砕具収容室12は、破砕具30を収容するために設けられている。また、ろ過具収容室11および破砕具収容室12は、図5および図6に示すように、それぞれ、上面部17から所定の深さだけ窪んだ平面的に見て小判形状を有する支持面部11cおよび12cが設けられている。また、ろ過具収容室11には、切欠部11dおよび11eが形成されている。また、破砕具収容室12にも、切欠部12dおよび12eが形成されている。そして、ろ過具収容室11の破砕具収容室12側の切欠部11eと、破砕具収容室12のろ過具収容室11側の切欠部12eとは、連結するように形成されている。
【0032】
また、破砕処理用収容室13は、開口部13aから受け入れた破砕具30によりリンパ節を破砕するために設けられており、予め切断されたリンパ節は、破砕用溶液70とともに、この破砕処理用収容室13に収容される。そして、本実施形態の試料調製キット1では、この破砕処理用収容室13において、リンパ節が破砕用溶液70中で破砕されて、組織溶液が得られる。また、破砕処理用収容室13の底面部13bの内底面には、図7および図8に示すように、後述する破砕具30の平板状の内側破砕部材31の半円形状の凹部31a(図9参照)に対応する半円形状の凸部13cが形成されている。この凸部13cは、平面的に見て、十字状のリブ形状を有している。この凸部13cと内側破砕部材31の凹部31aとで所定の大きさのリンパ節を挟持して破砕するように構成されている。また、凸部13cの表面の曲率半径は、破砕具30の内側破砕部材31の凹部31aの表面と実質的に同じ曲率半径を有するように形成されている。さらに、図8に示すように、破砕具30の内側破砕部材31の平板状の先端部に設けられる凹部31aが十字状のリブ形状の凸部13cに対して回転した場合に、内側破砕部材31の平板状の先端部に設けられる凹部31aと、十字状のリブ形状の凸部13c以外の部分との間に隙間13dが生じるように構成されている。
【0033】
また、ろ過処理用収容室14は、リンパ節を破砕して得られた組織溶液を受け入れるとともに、受け入れた組織溶液をろ過するために設けられている。そして、本実施形態の試料調製キット1では、このろ過処理用収容室14において、破砕処理用収容室13で吸引される組織溶液が分注されることにより、その分注された組織溶液が予め収容されている希釈液80により希釈される。そして、希釈された組織溶液をろ過することによって、ろ液が抽出される。また、ろ過処理用収容室14は、図3および図6に示すように、開口部14a側から底面部14b側に向かって、開口断面積が徐々に減少するように形成されている。
【0034】
分注チップ収容室15には、分注チップ50および60を、それぞれ、収容することが可能なように分注チップ収容部15cおよび15dが形成されている。
【0035】
蓋部20は、図2および図3に示すように、試料調製容器10に嵌め込むことが可能なように構成されている。具体的には、蓋部20には、試料調製容器10の縁部19のろ過具収容室11側に設けられる突起部19aに対応する係止孔20aが設けられるとともに、分注チップ収容室15側に設けられる突起部19bに対応する係止孔20bが設けられている。これにより、蓋部20の係止孔20aおよび20bに、それぞれ、試料調製容器10の突起部19aおよび19bが係合されるので、試料調製容器10に蓋部20を嵌め込むことが可能となる。また、蓋部20は、破砕処理用収容室13の開口部13aに対応するように形成される凹部20cを含んでいる。この破砕処理用収容室13の開口部13aに対応する凹部20cは、蓋部20を試料調製容器10に嵌め込んだ場合に、破砕処理用収容室13の開口部13aを塞ぐ機能を有している。これにより、組織溶液の分取後に試料調製容器10に蓋部20を嵌め込んだ状態では、破砕処理用収容室13の開口部13aから残余した組織溶液が漏れるのを抑制することが可能となる。
【0036】
破砕具30は、図9および図10に示すように、内側破砕部材31と、内側破砕部材31を内部に収容することが可能な筒体からなる外側破砕部材32とにより構成されている。そして、破砕具30は、破砕用溶液70とともに収容されるリンパ節を破砕するために設けられている。また、内側破砕部材31は、試料調製容器10の破砕処理用収容室13の凸部13c(図7および図8参照)に対応するように、平板状の先端部に形成される凹部31aを含んでいる。この平板状の先端部に設けられる凹部31aの表面は、上記したように、破砕処理用収容室13の凸部13cの表面の曲率半径と実質的に同じ曲率半径を有するように形成されている。また、内側破砕部材31の凹部31aが形成される先端部側と反対側には、後述する試料処理装置100の把持部に把持される支持部31bが設けられている。また、図9に示すように、外側破砕部材32の下部側には、複数の刀部32aと、外周面側から外側に突出するように形成されるリブ部32bと、複数の刀部32aの間に設けられる複数のスリット32cとが設けられている。また、外側破砕部材32の上部側には、図9および図11に示すように、破砕具収容室12の小判形状の支持面部12c(図5および図6参照)に対応する小判形状を有する鍔部32dと、内側破砕部材31を内部に収容するための開口部32eと、2つの切欠部32fと、撓み変形可能な複数(本実施形態では、4つ)の係止爪32gとが形成されている。また、2つの切欠部32fは、破砕具収容室12に形成される切欠部12dおよび12e(図5および図6参照)に対応するように形成されている。
【0037】
ろ過具40は、破砕されたリンパ節から得られた組織溶液をろ過するために設けられており、2枚のフィルタ41および42(図13参照)を介してろ過されたろ液を抽出するために用いられる。ろ過具40は、図12〜図14に示すように、円筒形状を有しており、下部側には、2枚のフィルタ41および42を配置するためのフィルタ設置部40aと、シール材設置部40bとが形成されている。なお、本実施形態では、シール材設置部40bには、シール材を配置していないが、シール材を配置することも可能である。また、フィルタ設置部40aには、図14に示すように、平面的にみて十字形状のフィルタ支持部40cが形成されている。そして、フィルタ設置部40aのフィルタ支持部40cが形成される部分以外の隙間43を通過して、組織溶液がろ過具40の内部に抽出される。また、ろ過具40の上部側は、図12および図14に示すように、上記した外側破砕部材32の上部側と同様の構造を有しており、ろ過具収容室11の小判形状の支持面部11c(図5および図6参照)に対応するように形成される小判形状を有する鍔部40dと、開口40eと、2つの切欠部40fと、撓み変形可能な複数(本実施形態では、4つ)の係止爪40gとが形成されている。また、切欠部40fは、ろ過具収容室11に形成される切欠部11dおよび11e(図5および図6参照)に対応するように形成されている。
【0038】
分注チップ収容部15cに収容される分注チップ50は、破砕されたリンパ節から得られた組織溶液を吸引および分注するために設けられている。また、分注チップ収容部15dに収容される分注チップ60は、組織溶液をろ過することにより抽出されるろ液を吸引および分注するために設けられている。この分注チップ50は、図3に示すように、開口部50aと、開口部50aとは反対側の先端部50bとを含んでいる。また、分注チップ60も、同様に、開口部60aと、開口部60aとは反対側の先端部60bとを含んでいる。
【0039】
図15および図16は、それぞれ、図1に示した一実施形態による試料処理装置の本体部の斜視図および平面図である。図17〜図24は、図1に示した一実施形態による試料処理装置の各部の詳細構造を示した図である。次に、図1、図3、図6、図9、図10、図12、図14〜図24を参照して、上記した試料調製キット1が装着される本実施形態による試料処理装置100の構成について詳細に説明する。
【0040】
本実施形態による試料処理装置100は、蓋部20(図3参照)およびフィルム90(図3参照)が取り外されるとともに、予め切断されたリンパ節が収容された試料調製キット1を設置した後、収容されるリンパ節に対して所定の処理を施すことによって、ろ液を採取することが可能なように構成されている。具体的には、本実施形態による試料処理装置100は、図1に示すように、所定の情報を表示するための表示部110と、3つの本体部120とにより構成されている。そして、図15および図16に示すように、本体部120は、搬送機構部130と、試料処理機構部140と、吸引分注機構部150と、取り外し機構部160と、制御部170とにより構成されている。また、試料処理装置100には、イジェクトボタン180が設けられている。そのイジェクトボタン180を押すことにより、搬送機構部130の設置部131が水平方向(X1方向)に移動されてドア部190から外部に搬出される。これにより、試料調製キット1を試料処理装置100に設置することが可能となる。
【0041】
搬送機構部130は、設置部131と、移動機構部132とにより構成されている。この搬送機構部130は、上記した試料調製キット1を設置する機能を有するとともに、その試料調製キット1を水平方向(X1およびX2方向)に移動する機能を有している。
【0042】
設置部131は、試料調製キット1を設置するとともに、ろ過具40によりろ過されたろ液を収容するための採取容器300を設置するために設けられている。設置部131は、図17および図18に示すように、試料調製キット1を設置するためのキット設置部131aと、採取容器300を設置するための採取容器設置部131bと、試料調製キット1に収容される組織溶液や採取容器300に収容されるろ液を所定の温度に制御するための温度制御部131c(図17参照)とにより構成されている。
【0043】
また、キット設置部131aは、試料調製容器10のろ過具収容室11、破砕具収容室12、破砕処理用収容室13、ろ過処理用収容室14および分注チップ収容室15を、それぞれ、収容するための挿入部131d、131e、131f、131gおよび131hが設けられている。また、キット設置部131aには、試料調製容器10の補強リブ16に対応するように形成されるリブ挿入溝131iが設けられている。
【0044】
また、採取容器設置部131bは、採取容器300を設置するための容器挿入孔131j(図18参照)と、採取容器300に取り付けられる蓋301が採取容器300の開口部300aを塞ぐのを抑制するために設けられた蓋保持部131kとを有している。また、温度制御部131cには、2つのファン131lが設けられているとともに、図示しないペルチェ素子が内蔵されており、後述する制御部170(図15および図16参照)から送信される制御信号に基づいて2つのファン131lおよびペルチェ素子が制御される。
【0045】
移動機構部132は、図15および図16に示すように、試料調製キット1が配置された設置部131を水平方向(X1およびX2方向)に移動させるために設けられている。移動機構部132は、モータ132aと、モータ132aに接続されたプーリ132bと、プーリ132bと所定の間隔を隔てて設けられたプーリ132cと、プーリ132bおよびプーリ132cに装着された駆動伝達ベルト132dと、水平方向(X1およびX2方向)に延びるように配置される直動ガイド132eと、直動ガイド132eに沿って移動可能に取り付けられるとともに駆動伝達ベルト132dに連結される移動部材132fとにより構成されている。これにより、モータ132aが駆動することにより、プーリ132bを介して、駆動伝達ベルト132dが駆動されるので、駆動伝達ベルト132dに連結される移動部材132fが水平方向(X1およびX2方向)に移動される。そして、移動部材132fに取り付けられる設置部131を移動部材132fとともに直動ガイド132eに沿って移動させることが可能となる。
【0046】
試料処理機構部140は、試料調製キット1に収容される破砕具30(図9参照)およびろ過具40(図12参照)を用いて、試料調製キット1に収容されるリンパ節を破砕するとともに、破砕して得られた組織溶液をろ過する機能を有している。この試料処理機構部140は、保持部材141と、移動機構部142とにより構成されている。
【0047】
保持部材141は、試料調製キット1の破砕具30およびろ過具40を保持する機能を有している。保持部材141は、図19に示すように、破砕具30およびろ過具40を装着するための装着部141aと、装着部141aの上部側に設けられるモータ141bと、モータ141bおよび装着部141aを設置するための設置部141cと、設置部141cに取り付けられる板金141dと、板金141dに取り付けられる直動ガイド141eと、直動ガイド141eに沿って移動可能に取り付けられる移動部材141fと、移動部材141fに取り付けられるフック部材141gと、スプリング141hとを含んでいる。
【0048】
また、装着部141aは、図20に示すように、破砕具30の外側破砕部材32の開口部32e側およびろ過具40の開口40e(図14参照)側から圧入される圧入部141iと、破砕具30の外側破砕部材32の切欠部32fおよびろ過具40の切欠部40f(図14参照)に係合する突起部141jとを含んでいる。また、圧入部141iには、破砕具30の外側破砕部材32の係止爪32gおよびろ過具40の係止爪40g(図12参照)が係合する溝部141kが設けられている。これにより、装着部141aの圧入部141iが外側破砕部材32の開口部32eおよびろ過具40の開口40eに圧入されるとともに、係止爪32gおよび係止爪40gが圧入部141iの溝部141kに係合するため、装着部141aに破砕具30およびろ過具40を確実に保持させることが可能となる。この際、装着部141aの突起部141jが、外側破砕部材32の切欠部32fおよびろ過具40の切欠部40fに係合するため、外側破砕部材32およびろ過具40が装着部141aに対して回転するのを抑制することが可能となる。また、圧入部141iの内部には、図19に示したモータ141bの駆動に伴って回転する図示しない把持部が設けられており、破砕具30の内側破砕部材31の支持部31b(図9および図10参照)を回転可能に把持する機能を有している。したがって、モータ141bは、破砕具30の内側破砕部材31を回転させる駆動源として機能する。
【0049】
また、図19に示すように、設置部141cに取り付けられる板金141dには、スプリング141hの一方端を取り付けるためのフック部141lが一体的に形成されている。そして、スプリング141hの他方端は、フック部材141gに取り付けられている。これにより、装着部141aの上下方向(Z1およびZ2方向)の移動に追従するように、移動部材141fを上下方向(Z1およびZ2方向)に移動させることが可能となる。また、移動部材141fには、後述する取り外し機構部160の取り外し部材161の解除爪161aに当接する樹脂製の当接部141mが取り付けられている。また、当接部141mは、破砕具30およびろ過具40が装着部141aに装着された場合に、外側破砕部材32の鍔部32d(図9参照)およびろ過具40の鍔部40dと当接するように移動部材141fに取り付けられている。
【0050】
移動機構部142は、図15および図16に示すように、保持部材141を上下方向(Z1およびZ2方向)に移動するために設けられている。移動機構部142は、モータ142aと、モータ142aに接続されたプーリ142bと、プーリ142bと所定の間隔を隔てて設けられたプーリ142cと、プーリ142bおよびプーリ142cに装着された駆動伝達ベルト142dと、プーリ142cの回転に伴って回転するとともに上下方向(Z1およびZ2方向)に延びるように配置されるボールネジ142eと、上下方向(Z1およびZ2方向)に延びるように配置される直動ガイド142fと、ボールネジ142eの回転に伴って移動するとともに直動ガイド142fに沿って移動可能に取り付けられる移動部材142gとにより構成されている。これにより、モータ142aが駆動することにより、プーリ142bを介して、駆動伝達ベルト142dが駆動されるので、駆動伝達ベルト142dが装着されるプーリ142cが回転する。このため、プーリ142cの回転に伴ってボールネジ142eが回転されるので、ボールネジ142eの回転に伴って移動する移動部材142gが、直動ガイド142fが延びる上下方向(Z1およびZ2方向)に沿って移動される。
【0051】
吸引分注機構部150は、試料調製キット1の分注チップ50および60(図3参照)を装着することにより、組織溶液を吸引および分注するとともに、組織溶液から抽出されるろ液を吸引および分注する機能を有している。吸引分注機構部150は、組織溶液およびろ液の吸引および吐出を行うシリンジ部151と、吸引分注機構部150を上下方向(Z1およびZ2方向)に移動させるための移動機構部152とにより構成されている。
【0052】
シリンジ部151は、図21および図22に示すように、分注チップ50および60(図3参照)が取り付けられるノズル部151aと、ノズル部151aに取り付けられる樹脂製のキャップ151bと、吸引および吐出を行うためのポンプ部151cと、ポンプ部151cの駆動源となるモータ151dと、分注チップ50の先端部50bおよび分注チップ60の先端部60bが液面に接触しているか否かを検知するための液面検知センサ151eと、ポンプ部151cによる吸引および吐出時の圧力を検知するための圧力検知センサ151fと、液面検知センサ151eおよび圧力検知センサ151fを制御する制御基板151gとを含んでいる。また、ノズル部151aの先端部151hを、分注チップ50の開口部50aおよび分注チップ60の開口部60a(図3参照)に圧入することによって、分注チップ50および60が装着される。また、樹脂製のキャップ151bは、ノズル部151aに対して上下方向(Z1およびZ2方向)に移動可能に取り付けられている。そして、この樹脂製のキャップ151bには、分注チップ50および60が装着された場合に、当接する縁部151iが形成されている。
【0053】
移動機構部152は、図15および図16に示すように、モータ152aと、モータ152aに接続されたプーリ152bと、プーリ152bと所定の間隔を隔てて設けられたプーリ152cと、プーリ152bおよびプーリ152cに装着された駆動伝達ベルト152dと、プーリ152cの回転に伴って回転するとともにZ方向に延びるように配置されるボールネジ152eと、上下方向(Z1およびZ2方向)に延びるように配置される直動ガイド152fと、ボールネジ152eの回転に伴って移動するとともに直動ガイド152fに沿って移動可能に取り付けられる移動部材152gとにより構成されている。これにより、モータ152aが駆動することにより、プーリ152bを介して、駆動伝達ベルト152dが駆動されるので、駆動伝達ベルト152dが装着されるプーリ152cが回転する。このため、プーリ152cの回転に伴ってボールネジ152eが回転されるので、ボールネジ152eの回転に伴って移動する移動部材152gが、直動ガイド152fが延びる上下方向(Z1およびZ2方向)に沿って移動される。
【0054】
取り外し機構部160は、保持部材141に保持される破砕具30(図9参照)およびろ過具40(図12参照)と、吸引分注機構部150に装着された分注チップ50および60(図3参照)とを取り外す機能を有している。さらに、取り外し機構部160は、使用した破砕具30から滴下される組織溶液が試料調製容器10や試料処理装置100の各部に付着するのを抑制するとともに、使用した分注チップ50および60から滴下される組織溶液およびろ液が試料調製容器10や試料処理装置100の各部に付着するのを抑制する機能も有している。取り外し機構部160は、図15、図16および図23に示すように、保持部材141から破砕具30およびろ過具40を取り外すための取り外し部材161と、取り外し部材161を水平方向(X1およびX2方向)に移動させるための移動機構部162とを有している。
【0055】
取り外し部材161は、図23および図24に示すように、保持部材141の当接部141mの上面に当接する解除爪161aと、吸引分注機構部150のキャップ151bの縁部151iに当接する分注チップ解除孔161bと、組織溶液およびろ液を受ける樹脂製の受け皿部161cとを含んでいる。
【0056】
移動機構部162は、図15、図16および図23に示すように、モータ162aと、モータ162aに接続されたプーリ162bと、プーリ162bと所定の間隔を隔てて設けられたプーリ162cと、プーリ162bおよびプーリ162cに装着された駆動伝達ベルト162dと、水平方向(X1およびX2方向)に延びるように配置される直動ガイド162eと、直動ガイド162eに沿って移動可能に取り付けられる移動部材162fとにより構成されている。これにより、モータ162aが駆動することにより、プーリ162bを介して、駆動伝達ベルト162dが駆動されるので、駆動伝達ベルト162dに連結される移動部材162fが水平方向(X1およびX2方向)に移動される。このため、移動部材162fに取り付けられる取り外し部材161が水平方向(X1およびX2方向)に移動することが可能となる。
【0057】
制御部170は、図15および図16に示すように、試料処理装置100の各部を制御するために設けられている。具体的には、制御部170は、各移動機構部132、142、152および162のモータ132a、142a、152aおよび162aと電気的に接続されており、各モータ132a、142a、152aおよび162aの駆動を制御するための制御信号を送信する機能を有している。これにより、設置部131、保持部材141、シリンジ部151および取り外し部材161の移動が制御される。また、制御部170は、設置部131の温度制御部131cのファン131lおよびペルチェ素子(図示せず)と電気的に接続されており、そのファン131lの回転およびペルチェ素子を制御するための制御信号を送信する機能を有している。これにより、試料調製キット1に収容される組織溶液や採取容器300に収容されるろ液を所定の温度に制御することが可能となる。
【0058】
図25〜図50は、本発明の一実施形態による試料処理装置のろ液の採取動作を説明するための図である。次に、図3、図12、図14〜図16、図19〜図50を参照して、本実施形態による試料処理装置100のろ液の採取動作について説明する。
【0059】
まず、試料調製容器10(図3参照)から蓋部20(図3参照)およびフィルム90(図3参照)を取り外すとともに、予め切断されたリンパ節200を破砕処理用収容室13内に収容した試料調製キット1を準備しておく。そして、試料処理装置100のイジェクトボタン180を押すことにより外部に排出された設置部131に、準備した試料調製キット1を設置する。そして、図25に示すように、移動機構部132のモータ132a(図15および図16参照)を駆動させることにより、保持部材141の装着部141aの水平方向(X方向)の位置と、破砕具30が収容される破砕具収容室12の水平方向の位置とが一致するように、設置部131をX1方向に移動させる。この状態で、移動機構部142のモータ142a(図15および図16参照)を駆動させることにより、保持部材141をZ1方向(下方)に移動させる。この際、図20に示すように、外側破砕部材32の切欠部32fが装着部141aの突起部141jに係合するとともに、係合爪32gが装着部141aの溝部141kに係合して、装着部141aに破砕具30が圧入装着される。その後、保持部材141をZ2方向(上方)に移動することにより、図26に示した状態となる。
【0060】
そして、図27に示すように、破砕具30が装着された装着部141aの水平方向(X方向)の位置と、リンパ節200と破砕用溶液70とが収容される破砕処理用収容室13の水平方向の位置とが一致するように、設置部131をX1方向に移動させる。そして、保持部材141をZ1方向(下方)に移動することにより、破砕処理用収容室13内でリンパ節200を破砕する。具体的には、まず、図28に示すように、破砕具30をZ1方向(下方)およびZ2方向(上方)に繰り返し移動させることより、リンパ節200を所定の大きさになるまで破砕する。その後、図29に示すように、保持部材141のモータ141b(図19参照)を駆動させることにより、所定の大きさのリンパ節200が浮遊した状態の破砕用溶液70内で、内側破砕部材31を回転させる。これにより、図30に示すように、破砕用溶液70内で、リンパ節200がさらに微細化されて均質化された組織溶液が取得される。
【0061】
次に、図31に示すように、破砕具30が装着された装着部141aをZ2方向(上方)に移動することにより、破砕具30を組織溶液から引き上げる。そして、移動機構部162のモータ162a(図15、図16および図23参照)を駆動させることにより、引き上げられた破砕具30の下方の位置まで、取り外し部材161をX2方向に移動させる。この際、組織溶液から引き上げられた破砕具30から組織溶液が滴下された場合でも、取り外し部材161の受け皿部161c(図23および図24参照)が滴下された組織溶液を受け取ることが可能となる。
【0062】
そして、図32に示すように、破砕具30が装着された装着部141aの水平方向(X方向)の位置と、破砕具収容室12の水平方向の位置とが一致するように、設置部131をX2方向に移動させるとともに、取り外し部材161をX1方向に移動させる。その後、図33に示すように、保持部材141をZ1方向(下方)に移動させることにより、破砕具30を破砕具収容室12に挿入する。さらに、取り外し部材141をX2方向に移動させることにより、取り外し部材141を保持部材141近傍の取り外し位置に配置する。具体的には、図33に示すように、保持部材141をZ1方向(下方)に移動させるとともに、その保持部材141の当接部141mの上部に取り外し部材161の解除爪161aが位置するように、取り外し部材161をX2方向に移動させる。この状態で、保持部材141をZ2方向(上方)に移動することにより、破砕具30の鍔部32dが当接部141mの下部を押圧するので、外側破砕部材32の鍔部32dには、当接部141mからZ1方向(下方)(装着部141aから破砕具30を外す方向)の力が加わり、装着部141aから外側破砕部材32(破砕具30)が脱離される。
【0063】
次に、図34に示すように、シリンジ部151のノズル部151aの水平方向(X方向)の位置と、分注チップ50が収容される分注チップ収容室15の分注チップ収容部15cの水平方向の位置とが一致するように、設置部131をX1方向に移動させる。この状態で、移動機構部152のモータ152a(図15および図16参照)を駆動させることにより、シリンジ部151をZ1方向(下方)に移動させる。この際、図22に示すように、分注チップ50の開口部50aがノズル部151aの先端部151hに圧入されて、ノズル部151aに分注チップ50が装着される。その後、シリンジ部151をZ2方向(上方)に移動することにより、図35に示した状態となる。
【0064】
そして、図36に示すように、分注チップ50が装着されたノズル部151aの水平方向(X方向)の位置と、組織溶液が収容される破砕処理用収容室13の水平方向の位置とが一致するように、設置部131をX1方向に移動させる。そして、図37に示すように、シリンジ部151をZ1方向(下方)に移動するとともに、破砕処理用収容室13内の組織溶液を吸引する。具体的には、分注チップ50の先端部50bが組織溶液の液面に接触していることを液面検知センサ151e(図21参照)により検知して、モータ151d(図21参照)の駆動力を利用してポンプ部151c(図21参照)が組織溶液を吸引する。その後、分注チップ50が装着されたノズル部151aをZ2方向(上方)に移動することにより、分注チップ50を組織溶液から引き上げる。そして、引き上げられた分注チップ50の下方の位置まで、取り外し部材161をX2方向に移動させる。その後、分注チップ50が装着されたノズル部151aの水平方向(X方向)の位置と、ろ過処理用収容室14の水平方向の位置とが一致するように、設置部131をX1方向に移動させた後、取り外し部材161をX1方向に移動させる。
【0065】
その後、図38に示すように、シリンジ部151をZ1方向(下方)に移動するとともに、破砕処理用収容室13で吸引した組織溶液を、ろ過処理用収容室14内で吐出して攪拌する。具体的には、分注チップ50の先端部50bが希釈液の液面に接触していることを液面検知センサ151e(図21参照)により検知して、モータ151d(図21参照)の駆動力を利用してポンプ部151c(図21参照)が組織溶液を吐出する。この際、ポンプ部151cを用いて、組織溶液が吐出された希釈液内で、吸引および吐出を繰り返し行うことにより、組織溶液が攪拌される。
【0066】
そして、分注チップ50が装着されたノズル部151aをZ2方向(上方)に移動することにより、分注チップ50を希釈後の組織溶液から引き上げる。そして、引き上げられた分注チップ50の下方の位置まで、取り外し部材161をX2方向に移動させる。そして、分注チップ50が装着されたノズル部151aの水平方向(X方向)の位置と、分注チップ収容室15の分注チップ収容部15cの水平方向の位置とが一致するように、設置部131をX1方向に移動させるとともに、取り外し部材161を、X1方向に移動させる。
【0067】
その後、図39に示すように、シリンジ部151をZ1方向(下方)に移動することにより、分注チップ50を分注チップ収容部15cに収容する。具体的には、シリンジ部151をZ1方向(下方)に移動するとともに、移動したシリンジ部151のキャップ151bの縁部151iの上部に取り外し部材161の分注チップ解除孔161b(図24参照)が位置するように、取り外し部材161をX2方向に移動させる。さらに、この状態で、シリンジ部151をZ2方向(上方)に移動することにより、分注チップ50がキャップ151bの縁部151iの下部を押圧するので、分注チップ50には、キャップ151bからZ1方向(下方)(ノズル部151aから分注チップ50を外す方向)の力が加わり、ノズル部151aから分注チップ50が脱離される。
【0068】
次に、図40に示すように、保持部材141の装着部141aの水平方向(X方向)の位置と、ろ過具40が収容されるろ過具収容室11の水平方向の位置とが一致するように、設置部131をX1方向に移動させた後、保持部材141をZ1方向(下方)に移動させる。この際、ろ過具40の切欠部40f(図14参照)が装着部141aの突起部141jに係合するとともに、係合爪40g(図12および図14)が装着部141aの溝部141k(図20参照)に係合して、装着部141aにろ過具40が圧入装着される。その後、保持部材141をZ2方向(上方)に移動することにより、図41に示した状態となる。
【0069】
そして、図42に示すように、ろ過具40が装着された装着部141aの水平方向(X方向)の位置と、希釈後の組織溶液が収容されるろ過処理用収容室14の水平方向の位置とが一致するように、設置部131をX1方向に移動させる。そして、保持部材141をZ1方向(下方)に移動することにより、ろ過処理用収容室14内で希釈後の組織溶液をろ過する。具体的には、まず、図43に示すように、保持部材141をZ1方向(下方)に移動させることにより、ろ過具40をろ過処理用収容室14内に挿入する。この際、ろ過処理用収容室14の開口断面積は、開口部14a側から底面部14b側に向かって除々に減少するように形成されているので、ろ過具40の側面とろ過処理用収容室14との間の隙間から希釈後の組織溶液が漏れるのを抑制することが可能となる。そして、図44に示すように、ろ過具40とろ過処理用収容室14との間に収容された希釈後の組織溶液は、2枚のフィルタ41および42を通過して、筒体のろ過具40の内部に抽出される。
【0070】
そして、図45に示すように、保持部材141の当接部141m(図19参照)の上部に取り外し部材161の解除爪161aが位置するように、取り外し部材161をX2方向に移動させる。さらに、この状態で、保持部材141をZ2方向(上方)に移動することにより、ろ過具40の鍔部40d(図12参照)が当接部141mの下部を押圧するので、ろ過具40の鍔部40dには、当接部141mからZ1方向(下方)(装着部141aからろ過具40を外す方向)の力が加わり、装着部141aからろ過具40が脱離されて、ろ過具40がろ過処理用収容室14に嵌った状態となる。
【0071】
次に、シリンジ部151のノズル部151aの水平方向(X方向)の位置と、分注チップ60が収容される分注チップ収容室15の分注チップ収容部15dの水平方向の位置とが一致するように、設置部131をX2方向に移動させるとともに、シリンジ部151をZ1方向(下方)に移動させる。この際、分注チップ60の開口部60a(図3参照)がノズル部151aの先端部151h(図22参照)に圧入されて、ノズル部151aに分注チップ60が装着される。その後、シリンジ部151をZ2方向(上方)に移動するとともに、分注チップ60が装着されたノズル部151aの水平方向(X方向)の位置と、ろ液が収容されるろ過処理用収容室14の水平方向の位置とが一致するように、設置部131をX2方向に移動させることにより、図46に示した状態となる。
【0072】
そして、シリンジ部151をZ1方向(下方)に移動した後、図47に示すように、ろ過処理用収容室14内のろ液を吸引する。その後、分注チップ60が装着されたノズル部151aをZ2方向(上方)に移動することにより、分注チップ60をろ液から引き上げる。そして、引き上げられた分注チップ60の下方の位置まで、取り外し部材161をX2方向に移動させる。その後、図48に示すように、分注チップ60が装着されたノズル部151aの水平方向(X方向)の位置と、設置部131の採取容器設置部131bに設置される採取容器300の水平方向の位置とが一致するように、設置部131をX1方向に移動させた後、取り外し部材161を、X1方向に移動させる。
【0073】
その後、図49に示すように、シリンジ部151をZ1方向(下方)に移動するとともに、ろ過処理用収容室14で吸引したろ液を、採取容器300内で吐出する。その結果、採取容器300にリンパ節200から得られたろ液を採取することが可能となる。
【0074】
そして、分注チップ60が装着されたノズル部151aをZ2方向(上方)に移動するとともに、引き上げられた分注チップ60の下方の位置まで、取り外し部材161をX2方向に移動させる。そして、分注チップ60が装着されたノズル部151aの水平方向(X方向)の位置と、分注チップ収容室15の分注チップ収容部15dの水平方向の位置とが一致するように、設置部131をX2方向に移動させるとともに、取り外し部材161を、X1方向に移動させる。
【0075】
そして、図50に示すように、シリンジ部151をZ1方向(下方)に移動することにより、分注チップ50を分注チップ収容部15cに収容する。その後、分注チップ50の離脱と同様の手順で、ノズル部151aから分注チップ60が脱離される。
【0076】
上記のようにして、試料処理装置100のろ液の採取動作が行われる。
【0077】
本実施形態では、上記のように、上部側に開口40eを有するとともに、下部側にフィルタ41および42が設けられた円筒形状のろ過具40を試料処理機構部140の保持部材141により保持し、その保持されたろ過具40を移動機構部142を用いて移動させることにより、リンパ節を破砕して得られた組織溶液が収容された試料調製容器10のろ過処理用収容室14にろ過具40を挿入することによって、上部側に開口40eを有するろ過具40により、ろ過処理用収容室14に収容された組織溶液をろ過することができる。この場合、ろ過具40の内部にろ液が抽出されるように構成することによって、ろ過具40の上部側の開口40eを介してろ過具40の内部に分注チップ60を挿入することができるので、その分注チップ60によりろ液を吸引することができる。その結果、リンパ節を破砕して得られた組織溶液をろ過することにより抽出されたろ液を採取することができる。
【0078】
また、本実施形態では、上記のように、ろ液を吸引分注するための分注チップ60が装着される吸引分注機構部150を設けることによって、吸引分注機構部150(分注チップ60)により、抽出されたろ液をろ過具40の開口40eを介して吸引するとともに、吸引したろ液を採取容器300に分注することができる。これにより、容易に、吸引分注機構部150(分注チップ60)により、ろ液を採取することができる。
【0079】
また、本実施形態では、上記のように、吸引分注機構部150を、試料調製容器10の破砕処理用収容室13で調整された組織溶液を吸引するとともに、その吸引した組織溶液を試料調製容器10のろ過処理用収容室14に分注するための分注チップ50を装着することも可能なように構成することによって、破砕処理用収容室13で調製された組織溶液をろ過処理用収容室14に搬送するための機構部を別途設ける必要がないので、部品点数を削減することができるとともに、装置の小型化を図ることができる。
【0080】
また、本実施形態では、上記のように、試料処理機構部140の保持部材141を、リンパ節を破砕するための破砕具30を保持することも可能なように構成することによって、リンパ節を破砕して組織溶液を調製する場合には、保持部材141により破砕具30を保持するとともに、組織溶液をろ過する場合には、保持部材141によりろ過具40を保持すれば、組織溶液の調製およびろ過を1つの装置内で行うことができる。また、組織溶液の調製およびろ過を1つの装置内で行う場合において、破砕具30を保持し、かつ、破砕具30を破砕処理用収容室13に挿入するための機構部を別途設ける必要がないので、これによっても、部品点数を削減することができるとともに、装置の小型化を図ることができる。
【0081】
また、本実施形態では、上記のように、移動機構部142により保持部材141を上下方向に移動させることが可能なように構成することによって、保持部材141が試料調製容器10よりも上方に配置されている場合において、移動機構部142により保持部材141を下方向に移動させれば、容易に、リンパ節を破砕して組織溶液を調整することができるとともに、組織溶液のろ過を行うことができる。
【0082】
また、本実施形態では、上記のように、試料処理機構部140の保持部材141に、ろ過具40および破砕具30が圧入される圧入部141iを設けることによって、圧入部141iにろ過具40および破砕具30を圧入すれば、容易に、保持部材141により、ろ過具40および破砕具30を保持することができる。この場合、使用前のろ過具40および破砕具30が試料調製容器10に収容されていれば、移動機構部142により保持部材141を下方向に移動させることにより、容易に、保持部材141の圧入部141iに、試料調製容器10に収容された使用前のろ過具40および破砕具30を圧入して保持することができる。
【0083】
また、本実施形態では、上記のように、試料処理機構部140の保持部材141に保持されたろ過具40および破砕具30の少なくとも一方を、保持部材141から取り外すための取り外し機構部160を設けることによって、組織溶液の調製工程から組織溶液のろ過工程に移行する場合に、取り外し機構部160により保持部材141から破砕具30を取り外してろ過具40を装着することができるとともに、組織溶液のろ過工程から組織溶液の調製工程に移行する場合に、取り外し機構部160により保持部材141からろ過具40を取り外して破砕具30を装着することができる。
【0084】
また、本実施形態では、上記のように、移動機構部162により取り外し部材161を水平方向に移動させて取り外し位置に配置した状態で、移動機構部142により保持部材141を上方向に移動させることにより、保持部材141からろ過具40および破砕具30の少なくとも一方が取り外されるように構成することによって、ろ過具40および破砕具30を保持するための保持部材141を上下方向にのみ移動可能に構成したとしても、保持部材141の上下方向への移動と、取り外し部材161の水平方向への移動とにより、容易に、保持部材141からろ過具40および破砕具30の少なくとも一方を取り外すことができる。
【0085】
また、本実施形態では、上記のように、試料調製容器10を設置するための設置部131と、その設置部131を水平方向に移動させるための移動機構部132とを設けることによって、保持部材141を上下方向にのみ移動可能に構成したとしても、移動機構部132により試料調製容器10が装着された設置部131を水平方向に移動させれば、組織溶液のろ過を行う場合に、ろ過具40が保持された保持部材141と試料調製容器10のろ過処理用収容室14との水平方向の位置を一致させることができるとともに、組織溶液の調製を行う場合に、破砕具30が保持された保持部材141と試料調製容器10の破砕処理用収容室13との水平方向の位置を一致させることができる。これにより、保持部材141を上下方向にのみ移動可能に構成したとしても、組織溶液のろ過を行う場合には、ろ過具40を試料調製容器10のろ過処理用収容室14に挿入することができるとともに、組織溶液の調製を行う場合には、破砕具30を試料調製容器10の破砕処理用収容室13に挿入することができる。
【0086】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0087】
たとえば、上記実施形態では、組織溶液の調製と、その組織溶液のろ過とを行うことが可能な試料処理装置に本発明を適用する例を説明したが、本発明はこれに限らず、組織溶液のろ過のみを行う試料処理装置にも適用可能である。
【0088】
また、上記実施形態では、破砕具およびろ過具の両方を保持することが可能な保持部材を用いたが、本発明はこれに限らず、破砕具を保持するための保持部材と、ろ過具を保持するための保持部材とを別個に設けてもよい。
【0089】
また、上記実施形態では、1つの吸引分注機構部により、ろ液の採取と、破砕処理用収容室からろ過処理用収容室への組織溶液の搬送とを行うようにしたが、本発明はこれに限らず、ろ液を採取するための吸引分注機構部と、破砕処理用収容室からろ過処理用収容室への組織溶液の搬送を行うための吸引分注機構部とを別個に設けてもよい。
【0090】
また、上記実施形態では、リンパ節と破砕用溶液とが収容された破砕処理用収容室に破砕具を上方から挿入し、その破砕具を上下動させることによりリンパ節を所定の大きさになるまで破砕した後、破砕具の内側破砕部材を回転させることによって、リンパ節を微細化するようにしたが、本発明はこれに限らず、リンパ節と破砕用溶液とが収容された破砕処理用収容室に破砕具を上方から挿入し、その破砕具を上下動させながら、破砕具の内側破砕部材を回転させることによって、リンパ節を微細化するようにしてもよい。
【0091】
また、上記実施形態では、採取容器を1つのみ設置するとともに、ろ過処理用収容室でろ過されたろ液を分注チップにより吸引した後、1つの採取容器内に吐出するようにしたが、本発明はこれに限らず、採取容器を2つ設置するとともに、ろ過処理用収容室に収容された希釈液を分注チップにより一方の採取容器に予め分注しておき、他の採取容器内に吐出されたろ液を分注チップにより吸引した後、そのろ液を一方の採取容器に吐出することによって、希釈サンプルを調製するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の一実施形態による試料処理装置の全体構成を示した斜視図である。
【図2】図1に示した一実施形態による試試料処理装置に装着される料調製キットの斜視図である。
【図3】図1に示した一実施形態による試料処理装置に装着される試料調製キットの分解図である。
【図4】図1に示した一実施形態による試料処理装置に装着される試料調製キットの蓋部を取り外した状態を示した斜視図である。
【図5】図1に示した一実施形態による試料処理装置に装着される試料調製キットの試料調製容器を示した斜視図である。
【図6】図1に示した一実施形態による試料処理装置に装着される試料調製キットの試料調製容器を示した平面図である。
【図7】図1に示した一実施形態による試料処理装置に装着される試料調製キットの試料調製容器の破砕用溶液収容室の凸部を示した拡大正面図である。
【図8】図1に示した一実施形態による試料処理装置に装着される試料調製キットの試料調製容器の破砕用溶液収容室の凸部を示した拡大平面図である。
【図9】図1に示した一実施形態による試料処理装置に装着される試料調製キットの破砕具の分解図である。
【図10】図1に示した一実施形態による試料処理装置に装着される試料調製キットの破砕具の内側破砕部材の正面図である。
【図11】図1に示した一実施形態による試料処理装置に装着される試料調製キットの破砕具の外側破砕部材の平面図である。
【図12】図1に示した一実施形態による試料処理装置に装着される試料調製キットのろ過具の正面図である。
【図13】図1に示した一実施形態による試料処理装置に装着される試料調製キットのろ過具の断面図である。
【図14】図1に示した一実施形態による試料処理装置に装着される試料調製キットのろ過具の平面図である。
【図15】図1に示した一実施形態による試料処理装置の本体部の斜視図である。
【図16】図1に示した一実施形態による試料処理装置の本体部の平面図である。
【図17】図1に示した一実施形態による試料処理装置の設置部に試料調製キットを設置する際の状態を示した斜視図である。
【図18】図1に示した一実施形態による試料処理装置の設置部の平面図である。
【図19】図1に示した一実施形態による試料処理装置の保持部の斜視図である。
【図20】図1に示した一実施形態による試料処理装置の保持部に試料調製キットの破砕具を装着する際の状態を示した斜視図である。
【図21】図1に示した一実施形態による試料処理装置のシリンジ部の正面図である。
【図22】図2に示した一実施形態による試料処理装置のシリンジ部のノズル部に試料調製キットの分注チップを装着する際の状態を示した正面図である。
【図23】図1に示した一実施形態による試料処理装置の取り外し機構部の斜視図である。
【図24】図1に示した一実施形態による試料処理装置の取り外し機構部の取り外し部材の平面図である。
【図25】本発明の一実施形態による試料処理装置のろ液の採取動作を説明するための図である。
【図26】本発明の一実施形態による試料処理装置のろ液の採取動作を説明するための図である。
【図27】本発明の一実施形態による試料処理装置のろ液の採取動作を説明するための図である。
【図28】図2に示した試料調製キットの破砕具がリンパ節を破砕する動作を説明するための断面図である。
【図29】図2に示した試料調製キットの破砕具がリンパ節を破砕する動作を説明するための断面図である。
【図30】図2に示した試料調製キットの破砕具がリンパ節を破砕する動作を説明するための断面図である。
【図31】本発明の一実施形態による試料処理装置のろ液の採取動作を説明するための図である。
【図32】本発明の一実施形態による試料処理装置のろ液の採取動作を説明するための図である。
【図33】本発明の一実施形態による試料処理装置のろ液の採取動作を説明するための図である。
【図34】本発明の一実施形態による試料処理装置のろ液の採取動作を説明するための図である。
【図35】本発明の一実施形態による試料処理装置のろ液の採取動作を説明するための図である。
【図36】本発明の一実施形態による試料処理装置のろ液の採取動作を説明するための図である。
【図37】本発明の一実施形態による試料処理装置のろ液の採取動作を説明するための図である。
【図38】本発明の一実施形態による試料処理装置のろ液の採取動作を説明するための図である。
【図39】本発明の一実施形態による試料処理装置のろ液の採取動作を説明するための図である。
【図40】本発明の一実施形態による試料処理装置のろ液の採取動作を説明するための図である。
【図41】本発明の一実施形態による試料処理装置のろ液の採取動作を説明するための図である。
【図42】本発明の一実施形態による試料処理装置のろ液の採取動作を説明するための図である。
【図43】本発明の一実施形態による試料処理装置のろ液の採取動作を説明するための図である。
【図44】図2に示した試料調製キットのろ過具によりろ液が抽出される状態を示した断面図である。
【図45】本発明の一実施形態による試料処理装置のろ液の採取動作を説明するための図である。
【図46】本発明の一実施形態による試料処理装置のろ液の採取動作を説明するための図である。
【図47】本発明の一実施形態による試料処理装置のろ液の採取動作を説明するための図である。
【図48】本発明の一実施形態による試料処理装置のろ液の採取動作を説明するための図である。
【図49】本発明の一実施形態による試料処理装置のろ液の採取動作を説明するための図である。
【図50】本発明の一実施形態による試料処理装置のろ液の採取動作を説明するための図である。
【符号の説明】
【0093】
10 試料調製容器(収容容器)
13 破砕処理用収容室(破砕室)
14 ろ過処理用収容室(ろ過室)
30 破砕具
40 ろ過具
40e 開口
41、42 フィルタ
131 設置部(収容容器装着部材)
132 移動機構部(第3移動機構部)
141 保持部材(破砕具保持部材、ろ過具保持部材)
141i 圧入部
142 移動機構部(第1移動機構部、破砕具移動機構部、ろ過具移動機構部)
150 吸引分注機構部
160 取り外し機構部
161 取り外し部材
162 移動機構部(第2移動機構部)
300 採取容器
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料処理装置に関し、特に、生体組織などの試料を処理する試料処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生体組織などの試料を処理する試料処理装置として、ろ過具を含むろ過装置や破砕具を含むホモジナイザ(試料の均質化を行う装置)などが知られている(たとえば、特許文献1および2参照)。
【0003】
上記特許文献1には、生体組織を破砕して得られた細胞粒子を含む組織溶液(懸濁液)をろ過することにより、所定の大きさよりも大きい細胞粒子のみを採取することによって、表面に所定の大きさよりも大きい細胞粒子が付着された標本スライドガラスを作製するためのろ過装置が開示されている。この特許文献1のろ過具は、一端が閉口され、他端にフィルタが設けられた筒体によって構成されている。そして、上記特許文献1において、標本スライドガラスを作製する際には、まず、組織溶液が収容された容器内にろ過具を挿入した後、ろ過具の内部を負圧にすることにより組織溶液を吸引する。これにより、ろ過具の内部にろ液を抽出する。この際、所定の大きさよりも小さい細胞粒子は、フィルタを通過してろ過具の内部に移動する一方、所定の大きさよりも大きい細胞粒子は、フィルタを通過せずにフィルタの外表面に残留する。この後、ろ過具のフィルタの外表面とスライドガラスの表面とを接触させることによって、フィルタの外表面に残留した細胞粒子をスライドガラスの表面に付着させる。このようにして、標本スライドガラスが作製される。
【0004】
また、上記特許文献2には、破砕具(ペッスル)により生体組織の均質化を行うことによって、均質化された生体組織を含む組織溶液を作製するためのホモジナイザが開示されている。なお、この特許文献2に開示されたホモジナイザでは、生体組織の均質化のみが行われる。
【0005】
【特許文献1】特開平6−221976号公報
【特許文献2】特開2000−333669号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1のろ過装置では、一端が閉口され、他端にフィルタが設けられた筒体からなるろ過具の内部にろ液が抽出されるので、ろ液の分析などを行う場合に、ろ液を採取するのが困難であるという問題点がある。
【0007】
また、上記特許文献2のホモジナイザでは、組織溶液をろ過するための機構部が設けられていないので、組織溶液をろ過する場合には、ろ過装置を別途準備する必要があるという問題点がある。
【0008】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、生体組織を破砕して得られた組織溶液をろ過するとともにろ過により抽出されたろ液を採取することが可能な試料処理装置を提供することである。
【0009】
この発明のもう1つの目的は、生体組織を破砕して組織溶液を調製し、かつ、その組織溶液をろ過するとともにろ過により抽出されたろ液を採取することが可能な試料処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0010】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面による試料処理装置は、一端に開口を有するとともに、他端にフィルタが設けられた筒体からなるろ過具を少なくとも保持するための保持部材と、保持部材を移動させるための第1移動機構部とを備えている。そして、第1移動機構部により保持部材に保持されたろ過具を移動させることによって、生体組織を破砕して得られた組織溶液をろ過するためのろ過室を含む収容容器のろ過室にろ過具を挿入するとともに、組織溶液をろ過してろ液を抽出し、抽出されたろ液をろ過具の開口を介して吸引する。
【0011】
この第1の局面による試料処理装置では、上記のように、一端に開口を有するとともに、他端にフィルタが設けられた筒体からなるろ過具を保持部材により保持し、その保持部材に保持されたろ過具を第1移動機構部を用いて移動させることにより、生体組織を破砕して得られた組織溶液が収容された収容容器のろ過室にろ過具を挿入することによって、一端に開口を有する筒体からなるろ過具により、収容容器のろ過室に収容された組織溶液をろ過することができる。この場合、ろ過具の内部にろ液が抽出されるように構成すれば、ろ過具の一端の開口を介してろ過具の内部に吸引部材を挿入することができるので、その吸引部材によりろ液を吸引することができる。その結果、生体組織を破砕して得られた組織溶液をろ過することにより抽出されたろ液を採取することができる。
【0012】
上記第1の局面による試料処理装置において、好ましくは、ろ液は、ろ過具を構成する筒体の内部に抽出される。このように構成すれば、容易に、ろ過具の開口を介して、ろ過具の内部に抽出されたろ液を吸引することができる。
【0013】
上記第1の局面による試料処理装置において、好ましくは、少なくともろ液を吸引分注するための吸引分注機構部をさらに備え、吸引分注機構部により、抽出されたろ液をろ過具の開口を介して吸引するとともに、吸引したろ液を採取容器に分注する。このように構成すれば、容易に、吸引分注機構部により、ろ液を採取することができる。
【0014】
この場合、好ましくは、収容容器は、ろ過室に加えて、生体組織を破砕して組織溶液を調製するための破砕室をさらに含み、吸引分注機構部は、収容容器の破砕室で調製された組織溶液を吸引するとともに、吸引した組織溶液を収容容器のろ過室に分注する機能も有する。このように構成すれば、破砕室で調製された組織溶液をろ過室に搬送するための機構部を別途設ける必要がないので、部品点数を削減することができるとともに、装置の小型化を図ることができる。
【0015】
上記収容容器がろ過室に加えて破砕室をさらに含む場合において、好ましくは、保持部材は、ろ過具に加えて、生体組織を破砕するための破砕具を保持する機能も有し、第1移動機構部により保持部材に保持された破砕具を移動させることによって、収容容器の破砕室に破砕具を挿入するとともに、生体組織を破砕して組織溶液を調製する。このように構成すれば、生体組織を破砕して組織溶液を調製する場合には、保持部材により破砕具を保持するとともに、組織溶液をろ過する場合には、保持部材によりろ過具を保持すれば、組織溶液の調製およびろ過を1つの装置内で行うことができる。また、組織溶液の調製およびろ過を1つの装置内で行う場合において、破砕具を保持し、かつ、破砕具を収容容器の破砕室に挿入するための機構部を別途設ける必要がないので、これによっても、部品点数を削減することができるとともに、装置の小型化を図ることができる。
【0016】
上記保持部材がろ過具に加えて破砕具を保持する機能も有する構成において、好ましくは、保持部材は、収容容器よりも上方に配置され、第1移動機構部は、保持部材を上下方向に移動させることが可能なように構成されており、保持部材により破砕具を保持した状態で、第1移動機構部により保持部材を下方向に移動させて収容容器の破砕室に破砕具を挿入することによって、生体組織の破砕が行われ、保持部材によりろ過具を保持した状態で、第1移動機構部により保持部材を下方向に移動させて収容容器のろ過室にろ過具を挿入することによって、組織溶液のろ過が行われる。このように構成すれば、保持部材が収容容器よりも上方に配置されている場合において、第1移動機構部により保持部材を下方向に移動させることによって、容易に、生体組織を破砕して組織溶液を調整することができるとともに、組織溶液のろ過を行うことができる。
【0017】
上記保持部材がろ過具に加えて破砕具を保持する機能も有する構成において、好ましくは、保持部材は、ろ過具および破砕具が圧入される圧入部を含む。このように構成すれば、保持部材の圧入部にろ過具および破砕具を圧入することによって、容易に、保持部材により、ろ過具および破砕具を保持することができる。
【0018】
上記保持部材がろ過具および破砕具が圧入される圧入部を含む構成において、好ましくは、使用前のろ過具および破砕具は、収容容器に収容されており、第1移動機構部により保持部材を下方向に移動させることによって、収容容器に収容されたろ過具および破砕具が保持部材の圧入部に圧入される。このように構成すれば、容易に、保持部材を下方向に移動させることにより、保持部材の圧入部に、収容容器に収容された使用前のろ過具および破砕具を圧入して保持することができる。
【0019】
上記保持部材がろ過具および破砕具が圧入される圧入部を含む構成において、好ましくは、保持部材の圧入部に圧入されたろ過具および破砕具の少なくとも一方を、保持部材から取り外すための取り外し機構部をさらに備える。このように構成すれば、組織溶液の調製工程から組織溶液のろ過工程に移行する場合に、取り外し機構部により保持部材から破砕具を取り外してろ過具を装着することができる。また、組織溶液のろ過工程から組織溶液の調製工程に移行する場合に、取り外し機構部により保持部材からろ過具を取り外して破砕具を装着することができる。
【0020】
上記取り外し機構部をさらに備えた構成において、好ましくは、取り外し機構部は、保持部材からろ過具および破砕具を取り外すための取り外し部材と、取り外し部材を水平方向に移動させることにより、取り外し部材を保持部材の圧入部近傍の取り外し位置に配置するための第2移動機構部とを含み、第2移動機構部により取り外し部材を水平方向に移動させて取り外し位置に配置した状態で、第1移動機構部により保持部材を上方向に移動させることによって、保持部材からろ過具および破砕具の少なくとも一方が取り外される。このように構成すれば、ろ過具および破砕具を保持するための保持部材を上下方向にのみ移動可能に構成したとしても、保持部材の上下方向への移動と、取り外し部材の水平方向への移動とにより、容易に、保持部材からろ過具および破砕具の少なくとも一方を取り外すことができる。
【0021】
上記保持部材がろ過具に加えて破砕具を保持する機能も有する構成において、好ましくは、保持部材よりも下方に配置され、収容容器が装着される収容容器装着部材と、収容容器装着部材を、ろ過具が保持された保持部材と収容容器のろ過室との水平方向の位置が実質的に一致する第1の位置と、破砕具が保持された保持部材と収容容器の破砕室との水平方向の位置が実質的に一致する第2の位置とに少なくとも移動させるための第3移動機構部とをさらに備える。このように構成すれば、保持部材を上下方向にのみ移動可能に構成したとしても、第3移動機構部により収容容器が装着された収容容器装着部材を水平方向に移動させれば、組織溶液のろ過を行う場合に、ろ過具が保持された保持部材と収容容器のろ過室との水平方向の位置を一致させることができるとともに、組織溶液の調製を行う場合に、破砕具が保持された保持部材と収容容器の破砕室との水平方向の位置を一致させることができる。これにより、保持部材を上下方向にのみ移動可能に構成したとしても、組織溶液のろ過を行う場合には、ろ過具を収容容器のろ過室に挿入することができるとともに、組織溶液の調製を行う場合には、破砕具を収容容器の破砕室に挿入することができる。
【0022】
この発明の第2の局面による試料処理装置は、生体組織を破砕する破砕具を保持するための破砕具保持部材と、破砕具保持部材を移動させるための破砕具移動機構部と、生体組織を破砕して得られた組織溶液をろ過するろ過具を保持するためのろ過具保持部材と、ろ過具保持部材を移動させるためのろ過具移動機構部と、少なくとも組織溶液を吸引分注するための吸引分注機構部とを備えている。そして、破砕具移動機構部により破砕具保持部材に保持された破砕具を移動させることによって、収容容器の破砕室に破砕具を挿入するとともに、生体組織を破砕して組織溶液を調製し、吸引分注機構部により、収容容器の破砕室から組織溶液を吸引するとともに、吸引した組織溶液を収容容器のろ過室に分注し、ろ過具移動機構部によりろ過具保持部材に保持されたろ過具を移動させることによって、収容容器のろ過室にろ過具を挿入するとともに、組織溶液をろ過してろ液を抽出する。
【0023】
この第2の局面による試料処理装置では、上記のように、生体組織を破砕する破砕具を保持するための破砕具保持部材と、破砕具保持部材を移動させるための破砕具移動機構部と、生体組織を破砕して得られた組織溶液をろ過するろ過具を保持するためのろ過具保持部材と、ろ過具保持部材を移動させるためのろ過具移動機構部と、少なくとも組織溶液を吸引分注するための吸引分注機構部とを設けることによって、破砕具移動機構部により破砕具保持部材に保持された破砕具を収容容器の破砕室に挿入することができるので、生体組織を破砕して組織溶液を調製することができる。また、吸引分注機構部により、収容容器の破砕室から組織溶液を吸引するとともに、その吸引された組織溶液を収容容器のろ過室に分注することができる。さらに、ろ過具移動機構部によりろ過具保持部材に保持されたろ過具を収容容器のろ過室に挿入することができるので、組織溶液をろ過してろ液を抽出することができる。その結果、生体組織を破砕して組織溶液を調製し、かつ、その組織溶液をろ過することにより抽出されたろ液を採取することができる。
【0024】
上記第2の局面による試料処理装置において、好ましくは、破砕具保持部材とろ過具保持部材とは、共通の1つの保持部材により構成されており、破砕具移動機構部とろ過具移動機構部とは、共通の1つの移動機構部により構成されている。このように構成すれば、破砕具保持部材とろ過具保持部材とを互いに異なる保持部材により構成し、かつ、破砕具移動機構部とろ過具移動機構部とを互いに異なる移動機構部により構成する場合に比べて、部品点数を削減することができるとともに、装置の小型化を図ることができる。
【0025】
上記第2の局面による試料処理装置において、好ましくは、吸引分注機構部は、ろ過具により抽出されたろ液を吸引するとともに、吸引したろ液を採取容器に分注する機能も有する。このように構成すれば、容易に、吸引分注機構部により、生体組織を破砕して得られた組織溶液をろ過することにより抽出されたろ液を採取することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0027】
図1は、本発明の一実施形態による試料処理装置の全体構成を示した斜視図である。図2は、図1に示した一実施形態による試料処理装置に装着される試料調製キットの斜視図であり、図3は、図1に示した一実施形態による試料処理装置に装着される試料調製キットの分解図である。図4〜図14は、図1に示した一実施形態による試料処理装置に装着される試料調製キットの詳細構造を説明するための図である。
【0028】
本実施形態による試料処理装置100は、図1に示すように、生体組織を破砕した後、その破砕された生体組織から得られた組織溶液をろ過することにより、ろ液を採取するための装置である。なお、生体組織としては、リンパ節が用いられる。また、予め切断されたリンパ節は、試料調製キット1の試料調製容器10に収容された後、図1に示した試料処理装置100に設置される。まず、図2〜図14を参照して、本実施形態による試料処理装置100に装着される試料調製キット1の構成について詳細に説明する。
【0029】
本実施形態による試料処理装置100に装着される試料調製キット1は、図2および図3に示すように、試料調製容器10と、試料調製容器10に嵌め込まれる蓋部20と、切断されたリンパ節を破砕するための破砕具30と、リンパ節から取得された組織溶液をろ過するためのろ過具40と、ろ過具40によりろ過されたろ液を吸引および吐出するための2つの分注チップ50および60とを備えている。そして、試料調製キット1の試料調製容器10には、予め、破砕用溶液70と希釈液80とが収容されている。この破砕用溶液70および希釈液80は、リンパ節に含まれる膜タンパクを破壊する非イオン性界面活性剤を含んでいる。また、試料調製容器10の上面部17(図5および図6参照)には、図3および図4に示すように、破砕用溶液70や希釈液80などに外部からのゴミが混入しないように、アルミからなるフィルム90が接着されている。なお、この試料調製キット1は、1回の使用毎に廃棄する使い捨てのキットである。
【0030】
試料調製容器10は、図3〜図6に示すように、ろ過具40を収容するためのろ過具収容室11と、破砕具30を収容するための破砕具収容室12と、破砕用溶液70が収容される破砕処理用収容室13と、希釈液80が収容されるろ過処理用収容室14と、2つの分注チップ50および60を収容するための分注チップ収容室15とを含んでいる。そして、各収容室11〜15は、図6に示すように、補強リブ16および上面部17を介して一体的に形成されている。そして、ろ過具収容室11、破砕具収容室12、破砕処理用収容室13、ろ過処理用収容室14および分注チップ収容室15は、それぞれ、一端に開口部11a、12a、13a、14aおよび15aを有するとともに他端に底面部11b、12b、13b、14bおよび15bを有している。また、図3および図6に示すように、各収容室11〜15の周りを取り囲むように形成される側面部18と、破砕具収容室12、破砕処理用収容室13、ろ過処理用収容室14および分注チップ収容室15とは、それぞれ、上記した補強リブ16により連結されている。また、補強リブ16は、ろ過具収容室11と破砕具収容室12との間、破砕具収容室12と破砕処理用収容室13との間、破砕処理用収容室13とろ過処理用収容室14との間およびろ過処理用収容室14と分注チップ収容室15との間にも設けられている。また、上面部17には、上面部17の周りを囲むように垂直上方に延びる縁部19が設けられており、その縁部19のろ過具収容室11側および分注チップ収容室15側の外側面には、それぞれ、突起部19aおよび19bが設けられている。
【0031】
ろ過具収容室11は、図3に示すように、試料調製キット1のろ過具40を収容するために設けられるとともに、破砕具収容室12は、破砕具30を収容するために設けられている。また、ろ過具収容室11および破砕具収容室12は、図5および図6に示すように、それぞれ、上面部17から所定の深さだけ窪んだ平面的に見て小判形状を有する支持面部11cおよび12cが設けられている。また、ろ過具収容室11には、切欠部11dおよび11eが形成されている。また、破砕具収容室12にも、切欠部12dおよび12eが形成されている。そして、ろ過具収容室11の破砕具収容室12側の切欠部11eと、破砕具収容室12のろ過具収容室11側の切欠部12eとは、連結するように形成されている。
【0032】
また、破砕処理用収容室13は、開口部13aから受け入れた破砕具30によりリンパ節を破砕するために設けられており、予め切断されたリンパ節は、破砕用溶液70とともに、この破砕処理用収容室13に収容される。そして、本実施形態の試料調製キット1では、この破砕処理用収容室13において、リンパ節が破砕用溶液70中で破砕されて、組織溶液が得られる。また、破砕処理用収容室13の底面部13bの内底面には、図7および図8に示すように、後述する破砕具30の平板状の内側破砕部材31の半円形状の凹部31a(図9参照)に対応する半円形状の凸部13cが形成されている。この凸部13cは、平面的に見て、十字状のリブ形状を有している。この凸部13cと内側破砕部材31の凹部31aとで所定の大きさのリンパ節を挟持して破砕するように構成されている。また、凸部13cの表面の曲率半径は、破砕具30の内側破砕部材31の凹部31aの表面と実質的に同じ曲率半径を有するように形成されている。さらに、図8に示すように、破砕具30の内側破砕部材31の平板状の先端部に設けられる凹部31aが十字状のリブ形状の凸部13cに対して回転した場合に、内側破砕部材31の平板状の先端部に設けられる凹部31aと、十字状のリブ形状の凸部13c以外の部分との間に隙間13dが生じるように構成されている。
【0033】
また、ろ過処理用収容室14は、リンパ節を破砕して得られた組織溶液を受け入れるとともに、受け入れた組織溶液をろ過するために設けられている。そして、本実施形態の試料調製キット1では、このろ過処理用収容室14において、破砕処理用収容室13で吸引される組織溶液が分注されることにより、その分注された組織溶液が予め収容されている希釈液80により希釈される。そして、希釈された組織溶液をろ過することによって、ろ液が抽出される。また、ろ過処理用収容室14は、図3および図6に示すように、開口部14a側から底面部14b側に向かって、開口断面積が徐々に減少するように形成されている。
【0034】
分注チップ収容室15には、分注チップ50および60を、それぞれ、収容することが可能なように分注チップ収容部15cおよび15dが形成されている。
【0035】
蓋部20は、図2および図3に示すように、試料調製容器10に嵌め込むことが可能なように構成されている。具体的には、蓋部20には、試料調製容器10の縁部19のろ過具収容室11側に設けられる突起部19aに対応する係止孔20aが設けられるとともに、分注チップ収容室15側に設けられる突起部19bに対応する係止孔20bが設けられている。これにより、蓋部20の係止孔20aおよび20bに、それぞれ、試料調製容器10の突起部19aおよび19bが係合されるので、試料調製容器10に蓋部20を嵌め込むことが可能となる。また、蓋部20は、破砕処理用収容室13の開口部13aに対応するように形成される凹部20cを含んでいる。この破砕処理用収容室13の開口部13aに対応する凹部20cは、蓋部20を試料調製容器10に嵌め込んだ場合に、破砕処理用収容室13の開口部13aを塞ぐ機能を有している。これにより、組織溶液の分取後に試料調製容器10に蓋部20を嵌め込んだ状態では、破砕処理用収容室13の開口部13aから残余した組織溶液が漏れるのを抑制することが可能となる。
【0036】
破砕具30は、図9および図10に示すように、内側破砕部材31と、内側破砕部材31を内部に収容することが可能な筒体からなる外側破砕部材32とにより構成されている。そして、破砕具30は、破砕用溶液70とともに収容されるリンパ節を破砕するために設けられている。また、内側破砕部材31は、試料調製容器10の破砕処理用収容室13の凸部13c(図7および図8参照)に対応するように、平板状の先端部に形成される凹部31aを含んでいる。この平板状の先端部に設けられる凹部31aの表面は、上記したように、破砕処理用収容室13の凸部13cの表面の曲率半径と実質的に同じ曲率半径を有するように形成されている。また、内側破砕部材31の凹部31aが形成される先端部側と反対側には、後述する試料処理装置100の把持部に把持される支持部31bが設けられている。また、図9に示すように、外側破砕部材32の下部側には、複数の刀部32aと、外周面側から外側に突出するように形成されるリブ部32bと、複数の刀部32aの間に設けられる複数のスリット32cとが設けられている。また、外側破砕部材32の上部側には、図9および図11に示すように、破砕具収容室12の小判形状の支持面部12c(図5および図6参照)に対応する小判形状を有する鍔部32dと、内側破砕部材31を内部に収容するための開口部32eと、2つの切欠部32fと、撓み変形可能な複数(本実施形態では、4つ)の係止爪32gとが形成されている。また、2つの切欠部32fは、破砕具収容室12に形成される切欠部12dおよび12e(図5および図6参照)に対応するように形成されている。
【0037】
ろ過具40は、破砕されたリンパ節から得られた組織溶液をろ過するために設けられており、2枚のフィルタ41および42(図13参照)を介してろ過されたろ液を抽出するために用いられる。ろ過具40は、図12〜図14に示すように、円筒形状を有しており、下部側には、2枚のフィルタ41および42を配置するためのフィルタ設置部40aと、シール材設置部40bとが形成されている。なお、本実施形態では、シール材設置部40bには、シール材を配置していないが、シール材を配置することも可能である。また、フィルタ設置部40aには、図14に示すように、平面的にみて十字形状のフィルタ支持部40cが形成されている。そして、フィルタ設置部40aのフィルタ支持部40cが形成される部分以外の隙間43を通過して、組織溶液がろ過具40の内部に抽出される。また、ろ過具40の上部側は、図12および図14に示すように、上記した外側破砕部材32の上部側と同様の構造を有しており、ろ過具収容室11の小判形状の支持面部11c(図5および図6参照)に対応するように形成される小判形状を有する鍔部40dと、開口40eと、2つの切欠部40fと、撓み変形可能な複数(本実施形態では、4つ)の係止爪40gとが形成されている。また、切欠部40fは、ろ過具収容室11に形成される切欠部11dおよび11e(図5および図6参照)に対応するように形成されている。
【0038】
分注チップ収容部15cに収容される分注チップ50は、破砕されたリンパ節から得られた組織溶液を吸引および分注するために設けられている。また、分注チップ収容部15dに収容される分注チップ60は、組織溶液をろ過することにより抽出されるろ液を吸引および分注するために設けられている。この分注チップ50は、図3に示すように、開口部50aと、開口部50aとは反対側の先端部50bとを含んでいる。また、分注チップ60も、同様に、開口部60aと、開口部60aとは反対側の先端部60bとを含んでいる。
【0039】
図15および図16は、それぞれ、図1に示した一実施形態による試料処理装置の本体部の斜視図および平面図である。図17〜図24は、図1に示した一実施形態による試料処理装置の各部の詳細構造を示した図である。次に、図1、図3、図6、図9、図10、図12、図14〜図24を参照して、上記した試料調製キット1が装着される本実施形態による試料処理装置100の構成について詳細に説明する。
【0040】
本実施形態による試料処理装置100は、蓋部20(図3参照)およびフィルム90(図3参照)が取り外されるとともに、予め切断されたリンパ節が収容された試料調製キット1を設置した後、収容されるリンパ節に対して所定の処理を施すことによって、ろ液を採取することが可能なように構成されている。具体的には、本実施形態による試料処理装置100は、図1に示すように、所定の情報を表示するための表示部110と、3つの本体部120とにより構成されている。そして、図15および図16に示すように、本体部120は、搬送機構部130と、試料処理機構部140と、吸引分注機構部150と、取り外し機構部160と、制御部170とにより構成されている。また、試料処理装置100には、イジェクトボタン180が設けられている。そのイジェクトボタン180を押すことにより、搬送機構部130の設置部131が水平方向(X1方向)に移動されてドア部190から外部に搬出される。これにより、試料調製キット1を試料処理装置100に設置することが可能となる。
【0041】
搬送機構部130は、設置部131と、移動機構部132とにより構成されている。この搬送機構部130は、上記した試料調製キット1を設置する機能を有するとともに、その試料調製キット1を水平方向(X1およびX2方向)に移動する機能を有している。
【0042】
設置部131は、試料調製キット1を設置するとともに、ろ過具40によりろ過されたろ液を収容するための採取容器300を設置するために設けられている。設置部131は、図17および図18に示すように、試料調製キット1を設置するためのキット設置部131aと、採取容器300を設置するための採取容器設置部131bと、試料調製キット1に収容される組織溶液や採取容器300に収容されるろ液を所定の温度に制御するための温度制御部131c(図17参照)とにより構成されている。
【0043】
また、キット設置部131aは、試料調製容器10のろ過具収容室11、破砕具収容室12、破砕処理用収容室13、ろ過処理用収容室14および分注チップ収容室15を、それぞれ、収容するための挿入部131d、131e、131f、131gおよび131hが設けられている。また、キット設置部131aには、試料調製容器10の補強リブ16に対応するように形成されるリブ挿入溝131iが設けられている。
【0044】
また、採取容器設置部131bは、採取容器300を設置するための容器挿入孔131j(図18参照)と、採取容器300に取り付けられる蓋301が採取容器300の開口部300aを塞ぐのを抑制するために設けられた蓋保持部131kとを有している。また、温度制御部131cには、2つのファン131lが設けられているとともに、図示しないペルチェ素子が内蔵されており、後述する制御部170(図15および図16参照)から送信される制御信号に基づいて2つのファン131lおよびペルチェ素子が制御される。
【0045】
移動機構部132は、図15および図16に示すように、試料調製キット1が配置された設置部131を水平方向(X1およびX2方向)に移動させるために設けられている。移動機構部132は、モータ132aと、モータ132aに接続されたプーリ132bと、プーリ132bと所定の間隔を隔てて設けられたプーリ132cと、プーリ132bおよびプーリ132cに装着された駆動伝達ベルト132dと、水平方向(X1およびX2方向)に延びるように配置される直動ガイド132eと、直動ガイド132eに沿って移動可能に取り付けられるとともに駆動伝達ベルト132dに連結される移動部材132fとにより構成されている。これにより、モータ132aが駆動することにより、プーリ132bを介して、駆動伝達ベルト132dが駆動されるので、駆動伝達ベルト132dに連結される移動部材132fが水平方向(X1およびX2方向)に移動される。そして、移動部材132fに取り付けられる設置部131を移動部材132fとともに直動ガイド132eに沿って移動させることが可能となる。
【0046】
試料処理機構部140は、試料調製キット1に収容される破砕具30(図9参照)およびろ過具40(図12参照)を用いて、試料調製キット1に収容されるリンパ節を破砕するとともに、破砕して得られた組織溶液をろ過する機能を有している。この試料処理機構部140は、保持部材141と、移動機構部142とにより構成されている。
【0047】
保持部材141は、試料調製キット1の破砕具30およびろ過具40を保持する機能を有している。保持部材141は、図19に示すように、破砕具30およびろ過具40を装着するための装着部141aと、装着部141aの上部側に設けられるモータ141bと、モータ141bおよび装着部141aを設置するための設置部141cと、設置部141cに取り付けられる板金141dと、板金141dに取り付けられる直動ガイド141eと、直動ガイド141eに沿って移動可能に取り付けられる移動部材141fと、移動部材141fに取り付けられるフック部材141gと、スプリング141hとを含んでいる。
【0048】
また、装着部141aは、図20に示すように、破砕具30の外側破砕部材32の開口部32e側およびろ過具40の開口40e(図14参照)側から圧入される圧入部141iと、破砕具30の外側破砕部材32の切欠部32fおよびろ過具40の切欠部40f(図14参照)に係合する突起部141jとを含んでいる。また、圧入部141iには、破砕具30の外側破砕部材32の係止爪32gおよびろ過具40の係止爪40g(図12参照)が係合する溝部141kが設けられている。これにより、装着部141aの圧入部141iが外側破砕部材32の開口部32eおよびろ過具40の開口40eに圧入されるとともに、係止爪32gおよび係止爪40gが圧入部141iの溝部141kに係合するため、装着部141aに破砕具30およびろ過具40を確実に保持させることが可能となる。この際、装着部141aの突起部141jが、外側破砕部材32の切欠部32fおよびろ過具40の切欠部40fに係合するため、外側破砕部材32およびろ過具40が装着部141aに対して回転するのを抑制することが可能となる。また、圧入部141iの内部には、図19に示したモータ141bの駆動に伴って回転する図示しない把持部が設けられており、破砕具30の内側破砕部材31の支持部31b(図9および図10参照)を回転可能に把持する機能を有している。したがって、モータ141bは、破砕具30の内側破砕部材31を回転させる駆動源として機能する。
【0049】
また、図19に示すように、設置部141cに取り付けられる板金141dには、スプリング141hの一方端を取り付けるためのフック部141lが一体的に形成されている。そして、スプリング141hの他方端は、フック部材141gに取り付けられている。これにより、装着部141aの上下方向(Z1およびZ2方向)の移動に追従するように、移動部材141fを上下方向(Z1およびZ2方向)に移動させることが可能となる。また、移動部材141fには、後述する取り外し機構部160の取り外し部材161の解除爪161aに当接する樹脂製の当接部141mが取り付けられている。また、当接部141mは、破砕具30およびろ過具40が装着部141aに装着された場合に、外側破砕部材32の鍔部32d(図9参照)およびろ過具40の鍔部40dと当接するように移動部材141fに取り付けられている。
【0050】
移動機構部142は、図15および図16に示すように、保持部材141を上下方向(Z1およびZ2方向)に移動するために設けられている。移動機構部142は、モータ142aと、モータ142aに接続されたプーリ142bと、プーリ142bと所定の間隔を隔てて設けられたプーリ142cと、プーリ142bおよびプーリ142cに装着された駆動伝達ベルト142dと、プーリ142cの回転に伴って回転するとともに上下方向(Z1およびZ2方向)に延びるように配置されるボールネジ142eと、上下方向(Z1およびZ2方向)に延びるように配置される直動ガイド142fと、ボールネジ142eの回転に伴って移動するとともに直動ガイド142fに沿って移動可能に取り付けられる移動部材142gとにより構成されている。これにより、モータ142aが駆動することにより、プーリ142bを介して、駆動伝達ベルト142dが駆動されるので、駆動伝達ベルト142dが装着されるプーリ142cが回転する。このため、プーリ142cの回転に伴ってボールネジ142eが回転されるので、ボールネジ142eの回転に伴って移動する移動部材142gが、直動ガイド142fが延びる上下方向(Z1およびZ2方向)に沿って移動される。
【0051】
吸引分注機構部150は、試料調製キット1の分注チップ50および60(図3参照)を装着することにより、組織溶液を吸引および分注するとともに、組織溶液から抽出されるろ液を吸引および分注する機能を有している。吸引分注機構部150は、組織溶液およびろ液の吸引および吐出を行うシリンジ部151と、吸引分注機構部150を上下方向(Z1およびZ2方向)に移動させるための移動機構部152とにより構成されている。
【0052】
シリンジ部151は、図21および図22に示すように、分注チップ50および60(図3参照)が取り付けられるノズル部151aと、ノズル部151aに取り付けられる樹脂製のキャップ151bと、吸引および吐出を行うためのポンプ部151cと、ポンプ部151cの駆動源となるモータ151dと、分注チップ50の先端部50bおよび分注チップ60の先端部60bが液面に接触しているか否かを検知するための液面検知センサ151eと、ポンプ部151cによる吸引および吐出時の圧力を検知するための圧力検知センサ151fと、液面検知センサ151eおよび圧力検知センサ151fを制御する制御基板151gとを含んでいる。また、ノズル部151aの先端部151hを、分注チップ50の開口部50aおよび分注チップ60の開口部60a(図3参照)に圧入することによって、分注チップ50および60が装着される。また、樹脂製のキャップ151bは、ノズル部151aに対して上下方向(Z1およびZ2方向)に移動可能に取り付けられている。そして、この樹脂製のキャップ151bには、分注チップ50および60が装着された場合に、当接する縁部151iが形成されている。
【0053】
移動機構部152は、図15および図16に示すように、モータ152aと、モータ152aに接続されたプーリ152bと、プーリ152bと所定の間隔を隔てて設けられたプーリ152cと、プーリ152bおよびプーリ152cに装着された駆動伝達ベルト152dと、プーリ152cの回転に伴って回転するとともにZ方向に延びるように配置されるボールネジ152eと、上下方向(Z1およびZ2方向)に延びるように配置される直動ガイド152fと、ボールネジ152eの回転に伴って移動するとともに直動ガイド152fに沿って移動可能に取り付けられる移動部材152gとにより構成されている。これにより、モータ152aが駆動することにより、プーリ152bを介して、駆動伝達ベルト152dが駆動されるので、駆動伝達ベルト152dが装着されるプーリ152cが回転する。このため、プーリ152cの回転に伴ってボールネジ152eが回転されるので、ボールネジ152eの回転に伴って移動する移動部材152gが、直動ガイド152fが延びる上下方向(Z1およびZ2方向)に沿って移動される。
【0054】
取り外し機構部160は、保持部材141に保持される破砕具30(図9参照)およびろ過具40(図12参照)と、吸引分注機構部150に装着された分注チップ50および60(図3参照)とを取り外す機能を有している。さらに、取り外し機構部160は、使用した破砕具30から滴下される組織溶液が試料調製容器10や試料処理装置100の各部に付着するのを抑制するとともに、使用した分注チップ50および60から滴下される組織溶液およびろ液が試料調製容器10や試料処理装置100の各部に付着するのを抑制する機能も有している。取り外し機構部160は、図15、図16および図23に示すように、保持部材141から破砕具30およびろ過具40を取り外すための取り外し部材161と、取り外し部材161を水平方向(X1およびX2方向)に移動させるための移動機構部162とを有している。
【0055】
取り外し部材161は、図23および図24に示すように、保持部材141の当接部141mの上面に当接する解除爪161aと、吸引分注機構部150のキャップ151bの縁部151iに当接する分注チップ解除孔161bと、組織溶液およびろ液を受ける樹脂製の受け皿部161cとを含んでいる。
【0056】
移動機構部162は、図15、図16および図23に示すように、モータ162aと、モータ162aに接続されたプーリ162bと、プーリ162bと所定の間隔を隔てて設けられたプーリ162cと、プーリ162bおよびプーリ162cに装着された駆動伝達ベルト162dと、水平方向(X1およびX2方向)に延びるように配置される直動ガイド162eと、直動ガイド162eに沿って移動可能に取り付けられる移動部材162fとにより構成されている。これにより、モータ162aが駆動することにより、プーリ162bを介して、駆動伝達ベルト162dが駆動されるので、駆動伝達ベルト162dに連結される移動部材162fが水平方向(X1およびX2方向)に移動される。このため、移動部材162fに取り付けられる取り外し部材161が水平方向(X1およびX2方向)に移動することが可能となる。
【0057】
制御部170は、図15および図16に示すように、試料処理装置100の各部を制御するために設けられている。具体的には、制御部170は、各移動機構部132、142、152および162のモータ132a、142a、152aおよび162aと電気的に接続されており、各モータ132a、142a、152aおよび162aの駆動を制御するための制御信号を送信する機能を有している。これにより、設置部131、保持部材141、シリンジ部151および取り外し部材161の移動が制御される。また、制御部170は、設置部131の温度制御部131cのファン131lおよびペルチェ素子(図示せず)と電気的に接続されており、そのファン131lの回転およびペルチェ素子を制御するための制御信号を送信する機能を有している。これにより、試料調製キット1に収容される組織溶液や採取容器300に収容されるろ液を所定の温度に制御することが可能となる。
【0058】
図25〜図50は、本発明の一実施形態による試料処理装置のろ液の採取動作を説明するための図である。次に、図3、図12、図14〜図16、図19〜図50を参照して、本実施形態による試料処理装置100のろ液の採取動作について説明する。
【0059】
まず、試料調製容器10(図3参照)から蓋部20(図3参照)およびフィルム90(図3参照)を取り外すとともに、予め切断されたリンパ節200を破砕処理用収容室13内に収容した試料調製キット1を準備しておく。そして、試料処理装置100のイジェクトボタン180を押すことにより外部に排出された設置部131に、準備した試料調製キット1を設置する。そして、図25に示すように、移動機構部132のモータ132a(図15および図16参照)を駆動させることにより、保持部材141の装着部141aの水平方向(X方向)の位置と、破砕具30が収容される破砕具収容室12の水平方向の位置とが一致するように、設置部131をX1方向に移動させる。この状態で、移動機構部142のモータ142a(図15および図16参照)を駆動させることにより、保持部材141をZ1方向(下方)に移動させる。この際、図20に示すように、外側破砕部材32の切欠部32fが装着部141aの突起部141jに係合するとともに、係合爪32gが装着部141aの溝部141kに係合して、装着部141aに破砕具30が圧入装着される。その後、保持部材141をZ2方向(上方)に移動することにより、図26に示した状態となる。
【0060】
そして、図27に示すように、破砕具30が装着された装着部141aの水平方向(X方向)の位置と、リンパ節200と破砕用溶液70とが収容される破砕処理用収容室13の水平方向の位置とが一致するように、設置部131をX1方向に移動させる。そして、保持部材141をZ1方向(下方)に移動することにより、破砕処理用収容室13内でリンパ節200を破砕する。具体的には、まず、図28に示すように、破砕具30をZ1方向(下方)およびZ2方向(上方)に繰り返し移動させることより、リンパ節200を所定の大きさになるまで破砕する。その後、図29に示すように、保持部材141のモータ141b(図19参照)を駆動させることにより、所定の大きさのリンパ節200が浮遊した状態の破砕用溶液70内で、内側破砕部材31を回転させる。これにより、図30に示すように、破砕用溶液70内で、リンパ節200がさらに微細化されて均質化された組織溶液が取得される。
【0061】
次に、図31に示すように、破砕具30が装着された装着部141aをZ2方向(上方)に移動することにより、破砕具30を組織溶液から引き上げる。そして、移動機構部162のモータ162a(図15、図16および図23参照)を駆動させることにより、引き上げられた破砕具30の下方の位置まで、取り外し部材161をX2方向に移動させる。この際、組織溶液から引き上げられた破砕具30から組織溶液が滴下された場合でも、取り外し部材161の受け皿部161c(図23および図24参照)が滴下された組織溶液を受け取ることが可能となる。
【0062】
そして、図32に示すように、破砕具30が装着された装着部141aの水平方向(X方向)の位置と、破砕具収容室12の水平方向の位置とが一致するように、設置部131をX2方向に移動させるとともに、取り外し部材161をX1方向に移動させる。その後、図33に示すように、保持部材141をZ1方向(下方)に移動させることにより、破砕具30を破砕具収容室12に挿入する。さらに、取り外し部材141をX2方向に移動させることにより、取り外し部材141を保持部材141近傍の取り外し位置に配置する。具体的には、図33に示すように、保持部材141をZ1方向(下方)に移動させるとともに、その保持部材141の当接部141mの上部に取り外し部材161の解除爪161aが位置するように、取り外し部材161をX2方向に移動させる。この状態で、保持部材141をZ2方向(上方)に移動することにより、破砕具30の鍔部32dが当接部141mの下部を押圧するので、外側破砕部材32の鍔部32dには、当接部141mからZ1方向(下方)(装着部141aから破砕具30を外す方向)の力が加わり、装着部141aから外側破砕部材32(破砕具30)が脱離される。
【0063】
次に、図34に示すように、シリンジ部151のノズル部151aの水平方向(X方向)の位置と、分注チップ50が収容される分注チップ収容室15の分注チップ収容部15cの水平方向の位置とが一致するように、設置部131をX1方向に移動させる。この状態で、移動機構部152のモータ152a(図15および図16参照)を駆動させることにより、シリンジ部151をZ1方向(下方)に移動させる。この際、図22に示すように、分注チップ50の開口部50aがノズル部151aの先端部151hに圧入されて、ノズル部151aに分注チップ50が装着される。その後、シリンジ部151をZ2方向(上方)に移動することにより、図35に示した状態となる。
【0064】
そして、図36に示すように、分注チップ50が装着されたノズル部151aの水平方向(X方向)の位置と、組織溶液が収容される破砕処理用収容室13の水平方向の位置とが一致するように、設置部131をX1方向に移動させる。そして、図37に示すように、シリンジ部151をZ1方向(下方)に移動するとともに、破砕処理用収容室13内の組織溶液を吸引する。具体的には、分注チップ50の先端部50bが組織溶液の液面に接触していることを液面検知センサ151e(図21参照)により検知して、モータ151d(図21参照)の駆動力を利用してポンプ部151c(図21参照)が組織溶液を吸引する。その後、分注チップ50が装着されたノズル部151aをZ2方向(上方)に移動することにより、分注チップ50を組織溶液から引き上げる。そして、引き上げられた分注チップ50の下方の位置まで、取り外し部材161をX2方向に移動させる。その後、分注チップ50が装着されたノズル部151aの水平方向(X方向)の位置と、ろ過処理用収容室14の水平方向の位置とが一致するように、設置部131をX1方向に移動させた後、取り外し部材161をX1方向に移動させる。
【0065】
その後、図38に示すように、シリンジ部151をZ1方向(下方)に移動するとともに、破砕処理用収容室13で吸引した組織溶液を、ろ過処理用収容室14内で吐出して攪拌する。具体的には、分注チップ50の先端部50bが希釈液の液面に接触していることを液面検知センサ151e(図21参照)により検知して、モータ151d(図21参照)の駆動力を利用してポンプ部151c(図21参照)が組織溶液を吐出する。この際、ポンプ部151cを用いて、組織溶液が吐出された希釈液内で、吸引および吐出を繰り返し行うことにより、組織溶液が攪拌される。
【0066】
そして、分注チップ50が装着されたノズル部151aをZ2方向(上方)に移動することにより、分注チップ50を希釈後の組織溶液から引き上げる。そして、引き上げられた分注チップ50の下方の位置まで、取り外し部材161をX2方向に移動させる。そして、分注チップ50が装着されたノズル部151aの水平方向(X方向)の位置と、分注チップ収容室15の分注チップ収容部15cの水平方向の位置とが一致するように、設置部131をX1方向に移動させるとともに、取り外し部材161を、X1方向に移動させる。
【0067】
その後、図39に示すように、シリンジ部151をZ1方向(下方)に移動することにより、分注チップ50を分注チップ収容部15cに収容する。具体的には、シリンジ部151をZ1方向(下方)に移動するとともに、移動したシリンジ部151のキャップ151bの縁部151iの上部に取り外し部材161の分注チップ解除孔161b(図24参照)が位置するように、取り外し部材161をX2方向に移動させる。さらに、この状態で、シリンジ部151をZ2方向(上方)に移動することにより、分注チップ50がキャップ151bの縁部151iの下部を押圧するので、分注チップ50には、キャップ151bからZ1方向(下方)(ノズル部151aから分注チップ50を外す方向)の力が加わり、ノズル部151aから分注チップ50が脱離される。
【0068】
次に、図40に示すように、保持部材141の装着部141aの水平方向(X方向)の位置と、ろ過具40が収容されるろ過具収容室11の水平方向の位置とが一致するように、設置部131をX1方向に移動させた後、保持部材141をZ1方向(下方)に移動させる。この際、ろ過具40の切欠部40f(図14参照)が装着部141aの突起部141jに係合するとともに、係合爪40g(図12および図14)が装着部141aの溝部141k(図20参照)に係合して、装着部141aにろ過具40が圧入装着される。その後、保持部材141をZ2方向(上方)に移動することにより、図41に示した状態となる。
【0069】
そして、図42に示すように、ろ過具40が装着された装着部141aの水平方向(X方向)の位置と、希釈後の組織溶液が収容されるろ過処理用収容室14の水平方向の位置とが一致するように、設置部131をX1方向に移動させる。そして、保持部材141をZ1方向(下方)に移動することにより、ろ過処理用収容室14内で希釈後の組織溶液をろ過する。具体的には、まず、図43に示すように、保持部材141をZ1方向(下方)に移動させることにより、ろ過具40をろ過処理用収容室14内に挿入する。この際、ろ過処理用収容室14の開口断面積は、開口部14a側から底面部14b側に向かって除々に減少するように形成されているので、ろ過具40の側面とろ過処理用収容室14との間の隙間から希釈後の組織溶液が漏れるのを抑制することが可能となる。そして、図44に示すように、ろ過具40とろ過処理用収容室14との間に収容された希釈後の組織溶液は、2枚のフィルタ41および42を通過して、筒体のろ過具40の内部に抽出される。
【0070】
そして、図45に示すように、保持部材141の当接部141m(図19参照)の上部に取り外し部材161の解除爪161aが位置するように、取り外し部材161をX2方向に移動させる。さらに、この状態で、保持部材141をZ2方向(上方)に移動することにより、ろ過具40の鍔部40d(図12参照)が当接部141mの下部を押圧するので、ろ過具40の鍔部40dには、当接部141mからZ1方向(下方)(装着部141aからろ過具40を外す方向)の力が加わり、装着部141aからろ過具40が脱離されて、ろ過具40がろ過処理用収容室14に嵌った状態となる。
【0071】
次に、シリンジ部151のノズル部151aの水平方向(X方向)の位置と、分注チップ60が収容される分注チップ収容室15の分注チップ収容部15dの水平方向の位置とが一致するように、設置部131をX2方向に移動させるとともに、シリンジ部151をZ1方向(下方)に移動させる。この際、分注チップ60の開口部60a(図3参照)がノズル部151aの先端部151h(図22参照)に圧入されて、ノズル部151aに分注チップ60が装着される。その後、シリンジ部151をZ2方向(上方)に移動するとともに、分注チップ60が装着されたノズル部151aの水平方向(X方向)の位置と、ろ液が収容されるろ過処理用収容室14の水平方向の位置とが一致するように、設置部131をX2方向に移動させることにより、図46に示した状態となる。
【0072】
そして、シリンジ部151をZ1方向(下方)に移動した後、図47に示すように、ろ過処理用収容室14内のろ液を吸引する。その後、分注チップ60が装着されたノズル部151aをZ2方向(上方)に移動することにより、分注チップ60をろ液から引き上げる。そして、引き上げられた分注チップ60の下方の位置まで、取り外し部材161をX2方向に移動させる。その後、図48に示すように、分注チップ60が装着されたノズル部151aの水平方向(X方向)の位置と、設置部131の採取容器設置部131bに設置される採取容器300の水平方向の位置とが一致するように、設置部131をX1方向に移動させた後、取り外し部材161を、X1方向に移動させる。
【0073】
その後、図49に示すように、シリンジ部151をZ1方向(下方)に移動するとともに、ろ過処理用収容室14で吸引したろ液を、採取容器300内で吐出する。その結果、採取容器300にリンパ節200から得られたろ液を採取することが可能となる。
【0074】
そして、分注チップ60が装着されたノズル部151aをZ2方向(上方)に移動するとともに、引き上げられた分注チップ60の下方の位置まで、取り外し部材161をX2方向に移動させる。そして、分注チップ60が装着されたノズル部151aの水平方向(X方向)の位置と、分注チップ収容室15の分注チップ収容部15dの水平方向の位置とが一致するように、設置部131をX2方向に移動させるとともに、取り外し部材161を、X1方向に移動させる。
【0075】
そして、図50に示すように、シリンジ部151をZ1方向(下方)に移動することにより、分注チップ50を分注チップ収容部15cに収容する。その後、分注チップ50の離脱と同様の手順で、ノズル部151aから分注チップ60が脱離される。
【0076】
上記のようにして、試料処理装置100のろ液の採取動作が行われる。
【0077】
本実施形態では、上記のように、上部側に開口40eを有するとともに、下部側にフィルタ41および42が設けられた円筒形状のろ過具40を試料処理機構部140の保持部材141により保持し、その保持されたろ過具40を移動機構部142を用いて移動させることにより、リンパ節を破砕して得られた組織溶液が収容された試料調製容器10のろ過処理用収容室14にろ過具40を挿入することによって、上部側に開口40eを有するろ過具40により、ろ過処理用収容室14に収容された組織溶液をろ過することができる。この場合、ろ過具40の内部にろ液が抽出されるように構成することによって、ろ過具40の上部側の開口40eを介してろ過具40の内部に分注チップ60を挿入することができるので、その分注チップ60によりろ液を吸引することができる。その結果、リンパ節を破砕して得られた組織溶液をろ過することにより抽出されたろ液を採取することができる。
【0078】
また、本実施形態では、上記のように、ろ液を吸引分注するための分注チップ60が装着される吸引分注機構部150を設けることによって、吸引分注機構部150(分注チップ60)により、抽出されたろ液をろ過具40の開口40eを介して吸引するとともに、吸引したろ液を採取容器300に分注することができる。これにより、容易に、吸引分注機構部150(分注チップ60)により、ろ液を採取することができる。
【0079】
また、本実施形態では、上記のように、吸引分注機構部150を、試料調製容器10の破砕処理用収容室13で調整された組織溶液を吸引するとともに、その吸引した組織溶液を試料調製容器10のろ過処理用収容室14に分注するための分注チップ50を装着することも可能なように構成することによって、破砕処理用収容室13で調製された組織溶液をろ過処理用収容室14に搬送するための機構部を別途設ける必要がないので、部品点数を削減することができるとともに、装置の小型化を図ることができる。
【0080】
また、本実施形態では、上記のように、試料処理機構部140の保持部材141を、リンパ節を破砕するための破砕具30を保持することも可能なように構成することによって、リンパ節を破砕して組織溶液を調製する場合には、保持部材141により破砕具30を保持するとともに、組織溶液をろ過する場合には、保持部材141によりろ過具40を保持すれば、組織溶液の調製およびろ過を1つの装置内で行うことができる。また、組織溶液の調製およびろ過を1つの装置内で行う場合において、破砕具30を保持し、かつ、破砕具30を破砕処理用収容室13に挿入するための機構部を別途設ける必要がないので、これによっても、部品点数を削減することができるとともに、装置の小型化を図ることができる。
【0081】
また、本実施形態では、上記のように、移動機構部142により保持部材141を上下方向に移動させることが可能なように構成することによって、保持部材141が試料調製容器10よりも上方に配置されている場合において、移動機構部142により保持部材141を下方向に移動させれば、容易に、リンパ節を破砕して組織溶液を調整することができるとともに、組織溶液のろ過を行うことができる。
【0082】
また、本実施形態では、上記のように、試料処理機構部140の保持部材141に、ろ過具40および破砕具30が圧入される圧入部141iを設けることによって、圧入部141iにろ過具40および破砕具30を圧入すれば、容易に、保持部材141により、ろ過具40および破砕具30を保持することができる。この場合、使用前のろ過具40および破砕具30が試料調製容器10に収容されていれば、移動機構部142により保持部材141を下方向に移動させることにより、容易に、保持部材141の圧入部141iに、試料調製容器10に収容された使用前のろ過具40および破砕具30を圧入して保持することができる。
【0083】
また、本実施形態では、上記のように、試料処理機構部140の保持部材141に保持されたろ過具40および破砕具30の少なくとも一方を、保持部材141から取り外すための取り外し機構部160を設けることによって、組織溶液の調製工程から組織溶液のろ過工程に移行する場合に、取り外し機構部160により保持部材141から破砕具30を取り外してろ過具40を装着することができるとともに、組織溶液のろ過工程から組織溶液の調製工程に移行する場合に、取り外し機構部160により保持部材141からろ過具40を取り外して破砕具30を装着することができる。
【0084】
また、本実施形態では、上記のように、移動機構部162により取り外し部材161を水平方向に移動させて取り外し位置に配置した状態で、移動機構部142により保持部材141を上方向に移動させることにより、保持部材141からろ過具40および破砕具30の少なくとも一方が取り外されるように構成することによって、ろ過具40および破砕具30を保持するための保持部材141を上下方向にのみ移動可能に構成したとしても、保持部材141の上下方向への移動と、取り外し部材161の水平方向への移動とにより、容易に、保持部材141からろ過具40および破砕具30の少なくとも一方を取り外すことができる。
【0085】
また、本実施形態では、上記のように、試料調製容器10を設置するための設置部131と、その設置部131を水平方向に移動させるための移動機構部132とを設けることによって、保持部材141を上下方向にのみ移動可能に構成したとしても、移動機構部132により試料調製容器10が装着された設置部131を水平方向に移動させれば、組織溶液のろ過を行う場合に、ろ過具40が保持された保持部材141と試料調製容器10のろ過処理用収容室14との水平方向の位置を一致させることができるとともに、組織溶液の調製を行う場合に、破砕具30が保持された保持部材141と試料調製容器10の破砕処理用収容室13との水平方向の位置を一致させることができる。これにより、保持部材141を上下方向にのみ移動可能に構成したとしても、組織溶液のろ過を行う場合には、ろ過具40を試料調製容器10のろ過処理用収容室14に挿入することができるとともに、組織溶液の調製を行う場合には、破砕具30を試料調製容器10の破砕処理用収容室13に挿入することができる。
【0086】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0087】
たとえば、上記実施形態では、組織溶液の調製と、その組織溶液のろ過とを行うことが可能な試料処理装置に本発明を適用する例を説明したが、本発明はこれに限らず、組織溶液のろ過のみを行う試料処理装置にも適用可能である。
【0088】
また、上記実施形態では、破砕具およびろ過具の両方を保持することが可能な保持部材を用いたが、本発明はこれに限らず、破砕具を保持するための保持部材と、ろ過具を保持するための保持部材とを別個に設けてもよい。
【0089】
また、上記実施形態では、1つの吸引分注機構部により、ろ液の採取と、破砕処理用収容室からろ過処理用収容室への組織溶液の搬送とを行うようにしたが、本発明はこれに限らず、ろ液を採取するための吸引分注機構部と、破砕処理用収容室からろ過処理用収容室への組織溶液の搬送を行うための吸引分注機構部とを別個に設けてもよい。
【0090】
また、上記実施形態では、リンパ節と破砕用溶液とが収容された破砕処理用収容室に破砕具を上方から挿入し、その破砕具を上下動させることによりリンパ節を所定の大きさになるまで破砕した後、破砕具の内側破砕部材を回転させることによって、リンパ節を微細化するようにしたが、本発明はこれに限らず、リンパ節と破砕用溶液とが収容された破砕処理用収容室に破砕具を上方から挿入し、その破砕具を上下動させながら、破砕具の内側破砕部材を回転させることによって、リンパ節を微細化するようにしてもよい。
【0091】
また、上記実施形態では、採取容器を1つのみ設置するとともに、ろ過処理用収容室でろ過されたろ液を分注チップにより吸引した後、1つの採取容器内に吐出するようにしたが、本発明はこれに限らず、採取容器を2つ設置するとともに、ろ過処理用収容室に収容された希釈液を分注チップにより一方の採取容器に予め分注しておき、他の採取容器内に吐出されたろ液を分注チップにより吸引した後、そのろ液を一方の採取容器に吐出することによって、希釈サンプルを調製するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の一実施形態による試料処理装置の全体構成を示した斜視図である。
【図2】図1に示した一実施形態による試試料処理装置に装着される料調製キットの斜視図である。
【図3】図1に示した一実施形態による試料処理装置に装着される試料調製キットの分解図である。
【図4】図1に示した一実施形態による試料処理装置に装着される試料調製キットの蓋部を取り外した状態を示した斜視図である。
【図5】図1に示した一実施形態による試料処理装置に装着される試料調製キットの試料調製容器を示した斜視図である。
【図6】図1に示した一実施形態による試料処理装置に装着される試料調製キットの試料調製容器を示した平面図である。
【図7】図1に示した一実施形態による試料処理装置に装着される試料調製キットの試料調製容器の破砕用溶液収容室の凸部を示した拡大正面図である。
【図8】図1に示した一実施形態による試料処理装置に装着される試料調製キットの試料調製容器の破砕用溶液収容室の凸部を示した拡大平面図である。
【図9】図1に示した一実施形態による試料処理装置に装着される試料調製キットの破砕具の分解図である。
【図10】図1に示した一実施形態による試料処理装置に装着される試料調製キットの破砕具の内側破砕部材の正面図である。
【図11】図1に示した一実施形態による試料処理装置に装着される試料調製キットの破砕具の外側破砕部材の平面図である。
【図12】図1に示した一実施形態による試料処理装置に装着される試料調製キットのろ過具の正面図である。
【図13】図1に示した一実施形態による試料処理装置に装着される試料調製キットのろ過具の断面図である。
【図14】図1に示した一実施形態による試料処理装置に装着される試料調製キットのろ過具の平面図である。
【図15】図1に示した一実施形態による試料処理装置の本体部の斜視図である。
【図16】図1に示した一実施形態による試料処理装置の本体部の平面図である。
【図17】図1に示した一実施形態による試料処理装置の設置部に試料調製キットを設置する際の状態を示した斜視図である。
【図18】図1に示した一実施形態による試料処理装置の設置部の平面図である。
【図19】図1に示した一実施形態による試料処理装置の保持部の斜視図である。
【図20】図1に示した一実施形態による試料処理装置の保持部に試料調製キットの破砕具を装着する際の状態を示した斜視図である。
【図21】図1に示した一実施形態による試料処理装置のシリンジ部の正面図である。
【図22】図2に示した一実施形態による試料処理装置のシリンジ部のノズル部に試料調製キットの分注チップを装着する際の状態を示した正面図である。
【図23】図1に示した一実施形態による試料処理装置の取り外し機構部の斜視図である。
【図24】図1に示した一実施形態による試料処理装置の取り外し機構部の取り外し部材の平面図である。
【図25】本発明の一実施形態による試料処理装置のろ液の採取動作を説明するための図である。
【図26】本発明の一実施形態による試料処理装置のろ液の採取動作を説明するための図である。
【図27】本発明の一実施形態による試料処理装置のろ液の採取動作を説明するための図である。
【図28】図2に示した試料調製キットの破砕具がリンパ節を破砕する動作を説明するための断面図である。
【図29】図2に示した試料調製キットの破砕具がリンパ節を破砕する動作を説明するための断面図である。
【図30】図2に示した試料調製キットの破砕具がリンパ節を破砕する動作を説明するための断面図である。
【図31】本発明の一実施形態による試料処理装置のろ液の採取動作を説明するための図である。
【図32】本発明の一実施形態による試料処理装置のろ液の採取動作を説明するための図である。
【図33】本発明の一実施形態による試料処理装置のろ液の採取動作を説明するための図である。
【図34】本発明の一実施形態による試料処理装置のろ液の採取動作を説明するための図である。
【図35】本発明の一実施形態による試料処理装置のろ液の採取動作を説明するための図である。
【図36】本発明の一実施形態による試料処理装置のろ液の採取動作を説明するための図である。
【図37】本発明の一実施形態による試料処理装置のろ液の採取動作を説明するための図である。
【図38】本発明の一実施形態による試料処理装置のろ液の採取動作を説明するための図である。
【図39】本発明の一実施形態による試料処理装置のろ液の採取動作を説明するための図である。
【図40】本発明の一実施形態による試料処理装置のろ液の採取動作を説明するための図である。
【図41】本発明の一実施形態による試料処理装置のろ液の採取動作を説明するための図である。
【図42】本発明の一実施形態による試料処理装置のろ液の採取動作を説明するための図である。
【図43】本発明の一実施形態による試料処理装置のろ液の採取動作を説明するための図である。
【図44】図2に示した試料調製キットのろ過具によりろ液が抽出される状態を示した断面図である。
【図45】本発明の一実施形態による試料処理装置のろ液の採取動作を説明するための図である。
【図46】本発明の一実施形態による試料処理装置のろ液の採取動作を説明するための図である。
【図47】本発明の一実施形態による試料処理装置のろ液の採取動作を説明するための図である。
【図48】本発明の一実施形態による試料処理装置のろ液の採取動作を説明するための図である。
【図49】本発明の一実施形態による試料処理装置のろ液の採取動作を説明するための図である。
【図50】本発明の一実施形態による試料処理装置のろ液の採取動作を説明するための図である。
【符号の説明】
【0093】
10 試料調製容器(収容容器)
13 破砕処理用収容室(破砕室)
14 ろ過処理用収容室(ろ過室)
30 破砕具
40 ろ過具
40e 開口
41、42 フィルタ
131 設置部(収容容器装着部材)
132 移動機構部(第3移動機構部)
141 保持部材(破砕具保持部材、ろ過具保持部材)
141i 圧入部
142 移動機構部(第1移動機構部、破砕具移動機構部、ろ過具移動機構部)
150 吸引分注機構部
160 取り外し機構部
161 取り外し部材
162 移動機構部(第2移動機構部)
300 採取容器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端に開口を有するとともに、他端にフィルタが設けられた筒体からなるろ過具を少なくとも保持するための保持部材と、
前記保持部材を移動させるための第1移動機構部とを備え、
前記第1移動機構部により前記保持部材に保持された前記ろ過具を移動させることによって、生体組織を破砕して得られた組織溶液をろ過するためのろ過室を含む収容容器の前記ろ過室に前記ろ過具を挿入するとともに、前記組織溶液をろ過してろ液を抽出し、抽出された前記ろ液を前記ろ過具の開口を介して吸引する、試料処理装置。
【請求項2】
前記ろ液は、前記ろ過具を構成する筒体の内部に抽出される、請求項1に記載の試料処理装置。
【請求項3】
少なくとも前記ろ液を吸引分注するための吸引分注機構部をさらに備え、
前記吸引分注機構部により、抽出された前記ろ液を前記ろ過具の開口を介して吸引するとともに、吸引した前記ろ液を採取容器に分注する、請求項1または2に記載の試料処理装置。
【請求項4】
前記収容容器は、前記ろ過室に加えて、前記生体組織を破砕して前記組織溶液を調製するための破砕室をさらに含み、
前記吸引分注機構部は、前記収容容器の破砕室で調製された前記組織溶液を吸引するとともに、吸引した前記組織溶液を前記収容容器のろ過室に分注する機能も有する、請求項3に記載の試料処理装置。
【請求項5】
前記保持部材は、前記ろ過具に加えて、前記生体組織を破砕するための破砕具を保持する機能も有し、
前記第1移動機構部により前記保持部材に保持された前記破砕具を移動させることによって、前記収容容器の破砕室に前記破砕具を挿入するとともに、前記生体組織を破砕して前記組織溶液を調製する、請求項4に記載の試料処理装置。
【請求項6】
前記保持部材は、前記収容容器よりも上方に配置され、
前記第1移動機構部は、前記保持部材を上下方向に移動させることが可能なように構成されており、
前記保持部材により前記破砕具を保持した状態で、前記第1移動機構部により前記保持部材を下方向に移動させて前記収容容器の破砕室に前記破砕具を挿入することによって、前記生体組織の破砕が行われ、
前記保持部材により前記ろ過具を保持した状態で、前記第1移動機構部により前記保持部材を下方向に移動させて前記収容容器のろ過室に前記ろ過具を挿入することによって、前記組織溶液のろ過が行われる、請求項5に記載の試料処理装置。
【請求項7】
前記保持部材は、前記ろ過具および前記破砕具が圧入される圧入部を含む、請求項6に記載の試料処理装置。
【請求項8】
使用前の前記ろ過具および前記破砕具は、前記収容容器に収容されており、
前記第1移動機構部により前記保持部材を下方向に移動させることによって、前記収容容器に収容された前記ろ過具および前記破砕具が前記保持部材の圧入部に圧入される、請求項7に記載の試料処理装置。
【請求項9】
前記保持部材の圧入部に圧入された前記ろ過具および前記破砕具の少なくとも一方を、前記保持部材から取り外すための取り外し機構部をさらに備える、請求項7または8に記載の試料処理装置。
【請求項10】
前記取り外し機構部は、前記保持部材から前記ろ過具および前記破砕具を取り外すための取り外し部材と、前記取り外し部材を水平方向に移動させることにより、前記取り外し部材を前記保持部材の圧入部近傍の取り外し位置に配置するための第2移動機構部とを含み、
前記第2移動機構部により前記取り外し部材を水平方向に移動させて前記取り外し位置に配置した状態で、前記第1移動機構部により前記保持部材を上方向に移動させることによって、前記保持部材から前記ろ過具および前記破砕具の少なくとも一方が取り外される、請求項9に記載の試料処理装置。
【請求項11】
前記保持部材よりも下方に配置され、前記収容容器が装着される収容容器装着部材と、
前記収容容器装着部材を、前記ろ過具が保持された前記保持部材と前記収容容器のろ過室との水平方向の位置が実質的に一致する第1の位置と、前記破砕具が保持された前記保持部材と前記収容容器の破砕室との水平方向の位置が実質的に一致する第2の位置とに少なくとも移動させるための第3移動機構部とをさらに備える、請求項5〜10のいずれか1項に記載の試料処理装置。
【請求項12】
生体組織を破砕する破砕具を保持するための破砕具保持部材と、
前記破砕具保持部材を移動させるための破砕具移動機構部と、
前記生体組織を破砕して得られた組織溶液をろ過するろ過具を保持するためのろ過具保持部材と、
前記ろ過具保持部材を移動させるためのろ過具移動機構部と、
少なくとも前記組織溶液を吸引分注するための吸引分注機構部とを備え、
前記破砕具移動機構部により前記破砕具保持部材に保持された前記破砕具を移動させることによって、収容容器の破砕室に前記破砕具を挿入するとともに、前記生体組織を破砕して前記組織溶液を調製し、
前記吸引分注機構部により、前記収容容器の破砕室から前記組織溶液を吸引するとともに、吸引した前記組織溶液を前記収容容器のろ過室に分注し、
前記ろ過具移動機構部により前記ろ過具保持部材に保持された前記ろ過具を移動させることによって、前記収容容器のろ過室に前記ろ過具を挿入するとともに、前記組織溶液をろ過してろ液を抽出する、試料処理装置。
【請求項13】
前記破砕具保持部材と前記ろ過具保持部材とは、共通の1つの保持部材により構成されており、
前記破砕具移動機構部と前記ろ過具移動機構部とは、共通の1つの移動機構部により構成されている、請求項12に記載の試料処理装置。
【請求項14】
前記吸引分注機構部は、前記ろ過具により抽出された前記ろ液を吸引するとともに、吸引した前記ろ液を採取容器に分注する機能も有する、請求項12または13に記載の試料処理装置。
【請求項1】
一端に開口を有するとともに、他端にフィルタが設けられた筒体からなるろ過具を少なくとも保持するための保持部材と、
前記保持部材を移動させるための第1移動機構部とを備え、
前記第1移動機構部により前記保持部材に保持された前記ろ過具を移動させることによって、生体組織を破砕して得られた組織溶液をろ過するためのろ過室を含む収容容器の前記ろ過室に前記ろ過具を挿入するとともに、前記組織溶液をろ過してろ液を抽出し、抽出された前記ろ液を前記ろ過具の開口を介して吸引する、試料処理装置。
【請求項2】
前記ろ液は、前記ろ過具を構成する筒体の内部に抽出される、請求項1に記載の試料処理装置。
【請求項3】
少なくとも前記ろ液を吸引分注するための吸引分注機構部をさらに備え、
前記吸引分注機構部により、抽出された前記ろ液を前記ろ過具の開口を介して吸引するとともに、吸引した前記ろ液を採取容器に分注する、請求項1または2に記載の試料処理装置。
【請求項4】
前記収容容器は、前記ろ過室に加えて、前記生体組織を破砕して前記組織溶液を調製するための破砕室をさらに含み、
前記吸引分注機構部は、前記収容容器の破砕室で調製された前記組織溶液を吸引するとともに、吸引した前記組織溶液を前記収容容器のろ過室に分注する機能も有する、請求項3に記載の試料処理装置。
【請求項5】
前記保持部材は、前記ろ過具に加えて、前記生体組織を破砕するための破砕具を保持する機能も有し、
前記第1移動機構部により前記保持部材に保持された前記破砕具を移動させることによって、前記収容容器の破砕室に前記破砕具を挿入するとともに、前記生体組織を破砕して前記組織溶液を調製する、請求項4に記載の試料処理装置。
【請求項6】
前記保持部材は、前記収容容器よりも上方に配置され、
前記第1移動機構部は、前記保持部材を上下方向に移動させることが可能なように構成されており、
前記保持部材により前記破砕具を保持した状態で、前記第1移動機構部により前記保持部材を下方向に移動させて前記収容容器の破砕室に前記破砕具を挿入することによって、前記生体組織の破砕が行われ、
前記保持部材により前記ろ過具を保持した状態で、前記第1移動機構部により前記保持部材を下方向に移動させて前記収容容器のろ過室に前記ろ過具を挿入することによって、前記組織溶液のろ過が行われる、請求項5に記載の試料処理装置。
【請求項7】
前記保持部材は、前記ろ過具および前記破砕具が圧入される圧入部を含む、請求項6に記載の試料処理装置。
【請求項8】
使用前の前記ろ過具および前記破砕具は、前記収容容器に収容されており、
前記第1移動機構部により前記保持部材を下方向に移動させることによって、前記収容容器に収容された前記ろ過具および前記破砕具が前記保持部材の圧入部に圧入される、請求項7に記載の試料処理装置。
【請求項9】
前記保持部材の圧入部に圧入された前記ろ過具および前記破砕具の少なくとも一方を、前記保持部材から取り外すための取り外し機構部をさらに備える、請求項7または8に記載の試料処理装置。
【請求項10】
前記取り外し機構部は、前記保持部材から前記ろ過具および前記破砕具を取り外すための取り外し部材と、前記取り外し部材を水平方向に移動させることにより、前記取り外し部材を前記保持部材の圧入部近傍の取り外し位置に配置するための第2移動機構部とを含み、
前記第2移動機構部により前記取り外し部材を水平方向に移動させて前記取り外し位置に配置した状態で、前記第1移動機構部により前記保持部材を上方向に移動させることによって、前記保持部材から前記ろ過具および前記破砕具の少なくとも一方が取り外される、請求項9に記載の試料処理装置。
【請求項11】
前記保持部材よりも下方に配置され、前記収容容器が装着される収容容器装着部材と、
前記収容容器装着部材を、前記ろ過具が保持された前記保持部材と前記収容容器のろ過室との水平方向の位置が実質的に一致する第1の位置と、前記破砕具が保持された前記保持部材と前記収容容器の破砕室との水平方向の位置が実質的に一致する第2の位置とに少なくとも移動させるための第3移動機構部とをさらに備える、請求項5〜10のいずれか1項に記載の試料処理装置。
【請求項12】
生体組織を破砕する破砕具を保持するための破砕具保持部材と、
前記破砕具保持部材を移動させるための破砕具移動機構部と、
前記生体組織を破砕して得られた組織溶液をろ過するろ過具を保持するためのろ過具保持部材と、
前記ろ過具保持部材を移動させるためのろ過具移動機構部と、
少なくとも前記組織溶液を吸引分注するための吸引分注機構部とを備え、
前記破砕具移動機構部により前記破砕具保持部材に保持された前記破砕具を移動させることによって、収容容器の破砕室に前記破砕具を挿入するとともに、前記生体組織を破砕して前記組織溶液を調製し、
前記吸引分注機構部により、前記収容容器の破砕室から前記組織溶液を吸引するとともに、吸引した前記組織溶液を前記収容容器のろ過室に分注し、
前記ろ過具移動機構部により前記ろ過具保持部材に保持された前記ろ過具を移動させることによって、前記収容容器のろ過室に前記ろ過具を挿入するとともに、前記組織溶液をろ過してろ液を抽出する、試料処理装置。
【請求項13】
前記破砕具保持部材と前記ろ過具保持部材とは、共通の1つの保持部材により構成されており、
前記破砕具移動機構部と前記ろ過具移動機構部とは、共通の1つの移動機構部により構成されている、請求項12に記載の試料処理装置。
【請求項14】
前記吸引分注機構部は、前記ろ過具により抽出された前記ろ液を吸引するとともに、吸引した前記ろ液を採取容器に分注する機能も有する、請求項12または13に記載の試料処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【公開番号】特開2007−93387(P2007−93387A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−283183(P2005−283183)
【出願日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】
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