説明

試料分析装置、試料分析方法及びコンピュータプログラム

【課題】バーコードのような識別情報を読み取ることができなかった場合であっても、全体の処理時間を大きく増加させること無く確実に再度読み取りを実行することができる試料分析装置、試料分析方法及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】複数の読み取り条件に関する情報を事前に記憶しておく。検体容器、試薬容器、及び検体容器又は試薬容器を収容する収容部のうち少なくとも1つを識別するために付与される識別情報を、一の読み取り条件にて読み取る。識別情報を正常に読み取ったか否かを判断し、正常に読み取ることができないと判断された場合には、一の読み取り条件を、記憶されている他の読み取り条件に変更設定し、正常に読み取ることができないと判断された識別情報を、変更された他の読み取り条件にて再度読み取り、識別情報を正常に読み取ったか否かを再度判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体と試薬とを混和して調製された測定試料を分析することができる試料分析装置、試料分析方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
検体と試薬とを混和して調製された測定試料を分析することができる試料分析装置では、検体及び試薬は、専用の試験管、容器等に収容されている。試験管、容器等には、収容されている検体、試薬等を識別するための識別情報が含まれたバーコードラベルが貼付されている。
【0003】
しかし、検体、試薬等の種類は膨大であり、提供するメーカによって試験管、容器等の種類が混在することも多い。したがって、バーコードラベル貼付の有無、貼付位置の相違等によって、識別情報を読み取ることができない場合が生じていた。
【0004】
このようなバーコードラベルの読み取りの失敗に対応するために、例えば特許文献1では、読み取りに失敗した場合には、バーコードラベル自体の存否を判断し、バーコードラベルが貼付された試験管については、バーコードラベルの読み取り位置を微調整して再度読み取りを行う自動分析装置が開示されている。読み取りに失敗した場合に、読み取る位置を変更することにより、読み取りに失敗した試験管であっても再読み取り時に正常に読み取ることができる可能性がある。
【特許文献1】特開平6−130069号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に開示されている自動分析装置では、バーコードラベルの読み取り位置を微調整しているものの、反射光レベルの大きさによってバーであるか否かを判断するための閾値や、バーコードリーダのスキャン幅などの読み取り条件は、1回目の読み取りと2回目の読み取りとで同一であった。従って、特許文献1に開示されている自動分析装置では、バーコードが部分的に薄れているような特殊な場合を除いて、再読み取りに成功する可能性は低いという問題点があった。
【0006】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、バーコードのような識別情報を1回で読み取ることができなかった場合であっても、再読み取りに成功する可能性が高い試料分析装置、試料分析方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために第1発明に係る試料分析装置は、検体と試薬とを混和して調製された測定試料を分析する試料分析装置において、複数の読み取り条件に関する情報を記憶する条件記憶手段と、検体容器、試薬容器、及び前記検体容器又は試薬容器を収容する収容部のうち少なくとも1つを識別するために付与される識別情報を、所定位置から一の読み取り条件にて読み取る識別情報読み取り手段と、該識別情報読み取り手段が、前記識別情報を正常に読み取ったか否かを判断する判断手段と、該判断手段で正常に読み取ることができないと判断された場合、前記一の読み取り条件を、記憶されている他の読み取り条件に変更設定する読み取り条件変更手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
また、第2発明に係る試料分析装置は、第1発明において、前記識別情報読み取り手段は、前記判断手段で正常に読み取ることができないと判断された識別情報を、前記所定位置から、変更された前記他の読み取り条件にて再度読み取り、前記判断手段は、前記識別情報を正常に読み取ったか否かを再度判断することを特徴とする。
【0009】
また、第3発明に係る試料分析装置は、第1又は第2発明において、前記判断手段で正常に読み取ることができないと判断された識別情報の位置を特定する位置特定手段を備え、前記再読み取り手段は、前記位置特定手段で特定された位置に存在する識別情報を、変更された前記他の読み取り条件にて再度読み取ることを特徴とする。
【0010】
また、第4発明に係る試料分析装置は、第1乃至第3発明のいずれか1つにおいて、前記識別情報はバーコード情報に含まれており、前記識別情報読み取り手段はバーコードリーダであることを特徴とする。
【0011】
また、第5発明に係る試料分析装置は、第4発明において、前記他の読み取り条件は、前記バーコードリーダにより前記バーコード情報が読み取られるスキャン幅が、前記一の読み取り条件とは相違することを特徴とする。
【0012】
また、第6発明に係る試料分析装置は、第1乃至第5発明のいずれか1つにおいて、前記判断手段は、前記識別情報読み取り手段で読み取った識別情報の信号値が所定の閾値より大きいか否かで判断し、前記他の読み取り条件は、前記所定の閾値が前記一の読み取り条件とは相違することを特徴とする。
【0013】
また、第7発明に係る試料分析装置は、第1乃至第6発明のいずれか1つにおいて、前記判断手段は、前記識別情報読み取り手段で読み取った識別情報に基づいて生成される信号の所定のタイミングでの値が所定の閾値より大きいか否かで判断し、前記他の読み取り条件は、前記所定のタイミング、該タイミングの数及び読み取り順序が前記一の読み取り条件とは相違することを特徴とする。
【0014】
また、第8発明に係る試料分析装置は、第1乃至第7発明のいずれか1つにおいて、前記他の読み取り条件は、前記識別情報及び前記識別情報読み取り手段のうち少なくとも1つが前記識別情報の読み取り中に移動することで生じる相対速度が、前記一の読み取り条件とは相違することを特徴とする。
【0015】
また、第9発明に係る試料分析装置は、第8発明において、前記一の読み取り条件における相対速度は0より大きく、前記他の読み取り条件における相対速度は0であることを特徴とする。
【0016】
また、第10発明に係る試料分析装置は、第8発明において、前記一の読み取り条件における相対速度は0より大きく、前記他の読み取り条件における相対速度は前記一の読み取り条件における相対速度より小さいことを特徴とする。
【0017】
また、第11発明に係る試料分析装置は、第8発明において、前記一の読み取り条件における相対速度は一の方向の速度であり、前記他の読み取り条件における相対速度は前記一の方向と反対方向の速度であることを特徴とする。
【0018】
次に、上記目的を達成するために第12発明に係る試料分析方法は、検体と試薬とを混和して調製された測定試料を分析する試料分析装置で実行することができる試料分析方法において、複数の読み取り条件に関する情報を記憶し、検体容器、試薬容器、及び前記検体容器又は試薬容器を収容する収容部のうち少なくとも1つを識別するために付与される識別情報を、所定位置から一の読み取り条件にて読み取り、該識別情報読み取り手段が、前記識別情報を正常に読み取ったか否かを判断し、該判断手段で正常に読み取ることができないと判断された場合、前記一の読み取り条件を、記憶されている他の読み取り条件に変更設定することを特徴とする。
【0019】
次に、上記目的を達成するために第13発明に係るコンピュータプログラムは、検体と試薬とを混和して調製された測定試料を分析する試料分析装置で実行することが可能なコンピュータプログラムにおいて、前記コンピュータを、複数の読み取り条件に関する情報を記憶する条件記憶手段、検体容器、試薬容器、及び前記検体容器又は試薬容器を収容する収容部のうち少なくとも1つを識別するために付与される識別情報を、所定位置で一の読み取り条件にて読み取る識別情報読み取り手段、該識別情報読み取り手段が、前記識別情報を正常に読み取ったか否かを判断する判断手段、及び該判断手段で正常に読み取ることができないと判断された場合、前記一の読み取り条件を、記憶されている他の読み取り条件に変更設定する読み取り条件変更手段として機能させることを特徴とする。
【0020】
第1発明、第12発明及び第13発明では、複数の読み取り条件に関する情報を記憶しておき、検体容器、試薬容器、及び前記検体容器又は試薬容器を収容する収容部のうち少なくとも1つを識別するために付与される識別情報を、所定位置から一の読み取り条件にて読み取り、識別情報を正常に読み取ったか否かを判断する。正常に読み取ることができなかった識別情報について、読み取ることができなかった読み取り条件とは異なる読み取り条件に変更設定することにより、再度読み取った場合に、汚れ等により読み取れなかった識別情報を、2回目には読み取ることができる可能性を高めることが可能となる。したがって、ユーザがマニュアルで試料を特定するケースが減少し、試料の取り違い等により誤った分析データを出力する可能性が低くなる。
【0021】
ここで、「読み取り条件」とは、バーコード等の識別情報を読み取るための読み取り方法、バーコードリーダの読み取り設定等を意味する広い概念であるが、単にバーコードの読み取り位置を規定する情報までも含むものではない。「識別情報」とは、検体容器、試薬容器、及び収容部を識別するための情報であり、例えばバーコードラベル、ICチップ等からの無線信号等に含まれる識別情報一般を意味する。「所定位置」とは、バーコードリーダ等でバーコード等の識別情報を読み取るための位置である。
【0022】
第2発明では、正常に読み取ることができないと判断された識別情報を、所定位置から、変更された他の読み取り条件にて再度読み取り、識別情報を正常に読み取ったか否かを再度判断する。正常に読み取ることができなかった識別情報について、読み取ることができなかった読み取り条件とは異なる読み取り条件にて再度読み取ることにより、汚れ等により読み取れなかった識別情報を、2回目には読み取ることができる可能性を高めることが可能となる。したがって、ユーザがマニュアルで試料を特定するケースが減少し、試料の取り違い等により誤った分析データを出力する可能性が低くなる。
【0023】
第3発明では、正常に読み取ることができないと判断された識別情報の位置を特定し、特定された位置に存在する識別情報を、変更された他の読み取り条件にて再度読み取る。識別情報を正常に読み取ることができなかった試料の位置を特定することにより、再度読み取る場合の移動工程を最小限にとどめることができるとともに、必要な識別情報を異なる読み取り条件にて再度読み取ることにより、汚れ等により読み取れなかった識別情報を、2回目には読み取ることができる可能性を高めることが可能となる。したがって、ユーザがマニュアルで試料を特定するケースが減少し、試料の取り違い等により誤った分析データを出力する可能性が低くなる。
【0024】
第4発明では、識別情報はバーコード情報に含まれており、識別情報読み取り手段はバーコードリーダであることにより、バーコード情報の読み取りが正常に行われたか否かを判断することができる。
【0025】
第5発明では、他の読み取り条件は、バーコードリーダによりバーコード情報が読み取られるスキャン幅が一の読み取り条件とは相違する。これにより、最初のスキャン幅では読み取りエラーが生じた場合であっても、再度読み取りを実行した場合には正常に読み取ることができる可能性が生じる。
【0026】
第6発明では、読み取った識別情報の信号値が所定の閾値より大きいか否かで判断し、他の読み取り条件は、所定の閾値が一の読み取り条件とは相違する。これにより、最初の閾値では正常に読み取ったと判断されない信号値であっても、例えば閾値を下げて再度読み取りを実行した場合には正常に読み取ることができる可能性が生じる。
【0027】
第7発明では、読み取った識別情報に基づいて生成される信号の所定のタイミングでの値が所定の閾値より大きいか否かで判断し、他の読み取り条件は、所定のタイミング、該タイミングの数及び読み取り順序が一の読み取り条件とは相違する。これにより、最初のタイミングでの信号値では正常に読み取ったと判断されない場合であっても、例えば同じ位置であっても読み取るタイミングを変更して再度読み取りを実行した場合には正常に読み取ることができる可能性が生じる。
【0028】
第8発明では、他の読み取り条件は、識別情報及び識別情報読み取り手段の少なくともいずれか1つが識別情報の読み取り中に移動することで生じる相対速度が、一の読み取り条件とは相違する。これにより、最初の相対速度では正常に読み取ったと判断されない場合であっても、例えば相対速度を下げて再度読み取りを実行した場合には正常に読み取ることができる可能性が生じる。
【0029】
第9発明では、一の読み取り条件における相対速度は0より大きく、他の読み取り条件における相対速度は0である。これにより、最初の相対速度では正常に読み取ったと判断されない場合であっても、相対速度を0にして再度読み取りを実行した場合には正常に読み取ることができる可能性が生じる。
【0030】
第10発明では、一の読み取り条件における相対速度は0より大きく、他の読み取り条件における相対速度は一の読み取り条件における相対速度より小さい。これにより、最初の相対速度では正常に読み取ったと判断されない場合であっても、例えば相対速度を下げて再度読み取りを実行した場合には正常に読み取ることができる可能性が生じる。
【0031】
第11発明では、一の読み取り条件における相対速度は一の方向の速度であり、他の読み取り条件における相対速度は一の方向と反対方向の速度である。これにより、最初の読み取り方向では正常に読み取ったと判断されない場合であっても、例えば読み取り方向を反転させて再度読み取りを実行した場合には正常に読み取ることができる可能性が生じる。
【0032】
なお、後述する実施の形態では、識別情報読み取り手段は、CPU41のステップS904乃至ステップS908、ステップS912、ステップS1304、ステップS1604、ステップS1904、ステップS2104の処理が、それぞれ該当する。また、判断手段は、CPU41のステップS905の処理が、位置特定手段は、CPU41のステップS906の処理が、それぞれ該当する。
【0033】
さらに、読み取り条件変更手段は、CPU41のステップS910、ステップS1302、ステップS1602、ステップS1902、ステップS2102の処理が、それぞれ該当する。
【発明の効果】
【0034】
上記構成によれば、正常に読み取ることができなかった識別情報について、読み取ることができなかった読み取り条件とは異なる読み取り条件にて再度読み取ることにより、汚れ等により読み取れなかった識別情報を、読み取るための位置を変更せずに2回目には読み取ることができる可能性を高めることが可能となる。したがって、ユーザがマニュアルで試料を特定するケースが減少し、試料の取り違い等により誤った分析データを出力する可能性が低くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明の実施の形態に係る試料分析装置について、血液の凝固・線溶機能に関連する特定の物質の量、活性の度合等を光学的に測定して分析する場合を一例とし、図面に基づいて具体的に説明する。
【0036】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る試料分析装置の構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施の形態1に係る試料分析装置10は、検体容器、試薬容器等を収容する収容部1が駆動部2にて移動可能としてあり、収容部1に収容されている検体容器、試薬容器等に貼付されているバーコード情報を読み取るバーコードリーダ3が設けてある。
【0037】
駆動部2は、定電流駆動のステッピングモータを用いて収容部1を移動させる。駆動部2の動作及びバーコードリーダ3の動作の制御は、信号線で接続されている制御部4により行われる。
【0038】
制御部4は、少なくとも、CPU(中央演算装置)41、RAM42、記憶装置43、入力装置44、出力装置45、通信装置46、補助記憶装置47及び上述したハードウェアを接続する内部バス48で構成されている。CPU41は、内部バス48を介して制御部4の上述したようなハードウェア各部と接続されており、上述したハードウェア各部の動作を制御するとともに、記憶装置43に記憶されているコンピュータプログラム7に従って、接続されている駆動部2、バーコードリーダ3、及び表示装置5等の動作を制御する。
【0039】
RAM42は、SRAM、フラッシュメモリ等で構成され、コンピュータプログラム7の実行時にロードモジュールが展開され、コンピュータプログラム7の実行時に発生する一時的なデータ等を記憶する。
【0040】
記憶装置43は、内蔵される固定型記憶装置(ハードディスク)等で構成されている。記憶装置43に記憶されているコンピュータプログラム7は、プログラム及びデータ等の情報を記録したDVD、CD−ROM等の可搬型記録媒体6から、補助記憶装置47によりダウンロードされ、実行時には記憶装置43からRAM42へ展開して実行される。もちろん、通信装置46を介して外部コンピュータからダウンロードされたコンピュータプログラムであっても良い。
【0041】
通信装置46は内部バス48に接続されており、インターネット、LAN、WAN等の外部のネットワーク網に接続されることにより、外部のコンピュータ等とデータ送受信を行うことが可能となっている。例えば上述した記憶装置43は、制御部4に内蔵される構成に限定されるものではなく、通信装置46を介して接続されている外部のストレージ等の外部記録媒体であっても良い。
【0042】
入力装置44は、キーボード及びマウス等のデータ入力媒体である。表示装置5は、CRTモニタ、LCD等の表示装置である。出力装置45は、レーザプリンタ、インクジェットプリンタ等の印刷装置である。
【0043】
図2は、本発明の実施の形態1に係る試料分析装置10の駆動部2の概略構成を示すブロック図である。図2に示すように、制御部4のCPU41から動作信号を受信したPPMC(パルス発振器)21は、動作信号を指令パルス信号に変換してモータドライバ22へ送信する。指令パルス信号を受信したモータドライバ22は、指令パルス信号のパルス数に応じてステッピングモータ23を回転させる。
【0044】
例えば指令パルス信号が回転方向制御信号であった場合、回転方向を示すデジタル値1又は0に応じてステッピングモータ23の回転方向を決定する。また、指令パルス信号の周波数に応じて、ステッピングモータ23の回転速度を変更することができる。
【0045】
図3は、本発明の実施の形態1に係る試料分析装置10の概要を示す部分平面図である。本実施の形態1では、収容部1は円形状の第1試料テーブル11、円環状の第2試料テーブル12、及び検体容器、試薬容器等を収容することが可能な複数の第1容器ラック13、13、・・・、第2容器ラック14、14、・・・で構成されており、駆動部2は、第1試料テーブル11を回転させる第1ステッピングモータと、第2試料テーブル12を回転させる第2ステッピングモータとを有している。すなわち、駆動部2が、複数のモータドライバ22及びステッピングモータ23を有する構成となっている。
【0046】
そして、制御部4のCPU41から動作信号を送信することにより、駆動部2にて変換された指令パルス信号に応じて各ステッピングモータ23が動作し、それぞれ第1試料テーブル11及び第2試料テーブル12を回転させる。駆動部2は、第1試料テーブル11及び第2試料テーブル12を、それぞれ時計回り方向及び反時計回り方向の両方に回転させることができ、互いに独立して回転させることができる。
【0047】
第1試料テーブル11及び第2試料テーブル12の上には、それぞれ検体容器、試薬容器等を収容することが可能な複数の第1容器ラック13、13、・・・、及び第2容器ラック14、14、・・・が脱着することが可能に配置されている。複数の第1容器ラック13、13、・・・、及び第2容器ラック14、14、・・・には、それぞれバーコードラベルが貼付されている。貼付されているバーコードラベルを読み取るため、第2試料テーブル12の側面の近傍に、所定の距離を隔ててバーコードリーダ3を設けている。バーコードリーダ3も、制御部4とデータ通信することが可能に接続してあり、例えば読み取ったバーコード情報をパルス信号に変換して、CPU41へ送信する。
【0048】
また、第2容器ラック14、14、・・・を第2試料テーブル12に配置した場合、第2容器ラック14、14、・・・が互いに隣接する隙間のうち、1箇所の隙間12aについては、他の4箇所の隙間より大きい間隔を有している。すなわち、他の隙間より間隔が大きい隙間12aを介して、第2試料テーブル12の内側に位置する第1試料テーブル11上に配置されている第1容器ラック13、13、・・・及び保持されている容器に貼付されているバーコードラベルから、バーコードリーダ3がバーコード情報を読み取る。
【0049】
図4は、第1容器ラック13の構成を示す斜視図である。第1容器ラック13は、検体容器、試薬容器等の容器を保持するための2つの保持部131、132と、保持部131、132の前面側にそれぞれ設けてある切欠部131a、132aと、上方に突出するよう設けてある把持部133とで構成されている。保持部131、132は、円筒型の容器を保持することができるよう、収容可能部分が上から見て略円形状となっている。保持部131、132の内径よりも小さい外形を有する容器を保持する場合には、別途アダプタ等を介することにより安定して保持することができる。
【0050】
保持部131、132の外周面には、それぞれバーコードラベル131b、132bが貼付されている。保持部131、132の内周面にも、それぞれバーコードラベル131c、132cが貼付されている。
【0051】
図5は、第2容器ラック14の構成を示す斜視図である。第2容器ラック14は、検体容器、試薬容器等の容器を保持するための6つの保持部141〜146と、保持部141〜146の前面側にそれぞれ設けてある切欠部141a〜146aと、上方に突出するよう設けてある把持部147とで構成されている。保持部141〜146は、円筒型の容器200を保持することができるよう、収容可能部分が上から見て略円形状となっている。保持部141〜146の内径よりも小さい外形を有する容器を保持する場合には、別途アダプタ等を介することにより安定して保持することができる。
【0052】
保持部141〜146の外周面には、それぞれバーコードラベル141b〜146bが貼付されている。保持部141〜146の内周面にも、それぞれバーコードラベル141c〜146cが貼付されている。
【0053】
図6は、容器200を1個保持した状態での第1容器ラック13の構成を示す斜視図である。保持部131に容器200が保持されており、保持部131の内周面に貼付されているバーコードラベル131cを読み取ることができない状態となっている。
【0054】
すなわち、バーコードリーダ3がバーコードラベル131bを読み取った後、バーコードラベル131cを読み取ることなく容器200に貼付してあるバーコードラベル200aを読み取った場合には、制御部4のCPU41は、バーコードラベル200aにて読み取られるバーコード情報に対応する検体、試薬を内蔵する容器200が保持されていると判断することができる。
【0055】
同様に図7は、容器200を3個保持した状態での第2容器ラック14の構成を示す斜視図である。保持部141、144、145に容器200、200、200が保持されており、保持部141、144、145の内周面に貼付されているバーコードラベル141c、144c、145cを読み取ることができない状態となっている。
【0056】
すなわち、バーコードリーダ3がバーコードラベル141b、144b又は145bを読み取った後、バーコードラベル141c、144c又は145cを読み取ることなく容器200に貼付してあるバーコードラベル200aを読み取った場合には、制御部4のCPU41は、バーコードラベル200aにて読み取られるバーコード情報に対応する検体、試薬を内蔵する容器200が保持されていると判断することができる。
【0057】
本実施の形態1では、まず第1容器ラック13及び第2容器ラック14にて容器200を保持することが可能なすべての位置について、容器200が保持されているか否か、及びバーコード情報を正常に読み取ることができたか否かを判断する。すなわち、第1試料テーブル11、及び第2試料テーブル12を所定の方向及び速度で一周回転させて、第1試料テーブル11、及び第2試料テーブル12の上に載置してある第1容器ラック13及び第2容器ラック14に保持されているすべての容器200について、バーコードリーダ3で正常に読み取ることができたか否かを制御部4で判断する。
【0058】
次に、1回目で正常に読み取ることができなかった容器200の保持されている位置を特定し、特定された位置に保持されている容器200についてのみ、1回目と異なる読み取り条件で再度バーコードリーダ3を用いてバーコード情報を読み取る。ここで、読み取り条件とは、バーコード情報等を読み取るための読み取り方法、バーコードリーダ3の読み取り設定等に関する条件であり、事前に記憶装置43に記憶しておく。
【0059】
本実施の形態1では、バーコードリーダ3としてバーコードラベルに対してレーザ光を照射して走査するレーザ式を採用する。バーコードリーダ3は、反射光を受光して受光量に応じた電圧信号を、2値化された電圧パルス信号として出力する。バーコード情報を正常に読み取ることができたか否かは、制御部4がバーコードリーダ3から取得した電圧パルス信号が、所定の閾値より大きいか否かで判断する。したがって、1回目と2回目とで、バーコードラベルから読み取ったバーコード情報を正常に読み取ることができたか否かを判断するための閾値を変更することで、読み取り条件を変更することができる。
【0060】
図8は、本発明の実施の形態1に係る試料分析装置10の読み取り判断方法を説明するための波形図である。図8では、縦軸に電圧パルス信号の大きさ(電圧値)を、横軸に時間を取っている。
【0061】
図8に示すように、閾値84で設定されている場合、電圧パルス信号81、83は閾値84より大きいことから正常に読み取ることができたと判断することができるのに対し、電圧パルス信号82は閾値84より小さいことから正常に読み取ることができないと判断される。そこで、2回目は閾値85に設定を変更することにより、電圧パルス信号82も閾値85より大きくなることから、電圧パルス信号82も正常に読み取ることができたと判断することができる。
【0062】
図9は、本発明の実施の形態1に係る試料分析装置10の制御部4のCPU41の処理手順を示すフローチャートである。図9において、まず制御部4の記憶装置43に、複数の読み取り条件に関する情報を記憶しておく。本実施の形態1では、正常に読み取ることができたか否かを判断する閾値に関する情報を複数記憶しておく。
【0063】
制御部4のCPU41は、記憶装置43に記憶してある一の読み取り条件に関する情報を読み出し(ステップS901)、読み出した一の読み取り条件に関する情報に基づいて読み取り条件、すなわち所定の閾値を設定する(ステップS902)。CPU41は、駆動部2に対して第1試料テーブル11及び第2試料テーブル12の回転方向及び回転速度を指示する指示情報を送信し(ステップS903)、バーコードラベルの読み取りを開始する。CPU41は、バーコードリーダ3から電圧パルス信号を受信する(ステップS904)。CPU41は、バーコード情報を正常に読み取ることができたか否かを、バーコードリーダ3から受信した電圧パルス信号が所定の閾値以上であるか否かで判断する(ステップS905)。
【0064】
CPU41が、所定の閾値より小さいと判断した場合(ステップS905:NO)、CPU41は、正常に読み取ることができなかったと判断し、読み取ることができなかったバーコードラベルの位置情報を記憶装置43に記憶する(ステップS906)。
【0065】
具体的には、回転を開始する初期位置を特定しておき、駆動パルス数をカウントすることにより、読み取ることができなかったバーコードラベルが貼付されている位置の回転角度を特定することができる。位置特定方法は、これに限定されるものではなく、例えば別途ロータリーエンコーダ等の角度センサを設置し、第1試料テーブル11及び第2試料テーブル12それぞれの初期位置からの回転角度を直接記憶する方法であっても良い。
【0066】
CPU41が、所定の閾値以上であると判断した場合には(ステップS905:YES)、CPU41は、第1試料テーブル11及び第2試料テーブル12が一周したか否かを判断する(ステップS907)。CPU41が、いずれか一方でも一周していないと判断した場合(ステップS907:NO)、CPU41は、次のバーコードラベルを読み取った電圧パルス信号をバーコードリーダ3から受信し(ステップS908)、処理をステップS905へ戻して、上述した処理を繰り返す。CPU41が、第1試料テーブル11及び第2試料テーブル12が一周したと判断した場合(ステップS907:YES)、CPU41は、記憶装置43に記憶されている読み取り条件を読み出し(ステップS909)、新たな閾値を設定する(ステップS910)。
【0067】
CPU41は、記憶装置43に記憶されている位置情報に応じて、順次第1試料テーブル11及び第2試料テーブル12を回転させるよう駆動部2に指示信号を送信し(ステップS911)、再度バーコードラベルの読み取りを実行してバーコードリーダ3から電圧パルス信号を受信する(ステップS912)。
【0068】
CPU41は、バーコード情報を正常に読み取ることができたか否かを、バーコードリーダ3から受信した電圧パルス信号が新たな閾値以上であるか否かで判断する(ステップS913)。CPU41が、新たな閾値以上であると判断した場合には(ステップS913:YES)、CPU41は、記憶装置43に記憶されている位置情報のうち、新たな閾値以上であると判断されたバーコードラベルの位置情報を削除し(ステップS914)、記憶されている全ての位置に回転移動したか否かを判断する(ステップS915)。
【0069】
CPU41が、全ての位置に回転移動したと判断した場合には(ステップS915:YES)、CPU41は、処理を終了する。CPU41が、まだ全ての位置に回転移動していないと判断した場合には(ステップS915:NO)、CPU41は、処理をステップS911へ戻し、次に記憶されている位置へ移動させる指示信号を駆動部2へ送信して(ステップS911)、上述した処理を繰り返す。
【0070】
CPU41が、新たな閾値より小さいと判断した場合(ステップS913:NO)、CPU41は、再度正常に読み取ることができなかったと判断し、ステップS914をスキップする。
【0071】
このように1回目と2回目とで読み取り条件を変更することにより、1回目の閾値では正常に読み取ることができないと判断されたバーコードラベルについて、2回目には正常に読み取ることができたと判断される可能性が高くなる。また、1回目で正常に読み取ることができなかったバーコードラベルに対してのみ2回目の読み取りを実行することにより、無駄な再読み取り処理を実行することなく、全体として読み取り時間の増加を最小限にとどめることが可能となる。
【0072】
例えば図6を例に挙げて説明する。容器200に貼付されているバーコードラベル200aが汚損している、あるいは冷却により霜が表面に付着している等により読み取れなくなっている場合、CPU41は、まずバーコードラベル131bを読み取り、本来次に読み取るべきバーコードラベル200a又はバーコードラベル131cを読み取ることなく、バーコードラベル132bを読み取ってしまう。したがって、容器が収容されている場合に読み取るべきバーコードラベル200a、収容されていない場合に読み取るべきバーコードラベル131cの両方を読み取っていないことを確認して初めて読み取りに失敗したことを確認することができる。
【0073】
読み取りに失敗したことを確認する都度読み取り条件を変更して再読み取りを実行する場合、切欠部131aの位置まで回転を戻す必要があり、回転移動の時間的ロスが大きくなる。
【0074】
それに対して本実施の形態1では、すべての位置についてバーコードラベルを読み取ってから、正常に読み取ることができなかった位置に収容されている容器200に対してのみ再度読み取りを実行する。したがって、回転移動の時間的ロスも少なく、制御も単純であることから、処理全体のスループットを最小限にすることが可能となる。
【0075】
なお、上述した実施の形態1では、すべての位置についてバーコードラベルを読み取ってから、正常に読み取ることができなかった位置に収容されている容器200に対してのみ再度読み取りを実行しているが、バーコードラベルを正常に読み取ることができなかったと判断される都度、読み取り条件を変更して再読み取りを実行しても良い。この場合であっても、汚れ等により読み取れなかった識別情報を、読み取るための位置を変更せずに2回目には読み取ることができる可能性を高めることが可能となり、ユーザがマニュアルで試料を特定するケースが減少し、試料の取り違い等により誤った分析データを出力する可能性が低くなる。
【0076】
図10は、表示装置5に表示される画面の例示図である。試料分析装置10の状況を表示する画面は、少なくとも第1試料テーブル11及び第2試料テーブル12に載置されている第1容器ラック13及び第2容器ラック14の位置及び容器保持可能位置を表示する配置表示領域420と、選択された位置に保持されている容器の内容物に関する詳細情報を表示する詳細情報表示領域430と、操作を指示する操作表示領域440とを有している。
【0077】
配置表示領域420には、少なくとも第1試料テーブル11の配置状況に対応して表示される最大10個の第1試料マーク421、421、・・・と、第2試料テーブル12の配置状況に対応して表示される最大30個の第2試料マーク422、422、・・・とが表示される。第1試料マーク421は、位置を表示する位置表示部421a、試料の名称を表示する名称表示部421b、及び試料の残量を表示する残量表示部421cを含む。同様に第2試料マーク422は、位置を表示する位置表示部422a、試料の名称を表示する名称表示部422b、及び試料の残量を表示する残量表示部422cを含む。なお、残量表示部421c、422cは、試料の残量が所定量以下となった場合にのみ表示される。
【0078】
第1試料マーク421及び第2試料マーク422の位置表示部421a、422aに表示される試料の位置情報は、第1容器ラック13及び第2容器ラック14に貼付されているバーコードラベルをバーコードリーダ3が読み取ることにより表示される。また、名称表示部421b、422bに表示される試料の名称は、試料を収容した容器200に貼付されているバーコードラベル200aから読み取られたバーコード情報に含まれており、バーコードリーダ3で読み取った信号に基づいて記憶装置43に記憶されている試料マスタ等を参照することにより表示される。
【0079】
第1試料マーク421は、第1試料テーブル11に配置されている2個の容器200、200を保持可能な5個の第1容器ラック13、13、・・・に対応している第1ラックマーク424、424、・・・に分割されて表示される。第2試料マーク422は、第2試料テーブル12に配置されている6個の容器200、200、・・・を保持可能な5個の第2容器ラック14、14、・・・に対応している第2ラックマーク425、425、・・・に分割されて表示される。したがって、どの試料テーブルのどの容器ラックのどの位置に試料が配置されているか、目視で確認することができる。
【0080】
また、第1試料テーブル11及び第2試料テーブル12に容器ラックが配置されていない場合には、配置表示領域420にて、内側に何も表示されていない円形のラック未配置マーク426が表示される。さらに、第1試料テーブル11及び第2試料テーブル12にそれぞれ第1容器ラック13及び第2容器ラック14が配置されてはいるが、試料の入った容器200が配置されていない位置に相当する領域には、試料未配置マーク427が表示される。試料未配置マーク427は、位置情報を表示する位置表示部427aを有している。
【0081】
容器200に貼付されているバーコード200aの読み取りに失敗した場合には、読み取りが失敗した容器200が収容されている試料マークに、読み取りエラーマーク428が表示される。したがって、1回目で正常に読み取ることができなかった容器200の位置は、読み取りエラーマーク428が表示されている位置であることが目視で確認できる。
【0082】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る試料分析装置10の構成は、実施の形態1と同様であることから、同一の符号を付することにより詳細な説明を省略する。本実施の形態2では、実施の形態1と同様、まず第1容器ラック13及び第2容器ラック14にて容器200を保持することが可能なすべての位置について、容器200が保持されているか否か、及びバーコード情報を正常に読み取ることができたか否かを判断する。すなわち、第1試料テーブル11、及び第2試料テーブル12を所定の方向及び速度で一周回転させて、第1試料テーブル11、及び第2試料テーブル12の上に載置してある第1容器ラック13及び第2容器ラック14に保持されているすべての容器200について、バーコードリーダ3で正常に読み取ることができたか否かを制御部4で判断する。
【0083】
次に、1回目で正常に読み取ることができなかった容器200の保持されている位置(収容位置)を特定し、特定された位置に保持されている容器200についてのみ、1回目と異なる読み取り条件で再度バーコードリーダ3を用いてバーコード情報を読み取る。読み取り条件に関する情報は、事前に記憶装置43に記憶しておく。
【0084】
バーコードリーダ3としてバーコードラベルに対してレーザ光を照射して走査するレーザ式を採用する。バーコードリーダ3は、反射光を受光して受光量に応じた電圧信号を、2値化された電圧パルス信号として出力する。バーコード情報を正常に読み取ることができたか否かは、制御部4が、バーコードリーダ3から取得した電圧パルス信号について、異なるタイミングで所定の閾値より大きいか否かで判断する。すなわち本実施の形態2は、1回目と2回目とで、バーコードラベルから読み取ったバーコード情報を正常に読み取ることができたか否かを判断するための1パルス内での読み取りタイミングを変更するよう、読み取り条件を変更する点で実施の形態1と相違する。
【0085】
図11は、本発明の実施の形態2に係る試料分析装置10の読み取り判断方法を説明するための波形図である。図11では、縦軸に電圧パルス信号の大きさ(電圧値)を、横軸に時間を取っている。
【0086】
図11に示すように、本来受信すべき電圧パルス信号111のタイミングでは、その中央を示すタイミング113にて読み取りを実行することで、正常に読み取ることができる。しかし、バーコードの汚損、霜の付着、容器200の収容角度等の相違により、受信した電圧パルス信号112が、本来受信すべき電圧パルス信号111のタイミングよりも早く、あるいは遅く受信する場合も想定される(図11はタイミングΔtだけ遅く受信した場合を示す)。そこで、読み取りタイミングを、本来受信すべき電圧パルス信号111の中央を示すタイミング113だけでなく、その前後のタイミング114、115でも読み取るように設定する。このようにすることで、タイミング113では正常に読み取ることができないと判断された場合であっても、タイミング114又は115では正常に読み取ることができる場合も生じる。
【0087】
図12及び図13は、本発明の実施の形態2に係る試料分析装置10の制御部4のCPU41の処理手順を示すフローチャートである。図12において、まず制御部4の記憶装置43に、複数の読み取り条件に関する情報を記憶しておく。本実施の形態2では、電圧パルス信号の読み取りタイミングに関する情報を、記憶装置43に複数記憶しておく。制御部4のCPU41は、記憶装置43に記憶してある一の読み取り条件に関する情報を読み出し(ステップS1201)、読み出した一の読み取り条件に関する情報に基づいて読み取り条件、すなわち読み取りタイミングを設定する(ステップS1202)。
【0088】
以下、ステップS903乃至ステップS908までの処理は実施の形態1と同様である。制御部4のCPU41が、第1試料テーブル11及び第2試料テーブル12が一周したと判断した場合(ステップS907:YES)、図13に示すようにCPU41は、記憶装置43に記憶されている他の読み取り条件を読み出し(ステップS1301)、新たな読み取りタイミングを設定する(ステップS1302)。
【0089】
CPU41は、記憶装置43に記憶されている回転角度まで順次第1試料テーブル11及び第2試料テーブル12を回転させるよう駆動部2に指示信号を送信し(ステップS1303)、再度バーコードラベルの読み取りを設定された読み取りタイミングで実行してバーコードリーダ3から電圧パルス信号を受信する(ステップS1304)。なお、設定するタイミングは、当初の読み取りタイミングの前後の2タイミングで読み取ることが好ましい。いずれかのタイミングで正常に読み取ることができる可能性が高いからである。ただし、読み取りタイミングとして設定する個数は特に限定されるものではない。
【0090】
CPU41は、バーコード情報を正常に読み取ることができたか否かを、バーコードリーダ3から受信した電圧パルス信号が所定の閾値以上であるか否かで判断する(ステップS1305)。CPU41が、所定の閾値以上であると判断した場合には(ステップS1305:YES)、CPU41は、記憶装置43に記憶されている位置情報のうち、新たな閾値以上であると判断されたバーコードラベルの位置情報を削除し(ステップS1306)、記憶されている全ての位置に回転移動したか否かを判断する(ステップS1307)。
【0091】
CPU41が、全ての位置に回転移動したと判断した場合には(ステップS1307:YES)、CPU41は、処理を終了する。CPU41が、まだ全ての位置に回転移動していないと判断した場合には(ステップS1307:NO)、CPU41は、処理をステップS1303へ戻し、次に記憶されている位置へ移動させる指示信号を駆動部2へ送信して(ステップS1303)、上述した処理を繰り返す。
【0092】
CPU41が、所定の閾値より小さいと判断した場合(ステップS1305:NO)、CPU41は、再度正常に読み取ることができなかったと判断し、ステップS1306をスキップする。
【0093】
このように1回目と2回目とで読み取りタイミングを変更することにより、1回目の読み取りタイミングでは正常に読み取ることができないと判断されたバーコードラベルについて、2回目には正常に読み取ることができたと判断される可能性が高くなる。また、1回目で正常に読み取ることができなかったバーコードラベルに対してのみ、読み取るための位置を変更せずに2回目の読み取りを実行することにより、無駄な再読み取り処理を実行することなく、全体として読み取り時間の増加を最小限にとどめることが可能となる。
【0094】
なお、上述した実施の形態2でも、すべての位置についてバーコードラベルを読み取ってから、正常に読み取ることができなかった位置に収容されている容器200に対してのみ再度読み取りを実行しているが、実施の形態1と同様、バーコードラベルを正常に読み取ることができなかったと判断される都度、読み取り条件を変更して再読み取りを実行しても良い。この場合であっても、汚れ等により読み取れなかった識別情報を、読み取るための位置を変更せずに2回目には読み取ることができる可能性を高めることが可能となり、ユーザがマニュアルで試料を特定するケースが減少し、試料の取り違い等により誤った分析データを出力する可能性が低くなる。
【0095】
また、読み取り結果等を表示装置5に表示する画面イメージは、実施の形態1と同様であることから、詳細な説明は省略する。
【0096】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3に係る試料分析装置10の構成は、実施の形態1及び2と同様であることから、同一の符号を付することにより詳細な説明を省略する。本実施の形態3では、実施の形態1及び2と同様、まず第1容器ラック13及び第2容器ラック14にて容器200を保持することが可能なすべての位置について、容器200が保持されているか否か、及びバーコード情報を正常に読み取ることができたか否かを判断する。すなわち、第1試料テーブル11、及び第2試料テーブル12を所定の方向及び速度で一周回転させて、第1試料テーブル11、及び第2試料テーブル12の上に載置してある第1容器ラック13及び第2容器ラック14に保持されているすべての容器200について、バーコードリーダ3で正常に読み取ることができたか否かを制御部4で判断する。
【0097】
次に、1回目で正常に読み取ることができなかった容器200の保持されている位置を特定し、特定された位置に保持されている容器200についてのみ、1回目と異なる読み取り条件で再度バーコードリーダ3を用いてバーコード情報を読み取る。ここで、読み取り条件は、事前に記憶装置43に記憶しておく。
【0098】
バーコードリーダ3としてバーコードラベルに対してレーザ光を照射して走査するレーザ式を採用する。バーコードリーダ3は、反射光を受光して受光量に応じた電圧信号を、2値化された電圧パルス信号として出力する。バーコード情報を正常に読み取ることができたか否かは、制御部4が、バーコードリーダ3から取得した電圧パルス信号について、所定の閾値より大きいか否かで判断する。本実施の形態3では、バーコード情報を読み取るためにバーコードリーダ3から照射されるレーザ光の照射角度を変更する点で実施の形態1及び2と相違する。
【0099】
図14は、本発明の実施の形態3に係る試料分析装置10のバーコードリーダ3内部の概略構成を示す模式図である。図14に示すように、バーコードリーダ3は、レーザ照射器1401から照射されたレーザ光を8面体ポリゴンミラー1402で反射させる。8面体ポリゴンミラー1402が一定速度で矢印方向に回転することから、その反射角度は照射されるレーザ光の時間間隔の長短に応じて増減することができる。
【0100】
すなわち、レーザ照射器1401がレーザ光を照射する時間間隔を長くした場合には、8面体ポリゴンミラー1402で反射される反射角度θを大きくすることができ、レーザ光を照射する時間間隔を短くした場合には、8面体ポリゴンミラー1402で反射される反射角度θを小さくすることができる。したがって、レーザ照射器1401がレーザ光を照射する時間間隔を制御することにより、バーコードリーダ3の読み取り可能角度を変更することができる。
【0101】
図15及び図16は、本発明の実施の形態3に係る試料分析装置10の制御部4のCPU41の処理手順を示すフローチャートである。図15において、まず制御部4の記憶装置43に、複数の読み取り条件に関する情報を記憶しておく。本実施の形態3では、バーコードリーダ3の読み取り可能角度に対応付けた、レーザ光照射の時間間隔に関する情報を、記憶装置43に複数記憶しておく。制御部4のCPU41は、記憶装置43に記憶してある一の読み取り条件に関する情報を読み出し(ステップS1501)、読み出した一の読み取り条件に関する情報に基づいて読み取り条件、すなわちレーザ光照射の時間間隔を設定する(ステップS1502)。
【0102】
以下、ステップS903乃至ステップS908までの処理は実施の形態1及び2と同様である。制御部4のCPU41が、第1試料テーブル11及び第2試料テーブル12が一周したと判断した場合(ステップS907:YES)、図16に示すようにCPU41は、記憶装置43に記憶されている他の読み取り条件を読み出し(ステップS1601)、新たなレーザ光照射の時間間隔を設定する(ステップS1602)。
【0103】
CPU41は、記憶装置43に記憶されている回転角度まで順次第1試料テーブル11及び第2試料テーブル12を回転させるよう駆動部2に指示信号を送信し(ステップS1603)、再度バーコードラベルの読み取りを実行してバーコードリーダ3から電圧パルス信号を受信する(ステップS1604)。なお、設定する時間間隔は、当初の時間間隔よりも長く設定することが好ましい。バーコードラベルの読み取り可能範囲が増すことにより、正常に読み取ることができる可能性が高くなるからである。
【0104】
CPU41は、バーコード情報を正常に読み取ることができたか否かを、バーコードリーダ3から受信した電圧パルス信号が所定の閾値以上であるか否かで判断する(ステップS1605)。CPU41が、所定の閾値以上であると判断した場合には(ステップS1605:YES)、CPU41は、記憶装置43に記憶されている位置情報のうち、新たな閾値以上であると判断されたバーコードラベルの位置情報を削除し(ステップS1606)、記憶されている全ての位置に回転移動したか否かを判断する(ステップS1607)。
【0105】
CPU41が、全ての位置に回転移動したと判断した場合には(ステップS1607:YES)、CPU41は、処理を終了する。CPU41が、まだ全ての位置に回転移動していないと判断した場合には(ステップS1607:NO)、CPU41は、処理をステップS1603へ戻し、次に記憶されている位置へ移動させる指示信号を駆動部2へ送信して(ステップS1603)、上述した処理を繰り返す。
【0106】
CPU41が、所定の閾値より小さいと判断した場合(ステップS1605:NO)、CPU41は、再度正常に読み取ることができなかったと判断し、ステップS1606をスキップする。
【0107】
このように1回目と2回目とでバーコードリーダ3の読み取り可能範囲を変更することにより、1回目の読み取り処理では正常に読み取ることができないと判断されたバーコードラベルについて、読み取るための位置を変更せずに2回目には正常に読み取ることができたと判断される可能性が高くなる。また、1回目で正常に読み取ることができなかったバーコードラベルに対してのみ、読み取るための位置を変更せずに2回目の読み取りを実行することにより、無駄な再読み取り処理を実行することなく、全体として読み取り時間の増加を最小限にとどめることが可能となる。
【0108】
なお、上述した実施の形態3でも、すべての位置についてバーコードラベルを読み取ってから、正常に読み取ることができなかった位置に収容されている容器200に対してのみ再度読み取りを実行しているが、実施の形態1又は2と同様、バーコードラベルを正常に読み取ることができなかったと判断される都度、読み取るための位置を変更せずに読み取り条件を変更して再読み取りを実行しても良い。この場合であっても、汚れ等により読み取れなかった識別情報を、2回目には読み取ることができる可能性を高めることが可能となり、ユーザがマニュアルで試料を特定するケースが減少し、試料の取り違い等により誤った分析データを出力する可能性が低くなる。
【0109】
また、読み取り結果等を表示装置5に表示する画面イメージは、実施の形態1と同様であることから、詳細な説明は省略する。
【0110】
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4に係る試料分析装置10の構成は、実施の形態1乃至3と同様であることから、同一の符号を付することにより詳細な説明を省略する。本実施の形態4では、実施の形態1乃至3と同様、まず第1容器ラック13及び第2容器ラック14にて容器200を保持することが可能なすべての位置について、容器200が保持されているか否か、及びバーコード情報を正常に読み取ることができたか否かを判断する。すなわち、第1試料テーブル11、及び第2試料テーブル12を所定の方向及び速度で一周回転させて、第1試料テーブル11、及び第2試料テーブル12の上に載置してある第1容器ラック13及び第2容器ラック14に保持されているすべての容器200について、バーコードリーダ3で正常に読み取ることができたか否かを制御部4で判断する。
【0111】
次に、1回目で正常に読み取ることができなかった容器200の保持されている位置を特定し、特定された位置に保持されている容器200についてのみ、1回目と異なる読み取り条件で再度バーコードリーダ3を用いてバーコード情報を読み取る。ここで、読み取り条件は、事前に記憶装置43に記憶しておく。
【0112】
バーコードリーダ3としてバーコードラベルに対してレーザ光を照射して走査するレーザ式を採用する。バーコードリーダ3は、反射光を受光して受光量に応じた電圧信号を出力する。バーコード情報を正常に読み取ることができたか否かは、制御部4が、バーコードリーダ3から取得した電圧信号について、所定の閾値より大きいか否かで判断する。本実施の形態4では、受光量に応じて出力される電圧信号に対して、信号出力を一定に保持する安定化回路を用いるか、安定化回路を用いることなく固定的な複数の増幅率を用いて増幅するかを変更する点で実施の形態1乃至3と相違する。
【0113】
図17は、本発明の実施の形態4に係る試料分析装置10のバーコードリーダ3から出力される電圧信号を比較するための例示図である。図17(a)は信号出力を一定に保持する安定化回路を用いた場合の水滴付着バーコードラベルの読み取り状態の例示図であり、図17(b)は安定化回路を用いず最適な固定ゲイン値を設定した場合の水滴付着バーコードラベルの読み取り状態の例示図である。
【0114】
図17(a)に示すように、バーコードラベルに水滴が付着している場合、バーコードリーダ3での受光量が水滴での反射光も含まれて大きくなり、安定化回路による補正でバーコードラベルの読み取り信号が相対的に小さく評価されてしまうことから、バーコード情報を正常に読み取ることができない。それに対して図17(b)に示すように、安定化回路を用いず、最適な固定ゲイン値を用いる場合には、安定化回路によりバーコード情報が減衰することがなく、バーコード情報を正常に読み取ることができる可能性が高くなる。
【0115】
すなわち、図17(a)では、後半部分の信号波形1701の影響を受け、前半部分のバーコードラベルを読み取った信号波形1702が減衰してしまい、正常に読み取ることができない状態となっている。それに対して、図17(b)では、後半部分の信号波形1703の影響を受けることなく、前半部分のバーコードラベルを読み取った信号波形1704を正常に読み取ることができる。
【0116】
図18及び図19は、本発明の実施の形態4に係る試料分析装置10の制御部4のCPU41の処理手順を示すフローチャートである。図18において、まず制御部4の記憶装置43に、複数の読み取り条件に関する情報を記憶しておく。本実施の形態4では、バーコードリーダ3の読み取り時に安定化回路を起動させるか否か、起動させない場合の固定ゲイン値等に関する情報を、記憶装置43に記憶しておく。制御部4のCPU41は、記憶装置43に記憶してある一の読み取り条件に関する情報を読み出し(ステップS1801)、読み出した一の読み取り条件に関する情報に基づいて読み取り条件、すなわち安定化回路起動の指示信号をバーコードリーダ3へ送信する(ステップS1802)。
【0117】
以下、ステップS903乃至ステップS908までの処理は実施の形態1乃至3と同様である。制御部4のCPU41が、第1試料テーブル11及び第2試料テーブル12が一周したと判断した場合(ステップS907:YES)、図19に示すようにCPU41は、記憶装置43に記憶されている他の読み取り条件を読み出し(ステップS1901)、安定化回路停止の指示信号及び固定ゲイン値をバーコードリーダ3へ送信する(ステップS1902)。
【0118】
CPU41は、記憶装置43に記憶されている回転角度まで順次第1試料テーブル11及び第2試料テーブル12を回転させるよう駆動部2に指示信号を送信し(ステップS1903)、再度バーコードラベルの読み取りを実行してバーコードリーダ3から電圧パルス信号を受信する(ステップS1904)。
【0119】
CPU41は、バーコード情報を正常に読み取ることができたか否かを、バーコードリーダ3から受信した電圧パルス信号が所定の閾値以上であるか否かで判断する(ステップS1905)。CPU41が、所定の閾値以上であると判断した場合には(ステップS1905:YES)、CPU41は、記憶装置43に記憶されている位置情報のうち、新たな閾値以上であると判断されたバーコードラベルの位置情報を削除し(ステップS1906)、記憶されている全ての位置に回転移動したか否かを判断する(ステップS1907)。
【0120】
CPU41が、全ての位置に回転移動したと判断した場合には(ステップS1907:YES)、CPU41は、処理を終了する。CPU41が、まだ全ての位置に回転移動していないと判断した場合には(ステップS1907:NO)、CPU41は、処理をステップS1903へ戻し、次に記憶されている位置へ移動させる指示信号を駆動部2へ送信して(ステップS1903)、上述した処理を繰り返す。
【0121】
CPU41が、所定の閾値より小さいと判断した場合(ステップS1905:NO)、CPU41は、再度正常に読み取ることができなかったと判断し、ステップS1906をスキップする。
【0122】
このように1回目と2回目とでバーコードリーダ3での読み取り方式を変更することにより、1回目の読み取り処理では正常に読み取ることができないと判断されたバーコードラベルについて、読み取るための位置を変更せずに2回目には正常に読み取ることができたと判断される可能性が高くなる。また、1回目で正常に読み取ることができなかったバーコードラベルに対してのみ、読み取るための位置を変更せずに2回目の読み取りを実行することにより、無駄な再読み取り処理を実行することなく、全体として読み取り時間の増加を最小限にとどめることが可能となる。
【0123】
なお、上述した実施の形態4で用いる固定ゲイン値は、複数設定しておくことが好ましい。バーコードリーダ3からの距離に応じて受光する光量に差異が生じるため、例えば近距離用ゲイン値、遠距離用ゲイン値等のように設定しておくことにより、すべてのバーコードラベルにつき適切に読み取ることができたか否かを判断することができる。例えば、最も高い固定ゲイン値から順に正常に読み取ることができたか否かを判断し、正常に読み取ることができなかった場合には順次、1つ低い固定ゲイン値へ変更して判断を繰り返すことにより、光量に左右されずにバーコード情報を正常に読み取ることができたか否かを判断することができる。
【0124】
また、上述した実施の形態4でも、すべての位置についてバーコードラベルを読み取ってから、正常に読み取ることができなかった位置に収容されている容器200に対してのみ再度読み取りを実行しているが、実施の形態1乃至3と同様、バーコードラベルを正常に読み取ることができなかったと判断される都度、読み取るための位置を変更せずに読み取り条件を変更して再読み取りを実行しても良い。この場合であっても、汚れ等により読み取れなかった識別情報を、2回目には読み取ることができる可能性を高めることが可能となり、ユーザがマニュアルで試料を特定するケースが減少し、試料の取り違い等により誤った分析データを出力する可能性が低くなる。
【0125】
さらに、読み取り結果等を表示装置5に表示する画面イメージは、実施の形態1と同様であることから、詳細な説明は省略する。
【0126】
(実施の形態5)
本発明の実施の形態5に係る試料分析装置10の構成は、実施の形態1乃至4と同様であることから、同一の符号を付することにより詳細な説明を省略する。本実施の形態5では、実施の形態1乃至4と同様、まず第1容器ラック13及び第2容器ラック14にて容器200を保持することが可能なすべての位置について、容器200が保持されているか否か、及びバーコード情報を正常に読み取ることができたか否かを判断する。すなわち、第1試料テーブル11、及び第2試料テーブル12を所定の方向及び速度で一周回転させて、第1試料テーブル11、及び第2試料テーブル12の上に載置してある第1容器ラック13及び第2容器ラック14に保持されているすべての容器200について、バーコードリーダ3で正常に読み取ることができたか否かを制御部4で判断する。
【0127】
次に、1回目で正常に読み取ることができなかった容器200の保持されている位置を特定し、特定された位置に保持されている容器200についてのみ、1回目と異なる読み取り条件で再度バーコードリーダ3を用いてバーコード情報を読み取る。
【0128】
本実施の形態5では、バーコード情報を読み取るために回転移動させる第1試料テーブル11及び第2試料テーブル12の回転方向及び回転速度を変更する点で実施の形態1乃至4と相違する。すなわち、読み取り条件として、第1試料テーブル11及び第2試料テーブル12の回転方向及び回転速度を記憶装置43に記憶しておく。
【0129】
例えば、1回目の読み取り条件では、第1試料テーブル11及び第2試料テーブル12が一定の回転方向及び回転速度を有しているのに対し、2回目の読み取り条件では、第1試料テーブル11及び第2試料テーブル12を都度停止させてバーコードラベルを読み取るというように、第1試料テーブル11及び第2試料テーブル12の回転方向及び回転速度を読み取りごとに変更する。また、2回目の読み取り条件では、1回目の読み取り条件よりも第1試料テーブル11及び第2試料テーブル12の回転速度を小さくして、バーコードラベルを読み取っても良い。いずれもより長い時間レーザ光の反射光を受信することができるので、1回目よりも正常に読み取ることができる可能性が高くなる。
【0130】
一方、1回目の読み取り条件では、第1試料テーブル11及び第2試料テーブル12が一定の回転方向及び回転速度を有しているのに対し、2回目の読み取り条件では、第1試料テーブル11及び第2試料テーブル12の回転方向のみを逆方向に反転させても良い。受信した電圧パルス信号に時間進みあるいは時間遅れが生じている場合には、逆方向から読み取った場合にのみ正常に読み取ることができる場合も生じうるからである。
【0131】
図20及び図21は、本発明の実施の形態5に係る試料分析装置10の制御部4のCPU41の処理手順を示すフローチャートである。図20において、まず制御部4の記憶装置43に、複数の読み取り条件に関する情報を記憶しておく。本実施の形態5では、第1試料テーブル11及び第2試料テーブル12の回転方向及び回転速度に関する情報を複数記憶しておく。制御部4のCPU41は、記憶装置43に記憶してある一の読み取り条件に関する情報を読み出し(ステップS2001)、読み出した一の読み取り条件に関する情報に基づいて読み取り条件、すなわち回転方向及び回転速度を設定する(ステップS2002)。
【0132】
以下、ステップS903乃至ステップS908までの処理は実施の形態1乃至4と同様である。制御部4のCPU41が、第1試料テーブル11及び第2試料テーブル12が一周したと判断した場合(ステップS907:YES)、図21に示すようにCPU41は、記憶装置43に記憶されている他の読み取り条件を読み出し(ステップS2101)、新たな回転方向及び回転速度を設定する(ステップS2102)。
【0133】
CPU41は、記憶装置43に記憶されている回転角度まで、設定された新たな回転方向及び回転速度でもって順次、第1試料テーブル11及び第2試料テーブル12を回転させるよう駆動部2に指示信号を送信し(ステップS2103)、再度バーコードラベルの読み取りを実行してバーコードリーダ3から電圧パルス信号を受信する(ステップS2104)。
【0134】
CPU41は、バーコード情報を正常に読み取ることができたか否かを、バーコードリーダ3から受信した電圧パルス信号が所定の閾値以上であるか否かで判断する(ステップS2105)。CPU41が、所定の閾値以上であると判断した場合には(ステップS2105:YES)、CPU41は、記憶装置43に記憶されている位置情報のうち、新たな閾値以上であると判断されたバーコードラベルの位置情報を削除し(ステップS2106)、記憶されている全ての位置に回転移動したか否かを判断する(ステップS2107)。
【0135】
CPU41が、全ての位置に回転移動したと判断した場合には(ステップS2107:YES)、CPU41は、処理を終了する。CPU41が、まだ全ての位置に回転移動していないと判断した場合には(ステップS2107:NO)、CPU41は、処理をステップS2103へ戻し、次に記憶されている位置へ移動させる指示信号を駆動部2へ送信して(ステップS2103)、上述した処理を繰り返す。
【0136】
CPU41が、所定の閾値より小さいと判断した場合(ステップS2105:NO)、CPU41は、再度正常に読み取ることができなかったと判断し、ステップS2106をスキップする。
【0137】
このように1回目と2回目とで第1試料テーブル11及び第2試料テーブル12の回転方向及び回転速度を変更することにより、1回目の読み取り処理では正常に読み取ることができないと判断されたバーコードラベルについて、読み取るための位置を変更せずに2回目には正常に読み取ることができたと判断される可能性が高くなる。また、1回目で正常に読み取ることができなかったバーコードラベルに対してのみ、読み取るための位置を変更せずに2回目の読み取りを実行することにより、無駄な再読み取り処理を実行することなく、全体として読み取り時間の増加を最小限にとどめることが可能となる。
【0138】
上述した実施の形態5では、バーコードリーダ3が固定されているが、バーコードリーダ3自体が移動可能であっても良い。この場合、バーコードリーダ3と第1試料テーブル11及び第2試料テーブル12との相対速度について、上述した読み取り条件と同様の条件を記憶装置43に記憶しておけば、同様の効果が期待できる。
【0139】
なお、上述した実施の形態5でも、すべての位置についてバーコードラベルを読み取ってから、正常に読み取ることができなかった位置に収容されている容器200に対してのみ再度読み取りを実行しているが、実施の形態1乃至4と同様、バーコードラベルを正常に読み取ることができなかったと判断される都度、読み取るための位置を変更せずに読み取り条件を変更して再読み取りを実行しても良い。この場合であっても、汚れ等により読み取れなかった識別情報を、読み取るための位置を変更せずに2回目には読み取ることができる可能性を高めることが可能となり、ユーザがマニュアルで試料を特定するケースが減少し、試料の取り違い等により誤った分析データを出力する可能性が低くなる。
【0140】
また、読み取り結果等を表示装置5に表示する画面イメージは、実施の形態1と同様であることから、詳細な説明は省略する。
【0141】
また、上述した実施の形態1乃至5は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することができる。すなわち、検体容器、試薬容器等を収容する収容部1は、駆動部2にて回転移動する構成に限定されるものではなく、バーコードリーダ3にて読み取り可能な位置へ相対的に移動することが可能であれば、例えば直線移動であっても良い。また、識別情報がバーコード情報に限定されるものではなく、QRコード等の三次元コードであっても良い。さらに、ICチップを用いた無線通信により、識別情報を読み取っても良いことは言うまでもない。また、上述した実施の形態1乃至5のうちいずれか1つのみを採用してもよいし、それらを組み合わせて採用してもよい。また、上述した実施の形態1乃至5では、1回目の読み取りと2回目の読み取りとで同一のバーコードリーダ3を用いているが、1回目の読み取りと2回目の読み取りとで、使用するバーコードリーダを変更してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0142】
【図1】本発明の実施の形態1に係る試料分析装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る試料分析装置の駆動部の概略構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る試料分析装置の概要を示す部分平面図である。
【図4】第1容器ラックの構成を示す斜視図である。
【図5】第2容器ラックの構成を示す斜視図である。
【図6】容器を1個保持した状態での第1容器ラックの構成を示す斜視図である。
【図7】容器を3個保持した状態での第2容器ラックの構成を示す斜視図である。
【図8】本発明の実施の形態1に係る試料分析装置の読み取り判断方法を説明するための波形図である。
【図9】本発明の実施の形態1に係る試料分析装置の制御部のCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【図10】表示装置に表示される画面の例示図である。
【図11】本発明の実施の形態2に係る試料分析装置の読み取り判断方法を説明するための波形図である。
【図12】本発明の実施の形態2に係る試料分析装置の制御部のCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【図13】本発明の実施の形態2に係る試料分析装置の制御部のCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【図14】本発明の実施の形態3に係る試料分析装置のバーコードリーダ内部の概略構成を示す模式図である。
【図15】本発明の実施の形態3に係る試料分析装置の制御部のCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【図16】本発明の実施の形態3に係る試料分析装置の制御部のCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【図17】本発明の実施の形態4に係る試料分析装置のバーコードリーダから出力される電圧信号を比較するための例示図である。
【図18】本発明の実施の形態4に係る試料分析装置の制御部のCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【図19】本発明の実施の形態4に係る試料分析装置の制御部のCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【図20】本発明の実施の形態5に係る試料分析装置の制御部のCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【図21】本発明の実施の形態5に係る試料分析装置の制御部のCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0143】
1 収容部
2 駆動部
3 バーコードリーダ
4 制御部
5 表示装置
6 可搬型記録媒体
7 コンピュータプログラム
41 CPU
42 RAM
43 記憶装置
44 入力装置
45 出力装置
46 通信装置
47 補助記憶装置
48 内部バス
10 試料分析装置
11 第1試料テーブル
12 第2試料テーブル
13 第1容器ラック
14 第2容器ラック
131b、131c、132b、132c、141b〜146b、141c〜146c、200a バーコードラベル
200 容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体と試薬とを混和して調製された測定試料を分析する試料分析装置において、
複数の読み取り条件に関する情報を記憶する条件記憶手段と、
検体容器、試薬容器、及び前記検体容器又は試薬容器を収容する収容部のうち少なくとも1つを識別するために付与される識別情報を、所定位置から一の読み取り条件にて読み取る識別情報読み取り手段と、
該識別情報読み取り手段が、前記識別情報を正常に読み取ったか否かを判断する判断手段と、
該判断手段で正常に読み取ることができないと判断された場合、前記一の読み取り条件を、記憶されている他の読み取り条件に変更設定する読み取り条件変更手段と
を備えることを特徴とする試料分析装置。
【請求項2】
前記識別情報読み取り手段は、前記判断手段で正常に読み取ることができないと判断された識別情報を、前記所定位置から、変更された前記他の読み取り条件にて再度読み取り、
前記判断手段は、前記識別情報を正常に読み取ったか否かを再度判断することを特徴とする請求項1記載の試料分析装置。
【請求項3】
前記判断手段で正常に読み取ることができないと判断された識別情報の位置を特定する位置特定手段を備え、
前記再読み取り手段は、前記位置特定手段で特定された位置に存在する識別情報を、変更された前記他の読み取り条件にて再度読み取ることを特徴とする請求項1又は2記載の試料分析装置。
【請求項4】
前記識別情報はバーコード情報に含まれており、前記識別情報読み取り手段はバーコードリーダであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の試料分析装置。
【請求項5】
前記他の読み取り条件は、前記バーコードリーダにより前記バーコード情報が読み取られるスキャン幅が、前記一の読み取り条件とは相違することを特徴とする請求項4記載の試料分析装置。
【請求項6】
前記判断手段は、前記識別情報読み取り手段で読み取った識別情報の信号値が所定の閾値より大きいか否かで判断し、
前記他の読み取り条件は、前記所定の閾値が前記一の読み取り条件とは相違することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の試料分析装置。
【請求項7】
前記判断手段は、前記識別情報読み取り手段で読み取った識別情報に基づいて生成される信号の所定のタイミングでの値が所定の閾値より大きいか否かで判断し、
前記他の読み取り条件は、前記所定のタイミング、該タイミングの数及び読み取り順序が前記一の読み取り条件とは相違することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の試料分析装置。
【請求項8】
前記他の読み取り条件は、前記識別情報及び前記識別情報読み取り手段のうち少なくとも1つが前記識別情報の読み取り中に移動することで生じる相対速度が、前記一の読み取り条件とは相違することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の試料分析装置。
【請求項9】
前記一の読み取り条件における相対速度は0より大きく、前記他の読み取り条件における相対速度は0であることを特徴とする請求項8記載の試料分析装置。
【請求項10】
前記一の読み取り条件における相対速度は0より大きく、前記他の読み取り条件における相対速度は前記一の読み取り条件における相対速度より小さいことを特徴とする請求項8記載の試料分析装置。
【請求項11】
前記一の読み取り条件における相対速度は一の方向の速度であり、前記他の読み取り条件における相対速度は前記一の方向と反対方向の速度であることを特徴とする請求項8記載の試料分析装置。
【請求項12】
検体と試薬とを混和して調製された測定試料を分析する試料分析装置で実行することができる試料分析方法において、
複数の読み取り条件に関する情報を記憶し、
検体容器、試薬容器、及び前記検体容器又は試薬容器を収容する収容部のうち少なくとも1つを識別するために付与される識別情報を、所定位置から一の読み取り条件にて読み取り、
該識別情報読み取り手段が、前記識別情報を正常に読み取ったか否かを判断し、
該判断手段で正常に読み取ることができないと判断された場合、前記一の読み取り条件を、記憶されている他の読み取り条件に変更設定することを特徴とする試料分析方法。
【請求項13】
検体と試薬とを混和して調製された測定試料を分析する試料分析装置で実行することが可能なコンピュータプログラムにおいて、
前記コンピュータを、
複数の読み取り条件に関する情報を記憶する条件記憶手段、
検体容器、試薬容器、及び前記検体容器又は試薬容器を収容する収容部のうち少なくとも1つを識別するために付与される識別情報を、所定位置で一の読み取り条件にて読み取る識別情報読み取り手段、
該識別情報読み取り手段が、前記識別情報を正常に読み取ったか否かを判断する判断手段、及び
該判断手段で正常に読み取ることができないと判断された場合、前記一の読み取り条件を、記憶されている他の読み取り条件に変更設定する読み取り条件変更手段
として機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2009−204549(P2009−204549A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−49014(P2008−49014)
【出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】