説明

試料分析装置および試料分析装置の制御方法

【課題】標準試料の測定を適正に行い、検量線を適切に作成することが可能な試料分析装置および試料分析装置の制御方法を提供する。
【解決手段】検体ラックLには、検体を収容した検体容器Tを保持するための保持部が5つ形成されており、アダプタAには、検量線を作成するための標準試料を収容したサンプルカップCを保持するための保持部が6つ形成されている。アダプタAのX軸方向とY軸方向の幅は、検体ラックLと同じであり、アダプタAは、検体ラックLの上面に取り付けられている。このようにアダプタAを装着することにより、検体容器Tを保持する検体ラックLと、サンプルカップCを保持するアダプタAが取り付けられた検体ラックLとを同様に搬送することができる。また、検体ラックLのみを搬送するよう構成された検体搬送部2を用いて、6つの標準試料を2つのラックに跨ることなく搬送することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理ユニットを動作させ測定を行う試料分析装置および試料分析装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の検体容器を保持した検体ラックを搬送し、検体容器中の検体の分析を行う検体分析装置が知られている(たとえば特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、検体ラックをサンプラによって搬送し、検体ラックに収容された標準試料や被検試料を測定する自動分析装置が開示されている。この自動分析装置では、標準試料のデータを処理して検量線の作成を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−64680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の自動分析装置のように、標準試料を測定して検量線を作成する場合には、通常は複数の標準試料を濃度順に検体ラックに保持させ、濃度順に測定を行う。かかる測定では、一つの検体ラックに収容可能な本数より多くの標準試料を測定しなければならないことがある。このとき、標準試料を収容した容器を複数の検体ラックに跨って保持させると、ユーザによってはサンプラにおける検体ラックの配置の順番を間違ってしまうおそれがある。この場合には、標準試料の測定の順番が適正ではなくなり、正しい検量線を作成できないおそれがある。
【0006】
一方、一つの検体ラックが有する容器保持部の数よりも少ない本数の標準試料が測定される場合には、標準試料を収容した容器が連続せずに間を空けて検体ラック内に配置されることがある。このような場合には、標準試料が配置されていない容器保持部から試料が吸引されないことにより吸引異常が発せられ、検量線を適切に作成できないことがある。また、適正に標準試料の測定を行うためには、測定に関する制御が複雑化するおそれがある。
【0007】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、標準試料の測定を適正に行い、検量線を適切に作成することが可能な試料分析装置および試料分析装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様は、試料分析装置に関する。この態様に係る試料分析装置は、被検者の生体試料を収容した容器を保持するための保持部を第1の数だけ有する通常測定用ラックと、標準試料を収容した容器を保持するための保持部を前記第1の数とは異なる第2の数だけ有する検量線測定用ラックとを搬送する搬送部と、前記搬送部により搬送された容器内の試料を測定する測定部と、前記搬送部により搬送されるラックが通常測定用ラックであるか検量線測定用ラックであるかを判定し、前記搬送部により搬送されるラックが前記検量線測定用ラックであると判定した場合には、検量線測定用ラックに応じた搬送動作を行うよう前記搬送部を制御するとともに、前記搬送部により搬送されたラックに保持された容器内の標準試料を所定の順番で測定するよう前記測定部を制御し、得られた複数
の測定結果に基づいて、生体試料の測定結果の解析に用いられる検量線を作成する制御部と、を備える。
【0009】
本態様に係る試料分析装置によれば、通常測定用ラックとは異なる本数の容器を保持可能な検量線測定用ラックを、通常測定用ラックとは別に設け、搬送されたラックが検量線測定用ラックと識別されると、検量線作成のための搬送動作および測定動作を自動で実行することができる。そのため、通常の被検者の生体試料を測定する場合とは異なる本数の標準試料を測定する場合であっても、適正に測定することが容易となる。たとえば、通常の被検者の生体試料を測定する場合よりも多くの本数の標準試料を測定する場合には、検量線測定用ラックにより多くの容器を保持させることができる。これにより、2つのラックに容器を跨らせることなく、1つの検量線測定用ラックに全ての標準試料の容器を保持させることができ、間違った順番で標準試料が測定されることを抑制することができる。そのため、標準試料の測定を適正に行い、検量線を適切に作成することが可能となる。
【0010】
また、本態様に係る試料分析装置は、前記搬送部により搬送されるラックに付された第1記録部から、当該ラックが前記通常測定用ラックであるか前記検量線測定用ラックであるかを識別するためのラック識別情報を読み取るための読取部と、前記検量線測定用ラックを示すラック識別情報と対応付けて、測定項目を記憶する記憶部とをさらに備える構成とされ得る。ここで、前記制御部は、前記読取部が前記検量線測定用ラックを示すラック識別情報を読み取った場合には、そのラック識別情報に対応する測定項目に基づいて、前記検量線作成のための測定を実行させる構成とされ得る。こうすると、所望の検量線測定を確実に実行させることができる。
【0011】
この場合、本態様に係る試料分析装置は、表示部と、入力部と、をさらに備える構成とされ得る。ここで、前記表示部は、前記入力部により前記検量線測定用ラックを示すラック識別情報を入力するための第1入力欄と、前記入力部により測定項目を入力するための第2入力欄とを有するオーダ登録画面を表示し、前記記憶部は、前記第1入力欄に入力されたラック識別情報と対応付けて、前記第2入力欄に入力された測定項目を記憶する構成とされ得る。こうすると、検量線作成のための測定オーダ情報を容易に設定することができる。
【0012】
また、本態様に係る試料分析装置において、前記検量線測定用ラックは、容器を保持するための保持部を前記第2の数だけ有するアダプタが前記通常測定用ラックに取り付けられたラックであり、当該試料分析装置は、前記アダプタが取り付けられたラックを検出するための検出部をさらに備える構成とされ得る。ここで、前記制御部は、前記検出部が前記アダプタが取り付けられたラックを検出した場合に、前記搬送部により搬送されるラックが前記検量線測定用ラックであると判定する構成とされ得る。この構成によれば、アダプタをラックに取り付けることによって、保持可能な容器の本数を変更しているので、複数種類のラックを用いる必要がない。また、単一のラックのみに対応して搬送部を設計することができるので、搬送部の構成が複雑化することを抑制することができる。
【0013】
この場合、前記通常測定用ラックの複数の保持部は、第1の間隔をおいて形成され、前記アダプタの複数の保持部は、前記第1の間隔よりも小さい第2の間隔をおいて形成されている構成とされ得る。こうすると、容器の並ぶ方向におけるラックの長さとアダプタの長さを同一にした場合であっても、容器の保持本数を変更することができる。また、この場合、単一のラックの長さに対応して搬送部を設計すればよく、搬送部の設計を簡略化することができる。
【0014】
また、この場合、前記搬送部は、ラックを所定の位置に向かって搬送するための搬送路を有する構成とされ得る。ここで、前記測定部は、前記所定の位置に位置づけられた容器
内の試料を測定するように構成され、前記制御部は、前記搬送部が前記通常測定用ラックを搬送する場合においては、前記搬送路に沿って前記通常測定用ラックを前記第1の間隔に応じた第1の距離だけ前記搬送路上の前記所定の位置に向かって移動させることによって、前記通常測定用ラックの保持部に保持された容器を前記所定の位置に位置づける構成とされ得る。また、前記制御部は、前記搬送部が前記検量線測定用ラックを搬送する場合においては、前記搬送路に沿って前記検量線測定用ラックを前記第2の間隔に応じた第2の距離だけ前記所定の位置に向かって移動させることによって、前記検量線測定用ラックのアダプタの保持部に保持された容器を前記所定の位置に位置づけるように前記搬送部を制御する構成とされ得る。こうすると、搬送対象が通常測定用ラックであるか検量線測定用ラックであるかに応じて搬送距離を変更することによって、容器の保持間隔が異なる場合であっても、精度良く容器を所定位置に位置づけることができる。
【0015】
また、本態様に係る試料分析装置は、吸引管と、液面を検知する液面検知手段とを備え、前記吸引管を容器内に挿入することにより当該容器内の液体を吸引する吸引部をさらに備える構成とされ得る。ここで、前記吸引部は、容器内の液体の吸引の際に、前記吸引管を下降させ、前記液面検知手段により液面が検知されたことに基づいて、前記吸引管の下降を停止させる構成とされ得る。こうすると、アダプタが取り付けられている場合とアダプタが取り付けられていない場合とで、吸引管の制御を切り替える必要がないため、制御を単純化することができる。
【0016】
また、本態様に係る試料分析装置において、前記検量線測定用ラックが、上記のように、容器を保持するための保持部を前記第2の数だけ有するアダプタが前記通常測定用ラックに取り付けられたラックであって、当該試料分析装置が、前記読取部と前記検出部とを備える場合、前記制御部は、前記検出部が前記アダプタが取り付けられたラックを検出し、前記読取部が前記通常測定用ラックの識別情報を読み取った場合に、警告のための処理を実行する構成とされ得る。こうすると、ユーザが意図していない測定が行われることをより確実に防止することができる。
【0017】
また、本態様に係る試料分析装置において、前記検量線測定用ラックは、容器の並び方向において前記通常測定用ラックと同じ長さを有する構成とされ得る。こうすると、搬送部の設計を簡略化させることができ、搬送部の構成が複雑化することを抑制することができる。
【0018】
また、本態様に係る試料分析装置において、前記記憶部は、通常測定用ラックに収容される生体試料を識別するための試料識別情報と対応付けて測定項目を記憶し、前記通常測定用ラックに保持された各容器には試料識別情報が記録された第2記録部が付されており、前記制御部は、前記読取部が通常測定用ラックを示すラック識別情報を読み取った場合には、通常測定用ラックに応じた搬送動作を行うよう前記搬送部を制御するとともに、前記搬送部により搬送されたラックに保持された各容器の第2記録部から試料識別情報を前記読取部に読み取らせ、前記読取部により読み取られた試料識別情報に対応する測定項目に基づいて、各容器内の生体試料の測定を前記測定部に実行させる構成とされ得る。
【0019】
また、本態様に係る試料分析装置において、前記第2の数は、検量線作成に必要な容器の数であるよう構成され得る。
【0020】
また、本態様に係る試料分析装置において、前記第2の数は、前記第1の数より多いよう構成され得る。
【0021】
本発明の第2の態様は、ラックを搬送する搬送部と、前記ラックに保持された容器内の試料を測定する測定部とを有する試料分析装置の制御方法に関する。この態様に係る試料
分析装置の制御方法は、被検者の生体試料を収容した容器を保持するための保持部を第1の数だけ有する通常測定用ラックと、標準試料を収容した容器を保持するための保持部を前記第1の数とは異なる第2の数だけ有する検量線測定用ラックとのいずれが前記搬送部の搬送対象であるかを判別するステップと、前記判別ステップにより、前記搬送対象のラックが前記検量線測定用ラックであると判別された場合には、検量線測定用ラックに応じた搬送動作を行うよう前記搬送部を制御する搬送ステップと、前記搬送部により搬送されたラックに保持された容器内の標準試料を所定の順番で測定するよう前記測定部を制御する測定ステップと、前記測定ステップにより得られた複数の測定結果に基づいて、生体試料の測定結果の解析に用いられる検量線を作成する検量線作成ステップと、を備える。
【0022】
本態様に係る試料分析装置の制御方法によれば、上記第1の態様に係る試料分析装置と同様の効果が奏され得る。
【0023】
また、本態様に係る試料分析装置の制御方法において、前記検量線測定用ラックは、容器を保持するための保持部を前記第2の数だけ有するアダプタが前記通常測定用ラックに取り付けられたラックであり、当該試料分析装置の制御方法は、前記アダプタが取り付けられたラックを検出するための検出ステップをさらに備え、前記判別ステップは、前記検出ステップにおいて前記アダプタが取り付けられたラックが検出された場合に、前記搬送対象のラックが前記検量線測定用ラックであると判別する構成とされ得る。
【発明の効果】
【0024】
以上のとおり、本発明によれば、標準試料の測定を適正に行い、検量線を適切に作成することが可能な試料分析装置および試料分析装置の制御方法を提供することができる。
【0025】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施の形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施の形態により何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】実施の形態に係る免疫分析装置の全体構成を示す斜視図である。
【図2】実施の形態に係る検体搬送部を上側から見た場合の構成を示す平面図である。
【図3】実施の形態に係る検体容器、検体ラック、サンプルカップ、およびアダプタが取り付けられた検体ラックの構成を示す図である。
【図4】実施の形態に係る検体ラックと、アダプタが取り付けられた検体ラックとを上側から見た場合の構成を示す平面図、およびセンサの位置を示す側面図である。
【図5】実施の形態に係る移動機構の構成を示す平面図および係合ユニットの要部を示す側面図である。
【図6】実施の形態に係る測定部を上側から見た場合の構成を示す平面図である。
【図7】実施の形態に係る検体分注アームのピペットの近傍を示す側面図および液面検知が行われる状態を示す側面図である。
【図8】実施の形態に係る検体搬送部および測定部の構成を示す図である。
【図9】実施の形態に係る制御装置の構成を示す図である。
【図10】実施の形態に係る検量線ラック設定画面を示す図である。
【図11】実施の形態に係る検量線画面を示す図である。
【図12】実施の形態に係る測定部のCPUによる処理を示すフローチャートである。
【図13】実施の形態に係る検体ラックの搬送を説明する図である。
【図14】実施の形態に係るアダプタが取り付けられた検体ラックの搬送を説明する図およびラックID異常画面を示す図である。
【図15】実施の形態に係る制御装置のCPUによる処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本実施の形態は、血液などの検体を用いてB型肝炎、C型肝炎、腫瘍マーカおよび甲状腺ホルモンなど種々の項目の検査を行うための免疫分析装置に本発明を適用したものである。
【0028】
以下、本実施の形態に係る免疫分析装置について、図面を参照して説明する。
【0029】
図1は、免疫分析装置1の全体構成を示す斜視図である。免疫分析装置1は、検体搬送部(サンプラ)2と、測定部3と、制御装置4とを備えている。
【0030】
検体搬送部2は、検体を収容した検体容器Tが保持された検体ラックLを搬送可能に構成されている。検体容器Tと検体ラックLの構成については、追って図3(a)、(b)を参照して説明する。測定部3は、検体搬送部2によって搬送され所定位置に位置付けられた検体容器Tから、検体を吸引して測定を行う。測定部3によって測定された検体の測定データは、濃度が既知の標準試料(キャリブレータ)を測定することにより予め求められた検量線を用いて変換される。これにより、検体についての解析結果が得られる。制御装置4は、本体400と、タッチパネルからなる表示入力部410を備え、ユーザからの指示を受け付けて検体搬送部2と測定部3を制御する。
【0031】
図2は、検体搬送部2を上側から見た場合の構成を示す平面図である。
【0032】
検体搬送部2は、ラックセット部210と、ラック搬送部220と、ラック貯留部230とを備えている。ラックセット部210と、ラック搬送部220と、ラック貯留部230とは、5本の検体容器Tを保持可能な検体ラックLを、一点鎖線の矢印に沿って搬送できるように構成されている。また、本実施の形態のラックセット部210と、ラック搬送部220と、ラック貯留部230は、アダプタAが取り付けられることにより6個のサンプルカップCを保持可能な検体ラックLも、同様に搬送できるように構成されている。
【0033】
図3(a)、(b)は、それぞれ、検体容器Tと検体ラックLの構成を示す図である。
【0034】
図3(a)を参照して、検体容器Tは、透光性を有するガラスまたは合成樹脂により構成された管状容器であり、上端が開口している。検体容器Tの側面には、バーコードラベルT1が貼付されている。バーコードラベルT1には、検体IDを示すバーコードが印刷されている。検体容器Tは、患者から採取された血液検体を収容しており、上端の開口は蓋部T2により密封されている。
【0035】
図3(b)を参照して、検体ラックLには、5本の検体容器Tを垂直に保持することが可能な保持部L01〜L05が形成されている。検体ラックLの前方の側面(Y軸負方向側の面)には、バーコードラベルL1が貼付されている。バーコードラベルL1には、ラックIDを示すバーコードが印刷されている。検体ラックLの下面には、凹部L2が形成されている。凹部L2は、後述するラック搬送部220の下方に配された係合爪B11a、B12aが係合することが可能な形状となっている。
【0036】
なお、検体ラックLの前方の側面には、保持部L01〜L05の位置に応じて5つの開口部L3が形成されている。同様に、検体ラックLの後方の側面にも、保持部L01〜L05の位置に応じて5つの開口部が形成されている。
【0037】
図3(c)、(d)は、それぞれ、サンプルカップCと、アダプタAが取り付けられた検体ラックLの構成を示す図である。
【0038】
図3(c)を参照して、サンプルカップCは、検量線を作成するための標準試料を収容しており、蓋部C1により密封されている。なお、サンプルカップCにはバーコードラベルは貼付されない。
【0039】
図3(d)を参照して、アダプタAの長手方向および短手方向の幅(X軸方向およびY軸方向の幅)は、検体ラックLと同じである。アダプタAには、6個のサンプルカップCを垂直に保持することが可能な保持部A01〜A06が形成されている。また、アダプタAの下端には、検体ラックLの保持部L01、L03、L05に対応する位置に、それぞれ鍔部A1〜A3が形成されている。図3(b)の状態の検体ラックLに対して、保持部L01、L03、L05に、鍔部A1〜A3が上側から嵌合することにより、図3(d)に示すようにアダプタAが検体ラックLに取り付けられる。
【0040】
このように、5つの保持部しか形成されていない検体ラックLに対して、6つの保持部が形成されたアダプタAが取り付けられると、検体ラックLに対して6個のサンプルカップCを保持させることができる。なお、保持部A01〜A06にサンプルカップCを保持させた場合、サンプルカップCの下端はアダプタAの下面よりも上側に位置付けられる。これにより、検体ラックLの保持部の数に拘わらず、アダプタAの保持部の数に応じてサンプルカップCを保持させることができる。なお、アダプタAには、濃度が最も薄い標準試料を先頭にして、濃度順に6つの標準試料が収容される。
【0041】
図4(a)、(b)は、それぞれ、検体ラックLと、アダプタAが取り付けられた検体ラックLとを、上側から見た場合の構成を示す平面図である。
【0042】
図4(a)を参照して、検体ラックLにおいて、右端の保持部L01と左端の保持部L05の中心間の距離はD1であり、右端の保持部L01の中心は右側面からD2だけ離れている。また、保持部L01〜L05の中心間の距離はd1である。図4(b)を参照して、検体ラックLと同様、アダプタAにおいても、右端の保持部A01と左端の保持部A06の中心間の距離はD1であり、右端の保持部A01の中心は右側面からD2だけ離れている。また、保持部A01〜A06の中心間の距離は、d1よりも小さいd2である。
【0043】
図2に戻り、ラックセット部210に、検体ラックLまたはアダプタAが取り付けられた検体ラックLがセットされると、この検体ラックLはラックセット部210に配されたセンサにより検出される。しかる後、この検体ラックLは、前方の側面がラック送込機構211によって後方(Y軸正方向)に押されて、ラック搬送部220の搬送路221上の左端位置に位置付けられる。
【0044】
ラック搬送部220の左端近傍には、透過型のセンサ222a、222bと、レバー式のセンサ223が配されている。図4(c)に示すように、上下方向(Z軸方向)において、センサ222a、222bは、検体ラックLの上面と下面の間に配されており、センサ223は、検体ラックLに取り付けられたアダプタAの上面と下面の間に配されている。
【0045】
センサ222a、222bにより、ラックセット部210から搬送路221上の左端位置に位置付けられた検体ラックLが検出される。また、搬送路221上の左端位置に位置付けられた検体ラックLにアダプタAが取り付けられている場合、センサ223がアダプタAの側面によりY軸正方向に押し込まれる。これにより、検体ラックLにアダプタAが取り付けられていることが検出される。
【0046】
ラック搬送部220の搬送路221の下方(Z軸負方向側)には、検体ラックLを左右(X軸方向)に搬送するための移動機構Bが配されている。搬送路221上の左端位置に位置付けられた検体ラックLは、移動機構Bにより搬送路221上を右方向に搬送される。
【0047】
ラック搬送部220の中央近傍には、反射型のセンサ224a、224bが配されている。センサ224a、224bは、図4(d)に示すように、上下方向(Z軸方向)の異なる位置に配されている。図4(d)には、検体容器TとサンプルカップCが保持されているときの上下方向の位置が併せて示されている。センサ224aは、検体ラックLの後方の側面(Y軸正方向側の面)の開口部に対応する高さ位置に配されており、センサ224bは、検体ラックLに取り付けられたアダプタAにサンプルカップCが保持されたとき、サンプルカップCの蓋部C1に対応する高さ位置に配されている。
【0048】
センサ224aの正面(Y軸負方向側)に検体ラックLの保持部が位置付けられると、センサ224aにより、検体ラックLの後方の側面(Y軸正方向側の面)の開口部を介して、この保持部に検体容器Tが保持されているか否かが検出される。センサ224bの正面にアダプタAの保持部が位置付けられると、センサ224bにより、この保持部にサンプルカップCが保持されているか否かが検出される。
【0049】
また、ラック搬送部220の中央近傍には、バーコードリーダ225が配されている。バーコードリーダ225は、ラック搬送部220の中央近傍において、左右方向に移動可能となっている。バーコードリーダ225の正面(Y軸正方向側)に検体ラックLのバーコードラベルL1が位置付けられると、バーコードリーダ225により、バーコードラベルL1からラックIDが読み取られる。また、バーコードリーダ225が左右方向に動いて、バーコードリーダ225が検体容器Tの正面(Y軸負方向側)に位置付けられると、バーコードリーダ225により、検体容器TのバーコードラベルT1から検体IDが読み取られる。
【0050】
また、ラック搬送部220の中央近傍には、測定部3により、検体容器T内の検体が吸引され、サンプルカップC内の標準試料が吸引される吸引位置P1が設定されている。吸引位置P1に吸引対象の検体容器TまたはサンプルカップCが位置付けられると、後述する測定部3の検体分注アーム311により、検体容器Tに収容された検体またはサンプルカップCに収容された標準検体が吸引される。吸引が終了した検体ラックLは、搬送路221の右端位置まで搬送される。
【0051】
搬送路221の右端位置に位置付けられた検体ラックLは、ラック押出し機構226が前方(Y軸負方向)に移動することにより、ラック貯留部230に押し出される。ラック貯留部230に押し出された検体ラックLは、ラック送込機構231により、ラック貯留部230の前方位置まで搬送される。
【0052】
図5(a)は、ラック搬送部220の搬送路221の下方(Z軸負方向側)に配された移動機構Bの構成を示す平面図である。
【0053】
移動機構Bは、Y軸方向に並べて配置されている2つのラック横送り部B1からなる。2つのラック横送り部B1は、検体ラックLに対して係合可能な係合ユニットB10と、係合ユニットB10を左右に移動させる移動ユニットB20と、透過型のセンサB31、B32とを備えている。
【0054】
移動ユニットB20は、搬送路221の左端近傍に配されたプーリB21と、搬送路2
21の右端近傍に配されたプーリB22と、プーリB21、B22に掛け渡されたベルトB23と、プーリB22を回転させるステッピングモータB24と、ステッピングモータB24の回転変位量に応じたパルス数を出力するロータリーエンコーダB25とを備えている。
【0055】
係合ユニットB10は、ベルトB23に連結され、ステッピングモータB24が駆動されると、左右に移動するように構成されている。係合ユニットB10の移動量は、ロータリーエンコーダB25が出力するパルス数によって検出される。また、係合ユニットB10の移動始点位置と移動終点位置とが、係合ユニットB10の駆動範囲内の左端と右端とに、それぞれ設定されている。センサB31、B32は、それぞれ、移動始点位置と移動終点位置に配置された係合ユニットB10を検出する。
【0056】
図5(b)は、係合ユニットB10の要部を示す側面図である。
【0057】
係合ユニットB10は、係合部材B11、B12を有している。係合部材B11、B12の上端には、それぞれ、係合爪B11a、B12aが形成されている。また、係合部材B11、B12は、係合ユニットB10内で上下方向に移動可能でありX−Z平面内で回転可能に構成されている。係合ユニットB10は、搬送路221の下方(Z軸負方向側)においてX軸方向に沿って配置されたガイドレール227に摺動自在に係合している。係合ユニットB10は、ガイドレール227と移動ユニットB20により、左右方向に移動する。
【0058】
検体ラックLが搬送路221上を左右に搬送される場合、まず、係合部材B11、B12が上側に移動する。これにより、係合爪B11a、B12aが、搬送路221の溝221aまたは221b(図2参照)を介して搬送路221の上側に突出して、検体ラックLの凹部L2内に挿入される。続いて、係合爪B11a、B12aが互いに離反するよう、係合部材B11、B12がX−Z平面内で回転される。これにより、図5(b)に示すように、係合爪B11a、B12aが検体ラックLの凹部L2に係合する。この状態で、係合ユニットB10が左右方向に移動することにより、検体ラックLが左右方向に搬送される。検体ラックLの搬送が終了すると、係合爪B11a、B12aが互いに近づけられるよう係合部材B11、B12がX−Z平面内で回転される。続いて、係合部材B11、B12が下側に移動され、係合爪B11a、B12aが搬送路221の下側に位置付けられる。
【0059】
このような係合ユニットB10を有するラック横送り部B1が、搬送路221の下方に、図5(a)に示すようにY軸方向に配置されている。これにより、ラック搬送部220において、2つの検体ラックLが独立して左右方向に搬送される。
【0060】
図6は、測定部3を上側から見た場合の構成を示す平面図である。
【0061】
測定部3は、検体分注アーム311と、R1試薬分注アーム312と、R2試薬分注アーム313と、R3試薬分注アーム314と、反応部320と、キュベット供給部330と、1次BF(Bound Free)分離部341と、2次BF分離部342と、ピペットチップ供給部350と、検出部360と、R4/R5試薬供給部370と、試薬設置部380を備えている。
【0062】
免疫分析装置1では、測定対象である血液等の検体と緩衝液(R1試薬)とを混合させ、得られた混合液に、検体に含まれる抗原に結合する捕捉抗体を担持した磁性粒子を含む試薬(R2試薬)を添加する。抗原と結合した捕捉抗体を担持する磁性粒子を1次BF分離部341の磁石に引き寄せることにより、捕捉抗体と結合しなかった検体内の成分を除
去する。そして、標識抗体(R3試薬)をさらに添加した後に、標識抗体および抗原に結合した捕捉抗体を担持する磁性粒子を2次BF分離部342の磁石に引き寄せることにより、未反応の標識抗体を含むR3試薬を除去する。さらに、分散液(R4試薬)および標識抗体との反応過程で発光する発光基質(R5試薬)を添加した後、標識抗体と発光基質との反応によって生じる発光量を測定する。このような過程を経て、標識抗体に結合する検体に含まれる抗原が定量的に測定される。
【0063】
キュベット供給部330は、複数のキュベットを収納可能に構成されており、検体分注アーム311による吐出位置P2にキュベットを1つずつ順次供給する。
【0064】
R1試薬分注アーム312には、R1試薬の吸引および吐出を行うためのピペット311aが取り付けられている。R1試薬分注アーム312は、ピペット312aを用いて、試薬設置部380に設置されたR1試薬を吸引し、吸引したR1試薬を吐出位置P2に載置されたキュベットに分注(吐出)する。
【0065】
ピペットチップ供給部350は、投入された複数のピペットチップ350a(図7(a)参照)を1つずつ検体分注アーム311によるチップ装着位置まで搬送する。しかる後、ピペットチップ350aは、チップ装着位置において、検体分注アーム311のピペット311aの先端に取り付けられる。検体分注アーム311は、装着されたピペットチップ350aを用いて、検体搬送部2により吸引位置P1に搬送された検体容器T内の検体またはサンプルカップC内の標準試料を吸引する。
【0066】
図7(a)は、検体分注アーム311のピペット311aの近傍を示す側面図である。図7(a)は、ピペット311aの下端(Z軸負方向側の端)に、ピペットチップ350aが装着されている状態を示している。
【0067】
ピペット311aの先端近傍の内側には、圧力を検知するためのセンサ311bが配されている。また、検体分注アーム311は、空気を排出/吸引するシリンジ部311cを有している。検体分注アーム311は、検体分注アーム311を上下(Z軸方向)に移動させるための機構により支持されており、かかる機構はステッピングモータ311d(図8参照)により上下に移動させられる。また、ロータリーエンコーダ311e(図8参照)は、ステッピングモータ311dの回転変位に応じたパルス数を出力する。
【0068】
検体分注アーム311により、吸引位置P1に位置付けられた検体および標準試料が吸引される場合、まず、検体分注アーム311がX−Y平面内で移動されて、ピペット311aが吸引位置P1に位置付けられる。しかる後、検体分注アーム311がステッピングモータ311dにより下方に移動させられる。このとき、シリンジ部311cから空気が送られて、ピペットチップ350aの下端から空気が排出され続ける。図7(b)、(c)に示すように、ピペットチップ350aの下端が、検体容器Tの蓋部T2またはサンプルカップCの蓋部C1を貫通して、検体または標準試料に接触すると、センサ311bにより検出される圧力が上昇する。これにより、吸引対象の検体または標準試料の液面が検知される。液面が検知されるとピペットチップ350aの下降が停止される。この状態から、ピペットチップ350aが僅かに下降されて、ピペット311aを介して所定量の検体または標準試料が吸引される。
【0069】
なお、標準試料に対して行う測定は、検体に対して行う測定と略同じであるため、以下、検体に対して行う測定を中心に説明する。
【0070】
図6に戻り、検体分注アーム311は、吸引した検体を、吐出位置P2のキュベットに分注(吐出)する。このキュベットには、予め、R1試薬分注アーム312によりR1試
薬が分注されている。その後、このキュベットは、R1試薬分注アーム312の図示しないキャッチャにより、反応部320に移送される。
【0071】
R2試薬分注アーム313には、R2試薬の吸引および吐出を行うためのピペット313aが取り付けられている。R2試薬分注アーム313は、ピペット313aを用いて、試薬設置部380に設置されたR2試薬を吸引し、吸引したR2試薬を、R1試薬および検体を収容するキュベットに分注(吐出)する。
【0072】
反応部320は、図示の如く、円形形状を有する試薬設置部380の周囲を取り囲むように円環状に形成されている。また、反応部320は、外形に沿って所定間隔に配置された複数のキュベット設置部320aを有する。キュベット設置部320aにセットされたキュベットは約42℃に加温される。これにより、キュベット内の検体と各種試薬との反応が促進される。また、反応部320は、時計回り方向に回転可能に構成され、キュベット設置部320aにセットされたキュベットを、各種処理(試薬の分注など)が行われるそれぞれの処理位置まで移動させる。
【0073】
検体、R1試薬およびR2試薬を収容するキュベットが、図示しないキャッチャにより反応部320から1次BF分離部341に移送される。1次BF分離部341は、キュベット内の試料から捕捉抗体と結合しなかった検体内の成分を除去する。
【0074】
R3試薬分注アーム314には、R3試薬の吸引および吐出を行うためのピペット314aが取り付けられている。R3試薬分注アーム314は、ピペット314aを用いて、試薬設置部380に設置されたR3試薬を吸引する。また、R3試薬分注アーム314は、ピペット314aを用いて、吸引したR3試薬を1次BF分離部341から反応部320に移送されたキュベットに分注(吐出)する。
【0075】
1次BF分離部341による除去処理後の試料とR3試薬とを収容するキュベットが、図示しないキャッチャにより反応部320から2次BF分離部342に移送される。2次BF分離部342は、未反応の標識抗体を含むR3試薬を除去する。
【0076】
R4/R5試薬供給部370は、図示しないチューブにより、2次BF分離部342による除去処理後の試料を収容するキュベットに、R4試薬およびR5試薬を順に分注する。
【0077】
検出部360は、所定の処理が行われた検体の抗原に結合する標識抗体と発光基質との反応過程で生じる光を、光電子増倍管(Photo Multiplier Tube)で取得することにより
、その検体に含まれる抗原の量を測定する。
【0078】
図8は、検体搬送部2と測定部3の構成を示す図である。
【0079】
検体搬送部2は、通信インターフェース21と、ステッピングモータ部22と、ロータリーエンコーダ部23と、センサ部24と、機構部25と、バーコードリーダ225(図2参照)とを含んでいる。
【0080】
通信インターフェース21は、測定部3と、検体搬送部2内の各部に接続されている。ステッピングモータ部22は、図5(a)に示す2つのステッピングモータB24を含んでおり、ロータリーエンコーダ部23は、図5(a)に示す2つのロータリーエンコーダB25を含んでいる。ステッピングモータ部22に含まれるステッピングモータは、通信インターフェース21を介して測定部3から送信される信号に基づいて制御される。ロータリーエンコーダ部23に含まれるロータリーエンコーダは、対応するステッピングモー
タの回転変位量に応じたパルス数を出力する。ロータリーエンコーダ部23に含まれるロータリーエンコーダから出力されるパルス数は、通信インターフェース21を介して測定部3に送信される。
【0081】
センサ部24は、図2に示すセンサ222a、222bと、センサ223と、センサ224a、224bと、図5(a)に示すセンサB31、B32と、検体搬送部2に配されるその他のセンサを含んでいる。センサ部24に含まれるセンサの検出信号は、通信インターフェース21を介して測定部3に送信される。機構部25は、図2に示すラック送込機構211、231と、ラック押出し機構226を駆動するための機構を含んでいる。機構部25に含まれる機構は、通信インターフェース21を介して測定部3から送信される信号に基づいて制御される。
【0082】
バーコードリーダ225は、通信インターフェース21を介して測定部3から送信される信号に基づいて制御され、バーコードリーダ225により読み取られた検体IDとラックIDは、通信インターフェース21を介して測定部3に送信される。
【0083】
測定部3は、制御部31と、ステッピングモータ部32と、ロータリーエンコーダ部33と、センサ部34と、機構部35とを含んでいる。制御部31は、CPU31aと、ROM31bと、RAM31cと、通信インターフェース31dと、I/Oインターフェース31eとを含んでいる。
【0084】
CPU31aは、ROM31bに記憶されているコンピュータプログラムおよびRAM31cにロードされたコンピュータプログラムを実行する。また、ROM31bには、検体ラックLを搬送路221上の所望の位置に位置付けるためにステッピングモータB24に出力するパルス数が記憶されている。CPU31aは、かかるパルス数を参照して、検体搬送部2のステッピングモータB24に対して必要なパルス数を出力し、検体ラックLを左右方向に搬送して所望の位置に位置付ける。なお、制御部31内にROM31bとは別に、記憶内容を書き換え可能なバッテリーバックアップRAMが設けられる場合には、かかるパルス数はバッテリーバックアップRAMに記憶されるようにしても良い。
【0085】
通信インターフェース31dは、検体搬送部2と制御装置4に接続されている。CPU31aは、通信インターフェース31dを介して、検体の光学的な情報(標識抗体と発光基質との反応によって生じる発光量のデータ等)を制御装置4に送信すると共に、制御装置4からの信号を受信する。また、CPU31aは、通信インターフェース31dを介して、検体搬送部2に対して駆動指示のための信号を送信すると共に、検体搬送部2からの信号を受信する。
【0086】
また、CPU31aは、I/Oインターフェース31eを介して、ステッピングモータ部32と、ロータリーエンコーダ部33と、センサ部34と、機構部35に接続されている。
【0087】
ステッピングモータ部32は、検体分注アーム311のステッピングモータ311dを含んでおり、ロータリーエンコーダ部33は、検体分注アーム311のロータリーエンコーダ311eを含んでいる。ステッピングモータ部32に含まれるステッピングモータは、CPU31aにより制御される。ロータリーエンコーダ部33に含まれるロータリーエンコーダから出力されるパルス数は、CPU31aに出力される。
【0088】
センサ部34は、図7に示すセンサ311bを含んでいる。センサ部34に含まれるセンサはCPU31aにより制御され、センサ部34に含まれるセンサの検出信号はCPU31aに出力される。機構部35は、図7に示すシリンジ部311cを駆動するための機
構を含んでおり、機構部35に含まれる機構はCPU31aにより制御される。
【0089】
図9は、制御装置4の構成を示す図である。
【0090】
制御装置4は、パーソナルコンピュータからなり、本体400と表示入力部410から構成されている。本体400は、CPU401と、ROM402と、RAM403と、ハードディスク404と、読出装置405と、入出力インターフェース406と、画像出力インターフェース407と、通信インターフェース408を有する。
【0091】
CPU401は、ROM402に記憶されているコンピュータプログラムおよびRAM403にロードされたコンピュータプログラムを実行する。RAM403は、ROM402およびハードディスク404に記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、RAM403は、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU401の作業領域としても利用される。
【0092】
ハードディスク404には、オペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムなど、CPU401に実行させるためのコンピュータプログラムおよびコンピュータプログラムの実行に用いるデータが記憶されている。具体的には、測定や解析に用いられるコンピュータプログラムやデータの他、検量線ラック設定画面500(図10参照)と検量線画面600(図11参照)を表示するためのプログラム等が記憶されている。
【0093】
読出装置405は、CDドライブまたはDVDドライブ等によって構成されており、記録媒体に記録されたコンピュータプログラムおよびデータを読み出すことができる。
【0094】
入出力インターフェース406は、表示入力部410から出力された信号を受け付ける。画像出力インターフェース407は、画像データに応じた映像信号を表示入力部410に出力する。表示入力部410は、画像出力インターフェース407から出力された映像信号をもとに画像を表示するとともに、表示入力部410の画面を介してユーザから受け付けた指示を入出力インターフェース406に出力する。
【0095】
なお、表示入力部410を介して文字を入力する場合には、表示入力部410に文字の入力を受け付けるためのキーボード画像が表示される。ユーザは、この画像上に表示された文字を押下することにより、文字を入力することができる。
【0096】
通信インターフェース408は、本体400側の信号を測定部3に送信し、測定部3から送信された信号を受信する。
【0097】
図10は、制御装置4の表示入力部410に表示される検量線ラック設定画面500を示す図である。検量線ラック設定画面500は、オーダリスト表示領域510と、入力ボックス521、522と、測定オーダ表示領域530と、OKボタン541と、キャンセルボタン542とを含んでいる。
【0098】
ユーザは、検量線を作成する場合、検体ラックLに取り付けられたアダプタAの保持部A01〜A06に、標準試料を収容するサンプルカップCを保持させると共に、検量線ラック設定画面500を介して、この検体ラックLのラックID等を登録する。
【0099】
ユーザは、サンプルカップCを保持させるアダプタAが取り付けられた検体ラックLのラックIDを、入力ボックス521に入力する。入力ボックス522は、予め登録された測定項目を選択可能に構成されており、ユーザは、入力ボックス522を操作して測定項目を入力する。オーダリスト表示領域510と測定オーダ表示領域530の表示は、入力
ボックス521で入力されたラックIDと、入力ボックス522で選択された測定項目に応じて行われる。ユーザは、オーダリスト表示領域510と測定オーダ表示領域530の表示内容により、検量線作成に関する情報を確認することができる。
【0100】
ユーザによりOKボタン541が押下されると、検量線作成に使用される検体ラックLのラックIDと測定項目とを含む情報(以下、「測定オーダ情報」という)が、互いに対応付けられて、制御装置4のハードディスク404に記憶される。ユーザによりキャンセルボタン542が押下されると、ハードディスク404に情報が記憶されることなく、検量線ラック設定画面500が閉じられる。
【0101】
なお、被検者から採取された検体の検体IDと測定項目とを対応付けた測定オーダ情報も、制御装置4のハードディスク404に記憶されている。
【0102】
図11は、制御装置4の表示入力部410に表示される検量線画面600を示す図である。検量線画面600は、グラフ表示領域610と、バリデートボタン620と、バリデーション表示領域631、632とを含んでいる。
【0103】
図10の検量線ラック設定画面500を介して設定された情報に基づいて、サンプルカップCに収容された標準試料の測定が行われると、図11のグラフ表示領域610に示すように、測定内容に基づいて作成された検量線のグラフが表示される。ユーザは、グラフ表示領域610に表示される検量線のグラフを参照することにより、検量線が適切であるか否かを容易に確認することができる。
【0104】
ユーザは、検量線が適切であると判断すると、バリデートボタン620を押下することにより、検量線を承認(バリデート)することができる。ユーザによりバリデートが行われると、バリデーション表示領域631にバリデート日時が表示され、バリデーション表示領域632の表示内容が、“Not Validate”から“Validated”に変更される。
【0105】
次に、検体搬送部2による搬送処理および測定部3による測定処理について説明する。
【0106】
検体搬送部2による搬送処理は、制御装置4の表示入力部410を介して、ユーザにより測定開始指示が行われることにより開始される。なお、以下において、アダプタAが取り付けられていない検体ラックLを「5検体ラック」と称し、アダプタAが取り付けられている検体ラックLを「6検体ラック」と称し、両者を特に区別をしない場合は、単に「検体ラックL」と称する。また、「5検体ラック」は、被検者から採取された生体試料の通常測定に専用される通常測定用ラックであり、「6検体ラック」は、検量線作成のための標準試料の測定に専用される検量線測定用ラックである。
【0107】
以下、図12のフローチャートと共に、図13(a)〜(e)と図14(a)〜(c)に示す検体ラックLの搬送路221上における位置も参照して、測定部3のCPU31aによる処理を説明する。
【0108】
測定部3のCPU31aは、検体搬送部2のラックセット部210に配されたセンサの検出信号に基づいて、ラックセット部210に検体ラックLが載置されたかを判定する(S101)。ラックセット部210に検体ラックLが載置されると(S101:YES)、CPU31aは、検体搬送部2のラック送込機構211を駆動させて、検体ラックLをラック搬送部220に搬送する(S102)。
【0109】
続いて、CPU31aは、センサ222a、222bにより、ラック搬送部220の搬送路221の左端位置に検体ラックLが位置付けられたかを判定する(S103)。搬送
路221の左端位置に検体ラックLが位置付けられると(S103:YES)、CPU31aは、センサ223により、この検体ラックLにアダプタAが取り付けられているかを判定する(S104)。この検体ラックLにアダプタAが取り付けられていると(S104:YES)、CPU31aは、ラック種に“6検体”をセットし(S105)。この検体ラックLにアダプタAが取り付けられていないと(S104:NO)、CPU31aは、ラック種に“5検体”をセットする(S106)。なお、かかるラック種(検体ラックLの種別を示す情報)は、測定部3のRAM31cに記憶される。
【0110】
続いて、CPU31aは、搬送路221の下方にある移動機構Bを駆動して、この検体ラックLを右方向に搬送する。このとき、バーコードリーダ225は、図13(a)、図14(a)に示すように、ラックIDの読取位置に位置付けられており、検体ラックLは、バーコードリーダ225の正面にバーコードラベルL1が位置付けられるように搬送される。そして、CPU31aは、バーコードリーダ225によりバーコードラベルL1からラックIDを読み取り(S107)、読み取ったラックIDを制御装置4に送信する(S108)。
【0111】
なお、制御装置4では、後述するように、受信したラックIDに基づいて、この検体ラックLのラック種が“5検体”であるか“6検体”であるかを判定する。そして、制御装置4は、判定結果に基づいてラック種を測定部3に送信する。
【0112】
測定部3のCPU31aは、制御装置4からラック種を受信すると(S109:YES)、S105またはS106でセットされたラック種(測定部3の判定によるラック種)と、S109で受信したラック種(制御装置4の判定によるラック種)とを照合することにより、ラックIDが適正であるか否かを判定する。すなわち、測定部3の判定によるラック種が“6検体”である場合に、制御装置4から受信したラック種が“5検体”であると、ラックIDは不適正であると判定される。同様に、測定部3の判定によるラック種が“5検体”である場合に、制御装置4から受信したラック種が“6検体”であると、ラックIDは不適正であると判定される。また、測定部3の判定によるラック種と、制御装置4から受信したラック種が一致すると、ラックIDが適正であると判定される。
【0113】
この検体ラックLのラックIDが不適正であると(S110:YES)、CPU31aは、この検体ラックLのラックIDが不適正である旨を制御装置4に送信する(S111)。しかる後、この検体ラックLは、ラック貯留部230に搬送される(S112)。他方、この検体ラックLのラックIDが適正であると(S110:NO)、CPU31aは、この検体ラックLのラックIDが適正である旨を制御装置4に送信する(S113)。
【0114】
ラックIDが適正である場合、次に、CPU31aは、RAM31cに記憶されたラック種に基づいて、この検体ラックLが5検体ラックであるかを判定する(S114)。この検体ラックLが5検体ラックである場合(S114:YES)、CPU31aは、図13(b)に示すように、バーコードリーダ225を、右端の保持部L01の位置(検体IDの読取位置)に位置付ける。そして、CPU31aは、バーコードリーダ225により右端の保持部L01に保持されている検体容器TのバーコードラベルT1から検体IDを読み取る(S115)。
【0115】
続いて、CPU31aは、図13(c)に示すように、この検体ラックLをd1だけ右方向に搬送する(S116)。CPU31aは、全ての保持部に保持されている検体容器Tについて検体IDの読み取りが終了するまで、S115〜S116の処理を繰り返す(S117)。なお、センサ224aにより検体容器Tが保持されていないと判定された保持部については、バーコードリーダ225による読み取りがスキップされる。全ての検体容器Tに対して検体IDの読み取りが終了すると(S117:YES)、処理がS118
に進められる。また、この検体ラックLが5検体ラックでない場合(S114:NO)、処理がS118に進められる。
【0116】
次に、CPU31aは、検体ラックLを右方向に搬送して、検体ラックLの右端の保持部L01を吸引位置P1に位置付ける。すなわち、検体ラックLが5検体ラックである場合、全ての検体容器Tに対して検体IDの読み取りが終了すると、この検体ラックLは、図13(d)に示すように、右端の保持部L01が吸引位置P1に位置付けられる。検体ラックLが6検体ラックである場合も、図14(b)に示すように、右端の保持部A01が吸引位置P1に位置付けられる。また、CPU31aは、ステップS115で読み取った検体IDに対応する測定オーダ情報、または、S107で読み取ったラックIDに対応する測定オーダ情報を制御装置4に問い合わせて取得する。
【0117】
続いて、CPU31aは、検体ラックLの右端の保持部L01に保持されている検体容器TまたはアダプタAの右端の保持部A01に保持されているサンプルカップCから、検体または標準試料を吸引し、制御装置4から取得した測定オーダ情報に基づいて、吸引された検体または標準試料の測定を行う(S118)。なお、標準試料は濃度が薄い順に測定される。また、CPU31aは、測定により得られる測定データを、順次制御装置4に送信する。なお、測定項目については予め制御装置4から送信されており、CPU31aは受信した測定項目に基づいて測定を行う。また、測定動作は、他の検体または標準試料の吸引動作と並行して行われる。
【0118】
続いて、CPU31aは、RAM31cに記憶されたラック種に基づいて、この検体ラックLが5検体ラックであるかを判定する(S119)。
【0119】
この検体ラックLが5検体ラックであるとき(S119:YES)、CPU31aは、図13(e)に示すように、この検体ラックLをd1だけ右方向に搬送する(S120)。これにより、右から2番目の保持部L02が吸引位置P1に位置付けられる。CPU31aは、全ての保持部に保持されている検体容器Tの吸引が終了するまで、S118とS120の処理を繰り返す(S122)。
【0120】
他方、この検体ラックLが6検体ラックであるとき(S119:NO)、CPU31aは、図14(c)に示すように、この検体ラックLをd2だけ右方向に搬送する(S121)。これにより、右から2番目の保持部A02が吸引位置P1に位置付けられる。CPU31aは、全ての保持部に保持されているサンプルカップCの吸引が終了するまで、S118とS121の処理を繰り返す(S122)。
【0121】
全ての保持部に保持されている検体容器TまたはサンプルカップCの吸引が終了すると(S122:YES)、この検体ラックLは、ラック貯留部230に搬送される(S112)。このように、1つの検体ラックLについて測定部3による処理が終了する。
【0122】
図15は、制御装置4のCPU401による処理を示すフローチャートである。
【0123】
制御装置4のCPU401は、表示入力部410を介して、ユーザにより測定開始指示を受け付けると(S201:YES)、測定部3に測定開始指示を送信する(S202)。これにより、測定部3のCPU31aは、図12に示した処理を開始する。
【0124】
次に、CPU401は、図12のS108において測定部3から送信されたラックIDを受信すると(S203:YES)、受信したラックIDと、ハードディスク404に記憶されている測定オーダ情報に基づいて、測定部3にラック種を送信する(S204)。すなわち、受信したラックIDが、検量線を作成するための測定オーダ情報に含まれてい
る場合、CPU401は、ラック種を“6検体”とし、受信したラックIDが、検量線を作成するための測定オーダ情報に含まれていない場合、CPU401は、ラック種を“5検体”とする。こうして設定したラック種が、測定部3に送信される。
【0125】
なお、測定部3に送信されたラック種は、上述したように、測定部3においてラックIDが適正であるか否かの判定に用いられ、ラックIDが適正であるか否かは、図12のS111またはS113において、測定部3から制御装置4に送信される。
【0126】
続いて、CPU401は、測定部3からラックIDが不適正である旨を受信すると(S205:NO、S206:YES)、表示入力部410に、図14(d)に示すラックID異常画面を表示し、処理を終了する。
【0127】
他方、CPU401は、測定部3からラックIDが適正である旨を受信すると(S205:YES)、S204で取得したラック種に基づいて、測定部3において吸引対象となっている検体ラックLが5検体ラックであるかを判定し(S208)、以降の処理をラック種に応じて行う。
【0128】
吸引対象の検体ラックLが6検体ラックである場合(S208:NO)、CPU401は、測定部3から、この検体ラックLの全ての標準試料の測定データを受信すると(S209:YES)、受信した測定データに基づいて検量線を作成する(S210)。作成された検量線は、ハードディスク404に記憶され、上述したように図11のグラフ表示領域610に表示される。作成された検量線は、ユーザによりバリデートボタン620が押下されることにより承認(バリデート)されると、検体の解析に用いられるようになる。
【0129】
他方、吸引対象の検体ラックLが5検体ラックである場合(S208:YES)、CPU401は、測定部3から測定データを受信すると(S211:YES)、S210で作成した検量線を用いて検体の解析を行う(S212)。CPU401は、この検体ラックLの全ての検体の解析が終了するまで、S211〜S212の処理を行う(S213)。なお、検体の解析結果は、順次ハードディスク404に記憶され、ユーザの表示指示に応じて表示入力部410に表示される。
【0130】
以上、本実施の形態によれば、被検者の生体試料を収容する検体ラックとは異なる本数の容器を保持可能な検量線測定専用のラックを設けているので、被検者の生体試料を測定する場合とは異なる本数の標準試料を測定する場合であっても、適正に測定することが容易となる。たとえば、通常の被検者の生体試料を測定する場合よりも多くの本数の標準試料を測定する場合には、検量線測定用ラックにより多くの容器を保持させることができる。これにより、2つの検体ラックに容器を跨らせることなく、1つのラックに全ての標準試料の容器を保持させることができる。そのため、間違った順番で標準試料が測定されることを抑制し、適切な検量線を作成することができる。たとえば、6つの標準試料を用いて検量線の作成を行う場合に、標準試料を収容する6つのサンプルカップCを1つのラックに保持させて検量線測定を行うことができる。これにより、サンプルカップCが2つ以上のラックに跨ることに起因して標準試料の測定の順番が適正でなくなることが抑制される。
【0131】
また、本実施の形態によれば、5つの保持部が形成された検体ラックLに、6つの保持部が形成されたアダプタAが取り付けられるため、6つのサンプルカップCを1つのラックに保持させる専用のラックを用いる必要がない。また、アダプタAが取り付けられていない検体ラックLのみに対応して設計された検体搬送部2を用いて、アダプタAが取り付けられた検体ラックLを搬送することができる。これにより、検体搬送部2の構成が複雑化することを抑制することができる。
【0132】
また、本実施の形態によれば、保持部の並ぶ方向(長手方向)における検体ラックLの長さとアダプタAの長さは同じである。これにより、アダプタAが取り付けられた検体ラックLを、アダプタAが取り付けられていない検体ラックLと同様に搬送することができるため、検体搬送部2の設計を簡略化することができる。
【0133】
また、本実施の形態によれば、保持部A01〜A06の間隔d2は、保持部L01〜L05の間隔d1よりも小さい。これにより、容器の並ぶ方向における検体ラックLの長さとアダプタAの長さを同一にしても、アダプタAの保持部の数を検体ラックLの保持部の数よりも多く設定することができる。
【0134】
また、本実施の形態によれば、図13(b)、(c)に示すように、バーコードリーダ225が検体IDの読取位置に位置付けられている場合に、5検体ラックはd1だけ順に右方向に搬送される。また、図13(d)、(e)に示すように、吸引位置P1に保持部L01〜L05を位置付けるために、5検体ラックはd1だけ順に右方向に搬送される。これにより、検体容器Tが精度良く検体IDの読取位置と吸引位置P1に位置付けられる。また、図14(b)、(c)に示すように、吸引位置P1に保持部A01〜A06を位置付けるために、6検体ラックはd2だけ順に右方向に搬送される。これにより、サンプルカップCが精度良く吸引位置P1に位置付けられる。
【0135】
また、本実施の形態によれば、吸引位置P1における検体と標準試料の吸引は、センサ311bにより液面が検知されたことに基づき、同様の制御により行われる。これにより、検体ラックLに保持されている検体容器Tから検体を吸引する場合と、アダプタAに保持されているサンプルカップCから標準試料を吸引とで、ピペットチップ350aの下降量が異なるように検体分注アーム311を制御する必要がない。よって、検体分注アーム311の下降制御を単純化することができる。
【0136】
また、本実施の形態によれば、センサ223により検体ラックLにアダプタAが取り付けられていると判定された場合に、バーコードリーダ225により読み取られたラックIDから、この検体ラックLが検量線を作成するラックではないと判定されると、表示入力部410に、図14(d)に示すラックID異常画面が表示される。同様に、センサ223により検体ラックLにアダプタAが取り付けられていないと判定された場合に、バーコードリーダ225により読み取られたラックIDから、この検体ラックLが検量線を作成するラックであると判定されると、ラックID異常画面が表示される。これにより、ユーザが意図していない測定が行われることをより確実に防止することができる。
【0137】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の実施の形態はこれらに限定されるものではない。
【0138】
たとえば、上記実施の形態では、測定対象として血液を例示したが、尿についても測定対象とされ得る。すなわち、尿を検査する分析装置にも本発明を適用することができ、さらに、他の臨床検体を検査する臨床検体検査装置に本発明を適用することもできる。
【0139】
また、上記実施の形態では、検量線を作成するための標準試料を収容したサンプルカップCを保持させるために、アダプタAが取り付けられた検体ラックLが用いられた。しかしながら、これに限らず、サンプルカップCを保持させるために、検体ラックLよりも多くの保持部が形成された検量線測定専用のラックを別途用いるようにしても良い。この場合、検量線測定専用のラックの形状は、検体ラックLと同じ形状(たとえば、長手方向と短手方向の幅が同じ)となるように構成することが好ましい。これにより、検体搬送部2内で、検体ラックLを搬送する場合と同じようにして、検量線測定専用のラックを搬送す
ることができる。
【0140】
また、上記実施の形態では、検体ラックL(通常測定用のラック)の保持部の数は5であったが、これに限らず、検体ラックLの保持部の数は5以外(たとえば、10)であっても良い。また、上記実施の形態では、アダプタA(検量線測定専用のラック)の保持部は、検体ラックLの保持部よりも1つ多く設けられたが、これに限らず、アダプタAの保持部は検体ラックLの保持部よりも2つ以上多く設けられても良い。なお、アダプタAの保持部(検量線測定専用のラックの保持部)の数は、適切な検量線を作成するための必要な標準試料の本数と一致していることが好ましい。アダプタAの保持部に空きが生じず、適正な検量線測定をより容易に実行することができるためである。
【0141】
また、上記実施の形態では、アダプタA(検量線測定専用のラック)の保持部が、検体ラックL(通常測定用のラック)の保持部の数よりも多く設けられているが、アダプタAの保持部が検体ラックLの保持部の数よりも少なく設けられてもよい。なお、アダプタAの保持部の数は、適切な検量線を作成するための必要な標準試料の本数と一致していることが好ましい。アダプタAの保持部に空きが生じず、適正な検量線測定をより容易に実行することができるためである。
【0142】
また、上記実施の形態では、検体容器Tと検体ラックLを識別するために、検体容器Tと検体ラックLには、それぞれバーコードラベルT1とL1が貼付されたが、これに限らず、RFID(Radio Frequency IDentification)が貼付されても良い。RFIDが貼付される場合、検体搬送部2には、バーコードリーダ225の替わりに、RFIDを読み取るためのアンテナが配される。
【0143】
また、上記実施の形態では、吸引位置P1で検体と標準試料を吸引する際に、センサ311bにより液面検知が行われたが、これに限らず、静電容量センサ等の他の検知手段により、ピペットチップ350aの下端が液面に近接または接触したことを検知するようにしても良い。また、液面検知を行わずに、ピペットチップ350aを予め設定された下降量だけ下降させるようにしても良い。すなわち、検体を吸引する際には、ピペットチップ350aの下端が検体容器Tの下面付近まで下降するようにし、標準試料を吸引する際には、ピペットチップ350aの下端がサンプルカップCの下面付近まで下降するように設定しても良い。
【0144】
また、上記実施の形態では、表示入力部410は、表示と入力の両方を行うことが可能なタッチパネルとして構成されたが、これに限らず、表示部と入力部が個別に配置されるよう構成されても良い。
【0145】
また、上記実施の形態では、センサ223はレバー式のセンサとして構成されたが、これに限らず、遮光型または反射型のセンサとして構成されても良い。
【0146】
また、上記実施の形態では、制御装置4のCPU401が、ラックIDが不適正である旨を受信すると(S201:YES)、図14(d)に示すラック異常画面が、表示入力部410に表示された。しかしながら、これに限らず、CPU401は、ラック異常画面を表示させる替わりに、あるいは、これとともに、制御装置4に備えられたスピーカーから、ユーザに異常を報知するための警告音を鳴らすようにしても良い。また、測定部3のCPU31aが、ラックIDが不適正である旨を制御装置4に送信するときに(S111)、測定部3に備えられた表示部に異常を報知するための画面を表示し、または、測定部3に備えられたスピーカーから異常を報知するための警告音を鳴らすようにしても良い。
【0147】
また、上記実施の形態では、測定部3のCPU31aが検体搬送部2を制御したが、こ
れに限らず、制御装置4が検体搬送部2を制御しても良い。また、制御部31を省略して、制御装置4が検体搬送部2と測定部3の制御を負担するようにしても良い。
【0148】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0149】
1 … 免疫分析装置
2 … 検体搬送部
3 … 測定部
4 … 制御装置
31a … CPU
221 … 搬送路
223 … センサ
225 … バーコードリーダ
311 … 検体分注アーム
311a … ピペット
311b … センサ
311c … シリンジ部
350a … ピペットチップ
401 … CPU
404 … ハードディスク
410 … 表示入力部
500 … 検量線ラック設定画面
521、522 … 入力ボックス
L … 検体ラック
L1 … バーコードラベル
L01〜L05 … 保持部
T … 検体容器
T1 … バーコードラベル
A … アダプタ
A01〜A06 … 保持部
C … サンプルカップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者の生体試料を収容した容器を保持するための保持部を第1の数だけ有する通常測定用ラックと、標準試料を収容した容器を保持するための保持部を前記第1の数とは異なる第2の数だけ有する検量線測定用ラックとを搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送された容器内の試料を測定する測定部と、
前記搬送部により搬送されるラックが通常測定用ラックであるか検量線測定用ラックであるかを判定し、前記搬送部により搬送されるラックが前記検量線測定用ラックであると判定した場合には、検量線測定用ラックに応じた搬送動作を行うよう前記搬送部を制御するとともに、前記搬送部により搬送されたラックに保持された容器内の標準試料を所定の順番で測定するよう前記測定部を制御し、得られた複数の測定結果に基づいて、生体試料の測定結果の解析に用いられる検量線を作成する制御部と、を備える、
ことを特徴とする試料分析装置。
【請求項2】
請求項1に記載の試料分析装置において、
前記搬送部により搬送されるラックに付された第1記録部から、当該ラックが前記通常測定用ラックであるか前記検量線測定用ラックであるかを識別するためのラック識別情報を読み取るための読取部と、
前記検量線測定用ラックを示すラック識別情報と対応付けて、測定項目を記憶する記憶部と、をさらに備え、
前記制御部は、前記読取部が前記検量線測定用ラックを示すラック識別情報を読み取った場合には、そのラック識別情報に対応する測定項目に基づいて、前記検量線作成のための測定を実行させる、
ことを特徴とする試料分析装置。
【請求項3】
請求項2に記載の試料分析装置において、
表示部と、
入力部と、をさらに備え、
前記表示部は、前記入力部により前記検量線測定用ラックを示すラック識別情報を入力するための第1入力欄と、前記入力部により測定項目を入力するための第2入力欄とを有するオーダ登録画面を表示し、
前記記憶部は、前記第1入力欄に入力されたラック識別情報と対応付けて、前記第2入力欄に入力された測定項目を記憶する、
ことを特徴とする試料分析装置。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか一項に記載の試料分析装置において、
前記検量線測定用ラックは、容器を保持するための保持部を前記第2の数だけ有するアダプタが前記通常測定用ラックに取り付けられたラックであり、
当該試料分析装置は、前記アダプタが取り付けられたラックを検出するための検出部をさらに備え、
前記制御部は、前記検出部が前記アダプタが取り付けられたラックを検出した場合に、前記搬送部により搬送されるラックが前記検量線測定用ラックであると判定する、
ことを特徴とする試料分析装置。
【請求項5】
請求項4に記載の試料分析装置において、
前記通常測定用ラックの複数の保持部は、第1の間隔をおいて形成され、
前記アダプタの複数の保持部は、前記第1の間隔よりも小さい第2の間隔をおいて形成されている、
ことを特徴とする試料分析装置。
【請求項6】
請求項5に記載の試料分析装置において、
前記搬送部は、ラックを所定の位置に向かって搬送するための搬送路を有し、
前記測定部は、前記所定の位置に位置づけられた容器内の試料を測定するように構成され、
前記制御部は、
前記搬送部が前記通常測定用ラックを搬送する場合においては、前記搬送路に沿って前記通常測定用ラックを前記第1の間隔に応じた第1の距離だけ前記搬送路上の前記所定の位置に向かって移動させることによって、前記通常測定用ラックの保持部に保持された容器を前記所定の位置に位置づけ、
前記搬送部が前記検量線測定用ラックを搬送する場合においては、前記搬送路に沿って前記検量線測定用ラックを前記第2の間隔に応じた第2の距離だけ前記所定の位置に向かって移動させることによって、前記検量線測定用ラックのアダプタの保持部に保持された容器を前記所定の位置に位置づけるように前記搬送部を制御する、
ことを特徴とする試料分析装置。
【請求項7】
請求項1ないし6の何れか一項に記載の試料分析装置において、
吸引管と、液面を検知する液面検知手段とを備え、前記吸引管を容器内に挿入することにより当該容器内の液体を吸引する吸引部をさらに備え、
前記吸引部は、容器内の液体の吸引の際に、前記吸引管を下降させ、前記液面検知手段により液面が検知されたことに基づいて、前記吸引管の下降を停止させる、
ことを特徴とする試料分析装置。
【請求項8】
請求項2または3に記載の試料分析装置において、
前記検量線測定用ラックは、容器を保持するための保持部を前記第2の数だけ有するアダプタが前記通常測定用ラックに取り付けられたラックであり、
当該試料分析装置は、前記アダプタが取り付けられたラックを検出するための検出部をさらに備え、
前記制御部は、前記検出部が前記アダプタが取り付けられたラックを検出した場合に、前記読取部が前記通常測定用ラックの識別情報を読み取った場合には、警告のための処理を実行する、
ことを特徴とする試料分析装置。
【請求項9】
請求項1ないし8の何れか一項に記載の試料分析装置において、
前記検量線測定用ラックは、容器の並び方向において前記通常測定用ラックと同じ長さを有する、
ことを特徴とする試料分析装置。
【請求項10】
請求項2または3に記載の試料分析装置において、
前記記憶部は、通常測定用ラックに収容される生体試料を識別するための試料識別情報と対応付けて測定項目を記憶し、
前記通常測定用ラックに保持された各容器には試料識別情報が記録された第2記録部が付されており、
前記制御部は、前記読取部が通常測定用ラックを示すラック識別情報を読み取った場合には、通常測定用ラックに応じた搬送動作を行うよう前記搬送部を制御するとともに、前記搬送部により搬送されたラックに保持された各容器の第2記録部から試料識別情報を前記読取部に読み取らせ、前記読取部により読み取られた試料識別情報に対応する測定項目に基づいて、各容器内の生体試料の測定を前記測定部に実行させる、
ことを特徴とする試料分析装置。
【請求項11】
請求項1ないし10の何れか一項に記載の試料分析装置において、
前記第2の数は、検量線作成に必要な容器の数である、
ことを特徴とする試料分析装置。
【請求項12】
請求項1ないし11の何れか一項に記載の試料分析装置において、
前記第2の数は、前記第1の数より多い、
ことを特徴とする試料分析装置。
【請求項13】
ラックを搬送する搬送部と、前記ラックに保持された容器内の試料を測定する測定部とを有する試料分析装置の制御方法であって、
被検者の生体試料を収容した容器を保持するための保持部を第1の数だけ有する通常測定用ラックと、標準試料を収容した容器を保持するための保持部を前記第1の数とは異なる第2の数だけ有する検量線測定用ラックとのいずれが前記搬送部の搬送対象であるかを判別する判別ステップと、
前記判別ステップにより、前記搬送対象のラックが前記検量線測定用ラックであると判別された場合には、検量線測定用ラックに応じた搬送動作を行うよう前記搬送部を制御する搬送ステップと、
前記搬送部により搬送されたラックに保持された容器内の標準試料を所定の順番で測定するよう前記測定部を制御する測定ステップと、
前記測定ステップにより得られた複数の測定結果に基づいて、生体試料の測定結果の解析に用いられる検量線を作成する検量線作成ステップと、を備える、
ことを特徴とする試料分析装置の制御方法。
【請求項14】
請求項13に記載の試料分析装置の制御方法において、
前記検量線測定用ラックは、容器を保持するための保持部を前記第2の数だけ有するアダプタが前記通常測定用ラックに取り付けられたラックであり、
当該試料分析装置の制御方法は、前記アダプタが取り付けられたラックを検出するための検出ステップをさらに備え、
前記判別ステップは、前記検出ステップにおいて前記アダプタが取り付けられたラックが検出された場合に、前記搬送対象のラックが前記検量線測定用ラックであると判別する、
ことを特徴とする試料分析装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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