説明

試料分析装置及び試料分析方法

【課題】一の試料に対する測定時に、複数の検出条件により所定の成分を検出することにより、適切な検出条件を選択して精度良く分析することができる試料分析装置及び試料分析方法を提供する。
【解決手段】試料と試薬とを含む測定試料を調製し、調製された測定試料に含まれる所定の成分を検出する。検出する場合に用いる複数の検出条件ごとに、一の測定試料に含まれる所定の成分を検出するよう制御する。検出条件ごとの検出結果のうち少なくとも1つに基づいて所定の成分を分析する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液、尿等の試料を分析する試料分析装置及び試料分析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、血液、尿等の試料中の粒子を複数種類の粒子に分類する粒子分析装置が知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0003】
特許文献1では、動物種に応じて所定の成分を検出する検出感度を変更することにより、誤った分析結果が生じた場合には検出感度を変更して再度同一の試料に対して所定の成分を検出する血液分析装置が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、試料中の白血球及び細菌を他の粒子と区別するための第1の閾値を用いて、試料中の細菌及び白血球を他の粒子と区別するとともに、その結果、試料中の細菌の濃度が高いと判断した場合には、第1の閾値より大きい第2の閾値を用いて、試料中の白血球のみを細菌を含む他の粒子と区別するよう、フローセル内で一の測定試料が試料流を形成している間に制御する粒子分析装置が開示されている。これにより、細菌が多く含有されている試料を精度良く測定することが可能となる。
【特許文献1】特開2000−310642号公報
【特許文献2】特開2002−277381号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、設定された検出感度にて測定データに基づく分析結果の信頼性が低い場合には、再度試料を吸引して測定をやり直す必要があった。したがって、使用者は、再度測定する必要がある試料を再度取り出して測定する等、操作が煩雑になるという問題点があった。また特許文献2では、細菌が多く含有されている試料を精度良く測定する技術は記載されているものの、検出条件を変更する技術については開示も示唆もされていない。
【0006】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、一の測定試料に対する測定時に、複数の検出条件により所定の成分を検出することにより、適切な検出条件を選択して精度良く分析することができる試料分析装置及び試料分析方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために第1発明に係る試料分析装置は、試料と試薬とを含む測定試料を調製する試料調製部と、該試料調製部で調製された測定試料に含まれる所定の成分を検出する検出部と、該検出部にて検出する場合に用いる複数の検出条件ごとに、一の測定試料に含まれる所定の成分を検出するよう前記検出部を制御する検出部制御手段と、前記検出条件ごとの検出結果のうち少なくとも1つに基づいて前記所定の成分を分析する分析手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
また、第2発明に係る試料分析装置は、第1発明において、前記検出部にて所定の成分を検出する場合に複数の前記検出条件を連続的に設定する検出条件設定手段をさらに備え、前記検出部制御手段は、前記検出条件設定手段によって連続的に設定された複数の前記検出条件ごとに、一の測定試料に含まれる所定の成分を検出するよう前記検出部を制御することを特徴とする。
【0009】
また、第3発明に係る試料分析装置は、第1又は第2発明において、前記検出条件ごとの検出結果から一の検出結果を自動的に選択する選択手段を備え、前記分析手段は、前記選択手段で選択された一の検出結果に基づいて前記所定の成分を分析することを特徴とする。
【0010】
また、第4発明に係る試料分析装置は、第1乃至第3発明のいずれか1つにおいて、前記検出部は、前記所定の成分の検出信号を増幅する増幅器を備え、前記複数の検出条件は、前記増幅器による検出信号の増幅率に関する条件であることを特徴とする。
【0011】
また、第5発明に係る試料分析装置は、第1乃至第4発明のいずれか1つにおいて、前記検出部は、前記測定試料が通過するフローセルと、該フローセルを通過する前記測定試料に光を照射する発光部と、該発光部から光が照射された前記測定試料からの光を受光する受光部とを備えることを特徴とする。
【0012】
また、第6発明に係る試料分析装置は、第5発明において、前記複数の検出条件は、前記受光部による光の検出感度に関する条件であることを特徴とする。
【0013】
また、第7発明に係る試料分析装置は、第5又は第6発明において、前記複数の検出条件は、前記発光部による光の照射強度に関する条件であることを特徴とする。
【0014】
また、第8発明に係る試料分析装置は、第5乃至第7発明のいずれか1つにおいて、前記検出部制御手段は、前記測定試料が前記フローセルを通過している間に一の検出条件を他の検出条件に変更することを特徴とする。
【0015】
次に、上記目的を達成するために第9発明に係る試料分析方法は、試料に含まれる所定の成分を検出する検出部を有し、該検出部で検出された所定の成分に基づいて試料を分析する試料分析装置で実行することが可能な試料分析方法において、試料と試薬とを含む測定試料を調製し、調製された一の測定試料に含まれる所定の成分を、前記検出部にて検出する場合に用いる複数の検出条件ごとに検出し、検出条件ごとに生成された検出結果のうち少なくとも1つに基づいて前記所定の成分を分析することを特徴とする。
【0016】
第1発明及び第9発明では、試料と試薬とを含む測定試料を調製し、調製された測定試料に含まれる所定の成分を検出する。検出する場合に用いる複数の検出条件ごとに、一の測定試料に含まれる所定の成分を検出し、検出条件ごとの検出結果のうち少なくとも1つに基づいて所定の成分を分析する。これにより、一の測定試料に対する一の測定処理にて複数の検出条件に対する検出結果を得ることができる。したがって、検出条件を変更した再解析が必要となった場合であっても、再度同一の試料に対して測定を実行する必要が無く、使用者が煩雑な操作を行うことなく、最適な検出条件での検出結果に基づいて分析することができ、分析精度の向上を図ることができる。
【0017】
第2発明では、所定の成分の検出する場合に複数の検出条件を連続的に設定し、連続的に設定された複数の検出条件ごとに、一の測定試料に含まれる所定の成分を検出する。検出条件を連続的に設定することにより、一の測定試料を複数回検出部に供給する必要がなくなるので、測定を短時間で完了することができる。また、一の測定試料を複数回検出部に供給することにより測定試料が劣化し、分析精度が低下してしまうことを防止することが可能となる。
【0018】
第3発明では、検出条件ごとの検出結果から一の検出結果を自動的に選択し、選択された一の検出結果に基づいて所定の成分を分析することにより、分析装置の使用者自身が複数の検出結果の中から最適な検出結果を選択する必要がないので、使用者の操作負担をより軽減することが可能となる。
【0019】
第4発明では、所定の成分の検出信号を増幅する増幅器による検出信号の増幅率に関する条件を複数の検出条件として用いることにより、一の検出条件にて通常より大きい増幅率を用いることが可能となり、検出信号が小さく、通常の増幅率では検出することができない成分であっても検出することが可能となる。
【0020】
第5発明では、検出部が、測定試料が通過するフローセルと、該フローセルを通過する測定試料に光を照射する発光部と、該発光部から光が照射された測定試料からの光を受光する受光部とを備えていることにより、試料に含まれる所定の成分の光学的な特徴情報を検出することが可能となる。
【0021】
第6発明では、受光部による光の検出感度に関する条件を複数の検出条件として用いることにより、一の検出条件にて通常より検出感度を向上させることが可能となり、発せられる信号が小さく、通常の検出感度では検出することができない成分であっても検出することが可能となる。
【0022】
第7発明では、発光部による光の照射強度に関する条件を複数の検出条件として用いることにより、一の検出条件にて通常より照射強度を増大させることが可能となり、発せられる信号が小さく、通常の照射強度では検出することができない成分であっても検出することが可能となる。
【0023】
第8発明では、測定試料が前記フローセルを通過している間に一の検出条件を他の検出条件に変更することにより、短時間の測定であっても様々な検出条件による検出結果を得ることができる。したがって、再解析が必要となった場合であっても、再度同一の試料に対して測定を実行する必要が無く、最適な検出条件での検出結果に基づいて分析することができ、分析精度の向上及び測定の迅速化を図ることが可能となる。
【発明の効果】
【0024】
上記構成によれば、複数の検出条件ごとに、一の測定試料に含まれる所定の成分を検出することができる。したがって、検出条件を変更した再解析が必要となった場合であっても、再度同一の試料に対して測定を実行する必要が無く、使用者が煩雑な操作を行うことなく、最適な検出条件での検出結果に基づいて分析することができ、分析精度の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本実施の形態では、試料分析装置として血液を分析する血液分析装置を一例とし、図面に基づいて具体的に説明する。したがって、分析処理は血球の分類処理となり、分析用データは分類用データとして生成される。
【0026】
図1は、本発明の実施の形態に係る試料分析装置の構成を模式的に示す斜視図である。図1に示すように、本実施の形態に係る試料分析装置は、測定装置1と、測定装置1とデータ通信することが可能に接続されている演算表示装置2とで構成されている。
【0027】
測定装置1と演算表示装置2とは、図示しない通信線を介して接続されており、相互にデータ通信することにより、測定装置1の動作を制御し、測定装置1から出力された測定データを処理して分析結果を取得する。測定装置1と演算表示装置2とは、ネットワーク網を介して接続されていても良いし、一体として一つの装置を構成し、プロセス間通信等でデータの授受を行っても良い。
【0028】
測定装置1は、フローサイトメトリー法を用いて、血液中の白血球、網状赤血球及び血小板等の特徴情報を検出して、検出結果を測定データとして演算表示装置2へ送信する。ここで、フローサイトメトリー法とは、測定試料を含む試料流を形成し、該試料流にレーザ光を照射することによって、測定試料中の粒子(血球)が発する前方散乱光、側方散乱光、側方蛍光等の光を検出し、これにより、試料中の粒子(血球)を検出する粒子(血球)の測定方法である。
【0029】
図2は、本発明の実施の形態に係る試料分析装置の測定装置1の構成を示すブロック図である。測定装置1は、装置機構部4と、測定試料の測定を実行する検出部5と、検出部5の出力に対するアナログ処理部6と、表示・操作部7と、上述のハードウェア各部の動作を制御する制御基板部9とを備えている。
【0030】
制御基板部9は、制御用プロセッサ及び制御用プロセッサを動作させるためのメモリを有する制御部91と、アナログ処理部6から出力された信号をデジタル信号に変換する12ビットのA/D変換部92と、A/D変換部92から出力されたデジタル信号を記憶するとともに、制御部91に出力するデータを選択する処理を実行する演算部93とを有している。制御部91は、バス94a及びインタフェース95bを介して表示・操作部7と接続され、バス94b及びインタフェース95cを介して演算表示装置2と接続されている。また、演算部93は、演算結果をインタフェース95d及びバス94aを介して制御部91に出力する。さらに制御部91は、演算結果(測定データ)を演算表示装置2へ送信する。
【0031】
装置機構部4には、試薬と血液とから測定試料を調製する試料調製部41が設けられている。試料調製部41は、白血球測定用試料、網状赤血球測定用試料、血小板測定用試料を調製する。
【0032】
図3は、本発明の実施の形態に係る試料調製部41の構成を模式的に説明するブロック図である。試料調製部41は、血液が所定量充填される採血管41aと、血液が吸引されるサンプリングバルブ41bと、反応チャンバ41cとを備えている。
【0033】
サンプリングバルブ41bは、図示しない吸引ピペットにより吸引された採血管41a内の血液を定量することが可能に構成されている。反応チャンバ41cは、サンプリングバルブ41bに接続されており、サンプリングバルブ41bにより定量された血液に所定の試薬と染色液とをさらに混合することが可能となるように構成されている。また、反応チャンバ41cは、検出部5に接続されており、反応チャンバ41cにおいて所定の試薬と染色液とが混合された測定試料を検出部5に流入するように構成されている。
【0034】
これにより、試料調製部41は、白血球測定用試料として、白血球が染色されるとともに赤血球が溶血された測定試料を調製することができる。また、網状赤血球測定用試料として、網状赤血球が染色された測定試料を調製することもできるし、血小板測定用試料として、血小板が染色された測定試料を調製することもできる。調製された測定試料は、シース液とともに後述する検出部5のシースフローセルに供給される。
【0035】
図4は、本発明の実施の形態に係る検出部5及びアナログ処理部6の構成を模式的に説明するブロック図である。図4に示すように、検出部5は、レーザ光を出射する発光部501と、照射レンズユニット502と、レーザ光が照射されるシースフローセル503と、発光部501から出射されるレーザ光が進む方向の延長線上に配置されている集光レンズ504、ピンホール505、及びPD(フォトダイオード)506と(シースフローセル503と集光レンズ504との間には図示しないビームストッパが配置されている)、発光部501から出射されるレーザ光が進む方向と交差する方向に配置されている集光レンズ507、ダイクロイックミラー508、光学フィルタ509、ピンホール510及びAPD(アバランシェフォトダイオード)511と、ダイクロイックミラー508の側方に配置されているPD(フォトダイオード)512とを備えている。
【0036】
発光部501は、シースフローセル503の内部を通過する測定試料を含む試料流に対して光を出射するために設けられている。照射レンズユニット502は、発光部501から出射された光を平行光にするために設けられている。また、PD506は、シースフローセル503から出射された前方散乱光を受光するために設けられている。なお、シースフローセル503から出射された前方散乱光により、測定試料中の粒子(血球)の大きさに関する情報を得ることができる。
【0037】
ダイクロイックミラー508は、シースフローセル503から出射された側方散乱光及び側方蛍光を分離するために設けられている。具体的には、ダイクロイックミラー508は、シースフローセル503から出射された側方散乱光をPD512に入射させるとともに、シースフローセル503から出射された側方蛍光をAPD511に入射させるために設けられている。また、PD512は、側方散乱光を受光するために設けられている。シースフローセル503から出射された側方散乱光により、測定試料中の粒子(血球)の核の大きさ等の内部情報を得ることが可能となる。
【0038】
また、APD511は、側方蛍光を受光するために設けられている。染色された血球のような蛍光物質に光を照射すると、照射した光の波長より長い波長の光が発せられる。蛍光強度は染色度合いが高いほど強くなる。そのため、シースフローセル503から出射された側方蛍光強度を測定することによって血球の染色度合いに関する特徴情報を得ることができる。したがって、側方蛍光強度の差によって、白血球の分類その他の測定を行うことができる。PD506、512及びAPD511は、それぞれ受光した光信号を電気信号に変換して、増幅器61、62、及び63にて増幅して制御基板部9へ送信する。
【0039】
本実施の形態では、発光部501は、白血球分類測定(以下、DIFF測定という)時には、3.4mWの出力で光を出射する。また、網状赤血球測定(以下、RET測定という)時には、6mWの出力で光を出射する。さらに、血小板測定(PLT測定)時には、10mWの出力で光を出射する。
【0040】
図5は、本発明の実施の形態に係る試料分析装置の演算表示装置2の構成を示すブロック図である。図5に示すように、演算表示装置2は、CPU(中央演算装置)21、RAM22、記憶装置23、入力装置24、表示装置25、出力装置26、通信インタフェース27及び上述したハードウェアを接続する内部バス28で構成されている。CPU21は、内部バス28を介して演算表示装置2の上述したようなハードウェア各部と接続されており、上述したハードウェア各部の動作を制御するとともに、記憶装置23に記憶されているコンピュータプログラム231に従って、種々のソフトウェア的機能を実行する。RAM22は、SRAM、SDRAM等の揮発性メモリで構成され、コンピュータプログラム231の実行時にロードモジュールが展開され、コンピュータプログラム231の実行時に発生する一時的なデータ等を記憶する。
【0041】
記憶装置23は、内蔵される固定型記憶装置(ハードディスク)等で構成されている。記憶装置23は、バーコードラベルを読み取ることにより取得することができる識別情報に対応付けた患者(被検者)の年齢情報を含む患者に関する情報が記憶してある患者情報記憶部232も備えている。図6は、患者情報記憶部232のデータ構成の例示図である。図6に示すように、バーコードラベルを読み取ることにより取得する識別情報である試料IDに対応付けて、被検者を識別する識別情報である被検者ID、被検者の性別情報、被検者の年齢情報、疾患の内容に関する疾患情報、及び診療科を識別する診療科情報を記憶してある。なお、患者情報記憶部232は記憶装置23に備えることに限定されるものではなく、外部のコンピュータに記憶しておき、通信インタフェース27を介して照会する構成であっても良い。
【0042】
通信インタフェース27は内部バス28に接続されており、測定装置1と通信線を介して接続されることにより、データの送受信を行うことが可能となっている。すなわち、測定の開始を示す指示情報等を測定装置1へ送信し、測定データ等を受信する。
【0043】
入力装置24は、キーボード及びマウス等のデータ入力媒体である。表示装置25は、CRTモニタ、LCD等の表示装置であり、分析結果をグラフィカルに表示する。出力装置26は、レーザプリンタ、インクジェットプリンタ等の印刷装置等である。
【0044】
上述した構成の試料分析装置の測定装置1及び演算表示装置2にて、成人の血液を測定して、血液中に含まれている白血球をリンパ球、単球、好中球、好塩基球及び好酸球に分類した場合、図7に示されるようなスキャッタグラムが作成されて表示装置25に表示される。図7は、白血球分類測定(DIFF測定)時のスキャッタグラムの例示図である。図7において、縦軸は側方蛍光強度を、横軸は側方散乱光強度を、それぞれ示している。以下、本実施の形態に係る試料分析装置で用いられる白血球の分類方法について説明する。
【0045】
実施の形態に係る試料分析装置においては、図7に示すように、成人血の過去の統計値に基づき、リンパ球が分布すると想定されるリンパ球分布領域101、単球が分布すると想定される単球分布領域102、好酸球が分布すると想定される好酸球分布領域103、好中球が分布すると想定される好中球分布領域104、好塩基球が分布すると想定される好塩基球分布領域105が予め定められている。そして、同じ座標軸上に、測定データに基づく整数列情報をサンプリングした後、リンパ球分布領域101、単球分布領域102、好酸球分布領域103、好中球分布領域104、好塩基球分布領域105の各分布領域への血球の帰属度を算出し、算出された帰属度に応じて、各血球が特定の種類の血球に分類される。そして、分類された血球を計数することにより、リンパ球、単球等の数を求めることができる。上述の白血球の分類方法は、米国特許第5555196号公報に詳細に記載されている。なお、上述の白血球の分類方法を実行するためのコンピュータプログラム及びコンピュータプログラムの実行に用いられるデータは、記憶装置23に事前に記憶されている。
【0046】
本発明者らにより、小児血に含まれる血球は、成人血に含まれる血球よりも染色液に染色される度合いが低いことが認知された。そのため、小児血を測定して得られた測定データにおいては、図7に示した本来分布するべき各領域のやや下方にサンプリング値が分布してしまうことが判明した。図8は、DIFF測定時に作成されたスキャッタグラムのリンパ球分布領域101とサンプリング値との関係の例示図である。
【0047】
図8に示すように、測定データが成人血である場合には、リンパ球分布領域101周辺にサンプリング値が集約されるはずである。しかし、測定データが成人血ではなく小児血である場合には、成人血である場合よりも染料による染色度合いが小児血の方が低いため、蛍光強度、散乱光強度ともに低く測定されている。したがって、サンプリング値は、リンパ球分布領域101よりも下方である領域111近辺に集約してしまう。
【0048】
このように、スキャッタグラムから分布傾向が全体として想定した領域よりも下方にシフトしている場合には、測定データが小児血を対象としたデータであると判断することができ、分類処理の精度を向上させるためには、サンプリング値の集約している領域111を、矢印112の方向へシフトする必要があることがわかる。
【0049】
図9は、本発明の実施の形態に係る測定装置1の制御基板部9の制御部91及び演算表示装置2のCPU21の処理手順を示すフローチャートである。測定装置1の制御基板部9の制御部91は、測定装置1が起動されたことを検知した場合、初期化を実行し(ステップS915)、測定装置1各部の動作チェックを行う。また、演算表示装置2のCPU21も、演算表示装置2が起動されたことを検知した場合、初期化(プログラムの初期化)を実行し(ステップS901)、表示装置25にメニュー画面を表示する(ステップS902)。メニュー画面では、DIFF測定、RET測定、CBC測定の選択を受け付けること、測定開始指示及びシャットダウン指示を受け付けること等が可能である。本実施の形態では上記メニュー画面においてDIFF測定が選択された場合について、以下説明する。
【0050】
演算表示装置2のCPU21は、測定開始指示を受け付けたか否かを判断し(ステップS903)、CPU21が、測定開始指示を受け付けていないと判断した場合(ステップS903:NO)、CPU21は、ステップS904乃至ステップS912をスキップする。CPU21が、測定開始指示を受け付けたと判断した場合(ステップS903:YES)、CPU21は、測定開始を示す指示情報を測定装置1へ送信する(ステップS904)。測定装置1の制御基板部9の制御部91は、測定開始を示す指示情報を受信したか否かを判断し(ステップS916)、制御部91が、測定開始を示す指示情報を受信したと判断した場合(ステップS916:YES)、制御部91は、血液を収容している容器に貼付されているバーコードラベル(図示せず)をバーコードリーダ(図示せず)に読み取らせ、血液の識別情報(試料ID)を取得する(ステップS917)。制御部91が、測定開始を示す指示情報を受信していないと判断した場合(ステップS916:NO)、制御部91は、ステップS917乃至ステップS921をスキップする。
【0051】
制御部91は、取得した識別情報(試料ID)を演算表示装置2へ送信し(ステップS918)、演算表示装置2のCPU21は、識別情報(試料ID)を受信したか否かを判断する(ステップS905)。CPU21が、識別情報(試料ID)を受信していない場合(ステップS905:NO)、CPU21は、受信の待ち状態となる。CPU21が、識別情報(試料ID)を受信した場合(ステップS905:YES)、CPU21は、記憶装置23の患者情報記憶部232を照会して患者情報を取得し(ステップS906)、患者情報を測定装置1へ送信する(ステップS907)。
【0052】
次に、測定装置1の制御基板部9の制御部91は、患者情報を受信したか否かを判断し(ステップS919)、制御部91が、受信していないと判断した場合(ステップS919:NO)、制御部91は、受信待ち状態となる。制御部91が、受信したと判断した場合(ステップS919:YES)、制御部91は、測定試料を調製するよう試料調製部41を制御した後、測定試料の測定処理を開始する(ステップS920)。具体的には、DIFF測定を実行し、検出部5及びアナログ処理部6を介して側方散乱光及び側方蛍光の受光強度に相当する電気信号が制御基板部9へ出力される。制御基板部9のA/D変換部92は、取得したアナログ信号を12ビットのデジタル信号に変換し、演算部93は、A/D変換部92から出力されたデジタル信号に所定の処理を施して制御部91へ渡す。制御部91は、受け取った12ビットの整数列情報を測定データとして、演算表示装置2へ送信する(ステップS921)。
【0053】
図10は、本発明の実施の形態に係る測定装置1の制御基板部9の制御部91の図9のステップS920で実行する測定処理手順を示すフローチャートである。図10において、測定装置1の制御基板部9の制御部91は、測定試料の調製を行い(ステップS1001)、カウンタnを初期値1に設定し(ステップS1002)、測定装置1の検出部5の検出条件として検出感度を第nの感度に設定する(ステップS1003)。検出感度としては第1〜第nの検出感度が予め設定されている。なお、設定されている検出感度とは、図4に示す発光部501から照射された光を受光する受光部であるPD506、512及びAPD511の検出感度を意味している。
【0054】
制御部91は、測定対象となる測定試料のシースフローセル503への供給を開始し(ステップS1004)、第nの検出感度にて検出される特徴情報の内蔵メモリへの記憶を開始する(ステップS1005)。制御部91は、第nの検出感度にて特徴情報の記憶を開始してから10秒が経過したか否かを判断し(ステップS1006)、制御部91が、10秒経過していないと判断した場合(ステップS1006:NO)、制御部91は、経過待ち状態となる。
【0055】
制御部91が、10秒経過したと判断した場合(ステップS1006:YES)、制御部91は、第nの検出感度にて検出される特徴情報の内蔵メモリへの記憶を停止し(ステップS1007)、カウンタnが所定数を超えたか否かを判断する(ステップS1008)。制御部91が、nが所定数を超えていないと判断した場合(ステップS1008:NO)、制御部91は、カウンタnを1インクリメントし(ステップS1009)、処理をステップS1003へ戻して上述した処理を繰り返す。制御部91が、nが所定数を超えたと判断した場合(ステップS1008:YES)、制御部91は、処理を図9のステップS921へ戻す。制御部91の内蔵メモリに記憶されている複数の特徴情報が測定データである。なお、測定試料のシースフローセル503への供給時間は、制御部91がnが所定数を超えたと判断した後に供給が停止されるよう、予め設定されている。これにより、一の測定試料がシースフローセルに供給されている間に、検出感度が連続的に変更されることになる。
【0056】
図9に戻って、演算表示装置2のCPU21は、測定データを受信したか否かを判断し(ステップS908)、CPU21が、測定データを受信したと判断した場合(ステップS908:YES)、CPU21は、受信した測定データに基づいて解析処理を実行する(ステップS909)。CPU21が、測定データを受信していないと判断した場合(ステップS908:NO)、CPU21は、受信待ち状態となる。
【0057】
図11は、本発明の実施の形態に係る演算表示装置2のCPU21の図9のステップS909で実行する解析処理手順を示すフローチャートである。図11において、演算表示装置2のCPU21は、カウンタnを初期値1に設定し(ステップS1101)、測定装置1から取得した測定データ(12ビットの整数列情報)を8ビットの整数列情報へ縮小することにより第nの検出感度にて検出された特徴情報に基づく第nの分類用データを生成して記憶する(ステップS1102)。
【0058】
CPU21は、nが所定数より大きいか否かを判断し(ステップS1103)、CPU21が、nが所定数以下であると判断した場合(ステップS1103:NO)、CPU21は、nを1インクリメントし(ステップS1104)、同一の縮小率のままで、処理をステップS1002へ戻して上述した処理を繰り返す。CPU21が、nが所定数より大きいと判断した場合(ステップS1103:YES)、CPU21は、第1〜第nの分類用データを用いた分類処理をそれぞれ実行し(ステップS1105)、分類結果をそれぞれ記憶装置23に記憶する(ステップS1106)。
【0059】
具体的には、CPU21が分類用データを生成する場合には、測定装置1から取得した12ビットの整数列情報を所定の縮小率で縮小する。例えば8ビットの整数列情報に縮小しても良いし、10ビットの整数列情報に縮小しても良いし、任意の縮小率を選択しても良い。
【0060】
CPU21は、記憶装置23に記憶されている複数の分類用データから一の分類用データを選択して(ステップS1107)、選択された分類用データを記憶装置23から読み出して、リンパ球、単球、好酸球、好中球、好塩基球等の血球数を計数し(ステップS1108)、計数結果を記憶装置23に記憶する(ステップS1109)。CPU21は、図7に示すようなスキャッタグラムも作成し、白血球の分類結果として、後述する図13に示すような計数結果とスキャッタグラムとを表示装置25に表示して(ステップS1110)、処理を図9のステップS910へ戻す。使用者は表示装置25に表示されたスキャッタグラムを視覚的に確認することができる。そして、使用者は、スキャッタグラムにおけるサンプリング値の分布状態に応じて、再分類処理を実行する実行指示を入力することができる。
【0061】
次に、図11のステップS1107に示す分類用データの選択処理について処理手順を説明する。図12は、本発明の実施の形態に係る演算表示装置2のCPU21の分類用データの選択処理手順を示すフローチャートである。なお、本実施の形態に係る試料分析装置では、図10及び図11に示す所定数が3に設定されているものとする。
【0062】
演算処理装置2のCPU21は、測定装置1から受信した患者情報に含まれる年齢情報に基づいて、被検者が小児であるか否かを判断する(ステップS1201)。ここで、「小児」とは新生児を意味しても良いし、乳児を意味しても良いし、幼児を意味しても良い。「小児」であるか否かは本実施の形態2に係る試料分析装置の使用者が任意に設定することができ、所定年齢以下の被検者だけでなく、例えば小児科や産婦人科に通院している被検者を「小児」としても良いし、小学校入学前の子供を「小児」としても良い。また、試料分析装置を製造する製造業者が「小児」の範囲を設定しても良い。CPU21が、被検者が小児であると判断した場合(ステップS1201:YES)、CPU21は、第2の検出感度で得られた特徴情報に基づく第2の分類用データを選択し(ステップS1202)、処理をステップS1108へ戻す。
【0063】
CPU21が、被検者が小児でないと判断した場合(ステップS1201:NO)、CPU21は、第1乃至第3の各分類用データについて、リンパ球、単球、好酸球、好中球、好塩基球等のサンプリング値の集合領域が重なり合っている領域、例えば図7における領域L(以下、「重なり領域」と略す)に含まれる粒子を計数して、RAM22に記憶する(ステップS1203)。重なり領域の粒子数が少ない場合には良好に血球の分類処理が行われていると考えられるため、CPU21は、重なり領域の粒子数が最も少ない分類用データを選択する。すなわちCPU21は、まず、第1の分類用データにおける重なり領域の粒子数(N1)が、第2の分類用データにおける重なり領域の粒子数(N2)以下であるか否かを判断する(ステップS1204)。
【0064】
CPU21が、第1の分類用データにおける重なり領域の粒子数(N1)が、第2の分類用データにおける重なり領域の粒子数(N2)以下であると判断した場合(ステップS1204:YES)、CPU21は、第1の分類用データにおける重なり領域の粒子数(N1)が、第3の分類用データにおける重なり領域の粒子数(N3)以下であるか否かを判断する(ステップS1205)。
【0065】
CPU21が、第1の分類用データにおける重なり領域の粒子数(N1)が、第3の分類用データにおける重なり領域の粒子数(N3)以下であると判断した場合(ステップS1205:YES)、CPU21は、第1の分類用データを選択し(ステップS1206)、処理をステップS1108へ戻す。
【0066】
CPU21が、第1の分類用データにおける重なり領域の粒子数(N1)が、第2の分類用データにおける重なり領域の粒子数(N2)より大きいと判断した場合(ステップS1204:NO)、又は第1の分類用データにおける重なり領域の粒子数(N1)が、第3の分類用データにおける重なり領域の粒子数(N3)より大きいと判断した場合(ステップS1205:NO)、CPU21は、第2の分類用データにおける重なり領域の粒子数(N2)が、第3の分類用データにおける重なり領域の粒子数(N3)以下であるか否かを判断する(ステップS1207)。
【0067】
CPU21が、第2の分類用データにおける重なり領域の粒子数(N2)が、第3の分類用データにおける重なり領域の粒子数(N3)以下であると判断した場合(ステップS1207:YES)、CPU21は、第2の分類用データを選択して(ステップS1202)、処理をステップS1108へ戻す。CPU21が、第2の分類用データにおける重なり領域の粒子数(N2)が、第3の分類用データにおける重なり領域の粒子数(N3)より大きいと判断した場合(ステップS1207:NO)、CPU21は、第3の分類用データを選択して(ステップS1208)、処理をステップS1108へ戻す。
【0068】
なお、分類用データを選択する方法は、特に限定されるものではないが、例えばリンパ球、単球、好酸球、好中球、好塩基球等のサンプリング値の集合領域の重なり具合、出現位置等に基づいてCPU21が選択する。具体的には、(1)集合領域が重なり合っている領域に含まれる粒子数の大小により選択する、(2)集合領域の代表値と、事前に想定されている各領域の代表値との距離の大小により選択する、(3)集合領域と、事前に想定されている各領域との相対位置により選択する、(4)集合領域の面積と、事前に想定されている各領域の面積との大小により選択する等の方法を組み合わせることにより選択する。
【0069】
図9に戻って、演算表示装置2のCPU21は、使用者からの再分類処理の実行指示である再分類指示を受け付けたか否かを判断し(ステップS910)、CPU21が、再分類指示を受け付けていないと判断した場合(ステップS910:NO)、CPU21は、ステップS911及びステップS912をスキップする。CPU21が、再分類指示を受け付けたと判断した場合(ステップS910:YES)、CPU21は、他の分類用データの選択を受け付け(ステップS911)、選択を受け付けた分類用データに基づいて計数処理を実行する(ステップS912)。
【0070】
図13は、本発明の実施の形態に係る演算表示装置2の表示装置25の分類結果を表示する画面の例示図である。図13では、図10及び図11におけるnが3である場合、すなわち検出感度の互いに相違する3種類の測定データに基づいて3種類の分類用データが生成された場合の、各分類用データに基づく分類結果が表示されている。CPU21が選択した分類用データを用いた場合の分類結果が主結果表示領域211に表示され、他の分類用データを用いた場合の分類結果が副結果表示領域212、213に表示されている。
【0071】
再分類指示は、ユーザにより再分類を希望する分類用データに基づく分類結果を表示している副結果表示領域212、213のいずれかをマウス等で選択することにより行われる。例えば副結果表示領域212が選択された場合には、副結果表示領域212と主結果表示領域211との表示内容が入れ替わり、計数処理が実行される。
【0072】
図9に戻って、演算表示装置2のCPU21は、シャットダウン指示を受け付けたか否かを判断し(ステップS913)、CPU21が、シャットダウン指示を受け付けていないと判断した場合(ステップS913:NO)、CPU21は、処理をステップS903へ戻し、上述した処理を繰り返す。CPU21が、シャットダウン指示を受け付けたと判断した場合(ステップS913:YES)、CPU21は、シャットダウンの指示情報を測定装置1へ送信する(ステップS914)。
【0073】
測定装置1の制御基板部9の制御部91は、シャットダウンの指示情報を受信したか否かを判断し(ステップS922)、制御部91が、シャットダウンの指示情報を受信していない場合(ステップS922:NO)、制御部91は、処理をステップS916へ戻し、上述した処理を繰り返す。制御部91が、シャットダウンの指示情報を受信したと判断した場合(ステップS922:YES)、制御部91は、シャットダウンを実行して(ステップS923)、処理を終了する。
【0074】
以上のように本実施の形態によれば、事前に検出条件の互いに相違する複数の分類用データを生成しておき、試料に応じて最適な分類用データを選択することにより、動物種が異なる、年齢が異なる、性別が異なる等の相違が存在する場合であっても、最適な分類用データを用いて計数処理を実行することができ、試料分析精度の向上を図ることが可能となる。
【0075】
なお、上述の実施の形態では、検出条件として、発光部501から照射された光を受光する受光部であるPD506、512及びAPD511の検出感度を採用した場合について説明しているが、検出条件が検出感度に限定されるものではない。例えば、受光した光信号が光電変換された電気信号を増幅する増幅器61、62、及び63における増幅率を複数設定しても良い。また、発光部501での光の照射強度を複数設定しても良い。
【0076】
また、上述した実施の形態では、試料として血液を用い、血液に含まれている血球を分析する血球分析装置を例に挙げて説明しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、尿中細胞のような生体粒子を含む試料を分析する試料分析装置に適用した場合であっても同様の効果が期待できる。さらに、上述の実施の形態では、分析結果を演算表示装置2の表示装置25で表示しているが、特に限定されるものではなく、ネットワークを介して接続されている他のコンピュータが有している表示装置に表示させるものであっても良い。
【0077】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内であれば多種の変形、置換等が可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の実施の形態に係る試料分析装置の構成を模式的に示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る試料分析装置の測定装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る試料調製部の構成を模式的に説明するブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る検出部及びアナログ処理部の構成を模式的に説明するブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る試料分析装置の演算表示装置の構成を示すブロック図である。
【図6】患者情報記憶部のデータ構成の例示図である。
【図7】白血球分類測定(DIFF測定)時のスキャッタグラムの例示図である。
【図8】DIFF測定時のスキャッタグラムのリンパ球の分布領域とサンプリング値との関係の例示図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る測定装置の制御基板部の制御部及び演算表示装置のCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【図10】本発明の実施の形態に係る測定装置の制御基板部の制御部の測定処理手順を示すフローチャートである。
【図11】本発明の実施の形態に係る演算表示装置のCPUの解析処理手順を示すフローチャートである。
【図12】本発明の実施の形態に係る演算表示装置のCPUの分類用データの選択処理手順を示すフローチャートである。
【図13】本発明の実施の形態に係る演算表示装置の表示装置の分類結果を表示する画面の例示図である。
【符号の説明】
【0079】
1 測定装置
2 演算表示装置
4 装置機構部
5 検出部
6 アナログ処理部
9 制御基板部
21 CPU
22 RAM
23 記憶装置
24 入力装置
25 表示装置
26 出力装置
27 通信インタフェース
28 内部バス
91 制御部
92 A/D変換部
93 演算部
231 コンピュータプログラム
232 患者情報記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料と試薬とを含む測定試料を調製する試料調製部と、
該試料調製部で調製された測定試料に含まれる所定の成分を検出する検出部と、
該検出部にて検出する場合に用いる複数の検出条件ごとに、一の測定試料に含まれる所定の成分を検出するよう前記検出部を制御する検出部制御手段と、
前記検出条件ごとの検出結果のうち少なくとも1つに基づいて前記所定の成分を分析する分析手段と
を備えることを特徴とする試料分析装置。
【請求項2】
前記検出部にて所定の成分を検出する場合に複数の前記検出条件を連続的に設定する検出条件設定手段をさらに備え、
前記検出部制御手段は、前記検出条件設定手段によって連続的に設定された複数の前記検出条件ごとに、一の測定試料に含まれる所定の成分を検出するよう前記検出部を制御することを特徴とする請求項1記載の試料分析装置。
【請求項3】
前記検出条件ごとの検出結果から一の検出結果を自動的に選択する選択手段を備え、
前記分析手段は、前記選択手段で選択された一の検出結果に基づいて前記所定の成分を分析することを特徴とする請求項1又は2記載の試料分析装置。
【請求項4】
前記検出部は、前記所定の成分の検出信号を増幅する増幅器を備え、
前記複数の検出条件は、前記増幅器による検出信号の増幅率に関する条件であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の試料分析装置。
【請求項5】
前記検出部は、
前記測定試料が通過するフローセルと、
該フローセルを通過する前記測定試料に光を照射する発光部と、
該発光部から光が照射された前記測定試料からの光を受光する受光部と
を備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の試料分析装置。
【請求項6】
前記複数の検出条件は、前記受光部による光の検出感度に関する条件であることを特徴とする請求項5記載の試料分析装置。
【請求項7】
前記複数の検出条件は、前記発光部による光の照射強度に関する条件であることを特徴とする請求項5又は6記載の試料分析装置。
【請求項8】
前記検出部制御手段は、前記測定試料が前記フローセルを通過している間に一の検出条件を他の検出条件に変更することを特徴とする請求項5乃至7のいずれか一項に記載の試料分析装置。
【請求項9】
試料に含まれる所定の成分を検出する検出部を有し、該検出部で検出された所定の成分に基づいて試料を分析する試料分析装置で実行することが可能な試料分析方法において、
試料と試薬とを含む測定試料を調製し、
調製された一の測定試料に含まれる所定の成分を、前記検出部にて検出する場合に用いる複数の検出条件ごとに検出し、
検出条件ごとに生成された検出結果のうち少なくとも1つに基づいて前記所定の成分を分析することを特徴とする試料分析方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−243977(P2009−243977A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−88826(P2008−88826)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】