説明

試料分析装置

【課題】試料を調製するための容器を安定して供給することが可能な試料分析装置を提供する。
【解決手段】この試料分析装置1は、試料を調製するための複数のキュベット200を貯留する第1ホッパ11と、第1ホッパ11の中から複数のキュベット200を搬出するキュベット搬出部20と、キュベット搬出部20によって搬出された複数のキュベット200を貯留する第2ホッパ31と、第2ホッパ31の中からキュベット200を1つずつ搬出する搬送レール51と、搬送レール51によるキュベット200の搬出状態を検出するセンサ52と、センサ52の検出結果に基づき、キュベット搬出部20の動作を制御する制御部4aと、搬送レール51によって搬出されたキュベット200中で試料を調製する分析機構部7とを備えている。また、制御部4aは、調製された試料を分析する機能を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、試料分析装置に関し、特に、試料を調製するための容器を貯留する貯留部を備えた試料分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、キュベット(試料を調製するための容器)を貯留する貯留部を備えた自動化学分析器(試料分析装置)が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1に記載の自動化学分析器は、キュベットを貯留する容器ホッパと、複数のスクーパが等間隔を隔てて突出するように周囲に取り付けられた回転可能なエレベータチェーンと、エスクローガイドと、エスクローガイドにキュベットを供給するための第1のラムおよび第2のラムとを備えている。この特許文献1では、容器ホッパに貯留された多数のキュベットのうち底部に位置するキュベットは、1つずつ所定の方向を向いた状態でスクーパに保持されて、エレベータチェーンにより容器ホッパの底部から上方に搬送される。そして、上方に搬送されたキュベットは、上方から第1のラムまたは第2のラムによってエスクローガイドに落とし込まれる。そして、エスクローガイドからキュベットが1つずつ搬出されるように構成されている。
【0004】
【特許文献1】特表2004−538222号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、自動分析装置の高速化が進んでおり、多数の試料を連続して測定する際に、キュベットを操作者が補給する回数を低減させるために、容器ホッパに貯留させるキュベットの量をできるだけ多くしたいという要望が高くなっている。
【0006】
しかしながら、上記特許文献1では、エレベータチェーンに所定の方向を向いて設けられた多数のスクーパによって、容器ホッパの中の底部に不規則な方向を向いて収容されているキュベットを順次すくい上げて上方に搬送するようになっている。上記特許文献1に記載の技術においては、上述した要望に答えるため、容器ホッパに収容させるキュベットをどんどん増加させると、容器ホッパの底部に不規則な方向を向いて収容されているキュベットが動きにくくなり、各スクーパでキュベットを確実にすくい上げることが困難になってしまう。このため、上記特許文献1では、キュベットを安定して供給することが困難であるという問題点がある。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、試料を調製するための容器を安定して供給することが可能な試料分析装置を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0008】
この発明の第1の局面による試料分析装置は、試料を調製するための複数の容器を貯留する第1貯留部と、第1貯留部に貯留された容器を搬出する第1搬出部と、第1搬出部によって搬出された容器を貯留する第2貯留部と、第2貯留部に貯留された容器を1つずつ搬出する第2搬出部と、第2搬出部による容器の搬出状態を検出する検出部と、検出部の検出結果に基づき、第1搬出部の動作を制御する制御部と、第2搬出部によって搬出された容器中で試料を調製する試料調製部と、試料調製部によって調製された試料を分析する分析部とを備えている。
【0009】
この第1の局面による試料分析装置では、上記のように、試料を調製するための複数の容器を貯留する第1貯留部と、第1貯留部に貯留された容器を搬出する第1搬出部と、第1搬出部によって搬出された容器を貯留する第2貯留部とを設けることによって、第1貯留部に貯留された容器のうちの一部を第2貯留部に貯留することができるので、第1貯留部に多量の容器を貯留する場合にも、その一部の少量の容器を第2貯留部に貯留することができる。このため、第2貯留部において、上部の多量の容器による圧力が下部の容器にかかることに起因する容器の詰まりが発生することを抑制することができるので、試料を調製するための容器を安定して供給することができる。また、第2貯留部に貯留された容器を1つずつ搬出する第2搬出部を設けるとともに、第2搬出部による容器の搬出状態を検出する検出部の検出結果に基づき、第1搬出部の動作を制御することによって、第2搬出部が容器を搬出する必要がない場合には、第2貯留部に貯留される容器の量が増えないようにすることができる。これによっても、第2貯留部において容器の詰まりが発生するのを抑制することができるので、容器をより安定して供給することができる。また、第1搬出部を、第1貯留部に貯留された容器を搬出するように構成するとともに、第2搬出部を、第2貯留部に貯留された容器を1つずつ搬出するように構成することによって、多量の容器が収容される第1貯留部から容器を1つずつ方向を揃えて第2貯留部に搬出する必要がないので、多量の容器が収容される第1貯留部から第2貯留部への容器の搬送を円滑に行うことができる。これによっても、容器をより安定して供給することができる。
【0010】
上記第1の局面による試料分析装置において、好ましくは、第2搬出部は、複数の容器を一列に並べて搬送し、検出部は、第2搬出部に並べられた容器の量が所定値を超えるか否かを検出し、制御部は、検出部によって、第2搬出部に並べられた容器の量が所定値を超えると検出された場合に、第1搬出部の動作を停止させるように構成されている。このように構成すれば、第2搬出部に並べられた容器の量が所定値を超えた場合に、第1搬出部によって第1貯留部から容器が第2貯留部に搬出されることを抑制することができる。これにより、第2貯留部に必要以上の量の容器が貯留されることを容易に抑制することができる。
【0011】
上記第1の局面による試料分析装置において、好ましくは、第1搬出部は、容器を保持することが可能な保持板が複数設けられた環状ベルトと、環状ベルトを回転させる回転機構とを含み、回転機構による環状ベルトの回転動作に伴って、保持板が第1貯留部の底部から上方へ向かって移動するように構成されている。このように構成すれば、保持板が複数設けられた環状ベルトにより、容易に、第1貯留部に貯留されている容器を搬出することができるとともに、第1貯留部に貯留されている容器が底部に残ることを抑制することができる。
【0012】
この場合、好ましくは、第1貯留部は、底部に保持板が通過するための開口を含み、環状ベルトは、保持板が開口を通過するように第1貯留部の内部に配置されており、第1貯留部は、開口の近傍に、保持板に当接して開口からの容器の脱落を防止する可動板をさらに含む。このように構成すれば、可動板により、底部に設けられた開口から容器が脱落すること、および、容器が開口に詰まることを抑制することができる。
【0013】
上記第1の局面による試料分析装置において、好ましくは、第2搬出部は、第2貯留部に貯留されている容器を1つずつ取り出すための容器取出部を備える。このように構成すれば、容器取出部によって、容易に、第2貯留部から容器を1つずつ取り出すことができる。
【0014】
この場合、好ましくは、容器取出部は、第2貯留部に貯留されている容器を攪拌する機能を有する。このように構成すれば、容器を攪拌することにより、第2貯留部における容器の詰まりを防止することができる。また、容器の攪拌により、容器の向きを、第2搬出部の容器取出部が取り出し易い向きに変えることができる。
【0015】
上記第1の局面による試料分析装置において、好ましくは、第1搬出部の第1搬出速度は、第2搬出部の第2搬出速度よりも小さい。このように構成すれば、第2貯留部に貯留される容器の量が増加することを抑制することができる。
【0016】
上記第1の局面による試料分析装置において、好ましくは、第2貯留部の貯留量は、第1貯留部の貯留量よりも少ない。このように構成すれば、容易に、容器が第2搬出部に1つずつ搬出される第2貯留部において、容器の詰まりが発生するのを抑制することができる。
【0017】
上記第1の局面による試料分析装置において、好ましくは、第2貯留部に容器が所定量以上貯留されていることを検知する満杯検知センサをさらに備え、制御部は、満杯検知センサが、第2貯留部に容器が所定量以上貯留されていることを検知した場合に、第1搬出部の動作を停止させるように構成されている。このように構成すれば、異常発生時にも、第2貯留部に容器が所定量より多い量の容器が貯留されることを抑制することができるので、第2貯留部から容器が溢れることを抑制することができる。
【0018】
この発明の第2の局面による試料分析装置は、試料を調製するための複数の容器を貯留する第1貯留部と、第1貯留部に貯留された容器を搬出する第1搬出部と、第1搬出部によって搬出された容器を貯留する第2貯留部と、第2貯留部に貯留された容器を1つずつ搬出する第2搬出部と、第2貯留部の容器の貯留量を検出する第1検出部と、第1検出部の検出結果に基づき、第1搬出部の動作を制御する制御部と、第2搬出部によって搬出された容器中で試料を調製する試料調製部と、試料調製部によって調製された試料を分析する分析部とを備えている。
【0019】
この第2の局面による試料分析装置では、上記のように、試料を調製するための複数の容器を貯留する第1貯留部と、第1貯留部に貯留された容器を搬出する第1搬出部と、第1搬出部によって搬出された容器を貯留する第2貯留部とを設けることによって、第1貯留部に貯留された容器のうちの一部を第2貯留部に貯留することができるので、第1貯留部に多量の容器を貯留する場合にも、その一部の少量の容器を第2貯留部に貯留することができる。このため、第2貯留部において、上部の多量の容器による圧力が下部の容器にかかることに起因する容器の詰まりが発生することを抑制することができるので、試料を調製するための容器を安定して供給することができる。また、第1搬出部を、第1貯留部に貯留された容器を搬出するように構成するとともに、第2搬出部を、第2貯留部に貯留された容器を1つずつ搬出するように構成することによって、多量の容器が収容される第1貯留部から容器を1つずつ方向を揃えて第2貯留部に搬出する必要がないので、多量の容器が収容される第1貯留部から第2貯留部への容器の搬送を円滑に行うことができる。これによっても、容器をより安定して供給することができる。また、第2貯留部の容器の貯留量を検出する第1検出部の検出結果に基づき、第1搬出部の動作を制御することによって、第2貯留部に貯留される容器の量が必要以上に増えることを抑制することができる。これによっても、第2貯留部において容器の詰まりが発生するのを抑制することができるので、容器をより安定して供給することができる。
【0020】
上記第2の局面による試料分析装置において、好ましくは、第2搬出部による容器の搬出状態を検出する第2検出部をさらに備え、第2搬出部は、第2貯留部に貯留されている容器を1つずつ取り出すための容器取出部を備え、制御部は、第2検出部の検出結果に基づき、容器取出部の動作を制御して、容器取出部が第2貯留部から取り出す容器の量を調節する。このように構成すれば、第2搬出部が必要以上の量の容器を搬出することを抑制することができる。
【0021】
この場合、好ましくは、第2搬出部は、複数の容器を一列に並べて搬送し、第2検出部は、第2搬出部に並べられた容器の量が所定値を超えるか否かを検出し、制御部は、第2検出部によって、第2搬出部に並べられた容器の量が所定値を超えると検出された場合に、容器取出部による容器の取り出し動作を停止させるように構成されている。このように構成すれば、第2搬出部に、第2検出部が検知した所定値以上の量の容器が並べられるのを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
図1〜図3は、本発明の一実施形態による試料分析装置の全体構成を示す図である。図4は、本発明の一実施形態による試料分析装置の制御装置を説明するための図である。図5は、本発明の一実施形態による試料分析装置に用いられるキュベットを示す断面図である。図6〜図18は、本発明の一実施形態による試料分析装置の構造を説明するための図である。まず、図1〜図18を参照して、本発明の一実施形態による試料分析装置1の構造を説明する。
【0024】
本発明の一実施形態による試料分析装置1は、血液の凝固・線溶機能に関連する特定の物質の量や活性の度合いを光学的に測定して分析するための装置であり、検体としては血漿を用いる。本実施形態による試料分析装置1では、凝固時間法、合成基質法および免疫比濁法を用いて検体の光学的な測定(本測定)を行っている。本実施形態で用いる凝固時間法は、検体が凝固する過程を透過光の変化として検出する測定方法である。そして、測定項目としては、PT(プロトロンビン時間)、APTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)やFbg(フィブリノーゲン量)などがある。また、合成基質法の測定項目としてはATIII等、免疫比濁法の測定項目としてはDダイマー、FDP等がある。
【0025】
そして、試料分析装置1は、図1および図2に示すように、検出機構部2と、検出機構部2の前面側に配置された搬送機構部3と、検出機構部2に電気的に接続された制御装置4とにより構成されている。また、検出機構部2には、測定を行う際の検体の容器となるキュベット200を投入するキュベット投入部5が設けられている。キュベット投入部5には、開閉可能な蓋5aと、キュベット投入部5の中を視認可能な窓5bとが設けられている。また、キュベット投入部5の前面側には、緊急停止ボタン300と、測定開始ボタン301とが設けられている。蓋5a(図1参照)は、後述するキュベット供給機構部6の第1貯留部10(図2参照)にキュベット200を投入するために設けられている。また、ユーザは、窓5bから第1貯留部10(図2参照)に貯留されているキュベット200の残量を視認することが可能である。緊急停止ボタン300(図1参照)は、緊急の場合に測定を停止させる機能を有する。測定開始ボタン301(図1参照)は、押すことにより、測定が開始されるように構成されている。これにより、ユーザは、キュベット200を投入した後、直ぐに測定を開始することが可能である。なお、制御装置4の操作によっても測定を開始可能である。
【0026】
制御装置4は、パーソナルコンピュータ401(PC)などからなり、図1および図2に示すように、制御部4aと、表示部4bと、キーボード4cとを含んでいる。制御部4aは、検出機構部2および搬送機構部3の動作制御を行うとともに、検出機構部2で得られた検体の光学的な情報を分析するための機能を有している。この制御部4aは、CPU、ROM、RAMなどからなる。また、表示部4bは、検体中に存在する干渉物質(ヘモグロビン、乳び(脂質)およびビリルビン)に関する情報と、制御部4aで得られた分析結果とを表示するために設けられている。
【0027】
次に、制御装置4の構成について説明する。制御部4aは、図4に示すように、CPU401aと、ROM401bと、RAM401cと、ハードディスク401dと、読出装置401eと、入出力インタフェース401fと、通信インタフェース401gと、画像出力インタフェース401hとから主として構成されている。CPU401a、ROM401b、RAM401c、ハードディスク401d、読出装置401e、入出力インタフェース401f、通信インタフェース401g、および画像出力インタフェース401hは、バス401iによって接続されている。
【0028】
CPU401aは、ROM401bに記憶されているコンピュータプログラムおよびRAM401cにロードされたコンピュータプログラムを実行することが可能である。そして、後述するようなアプリケーションプログラム404aをCPU401aが実行することにより、コンピュータ401が制御装置4として機能する。
【0029】
ROM401bは、マスクROM、PROM、EPROM、EEPROMなどによって構成されており、CPU401aに実行されるコンピュータプログラムおよびこれに用いるデータなどが記録されている。
【0030】
RAM401cは、SRAMまたはDRAMなどによって構成されている。RAM401cは、ROM401bおよびハードディスク401dに記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU401aの作業領域として利用される。
【0031】
ハードディスク401dは、オペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムなど、CPU401aに実行させるための種々のコンピュータプログラムおよびそのコンピュータプログラムの実行に用いるデータがインストールされている。本実施形態に係る干渉物質の有無や濃度を算出するためのアプリケーションプログラム404aも、このハードディスク401dにインストールされている。
【0032】
読出装置401eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、またはDVD−ROMドライブなどによって構成されており、可搬型記録媒体404に記録されたコンピュータプログラムまたはデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体404には、本実施形態に係るアプリケーションプログラム404aが格納されており、コンピュータ401がその可搬型記録媒体404からアプリケーションプログラム404aを読み出し、そのアプリケーションプログラム404aをハードディスク401dにインストールすることが可能である。
【0033】
なお、上記アプリケーションプログラム404aは、可搬型記録媒体404によって提供されるのみならず、電気通信回線(有線、無線を問わない)によってコンピュータ401と通信可能に接続された外部の機器から上記電気通信回線を通じて提供することも可能である。たとえば、上記アプリケーションプログラム404aがインターネット上のサーバコンピュータのハードディスク内に格納されており、このサーバコンピュータにコンピュータ401がアクセスして、そのアプリケーションプログラム404aをダウンロードし、これをハードディスク401dにインストールすることも可能である。
【0034】
また、ハードディスク401dには、たとえば、米マイクロソフト社が製造販売するWindows(登録商標)などのグラフィカルユーザインタフェース環境を提供するオペレーティングシステムがインストールされている。以下の説明においては、本実施形態に係るアプリケーションプログラム404aは上記オペレーティングシステム上で動作するものとしている。
【0035】
入出力インタフェース401fは、たとえば、USB、IEEE1394、RS−232Cなどのシリアルインタフェース、SCSI、IDE、IEEE1284などのパラレルインタフェース、およびD/A変換器、A/D変換器などからなるアナログインタフェースなどから構成されている。入出力インタフェース401fには、キーボード4cが接続されており、ユーザがそのキーボード4cを使用することにより、コンピュータ401にデータを入力することが可能である。
【0036】
通信インタフェース401gは、たとえば、Ethernet(登録商標)インタフェースである。コンピュータ401は、その通信インタフェース401gにより、所定の通信プロトコルを使用して検出機構部2との間でデータの送受信が可能である。
【0037】
画像出力インタフェース401hは、LCDまたはCRTなどで構成された表示部4bに接続されており、CPU401aから与えられた画像データに応じた映像信号を表示部4bに出力するようになっている。表示部4bは、入力された映像信号にしたがって、画像(画面)を表示する。
【0038】
搬送機構部3は、図1〜図3に示すように、検出機構部2に検体を供給するために、検体を収容した複数(本実施形態では、10本)の試験管250が載置されたラック251を検出機構部2の吸引位置2a(図3参照)に搬送する機能を有している。また、搬送機構部3は、未処理の検体を収容した試験管250が収納されたラック251をセットするためのラックセット領域3aと、処理済みの検体を収容した試験管250が収納されたラック251を収容するためのラック収容領域3bとを有している。
【0039】
検出機構部2は、搬送機構部3から供給された検体に対して光学的な測定を行うことにより、供給された検体に関する光学的な情報を取得することが可能なように構成されている。本実施形態では、搬送機構部3のラック251に載置された試験管250から検出機構部2のキュベット200(図3参照)内に分注された検体に対して光学的な測定が行われる。
【0040】
また、検出機構部2は、キュべット供給機構部6と、分析機構部7とを含む。キュべット供給機構部6は、ユーザによって無造作に投入された複数のキュベット200(図5参照)を分析機構部7の回転搬送部100に1つずつ供給するために設けられている。なお、キュベット200は、図5に示すように、直径D1(約10mm)を有するつば部200aと、直径D1よりも小さい直径D2(約8mm)を有する胴部200bとから構成されている。また、キュベット200は、約30mmの長さを有する。
【0041】
ここで、本実施形態では、キュべット供給機構部6は、図6〜図9に示すように、キュベット200が投入される第1貯留部10と、第1貯留部10からキュベット200を搬出するためのキュベット搬出部20と、キュベット搬出部20によって搬出されたキュベット200を貯留する第2貯留部30と、第2貯留部30からキュベット200を1つずつ切り出すキュベット切り出し部40と、キュベット切り出し部40から切り出されたキュベット200を搬送するための傾斜を有する搬送部50と、搬送部50の下端に配置された回転移送部60と、回転移送部60から所定の間隔を隔てて設けられた供給用キャッチャ部70と、第1貯留部10、キュベット搬出部20、第2貯留部30およびキュベット切り出し部40を支持するブラケット80とを含んでいる。
【0042】
第1貯留部10は、キュベット200を貯留する第1ホッパ11と、第1ホッパ11の側面の下方に取り付けられたセンサ12と、第1ホッパ11の底部近傍に取り付けられた可動板13とを含んでいる。また、第1ホッパ11は、半透明の樹脂からなり、ユーザが第1ホッパ11に貯留されているキュベット200の量を上述した窓5b(図1参照)から視認可能であるように構成されている。また、第1ホッパ11の低部には、後述する環状ベルト21の保持板21aが通過するための開口部11aが設けられている。また、第1ホッパ11と環状ベルト21とにより形成されるキュベット貯留領域11b(図9参照)は、キュベット200を約1000個貯留することが可能な大きさを有する。また、センサ12は、透過型センサであり、第1ホッパ11に貯留されているキュベット200の量が約100個以下になったことを検知する機能を有する。試料分析装置1は、センサ12が検知した場合には、警告音などによってキュベット200の残量が少なくなっていることをユーザに通知するように構成されている。また、可動板13は、第1ホッパ11に回動軸13aを中心に回動可能に取り付けられている。この可動板13は、上記した開口部11aを覆うように取り付けられる。また、可動板13の回動軸13aと反対側の端部の下面は、環状ベルト21に設けられた保持板21aの面21b(図9および図10参照)に当接するように構成されている。この可動板13によって、環状ベルト21の動作を妨げることなく、第1ホッパ11の開口部11aからキュベット200が下方に落下することを抑制することが可能である。
【0043】
キュベット搬出部20は、複数の保持板21aが設けられた環状ベルト21と、環状ベルトが取り付けられるチェーン22と、チェーン22が係合されるスプロケット23およびスプロケット24と、スプロケット23を駆動するための駆動モータ25と、環状ベルト21を収納する収納カバー26とを含んでいる。環状ベルト21は、図9に示すように、駆動モータ25が矢印A方向にスプロケット23を回転させることによって、矢印B方向に回転される。また、複数の保持板21aは、約32mmの幅と、約15mmの長さとを有し、各々の保持板21aは、約30mmの長さと約10mmの直径とを有するキュベット200を1〜3個保持することが可能な大きさを有する。すなわち、環状ベルト21は、第1ホッパ11に貯留されたキュベット200を第1ホッパ11の底部から上方に向かって搬出する機能を有する。なお、図9に示すように、本実施形態による環状ベルト21の保持板21aに保持される際のキュベット200の向きは一定である必要はない。また、スプロケット23とスプロケット24とは、環状ベルト21が垂直方向に対して第2貯留部30側に所定の角度傾くように配置されている。これにより、環状ベルト21が第1ホッパ11の底部から上方にキュベット200を搬送する際に、キュベット200が保持板21aから脱落することが抑制される。
【0044】
また、環状ベルト21の保持板21aに保持されて上方に搬出されたキュベット200は、環状ベルト21が回転されるのに伴い、第1ホッパ11と反対側(図9の矢印C方向)に落下する。キュベット200が落下する先には第2貯留部30が配置されているため、第1ホッパ11から搬出されたキュベット200は、第2貯留部30に貯留される。ここで、保持板21aの矢印B方向側の面21bは、環状ベルト21の表面に対してほぼ垂直になるように設けられているのに対して、保持板21aの矢印B方向と反対方向の面21cは、環状ベルト21の表面に対して垂直な方向から時計回りに所定の角度傾斜するように設けられている。これにより、保持板21aが第2貯留部30の近傍に到達した際に、キュベット200が第2貯留部30に落下しやすいように構成されている。
【0045】
第2貯留部30は、図11〜図14に示すように、第2ホッパ31と、透過型のセンサ32とを含んでいる。第2ホッパ31は、キュベット受け部31aと、キュベット蓄積部31bとからなり、平面的に見てL字形状を有している。環状ベルト21から落下したキュベット200は、第2ホッパ31のキュベット受け部31aに供給されるように構成されている。また、第2ホッパ31の内底面は、キュベット受け部31aからキュベット蓄積部31bにかけて下方に傾斜しており、キュベット受け部31aに供給されたキュベット200は、キュベット蓄積部31bに自動的に移動される。また、第2ホッパ31は、第1ホッパ11のキュベット200の貯留量(約1000個)よりも少ないキュベット200の貯留量(約100個)を有する。また、第2ホッパ31に貯留されているキュベット200が所定量以上になるとセンサ32が検知するように構成されている。本実施形態では、センサ32が検知すると、制御部4aは、第2ホッパ31が満杯であると判断して、駆動モータ25の動作を停止させることにより、環状ベルト21の動作を停止させるように構成されている。また、第2ホッパ31のキュベット蓄積部31bの底部に設けられた開口部31c(図13参照)には、キュベット切り出し部40の揺動レール41および揺動ガイド42が配置される。
【0046】
キュベット切り出し部40は、図11〜図16に示すように、回動軸41aを中心に回動可能な揺動レール41と、回動軸42aを中心に回動可能な揺動ガイド42と、揺動レール41および揺動ガイド42を一体的に回動可能に連結するリンク43と、駆動モータ44と、駆動モータ44の駆動力を揺動レール41に伝達するためのアーム45とを含んでいる。駆動モータ44が駆動されると、駆動モータ44によって回転されるアーム45によって揺動レール41が揺動される。また、揺動レール41と揺動ガイド42とはリンク43によって連結されているため、揺動ガイド42は、揺動レール41の揺動に伴って揺動される。また、図15および図16に示すように、揺動レール41および揺動ガイド42は、それぞれ、回動軸41aおよび回動軸42aを中心にD方向およびE方向に揺動される。
【0047】
揺動レール41は、金属製の一対の扇形状板41bと、一対の扇形状板41bに挟まれるように固定される樹脂製のスペーサ41cとを含んでいる。図13に示すように、一対の扇形状板41bの間隔(スペーサ41cの厚み)D3は、キュベット200のつば部200aの直径D1(図5参照)よりも小さく、かつ、胴部200bの直径D2(図5参照)よりも大きい。また、揺動ガイド42は、揺動レール41の一対の扇形状板41bの外側に接するように設けられた一対のガイド板42bと、一対のガイド板42bに挟まれるように固定される樹脂製のスペーサ42cとを含む。キュベット200は、図16に示すように、揺動レール41および揺動ガイド42が揺動されるのに伴い、揺動レール41と、揺動ガイド42のスペーサ42cとの間を通って搬送部50の搬送レール51に搬送される。
【0048】
また、キュベット切り出し部40は、この揺動レール41および揺動ガイド42によって、キュベット200を1つずつ切り出すことが可能である。具体的には、図15に示すように、揺動レール41のスペーサ41cと揺動ガイド42のスペーサ42cとの間隔D4はキュベット200のつば部200aの直径D1(図5参照)よりも大きく、かつ、キュベット200が2つ入らないような大きさに設定されている。また、図13に示すように、一対のガイド板42bの間隔D5は、キュベット200のつば部200aの直径D1(図5参照)よりも大きく、かつ、キュベット200が2つ入らないような大きさに形成されている。これによって、切り出し位置46(図13および図15参照)に配置されるキュベット200が1つのみになるように構成されている。
【0049】
また、図13および図15に示すように、切り出し位置46においては、キュベット200の向きは揺動レール41と平行となる一方、キュベット200の開口端は、矢印F方向および矢印G方向のどちらの方向を向いていてもよい。すなわち、キュベット200が揺動レール41上を移動する際、揺動レール41のスペーサ41cは、図16に示すように、扇形状板41bの途中の位置47で切れている。このため、スペーサ41cが切れた位置47で、キュベット200は、自重によって閉口端が下方に下がる。また、上述のように、一対の扇形状板41bの間隔D3(図13参照)は、キュベット200のつば部200aの直径D1(図5参照)よりも小さく、かつ、胴部200bの直径D2(図5参照)よりも大きいため、図16に示すように、一対の扇形状板41bによりつば部200aが支持される。このように、キュベット切り出し部40は、キュベット200を切り出す過程でキュベット200の開口端が上向きになるように構成されている。
【0050】
また、揺動レール41および揺動ガイド42は、駆動モータ44によって揺動されることによって、第2ホッパ31に貯留されているキュベット200を攪拌する機能を有する。これによって、キュベット200を切り出し位置46(図13および図15参照)に配置させることが可能であるとともに、複数のキュベット200が係合しあって塊となることにより切り出し動作(揺動レール41および揺動ガイド42の揺動動作)を妨げることが抑制される。
【0051】
また、制御部4aは、駆動モータ44の回転方向を3秒間隔で逆転させるように構成されている。これにより、上記したようなキュベット200の塊によって揺動レール41および揺動ガイド42の揺動が妨げられている場合に、逆方向への揺動により、キュベット200の塊を解消することが可能である。なお、駆動モータ44の回転方向が逆転しても、揺動レール41および揺動ガイド42の揺動経路は変わらない。
【0052】
また、本実施形態では、キュベット搬出部20が第1貯留部10から第2貯留部30へキュベット200を搬出する速度は、キュベット切り出し部40が第2貯留部30から搬送部50へキュベット200を切り出す速度よりも小さくなるように構成されている。具体的には、キュベット搬出部20がキュベット200を1つ搬出する間に、キュベット切り出し部40はキュベット200を3つ程度切り出すことが可能であるように構成されている。
【0053】
搬送部50は、一対の搬送レール51と、反射型のセンサ52と、樹脂製の緩衝板53とを含んでいる。一対の搬送レール51は、キュベット200(図5参照)のつば部200aの直径D1よりも小さく、かつ、キュベット200の胴部200bの直径D2よりも大きくなるような間隔D6(図13参照)を隔てて互いに平行に配置されている。この搬送レール51の間隔D6は、上記揺動レール41の一対の扇形状板41bの間隔D3と等しい。これにより、キュベット200は、キュベット切り出し部40から搬送レール51へ滑らかに搬送される。キュベット200は、つば部200aが一対の搬送レール51の上面に係合した状態で、後述する回転移送部60に向かって滑り落ちながら移動する。搬送レール51は、図6に示すように、キュベット200を一列に並べて所定の数収容することが可能であり、搬送レール51に収容されたキュベット200の数が所定の数以上になると、センサ52(図7参照)が検知するように構成されている。本実施形態では、センサ52が検知すると、制御部4aは、駆動モータ25および駆動モータ44の動作を停止させることによって、第1貯留部10から第2貯留部30への搬出および第2貯留部30から搬送部50への切り出しを停止させるように構成されている。また、樹脂製の緩衝板53は、バネ性を有することによって、キュベット切り出し部40によって切り出されたキュベット200の勢いを減じる機能を有する。すなわち、上死点における揺動レール41から自重によって落下するキュベット200の勢いは、緩衝板53に当たることによって減じられる。これによって、切り出されたキュベット200が、搬送レール51において待機中のキュベット200(図6参照)に乗り上げてしまうなどの不都合が発生することを抑制することが可能である。
【0054】
また、回転移送部60は、搬送レール51を滑り落ちて移動したキュベット200を、供給用キャッチャ部70が把持可能な待機位置まで矢印H方向(図6参照)に回転移送する機能を有している。回転移送部60は、支持台61と、支持台61に取り付けられる回転可能な回転テーブル62と、回転テーブル62を駆動するための駆動モータ63とを含んでいる。駆動モータ63により回転テーブル62が矢印H方向に回転されることによって、回転テーブル62の3つの切欠部62aに嵌め込まれたキュベット200が支持台61の切欠部61a(待機位置)まで移送される。また、図示しないが、支持台61の回転テーブル62が挿入される部分の底面は、回転テーブル62によるキュベット200の移送経路に沿って次第に高くなるような傾斜面に形成されている。これにより、キュベット200が回転テーブル62によって移送され、待機位置である支持台61の切欠部61aに到達すると、図7に示すように、キュベット200のつば部200aが回転テーブル62の上面から突出するように構成されている。これにより、後述するように、供給用キャッチャ部70がキュベット200のつば部200aを把持することが可能である。
【0055】
そして、供給用キャッチャ部70は、回転移送部60により待機位置である支持台61の切欠部61aに回転移送されたキュベット200を分析機構部7の回転搬送部100の分注テーブル103(図3参照)に供給するために設けられている。供給用キャッチャ部70は、図6、図17および図18に示すように、キュベット200を把持するための一対の把持部材71と、把持部材71が取り付けられる第1アーム部72aと、第1アーム部72aが取り付けられる第2アーム部72bと、第1アーム部72aおよび第2アーム部72bからなるアーム72を駆動するための駆動部73(図6参照)とを含んでいる。一対の把持部材71は、二股に分岐された把持部71aを有するとともに、圧縮コイルバネ74によって互いに近づく方向に付勢されている。キュベット200のつば部200aにより、圧縮コイルバネ74の付勢力に抗して一対の把持部材71が広げられて二股に分岐された把持部71aの間にキュベット200のつば部200aが挟持されることによって、キュベット200は把持部材71に把持される。また、駆動部73は、アーム72を水平方向に回動させることが可能であるとともに、アーム72を垂直方向に移動させることが可能である。
【0056】
また、分析機構部7は、図2および図3に示すように、回転搬送部100と、検体分注アーム110と、第1光学的情報取得部120と、ランプユニット130と、試薬分注アーム140と、キュベット移送部150と、第2光学的情報取得部160と、緊急検体セット部170と、流体部180とを備えている。
【0057】
回転搬送部100は、キュべット供給機構部6から供給されたキュベット200と、キュベット200内の検体に添加される試薬を収容した試薬容器(図示せず)とを回転方向に搬送するために設けられている。この回転搬送部100は、図3に示すように、円形状の試薬テーブル101と、円形状の試薬テーブル101の外側に配置された円環形状の試薬テーブル102と、円環形状の試薬テーブル102の外側に配置された円環形状の分注テーブル103とにより構成されている。これらの分注テーブル103、試薬テーブル101および試薬テーブル102は、それぞれ、時計回り方向および反時計回り方向の両方に回転可能で、かつ、各々のテーブルが互いに独立して回転可能なように構成されている。
【0058】
試薬テーブル101および102は、図3に示すように、それぞれ、円周方向に沿って所定の間隔を隔てて設けられた複数の孔部101aおよび102aを含んでいる。試薬テーブル101および102の孔部101aおよび102aは、検体から測定用試料を調製する際に添加される種々の試薬を収容した複数の試薬容器(図示せず)を載置するために設けられている。また、分注テーブル103は、それぞれ、円周方向に沿って所定の間隔を隔てて設けられた円筒形状の複数の保持部103aを含んでいる。保持部103aは、キュべット供給機構部6から供給されたキュベット200を保持するために設けられている。分注テーブル103の保持部103aに保持されたキュベット200には、分注処理の際に、搬送機構部3の試験管250に収容されている検体が分注される。
【0059】
検体分注アーム110は、搬送機構部3により吸引位置2aに搬送された試験管250に収容される検体を吸引するとともに、吸引した検体を回転搬送部100に移送されたキュベット200内に分注する機能を有している。
【0060】
第1光学的情報取得部120は、試薬を添加する前の検体中の干渉物質(乳び、ヘモグロビンおよびビリルビン)の有無およびその濃度を測定するために、検体から光学的な情報を取得するように構成されている。具体的には、後述するランプユニット130から照射される5種類の光(340nm、405nm、575nm、660nmおよび800nm)の内の4種類の光(405nm、575nm、660nmおよび800nm)を用いて、干渉物質の有無およびその濃度を測定している。なお、405nmの波長を有する光は、乳び、ヘモグロビンおよびビリルビンのいずれにも吸収される光である。すなわち、405nmの波長を有する光により測定された光学的な情報には、乳び、ヘモグロビンおよびビリルビンの影響が寄与している。また、575nmの波長を有する光は、ビリルビンには実質的に吸収されず、かつ、乳びおよびヘモグロビンに吸収される光である。すなわち、575nmの波長を有する光により測定された光学的な情報には、乳びおよびヘモグロビンの影響が寄与している。そして、660nmおよび800nmの波長を有する光は、ビリルビンおよびヘモグロビンには実質的に吸収されず、かつ、乳びに吸収される光である。すなわち、660nmおよび800nmの波長を有する光により測定された光学的な情報には、乳びの影響が寄与している。また、乳びは、底波長域の405nmから高波長域の800nmまでの波長の光を吸収しており、660nmの波長を有する光の方が、800nmの波長を有する光に比べて、乳びによる吸収が多い。すなわち、800nmの波長を有する光で測定した光学的な情報の方が、660nmの波長を有する光で測定した光学的な情報より、乳びの影響が小さい。
【0061】
この第1光学的情報取得部120による検体の光学的な情報の取得は、第2光学的情報取得部160による検体の光学的な測定(本測定)の前に行われる。第1光学的情報取得部120は、分注テーブル103の保持部103aに保持されたキュベット200内の検体から光学的な情報(検体の透過光による情報)を取得する。
【0062】
また、第1光学的情報取得部120は、制御装置4の制御部4aに電気的に接続されており、第1光学的情報取得部120において取得されたデータ(光学的な情報)を制御装置4の制御部4aに送信する。これにより、制御装置4において、第1光学的情報取得部120からのデータの分析(解析)が行われることにより、分岐光ファイバ131から出射される5種類の光に対するキュベット200内の検体の吸光度が求められるとともに、検体中の干渉物質の有無やその濃度などが分析される。そして、本実施形態では、検体中の干渉物質の有無やその濃度などに基づいて、後述する第2光学的情報取得部160で測定した光学的な情報を分析するか否かが判断される。
【0063】
ランプユニット130は、図3に示すように、第1光学的情報取得部120および第2光学的情報取得部160で行われる光学的な測定に用いられる5種類の波長を有する光(340nm、405nm、575nm、660nmおよび800nm)を供給するために設けられている。すなわち、1つのランプユニット130が、第1光学的情報取得部120および第2光学的情報取得部160に対して共通に用いられるように構成されている。また、ランプユニット130の光は、分岐光ファイバ131および分岐光ファイバ132によって、それぞれ、第1光学的情報取得部120および第2光学的情報取得部160に供給される。
【0064】
試薬分注アーム140は、図2および図3に示すように、回転搬送部100に載置された試薬容器(図示せず)内の試薬を回転搬送部100に保持されたキュベット200に分注することにより、キュベット200内の検体に試薬を混合するために設けられている。これにより、第1光学的情報取得部120による光学的な測定が終了した検体に試薬を添加して測定用試料が調製される。また、キュベット移送部150は、キュベット200を回転搬送部100と第2光学的情報取得部160との間を移送させるために設けられている。
【0065】
第2光学的情報取得部160は、検体に試薬を添加して調製された測定用試料の加温を行うとともに、その測定用試料から光学的な情報を測定するための機能を有している。この第2光学的情報取得部160は、図3に示すように、キュベット載置部161と、キュベット載置部161の下方に配置された検出部162とにより構成されている。また、キュベット載置部161には、キュベット200を所定の温度に加温するための加温機構(図示せず)が内蔵されている。
【0066】
また、第2光学的情報取得部160の検出部162は、キュベット200内の測定用試料に対して複数の条件下で光学的な測定(本測定)を行うことが可能なように構成されている。また、第2光学的情報取得部160は、制御装置4の制御部4aに電気的に接続されており、取得したデータ(光学的な情報)を制御装置4の制御部4aに送信する。これにより、制御装置4において、予め取得済みの第1光学的情報取得部120からのデータ(光学的な情報)の分析結果に基づいて、第2光学的情報取得部160から送信されたデータ(光学的な情報)が分析されて、表示部4bに表示される。
【0067】
なお、分岐光ファイバ132から照射される660nmの波長を有する光は、Fbg(フィブリノーゲン量)、PT(プロトロンビン時間)およびAPTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)を測定する際に用いられるメイン波長である。また、800nmの波長を有する光は、Fbg、PTおよびAPTTを測定する際に用いられるサブ波長である。合成基質法の測定項目であるATIIIの測定波長は405nmであり、免疫比濁法の測定項目であるDダイマーおよびFDPの測定波長は800nmである。また、血小板凝集の測定波長は、575nmである。
【0068】
緊急検体セット部170は、図2および図3に示すように、緊急を要する検体に対しての検体分析処理を行うために設けられている。この緊急検体セット部170は、搬送機構部3から供給された検体に対しての検体分析処理が行われている際に、緊急検体を割り込ませることが可能なように構成されている。また、流体部180は、試料分析装置1のシャットダウン処理の際に、各分注アーム(検体分注アーム110および試薬分注アーム140)に設けられるノズルに洗浄液などの液体を供給するために設けられている。
【0069】
また、分析機構部7には、図2および図3に示すように、上述した供給用キャッチャ部70から所定の間隔を隔てて設けられた廃棄用孔181(図3参照)と、廃棄用孔181の下方に設置された廃棄ボックス182とが設けられている。上述した供給用キャッチャ部70は、回転搬送部100のキュベット200を、廃棄用孔181(図3参照)を介して廃棄ボックス182に廃棄することが可能である。すなわち、供給用キャッチャ部70は、キュベット200の供給と廃棄との両方を行うことが可能である。
【0070】
次に、図1、図6、図9、図13、図15および図16を参照して、本実施形態による試料分析装置1のキュべット供給機構部6のキュベット供給動作について説明する。
【0071】
まず、ユーザにより第1ホッパ11にキュベット200が投入される。その後、測定開始ボタン5c(図1参照)が押されるか、または、制御装置4によって測定開始操作が行われると、キュベット200の供給動作が開始される。すなわち、キュベット搬出部20の駆動モータ25、キュベット切り出し部40の駆動モータ44、回転移送部60の駆動モータ63および供給用キャッチャ部70の駆動部73が駆動される。
【0072】
第1ホッパ11に収容されたキュベット200は、図9に示すように、駆動モータ25による駆動力によって回転する環状ベルト21の保持板21aに保持されて第1ホッパ11の底部から上方に搬出される。この搬出時においては、保持部21aに保持されるキュベット200の数および向きなどは不均一である。そして、環状ベルト21がさらに回転すると、キュベット200は、環状ベルト21に対して第1ホッパ11と反対側に位置する第2ホッパ31のキュベット受け部31aに落下する。
【0073】
キュベット受け部31aに落下したキュベット200は、キュベット受け部31aの底面の傾斜によって自動的にキュベット蓄積部31bに移動される。そして、図13、図15および図16に示すように、キュベット蓄積部31bのキュベット200は、キュベット切り出し部40の揺動レール41および揺動ガイド42によって攪拌されながら、1つずつ切り出されて搬送部50の搬送レール51に移動される。また、キュベット200が1つずつ切り出されるときに、揺動レール41により、キュベット200の向きが、閉口端が下方を向くように揃えられる。本実施形態では、第2ホッパ31に貯留されるキュベット200の量は、2個〜10個程度である。このため、第2ホッパ31に多量に貯留されている場合に比べて、キュベット切り出し部40は、安定した速度でキュベット200を1つずつ切り出すことが可能である。また、キュベット切り出し部40がキュベット200を切り出す速度は、キュベット搬出部20がキュベット200を搬出する速度よりも速くなるように設定されているため、第2ホッパ31に必要以上の量のキュベット200は、貯留されない。
【0074】
そして、キュベット200は、一対の搬送レール51の上面につば部200aが係合した状態で、自重により搬送レール51に沿って滑り落ちながら支持台61に向かって移動する。ここで、分析機構部7の処理状況によっては、供給用キャッチャ部70は、キュベット200の供給を停止する。このため、図6に示すように、搬送レール51には、キュベット200が溜まっていく。そして、所定の量のキュベット200が搬送レール51に溜まると、センサ52がキュベット200を検知する。その場合には、制御部4aは、キュベット切り出し部40およびキュベット搬出部20の動作を停止させる。
【0075】
また、搬送レール51の下端に到達したキュベット200は、搬送レール51の下端に位置する回転移送部60によって供給用キャッチャ部70が把持可能な待機位置である支持台61の切欠部61a(図13参照)まで移送される。そして、キュベット200は、図6に示すように、供給用キャッチャ部70の把持部材71につば部200aを挟持されて分析機構部7の回転搬送部100の分注テーブル103に供給される。
【0076】
本実施形態による試料分析装置1では、このようにして、キュベット200の供給が行われる。
【0077】
次に、図2および図3を参照して、試料分析装置1の検体の分析動作について詳細に説明する。なお、ここでは、凝固時間法を用いた測定における動作について説明する。
【0078】
まず、図2に示した試料分析装置1の検出機構部2および制御装置4の電源をそれぞれオン状態にすることにより、試料分析装置1の初期設定が行われる。これにより、キュベット200を移動させるための機構と各分注アーム(検体分注アーム110および試薬分注アーム140)とを初期位置に戻すための動作や、制御装置4の制御部4aに記憶されているソフトウェアの初期化などが行われる。
【0079】
そして、図3に示した搬送機構部3によって、検体を収容した試験管250が載置されたラック251の搬送が行われる。これにより、ラックセット領域3aのラック251が検出機構部2の吸引位置2aに対応する位置まで搬送される。
【0080】
そして、検体分注アーム110により試験管250から所定量の検体の吸引が行われる。そして、検体分注アーム110を回転搬送部100の分注テーブル103に保持されたキュベット200の上方に移動させる。その後、検体分注アーム110から分注テーブル103のキュベット200内に検体が吐出されることにより、キュベット200内に検体が分取される。
【0081】
そして、分注テーブル103を回転させて、検体が分注されたキュベット200を第1光学的情報取得部120による測定が可能な位置に搬送する。これにより、第1光学的情報取得部120による検体に対する光学的な測定が行われて、検体から光学的な情報が取得される。具体的には、分注テーブル103の保持部103a(図3参照)に保持されたキュベット200内の検体を透過した5種類(340nm、405nm、575nm、660nmおよび800nm)の光による電気信号のデータを制御装置4の制御部4aに送信する。これにより、第1光学的情報取得部120による検体に対する光学的な情報(第1光学的情報)の取得が完了する。
【0082】
そして、制御装置4の制御部4aは、受信したデータ(第1光学的情報)を用いて、検体の吸光度を算出するとともに、検体中の干渉物質(乳び、ヘモグロビン、ビリルビン)の有無およびその濃度を算出する。具体的には、ランプユニット130から照射される4種類(405nm、575nm、660nmおよび800nm)の光を用いて取得された光学的な情報(第1光学的情報)に基づいて、制御装置4の制御部4aは、検体の吸光度を算出し、この吸光度をRAM401cに記憶する。
【0083】
その後、RAM401cに記憶されている吸光度のうち、メイン波長での吸光度が閾値以下か否かが判断される。具体的には、検体の検査項目が「PT」、「APTT」、「Fbg」等の凝固時間法の検査項目の場合には、これらの項目のメイン波長である660nmを有する光を照射して測定された第1光学的情報から算出した吸光度が閾値(たとえば、2.0)以下か否かが判断される。
【0084】
そして、第1光学的情報取得部120で測定された第1光学的情報から算出したメイン波長での吸光度が閾値以下の場合には、試薬分注アーム140を駆動させて、試薬テーブル101および102に載置された試薬容器(図示せず)内の試薬を分注テーブル103のキュベット200内の検体に添加する。これにより、測定用試料の調製が行われる。そして、キュベット移送部150を用いて、測定用試料が収容された分注テーブル103のキュベット200を第2光学的情報取得部160のキュベット載置部161に移動させる。
【0085】
そして、第2光学的情報取得部160の検出部162によりキュベット200内の測定用試料に対して複数の条件下で光学的な測定(本測定)が行われることによって、測定用試料から光学的な情報(第2光学的情報)が取得される。具体的には、まず、キュベット載置部161に配置されたキュベット200は、加温機構(図示せず)により所定の温度に加温される。その後、キュベット載置部161のキュベット200へ、ランプユニット130の分岐光ファイバ132から光が照射される。なお、分岐光ファイバ132からは、5つの異なる波長(340nm、405nm、575nm、660nmおよび800nm)の光が照射される。分岐光ファイバ132から照射され、キュベット200およびキュベット200内の測定用試料を透過した上記各波長の光に対応する電気信号のデータが取得される。
【0086】
そして、5つの異なる波長の光に対応する電気信号のデータが、制御装置4の制御部4aに順次送信される。これにより、第2光学的情報取得部160によって測定用試料に対する光学的な情報(第2光学的情報)の取得が完了する。
【0087】
一方、第1光学的情報取得部120で測定された第1光学的情報から算出したメイン波長での吸光度が閾値より大きい場合には、第1光学的情報取得部120で測定された第1光学的情報から算出したサブ波長での吸光度が閾値以下か否かが判断される。具体的には、検体の検査項目が「PT」、「APTT」、「Fbg」等の凝固時間法の検査項目の場合には、これらの項目のサブ波長である800nmを有する光を照射して測定された第1光学的情報から算出した吸光度が閾値(たとえば、2.0)以下か否かが判断される。
【0088】
そして、第1光学的情報取得部120で測定された第1光学的情報から算出したサブ波長での吸光度が閾値以下の場合には、第2光学的情報取得部160によって測定用試料に対する光学的な情報(第2光学的情報)を取得する。
【0089】
また、一方、第1光学的情報取得部120で測定した第1光学的情報から算出したサブ波長での吸光度が閾値より大きい場合には、検体に含有される干渉物質(ビリルビン、ヘモグロビンおよび乳び)の影響が大きいため信頼性の高い分析を行うことが困難であると判断して、本測定を中止する。これにより、干渉物質の影響を顕著に受けた分析不能な検体に対して、試薬を添加して測定用試料を調製することがないので、試薬が無駄になるのを抑制することが可能となる。なお、信頼性の高い測定を行うことが困難な場合(本測定を中止する場合)として、第1光学的情報取得部120で検出した検体中に干渉物質が多量に存在することにより、検体を透過する光が遮られて、検体を透過する透過光を実質的に検出できない場合などが挙げられる。
【0090】
そして、上記した第2光学的情報取得部160による第2光学的情報の取得(本測定)の後、第2光学的情報取得部160において測定された複数の第2光学的情報の中からメイン波長で測定した測定用試料の第2光学的情報が制御装置4の制御部4aに送信されて、その制御部4aのハードディスク401dにインストールされるアプリケーションプログラム404aにより分析される。たとえば、検体の検査項目が「PT」の場合には、まず、「PT」のメイン波長である660nmを有する光を照射して測定された第2光学的情報が制御装置4の制御部4aに送信される。その後、メイン波長で取得された第2光学的情報を受信した制御部4aが、その第2光学的情報に基づいて、分析結果を出力する。
【0091】
また、同様にして、上記した第2光学的情報取得部160による第2光学的情報の取得(本測定)の後、第2光学的情報取得部160において測定された複数の第2光学的情報の中からサブ波長で測定した測定用試料の第2光学的情報が制御装置4の制御部4aに送信されて、その制御部4aのハードディスク401dにインストールされるアプリケーションプログラム404aにより分析される。具体的には、検体の検査項目が「PT」の場合には、まず、「PT」のサブ波長である800nmを有する光を照射して測定された第2光学的情報が制御装置4の制御部4aに送信される。その後、サブ波長で取得された第2光学的情報を受信した制御部4aが、その第2光学的情報に基づいて、分析結果を出力する。
【0092】
そして、制御装置4の制御部4aによる分析が終了した後には、得られた分析結果を制御装置4の表示部4bに表示する。このようにして、試料分析装置1の検体の分析動作が終了する。
【0093】
本実施形態では、上記のように、試料を調製するための複数のキュベット200を貯留する第1貯留部10と、第1貯留部10の中から複数のキュベット200を搬出するキュベット搬出部20と、キュベット搬出部20によって搬出された複数のキュベット200を貯留する第2貯留部30とを設けることによって、第1貯留部10に貯留されたキュベット200のうちの一部を第2貯留部30に貯留することができるので、第1貯留部10に多量のキュベット200を貯留する場合にも、その一部の少量のキュベット200を第2貯留部30に貯留することができる。このため、第2貯留部30において、上部の多量のキュベット200による圧力が下部のキュベット200にかかることに起因するキュベット200の詰まりが発生することを抑制することができるので、キュベット200を安定して供給することができる。また、第2貯留部30の中からキュベット200を1つずつ搬出する搬送レール51を設けるとともに、搬送レール51によるキュベット200の搬出状態を検出するセンサ52の検出結果に基づき、キュベット搬出部20が第2貯留部30へと搬出するキュベット200の量を調節することによって、搬送レール51がキュベット200を搬出する必要がない場合には、第2貯留部30に貯留されるキュベット200の量が増えないようにすることができる。これによっても、第2貯留部30においてキュベット200の詰まりが発生するのを抑制することができるので、キュベット200をより安定して供給することができる。また、キュベット搬出部20を、第1貯留部10の中から複数のキュベット200を搬出するように構成するとともに、搬送レール51を、第2貯留部30の中からキュベット200を1つずつ搬出するように構成することによって、多量のキュベット200が収容される第1貯留部10からキュベット200を1つずつ方向を揃えて第2貯留部30に搬出する必要がないので、多量のキュベット200が収容される第1貯留部10から第2貯留部30へのキュベット200の搬送を円滑に行うことができる。これによっても、キュベット200をより安定して供給することができる。
【0094】
また、本実施形態では、上記のように、搬送レール51は、複数のキュベット200を一列に並べて搬送し、センサ52は、搬送レール51に並べられたキュベット200の量が所定値を超えるか否かを検出し、制御部4aは、センサ52によって、搬送レール51に並べられたキュベット200の量が所定値を超えると検出された場合に、環状ベルト21の動作を停止させることによって、搬送レール51に並べられたキュベット200の量が所定値を超えた場合に、環状ベルト21によって第1ホッパ11からキュベット200が第2ホッパ31に搬出されることを抑制することができる。これにより、第2ホッパ31に必要以上の数のキュベット200が貯留されることを容易に抑制することができる。
【0095】
また、本実施形態では、上記のように、キュベット200を保持することが可能な保持板21aが複数設けられた環状ベルト21を駆動モータ25により回転させることによって、容易に、第1ホッパ11に貯留されているキュベット200を搬出することができるとともに、第1ホッパ11に貯留されているキュベット200が底部に残ることを抑制することができる。
【0096】
また、本実施形態では、上記のように、第1ホッパ11の開口部11aを覆うように可動板13を設けることによって、第1ホッパ11の底部の開口部11aからキュベット200が脱落すること、および、キュベット200が開口部11aに詰まることを抑制することができる。
【0097】
また、本実施形態では、上記のように、キュベット切り出し部40によって、容易に、第2ホッパ31から搬送レール51にキュベット200を1つずつ供給することができる。
【0098】
また、本実施形態では、上記のように、キュベット切り出し部40により第2ホッパ31に貯留されているキュベット200を攪拌することによって、キュベット200の向きを、キュベット切り出し部40が供給し易い向きに変えることができる。
【0099】
また、本実施形態では、上記のように、キュベット搬出部20の搬出速度を、キュベット切り出し部40の搬出速度よりも小さくすることによって、第2ホッパ31に貯留されるキュベット200の量が増加することを抑制することができる。
【0100】
また、本実施形態では、上記のように、第2ホッパ31の貯留量を、第1ホッパ11の貯留量よりも少なくすることによって、容易に、第2ホッパ31において、キュベット200の詰まりが発生するのを抑制することができる。
【0101】
また、本実施形態では、上記のように、センサ32によって、第2ホッパ31にキュベット200が所定量より多い量のキュベット200が貯留されることを抑制することができるので、第2ホッパ31からキュベット200が溢れることを抑制することができる。
【0102】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0103】
たとえば、上記実施形態では、搬送部50のセンサ52が検知した時には、キュベット切り出し部40およびキュベット搬出部20(図9参照)の動作を停止させるように構成した例を示したが、本発明はこれに限らず、図19に示す変形例による第2貯留部230のように、第2ホッパ231にキュベット200が所定量以上貯留されていることを検知する透過型のセンサ232を設けるとともに、搬送部50のセンサ52が検知した時に、キュベット切り出し部40の動作を停止し、センサ232が検知した時に、キュベット搬出部20(図9参照)の動作を停止するように構成してもよい。このように構成することによっても、第2ホッパ231に必要以上の量のキュベット200が貯留されることを抑制することができる。
【0104】
また、上記実施形態では、第1貯留部10から第2貯留部30にキュベット200を搬出する搬出手段としてキュベット搬出部20を設けた例を示したが、本発明はこれに限らず、キュベット搬出部20とは別の搬出手段を設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本発明の一実施形態による試料分析装置の外観を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態による試料分析装置の全体構成を示す斜視図である。
【図3】図2に示した試料分析装置から制御装置を除いた状態を示す平面図である。
【図4】図2に示した試料分析装置の制御装置のブロック図である。
【図5】本発明の一実施形態による試料分析装置に使用されるキュベットを示す断面図である。
【図6】図2に示した試料分析装置のキュベット供給機構部を示す斜視図である。
【図7】図6に示したキュベット供給機構部から供給用キャッチャ部を除いた状態を示す斜視図である。
【図8】図6の平面図である。
【図9】図7に示した第1ホッパの詳細を示す断面図である。
【図10】一実施形態によるキュベット搬出部の環状ベルトおよびチェーンを示す斜視図である。
【図11】図6に示した状態から第1貯留部およびキュベット搬出部を除いた状態を示す斜視図である。
【図12】図11に示した状態を別の方向から見た状態を示す斜視図である。
【図13】キュベットが切り出し位置に配置されている状態を示す平面図である。
【図14】図11の側面図である。
【図15】図12に示した状態のキュベット切り出し部を示す断面図である。
【図16】図14に示したキュベット切り出し部の扇形状板が上死点にある状態を示す断面図である。
【図17】図6に示したキュベット供給機構部の供給用キャッチャ部の把持部およびキュベットを示す斜視図である。
【図18】図6に示したキュベット供給機構部の供給用キャッチャ部の把持部を示す斜視図である。
【図19】本発明の一実施形態による試料分析装置の変形例による第2貯留部を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0106】
1 試料分析装置
4a 制御部(制御部、分析部)
7 分析機構部(試料調製部)
10 第1貯留部
11 第1ホッパ
11a 開口部(開口)
13 可動板
20 キュベット搬出部(第1搬出部)
21 環状ベルト
21a 保持板
22 チェーン(回転機構)
23、24 スプロケット(回転機構)
25 駆動モータ(回転機構)
30 第2貯留部
31 第2ホッパ
32 センサ(満杯検知センサ)
40 キュベット切り出し部(容器取出部、第2搬出部)
51 搬送レール(第2搬出部)
52 センサ(検出部、第2検出部)
200 キュベット(容器)
230 第2貯留部
231 第2ホッパ
232 センサ(第1検出部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料を調製するための複数の容器を貯留する第1貯留部と、
前記第1貯留部に貯留された容器を搬出する第1搬出部と、
前記第1搬出部によって搬出された容器を貯留する第2貯留部と、
前記第2貯留部に貯留された容器を1つずつ搬出する第2搬出部と、
前記第2搬出部による容器の搬出状態を検出する検出部と、
前記検出部の検出結果に基づき、前記第1搬出部の動作を制御する制御部と、
前記第2搬出部によって搬出された容器中で試料を調製する試料調製部と、
前記試料調製部によって調製された試料を分析する分析部とを備えた、試料分析装置。
【請求項2】
前記第2搬出部は、複数の前記容器を一列に並べて搬送し、
前記検出部は、前記第2搬出部に並べられた容器の量が所定値を超えるか否かを検出し、
前記制御部は、前記検出部によって、前記第2搬出部に並べられた容器の量が所定値を超えると検出された場合に、前記第1搬出部の動作を停止させるように構成されている、請求項1に記載の試料分析装置。
【請求項3】
前記第1搬出部は、前記容器を保持することが可能な保持板が複数設けられた環状ベルトと、前記環状ベルトを回転させる回転機構とを含み、
前記回転機構による前記環状ベルトの回転動作に伴って、前記保持板が前記第1貯留部の底部から上方へ向かって移動するように構成されている、請求項1または2に記載の試料分析装置。
【請求項4】
前記第1貯留部は、底部に前記保持板が通過するための開口を含み、
前記環状ベルトは、前記保持板が前記開口を通過するように前記第1貯留部の内部に配置されており、
前記第1貯留部は、前記開口の近傍に、前記保持板に当接して前記開口からの前記容器の脱落を防止する可動板をさらに含む、請求項3に記載の試料分析装置。
【請求項5】
前記第2搬出部は、前記第2貯留部に貯留されている容器を1つずつ取り出すための容器取出部を備える、請求項1〜4のいずれか1項に記載の試料分析装置。
【請求項6】
前記容器取出部は、前記第2貯留部に貯留されている容器を攪拌する機能を有する、請求項5に記載の試料分析装置。
【請求項7】
前記第1搬出部の第1搬出速度は、前記第2搬出部の第2搬出速度よりも小さい、請求項1〜6のいずれか1項に記載の試料分析装置。
【請求項8】
前記第2貯留部の貯留量は、前記第1貯留部の貯留量よりも少ない、請求項1〜7のいずれか1項に記載の試料分析装置。
【請求項9】
前記第2貯留部に前記容器が所定量以上貯留されていることを検知する満杯検知センサをさらに備え、
前記制御部は、前記満杯検知センサが、前記第2貯留部に前記容器が所定量以上貯留されていることを検知した場合に、前記第1搬出部の動作を停止させるように構成されている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の試料分析装置。
【請求項10】
試料を調製するための複数の容器を貯留する第1貯留部と、
前記第1貯留部に貯留された容器を搬出する第1搬出部と、
前記第1搬出部によって搬出された容器を貯留する第2貯留部と、
前記第2貯留部に貯留された容器を1つずつ搬出する第2搬出部と、
前記第2貯留部の容器の貯留量を検出する第1検出部と、
前記第1検出部の検出結果に基づき、前記第1搬出部の動作を制御する制御部と、
前記第2搬出部によって搬出された容器中で試料を調製する試料調製部と、
前記試料調製部によって調製された試料を分析する分析部とを備えた、試料分析装置。
【請求項11】
前記第2搬出部による容器の搬出状態を検出する第2検出部をさらに備え、
前記第2搬出部は、前記第2貯留部に貯留されている容器を1つずつ取り出すための容器取出部を備え、
前記制御部は、前記第2検出部の検出結果に基づき、前記容器取出部の動作を制御して、前記容器取出部が前記第2貯留部から取り出す容器の量を調節する、請求項10に記載の試料分析装置。
【請求項12】
前記第2搬出部は、複数の前記容器を一列に並べて搬送し、
前記第2検出部は、前記第2搬出部に並べられた容器の量が所定値を超えるか否かを検出し、
前記制御部は、前記第2検出部によって、前記第2搬出部に並べられた容器の量が所定値を超えると検出された場合に、前記容器取出部による容器の取り出し動作を停止させるように構成されている、請求項11に記載の試料分析装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate


【公開番号】特開2007−309792(P2007−309792A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−139319(P2006−139319)
【出願日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】