説明

試料分析装置

【課題】試薬容器が他の自動分析装置にセットされた場合にも、液面検知の適否を正しく判定することが可能な試料分析装置を提供する。
【解決手段】R1試薬容器100に貼付されたRFIDタグ104には、前回の測定機構部2の下降調整量(Za)と、前回の測定機構部で試薬の吸引が行われた時に検出された前回下降量(Ma)が記憶されている。また、今回の測定機構部2のバッテリーバックアップRAM204には、今回の測定機構部2の下降調整量(Mb)が記憶されている。これにより、前回下降量(Za)に相当する相当下降量(Zb)は、Zb=Za+(Mb−Ma)により算出することができる。よって、今回の測定機構部2において、R1試薬の吸引が行われるときに検出される下降量が、相当下降量(Zb)よりも小さいとき、R1試薬の液面に泡が発生している可能性が高いことが分かる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液面検知センサを有する試薬分注部を備える試料分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液面検知センサを備える試薬分注用のプローブ(以下、「プローブ」という)を具備する自動分析装置が知られている。たとえば、特許文献1には、プローブの基準位置から液面検知センサが液面を検知するまでの下降パルス数を装置内の記憶部に記憶可能な自動分析装置が開示されている。
【0003】
特許文献1に記載の自動分析装置では、記憶部に記憶されている前回の下降パルス数と、プローブが液面を検知したときの下降パルス数とが比較され、この比較結果をもとに液面検知の適否が判別される。これにより、気泡の発生などによる液面の誤検知が防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−127136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記自動分析装置が検査室に複数台設置されている場合に、ある自動分析装置で使用されていた試薬容器を他の自動分析装置にセットすると、他の自動分析装置の記憶部には前回の下降パルス数が記憶されていない。このため、この試薬容器がセットされた自動分析装置では、液面検知の適否が正しく判定されない惧れがある。
【0006】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、試薬容器が他の自動分析装置にセットされた場合にも、液面検知の適否を正しく判定することが可能な試料分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、検体に試薬を混和することで調製される試料を測定する試料分析装置に関する。本態様に係る試料分析装置は、試薬の吸引時に試薬容器内に下降される吸引管と、前記吸引管に配され液面を検知するためのセンサと、を備える試薬分注部と、前記試薬容器に配された記憶媒体に対して情報の書き込みおよび読み出しを行う書込み/読出し部と、制御部とを備える。ここで、前記制御部は、前記センサにより前記試薬の液面が検知されたときの液面位置に関する情報を、前記書込み/読出し部を介して前記記憶媒体に書き込む。
【0008】
第1の態様に係る試料分析装置によれば、液面位置に関する情報が記憶媒体に書き込まれるため、試薬容器が他の試料分析装置にセットされた場合にも、記憶媒体から液面位置に関する情報を読み出すことで、前回の吸引時の液面位置を取得することができる。よって、この液面位置と、今回の吸引時の液面位置とを比較することで、今回の液面位置の適否を判定することができる。
【0009】
本態様に係る試料分析装置において、前記制御部は、前記センサにより前記試薬の液面が検知されたときの液面位置が、前記書込み/読出し部を介して前記記憶媒体から読み出した前記液面位置に関する情報をもとに規定される液面位置よりも高い場合に、前記吸引
管による前記試薬の吸引を中止するよう前記試薬分注部を制御するよう構成され得る。こうすると、たとえば、液面に気泡があって試薬を適正量吸引できない状態下で測定が行われるのを防止することができ、検体に対する誤測定を確実に防止することができる。
【0010】
本態様に係る試料分析装置において、前記液面位置に関する情報は、前記試薬の吸引時に前記センサにより前記試薬の液面が検知されたときの前記吸引管の下降量を含むよう構成され得る。
【0011】
また、本態様に係る試料分析装置は、記憶部をさらに備え得る。この場合、前記制御部は、前記吸引管を原点位置から所定の基準面に下降させたときの前記吸引管の前記下降量を基準下降量として取得し、取得した基準下降量を前記記憶部に記憶させるよう構成され得る。この場合、前記制御部は、前記吸引管の先端部が前記基準面を規定する基準位置部材に接触したことを前記センサにより検知することで前記基準下降量を取得するよう構成され得る。
【0012】
また、前記制御部は、前記基準下降量を、前記液面位置に関する情報として前記記憶媒体に書き込むよう構成され得る。
【0013】
さらに、前記制御部は、前記書込み/読出し部を介して前記記憶媒体から読み出した前記基準下降量と、前記記憶部に記憶された前記基準下降量とが異なっている場合、これら2つの基準下降量の差分に基づき前記記憶媒体から読み出した前記下降量を修正し、修正した下降量と前記記憶部に記憶された前記基準下降量を、前記液面に関する情報として、前記書込み/読出し部を介して前記記憶媒体に書き込むよう構成され得る。
【0014】
このように、前記試薬の吸引時に前記センサにより前記試薬の液面が検知されたときの前記吸引管の下降量とともに基準下降量を記憶媒体に書き込むようにすると、記憶媒体から読み出した下降量および基準下降量と、今回の試料分析装置について取得された基準下降量から、前回の試料分析装置における下降量を今回の試料分析装置に対応するように再取得することができる。これにより、組み立て誤差等により、前回と今回の試料分析装置において吸引管の高さや試薬容器の底面の高さが異なるような場合にも、この再取得された下降量と、実際に液面から取得した下降量とを比較することで、液面位置の適否を適正に判定することができる。
【0015】
本態様に係る試料分析装置は、出力部をさらに備え得る。この場合、前記制御部は、前記センサにより前記試薬の液面が検知されたときの液面位置が、前記書込み/読出し部を介して前記記憶媒体から読み出した前記液面位置に関する情報をもとに規定される液面位置よりも高い場合、液面位置が異常である旨を前記出力部に出力させるよう構成され得る。こうすると、ユーザは、液面位置が異常であることを容易に知ることができる。
【0016】
本態様に係る試料分析装置において、前記制御部は、前記試料分析装置の電源が投入されたときに、前記書込み/読出し部を介して、前記記憶媒体に記憶された前記液面位置に関する情報を読み出すよう構成され得る。こうすると、測定開始前に、液面位置に関する情報を円滑に読み出すことができる。
【0017】
また、本態様に係る試料分析装置において、前記書込み/読出し部は、前記記憶媒体と電波を介して無線通信可能な無線通信部を備える構成とされ得る。この場合、前記制御部は、前記無線通信部を介して、前記記憶媒体に対し情報を読み書きするよう構成される。
【0018】
本発明の第2の態様は、検体に試薬を混和することで調製される試料を測定する試料分析装置に関する。本態様に係る試料分析装置は、試薬の吸引時に試薬容器内に下降される
吸引管と、前記吸引管に配され液面を検知するためのセンサと、を備える試薬分注部と、制御部と、を備える。ここで、前記試薬容器は、前記センサにより前記試薬の液面が検知されたときの液面位置に関する情報を記憶可能な記憶媒体を備えており、前記制御部は、前記記憶媒体に記憶された前記液面位置に関する情報に基づき前記試薬分注部を制御する。
【0019】
第2の態様に係る試料分析装置によれば、第1の態様と同様、今回の液面位置の適否を判定することができる。これにより、たとえば、液面に気泡があって試薬を適正量吸引できない状態下で分注が行われるのを防止することができ、検体に対する誤測定を確実に防止することができる。
【0020】
本態様に係る試料分析装置において、前記液面位置に関する情報は吸引管の下降量を含み、前記制御部は、前記吸引管の下降量に基づき前記試薬分注部を制御するよう構成され得る。
【0021】
また、本態様に係る試料分析装置は、吸引管を原点位置から所定の基準面に下降させたときの下降量を基準下降量として記憶する記憶部をさらに備える。ここで、前記液面位置に関する情報は、基準下降量をさらに含み、前記制御部は、前記記憶媒体に記憶された前記吸引管の下降量および基準下降量と、前記記憶部に記憶された基準下降量と、に基づき前記試薬分注部を制御するよう構成され得る。
【発明の効果】
【0022】
以上のとおり、本発明によれば、試薬容器が他の自動分析装置にセットされた場合にも、液面検知の適否を正しく判定することが可能な試料分析装置を提供することができる。
【0023】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施の形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施の形態により何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施の形態に係る試料分析装置の全体構成を示す斜視図である。
【図2】実施の形態に係る測定機構部を上側から見た場合の構成を示す平面図である。
【図3】実施の形態に係る試薬設置部からカバー部を除いた場合の斜視図である。
【図4】実施の形態に係る試薬設置部にカバー部が取り付けられている場合の斜視図である。
【図5】実施の形態に係るR1試薬容器、R2試薬容器およびR3試薬容器の構成を示す斜視図である。
【図6】実施の形態に係るアンテナの近傍を上側から見た場合の構成を模式的に示す平面図である。
【図7】実施の形態に係るRFIDタグに記憶されている固有情報および試薬管理情報を示す概念図である。
【図8】実施の形態に係る測定機構部の回路構成を示す図である。
【図9】実施の形態に係る制御装置の回路構成を示す図である。
【図10】実施の形態に係る下降調整量について説明する図である。
【図11】実施の形態に係る下降量について説明する図である。
【図12】実施の形態に係る制御装置の表示部に表示される試薬配置状態を示す画面の例示図である。
【図13】実施の形態に係る測定準備処理を示すフローチャートである。
【図14】実施の形態に係る測定処理を示すフローチャートである。
【図15】実施の形態に係る下降量チェック処理を示すフローチャートである。
【図16】実施の形態に係る制御装置の表示部に表示されるジョブリスト画面の例示図である。
【図17】実施の形態に係る制御装置の表示部に表示されるエラー詳細画面の例示図である。
【図18】実施の形態に係る下降調整量を取得する手順の変更例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本実施の形態は、血液などの検体を用いてB型肝炎、C型肝炎、腫瘍マーカおよび甲状腺ホルモンなど種々の項目の検査を行うための試料分析装置に本発明を適用したものである。
【0026】
本実施の形態に係る試料分析装置では、測定対象である血液などの検体に含まれる抗原に結合した捕捉抗体(R1試薬)に磁性粒子(R2試薬)を結合させた後に、結合(Bound)した抗原、捕捉抗体および磁性粒子を1次BF(Bound Free)分離部11(図1およ
び図2参照)の磁石(図示せず)に引き寄せることにより、未反応(Free)の捕捉抗体を含むR1試薬を除去する。そして、磁性粒子が結合した抗原と標識抗体(R3試薬)とを結合させた後に、結合(Bound)した磁性粒子、抗原および標識抗体を2次BF分離部1
2の磁石(図示せず)に引き寄せることにより、未反応(Free)の標識抗体を含むR3試薬を除去する。さらに、分散液(R4試薬)、および、標識抗体との反応過程で発光する発光基質(R5試薬)を添加した後、標識抗体と発光基質との反応によって生じる発光量を測定する。このような過程を経て、標識抗体に結合する検体に含まれる抗原を定量的に測定している。
【0027】
以下、本実施の形態に係る試料分析装置について、図面を参照して説明する。
【0028】
図1は、試料分析装置1の全体構成を示す斜視図である。
【0029】
本実施の形態に係る試料分析装置1は、測定機構部2と、測定機構部2に隣接するように配置された検体搬送部(サンプラ)3と、測定機構部2に電気的に接続された制御装置4とを備えている。
【0030】
検体搬送部3は、検体を収容した複数の試験管が載置されたラックを搬送可能に構成されている。制御装置4は、本体400(図9参照)と、入力部410と、表示部420から構成されている。なお、制御装置4には、バーコードを読み取る機能を有したハンディタイプのバーコードリーダ17(図9参照)が接続されている。
【0031】
図2は、測定機構部2を上側から見た場合の構成を示す平面図である。
【0032】
測定機構部2は、検体分注アーム5と、R1試薬分注アーム6と、R2試薬分注アーム7と、R3試薬分注アーム8と、反応部9と、キュベット供給部10と、1次BF分離部11と、2次BF分離部12と、ピペットチップ供給部13と、検出部14と、R4/R5試薬供給部15と、試薬設置部16から構成されている。
【0033】
キュベット供給部10は、複数のキュベットを収納可能に構成されており、検体分注アーム5による検体吐出位置1bにキュベットを1つずつ順次供給する。
【0034】
R1試薬分注アーム6には、図示の如く、R1試薬の吸引および吐出を行うためのピペット6aが取り付けられている。また、R1試薬分注アーム6は、試薬分注アームステッ
ピングモータ部211(図8参照)に含まれるステッピングモータにより、回転駆動および上下方向(鉛直方向)の駆動が行われる。R1試薬分注アーム6は、ピペット6aを用いて、試薬設置部16に設置されたR1試薬を吸引し、吸引したR1試薬を検体吐出位置1bに載置されたキュベットに分注(吐出)する。
【0035】
ピペットチップ供給部13は、投入された複数のピペットチップ(図示せず)を1つずつ検体分注アーム5によるチップ装着位置(図示せず)まで搬送する。しかる後、ピペットチップは、チップ装着位置において、検体分注アーム5のピペット先端に取り付けられる。
【0036】
検体分注アーム5は、チップ装着位置においてピペットチップを装着した後、検体搬送部3により検体吸引位置1aに搬送された試験管内の検体を、検体搬送部3の搬送路を覆う天板31に形成された孔31aを介して吸引し、R1試薬分注アーム6によりR1試薬が分注された検体吐出位置1bのキュベットに検体を分注(吐出)する。かかるキュベットは、R1試薬分注アーム6の図示しないキャッチャにより、反応部9に移送される。
【0037】
R2試薬分注アーム7には、図示の如く、R2試薬の吸引および吐出を行うためのピペット7aが取り付けられている。また、R2試薬分注アーム7は、試薬分注アームステッピングモータ部211(図8参照)に含まれるステッピングモータにより、回転駆動および上下方向(鉛直方向)の駆動が行われる。R2試薬分注アーム7は、ピペット7aを用いて、試薬設置部16に設置されたR2試薬を吸引し、吸引したR2試薬を、R1試薬および検体を収容するキュベットに分注(吐出)する。
【0038】
反応部9は、図示の如く、円形形状を有する試薬設置部16の周囲を取り囲むように円環状に形成されている。また、反応部9は、外形に沿って所定間隔に配置された複数のキュベット設置部9aを有する。キュベット設置部9aは、キュベットを挿入可能なように円形形状で凹状に形成されており、キュベット設置部9aにセットされたキュベットを約42℃に加温する機能を有している。これにより、キュベットに収容された試料は、反応部9aにおいて約42℃に加温され、キュベット内の検体と各種試薬との反応が促進される。また、反応部9は、時計回り方向(矢印A1方向)に回転可能に構成されており、キュベット設置部9aにセットされたキュベットを、各種処理(試薬の分注など)が行われるそれぞれの処理位置まで移動させる。
【0039】
検体、R1試薬およびR2試薬を収容するキュベットが、図示しないキャッチャにより反応部9から1次BF分離部11に移送されると、1次BF分離部11は、キュベット内の試料から未反応のR1試薬(不要成分)と磁性粒子とを分離(B/F分離)する。
【0040】
R3試薬分注アーム8には、図示の如く、R3試薬の吸引および吐出を行うためのピペット8aが取り付けられている。また、R3試薬分注アーム8は、試薬分注アームステッピングモータ部211(図8参照)に含まれるステッピングモータにより、回転駆動および上下方向(鉛直方向)の駆動が行われる。R3試薬分注アーム8は、ピペット8aを用いて、試薬設置部16に設置されたR3試薬を吸引する。また、R3試薬分注アーム8は、ピペット8aを用いて、吸引したR3試薬を1次BF分離部11から反応部9に移送されたキュベットに分注(吐出)する。
【0041】
1次BF分離部11によるB/F分離後の試料およびR3試薬を収容するキュベットが、図示しないキャッチャにより反応部9から2次BF分離部12に移送されると、2次BF分離部12は、キュベット内の試料から未反応のR3試薬(不要成分)と磁性粒子とを分離(B/F分離)する。
【0042】
R4/R5試薬供給部15は、図示しないチューブにより、2次BF分離部12によるB/F分離後の試料を収容するキュベットに、R4試薬およびR5試薬を順に分注する。
【0043】
検出部14は、所定の処理が行なわれた検体の抗原に結合する標識抗体と発光基質との反応過程で生じる光を、光電子増倍管(Photo Multiplier Tube)で取得することにより
、その検体に含まれる抗原の量を測定する。
【0044】
試薬設置部16の上面には、試薬設置部16および反応部9の両方を覆うように、円形状のカバー部161が配置されている。カバー部161の所定の箇所には、R1〜R3試薬分注アームが試薬を吸引するための開口部と、R1〜R3試薬分注アームがキュベットの移動や分注処理を行うための開口部が形成されている。
【0045】
図3は、試薬設置部16からカバー部161を除いた場合の斜視図である。試薬設置部16は、上側から見て円環状の内側テーブル162と外側テーブル163を含んでいる。
【0046】
内側テーブル162には、R1試薬が収容されるR1試薬容器100を保持可能な複数の保持部と、R3試薬が収容されるR3試薬容器120を保持可能な複数の保持部が形成されている。かかる保持部により、内側テーブル162上の複数のR1試薬容器100は、図示の如く、円周状に配列されたR3試薬容器120の外側を取り囲むように円環状に保持される。また、内側テーブル162上の複数のR1試薬容器100は、後述するように、径方向にR3試薬容器120と隣接した状態で保持される。
【0047】
また、内側テーブル162は、時計回り方向(矢印A1方向)および反時計回り方向(矢印A2方向)に水平に回転可能に構成されている。具体的には、内側テーブル162は、第1ステッピングモータ162a(図8参照)によって回転されるように構成されている。内側テーブル162が回転(回動)されると、R1試薬容器100とR3試薬容器120は、互いに同方向に同角度回転(回動)される。
【0048】
外側テーブル163には、R2試薬が収容されるR2試薬容器110を保持可能な複数の保持部が形成されている。かかる保持部により、外側テーブル163上のR2試薬容器110は、図示の如く、円周状に配列されたR1試薬容器100の外側を取り囲むように円環状に保持される。
【0049】
また、外側テーブル163は、時計回り方向(矢印A1方向)および反時計回り方向(矢印A2方向)に水平に回転可能に構成されている。具体的には、外側テーブル163は、第2ステッピングモータ163a(図8参照)によって回転されるように構成されている。また、外側テーブル163は、内側テーブル162とは独立して回転可能である。また、外側テーブル163は、保持するR2試薬容器110に収容されたR2試薬を攪拌しながら回転(回動)する機能を有している。
【0050】
また、内側テーブル162の内側と、外側テーブル163の外側には、後述するRFIDタグに記憶されている固有情報と試薬管理情報を読み書きするためのアンテナ162b、163b(図8参照)が設置されている。アンテナ162b、163bの配置については、追って図6を参照して説明する。
【0051】
図4は、試薬設置部16にカバー部161が取り付けられている場合の斜視図である。
【0052】
カバー部161には、図示の如く、R1〜R3試薬容器が、外部から内側テーブル162または外側テーブル163に設置可能となるように入出孔161aが形成されている。また、入出孔161aの真下領域には、鉛直方向に移動可能な載置台162c、163c
が設置されている。載置台162c、163cは、カバー部161の高さと、内側テーブル162と外側テーブル163の高さの間で移動可能に構成されている。
【0053】
このように、入出孔161aと、載置台162b、163bが構成されると、ユーザは、R1〜R3試薬容器を、カバー部161の上方外側から設置または取出可能となる。すなわち、図示の如くカバー部161の高さに位置付けられた載置台162b(163b)に、R1試薬容器100とR3試薬容器120(R2試薬110)が載置されて、載置台162b(163b)が下方に移動されると、これら試薬容器が内側テーブル162(外側テーブル163)にセットされる。また、内側テーブル162(外側テーブル163)にセットされたR1試薬容器100とR3試薬容器120(R2試薬110)は、載置台162b(163b)が上方に移動されると、これら試薬がカバー部161の上面外側に移動される。これにより、R1〜R3試薬容器の設置または取出が可能となる。
【0054】
また、カバー部161の裏面側には、図示の如く、透過型のセンサの発光部164a、165aが設置されており、内側テーブル162と外側テーブル163の下側の試薬設置部16には、透過型のセンサの受光部164b、165bが設置されている。発光部164a、165aから出射された光は、それぞれ、受光部164b、165bで受光されるように構成されている。また、内側テーブル162と外側テーブル163の各保持部には、上下方向に貫通する開口(図示せず)が形成されている。これにより、発光部164aと受光部164bの間に、後述する嵌合されたR1試薬容器100とR3試薬容器120を保持するための保持部が位置付けられると、この保持部に、嵌合されたR1試薬容器100とR3試薬容器120がセットされていることが分かる。また、発光部165aと受光部165bの間に、R2試薬容器110を保持するための保持部が位置付けられると、この保持部にR2試薬容器110がセットされていることが分かる。
【0055】
図5(a)、(b)、(c)は、それぞれ、R1試薬容器100と、R2試薬容器110と、R3試薬容器120の構成を示す斜視図である。なお、同図では、各試薬容器から、便宜上、蓋部材の図示が省略されている。
【0056】
同図(a)を参照して、R1試薬容器100の容器本体101は、上側に略円筒形状に形成された円筒部102と、下側に試薬を収容する収容部103を有している。円筒部102の上端部には、円形形状の開口部102aが設けられており、円筒部102の側面には、水平方向に延びる一対の切欠溝102bが左右対称に形成されている。蓋部材(図示せず)は、かかる切欠溝102bに係合される支持部材(図示せず)を介して、容器本体101の円筒部102に取り付けられる。
【0057】
また、切欠溝102bが設けられた側の収容部103の一方の側面には、図示の如く、収容部103の上面から下方(矢印Z2方向)に延びる切欠部103aが形成されている。この切欠部103aは、後述するR3試薬容器120の突出部123aを嵌め込み可能に構成されている。R1試薬容器100の切欠部103aにR3試薬容器120の突出部123aを嵌め込むことによって、容易に、R1試薬容器100とR3試薬容器120とを所定の間隔を隔てて隣接するように配列させることが可能となる。
【0058】
また、切欠部103aが形成された側面と反対側の側面には、図示の如く、RFID(Radio Frequency IDentification)タグ104とバーコードラベル105が貼付されている。RFIDタグ104には固有情報と試薬管理情報が書き込まれており、RFIDタグ104の固有情報と試薬管理情報は、後述するアンテナ162bによって、電波を介して読み込みと書き込みが行われる。また、バーコードラベル105にも試薬管理情報が書き込まれている。バーコードラベル105の試薬管理情報は、バーコードリーダ17によって読み込まれる。なお、固有情報と試薬管理情報については、追って図7を参照して説明
する。
【0059】
同図(b)を参照して、R2試薬容器110の容器本体111は、R1試薬容器100と略同様の構成となっている。すなわち、収容部113には、R1試薬容器100と同様の構成のRFIDタグ114と、バーコードラベル115が貼付されている。RFIDタグ114には固有情報と試薬管理情報が書き込まれており、RFIDタグ105の固有情報と試薬管理情報は、後述するアンテナ163bによって、電波を介して読み込みと書き込みが行われる。また、バーコードラベル115にも試薬管理情報が書き込まれている。バーコードラベル115の試薬管理情報は、バーコードリーダ17によって読み込まれる。なお、収容部113には、R1試薬容器100の切欠部103aに相当するような切欠部は形成されていない。円筒部112には、開口部112aと、一対の切欠溝112bとが形成されている。
【0060】
同図(c)を参照して、R3試薬容器120の容器本体121は、R1試薬容器100と略同様の構成となっている。円筒部122には、開口部122aと、一対の切欠溝122bとが形成されている。切欠溝122bが設けられた側の収容部123の一方の側面には、図示の如く、収容部123の上面から下方(矢印Z2方向)に延びる突出部123aが形成されている。この突出部123aは、上述のR1試薬容器100の切欠部103aに嵌め込み可能に構成されている。
【0061】
ここで、R1試薬容器100とR3試薬容器120は、ユーザにより使用が開始される時から、必ず切欠部103aと突出部123aにより嵌合した状態で、内側テーブル162の保持部にセットされる。また、R1試薬容器100とR3試薬容器120は、必ず同じ測定に用いられる。このような使用状況から、R3試薬容器120のみが個別に識別される必要はないため、R3試薬容器120には、RFIDタグとバーコードラベルは貼付されていない。この場合、R1試薬容器100に貼付されているRFIDタグとバーコードラベルから読み出される試薬管理情報により、嵌合しているR1試薬容器100とR3試薬容器130(以下、「R1/R3試薬容器」という)が識別される。
【0062】
図6は、アンテナ162b、163bの近傍を上側から見た場合の構成を模式的に示す平面図である。
【0063】
図示の如く、アンテナ162b、163bは、それぞれ、内側テーブル162の内側と、外側テーブル163の外側にあり、試薬設置部16に設置されている。アンテナ162bは、内側テーブル162上の向かい合う位置(読み書き位置162d)に位置付けられたR1/R3試薬容器のRFIDタグ104に対して、試薬管理情報を、電波を介した無線通信により読み書きする。上記のようにR1/R3試薬容器のRFIDタグは、R1試薬容器100に貼付されている。アンテナ163bは、外側テーブル163上の向かい合う位置(読み書き位置163d)に位置付けられたR1試薬容器100のRFIDタグ104に対して、試薬管理情報を、電波を介した無線通信により読み書きする。
【0064】
RFIDタグ104、114の試薬管理情報が読み取れない場合には、バーコードラベル105、115が使用される。すなわち、RFIDタグ104、114が破損等によりアンテナ162b、163bによって読み取られない場合、ユーザは、この試薬容器を試薬設置部16から取り出し、制御部4に接続されたハンディタイプのバーコードリーダ17によって、バーコード情報を読み取らせる。これにより、RFIDタグが読み取れない場合でも、この試薬容器の識別が可能となる。
【0065】
図7は、RFIDタグ104、114に記憶されている固有情報と試薬管理情報を示す概念図である。
【0066】
図示の如く、RFIDタグ104、114は、128byteの情報を記憶することができるよう構成されている。記憶容量128byteのうち、固有情報を示すユニークID領域には16byte、試薬管理情報を示すユーザデータ領域には112byteが割り当てられている。ユニークID領域は、RFIDタグを個別に識別可能なユニークIDが記憶される領域であり、読み込みのみが可能である。ユーザデータ領域は、ユーザが自由に情報を書き込みできる領域である。ユーザデータ領域には、読み込みだけを行い書き込みを行わない領域(読み込み専用領域)と、読み込みと書き込みの両方を行う領域(書き込み可能領域)とが設定されている。
【0067】
読み込み専用領域には、測定項目と、ロット番号と、シリアル番号と、試薬種別と、保存期限と、充填量が記憶されている。書き込み可能領域には、残量と、使用期限と、ペア情報と、下降調整量と、前回下降量が書き込まれる。また、内側テーブル162と外側テーブル163に初めて設置される試薬容器に貼付されたRFIDタグの書き込み可能領域には、情報が書き込まれていない。また、バーコードラベル105、115には、それぞれ、RFIDタグ104、114に記憶されている読み込み専用領域と同じ情報が記憶されている。
【0068】
測定項目は、このRFIDタグが貼付されている試薬容器に収容されている試薬により行われる測定項目を示す。測定項目と、ロット番号と、シリアル番号(以下、「特定情報」という)により、R1/R3試薬容器とR2試薬容器110は一意に識別される。また、シリアル番号は、同一の測定項目と同一のロット番号の範囲内で、一意に試薬容器を識別可能な番号であり、R1/R3試薬容器とR2試薬容器110は、同一の測定項目と同一のロット番号を有しているもの同士が同梱されて、ユーザに提供されている。また、R1/R3試薬容器とR2試薬容器110は、使用の性質上、測定項目とロット番号が同じもの同士がペアとして使用される。
【0069】
試薬種別は、このRFIDタグが貼付されている試薬容器が、R1/R3試薬容器であるか、R2試薬容器110であるかを示す。保存期限は、この試薬が保存可能な期限を示す。充填量は、この試薬により行うことのできる測定回数を示す。残量は、この試薬により行うことのできる残り測定回数を示す。使用期限は、この試薬が使用可能な期限を示す。使用期限は、この試薬が使用され始めたときに設定される。
【0070】
ペア情報の項目には、この試薬容器とペアとなる試薬容器の特定情報が書き込まれる。すなわち、初めて内側テーブル162に設置されるR1/R3試薬容器のRFIDタグ104のペア情報には、ペアとして使用されるR2試薬容器110のRFIDタグ114の特定情報が書き込まれる。また、初めて外側テーブル163に設置されるR2試薬容器のRFIDタグ114のペア情報には、ペアとして使用されるR1/R3試薬容器のRFIDタグ104の特定情報が書き込まれる。
【0071】
下降調整量の項目には、この試薬容器が前回セットされた装置固有の下降調整量が書き込まれる。前回下降量の項目には、この試薬が前回吸引されたときに、ピペットの原点位置から試薬の液面までの距離に相当するパルス数が書き込まれる。下降調整量と前回下降量については、それぞれ、追って図10と図11を参照して説明する
なお、R1試薬容器100とR3試薬容器120は、上述したように、嵌合した状態で使用されて同じ測定に用いられるため、R1試薬容器100とR3試薬容器120の固有情報と試薬管理情報は共通であるとして、RFIDタグ104に書き込まれている。ただし、R1/R3試薬容器のRFIDタグ104には、R1試薬に関する下降調整量と前回下降量、および、R3試薬に関する下降調整量と前回下降量は、それぞれ別々に記憶されている。
【0072】
図8は、測定機構部2の回路構成を示す図である。
【0073】
測定機構部2は、制御部200と、試薬分注アームステッピングモータ部211と、試薬分注アームロータリーエンコーダ部212と、原点センサ部213と、液面センサ部214と、試薬テーブルステッピングモータ部215と、試薬テーブルロータリーエンコーダ部216と、原点センサ部217と、アンテナ部218と、発光センサ部219と、受光センサ部220と、機構部221を含んでいる。制御部200は、CPU201と、ROM202と、RAM203と、バッテリーバックアップRAM204と、通信インターフェース205と、I/Oインターフェース206とを含んでいる。
【0074】
CPU201は、ROM202に記憶されているコンピュータプログラムおよびRAM203にロードされたコンピュータプログラムを実行する。RAM203は、ROM202に記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられると共に、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU201の作業領域としても利用される。また、RAM203には、内側テーブル162と外側テーブル163の各保持部に対応付けて、保持されている試薬容器の試薬管理情報に関するデータベース(以下、「試薬DB」という)が構築される。バッテリーバックアップRAM204は、測定機構部2の電源がオフとなっても記憶内容が消えないよう構成されている。バッテリーバックアップRAM204には、後述するように測定機構部2のR1〜R3試薬に関する下降調整量が格納されている。
【0075】
通信インターフェース205は、検体搬送部3と制御装置4に接続されている。CPU201は、通信インターフェース205を介して、検体の光学的な情報(標識抗体と発光基質との反応によって生じる発光量のデータ)を制御装置4に送信するとともに、制御装置4からの信号を受信する。また、CPU201は、通信インターフェース205を介して、検体搬送部3に対して駆動指示のための信号を送信する。
【0076】
また、CPU201は、I/Oインターフェース206を介して、試薬分注アームステッピングモータ部211と、試薬分注アームロータリーエンコーダ部212と、原点センサ部213と、液面センサ部214と、試薬テーブルステッピングモータ部215と、試薬テーブルロータリーエンコーダ部216と、原点センサ部217と、アンテナ部218と、発光センサ部219と、受光センサ部220と、機構部221に接続されている。
【0077】
試薬分注アームステッピングモータ部211は、R1〜R3試薬分注アームをそれぞれ鉛直方向に駆動させるためのステッピングモータ6b、7b、8bを含んでいる。試薬分注アームロータリーエンコーダ部212は、ステッピングモータ6b、7b、8bにそれぞれ配されたロータリーエンコーダ6c、7c、8cを含んでいる。ロータリーエンコーダ6c、7c、8cは、それぞれ、ステッピングモータ6b、7b、8bの回転変位量に応じたパルス数を出力するように構成されている。ロータリーエンコーダ6c、7c、8cから出力されたパルス数をカウントすることで、それぞれ、ステッピングモータ6b、7b、8bの回転量を検出することができる。
【0078】
なお、試薬分注アームステッピングモータ部211には、R1〜R3試薬分注アームを回転駆動させるためのステッピングモータも含まれ、試薬分注アームロータリーエンコーダ部212には、これらステッピングモータにそれぞれ配されたロータリーエンコーダも含まれている。
【0079】
原点センサ部213は、R1〜R3試薬分注アームが、それぞれ鉛直方向の所定の位置(原点位置)にあることを検出する透過型のセンサ6d、7d、8dを含んでいる。セン
サ6d、7d、8dは、それぞれ発光部と受光部を有し、R1〜R3試薬分注アームが鉛直方向の所定の位置にあると、センサ6d、7d、8dの発光部から出射された光が遮光され受光部に入射しなくなる。これにより、R1〜R3試薬分注アームが、それぞれ、鉛直方向の原点位置に位置付けられたことが分かり、併せてピペット6a、7a、8aも、それぞれ、鉛直方向の原点位置に位置付けられたことが分かる。
【0080】
なお、原点センサ部213には、R1〜R3試薬分注アームが、それぞれ所定の回転位置(原点位置)にあることを検出する透過型のセンサも含まれている。
【0081】
液面センサ部214は、R1〜R3試薬分注アームのピペット6a、7a、8aにそれぞれ配された液面センサ6e、7e、8eで構成されている。液面センサ6e、7e、8eは、それぞれ、ピペット6a、7a、8aが液面に触れたことを電気的に検知する。
【0082】
試薬テーブルステッピングモータ部215は、第1ステッピングモータ162aと第2ステッピングモータ163aを含んでいる。試薬テーブルロータリーエンコーダ部216は、第1ステッピングモータ162aと第2ステッピングモータ163aにそれぞれ配されたロータリーエンコーダ162d、163dを含んでいる。ロータリーエンコーダ162d、163dは、それぞれ、第1ステッピングモータ162aと第2ステッピングモータ163aの回転変位量に応じたパルス数を出力するように構成されている。
【0083】
原点センサ部217は、第1ステッピングモータ162aと第2ステッピングモータ163aがそれぞれ所定の回転位置(原点位置)にあることを検出する透過型のセンサ162e、163eを含んでいる。
【0084】
アンテナ部218は、アンテナ162b、163bで構成されている。アンテナ162b、163bは、CPU201の制御により、RFIDタグ104、114の試薬管理情報を読み取る。アンテナ162b、163bにより読み取られた試薬管理情報は、I/Oインターフェース206を介してCPU201に出力され、RAM203の試薬DB内に記憶される。発光センサ部219は、発光部164a、165aを含み、CPU201の制御により発光される。受光センサ部220は、受光部164b、165bを含み、受光センサ部220の検出信号は、I/Oインターフェース206を介してCPU201に出力される。機構部221は、測定機構部2のその他の機構を含んでおり、CPU201の制御により駆動される。
【0085】
図9は、制御装置4の回路構成を示す図である。
【0086】
制御装置4は、パーソナルコンピュータからなり、本体400と、入力部410と、表示部420から構成されている。本体400は、CPU401と、ROM402と、RAM403と、ハードディスク404と、読出装置405と、入出力インターフェース406と、画像出力インターフェース407と、通信インターフェース408を有する。
【0087】
CPU401は、ROM402に記憶されているコンピュータプログラムおよびRAM403にロードされたコンピュータプログラムを実行する。RAM403は、ROM402およびハードディスク404に記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、RAM403は、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU401の作業領域としても利用される。
【0088】
ハードディスク404には、オペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムなど、CPU401に実行させるための種々のコンピュータプログラムおよびコンピュータプログラムの実行に用いるデータがインストールされている。すなわち、測定機構
部2から送信される試薬DBに基づいて表示部420に表示等を行うプログラムや、入力部410を介してユーザから受け付けた指示に基づいて測定機構部2に指示を送信するプログラム等がインストールされている。
【0089】
読出装置405は、CDドライブまたはDVDドライブ等によって構成されており、記録媒体に記録されたコンピュータプログラムおよびデータを読み出すことができる。入出力インターフェース406には、マウスやキーボードからなる入力部410が接続されており、操作者が入力部410を使用することにより、制御装置4にデータが入力される。画像出力インターフェース407は、ディスプレイ等で構成された表示部420に接続されており、画像データに応じた映像信号を、表示部420に出力する。表示部420は、入力された映像信号をもとに、画像を表示する。また、通信インターフェース408により、測定機構部2とバーコードリーダ17に対してデータの送受信が可能となる。
【0090】
図10は、下降調整量について説明する図である。下降調整量は、装置に固有の値であり、測定機構部2の組み立てが完了した時に、以下に示す手順によってあらかじめ測定される。
【0091】
図10(a)、(b)は、異なる測定機構部2における下降調整量の測定例を示す図である。ここでは、便宜上、試薬容器が前回および今回セットされた測定機構部2における下降調整量の測定例が、それぞれ、同図(a)、(b)に、対比して示されている。上記のとおり、かかる測定は、試薬容器がセットされる前の、測定機構部2の組立完了時に行われる。
【0092】
まず、同図(a)を参照して、この測定機構部2において、R1試薬の下降調整量を測定する際には、上部の開口に金属製のジグ130が嵌め込まれたR1試薬容器100の容器本体101が用いられる。測定者は、この容器本体101を内側テーブル162上のR1試薬容器100の何れかの保持部にセットしておく。次に、測定者は、R1試薬分注アーム6を鉛直方向の原点位置に合わせることにより、R1試薬分注アーム6のピペット6aを原点位置に合わせる。この状態で、ロータリーエンコーダ6cの出力パルス数のカウント値を0にセットする。
【0093】
次に、この容器本体101を保持する内側テーブル162の保持部に対して、ピペット6aを徐々に下降させる。ピペット6aがジグ130に接触したことが、ピペット6aに配された液面センサ6eにより検出されると、測定者はピペット6aの下降を停止させる。このときのロータリーエンコーダ6cの出力パルス数のカウント値に、ジグ130の上面から容器本体101の底面までの長さをロータリーエンコーダ6cの出力パルス数のカウント値に変換した値(H)が加算される。これにより、この測定機構部2のR1試薬の下降調整量(Ma)が取得される。
【0094】
なお、R2試薬とR3試薬についても、R1試薬と同様に、原点位置から容器本体に嵌め込まれたジグまで各ピペットを下降させることにより、下降調整量が取得される。
【0095】
このようにして、測定機構部2のR1〜R3試薬に関する下降調整量が取得されると、これら下降調整量は、測定機構部2のバッテリーバックアップRAM204に記憶される。
【0096】
同図(b)を参照して、今回試薬容器がセットされた測定機構部2においても、前回の測定機構部2と同様にして、R1〜R3試薬の下降調整量(Mb)が取得される。取得された下降調整量(Mb)は、バッテリーバックアップRAM204に記憶される。
【0097】
図示の如く、2つの測定機構部2の下降調整量(Ma)および(Mb)は、測定機構部2の組み立て誤差等により異なっている場合がある。すなわち、前回と今回の測定機構部2でR1試薬の下降調整量が取得される際に、ピペット6aの原点位置のずれと、容器本体101の底面位置のずれにより、下降調整量が異なっている場合がある。
【0098】
なお、今回の装置の下降調整量(Mb)と前回の装置の下降調整量(Ma)の差分(Mb−Ma)は、図示の如く、ピペット6aの高さの誤差をΔP、容器本体101の底面高さの誤差をΔBとすると、以下の式により算出される。
【0099】
Mb−Ma=ΔP+ΔB … (1)
【0100】
図11は、下降量について説明する図である。図11(a)は、図10(a)に示した前回の測定機構部2で、あるR1試薬容器100からR1試薬が吸引されるときのピペット6aの下降量(前回下降量)を示す図である。図11(b)は、図11(a)のR1試薬容器がそのまま図10(b)に示した今回の測定機構部2にセットされたと想定したときのピペット6aの下降量(相当下降量)を示す図である。
【0101】
前回下降量と相当下降量は、何れも図10の下降調整量の取得の場合と同様、ピペット6aが原点位置に合わせられた状態から、液面センサ6eによりR1試薬の液面が検知されるまでのロータリーエンコーダ6cの出力パルス数のカウント値により取得される。
【0102】
ここで、図11(a)、(b)において、R1試薬の液面から容器本体101の底面までの長さ(パルス数)をhとすると、図11(a)、(b)のピペット6aの原点位置から容器本体101の底面までの長さ(パルス数)は、それぞれ、(Za+h)、(Zb+h)となる。このとき、(Za+h)と(Zb+h)の差分は、ピペット6aの高さの誤差ΔP(パルス数)と、容器本体101の底面高さの誤差ΔB(パルス数)を用いると、以下の式により算出される。
【0103】
(Zb+h)−(Za+h)=ΔP+ΔB … (2)
【0104】
よって、上記式(1)、(2)から、相当下降量(Zb)は、以下の式により表すことができる。
【0105】
Zb=Za+(Mb−Ma) … (3)
【0106】
上記式(3)に示されるように、前回と今回の測定機構部2との間で、組み立て誤差等により、ピペット6aの高さと容器本体101の底面の高さに誤差が生じている場合でも、前回下降量(Za)にR1試薬に関する下降調整量の差分(Mb−Ma)が加算されると、相当下降量(Zb)を取得することができる。なお、R2試薬容器120とR3試薬容器120についても、同様に、前回下降量にそれぞれの試薬に関する下降調整量の差分が加算されると、相当下降量を取得することができる。
【0107】
なお、上述したように、今回の測定機構部2のR1〜R3試薬に関する下降調整量は、今回の測定機構部2のバッテリーバックアップRAM204に記憶されている。また、前回の測定機構部2のR1〜R3試薬に関する下降調整量と前回下降量は、試薬の吸引が行われたときに、対応するRFIDタグに書き込まれる。ここで書き込まれる前回下降量は、試薬の吸引が行われる前の液面までの下降量である。よって、R1〜R3試薬の実際の液面に対応する下降量は、試薬の吸引量に相当する分だけ、RFIDタグに書き込まれた前回下降量よりも大きくなる。今回の測定機構部2では、RFIDタグから前回下降量と下降調整量を読み出すことで、上記式(3)に従って、相当下降量が取得される。この相
当下降量は、実際に今回の測定機構部2にて試薬液面を検出した時の下降量よりも、上記吸引量に相当する分だけ大きくなる。
【0108】
図12は、制御装置4の表示部420に表示される試薬配置状態を示す画面の例示図である。試薬配置状態を示す画面には、表示画面選択領域510と、測定指示領域520と、動作指示領域530と、試薬配置表示領域540が含まれている。
【0109】
表示画面選択領域510には、試薬配置状態ボタン511と、オーダ登録ボタン512と、ジョブリストボタン513と、ブラウザボタン514が含まれている。試薬配置状態ボタン511が押下されると、試薬配置状態を示す画面(図12の画面)が表示される。オーダ登録ボタン512が押下されると、オーダ登録画面(図示せず)が表示される。オーダ登録画面には、測定を行いたい検体を登録することができる画面が含まれている。ジョブリストボタン513が押下されると、測定の進捗と結果を示す一覧画面(図16参照)が表示される。ブラウザボタン514が押下されると、測定結果の詳細を示す一覧画面(図示せず)が表示される。
【0110】
測定指示領域520には、測定中断ボタン521と測定開始ボタン522が含まれている。測定中断ボタン521が押下されると、測定機構部2で行われている測定が中断される。測定開始ボタン522が押下されると、登録されたオーダに基づいて、測定機構部2で測定が開始される。
【0111】
動作指示領域530には、試薬交換ボタン531が含まれている。試薬交換ボタン531が押下されると、試薬の交換が開始される。
【0112】
試薬配置表示領域540の内側(以下、「内側領域」という)には、28個のR1/R3試薬マーク541が円環状に表示され、試薬配置表示領域540の外側(以下、「外側領域」という)には、28個のR2試薬マーク542が円環状に表示されている。R1/R3試薬マーク541と、R2試薬マーク542は、それぞれ、内側テーブル162の各保持部に保持されているR1/R3試薬容器と、外側テーブル163の各保持部に保持されているR2試薬容器120に対応している。
【0113】
R1/R3試薬マーク541は、この保持部の位置を表示する位置表示部541aと、この保持部に保持されているR1/R3試薬容器のRFIDタグ104の測定項目と残量を表示する内容表示部541bを含んでいる。同様に、R2試薬マーク512は、この保持部の位置を表示する位置表示部542aと、この保持部に保持されているR2試薬容器110のRFIDタグ114の測定項目と残量を表示する内容表示部542bを含んでいる。
【0114】
RFIDタグ104、114の読み取り結果に基づいて、測定に問題なく使用可能であると判断されると、この試薬容器の保持部に対応するR1/R3試薬マーク541とR2試薬マーク542が、例えば、内側領域の保持位置(2)と外側領域の保持位置(17)に示す如く表示される。また、発光センサ部211と受光センサ部212に基づいて、試薬容器がセットされていないと判断されると、この保持部に対応する内容表示部が空欄となる。また、測定時に、試薬容器について、後述する液面位置エラーが3回連続発生すると、この保持部に対応する内容表示部が、例えば、内側領域の保持位置(12)と外側領域の保持位置(25)に示す如く表示される。
【0115】
この他、RFIDタグ104、114の読み取り結果に基づいて、ペアとして使用される試薬容器がないと判断されると、内側領域の保持位置(15)と外側領域の保持位置(1)に示す如く、この試薬容器の保持部に対応するR1/R3試薬マーク541とR2試
薬マーク542が太線で囲まれる。試薬容器の残量が少ないと判断されると、内側領域の保持位置(18)と外側領域の保持位置(5)に示す如く、この保持部に対応する内容表示部が狭間隔の斜線で表示される。試薬容器の残量が0、または、使用期限が切れていると判断されると、内側領域の保持位置(22)と外側領域の保持位置(9)に示す如く、この保持部に対応する内容表示部が広間隔の斜線で表示される。RFIDタグ104、114が読み取りエラーのため使用できない場合、内側領域の保持位置(26)と外側領域の保持位置(13)に示す如く、この保持部に対応する内容表示部が格子で表示され、内容表示部に“エラー”が表示される。
【0116】
図13は、測定機構部2による測定準備処理を示すフローチャートである。かかる測定準備処理は、試料分析装置1の電源が投入された場合などに実行される。なお、測定準備処理は、R1/R3試薬容器に関する内側テーブル162と、R2試薬容器110に関する外側テーブル163とで、それぞれ並行して行われる。以下では、内側テーブル162で行われる測定準備処理についてのみ説明する。
【0117】
まず、測定機構部2のCPU201は、R1試薬分注アーム6と、R3試薬分注アーム8と、内側テーブル162を原点位置に移動させる(S11)。すなわち、R1試薬分注アーム6とR3試薬分注アーム8の鉛直方向の位置と回転位置が、原点センサ部213の出力信号を用いて原点位置に合わせられ、内側テーブル162の回転位置が、原点センサ162eの出力信号を用いて原点位置に合わせられる。続いて、CPU201は、内側テーブル162を回転させ、発光センサ164aと受光センサ164bにより、内側テーブル162の全ての保持部においてR1/R3試薬容器が保持されているか否かをチェックする(S12)。
【0118】
次に、CPU201は、内側テーブル162を回転させ、R1/R3試薬容器を読み書き位置162dへ移動させる(S13)。続いて、CPU201は、R1/R3試薬容器に貼付されたRFIDタグ104から、アンテナ162bを介して、試薬管理情報を読み出す(S14)。CPU201は、読み出したR1/R3試薬容器の試薬管理情報に基づいて、RAM203に構築された試薬DB内に、このR1試薬容器100とR3試薬容器120の試薬管理情報を保持部に対応づけて、別々に記憶する(S15)。これにより、R1試薬容器100とR3試薬容器120に共通である試薬管理情報は、試薬DB内に同じ内容として記憶される。また、R1試薬に関する下降調整量と前回下降量、および、R3試薬に関する下降調整量と前回下降量は、試薬DB内に別々に記憶される。
【0119】
次に、CPU201は、今回の測定機構部2のR1試薬の下降調整量と、RFIDタグから読み出されて試薬DB内に記憶されている前回の下降調整量の差分(例えば、図10の(Mb−Ma))を算出する(S16)。すなわち、CPU201は、現在の装置のR1試薬の下降調整量(例えば、図12(a)のMa)をバッテリーバックアップRAM204から読み出す。また、CPU201は、このR1/R3試薬容器のRFIDタグ104から読み出して試薬DB内に記憶されているR1試薬の下降調整量(例えば、図12(b)のMb)を読み出す。そして、CPU201は、これらの下降調整量の差分(例えば、図12の(Mb−Ma))を算出する。また、同様に、CPU201は、今回の測定機構部2のR3試薬の下降調整量と、RFIDタグから読み出されて試薬DB内に記憶されている前回の下降調整量の差分を算出する(S16)。
【0120】
S16で算出した差分が0でない場合(差分ありの場合)(S17:YES)、処理がS18に進められ、S16で算出した差分が0である場合(差分なしの場合)(S17:NO)、処理がS21に進められる。
【0121】
差分がありの場合(S17:YES)、CPU201は、このRFIDタグ104のR
1試薬とR3試薬の下降調整量に、それぞれ今回のR1試薬の下降調整量(例えば、図12(a)のMa)とR3試薬の下降調整量を書き込む(S18)。また、CPU201は、このRFIDタグ104のR1試薬とR3試薬の前回下降量に、R1試薬とR3試薬の相当下降量を書き込む(S19)。すなわち、このR1/R3試薬容器のRFIDタグ104から読み出して試薬DB内に記憶しているR1試薬とR3試薬の前回下降量に、それぞれS16で算出したR1試薬とR3試薬の差分を加えた値(相当下降量)が書き込まれる。さらに、CPU201は、試薬DB内に記憶されているこのR1試薬とR3試薬の前回下降量を、それぞれR1試薬とR3試薬の相当下降量に更新する(S20)。
【0122】
次に、CPU201は、全てのR1/R3試薬容器についてS13〜S20の処理が完了したかを判定する(S21)。全てのR1/R3試薬容器について、S13〜S20の処理が完了していないと(S21:NO)、処理がS13に戻され、S13〜S20の処理が完了していると(S21:YES)、測定準備処理が終了する。
【0123】
なお、上記ではR1/R3試薬容器に関する測定準備処理のみを説明したが、R2試薬容器に関する測定準備処理も、上記と同様に行われる。
【0124】
図14は、測定機構部2による測定処理を示すフローチャートである。かかる測定処理は、オーダ登録がされた後、図12の測定開始ボタン522が押下されたときに開始される。オーダ登録によりジョブリストが生成される(図16参照)。測定は、ジョブリストに登録された検体毎に行われる。各検体には、複数の測定項目が設定され得る(たとえば、図16に示す“HBsAg”、“HCVAb”、“PSA”、等)。各測定項目には、予め、その測
定項目の測定に用いる試薬容器が対応付けられている。図3の内側テーブル162と外側テーブル163には、同一の測定項目に用いる試薬を収容した試薬容器が複数セットされている。これらのうち、所定の試薬容器がその測定項目の測定に用いる試薬容器(対象試薬容器)として設定され、他の試薬容器は、対象試薬容器にエラーが生じたときに用いる予備の試薬容器とされる。
【0125】
なお、測定処理では、R1/R3試薬容器に関する内側テーブル162と、R2試薬容器110に関する外側テーブル163と、R1〜R3試薬分注アームが、それぞれ並行して制御される。
【0126】
測定機構部2のCPU201は、測定開始ボタン522が押下されると、オーダに基づいて作成されるジョブリストに従って測定を行う(S31)。かかる測定において、R1〜R3試薬分注アームにより試薬の吸引処理が行われる。CPU201は、全てのジョブが完了していないと判定すると(S32:NO)、S22の測定を継続させ、全てのジョブが完了すると(S32:YES)、この測定処理を終了させる。
【0127】
図14(b)は、図14(a)のS31で行われる測定において、R1〜R3試薬分注アームにより行われる試薬の吸引処理を示すフローチャートである。なお、吸引処理は、ジョブリストに基づいて、測定機構部2のCPU201により開始され、R1〜R3試薬分注アームごとに並行して行われる。以下では、便宜上、内側テーブル162に保持されたR1試薬容器に対するR1試薬分注アーム6の吸引処理についてのみ説明するが、R2、R3試薬容器に対するR2、R3試薬分注アームの吸引処理も以下と同様に行われる。
【0128】
まず、測定機構部2のCPU201は、吸引対象となっているR1試薬容器100がエラーとなっているかを判定する(S101)。吸引対象のR1試薬容器100がエラーであると(S101:YES)、CPU201は、測定結果をエラーとし(S110)、吸引処理が終了する。吸引対象のR1試薬容器100がエラーでないと(S101:NO)、CPU201は、R1試薬分注アーム6と、内側テーブル162を原点位置に移動させ
る(S102)。
【0129】
続いて、CPU201は、吸引対象のR1試薬容器100に、後述する液面位置エラー回数が設定されているかを判定する(S103)。吸引対象のR1試薬容器100に液面位置エラー回数が設定されていないと(S103:YES)、このR1試薬容器100の液面位置エラー回数に0をセットする(S104)。なお、液面位置エラー回数は、測定機構部2のRAM203に記憶される。
【0130】
次に、CPU201は、内側テーブル162を回転させ、吸引対象となったR1試薬容器100を吸引位置に移動させ(S105)、ステッピングモータ6bを駆動してR1試薬分注アーム6のピペット6aを下降させる(S106)。CPU201は、液面センサ6eによりR1試薬の液面が検知されるまで、ピペット6aの下降を継続する(S107)。
【0131】
R1試薬の液面が検知されると(S107:YES)、CPU201は、ピペット6aの下降を停止させて、ロータリーエンコーダ6cの出力パルス数、すなわち、ピペット6aの原点位置からR1試薬の液面までの長さ(パルス数)(以下、「今回下降量」という)を取得する(S108)。続いて、CPU201は、“下降量チェック処理”を行う(S109)。こうしてR1試薬容器100の吸引処理が終了する。
【0132】
図15は、“下降量チェック処理”を示すフローチャートである。以下では、R1試薬分注アーム6の吸引処理についてのみ説明する。なお、前回の測定機構部2と今回の測定機構部2との間で下降調整量に差分がある場合、今回の測定機構部2の試薬DB内に保持された前回下降量は、図13のS20において、RFIDタグから読み出した前回下降量に上記差分を加算した値、すなわち、図11(b)で説明した相当下降量に更新されている。この場合、図15の処理は、かかる相当下降量を前回下降量として行われる。
【0133】
測定機構部2のCPU201は、まず、試薬DB内に記憶されているこのR1試薬の前回下降量と、図14のS108で取得した今回下降量を比較し、前回下降量が大きいか否かを判定する(S201)。前回下降量の方が大きいと(S201:YES)、処理がS202に進められ、前回下降量が今回下降量以下であると(S201:NO)、処理がS209に進められる。
【0134】
ここで、前回の測定機構部2において前回下降量が取得された後、試薬の吸引が行われている。このため、図14のS108で取得した今回下降量は、試薬DB内に記憶されているこのR1試薬の前回下降量より、吸引された量に応じて通常大きくなる。しかしながら、今回の測定機構部2において、このR1試薬容器100の液面に泡が発生していると、図14のS108で取得した今回下降量は、試薬DB内に記憶されているこのR1試薬の前回下降量以下となる場合がある。すなわち、S201の判定では、このR1試薬の液面に泡が発生している可能性が高い場合にYESと判定され、このR1試薬の液面に泡が発生している可能性が低い場合にNOと判定される。
【0135】
このR1試薬の液面に泡が発生している可能性が高い場合(S201:YES)、CPU201は、液面位置エラーを発生させ、この測定結果をエラーとし、制御装置4にこの測定結果がエラーとなったことを送信する(S202)。これにより、制御装置4の表示部420に表示されるジョブリストにおいて、このジョブの対象となる測定項目がマスクされる。続いて、CPU201は、このR1試薬容器100の液面位置エラー回数を1増やす(S203)。
【0136】
この場合、このジョブの対象となる測定項目は終了し、以降、このジョブの対象となる
測定項目のために、このR1試薬だけでなく、他の試薬(R2、R3試薬)が吸引されることもなくなる。ただし、後述するように、このジョブの対象となる測定項目以外(例えば、別のジョブでこのR1試薬を使用する測定項目など)では、このR1試薬容器100からR1試薬が吸引され得る。
【0137】
図16は、制御装置4の表示部420に表示されるジョブリスト画面の例示図である。ジョブリスト画面には、図12と同様の表示画面選択領域510と測定指示領域520に加えて、ジョブリスト表示領域610と、検体情報表示領域620と、患者情報表示領域630が含まれている。
【0138】
ジョブリスト表示領域610には、検体ごとに行われる複数の測定を含むジョブが表示される。例えば、1行目のジョブ(検体番号が“test01”)には、2つの測定項目(“HBsAg”と“HCVAb”)が設定されている。各測定項目について、測定機構部2から測定結果を受信すると、対応する欄内に測定結果が表示される。また、ジョブリスト表示領域610の右と下には、上下方向と左右方向に表示内容を移動させることができるスクロールボタンが配されている。
【0139】
検体情報表示領域620と患者情報表示領域630には、それぞれ、ジョブリスト表示領域610でユーザにより選択されて反転表示しているジョブ(例えば、1行目)の検体情報とこの検体を採取した患者情報が表示される。
【0140】
ここで、制御装置4のCPU401は、図15のS202において、測定機構部2から測定結果がエラーとなったことを受信すると、この測定項目の測定結果をマスク表示にする。具体的には、3行目〜6行目のジョブの測定項目“HCVAb”に示すように、測定結果
が“*****.*”とされる。
【0141】
なお、測定結果のマスク表示(“*****.*”)は、R1〜R3試薬の“下降量チェック
処理”において液面位置エラーが発生した場合だけでなく、他のエラー原因が発生した場合にも表示される。この場合、ユーザは、測定項目ごとに発生したエラーリストを含むエラー詳細画面を表示させることで、マスク表示となった測定項目のエラー原因を特定することができる。
【0142】
図17は、制御装置4の表示部420に表示されるエラー詳細画面700の例示図である。かかるエラー詳細画面700は、ブラウザボタン514が押下されることにより表示される測定結果の詳細を示す一覧画面(図示せず)において、エラーが発生した測定項目ごとに配されているエラー表示ボタンを押すことにより表示される。
【0143】
エラーリスト表示領域710には、1つの測定項目に含まれるエラーの一覧が表示される。この場合の測定項目のエラーには、“R2アーム液面位置異常”が含まれている。これにより、R2試薬分注アーム7についての“下降量チェック処理”の際に、吸引対象となるR2試薬容器110で、S202において液面位置エラーが発生したことが分かる。また、説明表示領域720を見ることにより、測定処理の実行状況やこのエラーに対する対処方法等を知ることができる。
【0144】
図15に戻って、次に、測定機構部2のCPU201は、液面位置エラー回数が3以上であると判定すると(S204:YES)、このR1試薬容器100をエラーとし、このR1試薬容器100がエラーとなったことを、制御装置4に送信する(S205)。これにより、制御装置4の表示部420に表示される図12の表示画面において、試薬配置表示領域540内の対応する試薬容器が、内側領域の保持位置(12)と外側領域の保持位置(25)に示す如く表示される。
【0145】
続いて、CPU201は、同じ測定項目に用いられる他のR1試薬容器100が、内側テーブル162上に保持されているかを判定する(S206)。他のR1試薬容器100があると(S206:YES)、CPU201は、当該測定項目に対するR1試薬の吸引対象として、エラーとなったR1試薬容器100から他のR1試薬容器100に変更する(S207)。
【0146】
他方、他のR1試薬容器100がないと(S206:NO)、CPU201は、このジョブの対象となる測定項目を測定しない(S208)。この場合、このR1試薬を吸引できるR1試薬容器100が内側テーブル162に保持されていないため、以降のジョブでこのR1試薬を使用することが一切できなくなる。このため、図14(b)のS101において、対象となるR1試薬容器100がエラーとなっていると(S101:YES)、測定結果がエラーとなり(S110)、吸引処理が終了することとなる。
【0147】
また、CPU201は、液面位置エラー回数が3以上でないと判定すると(S204:NO)、“下降量チェック処理”が終了する。この場合、時間が経過すると、R1試薬の液面に生じた泡が消える可能性があるため、別のジョブの当該測定項目でこのR1試薬の吸引が行われるよう、このR1試薬容器100はエラーとされない。
【0148】
次に、S201において、前回下降量が今回下降量以下であると判定されると(S201:NO)、このR1試薬容器100のR1試薬の液面に泡が発生している可能性は低いため、CPU201は、試薬の吸引動作を実行する(S209)。すなわち、ピペット6aが液面に接触している状態から、吸引量に応じてさらにピペット6aが鉛直下方に移動され、R1試薬が吸引される。
【0149】
続いて、CPU201は、試薬DB内に記憶されているこのR1試薬容器100の前回下降量を、図14のS108で取得した今回下降量に更新する(S210)。また、CPU201は、内側テーブル162を回転させ、このR1試薬容器100を読み書き位置162dに位置付け(S211)、RFIDタグ104のR1試薬に関する前回下降量を、図14のS108で取得した今回下降量に更新する(S212)。また、CPU201は、試薬DB内のこのR1試薬容器100の残量を、今回の吸引量に応じて減じ、RFIDタグ104の残量を、試薬DB内のこのR1試薬容器100の残量に更新する(S212)。また、CPU201は、液面位置エラー回数に0をセットする(S213)。こうして、“下降量チェック処理”が終了する。
【0150】
以上、本実施の形態によれば、今回の吸引動作において液面を検知したときのピペットの下降量(今回下降量)が、試薬の吸引が行われたときに、この試薬容器に貼付されたRFIDタグの前回下降量に書き込まれる。これにより、この試薬容器が他の測定機構部2にセットされた場合にも、この試薬容器に貼付されたRFIDタグの前回下降量を読み出すことで、前回の吸引動作におけるピペットの下降量を検出することができる。
【0151】
また、本実施の形態によれば、前回の測定機構部2にて試薬を吸引したときのピペットの下降量(前回下降量)とともに下降調整量がRFIDタグに書き込まれているため、RFIDタグから読み出した前回下降量および下降調整量と、今回の測定機構部2の下降調整量から、今回の測定機構部2に置き換えた下降量(相当下降量)を取得することができる。これにより、測定機構部2の組み立て誤差等により、前回と今回の測定機構部2においてピペット高さや試薬容器の底面の高さが異なる場合(ある試料分析装置1で使用していた試薬容器を、別の試料分析装置1にセットして検体を測定した場合)でも、この相当下降量と今回下降量とを比較することで、液面位置の適否を適正に判定することができる。
【0152】
なお、本実施の形態では、図10を参照して説明した如く、ジグ130が装着された容器本体101を内側テーブル162にセットするといった簡易な作業により、下降調整量を取得することができる。
【0153】
また、本実施の形態によれば、前回下降量が今回下降量よりも大きいと、測定結果がエラーとされて、当該試薬に対する吸引が行われないため、たとえば、液面に気泡があって試薬を適正量吸引できない状態下で測定が行われるのを防止することができる。よって、検体に対する誤測定を確実に防止することができる。
【0154】
また、本実施の形態によれば、前回下降量が今回下降量よりも大きいと、試薬が吸引される前に測定自体がエラーとされるため(図15のS201、S202)、試薬が無駄に吸引されることを防ぐことができる。
【0155】
また、本実施の形態によれば、図17に示すエラー詳細画面700が表示されるため、ユーザは、この画面を見ることにより、試薬容器に液面エラーが生じたことを容易に知ることができ、さらに、当該ジョブに対する測定状況等を知ることができる。
【0156】
また、本実施の形態によれば、図12に示す画面が表示されるため、ユーザは、この画面を見ることにより、試薬容器がエラーになっているかを容易に知ることができ、適宜、試薬容器の交換を行うことができる。
【0157】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の実施の形態はこれらに限定されるものではない。
【0158】
たとえば、上記実施の形態では、測定対象として血液を例示したが、尿についても測定対象とされ得る。すなわち、尿を検査する試料分析装置にも本発明を適用することができ、さらに、他の臨床検体を検査する臨床検体検査装置に本発明を適用することもできる。
【0159】
また、上記実施の形態では、図10に示すように、上部の開口にジグが嵌め込まれた容器本体を用いて、R1〜R3試薬ごとに下降調整量が測定されたが、これに限らず、キュベット設置部9aに設置されたジグを用いて下降調整量が測定されるようにしても良い。
【0160】
図18は、キュベット設置部9aに設置されたジグ140を用いて、下降調整量を取得する手順の変更例を説明する図である。
【0161】
この場合、前回の測定機構部2のR1試薬の下降調整量は、図18(a)に示す如くMa’であり、今回の測定機構部2のR1試薬の下降調整量は、図18(b)に示す如く、Mb’である。ここで、下降調整量の差分は(Mb’−Ma’)は、ピペット6aの高さの誤差をΔP、キュベット設置部9aの底面高さの誤差をΔB’とすると、以下の式により算出される。
【0162】
Mb’−Ma’=ΔP+ΔB’ … (4)
【0163】
ここで、キュベット設置部9aの底面高さの誤差ΔB’が、図10の容器本体の底面高さの誤差ΔBと略等しいと考えることができる。よって、上記式(2)、(4)から、相当下降量(Zb)は、以下の式により表すことができる。
【0164】
Zb=Za+(Mb’−Ma’) … (5)
【0165】
上記式(5)に示されるように、前回下降量(Za)に下降調整量の差分(Mb’−Ma’)が加算されると、図11(b)に示した相当下降量(Zb)を取得することができる。なお、R2試薬容器120とR3試薬容器120についても、同様に、前回下降量にそれぞれの試薬に関する下降調整量の差分が加算されると、相当下降量を取得することができる。
【0166】
また、上記実施の形態では、装置ごとの下降調整量は、測定機構部2のバッテリーバックアップRAM204に記憶されたが、これに限らず、制御装置4に設置されたバッテリーバックアップRAMや、制御装置4のハードディスク404や、測定機構部2と通信ネットワークを介して接続されたホストコンピュータに記憶されても良い。
【0167】
また、上記実施の形態では、試薬管理情報が非接触型ICタグ(RFIDタグ)に記憶され、電波を介した無線通信によって情報が読み書きされている。しかし、これに限らず、試薬管理情報が接触型ICタグに記憶され、リーダ/ライタ端子を介した有線通信によって情報が読み書きされてもよい。
【0168】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0169】
1 … 試料分析装置
3 … 検体搬送部(搬送部)
5 … 検体分注アーム(検体分注部)
6 … R1試薬分注アーム(試薬分注部)
7 … R2試薬分注アーム(試薬分注部)
8 … R3試薬分注アーム(試薬分注部)
6a、7a、8a… ピペット(吸引管)
6e、7e、8e… 液面センサ(センサ)
104、114 … RFIDタグ(記憶媒体)
130、140 … ジグ(基準位置部材)
162 … 内側テーブル(試薬容器保持部)
163 … 外側テーブル(試薬容器保持部)
162b、163b … アンテナ(書込み/読出し部、無線通信部)
201 … CPU(制御部)
204 … バッテリーバックアップRAM(記憶部)
420 … 表示部(出力部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体に試薬を混和することで調製される試料を測定する試料分析装置であって、
試薬の吸引時に試薬容器内に下降される吸引管と、前記吸引管に配され液面を検知するためのセンサと、を備える試薬分注部と、
前記試薬容器に配された記憶媒体に対して情報の書き込みおよび読み出しを行う書込み/読出し部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、前記センサにより前記試薬の液面が検知されたときの液面位置に関する情報を、前記書込み/読出し部を介して前記記憶媒体に書き込む、
ことを特徴とする試料分析装置。
【請求項2】
請求項1に記載の試料分析装置において、
前記制御部は、前記センサにより前記試薬の液面が検知されたときの液面位置が、前記書込み/読出し部を介して前記記憶媒体から読み出した前記液面位置に関する情報をもとに規定される液面位置よりも高い場合に、前記吸引管による前記試薬の吸引を中止するよう前記試薬分注部を制御する、
ことを特徴とする試料分析装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の試料分析装置において、
前記液面位置に関する情報は、前記試薬の吸引時に前記センサにより前記試薬の液面が検知されたときの前記吸引管の下降量を含む、
ことを特徴とする試料分析装置。
【請求項4】
請求項3に記載の試料分析装置において、
記憶部をさらに備え、
前記制御部は、前記吸引管を原点位置から所定の基準面に下降させたときの前記吸引管の前記下降量を基準下降量として取得し、取得した基準下降量を前記記憶部に記憶させる、
ことを特徴とする試料分析装置。
【請求項5】
請求項4に記載の試料分析装置において、
前記制御部は、前記吸引管の先端部が前記基準面を規定する基準位置部材に接触したことを前記センサにより検知することで前記基準下降量を取得する、
ことを特徴とする試料分析装置。
【請求項6】
請求項4または5に記載の試料分析装置において、
前記制御部は、前記基準下降量を、前記液面位置に関する情報として前記記憶媒体に書き込む、
ことを特徴とする試料分析装置。
【請求項7】
請求項6に記載の試料分析装置において、
前記制御部は、前記書込み/読出し部を介して前記記憶媒体から読み出した前記基準下降量と、前記記憶部に記憶された前記基準下降量とが異なっている場合、これら2つの基準下降量の差分に基づき前記記憶媒体から読み出した前記下降量を修正し、修正した下降量と前記記憶部に記憶された前記基準下降量を、前記液面に関する情報として、前記書込み/読出し部を介して前記記憶媒体に書き込む、
ことを特徴とする試料分析装置。
【請求項8】
請求項1ないし7の何れか一項に記載の試料分析装置において、
出力部をさらに備え、
前記制御部は、前記センサにより前記試薬の液面が検知されたときの液面位置が、前記書込み/読出し部を介して前記記憶媒体から読み出した前記液面位置に関する情報をもとに規定される液面位置よりも高い場合、液面位置が異常である旨を前記出力部に出力させる、
ことを特徴とする試料分析装置。
【請求項9】
請求項1ないし8の何れか一項に記載の試料分析装置において、
前記制御部は、前記試料分析装置の電源が投入されたときに、前記書込み/読出し部を介して、前記記憶媒体に記憶された前記液面位置に関する情報を読み出す、
ことを特徴とする試料分析装置。
【請求項10】
請求項1ないし9の何れか一項に記載の試料分析装置において、
前記書込み/読出し部は、前記記憶媒体と電波を介して無線通信可能な無線通信部を備え、
前記制御部は、前記無線通信部を介して、前記記憶媒体に対し情報を読み書きする、
ことを特徴とする試料分析装置。
【請求項11】
検体に試薬を混和することで調製される試料を測定する試料分析装置であって、
試薬の吸引時に試薬容器内に下降される吸引管と、前記吸引管に配され液面を検知するためのセンサと、を備える試薬分注部と、
制御部と、を備え、
前記試薬容器は、前記センサにより前記試薬の液面が検知されたときの液面位置に関する情報を記憶可能な記憶媒体を備えており、
前記制御部は、前記記憶媒体に記憶された前記液面位置に関する情報に基づき前記試薬分注部を制御する、
ことを特徴とする試料分析装置。
【請求項12】
請求項11に記載の試料分析装置において、
前記液面位置に関する情報は吸引管の下降量を含み、
前記制御部は、前記吸引管の下降量に基づき前記試薬分注部を制御する、
ことを特徴とする試料分析装置。
【請求項13】
請求項12に記載の試料分析装置において、
吸引管を原点位置から所定の基準面に下降させたときの下降量を基準下降量として記憶する記憶部をさらに備え、
前記液面位置に関する情報は、基準下降量をさらに含み、
前記制御部は、前記記憶媒体に記憶された前記吸引管の下降量および基準下降量と、前記記憶部に記憶された基準下降量と、に基づき前記試薬分注部を制御する、
ことを特徴とする試料分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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