説明

試料分析装置

【課題】測定動作が停止している間に可動部が動かされたような場合にも、不具合なく測定動作を開始させることが可能な試料分析装置を提供する。
【解決手段】試料分析装置は、測定装置2を備える。測定装置2は、第1試薬テーブル11等を移動させて試料に対する測定を行う。ユーザからの中断指令等により測定動作が停止されると、第1試薬テーブル11等の駆動が停止される。測定動作が停止されている間、第1試薬テーブル11等が移動したかがが判定される。測定動作開始時には、この判定結果に基づいて、前記測定動作を開始するための準備動作が制御される。たとえば、停止中にユーザの手指等が接触して第1試薬テーブル11が移動すると、第1試薬テーブル11が原点位置に移動された後、測定動作が再開される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液等の検体に対して測定・分析等の処理を行う試料分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、試薬を用いて血液や尿等の検体を分析する自動分析装置が知られている。かかる自動分析装置では、検体と試薬とを混和して調製された測定試料が、測定部によって測定され、その測定結果をもとに、検体の成分等が分析される。試薬は、試薬容器に収容され、ピペット等によって吸引・分注される。試薬容器に収容された試薬が少なくなると、ユーザにより試薬容器が交換される。
【0003】
以下の特許文献1には、試薬容器の交換を円滑に行うための自動分析装置が示されている。この自動分析装置は、試薬容器が載置される複数の試薬ディスクと、各試薬ディスクに載置された試薬容器から試薬を吸引する試薬プローブなどを備えている。この自動分析装置は、測定動作の実行中に試薬交換の指示を受け付けると、試薬容器を交換すべき試薬ディスクを停止させる。その後、ユーザによる試薬容器の交換作業が完了すると、自動分析装置は、停止させた試薬ディスクを再度作動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−122417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の自動分析装置では、試薬交換の作業中に、ユーザの手指等と試薬ディスクや試薬プローブ等の可動部とが接触する惧れがある。そして、この接触により、試薬ディスクや試薬プローブ等が動かされると、中断解除後の測定動作に不具合が生じる惧れがある。
【0006】
本発明は、かかる事情に鑑みて為されたものであり、測定動作が停止している間に、測定動作を行うための可動部が動かされたような場合にも、不具合なく測定動作を開始させることが可能な試料分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の主たる態様に係る試料分析装置は、可動部を移動させることにより試料の測定を行う測定部と、前記測定部による測定動作が停止されている間に前記可動部が移動したかを判定する判定手段と、前記判定手段による判定結果に基づいて、前記測定動作を開始するための準備動作を制御する制御手段とを備える。
【0008】
本態様に係る試料分析装置によれば、測定動作が停止されている間に可動部が移動したかに基づいて、測定動作の開始のための準備動作が制御されるため、測定部の測定動作が停止している間に可動部が動かされたような場合にも、不具合なく、測定動作を開始させることができる。
【0009】
本態様に係る試料分析装置において、前記判定手段は、前記測定動作が停止された時点の前記可動部の位置に関する停止位置情報と、前記測定動作の停止期間中における前記可動部の位置に関する待機位置情報とに基づいて、前記可動部が移動したかを判定するよう構成され得る。
【0010】
あるいは、前記判定手段は、前記測定動作が停止された時点の前記可動部の位置に関する停止位置情報と、前記測定動作が開始されるときの前記可動部の位置に関する開始位置情報とに基づいて、前記可動部が移動したかを判定するよう構成することもできる。
【0011】
本態様に係る試料分析装置が、前記測定部の前記測定動作を中断させる中断手段をさらに備える場合、前記判定手段は、前記中断手段により前記測定動作が中断されてから再開されるまでの間に前記判定を行うよう構成され得る。ここで、前記中断手段は、前記測定部の前記測定動作の中断指示が受付手段によって受け付けられた場合に、前記測定部の前記測定動作を中断させるよう構成され得る。こうすると、測定動作の中断中に、可動部が動かされた場合にも、中断解除時に、不具合なく、測定動作を再開させることができる。
【0012】
なお、本態様において、測定動作の「停止」とは、測定動作の「中断」を含む概念である。すなわち、測定動作の「停止」は、測定動作の途中で強制的に測定動作が「中断」される場合の他、電源投入後、測定が開始されるまでの期間や、測定動作の終了後、次に測定動作が開始されるまでの期間など、測定部の測定動作が停止された状態にある場合を広く含むものである。
【0013】
本態様に係る試料分析装置において、前記準備動作は、前記可動部を原点位置へ復帰させる動作を含み、前記測定部は、前記原点位置から前記可動部を移動させることにより、前記測定動作を開始するよう構成され得る。こうすると、測定動作の停止中に可動部が動かされたような場合にも、より確実な原点位置へ可動部が復帰するため、測定動作の開始に向けた準備動作を、良好に行うことができる。また、原点位置から測定動作が開始されるので、より簡易な制御で、不具合なく、測定動作を開始させることができる。
【0014】
この場合、前記制御手段は、前記判定手段により前記可動部が移動していないと判断された場合、前記原点位置に向かう第1の数の工程からなる動作によって前記可動部を前記原点位置へ復帰させ、前記判定手段により前記可動部が移動したと判断された場合、前記原点位置に向かう前記第1の数よりも多い第2の数の工程からなる動作によって前記可動部を前記原点位置へ復帰させるよう構成され得る。
【0015】
本態様に係る試料分析装置において、前記可動部は、試薬が収容された試薬容器を保持する容器保持部を含み、前記測定部は、前記容器保持部を駆動するための容器駆動部を含むよう構成され得る。こうすると、試薬容器の交換作業時にユーザの手指等と接触しやすい容器保持部について、測定開始に向けた準備動作が行われるため、測定開始時における不具合をより効果的に回避することができる。
【0016】
本態様に係る試料分析装置において、前記可動部は、試薬容器内の試薬を分注するための試薬分注ピペット、または、試料容器内の試料を分注するための試料分注ピペットを含み、前記測定部は、前記試薬分注ピペットを駆動するための試薬ピペット駆動部、または、前記試料分注ピペットを駆動するための試料ピペット駆動部を含む構成とされる。こうすると、試薬容器の交換作業時にユーザの手指等と接触しやすい試薬分注ピペット、または、試料分注ピペットについて、測定開始に向けた準備動作が行われるため、測定開始時における不具合をより効果的に回避することができる。
【0017】
本態様に係る試料分析装置において、前記可動部は、試薬が収容された複数の試薬容器を保持する容器保持部を含み、前記容器保持部における前記試薬の配置を識別する配置識別部をさらに備える構成とされ得る。この場合、前記準備動作は、前記配置識別部による前記配置の識別動作を含むものとされ得る。こうすると、測定動作の停止中に、ユーザの手指との接触等によって試薬容器の位置がずれ、試薬の配置が変化したような場合にも、試薬の配置を適正に識別することができる。このため、測定動作を円滑に開始することができる。
【0018】
この構成において、前記制御手段は、前記判定手段により前記可動部が移動していないと判断された場合、前記配置識別部に、前記容器保持部の第1の領域における前記試薬の配置を識別させ、前記判定手段により前記可動部が移動したと判断された場合には、前記配置識別部に、前記第1の領域を含み前記第1の領域よりも広い第2の領域における前記試薬の配置を識別させる制御を行うよう構成され得る。こうすると、不要な識別動作を抑制しながら適正に、試薬の配置を識別することができる。
【発明の効果】
【0019】
以上のとおり、本発明によれば、測定動作が停止している間に、測定動作を行うための可動部が動かされたような場合にも、不具合なく測定動作を開始させることが可能な試料分析装置を提供することができる。
【0020】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施の形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施の形態により何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施形態に係る検体分析装置の構成を示す図である。
【図2】実施形態に係る測定装置の内部の概略構成を示す平面図である。
【図3】実施形態に係る容器ラックの構成を示す図である。
【図4】実施形態に係る試薬の交換または追加の手順を説明する図である。
【図5】実施形態に係る測定装置の回路構成を示す図である。
【図6】実施形態に係る情報処理装置の回路構成を示す図である。
【図7】実施形態に係る情報処理装置の表示部に表示される画面の例示図である。
【図8】実施形態に係る測定中断処理を示すフローチャートである。
【図9】実施形態に係る測定中断処理を示すフローチャートである。
【図10】実施形態に係る原点出し動作処理の処理内容を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本実施の形態は、血液に試薬を添加することで調製された測定試料に光を照射して、凝固法、合成基質法、免疫比濁法および凝集法を用いて、検体(血液)の光学的な測定および分析を行う検体分析装置に本発明を適用したものである。
【0023】
以下、本実施の形態に係る検体分析装置について、図面を参照して説明する。
【0024】
図1は、本実施の形態に係る検体分析装置1の構成を示す図である。検体分析装置1は、検体(血液)に含まれる成分を光学的に測定する測定装置2と、測定装置2による測定データを分析するとともに、測定装置2に操作指示を与える情報処理装置3とで構成されている。
【0025】
図2は、測定装置2の内部を上方向から見たときの概略構成を示す平面図である。測定装置2は、測定ユニット10と、検出ユニット40と、搬送ユニット50とによって構成されている。
【0026】
測定ユニット10は、第1試薬テーブル11と、第2試薬テーブル12と、第1容器ラック13と、第2容器ラック14と、キュベットテーブル15と、加温テーブル16と、テーブルカバー17と、第1検体分注ユニット21と、第2検体分注ユニット22と、第1試薬分注ユニット23と、第2試薬分注ユニット24と、第3試薬分注ユニット25と、第1キャッチャユニット26と、第2キャッチャユニット27と、第3キャッチャユニット28と、試薬バーコードリーダ31と、キュベット搬送器32と、希釈液搬送器33と、キュベット口34と、廃棄口35、36を備えている。
【0027】
第1試薬テーブル11と、第2試薬テーブル12と、キュベットテーブル15と、加温テーブル16は、円形状のテーブルであり、それぞれ、時計回りおよび反時計回りの両方向に、独立して回転駆動される。これらのテーブルの回転駆動は、それぞれ、下面裏側に配されたステッピングモータ311a、311b、313、314(図5参照)により行われる。
【0028】
第1試薬テーブル11と第2試薬テーブル12の上面には、図示の如く、それぞれ、5つの第1容器ラック13と5つの第2容器ラック14が着脱可能に配置されている。第1容器ラック13と第2容器ラック14には、試薬容器を保持するための保持部が形成されている。
【0029】
また、5つの第2容器ラック14が、第2試薬テーブル12に配置されると、第2容器ラック14が互いに隣接する隙間のうち、隙間12aが、図示の如く、他の隙間より大きい間隔を有することとなる。これにより、第2試薬テーブルの外側に位置する試薬バーコードリーダ31は、他の隙間よりも間隔が大きい隙間12aを介して、第2試薬テーブル12の内側に位置する第1試薬テーブル11に配置されている第1容器ラック13と、これに収容されている試薬容器のバーコード情報を読み取ることができる。
【0030】
ここで、図3に示す斜視図を参照して、第1容器ラック13と第2容器ラック14の構成と、これら容器ラックに貼付されたバーコード情報が取得される手順について説明する。
【0031】
図3(a)を参照して、第1容器ラック13は、円筒型の試薬容器200を保持するための2つの保持部131、132と、保持部131、132の前面側にそれぞれ設けられている切欠部131a、132aと、上方に突出するよう設けられている被把持部133とで構成されている。保持部131、132は、試薬容器200を保持することができるよう、収容可能部分が上から見て略円形状となっている。なお、第1容器ラック13は、保持部131、132の内径よりも小さい外形を有する容器を保持する場合、別途アダプタ等を介することにより、かかる容器を安定的に保持する。
【0032】
保持部131、132の外周面には、それぞれ、バーコードラベル131b、132bが貼付されている。保持部131、132の内周面にも、それぞれ、バーコードラベルが貼付されている。また、試薬容器200には、バーコードラベル200aが貼付されている。なお、同図では、保持部131、132の内周面に貼付されたバーコードのうち、バーコードラベル132cのみ図示されている。
【0033】
図3(b)を参照して、第2容器ラック14は、円筒型の試薬容器200を保持するための6つの保持部141〜146と、保持部141〜146の前面側にそれぞれ設けられている切欠部141a〜146aと、上方に突出するよう設けられている被把持部147とで構成されている。保持部141〜146は、試薬容器200を保持することができるよう、収容可能部分が上から見て略円形状となっている。なお、第2容器ラック14は、保持部141〜146の内径よりも小さい外形を有する容器を保持する場合、別途アダプタ等を介することにより、かかる容器を安定的に保持する。
【0034】
保持部141〜146の外周面には、それぞれ、バーコードラベル141b〜146bが貼付されている。保持部141〜146の内周面にも、それぞれ、バーコードラベルが貼付されている。また、試薬容器200には、バーコードラベル200aが貼付されている。なお、同図では、保持部141〜146の内周面に貼付されたバーコードラベルのうち、バーコードラベル142c、143cのみ図示されている。
【0035】
次に、第1容器ラック13と、第2容器ラック14と、試薬容器200に貼付されたバーコードラベルが読み取られる手順について説明する。なお、試薬バーコードリーダ31は、同図(a)、(b)の前方からバーコードラベルを読み取る。
【0036】
まず、第1試薬テーブルと第2試薬テーブルが、所定の方向と速度で回転させられ、バーコードリーダ31により、所定の保持部の外周面に貼付されたバーコードラベルが読み取られる。これにより、かかる保持部が、どの容器ラックのどの保持部であるかが認識される。
【0037】
続いて、かかる保持部の切欠部に位置するバーコードが読み取られる。このとき、試薬容器200が収容されている場合、試薬容器200に貼付されたバーコードラベルが読み取られ、試薬容器200が収容されていない場合、保持部の内周面に貼付されたバーコードラベルが読み取られる。こうして、保持部に試薬容器200が保持されているか否かが識別される。さらに、保持部に試薬容器200が保持されている場合には、バーコードラベル200aから読み取られるバーコード情報により、試薬容器200に収容されている試薬の種別が識別される。
【0038】
図2に戻って、キュベットテーブル15と加温テーブル16には、図示の如く、それぞれ、円周に沿って複数のキュベット保持孔15a、16aが形成されている。キュベット保持孔15a、16aにキュベットがセットされると、かかるキュベットは、それぞれ、キュベットテーブル15と加温テーブル16の回転に合わせて、円周位置を移動することとなる。また、加温テーブル16は、保持孔16aにセットされたキュベットを、所定の温度にて加温する。
【0039】
テーブルカバー17は、第1試薬テーブル11と、第2試薬テーブル12と、キュベットテーブル15の上面を覆うように設置されている。また、テーブルカバー17は、前半分のみ開けられるよう中央部分に折り曲げ機構を有している。また、テーブルカバー17には、複数の孔(図示せず)が設けられている。第1検体分注ユニット21と、第2検体分注ユニット22と、第1試薬分注ユニット23と、第2試薬分注ユニット24と、第3試薬分注ユニット25による分注は、これら複数の孔を介して行われる。
【0040】
第1検体分注ユニット21は、図示の如く、支持部21aと、アーム21bと、分注部21cとで構成されている。支持部21aは、下面裏側に配されたステッピングモータ312a(図5参照)により回転駆動される。また、支持部21aは、アーム21bを支持しており、アーム21bは、上記ステッピングモータ312aにより上下方向に駆動される。分注部21cは、アーム21bの先端に取り付けられており、ピペットを有する。かかるピペットを用いて検体が吸引され吐出される。
【0041】
支持部21aが回転駆動されると、分注部21cが支持部21aを中心とした円周上を移動する。分注部21cは、検体吸引位置において、真下位置にある検体を吸引し、検体吐出位置において、真下位置にあるキュベットに検体を吐出する。なお、第2検体分注ユニット22と、第1試薬分注ユニット23と、第2試薬分注ユニット24と、第3試薬分注ユニット25についても、第1検体分注ユニット21と同様の構成となっている。すなわち、第2検体分注ユニット22は支持部22aを備え、支持部22aは、下面裏側に配されたステッピングモータ312b(図5参照)により回転駆動される。また、第1試薬分注ユニット23、第2試薬分注ユニット24、第3試薬分注ユニット25は、それぞれ、支持部23a、支持部24a、支持部25aを備え、支持部23a、支持部24a、支持部25aは、それぞれ、下面裏側に配されたステッピングモータ312c、ステッピングモータ312d、ステッピングモータ312e(図5参照)により回転駆動される。
【0042】
第1キャッチャユニット26は、図示の如く、アーム26bを支持する支持部26aと、伸縮可能なアーム26bと、把持部26cとで構成されている。支持部26aは、下面裏側に配されたステッピングモータ315a(図5参照)により回転駆動される。把持部26cは、アーム26bの先端に取り付けられており、キュベットを把持することができる。なお、第2キャッチャユニット27についても、第1キャッチャユニット26と同様の構成となっており、ステッピングモータ315b(図5参照)により回転される。
【0043】
第3キャッチャユニット28は、図示の如く、アーム28bを支持する支持部28aと、伸縮可能なアーム28bと、アーム28bの先端に取り付けられた把持部28cとで構成されている。支持部28aは、左右方向に配されたレールに沿って駆動される。把持部28cは、キュベットを把持することができる。
【0044】
試薬バーコードリーダ31は、第1容器ラック13と第2容器ラック14に貼付されたバーコードラベルと、これらラックに収容された試薬容器200に貼付されたバーコードラベル200aを読み取る。なお、第1試薬テーブル11と第2試薬テーブル12は、それぞれ独立して回転可能であり、第1容器ラック13に貼付されたバーコードラベルと、第1容器ラック13に収容された試薬容器200に貼付されたバーコードラベル200aは、第2試薬テーブル12の隙間12aが、試薬バーコードリーダ31の正面に来たときに、隙間12aを介して読み取られる。
【0045】
キュベット搬送器32と希釈液搬送器33は、レール上を左右方向に駆動する。また、キュベット搬送器32と希釈液搬送器33には、それぞれ、キュベットおよび希釈液容器を保持するための孔が設けられている。
【0046】
キュベット口34には、常に新しいキュベットが供給される。新しいキュベットは、第1キャッチャユニット26と第2キャッチャユニット27により、キュベット搬送器32のキュベットを保持する孔とキュベットテーブル15のキュベット保持孔15aにセットされる。廃棄口35、36は、分析が終了し不要となったキュベットを廃棄するための孔である。
【0047】
検出ユニット40は、上面にキュベットを収容する10個の保持孔41が設けられており、下面裏側に検出部(図示せず)が配されている。保持孔41にキュベットがセットされると、検出部により、キュベット中の測定試料から光学的情報が検出される。
【0048】
搬送ユニット50は、搬送路51と検体バーコードリーダ52を備えている。搬送路51の底面は、右側に右槽領域、中央に連結領域、左側に左槽領域を有し、コの字型に形成されている。検体バーコードリーダ52は、連結領域を搬送される検体ラック60に収容された検体容器61に貼付されたバーコードラベルを読み取る。
【0049】
次に、検体の分析が行われる一連の動作について説明する。
【0050】
まず、複数の検体容器61を収容した検体ラック60が、搬送路51の右槽領域にセットされる。検体ラック60は、右槽領域において後方に移動された後、連結領域において左方向に移動される。このとき、検体容器51に貼付されたバーコードラベルが、検体バーコードリーダ52により読み取られる。続いて、検体ラック60が、連結領域の所定の場所に位置づけられる。連結領域にて検体の吸引が終了すると、検体ラック60は、連結領域において左方向に移動された後、左槽領域において前方に移動される。
【0051】
第1検体分注ユニット21は、搬送路51の連結領域の所定の検体吸引位置53に位置づけられた検体容器61の検体を吸引する。第1検体分注ユニット21によって吸引された検体は、キュベットテーブル15の前方位置にある検体吐出位置18に位置づけられたキュベット保持孔15aにセットされたキュベットに吐出される。
【0052】
第2検体分注ユニット22は、検体吸引位置19にあるキュベットに収容されている検体、または、搬送路51の連結領域の所定の検体吸引位置54に位置づけられた検体容器61の検体を吸引する。第2検体分注ユニット22よって吸引された検体は、キュベット搬送器32にセットされたキュベットに吐出される。なお、第2検体分注ユニット22は、希釈液搬送器33にセットされた希釈液を吸入することができる。この場合、検体分注ユニット22は、検体の吸引前に希釈液吸引位置37にて希釈液を吸引した後、検体吸引位置19または54にて検体を吸引する。
【0053】
キュベット搬送器32は、収容したキュベットに検体が吐出されると、所定のタイミングにて、レール上を右方向に駆動される。続いて、第1キャッチャユニット26により、キュベット搬送器32にセットされた検体を収容しているキュベットが把持され、加温テーブル16のキュベット保持孔16aにセットされる。
【0054】
続いて、第2キャッチャユニット27は、保持孔16aにセットされた検体を収容しているキュベットを把持し、試薬吐出位置38まで移動させる。ここで、第1試薬分注ユニット23は、第1試薬テーブル11または第2試薬テーブル12に配置されている所定の試薬容器200内の試薬(第1試薬)を吸引し、試薬吐出位置38にて試薬を吐出する。こうして、試薬が吐出されると、第2キャッチャユニット27は、かかるキュベットを攪拌した上で、再び加温テーブルのキュベット保持孔16aにセットする。
【0055】
加温テーブル16のキュベット保持孔16aに保持されているキュベットは、次に、第3キャッチャユニット28により把持され、試薬吐出位置39aまたは39bに位置づけられる。ここで、第2試薬分注ユニット24と第3試薬分注ユニット25は、第1試薬テーブル11または第2試薬テーブル12に配置されている所定の試薬容器200内の試薬(第2試薬)を吸引し、それぞれ、試薬吐出位置39a、39bにて試薬を吐出する。こうして、試薬が吐出されると、第3キャッチャユニット28は、試薬が吐出されたキュベットを検出ユニット40の保持孔41にセットする。しかる後、検出ユニット40においてキュベットに収容された測定試料から光学的情報が検出される。
【0056】
なお、ここでは、第1試薬分注ユニット23による試薬(第1試薬)の混和と、第2試薬分注ユニット24および第3試薬分注ユニット25による試薬(第2試薬)の混和の両方が行われたが、分析内容によっては、第1試薬の混和が行われない場合がある。この場合、上記第1試薬の混和ステップがスキップされ、第2試薬の混和のみが行われた後、光学的情報の検出が行われる。
【0057】
検出ユニット40による検出が終了し不要となったキュベットは、第3キャッチャユニット28によって、把持されたまま、廃棄口35の真上まで移動させられ、廃棄口35に廃棄される。また、キュベットテーブル15のキュベット保持孔15aに保持されているキュベットについても、分析が終了し不要となると、キュベットテーブル15が回転され、第2キャッチャユニット27に近い場所に位置づけられる。第2キャッチャユニット27は、キュベット保持孔15aに保持されている不要となったキュベットを把持し、廃棄口36に廃棄する。
【0058】
図4は、試薬の交換または追加が行われる場合の手順を説明する図である。同図(a)は、通常の使用状態を示す図であり、同図(b)は、試薬の交換または追加が行われる状態を示す図である。
【0059】
同図(a)を参照して、通常の使用状態では、テーブルカバー17は、図示の如く、第1試薬テーブル11と、第2試薬テーブル12(以下、「試薬テーブル群」という)と、キュベットテーブル15の上面を覆っている。このとき、第1検体分注ユニット21と、第2検体分注ユニット22と、第1試薬分注ユニット23と、第2試薬分注ユニット24と、第3試薬分注ユニット25(以下、「分注ユニット群」という)は、テーブルカバー17に設けられた複数の孔を介して分注を行っている。
【0060】
同図(b)を参照して、試薬の交換または追加が行われる際には、分注ユニット群が、同図(a)で示したテーブルカバー17の覆っている領域に掛からない位置(以下、「退避位置」という)まで退避させられる。しかる後、テーブルカバー17が中央部分で折り曲げられる。これにより、図示の如く、試薬テーブル群とキュベットテーブル15の上半分領域のみがテーブルカバー17によって覆われた状態となる(点線の部分がテーブルカバー17によって覆われている領域を示し、一点鎖線の部分がテーブルカバー17によって覆われていない領域を示す)。このとき、テーブルカバー17によって覆われていない領域(以下、「交換位置」という)が生じるため、ユーザは、かかる交換位置を介して試薬の交換または追加を行うことができる。すなわち、ユーザは、交換位置を介して第1試薬ラック13と第2試薬ラック14を取り出し、試薬の交換または追加を行った後、再び試薬ラックを試薬テーブルにセットする。あるいは、ユーザは、試薬ラックに配置された試薬容器200に対して、直接試薬の交換または追加を行う。
【0061】
図5は、測定装置2の回路構成を示す図である。
【0062】
測定装置2は、制御部300と、試薬バーコードリーダ31と、検体バーコードリーダ52と、試薬テーブルステッピングモータ部311と、分注ユニットステッピングモータ部312と、キュベットテーブルステッピングモータ313と、加温テーブルステッピングモータ314と、キャッチャユニットステッピングモータ部315と、試薬テーブルロータリーエンコーダ部321と、分注ユニットロータリーエンコーダ部322と、試薬テーブル原点センサ部331と、分注ユニット原点センサ部332から構成されている。制御部300は、CPU301と、ROM302と、RAM303と、ハードディスク304と、通信インターフェース305と、I/Oインターフェース306を有する。
【0063】
CPU301は、ROM302に記憶されているコンピュータプログラムおよびRAM303にロードされたコンピュータプログラムを実行する。RAM303は、ROM302およびハードディスク304に記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、RAM303は、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU301の作業領域としても利用される。ハードディスク304には、オペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムなど、CPU301に実行させるための種々のコンピュータプログラムおよびコンピュータプログラムの実行に用いるデータがインストールされている。また、通信インターフェース305により、情報処理装置3に対してデータの送受信が可能となる。
【0064】
また、CPU301は、I/Oインターフェースを介して、試薬バーコードリーダ31と、検体バーコードリーダ52と、試薬テーブルステッピングモータ部311と、分注ユニットステッピングモータ部312と、試薬テーブルロータリーエンコーダ部321と、分注ユニットロータリーエンコーダ部322と、試薬テーブル原点センサ部331と、分注ユニット原点センサ部332を制御する。
【0065】
試薬テーブルステッピングモータ部311は、第1試薬テーブル11を回転駆動させるステッピングモータ311aと、第1試薬テーブル11とは独立して第2試薬テーブル12を回転駆動させるステッピングモータ311bとで構成されている。分注ユニットステッピングモータ部312は、第1検体分注ユニット21の支持部21a、第2検体分注ユニット22の支持部22a、第1試薬分注ユニット23の支持部23a、第2試薬分注ユニット24の支持部24a、第3試薬分注ユニット25の支持部25aをそれぞれ独立して回転駆動させるステッピングモータ312a、312b、312c、312d、312eで構成されている。キャッチャユニットステッピングモータ部315は、第1キャッチャユニット26の支持部26aを回転駆動させるステッピングモータ315aと、第2キャッチャユニット27を回転させるステッピングモータ315bとで構成されている。
【0066】
試薬テーブルロータリーエンコーダ部321は、第1試薬テーブル11のステッピングモータ311aに配されたロータリーエンコーダ321aと、第2試薬テーブル12のステッピングモータ311bに配されたロータリーエンコーダ321bとで構成されている。分注ユニットロータリーエンコーダ部322は、第1検体分注ユニット21、第2検体分注ユニット22、第1試薬分注ユニット23、第2試薬分注ユニット24、第3試薬分注ユニット25のそれぞれのステッピングモータ312a、312b、312c、312d、312eに配されたロータリーエンコーダ322a、322b、322c、322d、322eで構成されている。なお、ここでは、インクリメンタル方式のロータリーエンコーダが用いられている。このロータリーエンコーダは、ステッピングモータの回転変位量に応じたパルス信号を出力するように構成されており、ロータリーエンコーダから出力されたパルス数をカウントすることで、ステッピングモータの回転量を検出することができる。
【0067】
試薬テーブル原点センサ部331は、第1試薬テーブル11のステッピングモータ311aおよび第2試薬テーブル12のステッピングモータ311bのそれぞれの回転位置が原点位置にあることを検出する原点センサ331a、331bで構成されている。分注ユニット原点センサ部332は、第1検体分注ユニット21、第2検体分注ユニット22、第1試薬分注ユニット23、第2試薬分注ユニット24、第3試薬分注ユニット25のそれぞれのステッピングモータ312a、312b、312c、312d、312eの回転位置が原点位置にあることを検出する原点センサ332a、332b、332c、332d、332eで構成されている。
【0068】
図6は、情報処理装置3の回路構成を示す図である。
【0069】
情報処理装置3は、パーソナルコンピュータからなっており、本体400と、入力部408と、表示部409から構成されている。本体400は、CPU401と、ROM402と、RAM403と、ハードディスク404と、読み出し装置405と、入出力インターフェース406と、画像出力インターフェース407と、通信インターフェース410を有する。
【0070】
CPU401は、ROM402に記憶されているコンピュータプログラムおよびRAM402にロードされたコンピュータプログラムを実行する。RAM403は、ROM402およびハードディスク404に記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、RAM403は、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU401の作業領域としても利用される。
【0071】
ハードディスク404には、オペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムなど、CPU401に実行させるための種々のコンピュータプログラムおよびコンピュータプログラムの実行に用いるデータがインストールされている。すなわち、ハードディスク404には、測定装置2の試薬状態を受信し、試薬の残量などをメッセージとして表示部409上に表示等を行う表示プログラムや、試薬の交換または追加の操作指示に従って測定装置2を操作するための操作プログラムがインストールされている。
【0072】
読出装置405は、CDドライブまたはDVDドライブ等によって構成されており、記録媒体に記録されたコンピュータプログラムおよびデータを読み出すことができる。入出力インターフェース406には、マウスやキーボードからなる入力部408が接続されており、ユーザが入力部408を使用することにより、情報処理装置3にデータが入力される。画像出力インターフェース407は、ディスプレイ等で構成された表示部409に接続されており、画像データに応じた映像信号を、表示部409に出力する。表示部409は、入力された映像信号をもとに、画像を表示する。また、通信インターフェース410により、測定装置2に対してデータの送受信が可能となる。
【0073】
図7は、情報処理装置3の表示部409に表示される画面の例示図である。情報処理装置3の表示部409に表示される画面は、配置表示領域510と、詳細情報表示領域520と、操作指示表示領域530と、操作決定表示領域540を有している。
【0074】
配置表示領域510は、第1試薬テーブル11と第2試薬テーブル12に配置されている第1容器ラック13と第2容器ラック14の位置と、試薬容器200の配置状態を表示する。
【0075】
配置表示領域510には、第1試薬テーブル11に対する試薬の配置状況に対応して表示される最大10個の第1試薬マーク511と、第2試薬テーブル12に対する試薬の配置状況に対応して表示される最大30個の第2試薬マーク512が表示される。第1試薬マーク511は、位置を表示する位置表示部511aと、試薬の名称を表示する名称表示部511bを含んでいる。同様に、第2試薬マーク512は、位置を表示する位置表示部512aと、試薬の名称を表示する名称表示部512bを含んでいる。
【0076】
第1試薬マーク511と第2試薬マーク512の位置表示部511a、512aに表示される試薬の位置情報は、第1容器ラック13と第2容器ラック14に貼付されているバーコードラベルを試薬バーコードリーダ31が読み取ることにより表示される。また、名称表示部511b、512bに表示される試薬の名称は、試薬を収容した試薬容器200に貼付されているバーコードラベル200aを試薬バーコードリーダ31が読み取ることにより表示される。すなわち、バーコードラベル200aに含まれるバーコード情報に基づいて、ハードディスク404に格納されている試薬マスタ等が参照されることにより、名称表示部511b、512bに試薬の名称が表示される。
【0077】
第1試薬マーク511は、第1試薬テーブル11に配置されている5個の第1容器ラック13に対応した第1ラックマーク513によって分割されて表示されている。第2試薬マーク512は、第2試薬テーブル12に配置されている5個の第2容器ラック14に対応した第2ラックマーク514によって分割されて表示されている。これにより、所定の試薬が、どの試薬テーブルに配置されているか、どの容器ラックに配置されているか、どの位置に配置されているかが、目視により確認され得る。
【0078】
また、第1試薬テーブル11と第2試薬テーブル12に、容器ラックが配置されていない場合には、内側に何も表示されていない円形のラック未配置マーク515が表示される。さらに、第1試薬テーブル11と第2試薬テーブル12に、容器ラックが配置されているが、試薬の入った試薬容器200が配置されていない位置に相当する領域には、試薬未配置マーク516が表示される。試薬未配置マーク516は、位置情報を表示する位置表示部516aを有している。
【0079】
詳細情報表示領域520は、第1試薬マーク511または第2試薬マーク512が選択されると、選択された選択マーク位置に保持されている試薬容器200の内容物に関する詳細情報を表示する。
【0080】
操作指示表示領域530は、複数の指示種別531を有している。操作決定表示領域540は、操作開始ボタン541と操作停止ボタン542を有している。ユーザにより、指示種別531が選択された後、操作開始ボタン541が押下されると、指示種別531で選択された操作が実行される。また、ユーザにより操作停止ボタン542が押下されると、実行中の操作が中止される。なお、操作開始ボタン541は、実行可能である場合に有効表示されており、実行不可能である場合に操作開始ボタン541が押下されると、実行不可能である旨がユーザに通知されるよう画面上にメッセージが表示される。
【0081】
図8および図9は、本実施の形態に係る測定中断処理の処理フローを示す図である。なお、以下の測定中断処理は、ユーザにより情報処理装置3を介して試薬の交換または追加の指示が行われる場合や、測定動作中に操作停止ボタン542が押下された場合、あるいは、測定装置2により試薬がなくなったことが認識される場合に実行される。すなわち、図8のS101では、測定動作の中断が、ユーザから試薬の交換・追加の指示が入力されたか否かにより判定されているが、この他、操作停止ボタン542が押下された場合や、測定装置2によって試薬がなくなったことが認識された場合にもS102以降の測定中断処理が実行される。かかる測定中断処理は、制御部300による制御のもとで行われる。
【0082】
測定動作中に、図7で示した操作指示表示領域530内の“試薬交換・追加”の指示種別531が選択され操作開始ボタン541が押下されることにより、試薬の交換または追加が指示されると(S101:YES)、S102に進む。かかる指示がされないと(S101:NO)、処理フローは終了する。なお、かかる指示がされると、検体分注ユニット21と検体分注ユニット22による新たな検体の吸引が中止される。
【0083】
検体分注ユニット21と検体分注ユニット22による新たな検体の吸引が中止された後、検体分注済みのキュベットへの試薬添加が完了していれば(S102:YES)、S103に進む。検体分注済みのキュベットへの試薬添加が完了していないとき(S102:NO)、かかる試薬添加が完了するまで処理フローが待機される。なお、検体分注済みのキュベットへの試薬添加が完了すると、試薬テーブル群および分注ユニット群が、駆動される必要がなくなる。
【0084】
S103では、試薬テーブル群のステッピングモータ311a、311b(図5参照)に対して、それぞれパルス信号が供給され、試薬の交換または追加が指示された試薬容器が、図4(b)で示した交換位置内に位置づけられるよう、試薬テーブル群が回転駆動される。なお、試薬容器に対して交換または追加の指定がなされずに、試薬の交換または追加が指示された場合、試薬テーブル群のステッピングモータに対してパルス信号は供給されない。また、試薬容器の試薬がなくなったことが測定装置2により認識された場合、かかる試薬容器が交換位置内に位置づけられるよう、試薬テーブル群が回転駆動される。
【0085】
S104では、S103において試薬テーブル群が回転駆動され、交換位置に位置づけられるまでに、試薬テーブル群のステッピングモータ311a、311bに対してパルスが供給される。このとき供給されたパルスの数をもとに、原点位置からの回転位置に対応するパルス数のカウント値が更新される。かかるカウント値は、測定装置2のRAM303に随時更新記憶される。こうすると、交換位置に移動された後の試薬テーブル群の回転位置が、RAM303に記憶されたカウント値から識別可能となる。
【0086】
試薬テーブル群が回転駆動され、試薬の交換または追加が指定された試薬容器が交換位置に移動されると(S105:YES)、S106に進む。かかる試薬容器が交換位置に移動されていないと(S105:NO)、S109に進む。なお、試薬容器が交換位置に移動したかは、たとえば、上述の原点位置からのパルス数のカウント値が交換位置に対応する値になったかで判定される。
【0087】
S106では、分注ユニット群に対して、それぞれパルス信号が供給され、分注ユニット群が、図4(b)で示した退避位置に移動される。
【0088】
S107では、S106において分注ユニット群が退避位置に移動されるときに、分注ユニット群のステッピングモータ312a〜312e(図5参照)に対して供給されたパルスの数がカウントされ、このパルス数をもとに、原点位置からの回転位置に対応するパルス数のカウント値が更新される。かかるカウント値は、測定装置2のRAM303に随時更新記憶される。こうすると、退避位置に移動された後の分注ユニット群の回転位置が、RAM303に記憶されたカウント値から識別可能となる。
【0089】
分注ユニット群が退避位置に移動されると(S108:YES)、S111に進む。分注ユニット群が退避位置に移動していないと(S108:NO)、S109に進む。なお、分注ユニット群が退避位置に移動したかは、たとえば、上述の原点位置からのパルス数のカウント値が交換位置に対応する値になったかで判定される。
【0090】
S109では、試薬テーブル群への交換位置への移動または分注ユニット群の退避位置への移動がエラー状態であるとして、情報処理装置3の表示部409にエラーメッセージが出力される。S110では、再度測定中断処理の処理フローが開始され得るよう、エラー復帰処理が行われ、処理フローが終了する。
【0091】
こうして、試薬テーブル群が交換位置へ移動され、分注ユニット群が退避位置へ移動されると、S111にて、本体カバーのロックが解除され、S112にて、本体のインジケータが点灯される。これにより、ユーザは、測定装置2の本体カバーを開けて、試薬の交換または追加を行うことができることが分かる。しかる後、ユーザは、測定装置2の本体カバーを開け、テーブルカバー17を開け、試薬の交換または追加を行う。
【0092】
ユーザによる試薬の交換または追加が完了し、テーブルカバー17が閉じられると(S113:YES)、S114に進む。テーブルカバー17が閉じられていないと(S113:NO)、テーブルカバー17が閉じられるまで処理フローが待機される。
【0093】
その後、テーブルカバー17が閉じられると(S113:YES)、次に、ユーザにより情報処理装置3を介して、バーコードラベルの読み取り指示が入力されたかが判定される(S114)。バーコードラベルの読み取り指示が入力されると(S114:YES)、S115に進み、バーコードラベルの読み取り指示が入力されないと(S114:NO)、バーコードラベルの読み取り指示が入力されるまで処理フローが待機される。
【0094】
ここで、本体のインジケータが点灯(S112)されてから、S115までの間(以下、「監視区間」という)、並行して、以下の処理が行われる。この処理は、100ミリ秒に1回の間隔で繰り返し行われる。
【0095】
図9(b)は、監視区間で行われる処理の処理フローを示す図である。
【0096】
S201では、測定装置2のRAM303に記憶されたフラグの値が0に設定される。S202では、試薬テーブル群のロータリーエンコーダ部321から出力されたパルス数のカウント値が取得される。S203では、S104で記憶されたカウント値、すなわち、試薬テーブル群のステッピングモータ311a、311bへの供給パルス数のカウント値が読み出される。
【0097】
S202において取得された試薬テーブル群のロータリーエンコーダ部321から出力されたパルス数のカウント値に基づく回転位置と、S104で記憶された試薬テーブル群のステッピングモータ311a、311bへの供給パルス数のカウント値に基づく回転位置が比較され、試薬テーブル群の回転位置が交換位置から変化したかが判定される(S204)。ここで、少なくとも1つの試薬テーブルの回転位置が交換位置から変化していると(S204:YES)、S205に進む。すなわち、試薬の交換または追加が可能となってから、試薬テーブル群が動かされたと判断された場合には、S205に進むことになる。S205では、フラグに1がセットされ、処理フローが終了する。また、何れの試薬テーブルの回転位置も交換位置から変化していないと(S204:NO)、フラグを1に変更せずに、処理フローが終了する。
【0098】
監視区間においては、このような処理が100ミリ秒に1回という短い間隔で繰り返し行われる。各回の処理がなされている間に、ユーザの手指等が接触して試薬テーブル群の位置が動かされると、対応する回の処理において、フラグの値が1となる。監視区間に亘って試薬テーブル群の位置がまったく動かされていなければ、フラグの値は0のままである。
【0099】
図8に戻り、S114においてYESと判定されると、次に、S115で、フラグの値が1であるかが判定される。フラグの値が1であると(S115:YES)、S116に進み、フラグの値が1でないと(S115:NO)、S118に進む。
【0100】
S116では、第2原点出し動作処理が行われ、試薬テーブル群の原点位置合わせが行われる。これにより、試薬テーブル群の回転位置が適正化される。なお、第2原点出し動作処理については、追って図10を参照して説明する。また、かかる原点出し動作は、回転位置が交換位置から変化した試薬テーブルのみに対して行っても良いし、全ての試薬テーブルに対して一律に行っても良い。
【0101】
S117では、試薬テーブル群に配置されている全ての試薬ラックと試薬容器200のバーコードラベルが読み取られる。また、S118では、交換位置にある全ての試薬ラックと試薬容器200のバーコードラベルが読み取られる。
【0102】
図9(a)は、図8で示したS117とS118の続きの処理フローを示す図である。
【0103】
ユーザにより情報処理装置3を介して測定再開の指示が入力されると(S119:YES)、S120に進む。測定再開の指示がされないと(S119:NO)、指示がされるまで処理フローが待機される。
【0104】
S120では、本体カバーがロックされる。S121では、分注ユニット群のロータリーエンコーダ部322から出力されたパルス数のカウント値が取得される。S122では、S107で記憶されたカウント値、すなわち、分注ユニット群のステッピングモータ312a〜312eへの供給パルス数のカウント値が読み出される。
【0105】
S121において取得された分注ユニット群のロータリーエンコーダ部322から出力されたパルス数のカウント値に基づく回転位置と、S107で記憶された分注ユニット群のステッピングモータ312a〜312eへの供給パルス数のカウント値に基づく回転位置が比較され、分注ユニット群の回転位置が退避位置から変化したかが判定される(S123)。ここで、少なくとも一つの分注ユニットの回転位置が退避位置から変化していると(S123:YES)、S124に進む。すなわち、試薬の交換または追加が可能となってから、分注ユニット群が動かされたと判断された場合、S124に進むことになる。また、何れの分注ユニットの回転位置も退避位置から変化していないと(S123:NO)、S125に進む。
【0106】
S124では、第2原点出し動作処理が行われ、分注ユニット群の原点位置合わせが行われる。これにより、分注ユニット群の回転位置が適正化される。また、S125では、第1原点出し動作処理が行われ、分注ユニット群の原点位置合わせが行われる。これにより、分注ユニット群の回転位置が適正化される。第1原点出し動作処理では、第2原点出し動作処理に比べ、原点位置合わせが簡略に行われる。
【0107】
すなわち、試薬の交換または追加が行われる際に、ユーザが分注ユニット群に触れ、分注ユニット群の回転位置が変化した場合、より精度の高い第2原点出し動作処理が行われる。一方、分注ユニット群の回転位置が変化していない場合、分注ユニット群の回転位置は適正に認識されたままであるため、短時間で原点位置合わせが可能である第1原点出し動作処理が行われる。なお、第1原点出し動作処理については、追って図10を参照して説明する。
【0108】
S126では、測定動作が再開され、処理フローが終了する。
【0109】
図10は、第1原点出し動作処理と第2原点出し動作処理の処理内容を示す図である。同図(a)、(b)は、それぞれ、第1原点出し動作処理の処理フローと、具体的な処理内容を示す図であり、同図(c)、(d)は、それぞれ、第2原点出し動作処理の処理フローと、具体的な処理内容を示す図である。また、同図(b)、(d)において、横軸は時間を示し、縦軸は速度を示している。
【0110】
まず、同図(b)を参照して、台形駆動と定速駆動について説明する。
【0111】
台形駆動とは、図示の如く、ステッピングモータの回転速度が、時間の経過と共に増加し、所定の速度に達すると定速になり、所定の条件になると時間の経過とともに減少する駆動手順のことである。また、定速駆動とは、図示の如く、ステッピングモータが、所定の速度で駆動され、所定の条件になると停止される駆動手順のことである。
【0112】
同図(a)を参照して、第1原点出し動作処理では、S11で、ステッピングモータが台形駆動され、ステッピングモータの回転位置がニア原点位置に移動される。ここで、ニア原点位置とは、次にニア原点位置からステッピングモータが定速駆動されると、ステッピングモータの回転位置が適正に原点位置に合わせられ得る位置のことである。ステッピングモータは、ニア原点位置の手前の所定の回転位置で減速される。こうして、台形駆動が終わると、ステッピングモータの回転位置がニア原点位置に位置づけられる。
【0113】
ステッピングモータの回転位置が、ニア原点位置に合わせられると、次にS12では、ステッピングモータが定速駆動され、最終的にステッピングモータの回転位置が原点位置に合わせられる。なお、第1原点出し動作処理は、図9のS125に示したように、分注ユニット群の回転位置が変化していない場合に実行される。すなわち、分注ユニット群の回転位置が変化していない場合には、ステッピングモータの位置情報は適正に認識されたままであるため、より短時間で原点位置合わせが行われ得る第1原点出し動作処理が用いられる。
【0114】
同図(c)、(d)を参照して、第2原点出し動作処理では、S21で、ステッピングモータが台形駆動され、ステッピングモータの回転位置が原点位置を通過したことが検知(原点検知)されると、ステッピングモータが減速され、その後、ステッピングモータの回転方向が反転される。
【0115】
S22では、S21の回転方向とは逆方向にステッピングモータが台形駆動され、再び原点検知がなされると、ステッピングモータが減速され、その後、ステッピングモータの回転方向が反転されて定速駆動へと移行する。
【0116】
S23では、S22の回転方向とは逆方向にステッピングモータが定速駆動され、再度、原点検知がなされると、ステッピングモータの回転方向が反転される。このとき、ステッピングモータの速度が0となる位置は、第1ニア原点位置となる。ここで、第1ニア原点位置とは、次に第1ニア原点位置からステッピングモータが台形駆動されると、ステッピングモータの回転位置が、同図(b)のニア原点位置と略同じ位置である第2ニア原点位置に合わせられ得る位置のことである。
【0117】
S24では、ステッピングモータが台形駆動され、原点検知がなされると、ステッピングモータの回転方向が反転される。このとき、ステッピングモータの速度が0となる位置は、第2ニア原点位置となる。S25では、ステッピングモータが定速駆動され、最終的にステッピングモータの回転位置が原点位置に合わせられる。
【0118】
このように、第2原点出し動作処理では、第1原点出し動作処理よりも多くのステップによって、より確実に原点位置に合わせられ得る。このため、図8のS116と図9(a)のS124に示したように、試薬テーブル群と分注ユニット群のエンコーダ値が変化している場合に実行される。
【0119】
以上、本実施の形態によれば、ユーザにより試薬の交換または追加作業が行われる際に、ユーザが試薬テーブル群に触れ、試薬テーブル群の回転位置が変化した場合、試薬テーブル群に配置されている全ての試薬ラックと試薬容器200のバーコードラベルが読み取られる。これにより、全ての試薬ラックおよび試薬容器の状態が適正に取得され得る。一方、試薬テーブル群の回転位置が変化していない場合、交換位置にある全ての試薬ラックと試薬容器200のバーコードラベルが読み取られる。これにより、より早く試薬ラックおよび試薬容器の状態が取得され得る。
【0120】
また、本実施の形態によれば、ユーザにより試薬の交換または追加作業が行われる際に、ユーザが試薬テーブル群に触れ、試薬テーブル群の回転位置が変化した場合、試薬テーブル群の原点位置合わせが行われる。これにより、試薬テーブル群の回転位置が適正に取得され得る。一方、試薬テーブル群の回転位置が変化していない場合、試薬テーブル群の原点位置合わせは行われない。これにより、より迅速に測定動作が再開され得る。
【0121】
また、本実施の形態によれば、ユーザにより試薬の交換または追加作業が行われる際に、ユーザが分注ユニット群に触れ、分注ユニット群の回転位置が変化した場合、第2原点出し動作処理が行われる。これにより、分注ユニット群の回転位置が適正化され得る。一方、分注ユニット群の回転位置が変化していない場合、第1原点出し動作処理が行われる。これにより、短時間に原点出し動作が行われ、より早く測定動作が再開され得る。
【0122】
以上、本発明の実施形態ついて説明したが、本発明は、上記実施形態に制限されるものではなく、また、本発明の実施形態も上記以外に種々の変更が可能である。
【0123】
たとえば、上記実施の形態では、測定中断処理において、試薬テーブル群と分注ユニット群について、回転位置が変化したかが判断されたが、これらの他に、キュベットテーブル15、加温テーブル16、第1キャッチャユニット26、および、第2キャッチャユニット27(以下、「周辺ユニット群」という)についても、回転位置の変化を判定し、かかる周辺ユニット群に対する準備動作を行うようにしても良い。この場合、周辺ユニット群を回転駆動するステッピングモータの回転位置を検出するロータリーエンコーダと、周辺ユニット群を回転駆動するステッピングモータの回転位置が原点位置にあることを検出する原点センサが配される。これにより、試薬の交換または追加の作業が行われる際に、周辺ユニット群が移動しても、周辺ユニット群の回転位置を修正することができ、測定動作を円滑に再開することができる。
【0124】
また、上記実施の形態では、ステッピングモータへの供給パルス数をカウントしてカウント値をメモリーに記憶し、測定動作中断時のカウント値と、測定動作再開時までにロータリーエンコーダから出力されたパルス数のカウント値とが異なるか否かを判定することにより、測定動作中断時と測定動作再開時の試薬分注ユニット等に位置ずれが生じているか否かを判定している。しかしながら、本発明はこれに限定されず、測定動作中断時までにロータリーエンコーダから出力されたパルス数のカウント値と測定動作再開時までにロータリーエンコーダから出力されたパルス数のカウント値とをそれぞれ取得し、両者の数値が異なるか否かにより、試薬分注ユニット等の位置ずれを判定してもよい。
【0125】
また、上記実施の形態では、測定中断処理が実行される度に、試薬テーブル群および分注ユニット群のステッピングモータへの供給パルス数をカウントして、試薬テーブル群の交換位置および分注ユニット群の退避位置に対応するカウント値を取得するようにした(図8のS104、S107)が、交換位置および退避位置が所定位置に固定される場合には、これらに対応するカウント値を、予め、デフォルト値としてハードディスク304等に記憶しておき、かかるカウント値と、現在までにロータリーエンコーダから出力されたパルス数のカウント値とを比較して、交換位置および退避位置に対する試薬テーブル群および分注ユニット群の移動を判定するようにしても良い。この場合、デフォルト値として記憶される情報は、カウント値に限らず、交換位置および退避位置を示す他の位置情報であっても良い。
【0126】
また、上記実施の形態では、試薬テーブル群および分注ユニット群のステッピングモータへの供給パルス数と、ロータリーエンコーダから出力されたパルス数とをカウントし、両者のカウント値を比較して、試薬テーブル群と分注ユニット群の移動を判定するようにしたが、他の方法により、試薬テーブル群と分注ユニット群の移動を判定する構成とすることもできる。たとえば、各ステッピングモータに配されるロータリーエンコーダを、ステッピングモータの回転角度を絶対的な数値として出力するアブソリュート方式のロータリーエンコーダに置き換える。この場合、試薬テーブル群と分注ユニット群が、それぞれ、交換位置と退避位置から移動すると、対応するロータリーエンコーダから出力される回転角度の値が変化し、移動しなければ、ロータリーエンコーダから出力される回転角度の値は変化しない。よって、ロータリーエンコーダから出力される回転角度の値が変化したか否かにより、試薬テーブル群と分注ユニット群がそれぞれ交換位置と退避位置から移動したか否かが判定され得る。
【0127】
また、上記測定中断処理に付随して、他の処理を実行するようにしても良い。たとえば、分注ユニット群の回転位置が変化した場合、分注ユニット群にユーザが接触したことにより、各分注部に埃などが付着している可能性がある。よって、分注ユニット群の回転位置が変化したと判定された場合には、測定動作が再開される前に、各分注部を洗浄する洗浄工程を追加しても良い。
【0128】
また、上記実施の形態では、ユーザにより試薬の交換または追加の指示が行われた場合や、測定装置2により試薬がなくなったことが認識された場合に、上記測定中断処理の処理フローが実行された。しかしながら、本発明はこれに限定されず、たとえば、測定装置2においてエラーが検出されたことにより測定中断処理が実行された場合においても、エラーが検出された時点と測定動作が再開される時点との間に、試薬テーブル群と分注ユニット群の回転位置が変化したかを判定し、その判定結果に応じて、バーコード情報の読み取りと原点位置合わせが行われるようにしても良い。
【0129】
また、測定装置2の初期化動作が終わった時点と、初期化後に最初に測定装置2が測定動作を行う時点とで、試薬テーブル群と分注ユニット群の回転位置が変化したかによって、バーコード情報の読み取りと原点位置合わせが行われるようにしても良い。
【0130】
さらに、上記実施の形態では、図8のS117において、試薬テーブル群の全てのバーコードラベルを読み取るようにした。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、たとえば、試薬テーブル群のうち、中断時に交換位置から移動した試薬テーブルについてのみ、バーコードラベルの読み取りを行うようにしても良く、また、交換位置からの移動量に応じて、バーコードラベルの読み取り範囲を変化させるようにしても良い。
【0131】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0132】
1 … 検体分析装置
2 … 測定装置
3 … 情報処理装置
11 … 第1試薬テーブル
12 … 第2試薬テーブル
21 … 第1検体分注ユニット
22 … 第2検体分注ユニット
23 … 第1試薬分注ユニット
24 … 第2試薬分注ユニット
25 … 第3試薬分注ユニット
31 … 試薬バーコードリーダ
300 … 制御部
311 … 試薬テーブルステッピングモータ部
312 … 分注ユニットステッピングモータ部
321 … 試薬テーブルロータリーエンコーダ部
322 … 分注ユニットロータリーエンコーダ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動部を移動させることにより試料の測定を行う測定部と、
前記測定部による測定動作が停止されている間に前記可動部が移動したかを判定する判定手段と、
前記判定手段による判定結果に基づいて、前記測定動作を開始するための準備動作を制御する制御手段と、
を備える試料分析装置。
【請求項2】
前記判定手段は、前記測定動作が停止された時点の前記可動部の位置に関する停止位置情報と、前記測定動作の停止期間中における前記可動部の位置に関する待機位置情報とに基づいて、前記可動部が移動したかを判定する、
請求項1に記載の試料分析装置。
【請求項3】
前記判定手段は、前記測定動作が停止された時点の前記可動部の位置に関する停止位置情報と、前記測定動作が開始されるときの前記可動部の位置に関する開始位置情報とに基づいて、前記可動部が移動したかを判定する、
請求項1に記載の試料分析装置。
【請求項4】
前記測定部の前記測定動作を中断させる中断手段をさらに備え、
前記判定手段は、前記中断手段により前記測定動作が中断されてから再開されるまでの間に前記判定を行う、
請求項2または3に記載の試料分析装置。
【請求項5】
前記測定部の前記測定動作の中断指示を受け付ける受付手段をさらに備え、
前記中断手段は、前記受付手段により前記中断指示を受け付けた場合に、前記測定部の前記測定動作を中断させる、
請求項4に記載の試料分析装置。
【請求項6】
前記準備動作は、前記可動部を原点位置へ復帰させる動作を含み、
前記測定部は、前記原点位置から前記可動部を移動させることにより、前記測定動作を開始する、
請求項1ないし5の何れか一項に記載の試料分析装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記判定手段により前記可動部が移動していないと判断された場合、前記原点位置に向かう第1の数の工程からなる動作によって前記可動部を前記原点位置へ復帰させ、前記判定手段により前記可動部が移動したと判断された場合、前記原点位置に向かう前記第1の数よりも多い第2の数の工程からなる動作によって前記可動部を前記原点位置へ復帰させる、
請求項6に記載の試料分析装置。
【請求項8】
前記可動部は、試薬が収容された試薬容器を保持する容器保持部を含み、
前記測定部は、前記容器保持部を駆動するための容器駆動部を含む、
請求項1ないし7の何れか一項に記載の試料分析装置。
【請求項9】
前記可動部は、試薬容器内の試薬を分注するための試薬分注ピペット、または、試料容器内の試料を分注するための試料分注ピペットを含み、
前記測定部は、前記試薬分注ピペットを駆動するための試薬ピペット駆動部、または、前記試料分注ピペットを駆動するための試料ピペット駆動部を含む、
請求項1ないし8の何れか一項に記載の試料分析装置。
【請求項10】
前記可動部は、試薬が収容された複数の試薬容器を保持する容器保持部を含み、
前記容器保持部における前記試薬の配置を識別する配置識別部をさらに備え、
前記準備動作は、前記配置識別部による前記配置の識別動作を含む、
請求項1ないし9の何れか一項に記載の試料分析装置。
【請求項11】
前記制御手段は、前記判定手段により前記可動部が移動していないと判断された場合、前記配置識別部に、前記容器保持部の第1の領域における前記試薬の配置を識別させ、前記判定手段により前記可動部が移動したと判断された場合、前記配置識別部に、前記第1の領域を含み前記第1の領域よりも広い第2の領域における前記試薬の配置を識別させる、
請求項10に記載の試料分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−27522(P2011−27522A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−172945(P2009−172945)
【出願日】平成21年7月24日(2009.7.24)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】