試料前処理装置
【課題】加圧式の試料前処理装置において、クロスコンタミネーションを有効に且つ確実に防止する。
【解決手段】試料前処理装置は、回転可能な円形の架台と、試料溶液を導入するための導入口と試料溶液を排出するための排出口とを有し架台に保持されたカラムと、該カラムに加圧空気を供給する加圧装置と、を有する。加圧装置は、加圧ヘッドを有し、該加圧ヘッドの先端面と前記カラムの導入口の間にフィルタ付きシートが挿入されるように構成されている。
【解決手段】試料前処理装置は、回転可能な円形の架台と、試料溶液を導入するための導入口と試料溶液を排出するための排出口とを有し架台に保持されたカラムと、該カラムに加圧空気を供給する加圧装置と、を有する。加圧装置は、加圧ヘッドを有し、該加圧ヘッドの先端面と前記カラムの導入口の間にフィルタ付きシートが挿入されるように構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体試料より特定の成分を抽出する試料前処理に関し、特に、圧縮空気を用いてカラムより溶液を押出す加圧式の試料前処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生体試料の分析では、生体試料、例えば、血液、血清、血漿、尿、喀痰溶解液、スワブ採取物の溶解液、細胞や組織の溶解液等から、核酸、タンパク、薬物等の特定成分を抽出する試料前処理が実施される。
【0003】
核酸等の抽出法には、大別すると、フェノール・クロロフォルム溶媒抽出やエタノール沈殿法などの溶液処理と遠心分離を組み合わせた方法、固体表面への吸着を利用する固相抽出方法等がある。固相抽出法に用いられる固相には、試料溶液中に分散させて用いる磁性微粒子や、試料溶液を通液させて用いるフィルタなどがある。本願明細書では、核酸などの、試料中の成分を吸着するための固相を吸着部材と称する。
【0004】
吸着部材は、通常、カラムと称する液の導入口と排出口を備えた容器内に設置される。カラムに通液させる方法としては、遠心機を用いるスピンカラム法、排出口側の空気を減圧する吸引法、導入口側に圧縮空気を供給する加圧法がある。
【0005】
核酸の抽出法では、クロスコンタミネーションが重要な問題である。クロスコンタミネーションは、試料間の微少な混入である。
【0006】
ウイルス等の病原体の感染有無を高感度に検出する核酸検査(NAT:Nucleic Acid Test)が行なわれている。核酸検査(NAT)では、検査対象の核酸をPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)などの核酸増幅法により、107〜108倍に増幅(分子の複製を行い、分子数を増やす)する。これにより、病原体の超高感度な検出を実現することができる。しかしながら、高感度な検査方法であるほど、クロスコンタミネーションの排除が必要となる。
【0007】
例えば、NATにおけるHCVウイルスの核酸の検出限界は1mLの血清中で数10個程度であり、これが試薬メーカの概ねの保証値であるが、PCR法では、原理的には1分子の核酸でも増幅し得る。従って、仮に、非常に高いレベルでHCVウイルスが含まれている感染者の血清、例えば、1mL中に107個のHCVウイルスが含まれている血清が、ウイルスを含まない健常者の血清と、同一の装置上で前処理された場合、1mLの1/107、すなわち、0.1nLの感染者の血清が、健常者の血清に混入したときでも、健常者の血清が擬陽性となるリスクは避けられない。従って、0.1nL程度の微量な液滴の混入であっても回避すべきであり、好ましくは、0.1nL以下、1pL程度の微量な液滴の混入であっても回避すべきである。尚、1pLは、10μm角の立方体の体積である。
【0008】
特許文献1には、加圧法を利用した装置の例が記載されている。特許文献2には、固体吸着カラムにおいてクロスコンタミネーションを防止する装置の例が記載されている。
【0009】
【特許文献1】特許第3635645号
【特許文献2】特開2003-339374号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
クロスコンタミネーションの原因には様々なものが考えられる。本願発明者は、クロスコンタミネーションの原因として、微少な液滴であるエアロゾルの発生に注目した。加圧法では、圧縮空気を供給するときに、エアロゾルが発生する。このエアロゾルが放散されることにより、クロスコンタミネーションが起こり得る。
【0011】
通常、加圧法では、カラムは、試料溶液毎に交換するディスポーザブル型である。しかしながら、圧縮空気を送るための加圧ヘッド、加圧空気の導入路、空気を圧縮するためのプランジャまでもディスポーザブル型にすることはできない。
【0012】
本発明の目的は、加圧式の試料前処理装置において、クロスコンタミネーションを有効に且つ確実に防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、生体試料より特定の成分を抽出する試料前処理に関する。試料前処理装置は、回転可能な円形の架台と、試料溶液を導入するための導入口と試料溶液を排出するための排出口とを有し前記架台に保持されたカラムと、該カラムの導入口に加圧空気を供給する加圧装置と、を有する。前記加圧装置は、加圧ヘッドを有し、該加圧ヘッドの先端面と前記カラムの導入口の間にフィルタ付きシートが挿入されるように構成されている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、加圧式の試料前処理装置において、クロスコンタミネーションを有効に且つ確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の核酸抽出装置の例を説明する。本発明によると核酸抽出装置は、吸着部材への核酸の吸着を利用して、核酸を抽出する。核酸の抽出には、主として、核酸の吸着工程、洗浄工程、核酸の溶離工程を含む。
【0016】
図1Aを参照して、カラムへの試料溶液の投入の工程を説明する。先ず、カラム3の構造を説明する。カラム3は、フランジ部3a、円筒容器部3b、及び、細管部3cを有する。円筒容器部3bの底面は円錐状に形成されている。この円錐状の底面に細官部3cが接続されている。細管部3cには吸着部材5が挿入されている。ここで、吸着部材5として、例えば、ワットマン社製GF/Fガラスフィルタ(厚さ0.42mm、粒子保持能0.7μm)を用いてよい。
【0017】
図1Aでは、カラム3は、円板状の架台4の孔に支持されている。図1Aでは、円板状の架台4の一部のみが示されている。架台4の説明は、後に図6を参照して説明する。
【0018】
サンプル分注用ピペッタ(ピペッタ全体は図示せず)は、ピペッタヘッド1とその先端に装着されたピペットチップ2を有する。サンプル分注用ピペッタの吸引動作(この吸引工程は図示せず)により、ピペットチップ2内に試料溶液6が収納される。次に、ピペッタの吐出動作により、ピペットチップ2内の試料溶液6はカラム3の円筒容器部3bに吐出される。カラムの細管部3cには吸着部材5が挿入されているため、試料溶液6は円筒容器部3bに保持される。
【0019】
図1B及び図1Cを参照して、カラムにフィルタを装着するフィルタ装着機構の例を説明する。ここでは、カラム3の吸着部材5に、試料溶液6に含まれる核酸を吸着させる工程を説明しながら、フィルタ付きシート16をカラムに装着する動作を説明する。先ず、加圧装置10の構造を説明する。加圧装置10は、ピストン11、シリンジ12、及び、加圧ヘッド13を有する。加圧ヘッド13はシリンジ12の下端に接続されている。加圧ヘッド13の下面には、円形溝が形成され、この円形溝にOリング15が挿入されている。加圧ヘッド13には、下面と外部を接続する貫通孔14が設けられている。
【0020】
図示の例では、架台4の上に、使用前のフィルタ付きシート16を格納する第1のホルダ17と使用後のフィルタ付きシート16を格納する第2のホルダ18が配置されている。フィルタ付きシート16は、エアロゾル捕捉のためのフィルタを有する。尚、フィルタ付きシート16の詳細は、図2を参照して詳細に説明する。
【0021】
加圧装置10は、架台4に対して上下方向に移動可能であるが、横方向には移動できない。一方、架台4は、図示しない中心軸線回りに、回転可能である。従って、架台4は、加圧装置10に対して横方向に移動可能であるが、上下方向には移動できない。
【0022】
先ず、架台4を回転させ、加圧装置10の下に、第1のホルダ17を配置させる。次に、加圧装置10を下降させる。加圧ヘッド13の下面が、第1のホルダ17に格納されたフィルタ付きシートに接触する。加圧ヘッド13によって第1のホルダ17に格納されたフィルタ付きシート16の1枚を取り上げる。ここでは、加圧ヘッド13の貫通孔14から空気を吸引することにより、フィルタ付きシート16を加圧ヘッド13の下面に吸着させる。次に、加圧装置10を上昇させる。図1Bは、加圧ヘッド13によって、フィルタ付きシート16が吸着され保持された状態を示す。
【0023】
次に、架台4を回転させ、加圧装置10の下にカラム3を配置させる。次に、加圧装置10を下降させる。図1Cは、加圧ヘッド13の下面に吸着されたフィルタ付きシート16が、カラム3の上面に接触した状態を示す。加圧ヘッド13の下面に装着されたOリング15は弾性変形する。それによって、フィルタ付きシート16は、加圧ヘッド13の下面とカラム3の上面の間に挟まれた状態で、カラム3の上面に押し付けられる。このとき、加圧ヘッド13の内部の空間、及び、カラム3の内部の空間は、完全に外気に対して密閉される。
【0024】
次に、ピストン11を矢印19で示す方向に下降させ、シリンジ12内の空気を圧縮する。圧縮された空気は、フィルタ付きシート16を通過し、カラム3内の試料溶液6の液面を加圧する。試料溶液6は、吸着部材5を通過し、容器20に排出される。試料溶液6が吸着部材5を通過するとき、試料溶液6に含まれる核酸は、吸着部材5に捕獲される。従って、容器20には、核酸を抽出した後の廃液が排出される。カラム3内の試料溶液6の液面に、圧縮空気が衝突するとき、エアロゾルが発生する。しかしながら、カラム3の内部の空間は、完全に密閉されている。従って、このエアロゾルが、カラム3の外に散逸することはない。従って、本発明によると、試料溶液6がカラムの外部に散乱することが防止される。従って、クロスコンタミネーションを防止することができる。
【0025】
次に、加圧装置10を上昇させる。架台4を回転させ、加圧装置10の下に、図1Bに示した第2のホルダ18を配置させる。次に、加圧装置10を下降させる。次に、加圧ヘッド13よりフィルタ付きシート16を除去する。ここでは、加圧ヘッド13の貫通孔14から空気を注入することにより、フィルタ付きシート16を加圧ヘッドより外す。使用済みのフィルタ付きシート16は廃棄される。
【0026】
こうして、核酸の吸着工程が終了すると、次に、吸着部材5を洗浄する洗浄工程を実行する。洗浄工程では、吸着部材5に洗浄液を通過させる。それによって、吸着部材5に付着した試料溶液6に含まれる不純物(本例では、核酸以外の成分、例えば、タンパク質、脂質等)を洗浄除去する。洗浄工程の次に核酸の溶離工程を実行する。核酸の溶離工程では、吸着部材5に溶離液を通過させる。それによって、吸着部材5に吸着された核酸が溶離される。核酸は溶離液と共に下方の核酸回収用容器に格納される。これらの洗浄工程、核酸の溶離工程は、上述した核酸の吸着工程と同様な手順にて実行可能である。吸着部材5に、洗浄液、溶離液、試薬等を通過させる動作は、吸着部材5に、試料溶液6を通過させる動作と同一である。
【0027】
ここでは、核酸を抽出する場合を説明したが、タンパク質や薬物を抽出する場合も、吸着部材の材質及び構造、試薬の量及び組成は異なるが、操作手順は同様である。本発明は、加圧した空気を供給することにより、カラムから容器に送液する操作が必要な装置又はシステムに利用可能である。
【0028】
図2A及び図2Bを参照して、本発明によるフィルタ付きシート16の例を説明する。図2Aは、本例のフィルタ付きシートの第1の例の上面構成を示す。本例のフィルタ付きシートは、円形のフィルタ30a、リング状のシート部材31a、及び、リング状のフィルタ押え32aを有する。フィルタ30aは、目の粗さがサブミクロンから数ミクロン程度の円形の樹脂製フィルタであってよい。フィルタ30aは、ミリポア社製の疎水性メンブレンフィルタ(孔径0.5mμm、厚さ0.2mm)、又は、ワットマン社製ニトロセルロースフィルタ(孔径0.2μm)であってもよい。シート部材31aは中心部を円形に切り抜いた円盤状の樹脂製のシートである。フィルタ押え32aは、シート部材31aと同一の材料によって製造してよい。シート部材31aの中心の孔を被うように、フィルタ30aを装着し、その上に、フィルタ押え32aを装着する。フィルタ押え32は、シート部材31に溶着により接着してよい。尚、本例のフィルタ付きシートを、図1B及び図1Cを参照して説明した加圧装置に使用する場合、加圧ヘッド13の下面の貫通孔14は、シート部材31aに配置される。
【0029】
図2Bは、本発明によるフィルタ付きシート16の他の例を説明する。本例のフィルタ付きシート16は、円形のフィルタ30b、リング状のシート部材31b、及び、リング状のフィルタ押え32bを有する。本例では、フィルタ30bの材料として耐熱性、及び、耐薬品性を備えたガラスやテフロンを用いる。フィルタ30bの材料として、このように、溶着困難な材料を用いる場合には、リング状のシート部材31bは、段付きの樹脂製リング状シートによって構成する。このシート部材31bに、フィルタ30bを挿入し、その上から押え32bを圧入する。
【0030】
図3A及び図3Bにカラム3の他の例を示す。図3Aに示す例では、カラム3の細管部3cの段差部に、つば型のフィルタ3dが設けられている。つば型のフィルタ3dは、樹脂製リングとその周囲に設けられたリング状のフィルタ部材を有する。フィルタ部材は、樹脂製リングに溶着により接続されている。樹脂製リングを、カラム3の細管部3cに、はめ込んで固定することができる。フィルタ3dは、カラム3の下方の容器20を被うように配置される。カラム3から容器20に吐出された圧縮空気は、フィルタ3dを経由して容器20の外方に排出される。カラムの細管部3cの吸着部材5を通過した液が、容器内の液に衝突するときにエアロゾルが発生する。本例によると、容器20はフィルタ3dによって密閉されている。従って、本例によると、エアロゾルが容器20の外に拡散することを防止することができる。
【0031】
図3Bに示す例は、特許文献2に記載の例と同様である。本例では、カラム3に、円筒状の隔壁3eが設けられている。この隔壁3eは、カラムの円筒容器部3bから下方に延びている。隔壁3eは、容器20の周囲を囲むように配置されている。本例でも、カラムの細管部3cに、つば型のフィルタ3dが設けられている。つば型のフィルタ3dは、カラムの細管部3cと隔壁3eの間の円筒状の空間に配置されている。フィルタ3dは、カラム3の下方の容器20を被うように配置される。カラム3から容器20に吐出された圧縮空気は、フィルタ3dを経由して容器20の外方に排出される。カラムの細管部3cの吸着部材5を通過した液が、容器内の液に衝突するときにエアロゾルが発生する。本例によると、容器20はフィルタ3dによって密閉されている。従って、本例によると、エアロゾルが容器20の外に拡散することを防止することができる。
【0032】
図4A及び図4Bを参照して、本発明によるフィルタ装着機構の他の例を説明する。図1B及び図1Cに示した例では、フィルタ付きシート16はカラム3とは別個の部材として構成されている。しかしながら、本例では、フィルタ付きシート16はカラム3と一体に構成されている。使用後は、カラム3と共にフィルタ付きシート16は廃棄される。
【0033】
カラム3は、フランジ部3a、円筒容器部3b、細管部3c、及び、つば型のフィルタ3dを有する。本例では、カラム3は、更に、円形のフィルタ50、及び、リング状のシート部材51を有する。フィルタ50はリング状のシート部材51に装着されている。シート部材51は樹脂によって形成されてよい。シート部材51は、フランジ部3aの上を被うように配置されることもできるが、フランジ部3aに対して直立するように配置されることもできる。図示の例では、シート部材51は、弾性部材51aによってカラム3のフランジ部3aに装着されている。更に、架台4には、押え52が、駆動可能に、装着されている。押え52は、駆動部材53の回りに、駆動可能である。
【0034】
本例によると、試料溶液等をカラムに分注する場合には、押え52を図示のように直立した位置に配置する。弾性部材51aに対する負荷が開放され、シート部材51は、図示のように直立した位置に配置される。加圧ヘッドよりカラム内に圧縮空気を送るとき、押え52を倒す。弾性部材51aは変形し、シート部材51はフランジ部3a上に押し付けられる。それによって、カラム内は密閉され、カラム内に圧縮空気を供給しても、液面から発生したエアロゾルがカラムの外部に発散することを防止することができる。
【0035】
ここでは、シート部材51をカラムのフランジ部3aに装着する手段として、弾性部材51aを例として説明したが、他の構造を用いてもよい。また、押え52を架台に装着する手段として駆動部材53を例として説明したが、他の構造を用いてもよい。
【0036】
図5A及び図5Bを参照して本発明によるフィルタの装着機構の更に別の例を説明する。図5Aに示すように、架台4は、6個のカラムを等間隔にて保持するように構成されている。ここで、説明の都合上、6個のカラムの位置を、分注位置4a、4c、4e、及び、加圧位置4b、4d、4fと称する。加圧位置には、図1B及び図1Cを参照して説明した加圧装置の加圧ヘッドが配置されている。各カラムの近傍に、押え62が設けられている。押え62は、図4Aに示した押え52と同様な構造を有してよい。架台4の周囲には、2つのリール64、65が設けられている。架台4とリール64、65は、矢印の方向に回転する。本例では、図5Bに示すように、フィルタ付きシートはリボン状に形成されている。即ち、フィルタ付きシートは、円形のフィルタ60とシート部材61とリボン61aを有する。シート部材61はリボン61aによって所定の間隔にて保持されている。シート部材61にはフィルタ60が支持されている。一方のリール64に巻かれた、本例のリボン状フィルタ付きシートは、架台4の周囲を延び、他方のリール65によって巻き取られる。図示の例では、シート部材61は矩形であるが、図4Bの例のように円形であってもよい。
【0037】
分注位置4a、4c、4eでは、押え62は直立しており、シート61は直立している。加圧位置4b、4d、4fでは、押え62によってシート61はカラムの上に配置されている。架台が1/6回転する毎に、カラムは、第1の分注位置4a、第1の加圧位置4b、第2の分注位置4c、第2の加圧位置4d、第3の分注位置4e、第3の加圧装置4fの順に移動する。即ち、架台が回転すると、カラムは架台と共に移動するが、分注位置及び加圧位置は、移動しない。分注位置及び加圧位置は、架台に対して固定されている。
【0038】
第1の分注位置4aでは、押え62が開放され、シート61は直立している。ピペッタによってカラムに試料溶液が分注される。次に、架台が1/6回転する。試料溶液が分注されたカラムは、第1の分注位置4aから第1の加圧位置4bに移動する。第1の加圧位置4bでは、押え62が作動し、シート61はカラムの上に配置される。加圧装置によって、試料溶液が装填されたカラムに圧縮空気が供給される。図1Cに示したように、試料溶液6は、吸着部材5を通過し、下方の廃液容器に排出される。こうして、核酸の吸着工程が実行される。次に、架台が1/6回転する。カラムは、第1の加圧位置4bから第2の分注位置4cに移動する。
【0039】
第2の分注位置4cでは、押え62が開放され、シート61は直立する。カラムに洗浄液が分注される。次に、架台が1/6回転する。カラムは、第2の分注位置4cから第2の加圧位置4dに移動する。第2の加圧位置4dでは、押え62が作動し、シート61はカラムの上に配置される。加圧装置によって、洗浄液が装填されたカラムに圧縮空気が供給される。洗浄液は、吸着部材5を通過し、下方の廃液容器に排出される。こうして、核酸の洗浄工程が実行される。次に、架台が1/6回転する。洗浄されたカラムは、第2の分注位置4cから第3の分注位置4eに移動する。第3の分注位置4eでは、押え62が開放され、シート61は直立する。カラムに溶離液が分注される。次に、架台が1/6回転する。溶離液が分注されたカラムは、第3の分注位置4eから第3の加圧装置4fに移動する。第3の加圧装置4fでは、押え62が作動し、シート61はカラムの上に配置される。加圧装置によって、溶離液が装填されたカラムに圧縮空気が供給される。核酸は吸着部材5より溶離し、溶離液とともに下方の核酸回収容器に排出される。こうして、核酸の溶離工程が実行される。核酸の溶離工程が終了すると、核酸回収容器が回収される。次に、架台が1/6回転する。カラムは、第3の加圧装置4fから第1の分注位置4aに戻る。そこで、カラムは交換される。
【0040】
本例によると、架台が回転すると、各カラムでは、吸着、洗浄、及び、溶離の3つの工程が、順に、実行される。
【0041】
リール64の送り速度とリール65の巻き取り速度は、カラム4の移動速度と同一である。即ち、架台4が1/6回転すると、リボン状のフィルタ付きシートも同一速度にて同一距離だけ移動する。本例では、1つのカラムに対して1つのフィルタ付きシートが対応する。即ち、各カラムに対応した1つのフィルタによって、吸着、洗浄、溶離の工程を行なう。そのため、フィルタ付きシートが有効に使用される。図1B及び図1Cに示した第1の例では、加圧操作の度にフィルタ付きシートを交換する。そのため、吸着、洗浄、及び、溶離の3つの工程では、合計3枚のフィルタ付きシートが必要となる。しかしながら、本例では、吸着、洗浄、及び、溶離の3つの工程では、1枚のシートしか使用しない。
【0042】
図6を参照して本発明による核酸抽出装置の例を説明する。本例の核酸抽出装置は、円板状の架台4を有する。架台4には、6個のカラムを配置することができる。カラムの位置を、分注位置4a、4c、4e、及び、加圧位置4b、4d、4fと称する。加圧位置4b、4d、4fには、それぞれ、加圧装置10の加圧ヘッドが設けられている。図6には、カラムに装着するフィルタの装着装置の図示が省略されている。ここでは、図1B及び図1Cにて示した第1の例、図4に示した第2の例、図5に示した第3の例のいずれの例を用いてもよい。本例によると、図5の例と同様に、架台が回転すると、各カラムでは、吸着、洗浄、及び、溶離の3つの工程が、順に、実行される。本例の核酸抽出装置は、筐体95を有する。筐体95内に配置された機能を以下に説明する。
【0043】
第1の分注位置4aに隣接して、カラム供給系92が配置されている。カラム供給系92は、未使用のカラム79を保持するカラムラック78、カラムを搬送するカラムグリッパ81、使用済みカラムを廃棄するための廃棄口80を有する。カラムグリッパ81によってカラムは、破線にて示す軌跡81aに沿って移動する。カラムグリッパ81は、架台4の第1の分注位置4aに配置された使用済みのカラムを廃棄口80に投入し、未使用のカラム79をカラムラック78から架台4の第1の分注位置4aに搬送する。尚、カラムラック78の移動機構は図示していない。
【0044】
第1の分注位置4aに隣接して、試料供給系93が配置されている。試料供給系93は、サンプル分注用ピペッタ83、サンプル容器85を保持するサンプルディスク84、及び、使用済みサンプル分注用ピペットチップを廃棄するための廃棄口86を有する。サンプル分注用ピペッタ83の先端のピペットチップは、破線にて示す軌跡83aに沿って移動する。サンプル分注用ピペッタ83は、未使用のピペットチップを用いて、サンプルディスク84に保持されたサンプル容器85内の試料溶液を第1の分注位置4aのカラムに分注し、使用済みのピペットチップを廃棄口86に投入する。
【0045】
サンプルディスク84に保持されるサンプル容器は逐次追加、排出が可能である。どのサンプル容器のサンプルが分注されるかは、サンプルディスク84の回転によって選択される。従って、緊急に優先して処理すべきサンプルについては、それを優先的に処理することができる。
【0046】
第2の加圧位置4dに隣接して、試薬供給系91が配置されている。試薬供給系91は、未使用の試薬分注用ピペットチップ71を保持する試薬分注用ピペットチップラック70、試薬を保持する試薬試薬ディスク72、及び、使用済み試薬分注用ピペットチップを廃棄するための廃棄口76を有する。試薬供給系は、図示しない、試薬分注用ピペッタを有する。試薬分注用ピペッタの先端の試薬分注用ピペットチップ71は、破線にて示す軌跡71aに沿って移動する。試薬ディスク72には、洗浄液採取口73、溶離液採取口74が設けられている。試薬分注用ピペッタは、試薬分注用ピペットチップラック70に保持された未使用の試薬分注用ピペットチップ71を用いて、洗浄液採取口73から洗浄液を採取し、それを、第2の分注位置4cに配置されたカラムに分注する。試薬分注用ピペッタは、試薬分注用ピペットチップラック70に保持された未使用の試薬分注用ピペットチップ71を用いて、溶離液採取口74から溶離液を採取し、それを、第3の分注位置4eに配置されたカラムに分注する。尚、ピペットチップラック70の移動機構は図示していない。
【0047】
第3の加圧位置4fに隣接して、核酸回収系94が配置されている。核酸回収系94は、核酸回収用容器89を保持する核酸回収用容器ラック88、及び、核酸回収用容器89を搬送する容器グリッパ90を有する。核酸回収用容器グリッパ90によって核酸回収用容器89は、破線にて示す軌跡90aに沿って移動する。核酸回収用容器グリッパ90は、核酸回収用容器ラック88に保持された未使用の核酸回収用容器89を架台4の第3の分注位置4eの下方に配置する。更に、核酸回収用容器グリッパ90は、核酸を回収した核酸回収用容器89を架台4の第3の加圧位置4fの下方から取り出し、それを核酸回収用容器ラック88に戻す。尚、容器ラック88の移動機構は図示していない。
【0048】
従来のカラム方式の前処理装置では、複数のサンプルを纏めて処理するバッチ方式が用いられていた。従って、バッチ単位数のサンプルが集まらないと処理がスタートできないという問題がある。また、迅速に結果を得たいという検査ニーズには向かなかった。本発明によると、カラム方式の前処理装置であっても、バッチ方式ではなく、サンプルを逐次投入可能である。更に、サンプルを、1つずつ連続で処理することができるので最短の時間で処理が可能である。また、緊急処理のための割り込みなど、臨床検査でのルーチン分析に適した要求事項を実現することができる。
【0049】
従来の加圧式の試料前処理装置では、圧縮操作によって発生するエアロゾルによって、装置部品が汚染され、それが原因で、クロスコンタミネーションが発生する可能性があった。そのため、検査精度を低下させるリスクを排除することはできなかった。本発明によると、信頼性の高い前処理装置を実現することができる。そのため、特に高感度な核酸検査において有効である。
【0050】
以上本発明の例を説明したが本発明は上述の例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲にて様々な変更が可能であることは、当業者によって容易に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1A】本発明による試料前処理装置のカラムへの試料溶液の投入の工程を説明する図である。
【図1B】本発明による試料前処理装置のフィルタ装着機構の例を説明する図である。
【図1C】本発明による試料前処理装置の加圧ヘッドとカラムの間にフィルタ付きシートが配置された状態を示す図である。
【図2A】本発明による試料前処理装置に用いるフィルタ付きシートの平面構成の例を示す図である。
【図2B】本発明による試料前処理装置に用いるフィルタ付きシートの断面構成の例を示す図である。
【図3A】本発明による試料前処理装置に用いるカラムの他の例を示す図である。
【図3B】本発明による試料前処理装置に用いるカラムの更に他の例を示す図である。
【図4A】本発明による試料前処理装置に用いるカラムの更に他の例を示す図である。
【図4B】本発明による試料前処理装置に用いるカラムの更に他の例を示す図である。
【図5A】本発明による試料前処理装置に用いる架台の例を示す図である。
【図5B】本発明による試料前処理装置に用いるフィルタ付きシートの例を示す図である。
【図6】本発明による試料前処理装置の構成の例を示す図である。
【符号の説明】
【0052】
1…ピペッタヘッド、2…ピペットチップ、3…カラム、3a…フランジ部、3b…円筒容器部、3c…細管部、3d…つば型のフィルタ、3e…隔壁、4…架台、4a、4c、4d…分注位置、4b、4d、4e…加圧位置、5…吸着部材、6…試料溶液、10…加圧装置、11…ピストン、12…シリンジ、13…加圧ヘッド、14…貫通孔(空気の吸引/導入路)、15…Oリング、16…フィルタ付きシート、17、18…フィルタ付きシートのホルダ、19…ピストンの移動方向(加圧時)、20…容器、30a、30b…フィルタ、31a、31b…リング状シート、32a、32b…押え、50…フィルタ、51…シート部材、51a…弾性部材、52…押え、53…駆動部材、60…フィルタ、61…シート部材、61a…リボン、62…押え、64、65…リール、70…試薬分注用ピペットチップラック、71…試薬分注用ピペットチップ、71a…試薬分注用ピペットの先端位置の軌跡、72…試薬ディスク、73…試薬(洗浄液)採取口、74…試薬(溶離液)採取口、76…試薬分注用ピペットチップ廃棄口、78…カラムラック、79…カラム、80…使用済みカラム廃棄口、81…カラムグリッパ、81a…カラムグリッパのカラム移送位置の軌跡、83…サンプル分注用ピペッタ、83a…サンプル分注用ピペッタ先端の軌跡、84…サンプルディスク、85…サンプル容器、86…サンプル分注用ピペットチップの廃棄口、88…核酸回収用容器ラック、89…核酸回収用容器、90…核酸回収用容器グリッパ、90a…核酸回収用容器グリッパの容器移送位置の軌跡、91…試薬供給系、92…カラム供給系、93…試料供給系、94…核酸回収系、95…筐体
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体試料より特定の成分を抽出する試料前処理に関し、特に、圧縮空気を用いてカラムより溶液を押出す加圧式の試料前処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生体試料の分析では、生体試料、例えば、血液、血清、血漿、尿、喀痰溶解液、スワブ採取物の溶解液、細胞や組織の溶解液等から、核酸、タンパク、薬物等の特定成分を抽出する試料前処理が実施される。
【0003】
核酸等の抽出法には、大別すると、フェノール・クロロフォルム溶媒抽出やエタノール沈殿法などの溶液処理と遠心分離を組み合わせた方法、固体表面への吸着を利用する固相抽出方法等がある。固相抽出法に用いられる固相には、試料溶液中に分散させて用いる磁性微粒子や、試料溶液を通液させて用いるフィルタなどがある。本願明細書では、核酸などの、試料中の成分を吸着するための固相を吸着部材と称する。
【0004】
吸着部材は、通常、カラムと称する液の導入口と排出口を備えた容器内に設置される。カラムに通液させる方法としては、遠心機を用いるスピンカラム法、排出口側の空気を減圧する吸引法、導入口側に圧縮空気を供給する加圧法がある。
【0005】
核酸の抽出法では、クロスコンタミネーションが重要な問題である。クロスコンタミネーションは、試料間の微少な混入である。
【0006】
ウイルス等の病原体の感染有無を高感度に検出する核酸検査(NAT:Nucleic Acid Test)が行なわれている。核酸検査(NAT)では、検査対象の核酸をPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)などの核酸増幅法により、107〜108倍に増幅(分子の複製を行い、分子数を増やす)する。これにより、病原体の超高感度な検出を実現することができる。しかしながら、高感度な検査方法であるほど、クロスコンタミネーションの排除が必要となる。
【0007】
例えば、NATにおけるHCVウイルスの核酸の検出限界は1mLの血清中で数10個程度であり、これが試薬メーカの概ねの保証値であるが、PCR法では、原理的には1分子の核酸でも増幅し得る。従って、仮に、非常に高いレベルでHCVウイルスが含まれている感染者の血清、例えば、1mL中に107個のHCVウイルスが含まれている血清が、ウイルスを含まない健常者の血清と、同一の装置上で前処理された場合、1mLの1/107、すなわち、0.1nLの感染者の血清が、健常者の血清に混入したときでも、健常者の血清が擬陽性となるリスクは避けられない。従って、0.1nL程度の微量な液滴の混入であっても回避すべきであり、好ましくは、0.1nL以下、1pL程度の微量な液滴の混入であっても回避すべきである。尚、1pLは、10μm角の立方体の体積である。
【0008】
特許文献1には、加圧法を利用した装置の例が記載されている。特許文献2には、固体吸着カラムにおいてクロスコンタミネーションを防止する装置の例が記載されている。
【0009】
【特許文献1】特許第3635645号
【特許文献2】特開2003-339374号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
クロスコンタミネーションの原因には様々なものが考えられる。本願発明者は、クロスコンタミネーションの原因として、微少な液滴であるエアロゾルの発生に注目した。加圧法では、圧縮空気を供給するときに、エアロゾルが発生する。このエアロゾルが放散されることにより、クロスコンタミネーションが起こり得る。
【0011】
通常、加圧法では、カラムは、試料溶液毎に交換するディスポーザブル型である。しかしながら、圧縮空気を送るための加圧ヘッド、加圧空気の導入路、空気を圧縮するためのプランジャまでもディスポーザブル型にすることはできない。
【0012】
本発明の目的は、加圧式の試料前処理装置において、クロスコンタミネーションを有効に且つ確実に防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、生体試料より特定の成分を抽出する試料前処理に関する。試料前処理装置は、回転可能な円形の架台と、試料溶液を導入するための導入口と試料溶液を排出するための排出口とを有し前記架台に保持されたカラムと、該カラムの導入口に加圧空気を供給する加圧装置と、を有する。前記加圧装置は、加圧ヘッドを有し、該加圧ヘッドの先端面と前記カラムの導入口の間にフィルタ付きシートが挿入されるように構成されている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、加圧式の試料前処理装置において、クロスコンタミネーションを有効に且つ確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の核酸抽出装置の例を説明する。本発明によると核酸抽出装置は、吸着部材への核酸の吸着を利用して、核酸を抽出する。核酸の抽出には、主として、核酸の吸着工程、洗浄工程、核酸の溶離工程を含む。
【0016】
図1Aを参照して、カラムへの試料溶液の投入の工程を説明する。先ず、カラム3の構造を説明する。カラム3は、フランジ部3a、円筒容器部3b、及び、細管部3cを有する。円筒容器部3bの底面は円錐状に形成されている。この円錐状の底面に細官部3cが接続されている。細管部3cには吸着部材5が挿入されている。ここで、吸着部材5として、例えば、ワットマン社製GF/Fガラスフィルタ(厚さ0.42mm、粒子保持能0.7μm)を用いてよい。
【0017】
図1Aでは、カラム3は、円板状の架台4の孔に支持されている。図1Aでは、円板状の架台4の一部のみが示されている。架台4の説明は、後に図6を参照して説明する。
【0018】
サンプル分注用ピペッタ(ピペッタ全体は図示せず)は、ピペッタヘッド1とその先端に装着されたピペットチップ2を有する。サンプル分注用ピペッタの吸引動作(この吸引工程は図示せず)により、ピペットチップ2内に試料溶液6が収納される。次に、ピペッタの吐出動作により、ピペットチップ2内の試料溶液6はカラム3の円筒容器部3bに吐出される。カラムの細管部3cには吸着部材5が挿入されているため、試料溶液6は円筒容器部3bに保持される。
【0019】
図1B及び図1Cを参照して、カラムにフィルタを装着するフィルタ装着機構の例を説明する。ここでは、カラム3の吸着部材5に、試料溶液6に含まれる核酸を吸着させる工程を説明しながら、フィルタ付きシート16をカラムに装着する動作を説明する。先ず、加圧装置10の構造を説明する。加圧装置10は、ピストン11、シリンジ12、及び、加圧ヘッド13を有する。加圧ヘッド13はシリンジ12の下端に接続されている。加圧ヘッド13の下面には、円形溝が形成され、この円形溝にOリング15が挿入されている。加圧ヘッド13には、下面と外部を接続する貫通孔14が設けられている。
【0020】
図示の例では、架台4の上に、使用前のフィルタ付きシート16を格納する第1のホルダ17と使用後のフィルタ付きシート16を格納する第2のホルダ18が配置されている。フィルタ付きシート16は、エアロゾル捕捉のためのフィルタを有する。尚、フィルタ付きシート16の詳細は、図2を参照して詳細に説明する。
【0021】
加圧装置10は、架台4に対して上下方向に移動可能であるが、横方向には移動できない。一方、架台4は、図示しない中心軸線回りに、回転可能である。従って、架台4は、加圧装置10に対して横方向に移動可能であるが、上下方向には移動できない。
【0022】
先ず、架台4を回転させ、加圧装置10の下に、第1のホルダ17を配置させる。次に、加圧装置10を下降させる。加圧ヘッド13の下面が、第1のホルダ17に格納されたフィルタ付きシートに接触する。加圧ヘッド13によって第1のホルダ17に格納されたフィルタ付きシート16の1枚を取り上げる。ここでは、加圧ヘッド13の貫通孔14から空気を吸引することにより、フィルタ付きシート16を加圧ヘッド13の下面に吸着させる。次に、加圧装置10を上昇させる。図1Bは、加圧ヘッド13によって、フィルタ付きシート16が吸着され保持された状態を示す。
【0023】
次に、架台4を回転させ、加圧装置10の下にカラム3を配置させる。次に、加圧装置10を下降させる。図1Cは、加圧ヘッド13の下面に吸着されたフィルタ付きシート16が、カラム3の上面に接触した状態を示す。加圧ヘッド13の下面に装着されたOリング15は弾性変形する。それによって、フィルタ付きシート16は、加圧ヘッド13の下面とカラム3の上面の間に挟まれた状態で、カラム3の上面に押し付けられる。このとき、加圧ヘッド13の内部の空間、及び、カラム3の内部の空間は、完全に外気に対して密閉される。
【0024】
次に、ピストン11を矢印19で示す方向に下降させ、シリンジ12内の空気を圧縮する。圧縮された空気は、フィルタ付きシート16を通過し、カラム3内の試料溶液6の液面を加圧する。試料溶液6は、吸着部材5を通過し、容器20に排出される。試料溶液6が吸着部材5を通過するとき、試料溶液6に含まれる核酸は、吸着部材5に捕獲される。従って、容器20には、核酸を抽出した後の廃液が排出される。カラム3内の試料溶液6の液面に、圧縮空気が衝突するとき、エアロゾルが発生する。しかしながら、カラム3の内部の空間は、完全に密閉されている。従って、このエアロゾルが、カラム3の外に散逸することはない。従って、本発明によると、試料溶液6がカラムの外部に散乱することが防止される。従って、クロスコンタミネーションを防止することができる。
【0025】
次に、加圧装置10を上昇させる。架台4を回転させ、加圧装置10の下に、図1Bに示した第2のホルダ18を配置させる。次に、加圧装置10を下降させる。次に、加圧ヘッド13よりフィルタ付きシート16を除去する。ここでは、加圧ヘッド13の貫通孔14から空気を注入することにより、フィルタ付きシート16を加圧ヘッドより外す。使用済みのフィルタ付きシート16は廃棄される。
【0026】
こうして、核酸の吸着工程が終了すると、次に、吸着部材5を洗浄する洗浄工程を実行する。洗浄工程では、吸着部材5に洗浄液を通過させる。それによって、吸着部材5に付着した試料溶液6に含まれる不純物(本例では、核酸以外の成分、例えば、タンパク質、脂質等)を洗浄除去する。洗浄工程の次に核酸の溶離工程を実行する。核酸の溶離工程では、吸着部材5に溶離液を通過させる。それによって、吸着部材5に吸着された核酸が溶離される。核酸は溶離液と共に下方の核酸回収用容器に格納される。これらの洗浄工程、核酸の溶離工程は、上述した核酸の吸着工程と同様な手順にて実行可能である。吸着部材5に、洗浄液、溶離液、試薬等を通過させる動作は、吸着部材5に、試料溶液6を通過させる動作と同一である。
【0027】
ここでは、核酸を抽出する場合を説明したが、タンパク質や薬物を抽出する場合も、吸着部材の材質及び構造、試薬の量及び組成は異なるが、操作手順は同様である。本発明は、加圧した空気を供給することにより、カラムから容器に送液する操作が必要な装置又はシステムに利用可能である。
【0028】
図2A及び図2Bを参照して、本発明によるフィルタ付きシート16の例を説明する。図2Aは、本例のフィルタ付きシートの第1の例の上面構成を示す。本例のフィルタ付きシートは、円形のフィルタ30a、リング状のシート部材31a、及び、リング状のフィルタ押え32aを有する。フィルタ30aは、目の粗さがサブミクロンから数ミクロン程度の円形の樹脂製フィルタであってよい。フィルタ30aは、ミリポア社製の疎水性メンブレンフィルタ(孔径0.5mμm、厚さ0.2mm)、又は、ワットマン社製ニトロセルロースフィルタ(孔径0.2μm)であってもよい。シート部材31aは中心部を円形に切り抜いた円盤状の樹脂製のシートである。フィルタ押え32aは、シート部材31aと同一の材料によって製造してよい。シート部材31aの中心の孔を被うように、フィルタ30aを装着し、その上に、フィルタ押え32aを装着する。フィルタ押え32は、シート部材31に溶着により接着してよい。尚、本例のフィルタ付きシートを、図1B及び図1Cを参照して説明した加圧装置に使用する場合、加圧ヘッド13の下面の貫通孔14は、シート部材31aに配置される。
【0029】
図2Bは、本発明によるフィルタ付きシート16の他の例を説明する。本例のフィルタ付きシート16は、円形のフィルタ30b、リング状のシート部材31b、及び、リング状のフィルタ押え32bを有する。本例では、フィルタ30bの材料として耐熱性、及び、耐薬品性を備えたガラスやテフロンを用いる。フィルタ30bの材料として、このように、溶着困難な材料を用いる場合には、リング状のシート部材31bは、段付きの樹脂製リング状シートによって構成する。このシート部材31bに、フィルタ30bを挿入し、その上から押え32bを圧入する。
【0030】
図3A及び図3Bにカラム3の他の例を示す。図3Aに示す例では、カラム3の細管部3cの段差部に、つば型のフィルタ3dが設けられている。つば型のフィルタ3dは、樹脂製リングとその周囲に設けられたリング状のフィルタ部材を有する。フィルタ部材は、樹脂製リングに溶着により接続されている。樹脂製リングを、カラム3の細管部3cに、はめ込んで固定することができる。フィルタ3dは、カラム3の下方の容器20を被うように配置される。カラム3から容器20に吐出された圧縮空気は、フィルタ3dを経由して容器20の外方に排出される。カラムの細管部3cの吸着部材5を通過した液が、容器内の液に衝突するときにエアロゾルが発生する。本例によると、容器20はフィルタ3dによって密閉されている。従って、本例によると、エアロゾルが容器20の外に拡散することを防止することができる。
【0031】
図3Bに示す例は、特許文献2に記載の例と同様である。本例では、カラム3に、円筒状の隔壁3eが設けられている。この隔壁3eは、カラムの円筒容器部3bから下方に延びている。隔壁3eは、容器20の周囲を囲むように配置されている。本例でも、カラムの細管部3cに、つば型のフィルタ3dが設けられている。つば型のフィルタ3dは、カラムの細管部3cと隔壁3eの間の円筒状の空間に配置されている。フィルタ3dは、カラム3の下方の容器20を被うように配置される。カラム3から容器20に吐出された圧縮空気は、フィルタ3dを経由して容器20の外方に排出される。カラムの細管部3cの吸着部材5を通過した液が、容器内の液に衝突するときにエアロゾルが発生する。本例によると、容器20はフィルタ3dによって密閉されている。従って、本例によると、エアロゾルが容器20の外に拡散することを防止することができる。
【0032】
図4A及び図4Bを参照して、本発明によるフィルタ装着機構の他の例を説明する。図1B及び図1Cに示した例では、フィルタ付きシート16はカラム3とは別個の部材として構成されている。しかしながら、本例では、フィルタ付きシート16はカラム3と一体に構成されている。使用後は、カラム3と共にフィルタ付きシート16は廃棄される。
【0033】
カラム3は、フランジ部3a、円筒容器部3b、細管部3c、及び、つば型のフィルタ3dを有する。本例では、カラム3は、更に、円形のフィルタ50、及び、リング状のシート部材51を有する。フィルタ50はリング状のシート部材51に装着されている。シート部材51は樹脂によって形成されてよい。シート部材51は、フランジ部3aの上を被うように配置されることもできるが、フランジ部3aに対して直立するように配置されることもできる。図示の例では、シート部材51は、弾性部材51aによってカラム3のフランジ部3aに装着されている。更に、架台4には、押え52が、駆動可能に、装着されている。押え52は、駆動部材53の回りに、駆動可能である。
【0034】
本例によると、試料溶液等をカラムに分注する場合には、押え52を図示のように直立した位置に配置する。弾性部材51aに対する負荷が開放され、シート部材51は、図示のように直立した位置に配置される。加圧ヘッドよりカラム内に圧縮空気を送るとき、押え52を倒す。弾性部材51aは変形し、シート部材51はフランジ部3a上に押し付けられる。それによって、カラム内は密閉され、カラム内に圧縮空気を供給しても、液面から発生したエアロゾルがカラムの外部に発散することを防止することができる。
【0035】
ここでは、シート部材51をカラムのフランジ部3aに装着する手段として、弾性部材51aを例として説明したが、他の構造を用いてもよい。また、押え52を架台に装着する手段として駆動部材53を例として説明したが、他の構造を用いてもよい。
【0036】
図5A及び図5Bを参照して本発明によるフィルタの装着機構の更に別の例を説明する。図5Aに示すように、架台4は、6個のカラムを等間隔にて保持するように構成されている。ここで、説明の都合上、6個のカラムの位置を、分注位置4a、4c、4e、及び、加圧位置4b、4d、4fと称する。加圧位置には、図1B及び図1Cを参照して説明した加圧装置の加圧ヘッドが配置されている。各カラムの近傍に、押え62が設けられている。押え62は、図4Aに示した押え52と同様な構造を有してよい。架台4の周囲には、2つのリール64、65が設けられている。架台4とリール64、65は、矢印の方向に回転する。本例では、図5Bに示すように、フィルタ付きシートはリボン状に形成されている。即ち、フィルタ付きシートは、円形のフィルタ60とシート部材61とリボン61aを有する。シート部材61はリボン61aによって所定の間隔にて保持されている。シート部材61にはフィルタ60が支持されている。一方のリール64に巻かれた、本例のリボン状フィルタ付きシートは、架台4の周囲を延び、他方のリール65によって巻き取られる。図示の例では、シート部材61は矩形であるが、図4Bの例のように円形であってもよい。
【0037】
分注位置4a、4c、4eでは、押え62は直立しており、シート61は直立している。加圧位置4b、4d、4fでは、押え62によってシート61はカラムの上に配置されている。架台が1/6回転する毎に、カラムは、第1の分注位置4a、第1の加圧位置4b、第2の分注位置4c、第2の加圧位置4d、第3の分注位置4e、第3の加圧装置4fの順に移動する。即ち、架台が回転すると、カラムは架台と共に移動するが、分注位置及び加圧位置は、移動しない。分注位置及び加圧位置は、架台に対して固定されている。
【0038】
第1の分注位置4aでは、押え62が開放され、シート61は直立している。ピペッタによってカラムに試料溶液が分注される。次に、架台が1/6回転する。試料溶液が分注されたカラムは、第1の分注位置4aから第1の加圧位置4bに移動する。第1の加圧位置4bでは、押え62が作動し、シート61はカラムの上に配置される。加圧装置によって、試料溶液が装填されたカラムに圧縮空気が供給される。図1Cに示したように、試料溶液6は、吸着部材5を通過し、下方の廃液容器に排出される。こうして、核酸の吸着工程が実行される。次に、架台が1/6回転する。カラムは、第1の加圧位置4bから第2の分注位置4cに移動する。
【0039】
第2の分注位置4cでは、押え62が開放され、シート61は直立する。カラムに洗浄液が分注される。次に、架台が1/6回転する。カラムは、第2の分注位置4cから第2の加圧位置4dに移動する。第2の加圧位置4dでは、押え62が作動し、シート61はカラムの上に配置される。加圧装置によって、洗浄液が装填されたカラムに圧縮空気が供給される。洗浄液は、吸着部材5を通過し、下方の廃液容器に排出される。こうして、核酸の洗浄工程が実行される。次に、架台が1/6回転する。洗浄されたカラムは、第2の分注位置4cから第3の分注位置4eに移動する。第3の分注位置4eでは、押え62が開放され、シート61は直立する。カラムに溶離液が分注される。次に、架台が1/6回転する。溶離液が分注されたカラムは、第3の分注位置4eから第3の加圧装置4fに移動する。第3の加圧装置4fでは、押え62が作動し、シート61はカラムの上に配置される。加圧装置によって、溶離液が装填されたカラムに圧縮空気が供給される。核酸は吸着部材5より溶離し、溶離液とともに下方の核酸回収容器に排出される。こうして、核酸の溶離工程が実行される。核酸の溶離工程が終了すると、核酸回収容器が回収される。次に、架台が1/6回転する。カラムは、第3の加圧装置4fから第1の分注位置4aに戻る。そこで、カラムは交換される。
【0040】
本例によると、架台が回転すると、各カラムでは、吸着、洗浄、及び、溶離の3つの工程が、順に、実行される。
【0041】
リール64の送り速度とリール65の巻き取り速度は、カラム4の移動速度と同一である。即ち、架台4が1/6回転すると、リボン状のフィルタ付きシートも同一速度にて同一距離だけ移動する。本例では、1つのカラムに対して1つのフィルタ付きシートが対応する。即ち、各カラムに対応した1つのフィルタによって、吸着、洗浄、溶離の工程を行なう。そのため、フィルタ付きシートが有効に使用される。図1B及び図1Cに示した第1の例では、加圧操作の度にフィルタ付きシートを交換する。そのため、吸着、洗浄、及び、溶離の3つの工程では、合計3枚のフィルタ付きシートが必要となる。しかしながら、本例では、吸着、洗浄、及び、溶離の3つの工程では、1枚のシートしか使用しない。
【0042】
図6を参照して本発明による核酸抽出装置の例を説明する。本例の核酸抽出装置は、円板状の架台4を有する。架台4には、6個のカラムを配置することができる。カラムの位置を、分注位置4a、4c、4e、及び、加圧位置4b、4d、4fと称する。加圧位置4b、4d、4fには、それぞれ、加圧装置10の加圧ヘッドが設けられている。図6には、カラムに装着するフィルタの装着装置の図示が省略されている。ここでは、図1B及び図1Cにて示した第1の例、図4に示した第2の例、図5に示した第3の例のいずれの例を用いてもよい。本例によると、図5の例と同様に、架台が回転すると、各カラムでは、吸着、洗浄、及び、溶離の3つの工程が、順に、実行される。本例の核酸抽出装置は、筐体95を有する。筐体95内に配置された機能を以下に説明する。
【0043】
第1の分注位置4aに隣接して、カラム供給系92が配置されている。カラム供給系92は、未使用のカラム79を保持するカラムラック78、カラムを搬送するカラムグリッパ81、使用済みカラムを廃棄するための廃棄口80を有する。カラムグリッパ81によってカラムは、破線にて示す軌跡81aに沿って移動する。カラムグリッパ81は、架台4の第1の分注位置4aに配置された使用済みのカラムを廃棄口80に投入し、未使用のカラム79をカラムラック78から架台4の第1の分注位置4aに搬送する。尚、カラムラック78の移動機構は図示していない。
【0044】
第1の分注位置4aに隣接して、試料供給系93が配置されている。試料供給系93は、サンプル分注用ピペッタ83、サンプル容器85を保持するサンプルディスク84、及び、使用済みサンプル分注用ピペットチップを廃棄するための廃棄口86を有する。サンプル分注用ピペッタ83の先端のピペットチップは、破線にて示す軌跡83aに沿って移動する。サンプル分注用ピペッタ83は、未使用のピペットチップを用いて、サンプルディスク84に保持されたサンプル容器85内の試料溶液を第1の分注位置4aのカラムに分注し、使用済みのピペットチップを廃棄口86に投入する。
【0045】
サンプルディスク84に保持されるサンプル容器は逐次追加、排出が可能である。どのサンプル容器のサンプルが分注されるかは、サンプルディスク84の回転によって選択される。従って、緊急に優先して処理すべきサンプルについては、それを優先的に処理することができる。
【0046】
第2の加圧位置4dに隣接して、試薬供給系91が配置されている。試薬供給系91は、未使用の試薬分注用ピペットチップ71を保持する試薬分注用ピペットチップラック70、試薬を保持する試薬試薬ディスク72、及び、使用済み試薬分注用ピペットチップを廃棄するための廃棄口76を有する。試薬供給系は、図示しない、試薬分注用ピペッタを有する。試薬分注用ピペッタの先端の試薬分注用ピペットチップ71は、破線にて示す軌跡71aに沿って移動する。試薬ディスク72には、洗浄液採取口73、溶離液採取口74が設けられている。試薬分注用ピペッタは、試薬分注用ピペットチップラック70に保持された未使用の試薬分注用ピペットチップ71を用いて、洗浄液採取口73から洗浄液を採取し、それを、第2の分注位置4cに配置されたカラムに分注する。試薬分注用ピペッタは、試薬分注用ピペットチップラック70に保持された未使用の試薬分注用ピペットチップ71を用いて、溶離液採取口74から溶離液を採取し、それを、第3の分注位置4eに配置されたカラムに分注する。尚、ピペットチップラック70の移動機構は図示していない。
【0047】
第3の加圧位置4fに隣接して、核酸回収系94が配置されている。核酸回収系94は、核酸回収用容器89を保持する核酸回収用容器ラック88、及び、核酸回収用容器89を搬送する容器グリッパ90を有する。核酸回収用容器グリッパ90によって核酸回収用容器89は、破線にて示す軌跡90aに沿って移動する。核酸回収用容器グリッパ90は、核酸回収用容器ラック88に保持された未使用の核酸回収用容器89を架台4の第3の分注位置4eの下方に配置する。更に、核酸回収用容器グリッパ90は、核酸を回収した核酸回収用容器89を架台4の第3の加圧位置4fの下方から取り出し、それを核酸回収用容器ラック88に戻す。尚、容器ラック88の移動機構は図示していない。
【0048】
従来のカラム方式の前処理装置では、複数のサンプルを纏めて処理するバッチ方式が用いられていた。従って、バッチ単位数のサンプルが集まらないと処理がスタートできないという問題がある。また、迅速に結果を得たいという検査ニーズには向かなかった。本発明によると、カラム方式の前処理装置であっても、バッチ方式ではなく、サンプルを逐次投入可能である。更に、サンプルを、1つずつ連続で処理することができるので最短の時間で処理が可能である。また、緊急処理のための割り込みなど、臨床検査でのルーチン分析に適した要求事項を実現することができる。
【0049】
従来の加圧式の試料前処理装置では、圧縮操作によって発生するエアロゾルによって、装置部品が汚染され、それが原因で、クロスコンタミネーションが発生する可能性があった。そのため、検査精度を低下させるリスクを排除することはできなかった。本発明によると、信頼性の高い前処理装置を実現することができる。そのため、特に高感度な核酸検査において有効である。
【0050】
以上本発明の例を説明したが本発明は上述の例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲にて様々な変更が可能であることは、当業者によって容易に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1A】本発明による試料前処理装置のカラムへの試料溶液の投入の工程を説明する図である。
【図1B】本発明による試料前処理装置のフィルタ装着機構の例を説明する図である。
【図1C】本発明による試料前処理装置の加圧ヘッドとカラムの間にフィルタ付きシートが配置された状態を示す図である。
【図2A】本発明による試料前処理装置に用いるフィルタ付きシートの平面構成の例を示す図である。
【図2B】本発明による試料前処理装置に用いるフィルタ付きシートの断面構成の例を示す図である。
【図3A】本発明による試料前処理装置に用いるカラムの他の例を示す図である。
【図3B】本発明による試料前処理装置に用いるカラムの更に他の例を示す図である。
【図4A】本発明による試料前処理装置に用いるカラムの更に他の例を示す図である。
【図4B】本発明による試料前処理装置に用いるカラムの更に他の例を示す図である。
【図5A】本発明による試料前処理装置に用いる架台の例を示す図である。
【図5B】本発明による試料前処理装置に用いるフィルタ付きシートの例を示す図である。
【図6】本発明による試料前処理装置の構成の例を示す図である。
【符号の説明】
【0052】
1…ピペッタヘッド、2…ピペットチップ、3…カラム、3a…フランジ部、3b…円筒容器部、3c…細管部、3d…つば型のフィルタ、3e…隔壁、4…架台、4a、4c、4d…分注位置、4b、4d、4e…加圧位置、5…吸着部材、6…試料溶液、10…加圧装置、11…ピストン、12…シリンジ、13…加圧ヘッド、14…貫通孔(空気の吸引/導入路)、15…Oリング、16…フィルタ付きシート、17、18…フィルタ付きシートのホルダ、19…ピストンの移動方向(加圧時)、20…容器、30a、30b…フィルタ、31a、31b…リング状シート、32a、32b…押え、50…フィルタ、51…シート部材、51a…弾性部材、52…押え、53…駆動部材、60…フィルタ、61…シート部材、61a…リボン、62…押え、64、65…リール、70…試薬分注用ピペットチップラック、71…試薬分注用ピペットチップ、71a…試薬分注用ピペットの先端位置の軌跡、72…試薬ディスク、73…試薬(洗浄液)採取口、74…試薬(溶離液)採取口、76…試薬分注用ピペットチップ廃棄口、78…カラムラック、79…カラム、80…使用済みカラム廃棄口、81…カラムグリッパ、81a…カラムグリッパのカラム移送位置の軌跡、83…サンプル分注用ピペッタ、83a…サンプル分注用ピペッタ先端の軌跡、84…サンプルディスク、85…サンプル容器、86…サンプル分注用ピペットチップの廃棄口、88…核酸回収用容器ラック、89…核酸回収用容器、90…核酸回収用容器グリッパ、90a…核酸回収用容器グリッパの容器移送位置の軌跡、91…試薬供給系、92…カラム供給系、93…試料供給系、94…核酸回収系、95…筐体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料溶液を導入するための導入口と前記試料溶液を排出するための排出口とを有するカラムと、該カラムの前記導入口に加圧空気を供給する加圧装置と、を有する試料前処理装置において、
前記加圧装置は、加圧ヘッドを有し、該加圧ヘッドの先端面と前記カラムの導入口の間にフィルタ付きシートが挿入されるように構成されていることを特徴とする試料前処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の試料前処理装置において、
前記フィルタ付きシートは、フィルタと、該フィルタを支持するシート部材とを有し、前記フィルタは、樹脂製フィルタ、疎水性メンブレンフィルタ、又は、ニトロセルロースフィルタであることを特徴とする試料前処理装置。
【請求項3】
請求項1記載の試料前処理装置において、
前記フィルタ付きシートは、フィルタと該フィルタを支持するシート部材と前記フィルタを前記シート部材上に押えるフィルタ押えとを有し、前記フィルタはガラス又はテフロンによって形成されていることを特徴とする試料前処理装置。
【請求項4】
請求項1記載の試料前処理装置において、
前記フィルタ付きシートは、複数のフィルタと該フィルタの各々を支持する複数のシート部材と該複数のシート部材を支持する1枚のリボンを有し、該リボンは、リールによって巻き取られていることを特徴とする試料前処理装置。
【請求項5】
請求項1記載の試料前処理装置において、
前記フィルタ付きシートは、フィルタと、該フィルタを支持するシート部材と、を有し、該シート部材は、弾性支持部材によって前記カラムに装着されていることを特徴とする試料前処理装置。
【請求項6】
請求項5記載の試料前処理装置において、
前記カラムには、前記フィルタ付きシートを前記カラムに押し付けるための押え部材が設けられていることを特徴とする試料前処理装置。
【請求項7】
請求項1記載の試料前処理装置において、
前記加圧ヘッドには、前記先端面と外部を接続する貫通孔が形成され、該貫通孔を介して空気を外部に吸引することによって、前記フィルタ付きシートは、前記加圧ヘッドの先端面に吸着され、該貫通孔を介して外部より空気を供給することによって、前記フィルタ付きシートは、前記加圧ヘッドの先端面より外されるように構成されていることを特徴とする試料前処理装置。
【請求項8】
請求項1記載の試料前処理装置において、
前記加圧ヘッドの先端面には、Oリングが装着されていることを特徴とする試料前処理装置。
【請求項9】
請求項1記載の試料前処理装置において、
前記カラムは、前記導入口を備えたフランジ部と、該フランジ部に接続された円筒容器部と、前記排出口を備えた細管部と、を有し、該細管部に、核酸を吸着させるための吸着部材が挿入されていることを特徴とする試料前処理装置。
【請求項10】
請求項9記載の試料前処理装置において、
前記カラムの細管部の周囲には、リング状のフィルタが設けられ、前記カラムの下方に配置された容器は、前記リング状のフィルタによって覆われるように構成されていることを特徴とする試料前処理装置。
【請求項11】
回転可能な円形の架台と、前記架台に保持された少なくとも1つのカラムと、該カラムに加圧空気を供給する加圧装置と、前記架台にカラムを供給するカラム供給系と、前記架台に保持されたカラムに試料を分注する試料供給系と、前記架台に保持されたカラムに試薬を分注する試薬供給系と、前記架台に保持されたカラムの下方に配置された核酸回収用容器を回収する核酸回収系と、を有し、
前記加圧装置は、平坦な先端面を有する加圧ヘッドを有し、該加圧ヘッドの先端面と前記カラムの試料溶液導入口の間にフィルタ付きシートが挿入されるように構成されていることを特徴とする核酸抽出装置。
【請求項12】
請求項11記載の核酸抽出装置において、
前記フィルタ付きシートは、複数のフィルタと該フィルタの各々を支持する複数のシート部材と該複数のシート部材を支持する1枚のリボンを有し、
前記架台の周囲には、前記リボンが巻き取られている第1のリールと、該第1のリールからのリボンを巻き取るための第2のリールと、を有し、前記第1のリールから出て前記第2のリールに巻き取られるまでのリボンは、前記架台の円周に沿って延びていることを特徴とする核酸抽出装置。
【請求項13】
請求項12記載の核酸抽出装置において、
前記架台が回転することによって前記架台に保持されたカラムが円周方向に沿って移動するとき、前記第1のリールから供給され前記第2のリールによって巻き取られる前記リボンは、前記カラムの円周方向の移動速度と同一の移動速度にて移動することを特徴とする核酸抽出装置。
【請求項14】
円形の架台に吸着部材を有するカラムを設置する工程と、
前記カラムに試料を分注する工程と、
前記架台を回転軸回りに1/6回転させる工程と、
加圧装置の加圧ヘッドと前記カラムの間にフィルタ付きシートを配置する工程と、
前記試料が前記カラムの吸着部材を通過するように、加圧装置より加圧空気を前記カラムに供給する工程と、
前記架台を回転軸回りに1/6回転させる工程と、
前記カラムの上にフィルタ付きシートを除去し、前記カラムに洗浄液を分注する工程と、
前記洗浄液が前記カラムの吸着部材を通過するように、加圧装置より加圧空気を前記カラムに供給する工程と、
前記架台を回転軸回りに1/6回転させる工程と、
前記加圧装置の加圧ヘッドと前記カラムの間のフィルタ付きシートを除去し、前記カラムの下に核酸回収用容器を配置し、前記カラムに溶離液を分注する工程と、
前記溶離液が前記カラムの吸着部材を通過するように、加圧装置より加圧空気を前記カラムに供給する工程と、
溶離液と核酸が収容された前記核酸回収用容器を回収する工程と、
を有する核酸回収方法。
【請求項15】
請求項14記載の核酸回収方法において、
前記フィルタ付きシートは、複数のフィルタと該フィルタの各々を支持する複数のシート部材と該複数のシート部材を支持する1枚のリボンを有し、
前記架台の周囲には、前記リボンが巻き取られている第1のリールと、該第1のリールからのリボンを巻き取るための第2のリールと、を有し、前記第1のリールから出て前記第2のリールに巻き取られるまでのリボンは、前記架台の円周に沿って延びていることを特徴とする核酸回収方法。
【請求項16】
請求項15記載の核酸回収方法において、
前記フィルタ付きシートは、前記架台の回転と同一速度且つ同一回転角度にて移動することを特徴とする核酸回収方法。
【請求項17】
請求項14記載の核酸回収方法において、
前記加圧装置の加圧ヘッドと前記カラムの間にフィルタ付きシートを配置する工程は、
前記加圧装置の加圧ヘッドの下面を前記フィルタ付きシートに接触させる工程と、
前記加圧装置の加圧ヘッドの下面に形成された孔より空気を吸引することによって、前記加圧装置の加圧ヘッドの下面に前記フィルタ付きシートを吸着させる工程と、
を有することを特徴とする核酸回収方法。
【請求項18】
請求項14記載の核酸回収方法において、
前記加圧装置の加圧ヘッドと前記カラムの間のフィルタ付きシートを除去する工程は、
前記加圧装置の加圧ヘッドの下面に形成された孔に空気を供給することによって、前記加圧装置の加圧ヘッドの下面より前記フィルタ付きシートを除去する工程と、
を有することを特徴とする核酸回収方法。
【請求項1】
試料溶液を導入するための導入口と前記試料溶液を排出するための排出口とを有するカラムと、該カラムの前記導入口に加圧空気を供給する加圧装置と、を有する試料前処理装置において、
前記加圧装置は、加圧ヘッドを有し、該加圧ヘッドの先端面と前記カラムの導入口の間にフィルタ付きシートが挿入されるように構成されていることを特徴とする試料前処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の試料前処理装置において、
前記フィルタ付きシートは、フィルタと、該フィルタを支持するシート部材とを有し、前記フィルタは、樹脂製フィルタ、疎水性メンブレンフィルタ、又は、ニトロセルロースフィルタであることを特徴とする試料前処理装置。
【請求項3】
請求項1記載の試料前処理装置において、
前記フィルタ付きシートは、フィルタと該フィルタを支持するシート部材と前記フィルタを前記シート部材上に押えるフィルタ押えとを有し、前記フィルタはガラス又はテフロンによって形成されていることを特徴とする試料前処理装置。
【請求項4】
請求項1記載の試料前処理装置において、
前記フィルタ付きシートは、複数のフィルタと該フィルタの各々を支持する複数のシート部材と該複数のシート部材を支持する1枚のリボンを有し、該リボンは、リールによって巻き取られていることを特徴とする試料前処理装置。
【請求項5】
請求項1記載の試料前処理装置において、
前記フィルタ付きシートは、フィルタと、該フィルタを支持するシート部材と、を有し、該シート部材は、弾性支持部材によって前記カラムに装着されていることを特徴とする試料前処理装置。
【請求項6】
請求項5記載の試料前処理装置において、
前記カラムには、前記フィルタ付きシートを前記カラムに押し付けるための押え部材が設けられていることを特徴とする試料前処理装置。
【請求項7】
請求項1記載の試料前処理装置において、
前記加圧ヘッドには、前記先端面と外部を接続する貫通孔が形成され、該貫通孔を介して空気を外部に吸引することによって、前記フィルタ付きシートは、前記加圧ヘッドの先端面に吸着され、該貫通孔を介して外部より空気を供給することによって、前記フィルタ付きシートは、前記加圧ヘッドの先端面より外されるように構成されていることを特徴とする試料前処理装置。
【請求項8】
請求項1記載の試料前処理装置において、
前記加圧ヘッドの先端面には、Oリングが装着されていることを特徴とする試料前処理装置。
【請求項9】
請求項1記載の試料前処理装置において、
前記カラムは、前記導入口を備えたフランジ部と、該フランジ部に接続された円筒容器部と、前記排出口を備えた細管部と、を有し、該細管部に、核酸を吸着させるための吸着部材が挿入されていることを特徴とする試料前処理装置。
【請求項10】
請求項9記載の試料前処理装置において、
前記カラムの細管部の周囲には、リング状のフィルタが設けられ、前記カラムの下方に配置された容器は、前記リング状のフィルタによって覆われるように構成されていることを特徴とする試料前処理装置。
【請求項11】
回転可能な円形の架台と、前記架台に保持された少なくとも1つのカラムと、該カラムに加圧空気を供給する加圧装置と、前記架台にカラムを供給するカラム供給系と、前記架台に保持されたカラムに試料を分注する試料供給系と、前記架台に保持されたカラムに試薬を分注する試薬供給系と、前記架台に保持されたカラムの下方に配置された核酸回収用容器を回収する核酸回収系と、を有し、
前記加圧装置は、平坦な先端面を有する加圧ヘッドを有し、該加圧ヘッドの先端面と前記カラムの試料溶液導入口の間にフィルタ付きシートが挿入されるように構成されていることを特徴とする核酸抽出装置。
【請求項12】
請求項11記載の核酸抽出装置において、
前記フィルタ付きシートは、複数のフィルタと該フィルタの各々を支持する複数のシート部材と該複数のシート部材を支持する1枚のリボンを有し、
前記架台の周囲には、前記リボンが巻き取られている第1のリールと、該第1のリールからのリボンを巻き取るための第2のリールと、を有し、前記第1のリールから出て前記第2のリールに巻き取られるまでのリボンは、前記架台の円周に沿って延びていることを特徴とする核酸抽出装置。
【請求項13】
請求項12記載の核酸抽出装置において、
前記架台が回転することによって前記架台に保持されたカラムが円周方向に沿って移動するとき、前記第1のリールから供給され前記第2のリールによって巻き取られる前記リボンは、前記カラムの円周方向の移動速度と同一の移動速度にて移動することを特徴とする核酸抽出装置。
【請求項14】
円形の架台に吸着部材を有するカラムを設置する工程と、
前記カラムに試料を分注する工程と、
前記架台を回転軸回りに1/6回転させる工程と、
加圧装置の加圧ヘッドと前記カラムの間にフィルタ付きシートを配置する工程と、
前記試料が前記カラムの吸着部材を通過するように、加圧装置より加圧空気を前記カラムに供給する工程と、
前記架台を回転軸回りに1/6回転させる工程と、
前記カラムの上にフィルタ付きシートを除去し、前記カラムに洗浄液を分注する工程と、
前記洗浄液が前記カラムの吸着部材を通過するように、加圧装置より加圧空気を前記カラムに供給する工程と、
前記架台を回転軸回りに1/6回転させる工程と、
前記加圧装置の加圧ヘッドと前記カラムの間のフィルタ付きシートを除去し、前記カラムの下に核酸回収用容器を配置し、前記カラムに溶離液を分注する工程と、
前記溶離液が前記カラムの吸着部材を通過するように、加圧装置より加圧空気を前記カラムに供給する工程と、
溶離液と核酸が収容された前記核酸回収用容器を回収する工程と、
を有する核酸回収方法。
【請求項15】
請求項14記載の核酸回収方法において、
前記フィルタ付きシートは、複数のフィルタと該フィルタの各々を支持する複数のシート部材と該複数のシート部材を支持する1枚のリボンを有し、
前記架台の周囲には、前記リボンが巻き取られている第1のリールと、該第1のリールからのリボンを巻き取るための第2のリールと、を有し、前記第1のリールから出て前記第2のリールに巻き取られるまでのリボンは、前記架台の円周に沿って延びていることを特徴とする核酸回収方法。
【請求項16】
請求項15記載の核酸回収方法において、
前記フィルタ付きシートは、前記架台の回転と同一速度且つ同一回転角度にて移動することを特徴とする核酸回収方法。
【請求項17】
請求項14記載の核酸回収方法において、
前記加圧装置の加圧ヘッドと前記カラムの間にフィルタ付きシートを配置する工程は、
前記加圧装置の加圧ヘッドの下面を前記フィルタ付きシートに接触させる工程と、
前記加圧装置の加圧ヘッドの下面に形成された孔より空気を吸引することによって、前記加圧装置の加圧ヘッドの下面に前記フィルタ付きシートを吸着させる工程と、
を有することを特徴とする核酸回収方法。
【請求項18】
請求項14記載の核酸回収方法において、
前記加圧装置の加圧ヘッドと前記カラムの間のフィルタ付きシートを除去する工程は、
前記加圧装置の加圧ヘッドの下面に形成された孔に空気を供給することによって、前記加圧装置の加圧ヘッドの下面より前記フィルタ付きシートを除去する工程と、
を有することを特徴とする核酸回収方法。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図1B】
【図1C】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【公開番号】特開2010−151551(P2010−151551A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−328783(P2008−328783)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
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