説明

試料導入装置

【課題】試料の再捕集が可能な流路構成であってその流路内部に試料成分が残存しないよう十分なパージが行なわれる流路構成をもつ試料導入装置を提供する。
【解決手段】トラップ捕集工程では、6方切替バルブ2をポートa‐f間、b‐c間、d‐e間を接続した状態にし、6方切替バルブ4をポートa‐b間、c‐d間、e‐f間を接続した状態にし、電磁弁30を開く。キャリアガスがキャリアガス流路26から導入され、6方切替バルブ2‐サンプル流路32‐6方切替バルブ4‐トラップ流路34‐6方切替バルブ4‐流路33‐6方切替バルブ2‐排出流路36を経て排出される。キャリアガスは電子制御フローコントローラ14を介する経路からも導入され、分析流路46の安定化の動作は継続して行なわれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸着剤や固体試料を充填したサンプルチューブを加熱することにより気体試料を脱離させ、脱離した気体試料をガスクロマトグラフ装置などの分析装置へ導入する加熱脱離方式の試料導入装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガスクロマトグラフ装置などの分析装置に試料を導入する加熱脱離方式の試料導入装置は、吸着剤や固体試料を充填したサンプルチューブを加熱することで吸着していた成分を揮発させ、トランスファラインを通してガスクロマトグラフのカラムに導入する装置である。
【0003】
このような試料導入装置では、サンプルチューブを直接的にカラムに接続して試料成分をカラムに導入すると、サンプルチューブに充填されている吸着剤の体積が大きい反面、カラム内の流速が小さいため、全ての成分がカラムを通過するのに時間がかかり、検出ピークのバンド幅が広くなるという問題があった。そのため、少量の吸着剤を充填した管からなるトラップを装置内に設け、冷却したトラップにサンプルチューブから脱離した試料成分を含むガスを通すことで成分をトラップに吸着させた後、トラップを加熱して試料成分を再び脱離させて分析カラムに導入するという方法が採られることがある。
【0004】
なお、トラップから脱離した試料成分を分析カラムに導入する際は、検出ピークのバンド幅を狭めるために、トラップから脱離した試料成分を含むガスの一部のみを分析カラムに導入するようになっている装置がある。そのような装置では、分析カラムに導入されなかったスプリットガスをサンプルチューブ側へ戻すように流路が構成され、サンプルチューブに試料成分を再度捕集して次回の分析に再利用できるようになっている装置もある(特許文献1参照。)。
【0005】
試料の再捕集を行なう機能を備えたガスクロマトグラフの試料導入装置の流路構成の一例を図5を用いて説明する。
キャリアガスを導入するためのキャリアガス流路112が設けられている。キャリアガス流路112は流路114と流路118に分岐している。キャリアガス流路112から分岐した一方の流路114はサンプル流路106と再捕集ガス排出流路122にさらに分岐している。流路114上にはストップバルブ116が設けられており、該流路の開閉を行なうことができる。サンプル流路106はロータリーバルブ102の1つのポートに接続されている。また、サンプル流路106上にサンプルチューブ104が配置されている。サンプルチューブ104は温調機構105によって加熱又は冷却されるようになっている。再捕集ガス排出流路122上にはストップバルブ124が配置されている。
【0006】
ロータリーバルブ102の他のポートにトラップ流路110の一端と試料導入流路132の一端が接続されている。トラップ流路110の他端に捕集ガス排出流路136と試料導入ガス供給流路126が接続されている。試料導入流路132の他端はジョイント130に接続されている。トラップ流路110上にトラップカラム108が配置されている。トラップカラム108は温調機構109によって加熱又は冷却されるようになっている。捕集ガス排出流路136上にはストップバルブ138が配置されている。
【0007】
キャリアガス流路112から分岐した他方の流路118は3方バルブ120の1つのポートに接続されている。3方バルブの残りの2つのポートには、試料導入ガス供給流路126とジョイント130に繋がる流路128が接続されている。3方バルブは流路118を試料導入ガス供給流路126又は流路128のいずれか一方に切り替えて接続する。ジョイント130には分析流路134も接続されている。
【0008】
ロータリーバルブ102はサンプル流路106とトラップ流路110を接続した状態(図5(A)の状態)にすることができ、それとは異なるタイミングで、サンプル流路106とトラップ流路110と試料導入流路132を接続した状態(図5(B)の状態)にすることができる。
【0009】
図5(A)の太線はサンプルチューブ104の試料をトラップカラム108に捕集する工程(以下、トラップ捕集工程)の際にキャリアガスが流れる経路である。トラップ捕集工程では、キャリアガス流路112からのキャリアガスの一部が流路114‐サンプル流路104‐トラップ流路110‐捕集ガス排出流路136を流れ、残りのキャリアガスが流路118‐流路128‐分析流路134を流れるように流路が構成される。この際、サンプルチューブ104は温調機構105によって一定の温度に加熱され、トラップカラム108は温調機構109によって一定の温度に冷却される。これにより、サンプルチューブ104の試料が脱離してキャリアガスとともに流れ、トラップカラム108にその試料が捕集される。
【0010】
図5(B)の太線はトラップカラム108に捕集した試料の一部を分析カラムに導入するとともに残りの試料をサンプルチューブ104に再捕集する工程(試料導入・再捕集工程)の際にキャリアガスが流れる経路である。試料導入・再捕集工程では、キャリアガス流路112からのキャリアガスは流路118、流路126を経てトラップ流路110を流れる。このとき、トラップカラム110は温調機構109によって一定の温度に加熱され、サンプルチューブ104は温調機構によって一定の温度に冷却されている。トラップカラム110の試料から脱離したキャリアガスとともにロータリーバルブ102へ流れる。ロータリーバルブ102はサンプル流路106とトラップ流路110と試料導入流路132を接続した状態に切り替えられている。トラップカラム110から脱離した試料を含むガスは、ジョイント130を介して分析流路134に接続された試料導入流路132側と、サンプル流路106側にスプリットされる。これにより、トラップカラム108から脱離した試料の一部は分析流路134を通じてガスクロマトグラフの分析カラムへと導かれ、残りの試料はサンプルチューブ104に再捕集される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許7662630号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
図5の流路構成では、ロータリーバルブ102とジョイント130との間の試料導入流路132には試料導入・再捕集工程の際にしかガスが流れない。そのため、この試料導入流路132内のパージが十分になされることはなく、試料に高沸点成分が含まれている場合には、高沸点成分がこの区間に残存して次回の分析に持ち越されてしまうという問題があった。
【0013】
そこで、本発明は、試料の再捕集が可能な流路構成であってその流路内部に試料成分が残存しないよう十分なパージが行なわれる流路構成をもつ試料導入装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、試料を捕集したサンプルチューブが配置されるサンプル流路と、サンプルチューブの加熱と冷却を行なうためのサンプルチューブ温調機構と、サンプルチューブから脱離した試料を捕集するためのトラップカラムを備えたトラップ流路と、トラップカラムの加熱と冷却を行なうためのトラップ温調機構と、試料の分離を行なうための分析カラム及びその分析カラムで分離された試料成分を検出するための検出器を備えた分析流路に一端が接続される試料導入流路と、試料導入流路の分析カラムの上流側に配置され、供給されたガスを分岐して創出する第1と第2のスプリット出口をもち、第1のスプリット出口が分析カラムに接続されているスプリッタと、サンプルチューブからトラップカラムへ試料を搬送するためのキャリアガスを供給する第1キャリアガス供給流路と、トラップカラムに捕集された試料を分析流路に搬送するためのキャリアガスを第1キャリアガス供給流路と同時に又は異なるタイミングで供給する第2キャリアガス供給流路と、第1キャリアガス供給流路の下流に上流側からサンプル流路及びトラップ流路を接続するとともに第2キャリアガス供給流路の下流に試料導入流路を接続したトラップ捕集状態と、第2キャリアガス供給流路の下流に上流側からトラップ流路及び試料導入流路を接続するとともにスプリッタの第2のスプリット出口にサンプル流路を接続した試料導入・再捕集状態に切り替えることができる流路切替機構と、を備えた試料導入装置である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、流路切替機構により、第1キャリアガス供給流路の下流に上流側からサンプル流路及びトラップ流路を接続するとともに第2キャリアガス供給流路の下流に試料導入流路を接続したトラップ捕集状態にすることができるので、サンプルチューブの試料を脱離させてトラップカラムに捕集するトラップ捕集工程中に第2キャリアガス供給流路からのキャリアガスを試料導入流路に流すことができる。図5に示した従来の流路構成では、試料導入流路132が袋小路になっており、トラップ捕集工程中はこの試料導入流路132をガスが流れないために試料導入流路132が十分にパージされず、前回測定の試料が試料導入流路132に残留して測定結果に影響を与える虞があった。これに対し、本発明の流路構成では、そのような袋小路部分が存在しないため、前回測定の試料が測定に影響を与えることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】試料導入装置を備えたガスクロマトグラフの一実施例を概略的に示す流路構成図である。
【図2】同実施例の試料導入装置のスタンバイ状態におけるキャリアガスの流通経路を説明するための流路図である。
【図3】同実施例の試料導入装置のトラップ捕集工程の際のキャリアガスの流通経路を示す流路図である。
【図4】同実施例の試料導入装置の試料導入・再捕集工程の際のキャリアガスの流通経路を示す流路図である。
【図5】従来の試料導入装置の流路構成の一例を概略的に示す流路構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の試料導入装置の好ましい実施形態では、第1キャリアガス供給流路と第2キャリアガス供給流路は共通のキャリアガス供給源からキャリアガスを供給する。これにより、キャリアガス供給減を1つにすることができ、装置構成のコストの低減を図ることができる。
【0018】
一実施例の試料導入装置を備えたガスクロマトグラフの一例について図1を用いて説明する。
このガスクロマトグラフは、サンプルチューブ6の試料をトラップカラム8に一旦捕集し、トラップカラム8に捕集した試料の一部を分析部12に導入して分析を行なうものである。分析部12は分析カラム16及び検出器18を備えている。分析部12に試料を導入するためのこの実施例の試料導入装置は、2つの6方切替バルブ2,4を備えており、これらの切替バルブ2,4の切替えによって各工程に応じた流路を構成するようになっている。6方切替バルブ2,4はそれぞれ6つのポートa〜fを備えており、ポートa‐b間、c‐d間、e‐f間を接続した状態とポートa‐f間、b‐c間、d‐e間を接続した状態のいずれかの状態にすることができる。
【0019】
キャリアガスを供給するための流路として、2つのキャリアガス流路24,26を備えている。これらのキャリアガス流路24,26はキャリアガス供給源であるキャリアガス用ボンベ10に接続された流路22から分岐した流路である。キャリアガス流路24は分析部12に設けられた電子制御フローコントローラ14に接続され、電子制御フローコントローラ14により流量制御されながら流路40を通じてキャリアガスが流される。流路40は6方切替バルブ4のポートcに接続されている。キャリアガス流路26は6方切替バルブ2のポートaに接続されている。流路26上には調圧バルブ28と電磁弁30が設けられている。
【0020】
キャリアガス流路26は、サンプルチューブ6の試料をトラップカラム8へ搬送するためのキャリアガスを供給する第1キャリアガス供給流路を構成する。キャリアガス流路24と流路40は、トラップカラム8の試料を分析部12へ搬送するためのキャリアガスを供給する第2キャリアガス供給流路を構成する。
【0021】
6方切替バルブ2のポートbには排出流路36が接続されている。排出流路36上には質量流量計20が設けられている。ポートcは流路33を介して6方切替バルブ4のポートaと接続されている。ポートdには分析部12のスプリット流路48の一端が接続されている。スプリット流路48の他端はスプリッタ44を介して後述する試料導入流路42と分析流路46に接続されている。ポートeは流路50を介して分析部12に設けられた電子制御フローコントローラ14に接続されている。ポートfにはサンプル流路32の一端が接続されている。サンプル流路32の他端は6方切替バルブ4のポートfに接続されている。サンプル流路32上にはサンプルチューブ6が配置される。
なお、この実施例では、電子制御フローコントローラ14は分析ユニット12に設けられているが、分析ユニット12から独立して電子制御フローコントローラ14が設けられていてもよい。
【0022】
6方切替バルブ4のポートbにトラップ流路34の一端が接続されており、トラップ流路34の他端はポートeに接続されている。トラップ流路34上にはトラップカラム8が配置されている。6方切替バルブ4のポートdには試料導入流路42が接続されている。試料導入流路42はスプリッタ44を介して分析部12の分析流路46とスプリット流路48に接続されている。分析流路46上には分析カラム16及び検出器18が設けられている。
電子制御フローコントローラ14にはドレイン52が設けられており、流路50を通じて入ってきたガスはドレイン52を通じて外部へ排出されるようになっている。
【0023】
サンプル流路32上に配置されたサンプルチューブ6の加熱と冷却を行なうための温調機構7が設けられている。温調機構7はサンプルチューブ6の試料を脱離させるときにサンプルチューブ6を加熱し、サンプルチューブ6に試料を捕集するときにサンプルチューブ6を冷却するように制御される。
また、トラップ流路34のトラップカラム8の加熱と冷却を行なうための温調機構9が設けられている。温調機構9は、トラップカラム8に試料を捕集するときにトラップカラム8を冷却し、トラップカラム8に捕集した試料を脱離させるときにトラップカラム8を加熱するように制御される。
温調機構7,9としては特に限定されるものではないが、例えばペルチェ素子を用いる。
【0024】
次に、図2〜図4を用いて同実施例のガスクロマトグラフの動作について説明する。
[スタンバイ]
図2はスタンバイ状態における流路構成を示している。スタンバイ状態では、6方切替バルブ2をポートa‐f間、b‐c間、d‐e間を接続した状態にし、6方切替バルブ4をポートa‐b間、c‐d間、e‐f間を接続した状態にする。電磁弁30は閉じておき、サンプル流路32やトラップ流路34にキャリアガスが流れないようにする。キャリアガスはキャリアガス流路24から電子制御フローコントローラ14を介してのみ導入され、分析流路46の安定化が図られる。
【0025】
電子フローコントローラ14を介して導入されたキャリアガスは、太線で示されているように、流路40‐6方切替バルブ4‐試料導入流路42を経てスプリッタ44に到達する。スプリッタ44まで到達したキャリアガスは、分析流路46側に流れるガスとスプリット流路48側に流れるガスとに分けられ、一部は分析流路46‐分析カラム16‐検出器18を経て排出され、残りはスプリット流路48‐6方切替バルブ2‐流路50‐電子制御フローコントローラ14を経てドレイン52から排出される。この状態で、サンプルチューブ6をサンプル流路32上に配置する。
【0026】
[トラップ捕集工程]
図3はトラップ捕集工程時における流路構成を示している。
サンプルチューブ6をサンプル流路32上に配置した後、試料をサンプルチューブ6から脱離させてトラップカラム8に捕集するトラップ捕集工程を実施する。トラップ捕集工程では、6方切替バルブ2及び4をスタンバイ状態と同じ状態にし、電磁弁30を開く。キャリアガスがキャリアガス流路26から導入され、太線で示されているように、6方切替バルブ2‐サンプル流路32‐6方切替バルブ4‐トラップ流路34‐6方切替バルブ4‐流路33‐6方切替バルブ2‐排出流路36を経て排出される。
【0027】
サンプルチューブ6を温調機構7により例えば200℃に加熱し、サンプルチューブ6に吸着されていた試料を脱離させてキャリアガスとともにトラップカラム8に導く。トラップカラム8は温調機構9により例えば−20℃に冷却し、サンプルチューブ6を脱離した試料をトラップカラム8に吸着させて捕集する。
【0028】
[試料導入・再捕集工程]
図4は試料導入・再捕集工程における流路構成を示している。
トラップカラム8に試料を捕集した後、捕集した試料の一部を分析部12に導入するとともに残りの試料をサンプルチューブ6に再捕集する試料導入・再捕集工程を実施する。試料導入・再捕集工程では、6方切替バルブ2をポートa‐b間、c‐d間、e‐f間を接続した状態にし、6方切替バルブ4をポートa‐f間、b‐c間、d‐e間を接続した状態にする。
【0029】
サンプルチューブ6を温調機構7によって例えば25℃に冷却し、トラップカラム8を温調機構9によって例えば250℃に加熱する。電子制御フローコントローラ14を介して供給されるキャリアガスは、太線で示されているように、流路40‐6方切替バルブ4‐トラップ流路34‐6方切替バルブ4‐試料導入流路42を経てスプリッタ44に流れる。このとき、トラップカラム8に捕集されていた試料は加熱により脱離し、キャリアガスによって搬送される。
【0030】
スプリッタ44まで到達した試料を含むガスの一部は分析部12に導入され、分析流路46を通って分析カラム16で成分ごとに分離されて検出器18により検出される。残りの試料を含むガスはスプリット流路48‐6方切替バルブ2,4を経てサンプル流路33のサンプルチューブ6に導かれ、そのガスに含まれる試料が冷却されたサンプルチューブ6に再捕集される。サンプルチューブ6を通過したキャリアガスは6方切替バルブ2‐流路50‐電子制御フローコントローラ14を経てドレイン52より排出される。
【0031】
なお、図3では、キャリアガスが流れる経路として、流路26‐6方切替バルブ2‐サンプル流路32‐6方切替バルブ4‐トラップ流路34‐6方切替バルブ4‐流路33‐6方切替バルブ2‐排出流路36の経路のみを太線で示しているが、キャリアガスは電子制御フローコントローラ14を介する経路からも導入され、分析流路46の安定化の動作は継続して行なわれる。すなわち、トラップ捕集工程中において、電子制御フローコントローラ14を介して導入されたキャリアガスは、6方切替バルブ4‐試料導入流路42を経てスプリッタ44に到達し、分析流路46側に流れるガスとスプリット流路48側に流れるガスとに分けられ、一部は分析流路46‐分析カラム16‐検出器18を経て排出され、残りはスプリット流路48‐6方切替バルブ2‐流路50‐電子制御フローコントローラ14を経てドレイン52から排出される。
【0032】
このように、トラップ捕集工程中も、トラップカラム8への試料の捕集に関係しない試料導入流路42や分析流路46をキャリアガスが流れて外部に排出されるようになっているので、トラップ捕集工程に関係しない流路内がパージされる。すなわち、この実施例の流路構成では、図5の流路構成における試料導入流路132のような、トラップカラムから分析部側へ試料を導入するときにしかガスが通過しない袋小路部分は存在せず、流路内に前回測定時の試料が残留していても、その残留試料は試料導入・再捕集工程前に外部へ排出され、測定試料とともに分析カラム16に導入されることはない。
【符号の説明】
【0033】
2,4 6方切替バルブ
6 サンプルチューブ
7 温調機構(サンプルチューブ用)
8 トラップカラム
9 温調機構(トラップカラム用)
10 キャリアガス用ボンベ
12 分析部
14 電子制御フローコントローラ
16 分析カラム
18 検出器
24,26 キャリアガス供給流路
32 サンプル流路
34 トラップ流路
42 試料導入流路
44 スプリッタ
46 分析流路
48 スプリット流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料を捕集したサンプルチューブが配置されるサンプル流路と、
前記サンプルチューブの加熱と冷却を行なうためのサンプルチューブ温調機構と、
前記サンプルチューブから脱離した試料を捕集するためのトラップカラムを備えたトラップ流路と、
前記トラップカラムの加熱と冷却を行なうためのトラップ温調機構と、
試料の分離を行なうための分析カラム及びその分析カラムで分離された試料成分を検出するための検出器を備えた分析流路に一端が接続される試料導入流路と、
前記試料導入流路の前記分析カラムの上流側に配置され、供給されたガスを分岐して創出する第1と第2のスプリット出口をもち、第1のスプリット出口が前記分析カラムに接続されているスプリッタと、
前記サンプルチューブから前記トラップカラムへ試料を搬送するためのキャリアガスを供給する第1キャリアガス供給流路と、
前記トラップカラムに捕集された試料を前記分析流路に搬送するためのキャリアガスを前記第1キャリアガス供給流路と同時に又は異なるタイミングで供給する第2キャリアガス供給流路と、
前記第1キャリアガス供給流路の下流に上流側から前記サンプル流路及び前記トラップ流路を接続するとともに前記第2キャリアガス供給流路の下流に前記試料導入流路を接続したトラップ捕集状態と、前記第2キャリアガス供給流路の下流に上流側から前記トラップ流路及び前記試料導入流路を接続するとともに前記スプリッタの第2のスプリット出口に前記サンプル流路を接続した試料導入・再捕集状態に切り替えることができる流路切替機構と、を備えた試料導入装置。
【請求項2】
前記第1キャリアガス供給流路と前記第2キャリアガス供給流路は共通のキャリアガス供給源からキャリアガスを供給するように構成されている請求項1に記載の試料導入装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−53974(P2013−53974A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−193468(P2011−193468)
【出願日】平成23年9月6日(2011.9.6)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)