説明

試料採取用具、及びそれを備えた試料採取キット

【課題】大きな力を加えなくても糞便等の中に挿入させ易く、検査に十分な量の糞便等を採取可能な試料採取用具及びそれを用いた試料採取キットを提供する。
【解決手段】細長且つ薄肉の板状部材の長辺方向が曲げられて形成された開口11aを有する試料採取部11と、試料採取部11に接続する細長状の把持部12とからなる試料採取部材1を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糞便等を試料として採取する試料採取用具、及びそれを備えた試料採取キットに関する。
【背景技術】
【0002】
日本国内において、大腸がんは増加傾向にあり、その原因は食生活の欧米化にあると考えられている。
この大腸がんを早期に発見できる検査方法として便潜血検査がある。大腸がんでは、大腸粘膜にできたがんに糞便が接触し出血するため、糞便に血液が混ざるという特徴がある。便潜血検査は、この出血を見つける検査方法である(非特許文献1)。便潜血検査は、糞便を少量採取することで検査が行なうことができ、被検者においても採取が簡単で費用負担も少ないことから、早期に大腸がんを発見できる方法として健康診断などで広く行われている。
【0003】
便潜血検査において糞便を採取するための採取用具としては、例えば、特許文献1に記載の採便スティックがある。この採便スティックは、糞便の内部に突き刺すことの可能な剛性を有するスティック状基材からなる。このスティック状基材には、所定量の糞便が充填される計量穴が、基材の長手方向に対して垂直な方向に貫通して設けられている。そして、この採便スティックを糞便の内部に突き刺し、引き抜いた後、スティックを掻き取ることにより、所定量の便が計量穴内に充填されるようにしている。
【0004】
上述のように、便潜血検査は広く行われている方法ではあるが、大腸がんの患者を見落とす率が高く、また、痔でも陽性となってしまうこともある。このため、陽性の的中率が低く、便潜血検査で陽性と判定された被検者のうち、実際の大腸がん患者の割合は10%以下である。そこで、例えば、特許文献2、3に記載のように、糞便中の腫瘍マーカや糞便の内部に剥離したがん細胞などを検出する方法が試みられている。
【特許文献1】特開平7−49345号公報
【特許文献2】特表2002−515973号公報
【特許文献3】特開2006−138815号公報
【非特許文献1】ホームページ「おなかの健康ドットコム」、[online]、 HYPERLINK "http://www.onaka-kenko.com/earlydetection/digestlve-organ/pdf/1arge-intestine-cancer.pdf" http://www.onaka-kenko.com/earlydetection/digestlve-organ/pdf/1arge-intestine-cancer.pdf
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、便潜血検査での糞便の採取量が、一般に5〜20mg程度であるのに対し、腫瘍マーカや糞便の中に剥離したがん細胞などを検出する方法での糞便の採取量は、0.1〜0.5g以上であり、便潜血検査での採取量の少なくとも50倍以上の量が必要となる。しかるに、特許文献1に記載のような採便スティックを用いて、便潜血検査での採取量の少なくとも50倍以上の量を採取するには、採便スティックの肉厚を厚くして穴を深くし、あるいは幅を広げて穴の径を大きくする等しなければならない。
【0006】
特許文献1に記載の採便スティックは、糞便に突き刺さりやすくなるように、先端を三角形状に尖らせているが、便潜血検査で採取していた量の少なくとも50倍以上の量を採取できるようにすると、上述のように採便スティックの肉厚が厚くなることで、径が太くなるため、糞便に突き刺ささり難くなる。そして、たとえ突き刺すことが可能であったとしても、糞便を採取する穴が採便スティックの挿入方向に対して垂直な方向に穴が設けられているため、穴を深くしても、糞便を穴の深部にまで進入させ難く、穴に充分に充填させることができない。
【0007】
また、特許文献1に記載の採便スティックを、穴のあいた面を糞便に押し付けて穴の中に便を入れるという方法もあるが、穴に比べて面の面積が大きいため、糞便に押し付けたときに面が受ける力が大きくなり、穴の中に糞便を入れるには大きな力で押さなければならない。
【0008】
また、特許文献3に記載の採便スティックのように、シリンジを糞便に押し付けて穴の中に糞便を入れるという方法もあるが、シリンジの深さ方向が深いと、シリンジの先端近傍で採取された糞便がシリンジの内壁に付着することにより生ずる抵抗力が大きくなる。このため、シリンジの深部まで、検査に十分な量の糞便を入れるには大きな力で押さなければならない。
【0009】
一方、最近のトイレの便器は、洋式化が進み、さらには便器の汚れを防ぐために便器内全面に水を貯めるタイプが主流となっている。そのため、採便の際には、水に溶けにくい紙を浮かべて、その上に排便し、その糞便を採取するといった手法が一般的となってきている。そのような手法で採便を行なう際に、大きな力で糞便を押すと、紙が沈んで便器内の水が糞便に付着したり、場合によっては、糞便が水の中に転がり落ちたりしてしまうこともある。つまり、最近のトイレの便器では、糞便を採取する際に、糞便採取用具を糞便に対して大きな力で押し付けることができない。
このため、従来は、腫瘍マーカや糞便の中に剥離したがん細胞などの検出等のために十分な量の糞便を採取する作業が容易ではなく、採取者(被検者)に負担を強いていた。
【0010】
この発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたものであり、大きな力を加えなくても糞便等の中に挿入させ易く、検査に十分な量の糞便等を採取可能な試料採取用具及びそれを用いた試料採取キットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明による試料採取用具は、細長且つ薄肉の板状部材の長辺方向が曲げられて形成された開口を有する試料採取部と、前記試料採取部に接続する細長状の把持部、とからなる試料採取部材を有することを特徴としている。
【0012】
また、本発明の試料採取用具においては、前記試料採取部は、前記板状部材における前記開口を形成する範囲が閉じているのが好ましい。
【0013】
また、本発明の試料採取用具においては、前記試料採取部は、前記板状部材における前記開口を形成する範囲が閉じていないのが好ましい。
【0014】
また、本発明の試料採取用具においては、前記試料採取部は、前記板状部材における前記開口を形成する範囲の短辺方向に切断部を有するのが好ましい。
【0015】
また、本発明の試料採取用具においては、前記試料採取部の開口と略同じ形状で、該開口よりも小さい大きさの面からなる試料取り出し部を有する試料取り出し部材を、前記試料採取部材とは別体に有するのが好ましい。
【0016】
また、本発明の試料採取用具においては、前記試料取り出し部材は、前記試料取り出し部を支持する支持部を有し、前記支持部は、前記試料採取部に形成された前記切断部を通過させることが可能に形成されているのが好ましい。
【0017】
また、本発明の試料採取用具においては、その内部に前記試料取り出し部材を固定した試料容器を、前記試料採取部材とは別体に有するのが好ましい。
【0018】
また、本発明の試料採取用具においては、前記試料容器が、前記試料採取部材を保持する保持部又は該試料採取部材を収納する収納部を備えているのが好ましい。
【0019】
また、本発明の試料採取用具においては、前記試料採取部が、弾性変形可能に構成されているのが好ましい。
【0020】
また、本発明の試料採取用具においては、前記試料採取部材が、前記試料採取部を複数有するのが好ましい。
【0021】
また、本発明の試料採取用具においては、前記試料採取部材が、前記試料採取部に形成される開口を一方の側を塞ぐことが可能な蓋状部材を、開閉可能に備えているのが好ましい。
【0022】
また、本発明の試料採取用具においては、前記把持部は、その長手方向が前記試料採取部の開口方向に対して垂直方向を向いているのが好ましい。
【0023】
また、本発明の試料採取用具においては、前記把持部は、その長手方向が前記試料採取部の開口方向に延びているのが好ましい。
【0024】
また、本発明の試料採取用具においては、前記把持部は、その一端が前記試料採取部の開口を形成する前記板状部材の外周面に接続するとともに、その長手方向が上向きに曲がっているのが好ましい。
【0025】
また、本発明の試料採取用具においては、前記蓋状部材は、前記把持部の外周を取り囲み該把持部の長手方向に沿って移動可能なガイド部材に固定され、前記ガイド部材を前記試料採取部に近づけることにより、該試料採取部の開口面に沿ってスライドして該開口を塞ぐのが好ましい。
【0026】
また、本発明の試料採取用具においては、前記蓋状部材は、前記把持部に設けられた回転軸を介して該試料採取部の開口面に沿って回転可能に取り付けられ、該回転軸を中心に回転することにより、該試料採取部の開口を塞ぐのが好ましい。
【0027】
また、本発明の試料採取用具においては、前記試料採取部の開口を形成する前記板状部材の外周面に先鋭部を有するのが好ましい。
【0028】
また、本発明の試料採取用具においては、前記試料採取部の開口の縁部に先鋭部を有するのが好ましい。
【0029】
また、本発明の試料採取用具においては、前記蓋状部材の先端に先鋭部を有するのが好ましい。
【0030】
また、本発明の試料採取用具においては、前記試料採取部材を保持する保持部又は該試料採取部材を収納する収納部を備えた試料容器を、前記試料採取部材とは別体に有するのが好ましい。
【0031】
また、本発明による試料採取キットは、上記本発明の試料採取部材、試料取り出し部材、試料容器を有する試料採取用具と、試料を処理する溶液とを備えてなることを特徴としている。
【0032】
また、本発明による試料採取方法は、細長且つ薄肉の板状部材の長辺方向が曲げられて形成された開口を有する試料採取部と該試料採取部に接続する細長状の把持部とからなる試料採取部材と、前記試料採取部の開口と略同じ形状で、該開口よりも小さい大きさの面からなる試料取り出し部を有する試料取り出し部材を固定した試料容器と、試料を処理する溶液とを備えた試料採取キットを用いた試料採取方法であって、前記把持部を把持しながら、前記試料採取部の開口を試料に対して略垂直に押し込んで、前記試料採取部材を試料の内部に挿入する工程と、次いで、挿入方向と交わる方向に前記試料採取部を移動させて、試料から前記試料採取部材を抜き取り、試料を採取する工程と、次いで、前記開口内に前記試料取り出し部が入るように前記試料採取部を移動させ、試料を該試料取り出し部に付着させることによって、該試料採取部から試料を取り出す工程と、を有することを特徴としている。
【0033】
また、本発明による試料採取方法は、細長且つ薄肉の板状部材の長辺方向が曲げられて形成された開口を有する弾性変形可能に構成された試料採取部と該試料採取部に接続する細長状の把持部とからなる試料採取部材と、試料容器と、試料を処理する溶液とを備えた試料採取キットを用いた試料採取方法であって、前記把持部を把持しながら、前記試料採取部の開口を試料に対して略垂直に押し込んで、前記試料採取部材を試料の内部に挿入する工程と、次いで、挿入方向と交わる方向に前記試料採取部を移動させて、試料から前記試料採取部材を抜き取り、試料を採取する工程と、次いで、前記試料容器内に前記試料採取部を移動させ、該試料採取部を変形させることによって、該試料採取部から試料を取り出す工程と、を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、大きな力を加えなくても糞便等の中に挿入させ易く、検査に十分な量の糞便等を採取可能な試料採取用具及びそれを用いた試料採取キットが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
実施形態の説明に先立ち、本発明の作用効果について、より詳しく説明する。
本発明の試料採取用具は、試料採取部材を有する。試料採取部材は、試料採取部と把持部とからなる。試料採取部は、細長且つ薄肉の板状部材の長辺方向を曲げて形成された開口を有する。把持部は、細長状に構成され、試料採取部に接続している。
本発明の試料採取用具のように、細長且つ薄肉の板状部材の長辺方向を曲げて、試料採取部の開口を形成すると、試料採取部と試料との接触部(開口の縁部)における単位面積あたりにかかる力を大きくすることができ、試料採取部を試料の内部に向けて押し込む力が小さくても、試料採取部を試料の内部に挿入させ易くなる。このため、開口の縁部を刃として作用させることができ、糞便等を切り込み易くなる。また、形成された開口の径が、開口を形成する板状部材の幅に比べて大きくなるので、試料を採取する面積を大きくとることができる。
また、本発明の試料採取用具のように、開口を形成する板状部材に、その開口面と交わる方向(即ち、板状部材の短辺方向)に所定の幅を持たせると、開口を形成する板状部材の内側空間に、より多くの試料を挿入させやすくなるとともに、挿入された試料を板状部材の内側の面で保持し易くなる。また、開口面を試料に押し付けてその内部に試料を挿入させるときに開口にかかる力を、この所定の幅を有する板状部材の短辺で受けることができるため、試料採取の際における試料採取部の強度を強くすることができる。
このため、本発明の試料採取用具によれば、大きな力を加えなくても糞便等の中に挿入させ易く、検査に十分な量が採取できる。
【0036】
また、本発明の試料採取用具においては、試料採取部が、板状部材における開口を形成する範囲が閉じて構成されているのが好ましい。板状部材における開口を形成する範囲が閉じていると、開口の内側で試料を保持し易くなる。
【0037】
なお、本発明の試料採取用具においては、試料採取部が、板状部材における開口を形成する範囲が閉じない構成であってもよい。
例えば、試料採取部が、板状部材における開口を形成する範囲の短辺方向に切断部を有する構成であってもよい。このように切断部を設けると、試料保持部を変形させ易くなり、採取した試料を試料採取部から取り出し易くなる。
【0038】
また、本発明の試料採取用具においては、試料採取部の開口と略同じ形状で、その開口よりも小さい大きさの面を持つ試料取り出し部を有する試料取り出し部材を、試料採取部材とは別体に有するのが好ましい。
このようにすれば、試料取り出し部を試料採取部の開口の中に入れることにより、試料取り出し部を介して試料を押し出すことができる。
【0039】
また、その場合、本発明の試料採取用具においては、試料取り出し部材が試料取り出し部を支持する支持部を有し、支持部が試料採取部に形成された切断部を通過させることが可能となるようにするのが好ましい。
取り出し部を支持する支持部を試料採取部の切断部が通過させることができるようにすると、試料採取部が試料取り出し部を通過するときに、試料採取部の切断部が試料取り出し部の支持部にガイドされるので、試料採取部材が試料取り出し部材を通過し易くなる。その結果、一方向に試料採取部材を移動させるだけで、試料採取部内に採取された試料を取り出すことができるようになる。支持部は、試料採取部の切断部に比べて幅を狭くすれば、試料採取部の切断部を通過させやすくなる。なお、支持部の幅を試料採取部の切断部に比べて広くしても、試料採取部の切断部が当接したときに、試料採取部が弾性変形して広がる程度の広さであれば、試料採取部の切断部を通過させることは可能である。
【0040】
また、本発明の試料採取用具においては、その内部に試料取り出し部材を固定した試料容器を、試料採取部材とは別体に有するのが好ましい。
試料容器の内部に試料取り出し部材を固定すれば、試料採取部材で採取した試料を試料容器の中で取り出すことができ、試料採取部材で採取した試料を取り出す際の周囲への汚染を防止できる。
【0041】
また、本発明の試料採取用具においては、試料容器が、試料採取部材を保持する保持部又は試料採取部材を収納する収納部を備えるのが好ましい。
このようにすれば、試料採取部材を試料容器に収納したり、保持することができ、試料採取後に試料採取用具を別に保管したり、破棄したりする必要がなくなる。
【0042】
また、本発明の試料採取用具においては、試料採取部が、弾性変形可能に構成されているのが好ましい。例えば、試料採取部の開口を形成する板状部材として、弾性変形可能な材質で作製されたものを用いるとよい。また、例えば、試料採取部の開口を形成する板状部材を、上述の切断部のように、弾性変形可能に形成してもよい。
このようにすれば、試料採取部を、例えば押しつぶすなど、変形させることによって、採取した試料を簡単に取り出すことができる。また、試料を取り出した後に、変形方向への押圧を開放すれば、試料採取部の形状を元の(開口)状態に戻すことが簡単にできる。このため、例えば、広範囲にわたって試料を採取したり、より多くの量の試料を採取するなど、同じ試料に対する採取作業を複数回行なう必要がある場合には、同一の試料採取部材を用いて、試料を繰り返し採取することが簡単にできる。
【0043】
また、本発明の試料採取用具においては、試料採取部材が、試料採取部を複数有するのが好ましい。
このようにすれば、1回の採取操作で、広範囲にわたって試料を採取したり、より多くの量の試料を採取することができる。
【0044】
また、本発明の試料採取用具においては、試料採取部材が、試料採取部に形成される開口を一方の側から塞ぐことが可能な蓋状部材を、開閉可能に備えているのが好ましい。
このようにすれば、水分を多く含んだ軟らかい試料を採取する場合に、開口の一方の側を塞ぐことによって、掬い取るようにして採取することができる。そして、蓋状部材の開閉を介して、試料に含まれる水分、試料の柔らかさの状態に応じた、多様な試料の採取方法を採ることができる。
【0045】
なお、その場合、蓋状部材は、把持部の外周を取り囲み把持部の長手方向に沿って移動可能なガイド部材に固定され、ガイド部材を試料採取部に近づけることにより、試料採取部の開口面に沿ってスライドして開口を塞ぐように構成するのが好ましい。
このようにすれば、ガイド部材を移動させるだけで、簡単に開口を開閉できる。また、ガイド部材を把持部の長手方向に沿ってスライドさせることで蓋状部材が開口を塞ぐようにすれば、蓋状部材の移動方向が直線方向に限定されるため、蓋状部材が開口を塞いだ状態を固定し易くなる。
【0046】
または、蓋状部材は、把持部に設けられた回転軸を介して試料採取部の開口面に沿って回転可能に取り付けられ、回転軸を中心に回転することにより、試料採取部の開口を塞ぐように構成してもよい。
このようにしても、蓋状部材を、回転軸を中心に回転させるだけで、簡単に開口を開閉できる。なお、蓋状部材を、回転軸を中心に回転させて開口を開閉する構成の場合、閉じ状態の蓋状部材が左右の回転方向に動きやすい。そこで、試料採取部に、開口を塞いだ状態の蓋状部材を係止可能な係止部を備えるのがより好ましい。
【0047】
また、本発明の試料採取用具においては、把持部は、その長手方向が試料採取部の開口方向に対して垂直方向を向いているのが好ましい。
このようにすれば、試料採取部材の水平方向のスペースを小さくすることができるので、試料採取部材を便器内に入れて試料を採取するときに、試料採取部材の把持部を持つ手を便器に接触させないようにすることができる。
【0048】
また、本発明の試料採取用具においては、把持部は、その一端が試料採取部の開口を形成する板状部材の外周面に接続するとともに、その長手方向が上向きに曲がっているのが好ましい。
このようにしても、試料採取部材の水平方向のスペースを減らすことができるので、試料採取部材を便器内に入れて試料を採取するときに、試料採取部材の把持部を持つ手を便器に接触させ難くすることができる。
【0049】
なお、本発明の試料採取用具においては、便器の穴が、試料採取部材による試料採取時における把持部を持つ手と干渉しない程度の大きさを有していれば、把持部は、その長手方向が試料採取部の開口方向に延びるように構成してもよい。
【0050】
さらに、本発明の試料採取用具においては、試料採取部の開口を形成する板状部材の外周面に先鋭部を有するのが好ましい。
このようにすれば、水分の含有量の少ない、硬い試料を採取する場合に、試料を先鋭部に突き刺して採取することができる。
【0051】
また、本発明の試料採取用具においては、試料採取部の開口の縁部に先鋭部を有してもよい。
このようにすれば、水分の含有量の少ない、硬い試料を採取する場合に、試料を開口の縁部に設けた先鋭部に突き刺すことによって、開口内部に試料を挿入させ易くなる。また、開口の縁部に設けた先鋭部を突き刺して採取し、或いは、先鋭部で硬い試料を削り取って採取することも可能になる。
【0052】
また、本発明の試料採取用具においては、蓋状部材の先端に先鋭部を有するのが好ましい。
このようにしても、水分の含有量の少ない、硬い試料を採取する場合に、試料を先鋭部に突き刺して採取することができる。
【0053】
また、本発明の試料採取用具においては、試料採取部材を保持する保持部又は試料採取部材を収納する収納部を備えた試料容器を、試料採取部材とは別体に有するのが好ましい。
このようにすれば、試料採取部材を試料容器に収納したり、保持することができ、試料採取後に、試料採取部材を試料容器とは別に保管したり、廃棄する必要がなくなり、試料を採取後の汚染や保管又は廃棄の手間を省くことができる。
【0054】
また、本発明の試料採取キットは、上記本発明の試料採取部材、試料取り出し部材、試料容器を有する試料採取用具と、試料を処理する溶液とを備えてなる。
このようにして試料採取キットを構成すれば、試料を採取するだけでなく、試料処理、測定、検査等を迅速に行なうことができるようになる。
【0055】
そして、本発明による試料採取方法は、細長且つ薄肉の板状部材の長辺方向が曲げられて形成された開口を有する試料採取部と試料採取部に接続する細長状の把持部とからなる試料採取部材と、試料採取部の開口と略同じ形状で、該開口よりも小さい大きさの面を持つ試料取り出し部を有する試料取り出し部材を固定した試料容器と、試料を処理する溶液とを備えた試料採取キットを用いた試料採取方法であって、把持部を把持しながら、試料採取部の開口を試料に対して略垂直に押し込んで、試料採取部材を試料の内部に挿入する工程と、次いで、挿入方向と交わる方向に試料採取部を移動させて、試料から試料採取部材を抜き取り、試料を採取する工程と、次いで、開口内に試料取り出し部が入るように試料採取部を移動させ、試料を試料取り出し部に付着させることによって、試料採取部から試料を取り出す工程と、を有する。
このようにすることにより、上記本発明の試料採取部材及びそれを用いた試料採取キットの効果が実現できる。
【0056】
また、本発明による試料採取方法は、細長且つ薄肉の板状部材の長辺方向が曲げられて形成された開口を有する弾性変形可能に構成された試料採取部と試料採取部に接続する細長状の把持部とからなる試料採取部材と、試料容器と、試料を処理する溶液とを備えた試料採取キットを用いた試料採取方法であって、把持部を把持しながら、試料採取部の開口を試料に対して略垂直に押し込んで、試料採取部材を試料の内部に挿入する工程と、次いで、挿入方向と交わる方向に試料採取部を移動させて、試料から試料採取部材を抜き取り、試料を採取する工程と、次いで、試料容器内に試料採取部を移動させ、試料採取部を変形させることによって、試料採取部から試料を取り出す工程と、を有する。
このようにしても、上記本発明の試料採取部材及びそれを用いた試料採取キットの効果が実現できる。
【0057】
次に、本発明の実施形態を、図面を用いて説明する。
第一実施形態
図1は本発明の第一実施形態にかかる試料採取用具における試料採取部材の構成を示す説明図であり、(a)は全体の構成を示す斜視図、(b)は(a)の上面図である。図2は図1の試料採取部材を用いた試料の採取方法を示す説明図であり、(a)は試料へ試料採取部材の試料採取部を挿入する工程での操作方法を示す図、(b)は試料採取部で試料を採取する工程での操作方法を示す図、(c)は(a),(b)の工程を経て試料採取部に試料が採取された状態を示す図である。図3は本発明の第一実施形態にかかる試料採取用具における試料採取部材の把持部の一変形例を示す説明図、図4は本発明の第一実施形態にかかる試料採取用具における試料採取部材の把持部の他の変形例を示す説明図である。図5は本発明の第一実施形態にかかる試料採取用具における試料採取部材を、試料採取部を複数個有して構成した例を示す説明図である。
【0058】
第一実施形態の試料採取用具は、試料採取部11と、把持部12とからなる試料採取部材1で構成されている。
試料採取部11は、開口11aを有している。開口11aは、細長且つ薄肉の板状部材の長辺方向を曲げることによって形成されている。
把持部12は、細長状の部材からなり、その一端が試料採取部11における板状部材の外周面に接続している。
【0059】
図1の試料採取部11では、板状部材における開口11aを形成する範囲が円環状に閉じている。なお、開口11aの形状は、円環状に限られるものではなく、例えば、多角形や星型などの任意の形状を、開口11aの形状として採用してもよい。また、板状部材における開口11aを形成する範囲は、完全に閉じていなくてもよく、例えば、一部の短辺方向に切断部を有していてもよい。
板状部材の材質は、金属または樹脂が用いられている。なお、板状部材の材質として、一般的な樹脂であるPE、PS、PETなどを用いると、試料採取部11の開口形状を作り易く、また試料採取後には廃棄がし易くなるので好ましい。また、板状部材の材質としては、樹脂をコートして水に溶けにくくした紙を用いても良い。
【0060】
板状部材の厚みt1は、試料を採取する際に試料採取部11の開口11aにかかる、変形方向に働く力に対して耐える強度を得ることができ、且つ、試料の内部に試料採取部1を挿入し易くすることが可能な程度、例えば、0.05mm〜1.5mm程度となっている。
また、板状部材の幅w1は、例えば、0.2cm〜2cm程度、開口面積S1は、例えば、0.5cm2〜7cm2程度となっている。
このようにすると、開口を形成する板状部材と、その開口面で囲まれた容積は、例えば、0.1cm3〜14cm3程度となり、必要量の試料を採取することができる。なお、試料採取部の容積はこれらの範囲の値に限られるわけではなく、試料を採取する目的に応じてその容積を任意に設計してもよい。
さらに、板状部材の幅w1は次のようにすると良い。開口面積S1に対して、開口を円と仮定した円相当半径をrとする(S1=π×r2の関係にある)と、板状部材の幅w1は、r/2≦w1<2r が望ましい。板状部材の幅w1をこのような値とすることで、開口近傍で採取された糞便のような試料が、採取部の内壁に付着することにより生ずる抵抗力が大きくなる前に、試料採取部内に試料を満たすことができるので、シリンジのように深部まで試料を入れるために大きな力で押さなくても良い。そして、必要量の試料を採取することができる。
また、板状部材の厚みt1は、t1=(π/103)r2(この式でt1、rの単位はmmのみ使用可)以上 とすることが望ましい。これにより、試料採取部に強度を持たせることができる。かつ、板状部材の厚みt1は、1.5mm以下とすることが望ましい。試料採取部と試料との接触部(開口の縁部)における単位面積あたりにかかる力を大きくすることができ、試料採取部を試料の内部に向けて押し込む力が小さくても、試料採取部を試料の内部に挿入させ易くすることができる。これにより、強度を持たせながら、開口の縁部を刃として作用させることができ、糞便等を切り込み易くなる。
【0061】
把持部12は、試料を採取する際に試料が手につかない程度、且つ、把持部12を持つ手が便器の穴と干渉しない程度、例えば、3cm〜15cm程度の長さを有し、その長手方向が試料採取部11の開口方向に対して垂直な方向を向いている。なお、把持部12は、収納性を良くするため、伸び縮み可能に構成しても良い。
【0062】
このように構成された第一実施形態の試料採取用具を用いた試料の採取方法について、図2を用いて説明する。
第一実施形態の試料採取用具を用いて試料を採取する場合、採取者は、試料採取部材1の把持部12を把持しながら、図2(a)に示すように、試料採取部11における板状部材の開口11aを試料Eに向け、開口11aの面に対して略垂直な方向(矢印A方向)に試料採取部11を移動させて、試料Eの内部に挿入させる。次いで、図2(b)に示すように、挿入方向と交わる方向、望ましくは、開口11aの面に略平行な方向(矢印B方向)に試料採取部11を移動させて、試料Eから抜き取る。これにより、図2(c)に示すように、試料採取部11における板状部材の開口11aを形成する範囲の内側に、試料Eが採取される。なお、試料採取部11を抜き取る際に、把持部12の軸方向を中心としてやや回転させると、開口11aの外側に付着する余分な試料Eを減らすことができる。
【0063】
第一実施形態の試料採取用具を構成する試料採取部材によれば、開口11aを形成する範囲を閉じた板状部材が、ある程度の幅w1を有しているので、その開口11aの面を試料Eに押し付けて挿入するときに、試料Eからの変形方向に働く力に耐えて試料Eの内部に進入できる強度をもたせることができる。しかも、板状部材が薄肉であるため、試料採取部11と試料Eとの接触部における単位面積あたりにかかる力を大きくすることができ、試料採取部11を試料Eの内部に向けて押し込む力が小さくても、試料採取部11aを試料Eの内部に挿入させ易くなる。このため、開口11aの縁部を刃として作用させることができ、試料Eを切り込み易くなる。また、形成された開口の径が、開口を形成する板状部材の幅に比べて大きくなるので、試料Eを採取する面積を大きくとることができる。
【0064】
また、第一実施形態の試料採取用具を構成する試料採取部材によれば、開口11aを形成する板状部材が、その開口11aの面と交わる方向(即ち、板状部材の短辺方向)に所定の幅を持っているので、開口11aを形成する板状部材の内側空間に、より多くの試料Eを挿入させ易くなるとともに、挿入された試料Eを板状部材の内側の面で保持し易くなる。
このため、第一実施形態の試料採取用具によれば、大きな力を加えなくても糞便等の中に挿入させ易く、開口11aを形成した範囲における板状部材の内側の面に試料Eが保持されることによって検査に十分な必要量の試料Eを採取することができる。
なお、試料採取部材1を、開口11aの縁部で試料Eの表面を削るように動かせば、試料Eの表面部分を採取することもできる。
【0065】
なお、把持部12は、図3に示すように、曲線部12aを介して、その長手方向が上向きに曲がるように形成すると、試料Eを採取するために試料採取部材1を便器内に鉛直に入れるときに、試料採取部材1の把持部12を持つ手を便器に接触し難くすることができる。
【0066】
または、把持部12は、図4に示すように、その長手方向が試料採取部11の開口11a方向に対して垂直方向を向くように、その一端を分岐して試料採取部11に接続しても良い。このようにすれば、試料採取部材1の水平方向のスペースを小さくすることができるので、試料採取部材1を便器内に入れて試料を採取するときに、試料採取部材1の把持部12を持つ手を便器に接触させないようにすることができる。
【0067】
また、図5に示すように、試料採取部11(の開口11a)を複数個を有して試料採取部材1を構成してもよい。このようにすれば、1回の採取操作で、広範囲にわたって試料を採取したり、より多くの量の試料を採取することができる。
【0068】
第二実施形態
図6は本発明の第二実施形態にかかる試料採取用具における試料採取部材の構成を示す説明図であり、(a)はその一例を示す上面図、(b)は他の例を示す上面図である。
第二実施形態の試料採取用具は、試料採取部11の板状部材における開口11aを形成する範囲が、閉じていない構成となっている。
【0069】
例えば、図6(a)に示す例の試料採取用具は、試料採取部11の板状部材における開口11aを形成する範囲において、板状部材の短辺方向に切断部11bが形成されている。その他の構成は第一実施形態の試料採取用具と略同じである。
このように構成された図6(a)の例の試料採取用具によれば、切断部11bがあるので、試料採取部11を変形させ易くなり、採取した試料を試料採取部11から取り出し易くなる。
なお、図6(a)の例における試料採取用具は、切断部11bを構成する切断された端部同士が、初期状態では当接し、試料保持部11の一部(例えば、切断部11b)に押圧力を加えたときに、その当接している端部同士が離れて、開口11aが変形するように構成してもよい。
【0070】
また、例えば、図6(b)に示す例の試料採取用具は、試料採取部11の板状部材における開口11aを形成する範囲において、板状部材の短辺方向に切断部11b’が形成され、初期状態において、その一端部11b1’が他端部11b2’の内側に入り込むように構成されている。その他の構成は第一実施形態の試料採取用具と略同じである。
このように構成された図6(b)の例の試料採取用具によれば、切断部11b’の一端部11a1’が他端部11a2’の内側に入り易いため、試料採取部11を一層変形させ易くなり、採取した試料を試料採取部11から取り出し易くなる。
その他の作用効果は、第一実施形態の試料採取用具と略同じである。
【0071】
第三実施形態
図7は本発明の第三実施形態にかかる試料採取用具の構成を示す説明図であり、(a)はその一例の試料採取用具において、試料採取後の試料採取部から試料を取り出す工程での操作方法を示す図、(b)は(a)の工程を経て試料採取部から試料が取り出された状態を示す図、(c)は他の例の試料採取用具において、試料採取後の試料採取部から試料を取り出す工程での操作方法を示す図、(d)は(c)の工程を経て試料採取部から試料が取り出された状態を示す図、(e)は(a)の試料採取用具の構成を備えた試料採取キットの一例を示す説明図であり、取り出した試料及び溶液を保管する状態を示す図、(f)は(e)の変形例にかかる試料採取キットの一例を示す説明図であり、取り出した試料及び溶液とともに試料採取部材を保管する状態を示す図、(g)は(f)の試料採取キットにおける試料容器の要部の構成を示す上面図である。
【0072】
第三実施形態の試料採取用具は、試料取り出し部材2を、試料採取部材1とは別体に有している。
試料取り出し部材2は、試料取り出し部21と、支持部22を有している。
試料取り出し部21は、試料採取部11の開口11aと略同じ形状で、開口11aよりも小さい大きさを有する面21aを持っており、面21aが開口11aの内側を通過可能に構成されている。
支持部22は、試料取り出し部21を支持可能に構成されており、その一端22aが試料取り出し部21に接続するとともに、他端22bが試料容器3の底面3aに固定されている。
【0073】
そして、図7(a),(b)に示す例の試料採取用具では、試料採取部材1の試料採取部11は、図6(a)に示した試料採取部材1と同様、板状部材における開口11aを形成する範囲において、板状部材の短辺方向に切断部11b(又は11b’)が形成されている。
また、支持部22は、切断部11bを通過させることが可能な幅に形成されている。
なお、試料採取部11の板状部材における切断部11bは、開口11aを形成する範囲における板状部材の重心(開口11aの中心)と、把持部12と試料採取部11との接続部とを結ぶ線(不図示)に対し、その重心上で直角に交わる面(不図示)を境界にして、把持部12と試料採取部11との接続部とは反対側の位置に設けるのが望ましい。さらには、試料採取部11の板状部材における切断部11bは、開口11aを形成する範囲における板状部材の重心(開口11aの中心)と、把持部12と試料採取部11との接続部とを結ぶ線(不図示)の延長上の位置(即ち、試料採取部材1を把持する側と正反対の位置)に設けるのがより望ましい。切断部11bを、試料採取部材1を把持する側と反対側に設けると、試料取り出し部21を支持する支持部22の外側を切断部11bが通過し易くなる。
【0074】
なお、図7(a),(b)の例における試料採取用具においても、切断部11bの切断された端部同士が、初期状態では当接し、押圧力が加えられたときに、その当接している端部同士が離れて、開口11aが変形するように構成してもよい。
その場合は、支持部22において切断部11bが通過する始点となる部位の肉厚をその他部位よりも薄くするとよい。そのようにすれば、切断部11bにおいて当接している端部同士を、支持部22に押し当てて離すときにかかる力を小さくすることができる。
【0075】
このように構成された図7(a),(b)の例の試料採取用具を用いて試料を採取するときの処理手順を、図8を用いて説明する。まず、図2に示したのと同様に、把持部12を把持しながら、試料採取部11における板状部材の開口11aを試料Eに向け、開口11aの面に対して略垂直な方向(図2(a)の矢印A方向)に試料採取部11を移動させて、試料Eの内部に挿入する(ステップS1)。次いで、挿入方向と交わる方向、望ましくは、開口11aの面に略平行な方向(図2(b)の矢印B方向)に試料採取部11を抜き取り、試料Eを採取する(ステップS2)。次いで、図7(a)に示すように、切断部11bが支持部22を通過するように試料採取部11を移動させる(ステップS3)。すると、開口11a内を試料取り出し部21が通過し、図7(b)に示すように、試料Eは、試料取り出し部21に付着する。これにより、試料採取部11から試料Eが取り出される。
【0076】
図7(a),(b)の例の試料採取用具によれば、試料採取部11が試料取り出し部21を通過するときに、試料採取部11の切断部11b(又は11b’)が試料取り出し部21の支持部22にガイドされるので、試料採取部材1が試料取り出し部材2を通過し易い。その結果、一方向に試料採取部材1を移動させるだけで、試料採取部11内に採取された試料を取り出すことができる。なお、支持部22は、試料採取部11の切断部11b(又は11b’)に比べて幅を狭くすれば、試料採取部11の切断部11b(又は11b’)を通過させ易くなる。なお、支持部22の幅を試料採取部11の切断部11b(又は11b’)に比べて広くしても、試料採取部11の切断部11b(又は11b’)が当接したときに、試料採取部11が弾性変形して広がる程度の広さであれば、試料採取部11の切断部11b(又は11b’)を通過させることは可能である。
【0077】
また、図7(a),(b)の例の試料採取用具によれば、試料容器3の内部に試料取り出し部材2を固定したので、試料採取部材1で採取した試料Eを試料容器3の中で取り出すことができ、試料採取部材1で採取した試料Eを取り出す際の周囲への汚染を防止できる。
【0078】
さらに、図7(a),(b)の例の試料採取用具によれば、試料採取部材1が試料取り出し部材2を通過できるので、試料採取部を試料に挿入する工程及び試料を採取する工程(ステップS1及びステップS2)と、試料を取り出す工程(ステップS3)を繰り返すことができ、より多くの試料を採取することもできる。
【0079】
なお、第三実施形態の試料採取用具は、図7(a),(b)に示す例のものに限定されず、図7(c),(d)に示すように構成してもよい。
図7(c),(d)の例の試料採取用具では、試料採取部材1の試料採取部11は、図1(a),(b)に示す構成と同様、板状部材における開口11aを形成する範囲が閉じている。
また、試料取り出し部21は、試料採取部11の開口11aを保持可能な長さの側面を持つ円柱状に形成されている。
【0080】
このように構成された図7(c),(d)の例の試料採取用具を用いて試料を採取するときの処理手順を、図8を用いて説明する。まず、図2に示したのと同様に、把持部12を把持しながら、試料採取部11における板状部材の開口11aを試料Eに向け、開口11aの面に対して略垂直な方向(図2(a)の矢印A方向)に試料採取部11を移動させて、試料Eの内部に挿入する(ステップS1)。次いで、挿入方向と交わる方向、望ましくは、開口11aの面に略平行な方向(図2(b)の矢印B方向)に試料採取部11を抜き取り、試料Eを採取する(ステップS2)。次いで、図7(c)に示すように、開口11a内に試料取り出し部21が入るように試料採取部11を移動させる(ステップS3)。すると、図7(d)に示すように、試料採取部11の開口11aは試料取り出し部21の側面に保持され、試料Eは、試料取り出し部21に付着する。これにより、試料採取部11から試料Eが取り出される。
【0081】
図7(c),(d)の例の試料採取用具によれば、試料採取部11の開口11aを試料取り出し部21に入るように移動させるだけで、試料採取部11内に採取された試料を取り出すことができる。
また、図7(c),(d)の例の試料採取用具によれば、試料容器3の内部に試料取り出し部材2を固定したので、試料採取部材1で採取した試料Eを試料容器3の中で取り出すことができ、試料採取部材1で採取した試料Eを取り出す際の周囲への汚染を防止できる。
【0082】
なお、第三実施形態の試料採取用具における試料容器を、蓋を備えた構成とするとともに、試料を処理する溶液を備えて、試料採取キットを構成するとよい。
このように構成した試料採取キットでは、例えば、図7(e)に示すように、試料Eを取り出した後に、試料容器本体の上部を蓋3bで閉めて、試料を処理する溶液4及び試料Eが外部に飛び出さないように保管する。
このようにして試料採取キットを構成すれば、試料を採取するだけでなく、試料処理、測定、検査等を迅速に行なうことができるようになる。
【0083】
さらに、図7(e)の構成に加えて、例えば、図7(f),(g)に示すように、試料容器3に試料取り出し部材1を保持する保持部3cを備えてもよい。保持部3cは、弾性変形可能な材質からなり、試料取り出し部材1の把持部12を通過可能な挿入端部3c1と、把持部12の側面形状に合わせて形成された保持面3c2を有している。
このようにすれば、保持部3cを介して、試料採取部材1を試料容器3に収納、保管することができ、試料採取後に、試料採取部材1を試料容器3とは別に保管したり、廃棄する必要がなくなり、試料を採取後の汚染や保管又は廃棄の手間を省くことができる。
【0084】
なお、図7(e)〜(f)の例では、試料採取用具と、試料を処理する溶液とを備えた試料採取キットが構成されているが、もちろん、試料採取用具のみについて、試料容器3に蓋3bを備える構成や、試料容器3に試料採取部材1を保持する保持部3cを備えた構成としてもよい。
【0085】
第四実施形態
図9は本発明の第四実施形態にかかる試料採取用具の一例を示す説明図であり、(a)は試料採取時の状態を示す図、(b)は試料採取後に試料を取り出した状態を示す図である。図10は本発明の第四実施形態にかかる試料採取用具の変形例を示す説明図であり、(a)は試料採取時の状態を示す図、(b)は試料採取後に試料を取り出した状態を示す図である。
第四実施形態の試料採取用具は、第一、第二実施形態における試料採取部材1の試料採取部11を弾性変形可能に構成したものである。
【0086】
例えば、図9の例の試料採取用具は、試料採取部11を構成する板状部材に弾性変形する部材を用いている。板状部材に弾性があると、図9(b)に示すように、把持部12を押して試料採取部11を押しつぶすことで簡単に試料Eを取り出すことができる。また、試料採取部11の押圧を開放すると、試料採取部11が元の開口11aを有する形状に戻る。
【0087】
また、例えば、図10の変形例の試料採取用具は、試料採取部11を構成する板状部材に弾性変形する部材を用いている。さらに、例えば、図6(b)に示したように、試料採取部11の板状部材における開口11aを形成する範囲において、板状部材の短辺方向に切断部11b’が形成され、初期状態において、その一端部11b1’が他端部11b2’の内側に入り込んで開口を形成するように構成されている。このようにすると、切断部11b’の一端部11b1’が他端部11b2’の内側に入り易くなっているため、図10(b)に示すように、板状部材が巻き込まれた状態に変形させることができ、試料採取部11を一層変形させ易くなる。このため、試料Eを採取後に、試料採取部11を変形させることによって、試料Eを試料採取部11から簡単に取り出すことができる。また、変形方向への押圧を開放すると、試料採取部11の形状が元の状態に戻る。
【0088】
このため、第四実施形態の試料採取用具によれば、例えば、広範囲の試料を採取したり、より多くの量の試料を採取する場合など、同じ試料に対する採取作業を複数回行なう場合に、同一の試料採取部材を用いて、試料を繰り返し採取することが簡単にできる。
そして、試料容器3の内部で押しつぶし、又は巻き込むように変形させて戻すことを繰り返すと、取り出しにくい粘性のある試料Eも取り出せることに加えて、試料容器3の中に試料Eを処理する溶液4を入れた場合には、その溶液4に対流が生じるので、試料Eを撹拝して処理し易くなる。
【0089】
このように構成された第四実施形態の試料採取用具を用いて試料を採取するときの処理手順を、図8を用いて説明する。まず、第一実施形態の試料採取部材と同様に、試料Eを採取する。即ち、図2に示したのと同様に、把持部12を把持しながら、試料採取部11における板状部材の開口11aを試料Eに向け、開口11aの面に対して略垂直な方向(図2(a)の矢印A方向)に試料採取部11を移動させて、試料Eの内部に挿入する(ステップS1)。次いで、挿入方向と交わる方向、望ましくは、開口11aの面に略平行な方向(図2(b)の矢印B方向)に試料採取部11を抜き取り、試料Eを採取する(ステップS2)。次いで、試料採取部11を試料容器3の内部に入れ、試料採取部11を押圧する。すると、図9又は図10に示すように、試料採取部11が変形し、開口11aの内側に採取されていた試料Eが試料容器3に押し出される。これにより、試料採取部11から試料Eが取り出される(ステップS3)。
【0090】
なお、第四実施形態の試料採取用具における試料採取部材1とともに、図7(e),(f)の例で示したような、蓋3aを備えた試料容器3と、さらに、試料を処理する溶液4とを備えて、試料採取キットを構成するとよい。
さらに、図7(f),(g)の例で示したように、試料容器3に試料取り出し部材1を保持する保持部3cを備えてもよい。
【0091】
第五実施形態
図11は本発明の第五実施形態にかかる試料採取用具の一例を示す説明図、図12は本発明の第五実施形態にかかる試料採取用具の他の例を示す説明図である。
第五実施形態の試料採取用具は、例えば、図1に示した第一実施形態の試料採取用具を構成する試料採取部材に先鋭部を設けた構成となっている。
【0092】
例えば、図11の例の試料採取用具は、試料採取部材1における試料採取部11の開口を形成する板状部材の外周面に、針状の先鋭部11cを有している。
図11の例の試料採取用具によれば、水分の含有量の少ない、硬めの小粒形の試料を採取する場合等、試料採取部11が試料の中に入り難いときに、試料を先鋭部11cに突き刺して採取することができる。
【0093】
また、例えば、図12の例の試料採取用具は、試料採取部材1における試料採取部11の開口11aの縁部に、波刃状の先鋭部11c’を複数有している。
図12の例の試料採取用具によれば、水分の含有量の少ない、硬めの試料を採取する場合において、図2に示すように、試料採取部を試料の中に挿入するときに、入れ易くなる。また、開口11aの縁部に設けた先鋭部11c’を、試料に突き刺して採取し、或いは、先鋭部11c’を介して硬い試料を削り取って採取することも可能になる。
【0094】
第六実施形態
図13は本発明の第六実施形態にかかる試料採取用具の一例を示す説明図、図14は本発明の第六実施形態にかかる試料採取用具の他の例を示す説明図で、(a)は斜視図、(b)は上面図、(c)は要部断面図である。
第六実施形態の試料採取用具は、上記各実施形態における試料採取部材1が、試料採取部11に形成される開口11aの一方の側を塞ぐことが可能な蓋状部材5を、開閉可能に備えて構成したものである。
このようにすると、開口11aを塞ぐことで、スプーンのように試料を採取することができ、特に、水分を多く含む柔らかい試料を採取することが可能になる。
【0095】
例えば、図13の例の試料採取用具では、蓋状部材5は、ガイド部材6に固定されている。ガイド部材6は、把持部12の外周を取り囲み、把持部12の長手方向に沿って移動可能に構成されている。そして、ガイド部材6を試料採取部11に近づけることにより、蓋状部材5が、試料採取部11の開口11aの面に沿ってスライドして開口11aを塞ぐようになっている。
図13の例の試料採取用具によれば、ガイド部材6を移動させるだけで、簡単に開口11aを開閉できる。また、ガイド部材6を把持部12の長手方向に沿ってスライドさせることで蓋状部材5が開口11aを塞ぐようにすれば、蓋状部材5の移動方向が直線方向に限定されるため、蓋状部材5が開口11aを塞いだ状態を固定し易くなる。
【0096】
図14の例の試料採取用具では、蓋状部材5は、把持部12に設けられた回転軸7を介して試料採取部11の開口11aの面に沿って回転可能に取り付けられている。より詳しくは、蓋状部材5には、回転レバー部8が固定されている。回転レバー部8は、回転軸7が通る穴を有し、回転軸7を中心に回転可能に回転軸7に取り付けられている。そして、回転レバー部8を介して、蓋状部材5が回転軸7を中心に回転することにより、試料採取部11の開口11aを塞ぐように構成されている。
図14の例の試料採取用具によれば、蓋状部材5を、回転レバー部8を介して回転軸7を中心に回転させるだけで、簡単に開口11aを開閉できる。なお、蓋状部材5を、回転軸7を中心に回転させて開口11aを開閉する構成の場合、閉じ状態の蓋状部材5が動きやすい。そこで、試料採取部11に、開口11aを塞いだ状態の蓋状部材5を係止可能な係止部11dを備えるのがより好ましい。
【0097】
なお、第六実施形態の試料採取用具における、開口を塞ぐことができる蓋状部材5に、さらに針状の先鋭部を備えてもよい。そのようにすれば、硬い便を先鋭部で突き刺して採取することもできるようになり、一つの試料採取用具だけで、水分を多く含む柔らかい試料から、硬い便のような試料まで採取できるようになる。
【0098】
このように、上記各実施形態の試料採取用具及びそれを備えた試料採取キットによれば、大きな力を加えなくても糞便の中に挿入させ易く、検査に十分な量の糞便を採取可能になる。
なお、本発明の試料採取用具及びそれを備えた試料採取キットは、上記各実施形態の構成に限定されるものではなく、例えば、上記各実施形態における特徴的な構成を組み合わせたものでも勿論よい。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明の試料採取用具及びそれを用いた試料採取キットは、例えば、糞便の中に含まれる剥離したがん細胞を検出するために必要な所定量以上の糞便を採取する糞便採取用具を提供する分野に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の第一実施形態にかかる試料採取用具における試料採取部材の構成を示す説明図であり、(a)は全体の構成を示す斜視図、(b)は(a)の上面図である。
【図2】図1の試料採取部材を用いた試料の採取方法を示す説明図であり、(a)は試料へ試料採取部材の試料採取部を挿入する工程での操作方法を示す図、(b)は試料採取部で試料を採取する工程での操作方法を示す図、(c)は(a),(b)の工程を経て試料採取部に試料が採取された状態を示す図である。
【図3】本発明の第一実施形態にかかる試料採取用具における試料採取部材の把持部の一変形例を示す説明図である。
【図4】本発明の第一実施形態にかかる試料採取用具における試料採取部材の把持部の他の変形例を示す説明図である。
【図5】本発明の第一実施形態にかかる試料採取用具における試料採取部材を、試料採取部を複数個有して構成した例を示す説明図である。
【図6】本発明の第二実施形態にかかる試料採取用具における試料採取部材の構成を示す説明図であり、(a)はその一例を示す上面図、(b)は他の例を示す上面図である。
【図7】本発明の第三実施形態にかかる試料採取用具の構成を示す説明図であり、(a)はその一例の試料採取用具において、試料採取後の試料採取部から試料を取り出す工程での操作方法を示す図、(b)は(a)の工程を経て試料採取部から試料が取り出された状態を示す図、(c)は他の例の試料採取用具において、試料採取後の試料採取部から試料を取り出す工程での操作方法を示す図、(d)は(c)の工程を経て試料採取部から試料が取り出された状態を示す図、(e)は(a)の試料採取用具の構成を備えた試料採取キットの一例を示す説明図であり、取り出した試料及び溶液を保管する状態を示す図、(f)は(e)の変形例にかかる試料採取キットの一例を示す説明図であり、取り出した試料及び溶液とともに試料採取部材を保管する状態を示す図、(g)は(f)の試料採取キットにおける試料容器の要部の構成を示す上面図である。
【図8】本発明の第三実施形態の試料採取用具を備えた試料採取キットを用いて試料を採取する方法における処理工程を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第四実施形態にかかる試料採取用具の一例を示す説明図であり、(a)は試料採取時の状態を示す図、(b)は試料採取後に試料を取り出した状態を示す図である。
【図10】本発明の第四実施形態にかかる試料採取用具の変形例を示す説明図であり、(a)は試料採取時の状態を示す図、(b)は試料採取後に試料を取り出した状態を示す図である。
【図11】本発明の第五実施形態にかかる試料採取用具の一例を示す説明図である。
【図12】本発明の第五実施形態にかかる試料採取用具の他の例を示す説明図である。
【図13】本発明の第六実施形態にかかる試料採取用具の一例を示す説明図である。
【図14】本発明の第六実施形態にかかる試料採取用具の他の例を示す説明図で、(a)は斜視図、(b)は上面図、(c)は要部断面図である。
【符号の説明】
【0101】
1 試料採取部材
11 試料採取部
11a 開口
11b,11b’ 切断部
11b1’ 一端部
11b2’ 他端部
11c,11c’ 先鋭部
11d 係止部
12 把持部
2 試料取り出し部材
21 試料取り出し部
21a 面
22 支持部
22a 一端
22b 他端
3 試料容器
3a 底面
3b 蓋
3c 保持部
3c1 挿入端部
3c2 保持面
4 試料処理液
5 蓋状部材
6 ガイド部材
7 回転軸
8 回転レバー部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長且つ薄肉の板状部材の長辺方向が曲げられて形成された開口を有する試料採取部と、
前記試料採取部に接続する細長状の把持部、
とからなる試料採取部材を有することを特徴とする試料採取用具。
【請求項2】
前記試料採取部は、前記板状部材における前記開口を形成する範囲が閉じていることを特徴とする請求項1に記載の試料採取用具。
【請求項3】
前記試料採取部は、前記板状部材における前記開口を形成する範囲が閉じていないことを特徴とする請求項1に記載の試料採取用具。
【請求項4】
前記試料採取部は、前記板状部材における前記開口を形成する範囲の短辺方向に切断部を有することを特徴とする請求項3に記載の試料採取用具。
【請求項5】
前記試料採取部の開口と略同じ形状で、該開口よりも小さい大きさの面を持つ試料取り出し部を有する試料取り出し部材を、前記試料採取部材とは別体に有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の試料採取用具。
【請求項6】
前記試料取り出し部材は、前記試料取り出し部を支持する支持部を有し、
前記支持部は、前記試料採取部に形成された前記切断部を通過させることが可能に形成されていることを特徴とする請求項4に従属する請求項5に記載の試料採取用具。
【請求項7】
その内部に前記試料取り出し部材を固定した試料容器を、前記試料採取部材とは別体に有することを特徴とする請求項5又は6に記載の試料採取用具。
【請求項8】
前記試料容器が、前記試料採取部材を保持する保持部又は該試料採取部材を収納する収納部を備えていることを特徴とする請求項7に記載の試料採取用具。
【請求項9】
前記試料採取部が、弾性変形可能に構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の試料採取用具。
【請求項10】
前記試料採取部材が、前記試料採取部を複数有することを特徴とする請求項1〜4、9のいずれかに記載の試料採取用具。
【請求項11】
前記試料採取部材が、前記試料採取部に形成される開口の一方の側を塞ぐことが可能な蓋状部材を、開閉可能に備えていることを特徴とする請求項1〜4、9、10のいずれかに記載の試料採取用具。
【請求項12】
前記把持部は、その長手方向が前記試料採取部の開口方向に対して垂直方向を向いていることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の試料採取用具。
【請求項13】
前記把持部は、その長手方向が前記試料採取部の開口方向に延びていることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の試料採取用具。
【請求項14】
前記把持部は、その一端が前記試料採取部の開口を形成する前記板状部材の外周面に接続するとともに、その長手方向が上向きに曲がっていることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の試料採取用具。
【請求項15】
前記蓋状部材は、前記把持部の外周を取り囲み該把持部の長手方向に沿って移動可能なガイド部材に固定され、前記ガイド部材を前記試料採取部に近づけることにより、該試料採取部の開口面に沿ってスライドして該開口を塞ぐことを特徴とする請求項11に従属する請求項13に記載の試料採取用具。
【請求項16】
前記蓋状部材は、前記把持部に設けられた回転軸を介して該試料採取部の開口面に沿って回転可能に取り付けられ、該回転軸を中心に回転することにより、該試料採取部の開口を塞ぐことを特徴とする請求項11に従属する、請求項13又は14に記載の試料採取用具。
【請求項17】
前記試料採取部の開口を形成する前記板状部材の外周面に先鋭部を有することを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の試料採取用具。
【請求項18】
前記試料採取部の開口の縁部に先鋭部を有することを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の試料採取用具。
【請求項19】
前記蓋状部材の先端に先鋭部を有することを特徴とする請求項11、15、16、請求項11に従属する請求項12〜14、17、18のいずれかに記載の試料採取用具。
【請求項20】
前記試料採取部材を保持する保持部又は該試料採取部材を収納する収納部を備えた試料容器を、前記試料採取部材とは別体に有することを特徴とする請求項1〜4、9〜11、請求項1〜4、9〜11のいずれかに従属する請求項12〜18、請求項11に従属する請求項19のいずれかに記載の試料採取用具。
【請求項21】
請求項7又は8、請求項7又は8に従属する請求項12〜14、17、18のいずれかに記載の試料採取用具と、試料を処理する溶液とを備えてなることを特徴とする試料採取キット。
【請求項22】
細長且つ薄肉の板状部材の長辺方向が曲げられて形成された開口を有する試料採取部と該試料採取部に接続する細長状の把持部とからなる試料採取部材と、前記試料採取部の開口と略同じ形状で、該開口よりも小さい大きさの面を持つ試料取り出し部を有する試料取り出し部材を固定した試料容器と、試料を処理する溶液とを備えた試料採取キットを用いた試料採取方法であって、
前記把持部を把持しながら、前記試料採取部の開口を試料に対して略垂直に押し込んで、前記試料採取部材を試料の内部に挿入する工程と、
次いで、挿入方向と交わる方向に前記試料採取部を移動させて、試料から前記試料採取部材を抜き取り、試料を採取する工程と、
次いで、前記開口内に前記試料取り出し部が入るように前記試料採取部を移動させ、試料を該試料取り出し部に付着させることによって、該試料採取部から試料を取り出す工程と、
を有することを特徴とする試料採取方法。
【請求項23】
細長且つ薄肉の板状部材の長辺方向が曲げられて形成された開口を有する弾性変形可能に構成された試料採取部と該試料採取部に接続する細長状の把持部とからなる試料採取部材と、試料容器と、試料を処理する溶液とを備えた試料採取キットを用いた試料採取方法であって、
前記把持部を把持しながら、前記試料採取部の開口を試料に対して略垂直に押し込んで、前記試料採取部材を試料の内部に挿入する工程と、
次いで、挿入方向と交わる方向に前記試料採取部を移動させて、試料から前記試料採取部材を抜き取り、試料を採取する工程と、
次いで、前記試料容器内に前記試料採取部を移動させ、該試料採取部を変形させることによって、該試料採取部から試料を取り出す工程と、
を有することを特徴とする試料採取方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−48776(P2010−48776A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−215648(P2008−215648)
【出願日】平成20年8月25日(2008.8.25)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】