説明

試料採取装置、これを備えたガスタービンの試料検出装置および試料採取方法

【課題】隙間や狭隘部に付着している付着物の採取が容易に可能な試料採取装置、これを備えたガスタービンの試料検出装置および試料採取方法を提供することを目的とする。
ことを目的とする。
【解決手段】試料が付着している計測部30に設置される採取部材2と、採取部材2内に溶剤を供給する溶剤供給手段5と、採取部材2内を減圧する減圧手段6と、減圧手段6によって減圧された採取部材2内の溶剤を貯留する貯留手段7と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料採取装置、これを備えたガスタービンの試料検出装置および試料採取方法に関し、特に、隙間や狭隘部に付着している付着物の採取に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、ガスタービンを構成している圧縮機のブレードやディスクやローター等の構成部材には、圧縮機によって吸引された大気中に含まれている微粒子が付着物として付着している。特に、付着物に腐食性の物質が混在している場合には、ブレードやディスクやローター等の構成部材が腐食して破損する等の事故に発展する恐れがある。そのため、ガスタービンの圧縮機の各構成部材から定期的に付着物を採取して分析および評価が行われている。
【0003】
この付着物の採取方法としては、構成部材の表面に付着している付着物を掻き取る方法や、スミヤ法(smear method)による拭き取り方法(例えば、特許文献1)、ガスタービンの内部全体を洗浄して、洗浄後の洗浄液を採取する方法(例えば、特許文献2)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−131196号公報
【特許文献2】特開2000−274206号公報
【特許文献3】特開2000−328277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の発明では、複雑な構造の構成部材の隙間や狭隘部に付着している付着物の採取が困難であるという問題があった。
【0006】
また、特許文献2に記載の発明は、ガスタービン内に洗浄液を投入してガスタービン内全体を洗浄するため、投入した洗浄液を取り出すためのドレン孔を設けたケーシングに付け替えたり、洗浄液を大量に使用するため洗浄作業にコストや作業時間がかかるという問題があった。また、ガスタービンの内部全体を洗浄することから、構成部材の隙間や狭隘部といった局所的な箇所の付着状況を把握するができないという問題があった。
また、特許文献3に記載の発明は、ブレードを取り外して高温環境下で付着物を離脱させるため、高温環境を設置する作業工程が必要となるという問題があった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、ガスタービンの構成部材の隙間や狭隘部に付着している付着物の採取が容易に可能な試料採取装置、これを備えたガスタービンの試料検出装置および試料採取方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の試料採取装置、これを備えたガスタービンの試料検出装置および試料採取方法は、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明に係る試料採取装置によれば、試料が付着している計測部に設置される採取部材と、該採取部材へ溶剤を供給する溶剤供給手段と、該採取部材内を減圧する減圧手段と、該減圧手段によって減圧された前記計測部の溶剤を貯留する貯留手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
計測部に設置した採取部材と計測部との間を減圧して、減圧手段によって計測部と採取部材との間の溶剤を貯留手段に採取することとした。そのため、採取部材と計測部との間の圧力と大気圧との差を利用して、計測部に付着している試料を溶剤と共に採取することができる。したがって、計測部に生じている隙間や狭隘部に付着している試料であっても容易に採取することができる。
【0010】
さらに、本発明に係る試料採取装置によれば、前記採取部材は、カップ状の本体と、該本体の外周縁に設けられて前記計測部に接触する弾性材料からなるリップ部とを有することを特徴とする。
【0011】
計測部には、弾性材料からなるリップ部をカップ状の本体の外周縁に有する採取部材を設置することとした。そのため、計測部と採取部材との間の密着度を高めることができる。したがって、弾性材料からなるリップ部を有さない計測部を用いた場合と比べて、試料を更に多く採取することができる。
【0012】
さらに、本発明に係る試料採取装置によれば、前記貯留手段は、固形物を分離するフィルタと、分離された溶剤を貯留する容器と、を備えることを特徴とする。
【0013】
試料採取装置には、容器の上流側にフィルタを設けることとした。そのため、採取部材と計測部との間から採取された溶剤内に含まれる固形状の試料と、溶剤内に溶融している試料とを分離して採取することができる。
【0014】
さらに、本発明に係る試料採取装置によれば、前記リップ部には、該リップ部の半径方向に延在する弾性材料からなる補助設置部と、該補助設置部の延在端に設けられて該補助設置部を前記計測部に固定する固定部と、有することを特徴とする。
【0015】
リップ部にはその半径方向に延在する弾性材料からなる補助設置部を設け、補助設置部の延在端には補助設置部を計測部に固定する固定部を設けることとした。そのため、リップ部のみでは、固定することが困難な形状の計測部であっても、採取部材を計測部に良好に密着させることができる。したがって、試料採取装置の汎用性を高めることができる。
【0016】
さらに、本発明に係る試料採取装置によれば、前記採取部材内に泡を供給する泡供給手段を備えることを特徴とする。
【0017】
試料採取装置には、採取部材内に泡を供給する泡供給手段を設けることとした。そのため、泡によって攪拌された溶剤を用いて、計測部の隙間や狭隘部に付着している試料を剥離させることができる。したがって、泡供給手段を設けなかった場合に比べて、計測部に付着している試料を効率的に採取することができる。
【0018】
さらに、本発明に係るガスタービンの試料検出装置によれば、燃料を燃焼する燃焼器と、大気を圧縮する圧縮機と、前記燃焼器から排出された排気ガスによって駆動されるタービンと、を備えたガスタービンに対して用いられる上記のいずれかに記載の試料採取装置と、該試料採取装置により採取された試料を分析する分析装置と、を備え、前記採取部材は、前記圧縮機に設置されることを特徴とする。
【0019】
試料採取装置の採取部材を圧縮機に設置して、採取された試料を分析装置によって分析することとした。そのため、圧縮機を構成している機器の隙間や狭隘部に付着している試料を容易に採取して、試料の成分を分析することができる。したがって、付着した試料を起因とした腐食などによる事故を事前に防止することができる。
【0020】
さらに、本発明に係る試料採取方法によれば、計測部に設置した採取部材内に溶剤供給手段から溶剤を供給し、減圧手段を用い前記採取部材と前記計測部との間を減圧し、前記採取部材と前記計測部との間の溶剤および計測部に付着している試料を貯留手段に採取することを特徴とする。
【0021】
採取部材を計測部に設置して採取部材と計測部との間を減圧することによって、採取部材と計測部と間の溶剤を採取することとした。そのため、採取部材と計測部と間の溶剤と共に、計測部に付着している試料を採取することができる。したがって、計測部に生じている隙間や狭隘部に付着している試料であっても容易に採取することができる。
【発明の効果】
【0022】
計測部に設置した採取部材と計測部との間を減圧して、減圧手段によって計測部と採取部材との間の溶剤を貯留手段に採取することとした。そのため、採取部材と計測部との間の圧力と大気圧との差を利用して、計測部に付着している試料を溶剤と共に採取することができる。したがって、計測部に生じている隙間や狭隘部に付着している試料であっても容易に採取することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施形態に係るガスタービンに対して用いられる試料検出装置の試料採取装置の概略構成図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係る試料採取装置の採取部の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係るガスタービンに対して用いられる試料検出装置の試料採取装置の概略構成図を示している。
ガスタービン(図示せず)は、燃料を燃焼する燃焼器(図示せず)と、大気を圧縮する圧縮機(図示せず)と、燃焼器から排出された排気ガスによって駆動されるタービン(図示せず)とを備えている。
圧縮機は、大気を吸引して圧縮するものである。圧縮機の入口には吸気フィルタ(図示せず)が設けられている。吸気フィルタは、圧縮機に吸引される大気中の異物(図示せず)を捕捉する。圧縮機は、円盤状のディスク(図示せず)の半径方向に複数の翼(図示せず)を有し、それらを内含しているケーシング30を有している。圧縮機は、ディスクの中心部に接続されている回転軸(図示せず)が回転駆動することによって、翼に導かれた空気を圧縮する。ディスクとディスクの半径方向に複数設けられた翼とは、翼列を構成しており、回転軸の延在方向に複数段設けられている。
【0025】
燃焼器は、圧縮機によって圧縮された空気(大気)と、図示しない燃料供給系統から導かれた燃料とを燃焼して排気ガスを排出する。
タービンは、燃焼器が排出する排気ガスによって回転駆動される。タービンには、圧縮機のディスクに接続されている回転軸が接続されている。そのため、タービンが回転駆動されることによって、回転軸が回転し圧縮機を回転駆動する。これにより、圧縮機は、空気を圧縮することとなる。
【0026】
ガスタービンの定期点検時等には、ガスタービン内部の洗浄前にケーシング30の内側(計測部)に付着している付着物(試料)を試料採取装置1によって採取する。
試料採取装置1は、図1に示すように、ケーシング30の内側に設置されるセル(採取部材)2と、ケーシング30とセル2との間に採取液(溶剤)を供給するシリンジ5(溶剤供給手段)と、ケーシング30とセル2との間を減圧する真空ポンプ6(減圧手段)と、ケーシング30とセル2との間の採取液を貯留するサンプリング容器(貯留手段)7と、備えている。
【0027】
サンプリング容器(容器)7は、ケーシング30とセル2と間に導かれた採取液と、ケーシング30の内側に付着している付着物とが導かれるものである。サンプリング容器7とセル2との間には、サンプリングライン21が接続されている。サンプリング容器7の上流側のサンプリングライン21上には、フィルタ(貯留手段)8が設けられている。フィルタ8がサンプリング容器7の上流側に設けられることによって、採取液内に含まれている固形物は、フィルタ8によって捕捉される。フィルタ8を通過した採取液は、サンプリング容器7に貯溜されることとなる。
【0028】
真空ポンプ6は、セル2内の空気を吸引して減圧するものである。真空ポンプ6は、サンプリング容器7の下流側に設けられている。セル2とケーシング30との間が真空ポンプ6により減圧されることによって、セル2とケーシング30との間に供給された採取液がフィルタ8を経てサンプリング容器7へと導かれる。
【0029】
シリンジ5は、採取液をセル2の内部へと供給するものである。シリンジ5とセル2との間には、採取液注入ライン22が接続されている。採取液注入ライン22の途中位置には、弁23が接続されている。弁23は、採取液をシリンジ5からセル2へと供給する際には、開状態とされ、真空ポンプ6によってセル2とケーシング30との間を減圧する際には、閉状態とされる。
【0030】
また、弁23とシリンジ5との間の採取液注入ライン22には、バブリング装置(泡供給手段)9が接続されている。バブリング装置9は、図示しない圧縮空気供給系統から圧縮空気が供給されて空気の泡を発生させるものである。バブリング装置9によって発生された泡は、シリンジ5から供給された採取液と共に採取液注入ライン22を経て、セル2とケーシング30との間に導かれる。
【0031】
セル2は、カップ状のセル本体(本体)2aと、セル本体2aの外周縁に設けられている吸盤(リップ部)2bとを備えている。セル本体2aは、その内部がケーシング30の内側に向かってコの字形状に窪み部を有しているカップ状となっている。カップ状のセル本体2aの天井の中心部は、開口している。セル本体2aの開口している中心部には、採取液注入ライン22と、サンプリングライン21とが各々接続されている。
【0032】
セル本体2aの外周縁には、弾性材料、例えば、ゴムからなる吸盤2bが接続されている。ゴム製の吸盤2bは、ケーシング30に向かって末広がりになるようにセル本体2aに設けられている。ゴム製の吸盤2bをケーシング30に接触させることによって、セル2とケーシング30との密着性を高めることができる。
なお、吸盤2bには、弾性材料として、ウレタンゴム、シリコンゴム、ビニール、ナイロン、シリコン樹脂などのゴムや柔軟な樹脂を用いても良い。
【0033】
次に、ケーシングの狭隘部に付着している付着物の採取およびに分析の流れについて説明する。
ガスタービンのケーシング30の内側の狭隘部31を覆うようにセル2をケーシング30に設置する。狭隘部31は、隙間が、例えば1mm以下とされている。セル2は、吸盤2bをケーシング30の内側に押圧するように設けられる。真空ポンプ6を作動させてセル2とケーシング30との間の空気を吸引して減圧する。なお、この際に、採取液注入ライン22に設けられている弁23は、閉状態とされている。真空ポンプ6によって減圧することによって、吸盤2bがケーシング30に吸着する。また、セル2とケーシング30との間が減圧されるため、狭隘部31と付着物との間に採取液が十分に浸透することとなる。
【0034】
セル2とケーシング30との間を減圧状態にした後、弁23を開状態にしてシリンジ5からセル2とケーシング30との間へと採取液を供給する。採取液には、純水を用いる。採取液を供給した後にセル2とケーシング30との間には、バブリング装置9を起動させて発生させた泡状の空気を導く。セル2とケーシング30との間に供給された泡は、既に供給されている採取液を攪拌する。攪拌された採取液によってケーシング30の狭隘部31に付着している付着物は、剥離が促進される。
【0035】
付着物と狭隘部31との間に採取液が浸透し、かつ、セル2とケーシング30との間が減圧状態であるため、セル2とケーシング30との間の採取液と共に付着物がサンプリングライン21へと導かれる。サンプリングライン21へと導かれた採取液と付着物とは、採取液に含まれている固形物の付着物がフィルタ8によって捕捉され、採取液および採取液中に溶融している付着物がサンプリング容器7内に貯留される。
【0036】
フィルタ8によって捕捉された付着物は、図示しない分析装置によって元素分析が行われる。なお、この分析は、形態分析などであってもよい。
また、サンプリング容器7内に貯留された採取液は、分析装置によって元素分析が行われる。これにより、採取液中に溶融しているフッ素、塩素や硫黄などの腐食性元素の有無を分析することができる。
【0037】
以上の通り、本実施形態に係る試料採取装置、これを備えたガスタービンの試料検出装置および試料採取方法によれば、以下の作用効果を奏する。
ケーシング30の内側(計測部)に設置されているセル(採取部材)2とケーシング30との間を減圧して、真空ポンプ(減圧手段)6によってケーシング30とセル2との間の採取液(溶剤)をフィルタ(貯留手段)8及びサンプリング容器(貯留手段)7に採取することとした。そのため、ケーシング30とセル2との間の圧力と大気圧との差を利用して、ケーシング30に付着している付着物(試料)を採取液と共に採取することができる。したがって、ケーシング30の内側に生じている狭隘部31に付着している付着物であっても容易に採取することができる。
【0038】
ケーシング30には、ゴム(弾性材料)製の吸盤(リップ部)2bをカップ状のセル本体(本体)2aの外周縁に有しているセル2を設置することとした。そのため、ケーシング30とセル2との間の密着度を高めることができる。したがって、ゴム製の吸盤2bを有していないセル2を用いた場合と比べて、付着物を更に多く採取することができる。
【0039】
試料採取装置1には、サンプリング容器(貯留手段)7と、サンプリング容器(容器)7の上流側にフィルタ(貯留手段)8とを設けることとした。そのため、ケーシング30とセル2との間から採取された採取液内に含まれている固形状の付着物と、採取液内に溶融している付着物とを分離して採取することができる。
【0040】
試料採取装置1には、セル2内に泡を供給するバブリング装置(泡供給手段)9を設けることとした。そのため、泡によって採取液を攪拌し、攪拌した採取液によってケーシング30の内側の狭隘部31に付着している付着物を剥離させることができる。したがって、バブリング装置9を設けなかった場合に比べて、ケーシング30の狭隘部31に付着している付着物を効率的に採取することができる。
【0041】
試料採取装置1に設けられているセル2を圧縮機(図示せず)のケーシング(機器)30の内側に設置して、ケーシング30の狭隘部31から採取された付着物を分析装置によって分析することとした。そのため、圧縮機を構成しているケーシング30の狭隘部31に付着している付着物を容易に採取して、付着物の成分を分析することができる。したがって、ケーシング30の内側の狭隘部31に付着していた付着物を起因とした腐食などによるガスタービン(図示せず)の事故を事前に防止することができる。
【0042】
セル2をケーシング30に設置してセル2とケーシング30との間を減圧することによって、セル2とケーシング30と間の供給された採取液を採取することとした。そのため、セル2とケーシング30と間に供給された採取液と共に、ケーシング30に付着している付着物を採取することができる。したがって、ケーシング30の内側の狭隘部31に付着している付着物であっても容易に採取することができる。
【0043】
なお、本実施形態では、セル2とケーシング30との間の空気を真空ポンプ6によって吸引して減圧した後に採取液を供給するとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、セル2とケーシング30との間に採取液を供給した後、弁23を閉状態として、真空ポンプ6によってセル2とケーシング30との間を減圧して採取液および付着物を採取するとしてもよい。
この場合には、セル2とケーシング30との間に供給した採取液をほぼ全て採取することができるので、ケーシング30の狭隘部31に付着していた付着物を十分にフィルタ8およびサンプリング容器7に採取することができる。
【0044】
また、本実施形態では、採取液に純水を用いるとして説明したが、採取する対象の付着物が油である場合には、有機溶剤を用いる等、対象付着物、計測対象部、機器によって変更してもよい。
また、計測対象部を、ケーシング30の内側として説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、翼やディスク、回転軸、ディスクから取り外した後の翼の冷却通路(図示せず)内など付着物が想定される箇所や機器に設けるものとしてもよい。
また、セル2内を真空ポンプ6によって減圧するとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、セル2内の空気などの気体を吸引できるものであれば良い。
【0045】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態の試料採取装置、これを備えたガスタービンの試料検出装置および試料採取方法は、セルの半径方向にシートを設ける点で第1実施形態と相違しその他は同様である。したがって、同一の構成および同一の流れについては、同一の符号を付してその説明を省略する。
図2は、本発明の第2実施形態に係る試料採取装置の採取部の概略構成図を示している。
【0046】
セル(採取部材)2の吸盤(リップ部)2bには、吸盤2bの半径方向に延在しているシート(補助設置部)2cが設けられている。シート2cは、弾性材料、例えば、ゴムからなる。シート2cは、吸盤2bの半径方向に延在して、吸盤2bを覆うように設けられている。シート2cは、その延在端がケーシング(図示せず)の内側に接触するように吸盤2bの半径方向に延在している。シート2cは、吸盤2bと同様に、ケーシングに向かって末広がりになるように吸盤2bに設けられている。
【0047】
シート2cの延在端には、シート2cをケーシングに固定するテープ(固定部)2dが設けられている。テープ2dをケーシングに固定することによって、シート2cおよび吸盤2bをケーシングに密着させることができる。
【0048】
以上の通り、本実施形態に係る試料採取装置、これを備えたガスタービンの試料検出装置および試料採取方法によれば、以下の作用効果を奏する。
セル(採取部材)2の吸盤(リップ部)2bには、その半径方向に延在しているゴム(弾性材料)製のシート(補助設置部)2cを設け、シート2cの延在端には、シート2cをケーシングの内側に固定するテープ(固定部)2dを設けることとした。そのため、吸盤2bのみでは、固定することが困難なケーシングの内側の形状であっても、セル2をケーシングの内側に良好に密着させることができる。したがって、試料採取装置(図示せず)の汎用性を高めることができる。
【符号の説明】
【0049】
1 試料採取装置
2 セル(採取部材)
5 シリンジ(溶剤供給手段)
6 真空ポンプ(減圧手段)
7 サンプリング容器(貯留手段)
30 ケーシング(計測部)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料が付着している計測部に設置される採取部材と、
該採取部材へ溶剤を供給する溶剤供給手段と、
該採取部材内を減圧する減圧手段と、
該減圧手段によって減圧された前記計測部の溶剤を貯留する貯留手段と、を備える試料採取装置。
【請求項2】
前記採取部材は、カップ状の本体と、該本体の外周縁に設けられて前記計測部に接触する弾性材料からなるリップ部とを有する請求項1に記載の試料採取装置。
【請求項3】
前記貯留手段は、固形物を分離するフィルタと、分離された溶剤を貯留する容器と、を備える請求項1または請求項2に記載の試料採取装置。
【請求項4】
前記リップ部には、該リップ部の半径方向に延在する弾性材料からなる補助設置部と、該補助設置部の延在端に設けられて該補助設置部を前記計測部に固定する固定部と、有する請求項1から請求項3のいずれかに記載の試料採取装置。
【請求項5】
前記採取部材内に泡を供給する泡供給手段を備える請求項1から請求項4のいずれかに記載の試料採取装置。
【請求項6】
燃料を燃焼する燃焼器と、大気を圧縮する圧縮機と、前記燃焼器から排出された排気ガスによって駆動されるタービンと、を備えたガスタービンに対して用いられる請求項1から請求項5のいずれかに記載の試料採取装置と、
該試料採取装置により採取された試料を分析する分析装置と、を備え、
前記採取部材は、前記圧縮機に設置されるガスタービンの試料検出装置。
【請求項7】
計測部に設置した採取部材内に溶剤供給手段から溶剤を供給し、減圧手段を用い前記採取部材と前記計測部との間を減圧し、前記採取部材と前記計測部との間の溶剤および計測部に付着している試料を貯留手段に採取する試料採取方法。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−232287(P2011−232287A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−105199(P2010−105199)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】