説明

試料採取装置及び冷却装置

【課題】二相流体輸送管から二相流体を採取して、熱水、凝縮水及び非凝縮性ガスを分離して取出し可能な試料採取装置と、冷却効率を可変し、前記試料採取装置の一部として取り扱うことのできる冷却装置を提供すること。
【解決手段】蒸気井から取り出された二相流体が流通する二相流体輸送管の周側面に取付けられた取付け管に着脱自在に装着されると共に、前記取付け管を挿通して二相流体輸送管内に、前記試料採取口の位置を可変することのできるように、挿入される試料採取ノズルを備えた試料採取部と、前記試料採取ノズルで採取された試料を受け入れて蒸気と熱水とに分離するセパレータと、前記セパレータで分離された蒸気を冷却して凝縮水及び非凝縮性ガスにする冷却装置とを、備えて成ることを特徴とする試料採取装置及び冷却装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は試料採取装置及び冷却装置に関し、さらに詳しくは、二相流体の流通する輸送管から直接、蒸気と熱水の混合物である二相流体を採取して、熱水、蒸気を冷却して得られる凝縮水(以下、凝縮水と称する。)及び非凝縮性ガスを分離して取り出すことのできる試料採取装置と、冷却効率を可変することができ、前記試料採取装置の一部として取り扱うことのできる冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1に記載されているように、地熱発電の仕組みは次のようである。深さ数kmの比較的に浅いところに1000℃前後のマグマ溜まりがあり、この熱が地中に浸透した天水等を加熱して地熱貯留層が自然に形成されている。この地熱貯留層に蒸気井が打ち込まれ、この蒸気井には二相流体輸送管が結合される。これら蒸気井及び二相流体輸送管を通じて、二相流体が気水分離器に導入される。その気水分離器では、二相流体が蒸気と熱水とに分離される。分離された蒸気は、蒸気管を通じて発電タービンに導入される。発電タービンに導入された蒸気により発電タービンが回転し、この発電タービンの回転力により発電機における回転子が回転することにより、発電機から電力が取り出される。一方、気水分離器における熱水は、還元熱水管を通じて還元井に送られ、還元井を通じて地中深くに戻される。
【0003】
二相流体輸送管中に流通する二相流体は、蒸気と熱水との混合物である。二相流体は、二相流体輸送管内の条件に応じて様々なフローパターンを呈する。水平方向に配置された二相流体輸送管内では、二相流体は、気相流、栓状流、層状流、波状流、スラグ流、環状流、噴霧流等と称されるフローパターンを呈する。また、縦方向に配置された二相流体輸送管内では、二相流体は、気泡流、スラグ流、フロス流、環状噴霧流、噴霧流等と称されるフローパターンを呈する。二相流体は蒸気と熱水とが混在した状態になっており、熱水の中に蒸気の気泡が多く含まれた蒸気リッチな相と、熱水の中に蒸気の気泡が比較的に少なく含まれている熱水リッチな相とを含んでいることもある。このように、その二相流体輸送管中を流通する二相流体の流量、蒸気と熱水との混合割合や混合状態は蒸気井毎に様々である。また、二相流体輸送管中を流通する流体分布も一様ではない。
【0004】
一方、地熱発電においては、二相流体における蒸気、熱水及び非凝縮性ガスについての成分分析を行うことが、蒸気井を含めて地熱発電設備全体の保全と安定的な運転とに必要である。
【0005】
今までに現場で実施されていた、二相流体から熱水と凝縮水及び非凝縮性ガス、又はこれらの混合物とを採取する従来の手法は、概ね以下のようであった。
【0006】
蒸気井と主系統である二相流体輸送管との結合部には、二相流体を大気放出させる系統である分岐管が連結されており、この分岐管の下流側にセパレータ・サイレンサと熱水堰が設けられている。主系統からの系統除外操作を行って、大気放出させると、分岐管側にも二相流体が流れ、セパレータ・サイレンサでは、二相流体中の熱水と蒸気とが分離され、熱水は熱水堰に貯留される。
【0007】
従来の手法では、二相流体を大気放出させながら、熱水は熱水堰から、凝縮水及び非凝縮性ガスは分岐管に取り付けられた試料採取管から、別々に採取される。凝縮水及び非凝縮性ガスを採取するための試料採取管は、その先端部が分岐管の内部における所定の位置に配置されるように、水平に配置された分岐管の中心軸線に直交する方向であって、水平方向から分岐管中に挿入された状態になるように装着されている。この試料採取管は可動式でなく、位置が固定されるため、分岐管内の蒸気リッチな相を狙って装着されている。この試料採取管は、導水管を経て試料採取用のセパレータに結合される。試料採取管から採取された二相流体は、導水管中を流通してセパレータに到る。セパレータでは、サイクロン方式により熱水がサイクロンの下部に貯留され、セパレータ内における熱水の上部に貯留する蒸気は、セパレータから配管を通して試料採取用のクーラに移送される。クーラでは、前記流通管を流通する蒸気が冷却水で冷却されて凝縮水と非凝縮性ガスとの混合物として取り出される。
【0008】
前記熱水堰に貯留された熱水の適量が採取され、採取された熱水の成分分析が行われる。また、前記クーラで分離された凝縮水と非凝縮性ガスとの混合物は、適宜の気液分離装置で、さらに凝縮水と非凝縮性ガスとに分離され、凝縮水の成分分析が行われる。
【0009】
このような手法には、以下のような問題点がある。
【0010】
地熱発電の設備の安全を図り、安定した運用を行うために、二相流体から試料を採取するときには、蒸気井毎に主系統から大気放出系統への除外操作を行って、二相流体の一部を大気放出していた。したがって、試料採取時には主系統から大気開放系統への系統除外操作が必要であり、随意に試料採取することができない。地熱流体の一部を大気開放系統から開放するので、発電の出力が低下する。試料採取は、系統除外操作及び大気開放系統内の汚染物質を除去した後に試料採取しなければならないので、迅速な試料採取をすることができない。
【0011】
前記試料採取管を通じて分岐管内の二相流体を採取する場合には、前記結合部において、それまで二相流体輸送管と蒸気井とが流通状態であると共に蒸気井と分岐管とが閉鎖状態であるのを、蒸気井と分岐管とを流通状態にしなければならない。そうすると、地熱発電所設備側の操作員と成分分析を行う操作員とが緊密な連絡をとらねばならなくなる。
【0012】
蒸気井と分岐管とを流通状態にすると、その期間中は、蒸気井から汲み上げられた蒸気の量の一部が地熱発電に使用されないので、エネルギーロスとなる。
【0013】
熱水堰は、経年的に汚れが付着したり腐食したりする。そのために、貯留する熱水にそれらが不純物として混入することがある。そうすると、熱水の成分分析を正確に行うという目的が損なわれる。熱水分析を正確に行うには、熱水堰内の浄化操作や、熱水堰内の熱水を置換するために十分な量の熱水を流通させる必要があるので、熱水を置換するために多大の時間を要する。
【0014】
通常は、熱水を採取する場所と、蒸気及び非凝縮性ガスを採取する場所とが離れているので、それぞれの場所に操作要員を配置しなければならず、煩雑である。
【0015】
故に、現状においては上記問題点を解消した二相流体の分析手法が望まれ、そのためには、先ず二相流体を簡易にかつ正確に採取することのできる試料採取装置の開発が要望されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】「九州電力の地熱発電所」九州電力、平成15年3月10日発行、第3〜4頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
この発明は、上述した従来技術の問題点を解消し、蒸気井から汲み出された二相流体を任意の時間に迅速に採取することができ、二相流体から試料を採取してからその試料の成分分析を行うまでの時間に大幅な遅れを生じさせることがなく、しかも二相流体輸送管の任意の位置に設置することができ、採取した二相流体を熱水と凝縮水及び非凝縮性ガスの混合物とに効率良く分離することができ、取り扱い操作が簡便である試料採取装置と、蒸気を効率良く冷却することのできる冷却装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前記課題を解決するための手段は、
(1) 地熱発電所の蒸気井から取り出された二相流体が流通する二相流体輸送管から試
料を採取する試料採取装置であって、
前記二相流体輸送管の周側面に取付けられた取付け管に着脱自在に装着されると共に、前記取付け管を挿通して二相流体輸送管内に、前記試料採取口の位置を可変することのできるように、挿入される試料採取ノズルを備えた試料採取部と、 前記試料採取ノズルで採取された試料を受け入れて蒸気と熱水とに分離するセパレータと、前記セパレータで分離された蒸気を冷却して凝縮水及び非凝縮性ガスにする冷却装置とを、備えて成ることを特徴とする試料採取装置であり、
(2) 前記二相流体輸送管は水平方向に配置され、及び、
その二相流体輸送管に取付けられる取付け管のその取付け位置は、前記試料採取ノズルが二相流体輸送管の上方又は下方から挿入可能と成る部位である前記(1)に記載の試料採取装置であり、
(3) 前記試料採取ノズルは、その先端部近傍における周側面であって二相流体の流れ方向に対向する面に、1又はそれ以上の小口径孔から成る試料採取口を備えて成る前記(1)又は(2)に記載の試料採取装置であり、
(4) 前記冷却装置は、冷却水を貯留する冷却水槽と、
前記セパレータで分離された蒸気を流通させると共に前記冷却水槽内に配置された流体流通管と、
前記流体流通管を冷却水槽内で浸漬させる冷却水の水位を可変する水位可変手段とを備えて成る前記(1)〜(3)のいずれか一つに記載の試料採取装置であり、
(5) 冷却水を貯留する冷却水槽と、この冷却水槽内に配置され、上部開口部を備え、その上部開口部の上端が前記冷却水槽内で相対的に上下に位置可変に形成された冷却水排出槽と、前記冷却水槽内に配設された、被冷却流体を流通させる流体流通管とを備えることを特徴とする冷却装置であり、
(6) 前記水位可変手段は、前記冷却水槽内に配置され、上部開口部を備え、その上部開口部の上端が前記冷却水槽内で相対的に上下に位置可変に形成された冷却水排出槽である前記(5)に記載の冷却装置である。
【発明の効果】
【0019】
この発明によると、試料採取部が二相流体輸送管に対して着脱自在になっているので、試料を採取しないときには保守管理の可能な場所に移動させておくことができる。したがって、保守管理の容易な試料採取装置を提供することができる。
【0020】
この発明によると、二相流体輸送管に装着された取付け管に装着される試料採取部が、試料採取口の位置を可変することができる試料採取ノズルを有するので、二相流体輸送管内の任意の位置を選んで、熱水と凝縮水及び非凝縮性ガスの試料採取をすることができる。したがって、例えば二相流体輸送管の長手方向における中心軸線に直交する断面における二相流体が蒸気リッチな相と熱水リッチな相とを有する場合には、試料採取ノズルの先端位置を二相流体輸送管内の所望の位置に調節することによって、蒸気リッチな相では凝縮水及び非凝縮性ガスを、熱水リッチな相では熱水を、一つの試料採取ノズルによって選択的に試料として採取することのできる試料採取装置を提供することができる。
【0021】
この発明によると、二相流体輸送管に着脱自在の試料採取部、セパレータ及び冷却装置を備えるので、二相流体輸送管内から採取した時点における熱水、凝縮水及び非凝縮性ガスの成分分析可能な試料を採取することのできる試料採取装置を提供することができる。
【0022】
この発明によると、大気開放系統で試料を採取していないので、発電所側の系統除外操作が不要になり、したがって、主系統に影響を与えることなく、随意かつ迅速に二相流体輸送管内から試料採取をすることのできる試料採取装置を提供することができる。
【0023】
この発明によると、熱水堰を採用していないので、試料採取に際して不純物混入の虞がなく、系統除外操作及び熱水堰の浄化操作等が不要であるから、従来の試料採取装置に比べて採取時間を大幅に短縮することができ、しかも採取操作に拘わる人員数を低減させることのできる試料採取装置を提供することができる。
【0024】
この発明によると、二相流体輸送管が水平方向に配置されている場合に、二相流体輸送管の周側面における下側又は上側のいずれの位置にも取付け管を取付けておくことができ、したがって、二相流体輸送管が設置されている環境に拘わらず試料採取をすることのできる試料採取装置を提供することができる。
【0025】
この発明によると、一つ又はそれ以上の小口径孔からなる試料採取口が二相流体の流れ方向に対向する試料採取ノズルの周面に開設されて成る試料採取ノズルを有するので、二相流体輸送管中を流通する二相流体の流れを最小限に抑制しつつ、試料を滞りなく採取することのできる試料採取装置を提供することができる。
【0026】
この発明によると、冷却水槽内に貯留されている冷却水の水位を可変することのできる水位可変手段を有する冷却装置を備えているので、セパレータで分離された蒸気の温度に応じて液体流通管の冷却水に接する伝熱面積を可変することができる。これによって、蒸気を所定温度の凝縮水に冷却するのに、可変させる操作量が明確で、応答が速く、安定した温度調節ができ、さらに、冷却水の流量と水位の調節を併用することにより、蒸気や冷却水の大幅な温度変化にも追従して、応答が速く、安定した温度調節が可能な試料採取装置を提供することができる。
【0027】
この発明によると、水位可変手段により冷却水槽内に貯留されている冷却水の水位を可変することができるので、流体通路中を流通する流体の温度に応じて流体通路の伝熱面積を可変することができる。したがって、高温になっている被冷却流体を所定温度の流体に冷却するのに、可変させる操作量が明確で、応答が速く、安定した温度調節ができ、さらに、冷却水の流量と水位の調節を併用することにより、蒸気や冷却水の大幅な温度変化にも追従して、応答が速く、安定した温度調節が可能な冷却装置を提供することができる。
【0028】
この発明に係る冷却装置は、この発明に係る試料採取装置における冷却装置として使用することができる上に、試料採取装置以外の、冷却を必要とする装置構成における冷却装置としても使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は、この発明の実施の形態に係る試料採取装置を示す説明図である。
【図2】図2は、この発明の実施の形態に係る試料採取装置における回転駆動装置を示す説明図である。
【図3】図3は、この発明の実施の形態に係る試料採取装置における可動ノズル管の一例を示す説明図であり、図3(a)は可動ノズル管の先端周側面部に一つの試料採取口が開口している状態を示す説明図であり、図3(b)は可動ノズル管の先端周側面部に開設された複数の小口径孔からなる試料採取口が開口している状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、この発明の試料採取装置について、その実施の形態を図面を参照して説明する。
【0031】
地熱発電装置は、地中深く打ち込まれた一本又は複数本の蒸気井に結合された二相流体輸送管を有する。なお、蒸気井は、生産井(production well)又は地熱井とも称される。
【0032】
図1は、実施の形態に係る試料採取装置を示す説明図である。図1に示すように、試料採取装置3は、採取部4と、セパレータ5と、冷却装置6とを備える。
【0033】
前記試料採取部4は、二相流体輸送管2の周側面に取付けられた取付け管7に着脱自在に装着され、その取付け管7を挿通して二相流体輸送管2内に、その試料採取口40の位置を可変することのできるように、挿入される可動ノズル管8を有する。
【0034】
通常の場合、二相流体輸送管は水平に配設されるが、地形やその他の技術的事情に応じて斜めに配設され、或いは垂直に配設されることもある。図1においては、二相流体輸送管2は水平に配設されている。
【0035】
この二相流体輸送管2の周面には、採取部4を取り付けるための取付け管7が取付けられている。この取付け管7は、二相流体輸送管2における任意の位置に、二相流体輸送管当たり1基又は必要に応じた複数基が装着される。地熱発電においては、複数の蒸気井それぞれに1基の二相流体輸送管が接続されており、複数の蒸気井から生産される蒸気を一つに纏めて発電タービンに導かれていることがある。したがって、1基の地熱発電装置から見ると、蒸気井の数に等しい数の二相流体輸送管が設置されることになる。このような複数の二相流体輸送管それぞれに1基又は複数基の取付け管7が設けられる。したがって、この発明においては、二相流体輸送管における取付け管の設置位置を適宜に決定することにより、所望する位置における二相流体を試料として採取することができる。例えば、二相流体輸送管における取付け管の取付け位置として、蒸気井に近い位置、蒸気井から所定の距離だけ離れた近い位置、蒸気井からさらに所定の距離だけ離れた遠い位置等を挙げることができる。
【0036】
取付け管は、二相流体輸送管の周側面であれば、どのような位置で取付けられていても良い。例えば、二相流体輸送管の中心軸線が水平方向に延在するように水平に配設された二相流体輸送管において、その二相流体輸送管の中心軸線に直交する縦方向における上側周側面に取付け管が取付けられていても良く、また、その二相流体輸送管の中心軸線に直交する縦方向における下側周側面に取付け管が取付けられていても良い。水平方向に配設された二相流体輸送管内を流通する二相流体の状態を、その二相流体輸送管の中心軸線に直交する断面において観察した場合に、二相流体輸送管における円形断面の下半分側は熱水リッチである一方、上半分側が蒸気リッチである二相流体が二相流体輸送管中を流通しているときには、二相流体輸送管の下側周側面又は上側周側面に取付け管を設置しておくと、可動ノズル管における試料採取口の位置を、二相流体輸送管の断面における下半分側に設定すると、熱水リッチな二相流体を採取することができ、また、前記試料採取口の位置を二相流体輸送管の断面における上半分側に設定すると、蒸気リッチな二相流体を採取することができる。このようにして、二相流体輸送管における取付け管の取付け位置を決定しておくと、熱水リッチな二相流体、及び蒸気リッチな二相流体を選択的に試料採取することができる。
【0037】
取付け管の二相流体輸送管への取付けは、二相流体輸送管の中心軸線と取付け管の中心軸線とが直交するように設定するのが好ましい。以下の説明は、取付け管の中心軸線が二相流体輸送管の中心軸線と直交しているように、取付け管が二相流体輸送管に取付けられている場合に関する。
【0038】
取付け管7には、例えば図示しない2基のゲートバルブが設けられている。採取部4をこの取付け管7に装着しない場合には、二相流体輸送管2の内部からこの取付け管7を通じて外部に二相流体が噴出することがないように、取付け管7における2基のゲートバルブが閉鎖されている。なお、この発明においては、この取付け管7内に試料採取ノズルである可動ノズル管8が挿通される限り、取付け管7に装着されるバルブは前記ゲートバルブであることに限定されない。
【0039】
採取部4は、可動ノズル管8を備えている。この可動ノズル管8は、前記取付け管7にこの採取部4を装着した場合に、収納されていた採取部4から繰り出されて二相流体輸送管2内に挿入され、しかも可動ノズル管8は二相流体輸送管2内での試料採取口40の位置を調節することができるようになっている。この可動ノズル管8は、この発明における試料採取ノズルの一例である。
【0040】
前記可動ノズル管8を備えた採取部4は、例えば図1に示されるように、基台9と、支柱10と、ボール螺子11と、図示しないボールナットを有すると共に可動ノズル管8を支持するノズル管支持体12と、可動ノズル管8の直進運動を案内するガイド部12Aと、図示しない前記ボール螺子11を回転させる駆動装置とを有する。
【0041】
取付け管7における開閉バルブを開放状態にすると、取付け管7の内部を可動ノズル管8が通過することができるようになっている。また、取付け管7内を可動ノズル管8が通過して二相流体輸送管2内にその試料採取口40が位置するときには、二相流体輸送管2中の高温の二相流体がこの取付け管7の内部に充満するので、取付け管7と基台9との接続部、及び可動ノズル管8の外周面であって、他の部材と接触する摺動密着部等は、その内部に充満する二相流体が外部に噴出しないように、気密で耐圧の構造とすることが必要である。
【0042】
前記基台9には支柱10が設けられる。支柱10は、ボール螺子11を支持する。すなわち、ボール螺子11は、支柱10と平行に配設され、前記基台9にその一端を、また前記支柱10の先端部で基台9と平行になるように張り出した支持体14にその他端を、回転可能に支持されている。
【0043】
このボール螺子11は、駆動装置により回転可能である。この駆動装置としては、このボール螺子11を回転させることができる限りにおいて種々の機構を採用することができ、例えばモータとしてステッピングモータを挙げることができる。もっとも、この試料採取装置3をより一層簡単で軽量な構造にする場合には、この駆動装置は手動回転装置であるのが好ましい。この手動回転装置は、ボール螺子11の回転軸に直交する軸を回転させるとボール螺子11にその回転運動が伝達される機構であればどのような回転駆動機構を採用してもよく、一例として、前記ボール螺子11の端部近傍に取付けられた第1傘歯車、この第1傘歯車に歯合すると共にこの第1傘歯車の軸に直交する軸を有する第2傘歯車、この第2傘歯車を有する回転軸、この回転軸を回転させる環状の回転輪を備える手回し回転駆動装置を挙げることができる。
【0044】
この試料採取装置を取付ける相手先である二相流体輸送管の内側直径は、その二相流体輸送管が取付けられる蒸気井の規模等に応じて様々である。そうすると、ある二相流体輸送管の内部に挿入された可動ノズル管の先端部がその内壁面に到達する距離と、別の二相流体輸送管の内部に挿入された可動ノズル管の先端部がその内壁面に到達する距離とは相違することになる。このような状況下で、可動ノズル管の先端部が二相流体輸送管の内壁に到達しているにも拘わらず、前記駆動装置により可動ノズル管をさらに二相流体輸送管の内部に挿入させようとする力が可動ノズル管に加わると、可動ノズル管が破損する虞を生じる。このような虞を除去することを目的として、駆動装置(例えば手回し回転駆動装置)はトルクリミッタ等の挿入荷重制限装置を備えていることが好ましい。
【0045】
通常の場合、二相流体輸送管の内部は、観察窓を設ける等をしない限り、外部から観察することができない。したがって、可動ノズル管の先端部を二相流体輸送管内に挿入する場合に、その先端部の位置を確認することができるように、可動ノズル管の移動距離、詳しくは、二相流体輸送管の長手方向における中心軸線に直交する中心軸線に沿って移動する可動ノズル管の移動距離を示す移動距離計が試料採取装置に設けられていることが好ましい。移動距離計の一例として、前記ボール螺子11に平行に立設された支柱10の表面に刻設されたメモリが挙げられ、またボール螺子11の回転数を可動ノズル管8の移動距離に換算して移動距離をデジタル表示するデジタル移動距離計を挙げることができる。
【0046】
また、二相流体輸送管の内部は二相流体による高圧状態となっている。したがって、二相流体輸送管内に挿入された可動ノズル管が前記高圧状態により二相流体移送管外へと押し戻される危険がある。そのような危険を回避するために、前記駆動装置(例えば手回し回転駆動装置)には、ボール螺子の逆転防止装置を備えていることが好ましい。
【0047】
図2は、試料採取装置3における手回し回転駆動装置を示す概略図である。図2に示されるように、手回し回転駆動装置30は、固定部材31と、その固定部材31に対して垂直方向となるように回転可能にその固定部材31に支持されると共に、ボール螺子11に結合された回転軸32と、その回転軸32の先端に設けられた第1傘歯車33と、前記固定部材31に対して水平方向となるように回転可能にその固定部材31に支持される回転軸の一端に取付けられた手回しハンドル34と、前記回転軸の先端に結合されると共に前記第1傘歯車33に歯合する第2傘歯車35と、前記手回しハンドル34及び第2傘歯車35を一端に有する回転軸に装着されたトルクリミッタ36と、前記第2傘歯車35を装着する回転軸に貫設され、ラチェット機構におけるラックのような形状を有する回り止めリング37と、その回り止めリング37に嵌通可能なストッパ38とを有する。
【0048】
このような手回し回転駆動装置30が試料採取部3に設けられていると、手回しハンドル34を回転させることによりボール螺子11が回転し、この回転により可動ノズル管8の先端部が取付け管7を挿通し、さらには二相流体輸送管2内の中心軸線に直交する方向つまり直径方向に沿って前進し、ついには可動ノズル管8の先端部が二相流体輸送管2の内壁に到達することになる。通常の場合、手回しハンドル34を操作している操作者は、前記先端部が内壁に当接したことを手回しハンドル34の回転時の感触で感得することができるので、操作の熟練により手回しハンドル34の回転操作を停止することができる。ところが、何らかの原因、例えば熟練していない操作者による操作によって、前記先端部が内壁に当接しているにも拘わらず手回しハンドル34が回転し続けると、挿入荷重制限装置(例えば、トルクリミッタ36)により手回しハンドル34が空転し、この空転により可動ノズル管8の先端部がそれ以上前進しなくなる。これによって、二相流体輸送管2の内壁に当接する先端部を有する可動ノズル管8がさらに前進することはなく、可動ノズル管8の破損が防止される。
【0049】
また、手回しハンドル34を回転させて可動ノズル管8を前進させる場合に、可動ノズル管8の先端部を二相流体輸送管2の中心軸線に直交する断面における直径方向の任意の位置に配置しようとするときには、前記移動距離計(例えば目盛)を観察したり、移動距離計における表示部の値を観察したりすることにより、内部を観察することができないにも拘わらず、二相流体輸送管2内の所定位置に正確に可動ノズル管8の先端部を位置させることができる。
【0050】
可動ノズル管8の先端部を二相流体輸送管2内の所定位置に配置させた場合には、ストッパ38を回り止めリング37に嵌通させることにより、二相流体輸送管2内の圧力でボール螺子11が逆回転することが防止されて安全である。
【0051】
一方、図3(a)及び図3(b)に示されるように、可動ノズル管8は中空の管状体であり、その先端部には試料採取口40が開口している。試料採取口40は可動ノズル管8における先端部周側面であって、二相流体輸送管2において二相流体が流通する方向に対向する一つの部位に穿設される。試料採取口40は、図3(a)に示されるように一つの開口部をもって形成されていても良く、また、図3(b)に示されるように、複数の小口径孔40Aが集合して一つの領域に形成されていても良い。試料採取口40が、二相流体の流通方向に対向するように開口していると、二相流体の流通状態を乱すことを最小限に抑制しつつ二相流体を採取することができる。
【0052】
可動ノズル管8の試料採取口とは反対側の端部、つまり可動ノズル管8における二相流体輸送管2内に挿入される端部とは反対側の端部には導出管15が取付けられている。
【0053】
この導出管15には開閉バルブ15Aが介装される。この開閉バルブ15Aを閉鎖しておき、必要なときにこの開閉バルブ15Aを開放すると、可動ノズル管8内に採取された二相流体がセパレータ5に導出される。
【0054】
なお、この採取部4は、キャスター等の車輪を有するフレームに搭載されることにより、移動の利便性を高めることができる。
【0055】
セパレータ5は、導入された二相流体を熱水と蒸気とに気水分離することができる限りにおいて様々な構造を採用することができる。一般的なセパレータ5は、サイクロン方式により気水分離を行う構造を有する。そのようなセパレータ5は、内部空間が円筒状に形成された罐体16と、この罐体16の軸線に直交する方向における断面である円形の接線方向から二相流体を導入する二相流体導入部17を有する。この二相流体導入部17は前記導出管15に接続される。前記導出管15に接続された二相流体導入部17から前記罐体16内に導入された二相流体は、前記罐体16内を旋回しつつ上昇し、旋回上昇運動の過程で分離された熱水がセパレータ5における前記罐体16の下部に貯留され、分離された熱水は、罐体16の底部に設けられた排出管18から罐体16外に導出され、一方、蒸気が移送管19を通じて冷却装置6に移送される。
【0056】
このセパレータ5は、その安全性を高め、罐体16の内状を知るために様々な付帯設備が取付けられている。その付帯設備として、例えば図1に示すように、20Aで示される液面計、20Bで示されるところの、罐体16の内部圧力が一定値以上になると自動的に弁が開放状態となる安全弁、及び20Cで示される圧力計等を挙げることができる。
【0057】
このセパレータ5は、前記採取部4を搭載するフレームに搭載されていてもよく、また、前記採取部4を搭載するフレームとは別のところに設置されていてもよい。多くの場合、前記採取部4の移動を手軽に行うようにするには、採取部4を搭載するフレームとは別のところ、例えば車両(例えばトラックの荷台)、手押し式の移動体(例えば手押し台車)又は自走式の移動体(例えばエンジン駆動により車輪を回転させる自走式の移動体)に、このセパレータ5を設置しておくのが好ましい。
【0058】
冷却装置6は、冷却水槽とこの冷却水槽内に配置された流体流通管と流体流通管に対する冷却水の水位を可変することのできる水位可変手段とを備え、前記セパレータ5により分離された蒸気を凝縮水及び非凝縮性ガスの混合物にすることができる限り、種々の装置構成を採用することができる。例えば、冷却装置は冷却水を貯留する冷却水槽と、この冷却水槽内に配置され、上部開口部を備え、その上部開口部の上端が前記冷却水槽内で相対的に上下に位置可変に形成された冷却水排出槽と、前記冷却水槽内に配設された、前記セパレータで分離された蒸気を流通させる流体流通管とを備える冷却装置を挙げることができる。なお、この構成における冷却水排出槽は、この発明における水位可変手段の一例である。前記構成を有する冷却装置は、この発明に係る試料採取装置に好適に組み込まれることができるが、セパレータで分離された蒸気以外の、冷却することの必要な被冷却流体を冷却する冷却装置としても使用することができる。
【0059】
図1に示される冷却装置6は、冷却水を貯留する冷却水槽21と、この冷却水槽21内に配置され、上部開口部22を備えると共に、上下動可能に形成された冷却水排出槽23と、前記冷却水槽21内に配設された、セパレータ5から供給される蒸気が流通する流体流通管24とを備える。
【0060】
冷却水槽21は、例えば円筒形の内部形状を有する罐体であり、図1に示される罐体は上方を開口する有底の円筒体に形成される。冷却水槽21の底部には、後述する冷却水排出槽23の上下動を案内する排出管28を液密に挿通する挿通孔25が穿設されている。この冷却水槽21の底部近傍の周側面には、この冷却水槽21内に貯留される冷却水を導入する冷却水導入部27が設けられている。この冷却水導入部27を通じて、外部から冷却水槽21の内部に冷却水が導入される。
【0061】
冷却水排出槽23は、その全体が冷却水槽21内に上下動可能に配置され、上方の一部又は全部を開口する有底円筒体に形成されている。この冷却水排出槽23は、前記挿通孔25に液密に挿入された排出管28をその底部に結合しているので、この冷却水排出槽23内に流入する冷却水は、この排出管28を通じて冷却排出槽23の外部に排出される。この冷却水排出槽23は、冷却水排出槽23の上方に配設された上下移動装置29により上下動可能になっている。
【0062】
冷却水槽21の内側底面には、冷却水排出槽23が上下動する領域の外側となる部位に筒状の隔壁26が形成されている。この筒状の隔壁26の内部空間で前記冷却水槽21が上下動をする。
【0063】
流体流通管24は、供給される蒸気を冷却水により冷却して、凝縮水及び非凝縮性ガスの混合物を形成することができる限りにおいて種々の構造を採用することができる。図1に示される流体流通管24は、筒状の隔壁26の外側となるように螺旋状に形成された蛇管である。この蛇管の上端は移送管19に結合され、この蛇管の下端は冷却水槽21の外に延在している。この筒状の隔壁26が形成されていると、冷却水導入部27から供給される冷却水が筒状の隔壁26の外周面と冷却水槽21のない周面とで形成される状態の空間に案内され、この環状の空間に配設されている流体流通管24が効率的に冷却される。
【0064】
以上に説明した構成を有する試料採取装置は、以下のようにして使用される。
【0065】
説明の前提として、取付け管7は二相流体輸送管2に設けられている。
【0066】
この取付け管7に採取部3の基台9を取付ける。取付け管7における開閉バルブを開放状態にする。手動で図示しない駆動装置を駆動することによりボール螺子11を回転させると、可動ノズル管8が下降する。下降する可動ノズル管8は、その先端部が取付け管7を通って二相流体輸送管2内に挿入される。可動ノズル管8の試料採取口が所望の位置に達したところで、可動ノズル管8の下降を停止させる。
【0067】
二相流体輸送管2が水平に配置され、或いは緩やかな傾斜を保って斜めに配置されている場合に、二相流体輸送管2の内部では、その軸線に直交する断面についてみると、断面下部では熱水が存在し、その熱水の上方に蒸気が存在することがある。熱水を採取する場合には、その熱水が存在する領域にまで可動ノズル管8の試料採取口40が位置するように可動ノズル管8を移動させるのがよい。また、蒸気を採取する場合には、その蒸気が存在する領域にまで可動ノズル管8の試料採取口40が位置するように可動ノズル管8を移動させるのがよい。このように、この試料採取装置3は、可動ノズル管8の挿入位置を調節することにより、二相流体輸送管内の任意の部位における試料を採取することができる。
【0068】
このようにして採取された二相流体の試料は、可動ノズル管8内に収容され、可動ノズル管8内を移動して導出管15に送り出される。
【0069】
導出管15に送り出された二相流体の試料は、セパレータ5に送り込まれる。セパレータ5における罐体16内で、サイクロン方式により熱水と蒸気とに分離される。罐体16内で分離された熱水は、排出管18から取り出される。取り出された熱水は、その成分分析に供される。もっとも、その熱水は単に廃棄されることもある。
【0070】
蒸気は、移送管19を通じて冷却装置6に送出される。蒸気は、蛇管になっている流体流通管24を通過する。
【0071】
このとき、蒸気の温度が高い場合や、冷却水の温度が高い場合には、冷却水排出槽23における上部開口部が最高の位置になるように冷却水排出槽23を配置する。冷却水排出槽23を冷却水槽21内で最高の位置に移動させるには、上下移動装置29を駆動する。冷却水排出槽23が最高の位置にあると、冷却水槽21の下部から導入される冷却水は、冷却水槽21内で冷却水排出槽23の上部開口部から冷却水排出槽23内に溢流する。したがって、冷却水槽21内に貯留される冷却水の液面位置つまり水位は、常に冷却水排出槽23の上部開口部の位置と同じになる。
【0072】
一方、蒸気の温度が低い場合や、冷却水の温度が低い場合には、蒸気を冷却するには大量の冷却水を必要とはしない。そのような低い温度の冷却水で冷却する場合には、上下移動装置29を駆動して冷却水排出槽23の上部開口部が最高位置から低い位置になるように冷却水排出槽23を下降させて、所定の位置に冷却水排出槽23を移動させる。そうすると、冷却水排出槽23の上部開口部の位置が液面位置となる。その結果、流体流通管24における冷却水に浸る部位の表面積が小さくなり、蒸気をその温度から所定温度へ冷却することができる。
【0073】
このように、冷却水排出槽23を上下動させることにより、蒸気を所定温度の凝縮水に冷却するのに、可変させる操作量が明確で、応答が速く、安定した温度調節ができ、さらに、冷却水の流量と水位の調節を併用することにより、蒸気や冷却水の大幅な温度変化にも追従して、応答が速く、安定した温度調節ができる。
【0074】
流体流通管24を通過しつつ冷却された蒸気は、凝縮水と非凝縮性ガスとの混合物となって排出される。この混合物はさらに、図示しない気水分離装置により非凝縮性ガスが除去されて凝縮水に分離される。凝縮水は、その成分分析に供される。
【0075】
以上、発明の実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明したが、この発明は上記内容に限定されるものではなく、この発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、あらゆる変形や変更が可能である。例えば、冷却水槽21内の水位を調節するために、昇降可能な冷却水排出槽23を採用したが、冷却水排出槽23を固定しておき、冷却水槽21自体を昇降可能に構成してもよい。水位可変手段の変形例として、例えば冷却水槽内で、冷却水を排出する排出口を有する排出管を可撓性のある材料で形成し、その排出口を冷却水貯留槽内で上下に移動することができる装置を挙げることができる。
【0076】
また、図1に示される流体流通管24は、冷却水排出槽23を囲繞する蛇管であるが、冷却水槽21内に配置される限りにおいて、様々の態様を採用することができ、例えば冷却水槽21の壁面に沿って上下にジグザグに曲成された蛇管であってもよい。
【符号の説明】
【0077】
1 蒸気井
2 二相流体輸送管
3 試料採取装置
4 採取部
5 セパレータ
6 冷却装置
7 取付け管
8 可動ノズル管
9 基台
10 支柱
11 ボール螺子
12 ノズル管支持体
12A ガイド部
14 支持体
15 導出管
15A 開閉バルブ
16 罐体
17 二相流体導入部
18 排出管
19 移送管
20A 液面計
20B 安全弁
20C 圧力計
21 冷却水槽
22 上部開口部
23 冷却水排出槽
24 流体流通管
25 挿通孔
26 筒状の隔壁
27 冷却水導入部
28 支持体
29 上下移動装置
30 手回し回転駆動装置
31 固定部材
32 回転軸
33 第1傘歯車
34 手回しハンドル
35 第2傘歯車
36 トルクリミッタ
37 回り止めリング
38 ストッパ
40 試料採取口
40A 小口径孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地熱発電所の蒸気井から取り出された二相流体が流通する二相流体輸送管から試料を採
取する試料採取装置であって、
前記二相流体輸送管の周側面に取付けられた取付け管に着脱自在に装着されると共に、
前記取付け管を挿通して二相流体輸送管内に、試料採取口の位置を可変することので
きるように、挿入される試料採取ノズルを備えた試料採取部と、前記試料採取ノズルで採取された試料を受け入れて蒸気と熱水とに分離するセパレータと、前記セパレータで分離された蒸気を冷却して凝縮水及び非凝縮性ガスにする冷却装置とを、備えて成ることを特徴とする試料採取装置。
【請求項2】
前記二相流体輸送管は水平方向に配置され、及び、その二相流体輸送管に取付けられる取付け管のその取付け位置は、前記試料採取ノズルが二相流体輸送管の上方又は下方から挿入可能と成る部位である前記請求項1に記載の試料採取装置。
【請求項3】
前記試料採取ノズルは、その先端部近傍における周側面であって二相流体の流れ方向に
対向する面に、1又はそれ以上の小口径孔から成る試料採取口を備えて成る前記請求項1
又は2に記載の試料採取装置。
【請求項4】
前記冷却装置は、冷却水を貯留する冷却水槽と、
前記セパレータで分離された蒸気を流通させると共に前記冷却水槽内に配置された
流体流通管と、前記流体流通管を冷却水槽内で浸漬させる冷却水の水位を可変する水位可変手段とを備えて成る前記請求項1〜3のいずれか一項に記載の試料採取装置。
【請求項5】
冷却水を貯留する冷却水槽と、前記被冷却流体を流通させると共に前記冷却水槽内に配置された流体流通管と、前記流体流通管を冷却水槽内で浸漬させる冷却水の水位を可変する水位可変手段とを備えて成ることを特徴とする冷却装置。
【請求項6】
前記水位可変手段は、前記冷却水槽内に配置され、上部開口部を備え、その上部開口部
の上端が前記冷却水槽内で相対的に上下に位置可変に形成された冷却水排出槽である前記
請求項5に記載の冷却装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−160143(P2010−160143A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−279481(P2009−279481)
【出願日】平成21年12月9日(2009.12.9)
【出願人】(000226242)日機装株式会社 (383)
【出願人】(000164438)九州電力株式会社 (245)
【Fターム(参考)】