説明

試料採取装置及び試料採取方法

【課題】反応槽等から取り出した液体試料を分析装置等の所定の搬送先まで精密に搬送することができる試料採取装置を提供する。
【解決手段】まず第一の三方バルブ12により第一流路11と第二流路上流部131を連通させた状態で、液体試料Bを第一流路11から導入し第二流路上流部131内に保持する。次に第一の三方バルブ12を切り替えて搬送液供給流路下流部142と第二流路上流部131を連通させ、搬送液供給流路下流部142から第二流路上流部131へ搬送液Cを送り込み、第二流路上流部131に保持されていた液体試料Bを搬送先に向かって移動させる。このとき、搬送液Cの供給量を制御することにより、液体試料Bの移動量を精密にコントロールすることができ、液体試料Bを所定の搬送先まで精密に搬送することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品や化学品等の生産ラインにて反応槽から液体試料をサンプリングする際に好適に用いることができる試料採取装置及び試料採取方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品や化学品等の化学合成を行う生産ラインやバイオリアクタにより食品(例えばビール等)を生産するラインでは、反応中の液体の一部を適宜反応槽からサンプリングし所定の分析装置で分析することにより、反応槽内の液体の反応状態を確認することが行われる。反応槽での反応には様々なものがあり、人体に有害なガスを発生させるものや、液面を不活性ガス等でパージしなければならないものもある。これらの反応が行われるときには反応槽の蓋を開けず密閉系でサンプリングを行うことが望ましい。
【0003】
密閉系でのサンプリングに用いられる試料採取装置として例えば非特許文献1、2に記載のものがある。非特許文献1に記載の試料採取装置では、サンプリングバッフルと呼ばれる筒状の試料採取部の下端を反応槽内の液体に浸漬させた状態でその下端のバルブを開け、試料採取部内の下部にあるサンプリング室に液体試料を導入する。次にバルブを閉じ、その状態でサンプリング室に窒素ガスを送り込むことによって、サンプリング室内の液体試料を流路を介して所定のサンプリングボトルまで搬送する。
【0004】
非特許文献2に記載の試料採取装置では、試料採取用のパイプの下端を反応槽内の液体に浸漬させた状態でパイプ上端に接続されたサンプリング室の内部を減圧することにより、液体試料をパイプを通じてサンプリング室まで持ち上げる。次にパイプとサンプリング室の間のバルブを閉じることで液体試料をサンプリング室に貯留する。サンプリング室には、そこよりも低い位置に配置されたサンプリングボトルに繋がる第二のパイプが接続されており、サンプリング室と第二のパイプの間のバルブを開けることにより、サンプリング室に貯留された液体試料がサンプリングボトルに導入される。
【0005】
サンプリングボトルに入れられた液体試料を液体クロマトグラフ等の分析装置に導入する際には、まずボトル内の液体試料をシリンジで吸引し、それを例えば2ポジションで切り替え可能な六方バルブの所定のポートに導入する。このとき、液体試料が六方バルブやそれに接続されたサンプルループ内に保持されるようにシリンジの押し込み量を精密にコントロールする必要がある。そして、六方バルブを切り替えて、サンプルループを六方バルブの別のポートに接続された分析ラインに接続し、サンプルループ内の液体試料をポンプ等で分離カラム等に送る。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】「サンプリングバッフル」、[online]、日本碍子株式会社、[平成22年1月29日検索]、インターネット<URL:http://www.ngk.co.jp/product/industrial/glasslining/sampling.html>
【非特許文献2】「PVサンプラー(Reactor Sampling Type PV)」、[online]、タイコ フローコントロールジャパン株式会社、[平成22年1月29日検索]、インターネット<URL:http://www.tycovalves-jp.com/bimages/Neotecha/datasheets/TFJEF-0043-JP-0512.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
非特許文献1の装置のように流路にガスを送り込んで流路内の液体試料を押し流す場合、流路内でガスの体積変動が生じやすいため、流路内での液体試料の移動量を精密にコントロールすることが困難である。特に流路が長いときにガスの体積変動が大きく、そのコントロールが難しい。また、非特許文献2の装置のように液体試料の搬送に重力を利用する場合、或る高い位置に保持された液体試料をそこよりも低い位置に移動させるという大まかな移動制御しかできず、この場合も流路内での液体試料の移動量を精密にコントロールすることが困難である。従って、従来の試料採取装置を用いて液体試料を分析装置等に導入する際には、液体試料を一旦サンプリングボトル等の液溜めに入れてから、液の移動量を精密にコントロール可能なシリンジ等を使って六方バルブ等の所定の搬送先まで移動させなければならない。そのため、液体試料の搬送に手間が掛かる。
【0008】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、反応槽等から取り出した液体試料を分析装置等の所定の搬送先まで精密に搬送することができる試料採取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために成された本発明に係る試料採取装置は、
a)一端が液体試料の流入口である第一流路と、
b)一端が前記第一流路の他端に繋がり、他端が該第一流路から流入した液体試料の流出口である第二流路と、
c)一端が前記第一流路と前記第二流路の接続部に繋がり、他端が該第二流路内の液体試料を押し流すための搬送液が供給される搬送液流入口である搬送液供給流路と、
d)前記第一流路と前記第二流路が連通する状態と前記搬送液供給流路と前記第二流路が連通する状態とを切り替えるために該第一流路と該第二流路と該搬送液供給流路の接続部に設けられた第一切替弁と
を備えることを特徴とする。
【0010】
また、上記課題を解決するために成された本発明に係る試料採取方法は、
上記試料採取装置を用いて液体試料を採取する方法であって、
a)前記第一切替弁により前記第一流路と前記第二流路を連通させた状態で、液体試料を該第一流路の試料流入口から該第一流路を通じて前記第二流路に導入する導入工程と、
b)前記導入工程にて液体試料を前記第二流路に導入した後、前記第一切替弁を切り替えて前記搬送液供給流路と前記第二流路を連通させる連通工程と、
c)前記連通工程にて前記搬送液供給流路と前記第二流路を連通させた後、該搬送液供給流路の搬送液流入口から搬送液を導入することにより、該第二流路内の液体試料を該第二流路の試料流出口から流出させる流出工程と
を有することを特徴とする。
【0011】
本発明に係る試料採取装置及び試料採取方法を用いて液体試料を搬送先まで送る際には、まず第一切替弁により第一流路と第二流路を連通させた状態で、反応槽等の中の液体試料を第一流路に設けられた試料の流入口から導入し第二流路内に保持する。次に第一切替弁を切り替えて搬送液供給流路と第二流路を連通させる。この状態で搬送液供給流路から第二流路へ搬送液を送り込むことにより、第二流路に保持されていた液体試料が搬送先に向かって移動し試料流出口から流出する。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る試料採取装置及び試料採取方法では、反応槽等から採取した液体試料を搬送先に搬送するために液体である搬送液を用いるため、搬送液の供給量を制御することにより、液体試料の移動量を精密にコントロールすることができる。これにより、液体試料を第二流路の先に配置された六方バルブ等の所定の搬送先まで精密に搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施例である試料採取装置の概略構成図。
【図2】待機中の試料採取装置の概略構成図。
【図3】液体試料の引込後の試料採取装置の概略構成図。
【図4】液体試料の搬送中の試料採取装置の概略構成図。
【図5】流路洗浄中の試料採取装置の概略構成図。
【図6】流路乾燥中の試料採取装置の概略構成図。
【図7】試料採取装置の変形例を説明する図であり、(a)は待機中の試料採取装置の概略構成図、(b)は液体試料の引込後の試料採取装置の概略構成図である。
【図8】試料採取装置の他の変形例を説明する概略構成図。
【図9】試料採取装置の反応槽への取付位置の変形例を説明する図であり、(a)は反応槽の側面部に取り付けた試料採取装置の概略構成図、(b)は反応槽の底面部に取り付けた試料採取装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施例である試料採取装置及び試料採取方法について、図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0015】
本実施例の試料採取装置10は、図1に示すように、第一の三方バルブ12に搬送液供給流路14と第一流路11と第二流路13が接続する。搬送液供給流路14の上流部141と下流部142の接続部には第二の三方バルブ15が設けられており、そこにはガス供給流路16が接続する。第二流路13の上流部131と下流部132の接続部には第三の三方バルブ17が設けられており、そこにはシリンジポンプ18に繋がる吸引流路19が接続する。
【0016】
第一の三方バルブ12は第一流路11と第二流路13が連通する状態と搬送液供給流路14と第二流路13が連通する状態とを切り替えるための切替弁である。第二の三方バルブ15は搬送液供給流路14の上流部141と下流部142が連通する状態とガス供給流路16と搬送液供給流路下流部142が連通する状態とを切り替えるための切替弁である。第三の三方バルブ17は第二流路13の上流部131と下流部132が連通する状態と第二流路上流部131と吸引流路19が連通する状態とを切り替えるための切替弁である。各三方バルブには例えば電磁バルブやエア駆動式のバルブ等を用いることができる。
【0017】
搬送液供給流路上流部141には第一送液ポンプ20が設けられている。第一送液ポンプ20は、搬送液供給流路上流部141端部の搬送液流入口143から搬送液を取り込んで、搬送液供給流路下流部142の方へ押し流すためのものである。第一送液ポンプ20には送液量の精密な制御が可能なプランジャーポンプ等の各種ポンプを用いることができる。
【0018】
ガス供給流路16には開閉バルブ21が設けられており、これによりガス導入口161からのガス供給の開始と停止を切り替える。
【0019】
第一流路11の下端に設けられた液体試料の流入口111には不溶物等の流入を防止するためのフィルタを配置することが望ましい。
【0020】
吸引流路19にはシリンジポンプ18の代わりにバキュームライン等の他の吸引手段を接続してもよい。
【0021】
次に、試料採取装置10を用いた液体試料のサンプリングの一例として、所定のタイミングに反応槽から液体試料を取り出して液体クロマトグラフまで搬送する例を説明する。試料採取装置10は図2に示すように反応槽30の上部に固定され、第一流路11下端の試料流入口111が反応槽30内の液体に浸漬する。第二流路下流部132は、試料流出口133に接続された連絡流路32を介して液体クロマトグラフ40に繋がる。
【0022】
液体クロマトグラフ40は移動相容器41、第二送液ポンプ42、六方バルブ43、サンプルループ44、分離カラム45及び検出器46を備える。六方バルブ43は6個のポート431〜436を有し、図2に示すようにポート431と432、433と434、435と436がそれぞれ連通する状態と、図3に示すようにポート432と433、434と435、436と431がそれぞれ連通する状態の2ポジションを切り替え可能なものである。各ポートのうち、ポート434は第二送液ポンプ42に、ポート435は分離カラム45にそれぞれ繋がる。ポート433とポート436はサンプルループ44を介して互いに繋がる。ポート432は連絡流路32に、ポート431は排出流路33にそれぞれ繋がる。排出流路33には排出口331が設けられており、連絡流路32を通じて六方バルブ43まで搬送された液体試料や搬送液のうち分離カラム45に導入されなかったものがここから排出される。
【0023】
試料採取装置10の搬送液流入口143は搬送液容器34に繋がる。搬送液容器34内には第二流路13内に保持された液体試料を押し流して搬送するための搬送液が収容されている。搬送液としては流路内壁に付着した液体試料を洗い流す作用があり揮発しやすいもの(例えば水や有機溶媒等)を用いることが望ましい。
【0024】
試料採取装置10のガス導入口161はガスボンベ35に繋がる。なお、試料採取装置10の設置場所に適当なガスの供給ラインがあれば、ガスボンベ35の代わりにガス供給ラインを繋げてもよい。ガスとしては液体試料や搬送液と反応しないもの(例えば窒素等の不活性ガスや空気)を用いる。空気を用いる場合、ガス導入口161にコンプレッサ等を接続し、ガス供給流路16に圧縮空気を送り込む構成にしてもよい。
【0025】
試料採取装置10及び液体クロマトグラフ40の各バルブやポンプは図示しない制御部によってシーケンス制御される。
【0026】
反応槽30から液体を採取して液体クロマトグラフ40に搬送する際には、まず3つの三方バルブ12、15、17及び六方バルブ43を適宜切り替えて、図2に示すように、ガスボンベ35、ガス供給流路16、搬送液供給流路下流部142、第二流路上流部131、第二流路下流部132、連絡流路32、排出流路33を連通させる。この状態でガス供給流路16にある開閉バルブ21を開けることにより、ガスボンベ35から排出流路33までの流路にガスAを導入し、流路内を乾燥させる。この状態が、サンプリング前の待機状態である。
【0027】
サンプリングを行う所定のタイミングになると、図3に示すように第一の三方バルブ12及び第三の三方バルブ17を切り替えて、第一流路11、第二流路上流部131、吸引流路19を連通させる。この状態でシリンジポンプ18のプランジャを引き、流路内を減圧して、反応槽30内の液体試料Bを第二流路上流部131へ引き込む。また、次工程の準備のために六方バルブ43を図3に示す状態に切り替え、連絡流路32と排出流路33の間にサンプルループ44を介在させる。
【0028】
液体試料Bの引き込み後、図4に示すように3つの三方バルブ12、15、17を切り替えて、搬送液容器34、搬送液供給流路上流部141、搬送液供給流路下流部142、第二流路上流部131、第二流路下流部132、連絡流路32、サンプルループ44、排出流路33を連通させる。この状態で第一送液ポンプ20を動作させ、搬送液容器34内の搬送液Cを搬送液供給流路上流部141及び下流部142を介して、第二流路上流部131に送り込む。これにより、第二流路上流部131内に保持されていた液体試料Bが液体クロマトグラフ40側に移動する。このとき、第一送液ポンプ20で搬送液Cの送液量を適切にコントロールすることにより、液体試料Bをサンプルループ44まで精密に搬送することができる。その送液量は第二流路上流部131からサンプルループ44までの流路の内部容量に基づいて規定することができる。また、搬送中に液体試料Bと搬送液Cの間にはガスAが介在しており、このガスAにより搬送液Cが液体試料Bに混入することを防止することができる。また、液体試料Bの前方の流路ではガスAにより前回のサンプリング時の液体試料や搬送液の残留物が除去されており、残留物が液体試料Bに混入することがない。
【0029】
その後、六方バルブ43を切り替えて、図5に示すようにサンプルループ44の一端を移動相容器41に、他端を分離カラム45にそれぞれ連通させる。この状態で第二送液ポンプ42を動作させ、移動相容器41内の移動相Dによりサンプルループ44内の液体試料Bを分離カラム45側へ移動させる。液体試料Bは分離カラム45で成分毎に分離され、各成分が検出器46で検出される。また、図5に示す状態のときに試料採取装置10では、第一送液ポンプ20を動作させ、そこから排出流路33までの流路内の液体試料B及びガスAを搬送液Cで押し流して排出口331から排出する。このとき、搬送液Cにより各流路内が洗浄される。
【0030】
次に、図6に示すように第二の三方バルブ15を切り替えて、ガスボンベ35、ガス供給流路16、搬送液供給流路下流部142、第二流路上流部131、第二流路下流部132、連絡流路32、排出流路33を連通させる。なお、このときの各三方バルブの状態は図2に示した状態と同じである。この状態でガス供給流路16にある開閉バルブ21を開け、ガスボンベ35から排出流路33までの流路にガスAを導入し、流路内を乾燥させ、次のサンプリングまで待機する。
【実施例2】
【0031】
本発明に係る試料採取装置の第2の実施例を図7に示す。本実施例の試料採取装置50は実施例1の試料採取装置10とほぼ同じ構成であるが次の点で異なる。第一に、搬送液供給流路54に繋がるガス供給流路、及びガス供給流路を接続するための三方バルブがない。第二に、第一送液ポンプ56が試料採取装置50内に設けられているのではなく、装置の外部、具体的には装置外の搬送液供給流路における搬送液容器34に近い位置に設けられている。
【0032】
本実施例の試料採取装置50を用いて反応槽30内の液体を液体クロマトグラフ40に搬送する際には、まず、2つの三方バルブ52、57を適宜切り替えて、図7(a)に示すように搬送液供給流路54、第二流路上流部531、第二流路下流部532を連通させる。この状態で第一送液ポンプ56を動作させ、搬送液容器34内の搬送液Cを搬送液供給流路54及び第二流路53に送り込む。
【0033】
次に、図7(b)に示すように2つの三方バルブ52、57を切り替えて、第一流路51、第二流路上流部531、吸引流路59を連通させる。この状態でシリンジポンプ58を動作させ、反応槽30内の液体試料Bを第二流路上流部531へ引き込む。
【0034】
液体試料Bの引き込み後、2つの三方バルブ52、57を切り替えて図7(a)で示した状態に戻し、搬送液容器34から液体クロマトグラフ40までの流路を連通させる。この状態で再び第一送液ポンプ56を動作させ、搬送液供給流路54内の搬送液Cを第二流路上流部531に送り込むことにより、図7(b)に示した状態で第二流路上流部531に保持されていた液体試料Bを液体クロマトグラフ40側に移動させる。
【0035】
このようにガス供給流路がなくても、第一送液ポンプ56で搬送液Cの送液量を適切にコントロールすることにより、液体試料Bを液体クロマトグラフ40内のサンプリングループ等の所定位置まで精密に搬送することができる。ただし、液体試料Bと搬送液Cの接触により液体試料Bに搬送液Cが混入したり搬送液Cが反応槽30に僅かに流入したりする可能性があるため、本実施例の装置は例えば液体試料に含まれる溶媒と同じ液体を搬送液として使用する場合のように液体試料と搬送液の接触が問題にならない場合に適用することができる。また、本実施例の試料採取装置50は第一送液ポンプ56を内蔵していないため、装置の小型化や低コスト化の点で有利である。
【0036】
なお、上記実施例は一例であって、本発明の趣旨に添って適宜変形や修正を行えることは明らかである。例えば、図8に示すように第一の三方バルブ12を反応槽30内の液体の液面よりも十分低い位置に配置し、第一の三方バルブ12を切り替えて第一流路11と第二流路13を連通させるだけで、反応槽30内の液体試料Bが第二流路13における反応槽30内の液体の液面と同じ高さまで自然に入り込むようにしてもよい。この場合、液体試料Bを第二流路13内に引き込むためのシリンジポンプ等の吸引手段は必要ない。
【0037】
また、試料採取装置の設置位置を、図9(a)に示すように反応槽30の側面部にしたり、図9(b)に示すように反応槽30の底面部にしたりしてもよい。
【0038】
また、液体試料の搬送先は液体クロマトグラフ等の分析装置に限らず、例えば液体試料を希釈するための希釈装置や、液体試料に反応停止剤等の所定の物質を加える試料調整装置等であってもよい。
【符号の説明】
【0039】
10、50…試料採取装置
11、51…第一流路
111…試料流入口
12、52…第一の三方バルブ
13、53…第二流路
131、531…第二流路上流部
132、532…第二流路下流部
133…試料流出口
14、54…搬送液供給流路
141…搬送液供給流路上流部
142…搬送液供給流路下流部
143…搬送液流入口
15…第二の三方バルブ
16…ガス供給流路
161…ガス導入口
17、57…第三の三方バルブ
18、58…シリンジポンプ
19、59…吸引流路
20、56…第一送液ポンプ
21…開閉バルブ
30…反応槽
32…連絡流路
33…排出流路
331…排出口
34…搬送液容器
35…ガスボンベ
40…液体クロマトグラフ
41…移動相容器
42…第二送液ポンプ
43…六方バルブ
431、432、433、434、435、436…ポート
44…サンプルループ
45…分離カラム
46…検出器
A…ガス
B…液体試料
C…搬送液
D…移動相

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)一端が液体試料の流入口である第一流路と、
b)一端が前記第一流路の他端に繋がり、他端が該第一流路から流入した液体試料の流出口である第二流路と、
c)一端が前記第一流路と前記第二流路の接続部に繋がり、他端が該第二流路内の液体試料を押し流すための搬送液が供給される搬送液流入口である搬送液供給流路と、
d)前記第一流路と前記第二流路が連通する状態と前記搬送液供給流路と前記第二流路が連通する状態とを切り替えるために該第一流路と該第二流路と該搬送液供給流路の接続部に設けられた第一切替弁と
を備えることを特徴とする試料採取装置。
【請求項2】
e)一端が前記搬送液供給流路の中間部に繋がり、他端が前記第二流路に導入されるガスの導入口であるガス供給流路と、
f)前記搬送液供給流路全体が連通する状態と、該搬送液供給流路の前記中間部よりも下流側と前記ガス供給流路が連通する状態とを切り替えるために該搬送液供給流路と該ガス供給流路の接続部に設けられた第二切替弁と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の試料採取装置。
【請求項3】
g)搬送液を該搬送液供給流路の搬送液流入口から取り込んで前記第二流路に送り込むために前記搬送液供給流路に設けられた送液手段
を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の試料採取装置。
【請求項4】
h)液体試料を前記第一流路に設けられた前記流入口から該第一流路を通じて前記第二流路に導入するために前記第二流路の内部を減圧する、該第二流路の中間部に接続された減圧手段と、
i)前記第二流路全体が連通する状態と、該第二流路の前記中間部よりも上流側と前記減圧手段が連通する状態とを切り替えるために該第二流路と該減圧手段の接続部に設けられた第三切替弁と
を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の試料採取装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の試料採取装置を用いて液体試料を採取する方法であって、
a)前記第一切替弁により前記第一流路と前記第二流路を連通させた状態で、液体試料を該第一流路に設けられた前記流入口から該第一流路を通じて前記第二流路に導入する導入工程と、
b)前記導入工程にて液体試料を前記第二流路に導入した後、前記第一切替弁を切り替えて前記搬送液供給流路と前記第二流路を連通させる連通工程と、
c)前記連通工程にて前記搬送液供給流路と前記第二流路を連通させた後、該搬送液供給流路の搬送液流入口から搬送液を導入することにより、該第二流路内の液体試料を該第二流路の試料流出口から流出させる流出工程と
を有することを特徴とする試料採取方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−88127(P2012−88127A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−234006(P2010−234006)
【出願日】平成22年10月18日(2010.10.18)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】