説明

試料搬送・分析キット

【課題】試料を大気から隔離して分析装置に搬送し、分析装置の架台にセットして、試料が大気から隔離された状態での各種反応に伴う試料の変化を、分析装置の操作性を損なうことなく観察・測定することを可能とするキットを得る。
【解決手段】試料2を露出可能に保持するホルダ3と、ホルダ3に被せられ試料を大気と隔離して密閉する蓋体4と、ホルダ3の開口部方向に不活性ガスを供給する不活性ガス供給口5と、ホルダ3を安定に保持する凹部6bを有すると共に不活性ガス供給口5の向きをホルダ3の開口部方向に固定する枠体6とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料を搬送し、当該搬送された試料を分析装置で分析するためのキットに関する。さらに詳述すると、本発明は、大気中の成分と容易に反応してしまうような試料を大気から隔離して分析装置に搬送し、分析についても大気から隔離して行うためのキットに関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムやナトリウムなどの高活性金属は、大気中に存在する水分や二酸化炭素と容易に反応してしまうため、試料表面の形状が変化しやすい。したがって、これらを試料とする分析、例えば表面形状分析等においては、試料を大気に曝さないようにする必要がある。
【0003】
そこで、特許文献1では、グローブボックス内で作製した試料を密閉して搬送することが可能であり、分析装置の試料導入室外部から操作することでその蓋を開閉可能である搬送用試料容器が開示されている。具体的には、分析装置(SEM)と切り離された不活性ガス雰囲気のグローブボックス内で作製した試料を搬送用試料容器に入れて密閉し、これを分析装置まで搬送してその試料導入室に入れた後、試料導入室を真空減圧する。そして、試料導入室の真空度が十分に高くなったところで搬送用試料容器の蓋を開けることにより、試料を大気に曝すことなく分析室まで移動して分析可能するようにしている。
【0004】
また、試料を大気に曝すことなく分析するために、不活性ガス雰囲気にしたグローブボックス内に例えば原子間力顕微鏡(AFM)等の分析装置を設置して、当該グローブボックス内にて作製した試料を測定する手法等も考えられる。
【特許文献1】特開2001−153760号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、グローブボックス内では、グローブを嵌めて分析装置を操作しなければならないため、例えば、原子間力顕微鏡(AFM)の操作においては、測定する際の微調整(光軸調整つまみ等の操作)が困難であるという問題があった。
【0006】
そこで、グローブボックス外(大気雰囲気)で測定する手法が望まれるが、不活性ガス雰囲気のグローブボックス内で作製した試料を分析装置まで大気に曝すことなく搬送することは特許文献1の搬送用試料容器を用いれば可能ではあるものの、試料分析時には容器の蓋を開けて試料を露出させる必要があるため、試料が大気に曝されてしまうという問題があった。
【0007】
本発明は、かかる問題に鑑みてなされたものであって、大気と容易に反応してしまうような試料を、大気から隔離して分析装置に搬送し、大気から隔離された状態での各種反応に伴う試料の変化を、分析装置の操作性を損なうことなく観察・測定することを可能とするキットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するための請求項1に記載の試料搬送・分析キットは、試料を露出可能に保持するホルダと、ホルダに被せられ試料を大気と隔離して密閉する蓋体と、ホルダの開口部方向に不活性ガスを供給する不活性ガス供給口と、ホルダを安定に保持する凹部を有すると共に不活性ガス供給口の向きをホルダの開口部方向に固定する枠体とを備えるようにしている。
【0009】
したがって、試料を露出可能に保持したホルダを蓋体により密閉して、試料を大気から隔離した状態で分析装置まで搬送することが可能となる。さらに、不活性ガス供給口からホルダ開口部方向へ不活性ガスを供給してホルダ開口部周辺を大気から隔離した状態で蓋体を取り外すことにより、試料を大気から隔離しつつ露出させて、分析装置による測定・観察を行うことが可能となる。また、分析装置をグローブボックス外で操作することができるので、分析装置の操作性を損なうことなく測定・観察を行うことが可能となる。
【0010】
請求項2に記載の試料搬送・分析キットは、請求項1に記載の試料搬送・分析キットにおいて、枠体裏側から枠体の凹部に向かって貫通口が設けられ、枠体裏側から貫通口を介してホルダに与えられる力によりホルダを上下移動させるようにしている。
【0011】
したがって、ホルダの位置が調整可能となり、ホルダを上方移動させることでホルダと蓋体とを密着させてホルダを密閉することが可能となる、また、ホルダが蓋体により密閉された状態からホルダを下方移動させることで蓋体に密着したホルダを離してホルダを開放することが可能となる。
【0012】
請求項3に記載の試料搬送・分析キットは、請求項1もしくは2に記載の試料搬送・分析キットにおいて、ホルダに、参照電極、対電極および作用電極を備えることを特徴とするものである。したがって、試料に対して電圧を印加することが可能となり、電気化学的な反応に伴う試料の変化を観察・測定することが可能となる。
【0013】
請求項4に記載の試料搬送・分析キットは、請求項1〜3いずれか1つに記載の試料搬送・分析キットにおいて、ホルダが、温度制御されることを特徴とするものである。したがって、温度変化に伴う試料の変化を測定・観察することが可能となる。
【0014】
請求項5に記載の試料搬送・分析キットは、請求項1〜4いずれか1つに記載の試料搬送・分析キットにおいて、不活性ガス供給口とは別の、不活性ガス以外のガスを供給するガス供給口を備えることを特徴とするものである。したがって、特定のガスに対する試料の変化を測定・観察することが可能となる。
【0015】
請求項6に記載の試料搬送・分析キットは、請求項1〜5いずれか1つに記載の試料搬送・分析キットにおいて、枠体の外枠とそれに対向する分析装置面との間に、ホルダを囲むようにしてスポンジパッキンを備えることことを特徴とするものである。スポンジパッキンを枠体の外枠とそれに対向する分析装置面との間に設けることで、スポンジパッキンにより囲まれた空間が形成される。そして、不活性ガスをホルダ開口部に供給することで、当該空間内は空間外に比べて若干圧力が高い状態となり、空間外からの大気成分は空間内に流入することはほとんどない。逆に、空間内の不活性ガスは少しづつ空間外へ流出していく。したがって、不活性ガスを供給し続ける限り、当該空間内は不活性ガス雰囲気が保たれるので、試料をより確実に大気から隔離することができる。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の発明によれば、低コストでコンパクトであり、かつ取り扱いも簡易で分析装置の操作性を損なうことのない試料搬送・分析キットを提供することが可能となる。そして、この試料搬送・分析キットによれば、不活性ガス雰囲気のグローブボックス等で作製した試料を大気から隔離して分析装置まで搬送することが可能であるから、大気中の成分と反応しやすい試料を反応させることなく、また試料表面の汚染等も防いで分析装置まで搬送することが可能となる。さらに、不活性ガス供給口からホルダ開口部方向へ不活性ガスを供給してホルダ開口部周辺を大気から隔離した状態で蓋体を取り外すことにより、試料を大気から隔離しつつ露出させて、分析装置による測定・観察を行うことが可能である。したがって、従来は、真空減圧が必要な分析装置(SEM)やその操作性に問題があったグローブボックス内に設置された分析装置でしか得ることができなかった、大気中の成分との反応による試料の変化が排除された観察・測定結果を得ることが可能となる。また、分析装置をグローブボックス外で操作することができるので、分析装置の操作性を損なうことなく測定・観察を行うことが可能である。さらに、試料表面の汚染、例えば試料表面に水や有機分子等が吸着されるのを防ぐことも可能であるから、表面に吸着された分子により形成される吸着層の影響が排除された観察・測定結果を得ることも可能である。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、ホルダの位置が調整可能となり、ホルダを上方移動させることでホルダと蓋体とを密着させてホルダを密閉することが可能となる、また、ホルダが蓋体により密閉された状態からホルダを下方移動させることで蓋体に密着したホルダを離してホルダを開放することが可能となる。したがって、蓋体を外す際にホルダ3開口部またはホルダ3開口部に設けられたO-リングを傷つけることがない。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、参照電極、対電極および作用電極がホルダに設けられているので、試料に対して電圧を印加することが可能となり、試料を大気から隔離した状態で、電気化学的な反応に伴う試料の変化を観察・測定することが可能となる。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、セルの温度制御をすることが可能であるから、試料を大気から隔離した状態で、温度変化に伴う試料の変化を観察・測定することが可能となる。さらには、試料を大気から隔離した状態で、温度変化に伴う試料の変化および電気化学的な反応に伴う変化を複合的に観察・測定することも可能となる。
【0020】
請求項5に記載の発明によれば、不活性ガスを供給するための不活性ガス供給口以外の他のガス供給口を備えているので、特定のガスに対する試料の変化を観察・測定することが可能となり、例えば、大気中に存在する種々のガス成分のうちの一種のみのガス成分に対する試料の変化を観察・測定することも可能となる。さらには、試料を大気から隔離した状態で、温度変化に伴う試料の変化、電気化学的な反応に伴う試料の変化、特定のガスに対する試料の変化を複合的に観察・測定することも可能となる。
【0021】
請求項6に記載の発明によれば、スポンジパッキンにより囲まれた空間が形成され、不活性ガスをホルダ開口部に供給することで、当該空間内は空間外に比べて若干圧力が高い状態となり、空間外からの大気成分は空間内に流入することがほとんどない。逆に、スポンジパッキンの通気性により空間内の不活性ガスは少しづつ空間外へ流出していく。したがって、不活性ガスを供給し続ける限り、当該空間内は不活性ガス雰囲気が保たれるので、試料をより確実に大気から隔離することが可能となる。また、スポンジパッキンは低摩擦性の部材であることから、試料を露出する際の蓋体の引き抜き時に障害となることもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の構成を図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0023】
図1〜図4に本発明の試料搬送・分析キットの第一の実施形態を示す。本発明の試料搬送・分析キット1は、試料2を露出可能に保持するホルダ3と、ホルダ3に被せられ試料を大気と隔離して密閉する蓋体4と、ホルダ3の開口部方向に不活性ガスを供給する不活性ガス供給口5と、ホルダ3を安定に保持する凹部6bを有すると共に不活性ガス供給口5の向きをホルダ3の開口部方向に固定する枠体6とを備え、試料2を露出可能に保持したホルダ3を蓋体4により密閉して、試料を大気から隔離した状態で分析装置まで搬送し、不活性ガス供給口5からホルダ3の開口部方向へ不活性ガスを供給してホルダ3開口部周辺を不活性ガス雰囲気として大気から隔離した状態で蓋体4を取り外すことにより、試料2を大気から隔離しつつ露出させて、分析装置による測定・観察を行うというものである。
【0024】
試料2は、例えば、リチウムやナトリウムなどの高活性金属である。試料2を不活性雰囲気としたグローブボックス内でホルダ3に入れ、ホルダ3を蓋体4により密閉することで、試料2を大気から隔離した状態で分析装置まで搬送することができ、さらには、試料2を大気から隔離しつつ露出させて、分析装置による測定・観察を行うことが可能である。したがって、大気中に存在する水分や二酸化炭素と容易に反応してしまう高活性金属をこれらの成分と反応させることなく、搬送・分析が可能である。
【0025】
尚、試料2は上記のものには限られず、例えば、表面が酸化、汚染されやすい半導体や各種金属等でもよい。また、酸化し易い食品等や、大気雰囲気では死滅してしまうような嫌気性細菌などの微生物等であってもよい。
【0026】
ホルダ3は、略円筒形として、その一端を開放し、試料2を露出可能に保持するようにしている。ホルダ3の開口部側には環状溝14を設けてO-リング11を嵌め込み可能なようにしている。
【0027】
ここで、電気化学的な反応に伴う試料の変化を観察・測定するため、ホルダ3に電極を具備するようにしてもよい。具体的には、参照電極8、対電極9および作用電極10を具備するようにする。
【0028】
さらに、温度変化に伴う試料の変化を観察・測定するため、ホルダ3を温度制御できるようにしてもよい。
【0029】
ここで、温度制御は、例えば以下のような温度制御装置によって行われる。温度制御装置は制御部とヒーターヘッド部から構成され、ヒーターヘッド部にはヒーター及びセンサーが備えられている。制御部とヒーターヘッド部はヒーターケーブルとセンサーケーブルにより接続されており、ヒーターとヒーターケーブル、センサーとセンサーケーブルがそれぞれ接続されている。制御部ではヒーターヘッド部を所望の温度(ヒーターヘッド部設定温度)に設定するために、ヒーターケーブルを介してヒーターヘッド部のヒータを加温する。ヒーターヘッド部温度(ヒーターヘッド部実温度)はヒーターヘッド部のセンサーからセンサーケーブルを介して制御部に送られ、ヒーターヘッド部実温度がヒーターヘッド部設定温度と等しくなるまでヒーターを加温する。この温度制御装置のヒーターヘッド部をホルダ3底部に配置することで、ホルダ3を温度制御して試料を加熱することが可能となる。
【0030】
したがって、温度制御を行う場合には、ホルダ3を熱伝導性の高い材料により形成することで、試料をより速く、しかも精度よく温度制御できるので好適である。熱伝導性の高い材料としては、例えば、ステンレス鋼(SUS304、SUS430等)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)等を採用することができるが、これらに限られるものではない。
【0031】
ここで、上記の材料は導電性も有する。したがって、参照電極8、対電極9および作用電極10をホルダ3に設ける場合には、それぞれの電極間で導通を起こさないようにする必要がある。その方法の一例を挙げると以下のようになる。ホルダ3全体を作用電極として、作用電極端子(不図示)をホルダ3の外周部にねじ止め若しくは導電性の接着剤等により固着させる。そして、ホルダ3外周部からホルダ3内周部に向かって貫通する孔12を2つ設けて、当該孔に絶縁性の部材、例えばO-リング等を嵌め込み、それぞれの孔にO-リングを介して参照電極8と対電極9とを貫通させて、ホルダ3と参照電極8、ホルダ3と対電極9の直接接触、即ち、導通を防ぐようにする。また、O-リングを介することにより、ホルダの気密性の低下も防止することができる。さらに、前記2つの穴は参照電極8と対電極9が接触しないように離れた位置に設けるようにする。上記のように構成することにより、参照電極8、対電極9および作用電極10間で導通を生じさせることなく機能させることができる。
【0032】
また、図4に示すように、ホルダ3を円盤状板3aとリング状板3bにより形成するようにしてもよい。この場合は、円盤状板3aを導電性および熱伝導性を有する材質とし、リング状板3bを絶縁性の材質とする。
【0033】
上記の絶縁性の材料としては、例えばPEEK、PTFE、ポリアミドイミド、全芳香族エステル、ポリイミド、PPS等を採用することができるが、これらに限られるものではない。
【0034】
この場合、円盤状板3aは作用電極10とする。そして、リング状板3bに参照電極8と対電極9を設けることにより、これら電極をホルダ3外周部からホルダ3内周部に向かって貫通させるための孔に、O-リング等を介さずに電極を直接通して、ホルダ3と直接接触させても、導通することがない。したがって、電極と参照電極8、対電極9、作用電極10間を導通することなく機能させることが可能となる。
【0035】
要するに、ホルダ3はその用途に併せて材質を適宜変更すればよく、温度制御をする必要が無いのであれば、ホルダ3全体、若しくは円盤状板3aの材質を熱導電性の低い絶縁体としてもよい。また、電極を備える必要がなく、さらには、温度制御もする必要が無い場合にはホルダ3の材質は特に指定されない。
【0036】
次に、蓋体4は、ホルダ3に被せられ、試料を大気と隔離して密閉するために用いられる。より具体的には、ホルダ3の開口部の環状溝14に嵌め込まれたO-リング7を介して、ホルダ3を気密性を高めて蓋体4により密閉する。
【0037】
蓋体4の形状としては、例えば、長方形の板状で、短軸の長さをホルダ3の径よりも大きくして、ホルダ3に被せることが可能なようにしている。さらに、長軸の長さは枠体6の外枠6aにねじ止めすることにより固定できる程度の長さにしておき、ねじ穴13を両端にそれぞれ1箇所設けて、枠体のねじ穴13’にねじ止めして固定可能としている。そして、外枠6aの高さをホルダ3を凹部6bに固定した際のホルダ3の開口部の高さとほぼ等しくしておき、蓋体4によりホルダ3を密閉する際、蓋体4を外枠6aにねじ止めすることにより、ホルダ3の環状溝7からはみ出したO-リング11が潰れやすくなって、ホルダ3をより確実に密閉することができる。そして、ねじを緩めることにより、O-リングが元の形状に戻り、蓋体4を外しやすくなる。
【0038】
蓋体4の材質としては、ホルダ3を密閉できるもの、即ち、ホルダ3の密閉性を低めるほどの表面粗さを有する様な材質以外であればよい。例示すると、ステンレス鋼(例えばSUS304,SUS430)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)などを採用できるが、必ずしもこれら金属に限られるものではなく、また、金属以外の材料、例えばセラミクス等を採用しても良い。
【0039】
蓋体4はホルダ3開口部周辺を不活性雰囲気として大気から隔離した後、試料2を露出させるために外す必要がある。蓋体4を外す際には、ねじ穴13、13’のねじ止めを外した後、手前側に引き抜いて試料2が露出されるようにずらせばよい。
【0040】
不活性ガス供給口5は、枠体6に固定されており、図1および図2に示すようにホルダ3の開口部方向に向けられるようにしている。ここで、不活性ガス供給口5はガス出口に近づくに従ってその口径が広くなるようにすることが好ましい。このようにすることで、不活性ガスをより広い領域に拡散させながら供給することが可能となる。また、不活性ガス供給口5は等間隔で2箇所設けてあればよいが、等間隔で3箇所に設けることがより好ましく、等間隔で4箇所に設けることがさらに好ましい。このようにすることで、試料を大気からより確実に隔離することが可能となる。
【0041】
ここで、不活性ガスとしては、Nガスおよび希ガス(He、Ne、Ar、Kr,Xe)を採用できるが、Heは軽元素であるため、上方に拡散し易く、試料を大気から十分に隔離できない虞がある。したがって、上記元素の中でも、He以外のガスを用いることがより好ましい。
【0042】
尚、本発明の試料搬送・分析キットは不活性ガス以外のガスを供給するためのガス供給口も備えることができる(不図示)。したがって、特定のガス成分のみに対する試料の変化を観察することが可能である。例えば、二酸化炭素をガス供給口から供給して、不活性ガスもキャリアガスとして同時に供給しておき、一定時間経過後に二酸化炭素の供給を遮断して不活性ガス雰囲気とし、測定を行うことで、試料の二酸化炭素のみに対する変化を観察することが可能となる。即ち、試料に対する大気中に存在するガスそれぞれ単独の影響を観察することが可能である。
【0043】
次に、枠体6は、外枠6aとホルダ3を安定に載置する凹部6bから構成される。凹部6bの径は、ホルダ3の径とほぼ同程度とし、ホルダ3を凹部6bに嵌め込むことによりホルダ3を安定に保持できるようにする。尚、ホルダ3を安定に保持できるのであればこのような構成に限られるものではない。また、凹部6bの直下の部分は、ホルダ3を温度制御する場合には熱伝導性の高い部材を用いることが好ましい。この場合には枠体6全体もしくは凹部6b直下の部分のみを熱導電性の高いステンレス鋼(例えばSUS304,SUS430)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)などで構成すればよい。若しくは、凹部6bに貫通口を設けて、ホルダ3を温度制御する際に、温度制御装置のヒーターヘッド部を接触可能なようにしてもよい。
【0044】
次に、第二の実施形態として、上記実施形態の発展型試料搬送・分析キットである、ホルダ3上下移動機構を設けた場合について図5および図6に基づいて説明する。
【0045】
第二の実施形態においては、図5(a)および図6(a)に示すように、ホルダ3を凹部6bに固定した際のホルダ3の開口部の高さが外枠6aの高さよりも低くなるようにしている。したがって、上記第一の実施形態のように蓋体4によりホルダ3を密閉することができない。そこで、凹部6bに貫通部6cを設けて、図5(b)および図6(b)に示すように、貫通部6cからホルダ3を押し上げてホルダ3のO-リング11と蓋体4とを密着させ、ホルダ3を枠体6に設けられたねじ穴15によりねじ止め固定して、ホルダ3のO-リング11と蓋体4の密着状態、即ち、ホルダ3密閉状態を保持するようにする。そして、ホルダ3を開放する際には、ホルダ3開口部周辺を十分に不活性ガス雰囲気にして大気から隔離した後、ねじを緩めて固定を解除する。これによりホルダ3が枠体6の凹部6bまで落とし込まれ、ホルダ3のO-リングと蓋体4の密着状態が解除されて、ホルダ3が開放され、蓋体4を外すことにより、試料2が露出して、分析装置による観察・測定が可能となる。
【0046】
ここで、ホルダ3の上下移動は、例えば、枠体6の裏側に固定可能な平板21の中央部に備えられた調整ねじ22により行うようにする。この装置を「ホルダ位置調整板」と呼ぶこととする。ホルダ位置調整板20の調整ねじ22を回すことで調整ねじ22が上下移動する。それに伴ってホルダ3も上下し、所望の位置までホルダ3を上下させることが可能となる。そして、ホルダ3を所定の位置に移動し終えたら、ホルダ3を枠体6に設けられたねじ穴15によりねじ止め固定して、ホルダ3の位置を固定する。ホルダ3の位置を固定した後は、ホルダ位置調整板20を枠体6から外して、分析装置の架台30に移動する。尚、分析装置の架台30に試料搬送・分析キットを載置する際に、測定時に必要な配線類を接続するようにしておく。尚、上記の「ホルダ位置調整板」はホルダ3を上下移動させる力の発生源としての一例であり、他の方法を採用することも勿論可能である。
【0047】
尚、ホルダ位置調整板20の枠体6への固定は、例えば、枠体6の外枠6aに設けられたねじ穴23によりねじ止め可能にホルダ位置調整板20にねじ穴を設けて行えばよいが、ホルダ位置調整板20を枠体6に脱着可能に固定できるのであればこれに限られるものではない。
【0048】
次に、本発明の試料搬送・分析キットを分析装置で取り扱う場合について図7に基づいて詳細に説明する。分析装置架台30内部には、マイクロノギスを用いた上下移動機構31が設けられており、調整つまみ32により上下移動機構31が上下移動する。上下移動機構31は温度制御手段33を備えている。温度制御手段33は、上述したようにヒーターケーブル34とセンサーケーブル35を備えている。ヒーターヘッド部38には、ヒーター36およびセンサー37が備えられており、制御部(不図示)で設定した温度にヒーターヘッド部38を加熱する手段である。また、分析装置架台30は、ヒーターヘッド部を露出可能な貫通口39を有しており、ヒーターヘッド部38は、枠体6の貫通部6cからホルダ3に接触させるようにして、ヒーターヘッド部38の熱をホルダ3へ伝導させ、試料2を加熱する。また、ヒーターヘッド部38をホルダ3に接触させ、調整つまみ32によりヒーターヘッド部38を上下移動させて、ホルダ3を上下移動させることが可能となる。
【0049】
ここで、本実施形態における分析装置40は走査型プローブ顕微鏡(探針(プローブ)を試料表面に接近させて、原子・分子レベルの試料表面状態や電子状態を観察する顕微鏡)の一種である原子間力顕微鏡(AFM)としているが、他の走査型プローブ顕微鏡、例えば、近接場光学顕微鏡(SNOM)、走査型トンネル電子顕微鏡(STM)、摩擦力顕微鏡(FFM)、磁気力顕微鏡(MFM)、表面電位顕微鏡(SMM)、ケルビンフォースプローブ顕微鏡(KPM)等にも適用可能である。または、光学顕微鏡であってもよく、分析室を真空にすることが必須な装置や分析中に不活性ガスを流すことで測定が阻害されてしまうような装置以外であれば適用できる可能性がある。
【0050】
このようにして、本発明の試料搬送・分析キット1を分析装置架台30に設置した後、不活性ガス供給口5からホルダ3開口部方向に不活性ガスを供給して、ホルダ3開口部周辺を不活性ガス雰囲気にした後、ホルダ3の位置固定を解除する、即ち、ホルダ3の枠体6に設けられたねじ穴15によるねじ止め固定を解除する。そして、上下移動機構31によりホルダ3の位置を下げて、ホルダ3と蓋体4を離してホルダ3を開放する。
【0051】
ここで、本実施形態では、分析装置架台30に対向する側、即ち、分析装置側に、分析装置支軸42が備えられており、枠体6には支軸受け43を備えるようにして、分析装置を安定に支えるようにしている。さらに、分析装置を安定に支持するために分析中には分析装置の上部に錘(不図示)を載せることが好ましい。尚、支軸受けを設けなくとも分析装置を安定に保持できるのであれば、支軸受けを設ける必要は無い。また、支軸の位置が枠体6より外側になってしまう場合には、分析装置架台30に支軸受けを設けるようにすればよい。
【0052】
次に、蓋体4を固定しているねじを緩めて、蓋体4を手前側に引き抜くことにより、分析装置のプローブ44と試料を接近可能とした後に測定を開始する。試料が大気に曝されるのを防ぐため、測定中も不活性ガスは供給し続けるようにする。これにより、試料を大気に曝すことなく測定・観察することが可能となる。
【0053】
ここで、枠体6の外枠6aとそれに対向する分析装置面、即ち、プローブ44を有する面との間に、ホルダ3を囲むようにしてスポンジパッキン41を備えることが好ましい。スポンジパッキンは、通気性を有する部材であり、不活性ガスを供給した際に、スポンジパッキン41により囲まれた空間内は空間外よりも若干圧力が高い状態を保つことができる。したがって、空間外からの大気成分は空間内に流入することはほとんどなく、逆に空間内の不活性ガスが少しづつ空間外へ流出していくので、不活性ガスを供給し続ける限り、当該空間内は不活性ガス雰囲気を保つことが可能となる。さらに、スポンジパッキンは低摩擦性を有する部材であり、蓋体4を引き抜く際にも障害となることがない。
【0054】
尚、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。
【0055】
例えば、上述の実施形態では、外枠6aの高さをホルダ3を凹部6bに固定した際のホルダ3の開口部の高さとほぼ等しくしておく、もしくはホルダ3を凹部6bに固定した際のホルダ3の開口部の高さが外枠6aの高さよりも低くなるようにしているが、これらに限られるものではない。例えば、蓋体4のホルダ開口部をふさぐ部分のみを外枠6aの高さよりも高くもしくは低くして、ホルダ3を密閉するようにしてもよい。または、外枠6aの蓋体4と接する部分のみを高く若しくは低くして、ホルダ3を密閉するようにしても良い。
【0056】
また、上述の実施形態では枠体6に不活性ガス供給口5を備えるようにしたが、図8に示すように、不活性ガスをホルダ3に保持された試料2の周辺に直接供給可能なようにホルダ3に穴を開けて、当該穴に不活性ガス供給口5をホルダ3の気密性を低下させないように設けるようにしても良い。この場合、不活性ガス供給口5を開閉する機構を設けておくことで、試料搬送中のホルダ3の気密性を保つことも可能である。
【実施例】
【0057】
<実施例1>
本発明の試料搬送・分析キットの一例を図9〜図12に示すが、本発明はこれに限られるものではない。
【0058】
ホルダ3は、図10、図12に示すように、円盤状板3a(材質:SUS)とリング上板3b(材質:PEEK)で構成し、O-リングを介してねじ止めにより一体化した。
【0059】
本実施例においては、図10、図12に示すように、ホルダ3を支持するための部材であるホルダ支持板46(材質:C1100)を設けた。ホルダ支持板46はホルダ3よりも大きい径を有する円板により形成し、その中心にマグネット47を埋め込んでマグネット47をホルダ支持板46裏側からねじ48によりねじ止め固定した。このように、ホルダ支持板46中央部にマグネット47を配置することで、ホルダ支持板46上に置かれたホルダ3を引きつけて、安定して固定するようにした。また、ホルダ支持板46の裏側にはリング状の凹部46aを設けて、ヒーターヘッド部38のリング状凸部38aに嵌め込み可能とし、ホルダ支持板46を介してヒーターヘッド部38の熱をホルダ3へ伝導するようにした。また、ヒーターヘッド部38とホルダ支持板46に押さえねじ用の穴を設けて、押さえねじにより固定するようにした。
【0060】
枠板6(材質:PEEK)の凹部6bの径はホルダ支持板46の径とほぼ等しくなるようにした。また、貫通部6cは凹部6bの径と等しくなるようにした。そして、凹部6bの内側のO-リング溝にO-リングを装着して、凹部6bとホルダ支持板46とを嵌合させ、枠板6の裏面から貫通部6cを介して与えられる力によりホルダ支持板46を上下移動可能とした。さらに、枠板6側部には、ホルダ支持板46に向かって貫通したねじ穴15を対向した位置に2箇所設けて、ホルダ支持板46の高さをねじ止めにより固定可能とした。
【0061】
ホルダ3の密閉は、ホルダ3のリング状板3bに設けられたO-リング溝7に装着されたO-リングを介して蓋体4(材質:SUS)により行うようにした。試料を密閉した際には蓋体4を枠板6の外枠6aに座板53a若しくは座板53bを介してねじ止め固定して、蓋体4がホルダ3からずれてホルダ3が開放されないようにした。
【0062】
ホルダ支持板46およびホルダ支持板46に支持されたホルダ3の上下移動は、ホルダ位置調整板20により行った。そして、ホルダ支持板46を所定の位置に移動し終えたら、ホルダ支持板46を、枠板6側部に設けられたホルダ支持板46に向かって貫通した2箇所のねじ穴でねじ止めして、ホルダ支持板46の位置を固定した。ホルダ支持板46の位置を固定した後は、ホルダ位置調整板20を枠板6から外して、分析装置の架台30に移動した。尚、分析装置の架台30に試料搬送・分析キット1を載置する際に、測定時に必要な配線類を接続した。
【0063】
分析装置40として、原子間力顕微鏡(AFM:TMX−2000、Topometrix社)を用いた。分析装置架台30にはマイクロノギスを用いた上下移動機構を有する上下移動機構31を設けた。ここで、上下移動機構31は温度制御手段21を備えるようにした。また、分析装置架台にはヒーターヘッド部38(材質:C1100)を支持する支持スピンドル51(材質:PEEK)を設けて、上下移動機構31及びヒーターヘッド部38にそれぞれねじ止め固定した。支持スピンドル51はガイドスリーブ50(材質:PEEK)の環状溝52にO-リングを嵌め込み、当該O-リングを介して摺動可能に嵌合させた。これにより、上下移動機構31による上下移動に伴い、ガイドスリーブ50に沿って安定にヒーターヘッドを上下移動可能とした。
【0064】
分析装置架台30に対向する側の分析装置面にはスポンジパッキン41を設け、分析装置架台30にセットされた試料搬送・分析キットをスポンジパッキン41によりホルダ3を囲むように枠板6の外枠6aに接触させた。このようにして形成された空間を、試料搬送・分析キットに備えられた不活性ガス供給口5から不活性ガスを供給することにより、不活性ガス雰囲気にした。
【0065】
ここで、分析装置架台30に対向する側には、3本の分析装置支軸42が備えられており。これらの支軸42をより安定に支える為に枠板6の外枠6aに支軸受け43を設けた。
【0066】
不活性ガスには、Arを用いた。また、不活性ガス供給口5は等間隔で4箇所に設け、ガス流量は5L/minとした。
【0067】
このようにして、枠板6とスポンジパッキン41によりホルダ3を囲むようにして形成された空間を不活性ガス雰囲気にした後、ホルダ支持板46の位置固定を解除し、ホルダ上下移動機構31によりホルダ支持板46の位置を下げて、ホルダ3と蓋体4を離してホルダ3を開放した。
【0068】
次に、蓋体4を固定しているねじを緩めて、蓋体4を引き抜き、分析装置40のプローブ44と試料を接近可能とした後に測定を開始した。試料が大気に曝されるのを防ぐため、測定中も不活性ガスは供給し続けた。また、蓋体4を引き抜いた後には、座板53a及び53bを引き抜いて、分析装置の上部に錘(不図示)を載せ、分析装置支軸42が支軸受け43に挿入されるようにして、分析装置を安定に固定した。
【0069】
<実施例2>
実施例1の試料搬送・分析キットを用い、金属リチウムを分析試料として、表面形態変化を測定した。測定は、(A)25℃(室温)の場合と(B)100℃に加熱した場合について行った。図13に示す結果から、温度による形態変化が安定して測定されることが確認された。即ち、本発明の試料搬送・分析キットを用いることで、大気中に存在する水分や二酸化炭素と容易に反応して表面の形状が変化しやすい物質を大気から隔離して、温度変化に伴う試料の変化のみを観測することが可能であることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の試料搬送・分析キットの平面図である。
【図2】本発明の試料搬送・分析キットの断面図である。尚、断面は図1の(A)である。
【図3】本発明の試料搬送・分析キットの断面図である。尚、断面は図1の(B)である。
【図4】本発明のホルダの一例を示す図である。(a)は断面図、(b)は平面図である。
【図5】本発明のホルダ上下移動可能な試料搬送・分析キットの断面図である。尚、断面は図1の(A)である。(a)はホルダ開放時、(b)はホルダ密閉時の図である。
【図6】本発明のホルダ上下移動可能な試料搬送・分析キットの断面図である。尚、断面は図1の(B)である。(a)はホルダ開放時、(b)はホルダ密閉時の図である。
【図7】本発明の試料搬送・分析キットを分析装置架台に設置した状態を示す図である。
【図8】本発明の試料搬送・分析キットの他の実施形態を示す図である。
【図9】実施例に示す本発明の試料搬送・分析キットを分析装置架台に設置したときの平面図である。
【図10】実施例に示す本発明の試料搬送・分析キットを分析装置架台に設置したときの断面図である。
【図11】実施例に示す本発明の試料搬送・分析キットの平面図である。
【図12】実施例に示す本発明の試料搬送・分析キットの断面図である。
【図13】金属リチウム表面形態の温度による変化の観察例である。(A)は25℃(室温)で測定した結果、(B)は100℃で測定した結果である。
【符号の説明】
【0071】
1 試料搬送・分析キット
2 試料
3 ホルダ
4 蓋体
5 不活性ガス供給口
6 枠体
6a 外枠
6b 凹部
6c 貫通口
8 参照電極
9 対電極
10 作用電極
30 分析装置架台
41 スポンジパッキン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料を露出可能に保持するホルダと、前記ホルダに被せられ試料を大気と隔離して密閉する蓋体と、前記ホルダの開口部方向に不活性ガスを供給する不活性ガス供給口と、前記ホルダを安定に保持する凹部を有すると共に前記不活性ガス供給口の向きを前記ホルダの開口部方向に固定する枠体とを備えることを特徴とする試料搬送・分析キット。
【請求項2】
前記枠体裏側から前記枠体の前記凹部に向かって貫通口が設けられ、前記枠体裏側から前記貫通口を介して前記ホルダに与えられる力により前記ホルダを上下移動させることを特徴とする請求項1に記載の試料搬送・分析キット。
【請求項3】
前記ホルダは、参照電極、対電極および作用電極を備えることを特徴とする請求項1もしくは2に記載の試料搬送・分析キット。
【請求項4】
前記ホルダは、温度制御されることを特徴とする請求項1〜3いずれか1つに記載の試料搬送・分析キット。
【請求項5】
前記不活性ガス供給口とは別の、不活性ガス以外のガスを供給するガス供給口を備えることを特徴とする請求項1〜4いずれか1つに記載の試料搬送・分析キット。
【請求項6】
前記枠体の外枠とそれに対向する分析装置面との間に、前記ホルダを囲むようにしてスポンジパッキンを備えることを特徴とする請求項1〜5いずれか1つに記載の試料搬送・分析キット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−108149(P2007−108149A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−302238(P2005−302238)
【出願日】平成17年10月17日(2005.10.17)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成17年6月 財団法人電力中央研究所発行の「電力中央研究所報告」に発表
【出願人】(000173809)財団法人電力中央研究所 (1,040)
【Fターム(参考)】