説明

試料搭載装置

【課題】
繰り返しパターンと非繰り返しパターンとが混在する被検査対象基板に対して、微小な異物または欠陥を高速で、しかも高精度に検査できる欠陥検査装置を実現する。
【解決手段】
異物付着防止手段180は、透明基板187が枠185を介して載置台34の上に設置される。異物付着防止手段180はベース186上に固定された2本の支柱184に回転可能に支持されたシャフト181がカップリング183でモータ182に連結されている。そして、2本に支柱184の間で、枠185の一部にシャフト181が挿入され、枠185及び透明基板187がシャフト181を中心として回動できるように構成されている。つまり、枠185全体がシャフト181を軸としてZ方向に開閉する構造になっており、枠185及び透明基板187により、載置台34上のウェハ1を覆うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体チップや液晶製品を製造する際の薄膜基板,半導体基板やフォトマスク等に存在する異物や回路パターンに生じる欠陥を検出する物体表面の欠陥検査装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程では、半導体基板(ウェハ)上に異物が存在すると配線の絶縁不良や短絡などの不良原因になる。さらに半導体素子の微細化に伴い、より微細な異物がキャパシタの絶縁不良やゲート酸化膜などの破壊の原因にもなる。これらの異物は、搬送装置の可動部から発生するものや、人体から発生するもの、プロセスガスにより処理装置内で反応生成されたもの、薬品や材料に混入していたものなど種々の原因により種々の状態で混入される。
【0003】
同様に、液晶表示素子の製造工程においても、上記異物によりパターン欠陥が生じると、表示素子として使えないものになってしまう。また、プリント基板の製造工程においても同様の状況であって、異物の混入はパターンの短絡,不良接続の原因となる。
【0004】
このような背景の下、半導体製造においては、各製造ライン毎に異物検査装置を場合によっては複数配置し、上記異物の早期発見による製造プロセスへのフィードバックにより半導体製造の歩留まり向上を図っている。
【0005】
半導体基板上の異物を検出する技術の1つとして、特許文献1に記載されているように、半導体基板上にレーザを照射して半導体基板上に異物が付着している場合に発生する異物からの散乱光を検出し、直前に検査した同一品種半導体基板の検査結果と比較することにより、パターンによる虚報を無くし、高感度かつ高信頼度な異物及び欠陥検査を可能にするものが開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、異物のサイズ測定技術が開示されている。
【0007】
これらの異物検査装置では、高速かつ高感度検査が求められる。このため、ウェハ移動ステージの高速化や検出光学系の高NA、高解像化は検査装置を開発する上で重要となっている。また、検査装置自体からの発塵防止は勿論のこと、検査中の被検査対象への新たな異物の付着もあってはならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭62−89336号公報
【特許文献2】特開2001−60607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、発塵発生防止のため、検査装置内のクリーン度を向上させても搬送部などの可動部が存在する以上、異物を完全に除去した雰囲気を作ることは大変コストがかかると共に実質、困難である。
【0010】
上記特許文献1に記載された技術では、繰り返しパターンや非繰り返しパターンが混在する基板上の微細な異物または欠陥を、高感度で、かつ高速に検出することは容易にできなかった。すなわち、上記特許文献1に記載の技術では、例えば、メモリセル部等の繰り返しパターン部分以外では、検出感度(最小検出異物寸法)が低いという課題があった。
【0011】
また、上記特許文献1に記載の技術では、パターン密度が高い領域における0.1μmレベルの微小異物または欠陥の検出感度が低いという課題があった。
【0012】
さらに、上記特許文献1に記載の技術では、配線間を短絡する異物または欠陥の検出感度や薄膜状の異物の検出感度が低いという課題があった。
【0013】
また、上記特許文献2に記載の技術では、異物または欠陥の計測精度が低いという課題があった。さらに、上記特許文献2に記載の技術では、透明薄膜が形成されたウェハ表面上の異物の検出感度が低いという課題があった。
【0014】
本発明の目的は、繰り返しパターンと非繰り返しパターンとが混在する被検査対象基板に対して、微小な異物または欠陥を高速で、しかも高精度に検査できる欠陥検査方法及びその装置を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、本発明は次のように構成される。
【0016】
載置台に配置された試料の表面に光を照射し、試料表面から反射された光を検出して、上記試料表面の欠陥を検出する欠陥検査装置及び欠陥検査方法において、上記載置台に配置された試料の表面に異物が付着することを異物付着防止手段により防止し、上記試料の表面に光を照射して、上記試料表面の欠陥を検出する。
【0017】
また、光源と、載置台に配置された試料の表面に、上記光源からの光を照射する照射手段と、試料表面から反射された光を検出する光検出手段と、この光検出手段により検出された反射光に基づいて、上記試料表面の欠陥を検出する欠陥検出手段とを有する欠陥検査装置において、上記試料の裏面に異物が付着しているか否かを検査する裏面異物検査手段を備える。
【0018】
また、光源と、載置台に配置された試料の表面に、上記光源からの光を照射する照射手段と、試料表面から反射された光を検出する光検出手段と、この光検出手段により検出された反射光に基づいて、上記試料表面の欠陥を検出する欠陥検出手段とを有する欠陥検査装置に使用され、上記載置台に配置された試料の表面に異物が付着することを防止する異物付着防止装置であって、光を透過する透明基板と、この透明基板を移動可能に支持し、上記透明基板の上記載置台に配置された試料表面の上方への移動及び上記試料表面の上方からの移動を行う駆動手段とを有する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、繰り返しパターンと非繰り返しパターンとが混在する被検査対象基板に対して、微小な異物または欠陥を高速で、しかも高精度に検査できる欠陥検査方法及びその装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る欠陥検査装置の概略構成図である。
【図2】本発明の第1の実施形態における照明光学系の配置関係、低角度照明光学系の概略構成、及び照明領域と検出領域の関係を示す図である。
【図3】照明光学系に用いられている円錐曲面レンズ及び円筒レンズの斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施形態である欠陥検査装置の動作説明図である。
【図5】オリフラ検出光学系、端面検査装置の配置を示す側面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態における異物付着防止手段の構成を説明するための図である。
【図7】本発明の第1の実施形態における裏面異物検査装置の概略構成図である。
【図8】本発明の第1の実施形態における裏面異物検査装置の概略構成図である。
【図9】本発明の第1の実施形態における検査の手順を説明するためのフローチャートである。
【図10】本発明の第2の実施形態における要部説明図である。
【図11】本発明の第3の実施形態における要部説明図である。
【図12】本発明の第1の実施形態における信号処理系の詳細構成ブロック図である。
【図13】信号処理系の画素マージ回路の説明図である。
【図14】信号処理系で凸欠陥を検出する場合の説明図である。
【図15】信号処理系で凹欠陥を検出する場合の説明図である。
【図16】本発明の第4の実施形態の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
【0022】
本発明の実施形態に係る欠陥検査装置は、様々な品種や様々な製造工程におけるウェハ等の被検査基板上における異物,パターン欠陥,マイクロスクラッチ等の様々な欠陥を高感度で、かつ高速で検査し、特にウェハ表面に形成された薄膜表面の欠陥を薄膜中の欠陥と分離して安定して検出するものである。さらに、本発明による欠陥検査装置は、装置内のゴミ,異物等のパーティクルによって被検査対象であるウェハの表面が検査時に汚染されないような構成としている。
【0023】
すなわち、本発明の実施形態に係る欠陥検査装置は、ウェハの上方に透明部を有した異物付着防止手段を設け、検査装置内を浮遊している異物やパーティクルなどの汚染物が、ウェハの表面に直接落下することを防止すると共に、検査のため載置台に載置されるウェハの裏面を搬送経路で検査することによりウェハ1裏面の汚染状態を確認する手段を備える。また、本発明の実施形態に係る欠陥検査装置は、汚染の結果によりウェハの裏面を清浄化する手段を備える。さらに、ウェハの裏面の汚染状態に応じて、載置台を交換する構成にしたものである。
【0024】
以下、本発明に係る欠陥検査装置の実施形態について具体的に説明する。なお、以下の実施形態では、半導体ウェハ及びこのウェハ上に形成された透明膜上の小/大異物やマイクロスクラッチおよび、透明膜中の異物やパターン欠陥等の欠陥を検査する場合について説明するが、本発明は、半導体ウェハに限らず、薄膜基板やフォトマスク,TFT,PDP等にも適用可能である。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る物体表面の欠陥検査装置の概略構成図である。図1において、欠陥検査装置は、大きくは、照明光学系10,倍率可変検出光学系20,搬送系30,信号処理系40及び欠陥検査装置全体を制御する全体制御部50によって構成される。
【0025】
搬送系30は、様々な品種や様々な製造工程から得られるウェハ等の被検査対象基板1を載置台34に載置,移動させるXステージ31−1,Yステージ31−2,Zステージ32,回転ステージ33と、これらを制御するための駆動回路35とを備えている。
【0026】
照明光学系10は、図2に示すように、レーザ光源11,ビーム拡大光学系16,ミラー260〜268,レンズ231〜233,波長板211〜213を備え、レーザ光源11から射出された光を、ビーム拡大光学系16で拡大後、ミラー260〜268,波長板211〜213,レンズ231〜233等を介して、斜め複数方向からウェハ1表面上に
照明する。
【0027】
図1において、検出光学系20は、対物レンズ21,空間フィルタ22,結像レンズ23,光学フィルタ25,ビームスプリッタ90,TDIイメージセンサ等の光検出器26を備える。
【0028】
信号処理系40は、光検出器26で検出された画像信号を処理して欠陥,異物を検出する。
【0029】
観察用光学系60は、レンズ61と、ハーフミラー62と、照明光源63と、結像レンズ65と、撮像手段64とを備え、照明光源63から出射した光をハーフミラー62で反射して光路をウェハ1の方向に曲げ、レンズ61で集光させてウェハ1の表面を照明する。ウェハ1で反射,散乱した光のうちレンズ61に入射した光は、ハーフミラー62を透過後、結像レンズ65により撮像手段64の受光面に結像する。観察用光学系60はウェハ1を倍率可変検出光学系20で検査して得られた検査結果に基づいて異物の有無,形状を確認するものである。
【0030】
全体制御部50は、検査条件などを設定し、照明光学系10,倍率可変検出光学系20,搬送系30及び信号処理系40の全体を制御する。全体制御部50には、入出力手段51(キーボードやネットワークも含む),表示手段52,記憶部53が設けられている。記憶手段(サーバ)55は、被検査対象基板1の表面に形成されている回路パターンなどの設計データが格納され、設計データから空間的な光学像を形成することができる。
【0031】
なお、この異物検査装置には、ウェハ1の表面の像を光検出器26の受光面に結像させるように自動焦点制御系(図示せず)を備えている。
【0032】
この欠陥検査装置では、複数の方向から被検査対象基板1の表面に照明可能な構成になっている。
【0033】
照明光学系10としては、図2の(a)に示すように、レーザ光源11から射出された光L0を、例えば、図示しない凹レンズおよび凸レンズ等から構成されるビーム拡大光学系16,スリット状ビームに成形するレンズ14,ミラー255等で構成され、レーザ光源11から出射された光L0をスリット状(線状)ビーム200に成形してウェハ1にスリット状の照明領域201(図2の(c))を形成する。
【0034】
本発明の第1の実施形態による検査装置では、単波長のレーザビームでウェハ1の表面を低角度(低い入射角度)で照明するための構成として、図2の(b)に示すように、スリット状ビーム200(ウェハ1のスリット状の照明領域201に照射する光、以後、この光をスリット状ビームと記載する)を平面的に複数の方向(図2の(b)においてはレーザ光L1,L2,L3の照射方向)、及び複数の照明角度(図2の(b)におけるα,β,γ)にて、試料載置台(ウェハチャック)34上に載置されたウェハ1に照射するように構成されている。
【0035】
ここで、照明光をスリット状ビーム200にするのは、照明により発生する異物や欠陥からの散乱光の像を、光検出器26の一列に配置した受光素子の検出面上に結像させて、一括して検出することにより、異物検査の高速化を図るためである。
【0036】
すなわち、ウェハ1上に形成されたチップ202の配列方向がXステージ31−1の走査方向およびYステージ31−2の走査方向に対して平行になるように回転ステージ33を駆動して載置テーブル34上に載置されたウェハ1の向きを調整し、この向きを調整したウェハ1上にスリット状ビーム200を照射する。
【0037】
このスリット状ビーム200が照射されるウェハ1上のスリット状の照明領域201の形状は、Y方向に集光してX方向に平行光となるように構成された光学系により、Xステージ31−1の走査方向Xに平行(ウェハ1上に照射されたスリット状の照明領域201の長手方向がXステージ31−1の走査方向Xに平行)、Yステージ31−2の走査方向Yに垂直(ウェハ1上に照射されたスリット状の照明領域201の長手方向がYステージ31−2の走査方向Yに垂直)、また光検出器26の画素の配列方向ともスリット状の照明領域201の長手方向平行になるよう光軸が調整されている。
【0038】
これは、画像信号のチップ間比較を行う際に、チップ間の位置合わせが容易に行える効果を奏するためである。このスリット状の照明領域201は、図3に示すように、光路中に例えば円錐曲面レンズ14を設けるかまたは円筒レンズを設けることにより形成することができる。
【0039】
一例として、ここでレンズ231及233は、図3(a)に示すように、長手方向の曲率半径が連続的に変化するような円錐曲面レンズであり、水平方向角度φ方向からXステージ31−1の走査方向に対してウェハ1上に照射されるスリット状ビーム201の長軸方向が平行になるようにしている。
【0040】
すなわち、ここで、レーザ光L1及びL3による照明では、ウェハ1のY軸方向に対して左右に角度φ回転し、かつZ軸方向に角度αまたはβ傾斜した方向(図2の(b)では、レーザ光L3からの照明光がミラー265で反射されてレンズ233を透過してミラー268に到る光路と、ミラー268からウェハ1のスリット状ビーム200の照射領域201までの光路とが重なって表示されている)からそれぞれスリット状に成形されたレーザ光をウェハ1上に照射する。
【0041】
また、レーザ光L2による照明は、Yステージ31−2の走査方向と同方向より照明を行うため、図3の(b)に示す円筒レンズ232によりスリット状ビーム200を形成してウェハ1上のスリット状の領域201−2に照射している。
【0042】
また、全体制御部50からの指令に基づいて、図2の(a)に示すように、ミラー255の角度θを図示していないパルスモータ等の駆動手段で変えることにより、照明角(α,β,γ)を例えば被検査対象基板1上で検査対象とする異物の種類によって変えられる構成になっている。
【0043】
また、図2の(c)に示すように、いかなる照明角の場合でもスリット状ビーム200が照射されるウェハ1上のスリット状領域201は、光検出器26の画素の配列方向203をカバーする。また、レーザ光L1,L2,L3による照明であっても、スリット状ビーム200の照明位置はウェハ1上でスリット状領域201−1〜201−3と一致するよう構成される。
【0044】
これにより、X方向に平行光を有し、かつ、方位角φ=45度付近の照明を実現することができる。特に、スリット状ビーム201をX方向に平行光とすることによって、主要な直線群がX方向およびY方向を向いた回路パターンから発する回折光が空間フィルタ22によって遮光されることになる。
【0045】
ここで、空間フィルタ22は、図1に示すように、検出光学系20の光路中に、検査中はX方向に退避可能なミラー90と、投影レンズ91,TVカメラ92からなる瞳観察光学系70を用いて、フーリエ変換の結像位置における繰り返しパターンからの反射回折光像の輝点を撮像し、この輝点をフーリエ変換の結像位置に設けた矩形状の遮光部を有する遮光板で遮光するように調整される。
【0046】
これらの動作は、全体制御部50からの指令に基づいて行われるが、例えば、被検査対象基板1上に形成された回路パターンが高密度の場合は高倍率での高感度検査モードとし、回路パターンが低密度の場合は低倍率にして高速検査を行う等、ステージ上に載置される被検査対象基板1の表面情報,製造プロセスにあわせて微小欠陥を多く検出するように倍率を設定するものである。
【0047】
なお、レーザ光源11としては、例えば、YAG第2高調波の波長532nmや3倍波の355nm、あるいは第4高調波の266nmを用いても良い。また、紫外,遠紫外あるいは真空紫外光レーザであっても良い。さらに、Arレーザや窒素レーザ,He−Cdレーザやエキシマレーザ,半導体レーザ等の光源であっても良い。
【0048】
一般的にレーザ波長を短波長化することにより、検出像の解像度が向上するため、高感度な検査が可能となる。
【0049】
次に、本発明における物体表面の欠陥検査の動作の一例について図4により説明する。図4において、500は欠陥検査装置、85はウェハ1を収納するウェハカセット、80は搬送ロボット、82はウェハ1をつかんで搬送するための搬送アーム、340はウェハ1のオリフラ検出部、350はオリフラ検出光学系、300はウェハ1のエッジ部の欠陥を検出する端面検査装置、345はウェハ1の表面の欠陥を検出する欠陥検出装置である。
【0050】
被検査対象基板であるウェハ1は、搬送アーム82でウェハカセット85から取り出され、オリフラ検出部340に搬送される。
【0051】
図5はオリフラ検出部340を、図4のY方向から見た断面図である。図5において、ウェハ1は、チャック353に真空吸着され、モータ354により回転される。オリフラ検出光学系350は、例えば投光部351と検出部355から成り、投光部351からの照明光352を受光して、検出部355の受光信号が処理回路356を介して全体制御部50に送られる。
【0052】
全体制御部50は、ウェハ1の偏芯量とオリフラ(Vノッチ)位置を算出し、コントローラ357を介してY軸に対するオリフラの補正信号をモータ354に送る。また、偏芯量は搬送ロボット80が欠陥検出装置345の搬送系30にウェハ1を設置する際に補正値として搬送アーム82の移動値にフィードバックされ、ウェハ1が欠陥検査装置345の載置台34の中央に位置合わせされる。
【0053】
一方、ウェハ1が回転している間、端面検査装置300はウェハ1の端面部(エッジ部)の欠陥検査を行う。検出された信号は処理回路301で処理されて欠陥信号が全体制御部50に送られる。欠陥が検出された場合、オリフラの位置を原点位置として、モータ354に連結された図示していないロータリーエンコーダのパルスカウントから回転方向の座標位置が全体制御部50に記憶される。
【0054】
以上述べたように、上記構成の欠陥検査装置によって、ウェハ1表面の微細な欠陥を高速に検査することができる。
【0055】
ところで、欠陥検査装置345の載置台34に載置されたウェハ1の表面には色々な欠陥種が存在し、欠陥検査装置345においては、より多くの欠陥種を検出することが要求される。このため、検出する欠陥種に合わせた検査条件を設定する必要がある。
【0056】
本発明の実施形態における欠陥検査装置345では、照明の方向,角度を欠陥種に合わせて変更可能な構成になっている。このため、照明光学系10には、ミラー,レンズを駆動させるための駆動機構を備えている。多くの場合、光学系はウェハ1の上方に設置されている。このため、ミラー,レンズ等の駆動部分からの発塵等、検査装置内空間のゴミや異物等によるウェハ1表面のパーティクル汚染を皆無にすることは難しい。
【0057】
そこで、図6に示すように、本実施形態では被検査対象基板1の上方に、異物付着防止手段180をウェハ1の上方に設置して、ゴミや異物等の汚染粒子が直接、ウェハ1の表面に付着するのを防止する構成としている。図6の(a)は異物付着防止手段180の平面図、図6の(b)は異物付着防止手段180の側面図である。
【0058】
異物付着防止手段180は、透明基板187が枠185を介して載置台34の上に設置されているものである。異物付着防止手段180は、ベース186上に固定された2本の支柱184に、回転可能に支持された(若しくは挿入された)シャフト181がカップリング183でモータ182に連結されている。そして、2本に支柱184の間で、枠185の一部にシャフト181が挿入され、枠185及び透明基板187がシャフト181を中心として回動できるように構成されている。つまり、枠185全体がシャフト181を軸としてZ方向に開閉する構造になっており、枠185及び透明基板187により、載置台34上のウェハ1を覆うことができる。
【0059】
次に、ウェハ1が搬送アーム82によって欠陥検査装置345の搬送系30の載置台34に載置される手順について説明する。
【0060】
ウェハ1が載置台34に載置される際、載置台34は搬送系30により検出光学系20の対物レンズ21の光軸から離れたX方向位置に移動して待機する。次に、全体制御部50からの図示していない駆動信号により、モータ182を駆動して異物付着防止手段180をZ方向に回動させ、ウェハ1が載置台34上に搬送可能なように開放する。
【0061】
ウェハ1は、搬送アーム82に開閉自在に設けられたツメ84(84a〜84c)によりウェハ1の端部が保持された状態で、図6の(b)中X方向に移動され、載置台34に載置される。ツメ84は例えば円周3方向からウェハ1を保持し、ツメ84(84a〜84c)はアクチュエータ81によりウェハ1の中央から周辺に向かって図示しない機構によって放射状に移動可能な構造となっており、ウェハ1の端部の把持,開放が可能となっている。
【0062】
ウェハ1が載置台34に搭載された後、異物付着防止手段180は、モータ182により回動され、ウェハ1を覆う。この状態でウェハ1表面の欠陥検査が実施される。
【0063】
ここで、透明基板187は、検出光学系20の光路中に配しても結像に支障のない材質(例えば、ニトロセルロース),薄板厚のものが選択され、例えば平行平面硝子やペリクル膜などを用いることも考えられる。また、透明基板187は、ウェハ1の検査面より離間した位置に設けることにより、透明基板187上の微小異物は検出器26上では焦点ボケとなって検出されないものである。これら一連の動作は、全体制御部50からの信号が制御回路150に供給され、供給された信号に従って制御回路150が搬送ロボット80を制御して行われる。
【0064】
次に、裏面異物検査装置の構成について図1,図7を参照して説明する。裏面異物検査装置155は、ウェハ1をウェハカセット85から取り出して欠陥検査装置に載置される経路中に設置される。光源164(164a,164b)から発した光は、集光レンズ165(165a,165b)でウェハ1の裏面に照射され、欠陥,異物160からの散乱光がウェハ1の垂直方向に配置された結像レンズ170と検出器175とで検出する構成になっている。検出器175の検出信号は処理回路177で処理され欠陥信号が全体制御部50に出力される。
【0065】
ここで、裏面異物検査装置155は、例えば特公平6−41920号公報に記載されているような構成のものが考えられ、ウェハ1の裏面には回路パターンが存在しないため、空間フィルタリングは不要である。裏面異物検査装置155による検査では、光学系の焦点深度が深く、大きさ数ミクロン程度の異物の検査が必要である。裏面異物検査装置155で検出された欠陥の位置座標は全体制御部50に記憶され、ウェハ1がカセット85に収納されている間に、他の収納されているウェハ1に付着すると判断される場合、異物除去手段195により異物の除去を行う。
【0066】
異物除去手段195は、例えば、図8に示すように、発振器191のパルス信号によってノズル193から高圧気体をウェハ1の裏面に噴射し、付着した異物160を浮上させて吸引ノズル194で吸引する構成となっている。197は高圧気体源、199は吸引ポンプであり、吸引ノズル194はバルブ198が開放の間、吸引する。また、バルブ196,198の動作は全体制御部50により制御される。
【0067】
次に、本発明の異物または欠陥検査装置における検査のシーケンスの一例を説明する。図9はウェハ1をウェハカセット85から取り出して検査し、検査完了後ウェハカセット85に収納されるまでの一連動作を示す検査フローである。
【0068】
図9において、ウェハ1はウェハカセット85から搬送アーム82でウェハカセット85から取り出され(ステップS2800)。続いて、ウェハ1は、オリフラ検出部340に搬送されてチャック353に真空吸着により固定され、モータ354により回転され、オリフラ検出,端面検査が行われる(ステップS2801)。
【0069】
その後、ウェハ1は、再び搬送アーム82に保持されて、欠陥検査位置の載置台34に真空吸着される(ステップS2802)。そして、ウェハ1のチップサイズやウェハ1上のチップの有無などチップレイアウト情報設定、ウェハ1全体を回転させてウェハ1のチップ202の配列方向と検出器26との平行(回転ずれをほぼ「0」にする)合わせを行い、ウェハ1上の各領域を最適な感度で検査するために検査領域の設定,検査領域における検出感度,照明条件,検出光学系20の倍率の選択など光学条件の設定を行う(ステップS2803)。続いて、ウェハ1表面の全面検査を開始する(ステップS2804)。
【0070】
次に、搬送アーム82がウェハ1を取り外し(ステップS2805)、搬送経路でウェハ1の裏面検査を実施し(ステップS2806)、異物の有無を判定する(ステップS2806a)。ステップS2806aにおいて、後工程で問題となる異物の付着があった場合、異物除去が行われる(ステップS2807)。そして、ステップS2806に戻り、再度、裏面検査が実施され、異物が無かった場合はウェハカセットに収納される(ステップS2808)。
【0071】
次に、検査ステップ(S2804)における検出信号の処理について説明する。ウェハ1表面からの反射回折光を受光した光検出器26からの信号は、信号処理系40において処理される。信号処理系40の構成を図12に示す。
【0072】
図12を参照して、処理回路40の構成と動作について説明する。信号処理系40は、A/D変換器1301,A/D変換された検出画像信号f(i,j)1410を記憶するデータ記憶部1302,上記検出画像信号に基づいて閾値算出処理をする閾値算出処理部1303,上記データ記憶部1302から得られる検出画像信号1410と、閾値算出処理部1303から得られる閾値画像信号(Th(H),Th(Hm),Th(Lm),Th(L))1420を基に画素マージ毎に異物検出処理を行うための回路を複数備えた異物検出処理部1304a〜1304n、低角,高角度照明によって検出欠陥から得られた散乱光量や欠陥の大きさ示す検出画素数等の特徴量を算出する特徴量算出回路1309、該特徴量算出回路1309から得られる各マージ毎の特徴量を基に、欠陥,異物のサイズや種類を分類する統合処理部1310から構成されている。
【0073】
異物検出処理部1304a〜1304nの各々は、例えば検出された二次元画像に対して1×1,3×3,5×5,…n×n画素単位で画像処理するためのマージオペレータ1504を備えた画素マージ回路部1305a〜1305n,1306a〜1306nと、異物検出処理回路1307a〜1307nおよび、検査領域処理部1308a〜1308nとで構成されている。
【0074】
A/D変換器1301でデジタル化された検出画像信号f(i,j)1410は、データ記憶部1302と閾値算出処理部1303に送られる。閾値算出処理部1303は、検出画像信号から欠陥,異物を検出するための閾値画像Th(i,j)1420を算出し、画素マージ回路1306に出力する。画素マージ回路1305,1306は、データ記憶部1302および閾値算出処理部1303から出力された画像信号1410,1420に対して、n×n画素の範囲で結合する機能を有し、例えば、n×n画素の平均値を出力する回路であり、各種マージオペレータ毎に画像処理が行われる。異物検出処理回路1307は、画素マージ回路1305および1306から出力された信号を処理して欠陥,異物を検出する。ここで、画素をマージするのはウェハ1上に存在する大きさの異なる欠陥,異物をそれらのサイズに合った検出画素でS/N良く検出する目的であるが、検出すべき欠陥の形状によっては、必ずしもn×nの必要はなくn×mでも良い。
【0075】
検査領域処理部1308は、異物検出処理回路1307によって検出された欠陥または異物が存在するチップを特定するための処理を行うものであり、欠陥または異物を検出するため、検出閾値Th(H,L)と、検証閾値Th(Hm,Lm)を設けて、異物または欠陥を検出したチップを特定するものである。図14(a)はチップ1701,1702,1703のうち、中央のチップ1702に凸形の欠陥1704が存在する場合の検出画像例と、断面X−Xでの信号波形を示している。また、図15(a)はチップ1801,1802,1803のうち、中央のチップ1802に凹形の欠陥1804が存在する場合の検出画像例を示している。図14(a)において、信号1706は凸欠陥1704の信号を示し、信号1705,信号1707はチップ内に欠陥が存在しない場合を示している。
【0076】
図14(b)は、隣接チップ単位での差分処理結果を示すものであり、差分信号1710,1711はチップ1701,1702,1703で得られた画像信号の差画像1708,1709の断面X′−X′での信号波形を示している。差分信号1710はチップ1702の画像信号「B」とチップ1701の画像信号1「A」との差信号(B−A)であり、差分信号1711はチップ1703の画像信号「C」とチップ1702の画像信号「B」との差分信号(C−B)である。ここで、検出閾値H,検証閾値Hmは凸形の差分信号を検出するための閾値であり、検出閾値L,検証閾値Lmは凹形の差分信号を検出する
ための閾値である。
【0077】
図14(b)において、差分信号1710(B−A)が正の場合、その値が検出閾値Hまたは検証閾値Hmよりも大きい場合に異物または欠陥として検出し、また、差分信号1711(C−B)が負の場合、その値が検出閾値Lまたは検証閾値Lmよりも小さい場合(差分値,閾値共に負の値のために符号付の値が小さい場合である。絶対値としては閾値よりも差分値の方が大きい)に異物または欠陥として検出される。
【0078】
ところで、ウェハ1の外周検査時には隣接チップが存在しなくなる。この場合、検査領域処理部1308a〜1308nは、全体制御部50から得られる検査座標データを基に上記隣接チップ同士の比較処理{(B−A),(C−B)}から、飛び越えた隣のチップ同士の比較処理{(B−A),(C−A)}に切り替えることになる。
【0079】
検査領域処理部1308は、検出された異物信号や閾値画像を検査領域処理部1308により、検出場所による処理を施す。同時に、各種マージオペレータ毎に設けられた異物検出処理部1304a〜1304nの、画素マージ回路1305a〜1305n,1306a〜1306n,異物検出処理回路1307a〜1307n,検査領域処理部1308a〜1308nから得られた信号を基に、特徴量算出回路1309で特徴量(例えば、高角度照明により得られた散乱光量,低角度照明により得られた散乱光量,欠陥の検出画素数等)を算出し、前記異物信号と前記特徴量を統合処理部1310で統合し、統合したデータを全体制御部50へ送信する。
【0080】
以下に詳細を述べる。A/D変換器1301は光検出器26で得られたアナログ信号1300をデジタル信号に8〜12ビットで変換する回路であり、データ記憶部1302は、A/D変換されたデジタル信号を記憶しておくための回路である。画素マージ回路部1305a〜1305n,1306a〜1306nは、図13に示す各々異なるマージオペレータ1504で構成されている。
【0081】
マージオペレータ1504は、データ記憶部1302から得られる検出画像信号f(i,j)1410と、閾値算出処理部1303から得られる検出閾値画像Th(H),検出閾値画像Th(L),検証閾値画像Th(Hm)、および検証閾値画像Th(Lm)からなる差分閾値画像信号1420の各々をn×n画素の範囲で結合する機能であり、例えば、n×n画素の平均値を出力する回路である。
【0082】
ここで、画素マージ回路部について、1305a,1306aは例えば1×1画素を、1305b,1306bは3×3画素を、1305c,1306cは5×5画素を、…1305n,1306nはn×n画素をマージする奇数画素のマージオペレータで構成される。例えば、1×1画素をマージするマージオペレータは、入力信号1410,1420をそのまま出力し、3×3画素は3×3画素の平均値を3×3の中央画素の値として出力する。この処理は検出画像1410と検出閾値画像1420を二次元的に1画素ずつ移動しながら行われる。
【0083】
閾値画像信号は、4種の画像信号(Th(H),Th(Hm),Th(Lm),Th(L))から構成され、各画素マージ回路部1306a〜1306nには上記4種のマージオペレータがそれぞれ設けられている。従って、各画素マージ回路部1305a〜1305nからは、各種マージオペレータ1504でマージ処理されたマージ処理検出画像信号431a〜431nが出力され、他方、各画素マージ回路部1306a〜1306nからは、4つの閾値画像信号(Th(H),Th(Hm),Th(Lm),Th(L))が各種マージオペレータ1504でマージ処理されてマージ処理閾値画像信号441a(441a1〜441a4)〜441n(441n1〜441n4)として出力されることになる。なお、各画素マージ回路部1306a〜1306n内のマージオペレータは同じものである。
【0084】
ここで、画素をマージする効果を説明する。異物検査では、微小異物だけでなく、数μmの範囲に広がった薄膜状の大きな異物も見逃すことなく検出する必要がある。しかし、薄膜状異物からの検出画像信号は、必ずしも大きくならないため、1画素単位の検出画像信号ではS/N比が低く、見逃しが生じることがある。このため、薄膜状異物の大きさに相当するn×n画素の単位で切出して畳み込み演算をすることによってSN比を向上させるようにしている。
【0085】
次に、検査領域処理部1308a〜1308nについて説明する。検査領域処理部1308a〜1308nは、異物検出処理回路1307a〜1307nからチップを特定して得られる異物又は欠陥検出信号に対して、検査不要領域(チップ内の領域も含む)のデータ除去や、検出感度を領域(チップ内の領域も含む)毎に変える場合や検査領域を選択する場合に用いる。
【0086】
検査領域処理部1308a〜1308nは、例えば、被検査対象基板1上の領域のうち、検出感度が低くても良い場合には、閾値算出処理部1303から得られる該当領域の閾値を高く設定しても良いし、異物検出処理回路1307a〜1307nから出力される異物のデータから異物の座標を基にして検査したい領域の異物のデータのみを残す方法でも良い。
【0087】
ここで、検出感度が低くする場合は、例えば、被検査対象基板1において回路パターンの低密度の領域であり、回路パターンが高密度領域では、高感度検査によりデバイス製造の歩留りを向上することができる。
【0088】
しかしながら、被検査対象基板1上の全領域を同一感度で検査した場合、重要な異物と重要でない異物が混じるために、重要な異物を容易に抽出することができない。そこで、検査領域処理部1308a〜1308nは、チップ内のCAD情報または閾値マップ情報に基づいて、回路パターンが存在しないような、歩留りにあまり影響しない領域の検出感度を低くすることにより、効率良く重要異物を抽出することができる。ただし、異物の抽出方法は、検出感度を変更する方法だけでなく、後述する異物の分類により、重要異物を抽出しても良いし、異物サイズを基に重要異物を抽出しても良い。
【0089】
次に、特徴量算出回路1309について説明する。この特徴量とは、検出された異物や欠陥の特徴を表す値であり、特徴量算出回路1309は、前記特徴量を算出する処理回路である。特徴量としては、例えば、照明角α,β,γを変えた高角度照明及び低角度照明によって得られた異物又は欠陥からの反射回折光量(散乱光量),検出画素数,異物検出領域の形状や慣性主軸の方向,ウェハ上の異物の検出場所,下地の回路パターン種類,異物検出時の閾値等がある。
【0090】
次に、統合処理部1310について説明する。統合処理部1310では、画素マージ回路1305,1306で並列処理された異物検出結果を統合したり、特徴量算出回路1309で算出した特徴量と異物検出結果(異物欠陥の位置情報)を統合し、全体制御部50に結果を送る機能を有する。この検査結果統合処理は、処理内容を変更し易くするためにPC等で行うのが望ましい。
【0091】
一方、TVカメラ92で撮像した検出光学系20のフーリエ変換像の結像位置におけるウェハ1に形成された繰り返しパターンからの反射回折光像の輝点の画像信号は、信号処理回路95に送られる。信号処理回路95には、A/D変換器、画像データ処理部、パターンピッチ演算部があり、繰り返しパターンからの反射回折光像の輝点の画像信号は、A/D変換された後、画像データ処理部で画像データとして処理され、パターンピッチ演算部で反射回折光像の輝点のピッチが求められる。この求めた輝点のピッチのデータと画像データとは全体制御部50に送られ、空間フィルタ22の遮光板の配列ピッチを制御する信号として空間フィルタ制御部27へ送られる。
【0092】
以上のように、本発明の第1の実施形態によれば、載置台34上に配置されたウェハ1を透明基板187を有する異物付着防止手段180により覆い、その状態で光を透明基板187を介してウェハ1表面に照射して散乱光を検出することにより、ウェハ1表面の異物・欠陥の検出を行うように構成した。
【0093】
したがって、欠陥検査動作に伴い、発生する汚損粒子がウェハ1の表面に付着することが防止され、微小な異物または欠陥を高速で、しかも高精度に検査できる欠陥検査方法及びその装置を実現することができる。
【0094】
さらに、ウェハ1の裏面についても、異物検出を行い、異物が検出された場合は、その除去を行う構成とされる。
【0095】
これにより、ウェハ1の裏面から他のウェハ表面に異物が付着されることを抑制することができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。異物検査においてはウェハ1表面に透明な膜(例えば酸化膜)が形成された多層ウェハも検査する必要がある。この多層ウェハは、透明膜の上にパターンが形成される工程の繰り返しにより作られる。酸化膜等の透明膜が形成されたウェハ1上の異物検査において、酸化膜表面の異物のみを検出するニーズが高まっている。
【0096】
基本的には照明角αを小さくすることでパターン回折光等下地からの反射光の影響を抑えることが可能であるが、照明角αを小さくすることにより、異物から発せられる散乱光のうち照明光の正反射側、すなわち前方散乱光が大きくなり、上方に設けられた検出光学系への散乱光入射が小さくなって異物が安定して検出されなくなる問題がある。
【0097】
そこで、本発明の第2の実施形態においては、図10に示すように、ウェハ1の上方に誘電体部材190を設置し、異物と逆の特性となるように帯電させて検査装置内に浮遊しているパーティクルを一時的に捉える構成にしている。
【0098】
図10の(a)において、110は電源であり、例えば誘電体部材190をマイナスに帯電させて、プラスのパーティクルを誘電体部材190に保持し、載置台34にウェハ1が載置されていない状態の時に、図10の(b)に示すように、誘電体部材190の極性をプラスの極性にしてプラスの電荷を帯びたパーティクルを一気に排除するものである。この場合、イオン化エアーを流すと同時に搬送系30の下方左右方向から排気すると効果的である。なお、電源110の動作制御は、全体制御部50により制御される。
【0099】
本発明の第1の実施形態と第2の実施形態との相違点は、ウェハ1の表面へ汚損粒子の付着防止手段として、ウェハ1を覆う透明基板187が設けられているか、汚損粒子を捕捉する誘電体部材190が設けられているかという点である。その他の構成は、第1の実施形態と第2の実施形態は同様となっているので詳細な説明は省略する。
【0100】
本発明の第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様な効果を得ることができる。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。この第3の実施形態は、図11に示すように、搬送系30の上に異なる種類のウェハ1を搭載可能な構成として、ウェハチャック225−1,225−2,チャックホルダ220−1,220−2から成る2個の載置台を欠陥検査装置の搬送系30上に設置した例である。
【0101】
欠陥検査装置では金属膜を形成したウェハとそうでないウェハを検査する際は、それぞれの専用のチャックに交換する作業を実施している。このため、本発明では、チャック交換作業時間の短縮のために、異種のチャック225−1,225−2の2つを搭載して、用途に応じて使い分ける構成としている。
【0102】
図11の(b)に示すように、ウェハ1が搭載されるウェハチャック225(225−1,225−2)をチャックホルダ220(220−1,220−2)に複数設けられたチャック吸着孔222により矢印223で示す方向に真空排気して固定する。また、ウェハ1はウェハチャック225に設けられたウェハ吸着孔227により矢印224で示す方向に排気して吸着する構成になっている。
【0103】
なお、これらのウェハチャック225およびチャックホルダ220はいずれも上述した異物付着防止手段180で覆われており、開閉機構部については図6で説明したものと同様になっている。
【0104】
また、前述した裏面異物検査装置155もこの第3の実施形態に適用される。したがって、ウェハ1の裏面検査において、異物の検出数がある基準以上に増加したとき、ウェハチャック225のウェハ吸着面が汚染されていると判断して、そのウェハチャックの交換を警告する。この警告は、全体制御部50の制御により、表示手段52に表示される。
【0105】
その他の構成は、第1の実施形態と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0106】
本発明の第3の実施形態においても、第1の実施形態と同様な効果が得られる他、金属膜が形成されたウェハと、そうでないウェハを検査する場合とで、専用のウェハチャックに交換する作業を省略することができるという効果を得ることができる。
【0107】
なお、この第3の実施形態において、ウェハチャック225およびチャックホルダ220は異物付着防止手段180で覆われている構成としたが、異物付着防止手段として、図6に示した異物付着防止手段180に代えて、図10に示した誘電体部材190を配置することも可能である。
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。本発明の第4の実施形態は、欠陥検査装置に顕微鏡を付けた例である。この第4の実施形態の概略構成を図16に示す。なお、基本構成は、第1の実施形態と同様であるので、図示の簡略化のため、配置関係のみ図13に示す。
【0108】
図13に示すように、第4の実施形態においては、検査によって検出された異物は、観察用光学系60によって確認可能な構成になっている。つまり、観察用光学系60に顕微鏡が備えられている。観察用光学系60は、ステージ31,32を動かすことにより、観察用光学系60の顕微鏡視野の位置に、ウェハ1上の検出した異物(虚報も含む)を移動させ、この画像を観察する。
【0109】
本発明の第4の実施形態においても、第1の実施形態と同様な効果を得ることができる。さらに、本発明の第4の実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0110】
観察用光学系60を備えている利点は、SEMなどのレビュー装置にウェハ1を移動させなくても、検出した異物を即座に観察できることである。検査装置での検出物を即座に観察することによって、すばやく異物の発生原因を特定することができる。また、観察用光学系60のTVカメラ64の画像は、パソコンと共用のカラーモニタ上に検出した異物の画像が映し出され、検出異物の座標を中心として、部分的にレーザ照射とステージ走査による検査ができ、異物の散乱光像と異物位置をマーキングしてモニタ上に写す機能も有している。
【0111】
これにより、実際異物を検出したか否かの確認も可能である。なお、ステージ走査による部分画像は、異物の検出されたダイの隣接ダイの検査画像も取得できるのでその場での比較確認も可能である。
【0112】
観察用光学系60としては、光源には可視光(例えば白色光)でも良いし、紫外光を光源とした顕微鏡でも良い。特に微小な異物を観察するためには、高解像度の顕微鏡、例えば、紫外光を用いた顕微鏡が望ましい。また、可視光の顕微鏡を用いると異物の色情報が得られ、異物の認識を容易に行えるという利点がある。
【0113】
なお、本発明の第1の実施形態において、異物付着防止手段180は、シャフト181を中心として、回動させることによりウェハ1をカバーし、また、そのカバーを解除しているが、その他の方法により、ウェハ1のカバー及びその解除を行うこともできる。例えば、異物付着防止手段の側面部に開閉可能な部材を形成し、開閉部材を開とした状態で、異物付着防止手段をスライドさせて、ウェハ1をカバーし、開閉部材を閉とした後に、検査を行う。そして、開閉部材を開とした後、異物付着防止手段をスライドさせて、ウェハ1のカバーを解除することもできる。
【0114】
また、異物付着防止手段180は、新たなものと交換可能なように構成することができる。異物付着防止手段180の交換は、定期的に行ってもよいし、異物付着防止手段180の汚れ度を検知する手段を設けて、その汚れが一定以上となると、表示手段52等に交換が必要であることを表示することもできる。
【0115】
異物付着防止手段180の交換は、複数の異物付着防止手段を保管する保管庫を設け、自動的に交換するように構成することも可能である。
【0116】
また、ウェハチャックは、定期的に清掃するように構成してもよい。つまり、ダミーウェハを載置34に配置して、このダミーウェハによりウェハチャックを清掃することも可能である。
【符号の説明】
【0117】
1 ウェハ(被検査対象基板)
10 照明光学系
11 レーザ光源
20 検出光学系
25 光学フィルタ
30 搬送系
35 駆動回路
40 信号処理系
50 全体制御部
51 入出力手段
52 表示手段
53 記憶部
60 観察用光学系
70 瞳観察光学系
80 搬送ロボット
82 搬送アーム
155 裏面異物検査装置
180 異物付着防止手段
195 異物除去手段
300 端面検査装置
350 オリフラ検出光学系
1301 A/D変換器
1302 データ記憶部
1303 閾値算出処理部
1307 異物検出処理回路
1308 検査領域処理部
1309 特徴量算出回路(特徴量算出部)
1310 統合処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料を搭載すべき搭載台と、
前記搭載台周辺の浮遊粒子を吸着可能な誘電体部材と、
前記試料に前記浮遊粒子が付着するのを防止する粒子付着防止手段と、を有し、
前記粒子付着防止手段は、前記搭載台に前記試料が搭載されていない状態の時に、前記誘電体部材をプラスの極性に帯電させ、イオン化エアーによってプラスの電荷を帯びた浮遊粒子を排気することを特徴とする試料搭載装置。
【請求項2】
請求項1に記載の試料搭載装置において、
前記誘電体部材は、前記浮遊粒子とは逆の特性に帯電することを特徴とする試料搭載装置。
【請求項3】
請求項2に記載の試料搭載装置において、
前記搭載台には、膜の形成された試料を搭載すべき第1の部分と、膜の形成されていない試料を搭載すべき第2の部分と、が形成されており、
前記粒子付着防止手段は、前記第1の部分、前記第2の部分それぞれに配置されていることを特徴とする試料搭載装置。
【請求項4】
請求項3に記載の試料搭載装置において、
前記第1の部分、及び前記第2の部分のうち少なくとも1つを清掃する清掃手段を有することを特徴とする試料搭載装置。
【請求項5】
請求項1に記載の試料搭載装置において、
前記搭載台には、膜の形成された試料を搭載すべき第1の部分と、膜の形成されていない試料を搭載すべき第2の部分と、が形成されており、
前記粒子付着防止手段は、前記第1の部分、前記第2の部分それぞれに配置されていることを特徴とする試料搭載装置。
【請求項6】
請求項1に記載の試料搭載装置において、
前記搭載台の前記試料を搭載すべき部分を清掃する清掃手段を有することを特徴とする試料搭載装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−57683(P2013−57683A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−268936(P2012−268936)
【出願日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【分割の表示】特願2008−256945(P2008−256945)の分割
【原出願日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】